説明

経路案内装置及び経路案内方法

【課題】通行者の意見を反映した経路情報を提供する。
【解決手段】経路を構成するリンクを示すリンクデータと、リンクにおけるコストを示すコストデータとを対応づけて経路情報記憶部に記憶し、ユーザ端末から投稿された投稿情報をサーバから取得して投稿情報記憶部に記憶し、投稿情報記憶部を参照し、各投稿情報の内容に基づいて、該投稿情報に対応するリンクを特定するとともに、該リンクのコストを増加または減少させるべきかを解析し、投稿情報の解析結果に基づいて、経路情報記憶部に記憶されているコストデータを更新し、経路探索条件を受け付け、経路情報記憶部を参照し、経路探索条件を満たす経路を示す経路情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内装置及び経路案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末やパーソナルコンピュータ等のユーザ端末に対して経路情報を提供する経路案内システムが普及している。このようなシステムでは、例えば、出発地や目的地等の探索条件を入力することにより、電車やバス、徒歩など複数の移動手段を組み合わせた経路についての経路情報を提供することが可能である(例えば、特許文献1)。このような経路情報を提供する場合、一般的に、経路を構成するリンクに対して設定されたコストを考慮することにより経路探索が行われる。例えば、徒歩による経路を探索する場合であれば、各リンクについて歩行の困難度や安全性などを示すコストを対応づけておくことにより、歩行が容易な経路や安全な経路を探索することが可能である(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−114370号公報
【特許文献2】特開2003−121191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、各リンクのコストを示すコストデータは、例えば、実地調査や統計情報等に基づいてシステムのメンテナンスのタイミングにシステム管理者によって更新されるのが一般的である。そのため、このようなコストデータに基づいて提供される経路情報は、実際の通行者の意見が反映されているものとは言い難い。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、通行者の意見を反映した経路情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る経路案内装置は、経路を構成するリンクを示すリンクデータと、リンクにおけるコストを示すコストデータとを対応づけて記憶する経路情報記憶部と、ユーザ端末から投稿された投稿情報をサーバから取得して投稿情報記憶部に格納する投稿情報取得部と、投稿情報記憶部を参照し、各投稿情報の内容に基づいて、該投稿情報に対応するリンクを特定するとともに、該リンクのコストを増加または減少させるべきかを解析する投稿情報解析部と、投稿情報解析部の解析結果に基づいて、経路情報記憶部に記憶されているコストデータを更新するコストデータ更新部と、経路探索条件を受け付け、経路情報記憶部を参照し、経路探索条件を満たす経路を示す経路情報を出力する経路情報出力部と、を備える。
【0007】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通行者の意見を反映した経路情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態である経路案内システムの構成を示す図である。
【図2】投稿情報の一例を示す図である。
【図3】ノードとリンクにより構成されるネットワークの一例を示す図である。
【図4】経路情報DBに格納される経路情報の一例を示す図である。
【図5】リンクを特定する際の一例を示す図である。
【図6】投稿情報解析部の解析により生成された解析情報の一例を示す図である。
【図7】ユーザ端末において表示される経路情報画面の一例を示す図である。
【図8】地図上に経路を表示した画面の一例を示す図である。
【図9】経路案内装置におけるコスト更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】経路探索処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態である経路案内システムの構成を示す図である。経路案内システムは、ユーザ端末10、投稿サーバ12、及び経路案内装置14を含んで構成されている。なお、図1では、説明を簡略化するために1つのユーザ端末10しか示されていないが、システムには複数のユーザ端末10が含まれていてもよい。また、投稿サーバ12についても複数存在していてもよい。
【0011】
ユーザ端末10は、経路案内を利用するユーザが使用する情報処理装置であり、例えば、携帯端末やパーソナルコンピュータなどである。図1に示すように、ユーザ端末10は、探索条件受付部20、経路情報取得部22、経路情報記憶部24、及び経路情報表示部26を含んで構成される。ユーザ端末10における各部は、例えば、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されているプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0012】
探索条件受付部20は、出発地や目的地、経由地、日時、移動手段、優先条件など、経路探索を行うための各種条件である経路探索条件をユーザから受け付ける。経路情報取得部22は、経路探索条件をネットワーク経由で経路案内装置14に送信することにより、経路探索条件を満たす経路を示す経路情報を取得し、経路情報記憶部24に格納する。経路情報表示部26は、経路情報記憶部24に記憶されている経路情報に基づいて、探索された経路を示す経路情報を例えばディスプレイに表示することによりユーザに提示する。
【0013】
投稿サーバ12は、ユーザから投稿される投稿情報を複数のユーザ間で共有することを可能にするものであり、例えば、SNS(Social Networking Service)やミニブログ(マイクロブログ)等の投稿情報共有システムを提供する1台または複数台の情報処理装置である。図1に示すように、投稿サーバ12は、投稿制御部30及び投稿情報記憶部32を含んで構成される。投稿サーバ12における各部は、例えば、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されているプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。なお、投稿情報記憶部32は、投稿サーバ12とは別の記憶装置上に構成されていてもよい。
【0014】
投稿制御部30は、投稿情報共有システムを利用するユーザが使用するユーザ端末から投稿情報を受け付けて、投稿情報記憶部32に格納することができる。また、投稿制御部30は、投稿情報共有システムを利用するユーザが使用するユーザ端末からの要求に応じて、システム内の他のユーザから投稿された投稿情報をユーザ端末に提供することができる。なお、図1には示していないが、投稿サーバ12には、例えば、各ユーザがどのユーザの投稿情報を参照することとしているかなどを示すアカウント情報が格納されている。そして、投稿制御部30はこのアカウント情報に基づいて投稿情報を複数のユーザ間で共有させることができる。また、投稿制御部30は、経路案内装置14等の他の情報処理装置からの要求に応じて、投稿情報記憶部32に格納されている投稿情報を提供することも可能である。
【0015】
図2には、投稿情報の一例が示されている。図2に示すように、投稿情報には、ユーザID、ユーザ属性、日時、緯度経度、及び投稿データが含まれている。ユーザIDは、ユーザが投稿情報共有システムを利用する際の識別子であり、いわゆる「アカウント」と呼ばれるものである。ユーザ属性は、ユーザの性別や年齢等、ユーザの属性を示す情報である。なお、図2の例では、ユーザの性別(男性:M/女性:F)がユーザ属性として設定されている。日時には、投稿情報が投稿された日時が設定されている。緯度経度は、投稿情報が作成された際のユーザ端末の位置を示す位置情報であり、例えば、ユーザ端末が備えるGPS受信機からの出力に基づいて設定されている。なお、位置情報を生成する機能をもたないユーザ端末から投稿情報が投稿される場合など、緯度経度が設定されていないこともある。また、緯度経度に限らず、道路や路線、施設の識別子など、投稿情報が生成された位置を特定可能な情報を位置情報として用いることも可能である。投稿データは、ユーザが投稿した内容を示すデータであり、例えば、ユーザの「つぶやき」のようなテキストデータが含まれる。なお、投稿データはテキストデータに限られず、例えば、音声データや画像データなどが含まれていてもよい。
【0016】
図1に戻り、経路案内装置14は、ユーザ端末10から経路探索条件を受け付けて、経路探索条件を満たす1つまたは複数の経路を示す経路情報をユーザ端末10に提供するものであり、1台または複数台の情報処理装置を用いて構成される。図1に示すように、経路案内装置14は、経路情報データベース(DB)40、投稿情報取得部42、投稿情報記憶部44、解析辞書記憶部46、投稿情報解析部48、解析情報記憶部50、コスト更新部52、経路情報出力部54、及び地図情報データベース(DB)56を含んで構成されている。経路案内装置14における各部は、例えば、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されているプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0017】
経路情報DB40は、経路案内に必要となる経路情報を記憶するデータベースである。具体的には、経路情報DB40には、経路を構成するノードやリンクを示すデータや、各リンクにおけるコストを示すデータなどが記憶されている。
【0018】
図3には、ノードとリンクにより構成されるネットワークの一例が示されている。なお、道路ネットワークの場合であれば、例えば、交差点がノード、交差点間の道路がリンクとなる。また、路線ネットワークの場合であれば、例えば、駅がノード、駅間の路線がリンクとなる。その他のネットワークについても同様にノードとリンクにより表すことが可能である。図3に示すように、各リンクには、経路探索を行う際に考慮されるコストが付与されている。図3では、例えば、ノードN1とノードN2との間のリンクL1のコストは「3」、ノードN1とノードN4との間のリンクL2のコストは「2」となっている。なお、本実施形態では、説明を簡略化するために各リンクにおけるコスト(基本コスト)を1つしか示していないが、例えば、移動時間を考慮した場合のコストや、距離を考慮した場合のコストなど、1つのリンクに複数のコストが設定されていてもよい。
【0019】
図4には、経路情報DB40に格納される経路情報の一例が示されている。経路情報は、図4(a)に示すノード情報と、図4(b)に示すリンク情報とを含んで構成されている。
【0020】
図4(a)に示すように、ノード情報は、各ノードを識別するためのノードIDと、各ノードの位置情報である緯度経度とを含んでいる。なお、ノードの位置情報には緯度経度以外に高度などの他の情報が含まれていてもよい。また、ノード情報には、ノードの種別や名称などの情報が含まれていてもよい。
【0021】
図4(b)に示すように、リンク情報は、リンクデータ及びコストデータを含んでいる。リンクデータは、各リンクを識別するためのリンクIDと、リンクの始点・終点とを含んでいる。例えば、図4(b)のリンクデータでは、リンクL1の始点ノードがN1、終点ノードがN2であることが示されている。コストデータは、経路探索が行われる際に考慮される各リンクのコストを示すデータであり、基本コスト、追加コスト及び追加条件を含んでいる。基本コストは、各リンクに対してあらかじめ設定されているコストであり、例えば、システムのメンテナンスタイミング等にシステム管理者によって更新することが可能である。なお、前述したように、1つのリンクに対して、条件が異なる複数の基本コストが設定されていてもよい。追加コストは、経路探索の際に基本コストに対して追加で考慮することが可能なコストである。後述するように、追加コストは、投稿サーバ12に投稿された投稿情報に基づいて、システムの運用中に随時、追加・更新されるものである。追加条件は、追加コストを適用する条件を示すものであり、追加コストとともに、随時、追加・更新される。追加条件には、例えば、日付や時間などの期間の条件や、階段が少ない道路を優先する、安全な道路を優先するというような優先条件などが含まれる。なお、経路案内装置14において考慮される追加コストが一種類の条件(例えば「安全」)のみに対するものである場合には、コストデータに追加条件は含まれなくてもよい。
【0022】
図1に戻り、投稿情報取得部42は、投稿サーバ12に対して投稿情報の取得要求を送信することにより投稿情報を取得し、投稿情報記憶部44に格納する。ここで、投稿情報を取得するための取得要求には、取得対象とする投稿情報の条件を設定することが可能である。例えば、投稿情報取得部42は、投稿日時やユーザ属性などを条件に設定することが可能である。投稿情報取得部42は、例えば、所定期間ごとに、当該所定期間に投稿された投稿情報を投稿サーバ12から取得することとしてもよい。
【0023】
解析辞書記憶部46には、投稿情報に含まれる投稿データに基づいて、リンクのコストを増加または減少させる要因であるかどうかを解析するための解析辞書が格納されている。例えば、投稿データがテキストデータである場合、「歩きやすい」というテキストが含まれていれば、この投稿データが投稿された道路(リンク)は安全を優先する場合にはコストを減少させる要因であると考えられる。そこで、解析辞書記憶部46には、様々なテキストが、そのテキストによって示されるリンクの特徴を示す情報と対応づけられて格納されている。ここで、リンクの特徴を示す情報には、経路探索の際の優先条件と、該優先条件におけるコストを増加させる要因であるのかもしくは減少させる要因であるのかを示す情報とが含まれている。なお、1種類のテキストが複数の特徴と対応づけられていてもよい。また、解析辞書記憶部46には表現の揺れを吸収するための情報が格納されていてもよい。
【0024】
投稿情報解析部48は、投稿情報記憶部44に記憶されている投稿情報を参照し、各投稿情報の内容に基づいて、投稿情報に対応するリンクを特定するとともに、リンクのコストを増加または減少させる要因であるかを解析し、解析結果を示す解析情報を解析情報記憶部50に格納する。具体的には、まず、投稿情報解析部48は、解析辞書記憶部46に記憶されている解析辞書に基づいて、各投稿情報を、コストを減少させる要因であるGood投稿と、コストを増加させる要因であると考えられるBad投稿とに振り分ける。なお、追加コストを考慮する際の優先条件が複数存在する場合には、優先条件ごとにGood投稿とBad投稿とに振り分けることが可能である。また、投稿情報解析部48は、投稿情報に設定されている緯度経度に基づいて、各投稿情報に対応するリンク、すなわち、投稿情報が投稿された際にユーザが通行していたと想定されるリンクを特定する。
【0025】
図5には、リンクを特定する際の一例が示されている。図5に示すように、投稿情報解析部48は、例えば、投稿情報に設定されている緯度経度(X10,Y10)に最も近い位置にあるリンクL1を、この投稿情報に対応するリンクとして特定することができる。なお、特定されるリンクは、投稿情報によって示される位置から最も近いリンクでなくてもよい。例えば、経路情報DB40に格納されているリンク情報に、各リンクの特徴や種別を示す情報が格納されている場合には、このような情報を考慮することにより、ユーザが投稿情報を投稿した可能性が高いリンクが特定されることとしてもよい。また、投稿情報解析部48は、投稿情報に設定されている投稿データに基づいて投稿情報に対応するリンクを特定することとしてもよい。例えば、投稿データがテキストデータである場合、投稿情報解析部48は、テキストに含まれる施設や場所の名称などに基づいて位置を特定し、この位置に対応するリンクを特定することとしてもよい。この場合、投稿データから位置を特定するための情報が解析辞書に含まれることとしてもよい。あるいは、施設や場所の名称を他のサーバに送信することにより緯度経度などの位置情報を取得することとしてもよい。
【0026】
図6には、投稿情報解析部48の解析により生成された解析情報の一例が示されている。図6に示すように、解析情報には、各投稿情報のユーザID、ユーザ属性及び日時の他に、各投稿情報に対して特定されたリンクのリンクIDと、解析結果とが設定されている。解析結果には、優先条件及び判定情報が含まれている。図6に示す解析情報は、図2に示す投稿情報を解析した場合の一例である。例えば、図2に示す1件目の投稿情報は、投稿データが「歩きやすい!」となっている。ここで、「歩きやすい」という語句が「安全」であることを肯定する語句として解析辞書に登録されている場合、投稿情報解析部48は、この投稿データが投稿された道路(リンク)は「安全」を優先する場合にはコストを減少させる要因となると判定する。そこで、投稿情報解析部48は、図6に示すように、優先条件に「安全」、判定情報に「Good」を設定した1件目の解析情報を生成する。すなわち、図2に示す1件目の投稿情報はGood投稿に振り分けられたことになる。また、例えば、図2に示す2件目の投稿情報は、投稿データが「階段が多い。。。」となっている。ここで、「階段が多い」という語句が「階段」が少ないことを否定する語句として解析辞書に登録されている場合、投稿情報解析部48は、この投稿データが投稿された道路(リンク)は「階段」が少ないことを優先する場合にはコストを増加させる要因となると判定する。そこで、投稿情報解析部48は、図6に示すように、優先条件に「階段」、判定情報に「Bad」を設定した2件目の解析情報を生成する。すなわち、図2に示す2件目の投稿情報はBad投稿に振り分けられたこととなる。
【0027】
なお、図6の例では、1つの投稿情報から1つの解析情報しか生成されていないが、1つの投稿情報から複数の解析情報が生成されることとしてもよい。また、判定情報は、Good/Badの二値に限られず、解析結果に応じて複数段階の値が設定されることとしてもよい。また、図6の例では、解析情報に優先条件が含まれることとしたが、経路案内装置14において考慮される追加コストが一種類の条件(例えば「安全」)のみに対するものである場合には、解析情報に優先条件は含まれないこととしてもよい。
【0028】
図1に戻り、コスト更新部52は、投稿情報解析部48の解析結果に基づいて、経路情報DB40に記憶されているコストデータを更新する。具体的には、コスト更新部52は、図6に例示した解析情報を参照し、リンクID及び優先条件ごとに、Good投稿及びBad投稿の数をカウントする。そして、コスト更新部52は、カウント結果に基づいて、リンクID及び優先条件ごとに追加コストを算出し、図4(b)に示したように、経路情報DB40に格納されているリンク情報に追加する。このとき、優先条件はコストデータの追加条件に設定することができる。
【0029】
なお、Good投稿及びBad投稿のカウント結果に基づくコストの算出には任意の手法を採用することができる。例えば、Good投稿1件ごとに「−0.1ポイント」、Bad投稿1件ごとに「+0.1ポイント」とし、リンクID及び優先条件ごとの合計ポイント数に応じて追加コストが算出されることとしてもよい。具体的には、図6に示すように、リンクID「L1」及び優先条件「安全」についてGood投稿が2件、Bad投稿が1件存在する場合、合計ポイント数は「−0.1ポイント」となる。この場合、コスト更新部52は、例えば図4(b)に示すように、リンクID「L1」のリンクについて、追加条件「安全」に対する追加コスト「−0.1」を登録することができる。なお、合計ポイント数と追加コストの値は同一でなくてもよい。
【0030】
また、コスト更新部52は、解析情報に設定されている日時に基づいてコストデータの追加条件を生成することも可能である。例えば、あるリンクID及び優先条件の組み合わせにおいて、Good投稿が投稿されている時間帯が午前中であると判定可能である場合には、コスト更新部52は、このリンクID及び優先条件に対する追加コストとともに、追加条件として「午前中」を設定することとしてもよい。
【0031】
また、コスト更新部52は、解析情報に設定されているユーザ属性に基づいてコストデータの追加条件を生成することも可能である。例えば、あるリンクID及び優先条件の組み合わせにおいて、Good投稿を投稿しているユーザに占める男性の割合が所定の閾値(例えば8割)以上である場合には、コスト更新部52は、このリンクID及び優先条件に対する追加コストとともに、追加条件として「男性」を設定することとしてもよい。
【0032】
図1に戻り、経路情報出力部54は、ユーザ端末10から経路探索条件を受け付けると、経路情報DB40に記憶されているコストデータに基づいて、経路探索条件を満たす経路を示す経路情報を検索し、ユーザ端末10に出力する。図7には、経路情報出力部54から出力される経路情報に基づいてユーザ端末10において表示される経路情報画面の一例が示されている。図7に示すように、例えば、経路情報出力部54は、経路探索条件として入力された出発地・目的地間の複数の経路をコストデータに基づいて検索する。このとき、経路情報出力部54は、コストが設定されている条件ごとにコストの低い経路を探索し、図7に示すように複数の経路についての経路情報を出力することができる。図7の例では、複数の経路の中には、投稿情報に基づいて「安全」コストが一番低いと判定された経路である「経路3」も含まれている。このように、経路情報出力部54は、基本コストのみを考慮した経路と、基本コストに加えて追加コストを考慮した経路とを出力することが可能である。
【0033】
なお、経路情報出力部54は、経路探索条件に応じて、基本コストのみを考慮した経路か、基本コストに加えて追加コストを考慮した経路のいずれか一方のみを出力することとしてもよい。また、経路情報出力部54は、1つの条件について複数の経路情報を出力することとしてもよい。例えば、経路情報出力部54は、「安全」であるコストを考慮した経路を複数検索して出力することとしてもよい。この場合、例えば、経路情報出力部54はコストが低い順に優先順位が高くなるように経路情報を出力することができる。
【0034】
また、経路情報出力部54は、経路を地図とともに表示するための地図情報を出力することも可能である。例えば、ユーザ端末10において、図7に示す画面で「経路3」の駅Bから目的地までの区間が選択されると、ユーザ端末10の経路情報表示部26は、該区間の詳細を表示するための要求を経路案内装置14に送信する。経路情報出力部54は、この要求に応じて、該区間を表示するための地図情報を地図情報DB56から取得してユーザ端末10に出力することができる。なお、地図情報は経路案内装置14とは別に設けられている地図サーバから取得されることとしてもよい。また、経路情報出力部54が地図情報をユーザ端末10に送信するのではなく、経路の表示に必要な地図情報をユーザ端末10が地図サーバから取得することとしてもよい。
【0035】
また、経路情報出力部54は、表示される地図の領域内において投稿された投稿情報の位置を示す位置情報を投稿情報記憶部44から取得し、経路情報や地図情報とともにユーザ端末10に出力することができる。このとき、経路情報出力部54は、解析情報記憶部46に記憶されている解析情報に基づいて、経路情報に関連する投稿情報のみを出力対象とすることとしてもよい。例えば、経路情報出力部54は、投稿情報解析部48によってGood投稿またはBad投稿と判定された投稿情報のみを出力の対象とすることとしてもよい。
【0036】
図8には、ユーザ端末10の経路情報表示部26が、経路案内装置14からの経路情報及び地図情報などに基づいて地図上に経路を表示した画面の一例が示されている。図8に示す例では、ユーザの投稿に基づいて「安全」であると判定された経路が実線で示されている。このとき、図8において破線で示されるように、基本コストによって探索された経路をあわせて表示することも可能である。また、図8に示すように、経路情報表示部26は、投稿情報が投稿された位置を示すアイコンを地図上に表示してもよい。そして、経路情報表示部26は、投稿情報の位置を示すアイコンが選択されると、この投稿情報の内容を表示してもよい。なお、投稿情報の内容は、地図情報等とともに経路案内装置14の経路情報出力部54からユーザ端末10にあらかじめ送信されていることとしてもよいし、地図上でアイコンが選択されたことを契機として、経路情報出力部54がユーザ端末10に対して出力することとしてもよい。また、投稿情報の表示には任意の手法を採用することができる。例えば、投稿情報の位置を示すアイコンが地図上に表示されるのではなく、地図とは別の表示領域に投稿情報の一覧が表示されてもよい。
【0037】
図9は、経路案内装置14におけるコスト更新処理の一例を示すフローチャートである。投稿情報取得部42は、あらかじめ定められたタイミングで投稿サーバ12を参照し、解析対象とする投稿情報を取得し、投稿情報記憶部44に格納する(S901)。なお、投稿情報取得部42は、あらかじめ定められたタイミングではなく、例えば、システム管理者からの指示が入力されたタイミングで投稿サーバ12から投稿情報を取得してもよい。
【0038】
投稿情報解析部48は、投稿情報記憶部44に記憶されている投稿情報を、解析辞書記憶部46に記憶されている解析辞書に基づいて解析することにより、Good投稿とBad投稿とに振り分ける(S902)。具体的には、例えば、投稿情報解析部48は、投稿情報の投稿データに含まれるテキストデータを解析することにより、Good投稿やBad投稿の判定を行うことができる。
【0039】
また、投稿情報解析部48は、Good投稿とBad投稿とに振り分けられた投稿情報について、投稿情報が投稿された位置を特定する(S903)。具体的には、投稿情報解析部48は、例えば、投稿情報に設定されている緯度経度により、投稿情報が投稿された位置を特定することができる。また、投稿情報解析部48は、例えば、投稿情報に設定されている投稿データを解析することにより、投稿情報が投稿された位置を特定してもよい。そして、投稿情報解析部48は、各投稿情報について、特定された位置に対応するリンクを特定する(S904)。具体的には、投稿情報解析部48は、例えば、特定された位置から最も近い位置に存在するリンクを投稿情報に対応するリンクとして特定することができる。
【0040】
上述のような解析結果に基づいて、投稿情報解析部48は、図6に例示したような、投稿情報の解析結果を示す解析情報を生成して解析情報記憶部50に格納することができる。そして、コスト更新部52は、解析情報記憶部50に格納されている解析情報に基づいて、経路情報DB40に格納されているコストデータを更新する(S905)。
【0041】
なお、図9では、投稿情報の取得、投稿情報の解析、及びコスト情報の更新を一連の処理として示しているが、これらの処理はそれぞれ独立したタイミングで実行されることとしてもよい。例えば、投稿情報の取得は1時間ごとに行われ、投稿情報の解析及びコスト情報の更新は1日ごとに行われることとしてもよい。
【0042】
図10は、経路探索処理の一例を示すフローチャートである。まず、ユーザ端末10の探索条件受付部20が、ユーザからの入力によって経路探索条件を受け付ける(S1001)。そして、ユーザ端末10の経路情報取得部22は、受け付けられた経路探索条件を経路案内装置14に送信する(S1002)。
【0043】
経路案内装置14の経路情報出力部54は、ユーザ端末10から経路探索要求を受信すると(S1003)、経路情報DB40を参照し、経路探索条件に基づいて経路探索を実行する(S1004)。そして、経路情報出力部54は、経路探索条件を満たす経路の経路情報を探索結果としてユーザ端末10に送信する(S1005)。
【0044】
ユーザ端末10の経路情報取得部22は、経路案内装置14から送信されてくる探索結果を受信し、探索結果を示す経路情報を経路情報記憶部24に格納する(S1006)。そして、経路情報表示部26は、経路情報記憶部24に格納されている経路情報に基づいて、ユーザから入力された経路探索条件を満たす経路の探索結果を表示する(S1007)。なお、前述したように、経路情報表示部26は、経路情報に関連する地図情報を取得し、経路とともに地図を表示することも可能である。また、経路情報表示部26は、経路に関連する投稿情報を取得して表示することも可能である。なお、投稿情報は経路案内装置14からユーザ端末10に送信されることとしてもよいし、投稿情報の取得先を示すリンク情報が経路案内装置14からユーザ端末10に送信され、該リンク情報に基づいてユーザ端末10が投稿サーバ12から投稿情報を取得することとしてもよい。
【0045】
以上、本実施形態について説明した。本実施形態によれば、投稿情報に基づいてコストデータが更新されるため、通行者の意見を反映した経路情報を提供することができる。
【0046】
また、本実施形態では、コストデータを更新する際に、はじめに登録されている基本コストを更新するのではなく、追加コストとして登録される。したがって、追加コストを考慮しない状態での経路探索も可能である。これにより、例えば、図7に例示したように、基本コストのみを考慮した経路と、基本コストに加えて追加コストを考慮した経路とに関する経路情報を出力することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態では、追加コストを登録する際に、追加コストを適用する際の条件を登録することが可能である。これにより、様々な条件下における追加コストを登録することが可能となり、ユーザのニーズに応じた種々の経路情報を提供することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、経路情報とともに、経路を構成するリンクに対応する投稿情報を表示することが可能である。これにより、投稿情報に基づいて推奨される経路とともに、該経路上において通行人がどのような投稿を行ったかを知ることが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0050】
例えば、本実施形態では経路案内装置14はユーザ端末10とは別のものとしたが、ユーザ端末10自身が経路案内装置14の機能を備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 ユーザ端末
12 投稿サーバ
14 経路案内装置
20 探索条件受付部
22 経路情報取得部
24 経路情報記憶部
26 経路情報表示部
30 投稿制御部
32 投稿情報記憶部
40 経路情報データベース
42 投稿情報取得部
44 投稿情報記憶部
46 解析辞書記憶部
48 投稿情報解析部
50 解析情報記憶部
52 コスト更新部
54 経路情報出力部
56 地図情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路を構成するリンクを示すリンクデータと、前記リンクにおけるコストを示すコストデータとを対応づけて記憶する経路情報記憶部と、
ユーザ端末から投稿された投稿情報をサーバから取得して投稿情報記憶部に格納する投稿情報取得部と、
前記投稿情報記憶部を参照し、各投稿情報の内容に基づいて、該投稿情報に対応するリンクを特定するとともに、該リンクのコストを増加または減少させるべきかを解析する投稿情報解析部と、
前記投稿情報解析部の解析結果に基づいて、前記経路情報記憶部に記憶されている前記コストデータを更新するコストデータ更新部と、
経路探索条件を受け付け、前記経路情報記憶部を参照し、前記経路探索条件を満たす経路を示す経路情報を出力する経路情報出力部と、
を備える経路案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路案内装置であって、
前記投稿情報解析部は、前記投稿情報に含まれるテキストデータの内容に基づいて、前記特定されたリンクのコストを増加または減少させるべきかを解析する、
経路案内装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の経路案内装置であって、
前記投稿情報解析部は、前記投稿情報に含まれる位置情報に基づいて、該投稿情報に対応するリンクを特定する、
経路案内装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の経路案内装置であって、
前記投稿情報解析部は、前記投稿情報に含まれるテキストデータの内容に基づいて、該投稿情報に対応するリンクを特定する、
経路案内装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の経路案内装置であって、
前記コストデータには、リンクにおける基本コストを示す基本コストデータと、該基本コストに追加される追加コストを示す追加コストデータとが含まれており、
前記コストデータ更新部は、前記投稿情報解析部の解析結果に基づいて、前記経路情報記憶部に記憶されている前記追加コストデータを更新する、
経路案内装置。
【請求項6】
請求項5に記載の経路案内装置であって、
前記投稿情報解析部は、前記投稿情報の内容に基づいて、前記追加コストを適用する条件である追加条件を判定し、該追加条件を示す追加条件データを前記追加コストデータと対応づけて前記経路情報記憶部に格納し、
前記経路情報出力部は、前記基本コストデータ、前記追加コストデータ、及び前記追加条件データに基づいて、前記経路探索条件を満たす経路情報を出力する、
経路案内装置。
【請求項7】
請求項6に記載の経路案内装置であって、
前記投稿情報解析部は、前記投稿情報に含まれる日時情報に基づいて、前記追加条件を判定する、
経路案内装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の経路案内装置であって、
前記投稿情報解析部は、前記投稿情報に含まれるテキストデータの内容に基づいて、前記追加条件を判定する、
経路案内装置。
【請求項9】
請求項6〜7の何れか一項に記載の経路案内装置であって、
前記投稿情報解析部は、前記投稿情報に含まれるユーザ属性に基づいて、前記追加条件を判定する、
経路案内装置。
【請求項10】
請求項5〜9の何れか一項に記載の経路案内装置であって、
前記経路情報出力部は、前記基本コストデータに基づいて前記経路探索条件を満たす経路情報を出力するとともに、前記基本コストデータ及び前記追加コストデータに基づいて前記経路探索条件を満たす経路情報を出力する、
経路案内装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の経路案内装置であって、
前記経路情報出力部は、前記経路情報とともに、該経路情報によって示される経路を構成するリンクに対応する前記投稿情報を出力する、
経路案内装置。
【請求項12】
コンピュータが、
経路を構成するリンクを示すリンクデータと、前記リンクにおけるコストを示すコストデータとを対応づけて経路情報記憶部に記憶し、
ユーザ端末から投稿された投稿情報をサーバから取得して投稿情報記憶部に記憶し、
前記投稿情報記憶部を参照し、各投稿情報の内容に基づいて、該投稿情報に対応するリンクを特定するとともに、該リンクのコストを増加または減少させるべきかを解析し、
前記投稿情報の解析結果に基づいて、前記経路情報記憶部に記憶されている前記コストデータを更新し、
経路探索条件を受け付け、前記経路情報記憶部を参照し、前記経路探索条件を満たす経路を示す経路情報を出力する、
経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−40908(P2013−40908A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179893(P2011−179893)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】