説明

経路案内装置、方法、及びプログラム

【課題】案内経路上で複数の部分が近接している箇所を通行するときのルートマッチング精度を向上させる。
【解決手段】車両はループ状の道路300に図の下方から進入し、反時計回りに走行して、図の右方から退出する。矢印400は車両が走行した軌跡であり、立体交差部301の付近に到達している。P1,P2は測位位置であり、Q1,Q2はP1,P2をルートマッチング処理により修正した位置である。GI,G2,G3,G4は線分であり、最新のマッチング位置Q2は線分G1上にある。現在位置P3を修正するときは、まず線分G1に垂線を降ろせるか否かを判定し、降ろせる場合は垂線を降ろしてマッチングさせる。線分G1に垂線を降ろせない場合は、その一つ前方の線分G2に垂線を降ろせるか否かを判定し、以後、同様に処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に現在地から目的地までの経路を案内する経路案内装置、経路案内方法、及び経路案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)等の携帯端末装置の性能は飛躍的に向上し、かつ多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、ユーザに対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。ナビゲーションサービスもその1つであり、携帯電話機のユーザに対して、現在地から目的地までの経路案内を提供するサービスが実施されている。
【0003】
このような携帯電話機に対するナビゲーションサービスに関する発明としては、特許文献1に記載されたナビゲーションシステムがある。このナビゲーションシステムは、GPS(Global Positioning System)受信部とGPS制御部及びGPSアンテナを携帯電話機に内蔵したGPS機能付き携帯電話機にて複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する手段と、該複数のGPS信号に含まれる衛星位置や衛星受信機間距離情報及び時計情報等を解析して得られた位置情報と当該GPS機能付き携帯電話機の電話番号及び探索情報等のデータをパケット送信する手段と、該データを受信して当該GPS機能付き携帯電話機及び目的地の位置を検出し適正尺度の地図情報やルート情報及び距離等の地図データを当該GPS機能付き携帯電話機に送信することができる手段を有した地図サービスセンタを配設したものである。
【0004】
ところで、前述の携帯電話機を利用したナビゲーションシステムや通常のカーナビゲーション装置においては、移動中の装置の現在位置の測位データには誤差が含まれているため、測位した現在位置を地図の道路上、或いは案内経路上に修正する処理が行われる。一般的には前者をマップマッチング処理、後者をルートマッチング処理と言う。
【0005】
ルートマッチング処理については、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2は通信型ナビゲーション装置に関するものであり、車両に搭載されたナビゲーション装置において、測位した車両の位置が案内経路(ルート)からずれた場合に、最も近い案内経路を検出して車両の現在位置をその案内経路上に修正するものである。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されたルートマッチング処理の場合、案内経路上で複数の部分が近接している箇所を通行する場合に、ミスマッチングを起こすことがある。
【0007】
このことについて、図7を用いて説明する。この図において、車両は案内経路上のループ状の道路300に図の下方から進入し、反時計回りに走行して、図の右方から退出する。図の直線400は車両が走行した軌跡であり、立体交差部301の手前に到達していることを示している。P1,P2は測位位置であり、Q1,Q2は測位位置P1,P2をルートマッチング処理により修正した位置である。測位位置P1,P2については、各々に最も近い案内経路上の位置Q1,Q2にマッチングさせることで、正確に修正することができている。
【0008】
しかし、次の測位位置P3については、立体交差部301の付近では案内経路(道路300)が互いに近接しており、修正すべき位置Q3よりも立体交差している相手側の位置Q4の方が近いため、誤って位置Q4にマッチングしてしまうという問題がある。この結果、ナビゲーション装置のディスプレイに表示される現在位置ポインタ501及び走行軌跡502が、図8に示すような位置Q2に対応するものから図9に示す位置Q4に対応するものに急変してしまう。なお、このようなミスマッチングは、立体交差部付近に限らず、例えば略Ω型の平面的な道路の互いに近接している部分でも起こる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−28662号公報
【特許文献2】特開2002−310961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、案内経路上で複数の部分が近接している箇所を通行するときのルートマッチング精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の経路案内装置は、GPS受信機と、ネットワーク上のサーバから経路データを取得する手段と、前記GPS受信機で取得した現在位置を前記経路データによる経路上に修正する修正手段とを有する経路案内装置であって、前記経路データは、経路を複数の区間に分割した分割位置の位置情報を含み、前記修正手段は、最新のマッチング位置の属する区間又はその次の区間に垂線を降ろせるか否かを判定する判定手段と、該判定手段により垂線を降ろせると判定された区間内の最も近い位置にマッチングさせるマッチング手段とを有することを特徴とする経路案内装置である。
本発明の経路案内方法は、GPS受信機により現在位置を取得する工程と、ネットワーク上のサーバから経路データを取得する工程と、前記GPS受信機で取得した現在位置を前記経路データによる経路上に修正する修正工程とを有する経路案内方法であって、前記経路データは、経路を複数の区間に分割した分割位置の位置情報を含み、前記修正工程は、最新のマッチング位置の属する区間又はその次の区間に垂線を降ろせるか否かを判定する判定工程と、該判定工程により垂線を降ろせると判定された区間内の最も近い位置にマッチングさせるマッチング工程とを有することを特徴とする経路案内方法である。
本発明の経路案内プログラムは、GPS受信機を有する携帯端末装置のコンピュータを、本発明の経路案内装置の各手段として機能させるための経路案内プログラムである。
【0012】
[作用]
本発明によれば、GPS受信機で取得した現在位置を経路上に修正するルートマッチングを行うときに、最新のマッチング位置の属する区間又はその次の区間に垂線を降ろせるか否かを判定し、垂線を降ろせると判定された区間内の最も近い位置にマッチングさせる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、案内経路上で複数の部分が近接している箇所を通行するときのルートマッチング精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の経路案内システムを示す図である。
【図2】経路探索処理のフローチャートである。
【図3】経路案内処理のフローチャートである。
【図4】ルートマッチング処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態におけるルートマッチングを示す図である。
【図6】本発明の実施形態のルートマッチングによるルート表示画面の一例を示す図である。
【図7】従来のルートマッチングを示す図である。
【図8】従来のルートマッチングによるルート表示画面の一例を示す図である。
【図9】従来のルートマッチングによるルート表示画面の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
〈経路案内システムの構成〉
本発明の実施形態の経路案内システムは、図1に示すように、経路探索サーバ100と、地図サーバ150と、経路案内装置としての携帯電話機200とを含んでいる。携帯電話機200は、人が携帯する場合には歩行者用ナビゲーション装置として機能し、車両に搭載した場合には、カーナビゲーション装置として機能する。
【0016】
携帯電話機200は、GPS受信機201と、表示パネル202と、音声出力部203と、無線通信回路205と、コマンド入力部206と、主制御部210と、通話制御部220とを備えている。
【0017】
主制御部210は、携帯電話機200の各部を制御するためのコントローラである。主制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211と、RAM(Random Access Memory)212と、ROM(Read Only Memory)213とを備えている。CPU211は、ROM213に記憶された制御プログラムをRAM212にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。
【0018】
GPS受信機201は、GPS衛星から送信された電波を受信する装置である。主制御部210は、GPS受信機201が受信した電波に基づき現在位置を検出(測位)する。主制御部210は、GPS受信機201が、3つの衛星から電波を受信することができれば、2次元的な現在位置を検出することができ、4つの衛星から電波を受信することができれば、3次元的な現在位置を検出することができる。また、5つ以上の衛星から電波を受信することができれば、高精度に現在位置を検出することができる。
【0019】
表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。主制御部210は、表示パネル202を制御することで、地図画像や推奨経路、現在位置などを表示する。表示パネル202には、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなど、種々の表示デバイスを採用することができる。
【0020】
音声出力部203は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などから構成される。
【0021】
無線通信回路205は、基地局BSとの間でデータ通信もしくは音声通信を行うための回路である。基地局BSには、インターネットINTを介して経路探索サーバ100や地図サーバ150が接続されている。無線通信回路205は、基地局BSを介して、経路探索サーバ100や地図サーバ150にアクセスすることができる。
【0022】
通話制御部220は、音声通話のための着信や呼出、音声信号と電気信号の変換などを行う回路である。
【0023】
コマンド入力部206は、テンキー206aやカーソルキー206bなどのボタン群から構成される。ユーザは、これらのボタンを用いることで、経路探索に用いられる出発地や目的地などの入力を行うことができる。
【0024】
地図サーバ150は、通信部152と、制御部154と、記憶装置155とを備えている。記憶装置155には、地図データベース156が格納されている。通信部152は、インターネットINTを介して携帯電話機200と通信を行うことができる。地図データベース156には、携帯電話機200に供給する地図データがベクトル形式で記録されている。この地図データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。制御部154は、携帯電話機200から地図データの取得要求があると、指定された範囲の地図データを地図データベース156から検索し、通信部152を介して携帯電話機200へ送信する。
【0025】
経路探索サーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶装置105とを備えている。通信部102は、インターネットINTを介して携帯電話機200と通信を行うことができる。記憶装置105には、道路のつながり状態が記録された経路データベース106が記憶されている。道路のつながり状態は、交差点や分岐点等を表すノードデータと、ノードデータを結ぶ線分によって道路を表すリンクデータとによって表されている。経路探索サーバ100は、携帯電話機200から経路探索要求があると、経路データベース106を用いて、指定された出発地と目的地とを結ぶ推奨経路を探索する。そして、探索の結果、得られた推奨経路データ(以下、単に経路データと言う)を、通信部102を介して携帯電話機200へ送信する。
【0026】
本実施形態では、経路データは、推奨経路(以下、単に経路と言う)を複数の区間に分割した分割位置を示す位置データを経路の並び順に配置したものである。即ち現在位置の緯度、経度を(X0,Y0)、目的地の緯度、経度を(Xn,Yn)とし、現在地から目的地に向けて経路をn個の区間に分割する位置(X1,Y1)〜(Xn−1,Yn−1)を定め、それらの順番に並べた形式(X0,Y0,X1,Y1,X2,Y2,・・・Xn−1,Yn−1,Xn,Yn)とした。
【0027】
本実施形態では、経路探索サーバ100の制御部104は、自己の記憶装置105に記憶された経路データベース106を用いて経路探索を行う。しかし、経路データベース106が地図サーバ150に記憶されている場合には、インターネットINT経由で、この経路データベース106を読み込んで利用してもよい。なお、経路探索サーバ100と地図サーバ150は、一体のサーバとして構成することもできる。また、携帯電話機200の代わりに、通信機能及び画像表示機能を有する他の携帯端末装置(PDA:Personal Digital Assistant)などを用いることもできる。
【0028】
〈経路探索処理〉
図2は、携帯電話機200の主制御部210が実行する経路探索処理のフローチャートである。この処理は、ユーザが、コマンド入力部206を用いて、携帯電話機200の経路案内機能を呼び出した場合に実行される。また、ここでは、ユーザは車両に乗っているものとする。
【0029】
経路探索処理が開始されると、まず、主制御部210は、コマンド入力部206を介して、ユーザから、出発地、目的地等の入力を受け付ける(ステップS1)。出発地は、GPS受信機201により検出された現在位置とすることができる。これらの入力を受け付けると、主制御部210は、無線通信回路205を用いて、経路探索サーバ100へ、経路探索の要求信号を送信する(ステップS2)。この要求信号には、ステップS1で入力された情報が含まれている。
【0030】
経路探索サーバ100は、携帯電話機200から経路探索の要求信号を受信すると、記憶装置105に記憶された経路データベース106を参照して、要求信号に含まれる出発地と目的地とを結ぶ(経由地が設定されていれば経由地を含む)経路を算出する。経路の算出は、例えば周知のダイクストラ法を用いて行う。経路探索サーバ100は、携帯電話機200から取得した出発地或いは目的地の緯度及び経度が、経路データベース106に記録された経路上にない場合には、周知のマップマッチング処理を行うことで、その地点に最も近い道路上の地点を、出発地或いは目的地とする。経路探索サーバ100は、経路を算出すると、前述した経路データを携帯電話機200へ返信する。
【0031】
携帯電話機200の主制御部210は、経路探索サーバ100から経路データを受信すると(ステップS3)、その経路データをRAM212に記憶する(ステップS4)。RAM212に記憶された経路データは、後述する地図表示処理において、表示パネル202上に表示される。なお、経路探索サーバ100から携帯電話機200に送信される経路データには、経路の種別(高速道路、一般道、歩道、線路等)や、案内表示を行うべき交差点や分岐点の緯度、経度を示す位置情報、案内表示時に画面に表示すべき画像データを含めてもよい。案内表示時に画面に表示すべき画像データとしては、例えば、交差点や分岐点における道路の詳細な接続状態を表す画像データや、インターチェンジやランプの案内板を模した画像データなどがある。
【0032】
〈経路案内処理〉
図3は、図2に示した経路探索処理に続いて実行される経路案内処理のフローチャートである。本実施形態では、携帯電話機200の主制御部210は、この処理を1秒に1回実行する。
【0033】
この経路案内処理が実行されると、まず、主制御部210は、GPS受信機201を用いて現在位置の検出を行い、検出結果をRAM212に記憶する(ステップS11)。次いで、主制御部210は、検出された緯度、経度を含む所定の範囲(例えば、500m四方)の地図データを地図サーバ150から取得する(ステップS12)。現在位置周辺の地図データがRAM212にバッファリングされている場合には、主制御部210は、バッファリングされているデータの中から、現在位置に対応する地図データを取得する。取得する地図データの範囲は、ユーザが設定した地図の表示スケールに合わせて調整することができる。
【0034】
地図データを取得すると、主制御部210は、RAM212から経路データを入力する(ステップS13)。この経路データは、図2に示した経路探索処理のステップS3で経路探索サーバ100から受信したデータである。なお、経路データを、図2のステップS3で受信する代わりに、地図データと同様に、現在位置から所定範囲内のものを図3の経路案内処理の中(ステップS11以後〜S13以前)で受信するように構成してもよい。
【0035】
続いて、ステップS11で検出した現在位置と、ステップS13で入力した経路データとを用いて、ルートマッチングを行う(ステップS14)。ルートマッチングの詳細については後述する。
【0036】
次に、主制御部210は、ステップS12で取得したベクトル形式の地図データにより地図を描画し、ステップS13で入力した経路データにより経路を描画し、地図上に経路を重畳して表示パネル202に表示する。さらに、経路上にステップS14でマッチングさせて車両の現在位置を示すマーク、及び走行軌跡を重畳する。
【0037】
〈ルートマッチング処理〉
図4は、図3のルートマッチング処理のフローチャートである。この経路案内処理が実行されると、まず、主制御部210は、ステップS11で検出した現在位置データをRAM212から入力する(ステップS141)。次いで、主制御部210は、現在の線分データをRAM212から入力する(ステップS142)。線分とは、経路をn個の区間に分割した区間のことであり、現在の線分とは、最新のマッチング位置(現時点迄で最後にマッチングした位置)が属する線分(区間)のことである。
【0038】
ここで、図5を用いて現在の線分について説明する。図5において、車両はループ状の道路300に図の下方から進入し、反時計回りに走行して、図の右方から退出する。図の矢印400は車両が走行した軌跡であり、立体交差部301の手前に到達していることを示している。P1,P2は測位位置であり、Q1,Q2は測位位置P1,P2をルートマッチング処理により修正した位置である。GI,G2,G3,G4は線分であり、点線で示す線分の境界線の位置は、経路をn分割した位置(X1,Y1)〜(Xn−1,Yn−1)のどれかに対応する。ここでは、便宜上、4個の線分をGI,G2,G3,G4を図示したが、ループ状の道路300はより多くの線分を含んでいる。最新のマッチング位置はQ2であり、線分G1に属している(線分G1上にある)。
【0039】
次に、主制御部210は、ステップS141で入力した現在位置データと、ステップS142で入力した現在の線分データとを用いて、現在位置から現在の線分に垂線を降ろせるか否か判定する(ステップS143)。
【0040】
判定の結果、垂線を降ろせる場合(S143:YES)は、現在位置を垂線の降りた位置にマッチングさせる(ステップS144)。一方、垂線を降ろせない場合(S143:NO)は、現在の線分の一つ前方の線分に垂線を降ろせるか否か判定する(ステップS145)。図5の場合、現在位置P3から現在の線分G1に垂線を降ろすことはできないので、S143からS145へ進むことになる。
【0041】
判定の結果、垂線を降ろせる場合(S145:YES)は、現在位置を垂線の降りた位置にマッチングする(ステップS144)。図5の場合、現在位置P3から現在の線分の一つ前方の線分G2に垂線L1を降ろすことができるので、S145からS144へ進むことになる。従って、現在位置P3が垂線L1と経路との交点の位置Q3に修正される。この結果、携帯電話機200の表示パネル202に表示される現在位置ポインタ501及び走行軌跡502は図6に示すように、図8から少し変化したものとなる。
【0042】
もし現在の線分の一つ前方の線分に垂線を降ろせない場合(S145:NO)は、現在の線分の二つ以上前方の線分に垂線を降ろせるか否かを、線分を一つずつ前方へ進めながら判定する(ステップS146)。そして、垂線を降ろせると最初に判定された線分に垂線を下ろし、マッチングさせる(ステップS144)。例えば線分G3に垂線を降ろせず、線分G4に垂線を降ろせた場合は、線分G4に垂線を降ろし、マッチングさせる。現在の線分の二つ以上前方のどれにも現在位置から垂線を降ろせない場合(S146:NO)は、経路探索処理(図2)を実行してリルートを行う。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の経路案内システムによれば、GPS受信機201で取得した現在位置を経路上に修正するルートマッチングを行うときに、最新のマッチング位置の属する線分から順に経路前方の線分に垂線を降ろせるか否かを判定し、最初に垂線を降ろせると判定された線分内の最も近い位置にマッチングさせるので、経路上で複数の部分が近接している箇所を通行するときのマッチング精度が向上する。
【0044】
〈変形例〉
(1)経路上の立体交差部301を地図データ及び経路データを基に識別し、最新のマッチング位置が立体交差部301付近に存在する時のみ、図4に示すマッチング処理を実行し、それ以外の時は測位位置に最も近い位置にマッチングさせる。これにより、ミスマッチングが起こり易い状況でのみマッチング精度を向上させればよいため、マッチング処理が簡単になる。
【0045】
(2)現在の線分の一つ前方の線分に垂線を降ろせなかった場合、強制的にその線分にマッチングさせる。これにより、いずれは現在の線分又はその一つ前方の線分に垂線を降ろせるようになるため、簡単な処理によりマッチングさせることができる。
【0046】
(3)垂線の長さを計算し、それが予め定めた閾値(例.線分長の1/2)以内の場合のみ、マッチングさせる。これにより、マッチング精度を向上させることができる。
【0047】
(4)測位位置の差分データから走行速度を算出し、走行速度を加味してマッチング位置を決定する。これにより、マッチング精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
10・・・経路案内システム、100・・・経路探索サーバ、150・・・地図サーバ、200・・・携帯電話機、201・・・GPS受信機、210・・・主制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信機と、ネットワーク上のサーバから経路データを取得する手段と、前記GPS受信機で取得した現在位置を前記経路データによる経路上に修正する修正手段とを有する経路案内装置であって、
前記経路データは、経路を複数の区間に分割した分割位置の位置情報を含み、前記修正手段は、最新のマッチング位置の属する区間又はその次の区間に垂線を降ろせるか否かを判定する第1の判定手段と、該第1の判定手段により垂線を降ろせると判定された区間内の最も近い位置にマッチングさせる第1のマッチング手段とを有することを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載された経路案内装置において、
前記第1の判定手段が垂線を降ろせないと判定した場合、前記その次の区間の前方の区間に現在位置から垂線を降ろせるか否かを区間の並び順に判定する第2の判定手段と、該第2の判定手段により垂線を降ろせると判定された区間内の最も近い位置にマッチングさせる第2のマッチング手段とを有することを特徴とする経路案内装置。
【請求項3】
請求項1に記載された経路案内装置において、
現在位置に最も近い経路にマッチングさせる第3のマッチング手段と、経路の交差部を検出する交差部検出手段と、前前記最新のマッチング位置が前記交差部付近に位置する場合は前記第1のマッチング手段を動作させ、それ以外の場合は前記第3のマッチング手段を動作させる制御手段とを有することを特徴とする経路案内装置。
【請求項4】
GPS受信機により現在位置を取得する工程と、ネットワーク上のサーバから経路データを取得する工程と、前記GPS受信機で取得した現在位置を前記経路データによる経路上に修正する修正工程とを有する経路案内方法であって、
前記経路データは、経路を複数の区間に分割した分割位置の位置情報を含み、前記修正工程は、最新のマッチング位置の属する区間又はその次の区間に垂線を降ろせるか否かを判定する判定工程と、該判定工程により垂線を降ろせると判定された区間内の最も近い位置にマッチングさせるマッチング工程とを有することを特徴とする経路案内方法。
【請求項5】
GPS受信機を有する携帯端末装置のコンピュータを、請求項1〜3のいずれか1項に記載された経路案内装置の各手段として機能させるための経路案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−266412(P2010−266412A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120321(P2009−120321)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】