経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置
【課題】交通機関の利用の際に、即時性のある実際の運行状況情報を提供する。
【解決手段】本発明は、交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援装置であり、少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段とを備える。
【解決手段】本発明は、交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援装置であり、少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置に関し、例えば、交通機関を利用して出発地から目的地まで移動する際に、目的地又は乗換地点に近づくと、その旨を報知する経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術の進展に伴い、利用者は、通信機能を有する携帯端末を用いて、様々なサービスの提供を受けている。そのサービスの一つとして、例えば鉄道、バス、航空機、船舶等の交通機関を利用した際に、目的地又は乗換地点に近づくと、その旨を報知するというものがある。
【0003】
従来、目的地等に近づくと報知する技術として、携帯端末のアラーム機能を利用したものがある。この技術は、経路探索技術により出発地から目的地までの経路情報が探索されると、携帯端末が目的地の到着時刻に基づいてアラーム鳴動の時刻を設定する。これにより、目的地に到着する時刻又はその時刻前にアラームを鳴動させることができるので、目的地等に近づいたことを知らせることができる。
【0004】
また、別の従来技術として特許文献1に記載される技術がある。特許文献1の記載技術は、携帯端末に予め目的地の情報を記憶しておく。また、各駅には基地局装置が設定されており、各基地局装置は、設定されている駅の情報を含む基地局情報を送出している。携帯端末は、基地局装置のセル圏内に進入し、その基地局装置が送出している基地局情報を受信すると、その基地局情報と予め記憶している目的地の情報とを比較する。そして基地局情報が目的地の情報に該当する場合、携帯端末はバイブレータ等を振動させ報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−267258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の記載技術は、各駅の基地局装置が送出している基地局情報を利用するものである。携帯端末は次の駅の基地局装置のセル圏内に進入しないと基地局情報を取得できない。例えば、駅と駅との間を電車が運行しており、携帯端末が次の駅の基地局装置のセル圏内に入ってからでないと、携帯端末は次の駅の基地局情報を取得できない。従って、場合によっては、目的地等の駅にかなり近づかないと基地局情報の取得ができないこともあり、その場合、目的地等の報知が遅れてしまうという問題がある。
【0007】
また、上述した従来技術は、出発地から目的地までの間の途中で、目的地までの代替ルートがある場合でも、その代替ルートを探索し、代替ルートで乗換地点や目的地に近づいたことを報知するということができないという問題がある。特に、旅行者や高齢者等の土地勘の希薄な利用者にとっては、情報サービスインフラとして満足できるものではなく、強い要望がある。
【0008】
例えば、鉄道等の交通機関は、故障や事故等により、遅延や運行中止など運行状況が変更することがある。このような場合、目的地までの別のルートを提供すること、また、その別ルートへの乗換地点の報知や目的地到着の報知することが望まれている。
【0009】
しかし、上述した従来技術、特許文献1の記載技術はいずれも、リアルタイムの実際の運行情報を利用するものではない。
【0010】
例えば、上述した目的地の到着時刻にアラーム報知をする技術は、当初のアラーム設定を消去し、再度経路探索をして、再度アラーム設定をすることが必要となる。また、再度行う経路探索についても、一般には交通機関の予め計画した路線ダイヤに基づいて経路探索を行うため、リアルタイムの運行状況を反映させた経路を携帯端末が取得できるとは限らない。
【0011】
また、特許文献1の記載技術は、目的駅の基地局装置のセル圏内に入らないと、基地局情報を得られない。そのため、携帯端末が基地局装置のセル圏内に入っていないときには、基地局情報を取得することができない。
【0012】
そのため、交通機関の利用の際に、即時性のある実際の運行状況情報を取得することができ、その運行状況情報を用いて、乗り越しや間違いを軽減するために、目的地や乗換地点に近づいたときに利用者に知らせることができる経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の経路案内支援装置は、交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援装置において、(1)少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、(2)情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段と、(3)情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、(4)最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、(5)情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第2の本発明の経路案内支援プログラムは、交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援プログラムにおいて、コンピュータを、(1)少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段、(2)情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段、(3)情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段、(4)最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段、(5)情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段として機能することを特徴とする。
【0015】
第3の本発明の経路支援案内システムは、(A)携帯端末と、(B)交通機関に設置されたものであって、当該交通機関の運行状況情報を発信する情報発信手段とを備え、携帯端末が、(1)少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、(2)情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段と、(3)情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、(4)最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、(5)情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段とを有することを特徴とする。
【0016】
第4の本発明の情報発信装置は、第3の本発明の経路案内支援システムを構成するものであって、交通機関に設置され、当該交通機関の運行状況情報を発信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、交通機関の利用の際に、即時性のある実際の運行状況情報を取得することができ、その運行状況情報を用いて、乗り越しや間違いを軽減するために、目的地や乗換地点に近づいたときに利用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の経路案内システムの構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態の利用者が利用する路線経路を示す図である。
【図3】第1の実施形態の携帯端末の内部構成を示す内部構成図である。
【図4】第1の実施形態の経路案内システムの処理を示すシーケンス図である。
【図5】第1の実施形態の経路案内システムの処理を説明する説明図である。
【図6】第2の実施形態の経路案内システムの処理を示すシーケンス図である。
【図7】第2の実施形態の最適経路情報を説明する説明図である。
【図8】第2の実施形態の運行状況情報を説明する説明図である。
【図9】第2の実施形態の復旧目安時間情報を説明する説明図である。
【図10】第2の実施形態の経路案内システムの処理を説明する説明図である。
【図11】第3の実施形態の携帯端末の内部構成を示す内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
第1の実施形態では、例えば鉄道路線において、出発地から目的地までの経路を検索し、その目的地に近づくと利用者に報知するシステムに、本発明を適用した実施形態を例示する。
【0021】
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)全体構成
図2は、第1の実施形態において、利用者が電車に乗って移動する路線経路を示す図である。図2において、電車2は、利用者が乗車する交通機関である。A駅は利用者が出発する駅である。B駅は経路途中で通過する駅である。C駅は利用者が到着する目的駅である。電車2は、利用者が出発駅とするA駅から、B駅を経由して、目的地のC駅に向かって運行する。
【0022】
図1は、第1の実施形態の経路案内システムの全体的な構成を示す構成図である。図1は、図2に例示した電車2の車両内における構成例を示す。
【0023】
図1において、第1の実施形態の経路案内システム1は携帯端末10、情報発信装置20、指令情報送信装置30を少なくとも有する。図1は、乗車した利用者が携帯端末を携行しており、車内には情報発信装置20が設置されている場合を例示する。
【0024】
携帯端末10は、利用者が携行する携帯端末である。携帯端末10は、少なくとも、通信機能、経路探索機能、探索経路に基づき利用者が降車すべき乗換駅又は目的駅を報知する機能を有する。例えば、携帯端末10は、携帯電話機、PDA、ミュージックプレーヤー、ゲーム機、ラジオ受信機、非接触型ICカード等が該当する。
【0025】
携帯端末10は、出発駅から目的駅までの経路を探索し、その探索した経路情報を記憶するものである。このとき、携帯端末10は、経路情報に基づき、路線名、乗車時刻、出発駅、乗換駅、目的駅、到着時刻等を記憶する。また、携帯端末10は、情報発信装置20から送出されるFM電波を捕捉し、FM電波に乗せられている運行状況情報を取得するものである。さらに、携帯端末10は、情報発信装置20から運行状況情報を取得すると、その運行状況情報と記憶している乗換駅又は目的駅とに基づき、乗換駅又は目的駅に近づいたか否かを判断し、乗換駅又は目的駅に近づいたと判断した場合に、アラーム等の報知を行うものである。
【0026】
情報発信装置20は、指令情報送信装置30から指令情報を受信し、その指令情報に含まれる運行状況情報に基づいて、周波数変調方式(FM:Frequency modulation)により変調したFM電波を発信するものである。情報発信装置20は、文字、画像等を含む情報をFM多重信号として発信する。
【0027】
第1の実施形態では、情報発信装置20が電車2の車内に設置されている場合を例示する。情報発信装置20の設置位置は、車内にいる利用者の携帯端末10に運行状況情報を提供することができれば、車内に限定されるものではない。また、車内に1台の情報発信装置20を設置するようにしてもよいし、複数台の情報発信装置20を設置するようにしてもよい。
【0028】
ここで、指令情報には、少なくとも、電車2の識別情報である車両番号、その車両番号の電車2が現在運行している運行区間に関する情報を含むものとする。情報発信装置20は、設置されている電車2の車両番号や、少なくとも自身が運行する路線経路情報等を予め記憶している。情報発信装置20は、指令情報を受信すると、予め記憶している車両番号に基づき、自身の電車2が現在運行している運行区間に関する情報を認識することができる。これにより、情報発信装置20は、路線経路情報を参照して、現在の運行区間に関する情報に基づき、次の駅を示す駅情報を認識できる。
【0029】
情報発信装置20が発信する運行状況情報には、次の駅を示す駅情報を少なくとも有するものとする。なお、第1の実施形態では、運行状況情報に、次の駅を認識させる情報が含まれていればよく、例えば指令情報に含まれる現在の運行区間に関する情報自体を含むようにしてもよい。
【0030】
また、情報発信装置20が運行状況情報を発信するタイミングは、ある駅から次の駅までの区間であれば、特に限定されるものではない。
【0031】
例えば、ある駅に停車している際に、情報発信装置20が指令情報を受信した場合、情報発信装置20は指令情報から次の駅情報を認識できる。従って、この場合、情報発信装置20は、ある駅に停車しているときに、次の駅情報を含む運行状況情報を発信するようにしてもよいし、ある駅から発車した後、所定時間経過後又は所定距離走行後に、運行状況情報を発信するようにしてもよい。また例えば、ある駅と次の駅との間で、情報発信装置20が指令情報を受信した場合、次の駅に到着するまでの間に、情報発信装置20は運行状況情報を発信するようにしてもよい。なお、発信回数は、特に限定されるものではなく、少なくとも1回発信するようにしてもよいし、間欠的に(例えば所定周期毎に)複数回発信するようにしてもよい。
【0032】
なお、第1の実施形態では、情報発信装置20が指令情報送信装置30から指令情報を受信する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、各駅に通信装置が設定されており、ある駅に停車中に、その駅の通信装置から受信するようにしてもよい。
【0033】
また、電車2内のすべての情報発信装置20が指令情報送信装置30から指令情報を受信するようにしてもよいが、この構成に限定されない。例えば、電車2の先頭車両にのみ指令情報を受信する受信装置を設け、電車内にLAN等のネットワークを通じて、各情報発信装置20が指令情報を取得するようにしてもよい。
【0034】
指令情報送信装置30は、交通事業者が管理する情報を指令情報として送信するものである。
【0035】
交通事業者は、電車2の運行状況を管理する運行管理システムを独自に有している。運行管理システムは、どの電車2が現在どこを運行しているか、事故や故障等が生じていないか等を管理するものである。また、運行管理システムは、事故や故障等が生じた場合には、事故等に係る発生区間、発生時刻、車両番号等の運行情報も管理している。指令情報送信装置30は、運行管理システムで管理される情報に基づく指令情報を、例えば、車両に搭載された通信装置、車両基地に設置された通信装置、駅等に設けられた通信装置などに向けて伝送するものである。
【0036】
なお、第1の実施形態では、指令情報送信装置30が、例えばWiMAX(登録商標)で規格化された無線方式で、指令情報を無線伝送する場合を例示する。しかし、伝送方法は、無線伝送に限定されるものではなく、有線伝送するようにしてもよい。
【0037】
(A−1−2)携帯端末の内部構成
図3は、携帯端末10の内部構成を示す内部構成図である。図3において、携帯端末10は、FMアンテナ部101、受信増幅部102、チューナ部103、最新受信情報記憶部104、情報入力部105、最適経路演算部106、経路情報データベース(DB)107、最適経路記憶部108、情報照合部109、アラーム制御部110、表示部111、鳴動部112を少なくとも有する。
【0038】
FMアンテナ部101は、情報発信装置20からのFM電波を捕捉し、捕捉した信号を受信増幅部102に与えるアンテナ部である。
【0039】
受信増幅部102は、FMアンテナ部101からの信号の振幅を増幅し、チューナ部103に与えるものである。
【0040】
チューナ部103は、受信増幅部102からの信号の同調を行うものであり、信号に含まれている文字データ等の運行状況情報を復調するものである。チューナ部103により復調された運行状況情報は、最新受信情報記憶部104に記憶される。
【0041】
最新受信情報記憶部104は、情報発信装置20から受信した運行状況情報を記憶するものである。最新受信情報記憶部104は、最新の運行状況情報を記憶する。例えば、新しい運行状況情報を受信した場合には運行状況情報の上書きを行うことで、最新の運行状況情報を記憶する。
【0042】
情報入力部105は、利用者の操作により情報の入力を行うものである。情報入力部105は、経路探索の際に、出発駅、目的駅、乗車時刻等の情報を取り込んだり、経路探索により複数の候補がある場合に、利用者により選択された情報を取り込んだりする。
【0043】
最適経路演算部106は、情報入力部105から出発駅、目的駅、乗車時刻を受け取り、経路情報DB107を参照して、乗車時刻での出発駅から目的駅までの経路を探索するものである。また、最適経路演算部106は、目的駅までの最適な経路の最適経路情報を最適経路記憶部108に記憶させる。
【0044】
最適経路演算部106は、探索した経路を表示部111に表示する。また、複数の経路候補がある場合には、複数の候補を表示部111に表示させ、利用者に選択させた経路を最適経路とする。
【0045】
なお、最適経路演算部106による経路探索手法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を広く適用することができる。例えば、インターネット等のネットワークに接続する通信手段(図示しない)を通じて、ネットワーク上の経路探索サーバにアクセスし、その経路探索サーバから経路情報を取得する方法を適用することができる。また例えば、携帯端末10が、最適経路演算部106として機能する経路探索アプリケーションをインストールしておき、そのアプリケーションの実行により経路情報を取得するようにしてもよい。
【0046】
経路情報DB107は、交通機関の路線情報、交通ダイヤ情報等を有する経路情報を記憶するものである。
【0047】
最適経路記憶部108は、最適経路演算部106により求められた最適経路の経路情報を記憶するものである。最適経路記憶部108が記憶する経路情報は、路線名、出発駅、目的駅、乗換駅、乗車時刻、到着時刻等で構成される。
【0048】
情報照合部109は、情報発信装置20から運行状況情報を受信すると、最新受信情報記憶部104に記憶される運行状況情報と、最適経路記憶部108に記憶される経路情報との比較を行い、次の駅情報が乗換駅又は目的駅である場合に、次の駅情報が乗換駅又は目的駅である旨をアラーム制御部110に通知する。そうでない場合、情報照合部109は、アラーム制御部110への通知を行わず、次の運行状況情報の受信を待つ。
【0049】
なお、この実施形態では、次の駅情報が乗換駅又は目的駅の場合に報知させるようにするが、情報照合部109が、経路情報を利用して、乗換駅又は目的駅の、2個先の駅、3個先の駅等で報知させるようにしてもよい。これにより、降車準備に余裕をもって、利用者に報知することができる。
【0050】
アラーム制御部110は、情報照合部109から次の駅情報が乗換駅又は目的駅である旨の通知を受けると、鳴動部112に対してアラーム鳴動の指示や、表示部111に次の駅が乗換駅又は目的駅であることの表示を指示するものである。
【0051】
表示部111は、所定の表示画面を表示するものである。表示部111は、探索した経路情報を表示したり、乗換駅又は目的駅であることを表示したりするものである。
【0052】
鳴動部112は、アラーム制御部110の制御に従って、アラームの鳴動を行うものである。
【0053】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の経路案内システム1における処理の動作について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
図4は、第1の実施形態の経路案内システム1における処理の動作を示すシーケンス図である。図5は、第1の実施形態の経路案内システム1における動作を説明する説明図である。
【0055】
図4において、電車2を利用する際、利用者は携帯端末10を用いてアラーム設定を行う(S101)。このとき、情報入力部105は、利用者により入力された経路探索に係る出発駅、目的駅、乗車時刻を取り込み、その出発駅、目的駅、乗車時刻を最適経路演算部106に与える(S102)。
【0056】
最適経路演算部106は、情報入力部105から受け取った出発駅、目的駅、乗車時刻に基づいて、経路情報DB107から、その乗車時刻での出発駅から目的駅までの経路情報を抽出し(S103)、抽出した経路情報から、最適経路の演算を実行する(S104)。なお、最適経路は、例えば、出発駅から目的駅までの所要時間順、到着時刻順、乗換回数順、低料金順等の種々の観点から判断することができる。最適経路演算部106は、上記観点に応じて演算処理を行い、その結果を求める。
【0057】
最適経路演算部106により求められた最適経路情報(最適経路の候補を含む)は、表示部111に与えられ(S105)、表示部111は最適経路を示す表示画面を表示する。
【0058】
利用者は表示部111に表示された表示画面を見て、利用者自身が利用する最適経路を選択する(S106)。この選択された最適経路情報は、最適経路演算部106を介して最適経路記憶部108に与えられ(S107)、最適経路記憶部108に記憶される(S108)。最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報は、路線名、乗車時刻、出発駅、乗換駅、目的駅、到着時刻などである。これにより、少なくとも、乗換駅、目的駅が記憶される。
【0059】
次に、車両内に設けられた情報発信装置20は、所定のタイミングで、運行状況情報を含むFM多重信号を発信する。
【0060】
携帯端末10において、FMアンテナ部101は、情報発信装置20からのFM電波を捕捉し、受信増幅部102及びチューナ部103を介して、運行状況情報を含むFM多重情報が、最新受信情報記憶部104に与えられる(S109)。FM多重情報は最新受信情報記憶部104に記憶される(S110)。
【0061】
情報発信装置20からの運行状況情報が受信されると、情報照合部109は、最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報と、最新受信情報記憶部104に記憶されるFM多重情報との照合を行う(S111)。つまり、情報照合部109は、最新の運行状況情報の受信をトリガとして情報照合処理を開始する。
【0062】
情報照合部109は、最適経路情報として記憶されている目的駅又は乗換駅と、最新の運行状況情報に含まれている次の駅情報とを比較する。そして、運行状況情報の次の駅情報が目的駅又は乗換駅に該当する場合には、目的駅又は乗換駅に接近しているとし(S112)、情報照合部109はアラーム制御部110に対してその旨を通知する(S113)。なお、次の駅情報が目的駅又は乗換駅に該当しない場合、情報照合部109は、S111に戻り、次の運行状況情報の受信を待機する。
【0063】
アラーム制御部110は、表示部111、鳴動部112のいずれか一方又は双方に制御信号を送信する(S113)。これを受けて、表示部111は、目的駅又は乗換駅が近づいたことを知らせる画面を表示する(S114)。また、鳴動部112は、アラームを鳴動する(S115)。
【0064】
上記のような処理から、図5に例示するように、利用者が目的地設定を伴うアラーム設定した後(F101)、携帯端末10が情報発信装置20からFM多重信号を受信し、目的駅であるC駅に接近すると、例えばアラーム鳴動を行う(F102)。
【0065】
なお、第1の実施形態では、報知手段として、表示部111の表示、アラーム鳴動の場合を例示したが、バイブレータの振動等を適用するようにしてもよい。
【0066】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、交通機関を利用する利用者に大抵、最適経路、乗換駅、目的的及び到着時刻等の情報通知により、利用者の乗過ごしや、間違いを軽減できるといった、新たなサービスとして提供することができる。
【0067】
さらに、第1の実施形態は、乗車している交通機関から発せられるFM電波を活用するので、安定した電波状態が保持され、即時性のある安定した情報収集が可能になるものと期待できる。
【0068】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。第2の実施形態も、交通機関の一例として鉄道とする場合の実施形態を説明する。
【0069】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の経路案内システムの構成は、基本的には、第1の実施形態の構成と同じである。そこで、第2の実施形態でも、図1及び図3を用いて、経路案内システム、携帯端末の構成を説明する。
【0070】
第2の実施形態は、交通機関の運行の変更に応じて最適経路の見直しを行い、その新たな経路についての乗換駅又は目的駅に近づいたときに報知する。
【0071】
情報発信装置20は、第1の実施形態と同様に運行状況情報を発信するものである。情報発信装置20が発信する運行状況情報は、第1の実施形態で説明した次の駅情報に加えて、さらに運行情報を含む。
【0072】
ここで、運行情報とは、例えば事故や故障等の発生に関する情報である。運行情報は、例えば、発生した事故や故障等に係る、路線名、運行情報信号種別情報、発生時刻等がある。運行情報信号種別情報とは、発生した事故や故障等の種別を示す情報である。例えば、運行情報信号種別情報は、防護信号、路線立ち入り、踏切障害、人身事故、信号トラブル、停電、踏切事故等がある。なお、運行情報は、この他に、発生区間等を含むようにしてもよい。
【0073】
情報照合部109は、最新受信情報記憶部104に記憶される運行状況情報に、運行情報が含まれているか否かを判断する。運行状況情報に運行情報が含まれている場合、情報照合部109は、運行情報の内容を判断し、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路に影響するものか否かを判断する。
【0074】
ここで、運行情報が最適経路に影響するか否かの判断については、事故等の発生した路線が、最適経路の路線であるとき、影響があると判断する。また、事故や故障等が生じた路線が最適経路の路線でない場合でも、交通事業者が同じであるときや、異なる交通事業者であっても路線乗り入れをしているとき等のように、事故等の発生路線と最適経路の路線との間に所定の関係があるときには、影響があると判断するようにしてもよい。これを実現するには、例えば、予め路線間の関係を示すテーブルを備えておき、情報照合部109は、上記テーブルを参照して、影響があるか否かを判断するようにしてもよい。
【0075】
また、情報照合部109は、運行情報が最適経路に影響すると判断した場合、運行情報を最適経路演算部106に与える。
【0076】
なお、運行状況情報に運行情報が含まれていない場合や最適経路に影響がない場合、情報照合部109は第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0077】
さらに、情報照合部109は、最適経路演算部106が求めた迂回経路を受け取り、その迂回経路と、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路とに基づいて、新たな経路を判断する。
【0078】
経路情報DB107は、第1の実施形態と同様に経路情報を記憶すると共に、予め運行情報信号種別情報毎に復旧目安時間を設定した復旧目安時間情報テーブルを記憶する。
【0079】
最適経路演算部106は、情報照合部109から運行情報を受け取ると、経路情報DB107に記憶されている復旧目安時間情報テーブルを参照して、その運行情報に含まれている運行情報信号種別情報に対応する復旧目安時間を抽出する。そして、最適経路演算部106は、抽出した復旧目安時間を用いて、目的地までの迂回経路を求めるものである。
【0080】
ここで、最適経路演算部106による迂回経路の求める方法としては、種々の方法を適用することができる。
【0081】
例えば、時刻については、運行情報に含まれている事故等の発生時刻に復旧目安時間を加算した時刻を乗車時刻としてもよいし、また、例えば携帯端末10に搭載されている時計から取得した現在時刻に復旧目安時間を加算した時刻を乗車時刻としてもよい。
【0082】
また、区間については、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路情報である出発駅から目的駅までの区間としてもよいし、また、運行状況情報に含まれている次の駅を出発駅として、その出発駅から最適経路情報の目的駅までの区間としてもよい。
【0083】
最適経路演算部106は、上記のようにして求めた区間及び乗車時刻に基づいて、経路情報DB107の経路情報を用いて迂回経路を求める。
【0084】
このとき、最適経路演算部106は、求めた迂回経路のうち、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路を削除するようにしてもよい。これは、迂回経路と最適経路との重複を回避するためである。迂回経路と最適経路との重複を回避することができれば、予め事故等が生じた路線を除外して、最適経路演算部106は迂回経路を求めるようにしてもよい。
【0085】
最適経路記憶部108は、第1の実施形態と同様に最適経路情報を記憶するものである。また、最適経路記憶部108は、情報入力部105を通じて利用者に迂回経路が選択されると、それまで記憶していた最適経路情報を削除し、選択された迂回経路情報に記憶するものである。
【0086】
情報入力部105は、第1の実施形態と同様に、利用者に入力された情報を取り込むものであり、第2の実施形態では、さらに迂回経路の選択情報を取り込む。
【0087】
表示部111は、第1の実施形態と同様の表示画面を表示すると共に、情報照合部109からの迂回経路を表示するものである。
【0088】
なお、FMアンテナ部101、受信増幅部102、チューナ部103、最新受信情報記憶部104、アラーム制御部110及び鳴動部112は、第1の実施形態と同様の処理を行うものである。
【0089】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態の経路案内システム1における処理の動作について図面を参照しながら説明する。
【0090】
図6は、第2の実施形態の経路案内システム1における処理の動作を示すシーケンス図である。
【0091】
まず、第1の実施形態と同様に、携帯端末10において、利用者の操作を受けて、情報入力部105が取り込んだ、出発駅、目的駅及び乗車時刻に基づいて、最適経路演算部106は最適経路を求め、アラーム設定を行う(S101〜S108)。
【0092】
図7は、最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報の一例を示す図である。図7の例では、「入力情報」として「出発駅:JR田町駅」、「目的駅:JR横浜駅」、「乗車時刻:17時15分」とする。この「入力情報」に基づく「最適経路情報」としては、出発駅からの路線については「路線:JR山手線」であり、「乗換駅:JR品川」とする。「乗換駅:JR品川」からの路線については「路線:JR京浜東北線」とする。
【0093】
次に、車両内に設けられた情報発信装置20は、所定のタイミングで、運行状況情報を含むFM多重信号を発信する。
【0094】
携帯端末10において、FMアンテナ部101は、情報発信装置20からのFM電波を捕捉し、受信増幅部102及びチューナ部103を介して、運行状況情報を含むFM多重情報が、最新受信情報記憶部104に与えられる(S109)。FM多重情報は最新受信情報記憶部104に記憶される(S110)。
【0095】
情報発信装置20からの運行状況情報が受信されると、情報照合部109は、最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報と、最新受信情報記憶部104に記憶されるFM多重情報との照合を行う(S201)。
【0096】
このとき、情報照合部109は、最新受信情報記憶部104に記憶される運行状況情報に、運行情報が含まれているか否かを判断する(S202)。運行情報が含まれていない場合、S112に移行する。運行情報が含まれている場合、S203に移行する。
【0097】
S203では、情報照合部109が、運行情報の内容に基づいて最適経路に影響があるか否かを判断する(S203)。最適経路に影響がないと判断した場合、S112に移行する。影響があると判断した場合、S204に移行する。
【0098】
図8は、最新受信情報記憶部104に最新受信情報として記憶される運行状況情報の内容を示す図である。図8では、運行情報が含まれている場合を示す。
【0099】
図8において、運行状況情報は、次の駅名を示す「駅情報」と、「運行情報」とを項目として有する。「運行情報」は、さらに、路線名を示す「路線」、「運行情報信号種別」、「発生時刻」を有する。
【0100】
例えば、図8の例においては、「駅情報」から次の駅名が「JR大井町駅」であることを示す。また「運行情報」から、例えば、「路線:JR東海道」について、「運行情報信号種別:信号トラブル」が「発生時刻:17時10分」に発生したこと、及び、「路線:小田急線」について、「運行情報信号種別:線路内立ち入り」が「発生時刻:17時25分」に発生したことを示す。
【0101】
例えば、図7及び図8の例の場合における、情報照合部109の処理を説明する。例えば、情報照合部109は、図8の「駅情報」から次の駅が「JR大井町駅」であること確認する。「JR大井町駅」を通る路線は「JR東海道線(JR京浜東北線)」、「東京急行電鉄」、「東京臨海高速鉄道」である。情報照合部109は、駅の路線に関する情報を予め有するようにしてもよい。
【0102】
また情報照合部109は、「運行情報」から事故等の生じた路線が「小田急線」と「JR東海道線」であることを認識する。なお、「JR大井町駅」では、「JR京浜東北線」の線路と「JR東海道線」の線路とが並行しているので、「JR京浜東北線」と「JR東海道線」とは影響するものである。
【0103】
この例の場合、情報照合部109は、「小田急線」についての運行情報は影響しないと判断するが、「JR東海道線」については影響があると判断する。従って、情報照合部109は最適経路に影響があると判断する。
【0104】
情報照合部109は、運行情報を最適経路演算部106に与える。最適経路演算部106は、経路情報DB107に記憶されている復旧目安時間情報テーブルを参照して、運行情報信号種別情報に対応する復旧目安時間を抽出する(S204)。
【0105】
図9は、復旧目安時間情報テーブルの一例を示す図である。図9において、復旧目安時間情報テーブルは、「運行情報信号種別」とこれに対応する「復旧目安時間」とを対応付けたものである。例えば、「運行情報信号種別:防護信号」の場合、その復旧目安時間は「復旧目安時間:15分」であることを示す。
【0106】
例えば、図7〜図9の例の場合における、最適経路演算部106の処理を説明する。最適経路演算部106は、「路線:JR東海道線」についての運行情報の運行情報信号種別が「信号トラブル」であるから、復旧目安時間情報テーブルを参照して、「信号トラブル」に対応する「復旧目安時間:20分」を経路情報DB107から抽出する。
【0107】
最適経路演算部106は、経路情報DB108から抽出した復旧目安時間情報と、経路情報に基づいて迂回経路演算を実行して、迂回経路を求める(S205)。
【0108】
最適経路演算部105は、求めた迂回経路の迂回経路情報を情報照合部109に与える。情報照合部109は、最適経路演算部106からの迂回経路と、最適経路記憶部108の最適経路とを比較して、どちらが最適であるかを判断する(S206)。
【0109】
ここで、迂回経路の方が最適か否かの判断は、種々の方法を適用することができる。例えば、情報照合部109は、出発駅から目的駅までの所要時間、到着時刻、乗換回数、低料金等の種々の観点から判断することができる。
【0110】
例えば、到着時刻に基づいて、情報照合部109が最適か否かを判断する場合、情報照合部109は、迂回経路による目的駅までの到着時刻と、最適経路による目的駅までの到着時刻とを比較し、迂回経路での到着時刻の方が最適経路よりも早い場合には、迂回経路の方が最適と判断する方法を適用できる。
【0111】
S206で、情報照合部109が迂回経路の方が最適でないと判断した場合、S202に移行し、情報照合部109が処理を繰り返す。
【0112】
一方、情報照合部109が迂回経路の方が最適経路より最適であると判断した場合、情報照合部109は迂回経路情報を表示部111に与えて、表示部111は迂回経路情報を表示する(S207)。
【0113】
表示部111に迂回経路情報が表示されると、利用者の操作により、情報入力部105は、迂回経路に変更するか、又は、現在の最適経路を維持するかのいずれかの選択情報を取り込む(S208)。
【0114】
現在の最適経路が利用者に選択された場合、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路情報が維持される。つまり、処理はS112に移行し、携帯端末10は、最適経路情報を用いて、第1の実施形態と同様に目的駅又は乗換駅に接近すると報知処理を行う。
【0115】
これに対して、迂回経路が利用者に選択された場合、情報入力部105は、利用者に選択された迂回経路情報を、最適経路演算部106を介して、最適経路記憶部108に与える。そして、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路情報は削除され、経路情報は選択された迂回経路情報に更新される(S209)。
【0116】
これにより、選択された迂回経路情報が新たな経路情報として設定され、常に最適な経路情報が保持される。
【0117】
その後、携帯端末10は、迂回経路情報を用いて、第1の実施形態と同様に、目的駅又は乗換駅に接近すると報知処理を行う。
【0118】
図10は、第2の実施形態の経路案内システム1における処理を説明する説明図である。
【0119】
図10において、利用者が目的地設定を伴うアラーム設定する(F101)。その後、B駅とC駅との間で故障が発生したとする(F102)。このとき、故障を起こした電車は故障信号情報を運行管理システム(図示しない)に送信する。これにより、交通事業者側は、故障を検出することができる。
【0120】
図示しない指令情報送信装置から故障発生情報を含む指令情報を送信し、情報発信装置(図示しない)が故障発生に関する運行情報を含む運行状況情報を含むFM多重信号を発信する。
【0121】
携帯端末10は情報発信装置からのFM多重信号を受信し、運行状況情報に含まれる運行情報に基づいて、故障信号の検知及び経路再検索、迂回経路を表示する。そして、利用者が迂回経路への変更を選択すると、その迂回経路情報が設定される(F203)。
【0122】
例えば、最適経路がA駅→B駅→C駅であるのに対し、B駅−C駅間を迂回する迂回経路が、B駅→D駅→E駅→C駅であるとする。この場合、迂回経路情報の「乗換駅」として、「B駅」、D駅」、「E駅」が設定される。
【0123】
従って、その後、携帯端末10は、情報発信装置からのFM多重信号の受信により、運行状況情報及び迂回経路情報に基づき、B駅接近時(F203)、D駅接近時(F204)、E駅接近時にアラーム鳴動を行う。また、目的地であるC駅接近時にも、携帯端末10はアラーム鳴動を行う(F205)。
【0124】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、リアルタイム性を持った最適経路情報を利用者に提供することができ、その最適経路情報に基づく経路案内により、利用者の混乱防止や、駅の混雑緩和に寄与することができる。
【0125】
(C)第3の実施形態
次に、本発明の経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0126】
第3の実施形態は、携帯端末10における運行情報の取得について、例えばインターネット等のネットワークを通じても取得可能とする実施形態である。
【0127】
図11は、第3の実施形態の携帯端末40の内部構成を示す内部構成図である。図11において、携帯端末40は、FMアンテナ部101、受信増幅部102、チューナ部103、最新受信情報記憶部104、情報入力部105、最適経路演算部106、経路情報データベース(DB)107、最適経路記憶部108、情報照合部109、アラーム制御部110、表示部111、鳴動部112、ネットワーク接続部401、メール通信部402、メール情報伝達部403を少なくとも有する。
【0128】
図11において、第3の実施形態の携帯端末40は、第2の実施形態の構成に加えて、ネットワーク接続部401、メール通信部402、メール情報伝達部403を有する。図11において、図3に示す第2の実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。
【0129】
ネットワーク接続部401は、例えばインターネット等のネットワークに接続する処理部である。
【0130】
メール通信部402は、電子メール通信を行う通信処理部である。メール通信部402は、ネットワーク接続部401と通じて接続したネットワーク上のサーバから、電子メールを受信する。この電子メールには、運行情報が記載されている。
【0131】
例えば、交通事業者や通信事業者等が、ネットワークを通じて、交通機関の運行情報を伝えるサービスがある。利用者はそのサービス提供の登録している。メール通信部402は、上記サービスで契約された時期に、運行情報が記載された電子メールを受信する。
【0132】
メール情報伝達部403は、メール通信部402が受信した電子メールに記載されている運行情報を抽出し、その抽出した運行情報を最新受信情報記憶部104に記憶するものである。
【0133】
なお、情報照合部109が、最適経路情報及び最新の運行情報に基づいて行うアラーム制御処理や最適経路の見直し処理は、第1の実施形態や第2の実施形態と同じであるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0134】
上記のように、第3の実施形態によれば、電子メールで運行情報を取得する場合でも、第1及び第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0135】
(D)他の実施形態
(D−1)第1〜第3の実施形態において、利用者が携行する携帯端末は、FM電波を受信できる端末であれば、様々な端末に適用することができる。例えば、携帯端末としては、現在の提供サービスで利用されている携帯電話機をはじめ、非接触型ICカードやFMラジオへ機能を追加した新端末等、様々な端末が利用できる。
【0136】
(D−2)第1〜第3の実施形態において、携帯端末は電車に設置された情報発信装置から情報を取得することができるので、不正乗車防止に大きく貢献できる。
【0137】
(D−3)本発明は、情報発信装置及び携帯端末がFM電波を利用しており、例えば医療器具への影響は全くないものと考えられる。
【0138】
(D−4)第3の実施形態では、運行情報を電子メールで取得する場合の変形実施形態を説明した。しかし、例えば、インターネット等のネットワーク上のサーバから、運行情報を取得することができれば、電子メールに限定されるものではない。
【0139】
(D−5)第1〜第3の実施形態の携帯端末の各種機能は、いわゆるソフトウェア処理により実現することができる。例えば、携帯端末のハードウェアは、CPU、RAM、ROM、EEPROM等から構成される。そして、CPUが、ROMに格納される各種機能の処理プログラムをROMから読み出し、そりに必要なデータを用いて処理プログラムを実行することで、各種機能は実現される。
【0140】
(D−6)交通機関は、鉄道、バス、航空機、船舶等その他の機関を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1…経路案内システム、10及び40…携帯端末、
101…FMアンテナ部、102…受信増幅部、103…チューナ部、
104…最新受信情報記憶部、105…情報入力部、106…最適経路演算部、
107…経路情報データベース(DB)、108…最適経路記憶部、
109…情報照合部、110…アラーム制御部、111…表示部、112…鳴動部、
401…ネットワーク接続部、402…メール受信部、403…メール情報伝達部、
20…情報発信装置、30…指令情報送信装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置に関し、例えば、交通機関を利用して出発地から目的地まで移動する際に、目的地又は乗換地点に近づくと、その旨を報知する経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術の進展に伴い、利用者は、通信機能を有する携帯端末を用いて、様々なサービスの提供を受けている。そのサービスの一つとして、例えば鉄道、バス、航空機、船舶等の交通機関を利用した際に、目的地又は乗換地点に近づくと、その旨を報知するというものがある。
【0003】
従来、目的地等に近づくと報知する技術として、携帯端末のアラーム機能を利用したものがある。この技術は、経路探索技術により出発地から目的地までの経路情報が探索されると、携帯端末が目的地の到着時刻に基づいてアラーム鳴動の時刻を設定する。これにより、目的地に到着する時刻又はその時刻前にアラームを鳴動させることができるので、目的地等に近づいたことを知らせることができる。
【0004】
また、別の従来技術として特許文献1に記載される技術がある。特許文献1の記載技術は、携帯端末に予め目的地の情報を記憶しておく。また、各駅には基地局装置が設定されており、各基地局装置は、設定されている駅の情報を含む基地局情報を送出している。携帯端末は、基地局装置のセル圏内に進入し、その基地局装置が送出している基地局情報を受信すると、その基地局情報と予め記憶している目的地の情報とを比較する。そして基地局情報が目的地の情報に該当する場合、携帯端末はバイブレータ等を振動させ報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−267258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の記載技術は、各駅の基地局装置が送出している基地局情報を利用するものである。携帯端末は次の駅の基地局装置のセル圏内に進入しないと基地局情報を取得できない。例えば、駅と駅との間を電車が運行しており、携帯端末が次の駅の基地局装置のセル圏内に入ってからでないと、携帯端末は次の駅の基地局情報を取得できない。従って、場合によっては、目的地等の駅にかなり近づかないと基地局情報の取得ができないこともあり、その場合、目的地等の報知が遅れてしまうという問題がある。
【0007】
また、上述した従来技術は、出発地から目的地までの間の途中で、目的地までの代替ルートがある場合でも、その代替ルートを探索し、代替ルートで乗換地点や目的地に近づいたことを報知するということができないという問題がある。特に、旅行者や高齢者等の土地勘の希薄な利用者にとっては、情報サービスインフラとして満足できるものではなく、強い要望がある。
【0008】
例えば、鉄道等の交通機関は、故障や事故等により、遅延や運行中止など運行状況が変更することがある。このような場合、目的地までの別のルートを提供すること、また、その別ルートへの乗換地点の報知や目的地到着の報知することが望まれている。
【0009】
しかし、上述した従来技術、特許文献1の記載技術はいずれも、リアルタイムの実際の運行情報を利用するものではない。
【0010】
例えば、上述した目的地の到着時刻にアラーム報知をする技術は、当初のアラーム設定を消去し、再度経路探索をして、再度アラーム設定をすることが必要となる。また、再度行う経路探索についても、一般には交通機関の予め計画した路線ダイヤに基づいて経路探索を行うため、リアルタイムの運行状況を反映させた経路を携帯端末が取得できるとは限らない。
【0011】
また、特許文献1の記載技術は、目的駅の基地局装置のセル圏内に入らないと、基地局情報を得られない。そのため、携帯端末が基地局装置のセル圏内に入っていないときには、基地局情報を取得することができない。
【0012】
そのため、交通機関の利用の際に、即時性のある実際の運行状況情報を取得することができ、その運行状況情報を用いて、乗り越しや間違いを軽減するために、目的地や乗換地点に近づいたときに利用者に知らせることができる経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の経路案内支援装置は、交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援装置において、(1)少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、(2)情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段と、(3)情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、(4)最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、(5)情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第2の本発明の経路案内支援プログラムは、交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援プログラムにおいて、コンピュータを、(1)少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段、(2)情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段、(3)情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段、(4)最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段、(5)情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段として機能することを特徴とする。
【0015】
第3の本発明の経路支援案内システムは、(A)携帯端末と、(B)交通機関に設置されたものであって、当該交通機関の運行状況情報を発信する情報発信手段とを備え、携帯端末が、(1)少なくとも、目的点までの経路について、交通機関の乗換点又は目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、(2)情報発信手装置から発信された運行状況情報を受信する情報受信手段と、(3)情報受信手段により受信された最新の運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、(4)最新の運行状況情報と目的点情報とに基づき、乗換点又は目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、(5)情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段とを有することを特徴とする。
【0016】
第4の本発明の情報発信装置は、第3の本発明の経路案内支援システムを構成するものであって、交通機関に設置され、当該交通機関の運行状況情報を発信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、交通機関の利用の際に、即時性のある実際の運行状況情報を取得することができ、その運行状況情報を用いて、乗り越しや間違いを軽減するために、目的地や乗換地点に近づいたときに利用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の経路案内システムの構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態の利用者が利用する路線経路を示す図である。
【図3】第1の実施形態の携帯端末の内部構成を示す内部構成図である。
【図4】第1の実施形態の経路案内システムの処理を示すシーケンス図である。
【図5】第1の実施形態の経路案内システムの処理を説明する説明図である。
【図6】第2の実施形態の経路案内システムの処理を示すシーケンス図である。
【図7】第2の実施形態の最適経路情報を説明する説明図である。
【図8】第2の実施形態の運行状況情報を説明する説明図である。
【図9】第2の実施形態の復旧目安時間情報を説明する説明図である。
【図10】第2の実施形態の経路案内システムの処理を説明する説明図である。
【図11】第3の実施形態の携帯端末の内部構成を示す内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
第1の実施形態では、例えば鉄道路線において、出発地から目的地までの経路を検索し、その目的地に近づくと利用者に報知するシステムに、本発明を適用した実施形態を例示する。
【0021】
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)全体構成
図2は、第1の実施形態において、利用者が電車に乗って移動する路線経路を示す図である。図2において、電車2は、利用者が乗車する交通機関である。A駅は利用者が出発する駅である。B駅は経路途中で通過する駅である。C駅は利用者が到着する目的駅である。電車2は、利用者が出発駅とするA駅から、B駅を経由して、目的地のC駅に向かって運行する。
【0022】
図1は、第1の実施形態の経路案内システムの全体的な構成を示す構成図である。図1は、図2に例示した電車2の車両内における構成例を示す。
【0023】
図1において、第1の実施形態の経路案内システム1は携帯端末10、情報発信装置20、指令情報送信装置30を少なくとも有する。図1は、乗車した利用者が携帯端末を携行しており、車内には情報発信装置20が設置されている場合を例示する。
【0024】
携帯端末10は、利用者が携行する携帯端末である。携帯端末10は、少なくとも、通信機能、経路探索機能、探索経路に基づき利用者が降車すべき乗換駅又は目的駅を報知する機能を有する。例えば、携帯端末10は、携帯電話機、PDA、ミュージックプレーヤー、ゲーム機、ラジオ受信機、非接触型ICカード等が該当する。
【0025】
携帯端末10は、出発駅から目的駅までの経路を探索し、その探索した経路情報を記憶するものである。このとき、携帯端末10は、経路情報に基づき、路線名、乗車時刻、出発駅、乗換駅、目的駅、到着時刻等を記憶する。また、携帯端末10は、情報発信装置20から送出されるFM電波を捕捉し、FM電波に乗せられている運行状況情報を取得するものである。さらに、携帯端末10は、情報発信装置20から運行状況情報を取得すると、その運行状況情報と記憶している乗換駅又は目的駅とに基づき、乗換駅又は目的駅に近づいたか否かを判断し、乗換駅又は目的駅に近づいたと判断した場合に、アラーム等の報知を行うものである。
【0026】
情報発信装置20は、指令情報送信装置30から指令情報を受信し、その指令情報に含まれる運行状況情報に基づいて、周波数変調方式(FM:Frequency modulation)により変調したFM電波を発信するものである。情報発信装置20は、文字、画像等を含む情報をFM多重信号として発信する。
【0027】
第1の実施形態では、情報発信装置20が電車2の車内に設置されている場合を例示する。情報発信装置20の設置位置は、車内にいる利用者の携帯端末10に運行状況情報を提供することができれば、車内に限定されるものではない。また、車内に1台の情報発信装置20を設置するようにしてもよいし、複数台の情報発信装置20を設置するようにしてもよい。
【0028】
ここで、指令情報には、少なくとも、電車2の識別情報である車両番号、その車両番号の電車2が現在運行している運行区間に関する情報を含むものとする。情報発信装置20は、設置されている電車2の車両番号や、少なくとも自身が運行する路線経路情報等を予め記憶している。情報発信装置20は、指令情報を受信すると、予め記憶している車両番号に基づき、自身の電車2が現在運行している運行区間に関する情報を認識することができる。これにより、情報発信装置20は、路線経路情報を参照して、現在の運行区間に関する情報に基づき、次の駅を示す駅情報を認識できる。
【0029】
情報発信装置20が発信する運行状況情報には、次の駅を示す駅情報を少なくとも有するものとする。なお、第1の実施形態では、運行状況情報に、次の駅を認識させる情報が含まれていればよく、例えば指令情報に含まれる現在の運行区間に関する情報自体を含むようにしてもよい。
【0030】
また、情報発信装置20が運行状況情報を発信するタイミングは、ある駅から次の駅までの区間であれば、特に限定されるものではない。
【0031】
例えば、ある駅に停車している際に、情報発信装置20が指令情報を受信した場合、情報発信装置20は指令情報から次の駅情報を認識できる。従って、この場合、情報発信装置20は、ある駅に停車しているときに、次の駅情報を含む運行状況情報を発信するようにしてもよいし、ある駅から発車した後、所定時間経過後又は所定距離走行後に、運行状況情報を発信するようにしてもよい。また例えば、ある駅と次の駅との間で、情報発信装置20が指令情報を受信した場合、次の駅に到着するまでの間に、情報発信装置20は運行状況情報を発信するようにしてもよい。なお、発信回数は、特に限定されるものではなく、少なくとも1回発信するようにしてもよいし、間欠的に(例えば所定周期毎に)複数回発信するようにしてもよい。
【0032】
なお、第1の実施形態では、情報発信装置20が指令情報送信装置30から指令情報を受信する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、各駅に通信装置が設定されており、ある駅に停車中に、その駅の通信装置から受信するようにしてもよい。
【0033】
また、電車2内のすべての情報発信装置20が指令情報送信装置30から指令情報を受信するようにしてもよいが、この構成に限定されない。例えば、電車2の先頭車両にのみ指令情報を受信する受信装置を設け、電車内にLAN等のネットワークを通じて、各情報発信装置20が指令情報を取得するようにしてもよい。
【0034】
指令情報送信装置30は、交通事業者が管理する情報を指令情報として送信するものである。
【0035】
交通事業者は、電車2の運行状況を管理する運行管理システムを独自に有している。運行管理システムは、どの電車2が現在どこを運行しているか、事故や故障等が生じていないか等を管理するものである。また、運行管理システムは、事故や故障等が生じた場合には、事故等に係る発生区間、発生時刻、車両番号等の運行情報も管理している。指令情報送信装置30は、運行管理システムで管理される情報に基づく指令情報を、例えば、車両に搭載された通信装置、車両基地に設置された通信装置、駅等に設けられた通信装置などに向けて伝送するものである。
【0036】
なお、第1の実施形態では、指令情報送信装置30が、例えばWiMAX(登録商標)で規格化された無線方式で、指令情報を無線伝送する場合を例示する。しかし、伝送方法は、無線伝送に限定されるものではなく、有線伝送するようにしてもよい。
【0037】
(A−1−2)携帯端末の内部構成
図3は、携帯端末10の内部構成を示す内部構成図である。図3において、携帯端末10は、FMアンテナ部101、受信増幅部102、チューナ部103、最新受信情報記憶部104、情報入力部105、最適経路演算部106、経路情報データベース(DB)107、最適経路記憶部108、情報照合部109、アラーム制御部110、表示部111、鳴動部112を少なくとも有する。
【0038】
FMアンテナ部101は、情報発信装置20からのFM電波を捕捉し、捕捉した信号を受信増幅部102に与えるアンテナ部である。
【0039】
受信増幅部102は、FMアンテナ部101からの信号の振幅を増幅し、チューナ部103に与えるものである。
【0040】
チューナ部103は、受信増幅部102からの信号の同調を行うものであり、信号に含まれている文字データ等の運行状況情報を復調するものである。チューナ部103により復調された運行状況情報は、最新受信情報記憶部104に記憶される。
【0041】
最新受信情報記憶部104は、情報発信装置20から受信した運行状況情報を記憶するものである。最新受信情報記憶部104は、最新の運行状況情報を記憶する。例えば、新しい運行状況情報を受信した場合には運行状況情報の上書きを行うことで、最新の運行状況情報を記憶する。
【0042】
情報入力部105は、利用者の操作により情報の入力を行うものである。情報入力部105は、経路探索の際に、出発駅、目的駅、乗車時刻等の情報を取り込んだり、経路探索により複数の候補がある場合に、利用者により選択された情報を取り込んだりする。
【0043】
最適経路演算部106は、情報入力部105から出発駅、目的駅、乗車時刻を受け取り、経路情報DB107を参照して、乗車時刻での出発駅から目的駅までの経路を探索するものである。また、最適経路演算部106は、目的駅までの最適な経路の最適経路情報を最適経路記憶部108に記憶させる。
【0044】
最適経路演算部106は、探索した経路を表示部111に表示する。また、複数の経路候補がある場合には、複数の候補を表示部111に表示させ、利用者に選択させた経路を最適経路とする。
【0045】
なお、最適経路演算部106による経路探索手法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を広く適用することができる。例えば、インターネット等のネットワークに接続する通信手段(図示しない)を通じて、ネットワーク上の経路探索サーバにアクセスし、その経路探索サーバから経路情報を取得する方法を適用することができる。また例えば、携帯端末10が、最適経路演算部106として機能する経路探索アプリケーションをインストールしておき、そのアプリケーションの実行により経路情報を取得するようにしてもよい。
【0046】
経路情報DB107は、交通機関の路線情報、交通ダイヤ情報等を有する経路情報を記憶するものである。
【0047】
最適経路記憶部108は、最適経路演算部106により求められた最適経路の経路情報を記憶するものである。最適経路記憶部108が記憶する経路情報は、路線名、出発駅、目的駅、乗換駅、乗車時刻、到着時刻等で構成される。
【0048】
情報照合部109は、情報発信装置20から運行状況情報を受信すると、最新受信情報記憶部104に記憶される運行状況情報と、最適経路記憶部108に記憶される経路情報との比較を行い、次の駅情報が乗換駅又は目的駅である場合に、次の駅情報が乗換駅又は目的駅である旨をアラーム制御部110に通知する。そうでない場合、情報照合部109は、アラーム制御部110への通知を行わず、次の運行状況情報の受信を待つ。
【0049】
なお、この実施形態では、次の駅情報が乗換駅又は目的駅の場合に報知させるようにするが、情報照合部109が、経路情報を利用して、乗換駅又は目的駅の、2個先の駅、3個先の駅等で報知させるようにしてもよい。これにより、降車準備に余裕をもって、利用者に報知することができる。
【0050】
アラーム制御部110は、情報照合部109から次の駅情報が乗換駅又は目的駅である旨の通知を受けると、鳴動部112に対してアラーム鳴動の指示や、表示部111に次の駅が乗換駅又は目的駅であることの表示を指示するものである。
【0051】
表示部111は、所定の表示画面を表示するものである。表示部111は、探索した経路情報を表示したり、乗換駅又は目的駅であることを表示したりするものである。
【0052】
鳴動部112は、アラーム制御部110の制御に従って、アラームの鳴動を行うものである。
【0053】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の経路案内システム1における処理の動作について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
図4は、第1の実施形態の経路案内システム1における処理の動作を示すシーケンス図である。図5は、第1の実施形態の経路案内システム1における動作を説明する説明図である。
【0055】
図4において、電車2を利用する際、利用者は携帯端末10を用いてアラーム設定を行う(S101)。このとき、情報入力部105は、利用者により入力された経路探索に係る出発駅、目的駅、乗車時刻を取り込み、その出発駅、目的駅、乗車時刻を最適経路演算部106に与える(S102)。
【0056】
最適経路演算部106は、情報入力部105から受け取った出発駅、目的駅、乗車時刻に基づいて、経路情報DB107から、その乗車時刻での出発駅から目的駅までの経路情報を抽出し(S103)、抽出した経路情報から、最適経路の演算を実行する(S104)。なお、最適経路は、例えば、出発駅から目的駅までの所要時間順、到着時刻順、乗換回数順、低料金順等の種々の観点から判断することができる。最適経路演算部106は、上記観点に応じて演算処理を行い、その結果を求める。
【0057】
最適経路演算部106により求められた最適経路情報(最適経路の候補を含む)は、表示部111に与えられ(S105)、表示部111は最適経路を示す表示画面を表示する。
【0058】
利用者は表示部111に表示された表示画面を見て、利用者自身が利用する最適経路を選択する(S106)。この選択された最適経路情報は、最適経路演算部106を介して最適経路記憶部108に与えられ(S107)、最適経路記憶部108に記憶される(S108)。最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報は、路線名、乗車時刻、出発駅、乗換駅、目的駅、到着時刻などである。これにより、少なくとも、乗換駅、目的駅が記憶される。
【0059】
次に、車両内に設けられた情報発信装置20は、所定のタイミングで、運行状況情報を含むFM多重信号を発信する。
【0060】
携帯端末10において、FMアンテナ部101は、情報発信装置20からのFM電波を捕捉し、受信増幅部102及びチューナ部103を介して、運行状況情報を含むFM多重情報が、最新受信情報記憶部104に与えられる(S109)。FM多重情報は最新受信情報記憶部104に記憶される(S110)。
【0061】
情報発信装置20からの運行状況情報が受信されると、情報照合部109は、最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報と、最新受信情報記憶部104に記憶されるFM多重情報との照合を行う(S111)。つまり、情報照合部109は、最新の運行状況情報の受信をトリガとして情報照合処理を開始する。
【0062】
情報照合部109は、最適経路情報として記憶されている目的駅又は乗換駅と、最新の運行状況情報に含まれている次の駅情報とを比較する。そして、運行状況情報の次の駅情報が目的駅又は乗換駅に該当する場合には、目的駅又は乗換駅に接近しているとし(S112)、情報照合部109はアラーム制御部110に対してその旨を通知する(S113)。なお、次の駅情報が目的駅又は乗換駅に該当しない場合、情報照合部109は、S111に戻り、次の運行状況情報の受信を待機する。
【0063】
アラーム制御部110は、表示部111、鳴動部112のいずれか一方又は双方に制御信号を送信する(S113)。これを受けて、表示部111は、目的駅又は乗換駅が近づいたことを知らせる画面を表示する(S114)。また、鳴動部112は、アラームを鳴動する(S115)。
【0064】
上記のような処理から、図5に例示するように、利用者が目的地設定を伴うアラーム設定した後(F101)、携帯端末10が情報発信装置20からFM多重信号を受信し、目的駅であるC駅に接近すると、例えばアラーム鳴動を行う(F102)。
【0065】
なお、第1の実施形態では、報知手段として、表示部111の表示、アラーム鳴動の場合を例示したが、バイブレータの振動等を適用するようにしてもよい。
【0066】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、交通機関を利用する利用者に大抵、最適経路、乗換駅、目的的及び到着時刻等の情報通知により、利用者の乗過ごしや、間違いを軽減できるといった、新たなサービスとして提供することができる。
【0067】
さらに、第1の実施形態は、乗車している交通機関から発せられるFM電波を活用するので、安定した電波状態が保持され、即時性のある安定した情報収集が可能になるものと期待できる。
【0068】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。第2の実施形態も、交通機関の一例として鉄道とする場合の実施形態を説明する。
【0069】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の経路案内システムの構成は、基本的には、第1の実施形態の構成と同じである。そこで、第2の実施形態でも、図1及び図3を用いて、経路案内システム、携帯端末の構成を説明する。
【0070】
第2の実施形態は、交通機関の運行の変更に応じて最適経路の見直しを行い、その新たな経路についての乗換駅又は目的駅に近づいたときに報知する。
【0071】
情報発信装置20は、第1の実施形態と同様に運行状況情報を発信するものである。情報発信装置20が発信する運行状況情報は、第1の実施形態で説明した次の駅情報に加えて、さらに運行情報を含む。
【0072】
ここで、運行情報とは、例えば事故や故障等の発生に関する情報である。運行情報は、例えば、発生した事故や故障等に係る、路線名、運行情報信号種別情報、発生時刻等がある。運行情報信号種別情報とは、発生した事故や故障等の種別を示す情報である。例えば、運行情報信号種別情報は、防護信号、路線立ち入り、踏切障害、人身事故、信号トラブル、停電、踏切事故等がある。なお、運行情報は、この他に、発生区間等を含むようにしてもよい。
【0073】
情報照合部109は、最新受信情報記憶部104に記憶される運行状況情報に、運行情報が含まれているか否かを判断する。運行状況情報に運行情報が含まれている場合、情報照合部109は、運行情報の内容を判断し、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路に影響するものか否かを判断する。
【0074】
ここで、運行情報が最適経路に影響するか否かの判断については、事故等の発生した路線が、最適経路の路線であるとき、影響があると判断する。また、事故や故障等が生じた路線が最適経路の路線でない場合でも、交通事業者が同じであるときや、異なる交通事業者であっても路線乗り入れをしているとき等のように、事故等の発生路線と最適経路の路線との間に所定の関係があるときには、影響があると判断するようにしてもよい。これを実現するには、例えば、予め路線間の関係を示すテーブルを備えておき、情報照合部109は、上記テーブルを参照して、影響があるか否かを判断するようにしてもよい。
【0075】
また、情報照合部109は、運行情報が最適経路に影響すると判断した場合、運行情報を最適経路演算部106に与える。
【0076】
なお、運行状況情報に運行情報が含まれていない場合や最適経路に影響がない場合、情報照合部109は第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0077】
さらに、情報照合部109は、最適経路演算部106が求めた迂回経路を受け取り、その迂回経路と、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路とに基づいて、新たな経路を判断する。
【0078】
経路情報DB107は、第1の実施形態と同様に経路情報を記憶すると共に、予め運行情報信号種別情報毎に復旧目安時間を設定した復旧目安時間情報テーブルを記憶する。
【0079】
最適経路演算部106は、情報照合部109から運行情報を受け取ると、経路情報DB107に記憶されている復旧目安時間情報テーブルを参照して、その運行情報に含まれている運行情報信号種別情報に対応する復旧目安時間を抽出する。そして、最適経路演算部106は、抽出した復旧目安時間を用いて、目的地までの迂回経路を求めるものである。
【0080】
ここで、最適経路演算部106による迂回経路の求める方法としては、種々の方法を適用することができる。
【0081】
例えば、時刻については、運行情報に含まれている事故等の発生時刻に復旧目安時間を加算した時刻を乗車時刻としてもよいし、また、例えば携帯端末10に搭載されている時計から取得した現在時刻に復旧目安時間を加算した時刻を乗車時刻としてもよい。
【0082】
また、区間については、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路情報である出発駅から目的駅までの区間としてもよいし、また、運行状況情報に含まれている次の駅を出発駅として、その出発駅から最適経路情報の目的駅までの区間としてもよい。
【0083】
最適経路演算部106は、上記のようにして求めた区間及び乗車時刻に基づいて、経路情報DB107の経路情報を用いて迂回経路を求める。
【0084】
このとき、最適経路演算部106は、求めた迂回経路のうち、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路を削除するようにしてもよい。これは、迂回経路と最適経路との重複を回避するためである。迂回経路と最適経路との重複を回避することができれば、予め事故等が生じた路線を除外して、最適経路演算部106は迂回経路を求めるようにしてもよい。
【0085】
最適経路記憶部108は、第1の実施形態と同様に最適経路情報を記憶するものである。また、最適経路記憶部108は、情報入力部105を通じて利用者に迂回経路が選択されると、それまで記憶していた最適経路情報を削除し、選択された迂回経路情報に記憶するものである。
【0086】
情報入力部105は、第1の実施形態と同様に、利用者に入力された情報を取り込むものであり、第2の実施形態では、さらに迂回経路の選択情報を取り込む。
【0087】
表示部111は、第1の実施形態と同様の表示画面を表示すると共に、情報照合部109からの迂回経路を表示するものである。
【0088】
なお、FMアンテナ部101、受信増幅部102、チューナ部103、最新受信情報記憶部104、アラーム制御部110及び鳴動部112は、第1の実施形態と同様の処理を行うものである。
【0089】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態の経路案内システム1における処理の動作について図面を参照しながら説明する。
【0090】
図6は、第2の実施形態の経路案内システム1における処理の動作を示すシーケンス図である。
【0091】
まず、第1の実施形態と同様に、携帯端末10において、利用者の操作を受けて、情報入力部105が取り込んだ、出発駅、目的駅及び乗車時刻に基づいて、最適経路演算部106は最適経路を求め、アラーム設定を行う(S101〜S108)。
【0092】
図7は、最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報の一例を示す図である。図7の例では、「入力情報」として「出発駅:JR田町駅」、「目的駅:JR横浜駅」、「乗車時刻:17時15分」とする。この「入力情報」に基づく「最適経路情報」としては、出発駅からの路線については「路線:JR山手線」であり、「乗換駅:JR品川」とする。「乗換駅:JR品川」からの路線については「路線:JR京浜東北線」とする。
【0093】
次に、車両内に設けられた情報発信装置20は、所定のタイミングで、運行状況情報を含むFM多重信号を発信する。
【0094】
携帯端末10において、FMアンテナ部101は、情報発信装置20からのFM電波を捕捉し、受信増幅部102及びチューナ部103を介して、運行状況情報を含むFM多重情報が、最新受信情報記憶部104に与えられる(S109)。FM多重情報は最新受信情報記憶部104に記憶される(S110)。
【0095】
情報発信装置20からの運行状況情報が受信されると、情報照合部109は、最適経路記憶部108に記憶される最適経路情報と、最新受信情報記憶部104に記憶されるFM多重情報との照合を行う(S201)。
【0096】
このとき、情報照合部109は、最新受信情報記憶部104に記憶される運行状況情報に、運行情報が含まれているか否かを判断する(S202)。運行情報が含まれていない場合、S112に移行する。運行情報が含まれている場合、S203に移行する。
【0097】
S203では、情報照合部109が、運行情報の内容に基づいて最適経路に影響があるか否かを判断する(S203)。最適経路に影響がないと判断した場合、S112に移行する。影響があると判断した場合、S204に移行する。
【0098】
図8は、最新受信情報記憶部104に最新受信情報として記憶される運行状況情報の内容を示す図である。図8では、運行情報が含まれている場合を示す。
【0099】
図8において、運行状況情報は、次の駅名を示す「駅情報」と、「運行情報」とを項目として有する。「運行情報」は、さらに、路線名を示す「路線」、「運行情報信号種別」、「発生時刻」を有する。
【0100】
例えば、図8の例においては、「駅情報」から次の駅名が「JR大井町駅」であることを示す。また「運行情報」から、例えば、「路線:JR東海道」について、「運行情報信号種別:信号トラブル」が「発生時刻:17時10分」に発生したこと、及び、「路線:小田急線」について、「運行情報信号種別:線路内立ち入り」が「発生時刻:17時25分」に発生したことを示す。
【0101】
例えば、図7及び図8の例の場合における、情報照合部109の処理を説明する。例えば、情報照合部109は、図8の「駅情報」から次の駅が「JR大井町駅」であること確認する。「JR大井町駅」を通る路線は「JR東海道線(JR京浜東北線)」、「東京急行電鉄」、「東京臨海高速鉄道」である。情報照合部109は、駅の路線に関する情報を予め有するようにしてもよい。
【0102】
また情報照合部109は、「運行情報」から事故等の生じた路線が「小田急線」と「JR東海道線」であることを認識する。なお、「JR大井町駅」では、「JR京浜東北線」の線路と「JR東海道線」の線路とが並行しているので、「JR京浜東北線」と「JR東海道線」とは影響するものである。
【0103】
この例の場合、情報照合部109は、「小田急線」についての運行情報は影響しないと判断するが、「JR東海道線」については影響があると判断する。従って、情報照合部109は最適経路に影響があると判断する。
【0104】
情報照合部109は、運行情報を最適経路演算部106に与える。最適経路演算部106は、経路情報DB107に記憶されている復旧目安時間情報テーブルを参照して、運行情報信号種別情報に対応する復旧目安時間を抽出する(S204)。
【0105】
図9は、復旧目安時間情報テーブルの一例を示す図である。図9において、復旧目安時間情報テーブルは、「運行情報信号種別」とこれに対応する「復旧目安時間」とを対応付けたものである。例えば、「運行情報信号種別:防護信号」の場合、その復旧目安時間は「復旧目安時間:15分」であることを示す。
【0106】
例えば、図7〜図9の例の場合における、最適経路演算部106の処理を説明する。最適経路演算部106は、「路線:JR東海道線」についての運行情報の運行情報信号種別が「信号トラブル」であるから、復旧目安時間情報テーブルを参照して、「信号トラブル」に対応する「復旧目安時間:20分」を経路情報DB107から抽出する。
【0107】
最適経路演算部106は、経路情報DB108から抽出した復旧目安時間情報と、経路情報に基づいて迂回経路演算を実行して、迂回経路を求める(S205)。
【0108】
最適経路演算部105は、求めた迂回経路の迂回経路情報を情報照合部109に与える。情報照合部109は、最適経路演算部106からの迂回経路と、最適経路記憶部108の最適経路とを比較して、どちらが最適であるかを判断する(S206)。
【0109】
ここで、迂回経路の方が最適か否かの判断は、種々の方法を適用することができる。例えば、情報照合部109は、出発駅から目的駅までの所要時間、到着時刻、乗換回数、低料金等の種々の観点から判断することができる。
【0110】
例えば、到着時刻に基づいて、情報照合部109が最適か否かを判断する場合、情報照合部109は、迂回経路による目的駅までの到着時刻と、最適経路による目的駅までの到着時刻とを比較し、迂回経路での到着時刻の方が最適経路よりも早い場合には、迂回経路の方が最適と判断する方法を適用できる。
【0111】
S206で、情報照合部109が迂回経路の方が最適でないと判断した場合、S202に移行し、情報照合部109が処理を繰り返す。
【0112】
一方、情報照合部109が迂回経路の方が最適経路より最適であると判断した場合、情報照合部109は迂回経路情報を表示部111に与えて、表示部111は迂回経路情報を表示する(S207)。
【0113】
表示部111に迂回経路情報が表示されると、利用者の操作により、情報入力部105は、迂回経路に変更するか、又は、現在の最適経路を維持するかのいずれかの選択情報を取り込む(S208)。
【0114】
現在の最適経路が利用者に選択された場合、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路情報が維持される。つまり、処理はS112に移行し、携帯端末10は、最適経路情報を用いて、第1の実施形態と同様に目的駅又は乗換駅に接近すると報知処理を行う。
【0115】
これに対して、迂回経路が利用者に選択された場合、情報入力部105は、利用者に選択された迂回経路情報を、最適経路演算部106を介して、最適経路記憶部108に与える。そして、最適経路記憶部108に記憶されている最適経路情報は削除され、経路情報は選択された迂回経路情報に更新される(S209)。
【0116】
これにより、選択された迂回経路情報が新たな経路情報として設定され、常に最適な経路情報が保持される。
【0117】
その後、携帯端末10は、迂回経路情報を用いて、第1の実施形態と同様に、目的駅又は乗換駅に接近すると報知処理を行う。
【0118】
図10は、第2の実施形態の経路案内システム1における処理を説明する説明図である。
【0119】
図10において、利用者が目的地設定を伴うアラーム設定する(F101)。その後、B駅とC駅との間で故障が発生したとする(F102)。このとき、故障を起こした電車は故障信号情報を運行管理システム(図示しない)に送信する。これにより、交通事業者側は、故障を検出することができる。
【0120】
図示しない指令情報送信装置から故障発生情報を含む指令情報を送信し、情報発信装置(図示しない)が故障発生に関する運行情報を含む運行状況情報を含むFM多重信号を発信する。
【0121】
携帯端末10は情報発信装置からのFM多重信号を受信し、運行状況情報に含まれる運行情報に基づいて、故障信号の検知及び経路再検索、迂回経路を表示する。そして、利用者が迂回経路への変更を選択すると、その迂回経路情報が設定される(F203)。
【0122】
例えば、最適経路がA駅→B駅→C駅であるのに対し、B駅−C駅間を迂回する迂回経路が、B駅→D駅→E駅→C駅であるとする。この場合、迂回経路情報の「乗換駅」として、「B駅」、D駅」、「E駅」が設定される。
【0123】
従って、その後、携帯端末10は、情報発信装置からのFM多重信号の受信により、運行状況情報及び迂回経路情報に基づき、B駅接近時(F203)、D駅接近時(F204)、E駅接近時にアラーム鳴動を行う。また、目的地であるC駅接近時にも、携帯端末10はアラーム鳴動を行う(F205)。
【0124】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、リアルタイム性を持った最適経路情報を利用者に提供することができ、その最適経路情報に基づく経路案内により、利用者の混乱防止や、駅の混雑緩和に寄与することができる。
【0125】
(C)第3の実施形態
次に、本発明の経路案内支援装置、プログラム及びシステム、並びに情報発信装置の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0126】
第3の実施形態は、携帯端末10における運行情報の取得について、例えばインターネット等のネットワークを通じても取得可能とする実施形態である。
【0127】
図11は、第3の実施形態の携帯端末40の内部構成を示す内部構成図である。図11において、携帯端末40は、FMアンテナ部101、受信増幅部102、チューナ部103、最新受信情報記憶部104、情報入力部105、最適経路演算部106、経路情報データベース(DB)107、最適経路記憶部108、情報照合部109、アラーム制御部110、表示部111、鳴動部112、ネットワーク接続部401、メール通信部402、メール情報伝達部403を少なくとも有する。
【0128】
図11において、第3の実施形態の携帯端末40は、第2の実施形態の構成に加えて、ネットワーク接続部401、メール通信部402、メール情報伝達部403を有する。図11において、図3に示す第2の実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。
【0129】
ネットワーク接続部401は、例えばインターネット等のネットワークに接続する処理部である。
【0130】
メール通信部402は、電子メール通信を行う通信処理部である。メール通信部402は、ネットワーク接続部401と通じて接続したネットワーク上のサーバから、電子メールを受信する。この電子メールには、運行情報が記載されている。
【0131】
例えば、交通事業者や通信事業者等が、ネットワークを通じて、交通機関の運行情報を伝えるサービスがある。利用者はそのサービス提供の登録している。メール通信部402は、上記サービスで契約された時期に、運行情報が記載された電子メールを受信する。
【0132】
メール情報伝達部403は、メール通信部402が受信した電子メールに記載されている運行情報を抽出し、その抽出した運行情報を最新受信情報記憶部104に記憶するものである。
【0133】
なお、情報照合部109が、最適経路情報及び最新の運行情報に基づいて行うアラーム制御処理や最適経路の見直し処理は、第1の実施形態や第2の実施形態と同じであるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0134】
上記のように、第3の実施形態によれば、電子メールで運行情報を取得する場合でも、第1及び第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0135】
(D)他の実施形態
(D−1)第1〜第3の実施形態において、利用者が携行する携帯端末は、FM電波を受信できる端末であれば、様々な端末に適用することができる。例えば、携帯端末としては、現在の提供サービスで利用されている携帯電話機をはじめ、非接触型ICカードやFMラジオへ機能を追加した新端末等、様々な端末が利用できる。
【0136】
(D−2)第1〜第3の実施形態において、携帯端末は電車に設置された情報発信装置から情報を取得することができるので、不正乗車防止に大きく貢献できる。
【0137】
(D−3)本発明は、情報発信装置及び携帯端末がFM電波を利用しており、例えば医療器具への影響は全くないものと考えられる。
【0138】
(D−4)第3の実施形態では、運行情報を電子メールで取得する場合の変形実施形態を説明した。しかし、例えば、インターネット等のネットワーク上のサーバから、運行情報を取得することができれば、電子メールに限定されるものではない。
【0139】
(D−5)第1〜第3の実施形態の携帯端末の各種機能は、いわゆるソフトウェア処理により実現することができる。例えば、携帯端末のハードウェアは、CPU、RAM、ROM、EEPROM等から構成される。そして、CPUが、ROMに格納される各種機能の処理プログラムをROMから読み出し、そりに必要なデータを用いて処理プログラムを実行することで、各種機能は実現される。
【0140】
(D−6)交通機関は、鉄道、バス、航空機、船舶等その他の機関を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1…経路案内システム、10及び40…携帯端末、
101…FMアンテナ部、102…受信増幅部、103…チューナ部、
104…最新受信情報記憶部、105…情報入力部、106…最適経路演算部、
107…経路情報データベース(DB)、108…最適経路記憶部、
109…情報照合部、110…アラーム制御部、111…表示部、112…鳴動部、
401…ネットワーク接続部、402…メール受信部、403…メール情報伝達部、
20…情報発信装置、30…指令情報送信装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援装置において、
少なくとも、目的点までの経路について、上記交通機関の乗換点又は上記目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、
上記情報発信手装置から発信された上記運行状況情報を受信する情報受信手段と、
上記情報受信手段により受信された最新の上記運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、
上記最新の運行状況情報と上記目的点情報とに基づき、上記乗換点又は上記目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、
上記情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段と
を備えることを特徴とする経路案内支援装置。
【請求項2】
上記交通機関の運行変更が生じた場合、上記運行状況情報が、運行変更を示す運行情報を有するものであり、
上記情報照合手段は、上記最新の運行状況情報に上記運行情報が含まれているか否かを判断するものであり、
上記情報照合手段により上記運行情報が含まれている判断されると、上記目的点までの経路とは異なる代替経路を検索する代替経路検索手段と、
上記代替経路検索手段により検索された上記代替経路を表示する表示手段と、
利用者により当初の上記目的点までの経路又は上記代替経路のいずれかの選択を取り込む入力手段と、
上記入力手段から上記代替経路の選択を受けると、上記目的点情報記憶手段に記憶される上記目的点情報について、上記代替経路の乗換点又は目的点に更新する更新手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の経路案内支援装置。
【請求項3】
上記交通機関の運行変更が障害によるものであり、上記運行情報が障害の種別を示す障害種別情報を有するものであり、
障害発生の際に、障害種別毎の上記交通機関の復旧目安時間情報を記憶する復旧目安時間情報記憶手段をさらに備え、
上記代替経路検索手段が、上記運行情報の上記障害種別情報に対応する上記復旧目安時間情報を用いて、上記代替経路を検索するものである
ことを特徴とする請求項2に記載の経路案内支援装置。
【請求項4】
交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援プログラムにおいて、
コンピュータを、
少なくとも、目的点までの経路について、上記交通機関の乗換点又は上記目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段、
上記情報発信手装置から発信された上記運行状況情報を受信する情報受信手段、
上記情報受信手段により受信された最新の上記運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段、
上記最新の運行状況情報と上記目的点情報とに基づき、上記乗換点又は上記目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段、
上記情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段
として機能することを特徴とする経路案内支援プログラム。
【請求項5】
携帯端末と、
交通機関に設置されたものであって、当該交通機関の運行状況情報を発信する情報発信手段と
を備え、
上記携帯端末が、
少なくとも、目的点までの経路について、上記交通機関の乗換点又は上記目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、
上記情報発信手装置から発信された上記運行状況情報を受信する情報受信手段と、
上記情報受信手段により受信された最新の上記運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、
上記最新の運行状況情報と上記目的点情報とに基づき、上記乗換点又は上記目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、
上記情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段と
を有する
ことを特徴とする経路案内支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の経路案内支援システムを構成するものであって、交通機関に設置され、当該交通機関の運行状況情報を発信することを特徴とする情報発信装置。
【請求項1】
交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援装置において、
少なくとも、目的点までの経路について、上記交通機関の乗換点又は上記目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、
上記情報発信手装置から発信された上記運行状況情報を受信する情報受信手段と、
上記情報受信手段により受信された最新の上記運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、
上記最新の運行状況情報と上記目的点情報とに基づき、上記乗換点又は上記目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、
上記情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段と
を備えることを特徴とする経路案内支援装置。
【請求項2】
上記交通機関の運行変更が生じた場合、上記運行状況情報が、運行変更を示す運行情報を有するものであり、
上記情報照合手段は、上記最新の運行状況情報に上記運行情報が含まれているか否かを判断するものであり、
上記情報照合手段により上記運行情報が含まれている判断されると、上記目的点までの経路とは異なる代替経路を検索する代替経路検索手段と、
上記代替経路検索手段により検索された上記代替経路を表示する表示手段と、
利用者により当初の上記目的点までの経路又は上記代替経路のいずれかの選択を取り込む入力手段と、
上記入力手段から上記代替経路の選択を受けると、上記目的点情報記憶手段に記憶される上記目的点情報について、上記代替経路の乗換点又は目的点に更新する更新手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の経路案内支援装置。
【請求項3】
上記交通機関の運行変更が障害によるものであり、上記運行情報が障害の種別を示す障害種別情報を有するものであり、
障害発生の際に、障害種別毎の上記交通機関の復旧目安時間情報を記憶する復旧目安時間情報記憶手段をさらに備え、
上記代替経路検索手段が、上記運行情報の上記障害種別情報に対応する上記復旧目安時間情報を用いて、上記代替経路を検索するものである
ことを特徴とする請求項2に記載の経路案内支援装置。
【請求項4】
交通機関に設置された情報発信装置が発信した当該交通機関の運行状況情報に基づいて、当該交通機関の利用に係る経路案内の支援を行う経路案内支援プログラムにおいて、
コンピュータを、
少なくとも、目的点までの経路について、上記交通機関の乗換点又は上記目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段、
上記情報発信手装置から発信された上記運行状況情報を受信する情報受信手段、
上記情報受信手段により受信された最新の上記運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段、
上記最新の運行状況情報と上記目的点情報とに基づき、上記乗換点又は上記目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段、
上記情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段
として機能することを特徴とする経路案内支援プログラム。
【請求項5】
携帯端末と、
交通機関に設置されたものであって、当該交通機関の運行状況情報を発信する情報発信手段と
を備え、
上記携帯端末が、
少なくとも、目的点までの経路について、上記交通機関の乗換点又は上記目的点を示す目的点情報を記憶する目的点情報記憶手段と、
上記情報発信手装置から発信された上記運行状況情報を受信する情報受信手段と、
上記情報受信手段により受信された最新の上記運行状況情報を記憶する運行状況情報記憶手段と、
上記最新の運行状況情報と上記目的点情報とに基づき、上記乗換点又は上記目的点についての報知位置に該当するか否かを判断する情報照合手段と、
上記情報照合手段による照合結果に基づいて報知を行う報知手段と
を有する
ことを特徴とする経路案内支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の経路案内支援システムを構成するものであって、交通機関に設置され、当該交通機関の運行状況情報を発信することを特徴とする情報発信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−56358(P2012−56358A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199156(P2010−199156)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
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