説明

経路案内装置、情報センタ、経路案内システム、及び経路案内方法

【課題】推奨経路からの逸脱を抑制すること。
【解決手段】設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内装置は、推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶手段と、逸脱位置記憶手段により記憶された逸脱位置情報に基づいて、推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出手段と、高逸脱位置検出手段により検出された高逸脱位置に基づいて、経路案内を行う経路案内手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路案内を行う経路案内装置、情報センタ、経路案内システム、及び経路案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の現在位置が推奨経路を逸脱した場合、すなわち、オフルートした場合に、推奨経路まで戻るためのリルート経路を案内するための案内情報を、情報センタがあらかじめ作成し、推奨経路を案内するための案内情報とともに情報端末に送信するナビゲーションシステムが提案されている。
【0003】
また、オフルートした場合において、わかり難く経路案内の必要性が高いリルート経路についてのみ、情報センタにおいて案内情報を作成して情報端末に送信するナビゲーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−132904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す従来のナビゲーションシステムにおいては、経路がわかり難い場合にリルート経路を案内情報として提供を行っている。この場合、例えば、複数の道路が交差し、走行方向がわかり難い交差点等において、ユーザが推奨経路から逸脱しないような観点で案内情報が提供されている訳ではない。したがって、ユーザが推奨経路を逸脱する虞が改善されたとは言えない。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、推奨経路からの逸脱を抑制することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内装置であって、
前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶手段と、
前記逸脱位置記憶手段により記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出手段と、
前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置に基づいて、前記経路案内を行う経路案内手段と、を備えることを特徴とする経路案内装置である。
【0007】
この一態様によれば、経路案内手段は高逸脱位置検出手段により検出された高逸脱位置に基づいて、例えば、注意喚起、走行支援制御等を行いつつ、経路案内を行う。これにより、車両等が推奨経路から逸脱するのを抑制することができる。
【0008】
また、この一態様において、前記経路案内手段は、前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置に車両が接近したときに、注意喚起を行うのが好ましい。この注意喚起により、車両等が推奨経路から逸脱するのを効果的に抑制することができる。
【0009】
さらに、この一態様において、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を更に備え、
前記経路案内手段は、前記走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記注意喚起の態様を可変させるのが好ましい。なお、注意喚起の態様とは、例えば、注意喚起の方法、注意喚起のタイミング等を指す。
【0010】
この一態様において、ユーザの個人情報を取得するユーザ情報取得手段を更に備え、
前記経路案内手段は、前記ユーザ情報取得手段により取得された前記ユーザの個人情報に応じて、前記注意喚起の態様を可変させるのが好ましい。
【0011】
この一態様において、車両の走行環境を検出する走行環境検出手段を更に備え、
前記経路案内手段は、前記走行環境検出手段により検出された前記車両の走行環境に応じて、前記注意喚起の態様を可変させるのが好ましい。
【0012】
この一態様において、前記経路案内手段は、前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置に車両が接近したときに、前記車両の走行支援制御を行うのが好ましい。
【0013】
なお、前記車両の走行支援制御は、例えば、車両の制動力制御、駆動力制御、及び操舵力制御からなる群のうちいずれか少なくとも一つから選択されてなる。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明の一態様は、
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内装置との間で、情報の送受信を行う情報センタであって、
前記経路案内装置から送信された前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を受信する受信手段と、
該受信手段により受信された前記逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶手段と、
前記逸脱位置記憶手段により記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出手段と、
前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置を前記経路案内装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする情報センタであってもよい。
【0015】
さらに、上記目的を達成するための本発明の一態様は、
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内装置を備える経路案内システムであって、
前記経路案内装置から送信される、前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を受信する受信手段と、該受信手段により受信された前記逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶手段と、前記逸脱位置記憶手段により記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出手段と、該高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置を前記車両に送信する送信手段と、を有する情報センタを備え、
前記経路案内装置は、前記情報センタの前記逸脱位置送信手段により送信された前記高逸脱位置に基づいて、前記車両の経路案内を行うことを特徴とする経路案内システムであってもよい。
【0016】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内方法であって、
前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶ステップと、
前記逸脱位置記憶ステップにより記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出ステップと、
前記高逸脱位置検出ステップにより検出された前記高逸脱位置に基づいて、前記経路案内を行う経路案内ステップと、を備えることを特徴とする経路案内方法であってよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、推奨経路からの逸脱を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、車両用のナビゲーション装置等の経路案内装置の基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例に係る経路案内システムを示す概略図である。本実施例に係る経路案内システム1は、サーバとしての機能を有する情報センタ2と、各車両に搭載され、情報センタ2と通信網3を介して、通信を行う経路案内装置4と、を備えている。
【0020】
各車両の経路案内装置4は、設定された推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を、通信網3を介して、情報センタ2へ送信する(図2(a))。情報センタ2は、各車両の経路案内装置4から送信された逸脱位置情報に対し統計処理等を行い、推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出し、記憶する。
【0021】
情報センタ2は、各車両の推奨経路上において、高逸脱位置が存在する場合は、その高逸脱位置を、通信網3を介して当該車両の経路案内装置4に送信する。経路案内装置4は、情報センタ2から送信された高逸脱位置に自車両が接近したと判断したとき、逸脱し易いことをユーザに対して、注意喚起する(図2(b))。これにより、ユーザが推奨経路から逸脱するのを抑制できる。
【0022】
次に、上述した経路案内システム1の経路案内装置4について、詳細に説明する。図3は本発明の一実施例に係る経路案内システム1の経路案内装置4及び情報センタ2の概略の構成を示すブロック図である。なお、経路案内装置4は、実際には複数の車両に夫々搭載されているが、本実施例においては、説明の都合上、一つの車両に搭載された経路案内装置4を用いて説明する。
【0023】
各車両には、車両の経路案内を行うナビゲーション装置等の経路案内装置4が搭載されている。
【0024】
経路案内装置4は、車両の現在位置を検出する位置検出部41と、地図情報が入力される地図情報入力部42と、当該装置4を操作する為の入力部43と、音声案内等を行う為のスピーカ等の音声出力部44と、外部メモリ等の記憶部45と、表示部46と、外部と通信を行う送受信部47と、これらに接続され、各種の制御処理を行う制御処理部48と、を備えている。
【0025】
位置検出部41は、GPS(Global Positioning System)等を利用して車両の位置を計測するためのものであり、複数のGPS衛星からの信号を受信して車両の絶対位置を計測するGPS受信機、車両の相対位置を計測するための速度センサ、方位センサ等を備えている。
【0026】
速度センサ及び方位センサは、自律航法に使用される。これらセンサによって計測される相対位置は、GPS受信機が衛星からの電波を受信することができないトンネル内などにおいて車両の現在位置を得たり、GPS受信機によって計測された絶対位置の測定誤差を補正したりする時に利用される。
【0027】
地図情報入力部42は、車両の位置を高精度に検出する為のマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む記憶媒体の読み込みを行う。記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD、HDD、メモリカード等が用いられる。
【0028】
なお、制御処理部48は、例えば、位置検出部41により検出された車両の現在位置と、地図情報入力部42から読み込まれた地図情報と、に基づいて、車両の現在位置を地図情報の道路上で認識する。
【0029】
入力部43は、例えば表示部46と一体となったタッチパネルスイッチ、機械式スイッチ等が用いられる。この入力部43を介して、例えば、推奨経路の設定、変更等が行われる。
【0030】
なお、入力部43には、各種スイッチ、表示部46の表示画面に取り付けられたタッチパネル、電波式、赤外線式等のリモートコントロール装置、音声認識を利用したデータ入力装置等が含まれる。
【0031】
タッチパネルは、表示部46に表示されたアイコン等を利用者が指、ペン等でタッチすることによって、対応する情報や命令が入力されるようになっている。なお、入力部43として、音声認識装置が利用された場合、操作者の発生する音声を認識して、対応するデータや命令が入力される。
【0032】
表示部46は、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等の画面を有しており、表示部46の画面上には、位置検出部41から入力された車両の現在位置のマークと、地図情報入力部42から入力された地図情報と、地図情報上に表示される推奨経路等の付加データとが重畳した状態で表示される。なお、表示部46は、経路案内の設定画面と、推奨経路の案内画面、設定画面、変更画面と切換えて操作する為のメニューボタンを表示してもよい。
【0033】
送受信部47は、送信機、受信機、アンテナ等を含み、通信網3を介して、情報センタ2との間で通信を行う。送受信部47としては、例えばデータ通信モジュール(Data Communication Module;以下、DCMと称す。)が用いられている。DCMは、CDMA(Code Division Multiple Access)方式等のデジタル通信方式を用いて、約2.4Mbpsの通信速度(最高速度)で通信を行うことが可能である。なお、送受信部47に自動車電話機、携帯電話機等の移動体通信機が接続される構成であってもよい。
【0034】
送受信部47は、通信アンテナ又は移動体通信機を介して、通信網3との接続を行うことができる。この通信網3には、例えば、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、衛星通信回線網、自動車電話網、携帯電話網、PHS(Personal Handy−PhoneSystem)電話網等が含まれ、また、これらを任意に組み合わせたものであってもよい。また、CS放送、BS放送等の衛星放送、地上波デジタルテレビ放送、FM多重放送等の放送を利用して通信してもよい。
【0035】
さらに、送受信部47は、路上に配設されたETC(Electronic Toll Collection)等の路上通信機と通信接続を行い、路車間通信を行ってもよい。
【0036】
なお、路上通信機との路車間通信には、例えばDSRC(Dedicated Short−Range Communication)無線が用いられている。DSRC無線は電波周波数が5.8GHzと非常に高いため電波混信が少なく、かつ通信速度が1.024Mbpsと高速であることから、路車間通信には特に有効である。
【0037】
また、送受信部47は、他車両に搭載された車載通信機との間で車車間通信を行ってもよい。さらに、送受信部47は上述した路車間通信又は車車間通信を介して、情報センタ2とデータの送受信を行ってもよい。
【0038】
制御処理部48は、プログラムを実行して各種の演算処理、制御処理等を行うCPU(Central Processing Unit)48a、このCPU48aの実行プログラム、処理対象データ等を格納するROM(Read Only Memory)48b、演算結果等を格納する読書き可能なRAM(Random Access Memory)48c、入出力インターフェイス(I/O)48d等を有している。また、これらCPU48a、ROM48b、RAM48c、及び入出力インターフェイス48dは、データバス48eにより相互に接続され、データの送受信を行っている。
【0039】
ROM48bには、出発地(ナビゲーションの開始位置)から目的地(ナビゲーションの終了位置)までの推奨経路を探索する為の経路探索プログラム、全体の動作を制御管理するためのオペレーションプログラム(OS)等のCPU48aにより実行される各種のプログラムが格納されている。また、RAM48cには、データを格納するデータ格納領域と、プログラムの実行に際して適宜利用されるプログラム実行領域が確保されている。
【0040】
制御処理部48は、入力部43を介して、ユーザにより入力された指示命令に基づいて、経路探索プログラムを実行させ、目的地までの推奨経路の探索を行う。なお、推奨経路の探索処理は、公知の技術であり、経路全体の距離が最も短いものを最適経路とするなどの条件で推奨経路が設定される。
【0041】
制御処理部48は、探索した推奨経路を、上述の如く、表示部46の画面上において、位置検出部41から入力された車両の現在位置のマークと、地図情報入力部42から入力された地図情報と共に、重畳した状態で表示される。ユーザは、この表示部46に表示される推奨経路に従って、車両を操作することで目的地へ到達することができる。
【0042】
なお、制御処理部48は、表示部46により推奨経路を表示させることで、推奨径路の案内をしつつ、入力部43を介して設定された設定モードに応じて、音声出力部44から音声を出力させて、音声による推奨経路の案内を行う。
【0043】
また、制御処理部48は、位置検出部41により検出された車両の現在位置に基づいて、車両が推奨経路上から逸脱(オフルート)したと判断した場合に、再度、経路探索プログラムを実行させて、車両が逸脱した位置又は車両の現在位置から、目的地までのリルート経路を探索する。そして、制御処理部48は、この探索されたリルート経路を新たに推奨経路として、再設定する。これにより、ユーザが誤って、推奨経路から逸脱した場合においても、リルート経路に基づいて、容易に目的地まで誘導することができる。
【0044】
制御処理部48は、上述の如く、車両が推奨経路上から逸脱(オフルート)したと判断した場合に、車両が推奨経路から逸脱した位置(以下、逸脱位置情報と称す。)を検出する。制御処理部48は、検出した逸脱位置情報を、推奨経路情報と共に送受信部47を介して情報センタ2に送信する。
【0045】
なお、逸脱位置情報には、例えば、緯度、経度、住所、電話番号、地名、交差点名、最寄りの建物の名称、道路、座標等の位置を特定できるあらゆる情報が含まれる。
【0046】
情報センタ2は、経路案内装置4の制御処理部48から逸脱位置情報、及び推奨経路を受信した場合に、又は送信要求信号を受信した場合に、当該車両の推奨経路上において、当該推奨経路から逸脱し易い高逸脱位置が存在するか否かを判断する。なお、高逸脱位置の詳細については、後述する。情報センタ2は、高逸脱位置が存在すると判断した場合、当該高逸脱位置を当該車両の経路案内装置4の送受信部47に通信網3を介して、送信する。
【0047】
経路案内装置4の制御処理部48は、送受信部47により受信された高逸脱位置と、位置検出部41により検出された車両の現在位置と、に基づいて、車両が高逸脱位置に接近したか否かを判断する。なお、制御処理部48は、例えば、車両の現在位置と高逸脱位置との間の距離が所定距離以内となる場合に、車両が高逸脱位置に接近したと判断する。
【0048】
制御処理部48は、車両が高逸脱位置に接近したと判断した場合、そのことをユーザに対して注意喚起を行う。なお、注意喚起の方法には、例えば、音声出力部44から音声を出力させる、車両に配設された車両ライトを点灯又は点滅させる、ステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、シート等の運転者と接触する車両部材を振動させる、表示部46の画面上において、前方に推奨経路から逸脱し易い場所があることを文字、記号、色、輝度等を可変させて表示する、方法が含まれる。
【0049】
なお、音声出力部44の音声により注意喚起する場合は、高逸脱位置に接近するほど、音量を増加させるようにしてもよい。さらに、車両ライトの点灯又は点滅させる場合は、高逸脱位置に接近するほど、ライドの照度を増加させ、又は点滅の周期を短くするようにしてもよい。車両部材を振動させる場合は、高逸脱位置に接近するほど、振動を増幅させるようにしてもよい。
【0050】
制御処理部48は、逸脱位置情報と共に、ユーザ情報、逸脱時における走行状態情報、逸脱時における走行環境情報等を情報センタ2に送信してもよい。
【0051】
なお、ユーザ情報としては、例えば運転者の性別(男性、女性)、年齢、身体情報(身長、体重、健康状態等)等を指す。また、逸脱時における走行状態情報としては、例えば、車両が推奨走行経路を逸脱したときの車速、加速度等を指す。さらに、逸脱時における走行環境情報としては、例えば、車両が推奨走行経路を逸脱したときの天候状態(晴天、雨天、曇り、降雪等)、時間帯(朝時間帯、昼時間帯、夕時間帯、夜時間帯等)、年月日(休日、祝祭日、平日、春、夏、秋、冬等)、渋滞状態(車両密度等)等を指す。
【0052】
制御処理部48には、ユーザを認証する認証センサ49が接続されている。認証センサ49によるユーザの認証として、例えばカメラにより撮影された画像に基づいて、ユーザが認証されてもよく、またスマートキーによりユーザが認証されてもよい。ここで、スマートキーとは、キー自身と制御処理部48とが、自動的にIDコードの照合を行い、認証を行うキーである。
【0053】
認証センサ49により認証されたユーザ情報(性別、年齢、身体情報等)は、例えば、予め制御処理部48のROM48b内において、ユーザID毎にテーブル等を用いて記憶されていてもよい。この場合、ユーザの個人認証が行われると、制御処理部48は個人認証(ユーザID)に基づいて、予め記憶されたユーザ情報をROM48bから読み込み、送受信部47及び通信網3を介して、情報センタ2に対して送信する。
【0054】
なお、上記ユーザ情報と共に、車両ID等の車両情報が送信されてもよい。情報センタ2は、この車両IDと予め記憶されたテーブルと照合することで、各車両の車両情報を認識することができる。車両情報には、例えば、製造メーカ、車両の名称、車両のエンジン排気量、車両重量、変速機の形式(マニュアル、オートマチック、セミオートマチック)、車両寸法、総走行距離等が含まれる。
【0055】
次に、経路案内システム1の情報センタ2について、詳細に説明する。
【0056】
情報センタ2は、送受信部21、情報処理部22、データベース23等を有し、サーバとして機能する。なお、情報センタ2は、単一のサーバでもよく、複数のサーバが有機的に結合した分散型サーバでもよい。
【0057】
情報センタ2の送受信部21は、複数の車両に搭載された経路案内装置4の送受信部47と、通信網3を介して、データの送受信を行う。
【0058】
送受信部47により受信された逸脱位置情報、ユーザ情報、逸脱時における走行状態情報、逸脱時における走行環境情報、車両情報等は、データベース23に送信され、記憶される。
【0059】
データベース23は、例えば、磁気ディスク等から構成されるハードディスク(HDD)が用いられ、データが階層状に記憶される。また、データベース23には、オペレーションプログラム及び情報サーバプログラムが格納されている。
【0060】
情報サーバプログラムは、オペレーションプログラム上で、情報処理部22のRAM22cに確保される情報サーバワークメモリを作業領域として動作することで、ネットワークサーバとしての機能を実現する。さらに、データベース23において、送受信部21で受信された逸脱位置情報は、同一の経路案内装置4から送信されたユーザ情報、走行状態情報、走行環境情報、及び車両情報と組合せた状態で記憶される。
【0061】
情報処理部22は、データベース23に記憶された情報を必要に応じて、読み出し、情報処理を実行する。なお、情報処理部22は、相互にデータバス22eにより接続されるCPU22a、ROM22b、RAM22c、入出力インターフェイス22d等を有している。
【0062】
情報処理部22は、データベース23に記憶された逸脱位置情報等に対して、各種の情報処理を行う。情報処理部22は、逸脱位置情報に対して、ヒストグラム、度数分布、正規分布等を用いた統計的処理を行い、データベース23上に記憶する。
【0063】
例えば、情報処理部22は、同一の逸脱位置(例えば、交差点A〜F)における逸脱回数(図4)に関して、正規分布を生成し(図5)、データベースに記憶させる。なお、図5に示す正規分布において、μは逸脱回数の平均値を示しており、σは逸脱回数の標準偏差値を示している。
【0064】
情報処理部22は、新たな逸脱位置情報が送受信部21で受信される毎に、この受信された逸脱位置情報に基づいて、正規分布を更新し、データベース23に記憶させる。なお、情報処理部22は、ユーザ情報毎、走行状態情報毎、走行環境情報毎、車両情報毎又はこれらの任意の組合せ毎に、逸脱回数の正規分布を生成してもよい。これにより、正規分布の精度が向上する為、高逸脱位置を高精度に検出することができる。
【0065】
情報処理部22は、この更新された正規分布に基づいて、逸脱回数が所定値以上(例えば、μ+σ以上)となる交差点A〜Fを高逸脱位置と判断し、データベース23に記憶させる。
【0066】
情報処理部22は、送受信部21により受信される各経路案内装置4からの推奨経路情報と、データベース23に記憶された高逸脱位置と、に基づいて、この推奨経路上に高逸脱位置が存在するか否かを判断する。
【0067】
情報処理部22は、推奨経路上に高逸脱位置が存在すると判断した場合、この高逸脱位置を、送受信部21を介して、経路案内装置4に対して、送信する。情報処理部22は、推奨経路情報に基づいて、車両が高逸脱位置である交差点を直進する場合等の逸脱する虞が低い場合、上述の高逸脱位置を送信しないようにしてもよい。
【0068】
次に、上述した経路案内システム1の処理フローについて、説明する。図6は、経路案内システム1の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0069】
各車両の経路案内装置4は、送受信部47及び通信網3を介して、逸脱位置情報、推奨経路情報、ユーザ情報、走行状態情報、走行環境情報、及び車両情報を情報センタ2に対して、所定周期で送信する(S100)。
【0070】
情報センタ2の情報処理部22は、送受信部21により受信された逸脱位置情報に基づいて、正規分布を生成、又はデータベース23に記憶された、対応する正規分布を更新し、更新された正規分布に基づいて、高逸脱位置を検出し、データベース23に記憶させる(S110)。
【0071】
情報センタ2の情報処理部22は、経路案内装置4から送信された推奨経路情報と、データベース23に記憶された高逸脱位置に基づいて、この推奨経路上に高逸脱位置が存在するか否かを判断する(S120)。
【0072】
情報処理部22は、この推奨経路上に高逸脱位置が存在すると判断したとき(S120のYes)、送信された経路案内装置4に対して、この高逸脱位置を送信する(S130)。一方、情報処理部22は、この推奨経路上に高逸脱位置が存在しないと判断したとき(S120のNo)、送信された経路案内装置4に対して、高逸脱位置を送信しない(S140)。
【0073】
経路案内装置4の制御処理部48は、送受信部47を介して、情報センタ2から高逸脱位置を受信すると(S130)、この高逸脱位置と、推奨経路と、車両の現在位置と、に基づいて、車両が高逸脱位置に接近したか否かを判断する(S150)。
【0074】
制御処理部48は、高逸脱位置と車両の現在位置との距離が所定距離以内となり、車両が高逸脱位置に接近したと判断したとき(S150のYes)、そのことをユーザに対して注意喚起を行う(S160)。一方、制御処理部48は、車両が高逸脱位置と車両の現在位置との距離が所定距離より大きく、車両が高逸脱位置に接近していないと判断したとき(S150のNo)、ユーザに対して注意喚起を行わない(S170)。
【0075】
以上、本実施例に係る経路案内システム1において、経路案内装置4は、車両が推奨経路上の高逸脱位置に接近したと判断したとき、運転者に対して、注意喚起を行う。これにより、車両が推奨経路から逸脱するのを抑制することができる。
【0076】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0077】
例えば、上記一実施例において、情報処理部22は、正規分布に基づいて、逸脱回数が所定値以上となる交差点を高逸脱位置と判断しているが、対象となる地点の所定期間における通過車両のうち、推奨経路を逸脱した車両の台数(回数)に基づいて、逸脱確率(逸脱台数/通過台数)を求め、この逸脱確率が所定の確率以上の場合に高逸脱位置と判断してもよい。
【0078】
上記一実施例において、経路案内装置4が車両に搭載される場合に適用されているが、経路案内装置4が携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、携帯ゲーム機等の携帯情報端末に内蔵される場合にも適用可能である。この場合、携帯情報端末を携帯する歩行者等が、推奨経路を移動する過程で、高逸脱位置に接近したときに、注意喚起等が行われる。
【0079】
上記一実施例において、経路案内装置4は、車両が高逸脱位置に接近したと判断したとき、注意喚起を行っているが、車両の制動力、駆動力、操舵力等の制御する走行支援制御を行ってもよく、これら注意喚起と走行支援制御の実行とを任意に組み合わせてもよい。例えば、経路案内装置4は、車両が高逸脱位置に接近したと判断したとき、ブレーキECU(電子式制御装置)に制御信号を送信して、車両を減速させるような制御を行ってもよく、エンジンECUに制御信号を送信して、エンジンの出力を低下させるような制御を行ってもよい。さらに、経路案内装置4は、車両が高逸脱位置に接近したと判断したとき、EPS(パワーステアリング)−ECUに制御信号を送信して、ステアリングの操舵トルクを制御してもよい。
【0080】
上記一実施例において、経路案内システム1は、経路案内装置4と、情報センタ2と、を備える構成であるが、経路案内装置4のみで構成されていてもよい。すなわち、経路案内装置4が、上述の情報センタ2の機能を併せ持つ構成であってもよい。例えば、経路案内装置4の制御処理部48が、正規分布等の統計的処理を行って、上述した高逸脱位置を検出する。このとき、経路案内装置4は、車車間通信、路車間通信等を用いて、他車両の逸脱位置情報等を取得してもよい。
【0081】
上記一実施例において、経路案内装置4が推奨経路の探索を行っているが、情報センタ2が推奨経路の探索を行う構成であってもよい。
【0082】
上記一実施例において、経路案内装置4が、車両の高逸脱位置への接近を判断しているが、情報センタ2が経路案内装置4から送信される車両の現在位置情報と、高逸脱位置と、に基づいて、各車両の高逸脱位置への接近を判断してもよい。この場合、情報センタ2は、車両が高逸脱位置に接近したと判断したとき、当該車両の経路案内装置4に対し、注意喚起信号を送信するようにしてもよい。経路案内装置4は、情報センタ2から注意喚起信号を受信すると、運転者に対して注意喚起を行う。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、車両を目的地まで案内する経路案内システムに利用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施例に係る経路案内システムを示す概略図である。
【図2】(a)車両が推奨経路から逸脱した状態の一例を示す図である。(b)高逸脱位置において、注意喚起を行う一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る経路案内システムの経路案内装置及び情報センタの概略の構成を示すブロック図である。
【図4】各交差点における逸脱回数の一例を示す図である。
【図5】各交差点の逸脱回数における正規分布の一例を示す図である。
【図6】経路案内システムの処理フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 経路案内システム
2 情報センタ
3 通信網
4 経路案内装置
21 送受信部
22 情報処理部
23 データベース
47 送受信部
48 制御処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内装置であって、
前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶手段と、
前記逸脱位置記憶手段により記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出手段と、
前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置に基づいて、前記経路案内を行う経路案内手段と、を備えることを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
請求項1記載の経路案内装置であって、
前記経路案内手段は、前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置に車両が接近したときに、注意喚起を行うことを特徴とする経路案内装置。
【請求項3】
請求項2記載の経路案内装置であって、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を更に備え、
前記経路案内手段は、前記走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記注意喚起の態様を可変させることを特徴とする経路案内装置。
【請求項4】
請求項2記載の経路案内装置であって、
ユーザの個人情報を取得するユーザ情報取得手段を更に備え、
前記経路案内手段は、前記ユーザ情報取得手段により取得された前記ユーザの個人情報に応じて、前記注意喚起の態様を可変させることを特徴とする経路案内装置。
【請求項5】
請求項2記載の経路案内装置であって、
車両の走行環境を検出する走行環境検出手段を更に備え、
前記経路案内手段は、前記走行環境検出手段により検出された前記車両の走行環境に応じて、前記注意喚起の態様を可変させることを特徴とする経路案内装置。
【請求項6】
請求項1記載の経路案内装置であって、
前記経路案内手段は、前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置に車両が接近したときに、前記車両の走行支援制御を行うことを特徴とする経路案内装置。
【請求項7】
請求項6記載の経路案内装置であって、
前記車両の走行支援制御は、車両の制動力制御、駆動力制御、及び操舵力制御からなる群のうちいずれか少なくとも一つから選択されてなることを特徴とする経路案内装置。
【請求項8】
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内装置との間で、情報の送受信を行う情報センタであって、
前記経路案内装置から送信された前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を受信する受信手段と、
該受信手段により受信された前記逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶手段と、
前記逸脱位置記憶手段により記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出手段と、
前記高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置を前記経路案内装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする情報センタ。
【請求項9】
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内装置を備える経路案内システムであって、
前記経路案内装置から送信される、前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を受信する受信手段と、該受信手段により受信された前記逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶手段と、前記逸脱位置記憶手段により記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出手段と、該高逸脱位置検出手段により検出された前記高逸脱位置を前記車両に送信する送信手段と、を有する情報センタを備え、
前記経路案内装置は、前記情報センタの前記逸脱位置送信手段により送信された前記高逸脱位置に基づいて、前記車両の経路案内を行うことを特徴とする経路案内システム。
【請求項10】
設定された推奨経路から逸脱したときに、リルート経路を再設定し、経路案内を行う経路案内方法であって、
前記推奨経路から逸脱したときの逸脱位置情報を記憶する逸脱位置記憶ステップと、
前記逸脱位置記憶ステップにより記憶された前記逸脱位置情報に基づいて、前記推奨経路から逸脱する頻度が高い高逸脱位置を検出する高逸脱位置検出ステップと、
前記高逸脱位置検出ステップにより検出された前記高逸脱位置に基づいて、前記経路案内を行う経路案内ステップと、を備えることを特徴とする経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−127447(P2007−127447A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318470(P2005−318470)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】