説明

経路調整装置

【課題】緊急度の高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されることがないよう各移動体の経路案内の経路を調整することができる経路調整装置を提供すること。
【解決手段】経路調整装置は、各移動体の現在地から経路案内の目的地までの複数の候補経路として各候補経路を構成する各道路および各道路を各移動体が通過するのに要する所要時間を記憶しておき、各移動体の候補経路のうちの1つを提示用経路として提示用経路を構成する各道路について、各移動体が到達する予定の予定時刻において該道路を通行する予定の移動体数に基づいて混雑度を算出し、混雑度が閾値を超える場合(S23)、該予定時刻に該道路を通行する移動体のうち目的地の緊急度が低いものを選択し(S24)、選択した移動体の提示用経路を変更する(S25)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各移動体において行われる経路案内のために前記移動体に提示する経路を調整する経路調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の経路調整装置としては、各移動体の現在地から経路案内の目的地までの複数の候補経路として各候補経路を構成する各道路および各道路を各移動体が通過するのに要する所要時間を記憶しておき、各移動体の候補経路のうちの1つを提示用経路としてこの提示用経路を各移動体が通行するものと仮定して、提示用経路を構成する各道路を同時に通行する予定の移動体数を各道路の所要時間に基づいて算出し、算出した移動体数が閾値を超える道路を同時に通行する予定の移動体から確率的に選択した一部の移動体について、記憶しておいた他の候補経路のうち該道路を迂回する迂回経路を新たな提示用経路として経路調整するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−055048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の経路調整装置においては、同時に通行する予定の移動体から確率的に選択された一部の移動体に迂回経路が提示されるため、例えば、レジャーランドのように緊急度の低い目的地に向かう移動体には迂回経路が提示されず、病院等のように緊急度の高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されてしまうことがあるといった問題があった。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、緊急度の高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されることがないよう各移動体の経路案内の経路を調整することができる経路調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の経路調整装置は、各移動体において行われる経路案内のために前記移動体に提示する経路を調整する経路調整装置において、前記移動体の現在地から前記経路案内の目的地までの複数の候補経路として、前記各候補経路を構成する各道路および前記各道路を前記移動体が通過するのに要する所要時間を、前記移動体毎に記憶した候補経路記憶手段と、前記複数の候補経路のうちの1つを前記移動体に提示するための提示用経路として、前記移動体毎に記憶した提示用経路記憶手段と、前記各移動体が前記提示用経路を通行するものと仮定して前記提示用経路を構成する各道路を同時に通行する予定の移動体を前記所要時間に基づいて特定し、特定した移動体の数に基づいて各道路の混雑の度合いを表す混雑度を算出する混雑度算出手段と、前記混雑度が閾値を超える道路を同時に通行する予定の移動体のうち、前記目的地にある施設の種別に応じて前記目的地に対してあらかじめ定められた緊急度が低い移動体について、前記複数の候補経路のうち該道路を迂回する迂回経路の1つを新たな提示用経路として、前記提示用経路記憶手段に記憶される提示用経路を変更することにより経路調整を行う経路調整手段と、前記各移動体に前記提示用経路を提示する経路提示手段とを備えた構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明の経路調整装置は、混雑度が閾値を超える道路を同時に通行する予定の移動体のうち目的地の緊急度が低い移動体に迂回経路を提示するよう経路調整を行うので、緊急度が高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されることがないよう各移動体の経路案内の経路を調整することができる。
【0007】
また、前記混雑度算出手段は、前記提示用経路が変更される度に、変更前後の各提示用経路を構成する各道路について前記混雑度を再度算出し、前記経路調整手段は、前記提示用経路記憶手段に記憶される全ての提示用経路を構成する各道路の前記混雑度が閾値以下になるまで、前記目的地の緊急度が低い移動体から順に前記経路調整を行ってもよい。
【0008】
この構成により、本発明の経路調整装置は、緊急度が高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されることがないようにしながら、各移動体に提示する提示用経路を構成する全ての道路において混雑が回避されるよう経路調整を行うことができる。
【0009】
また、本発明の経路調整装置は、前記各移動体の現在地の更新または前記目的地の設定変更に応じて、前記候補経路を算出する経路算出手段と、前記経路算出手段によって算出された候補経路に基づいて、前記候補経路記憶手段に記憶された候補経路および前記提示用経路記憶手段に記憶された提示用経路を更新する経路更新手段とをさらに備えてもよい。
【0010】
この構成により、本発明の経路調整装置は、各移動体の現在地の更新または目的地の設定変更に応じて、リアルタイムに各移動体の経路案内の経路を調整することができる。
【0011】
また、前記経路調整手段は、前記迂回経路のうち所要時間が最短の迂回経路を前記新たな提示用経路として前記経路調整を行ってもよい。
【0012】
この構成により、本発明の経路調整装置は、緊急度の低い目的地に向かう移動体にも、所要時間が少ない迂回経路を提示することができるよう経路を調整することができる。
【0013】
なお、上述した経路調整装置は、集積回路によって構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、緊急度の高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されることがないよう各移動体の経路案内の経路を調整することができるという効果を有する経路調整装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態として、本発明の経路調整装置を、経路調整を行うサーバ装置および経路案内を行う車載装置によって構成される経路調整システムとして実現した例について、図面を参照して説明する。
【0016】
本発明の一実施の形態の経路調整システムの構成を図1に示す。
【0017】
図1において、経路調整システム1は、サーバ装置2と、移動体3に搭載された車載装置4とによって構成される。
【0018】
また、サーバ装置2は、無線電話網、固定電話網およびインターネット網等からなるネットワーク5を介して車載装置4と接続されているが、サーバ装置2と車載装置4とを通信させるための基地局等の中継装置については図示を省略する。なお、図1には、それぞれ1つの移動体3および車載装置4を図示したが、経路調整システム1における移動体および車載装置の数を限定するものではない。
【0019】
サーバ装置2は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21と、RAM(Random Access Memory)22と、ROM(Read Only Memory)23と、ハードディスク24と、車載装置4と通信を行うための通信モジュール25とを備えている。
【0020】
CPU21は、ROM23およびハードディスク24に格納されたプログラムをRAMに読み込んで実行することにより、サーバ装置2を構成する各部を制御するようになっている。なお、本発明に係る混雑度算出手段、経路調整手段、経路更新手段および経路提示手段は、プログラムのモジュールとしてROM23またはハードディスク24に格納され、CPU21によって実行されることにより実現される。
【0021】
ハードディスク24には、上述したプログラムに加えて、緊急度データベース、候補経路データベース、提示用経路データベースおよび混雑度データベースが格納されている。
【0022】
緊急度データベースには、図3に示すように、経路案内の目的地となる地点を表す情報に、目的地にある施設の種別に応じて定められた緊急度を表す情報が対応付けられて格納されている。
【0023】
候補経路データベースには、図4(a)に示すように、移動体3を識別する移動体ID毎に、現在地を表す情報、目的地を表す情報、および、現在地から目的地までの経路の候補となる複数の候補経路をそれぞれ表す候補経路情報とが格納されるようになっている。
【0024】
ここで、候補経路情報は、候補経路を識別する経路ID、候補経路を構成する各道路を識別する道路IDのリスト、および、各道路を移動体3が通過するのに要する所要時間のリストをそれぞれ表す情報からなる。以下、移動体IDをmi、現在地および目的地等の地点を表す情報をVi、移動体miのx本目の候補経路の経路IDをpathi,x、地点Vと地点Vを結ぶ道路をei,j、道路ei,jを通過するのに要する所要時間をti,jとそれぞれ表記する。
【0025】
提示用経路データベースには、図4(b)に示すように、各移動体の提示用経路として、候補経路データベースに格納された複数の候補経路情報のうち1つの候補経路の経路IDが、移動体IDに対応付けられて格納されるようになっている。
【0026】
混雑度データベースには、ある時刻において予想される道路の状態を表す時刻別道路情報が格納されるようになっている。時刻別道路情報は、図5に示すように、時刻tkに道路ei,jを通行する予定の移動体ID、時刻tkにおける道路ei,jの混雑度、および、時刻tkにおける道路ei,jの混雑度が調整済みであるか否かを表す調整フラグをそれぞれ表す情報からなる。以下、時刻Tにおいて予想される道路ei,jの状態を表す時刻別道路情報を<ei,j,tk>と表記し、<ei,j,Tk>の混雑度をG(ei,j,T)と表記するものとする。また、調整フラグの初期値はオフであり未調整を表すものとする。
【0027】
なお、本発明の候補経路記憶手段、提示用経路記憶手段は、上述した各データベースを格納したハードディスク24によって構成される。
【0028】
車載装置4は、図6に示すように、CPU41と、RAM42と、ROM43と、ハードディスク44と、液晶ディスプレイおよびスピーカ等で構成される出力装置45と、タッチパネルおよび操作ボタン等で構成される入力装置46と、サーバ装置2と通信するための無線通信モジュール47と、GPS(Global Positioning System)アンテナで受信した複数の衛星から送出された電波に基づいて移動体3の現在地の緯度および経度を測るGPS受信機48と、移動体3の進行方位を検出するジャイロ49とを備えている。
【0029】
CPU41は、ROM43およびハードディスク44に格納されたプログラムをRAMに読み込んで実行することにより、車載装置4を構成する各部を制御して、図4に示した候補経路情報を生成するようになっている。なお、本発明に係る経路算出手段は、プログラムのモジュールとしてROM43またはハードディスク44に格納され、CPU41によって実行されることにより実現される。
【0030】
ROM43には、上述したプログラムに加えて、移動体3を識別する移動体IDが格納されている。
【0031】
ハードディスク44には、上述したプログラムに加えて、経路案内のための地図データベースが格納されている。地図データベースには、地図を構成する各道路の道路ID、各道路の始点と終点、各道路の始点から終点まで移動体が移動するのに要する標準的な所要時間、道路同士の接続点、一方通行等の交通規制、および、経路案内の目的地となる施設等をそれぞれ表す情報が少なくとも格納されている。
【0032】
以上のように構成された経路調整システム1について、図7〜図10を用いてその動作を説明する。
【0033】
図7は、車載装置4の候補経路生成動作、および、サーバ装置2の混雑度算出動作を説明するフロー図である。図7において、左側のフロー図は車載装置4の動作を表し、右側のフロー図はサーバ装置2の動作を表している。また、破線の矢印はサーバ装置2と車載装置4との間で送受信される情報の流れを表している。
【0034】
まず、車載装置4のCPU41は、入力装置46を介して経路案内の目的地を表す情報を取得すると(S1でYES)、地図データベースを参照し、GPS受信機48およびジャイロ49によって計測された移動体3の現在地および進行方向に基づいて、現在地から目的地までの候補経路を算出して複数の候補経路情報を生成する(S2)。
【0035】
次に、CPU41は、移動体3の現在地を表す情報、ROM43に格納された移動体ID、ステップS1で取得した目的地を表す情報、および、ステップS2で生成した複数の候補経路情報を、無線通信モジュール47を介してサーバ装置2に送信する(S3)。
【0036】
この後、入力装置46を介して目的地の変更を表す情報が入力された場合(S4でYES)、または、GPS受信機48またはジャイロ49によって計測される移動体3の現在地または進行方向が更新された場合(S5でYES)、車載装置4の動作はステップS2に戻り、CPU41は複数の候補経路情報を再度生成して、移動体ID、現在地および目的地を表す情報と共にサーバ装置2に送信する。
【0037】
サーバ装置2のCPU21は、車載装置4から移動体ID、現在地および目的地を表す情報、並びに、候補経路情報を受信すると(S6でYES)、受信した情報を候補経路データベースに格納する(S7)。
【0038】
次に、CPU21は、ステップS6で受信した候補経路情報のうち、候補経路を構成する各道路の所要時間の合計が最短となるものを提示用経路としてその経路IDを、ステップS6で受信した移動体IDに対応付けて提示用経路データベースに格納する(S8)。
【0039】
次に、CPU21は、各移動体が提示用経路を通行するものと仮定して、提示用経路データベースに格納された全ての経路IDが表す提示用経路を構成する各道路に各移動体が到達する予定の予定時刻を、各道路の所要時間と現在地を表す情報と現在時刻とに基づいて算出する(S9)。
【0040】
次に、CPU21は、提示用経路データベースに格納された全ての経路IDが表す提示用経路を構成する各道路を、ステップS9で算出した予定時刻に通行する予定の移動体の移動体IDを求める(S10)。
【0041】
次に、CPU21は、各予定時刻において予想される各道路の混雑度を、ステップS10で求めた移動体IDの数に基づいて算出する(S11)。なお、混雑度は、移動体数nを用いて、例えばlog(n)、√n 、または、max(n,l)(lは定数)等、移動体数nに基づく所定の計算式によって算出されるものとする。
【0042】
次に、CPU21は、ステップS10で求めた移動体IDおよびステップS11で算出した混雑度を、各道路IDおよび各予定時刻に対応付け、調整フラグがオフの時刻別道路情報として混雑度データベースに格納する(S12)。
【0043】
以上の処理を終了すると、サーバ装置2の動作はステップS6に戻り、車載装置4からの情報の受信を待つ。
【0044】
以上のようにサーバ装置2および車載装置4が動作することにより、サーバ装置2のハードディスク24に格納された候補経路データベース、提示用経路データベースおよび混雑度データベースには、移動体3の現在地および目的地に応じてそれぞれ最新の情報が格納されている。
【0045】
次に、サーバ装置2の経路調整動作、および、車載装置4の経路案内動作について図8〜10を用いて説明する。なお、サーバ装置2の経路調整動作は、図7に示した混雑度算出動作とは別のプロセスで実行され、車載装置4の経路案内動作は、図7に示した候補経路生成動作とは別のプロセスで実行される。
【0046】
図8は、サーバ装置2の経路調整動作を説明するフロー図である。なお、図8において、破線の矢印は車載装置4へ送信される情報の流れを表している。
【0047】
まず、サーバ装置2のCPU21は、混雑度データベースに格納された時刻別道路情報のうち、調整フラグがオフのものがあるか否かを判断する(S21)。
【0048】
調整フラグがオフのものがあると判断した場合、CPU21は、調整フラグがオフの時刻別道路情報のうち、最も大きい混雑度G(ei,j,Tk)を含む時刻別道路情報<ei,j,Tk>を取得する(S22)。
【0049】
次に、CPU21は、混雑度G(ei,j,Tk)が閾値Gmax以上であるか否かを判断する(S23)。
【0050】
混雑度G(ei,j,Tk)がGmax以上であると判断した場合、時刻別道路情報<ei,j,Tk>に含まれる移動体IDのうち、候補経路データベースおよび緊急度データベースを参照して、目的地の緊急度が最も低いものを1つ選択する(S24)。
【0051】
次に、CPU21は、選択した移動体IDの移動体について、提示用経路を変更する提示用経路変更動作を行う(S25)。
【0052】
ここで、提示用経路変更動作について、図9を参照して説明する。
【0053】
まず、CPU21は、選択した移動体IDに対応付けられた複数の候補経路情報を候補経路データベースから取得して迂回経路リストとして記憶する(S26)。
【0054】
次に、CPU21は、提示用経路として提示用経路データベースに格納されている経路IDの候補経路情報を、迂回経路リストから削除する(S27)。
【0055】
次に、CPU21は、道路ei,jを時刻Tに通行する候補経路情報を、迂回経路リストからさらに削除する(S28)。
【0056】
次に、CPU21は、混雑度データベースに格納されている他の時刻別道路情報で調整フラグがオンのものが表す道路を該時刻別道路情報が表す時刻に通行することを表す候補経路情報を、迂回経路リストからさらに削除する(S29)。
【0057】
次に、CPU21は、迂回経路リストに含まれる候補経路情報のうち、各道路の所要時間の合計が最短のものの経路IDを新たな提示用経路として、選択した移動体IDに対応付けて提示用経路データベースを変更する(S30)。
【0058】
以上で、選択した移動体IDの移動体について提示用経路を変更する提示用経路変更動作が終了し、サーバ装置2の動作は図8のステップS31に戻る。
【0059】
CPU21は、このようにして提示用経路を変更した移動体について、変更前後の各提示用経路を構成する各道路について混雑度を再算出して、混雑度データベースを更新する(S31)。
【0060】
次に、CPU21は、混雑度G<ei,j,T>が閾値Gmax未満になったか否かを判断する(S32)。
【0061】
混雑度G<ei,j,T>が閾値Gmax未満になっていないと判断した場合、CPU21は、時刻別道路情報<Gi,j,T>に含まれる移動体IDのうち目的地の緊急度が次に低い移動体IDを1つ選択して(S33)、ステップS25〜S32を再度実行する。
【0062】
一方、混雑度G<ei,j,T>が閾値Gmax未満になったと判断した場合、CPU21は、時刻別道路情報<ei,j,T>の調整フラグをオンにする(S34)。
【0063】
ここで、サーバ装置2の動作はステップS21に戻り、混雑度データベースに格納される時刻別道路情報で調整フラグがオフのものがないと判断した場合(S21でNO)、または、最も大きい混雑度がGmax未満であると判断した場合(S23でNO)、各移動体に搭載された車載装置4に対して、提示用経路データベースに格納された経路IDの候補経路情報を送信する(S35)。
【0064】
提示用経路の候補経路情報を受信した車載装置4の経路案内動作を図10に示す。
【0065】
車載装置4のCPU41は、提示用経路の候補経路情報をサーバ装置2から受信すると(S41でYES)、受信した候補経路情報に基づいて経路案内するよう設定を行い(S42)、出力装置45を介して経路案内を行う(S43)。
【0066】
CPU41は、経路案内を行いながらサーバ装置2から提示用経路の候補経路情報を受信したか否かを判断し、受信していないと判断した場合(S41でNO)、引き続き経路案内を行う。
【0067】
以上で、サーバ装置2の経路調整動作および車載装置4の経路案内動作の説明を終了する。
【0068】
このような本発明の一実施の形態の経路調整システム1は、混雑度が閾値を超える道路を同時に通行する予定の移動体のうち目的地の緊急度が低い移動体に迂回経路を提示するよう経路調整を行うので、緊急度が高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されることがないよう各移動体の経路案内の経路を調整することができる。
【0069】
なお、以上の説明において、車載装置4のCPU41が候補経路情報を生成し、生成した候補経路情報をサーバ装置2に送信するものとして説明したが、サーバ装置2のCPU21が候補経路情報を生成するようにしてもよい。
【0070】
この場合、車載装置4のCPU41は、移動体3の現在地および目的地をそれぞれ表す情報を移動体IDと共にサーバ装置2に送信する。また、サーバ装置2のCPU21は、経路案内のための地図データベースをあらかじめハードディスク24に記憶しておき、車載装置4から受信した情報に基づき地図データベースを参照して候補経路情報を生成して、車載装置4から受信した移動体IDに対応付けて候補経路データベースに格納する。
【0071】
このように構成した経路調整システム1は、経路算出手段を備えていない車載装置4を搭載した移動体を経路調整の対象に含めることができる。
【0072】
また、本発明の一実施の形態において、混雑度の閾値Gmaxは車線数等の道路事情に応じて各道路毎に異なる値が定められていてもよい。
【0073】
このように構成した経路調整システム1は、車線数等の道路事情に応じて混雑を回避するよう経路調整を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の経路調整装置は、緊急度が高い目的地に向かう移動体に迂回経路が提示されることがないよう各移動体の経路案内の経路を調整することができるという効果を有し、各移動体において行われる経路案内のために移動体に提示する経路を調整する経路調整装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態に係る経路調整システムの構成図
【図2】本発明の一実施の形態に係るサーバ装置の構成図
【図3】本発明の一実施の形態に係る緊急度データベースのデータ構造を示す図
【図4】本発明の一実施の形態に係る候補経路データベースおよび提示用経路データベースのデータ構造を示す図
【図5】本発明の一実施の形態に係る混雑度データベースのデータ構造を示す図
【図6】本発明の一実施の形態に係る車載装置の構成図
【図7】本発明の一実施の形態に係る経路調整システムの候補経路生成動作および混雑度算出動作を説明するフロー図
【図8】本発明の一実施の形態に係る経路調整システムの経路調整動作を説明するフロー図
【図9】本発明の一実施の形態に係る経路調整システムの提示用経路変更動作を説明するフロー図
【図10】本発明の一実施の形態に係る経路調整システムの経路案内動作を説明するフロー図
【符号の説明】
【0076】
1 経路調整システム
2 サーバ装置
3 移動体
4 車載装置
5 ネットワーク
21、41 CPU
22、42 RAM
23、43 ROM
24、44 ハードディスク
25 通信モジュール
45 出力装置
46 入力装置
47 無線通信モジュール
48 GPS受信機
49 ジャイロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各移動体において行われる経路案内のために前記移動体に提示する経路を調整する経路調整装置において、
前記移動体の現在地から前記経路案内の目的地までの複数の候補経路として、前記各候補経路を構成する各道路および前記各道路を前記移動体が通過するのに要する所要時間を、前記移動体毎に記憶した候補経路記憶手段と、
前記複数の候補経路のうちの1つを前記移動体に提示するための提示用経路として、前記移動体毎に記憶した提示用経路記憶手段と、
前記各移動体が前記提示用経路を通行するものと仮定して前記提示用経路を構成する各道路を同時に通行する予定の移動体を前記所要時間に基づいて特定し、特定した移動体の数に基づいて、各道路の混雑の度合いを表す混雑度を算出する混雑度算出手段と、
前記混雑度が閾値を超える道路を同時に通行する予定の移動体のうち、前記目的地にある施設の種別に応じて前記目的地に対してあらかじめ定められた緊急度が低い移動体について、前記複数の候補経路のうち該道路を迂回する迂回経路の1つを新たな提示用経路として、前記提示用経路記憶手段に記憶される提示用経路を変更することにより経路調整を行う経路調整手段と、
前記各移動体に前記提示用経路を提示する経路提示手段とを備えることを特徴とする経路調整装置。
【請求項2】
前記混雑度算出手段は、前記提示用経路が変更される度に、変更前後の各提示用経路を構成する各道路について前記混雑度を再度算出し、
前記経路調整手段は、前記提示用経路記憶手段に記憶される全ての提示用経路を構成する各道路の前記混雑度が閾値以下になるまで、前記目的地の緊急度が低い移動体から順に前記経路調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の経路調整装置。
【請求項3】
前記各移動体の現在地の更新または前記目的地の設定変更に応じて、前記候補経路を算出する経路算出手段と、
前記経路算出手段によって算出された候補経路に基づいて、前記候補経路記憶手段に記憶された候補経路および前記提示用経路記憶手段に記憶された提示用経路を更新する経路更新手段とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の経路調整装置。
【請求項4】
前記経路調整手段は、前記迂回経路のうち所要時間が最短の迂回経路を前記新たな提示用経路として前記経路調整を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の経路調整装置。
【請求項5】
各移動体において行われる経路案内のために前記移動体に提示する経路を調整する集積回路において、
前記移動体の現在地から前記経路案内の目的地までの複数の候補経路として、前記各候補経路を構成する各道路および前記各道路を前記移動体が通過するのに要する所要時間を、前記移動体毎に取得する候補経路取得手段と、
前記複数の候補経路のうちの1つを前記移動体に提示するための提示用経路として、前記移動体毎に取得する提示用経路取得手段と、
前記各移動体が前記提示用経路を通行するものと仮定して前記提示用経路を構成する各道路を同時に通行する予定の移動体を前記所要時間に基づいて特定し、特定した移動体の数に基づいて各道路の混雑の度合いを表す混雑度を算出する混雑度算出手段と、
前記混雑度が閾値を超える道路を同時に通行する予定の移動体のうち、前記目的地にある施設の種別に応じて前記目的地に対してあらかじめ定められた緊急度が低い移動体について、前記複数の候補経路のうち該道路を迂回する迂回経路の1つを新たな提示用経路として前記提示用経路取得手段によって取得された提示用経路を変更することにより経路調整を行う経路調整手段と、
前記各移動体に前記提示用経路を提示する経路提示手段とを備えることを特徴とする集積回路。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−128938(P2008−128938A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316866(P2006−316866)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】