説明

経路案内装置、経路案内方法及びコンピュータプログラム

【課題】案内対象交差点を確実に特定させることを可能とした経路案内装置、経路案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1で設定されている案内経路と案内対象交差点に関する情報を取得し(S4)、車両の進行方向前方にある案内対象交差点の2つ手前の交差点を通過した場合に、液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺を車両が通過した交差点と案内対象交差点とを含む縮尺に変更して設定し(S9)、その後に車両が交差点を通る毎に液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺を車両が通過した交差点と案内対象交差点とを含む縮尺に変更して設定する(S8〜S13)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内経路に関する案内を行う経路案内装置、経路案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、自車位置から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、ディスプレイ画面に案内経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。
【0003】
ここで、交差点において右左折の案内を行う際には、右左折対象となる案内対象交差点の位置をユーザに正確に特定させることが重要である。そこで、従来では車両の現在位置から案内対象交差点までの交差点や信号機の数に基づいて案内対象交差点の案内を行うことが行われていた。例えば、特開2007−155351号公報では、案内対象交差点の2つ手前の信号機のある交差点を車両が通過した場合に、「2つ目の信号のある交差点を左方向です。」との音声案内を出力するナビゲーション装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−155351号公報(第10頁〜第12頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ユーザは車両の現在位置から案内対象交差点までの交差点や信号機の数を把握することはできるものの、車両と案内対象交差点との位置関係を視覚的に把握することが難しかった。
【0006】
また、ナビゲーション装置のディスプレイに表示された地図を参照することも考えられるが、従来では案内対象交差点に所定距離以内(例えば300m以内)に接近するまでは、予めユーザに設定された固定の縮尺で車両周辺の地図を表示する。従って、ディスプレイに表示された地図を参照しても、車両と案内対象交差点との位置関係を視覚的に把握することが難しかった。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、移動体と案内対象交差点との位置関係を視覚的に容易に把握させ、案内対象交差点を確実に特定させることを可能とした経路案内装置、経路案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る経路案内装置(1)は、案内経路及び案内経路上の案内対象交差点を設定する案内経路設定手段(13)と、移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段(13)と、前記移動体の周辺の地図を設定された縮尺で表示装置(15)に表示する地図表示手段(13)と、前記案内経路上の交差点に関する情報を取得する交差点情報取得手段(13)と、前記移動体の現在位置と前記交差点情報取得手段により取得した前記交差点に関する情報に基づいて、前記移動体が前記交差点を通過したか否か判定する交差点通過判定手段(13)と、前記交差点通過判定手段によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点と前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の縮尺を算出する縮尺算出手段(13)と、前記表示装置に表示する前記地図の縮尺を前記縮尺算出手段によって算出された前記縮尺に変更する縮尺変更手段(13)と、を有することを特徴とする。
ここで、「移動体」とは、車両に限定されず、道路を移動するものであれば良い。
また、「案内対象交差点」とは、案内経路に従って移動体の移動の案内を行う際に、進行方向指示等の案内を行う対象となる交差点をいう。
【0009】
また、請求項2に係る経路案内装置(1)は、請求項1に記載の経路案内装置であって、前記交差点通過判定手段(13)は、前記移動体が前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点から所定数手前までの交差点を通過したか否か判定し、前記縮尺算出手段(13)は、前記交差点通過判定手段によって前記移動体が前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点から所定数手前までの交差点を通過したと判定された場合に、前記縮尺を算出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る経路案内装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の経路案内装置であって、前記経路案内手段(13)は、前記交差点通過判定手段(13)によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点から前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点までにある交差点の数を案内することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る経路案内装置(1)は、請求項3に記載の経路案内装置であって、前記経路案内手段(13)は、前記交差点通過判定手段(13)によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点から前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点までにある交差点の内、信号機の設置された交差点の数を案内することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る経路案内方法は、案内経路及び案内経路上の案内対象交差点を設定する案内経路設定ステップと、移動体の現在位置を取得する現在位置取得ステップと、前記移動体の周辺の地図を設定された縮尺で表示装置(15)に表示する地図表示ステップと、前記案内経路上の交差点に関する情報を取得する交差点情報取得ステップと、前記移動体の現在位置と前記交差点情報取得ステップにより取得した前記交差点に関する情報に基づいて、前記移動体が前記交差点を通過したか否か判定する交差点通過判定ステップと、前記交差点通過判定ステップによって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点と前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の縮尺を算出する縮尺算出ステップと、前記表示装置に表示する前記地図の縮尺を前記縮尺算出ステップによって算出された前記縮尺に変更する縮尺変更ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項6に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、案内経路及び案内経路上の案内対象交差点を設定する案内経路設定機能と、移動体の現在位置を取得する現在位置取得機能と、前記移動体の周辺の地図を設定された縮尺で表示装置に表示する地図表示機能と、前記案内経路上の交差点に関する情報を取得する交差点情報取得機能と、前記移動体の現在位置と前記交差点情報取得機能により取得した前記交差点に関する情報に基づいて、前記移動体が前記交差点を通過したか否か判定する交差点通過判定機能と、前記交差点通過判定機能によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点と前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の縮尺を算出する縮尺算出機能と、前記表示装置に表示する前記地図の縮尺を前記縮尺算出機能によって算出された前記縮尺に変更する縮尺変更機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に記載の経路案内装置によれば、移動体が交差点を通過する度に、移動体と移動体の進行方向前方にある案内対象交差点との位置関係に基づいて表示装置に表示する地図の縮尺を変更することが可能となる。その結果、ユーザが表示装置に表示された地図を視認することによって、移動体と案内対象交差点との位置関係を視覚的に容易に把握することが可能となり、案内対象交差点を確実に特定することが可能となる。
【0015】
また、請求項2に記載の経路案内装置によれば、移動体が案内対象交差点と近接して配置された交差点を通過する度に、表示装置に表示する地図の縮尺を変更するので、特に案内対象交差点が移動体に接近した場合において、案内対象交差点を確実に特定させることを可能とする。
【0016】
また、請求項3に記載の経路案内装置によれば、案内対象交差点までにある交差点の数を案内するので、表示装置に表示された地図と併せて案内対象交差点を確実に特定させることが可能となる。
【0017】
また、請求項4に記載の経路案内装置によれば、案内対象交差点までにある信号付き交差点の数を案内するので、表示装置に表示された地図と併せて案内対象交差点を確実に特定させることが可能となる。
【0018】
また、請求項5に記載の経路案内方法によれば、移動体が交差点を通過する度に、移動体と移動体の進行方向前方にある案内対象交差点との位置関係に基づいて表示装置に表示する地図の縮尺を変更して設定することが可能となる。その結果、ユーザが表示装置に表示された地図を視認することによって、移動体と案内対象交差点との位置関係を視覚的に容易に把握することが可能となり、案内対象交差点を確実に特定することが可能となる。
【0019】
更に、請求項6に記載のコンピュータプログラムによれば、移動体が交差点を通過する度に、移動体と移動体の進行方向前方にある案内対象交差点との位置関係に基づいて表示装置に表示する地図の縮尺を変更して設定させることが可能となる。その結果、ユーザが表示装置に表示された地図を視認することによって、移動体と案内対象交差点との位置関係を視覚的に容易に把握することが可能となり、案内対象交差点を確実に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る経路案内処理プログラムのフローチャートである。
【図3】車両が案内対象交差点に接近する前において液晶ディスプレイに表示される案内画面を示した図である。
【図4】車両が案内対象交差点の2つ手前の交差点を通過した場合において液晶ディスプレイに表示される案内画面を示した図である。
【図5】車両が案内対象交差点の1つ手前の交差点を通過した場合において液晶ディスプレイに表示される案内画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る経路案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0022】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や設定されている案内経路を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0023】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS受信機21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0024】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0025】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ32、ノード点に関するノードデータ33、施設に関する施設データ34、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0026】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、目的地が選択された場合に、地図情報DB31に記憶されたリンクデータに基づいて出発地(現在位置や自宅)から目的地までの案内経路及び案内経路上の案内対象交差点を設定する案内経路設定処理、車両の現在位置を取得する現在位置取得処理、車両周辺の地図を設定された縮尺で液晶ディスプレイ15に表示する地図表示処理、案内経路上の交差点に関する情報を取得する交差点情報取得処理、車両の現在位置と交差点に関する情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否か判定する交差点通過判定処理、車両が交差点を通過したと判定された場合に、車両が通過した交差点と移動体の進行方向前方にある案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の縮尺を算出する縮尺算出処理、液晶ディスプレイ15に表示する地図の縮尺を算出された縮尺に変更する縮尺変更処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、経路案内処理プログラム(図2)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0027】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0028】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、車両の進行方向前方にある案内対象交差点に関する案内についても表示される。更に、本実施形態では、後述のように車両が案内対象交差点から所定数手前(例えば2つ手前)の交差点を通過した後において、液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺を、車両が通過した交差点と進行方向前方にある案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の最大縮尺に変更する。そして、その後に交差点を通過する度に、同様に車両が通過した交差点と進行方向前方にある案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の最大縮尺に変更する。
【0029】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、車両の進行方向前方にある案内対象交差点に関する音声案内(例えば、「2つ目の信号のある交差点を左方向です。」)についても出力される。
【0030】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB31の更新等が行われる。
【0031】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0032】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する経路案内処理プログラムについて図2に基づき説明する。図2は本実施形態に係る走行案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、経路案内処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、案内経路に従った走行の案内を行うプログラムである。尚、以下の図2にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0033】
先ず、経路案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41はナビ情報を取得する。ここで、前記S1で取得されるナビ情報としては、例えば車両の現在位置や方位に関する情報等がある。尚、車両の現在位置や方位は、現在位置検出部11の検出結果に基づいて取得される。また、取得した車両の現在位置を地図上で特定するマップマッチングも行われる。
【0034】
次に、S2においてCPU41は、車両の現在位置周辺の地図をナビゲーション装置1に設定されている縮尺で液晶ディスプレイ15に表示する。尚、ナビゲーション装置1に設定する地図の縮尺は、ユーザの操作に基づいて所定の縮尺範囲(例えば1/5000〜1/2048万)で変更可能である。また、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されている場合には、案内経路についても地図に重畳して表示される。
【0035】
ここで、図3は前記S2において液晶ディスプレイ15に表示される案内画面51を示した図である。尚、図3では1/64万の縮尺で地図を表示した場合の案内画面51を示している。
図3に示すように液晶ディスプレイ15の案内画面51には、車両の現在位置周辺の地図画像と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク52と、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路53と、案内対象交差点54とが表示される。そして、車両の移動に伴って地図のスクロールや回転が行われ、ユーザは案内画面51を視認することによって、車両周辺の地図、車両の現在位置、案内経路、案内対象交差点をそれぞれ把握することが可能となる。
【0036】
続いて、S3においてCPU41は、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されているか否かを判定する。ここで、案内経路は、ナビゲーション装置1によって出発地(例えば自車の現在位置)からユーザに選択された目的地までの経路探索処理の結果に基づいて設定される。また、案内経路とともに案内対象交差点についても設定される。尚、案内対象交差点とは、案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、進行方向指示等の案内を行う対象となる交差点である。尚、経路探索処理は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータやノードデータ、VICSセンタから取得した交通情報等が用いられ、公知のダイクストラ法等により行われる。
【0037】
前記S3の判定の結果、案内経路が設定されていると判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。一方、案内経路が設定されていないと判定された場合(S3:NO)には、当該経路案内処理プログラムを終了する。
【0038】
S4においてCPU41は、ナビゲーション装置1において設定されている案内経路に関する情報をRAM42から読み出すことにより取得する。
【0039】
次に、S5においてCPU41は、前記S4で取得した案内経路に関する情報に基づいて、車両の進行方向前方にある案内対象交差点を特定する。
【0040】
その後、S6においてCPU41は、前記S5で特定した車両の進行方向前方にある案内対象交差点に関する情報を、前記S4で取得した案内経路に関する情報や地図情報DB31に記憶された地図情報に基づいて取得する。尚、前記S6で取得される車両の進行方向前方にある案内対象交差点に関する情報としては、案内対象交差点の位置(ノード番号や座標等により特定)、車両から案内対象交差点までの距離、案内対象交差点の案内方向(案内される進行方向)等の情報がある。尚、車両から案内対象交差点までの距離としては、車両から案内対象交差点までの交差点の数を算出する。そして、車両から案内対象交差点までの交差点の数については、前記S1で取得した車両の現在位置と案内対象経路の位置と地図情報DB31に記憶された地図情報とに基づいて算出される。尚、本実施形態では交差点の内、特に信号機付きの交差点の数を算出することとする。また、案内対象交差点の案内方向については案内経路に基づいて特定される。
【0041】
次に、S7においてCPU41は、前記S5で取得した案内対象交差点に関する情報に基づいて、車両が前記S5で特定した案内対象交差点の所定数手前(例えば2つ手前)の交差点を通過したか否かを判定する。尚、本実施形態では交差点の内、特に所定数手前の信号機付きの交差点を通過したか否かを判定する。
【0042】
そして、車両が案内対象交差点の所定数手前の交差点を通過したと判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。一方、車両が案内対象交差点の所定数手前の交差点を通過していないと判定された場合(S7:NO)には、案内対象交差点の所定数手前の交差点を通過するまで待機する。
【0043】
S8においてCPU41は、車両が通過した交差点と車両の進行方向前方にある案内対象交差点とを一の画面で液晶ディスプレイ15に表示可能な地図の最大縮尺である位置関係表示最大縮尺を算出する。
具体的には、CPU41は以下の(A)、(B)の処理を実行する。
(A)先ず、CPU41は、車両が通過した交差点の座標と案内対象交差点の座標を取得する。
(B)次に、CPU41は、車両が通過した交差点と案内対象交差点の略中間点に画面の中心を位置し、且つ車両が通過した交差点の座標と案内対象交差点の座標とが共に液晶ディスプレイ15の表示エリアに含まれる地図の最大の縮尺を算出する。尚、車両が通過した交差点の座標は、そのときの車両の現在位置の座標と略同一であるため、車両が通過した交差点の座標として、車両が交差点を通過した際の車両の現在位置座標を用いて計算を行うことも可能である。
【0044】
続いて、S9においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺を前記S8で算出した位置関係表示最大縮尺に変更して設定する縮尺変更処理を実行する。その結果、現在の縮尺から地図の縮尺が切り替わり、車両が通過した交差点と案内対象交差点が液晶ディスプレイ15の表示画面に最大のサイズで表示される。
【0045】
ここで、図4は、車両が案内対象交差点の2つ手前の信号機付き交差点を通過した場合において液晶ディスプレイ15に表示される案内画面61を示した図である。尚、図4では前記S8において1/1万の縮尺が位置関係表示最大縮尺として算出された場合の案内画面61を示している。
図4に示すように液晶ディスプレイ15の案内画面61では、案内対象交差点の2つ手前の信号機付き交差点62と案内対象交差点の1つ手前の信号機付き交差点63との間に自車位置マーク52が表示され、車両の移動に伴い自車位置マーク52が案内画面61の固定された地図上を移動する。また、図3に示す案内画面51と比較すると、案内画面61は地図が拡大され、自車位置マーク52と交差点63と案内対象交差点54とが共に液晶ディスプレイ15の表示エリアに含まれる範囲で、より詳細な情報を表示することが可能となる。従って、交差点の位置関係に基づいて表示された地図のスクロールや回転は行わず、車両の移動に伴って自車位置マーク52が案内画面61の地図上の交差点間を移動するため、ユーザは案内画面61を視認することによって、車両の現在位置と交差点63と案内対象交差点54との位置関係を明確に把握することが可能となる。
【0046】
その後、S10においてCPU41は、案内対象交差点の案内を行う。具体的に、車両の進行方向前方にある案内対象交差点が右折を案内する交差点であって、車両が案内対象交差点の2つ手前の信号機付き交差点を通過した場合においては、「2つ目の信号のある交差点を右方向です。」との音声案内を出力する。また、車両の進行方向前方にある案内対象交差点が右折を案内する交差点であって、車両が案内対象交差点の1つ手前の信号機付き交差点を通過した場合においては、「次の信号のある交差点を右方向です。」との音声案内を出力する。
【0047】
次に、S11においてCPU41は、車両の現在位置と前記S5で取得した案内対象交差点に関する情報に基づいて、車両が進行方向前方にある案内対象交差点を通過したか否かを判定する。
【0048】
そして、車両が進行方向前方にある案内対象交差点を通過したと判定された場合(S11:YES)には、S12へと移行する。S12においてCPU41は、車両の現在位置周辺の地図をナビゲーション装置1に設定されている縮尺に変更して設定する。その結果、車両が案内対象交差点に接近する以前に表示されていた地図の縮尺で車両周辺の地図(図3)が表示されることとなる。
【0049】
一方、車両が進行方向前方にある案内対象交差点を通過していないと判定された場合(S12:NO)には、続いて、S13においてCPU41は、車両が交差点を通過したか否かを判定する。具体的には、車両の現在位置と地図情報DB31に記憶された地図情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否かを判定する。尚、本実施形態では交差点の内、特に信号機付きの交差点を通過したか否かを判定する。
【0050】
そして、車両が交差点を通過したと判定された場合(S13:YES)には、S8へと移行する。そして、CPU41は、再び車両が通過した交差点と車両の進行方向前方にある案内対象交差点とを一の画面で液晶ディスプレイ15に表示可能な地図の最大縮尺である位置関係表示最大縮尺を算出し(S8)、液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺を算出した位置関係表示最大縮尺に変更して設定する縮尺変更処理(S9)を実行する。その結果、現在の地図の縮尺から地図の縮尺が更に切り替わり、車両が通過した交差点と案内対象交差点が液晶ディスプレイ15の表示画面に最大のサイズで表示される。
【0051】
ここで、図5は、車両が案内対象交差点の1つ手前の信号機付き交差点を通過した場合において液晶ディスプレイ15に表示される案内画面71を示した図である。尚、図5では前記S8において1/5000の縮尺が位置関係表示最大縮尺として算出された場合の案内画面71を示している。
図5に示すように液晶ディスプレイ15の案内画面71では、案内対象交差点の1つ手前の信号機付き交差点63と案内対象交差点54との間に自車位置マーク52が表示され、車両の移動に伴い自車位置マーク52が案内画面71の固定された地図上を移動する。また、図4に示す案内画面61と比較すると、案内画面71は、地図が拡大され、自車位置マーク52と案内対象交差点54とが共に液晶ディスプレイ15の表示エリアに含まれる範囲でより詳細な情報を表示することが可能となる。従って、交差点の位置関係に基づいて表示された地図のスクロールや回転は行わず、車両の移動に伴って自車位置マーク52が案内画面71の地図上の交差点間を移動するため、ユーザは案内画面71を視認することによって、車両の現在位置と案内対象交差点54との位置関係を明確に把握することが可能となる。
【0052】
また、その後に実行されるS10においては、案内対象交差点に関する案内が再度行われ、S11の判定処理へと移行する。以下同様に、案内対象交差点を通過するまでS8〜S11及びS13の処理が繰り返し実行される。
【0053】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による経路案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、ナビゲーション装置1で設定されている案内経路と案内対象交差点に関する情報を取得し(S4)、車両の進行方向前方にある案内対象交差点の2つ手前の交差点を通過した場合に、液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺を車両が通過した交差点と案内対象交差点とを含む縮尺に変更して設定し(S9)、その後に車両が交差点を通る毎に液晶ディスプレイ15に表示される地図の縮尺を車両が通過した交差点と案内対象交差点とを含む縮尺に変更して設定する(S8〜S13)ので、ユーザが液晶ディスプレイ15に表示された地図を視認することによって、車両と案内対象交差点との位置関係を視覚的に容易に把握することが可能となり、案内対象交差点を確実に特定することが可能となる。
また、車両が案内対象交差点と近接して配置された交差点を通過する度に、液晶ディスプレイ15に表示する地図の縮尺を変更して設定するので、特に案内対象交差点が車両に接近した場合において、案内対象交差点を確実に特定させることを可能とする。
また、車両が案内対象交差点の手前にある信号付き交差点を通過する度に、案内対象交差点までにある信号付き交差点の数を案内する(S10)ので、液晶ディスプレイ15に表示された地図と併せて案内対象交差点を確実に特定させることが可能となる。
【0054】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では移動体として車両を適用した場合について説明したが、車両以外でも道路を移動するものであれば適用することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、前記S8及びS9において、車両が通過した交差点と車両の進行方向前方にある案内対象交差点とを一の画面で液晶ディスプレイ15に表示可能な地図の最大縮尺を算出し、算出された最大縮尺に地図の縮尺を変更して設定しているが、車両が通過した交差点と車両の進行方向前方にある案内対象交差点とを一の画面で液晶ディスプレイ15に表示可能な縮尺であれば最大縮尺でなくても良い。例えば、最大縮尺を20%縮小した縮尺に変更して設定しても良い。
【0056】
また、本実施形態では、前記S7やS13の判定対象となる交差点として信号付き交差点を対象としたが、信号付きでない交差点を対象に含めても良い。また、前記S10において案内対象交差点までの交差点の数を案内する場合にも、信号付きでない交差点を対象に含めても良い。また、交差点の数ではなく信号機の数で案内を行っても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
15 液晶ディスプレイ
16 スピーカ
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内経路及び案内経路上の案内対象交差点を設定する案内経路設定手段と、
移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記移動体の周辺の地図を設定された縮尺で表示装置に表示する地図表示手段と、
前記案内経路上の交差点に関する情報を取得する交差点情報取得手段と、
前記移動体の現在位置と前記交差点情報取得手段により取得した前記交差点に関する情報に基づいて、前記移動体が前記交差点を通過したか否か判定する交差点通過判定手段と、
前記交差点通過判定手段によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点と前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の縮尺を算出する縮尺算出手段と、
前記表示装置に表示する前記地図の縮尺を前記縮尺算出手段によって算出された前記縮尺に変更する縮尺変更手段と、を有することを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
前記交差点通過判定手段は、前記移動体が前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点から所定数手前までの交差点を通過したか否か判定し、
前記縮尺算出手段は、前記交差点通過判定手段によって前記移動体が前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点から所定数手前までの交差点を通過したと判定された場合に、前記縮尺を算出することを特徴とする請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記経路案内手段は、前記交差点通過判定手段によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点から前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点までにある交差点の数を案内することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記経路案内手段は、前記交差点通過判定手段によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点から前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点までにある交差点の内、信号機の設置された交差点の数を案内することを特徴とする請求項3の経路案内装置。
【請求項5】
案内経路及び案内経路上の案内対象交差点を設定する案内経路設定ステップと、
移動体の現在位置を取得する現在位置取得ステップと、
前記移動体の周辺の地図を設定された縮尺で表示装置に表示する地図表示ステップと、
前記案内経路上の交差点に関する情報を取得する交差点情報取得ステップと、
前記移動体の現在位置と前記交差点情報取得ステップにより取得した前記交差点に関する情報に基づいて、前記移動体が前記交差点を通過したか否か判定する交差点通過判定ステップと、
前記交差点通過判定ステップによって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点と前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の縮尺を算出する縮尺算出ステップと、
前記表示装置に表示する前記地図の縮尺を前記縮尺算出ステップによって算出された前記縮尺に変更する縮尺変更ステップと、を有することを特徴とする経路案内方法。
【請求項6】
コンピュータに搭載され、
案内経路及び案内経路上の案内対象交差点を設定する案内経路設定機能と、
移動体の現在位置を取得する現在位置取得機能と、
前記移動体の周辺の地図を設定された縮尺で表示装置に表示する地図表示機能と、
前記案内経路上の交差点に関する情報を取得する交差点情報取得機能と、
前記移動体の現在位置と前記交差点情報取得機能により取得した前記交差点に関する情報に基づいて、前記移動体が前記交差点を通過したか否か判定する交差点通過判定機能と、
前記交差点通過判定機能によって前記移動体が前記交差点を通過したと判定された場合に、前記移動体が通過した前記交差点と前記移動体の進行方向前方にある前記案内対象交差点とを一の画面で表示可能な地図の縮尺を算出する縮尺算出機能と、
前記表示装置に表示する前記地図の縮尺を前記縮尺算出機能によって算出された前記縮尺に変更する縮尺変更機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−209119(P2011−209119A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77310(P2010−77310)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】