説明

経路案内システム、経路案内装置、経路案内方法、およびコンピュータプログラム

【課題】利用者に経路案内を行う技術において、利用者の利便性を向上する。
【解決手段】経路案内システムは、出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を提供する。さらに、地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも用意し、移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得し、前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定し、前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定し、前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路を、前記地図画像に重畳させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータで利用可能に電子化された地図データを利用して、出発地から目的地に至る経路を探索し、車や歩行者に経路案内を行う技術が知られている。さらに、現在位置の周囲に存在する店舗等の施設を案内する案内システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3850898号公報
【特許文献2】特許3478674号公報
【0004】
しかしながら、前記従来の技術では、利用者は、探索された経路外の施設に移動したい場合に、逐一、目的とする施設までの経路探索を行う必要があり、操作が煩雑なものであった。このため、電子機器を用いた地表上の施設への案内経路の提供には、利用者の利便性のさらなる向上が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、利用者に経路案内と施設案内とを共に行う技術において、利用者の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1] 出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を表示する経路案内システムにおいて、地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも記憶する施設情報記憶部と、移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定する注目領域設定部と、前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定する寄り道経路決定部と、前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路を、前記地図画像に重畳させて表示する寄り道経路表示部とを備える経路案内システム。
【0008】
適用例1に係る経路案内システムによれば、現在位置に基づいて定まる注目領域に位置する施設に至る1または複数の寄り道経路を、出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像に重畳させて表示することができる。このために、利用者は、推奨経路と各施設への寄り道経路とを一つの画面で一覧することができることから、現在位置から各施設までの経路を容易に知ることができる。したがって、利用者の利便性を向上することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1に記載の経路案内システムであって、前記施設情報記憶部は、前記各施設についての属性を示す施設属性情報を記憶する構成を備え、前記寄り道経路表示部は、前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路に対応する前記施設についての前記施設属性情報を、前記各寄り道経路とともに表示する構成である、経路案内システム。この構成によれば、利用者は、各施設までの寄り道経路とともに、各施設についての属性を容易に知ることができることから、利用者の利便性をより向上することができる。
【0010】
[適用例3] 適用例1または2に記載の経路案内システムであって、地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報と、前記所定領域毎の特徴を表す複数の領域特徴情報とを記憶する領域情報記憶部を備え、前記注目領域設定部は、前記複数の所定領域の中から、前記現在位置を含む所定の範囲に少なくとも1部が含まれる所定領域を選択し、該選択された所定領域を前記注目領域とする構成であり、前記寄り道表示部は、前記注目領域に対応した前記領域特徴情報を、前記地図画像に重畳させて表示する領域特徴表示部を備える、経路案内システム。この構成によれば、利用者は、現在位置を含む所定の範囲に少なくとも1部が含まれる注目領域に位置する施設への寄り道経路を容易に知ることができ、さらに、その注目領域の特徴を容易に知ることができる。
【0011】
[適用例4] 適用例1ないし3のいずれかに記載の経路案内システムであって、請求項1ないし3のいずれかに記載の経路案内システムであって、前記現在位置情報取得部により取得された現在位置情報により示される現在位置が、前記寄り道経路決定部により決定された前記寄り道経路のいずれかに存在するときに、前記現在位置が存在する前記寄り道経路に対応する前記施設から前記推奨経路に復帰する復帰経路を決定する復帰経路決定部と、前記復帰経路決定部により決定された前記復帰経路を、前記地図画像に重畳させて表示する復帰経路表示部とを備える経路案内システム。この構成によれば、利用者は、自身が移動するだけで特別な操作を行うことなしに、表示された寄り道経路のうちのいずれを選択(採用)するかを指示することができ、さらに、選択した寄り道経路からの復帰経路の表示を受けることができる。したがって、利用者の利便性をより向上することができる。
【0012】
[適用例5] 適用例1ないし4のいずれかに記載の経路案内システムであって、前記寄り道経路決定部は、前記注目領域に位置する前記各施設に対して所定の規則に基づいて優先度を定め、前記優先度に基づいて前記寄り道経路を所定数以下に制限する寄り道経路数制限部を備える、経路案内システム。この構成によれば、施設が密集している地域でも簡潔な表示が可能となる。
【0013】
[適用例6] 適用例5に記載の経路案内システムであって、前記所定の規則は、前記現在位置情報取得部により取得された現在位置情報により示される現在位置と前記施設との間で探索される経路の距離が短いほど、前記優先度が高いという規則であり、前記寄り道経路決定部は、前記現在位置情報取得部により取得された現在位置情報により示される現在位置の移動に伴って再実行されることにより、前記寄り道経路を更新する寄り道経路更新部を備える、経路案内システム。この構成によれば、施設が密集している地域でも簡潔な表示が可能となる。
【0014】
[適用例7] 適用例1ないし6のいずれかに記載の経路案内システムにおいて、利用者からの指令を受けて、前記利用者が好む施設の種類を指定する施設種類指定部を備え、前記寄り道経路決定部は、前記注目領域に位置する複数の前記施設の中から、前記施設種類指定部により指定された施設の種類に属する施設を選択し、該選択された施設に前記寄り道経路の決定対象の施設を制限する施設制限部を備える、経路案内システム。この構成によれば、利用者は、自身の好む施設の種類だけの案内を受けることができることから、利用者の利便性をより向上することができる。
【0015】
[適用例8] 出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を、情報表示端末に提供する経路案内装置において、地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも記憶する施設情報記憶部と、移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定する注目領域設定部と、前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定する寄り道経路決定部と、前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路を表す寄り道経路情報を、情報表示端末に送信する寄り道経路送信部とを備える経路案内装置。
【0016】
適用例8に係る経路案内装置によれば、現在位置に基づいて定まる注目領域に位置する施設に至る1または複数の寄り道経路を、出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像に重畳し得る形態で情報表示端末に提供することができる。このために、提供を受けた利用者は、推奨経路と各施設への寄り道経路とを一つの画面で一覧することができることから、現在位置から各施設までの経路を容易に知ることができる。したがって、利用者の利便性を向上することができる。
【0017】
[適用例9] 出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を提供する経路案内方法において、地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも用意し、移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得し、前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定し、前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定し、前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路を表す寄り道経路情報を、前記地図画像に重畳し得る形態で提供する経路案内方法。
【0018】
[適用例10] 出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を提供するためのコンピュータプログラムであって、地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも記憶する施設情報記憶機能と、移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得機能と、前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定する注目領域設定機能と、前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定する寄り道経路決定機能と、前記寄り道経路決定機能により決定された前記各寄り道経路を表す寄り道経路情報を、前記地図画像に重畳し得る形態で提供する寄り道経路提供機能とをコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【0019】
前記適用例9に係る経路案内方法、適用例10に係るコンピュータプログラムは、それぞれ、適用例8に係る経路案内装置と同様に、利用者の利便性を向上することができる。また、前記適用例9に係る経路案内方法、適用例10に係るコンピュータプログラムは、それぞれ、適用例8に係る経路案内装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0020】
さらに、本発明は、前記適用例10に係るコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例としての経路案内システム10の概略構成を示す説明図である。
【図2】サーバシステムに格納されたデータベースの内容を説明する図である。
【図3】推奨経路RTの一例を示す概念図である。
【図4】経路案内実行時に表示パネルに表示される画面WD1の一例を示す説明図である。
【図5】施設案内処理の流れの前半部分を示すフローチャートである。
【図6】施設案内処理の流れの後半部分を示すフローチャートである。
【図7】入力画面IWの一例を示す説明図である。
【図8】ステップS140の実行後における表示パネルの表示画面WD2の一例を示す説明図である。
【図9】ステップS192の実行後における表示パネルの表示画面WD3の一例を示す説明図である。
【図10】第1変形例における一例を示す説明図である。
【図11】第1変形例における他の一例を示す説明図である。
【図12】第1変形例における他の一例を示す説明図である。
【図13】地表上に設定される所定領域の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、実施例に基づき説明する。
【0023】
A.実施例:
・経路案内システムの構成:
図1は、本発明の一実施例としての経路案内システム10の概略構成を示す説明図である。図示するように、経路案内システム10は、情報提供サーバ100と、地図サーバ150と、基地局BSと、携帯端末200とを含んでいる。情報提供サーバ100と、地図サーバ150と、基地局BSは、インターネットINTを介して通信可能に接続されている。携帯端末200は、基地局BSと無線通信することが可能であり、この結果、携帯端末200は、基地局BSを介して、情報提供サーバ100および地図サーバ150と通信を行うことができる。
【0024】
本実施例の携帯端末200は、地図表示端末として機能することができる。また、携帯端末200は、GPS受信機201を備えており、これと地図表示機能とを用いて経路案内を行う機能を備えている。携帯端末200は、GPS受信機201と、表示パネル202と、音声出力部204と、キー入力部205と、無線通信回路206と、通話制御部207と、外部記憶装置208と、主制御部210とを備えている。
【0025】
GPS受信機201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信する装置である。表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。液晶ディスプレイは、たとえば、480画素ラ640画素(VGA)の解像度を有する。表示パネル202には、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなど、種々の表示装置を採用することが可能である。音声出力部204は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などから構成される。キー入力部205は、方向入力キー205aや、その他の操作キー205bなどのキー群から構成される。携帯端末200の利用者は、これらのキーを用いることで、各種の操作を行うことができる。
【0026】
無線通信回路206は、基地局BSとの間でデータ通信もしくは音声通信を行うための回路である。無線通信回路206は、基地局BSを介して、情報提供サーバ100や地図サーバ150にアクセスを行うことができる。通話制御部207は、音声通話のための着信や呼出、音声信号と電気信号の変換などを行う回路である。通話制御部207と無線通信回路206とを備えることにより、携帯端末200は、携帯電話として動作することができる。外部記憶装置208は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成され得る。外部記憶装置208には、各種ソフトウェアやデータの格納に用いられる。
【0027】
携帯端末200の主制御部210は、携帯端末200の上述した各部201〜208を制御するためのコントローラである。主制御部210は、図示しない中央演算回路(CPU)と、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。携帯端末200が地図表示端末として機能するとき、主制御部210の内部記憶装置には、地図表示のためのプログラムが格納されている。このプログラムは、例えば、地図サーバ150や情報提供サーバ100を運用する事業者によりインターネットINTおよび基地局BSを介して配信されても良い。このプログラムは、使用しないときは、外部記憶装置208に格納され、使用時に、外部記憶装置208から読み出されて、主制御部210の内部記憶装置に格納される。主制御部210は、このプログラムを実行することで、後述する様々な処理/機能を実現する。
【0028】
情報提供サーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶部105とを備えている。制御部104は、情報提供サーバ100の上述した通信部102および記憶部105を制御するためのコントローラである。通信部102は、インターネットINTを介して地図サーバ150と、インターネットINTと基地局BSを介して携帯端末200と、それぞれ通信を行うことができる。記憶部105には、経路データベース(DB)106と、施設データベース107と、領域データベース108とが格納されている。各データベース106〜108については後述する。
【0029】
地図サーバ150は、通信部152と、制御部154と、記憶部155とを備えている。記憶部155には、地図データベース156が格納されている。制御部154は、地図サーバ150の上述した通信部152および記憶部155を制御するためのコントローラである。通信部152は、インターネットINTを介して情報提供サーバ100と、インターネットINTと基地局BSを介して携帯端末200と、それぞれ通信を行うことができる。地図データベース156については後述する。
【0030】
情報提供サーバ100の制御部104および地図サーバ150の制御部154は、それぞれ、図示しないCPUと、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。制御部104および制御部154の内部記憶装置には、携帯端末200と通信し、携帯端末200の地図表示端末としての機能を支援するためのプログラムが格納されている。制御部104および制御部154は、これらのプログラムを実行することにより、後述する様々な処理/機能を実現する。
【0031】
本実施例では、地図サーバ150と情報提供サーバ100とは、インターネットを介して接続されるものとしたが、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して接続されるものとしてもよい。また、情報提供サーバ100と地図サーバ150は、一つのサーバ計算機によって構成されることも可能である。
【0032】
図2は、サーバシステム1000に格納されたデータベースの内容を説明する図である。図2には、上述した地図データベース156と、経路データベース106と、施設データベース107と、領域データベース108とが、それぞれ、概念的に示されている。
【0033】
地図データベース156には、携帯端末200に送信する地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に代えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0034】
経路データベース106には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路を表すネットワーク情報と、経路属性情報Z1が格納されている。ネットワーク情報は、交通経路における要素点(ノード)NDを表すノードデータと、ノード間を結ぶ線分(リンク)LKを表すリンクデータとを含む。ノードNDは、例えば、交差点、分岐点、駅などを表している。リンクLKは、例えば、道路、電車などの線路などの交通経路を表している。経路属性情報Z1は、ノードNDあるいはリンクLKに関連付けられている。
【0035】
経路属性情報Z1は、関連付けられたリンクLKを特定するリンク属性データと、関連付けられたノードNDを特定するノード属性データとを含む。リンク属性データは、例えば、関連付けられたリンクLKが表す道路の名称である。ノード属性データは、例えば、関連付けられたノードNDが表す交差点の名称である。
【0036】
施設データベース107は、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する各施設の位置を表す施設位置情報としての施設ポイントBPと、各施設ポイントBPに関連付けられた施設属性情報Z2と、後述する対応領域特定情報RYと、を含む。ここで、施設とは、ある目的のために地表上に設けられたものであり、店舗や、観光地における地物等が該当する。施設属性情報Z2は、例えば、関連付けられた施設ポイントBPが表す位置に存在する施設の名称を含む。また、施設属性情報Z2には、さらに、サブ施設属性情報Z21が関連付けられても良い。サブ施設属性情報Z21は、例えば、対応する施設の分類情報、種類、特徴などが記述される。「分類情報」は、施設を大分類するもので、例えば、「グルメ」、「アミューズメント」、「観光」等が該当する。「種類情報」は、施設を小分類するもので、例えば、「イタリアン」、「和食」、「中華」等が該当する。特徴は、例えば「ピザ」、「パスタ」、「てんぷら」等が該当する。
【0037】
領域データベース108は、地図画像データが表す地図画像に対応した領域上に設定された複数の所定領域(設定領域)を特定する領域特定情報と、複数の設定領域にそれぞれ関連付けられた領域属性情報Z3とが格納されている。図2に示す例では、設定領域として、地図画像領域をメッシュ状に分割した正方形の矩形領域MSが設定されている。本実施例では、領域特定情報は、設定領域を位置で特定する座標情報(緯度および経度)である。
【0038】
領域属性情報Z3は、設定領域の特徴を表す領域特徴情報である。領域属性情報Z3は、例えば、関連付けられている設定領域における特定種類の施設の密集の程度を表す情報、特定種類の施設の存在の有無、設定領域の客観的な評価、口コミによる評価を含む。具体的には、料理店の多さ、ガソリンスタンドの多さ、公衆トイレの多さ、駐車場の有無、あるいは、観光対象、散策対象、ドライブコースとして評価などが挙げられる。図2に示す例では、ハッチングで示した図2の右上端の矩形領域MSに対して、領域属性情報Z3およびサブ領域属性情報Z31〜Z33として、それぞれ「イタリア料理店が多い」「おいしい」「ピザ」「パスタ」という領域特徴情報が関連付けられている。なお、全ての設定領域に、領域属性情報Z3やサブ領域属性情報Z31〜Z33が必ずしも関連付けられている必要はなく、特に特徴のないような設定領域については、前記関連づけはないものとすることができる。
【0039】
なお、施設データベース107に含まれる対応領域特定情報RYは、各施設が位置する設定領域を特定する情報であり、例えば、各設定領域に割り振られた数字が該当する。例えば、各施設の地図上の位置情報(緯度情報、経度情報)を施設が含まれる各領域に振り分けられた数字に変換して位置情報が含まれる領域を特定できるようにすることもできる。これにより、各施設がいずれの設定領域に位置する(対応している)かが容易に判定可能となる。なお、本実施例では、施設データベース107は対応領域特定情報RYを備える構成としたが、これに換えて、対応領域特定情報RYを備えない構成とすることもできる。この場合には、領域特定情報と施設ポイントBPとから演算により、各施設がいずれの設定領域に位置するかを求める構成とすればよい。
【0040】
・経路案内システムの動作:
経路案内システム10は、携帯端末200の利用者に対して、経路案内サービスを提供する。経路案内サービスの利用者は、携帯端末200を操作して、出発地と、目的地とを設定する。利用者は、さらに、出発地から目的地に向かう途中で経由する経由地を設定しても良い。出発地は、GPS受信機201により測位された現在位置であっても良い。
【0041】
携帯端末200は、出発地、目的地、必要な場合には経由地をそれぞれ特定する座標情報(緯度および経度)を、情報提供サーバ100に送信する。情報提供サーバ100は、受信した座標情報に基づいて、経路データベース106および必要に応じて地図サーバ150の地図データベース156を照合・検索し、推奨経路を決定し、推奨経路を表す推奨経路情報を生成する。
【0042】
推奨経路は、経路データベース106に登録された交通経路の中から抽出された出発地から目的地に至る経路であり、推奨経路情報は、推奨経路を特定する複数のノードNDの座標情報を、推奨経路上の順番を特定可能に記述した情報である。すなわち、複数のノードNDを、順番に従って線分で繋いだ線が推奨経路を表す。ここでは、推奨経路情報には、推奨経路上の全てのノードNDの座標情報が含まれる。
【0043】
情報提供サーバ100は、生成された推奨経路情報を携帯端末200に送信する。携帯端末200は、推奨経路情報(ここでは、特に推奨経路情報に含まれるノードNDの座標情報)に基づき必要な範囲の地図画像データを地図サーバ150に要求して取得し、地図画像データと推奨経路情報とを用いて経路案内を実行する。
【0044】
図3は、推奨経路の一例を示す概念図である。図3に示す例では、左下端近傍から右上端近傍へ向かう推奨経路RTが設定されている。図3に示す推奨経路RTは、領域データベース108において設定されている矩形領域MSのうち、ハッチングを付した領域を、ハッチングと共に付した番号順に通過する。
【0045】
図4は、経路案内実行時に携帯端末200の表示パネル202に表示される画面WD1の一例を示す説明図である。本実施例において、経路案内実行時における表示パネル202には、利用者の現在位置周辺の地図画像が表示される。地図画像において、推奨経路RTが他の経路(道路など)とは区別できる態様で、例えば、他の道路と異なる色で表示される。また、地図画像において、利用者の現在位置を表す現在位置表示PPが、GPS受信機201を用いて所定間隔ごとに測位される現在位置情報に基づいて、重畳表示される。この表示パネル202の表示によって、推奨経路RTと現在位置を知らせる経路案内のサービスが提供される。図示は、図3に例示した推奨経路RTのうちの「13」の番号が与えられた矩形領域MS付近の範囲が表示された例である。なお、図中の破線は、矩形領域MSを示すものであるが、表示パネル202に実際は表示されない。後述する説明用として地図画像に示した。
【0046】
・施設案内処理:
本実施例では、前記経路案内のサービスに加えて、施設案内も行なう。経路案内システム10により、経路案内の実行と並行して、案内経路の進行に応じて施設案内を行う施設案内処理が実行される。
【0047】
図5および図6は、施設案内処理の流れを示すフローチャートである。施設案内処理が開始されると、図5に示すように、携帯端末200の主制御部210は、GPS受信機201を用いて、現在位置を表す現在位置情報を取得する(ステップS110)。ここで、取得される現在位置情報は、並行して行われる経路案内の処理と共用されても良い。現在位置情報が取得されると、携帯端末200の主制御部210は、現在位置情報を、サーバシステム1000の情報提供サーバ100に送信する(ステップS120)。
【0048】
サーバシステム1000において、情報提供サーバ100が現在位置情報を受信する(ステップS210)と、情報提供サーバ100の制御部104は、現在位置情報に基づいて、領域データベース108に設定されている複数の矩形領域MSのうちから1つを、注目領域として選択する(ステップS220)。ここでは、図4に示すように、現在位置が含まれる矩形領域MSを、注目領域MS*(図4参照)として選択する。
【0049】
次いで、制御部104は、領域データベース108から、ステップS220において選択された注目領域MS*に関連付けられた領域属性情報Z3およびサブ領域属性情報を取得する(ステップS230)。取得した領域属性情報Z3およびサブ領域属性情報が、ステップS220において選択された注目領域MS*の領域特徴情報である。例えば、「イタリア料理店が多い」という領域特徴情報が得られる。
【0050】
続いて、制御部104は、施設データベース107から、ステップS220において選択された注目領域MS*に位置する施設を選択する(ステップS240)。この選択は、施設データベース107に含まれる対応領域特定情報RYを用いて行われる。続いて、ステップS240により選択された施設の中から経路案内を提示する施設(以下、「経路案内施設」と呼ぶ)を決定する(ステップS250)。ここでは、ステップS230で取得した領域属性情報Z3およびサブ領域属性情報から定まる注目領域MS*の領域特徴情報と対応するサブ施設属性情報を持つ施設を、経路案内施設と定める。例えば、注目領域MS*の領域特徴情報が「イタリア料理店が多い」という場合には、サブ施設属性情報の種類情報が「イタリアン」であると登録された施設を経路案内施設と定める。
【0051】
なお、ステップS250における経路案内施設の決定は、上記の構成に限る必要はなく、上記構成に換えて、各施設に対して所定の規則に基づいて優先度を定め、その優先度に基づいて経路案内施設にするべきかを判定する構成としてもよい。所定の規則としては、例えば、次の規則(i)〜(v)の1つもしくは複数とすることができる。
【0052】
(i)推奨経路から各施設に至る経路長が短いほど、優先度が高い。
(ii)現在位置から各施設に至る経路長が短いほど、優先度が高い。
(iii)各施設の人気度を求め、人気度が高いほど優先度が高い。ここでは、情報提供サーバ100へ接続する多数の利用者の過去のユーザインタフェースの操作の履歴を蓄積しておき、その蓄積結果から各施設の人気度を求める。
(iv)利用者の好みを予め登録しておき、その好みに一致するほど、優先度が高い。
(v)利用者(自身)の過去のユーザインタフェースの操作の履歴を蓄積しておき、その蓄積結果から利用者の好みを求め、その好みに一致するほど、優先度が高い。
【0053】
前記(iv)の場合、例えば次の入力画面を用いて好みの登録が行われる。図7は、入力画面IWの一例を示す説明図である。図示するように、入力画面IWには、[グルメ−イタリアン−パスタ]、[グルメ−イタリアン−ピザ]、[グルメ−和食−てんぷら]、[グルメ−和食−うなぎ]等の各選択肢が表示される。各選択肢は、利用者による携帯端末200のキー入力部205の操作を受けて、選択可能となっている。前記選択肢は、施設データベース107に記憶されているサブ施設属性情報Z21の取り得る内容と一致したものである。入力画面IWから選択された選択肢と一致するサブ施設属性情報を持つ施設が、優先度が高いものとして、ステップS250では経路案内施設の決定を行なう。
【0054】
ステップS250の処理の結果、多数の施設の中から1または複数の経路案内施設が決定される。なお、この構成に換えて、ステップS250の処理を除いた構成とすることもできる。すなわち、施設の絞り込みを行わず、注目領域MS*に位置する施設の全てを経路案内施設としてもよい。
【0055】
ステップS250の実行後、制御部104は、ステップS250で決定された各経路案内施設についての施設属性情報Z2およびサブ施設属性情報Z21を、施設データベース107から取得する(ステップS260)。続いて、制御部104は、推奨経路RTの途中から各経路案内施設に至る経路を探索する処理を行う(ステップS270)。詳しくは、推奨経路情報と、各経路案内施設についての施設ポイントBPとに基づいて、経路データベース106および必要に応じて地図サーバ150の地図データベース156を照合・検索し、推奨経路RTの途中から各経路案内施設に至る経路(以下、「寄り道経路」と呼ぶ)を決定し、寄り道経路を表す寄り道経路情報を生成する。なお、寄り道経路情報は、経路案内の処理により提供する推奨経路が含まれた地図画像に重畳して利用可能な形態となっている。
【0056】
その後、制御部104は、ステップS230で取得した注目領域MS*についての領域特徴情報(領域属性情報Z3およびサブ領域属性情報)と、各経路案内施設についての施設属性情報(施設属性情報Z2およびサブ施設属性情報Z21)と、ステップS270の探索処理で得られた寄り道経路情報とを携帯端末200に対して送信する(ステップS280)。
【0057】
携帯端末200において、情報提供サーバ100からの領域特徴情報、各施設属性情報、および各寄り道経路情報が受信される(ステップS130)と、携帯端末200の主制御部210は、領域特徴情報を記述した領域特徴情報図形と、各施設属性情報を記述した文字列と、各寄り道経路情報を示す寄り道経路線図とを表示する(ステップS140)。これらの表示は、表示パネル202に表示される、推奨経路RTが記述された地図画像に重畳させて行う。
【0058】
図8は、ステップS140の実行後における表示パネル202の表示画面WD2の一例を示す説明図である。なお、図8では、説明を簡略とするために、地図画像の記載を省略したが、実際は、図4と同様の地図画像が表示される。図示するように、地図画像において、推奨経路RTとともに、推奨経路RTの途中から分岐する各寄り道経路線図YT1、YT2、YT3が表示されている。各寄り道経路線図YT1〜YT3の先端が、各経路案内施設の位置を表す。寄り道経路線図YT1〜YT3の先端には、施設属性情報を記述した文字列CTが表示されている。文字列としては、施設属性情報Z2である例えば「AAA」という施設の名称と、サブ施設属性情報Z21である例えば「パスタ」という施設の分類情報とが示される。上記各寄り道経路線図YT1〜YT3は、地図画像において、推奨経路RTと区別できる態様で、例えば、異なる色で表示される。
【0059】
また、地図画像には、注目領域MS*が、地図とは区別できる態様で、例えば、地図の道路とは異なる色で表示される。注目領域MS*の内側に、各寄り道経路線図(以下、単に「寄り道経路」とも呼ぶ)YT1〜YT3が位置することになる。さらに、注目領域MS*の周辺(図示の例では上部)には、領域特徴情報図形CDが表示されている。領域特徴情報図形CDは、例えば吹き出し図形であり、吹き出し図形の内側には、例えば「イタリア料理店が多い」という領域特徴情報を含む「イタリア料理店が多い地域です。」という文字列が記述されている。なお、領域特徴情報図形CDは表示しない構成としてもよい。
【0060】
図5に戻って、ステップS140の実行後、図6に移行し、携帯端末200の主制御部210は、GPS受信機201を用いて、現在位置を表す現在位置情報を取得する(ステップS150)。現在位置情報が取得されると、主制御部210は、現在位置情報に基づいて、現在位置がいずれかの寄り道経路YT1〜YT3に移行したか否か、現在位置が注目領域MS*の外側に移行したか否かをそれぞれ判定する(ステップS160、S170)。
【0061】
両ステップS160、S170で共に否定判定されたときには、ステップS150に処理を戻して、ステップS150ないしS170の処理を繰り返し実行する。すなわち、ステップS150ないしS170の処理を繰り返し実行することにより、携帯端末200を携帯した利用者が移動して、いずれかの寄り道経路YT1〜YT3に移行するか、あるいは注目領域MS*の外側に移行するのを待つ。なお、ステップS170で、注目領域MS*の外側に移行したと判定されたときには、主制御部210は、処理を「リターン」に進めて、本施設案内処理を一旦終了する。
【0062】
一方、ステップS160で、現在位置がいずれかの寄り道経路YT1〜YT3に移行したと判定されたときには、携帯端末200の主制御部210は、現在位置情報を、サーバシステム1000の情報提供サーバ100に送信する(ステップS180)。
【0063】
サーバシステム1000において、情報提供サーバ100が現在位置情報を受信する(ステップS290)と、情報提供サーバ100の制御部104は、現在位置情報に基づいて、現在位置が存在する寄り道経路を特定し、その特定された寄り道経路に対応した経路案内施設(以下、「目的施設」と呼ぶ)から推奨経路RTに至る経路を探索する処理を行う(ステップS292)。詳しくは、推奨経路情報と、前記特定された経路案内施設についての施設ポイントBPとに基づいて、経路データベース106および必要に応じて地図サーバ150の地図データベース156を照合・検索し、目的施設から推奨経路RTに至る経路(以下、「復帰経路」と呼ぶ)を決定し、復帰経路を表す復帰経路情報を生成する。その後、制御部104は、ステップS300の探索処理で得られた復帰経路情報を携帯端末200に対して送信する(ステップS294)。
【0064】
なお、利用者は上記復帰経路を必ずしも利用する必要はなく、例えば案内経路である寄り道経路を戻ることも勿論可能である。
【0065】
携帯端末200において、情報提供サーバ100からの復帰経路情報が受信される(ステップS190)と、携帯端末200の主制御部210は、復帰経路情報を示す復帰経路線図を表示する(ステップS192)。この表示は、表示パネル202に表示される、推奨経路RT、寄り道経路YT1等が記述された地図画像に重畳させて行う。
【0066】
図9は、ステップS192の実行後における表示パネル202の表示画面WD3の一例を示す説明図である。なお、図9では、説明を簡略とするために、地図画像の記載を省略したが、実際は、図4と同様の地図画像が表示される。図示するように、地図画像において、推奨経路RTとともに、現在位置が存在する寄り道経路YT1に連結して、復帰経路線図RRが表示されている。復帰経路線図RRは、現在位置が存在する寄り道経路YT1から推奨経路RTに復帰する最短の経路である。復帰経路線図RRは、地図画像において、推奨経路RTと区別できる態様で、例えば、異なる色で表示される。なお、本実施例では、現在位置が存在する寄り道経路YT1以外の寄り道経路YT2、YT3については、利用者により選択されなかった経路であるとして、表示パネル202の表示から消去している。なお、必ずしも消去する必要はなく、選択されなかった寄り道経路YT2、YT3についても表示する構成としてもよい。
【0067】
図6に戻って、ステップS192の実行後、携帯端末200の主制御部210は、GPS受信機201を用いて、現在位置を表す現在位置情報を取得する(ステップS194)。現在位置情報が取得されると、主制御部210は、現在位置情報に基づいて、現在位置が推奨経路RTに復帰したか否かを判定し(ステップS196)、復帰していないと判定されたときに、ステップS194に処理を戻して、推奨経路RTに復帰するのを待つ。一方、ステップS196で、現在位置が推奨経路RTに復帰したと判定されたときには、「リターン」に抜けて、本施設案内処理を一旦終了する。
【0068】
以上説明した実施例によれば、現在位置が含まれる注目領域MS*に位置する経路案内施設に至る寄り道経路YT1〜YT3を、出発地から目的地に至る推奨経路RTを表す地図画像に重畳させて表示することができる。このために、利用者は、推奨経路RTと各経路案内施設への寄り道経路YT1〜YT3とを一つの画面で一覧することができることから、現在位置から各経路案内施設までの経路を容易に知ることができる。したがって、利用者の利便性を向上することができる。さらに、利用者は、各施設についての施設属性情報(例えば「パスタ」)と、注目領域MS*の領域特徴情報(例えば「イタリア料理店が多い」)とを容易に知ることができる。
【0069】
さらに、前記実施例によれば、利用者は、携帯端末200を携帯して移動するだけで特別な操作を行うことなしに、携帯端末200の表示パネル202に表示された寄り道経路YT1〜YT3のうちのいずれが選択(採用)されたかを経路案内システム10に対して指示することができ、さらに、選択された寄り道経路YT1から戻る復帰経路の表示を受けることができる。したがって、利用者の利便性をより向上することができる。また、本実施例の経路案内システム10によれば、経路案内施設の提示のとき(ステップS140、図8)には、各経路案内施設への往路を表示するだけで復路は表示しないことから、施設が密集している地域でも簡潔な表示が可能となる。
【0070】
B.変形例:
・第1変形例:
前記実施例では、現在位置が含まれる矩形領域MSを、注目領域MS*として選択する構成としたが、これに換えて、次の(a)〜(d)の記載の注目領域とすることができる。
【0071】
(a)推奨経路上を現在位置から所定の距離(例えば500m)だけ進んだ地点が含まれる矩形領域を注目領域として選択する構成。
(b)図10に示すように、推奨経路RTを中心とする現在位置を含む帯状の範囲AR1に少なくとも1部が含まれる矩形領域MS1、MS2を注目領域として選択する構成。帯状の範囲AR1は、推奨経路RTから所定の距離だけ離れた横幅Wを有し、現在位置から推奨経路RT上を所定の距離Sだけ進んだ地点までの長さSを有する領域である。
【0072】
(c)図11に示すように、現在位置を含む楕円形の範囲AR2に少なくとも1部が含まれる矩形領域MS3、MS4、MS5を注目領域として選択する構成。楕円形の範囲AR2は、現在位置からの進行方向と楕円の長軸が一致し、楕円の短軸が現在位置から見て進行方向に位置する範囲である。この構成によれば、現在位置から推奨経路RT上を戻るような位置にある矩形領域MS5についても注目領域とすることができる。現在位置から近い施設であれば戻ることもよしと利用者により判断される可能性もあるからである。
【0073】
(d)図12に示すように、現在位置を含む扇形の範囲AR3に少なくとも1部が含まれる矩形領域MS6、MS7を注目領域として選択する構成。楕円形の範囲AR3は、現在位置からの進行方向に扇が開く範囲である。現在位置から遠い施設であれば、推奨経路RTから離れても到達が容易であるからである。
【0074】
さらに、推奨経路、もしくは現在位置を含む所定の範囲に含まれないが上記(a)から(d)で選び出された矩形領域に隣接する領域を、注目領域として選択する構成等、種々の構成とすることもできる。
【0075】
・第2変形例:
前記実施例では、注目領域として選択されうる所定領域として、メッシュ状に分割された正方形の矩形領域MSが地表上に設定されているが、地表上の座標空間(緯度および経度)に設定される所定領域の設定態様や形状は、これに限られない。他の形状の例を、図13を参照して、説明する。
【0076】
図13は、地表上に設定される所定領域の他の例を示す説明図である。図13における所定領域MS11およびMS12は、道路などの交通経路に沿って、所定の巾で設定された帯状形状を有している。このような形状に所定領域を設定すれば、所定領域が設定された交通経路を移動している利用者にとって有意義な領域特徴情報を、利用者に提供することができる。
【0077】
図13における所定領域MS13〜MS15は、任意の形状に設定されている。このような任意形状の所定領域は、多数の要素点と要素点間を結ぶ線分による多角形であるクローズドポリゴンデータとして記録される。また、このような所定領域は、地図画像に対応する地表を全て覆う必要はなく、所定領域が設定されていない部分があっても良い。このような所定領域が未設定の領域については、領域特徴情報が得られないだけである。また、任意形状の所定領域は、図13においてクロスハッチングで示すように、複数の所定領域が重なっている部分があっても良い。このような所定領域が重なり合った領域については複数の領域特徴情報が得られる。
【0078】
また、矩形領域は、正方形である必要はなく、図13における所定領域MS16、MS17のように、長方形であっても良い。
【0079】
・第3変形例:
前記実施例では、注目領域MS*に位置する複数の寄り道経路YT1〜YT3を同時に表示する構成としていたが、これに換えて、現在位置の移動に伴い、最寄りの寄り道経路YT1〜YT3を一つずつ表示する構成としてもよい。すなわち、推奨経路から各施設に至る経路長が最短となる寄り道経路が、最高の優先度とし、現在位置の移動に伴って、最高の優先度の寄り道経路だけを順次表示する構成としてもよい。この構成によれば、より簡潔な表示が可能となる。
【0080】
・第4変形例:
前記実施例では、1つの設定領域に定められる領域属性情報Z3は、1つであるとして説明したが、これに換えて複数としてもよい。これにより、1つの設定領域に、例えば、「イタリア料理店が多い」、「スペイン料理店が多い」との双方を領域特徴情報として定めることも可能となる。
【0081】
・その他の変形例:
なお、前記実施例では、GPSを利用して利用者の現在位置を求めていたが、これに換えて、GLONASS(GlobalNavigation Satellite System)、GalileoなどのGPS以外の他の衛星測位システム(Satellite Navigation System)、言い換えれば、世界的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation System)によって現在位置を求める構成としても良い。
【0082】
前記実施例は、サーバシステム1000と携帯端末200が分離した携帯型の経路案内システム10であるが、本発明は経路データベース106、施設データベース107、領域データベース108となどのサーバシステム1000が有する構成と、表示パネル202、キー入力部205などの携帯端末200が有する構成とが一体になった経路案内システム、例えば、車載型のナビゲーション装置にも適用可能である。また、移動体としての携帯端末200は、必ずしも携帯電話としての機能を備える必要はなく、ノートパソコンやPDA等の情報表示端末による構成としてもよい。
【0083】
前記実施例および各変形例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0084】
なお、前述した実施例および各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明はこれらの実施例および各変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10…地図表示システム
100…情報提供サーバ
102…通信部
104…制御部
105…記憶部
106…経路データベース
107…施設データベース
108…領域データベース
150…地図サーバ
152…通信部
154…制御部
155…記憶部
156…地図データベース
200…携帯端末
201…GPS受信機
202…表示パネル
204…音声出力部
205…キー入力部
205a…方向入力キー
205b…操作キー
206…無線通信回路
207…通話制御部
208…外部記憶装置
210…主制御部
1000…サーバシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を表示する経路案内システムにおいて、
地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも記憶する施設情報記憶部と、
移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、
前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定する注目領域設定部と、
前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定する寄り道経路決定部と、
前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路を、前記地図画像に重畳させて表示する寄り道経路表示部と
を備える経路案内システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路案内システムであって、
前記施設情報記憶部は、
前記各施設についての属性を示す施設属性情報を記憶する構成を備え、
前記寄り道経路表示部は、
前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路に対応する前記施設についての前記施設属性情報を、前記各寄り道経路とともに表示する構成である、経路案内システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の経路案内システムであって、
地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報と、前記所定領域毎の特徴を表す複数の領域特徴情報とを記憶する領域情報記憶部を備え、
前記注目領域設定部は、
前記複数の所定領域の中から、前記現在位置を含む所定の範囲に少なくとも1部が含まれる所定領域を選択し、該選択された所定領域を前記注目領域とする構成であり、
前記寄り道表示部は、
前記注目領域に対応した前記領域特徴情報を、前記地図画像に重畳させて表示する領域特徴表示部を備える、経路案内システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の経路案内システムであって、
前記現在位置情報取得部により取得された現在位置情報により示される現在位置が、前記寄り道経路決定部により決定された前記寄り道経路のいずれかに存在するときに、前記現在位置が存在する前記寄り道経路に対応する前記施設から前記推奨経路に復帰する復帰経路を決定する復帰経路決定部と、
前記復帰経路決定部により決定された前記復帰経路を、前記地図画像に重畳させて表示する復帰経路表示部と
を備える経路案内システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の経路案内システムであって、
前記寄り道経路決定部は、
前記注目領域に位置する前記各施設に対して所定の規則に基づいて優先度を定め、前記優先度に基づいて前記寄り道経路を所定数以下に制限する寄り道経路数制限部を備える、経路案内システム。
【請求項6】
請求項5に記載の経路案内システムであって、
前記所定の規則は、前記現在位置情報取得部により取得された現在位置情報により示される現在位置と前記施設との間で探索される経路の距離が短いほど、前記優先度が高いという規則であり、
前記寄り道経路決定部は、
前記現在位置情報取得部により取得された現在位置情報により示される現在位置の移動に伴って再実行されることにより、前記寄り道経路を更新する寄り道経路更新部を備える、経路案内システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の経路案内システムであって、
利用者からの指令を受けて、前記利用者が好む施設の種類を指定する施設種類指定部を備え、
前記寄り道経路決定部は、
前記注目領域に位置する複数の前記施設の中から、前記施設種類指定部により指定された施設の種類に属する施設を選択し、該選択された施設に前記寄り道経路の決定対象の施設を制限する施設制限部を備える、経路案内システム。
【請求項8】
出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を、情報表示端末に提供する経路案内装置において、
地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも記憶する施設情報記憶部と、
移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、
前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定する注目領域設定部と、
前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定する寄り道経路決定部と、
前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路を表す寄り道経路情報を、情報表示端末に送信する寄り道経路送信部と
を備える経路案内装置。
【請求項9】
出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を提供する経路案内方法において、
地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも用意し、
移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得し、
前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定し、
前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定し、
前記寄り道経路決定部により決定された前記各寄り道経路を表す寄り道経路情報を、前記地図画像に重畳し得る形態で提供する経路案内方法。
【請求項10】
出発地から目的地に至る推奨経路を表す地図画像を提供するためのコンピュータプログラムであって、
地表上の各施設についての施設位置情報を少なくとも記憶する施設情報記憶機能と、
移動する移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得機能と、
前記現在位置情報により示される現在位置に基づいて定まる所定の範囲を注目領域として設定する注目領域設定機能と、
前記施設位置情報に基づいて、前記推奨経路の途中から、前記注目領域に位置する1または複数の前記施設のそれぞれに至る1または複数の寄り道経路を決定する寄り道経路決定機能と、
前記寄り道経路決定機能により決定された前記各寄り道経路を表す寄り道経路情報を、前記地図画像に重畳し得る形態で提供する寄り道経路提供機能と
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−2271(P2011−2271A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143897(P2009−143897)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】