説明

経路画像検索装置、経路画像検索方法及び経路画像検索プログラム

【課題】所望の地点の状況を表示画面上で複数の方向から観察することができる経路画像検索装置、経路画像検索方法及び経路画像検索プログラムを提供する。
【解決手段】利用者が入力操作部18から入力した所望地点の座標情報を地点指定部100が取得するとともに、当該地点を経路画像の検索位置として指定すると、位置検索部102は、上記指定地点から撮影位置が所定距離以内である経路画像を経路画像データベース16から検索して取得する。角度検索部104は、位置検索部102が検索した経路画像について、経路画像の撮影方向が、上記指定された地点と撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する。以上により検索された経路画像は、表示制御部106が表示部20に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路画像検索装置、経路画像検索方法及び経路画像検索プログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路、河川等の経路を管理するために、地図情報、航空写真画像等と関連付けて、経路の画像を検索し、表示する装置が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1にも、画像中の対象物の属性、データ等を、その対象物等のCG画像と共に対象物に対する指示によって検索表示する画像情報検索システムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−287434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術においては、所望の地点の状況を表示画面上で複数の方向から観察することができず、例えば損害保険会社が所望地点における事故発生時の状況の調査、確認を十分に行うことが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、所望の地点の状況を表示画面上で複数の方向から観察することができる経路画像検索装置、経路画像検索方法及び経路画像検索プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の経路画像検索装置の発明は、所望の地点を指定する地点指定手段と、撮影位置が前記地点から所定距離以内である経路画像を検索する位置検索手段と、前記位置検索手段が検索した経路画像について、撮影方向が前記地点と前記撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する角度検索手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記地点が、航空写真画像または地図画像に基づいて指定されることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記地点が、道路の交差点であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項記載の発明において、前記角度検索手段が、連続する複数の撮影位置に基づいて撮影方向を決定することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の発明において、前記経路画像が、撮影した季節、天候または時刻毎に検索されることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の経路画像検索方法の発明は、所望の地点を指定する地点指定工程と、撮影位置が前記地点から所定距離以内である経路画像を検索する位置検索工程と、前記位置検索工程で検索した経路画像について、撮影方向が前記地点と前記撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する角度検索工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の経路画像検索プログラムの発明は、所望の地点を指定し、撮影位置が前記地点から所定距離以内である経路画像を検索し、前記検索した経路画像について、撮影方向が前記地点と前記撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所望の地点の状況を表示画面上で複数の方向から観察することができ、所望地点の状況を正確に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0015】
図1には、本発明にかかる経路画像検索システムの一実施形態のブロック図が示される。図1において、経路画像検索システムは、経路画像検索装置10、航空写真画像データベース12、地図情報データベース14及び経路画像データベース16を含んで構成されている。
【0016】
経路画像検索装置10は、所望の地点を指定して、当該地点を撮影した経路画像を取得し、表示する。構成、機能の詳細は後述する。
【0017】
航空写真画像データベース12は、各地域の航空写真画像情報を格納しており、他からの要求に応じて、航空写真画像情報を提供する。この航空写真画像情報は、航空写真画像と、航空写真画像上の地点の座標情報とを有している。
【0018】
地図情報データベース14は、各地域の地図情報を格納しており、他からの要求に応じて、地図情報を提供する。この地図情報には、地図画像と、地図画像上の地点の座標情報とを有している。
【0019】
経路画像データベース16は、道路、河川等の経路を進行しながら撮影した経路の写真画像を格納している。経路画像は、道路に自動車を走行させて撮影取得した道路の画像及び河川に船舶を航行させて撮影取得した河川の画像等である。この経路画像の各々には、検索用の情報(検索情報)が付加されている。検索情報には、経路の番号(道路番号、河川番号)、経路画像の撮影日時、撮影地点の座標情報等が含まれており、撮影日時と当該経路画像を撮影した撮影地点の座標情報(撮影位置)とがテーブル等により関連付けられている。
【0020】
以上に述べた経路画像検索システムは、経路画像検索装置10、航空写真画像データベース12、地図情報データベース14及び経路画像データベース16を、同一の筐体内に設けて実現してもよいし、互いにインターネットその他のネットワークにより接続して実現してもよい。
【0021】
また、上記経路画像検索装置10は、地点指定部100、位置検索部102、角度検索部104、表示制御部106及び通信部108を含んで構成されている。
【0022】
地点指定部100は、中央処理装置(CPU)及びCPUの処理動作を制御するプログラムにより実現され、利用者が入力操作部18から入力した地点の座標情報を取得するとともに、当該地点を経路画像の検索位置として指定する。なお、利用者は、表示制御部106により表示部20に表示された航空写真画像または地図画像を参照して、道路の交差点等を所望の地点として指定する。上述したように、航空写真画像情報または地図情報は、航空写真画像上または地図画像上の地点の座標情報を有しているので、地点指定部100は、表示部20に表示された航空写真画像または地図画像上で利用者が指定した地点の座標情報を取得することができる。
【0023】
位置検索部102は、CPU及びCPUの処理動作を制御するプログラムにより実現され、地点指定部100が指定した地点の座標情報に基づいて、当該地点から撮影位置が所定距離以内である経路画像を経路画像データベース16から検索する。
【0024】
角度検索部104は、CPU及びCPUの処理動作を制御するプログラムにより実現され、位置検索部102が検索した経路画像について、経路画像の撮影方向が指定された地点と撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する。なお、上記撮影方向の決定方法は後述する。
【0025】
表示制御部106は、CPU及びCPUの処理動作を制御するプログラムにより実現され、検索結果としての経路画像を表示部20に表示するための制御を行う。なお、表示制御部106が、表示部20に航空写真画像または地図画像を表示する際には、利用者が入力操作部18から入力した指示に基づき、航空写真画像データベース12または地図情報データベース14から航空写真画像情報または地図情報を取得して表示する。
【0026】
通信部108は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート、ネットワークポート等の適宜な通信インターフェースにより実現され、航空写真画像データベース12、地図情報データベース14及び経路画像データベース16との間で情報の授受を行う。
【0027】
以上に述べた経路画像検索システムにおいては、入力操作部18、表示部20及び表示制御部106を経路画像検索装置10とは別のコンピュータで実現し、このコンピュータと経路画像検索装置10とをインターネット等のネットワークで接続する構成としてもよい。これにより、ネットワーク経由で経路画像の検索を行うことができる。
【0028】
なお、上記入力操作部18は、キーボード、マウス等の入力装置により実現され、利用者が所望の地点等を入力するために使用する。また、表示部20は、液晶ディスプレイ等の表示装置により実現され、表示制御部106の指示に従って各種情報を表示する。
【0029】
図2には、位置検索部102による指定地点から所定距離以内にある経路画像の検索処理の説明図が示される。図2において、経路(この場合は道路)R1、R2について、自動車を走行させて経路画像を取得した撮影地点が○で示されている。位置検索部102は、この撮影地点の座標情報を、経路画像を検索する際に経路画像データベース16から取得する。なお、各撮影地点に示された矢印は、後述する撮影方向を示している。
【0030】
利用者が、表示部20に表示された航空写真画像または地図画像を参照して、道路の交差点等を所望の地点として指定すると、位置検索部102は、図2に+印で示された指定地点から所定距離rを半径とする円Cを設定する。次に、経路画像データベース16に格納された経路画像のうち、上記指定地点が存在する道路R1、R2において撮影された経路画像を対象にして、円C内の座標情報を有する経路画像を検索する。これにより、利用者が指定した地点から半径r内で撮影された経路画像が検索できる。
【0031】
図3(a)、(b)には、角度検索部104による検索処理の説明図が示される。図3(a)は経路画像の撮影方向を決定する処理の説明図であり、図3(b)は、所定の撮影方向を有する経路画像の検索処理の説明図である。
【0032】
図3(a)において、角度検索部104は、連続する複数の撮影位置の経路画像、例えば撮影方向を求めたい経路画像及びその前後の3点の経路画像を経路画像データベース16から取得する。経路画像では、上述したように、撮影位置と撮影日時とが関連付けられているので、これらの情報に基づき、各経路画像の撮影位置とその撮影順序とを決定する。図3(a)で、○が撮影位置であり、○中に記載された数字が撮影順序である。この撮影位置とその撮影順序とから、上記撮影方向を求めたい経路画像(4)及びその前後の3点の経路画像(1,2,3,5,6,7)を通る曲線を求める。図3(a)では、この曲線が破線で示されている。角度検索部104は、経路画像(4)の撮影位置における上記曲線の接線方向を求め、撮影方向とする。あるいは、上記曲線を曲率一定(一様なカーブ)と仮定して、前の経路画像(3)の撮影方向と後ろの経路画像(5)の撮影方向の中間値として経路画像(4)の撮影方向を決定してもよい。なお、図3(a)の方法では、経路画像(4)の撮影方向を決定するために、その前後3つずつの撮影位置を使用したが、この数には限定されない。適切に撮影方向が決定できれば、さらに少ないあるいは多い数の撮影位置を使用する構成としてもよい。
【0033】
図3(b)において、円Cは、図2で位置検索部102が設定したものである。角度検索部104は、図3(a)の方法で決定された撮影方向が、利用者が指定した地点と撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する。所定角度以内とするのは、利用者が指定した地点の方向を向いて撮影され、当該地点の画像を含む可能性が高い経路画像を選出するためである。図3(b)では、+印が上記指定地点であり、矢印が各経路画像の撮影方向である。図3(b)で破線で示された、指定地点と撮影位置とを結ぶ線と上記撮影方向とが、例えば90度以内として検索すると、□で示される撮影位置の経路画像が選出される。
【0034】
以上の位置検索部102及び角度検索部104の検索処理により、利用者が指定した地点の近傍で、且つ指定地点の画像を含む経路画像を検索することができる。
【0035】
図4には、本実施形態にかかる経路画像検索装置10の動作例のフローが示される。図4において、利用者が入力操作部18から入力した所望地点の座標情報を地点指定部100が取得するとともに、当該地点を経路画像の検索位置として指定する(S1)。
【0036】
次に、位置検索部102は、地点指定部100が指定した地点から撮影位置が所定距離以内である経路画像を経路画像データベース16から検索して取得する(S2)。なお、この検索の際には、経路画像を撮影した季節、天候または時刻毎に検索してもよい。この結果、例えば損害保険会社は、事故発生時における調査地点の状況確認を容易に行うことができる。
【0037】
角度検索部104は、S2において位置検索部102が検索した経路画像について、経路画像の撮影方向が、上記検索位置として指定された地点と撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する(S3)。
【0038】
以上のステップにより検索された経路画像を、表示制御部106が表示部20に表示する(S4)。この場合、検索結果としての経路画像が複数ある場合には、表示部20に同時に表示するのが好適である。これにより、所望地点の状況を表示画面上で複数の方向から観察することができ、所望地点の状況をより正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかる経路画像検索システムの一実施形態のブロック図である。
【図2】位置検索部による指定地点から所定距離以内にある経路画像の検索処理の説明図である。
【図3】角度検索部による検索処理の説明図である。
【図4】本発明にかかる経路画像検索装置の一実施形態における動作例のフロー図である。
【符号の説明】
【0040】
10 経路画像検索装置、12 航空写真画像データベース、14 地図情報データベース、16 経路画像データベース、18 入力操作部、20 表示部、100 地点指定部、102 位置検索部、104 角度検索部、106 表示制御部、108 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の地点を指定する地点指定手段と、
撮影位置が前記地点から所定距離以内である経路画像を検索する位置検索手段と、
前記位置検索手段が検索した経路画像について、撮影方向が前記地点と前記撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する角度検索手段と、
を備えることを特徴とする経路画像検索装置。
【請求項2】
請求項1記載の経路画像検索装置において、前記地点は、航空写真画像または地図画像に基づいて指定されることを特徴とする経路画像検索装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の経路画像検索装置において、前記地点は、道路の交差点であることを特徴とする経路画像検索装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項記載の経路画像検索装置において、前記角度検索手段は、連続する複数の撮影位置に基づいて撮影方向を決定することを特徴とする経路画像検索装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項記載の経路画像検索装置において、前記経路画像は、撮影した季節、天候または時刻毎に検索されることを特徴とする経路画像検索装置。
【請求項6】
所望の地点を指定する地点指定工程と、
撮影位置が前記地点から所定距離以内である経路画像を検索する位置検索工程と、
前記位置検索工程で検索した経路画像について、撮影方向が前記地点と前記撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する角度検索工程と、
を備えることを特徴とする経路画像検索方法。
【請求項7】
所望の地点を指定し、
撮影位置が前記地点から所定距離以内である経路画像を検索し、
前記検索した経路画像について、撮影方向が前記地点と前記撮影位置とを結ぶ線から所定角度以内にある経路画像を検索する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする経路画像検索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−122286(P2008−122286A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308000(P2006−308000)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】