説明

経路案内システム及びプログラム

【課題】元の探索経路及び迂(う)回経路が表示される場合に、運転者の意図に従って経路案内を行うことができるようにする。
【解決手段】現在地検出部と、経路を探索する経路探索処理手段と、探索経路上に迂回要因があるかどうかを判断する迂回要因判定処理手段と、迂回要因がある場合に、迂回経路を探索する迂回経路探索処理手段と、表示部35に元の探索経路及び迂回経路を表示する候補経路表示処理手段と、操作者が元の探索経路を選択したことを学習する学習処理手段と、学習結果に基づいて経路を設定する経路設定処理手段と、設定された経路を案内する設定経路案内処理手段とを有する。学習結果に基づいて経路を設定するようになっているので、運転者の意図に従って経路案内を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、GPS(グローバルポジショニングシステム)によって自車である車両の現在の位置、すなわち、現在地が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部に地図画面が形成され、該地図画面に、現在地を表す自車位置、該自車位置の周辺の地図等が表示されるようになっている。したがって、運転者は、前記地図画面に表示された自車位置等に従って車両を走行させることができる。
【0003】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて経路探索処理が行われ、前記地図データに従って現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示され、探索経路の案内、すなわち、経路案内が行われる。したがって、運転者は、表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【0004】
さらに、前記経路を探索するに当たり、交通情報、例えば、渋滞情報を考慮するようにしたナビゲーション装置が提供されている。この種のナビゲーション装置においては、あらかじめ探索された探索経路に沿って車両を走行させているときに、探索経路の所定の箇所に迂(う)回要因、例えば、渋滞が発生したことが分かると、渋滞が発生した箇所、すなわち、渋滞箇所を迂回するための経路、すなわち、迂回経路が新たに探索され、地図画面に元の探索経路と、新たに探索された迂回経路とが併せて表示されるようになっている。この場合、次回以降、同じ探索経路に沿って車両を走行させると、経路案内において、前記地図画面に元の探索経路及び迂回経路が表示される。
【0005】
ところで、次回以降の経路案内において、前記地図画面に元の探索経路及び迂回経路が表示された場合、運転者が、あえて、元の探索経路に沿って車両を走行させることがある。そこで、迂回経路が表示されたにもかかわらず、運転者が元の探索経路に沿って車両を走行させた場合に、渋滞箇所の渋滞が解消しているときには、それ以降の探索処理において、通過地点からの元の探索経路上の渋滞箇所の渋滞が解消していることを前提に経路が新たに探索されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−37168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置において、次回以降の経路案内において、前記地図画面に元の探索経路及び迂回経路が表示され、元の探索経路において渋滞箇所の渋滞が解消していない場合は、迂回経路が継続して表示されてしまい、経路案内が煩雑になってしまう。すなわち、運転者の意図に反して経路案内が行われてしまう。
【0007】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、元の探索経路及び迂回経路が表示される場合に、運転者の意図に従って経路案内を行うことができる経路案内システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の経路案内システムにおいては、自車位置を検出する現在地検出部と、前記自車位置に従って目的地までの経路を探索指標に基づいて探索経路として探索する経路探索処理手段と、前記探索経路上に迂回要因があるかどうかを判断する迂回要因判定処理手段と、前記探索経路上に迂回要因がある場合に、新たな探索指標に基づいて迂回経路を探索する迂回経路探索処理手段と、表示部に元の探索経路及び迂回経路を表示する候補経路表示処理手段と、操作者が元の探索経路を選択して走行した場合に、操作者が元の探索経路を選択したことを学習する学習処理手段と、学習結果に基づいて経路を設定する経路設定処理手段と、設定された経路を案内する設定経路案内処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者が元の探索経路を選択して走行した場合に、操作者が元の探索経路を選択したことを学習し、学習結果に基づいて経路を設定するようになっているので、運転者の意図に従って経路案内を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、経路案内システムとしてのナビゲーションシステムについて説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【0012】
図において、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0013】
前記ナビゲーション装置14は、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、運転者が音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声出力を行い、運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。また、前記ナビゲーション処理部17には車速を検出する車速検出部としての車速センサ44等が接続される。なお、前記GPSセンサ15は、自車位置及び自車方位のほかに時刻を検出する。また、車両の所定の箇所、本実施の形態においては、車両の後端に撮像装置としての図示されないカメラが配設される。
【0014】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ、道路上の地物に関する地物データ等の各データが含まれるほか、所定の情報を音声出力部37によって出力するためのデータも含まれる。
【0015】
前記地物は、運転者に各種の走行上の情報を提供したり、各種の走行上の案内を行ったりするために道路上に設置、又は形成された表示物であり、表示線、路上標識(ペイント)、横断歩道、マンホール等から成る。
【0016】
さらに、前記データ記録部16は、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等を備え、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0017】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって外部記憶装置が構成される。
【0018】
本実施の形態において、前記データ記録部16は、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を備えるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を備えることもできる。
【0019】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、内部記憶装置が構成される。
【0020】
前記操作部34として、表示部35とは独立に配設されたキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0021】
前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、自車位置、自車方位等を表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができる。
【0022】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、前記探索経路の経路案内の音声出力を行う。
【0023】
前記通信部38は、情報提供者としてのVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の図示されない道路交通情報センタから送信された交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するためのビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するためのFM受信機等を備える。
【0024】
前記交通情報は、情報の種別を表す情報種別、メッシュを特定するためのメッシュ番号、二つの地点(例えば、交差点)間を連結する道路リンクを特定し、かつ、上り/下りの別を表すリンク番号、該リンク番号に対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、例えば、交通情報が渋滞情報である場合、前記リンク情報は、前記道路リンクの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞度、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの距離によって表す渋滞長、道路リンクを走行するのに必要な時間を表すリンク所要時間等から成る。なお、この場合、渋滞情報によって迂回要因情報が構成される。
【0025】
そして、通信部38は、前記情報センタ51から、交通情報、一般情報等の情報のほかに、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータをネットワーク63を介して受信することができる。
【0026】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57及び情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータが記録される。
【0027】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、前記データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0028】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0029】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されない現在地読込処理手段は、現在地読込処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車位置及び自車方位を読み込む。次に、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた自車位置の軌跡、及び自車位置の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、自車位置がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、自車位置を特定する。
【0030】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ51等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。
【0031】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の地図表示処理手段は、地図表示処理を行い、表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に自車位置及び自車方位を表示するとともに、自車位置の周囲の地図を表示する。
【0032】
したがって、運転者は、前記自車位置、自車方位及び周辺の地図に従って車両を走行させることができる。
【0033】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、所定の地点をあらかじめ登録しておき、登録された地点を目的地として設定することもできる。
【0034】
続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【0035】
このようにして目的地及び探索条件が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記自車位置、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、自車位置、目的地及び探索データに基づいて、自車位置で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。このとき、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。なお、前記リンクコストによって経路を探索する際の指標となる探索指標が構成される。
【0036】
この場合、運転者が探索条件として、渋滞情報に基づく探索を設定すると、渋滞箇所をを含む道路リンクに付与されるリンクコストが渋滞度に応じて設定され、その結果、渋滞箇所を渋滞度に応じて回避する経路が探索される。
【0037】
また、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は、自車位置、目的地、探索条件等をネットワーク63を介して情報センタ51に送信する。そして、該情報センタ51が、自車位置、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、自車位置、目的地及び探索データに基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。次に、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをネットワーク63を介してナビゲーション装置14に送信する。
【0038】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。
【0039】
ところで、前記経路案内において、例えば、探索経路上の所定の交差点で車両を右左折させる必要がある場合、前記交差点が案内交差点として設定され、該案内交差点において車両を右左折させるための経路案内が行われる。また、高速道路、都市高速道路、有料道路等の自動車専用の有料道において、ジャンクション等と合流したり分岐したりする交差点も案内交差点として設定される。さらに、車両が探索経路上の所定の施設、例えば、踏切を通過する場合、該踏切が案内施設として設定され、該案内施設において一時停止させるための経路案内が行われる。
【0040】
そのために、前記案内処理手段の案内点設定処理手段は、案内点設定処理を行い、経路データに従って、案内交差点、案内施設等を設定する。なお、案内交差点、案内施設等によって案内点が構成される。
【0041】
そして、前記案内処理手段の経路案内地点設定処理手段は、経路案内地点設定処理を行い、探索経路上の前記案内交差点、案内施設等より手前の、各設定された距離だけ離れた箇所に、一つ以上、本実施の形態においては、複数の経路案内地点を設定し、各経路案内地点に車両が到達すると、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、案内交差点、案内施設等について、経路案内地点ごとにあらかじめ設定された内容の案内フレーズで音声出力を行う。
【0042】
そのために、案内フレーズが、経路案内地点から案内交差点、案内施設等までの距離ごとにあらかじめ設定され、案内フレーズマップとして前記データ記録部16に記録される。そして、前記案内処理手段の地点到達判定処理手段は、地点到達判定処理を行い、案内交差点、案内施設等の位置及び自車位置を読み込み、自車位置から案内交差点、案内施設等までの距離を算出し、車両が案内交差点、案内施設等に接近し、所定の経路案内地点に到達したかどうかを判断する。車両が所定の経路案内地点に到達すると、前記音声出力処理手段は、前記案内フレーズマップを参照し、各距離に対応する案内フレーズを読み出し、音声出力を行う。
【0043】
また、前記案内処理手段の案内交差点拡大図形成処理手段は、案内交差点拡大図形成処理を行い、車両が案内交差点に到達する前に、地図画面の所定の領域に案内交差点の拡大図、すなわち、案内点拡大図としての交差点拡大図を形成し、交差点拡大図による経路案内を行う。そのために、探索経路上の前記案内交差点より手前(自車位置側)の、設定された距離だけ離れた箇所に車両が到達すると、前記交差点拡大図が表示される。この場合、該交差点拡大図に、案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標が表示される。
【0044】
また、前記案内処理手段は、前記地図画面に交通情報のうちの渋滞情報等の付加情報を表示することができる。そのために、例えば、前記案内処理手段の渋滞指標表示処理手段は、渋滞指標表示処理を行い、前記渋滞情報を、例えば、渋滞が発生している道路の上り/下りの別、渋滞の発生箇所、渋滞長等を表す渋滞指標としての渋滞帯に変換し、該渋滞帯を前記地図画面上の道路に沿って表示する。この場合、渋滞度に応じて前記渋滞帯の色が、赤、橙(だいだい)等に変更される。なお、前記渋滞指標として、渋滞帯に代えて渋滞矢印を表示することができる。
【0045】
ところで、運転者があらかじめ探索された探索経路に沿って車両を走行させているときに、探索経路の所定の箇所に迂回要因、例えば、工事、各種のイベント等によって渋滞が発生することがある。その場合、渋滞が発生している箇所、すなわち、渋滞箇所を迂回する経路が新たに探索され、迂回経路とされるが、該迂回経路が必ずしも運転者が意図する経路ではないことがある。
【0046】
そこで、本実施の形態において、CPU31の図示されない経路調整処理手段は、経路調整処理を行い、迂回経路が探索された後に、運転者の意図に応じた経路を探索し、経路を調整するようにしている。
【0047】
図2は本発明の実施の形態における経路調整処理手段の動作を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態における経路調整処理手段の動作を説明する図である。
【0048】
図3において、ri(i=1〜4)は道路、Crj(j=1〜4)は交差点、AR1は工事が行われている区間である工事区間、m1、m2は前記工事に伴って道路r1に発生した渋滞箇所、Prは自車位置である。
【0049】
まず、運転者があらかじめ探索された探索経路Rt1に沿って車両を走行させているときに、探索経路Rt1の所定の箇所、本実施の形態においては、道路r1において工事が行われ、それに伴って渋滞が発生すると、例えば、道路交通情報センタから送られてくる交通情報に渋滞箇所m1、m2における渋滞情報が含まれる。
【0050】
そこで、前記経路調整処理手段の迂回要因判定処理手段としての渋滞判定処理手段は、迂回要因判定処理としての渋滞判定処理を行い、探索経路Rt1上に渋滞情報があるかどうかを判断し、渋滞情報がある場合は、渋滞箇所m1、m2が自車位置Prより前方にあるかどうかを判断する。この場合、前記探索経路Rt1において、渋滞箇所m1は自車位置Prより前方にあるので、前記経路調整処理手段の設定経路判定処理手段は、設定経路判定処理を行い、経路調整処理において既に設定された経路、すなわち、設定経路があるかどうかを判断する。
【0051】
そして、前記経路調整処理において設定経路がない場合、前記経路調整処理手段の迂回経路探索処理手段は、迂回経路探索処理を行い、道路r1の交差点Cr1から交差点Cr2までの道路リンクのリンクコストを高くする。次に、前記迂回経路探索処理手段は、新たなリンクコストに基づいて、自車位置Prから目的地までの経路を迂回経路Rt2として探索する。
【0052】
続いて、前記経路調整処理手段の候補経路案内処理手段としての候補経路表示処理手段は、候補経路案内処理としての候補経路表示処理を行い、地図画面に元の探索経路Rt1及び迂回経路Rt2を候補経路として併せて表示することによって経路案内を行う。
【0053】
この場合、元の探索経路Rt1と迂回経路Rt2とは、例えば、互いに色を異ならせて表示されたり、元の探索経路Rt1及び迂回経路Rt2のうちの一方の経路が強調表示されて点滅させられたり、表示箇所が経路に沿って連続して移動させられたりする。なお、候補経路案内処理手段としての候補経路音声出力処理手段は、候補経路案内処理としての候補経路音声出力処理を行い、元の探索経路Rt1及び迂回経路Rt2についての案内の音声出力を行う。
【0054】
次に、前記経路調整処理手段の選択経路判定処理手段は、選択経路判定処理を行い、運転者が元の探索経路Rt1及び迂回経路Rt2のうちの一方を選択して走行したかどうか、本実施の形態においては、迂回経路Rt2を選択して走行したかどうかを判断する。
【0055】
そして、運転者が迂回経路Rt2を選択して走行すると、前記経路調整処理手段の経路設定処理手段は、経路設定処理を行い、迂回経路Rt2を設定経路として設定する。
【0056】
この場合、次回以降、同じ道路r1を走行する場合、設定経路判定処理手段は、設定経路があると判断し、前記経路調整処理手段の設定経路案内処理手段としての設定経路表示処理手段は、設定経路案内処理としての設定経路表示処理を行い、地図画面に迂回経路Rt2だけを表示する。なお、設定経路案内処理手段としての設定経路音声出力処理手段は、設定経路案内処理としての設定経路音声出力処理を行い、迂回経路Rt2についての案内の音声出力を行う。
【0057】
一方、運転者が迂回経路Rt2を選択せず、元の探索経路Rt1を選択して走行した場合、前記経路調整処理手段の学習処理手段は、学習処理を行い、運転者の意図する経路を学習する。
【0058】
そのために、運転者は、前記操作部34(図1)に形成された学習レベル選択要素としての図示されないレベルボタンを押下して、複数の学習のレベル1又は2のうちの一つを選択することができるようになっている。そして、運転者が所定のレベルボタンを押下して、学習レベル1を選択すると、学習処理手段の学習レベル取得処理手段は、学習レベル取得処理を行い、学習レベル1が選択されたことを認識し、運転者が元の探索経路Rt1を選択したことを学習し、元の探索経路Rt1を学習データとする。
【0059】
続いて、前記経路設定処理手段は、学習結果に基づいて、元の探索経路Rt1を設定経路として設定する。
【0060】
この場合、次回以降、同じ道路r1を走行する場合、設定経路判定処理手段は、設定経路があると判断し、前記設定経路表示処理手段は、地図画面に元の探索経路Rt1だけを表示し、案内する。なお、設定経路があると判断されるので、迂回経路探索処理手段は、道路交通情報センタから学習結果に基づいて設定された設定経路について、同じ渋滞情報が送られてきた場合、迂回経路Rt2を探索しない。したがって、迂回経路Rt2は表示されない。また、設定経路音声出力処理手段は、元の探索経路Rt1についての案内の音声出力を行う。
【0061】
また、運転者が学習レベル2を選択すると、前記学習処理手段は、学習レベル2が選択されたことを認識し、道路r1の交差点Cr1から交差点Cr2までの道路リンクのリンクコストを変更して低くする。そのために、本実施の形態において、前記学習処理手段は、運転者が元の探索経路Rt1を選択したこと(走行しようと意図していること)を学習し、同じ道路r1を走行し、学習レベル2が選択されるたびに所定の値だけリンクコストを低くする。なお、同じ道路r1を走行し、そのたびに学習レベル2が選択されることが複数回繰り返されたときに、リンクコストを低くすることもできる。
【0062】
そして、リンクコストが低くされるたびに、前記学習処理手段は、新しいリンクコストに基づいて経路を探索し、探索された経路が元の探索経路Rt1であるかどうかを判断する。続いて、検索された経路が元の探索経路Rt1である場合、前記学習処理手段は、元の探索経路Rt1を学習データとする。
【0063】
続いて、前記経路設定処理手段は、学習結果に基づいて、元の探索経路Rt1を設定経路として設定する。
【0064】
この場合も同様に、次回以降、同じ道路r1を走行する場合、設定経路判定処理手段は、設定経路があると判断し、前記設定経路表示処理手段は、地図画面に元の探索経路Rt1だけを表示する。なお、設定経路があると判断されるので、道路交通情報センタから渋滞情報が送られてきた場合においても迂回経路Rt2が探索されることがなく、表示されることもない。また、設定経路音声出力処理手段は、元の探索経路Rt1についての案内の音声出力を行う。
【0065】
このように、本実施の形態においては、元の探索経路Rt1に渋滞が発生して、地図画面に元の探索経路Rt1及び迂回経路Rt2が表示されたときに、運転者が、あえて、元の探索経路Rt1に沿って車両を走行させると、学習処理が行われ、その結果、地図画面に元の探索経路Rt1だけが表示されることになる。したがって、運転者の意図に従って経路案内を行うことができる。
【0066】
なお、例えば、元の探索経路Rt1における渋滞箇所m1と異なる箇所に渋滞が発生した場合には、道路交通情報センタから渋滞情報が送られてきた後、前記経路調整処理手段は処理を終了する。
【0067】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 渋滞情報があるかどうかを判断する。渋滞情報がある場合はステップS2に進み、ない場合は処理を終了する。
ステップS2 渋滞箇所m1が前方にあるかどうかを判断する。渋滞箇所m1が前方にある場合はステップS3に進み、ない場合は処理を終了する。
ステップS3 設定経路があるかどうかを判断する。設定経路がある場合はステップS4に、ない場合はステップS5に進む。
ステップS4 設定経路表示処理を行い、ステップS8に進む。
ステップS5 迂回経路Rt2を探索する。
ステップS6 探索経路Rt1及び迂回経路Rt2を表示する。
ステップS7 迂回経路Rt2が選択されたかどうかを判断する。迂回経路Rt2が選択された場合はステップS8に、選択されなかった場合はステップS9に進む。
ステップS8 経路設定処理を行い、処理を終了する。
ステップS9 学習処理を行い、ステップS8に進む。
【0068】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における経路調整処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における経路調整処理手段の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
14 ナビゲーション装置
15 GPSセンサ
31、54 CPU
34 操作部
35 表示部
51 情報センタ
63 ネットワーク
m1、m2 渋滞箇所
Pr 自車位置
Rt1 探索経路
Rt2 迂回経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する現在地検出部と、前記自車位置に基づいて目的地までの経路を探索指標に従って探索経路として探索する経路探索処理手段と、前記探索経路上に迂回要因があるかどうかを判断する迂回要因判定処理手段と、前記探索経路上に迂回要因がある場合に、新たな探索指標に基づいて迂回経路を探索する迂回経路探索処理手段と、表示部に元の探索経路及び迂回経路を表示する候補経路表示処理手段と、操作者が元の探索経路を選択して走行した場合に、操作者が元の探索経路を選択したことを学習する学習処理手段と、学習結果に基づいて経路を設定する経路設定処理手段と、設定された経路を案内する設定経路案内処理手段とを有することを特徴とする経路案内システム。
【請求項2】
前記学習処理手段は、操作者が、操作部を操作して元の探索経路を選択したことを学習する請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項3】
前記学習処理手段は、操作者が、繰り返し元の探索経路を走行したことを学習する請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項4】
前記迂回経路探索処理手段は、前記学習結果に基づいて設定された経路がある場合、次回以降、同じ道路にある同じ迂回要因について迂回経路を探索しない請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項5】
コンピュータを、現在地検出部によって検出された自車位置に基づいて目的地までの経路を探索指標に従って探索経路として探索する経路探索処理手段、前記探索経路上に迂回要因があるかどうかを判断する迂回要因判定処理手段、前記探索経路上に迂回要因がある場合に、新たな探索指標に基づいて迂回経路を探索する迂回経路探索処理手段、表示部に元の探索経路及び迂回経路を表示する候補経路表示処理手段、操作者が元の探索経路を選択して走行した場合に、操作者が元の探索経路を選択したことを学習する学習処理手段、学習結果に基づいて経路を設定する経路設定処理手段、並びに設定された経路を案内する設定経路案内処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−36611(P2009−36611A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200571(P2007−200571)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】