説明

経路選択支援装置、経路選択支援方法および経路選択支援プログラム

【課題】狭い範囲に複数の道路が存在する場合であっても利用者所望の道路を容易に選択できるようにする技術の提供。
【解決手段】地図を表示部に表示し、前記表示部の表示面に物体が接触している接触位置を検出し、前記接触位置の軌跡に対応する前記地図上の道路を経路として受け付け、同方向に延びるとともに前記地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である複数の道路が前記接触位置から所定範囲以内に存在する場合、前記複数の道路の少なくとも一方を位置補正対象道路とし、前記複数の道路同士の距離が第2距離(>第1距離)以上となるように前記位置補正対象道路の前記地図上での表示位置を補正して前記表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行予定経路を選択する際の支援を行う経路選択支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部に表示された地図上の道路を指等の物体でなぞることによって利用者所望の道路を指示する技術が知られている。例えば、特許文献1に開示された技術においては、案内経路の確認画面が表示されている状態で、表示されている地図上の道路を利用者が指でなぞることによって利用者によって通過道路が指定されたと判断し、当該指定された通過道路を経路として選択する技術が開示されている。また、地図上の狭い領域でアイコンが重なっている場合に、拡大図を表示するなどして複数のアイコンが重ならないように表示する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−200979号公報
【特許文献2】特開2009−116370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来の技術においては、地図上の道路に物体を接触させることによって道路を指示するため、物体が接触している部分は当該物体に隠され、当該部分の地図に表示された道路を利用者が視認することが困難である。従って、利用者は物体によって隠された地図上の道路を正確に把握することなく物体によって道路を指示する必要がある。このため、物体に隠された部分に複数の道路が存在する場合など、狭い範囲に複数の道路が存在する場合には、利用者所望の道路を選択することが困難である。
【0005】
さらに、特許文献2に開示された従来の技術においては、アイコンが重ならないようにアイコンの配置をずらしている。しかし、上述のように地図上の道路に物体を接触させることによって道路を指示する場合、アイコンが重なっていない状態であっても上述のように狭い範囲に複数の道路が存在する状況であれば、やはり、利用者所望の道路を選択することが困難である。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、狭い範囲に複数の道路が存在する場合であっても利用者所望の道路を容易に選択できるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明においては、地図が表示された表示部の表示面に物体が接触している接触位置を検出し、接触位置の軌跡に対応する地図上の道路を経路として受け付ける。さらに、同方向に延びるとともに地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である複数の道路が接触位置から所定範囲以内に存在する場合、複数の道路の少なくとも一方を位置補正対象道路とする。そして、複数の道路同士の距離が第2距離(>第1距離)以上となるように位置補正対象道路の地図上での表示位置を補正して表示部に表示する。
【0007】
すなわち、同方向に延びる複数の道路の表示位置間の距離が第1距離以内であることにより、接触位置の軌跡による経路の選択が困難である場合に、複数の道路が第1距離よりも大きい第2距離以上となるように少なくとも一方の道路の表示位置を補正して表示を行う。従って、複数の道路が第2距離以上離れた状態で表示され、当該複数の道路が狭い範囲に表示されることを防止することができる。この結果、狭い範囲に複数の道路が存在する場合であっても利用者所望の道路を容易に選択できるように構成することができる。
【0008】
ここで、表示制御手段は、地図を表示部に表示することができればよく、少なくとも選択され得る道路を表示すればよいが、むろん、他の情報(例えば地物の位置や属性等)を表示部に表示する構成としても良い。
【0009】
接触検出手段は、接触位置を検出することができればよい。すなわち、表示部の表示面に対して物体が接触した状態であることおよびその位置を検出することができればよい。例えば、表示面に取り付けられた透明電極と指等の物体とで形成する静電容量を検出することによって、表示部の表示面に対して物体が接触した状態であることと物体の位置とを検出する構成を採用可能である。
【0010】
経路受付手段は、接触位置の軌跡に対応する地図上の道路を経路として受け付けることができればよい。すなわち、物体の接触状態を検出するタッチパネルとして機能する表示面上での物体の接触位置の軌跡に対応する地図上の道路を特定し、当該道路を経路とすることができればよい。むろん、接触位置の軌跡と道路の形状とが正確に一致する場合に当該道路を経路とする構成の他、接触位置の軌跡と道路の形状との一致度が最も高い道路を経路とする構成を採用しても良い。
【0011】
位置補正手段は、複数の道路の少なくとも一方を位置補正対象道路とし、当該位置補正対象道路の地図上での表示位置を補正して表示部に表示することができればよい。ここで、複数の道路は同方向に延びるとともに地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である道路である。ここでは、複数の道路が同方向であることによって接触位置での選択が困難になり得る状態であればよいため、複数の道路上での車両の進行方向の角度差が所定角度以内であることによって接触位置の軌跡を明確に指定することが困難になる状態が含まれるように所定角度を定義し、進行方向の角度差が所定角度以内である場合に複数の道路の方向が同方向であるとみなせばよい。例えば、交差角が所定角度以内となる状態で道路が並んでいる場合、これらの道路は複数の道路に該当する。
【0012】
また、第1距離は地図上での表示位置間の距離であり、表示部の表示面上で計測される距離である。すなわち、地図の縮尺が変われば道路間の表示位置が変動し得るが、表示位置間の距離と比較されるべき第1距離は縮尺に応じて変動しない値である。また、表示位置間の距離は道路同士の距離であり、地図上に表示された複数の道路同士の最短距離等によって当該表示位置間の距離を定義することができる。
【0013】
さらに、第1距離は、複数の道路の表示位置間の距離が当該第1距離以下である場合に、接触位置によって道路を明確に指定することが困難となるような距離として定義されればよい。従って、例えば、物体(指やスタイラス等)が表示面に接触している場合に、当該物体の表示面上への接触面の中心から所定距離だけ離れることによって当該物体にて指示されていないことが明確となるような距離を統計的に特定し、当該距離を第1距離とする構成を採用可能である。また、接触検出手段による接触位置の検出精度に基づいて、接触位置の誤差よりも大きな距離を第1距離とする構成を採用可能である。
【0014】
位置補正対象道路は、複数の道路の少なくとも1個であれば良く2個以上であっても良い。また、接触位置の軌跡に対応する道路と異なる道路を位置補正対象道路とするなどの構成を採用しても良い。さらに、第2距離は、第1距離よりも大きいことによって、当該第2距離以上となるように表示位置が補正された複数の道路が接触位置の軌跡によって明確に区別できるように設定されていればよい。従って、例えば、物体が表示面に接触していたとしても、物体と重なっていない状態であることが明確に視認されるような距離を統計的に特定し、当該距離を第2距離とする構成を採用可能である。また、上述の第1距離に所定距離を加えて得られる距離を第2距離とする構成を採用してもよい。
【0015】
位置補正対象道路の補正は、表示位置が補正されて表示部に表示された道路と接触位置の軌跡とが対応している場合に経路とされるように実施さる限りにおいて、種々の表示態様を採用可能である。例えば、位置補正対象道路が本来存在する地図上の位置から当該位置補正対象道路をシフトさせる様な表示態様を採用可能である。また、補正して表示された道路が位置補正対象道路であって、地図上の本来の位置と異なる位置に表示されていることが明示されるように構成することが好ましい。
【0016】
さらに、同方向に延びるとともに地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である高速道路と高速道路以外の道路とが接触位置から所定範囲以内に存在する場合、高速道路を位置補正対象道路とする構成を採用しても良い。すなわち、高速道路と高速道路以外の道路とが狭い範囲内で同方向に延びている位置に接触位置が近づいた場合、高速道路の表示位置を補正して表示部に表示する。この構成によれば、高速道路と高速道路以外の道路が狭い範囲で同方向に延びている場合に、両者を明確に区別できるように表示部に表示することが可能である。また、利用者は、両者を明確に区別して経路を指定することができる。
【0017】
さらに、位置補正対象道路を移動させるように表示位置を補正する場合に、地図の状態から移動方向を決定する構成としても良い。例えば、複数の道路が延びる方向に対する右方向と左方向との少なくとも一方の地図上において当該複数の道路から第3距離以下の範囲に当該複数の道路と同方向に延びる他の道路が存在しない場合に、当該他の道路が存在しない方向に位置補正対象道路を移動させるように位置補正対象道路の地図上での表示位置を補正する構成を採用可能である。すなわち、位置補正対象道路を移動させるためのスペースが地図上に存在するか否かを、複数の道路と同方向に延びる他の道路が、複数の道路から第3距離以下の範囲内に存在するか否かによって判定する構成とする。そして、複数の道路の左右いずれかの方向において、複数の道路から他の道路までの距離が第3距離より大きければ、その方向に位置補正対象道路を移動させる。この構成によれば、位置補正対象道路を移動させるためのスペースが存在する方向に位置補正対象道路を移動させることができる。
【0018】
なお、複数の道路が延びる方向に対する右方向と左方向とは、当該複数の道路を走行する際の進行方向を前方として定義される。従って、所定方向と逆方向とに向けて進行可能な道路において右方向と左方向とが入れ替わり得るが、いずれの方向を右、あるいは左とみなしても位置補正対象道路を移動させるか否かの判定結果は変わらない。また、第3距離は、位置補正対象道路を移動させるためのスペースが存在するか否かを判定するための指標となっていれば良く、例えば、位置補正対象道路を移動させた場合であっても他の道路と位置補正対象道路とを過度に接近させない状態で表示できるようなスペースを設けるための距離を予め決めておく構成等を採用可能である。また、第3距離は、上述の第2距離よりも大きい値であるとともに位置補正対象道路の移動距離の2倍以上の距離であることが好ましい。なお、複数の道路に最も近い地図上の他の道路は、位置補正対象道路を移動させた後の道路と区別することが困難となり得る道路である。従って、当該他の道路が延びる方向は複数の道路が延びる方向に近い(他の道路と複数の道路との交差角が所定の第1閾値以下)ことが好ましく、複数の道路に直交する道路や交差角が直交に近い(他の道路と複数の道路との交差角が直交±第2閾値である)道路は当該他の道路から除外する構成とすることが好ましい。
【0019】
さらに、右方向と左方向との双方において複数の道路から第3距離以下の範囲に当該複数の道路と同方向に延びる他の道路が存在する場合、右方向と左方向との少なくとも一方で複数の道路から他の道路までの距離が第3距離より大きくなるように地図の縮尺を変更し、縮尺変更後の地図において複数の道路から他の道路までの距離が第3距離より大きい方向に位置補正対象道路を移動させるように位置補正対象道路の地図上での表示位置を補正する構成としても良い。すなわち、位置補正対象道路を移動させるためのスペースが存在する状態となるまで縮尺を変更する。この構成によれば、位置補正対象道路を移動させるためのスペースを確実に確保することができる。
【0020】
さらに、位置補正対象道路の表示位置を補正して表示する場合の例として、位置補正対象道路の端点が、位置補正対象道路以外の道路上に存在するとともに当該位置補正対象道路以外の道路が延びる方向に沿って隣接する交差点の間の位置となるように、位置補正対象道路を表示部に表示する構成としても良い。すなわち、位置補正対象道路の表示位置を補正した後の道路も接触位置の軌跡によって経路として指定され得る道路となるため、位置補正対象道路の表示位置を補正した後の道路は、地図上において接触位置を連続的に変化させることによって到達可能に構成されることが好ましい。そこで、位置補正対象道路の端点が、位置補正対象道路以外の道路上に存在するように位置補正対象道路の表示位置を補正すれば、地図上において接触位置を連続的に変化させることによって補正後の道路に到達可能となる。
【0021】
さらに、位置補正対象道路の端点が、位置補正対象道路以外の道路上の交差点と一致し、あるいは近い場合、を接触位置の軌跡にて経路を指定する際に、当該交差点に接続する道路と位置補正対象道路とを区別することが困難になりやすい。そこで、位置補正対象道路以外の道路が延びる方向に沿って隣接する交差点の間の位置に位置補正対象道路の端点が存在するように補正を行えば、交差点に接続する道路と位置補正対象道路とを容易に区別することが可能になる。
【0022】
さらに、本発明のように地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である複数の道路を表示位置間の距離が第2距離以上となるように補正する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような経路選択支援装置、プログラム、方法は、単独の経路選択支援装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような経路選択支援装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、経路選択支援装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】経路選択支援装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】経路選択支援処理のフローチャートである。
【図3】(3A)(3C)は表示面に表示される地図、(3B)は指が表示面に接触している状態を示す図である。
【図4】(4A)(4B)は表示面に表示される地図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(1−1)経路選択支援処理:
(2)他の実施形態:
【0025】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる経路選択支援装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実施可能であり、当該ナビゲーションプログラムはその機能の一つを実現するためのプログラムモジュールとして、経路選択支援プログラム21を備えている。制御部20は、当該経路選択支援プログラム21を実行することにより、狭い範囲で動向に延びる複数の道路の表示位置を補正して表示し、接触位置の軌跡に対応する道路を経路として受け付ける経路選択支援装置としてナビゲーション装置10を機能させる。
【0026】
記録媒体30には予め地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路あるいは道路の周辺に存在する複数の地物を示す地物情報等を含んでいる。さらに、各リンクデータには、各リンクに対応する道路の道路種別を示す情報が対応づけられている。本実施形態において、道路種別は、高速道路、一般道路、細街路によって構成される。なお、各ノードは各リンクに相当する道路区間の端点に存在する交差点に相当する。
【0027】
ナビゲーション装置10が備えられた車両には、図示しないGPS受信部や車速センサ,ジャイロセンサ等が備えられており、制御部20は、GPS受信部や車速センサ,ジャイロセンサ等の出力信号および地図情報30aに基づいて車両の現在位置を特定することが可能である。また、制御部20は、ナビゲーションプログラムを実行することにより、車両の現在位置と経路情報30bが示す経路とを比較し、車両が経路に沿って走行するための経路案内等を実行することができる。
【0028】
本実施形態において、利用者は指を利用して経路情報30bを構成する経路を指定することができるように構成される。このため、車両には、ユーザI/F部40が備えられている。ユーザI/F部40は、ユーザに各種の情報を提供し、またはユーザの指示を入力するためのインタフェース部であり、表示部としてのタッチパネルディスプレイやスピーカーなどを備えている。制御部20は、当該ユーザI/F部40に対して制御信号を出力して表示位置を指定して任意の画像をタッチパネルディスプレイに表示させ、任意の音声をスピーカーから出力させる。また、ユーザI/F部40は、利用者が表示部の表示面に指を接触させた接触位置を示す信号を出力可能であり、制御部20は、当該信号に基づいて表示面上の接触位置を特定することができる。
【0029】
本実施形態においては、以上の構成を利用して出発地点から目的地点までの経路を設定する際の支援をするために、経路選択支援プログラム21が表示制御部21aと接触検出部21bと経路受付部21cと位置補正部21dとを備えている。表示制御部21aは、地図をユーザI/F部40の表示部に表示する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、表示制御部21aの処理により、地図情報30aを参照し、ノードデータに基づいて地図上の道路の交差点の位置を特定し、各交差点間の道路の形状を形状補間データおよびリンクデータによって特定する。そして、制御部20は、道路を表示すべき表示位置を特定し、当該表示位置に道路を表示するための画像データを生成し、ユーザI/F部40に対して当該画像データを含む制御信号を出力する。この結果、ユーザI/F部40は上述の表示位置に道路が表示されるように表示部に地図を表示させる。なお、本実施形態において制御部20は、接触位置の移動に同期して地図をスクロールさせる。すなわち、接触位置が変動すると、当該変動の方向と逆の方向に地図が移動するように地図を描画して表示する。
【0030】
接触検出部21bは、表示部の表示面に物体が接触している接触位置を検出する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、接触検出部21bの処理により、ユーザI/F部40が出力する信号を取得し、当該信号に基づいて表示面上に物体(ユーザの指)が接触している接触位置を特定する。なお、制御部20は、表示制御部21aの処理により、地図上の各道路の表示部上の表示位置を特定して当該地図を表示部に表示させるため、接触検出部21bの処理によって表示部上の接触位置を特定すれば、各表示位置に表示された道路と接触位置との距離を特定することが可能である。
【0031】
経路受付部21cは、接触位置の軌跡に対応する地図上の道路を経路として受け付ける機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、接触検出部21bの処理にて接触位置が検出され続けて軌跡が形成されると、制御部20は、経路受付部21cの処理により、地図情報30aを参照し、当該軌跡の形状および位置と、形状および位置が最も近い道路を高速道路以外の道路から特定し、当該道路の中の接触位置の軌跡に対応する部分を経路として受け付ける。なお、受け付けた経路を示す情報は経路情報30bとして記録媒体30に記録される。
【0032】
位置補正部21dは、同方向に延びるとともに地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である高速道路と高速道路以外の道路とが接触位置から所定範囲以内に存在する場合、高速道路を位置補正対象道路とし、高速道路と高速道路以外の道路との距離が第2距離(>第1距離)以上となるように位置補正対象道路の地図上での表示位置を補正して表示部に表示する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、地図上に高速道路と高速道路以外の道路とが表示され、かつ、両者の距離が第1距離以内であるか否かを判定する。
【0033】
高速道路と高速道路以外の道路との地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である場合、制御部20は、これらの道路が接触位置から所定範囲(接触位置から距離が閾値Lthの範囲)以内に存在するか否かを判定する。さらに、これらの道路が接触位置から所定範囲以内に存在する場合、制御部20は、位置補正部21dの処理により、高速道路と高速道路以外の道路との距離が第2距離以上となるように高速道路の地図上での表示位置を補正して表示部に表示する。
【0034】
さらに、制御部20は、位置補正部21dの処理により、高速道路と高速道路以外の道路との表示位置間の距離が第2距離となるように高速道路を移動させた位置を表示位置とし、当該表示位置に高速道路を表示させるための制御信号をユーザI/F部40に対して出力する。この結果、ユーザI/F部40は補正された表示位置に高速道路が表示されるように表示部に地図を表示させる。
【0035】
なお、本実施形態において、第1距離は、経路受付部21cの処理によって制御部20が接触位置の軌跡に対応する経路を受け付けている状態で表示部に表示されている地図上での表示位置間の距離であり、表示部の表示面上で計測される距離である。すなわち、地図の縮尺が変われば道路間の表示位置が変動し得るが、表示位置間の距離と比較されるべき第1距離は縮尺に応じて変動しない値である。また、表示位置間の距離は道路同士の距離であり、本実施形態においては、地図上に表示された複数の道路同士の最短距離等によって当該表示位置間の距離を定義する。さらに、第1距離は、複数の道路の表示位置間の距離が当該第1距離以下である場合に、接触位置によって道路を明確に指定することが困難となるような距離として定義されればよい。従って、例えば、物体(指やスタイラス等)が表示面に接触している場合に、当該物体の表示面上への接触面の中心から所定距離だけ離れることによって当該物体にて指示されていないことが明確となるような距離を統計的に特定し、当該距離を第1距離としてある。
【0036】
また、第2距離は、第1距離よりも大きいことによって、当該第2距離以上となるように表示位置が補正された複数の道路が接触位置の軌跡によって明確に区別できるように設定されていればよい。従って、例えば、物体が表示面に接触していたとしても、物体と重なっていない状態であることが明確に視認されるような距離を統計的に特定し、当該距離を第2距離とする構成を採用可能であり、本実施形態においては、第1距離に所定距離を加えて得られる距離を第2距離としてある。
【0037】
以上のように、高速道路の表示位置が補正された後において、制御部20は、経路受付部21cの処理により、補正後の高速道路の形状および位置も、接触位置の軌跡の形状および位置と比較すべき対象とする。従って、利用者が指で補正後の高速道路をなぞると、当該高速道路が経路として受け付けられる。
【0038】
以上の構成によれば、同方向に延びる高速道路と高速道路以外の道路とを縮小して得られる地図において当該高速道路と高速道路以外の道路との距離が第1距離以内となる場合であっても、表示部には第1距離以内の範囲に高速道路と高速道路以外の道路とが表示されることはない。そして、高速道路と高速道路以外の道路との表示位置間の距離は第2距離以上となる。従って、高速道路と高速道路以外の道路とが狭い範囲に表示されることを防止することができる。この結果、利用者所望の道路を容易に選択させることができる。
【0039】
(1−1)経路選択支援処理:
本実施形態においては、ナビゲーション装置10が起動された後、ユーザI/F部40等によって経路選択を行う指示が行われた場合に経路選択支援プログラム21が実行されて経路選択支援処理が行われる。当該経路選択支援処理において、制御部20は、表示制御部21aの処理により、所定の縮尺で地図を表示する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、地図情報30aが示すノードデータ、形状補間点データ、リンクデータに基づいて、ノードとノード間の形状補間点とを結ぶ直線あるいは曲線を描画することによって地表上の道路を予め決められた所定の縮尺で縮小表現した道路を描画し、当該道路を含む地図を示す画像データを生成する。そして、制御部20は、当該画像データをユーザI/F部40の表示部に対して出力する。この結果、ユーザI/F部40の表示部が当該画像データに基づいて地図をユーザI/F部40の表示部に表示する。
【0040】
図3Aは、このようにして表示される地図の例を示す図である。同図3Aにおいては、矩形によって表示部の表示面Sを示しており、表示部の表示面S内においては、細い線によって道路を示し、細い実線によって一般道路Rg、細い二点鎖線によって高速道路Rh、細い一点鎖線によって高速道路への進入路Reを示している。
【0041】
次に、制御部20は、接触検出部21bの処理により、接触位置を検出したか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、ユーザI/F部40が出力する信号に基づいて指が表示部の表示面Sに接触した接触位置が検出できたか否かを判定し、接触位置を検出するまでステップS105を繰り返す。
【0042】
ステップS105にて接触位置を検出したと判定された場合、制御部20は、経路を受け付ける(ステップS110)。すなわち、制御部20は、接触検出部21bの処理により、ユーザI/F部40が出力する信号に基づいて指が表示部の表示面Sに接触している接触位置を検出する。さらに、制御部20は、経路受付部21cの処理により、当該接触位置の軌跡を特定し、当該軌跡の形状および位置に最も近い形状および位置の道路を特定し、当該道路の中の接触位置の軌跡に対応する部分を経路として受け付ける。受け付けた経路を示す情報は経路情報30bとして記録媒体30に記録される。なお、ここで、接触位置の軌跡の形状および位置と比較される対象となる道路には、位置補正後の高速道路も含まれる。
【0043】
図3Aにおいては、図3Bに示すように指を表示部の表示面Sに接触させる操作を開始点Ps1から開始し、接触位置が位置Pt1まで達している状態、すなわち、開始点Ps1から位置Pt1までの道路が経路P1として受け付けられている状態を示しており、経路P1を太い実線によって示している。また、図3Cにおいては、表示部の表示面Sに図3Aのように表示された地図が指の移動とともにスクロールされた状態を示しており、経路P1を太い実線によって示している。
【0044】
次に、制御部20は、位置補正部21dの処理により、同方向に延びる表示位置間の距離が第1距離以下の高速道路と高速道路以外の道路とが接触位置から所定範囲以内に存在するか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、地図上に高速道路が表示されているか否かを判定する。高速道路が表示されている場合、当該高速道路と同方向(進行方向の交差角が所定角度以内)の高速道路以外の道路(一般道路あるいは細街路)が地図上に表示されているか否かを判定する。高速道路と同方向の高速道路以外の道路が地図上に表示されている場合、制御部20は、これらの道路の表示位置を特定し、高速道路と高速道路以外の道路の地図上での表示位置間の距離が第1距離以内であるか否かを判定する。
【0045】
なお、ここで、所定角度は、高速道路と高速道路以外の道路が同方向に延びるとみなすことができるように予め決められていればよい。従って、高速道路の進行方向と高速道路以外の道路の進行方向との交差角が所定角度以内であることによって、接触位置の軌跡を明確に指定することが困難になる範囲を所定角度として定義すればよい。
【0046】
図3Cにおいて、表示部の表示面Sに表示された地図の上部において一般道路Rgと高速道路Rhとが狭い範囲で並んでおり、当該地図の上部において一般道路Rgと高速道路Rhとは同方向に延びている(進行方向の交差角が所定角度(例えば、10°)以下である)。そして、図3Cに示す地図には第1距離L1を例示しており、当該地図の上部において一般道路Rgと高速道路Rhとの表示位置は、同図3Cに示す第1距離L1以下である。さらに、図3Cに示す地図においては、所定範囲を接触位置から距離が閾値Lthの範囲としてを例示しており、当該地図において表示位置間の距離が第1距離L1以内の一般道路Rgと高速道路Rhとが位置Pt1から閾値Lth以内の所定範囲以内に存在する。従って、図3Cに示す状態において、ステップS115が実行されると、同方向に延びる表示位置間の距離が第1距離以下の高速道路と高速道路以外の道路とが接触位置から所定範囲以内に存在すると判定されることになる。
【0047】
なお、ステップS115にて、同方向に延びる表示位置間の距離が第1距離以下の高速道路と高速道路以外の道路とが接触位置から所定範囲以内に存在すると判定されない場合、制御部20は、ステップS120〜S130をスキップする。ステップS135において、制御部20は、接触検出部21bの処理により、指によって予め決められた終了指示が行われたか否かを判定する。例えば、接触位置の軌跡が円状である場合に終了指示とみなす構成を採用可能である。そして、ステップS135にて、終了指示が行われたと判定されるまで、制御部20は、ステップS110の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS115にて、同方向に延びる表示位置間の距離が第1距離以下の高速道路と高速道路以外の道路とが接触位置から所定範囲以内に存在すると判定された場合、制御部20は、位置補正部21dの処理により、高速道路と高速道路以外の道路との左右双方において第3距離以下の範囲に、高速道路および高速道路以外の道路と同方向に延びる他の道路が存在するか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、高速道路と高速道路以外の道路の表示位置を特定し、地図情報30aを参照してこれらの道路の表示位置から第3距離以内の範囲に他の道路が表示されているか否かを判定する。他の道路が表示されている場合、その中から高速道路および高速道路以外の道路に最も近い道路が当該高速道路または高速道路以外の道路と同方向に延びているか否か(進行方向の交差角が所定範囲以内であるか否か)を判定する。左右双方において高速道路および高速道路以外の道路に最も近い道路が当該高速道路または高速道路以外の道路と同方向に延びている場合、制御部20は、高速道路と高速道路以外の道路との左右双方において第3距離以下の範囲に、高速道路および高速道路以外の道路と同方向に延びる他の道路が存在すると判定する。
【0049】
なお、第3距離は、位置補正対象道路としての高速道路を移動させるためのスペースが存在するか否かを判定するための指標となっていれば良く、例えば、高速道路を移動させた場合であっても他の道路と高速道路とを過度に接近させない状態で表示できるようなスペースを設けるための距離を予め決めておく構成等を採用可能である。また、第3距離は、上述の第2距離よりも大きい値であるとともに高速道路の移動距離の2倍以上の距離であることが好ましい。本実施形態において第3距離は、高速道路の移動距離である第2距離の2倍となっている。さらに、道路を基準とした左右方向は、道路が延びる方向を前方、すなわち、道路を走行する際の進行方向を前方として定義される。従って、所定方向と逆方向とに向けて進行可能な道路において右方向と左方向とが入れ替わり得るが、いずれの方向を右、あるいは左とみなしても位置補正対象道路を移動させるか否かの判定結果は変わらない。
【0050】
図3Cに示す地図には第3距離L3を例示しており、第1距離以下に近接して表示されている一般道路Rgおよび高速道路Rhにおいて、一般道路Rgは地図上で高速道路Rhよりも左側に表示されており、当該一般道路Rgよりも左側においては第3距離L3以下の範囲に他の道路R1が存在する。しかし、高速道路Rhよりも右側に存在する他の道路Rは高速道路Rhから第3距離L3以下の範囲に存在しない。従って、図3Cに示す地図にてステップS120が実行される場合、高速道路と高速道路以外の道路との左右双方において第3距離以下の範囲に、高速道路および高速道路以外の道路と同方向に延びる他の道路が存在すると判定されないことになる。
【0051】
ステップS120にて、高速道路と高速道路以外の道路との左右双方において第3距離以下の範囲に、高速道路および高速道路以外の道路と同方向に延びる他の道路が存在すると判定されない場合、すなわち、左右の少なくとも一方には第3距離以下の範囲に他の道路が存在しない場合、制御部20は、位置補正部21dの処理により、高速道路と高速道路以外の道路から第3距離以下の範囲に同方向に延びる他の道路が存在しない方向に高速道路を移動させる(ステップS125)。すなわち、高速道路と高速道路以外の道路との左右双方において第3距離以下の範囲に、高速道路および高速道路以外の道路と同方向に延びる他の道路が存在すると判定されない場合、制御部20は、高速道路を移動させるためのスペースが存在するとみなし、スペースが存在する方向に高速道路を移動させる。
【0052】
具体的には、制御部20は、ユーザI/F部40に対して制御信号を出力することにより、高速道路の画像と高速道路への進入路を示す画像を地図上から削除する。さらに、制御部20は、高速道路の本来の表示位置(補正前の表示位置)を特定し、地図上において第2距離だけ右、あるいは左に移動させた表示位置を特定する。そして、制御部20は、当該表示位置に高速道路を表示するための画像データを生成し、ユーザI/F部40に対して当該画像データを含む制御信号を出力する。この結果、ユーザI/F部40は表示部に表示された地図上で当該表示位置に高速道路を追記する。
【0053】
例えば、図3Cに示す地図にてステップS125が実行される場合、一点鎖線で示す進入路Reと二点鎖線で示す高速道路Rhとが地図から削除される。そして、高速道路Rhよりも右側において高速道路Rhから第3距離L3以下の範囲に他の道路は存在しないため、図4Aに示すように、高速道路Rhの元の表示位置Poから第2距離L2だけ右方向に移動した表示位置に高速道路Rhaが表示された状態になる。以上の構成によれば、高速道路Rhと高速道路以外の道路(一般道路Rg)とが狭い範囲で同方向に延びている場合に、両者を明確に区別できるように表示部に表示することが可能である。また、利用者は、両者を明確に区別して経路を指定することができる。
【0054】
なお、ステップS125では、高速道路と高速道路以外の道路から第3距離以下の範囲に他の道路が存在しない方向に高速道路を移動させることができればよく、左右の双方において、高速道路と高速道路以外の道路から第3距離以下の範囲に同方向に延びる他の道路が存在しないのであれば、左右のいずれに高速道路を移動させても良い。例えば、予め決められた方向に移動させる構成や、高速道路が高速道路以外の道路に対して右側に存在する場合には右方向、左側に存在する場合には左方向に移動させる構成等を採用可能である。
【0055】
一方、ステップS120にて、高速道路と高速道路以外の道路との左右双方において第3距離以下の範囲に、高速道路および高速道路以外の道路と同方向に延びる他の道路が存在すると判定された場合、すなわち、左右のいずれにも第3距離以下の範囲に他の道路が存在する場合、制御部20は、位置補正部21dの処理により、高速道路または高速道路以外の道路から第3距離以下の範囲に同方向に延びる他の道路が存在しなくなるように縮尺を変更して地図を表示し、高速道路を移動させる(ステップS130)。すなわち、高速道路と高速道路以外の道路との左右双方において第3距離以下の範囲に、高速道路および高速道路以外の道路と同方向に延びる他の道路が存在すると判定されない場合、制御部20は、高速道路を移動させるためのスペースが存在しないとみなし、地図の縮尺を変更してスペースを確保した後にスペースが存在する方向に高速道路を移動させる。
【0056】
具体的には、制御部20は、地図情報30aのノードデータ、形状補間データ、リンクデータを参照し、高速道路と高速道路以外の道路との実空間内での位置を特定し、これらと同方向に延びる他の道路についても実空間での位置を特定する。そして、両者の距離を特定するとともに、両者の距離が第3距離よりも大きくなるような縮尺を特定する。縮尺が特定されると、制御部20は、地図情報30aが示すノードデータ、形状補間点データ、リンクデータに基づいて、ノードとノード間の形状補間点とを結ぶ直線あるいは曲線を描画することによって地表上の道路を当該縮尺で縮小表現した道路を描画し、当該道路を含む地図を示す画像データを生成する。
【0057】
ただし、当該地図に位置補正対象道路となっている高速道路は描画せず、地図上での本来の位置から第2距離だけ右、あるいは左(他の道路が高速道路あるいは高速道路以外の道路から第3距離よりも遠い方向)に移動させた表示位置を特定する。そして、制御部20は、当該表示位置に高速道路を表示するためのデータを前記画像データに追加し、ユーザI/F部40に対して当該画像データを含む制御信号を出力する。この結果、ユーザI/F部40は縮尺変更後の地図において高速道路を移動させた状態の地図を表示部に表示する。例えば、図4Aに示すように、高速道路Rhの元の表示位置Poから第2距離L2だけ右方向に移動した表示位置に高速道路Rhaが表示された状態の地図を表示する。以上の構成によれば、位置補正対象道路である高速道路を移動させるためのスペースを確実に確保した状態で高速道路を移動させることができる。
【0058】
以上のステップS125あるいはS130を実行すると、制御部20は、ステップS135にて、接触検出部21bの処理により、指によって予め決められた終了指示が行われたか否かを判定し、終了指示が行われたと判定されるまで、ステップS110の処理を繰り返す。この場合、ステップS110において制御部20は、経路受付部21cの処理により、補正後の高速道路の形状および位置も、接触位置の軌跡の形状および位置と比較すべき対象とする。従って、利用者が指で補正後の高速道路をなぞると、当該高速道路が経路として受け付けられる。
【0059】
例えば、図4Aに示す例において、位置Pt1から道路が表示されていない部分を経て接触位置の軌跡が高速道路Rhaの形状および位置とする状態となった場合に、当該高速道路Rhaが経路として指定されているとみなす。この場合、位置Pt1から高速道路Rhaまで到達するために走行すべき進入路は、経路に含まれることになる。
【0060】
ステップS135にて、終了指示が行われたと判定されると、指定された経路を示す情報が経路情報30bとして記録媒体30に記録された状態となる。そこで、制御部20は、ナビゲーションプログラムの処理によって当該経路情報30bを参照することにより、当該経路情報30bが示す経路に沿って車両を走行させるための案内を実行することができる。
【0061】
(2)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である複数の道路を表示位置間の距離が第2距離以上となるように補正する限りにおいて他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、表示部の表示面Sに対して接触する物体は、指以外の物体、例えば、スタイラス等の器具であっても良い。また、表示面に対する物体の接触および接近を検出する手法は、上述の手法に限定されず、他の電磁気的手法や光学的手法によって検出を行う構成であっても良い。
【0062】
さらに、高速道路を経路として選択した場合、上述のように通常の地図で経路の選択を受け付ける構成の他、高速道路の接続関係を簡易的に示す路線図によって経路の選択を受け付ける構成としても良い。第1距離は各種の指標に基づいて決定することが可能であり、例えば、接触検出部21bの処理による接触位置の検出精度に基づいて、接触位置の誤差よりも大きな距離を第1距離とする構成を採用してもよい。
【0063】
さらに、高速道路のみならず、高速道路以外の道路の位置を補正する構成としても良い。さらに、接触検出部21bの処理によって接触位置の軌跡に対応する道路を経路として選択している状態において、当該接触位置の軌跡に対応する道路と異なる道路を位置補正対象道路とするなどの構成を採用しても良い。
【0064】
位置補正対象道路の補正は、表示位置が補正されて表示部に表示された道路と接触位置の軌跡とが対応している場合に経路とされるように実施されればよく、種々の表示態様を採用可能である。例えば、補正して表示された道路が位置補正対象道路であって、地図上の本来の位置と異なる位置に表示されていることが明示されるように構成してもよい。
【0065】
さらに、位置補正対象道路の表示位置を補正して表示する場合の例として、位置補正対象道路の端点が、位置補正対象道路以外の道路上に存在するとともに当該位置補正対象道路以外の道路が延びる方向に沿って隣接する交差点の間の位置となるように、位置補正対象道路を表示部に表示する構成としても良い。すなわち、位置補正対象道路の表示位置を補正した後の道路も接触位置の軌跡によって経路として指定され得る道路となるため、位置補正対象道路の表示位置を補正した後の道路は、地図上において接触位置を連続的に変化させることによって到達可能に構成されることが好ましい。そこで、位置補正対象道路の端点が、複数の道路の中のいずれかの道路上に存在するように位置補正対象道路の表示位置を補正すれば、地図上において接触位置を連続的に変化させることによって補正後の道路に到達可能となる。
【0066】
さらに、位置補正対象道路の端点が、位置補正対象道路以外の道路上の交差点と一致し、あるいは近い場合、を接触位置の軌跡にて経路を指定する際に、当該交差点に接続する道路と位置補正対象道路とを区別することが困難になりやすい。そこで、位置補正対象道路以外の道路が延びる方向に沿って隣接する交差点の間の位置に位置補正対象道路の端点が存在するように補正を行えば、交差点に接続する道路と位置補正対象道路とを容易に区別することが可能になる。なお、位置補正対象道路の端点は、各交差点から一定距離以上離した位置に設けることが好ましい。
【0067】
図4Bは、図3Cと同様の地図において、高速道路Rhの一部を右方向に移動させて太い二点鎖線で示す高速道路Rhbとして表示した状態において、当該高速道路の端点を当該高速道路への進入路の端点が存在する交差点とその前方で隣接する交差点の間の位置となるように設定する例を示している。すなわち、図3Cにおいて表示されていた高速道路Rhの進入路Reの端点は図4Bにおいて交差点の位置Pi1として示されている。また、当該交差点の位置Pi1の前方(接触位置Pt1の進行方向)に隣接する交差点の位置を位置Pi2として示している。この構成において、太い二点鎖線で示す高速道路Rhbには、一点鎖線で示す道路と破線で示す道路とが接続され、前者の端点は交差点の位置Pi1と交差点の位置Pi2との間の位置Peに設定され、後者は位置が補正される前の高速道路Rhに接続されている。
【0068】
以上の例において高速道路Rhbの端点は、高速道路以外の道路Rgが延びる方向に隣接する交差点の位置Pi1と交差点の位置Pi2との間の位置Peに設定されている。従って、当該端点から延びる道路は位置が補正された高速道路以外に存在せず、接触位置の軌跡と形状や位置が一致する道路を特定する際に、利用者が高速道路を指示している状態と、道路Rgの交差点で直進以外の方向に退出して走行する道路を指示している状態とを明確に区別することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…経路選択支援プログラム、21a…表示制御部、21b…接触検出部、21c…経路受付部、21d…位置補正部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…経路情報、40…ユーザI/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示部に表示する表示制御手段と、
前記表示部の表示面に物体が接触している接触位置を検出する接触検出手段と、
前記接触位置の軌跡に対応する前記地図上の道路を経路として受け付ける経路受付手段と、
同方向に延びるとともに前記地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である複数の道路が前記接触位置から所定範囲以内に存在する場合、前記複数の道路の少なくとも一方を位置補正対象道路とし、前記複数の道路同士の距離が前記第1距離よりも大きい第2距離以上となるように前記位置補正対象道路の前記地図上での表示位置を補正して前記表示部に表示する位置補正手段と、
を備える経路選択支援装置。
【請求項2】
前記位置補正手段は、
同方向に延びるとともに前記地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である高速道路と高速道路以外の道路とが前記接触位置から所定範囲以内に存在する場合、前記高速道路を前記位置補正対象道路とする、
請求項1に記載の経路選択支援装置。
【請求項3】
前記位置補正手段は、
前記複数の道路が延びる方向に対する右方向と左方向との少なくとも一方の前記地図上において前記複数の道路から第3距離以下の範囲に前記複数の道路と同方向に延びる他の道路が存在しない場合に、当該他の道路が存在しない方向に前記位置補正対象道路を移動させるように前記位置補正対象道路の前記地図上での表示位置を補正する、
請求項2に記載の経路選択支援装置。
【請求項4】
前記位置補正手段は、
前記右方向と前記左方向との双方において前記複数の道路から第3距離以下の範囲に前記複数の道路と同方向に延びる他の道路が存在する場合、前記右方向と前記左方向との少なくとも一方で前記複数の道路から前記他の道路までの距離が前記第3距離より大きくなるように前記地図の縮尺を変更し、縮尺変更後の地図において前記複数の道路から前記他の道路までの距離が前記第3距離より大きい方向に前記位置補正対象道路を移動させるように前記位置補正対象道路の前記地図上での表示位置を補正する、
請求項3に記載の経路選択支援装置。
【請求項5】
前記位置補正手段は、
前記位置補正対象道路の端点が、前記位置補正対象道路以外の道路上に存在するとともに当該位置補正対象道路以外の道路が延びる方向に沿って隣接する交差点の間の位置となるように、前記位置補正対象道路を前記表示部に表示する、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の経路選択支援装置。
【請求項6】
地図を表示部に表示する表示制御工程と、
前記表示部の表示面に物体が接触している接触位置を検出する接触検出工程と、
前記接触位置の軌跡に対応する前記地図上の道路を経路として受け付ける経路受付工程と、
同方向に延びるとともに前記地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である複数の道路が前記接触位置から所定範囲以内に存在する場合、前記複数の道路の少なくとも一方を位置補正対象道路とし、前記複数の道路同士の距離が前記第1距離よりも大きい第2距離以上となるように前記位置補正対象道路の前記地図上での表示位置を補正して前記表示部に表示する位置補正工程と、
を含む経路選択支援方法。
【請求項7】
地図を表示部に表示する表示制御機能と、
前記表示部の表示面に物体が接触している接触位置を検出する接触検出機能と、
前記接触位置の軌跡に対応する前記地図上の道路を経路として受け付ける経路受付機能と、
同方向に延びるとともに前記地図上での表示位置間の距離が第1距離以内である複数の道路が前記接触位置から所定範囲以内に存在する場合、前記複数の道路の少なくとも一方を位置補正対象道路とし、前記複数の道路同士の距離が前記第1距離よりも大きい第2距離以上となるように前記位置補正対象道路の前記地図上での表示位置を補正して前記表示部に表示する位置補正機能と、
をコンピュータに実現させる経路選択支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−202956(P2012−202956A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70647(P2011−70647)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】