説明

経路案内システム及び経路案内方法

【課題】走行レーンを特定することができない場合でも、適切なレーン案内を行うことができるようにする。
【解決手段】自車の現在地を自車位置として検出する現在地検出部と、自車位置に基づいて目的地までの探索経路を探索する経路探索処理手段と、探索経路に基づいて、推奨レーンを設定する推奨レーン設定処理手段と、車両通行帯境界線の画像データに基づいて自車が推奨レーンにいるかどうかを推定する自車位置推定処理手段と、自車が推奨レーンにいるかどうかの推定結果に基づいて、自車が走行しているレーンを走行レーンとして想定する走行レーン想定処理手段と、想定された走行レーンに基づいてレーン案内を行うレーン案内処理手段とを有する。自車が推奨レーンにいるかどうかの推定結果に基づいて走行レーンが想定されるので、適切なレーン案内を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内システム及び経路案内方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、GPS(グローバルポジショニングシステム)によって自車である車両の現在の位置、すなわち、現在地が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部に地図画面が形成され、該地図画面に、現在地を表す自車位置、該自車位置の周辺の地図等が表示されるようになっている。したがって、運転者は、前記地図画面に表示された自車位置等に従って車両を走行させることができる。
【0003】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、経路探索処理が行われ、前記地図データに従って現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示され、探索経路の案内、すなわち、経路案内が行われる。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【0004】
前記構成のナビゲーション装置において、道路に複数のレーンが形成されている場合、レーンについての走行履歴、道路上の地物等に基づいて、車両が走行しているレーン、すなわち、走行レーンを特定することができるようになっている。
【0005】
そして、走行レーンが特定されると、レーン単位の探索経路が探索され、レーン単位の経路案内、すなわち、レーン案内が行われ、例えば、走行するのが推奨されるレーンが推奨レーンとして設定され、車両が推奨レーンに誘導される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、前記走行履歴、道路上の地物等に基づいて走行レーンを特定することができないことがあり、その場合、適切なレーン案内を行うことができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、走行レーンを特定することができない場合でも、適切なレーン案内を行うことができる経路案内システム及び経路案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の経路案内システムにおいては、自車の現在地を自車位置として検出する現在地検出部と、前記自車位置に基づいて目的地までの探索経路を探索する経路探索処理手段と、前記探索経路に基づいて、走行するのが推奨される推奨レーンを設定する推奨レーン設定処理手段と、撮像装置によって撮影された車両通行帯境界線の画像データに基づいて自車が推奨レーンにいるかどうかを推定する自車位置推定処理手段と、前記自車が推奨レーンにいるかどうかの推定結果に基づいて、自車が走行しているレーンを走行レーンとして想定する走行レーン想定処理手段と、想定された走行レーンに基づいてレーン案内を行うレーン案内処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両通行帯境界線の画像データに基づいて自車が推奨レーンにいるかどうかを推定し、推定結果に基づいて自車が走行しているレーンを走行レーンとして想定し、想定された走行レーンに基づいてレーン案内を行うので、走行レーンを特定することができない場合でも、適切なレーン案内を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、経路案内システムとしてのナビゲーションシステムについて説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【0012】
図において、10はパワートレイン制御部としての自動変速機制御部であり、該自動変速機制御部10は、所定の変速比で変速を行うパワートレイン、例えば、自動変速機としての無段変速機(CVT)、有段変速機(オートマチックトランスミッション)、電動駆動装置等の制御を行う。
【0013】
そして、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、前記自動変速機制御部10、ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0014】
前記ナビゲーション装置14は、自車の現在地を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、自車方位を検出する方位検出部としての方位センサ18、操作者である運転者が所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、方位センサ18、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。
【0015】
また、前記ナビゲーション処理部17には、前記自動変速機制御部10、車両の前端の所定の箇所に取り付けられ、車両の前方を監視する前方監視装置48、車両の後端の所定の箇所に取り付けられ、車両の後方を撮影する撮像装置としての、かつ、後方監視部としてのバックカメラ(後方監視カメラ)49、車両の前端の所定の箇所に取り付けられ、車両の前方を撮影する撮像装置としての、かつ、前方監視部としてのフロントカメラ(前方監視カメラ)50、運転者による図示されないアクセルペダルの操作をアクセル開度で検出するエンジン負荷検出部としてのアクセルセンサ42、運転者による図示されないブレーキペダルの操作をブレーキ踏込量で検出する制動検出部としてのブレーキセンサ43、車速を検出する車速検出部としての車速センサ44等が接続される。なお、アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43等は運転者による車両の操作情報を検出するための操作情報検出部を構成する。また、撮像装置として、車両の側方を監視するためのサイドカメラ等の各種のカメラを使用することができる。
【0016】
前記GPSセンサ15は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在地を検出し、併せて時刻を検出する。本実施の形態においては、現在地検出部としてGPSセンサ15を使用するようになっているが、該GPSセンサ15に代えて、図示されない距離センサ、ステアリングセンサ、高度計等を単独で、又は組み合わせて使用することもできる。また、前記方位センサ18としてジャイロセンサ、地磁気センサ等を使用することができる。なお、本実施の形態においては、方位センサ18、車速センサ44等が配設されるようになっているが、自車方位、車速等を検出する機能を有するGPSセンサを使用する場合、方位センサ18、車速センサ44等は不要である。
【0017】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、道路上の地物に関する地物データが含まれる。
【0018】
前記地物は、運転者に各種の走行上の情報を提供したり、各種の走行上の案内を行ったりするために道路上に設置、又は形成された表示物であり、表示線、路上標識、横断歩道、マンホールの蓋(ふた)、信号機等から成る。前記表示線には、道路の車両を停止させるための停止線、道路上に各レーンを区分するために形成された車両通行帯境界線、駐車スペースを表す区画線等が含まれ、前記路上標識には、各レーン上に形成され、レーンにおける進行方向を矢印によって表す通行区分標識、「止まれ」等のように一時停止箇所(非優先道路から優先道路への進入箇所、踏切、赤信号が点滅する交差点等が含まれる。)を予告したり、各レーン上に形成され、レーンにおいて「○○方面」等のように方面案内をしたりする案内標識等が含まれる。前記車両通行帯境界線には、道路の路肩側及び反対車線側において実線で形成された道路境界線、及び各道路境界線によって挟まれた領域で、各レーン間において破線で形成されたレーン境界線が含まれる。
【0019】
そして、前記地物データには、各地物の位置を座標等で表す位置情報、各地物をイメージで表す画像情報等が含まれる。なお、後述される電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を地物としてとらえた場合、現況の交通情報は各レーンごとに異なる信号で車両に送られる。したがって、電波ビーコン装置、光ビーコン装置等から送られる信号も地物データに含まれる。
【0020】
また、前記レーンに関する道路データには、道路の車線数を表すレーン数、道路上の各レーンごとに付与されたレーン番号、レーンの位置情報等から成るレーンデータ(レーン情報)が含まれる。なお、該レーンデータには、バスレーンに関する情報、すなわち、バスレーン情報、リバーシブルレーンに関する情報、すなわち、リバーシブルレーン情報も含まれる。
【0021】
なお、前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するためのデータも記録される。
【0022】
さらに、前記データ記録部16には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0023】
前記統計データは、過去に提供された交通情報の実績、すなわち、履歴を表す履歴情報であり、情報提供者としてのVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の図示されない道路交通情報センタ等によって過去に提供された交通情報、及び国土交通省によって提供された道路交通センサスによる交通量を表すデータである道路交通センサス情報、国土交通省によって提供された道路時刻表情報等を単独で、又は組み合わせて使用し、必要に応じて、加工し、統計処理を施すことによって作成される。なお、前記統計データに、渋滞状況を予測する渋滞予測情報等を加えることもできる。その場合、前記統計データを作成するに当たり、履歴情報に、日時、曜日、天候、各種イベント、季節、施設の情報(デパート、スーパーマーケット等の大型の施設の有無)等の詳細な条件が加えられる。
【0024】
そして、前記統計データのデータ項目は、各道路リンクについてのリンク番号、走行方向を表す方向フラグ、情報の種類を表す情報種別、所定のタイミングごとの渋滞度、前記各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの所要時間を表すリンク所要時間、該リンク所要時間の各曜日ごとの平均的なデータ、例えば、曜日平均データ等から成る。
【0025】
また、前記走行履歴データは、情報センタ51によって複数の車両、すなわち、自車又は他車から収集され、各車両が走行した道路における車両の走行の実績、すなわち、走行実績を表す実績情報であり、走行データに基づいてプローブデータとして算出され、蓄積される。
【0026】
前記走行履歴データのデータ項目は、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとのリンク所要時間、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの渋滞度等から成る。なお、前記統計データに、走行履歴データを加えることができる。また、本実施の形態において、渋滞度は、渋滞の度合いを表す渋滞指標として使用され、渋滞、混雑及び非渋滞の別で表される。
【0027】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって外部記憶装置が構成される。
【0028】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が形成されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を形成することもできる。
【0029】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリを備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、内部記憶装置が構成される。
【0030】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムを記録し、前記データ記録部16に各種のデータを記録することができるが、プログラム、データ等をディスク等に記録することもできる。この場合、ディスク等から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むことができる。したがって、ディスク等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、前記自動変速機制御部10の制御用のプログラム、データ等も前記ディスク等に記録することができる。さらに、通信部38を介して前記プログラム、データ等を受信し、ナビゲーション処理部17のフラッシュメモリに書き込むこともできる。
【0031】
前記操作部34は、運転者が操作することによって、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通過点を入力したり、通信部38を作動させたりするためのものであり、前記操作部34として、表示部35とは独立に配設されたキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0032】
前記表示部35としてディスプレイが使用される。そして、表示部35に形成された各種の画面に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができるだけでなく、前記画像操作部、操作部34、音声入力部36等の操作案内、操作メニュー、キーの案内を表示したり、FM多重放送の番組等を表示したりすることができる。
【0033】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0034】
前記通信部38は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するためのビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するためのFM受信機等を備える。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、天気予報等が含まれる。また、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0035】
前記交通情報は、情報の種別を表す情報種別、メッシュを特定するためのメッシュ番号、二つの地点、例えば、交差点間を連結する道路リンクを特定し、かつ、上り/下りの別を表すリンク番号、該リンク番号に対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、例えば、交通情報が渋滞情報である場合、前記リンク情報は、前記道路リンクの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞度、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの距離を表す渋滞長、道路リンクを走行するのに必要な時間を表すリンク所要時間等から成る。
【0036】
そして、通信部38は、前記情報センタ51から、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータのほか、交通情報、一般情報等の各種の情報をネットワーク63を介して受信することができる。
【0037】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57及び情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータ、例えば、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等が記録される。さらに、情報センタ51は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報、及び複数の車両(自車又は他車)から収集した走行履歴データをリアルタイムに提供することができる。
【0038】
そして、前記前方監視装置48は、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のレーダ、超音波センサ等、又はそれらの組合せから成り、先行して走行している車両、すなわち、先行車両を監視したり、一時停止箇所、障害物等を監視したりする。また、前方監視装置48は、車両周辺情報として先行車両に対する相対的な車速を表す相対速度、一時停止箇所に対する接近速度、障害物に対する接近速度等を検出したり、車間距離、車間時間等を算出したりする。
【0039】
前記バックカメラ49は、CCD素子から成り、車両の後方を監視するために、光軸を斜め下方に向けて取り付けられ、前記地物のほかに、車両の後方を走行している車両である後方車両、道路脇の建造物、構造物等を被撮影物として撮影し、撮影された被撮影物の画像データを発生させ、CPU31に送る。また、前記フロントカメラ50は、同様に、CCD素子から成り、車両の前方を監視するために、光軸を斜め下方に向けて取り付けられ、前記地物のほかに、車両の前方を走行している車両である前方車両、道路脇の建造物、構造物、道路の上方に配設され、各レーンにおける進行方向を矢印によって表す案内標識等を被撮影物として撮影し、撮影された被撮影物の画像データを発生させ、CPU31に送る。該CPU31は、前記画像データを読み込み、画像データに対して画像処理を行うことによって、画像中の前記各被撮影物を認識対象物として認識する。本実施の形態においては、バックカメラ49及びフロントカメラ50としてCCD素子が使用されるが、C−MOS素子等を使用することができる。
【0040】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0041】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0042】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されないナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された車両の現在地、方位センサ18によって検出された自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。次に、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、現在地を読み込み、読み込まれた現在地の軌跡、及び現在地の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、現在地がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、現在地を特定する。
【0043】
また、本実施の形態において、前記マッチング処理手段は、さらに、バックカメラ49によって撮影された前記被撮影物である各地物の位置に基づいて現在地を特定する。
【0044】
そのために、前記CPU31の図示されない画像認識処理手段は、画像認識処理を行い、バックカメラ49から画像データを読み込み、該画像データから成る画像中の地物を認識する。また、前記CPU31の図示されない距離算出処理手段は、距離算出処理を行い、画像中における地物の位置に基づいて、バックカメラ49から実際の地物までの距離を算出する。そして、前記マッチング処理手段の現在地特定処理手段は、現在地特定処理を行い、前記距離を読み込むとともに、データ記録部16から地物データを読み出して前記地物の座標を取得し、該座標及び前記距離に基づいて現在地を特定する。なお、バックカメラ49に代えて、フロントカメラ50によって撮影された各地物の位置に基づいて現在地を特定することができる。
【0045】
また、前記CPU31の図示されないレーン特定処理手段は、レーン特定処理を行い、レーンについての走行履歴、画像データに基づいて認識された地物等に基づいて、必要に応じて、地物とデータ記録部16から読み出された地物データとを照合したときの照合結果に基づいて、走行レーンを特定する。さらに、高精度のGPSセンサ15を使用し、現在地を精度よく検出し、検出結果に基づいて走行レーンを特定することもできる。
【0046】
なお、地物がマンホールの蓋等のように鋼等の強磁性体から成る場合、前記レーン特定処理手段は、前記地磁気センサのセンサ出力を読み込み、該センサ出力に基づいてマンホールの蓋等があるかどうかを判断し、判断結果に基づいて走行レーンを特定することもできる。また、必要に応じて、表示線の画像データに対して画像処理を行うのと同時に、地磁気センサのセンサ出力、現在地等を組み合わせて、走行レーンを特定することができる。
【0047】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ51等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。
【0048】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の地図表示処理手段は、地図表示処理を行い、表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に周囲の地図を表示するとともに、現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示する。
【0049】
したがって、運転者は、前記地図、自車位置及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0050】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することができる。続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【0051】
このようにして、目的地及び探索条件が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在地、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、現在地で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。このとき、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【0052】
また、道路に複数のレーンが形成されている場合で、かつ、走行レーンが特定されている場合、前記経路探索処理手段は、レーン単位で探索経路を探索する。その場合、前記経路データには走行レーンのレーン番号等も含まれる。
【0053】
なお、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は現在地、目的地、探索条件等を情報センタ51に送信する。該情報センタ51は、現在地、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。次に、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをナビゲーション装置14に送信する。
【0054】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。
【0055】
ところで、前記経路案内においては、所定の交差点で車両を右左折させる必要がある場合、前記交差点が案内点として、かつ、案内交差点として設定される。
【0056】
そのために、前記案内処理手段の案内交差点設定処理手段は、案内交差点設定処理を行い、経路データに従って、すなわち、前記探索経路に基づいて、車両を右左折させる必要がある交差点があるかどうかを判断し、車両を右左折させる必要がある交差点がある場合、該交差点を案内交差点として設定する。
【0057】
また、前記レーン単位で探索経路が探索されている場合、前記案内処理手段の推奨レーン設定処理手段は、推奨レーン設定処理を行い、前述されたように、走行するのが推奨されるレーン、例えば、案内交差点を通過するに当たり、案内交差点に進入するのに適したレーン、案内交差点から退出するのに適したレーン等を推奨レーンとして選択し、設定する。そして、前記経路表示処理手段は、前記地図画面に探索経路を表示するとともに、地図画面の所定の領域に、車両が走行している道路の拡大図、すなわち、道路拡大図を表示し、道路拡大図によるレーン案内を行う。この場合、前記道路拡大図に、各レーン及び該各レーンのうちの推奨レーンが表示される。
【0058】
続いて、案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、経路案内を音声出力部37から音声で出力する。そのために、案内処理手段の経路案内地点設定処理手段は、経路案内地点設定処理を行い、探索経路上の前記案内交差点より手前(自車側)の、あらかじめ各設定された距離だけ離れた箇所に、一つ以上の経路案内地点を設定する。また、案内処理手段の地点案内処理手段は、地点案内処理を行い、各経路案内地点に車両が到達すると、案内交差点について、経路案内地点ごとにあらかじめ設定された内容、例えば、自車位置から案内交差点までの距離、案内交差点における右左折等について経路案内を音声フレーズで行う。また、推奨レーンが設定されている場合、前記案内処理手段のレーン案内処理手段は、レーン案内処理を行い、経路案内地点ごとにあらかじめ設定された内容、例えば、自車位置から案内交差点までの各推奨レーン、案内交差点の先の推奨レーン等について、音声フレーズによるレーン案内を行う。そして、走行レーンと推奨レーンとが異なる場合、前記レーン案内処理手段は、車両を走行レーンから推奨レーンに誘導する。したがって、運転者は車両を推奨レーンに沿って走行させることができる。
【0059】
また、前記案内処理手段の案内点拡大図表示処理手段は、案内点拡大図表示処理を行い、交差点データを読み出し、車両が案内交差点に到達する前に、地図画面の所定の領域に案内交差点の拡大図、すなわち、交差点拡大図を表示し、交差点拡大図による経路案内を行う。この場合、前記交差点拡大図に、案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標が表示される。また、案内交差点に進入する道路(以下「進入道路」という。)、又は案内交差点から退出する道路(以下「退出道路」という。)に複数のレーンが形成されていて、レーン案内が行われている場合には、前記案内点拡大図表示処理手段は、交差点拡大図に推奨レーンを表示する。そのために、前記交差点データには、交差点の名称、進入道路、退出道路、信号機の有無、信号機の種類等のデータが含まれる。
【0060】
ところで、前述されたように、前記レーン特定処理においては、レーンについての走行履歴、画像データに基づいて認識された地物等に基づいて、必要に応じて、地物とデータ記録部16から読み出された地物データとを照合したときの照合結果に基づいて、走行レーンを特定するようになっている。
【0061】
ところが、前記走行履歴、地物等に基づいて走行レーンを特定することができないことがある。
【0062】
例えば、前記走行履歴に基づいて走行レーンを特定する場合、交差点においては、車両通行帯境界線が形成されないので、車両が交差点を通過して、右左折したり、直進したりするのに伴って、走行レーンを特定することができなくなることがある。また、道路上で走行レーンのレーン数が増加した場合も、車両通行帯境界線が変化するので、走行レーンを特定することができなくなることがある。さらに、車両がレーン間を移動することなく走行している場合も、走行レーンを特定することができなくなることがある。
【0063】
また、前記地物等に基づいて走行レーンを特定する場合において、レーン固有の地物がない場合には、画像データを使用することができないので、走行レーンを特定することができなくなることがある。また、電波ビーコン装置、光ビーコン装置等がない場合には、地物データを利用することができないので、走行レーンを特定することができなくなることがある。
【0064】
そこで、車両通行帯境界線における道路境界線とレーン境界線との関係に基づいてレーンを特定することが考えられる。
【0065】
図2は本発明の実施の形態における走行レーンの特定方法を示す第1の図、図3は本発明の実施の形態における走行レーンの特定方法を示す第2の図である。
【0066】
図において、r1、r2は道路、k1〜k4はレーン、maは路肩側において実線で形成された道路境界線、mbは反対車線側において実線で形成された道路境界線、m1〜m3は各レーンk1、k2間、レーンk2、k3間、レーンk3、k4間において破線で形成されたレーン境界線であり、前記道路境界線ma、mb、レーン境界線m1〜m3によって車両通行帯境界線が構成される。
【0067】
例えば、レーン数が3である3車線の道路r1においては、路肩側及び反対車線側に各道路境界線ma、mbが実線で形成され、各道路境界線ma、mb間に、破線で2個のレーン境界線m1、m2が形成される。したがって、各車両通行帯境界線の画像データに基づいて、道路境界線ma及びレーン境界線m1が認識されると、レーンk1を走行レーンとして特定することができ、レーン境界線m1、m2が認識されると、レーンk2を走行レーンとして特定することができ、レーン境界線m2及び道路境界線mbが認識されると、レーンk3を走行レーンとして特定することができる。
【0068】
また、レーン数が4である4車線の道路r2においては、路肩側及び反対車線側に各道路境界線ma、mbが実線で形成され、各道路境界線ma、mb間に、破線で3個のレーン境界線m1〜m3が形成される。したがって、各車両通行帯境界線の画像データに基づいて、道路境界線ma及びレーン境界線m1が認識されると、道路境界線maが実線から成り、レーン境界線m1が破線から成るので、レーンk1を走行レーンとして特定することができ、レーン境界線m3及び道路境界線mbが認識されると、レーン境界線m3が破線から成り、道路境界線mbが実線から成るので、レーンk4を走行レーンとして特定することができる。これに対して、レーン境界線m1、m2が認識されるか、レーン境界線m2、m3が認識されるかすると、レーン境界線m1、m2又はレーン境界線m2、m3がいずれも破線から成るので、レーンk2、k3のいずれを走行しているか不明である。したがって、レーンk2、k3を走行レーンとして特定することができない。
【0069】
このように、前記レーン特定処理手段は、道路境界線ma、mbとレーン境界線m1〜m3との関係に基づいて、3車線の道路r1においては、レーンk1〜k3を走行レーンとして、4車線の道路r2においては、レーンk1、k4を走行レーンとして特定することができる。
【0070】
ところが、3車線の道路r1においては、車両がレーンk1、k2を跨(また)いでいるか、又はレーンk2、k3を跨いでいるかすると、走行レーンを特定することができず、4車線の道路r2においては、車両が走行レーンk1、k4以外のレーンk2、k3にいるか、レーンk1、k2を跨いでいるか、レーンk2、k3を跨いでいるか、レーンk3、k4を跨いでいるかすると、走行レーンを特定することができない。
【0071】
そこで、本実施の形態においては、前記レーン特定処理において、走行レーンを特定することができない場合でも、案内処理において、自車が走行しているレーンを走行レーンとして想定し、想定された走行レーンに基づいてレーン案内を行うようにしている。
【0072】
まず、3車線の道路r1において走行レーンを想定する場合について説明する。
【0073】
図4は本発明の実施の形態における案内処理手段の動作を示すフローチャート、図5は本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第1の図、図6は本発明の実施の形態におけるレーンの跨ぎ状態を表す第1の図、図7は本発明の実施の形態におけるレーンの跨ぎ状態を表す第2の図、図8は本発明の実施の形態におけるレーンの跨ぎ状態を表す第3の図、図9は本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第2の図、図10は本発明の実施の形態における自車位置の表示状態を示す図である。
【0074】
図において、r1は道路、k1〜k3はレーン、pr1、pr2は自車位置、ma、mbは道路境界線、m1、m2はレーン境界線である。なお、図5においてレーンk1を、図9においてレーンk2を推奨レーンとする。
【0075】
この場合、前記案内処理手段の画像認識処理手段は、画像認識処理を行い、バックカメラ49(図1)から画像データを読み込み、該画像データ、本実施の形態においては、画像範囲f1における車両通行帯境界線、図6〜8の例においては、道路境界線ma及びレーン境界線m1、m2を認識する。そのために、前記バックカメラ49の水平方向の画角、すなわち、水平画角は、二つ以上の、本実施の形態においては、二つの車両通行帯境界線を認識することができるだけの値に設定される。
【0076】
続いて、前記案内処理手段の自車位置推定処理手段は、自車位置推定処理を行い、自車が推奨レーンにいるかどうかを推定する。
【0077】
そのために、前記自車位置推定処理手段の跨ぎ判定処理手段は、跨ぎ判定処理を行い、自車が所定の二つのレーンを跨いでいるかどうかを判断する。
【0078】
例えば、図6〜8に示されるように、画像範囲f1にレーン境界線m1が存在している場合、前記跨ぎ判定処理手段は、レーン境界線m1の位置によってレーンk1、k2を跨いでいるかどうかを判断する。すなわち、跨ぎ判定処理手段は、画像範囲f1上において、左縁e1から車両通行帯境界線m1までの画素数NL、及び右縁e2から車両通行帯境界線m1までの画素数NRを算出し、該画素数NL、NRのうちの画素数NLの占める割合を表す百分率を、位置判定指標γ
γ=(NL/(NL+NR))×100〔%〕
として算出する。
【0079】
そして、位置判定指標γが10〔%〕以上で、かつ、90〔%〕以下である場合、前記跨ぎ判定処理手段は、自車がレーンk1、k2を跨いでいると判断し、位置判定指標γが10〔%〕より小さいか、又は90〔%〕より大きい場合、自車がレーンk1、k2を跨いでいないと判断する。
【0080】
そして、自車がレーンk1、k2を跨いでいると判断すると、前記自車位置推定処理手段の条件成立判定処理手段は、条件成立判定処理を行い、CPU31に内蔵されたタイマによる計時を開始し、かつ、現在地を読み込む。そして、条件成立判定処理手段は、レーンk1、k2の跨ぎ状態を判定するための条件、すなわち、判定条件が成立するかどうかを、あらかじめ設定された所定の時間が経過し、かつ、あらかじめ設定された所定の距離を走行する間、自車がレーンk1、k2を跨いで走行したかどうかによって判定する。
【0081】
続いて、前記判定条件が成立し、所定の時間、かつ、所定の距離を自車がレーンk1、k2を跨いで走行した場合、前記自車位置推定処理手段の跨ぎ状態判定処理手段は、跨ぎ状態判定処理を行い、前記判定条件が成立した時点で、自車がレーンk1、k2をどのような状態で跨いでいるかを判定する。
【0082】
すなわち、図6の(a)〜(c)に示されるように、位置判定指標γが40〔%〕以上で、かつ、60〔%〕以下である場合、前記跨ぎ状態判定処理手段は、レーンk1、k2を中央で跨いでいると判断し、図7の(a)〜(c)に示されるように、位置判定指標γが60〔%〕より大きく、かつ、90〔%〕以下である場合、前記跨ぎ状態判定処理手段は、レーンk1、k2を左寄りに跨いでいると判断し、図8の(a)〜(c)に示されるように、位置判定指標γが10〔%〕以上であり、かつ、40〔%〕より小さい場合、前記跨ぎ状態判定処理手段は、レーンk1、k2を右寄りに跨いでいると判断する。
【0083】
なお、図6〜8に示される例においては、レーン境界線m1の位置によってレーンk1、k2を跨いでいるかどうか、また、どのように跨いでいるかを判断するようになっているが、同様に、レーン境界線m2の位置によってレーンk2、k3を跨いでいるかどうか、また、どのように跨いでいるかを判断することができる。
【0084】
次に、自車位置推定処理手段の自車位置判定処理手段は、自車位置判定処理を行い、前記特定処理において特定されなかったレーン、跨ぎ判定処理の判定結果、及び跨ぎ状態判定処理の判定結果に基づいて、自車が推奨レーンにいるかどうかの判定を行う。
【0085】
そして、自車が推奨レーンにいるかどうか不明である(いるかも知れないし、いないかも知れない)場合、又は自車が推奨レーンにいない場合、自車位置推定処理手段の候補レーン算出処理手段は、候補レーン算出処理を行い、自車がいると推定される候補のレーン、すなわち、候補レーンを算出する。この場合、3車線の道路r1においては、車両がレーンk1〜k3にいる場合、走行レーンを特定することができるので、前記候補レーン算出処理手段は、候補レーンを算出しない。これに対して、車両がレーンk1、k2を跨いでいる場合、又はレーンk2、k3を跨いでいる場合、走行レーンを特定することができない。そこで、前記候補レーン算出処理手段は、レーンk1〜k3を候補レーンとして算出する。
【0086】
また、4車線の道路r2においては、車両が走行レーンk1、k4にいる場合、走行レーンを特定することができるので、前記候補レーン算出処理手段は、候補レーンを算出しない。これに対して、車両がレーンk2、k3にいる場合、及びレーンk1、k2を跨いでいるか、レーンk2、k3を跨いでいるか、又はレーンk3、k4を跨いでいる場合、走行レーンを特定することができない。そこで、前記候補レーン算出処理手段は、車両がレーンk2、k3にいる場合、レーンk2、k3を候補レーンとして算出し、車両がレーンk1、k2を跨いでいるか、レーンk2、k3を跨いでいるか、又はレーンk3、k4を跨いでいる場合、レーンk1〜k4を候補レーンとして算出する。
【0087】
続いて、前記案内処理手段の走行レーン想定処理手段は、走行レーン想定処理を行い、前記候補レーンのうちの、推奨レーンから一番遠いレーンを走行レーンとして想定する。
【0088】
例えば、図5の自車位置pr1で示されるように、レーンk1、k2を中央で跨いでいる場合、又は自車位置pr2で示されるように、レーンk2、k3を中央で跨いでいる場合、前記自車位置判定処理手段は、自車が推奨レーンにいないと判断し、前記候補レーン算出処理手段は、レーンk1〜k3を候補レーンとして算出する。そして、前記走行レーン想定処理手段は、推奨レーンであるレーンk1から一番遠いレーンk3を走行レーンとして想定する。
【0089】
続いて、前記レーン案内処理手段は、前記レーンk3から推奨レーンまで移動するのに必要な距離、すなわち、必要移動距離Lxを考慮したタイミングで音声フレーズによるレーン案内を開始する。
【0090】
例えば、自車を推奨レーンに誘導する場合、レーン案内を開始する地点をh1とし、案内交差点より手前、300〔m〕において、中間のレーン案内を行う地点をh2とし、前記地点h1から案内交差点までの距離Lh1は次のようにして算出することができる。
【0091】
すなわち、一つのレーンを移動するのに必要な単位移動距離を250〔m〕としたとき、車速が60〔km/h〕である場合、秒速はほぼ17〔m/s〕で表すことができる。そして、前記必要移動距離Lxは、レーンk3からレーンk1まで二つのレーンを移動させる必要があるので、
Lx=2×250
=500〔m〕
になる。
【0092】
そして、自車を推奨レーンに誘導する音声フレーズを出力するのに必要な時間、すなわち、誘導時間τ1を3〔秒〕とし、自車が推奨レーンに進入したときに、推奨レーンに進入した旨の音声フレーズを出力するのに必要な時間、すなわち、報告時間τ2を2〔秒〕とし、距離Lh1は、
Lh1=3×17+500+2×17+300
=885〔m〕
になる。すなわち、案内交差点より手前、885〔m〕の地点h1でレーン案内を開始する必要がある。
【0093】
この場合、自車が推奨レーンにいないと判断されるので、レーン案内による推奨レーンの誘導は、絶対位置で行う。すなわち、例えば、「900〔m〕先、○○方向です。一番左が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。また、その後、再音声による推奨レーンの誘導において、「一番左が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。さらに、レーンの移動に伴って、走行レーンを特定することができるようになるので、推奨レーンに進入した場合、「推奨レーンに入りました。」等のメッセージが音声で出力される。
【0094】
また、図9の自車位置pr1で示されるように、レーンk1、k2を中央で跨いでいる場合、又は自車位置pr2で示されるように、レーンk2、k3を中央で跨いでいる場合、前記自車位置判定処理手段は、自車が推奨レーンにいないと判断し、前記候補レーン算出処理手段は、レーンk1〜k3を候補レーンとして算出する。そして、前記走行レーン想定処理手段は、推奨レーンであるレーンk2から一番遠いレーンk1、k3を走行レーンとして想定する。
【0095】
したがって、前記必要移動距離Lxは、レーンk1、k3からレーンk2まで一つのレーンを移動させる必要があるので、
Lx=1×250
=250〔m〕
になる。そして、距離Lh1は、
Lh1=3×17+250+2×17+300
=635〔m〕
になる。すなわち、案内交差点より手前、635〔m〕の地点h1でレーン案内を開始する必要がある。
【0096】
なお、このように、走行レーンを特定することができないので、前記地図表示処理手段は、図10に示されるように、自車位置を表示しない。
【0097】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 画像認識処理を行う。
ステップS2 自車位置推定処理を行う。
ステップS3 走行レーン想定処理を行う。
ステップS4 レーン案内処理を行い、リターンする。
【0098】
次に、4車線の道路r2において走行レーンを想定する場合について説明する。
【0099】
図11は本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第3の図、図12は本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第4の図、図13は本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第5の図、図14は本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第6の図である。
【0100】
図において、r2は道路、k1〜k4はレーン、pr1、pr2は自車位置、ma、mbは道路境界線、m1〜m3はレーン境界線である。なお、図11においてレーンk1を、図12においてレーンk4を、図13においてレーンk2を、図14においてレーンk3を推奨レーンとする。
【0101】
この場合、前記自車位置判定処理手段は、自車位置判定処理を行い、前記特定処理において特定されなかったレーン、跨ぎ判定処理の判定結果、及び跨ぎ状態判定処理の判定結果に基づいて、自車が推奨レーンにいるかどうかの判定を行い、前記走行レーン想定処理手段は、自車が推奨レーンにいるかどうかの判定結果に基づいて、走行レーンを想定する。
【0102】
例えば、図11の自車位置pr1で示されるように、自車がレーンk2にいる場合、又は自車がレーンk3にいる場合、前記自車位置判定処理手段は、自車が推奨レーンにいないと判断し、前記候補レーン算出処理手段は、レーンk2、k3を候補レーンとして算出する。そして、前記走行レーン想定処理手段は、レーンk2、k3のうちの推奨レーンであるレーンk1から一番遠いレーンk3を走行レーンとして想定する。
【0103】
続いて、前記レーン案内処理手段は、前記レーンk3から推奨レーンまで移動するのに必要な必要移動距離Lxを考慮したタイミングで音声フレーズによるレーン案内を開始する。
【0104】
例えば、自車を推奨レーンに誘導する場合、前記必要移動距離Lxは、レーンk3からレーンk1まで二つのレーンを移動させる必要があるので、
Lx=2×250
=500〔m〕
になる。
【0105】
そして、距離Lh1は、
Lh1=3×17+500+2×17+300
=885〔m〕
になる。すなわち、案内交差点より手前、900〔m〕の地点h1でレーン案内を開始する必要がある。
【0106】
この場合、自車が推奨レーンにいないことが分かるので、レーン案内による推奨レーンの誘導は、絶対位置で行う。すなわち、例えば、「900〔m〕先、○○方向です。一番左が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。また、その後、再音声による推奨レーンの誘導において、「一番左が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。さらに、レーンの移動に伴って、走行レーンを特定することができるようになるので、推奨レーンに進入した場合、「推奨レーンに入りました。」等のメッセージが音声で出力される。
【0107】
また、図12の自車位置pr1で示されるように、自車がレーンk2にいる場合、又は自車がレーンk3にいる場合、前記自車位置判定処理手段は、自車が推奨レーンにいないと判断し、前記候補レーン算出処理手段は、レーンk2、k3を候補レーンとして算出する。そして、前記走行レーン想定処理手段は、レーンk2、k3のうちの推奨レーンであるレーンk4から一番遠いレーンk2を走行レーンとして想定する。
【0108】
続いて、前記レーン案内処理手段は、前記レーンk2から推奨レーンまで移動するのに必要な必要移動距離Lxを考慮したタイミングで音声フレーズによるレーン案内を開始する。
【0109】
例えば、自車を推奨レーンに誘導する場合、前記必要移動距離Lxは、レーンk2からレーンk4まで二つのレーンを移動させる必要があるので、
Lx=2×250
=500〔m〕
になる。
【0110】
そして、距離Lh1は、
Lh1=3×17+500+2×17+300
=885〔m〕
になる。すなわち、案内交差点より手前、900〔m〕の地点h1でレーン案内を開始する必要がある。
【0111】
この場合、自車が推奨レーンにいないことが分かるので、レーン案内による推奨レーンの誘導は、絶対位置で行う。すなわち、例えば、「900〔m〕先、○○方向です。一番右が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。また、その後、再音声による推奨レーンの誘導において、「一番右が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。さらに、レーンの移動に伴って、走行レーンを特定することができるようになるので、推奨レーンに進入した場合、「推奨レーンに入りました。」等のメッセージが音声で出力される。
【0112】
また、図13の自車位置pr1で示されるように、自車がレーンk2にいる場合、又は自車がレーンk3にいる場合、前記自車位置判定処理手段は、自車が推奨レーンにいるかどうか不明であると判断し、前記候補レーン算出処理手段は、レーンk2、k3を候補レーンとして算出する。そして、前記走行レーン想定処理手段は、レーンk2、k3のうちの推奨レーンであるレーンk2から一番遠いレーンk3を走行レーンとして想定する。
【0113】
続いて、前記レーン案内処理手段は、前記レーンk3から推奨レーンまで移動するのに必要な必要移動距離Lxを考慮したタイミングで音声フレーズによるレーン案内を開始する。
【0114】
例えば、自車を推奨レーンに誘導する場合、前記必要移動距離Lxは、レーンk3からレーンk2まで一つのレーンを移動させる必要があるので、
Lx=1×250
=250〔m〕
になる。
【0115】
そして、距離Lh1は、
Lh1=3×17+250+2×17+300
=635〔m〕
になる。すなわち、案内交差点より手前、635〔m〕の地点h1でレーン案内を開始する必要がある。
【0116】
この場合、自車が推奨レーンにいるかどうか不明であるので、レーン案内による推奨レーンの誘導は、絶対位置で行う。すなわち、例えば、「700〔m〕先、○○方向です。左から二番目が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。また、その後、再音声による推奨レーンの誘導において、「左から二番目が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。さらに、レーンの移動に伴って、走行レーンを特定することができるようになるので、推奨レーンに進入した場合、「推奨レーンに入りました。」等のメッセージが音声で出力される。
【0117】
また、図14の自車位置pr1で示されるように、自車がレーンk2にいる場合、又は自車がレーンk3にいる場合、前記自車位置判定処理手段は、自車が推奨レーンにいるかどうか不明であると判断し、前記候補レーン算出処理手段は、レーンk2、k3を候補レーンとして算出する。そして、前記走行レーン想定処理手段は、レーンk2、k3のうちの推奨レーンであるレーンk3から一番遠いレーンk2を走行レーンとして想定する。
【0118】
続いて、前記レーン案内処理手段は、前記レーンk2から推奨レーンまで移動するのに必要な必要移動距離Lxを考慮したタイミングで音声フレーズによるレーン案内を開始する。
【0119】
例えば、自車を推奨レーンに誘導する場合、前記必要移動距離Lxは、レーンk2からレーンk3まで一つのレーンを移動させる必要があるので、
Lx=1×250
=250〔m〕
になる。
【0120】
そして、距離Lh1は、
Lh1=3×17+250+2×17+300
=635〔m〕
になる。すなわち、案内交差点より手前、700〔m〕の地点h1でレーン案内を開始する必要がある。
【0121】
この場合、自車が推奨レーンにいるかどうか不明であるので、レーン案内による推奨レーンの誘導は、絶対位置で行う。すなわち、例えば、「700〔m〕先、○○方向です。左から三番目が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。また、その後、再音声による推奨レーンの誘導において、「左から三番目が推奨レーンです。」等のメッセージが音声で出力される。さらに、レーンの移動に伴って、走行レーンを特定することができるようになるので、推奨レーンに進入した場合、「推奨レーンに入りました。」等のメッセージが音声で出力される。
【0122】
なお、この場合も、走行レーンを特定することができないので、前記地図表示処理手段は、自車位置を表示しない。
【0123】
ところで、レーン数が5以上である道路においては、レーンの移動に伴って、走行レーンを特定することができないことがあるので、その場合、推奨レーンに進入した時点の推奨レーン進入案内は行わない。また、推奨レーンに進入しているのに推奨レーンの誘導を繰り返すことがないように、推奨レーンへの誘導をキャンセルしたり、誘導の回数を抑制したりすることができる。誘導の回数を抑制する場合、前記判定条件が成立するかどうかを判断するための時間又は距離が長くされる。
【0124】
このように、本実施の形態においては、自車が推奨レーンにいるかどうかを推定し、推定結果に基づいて走行レーンを想定することができるので、走行履歴、地物等に基づいて走行レーンを特定することができない場合でも、適切なレーン案内を行うことができる。
【0125】
本実施の形態においては、走行レーンを特定することができない場合、自車位置が表示されないようになっているが、候補レーンのそれぞれに自車位置を表示したり、複数の候補レーン間に跨がるように寸法が大きくされた自車位置を表示したりすることができる。
【0126】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における走行レーンの特定方法を示す第1の図である。
【図3】本発明の実施の形態における走行レーンの特定方法を示す第2の図である。
【図4】本発明の実施の形態における案内処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第1の図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるレーンの跨ぎ状態を表す第1の図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるレーンの跨ぎ状態を表す第2の図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるレーンの跨ぎ状態を表す第3の図である。
【図9】本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第2の図である。
【図10】本発明の実施の形態における自車位置の表示状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第3の図である。
【図12】本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第4の図である。
【図13】本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第5の図である。
【図14】本発明の実施の形態における車両の走行状態を示す第6の図である。
【符号の説明】
【0128】
10 自動変速機制御部
14 ナビゲーション装置
15 GPSセンサ
31 CPU
49 バックカメラ
50 フロントカメラ
51 情報センタ
63 ネットワーク
k1〜k4 レーン
m1〜m3 レーン境界線
ma、mb 道路境界線
pr1、pr2 自車位置
r1、r2 道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の現在地を自車位置として検出する現在地検出部と、前記自車位置に基づいて目的地までの探索経路を探索する経路探索処理手段と、前記探索経路に基づいて、走行するのが推奨される推奨レーンを設定する推奨レーン設定処理手段と、撮像装置によって撮影された車両通行帯境界線の画像データに基づいて自車が推奨レーンにいるかどうかを推定する自車位置推定処理手段と、前記自車が推奨レーンにいるかどうかの推定結果に基づいて、自車が走行しているレーンを走行レーンとして想定する走行レーン想定処理手段と、想定された走行レーンに基づいてレーン案内を行うレーン案内処理手段とを有することを特徴とする経路案内システム。
【請求項2】
前記自車位置推定処理手段は、自車による走行レーンの跨ぎ状態を判定し、該跨ぎ状態に応じて自車位置を推定する請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項3】
前記自車位置推定処理手段は、車両通行帯境界線を構成する道路の路肩側及び反対車線側に形成された道路境界線と、各道路境界線によって挟まれた領域で、各レーン間に形成されたレーン境界線との関係に基づいて自車位置を推定する請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項4】
前記走行レーン想定処理手段は、自車が推奨レーンにいるかどうか不明である場合、又は推奨レーンにいないと推定される場合に、自車がいると推定される候補のレーンのうちの、推奨レーンから一番離れたレーンを走行レーンとして想定する請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項5】
自車の現在地を自車位置として検出し、該自車位置に基づいて目的地までの探索経路を探索し、該探索経路に基づいて、走行するのが推奨される推奨レーンを設定し、撮像装置によって撮影された車両通行帯境界線の画像データに基づいて自車が推奨レーンにいるかどうかを推定し、前記自車が推奨レーンにいるかどうかの推定結果に基づいて、自車が走行しているレーンを走行レーンとして想定し、想定された走行レーンに基づいてレーン案内を行うことを特徴とする経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−178383(P2007−178383A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379920(P2005−379920)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】