説明

経路設定装置

【課題】出発地から目的地の間の経路において通行の妨げとなる障害地物を回避する適切な経由地を設定してから最適な経路を設定する経路設定装置を提供する。
【解決手段】 経路設定装置242は、通行の妨げとなる障害地物の位置および形状の情報を含む障害地物データおよび障害地物を横断する地点として障害地物に関連付けられた横断地点の位置情報を含む横断地点データを記憶する地図データ記憶部241と、出発地および目的地の間を結ぶ線分と交差する障害地物を抽出する交差障害地物抽出部2403と、交差する障害地物を横断する横断地点を抽出する横断地点抽出部2405と、選択横断地点を仮の目的地に設定して出発地および仮の目的地を用いて交差障害地物抽出部の処理以降の処理を繰り返し、選択横断地点を仮の出発地に設定して仮の出発地および目的地を用いて交差障害地物抽出部の処理以降の処理を繰り返す経由地設定部2405とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索において予め川等の障害地物を横断する経由地を設定して最適な経路を設定する経路設定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、出発地から目的地に至る経路を探索して案内するナビゲーションシステムが利用されている。
【0003】
従来のナビゲーションシステムとしては、例えば、出発地から目的地への経路の探索において、出発地と目的地との間に予め中間地点を決定するナビゲーションシステムが提案されている。具体的には、出発地と目的地との間に大きな湖等の無道路地域がある場合は、外形に基づいて無道路地域を迂回する中間地点を決定するというものである(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1に記載されている技術によれば、経路探索する前に中間地点を定めておくことにより、経路探索中に推奨する経路の候補となる通路のつながりを伸ばしていく処理において、通路を効率よく伸ばしていくことができるので、経路探索する処理の負担が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−300934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている発明によれば、無道路地域を物理的に避ける領域を中間地点として設定するのみであり、その設定された地点が必ずしも最適経路の通過地点とは限らない。例えば、無道路地域が川であって、出発地と目的地との間に広大な流域を有している場合には、無道路地域の外形に基づいて迂回する中間地点は川の流域の外に設定される。この場合、その位置は遠方に位置することになる可能性があり、このようなときは適切な中間地点とはならないという問題点がある。
【0006】
また、出発地と目的地との間に存在する川に橋が複数存在しており橋で区切られた区間を上述した無道路地域ととらえた場合であっても川の蛇行状態によっては、そもそも出発地や目的地が無道路地域の中に含まれてしまう場合がある。この場合、無道路地域の外形に基づく計算だけでは最適な中間地点を設定することができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、2つの地点の間の経路において通行の妨げとなる障害地物を回避する適切な経由地を設定してから最適な経路を設定する経路設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の経路設定装置は、通行の妨げとなる障害地物の位置および形状の情報を含む障害地物データおよび前記障害地物を横断する地点として前記障害地物に関連付けられた横断地点の位置情報を含む横断地点データを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記地図データを参照して出発地および目的地の間を結ぶ線分と交差する前記障害地物を抽出する交差障害地物抽出部と、該交差障害地物抽出部が前記交差する障害地物を抽出した場合であって、かつ、該抽出した障害地物と前記線分とが交差する地点が偶数地点である場合には、前記交差する障害地物を迂回したときに経由する迂回地点を、前記出発地および目的地の位置ならびに前記障害地物の位置および形状の情報に基づいて前記交差する障害地物の存在領域近傍に設定する迂回地点設定部と、前記交差障害地物抽出部が前記交差する障害地物を抽出した場合には、前記地図データを参照して前記交差する障害地物を横断する横断地点を抽出する横断地点抽出部と、前記迂回地点設定部が前記迂回地点を設定した場合には、前記迂回地点を前記出発地および目的地の地点の間の経由地として設定し、前記横断地点抽出部が前記横断地点を抽出した場合には、抽出されている前記横断地点を1つずつ選択し、選択した横断地点である選択横断地点を仮の目的地に設定して前記出発地および前記仮の目的地を用いて前記交差障害地物抽出部の処理以降の処理を繰り返す第1の再帰処理を実行させ、該第1の再帰処理において前記障害地物が抽出されないときには前記選択横断地点を前記出発地からの進行先の経由地として設定するとともに、前記選択横断地点を仮の出発地に設定して該仮の出発地および前記目的地を用いて前記交差障害地物抽出部の処理以降の処理を繰り返す第2の再帰処理を実行させ、該第2の再帰処理において前記障害地物が抽出されないときには前記選択横断地点を前記目的地への進行元の経由地として設定し、前記第1の再帰処理または前記第2の再帰処理において前記横断地点が抽出されたときには、該横断地点を選択横断地点として前記第1の再帰処理および前記第2の再帰処理を実行させる経由地設定部と、該経由地設定部が設定した前記経由地の最適な進行順序を求めて前記出発地および目的地の間の最適な経路を設定する経路設定部とを備えるものである。
【0009】
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の経路設定装置は、通行の妨げとなる障害地物の位置および形状の情報を含む障害地物データおよび障害地物を横断する地点として障害地物に関連付けられた横断地点の位置情報を含む横断地点データを含む地図データを記憶しており、出発地および目的地の間を結ぶ線分と交差する障害地物が抽出された場合に、交差する状態に応じて、障害地物を迂回する迂回地点や、障害地物を横断する横断地点を求め、迂回地点または横断地点を経由地として経由地の最適な進行順序を求めてから最適な経路を設定するものである。したがって、本発明の経路設定装置によれば、広大な流域を有する川のような障害地物や、蛇行した川のような障害地物であっても、迂回地点や横断地点からなる最適な経由地の進行順序を求めることができる。そして、迂回したり横断したりする経由地とその最適な進行順序を経路の探索をする前に予め求めているので、経路の探索にかかる処理について余分な負担が生じないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の経路設定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)〜(d)は本実施形態のナビゲーションシステムに利用される地図データのデータ構造を示す図である。
【図4】本実施形態のナビゲーションシステムの概略の処理のフローチャートである。
【図5】本実施形態のナビゲーションシステムの経由地を設定する処理のフローチャートである。
【図6】本実施形態のナビゲーションシステムの経由地を設定する処理のフローチャートである。
【図7】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図8】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図9】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図10】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図11】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図12】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図13】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図14】本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。
【図15】本実施形態の経路設定処理を説明する図である。
【図16】本実施形態の経由地設定の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のナビゲーションシステム1は、携帯端末10およびこの携帯端末10と情報ネットワークを通して接続される情報センター20を備える。携帯端末10は、無線通信部11、現在位置検出部、画像表示部および装置本体を備える携帯電話であり、歩行者用ナビゲーション端末として利用される。情報センター20は、データ通信部23、入力部21、表示部22および計算機24を備える大型コンピュータである。そして、図2に示すように、計算機24は、地図データ記憶部241、地点設定部2402、交差障害地物抽出部2403、経由地設定部2404、横断地点抽出部2405、迂回地点設定部2406、経路設定部2408および画像生成部243を備えている。このうち、地点設定部2402、交差障害地物抽出部2403、経由地設定部2404、横断地点抽出部2405および迂回地点設定部2406および経路設定部2408は経路設定装置242を構成している。
【0014】
携帯端末10を構成する無線通信部11は、送信機、受信機およびアンテナからなるトランシーバである。また、現在位置検出部は、GPS衛星からの電波に基づいて現在位置を検出するGPS受信器と、GPS衛星からの電波を受信しにくい地下街内等は現在位置を検出するために設置された無線局からの近距離の無線受信に基づいて現在位置を求めて現在位置のデータを出力する近距離無線位置検出器とからなる。また、画像表示部は、液晶ディスプレイ等であって画像表示面に通信メニュー画面や地図画像等の画像を表示するデバイスである。そして、装置本体は、専用の計算機を含む各ハードウェアを収納する筐体である。なお、本実施形態の携帯端末10は、画像表示部の表面がタッチパネルの機能を有しており、ユーザの指定により、目的地、表示したい地図のエリア、縮尺、施設のフロアおよびその階層等を指定することができる。
【0015】
情報センター20を構成するデータ通信部23は、光ファイバーによりインターネットWと接続する機能を備えており、インターネットWから無線通信を介して携帯端末10の無線通信部11と接続される。また、地図データ記憶部241は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の外部記憶装置であり、地図データを記憶している。また、表示部22は、液晶ディスプレイ等であって画像表示面に画像を表示するデバイスである。また、入力部21は、キーボードやマウス等であってオペレータ等の指示内容を入力するデバイスである。そして、計算機24は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等からなる大型のコンピュータである。
【0016】
地図データ記憶部241が記憶している地図データは、行政界図、道路図および施設図等を生成するためのポリラインやポリゴンのデータ等の地図表示用データと、車または歩行者が通行可能な通路の接続状態をノードおよびリンクで表現するネットワークデータと、通行の妨げとなる障害地物の位置および形状の情報を含む障害地物データとを含むものである。障害地物データは、障害地物を横断する地点として障害地物に関連付けられた横断地点の位置情報を含む横断地点データと関連付けられている。障害地物は、例えば川等の地理的に大規模なものであって人や車が直接横断することができない地物であり、横断地点は、例えば川を横断するために建設された橋である。なお、本実施形態において、川については車が通行可能な橋の位置で区切った区間を1単位の障害地物としている。
【0017】
障害地物データは、図3(a)に示すように、障害地物を認識するための情報である障害地物ID、複数の障害地物が連なって構成する連帯障害地物を示す情報である連帯障害地物ID、障害地物を横断する横断路を認識する情報である横断路ID、障害地物の長さを示す情報である障害地物長、障害地物同士が接続する地点の情報である障害地物接続点ID、障害地物の形状を表現するための情報である形状情報、障害地物の存在領域を認識するための情報である外接矩形情報等の情報を含んでいる。本実施形態において、障害地物は形状補間点である形状情報を用いてポリラインとして地図に表示される。
【0018】
横断地点データは、図3(b)に示すように、上述した横断路ID、横断路の一方の端点である端点1のノードの情報に相当する端点1ノードID、横断路の他方の端点である端点2のノードの情報に相当する端点2ノードID、横断路に含まれるリンク列の各リンクの情報である横断路リンクID、上述した障害地物接続点IDおよび横断路の通過コストを示す情報である通過コスト等の情報を含んでいる。端点1、2は例えば端の出入口であり、ネットワークデータにおいて同じ位置にノードが対応付けられている。
【0019】
また、障害地物データは連帯障害地物データとも関連づけられている。連帯障害地物データは、図3(c)に示すように、連帯障害地物ID、連帯障害地物の名称を示す情報である連帯障害地物名称、連帯障害地物の種類を示す情報である連帯障害地物種類、連帯障害地物を構成する各障害地物の障害地物ID、連帯障害地物の存在領域を認識するための外接矩形情報等の情報を含んでいる。連帯障害地物種類は、例えば川、崖として登録される。
【0020】
また、障害地物データは障害地物接続点データとも関連付けられている。障害地物同士が接続する地点である障害地物接続点は、本実施形態においては障害地物として表示されるポリラインの端点に相当し、接続している全ての障害地物の障害地物IDを含んでいる。障害地物接続点データは、図3(d)に示すように、障害地物接続点ID、障害地物接続点の種別を示す情報である種別、障害地物接続点の位置を示す情報である緯度経度座標、接続している障害地物ID等の情報を含んでいる。これらの情報は障害地物同士の接続状態を認識可能にする情報である。本実施形態においては、例えば連帯障害地物が川であれば、橋である横断路と障害地物との交点の位置に障害地物接続点が位置するので、種別は「障害地物と横断路との交点」となる。また、1つの障害地物接続点に対して複数の障害地物が接続していることもある。これは、例えば、障害地物が川であるときには、本流に支流が合流している場合であって合流点の位置を障害地物接続点としているとき等が当てはまる。この場合の障害地物接続点の種別は「接続点」として登録される。なお、本実施形態とは異なり、例えば連帯障害地物である川を橋と橋との中間点で区切った区間を1単位の障害地物とする場合の種別も「接続点」として登録される。
【0021】
データ通信部23は、携帯端末10側で指定した出発地および目的地、または携帯端末10の現在位置のデータを受信する。
【0022】
地点設定部2402は、携帯端末10側で指定した出発地および目的地の2つの地点を設定して交差障害地物抽出部2403へ出力する機能を有する。また、地点設定部2402は、後述する経由地設定部から、仮の目的地の情報を受け取った場合には、出発地および仮の目的地の2つの地点を設定して交差障害地物抽出部2403へ出力し、仮の出発地の情報を受け取った場合には、目的地および仮の出発地の2つの地点を設定して交差障害地物抽出部2403へ出力する。
【0023】
交差障害地物抽出部2403は、地図データを参照して、地点設定部2402が設定した出発地および目的地の2つの地点の間を結ぶ線分と交差する障害地物を抽出する機能を有する。本実施形態においては、連帯障害地物データの外接矩形情報または障害地物データの外接矩形情報を参照して、線分と交差している可能性のある障害地物を予め特定するようにしているので、効率的に交差判定を行なうことができる。また、交差障害地物抽出部2403は、交差障害地物抽出部2403が抽出した線分が交差する障害地物を抽出する機能も有している。
【0024】
横断地点抽出部2405は、地図データを参照して交差する障害地物を横断する横断地点を抽出する機能を有する。本実施形態においては、横断地点抽出部2405は、横断路抽出部2410および横断路端点抽出部2411を備えている。横断路抽出部2410は線分が交差する障害地物を横断する横断路を抽出し、横断路端点抽出部2411は横断路の端点を横断地点として抽出する。
【0025】
迂回地点設定部2406は、交差する障害地物を迂回したときに経由する迂回地点を、前記出発地および目的地の位置ならびに前記障害地物の位置および形状の情報に基づいて前記交差する障害地物の存在領域近傍に設定する機能を有する。迂回地点設定部2406は、交差障害地物抽出部2403が線分と交差する障害地物を抽出した場合であって、線分がいずれかの障害地物と交差し、かつ交差する回数が偶数回である場合は、2つの地点は検出された障害地物によって隔てられた領域の同一領域内に存在すると判断できるため、障害地物を横断する横断地点ではなく、障害地物を避けて進行するための迂回地点を設定する。
【0026】
経由地設定部2404は、交差障害地物抽出部2403が障害地物を抽出しているか否かを判定する機能を有している。経由地設定部2404は、地点設定部2402が設定した出発地および目的地の2つの地点の間を結ぶ線分と交差する障害地物を交差障害地物抽出部2403により抽出していないと判定した場合は、出発地および目的地の2つの地点について間に経由地が存在しないことを確定し、出発地から目的地への進行順序を設定する。設定している2つの地点について進行順序を設定すると、その2つの地点および進行順序を経由地リストに格納する。
【0027】
また、経由地設定部2404は、交差障害地物抽出部2403が障害地物を抽出していると判定した場合は、迂回地点設定部2406に対して障害地物に対応する迂回地点を返すように要求し、迂回地点設定部2406が迂回地点を設定したときには、迂回地点を出発地および目的地の地点の間の経由地として設定し、出発地から経由地までの進行順序および経由地から目的地までの進行順序を設定する。
【0028】
さらに、経由地設定部2404は、交差障害地物抽出部2403が障害地物を抽出していると判定した場合は、横断地点抽出部2405に対して障害地物に対応する横断地点を返すように要求し、横断地点抽出部2405が横断地点を抽出したときには、横断地点抽出部2405から抽出された横断地点を受け取り、抽出した横断地点を横断地点リストに格納する。本実施形態においては、横断地点抽出部2405は、線分と交差する障害地物に対応する横断路を抽出し、抽出した横断路の端点を横断地点として返すようにしている。また、本実施形態においては、抽出された障害地物の障害地物IDに関連付けられている障害地物接続点IDによって隣接する障害地物を特定できるので、複数の障害地物から横断路を抽出することができる。なお、このような処理は状況に応じて実行するようにしている。例えば、抽出された障害地物に隣接する障害地物の長さが閾値よりも小さいものであった場合は、隣接する障害地物に対応する横断路も合わせて抽出することとしている。
【0029】
そして、経由地設定部2404は、抽出されている横断地点を横断地点リストから1つずつ選択し、選択した横断地点である選択横断地点を仮の目的地に設定して仮の目的地の情報を地点設定部2402へ送る。こうすることにより、地点設定部2402が出発地および仮の目的地の2つの地点を設定して交差障害地物抽出部2403へ出力し、出発地および仮の目的地を用いて交差障害地物抽出部2403の処理以降の処理を繰り返す処理(第1の再帰処理)が実行される。経由地設定部2404は、この第1の再帰処理において障害地物が抽出されないときには選択横断地点を出発地からの進行先の経由地として設定する。さらに、経由地設定部2404は、同じ選択横断地点を仮の出発地として地点設定部2402へ送る。こうすることにより、地点設定部2402が目的地および仮の出発地の2つの地点を設定して交差障害地物抽出部2403へ出力し、仮の出発地および目的地を用いて交差障害地物抽出部2403の処理以降の処理を繰り返す処理(第2の再帰処理)が実行される。経由地設定部2404は、この第2の再帰処理において障害地物が抽出されないときには選択横断地点を目的地への進行元の経由地として設定する。このように、経由地設定部2404は、仮の目的地または仮の出発地を設定して交差障害地物抽出部2403以降の処理を繰り返すように制御する機能を有する。また、経由地設定部2404は、第1の再帰処理または第2の再帰処理において横断地点が抽出されたときには、抽出された横断地点を選択横断地点として第1の再帰処理および第2の再帰処理を実行させる。なお、本実施形態においては、選択横断地点とした横断路の一方の端点を仮の目的地とした場合は、選択横断地点の代わりにその横断路の他方の端点を仮の出発地として設定することとしている。経由地設定部2404は、第1、第2の再帰処理が終了し、2つの地点の間の進行順序が設定されたときには、その2つの地点および進行順序を経由地リストに格納する。
【0030】
そして、経由地設定部2404は、第1、第2の再帰処理が終了し、横断地点リストにまだ選択されていない横断地点が残っているときには、残っている横断地点から選択した選択横断地点による第1、第2の再帰処理を実行させる。経由地設定部2404は、線分と交差する障害地物が抽出されないとき、または横断地点リストに横断地点が残っていないときは、経由地リストに含まれる出発地、経由地、目的地および進行順序の情報を経路設定部2408へ出力する。
【0031】
すなわち、経由地設定部2404は、交差障害地物抽出部2403が障害地物を抽出していると判定した場合には、地点設定部2402に2つの地点を再設定させ、迂回地点を設定するまたは横断地点を抽出する処理を再帰的に繰り返すように制御する機能を有している。本実施形態において、経由地設定部2404による再帰的に繰り返す処理は、出発地側から確定していく方向となるように制御する。つまり、横断地点リストから選択横断地点として選択する1つの横断地点は出発地に近いほうから優先して選択していく。
【0032】
経路設定部2408は、地点設定部2402が設定した出発地点、目的地点および経由地を、地図データ記憶部241に記憶されている地図データを参照して地図上に決定するとともに、ネットワークデータを用いて出発地点から目的地点に到る経路を算出して推奨する経路を設定する機能を有する。
【0033】
画像生成部243は、基準フロアおよび周辺フロアに対応するフロア表示用データに基づいて地図画像を生成し、生成した地図画像のデータをデータ通信部23へ出力する。
【0034】
本実施形態の経路設定装置242は、通行の妨げとなる障害地物の位置および形状の情報を含む障害地物データおよび障害地物を横断する地点として障害地物に関連付けられた横断地点の位置情報を含む横断地点データを含む地図データを記憶しており、出発地および目的地の間を結ぶ線分と交差する障害地物が抽出された場合に、交差する状態に応じて、障害地物を迂回する迂回地点や、障害地物を横断する横断地点を求め、迂回地点または横断地点を経由地として経由地の最適な進行順序を求めてから最適な経路を設定するものである。したがって、広大な流域を有する川のような障害地物や、蛇行した川のような障害地物であっても、迂回地点や横断地点からなる最適な経由地の進行順序を求めることができる。また、迂回したり横断したりする経由地とその最適な進行順序を経路の探索をする前に予め求めているので、経路の探索にかかる処理について余分な負担が生じないという利点がある。
【0035】
本実施形態のナビゲーションシステム1の処理について説明する。本実施形態は、現在位置から目的地へ至る経路を設定し、携帯端末10の現在位置の移動にともなってその都度地図画像を表示するナビゲーションシステムの例である。本実施形態のナビゲーションシステム1は、図4に示すように、出発地および目的地を設定する処理を実行し(ステップS400)、出発地および目的地の2つの地点の間に経由地を設定する処理を実行し(ステップS500)、ステップS500の結果に基づいて出発地から目的地へ至る経路を設定する処理を実行する(ステップS600)。
【0036】
<地点設定処理>
本実施形態のナビゲーションシステム1が、出発地および目的地を設定する処理(ステップS400)の詳細は以下のとおりである。
【0037】
まず、携帯端末10側でユーザがタッチパネルを操作することにより目的地を指定する。携帯端末10は、現在位置検出部により定期的に現在位置を検出しており、ユーザの指定を受け付けると、指定された目的地の情報と現在位置の情報とを無線通信部11によりインターネットWを介して配信サーバへ送信する処理を実行する。なお、携帯端末10は、この後も現在位置を定期的に検出して、そのたびに、最新の現在位置の情報を配信サーバへ送信する。
【0038】
携帯端末10がデータを送信する処理が終了すると、配信サーバ側で、データ通信部23が目的地の情報と現在位置の情報を受信して受信したこれらのデータを経路設定装置の地点設定部2402へ出力する処理を実行する。情報センター20において、計算機24は、地点設定部2402が目的地の情報の基づく目的地および現在位置の情報に基づく出発地の2つの地点を設定する処理を実行する(ステップS400)。図7〜図15は、それぞれ本実施形態の経由地設定の一例を示す図である。まず、図7に示す本実施形態の経由地設定の一例においては、地図上に出発地Sおよび目的地Gの2つの地点が設定されている。
【0039】
<経由地設定処理>
次に、本実施形態のナビゲーションシステム1が、地点設定部2402により設定された2つの地点の間に経由地を設定する処理(ステップS500)について、図5および図6を用いて詳細に説明する。ステップS400が終了すると、計算機24は、交差障害地物抽出部2403により、地図データを参照して、地点設定部2402が設定した出発地Sおよび目的地Gの2つの地点の間を結ぶ線分と交差する障害地物を抽出する処理を実行する(ステップS501)。本実施形態の経由地設定の一例においては、図7に示すように、出発地Sおよび目的地Gの間を結ぶ線分SN00を引いたときに、線分SN00と交差する障害地物KW3が抽出される。障害地物KW3は連帯障害地物データにおいて連帯障害地物種類が川として登録されている連帯障害地物KWを構成する障害地物KW1〜KW4のうちの1つである。障害地物KW2と障害地物KW3とは、連帯障害地物KWと横断路HS2との交点に位置する障害地物接続点(図示せず)で接続しており、障害地物KW3と障害地物KW4とは、連帯障害地物KWと横断路HS1との交点に位置する障害地物接続点(図示せず)で接続している。また、障害地物KW1と障害地物KW2とは障害地物接続点GRで接続している。また、障害地物接続点GRは連帯障害地物KWと連帯障害地物KSとの合流点であり、障害地物接続点GRにおいて、連帯障害地物KSを構成する障害地物KS1、連帯障害地物KWを構成する障害地物KW1、KS2が接続している。
【0040】
ステップS501が終了すると、計算機24は、経由地設定部2404により、前の処理のときに障害地物が抽出されているか否かを判定する処理を実行する(ステップS502)。計算機24は、ステップS502において、前の処理のときに障害地物が抽出されていないと判定した場合は(ステップS502:No)、経由地を設定する処理(ステップS500)を終了する。
【0041】
また、計算機24は、ステップS502において、前の処理のときに障害地物が抽出されていると判定した場合は(ステップS502:Yes)、経由地設定部2404により、交差障害地物抽出部2403が抽出した障害地物を要求して受け取る処理を実行する(ステップS503)。
【0042】
ステップS503が終了すると、計算機24は、迂回地点設定部2406により、交差する障害地物を迂回したときに経由する迂回地点を設定する処理を実行する(ステップS504)。具体的には、線分がいずれかの障害地物と交差し、かつ交差する回数が偶数回である場合は迂回地点が設定される。本実施形態において、迂回地点の設定は、設定している2つの地点の両方について障害地物に対する接線を求め、求めた接線同士の交点が障害地物から所定の距離以内にあるときにはこの交点を迂回地点として設定する。具体的には、線分と障害地物との複数の交点のうち、2つの地点の出発地側からみて、奇数番目の交点とその次の交点までの間の障害地物の形状と線分とで囲まれるエリアを全て求め、それらを包含する最小の凸図形を算出し、その凸図形に対して2つの地点から接線を求める。なお、求めた接線同士の交点が障害地物から所定の距離以内にないときには、設定している2つの地点を結ぶ線分に対して平行な障害地物に対する接線を求め、この接線と前に求めた2つの接線との交点を求め、求めた交点の中間点を迂回地点として設定する。
【0043】
図7に示す本実施形態の経由地設定の一例とは異なる他の例を図16に示す。図16に示すように、線分SN70と障害地物KW7との交点P1、P2、P3、P4がまず抽出される。次に、出発地Sからみて奇数番目であるP1とその次の交点P2からなる線分と障害地物KW7とで囲まれる領域A1を求め、同様にしてP3とP4からは領域A2を求める。これらA1とA2を包含する最小の凸図形A3に対して、出発地Sおよび目的地Gからの接線L1、L2がそれぞれ求められる。L1とL2の交点であるD7が障害地物KW7から所定の距離よりも離れていると判断された場合は、線分SN70と平行でかつ前述の領域A3と接している線L3を求め、L1、L2との交点の中間点D8を迂回地点として設定する。
【0044】
本実施形態の経由地設定の一例においては、図8に示すように、障害地物KWに対する接線TG11,TG12の交点D1が迂回地点として設定される。ステップS504が終了すると、計算機24は、経由地設定部2404により、前の処理のときに迂回地点が設定されているか否かを判定する処理を実行する(ステップS505)。
【0045】
計算機24は、ステップS505において、迂回地点が設定されていないと判定した場合は(ステップS505:No)、ステップS507へ移行する。また、計算機24は、ステップS505において、迂回地点が設定されていると判定した場合は(ステップS505:Yes)、経由地設定部2404により、迂回地点を、設定している2つの地点の間で経由する経由地として設定する処理を実行する(ステップS506)。なお、計算機24は、経由地設定部2404により、出発地から経由地までの進行順序および経由地から目的地までの進行順序も設定する。本実施形態の経由地設定の一例においては、ステップS504の処理によって設定されている図8に示す迂回地点D1が経由地D1として設定され、出発地Sから経由地D1までの進行順序および経由地D1から目的地Gまでの進行順序も設定される。このとき、2つの地点のうちの目的地側は最終到着地の目的地であるため、出発地S−経由地D1−目的地Gの順の1つの経路が確定する。
【0046】
ステップS506が終了すると、計算機24は、経由地設定部2404により、横断地点抽出部2405に対して障害地物に対応する横断地点を返すように要求し、横断地点抽出部2405により、交差する障害地物を横断する横断地点を抽出して経由地設定部2404へ返す。そして、計算機24は、経由地設定部2404により、抽出した横断地点からなる横断地点リストを作成して格納する処理を実行する(ステップS507)。本実施形態においては、交差する障害地物に関連付けて登録されている横断路を特定し、さらに、特定した横断路に関連付けて登録されている横断路の端点を特定してこれを横断地点として抽出する。例えば、本実施形態の経由地設定の一例においては、図9に示すように、障害地物KWには橋である横断路HS1,HS2が関連付けて登録されている。また、横断路HS1には端点HS1T1,HS1T2が関連付けて登録されており、横断路HS2には端点HS2T1,HS2T2が関連付けて登録されている。なお、本実施形態においては、特定したすべての横断路の端点についてそれぞれ出発地Sとの間を結ぶ線分SN01,SN02,SN03,SN04と交差する障害地物を抽出するとともに障害地物と交差する回数を解析し、このうち線分が交差する回数が奇数回である横断路の端点は出発地と障害地物によって隔てられているとして横断地点リストには格納しない。図9に示す本実施形態の経由地設定の一例においては、経由地設定部2404は、横断地点HS1T1,HS2T2からなる横断地点リストを作成して格納する。
【0047】
ステップS507が終了すると、計算機24は、経由地設定部2404により、抽出されている横断地点を横断地点リストから1つずつ選択する処理を実行する(ステップS508)。選択した横断地点を選択横断地点とする。本実施形態においては、横断地点リストから選択横断地点として選択する1つの横断地点は出発地に近いほうから優先して選択していくようにしているので、経由地設定の一例においては、図10に示すように、まず、横断地点HS1T1を選択することになる。
【0048】
第1の再帰処理(出発地S−横断地点HS1T1):
ステップS508が終了すると、計算機24は、経由地設定部2404により、抽出されている横断地点を横断地点リストから1つずつ選択し、選択した横断地点である選択横断地点を仮の目的地に設定して仮の目的地の情報を地点設定部2402へ送り、地点設定部2402により、出発地および仮の目的地の2つの地点を設定して交差障害地物抽出部2403へ出力し、ステップS500の処理を繰り返す第1の再帰処理を実行する(ステップS509)。具体的には、本実施形態の経由地設定の一例においては、図10に示す、出発地Sおよび仮の目的地とした選択横断地点HS1T1の2つの地点を用いてステップS500の再帰処理が実行される。なお、図10に示す場合は、ステップS502において2つの地点の間を結ぶ線分SN11と交差する障害地物が抽出されないので選択横断地点HS1T1を出発地Sからの進行先の経由地として設定する。
【0049】
第2の再帰処理(横断地点HS1T1−目的地G):
ステップS509が終了すると、計算機24は、経由地設定部2404により、同じ選択横断地点HS1T1を仮の出発地として地点設定部2402へ送り、地点設定部2402により、目的地および仮の出発地の2つの地点を設定して交差障害地物抽出部2403へ出力し、ステップS500の処理を繰り返す第2の再帰処理を実行する(ステップS510)。具体的には、本実施形態の経由地設定の一例においては、図11に示す、目的地Gおよび仮の出発地とした選択横断地点HS1T1の2つの地点を用いてステップS500の再帰処理が実行される。なお、このとき、横断地点HS1T1はステップS509において出発地Sからの進行順序が設定されているので、出発地Sから横断路HS1における他方の端点HS1T2に至る進行順序が確定するので、その結果、横断地点HS1T2が仮の出発地となって第2の再帰処理が実行される。図11に示すように、第2の再帰処理におけるステップS501において、この2つの地点の間を結ぶ線分SN12からは交差する障害地物KW3が抽出される。そして、第2の再帰処理におけるステップS507において、Uターンする方向となる横断地点HS1T1や線分が交差する回数が奇数回である横断地点HS2T2は横断地点リストに追加せず、線分が交差する回数が0である横断地点HS2T1が横断地点リストに追加して格納される。
【0050】
第1の再帰処理(横断地点HS1T2−横断地点HS2T1):
本実施形態の経由地設定の一例においては、上述した第2の再帰処理(横断地点HS1T1−目的地G)において横断地点が抽出されているので、抽出された横断地点を選択横断地点として第1の再帰処理および第2の再帰処理を実行させることになる。ステップS508が終了すると、ステップS509において、横断地点HS2T1を選択し、選択横断地点HS2T1を仮の目的地とする2つの地点を用いた第1の再帰処理が実行される。この場合の出発地は横断地点HS2T1を算出するときに仮の出発地として用いた横断地点HS1T2になる。この2つの地点については、図12に示すように、第1の再帰処理におけるステップS502において2つの地点の間を結ぶ線分SN21と交差する障害地物が抽出されないので、選択横断地点HS2T1をこのときに出発地となっている横断地点HS1T2からの進行先の経由地として設定する。
【0051】
第2の再帰処理(横断地点HS2T2−目的地G):
本実施形態の経由地設定の一例においては、ステップS509が終了すると、ステップS510において、選択横断地点HS2T1を仮の出発地とする2つの地点を用いて第2の再帰処理が実行される。この場合、選択横断地点HS2T1は直前のステップS509において目的地Sからの進行順序が確定しているので、横断路HS2における他方の端点HS2T2に至る進行順序が確定するので、その結果、横断地点HS2T2が仮の出発地となって第2の再帰処理が実行される。この2つの地点については、図13に示すように、第2の再帰処理におけるステップS502において2つの地点を結ぶ線分SN22と交差する障害地物が抽出されないので、選択横断地点HS2T2を目的地Gへの進行元の経由地として設定する。
【0052】
ステップS509およびステップS510の再帰処理が実行され、経由地設定部2404により、設定されている2つの地点およびその進行順序を経由地リストへ追加して格納する処理を実行する(ステップS511)。本実施形態の経由地設定の一例においては、出発地S−横断地点HS1T1−横断地点HS1T2−横断地点HS2T1−横断地点HS2T2−目的地Gの順の1つの経路が確定され、経由地リストに追加される。
【0053】
ステップS511が終了すると、計算機24は、経由地設定部2404により、本実施形態において経由地の候補となる横断地点を格納している横断地点リストに横断地点が残っているか否かを判定する処理を実行する(ステップS512)。計算機24は、ステップS512において、横断地点リストに横断地点が残っていると判定した場合は(ステップS512:Yes)、ステップS508へ移行する。本実施形態の経由地設定の一例においては、ここまでの処理が実行された時点で、横断地点リストに横断地点HS2T2が残っているので、続けて、この横断地点HS2T2を選択横断地点として第1、第2の再帰処理が実行されることになる。
【0054】
横断地点HS2T2を算出するときに用いた出発地および目的地はユーザの操作に基づいた出発地Sおよび目的地Gである。本実施形態の経由地設定の一例においては、図14に示すように、第1の再帰処理においては、ステップS502において2つの地点を結ぶ線分SN31と交差する障害地物KWが抽出され、かつ交差する地点が偶数地点であるため、ステップS504において出発地Sとの間に迂回地点D3が設定され、これがステップS506において経由地D3として設定される。これにより、出発地S−経由地D3−横断地点HS2T2の進行順序が確定する。そして、次のステップS507においては、横断地点HS1T1が横断地点リストに格納される。なお、横断地点HS1T1が横断地点リストに格納された場合、先述したように、出発地S−横断地点HS1T1−横断地点HS1T2−横断地点HS2T1−横断地点HS2T2の順の1つの経路が確定することになる。次に、仮の目的地である横断地点HS2T2の他方の端点であるHS2T1が仮の出発地となるが、その後の再帰処理を行なって得られる経路は出発地Sへ戻る経路となる。従って、これらの経路順は経由地リストに追加されない。
【0055】
ステップS512において、横断地点リストに横断地点が残っていないと判定した場合は(ステップS512:No)、計算機24は、経由地設定部2404により、経由地リストを確定して経由地リストに含まれる出発地、経由地、目的地および進行順序の情報を経路設定部2408へ出力する処理を実行し、しかる後に、経由地を設定する処理(ステップS500)を終了する。本実施形態の経由地設定の一例においては、ここまでの処理が実行された時点で、出発地Sから目的地Gへの経由地設定における横断地点リストが空であるため、経由地設定を終了する。
【0056】
<経路設定処理>
次に、本実施形態のナビゲーションシステム1において、地点設定部により確定された経由地リストに基づいて出発地から目的地へ至る経路を設定する処理(ステップS600)について詳細に説明する。本実施形態においては、最初に設定された出発地および目的地の2地点間について障害地物を横断したり避けたりして到達できる進行順序が設定されている経由地リストを全て取得することとしており、取得した進行順序が確定している経由地リストに対応する経由地進行パターンの全てについて経路探索処理を行い、最も通過コストが低くなる最適な進行順序の経路を設定する。本実施形態の経由地設定の一例においては、図15に示すように、上述した経由地を設定する処理によって設定された出発地S−経由地D1−目的地Gの順の1つの経路、または出発地S−横断地点HS1T1−横断地点HS1T2−横断地点HS2T1−横断地点HS2T2−目的地Gの順のもう1つの経路についてそれぞれ経路探索を行ない、最も通過コストが低くなる最適な経路を設定する。
【0057】
また、設定された迂回地点は、横断地点と異なり、その地点に確実に到達しなければならないものではなく、あくまで障害地物を効率よく避けるための目安となる領域とする。図15に示すように、経由地として設定した迂回地点D1を中心とした所定の領域D1Wを迂回地点到達領域D1Wとして設けることで、障害地物KWを避けられる程度に経路の通路が延びたところで、迂回地点D1に到達したものとして次の経由地へ処理を移す事ができる。
【0058】
<その他>
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施形態においては、ステップS508において、進行順序において出発地に近いほうから横断地点を取り出すようにしているが、例えば、進行順序において目的地に近いほうから横断地点を取り出すようにしてもよく、また、ランダムに取り出すようにしてもよい。
【0059】
また、経由地間の線分距離の合計値によって2点間の経路の概算コストを算出し、それによって1つに絞られた経由地進行パターンに関してのみ、経路探索を行うことも可能である。例えば、最初に設定された出発地および目的地の2地点間について障害地物を避けて到達できる経由地進行パターンを全て取得した後、それぞれの経由地進行パターンについて上述した概算コストを算出し、最も概算コストの小さい経由地進行パターンのみを経路設定部へ出力することもできる。
【0060】
また、例えば、ある2地点間において横断地点が複数あるなどの理由により複数の経路が候補となる場合は、上述の概算コストが最も小さい経路を構成する経由地のみをその2地点間の経由地として確定することもできる。
【0061】
また、上述した実施形態においては、横断路端点抽出部が抽出する横断路の端点の情報は、予め整備されたデータとして保持しているが、障害地物と横断路の交点の情報から、地図データを参照して利用者の通行可能な経路を辿ってその都度抽出しても良い。
【0062】
また、上述した実施形態においては、横断地点データには、障害地物を横断する横断路とその端点の情報を含んでおり、線分と交差する障害地物に対応する横断路を抽出し、抽出した横断路の端点を横断地点としているが、横断路のようなデータを持たず、障害地物上に1点の横断地点を登録しておいて、このような簡略化した横断地点を用いて経由地を設定するナビゲーションシステムとすることもできる。
【0063】
また、上述した実施形態においては、経路順の確定できない横断地点に関し、2つの地点からなる線分が障害地物と交差するとき、その障害地物IDと交差回数が、最初に設定された出発地と目的地を結ぶ線分で得られた障害地物の障害地物IDと交差回数に対し、同一障害地物IDでかつ交差回数が同一以上である場合は横断地点リストに加えないとすることもできる。
【0064】
また、上述した実施形態においては、2つの地点により迂回地点が設定された場合、迂回地点を経由地として確定し、その後に抽出される横断地点については経由地としてそのまま確定するのではなく、迂回地点から横断地点までの概略コストや障害地物との交差回数が、迂回地点から目的地までの概算コストより明らかに大きい場合や、障害地物との交差回数が極端に大きい場合には、横断地点を経由地として確定せず、再帰処理を中断することもできる。
【符号の説明】
【0065】
23・・・データ通信部
24・・・計算機
241・・・地図データ記憶部
2403・・・交差障害地物抽出部
2404・・・経由地設定部
2405・・・横断地点抽出部
2406・・・迂回地点設定部
2410・・・横断路抽出部
2411・・・横断路端点抽出部
242・・・経路設定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行の妨げとなる障害地物の位置および形状の情報を含む障害地物データおよび前記障害地物を横断する地点として前記障害地物に関連付けられた横断地点の位置情報を含む横断地点データを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記地図データを参照して出発地および目的地の間を結ぶ線分と交差する前記障害地物を抽出する交差障害地物抽出部と、
該交差障害地物抽出部が前記交差する障害地物を抽出した場合であって、かつ、該抽出した障害地物と前記線分とが交差する地点が偶数地点である場合には、前記交差する障害地物を迂回したときに経由する迂回地点を、前記出発地および目的地の位置ならびに前記障害地物の位置および形状の情報に基づいて前記交差する障害地物の存在領域近傍に設定する迂回地点設定部と、
前記交差障害地物抽出部が前記交差する障害地物を抽出した場合には、前記地図データを参照して前記交差する障害地物を横断する横断地点を抽出する横断地点抽出部と、
前記迂回地点設定部が前記迂回地点を設定した場合には、前記迂回地点を前記出発地および目的地の地点の間の経由地として設定し、前記横断地点抽出部が前記横断地点を抽出した場合には、抽出されている前記横断地点を1つずつ選択し、選択した横断地点である選択横断地点を仮の目的地に設定して前記出発地および前記仮の目的地を用いて前記交差障害地物抽出部の処理以降の処理を繰り返す第1の再帰処理を実行させ、該第1の再帰処理において前記障害地物が抽出されないときには前記選択横断地点を前記出発地からの進行先の経由地として設定するとともに、前記選択横断地点を仮の出発地に設定して該仮の出発地および前記目的地を用いて前記交差障害地物抽出部の処理以降の処理を繰り返す第2の再帰処理を実行させ、該第2の再帰処理において前記障害地物が抽出されないときには前記選択横断地点を前記目的地への進行元の経由地として設定し、前記第1の再帰処理または前記第2の再帰処理において前記横断地点が抽出されたときには、該横断地点を選択横断地点として前記第1の再帰処理および前記第2の再帰処理を実行させる経由地設定部と、
該経由地設定部が設定した前記経由地の最適な進行順序を求めて前記出発地および目的地の間の最適な経路を設定する経路設定部と
を備える経路設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路設定装置であって、
前記地図データは、障害地物を横断する横断路および該横断路の端点の情報を含んでおり、
前記横断地点抽出部は、前記線分が交差する障害地物を横断する前記横断路を抽出する横断路抽出部と、前記横断路の前記端点を前記横断地点として抽出する横断路端点抽出部と
を備えることを特徴とする経路設定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の経路設定装置であって、
前記地図データは、複数の前記障害地物からなるものであって当該障害地物同士の接続状態を認識可能な情報を含んでおり、
前記横断地点抽出部は、前記交差障害地物抽出部が抽出した前記障害地物と接続する前記障害地物を横断する前記横断地点を追加して抽出することを特徴とする経路設定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−189471(P2012−189471A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53840(P2011−53840)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】