説明

経路沿い施設検索システム及び経路沿い施設検索方法

【課題】経路沿いにある施設を検索する際の処理負荷を軽減する。
【解決手段】経路沿いの施設を検索するトリガーとなる検索要求をユーザ端末から受信し、検索要求に応じて、地図上の領域をメッシュ状に分割して得られる複数のメッシュ領域の中から、検索経路情報記憶部に記憶されている経路情報によって示される経路上にあるメッシュ領域を特定し、施設を示す施設情報がメッシュ領域と対応付けられて記憶されている施設情報記憶部を参照して、特定されたメッシュ領域に対応する施設情報を取得し、取得された施設情報をユーザ端末に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設検索システム及び施設検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地図データを用いた経路検索システムは、車載のナビゲーション装置に限らず、携帯端末等を利用するものまで幅広く普及している。このような経路検索システムにおいては、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなど、検索された経路沿いにある施設を検索して経路とともに表示することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−33272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、検索された経路沿いにある施設を検索するためには、施設の位置などが記憶されているデータベースを参照し、経路上の各点から所定距離内にある施設を検索する手法が一般的である。
【0005】
しかしながら、このような手法では、経路上の多数の点を基準として施設の検索処理を実行する必要があり、経路沿いにある施設を検索する際の処理負荷が非常に高くなってしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、経路沿いにある施設を検索する際の処理負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る経路沿い施設検索システムは、検索された経路を示す経路情報を記憶する検索経路情報記憶部と、経路沿いの施設を検索するトリガーとなる検索要求をユーザ端末から受信する検索要求受信部と、検索要求に応じて、地図上の領域をメッシュ状に分割して得られる複数のメッシュ領域の中から、経路情報によって示される経路上にあるメッシュ領域を特定するメッシュ領域特定部と、施設を示す施設情報がメッシュ領域と対応付けられて記憶されている施設情報記憶部を参照して、特定されたメッシュ領域に対応する施設情報を取得する検索部と、取得された施設情報をユーザ端末に出力する情報出力部と、を備える。
【0008】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、経路沿いにある施設を検索する際の処理負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態である情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】ユーザ端末から経路沿い施設検索サーバに送信される検索要求の一例を示す図である。
【図3】経路検索サーバから経路沿い施設検索サーバに送信される経路情報の一例を示す図である。
【図4】施設情報記憶部の構造の一例を示す図である。
【図5】施設情報に設定される隣接メッシュ領域を説明するための図である。
【図6】経路沿い施設検索サーバから施設検索サーバに送信される施設検索要求の一例を示す図である。
【図7】経路上にあるメッシュ領域を特定する処理の概要を説明するための図である。
【図8】経路上にあるメッシュ領域を特定する処理の変形例を説明するための図である。
【図9】特定されたメッシュ領域内にある施設を検索する処理の概要を説明するための図である。
【図10】施設情報のフィルタリング処理の概要を説明するための図である。
【図11】情報出力部からユーザ端末に対して出力される情報の構造の一例を示す図である。
【図12】ユーザ端末において表示される画面の一例を示す図である。
【図13】経路沿い施設検索サーバにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態である情報処理システムの構成を示す図である。情報処理システム10は、ユーザ端末12、地図サーバ14、経路検索サーバ16、施設検索サーバ18、及び経路沿い施設検索サーバ20を含んで構成されている。
【0012】
ユーザ端末12は、携帯電話や携帯情報端末、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、通信部30、制御部32、表示部34、及び操作部36を含んで構成される。
【0013】
通信部30は、例えば携帯電話のパケット通信網やインターネットなどを介して、地図サーバ14や経路沿い施設検索サーバ20との間でデータの送受信を行う。制御部32は、ユーザ端末12全体の動作を制御するものであり、例えば、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行することにより各種機能を実現することができる。表示部34は、地図情報や経路情報、施設情報などの各種情報を表示するものであり、ディスプレイなどを含んで構成される。操作部36は、例えば入力キーやタッチパネル等を含み、ユーザ端末12に対するユーザ操作を受け付ける。
【0014】
本実施形態では、制御部32は、例えば、地図サーバ14から地図データを取得して表示部34に地図を表示することができる。また、制御部32は、例えば、表示部34に表示された地図上で出発地及び目的地を指定して、経路(ルート)及び該経路沿いの施設を検索するための検索要求を経路沿い施設検索サーバ20に送信することができる。そして、制御部32は、この検索結果を経路沿い施設検索サーバ20から受信し、検索された経路及び施設を地図とともに表示部34に表示することができる。
【0015】
図2は、ユーザ端末12から経路沿い施設検索サーバ20に送信される検索要求の一例を示す図である。図2に示すように、検索要求には経路検索要求と施設検索要求とが含まれている。経路検索要求には、出発地や目的地、経由地の緯度・経度など、経路を検索するために必要な情報が含まれている。また、施設検索要求は、検索される経路沿いにある施設を検索するためのものであり、例えば、ジャンルコードや名称などが含まれている。
【0016】
図1に戻り、地図サーバ14は、地図を表示するための地図データを提供するものであり、地図情報記憶部40及び地図情報検索部42を含んで構成される。地図情報検索部42は、地図の中心点や範囲、縮尺などが設定された地図取得要求をユーザ端末12から受信し、該要求に応じた地図データを地図情報記憶部40から取得してユーザ端末12に送信することができる。なお、地図サーバ14は、ユーザ端末12からに限らず、経路沿い施設検索サーバ20などの他の情報処理装置からアクセスすることも可能である。
【0017】
経路検索サーバ16は、検索要求に応じて出発地から目的地までの経路を示す経路情報を提供するものであり、経路情報記憶部50及び経路情報検索部52を含んで構成される。経路情報検索部52は、出発地や目的地、経由地などの情報が設定された経路検索要求を経路沿い施設検索サーバ20から受信し、該要求に応じた経路情報を経路情報記憶部50から取得して経路沿い施設検索サーバ20に送信することができる。
【0018】
図3は、経路検索サーバ16から経路沿い施設検索サーバ20に送信される経路情報の一例を示す図である。図3に示すように、経路情報には、検索された経路の距離や所要時間、高速道路等で必要となる料金、経路を構成する各リンクを特定するための緯度・経度などの形状データ、交差点の右折や左折等の案内を行うための誘導情報が含まれている。
【0019】
図1に戻り、施設検索サーバ18は、検索要求に応じて施設(POI:Point of Interest)を示す施設情報を提供するものであり、施設情報記憶部60及び施設情報検索部62を含んで構成される。施設情報検索部62は、施設の名称やジャンル、メッシュコードなどの情報が設定された施設検索要求を経路沿い施設検索サーバ20から受信し、該要求に応じた施設情報を施設情報記憶部60から取得して経路沿い施設検索サーバ20に送信することができる。ここで、メッシュコードとは、緯度・経度により地図上の領域をメッシュ状に分割して得られるメッシュ領域(単に「メッシュ」とも言う)の識別子である。
【0020】
図4は、施設情報記憶部60の構造の一例を示す図である。図4に示すように、施設情報記憶部60に格納される施設情報には、位置情報や名称、住所、電話番号、ジャンルコード、メッシュコード、隣接メッシュコードが含まれている。ここで、ジャンルコードは、コンビニエンスストアやレストラン、ガソリンスタンドなど、施設のジャンルを識別するための情報である。メッシュコードには、施設が存在するメッシュ領域のメッシュコードが設定されている。また、隣接メッシュコードには、施設が存在するメッシュ領域に隣接するメッシュ領域のコードが設定されている。なお、隣接メッシュコードには、全ての隣接メッシュ領域のコードが設定されているわけではなく、施設からの距離または時間が所定閾値内であると判定されたメッシュ領域のコードが設定されている。
【0021】
図5は、施設情報に設定される隣接メッシュ領域を説明するための図である。図5において、施設Xはメッシュ領域Aに属している。そのため、施設Xの施設情報のメッシュコードには、メッシュ領域Aのメッシュコードが設定される。また、施設Xは、メッシュ領域Aに隣接するメッシュ領域Bの中心から所定距離内であることを示す破線の円内に位置している。つまり、施設Xはメッシュ領域Bの外ではあるものの、メッシュ領域Bに近い場所に位置していると判定される。この場合、施設Xの施設情報の隣接メッシュコードには、メッシュ領域Bのメッシュコードが設定される。なお、ここではメッシュ領域の中心からの直線距離によって隣接メッシュ領域を判定する例を示したが、判定手法はこれに限られない。例えば、メッシュ領域内にある交差点からの距離によって判定してもよいし、所定の移動手段による移動時間によって判定してもよい。また、直線距離ではなく、道路や路線を考慮した距離を用いてもよい。また、隣接メッシュコードには複数のメッシュ領域のメッシュコードを設定することも可能である。また、施設が属するメッシュ領域のメッシュコードと、隣接メッシュ領域のメッシュコードとを1つのデータ項目で管理することとしてもよい。
【0022】
なお、図5には四角形状のメッシュ領域を示したが、メッシュ領域の形状は四角形状に限られない。また、隣接するメッシュ領域間において重複する領域が設けられていることとしてもよい。この場合、あるメッシュ領域の境界近くに位置する施設は、このメッシュ領域に隣接するメッシュ領域にも含まれていると判定することが可能となる。これにより、図5の例と同様に、1つの施設の施設情報に対して複数のメッシュ領域のメッシュコードを対応付けることが可能となる。
【0023】
図6は、経路沿い施設検索サーバ20から施設検索サーバ18に送信される施設検索要求の一例を示す図である。図6に示すように、施設検索要求には、メッシュコードやジャンルコード、名称が含まれている。このような施設検索要求に応じて、施設検索サーバ18の施設情報検索部62は、施設検索要求に設定された条件に合致する施設情報を検索し、検索結果を経路沿い施設検索サーバ20に送信する。具体的には、施設情報検索部62は、施設検索要求に設定された各メッシュコードが施設情報のメッシュコードまたは隣接メッシュコードに設定され、かつ、ジャンルコード及び名称が一致する施設情報を抽出する。なお、ジャンルコード及び名称は一方のみが設定される場合もあるし、両方が設定されない場合もある。また、隣接メッシュ領域を検索対象に含めるかどうかを選択可能であることとしてもよい。なお、メッシュコードは、メッシュ領域の次数に応じた体系となっており、施設検索要求に設定された上位のメッシュ領域のメッシュコードを用いて、下位のメッシュ領域のメッシュコードが設定された施設情報を抽出することも可能である。
【0024】
図1に戻り、経路沿い施設検索サーバ20は、ユーザ端末12からの検索要求に応じて、経路検索サーバ16及び施設検索サーバ18を用いて経路及び施設を検索し、検索結果をユーザ端末12に送信するものであり、検索要求受信部70、検索部72、検索経路情報記憶部74、メッシュ領域特定部76、及び情報出力部78を含んで構成される。なお、経路沿い施設検索サーバ20を構成する各部は、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、メモリに記憶されているプログラムを実行したりすることにより実現することができる。
【0025】
検索要求受信部70は、ユーザ端末12から送信されてくる検索要求を受信する。ユーザ端末12から送信されてくる検索要求には、図2に示したように、経路を検索するための経路検索要求と、経路沿いの施設を検索するための施設検索要求とが含まれている。
【0026】
検索部72は、ユーザ端末12からの検索要求に含まれる経路検索要求を経路検索サーバ16に送信することにより、経路検索サーバ16から経路情報を取得し、検索経路情報記憶部74に格納する。すなわち、検索部72は、経路検索サーバ16の経路情報記憶部50を間接的に参照し、経路情報を取得する。また、検索部72は、ユーザ端末12からの検索要求に含まれる施設検索要求に設定された条件に合致する経路沿いの施設を検索するために、図6に例示した施設検索要求を生成し、施設検索サーバ18に送信する。すなわち、検索部72は、施設検索サーバ18の施設情報記憶部60を間接的に参照し、施設情報を取得する。なお、施設検索要求に設定されるメッシュコードは、メッシュ領域特定部76により特定される。
【0027】
メッシュ領域特定部76は、検索経路情報記憶部74に記憶されている経路情報に基づいて、経路上にあるメッシュ領域を特定し、特定されたメッシュ領域のメッシュコードを出力する。ここで、メッシュ領域のサイズはあらかじめ定められたものとすることも可能であるし、ユーザ端末12からの要求に応じて変更可能としてもよい。例えば、ユーザ端末12から送信される施設検索要求に、メッシュ領域のサイズを指定するためのサイズ情報が設定されていることとしてもよい。また、後述するように、メッシュ領域特定部76は、検索された経路沿いの施設の数や密度に応じてメッシュ領域のサイズを変更し、経路上にあるメッシュ領域を再度特定することも可能である。
【0028】
図7は、経路上にあるメッシュ領域を特定する処理の概要を説明するための図である。まず、メッシュ領域特定部76は、検索経路情報記憶部74に記憶されている経路情報に基づいて経路を構成する(1)。次に、メッシュ領域特定部76は、経路を構成する2点間のライン(リンク)を選択する(2)。メッシュ領域特定部76は、選択したラインの矩形を作成し(3)、作成した矩形を含むメッシュ領域を特定する(4)。なお、メッシュ領域は緯度・経度に基づく所定規則によって規定されているため、メッシュ領域特定部76は、経路情報に含まれる緯度・経度の情報に基づいて、対象となるメッシュ領域を特定することが可能である。メッシュ領域特定部76は、(4)で特定されたメッシュ領域内で、(2)で選択されたラインと重なるメッシュ領域を求め(5)、ラインと重なるメッシュ領域のみを残す(6)。そして、(2)〜(6)の処理が、経路を構成する各ラインについて実行されることにより、経路上にあるメッシュ領域が特定される。
【0029】
図8は、経路上にあるメッシュ領域を特定する処理の変形例を説明するための図である。ここでは、図7に示した(1)〜(4)の処理が行われていることとする。その後、メッシュ領域特定部76は、(2)で選択されたラインのバッファを作成する(5)。ここで、ラインのバッファとは、ラインを含む所定幅の領域であり、バッファの幅は例えばユーザ端末12からの要求に応じて変更することも可能である。そして、メッシュ領域特定部76は、(4)で特定されたメッシュ領域内で、(5)で作成されたバッファと少なくとも一部が重なるメッシュ領域を求め(6)、バッファと重なるメッシュ領域のみを残す(7)。そして(2)〜(7)の処理が、経路を構成する各ラインについて実行されることにより、経路上にあるメッシュ領域が特定される。このように、ラインのバッファを作成してメッシュ領域を特定することにより、図7に示すメッシュ領域X,Yのように、ラインとは重なっていないがラインから近い距離にあるメッシュ領域を含めることが可能となる。
【0030】
図9は、特定されたメッシュ領域内にある施設を検索する処理の概要を説明するための図である。図9には、図7に示した処理によって特定されたメッシュ領域が示されている。このようにメッシュ領域が特定されると、検索部72は、特定されたメッシュ領域のメッシュコードが設定された施設検索要求を生成し、施設検索サーバ18に送信する。そして、施設検索サーバ18において、施設情報記憶部60が参照され、施設検索要求に設定された条件に合致する施設情報が検索される。なお、前述したように、施設情報の検索の際には、隣接メッシュコードについても考慮されることとしてもよい。また、施設情報に複数のメッシュコードが設定されている場合や、隣接メッシュコードが設定されている場合において、同一の施設情報が重複して検索された場合、施設検索サーバ18は、重複する施設情報をマージした上で施設情報を経路沿い施設検索サーバ20に送信することが可能である。このように検索された施設情報が、施設検索サーバ18から経路沿い施設検索サーバ20に送信される。
【0031】
図1に戻り、情報出力部78は、経路検索サーバ16から取得された経路情報と、施設検索サーバ18から取得された施設情報とを対応づけてユーザ端末12に出力する。このとき、情報出力部78は、経路からの距離を考慮して施設情報のフィルタリングを行うことができる。
【0032】
図10は、施設情報のフィルタリング処理の概要を説明するための図である。ここでは、図9に示す経路情報及び施設情報が取得されていることとする。この状態において、情報出力部78は、まず、ライン全体のバッファを作成する(1)。ここで、ライン全体のバッファとは、ライン全体を含む所定幅の領域であり、バッファの幅は例えばユーザ端末12からの要求に応じて変更することも可能である。そして、情報出力部78は、作成されたバッファに含まれる施設の施設情報のみを残す(2)。このように、ライン全体のバッファを作成して施設情報をフィルタリングすることにより、経路から所定距離以上離れている施設を除外することが可能となる。
【0033】
図11は、情報出力部78からユーザ端末12に対して出力される情報の構造の一例を示す図である。図11に示すように、情報出力部78は、フィルタリング後の施設情報を、経路情報を構成するリンク情報と対応づけてユーザ端末12に出力する。なお、施設情報とリンク情報との対応づけは、例えば、施設とリンクとの距離に基づいて行うことが可能である。このように施設情報をリンク情報と対応付けて出力することにより、ユーザ端末12では、例えば、現在位置から進行方向にある施設の施設情報のみを表示するなど、表示する施設情報の抽出が容易となる。
【0034】
図12は、ユーザ端末12において表示される画面の一例を示す図である。ユーザ端末12の制御部32は、経路沿い施設検索サーバ20から取得される経路情報及び施設情報を地図とともに表示部34に表示することが可能である。このとき、施設情報に複数のジャンルが含まれる場合等においては、制御部32は、各施設情報のジャンルを識別可能に表示することが可能である。また、制御部32は、施設情報に含まれるジャンルの種類を表示し、その中からユーザによって選択されるジャンルの施設情報のみを表示することも可能である。また、制御部32は、経路情報や施設情報を表示する際に必要となる地図データを地図サーバ14から取得することができる。なお、経路沿い施設検索サーバ20の情報出力部78が、経路情報や施設情報を表示する際に必要となる地図データを地図サーバ14から取得してユーザ端末12に送信することとしてもよい。
【0035】
ユーザ端末12では、例えば、表示された施設情報を選択することにより、その施設の詳細情報を確認したり、施設を経由地に設定したりすることが可能である。そして、制御部32は、経由地に設定された施設を経由する経路の検索要求を経路沿い施設検索サーバ20に送信し、新たに検索された経路情報を取得することができる。このとき、施設情報についても新たな経路を基準として検索されることとしてもよい。また、ユーザ端末12では、例えば、表示される施設情報の数を調節するために、メッシュ領域のサイズやフィルタリング時のバッファのサイズを変更するための操作が可能であることとしてもよい。このようなサイズの情報は、ユーザ端末12から経路沿い施設検索サーバ20に送信される施設検索要求に設定され、経路沿い施設検索サーバ20での処理において考慮することが可能である。
【0036】
また、ユーザ端末12では、図12に示したように施設情報を経路沿いに表示するだけではなく、施設情報がリスト表示されることとしてもよい。このようにリスト表示する場合においては、施設情報に含まれる施設の属性情報に基づいて表示順序が制御されることとしてもよい。例えば、検索された施設がガソリンスタンドの場合であれば、ガソリンの1リットルあたりの価格が安い順に施設情報が表示されることとしてもよい。また、例えば、施設の位置が現在位置から近い順に施設情報が表示されることとしてもよい。
【0037】
図13は、経路沿い施設検索サーバ20における処理の流れを示すフローチャートである。検索要求受信部70は、経路検索要求及び施設検索要求を含む検索要求をユーザ端末12から受信する(S1301)。該検索要求に応じて、検索部72は、経路検索サーバ16に対して経路検索要求を送信し(S1302)、経路検索サーバ16から経路情報を受信して検索経路情報記憶部74に格納する(S1303)。
【0038】
経路が検索されると、メッシュ領域特定部76は、経路情報に基づいて、経路上にあるメッシュ領域を特定する(S1304)。メッシュ領域が特定されると、検索部72は、特定されたメッシュ領域のメッシュコードが設定された施設検索要求を生成して施設検索サーバ18に送信し(S1305)、施設検索サーバ18から施設情報を受信する(S1306)。
【0039】
経路沿い施設が検索されると、情報出力部78は、経路を構成するライン全体のバッファを作成し、施設情報のフィルタリングを行う(S1307)。そして、情報出力部78は、経路情報と施設情報とをマージしてユーザ端末12に送信する(S1308)。
【0040】
なお、検索された施設の数や密度が所定の基準値未満である場合、メッシュ領域特定部76は、より上位の(より大きい)メッシュ領域を用いて経路上のメッシュ領域を特定することも可能である。反対に、検索された施設の数や密度が所定の基準値以上である場合、メッシュ領域特定部76は、より下位の(より小さい)メッシュ領域を用いて経路上のメッシュ領域を特定することも可能である。このようにメッシュ領域のサイズが変更された場合、検索部72は、再度、特定されたメッシュ領域のメッシュコードを用いて施設情報を検索することが可能である。また、メッシュ領域のサイズ変更は、経路全体で行われるのではなく部分的に行われることとしてもよい。なお、メッシュ領域のサイズ変更に伴って、フィルタリングの際のバッファのサイズを変更することも可能である。また、メッシュ領域のサイズが部分的に変更された場合には、フィルタリングの際のバッファについても部分的に変更されることとしてもよい。
【0041】
以上、本実施形態について説明した。本実施形態によれば、経路上の多数の点を基準として経路沿いの施設を検索するのではなく、経路上にあるメッシュ領域を特定したうえで、該メッシュ領域に対応する施設が検索される。これにより、検索処理の回数が削減され、経路沿いにある施設を検索する際の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態によれば、図8に示したように経路に対してバッファを設定することにより、経路上のメッシュ領域を特定することが可能である。メッシュ領域は、地図上の領域をメッシュ状に分割したものであるため、経路との距離が近いにもかかわらず、経路を構成するラインと重ならない場合が生じうる。そのため、図8に示したようにバッファを設定することにより、経路との距離が近いメッシュ領域を追加で特定することが可能となる。これにより、追加で特定されたメッシュ領域内の施設についても検索の対象となり、施設検索の精度を向上させることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態によれば、図10に示したように経路に対してバッファを設定することにより、検索された施設情報のフィルタリングを行うことが可能となる。これにより、特定されたメッシュ領域内にはあるものの、経路からの距離が所定距離以上である施設を除外することが可能となる。
【0044】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0045】
例えば、本実施形態では、ユーザ端末12からの検索要求に応じて、経路の検索と施設の検索とを連続して一体的に行うこととしたが、何れか一方の検索のみが独立して実行されることとしてもよい。例えば、経路沿い施設検索サーバ20は、ユーザ端末12からの経路検索要求に応じて経路情報を取得してユーザ端末12に送信し、その後、ユーザ端末12から送信されてくる施設検索要求に応じて施設情報を取得してユーザ端末12に送信することも可能である。
【0046】
また、例えば、経路沿い施設検索サーバ20は、ユーザ端末12から検索要求を受信したタイミングで経路情報及び施設情報を取得する一方、ユーザ端末12に対しては経路情報のみを出力し、その後ユーザ端末12からの要求に応じて施設情報を出力することとしてもよい。
【0047】
また、例えば、ユーザ端末12から送信される検索要求には施設検索要求が含まれず、経路沿い施設検索サーバ20は、該検索要求に応じて、全ての施設あるいは所定のジャンルの施設に関する施設情報を取得することとしてもよい。この場合においても、施設情報の出力タイミングは任意である。そして、例えば、経路沿い施設検索サーバ20は、取得した施設情報を一時的にメモリに格納しておき、ユーザ端末12から受信する施設検索要求に合致する施設情報を抽出して出力することも可能である。
【0048】
また、本実施形態で示した経路沿い施設検索サーバ20の構成は一例であり、例えば、経路検索サーバ16や施設検索サーバ18、地図サーバ14などの他のサーバが有する機能の一部または全部が施設検索サーバ20に含まれることとしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 情報処理システム
12 ユーザ端末
14 地図サーバ
16 経路検索サーバ
18 施設検索サーバ
20 経路沿い施設検索サーバ
30 通信部
32 制御部
34 表示部
36 操作部
40 地図情報記憶部
42 地図情報検索部
50 経路情報記憶部
52 経路情報検索部
60 施設情報記憶部
62 施設情報検索部
70 検索要求受信部
72 検索部
74 検索経路情報記憶部
76 メッシュ領域特定部
78 情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索された経路を示す経路情報を記憶する検索経路情報記憶部と、
経路沿いの施設を検索するトリガーとなる検索要求をユーザ端末から受信する検索要求受信部と、
前記検索要求に応じて、地図上の領域をメッシュ状に分割して得られる複数のメッシュ領域の中から、前記経路情報によって示される経路上にあるメッシュ領域を特定するメッシュ領域特定部と、
施設を示す施設情報がメッシュ領域と対応付けられて記憶されている施設情報記憶部を参照して、前記特定されたメッシュ領域に対応する施設情報を取得する検索部と、
前記取得された施設情報を前記ユーザ端末に出力する情報出力部と、
を備える経路沿い施設検索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路沿い施設検索システムであって、
前記検索要求には、経路を検索するための経路検索要求が含まれ、
前記検索部は、経路を検索するための経路情報が記憶されている経路情報記憶部を参照して、前記経路検索要求に応じた経路情報を取得して前記検索経路情報記憶部に格納し、
前記情報出力部は、前記検索された経路情報を前記ユーザ端末に出力する、
経路沿い施設検索システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の経路沿い施設検索システムであって、
前記メッシュ領域特定部は、前記経路を構成する2点間を結ぶ直線上にあるメッシュ領域を、前記経路上にあるメッシュ領域として特定する、
経路沿い施設検索システム。
【請求項4】
請求項3に記載の経路沿い施設検索システムであって、
前記メッシュ領域特定部は、前記経路を含む所定幅の第1のバッファ領域と少なくとも一部が重なるメッシュ領域を、前記経路上にあるメッシュ領域として特定する、
経路沿い施設検索システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の経路沿い施設検索システムであって、
前記情報出力部は、前記取得された施設情報のうち、前記経路を含む所定幅の第2のバッファ領域内にある施設の施設情報を前記ユーザ端末に出力する、
経路沿い施設検索システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の経路沿い施設検索システムであって、
前記検索要求には、施設を検索する際のメッシュ領域のサイズを指定するためのサイズ情報が含まれ、
前記メッシュ領域特定部は、前記経路上にある、前記サイズ情報に応じたサイズのメッシュ領域を特定する、
経路沿い施設検索システム。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか一項に記載の経路沿い施設検索システムであって、
前記メッシュ領域特定部は、前記取得された施設情報によって示される施設の数に応じて、前記特定されるメッシュ領域のサイズを変更し、前記経路上にあるメッシュ領域を再度特定し、
前記検索部は、前記再度特定されたメッシュ領域に対応する施設情報を取得する、
経路沿い施設検索システム。
【請求項8】
コンピュータが、
経路沿いの施設を検索するトリガーとなる検索要求をユーザ端末から受信し、
前記検索要求に応じて、地図上の領域をメッシュ状に分割して得られる複数のメッシュ領域の中から、検索経路情報記憶部に記憶されている経路情報によって示される経路上にあるメッシュ領域を特定し、
施設を示す施設情報がメッシュ領域と対応付けられて記憶されている施設情報記憶部を参照して、前記特定されたメッシュ領域に対応する施設情報を取得し、
前記取得された施設情報を前記ユーザ端末に出力する、
経路沿い施設検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−242237(P2012−242237A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112355(P2011−112355)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】