説明

経頭蓋磁気刺激システムおよび方法

【課題】経頭蓋磁気刺激のシステムおよび方法、前記システムがヘルメットを含んで、位置設定部分、刺激装置および冷却方式を開示する。
【解決手段】上記ヘルメットは、深い脳磁気刺激のためのコイルを備える。上記コイルは、基底部およびリターン部を有し、それらは突出リターン部および接触リターン部を有する。上記コイルは、上記脳の部分の予想外の刺激を最小化するように設計され、一方で、表面電荷の蓄積を縮小させる。上記コイルは、上記電場を特定の深いニューロン組織に集中させるために、いくつかの位置、相異する時間に刺激される。一部の実施例では、マルチチャネルシステムが使用され、他の実施例では、制御装置は1チャネルシステムによって使用される。本発明は、上記脳の皮質領の刺激を最小化すると共に、非同時に個々のコイル部材、複合コイルを刺激して深い脳領域の中での焦点性刺激を可能にする方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年6月16日に出願され、「経頭蓋磁気刺激システムおよび方法」と題する米国特許出願番号11/153,905号からの優先権を主張し、その全体を参照文献として本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、深部経頭蓋磁気刺激のためのシステムおよび方法に関し、特に、苦痛と副作用を最小限にする一方、脳の特定範囲を刺激するための改善されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の脳の態様を調査するために、経頭蓋磁気刺激(TMS)は、研究ツールとして広く用いられ、特に神経病学と精神医学の中で診断機能および治療ツールとして提案されてきた。
【0004】
生物学上の組織は、組織に隣接して配置された電気導体材料に電流を通すことにより生じた磁界を用いて刺激することができる。
組織が導電媒質であると仮定するならば、磁界は組織の中で電界を誘発する場合がある。
より詳しくは、磁気刺激によって、脳細胞の電気伝導および、結果として活動電位の生成が生じる可能性がある。
【0005】
磁気刺激は、脳内で神経刺激を誘導して、患者の頭皮上に置かれた刺激回路およびコイルを含むTMSシステムによって伝達又は発生される。
TMS刺激回路は、通常、コンデンサまたはコンデンサのバンクを充電する高圧電源を含む。コンデンサまたはコンデンサのバンクは、短時間に変化する磁界パルスを発生するためのTMSコイルに電子スイッチを介して急速に放電される。
典型的回路は、トランス(例えば低電圧ACを高電圧DCに変換するために使用される高電圧トランス、IGBTトランジスタまたは他のエレメント)を含む。
例えば、上記スイッチを構成可能なサイリスタスイッチは、例えば50〜250[μs]の短い間隔で高電流を通過することが必要である。
【0006】
一般に行われている磁気刺激技術およびコイルは脳の表面的な刺激に適しているが、一部の医学的な適応症に対して、より深い刺激が重要である。
例えば、標準的な表面刺激は、直接深い前前頭骨皮質領域(深さ3〜4[cm])および他の利得の有効な刺激および側座核(前方の線条体)のような生理的気分に関連した脳構成を誘発しない。
この種の深領域の直接的な刺激は、標準的なTMSシステムによって取得される表面皮質の刺激よりも、大うつ病の治療のためには効果的である場合もある。
深部脳範囲の刺激は、他の多くの深い脳に関連する障害、自閉症、外傷後ストレス障害(PTSD)、喫煙、過食、および薬物依存を含む常習行為、統合失調症、パーキンソン病その他などのような他の精神医学および神経異常に、有益な場合もある。
深部脳範囲の刺激は、標準的な円形コイルまたは8の字コイルを用いて、現在では利用可能な磁気刺激器によって達することができない極めて高い強度を必要とする。
さらに、より大きな電磁界を提供できる刺激器またはコイルは、深い脳の刺激に用いた場合、例えば皮質の範囲の過剰刺激に関連した癲癇性発作または他の問題のような、望ましくない副作用を引き起こす場合もある。
【0007】
本問題を解決する試みは、例えば、米国の特許公開番号2005/0228209号に開示されている。
TMSのために上記公報に開示された方法は、目標領域に1個以上のコイルを移動させ、任意の所定時刻に脳表面が少ない量のわずかな磁気エネルギーを受けるように、複数の位置から目標に磁界を印加することを含んでいる。
しかしながら、公報に開示される方法は、ニューロン組織の中で刺激的な活動電位と関連した生理学的性質に対処させない、相異する放射源から衝撃の時間調整の時間的制御に関するいかなる議論も含んでいない。
【0008】
最小の表層刺激を有する深い脳TMSの新規な手法が、国際公開番号WO 02/32504号に説明されている。
公報に記述されたエレメントは、電流の流れの個々のパスのための個々の巻線を有するベースと、脳の他の領域への不必要な刺激を最小化するように設計された拡張部分とを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の態様によれば、ニューロン組織を活性化することを含むTMSのための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記方法は、標的領域に対する電気刺激を送出するための少なくとも一つのコイルを提供することを含み、上記コイルは、所定方向に電流を伝達するように設計された個々の部材を備えていて、非同時に少なくとも上記個々の部材の一部を活性化する。
【0011】
一部の実施例では、複合コイルを備え、非同時に複合コイルに含まれる個々の部材を活性化する。
一部の実施例では、1つのコイルの一部の部材および複合コイルからの部材は、非同時に活性化される。
上記部材のいくつかは、同時に活性化される場合もある。
【0012】
一部の実施例では、前記活性化するステップは、前記個々の部材の中の1番目の1つを最初に活性化するステップと、
第1の所定期間の後、前記個々の部材の中の2番目の1つを活性化するステップとを有する。
一部の実施例では、上記所定期間は、0〜1000[μs]の範囲内にあり、一部の実施例では、0〜150[μs]の範囲内にある。
他の実施例において、前もって定義した期間が、1〜100[ms]の範囲内にあり、1〜10[ms]の範囲内にあってもよい。
一部の実施例において、前もって定義した期間は、1[s]秒までであってもよい。
上記活性化するステップは、第2の前もって定義した期間の後、第3の個々の部材の1つを活性化するステップをさらに有してもよい。
第2の前もって定義した期間は、第1の前もって定義した期間より同じ量の時間または異なる量の時間であってもよい。
個々の部材は、分離した制御通信路に各々接続されてもよい。ここで、活性化するステップは、分離したコントロールチャネルを活性化することにより行われる。
別の実施例において、個々の部材は1つの制御通信路に接続されてもよく、個々の部材の活性化のタイミングの制御のためにコントロールシステムが提供されてもよい。
一部の実施例において、所定方向は個々の部材の各々と同じ方向であり、一方、他の実施例において、所定方向は個々の部材の各々と異なる方向である。ここで、所定方向の各々はニューロン組織を模倣するように設計されたパスを形成する。
活性化するステップは、連続して、任意に、選択的に、または繰り返し、個々の部材の各々またはいくつかを活性化するステップを有してもよい。
【0013】
本発明の別の態様によれば、目標領域の磁気刺激のためのコイルが提供される。
コイルは、ボデイ部上で位置を決めることができ、目標領域の活性化のための望ましい方向に接する方向に電流の流れを提供するための間を置いて配置した複数の別々の部材を有するベース部を有する。ベース部は、目標領域に関して第1のレベル、および目標領域の反対側の方向に戻す電流を伝えるための接触リターン部に配置される。接触リターン部は少なくとも1つの部材により電気通信内にあり、第1レベルに実質的に配置され、目標領域から離れて間を置いて配置される。
【0014】
一部の実施例において、コイルはまた、望ましい方向の反対側方向に戻す電流を伝えるために突出リターン部を備えてもよい。少なくとも1つの部材による電気通信内の突出リターン部は、目標領域に関して第2のレベルに配置され、第2のレベルは第1のレベルに離れて配置される。
部材のいくつかは、突出リターン部により電気通信内にあってもよく、部材のいくつかは、接触リターン部により電気通信内にあってもよい。
一部の実施例において、少なくとも1つの部材は、側面の内側の方向に配置され、一部の実施例において、少なくとも1つの部材は、前後方向に配置される。
一部の実施例において、複数の部材は、互いにほぼ平行である。
一部の実施例において、第1のレベルは頭脳であり、第2のレベルは頭脳の上の離れた位置にある。
距離は、4〜10[cm]から変動し、約7[cm]であってもよい。
目標領域からの接触リターン部の距離は、7〜10[cm]の範囲であってもよい。
一部の実施例において、ベース部はボデイ部に相補的なほぼアーチ状の構成を有する。
一部の実施例において、ボデイ部は頭部であり、目標領域は脳の一部である。
目標とされた脳の部分は、少なくとも3[cm]の深さであってもよい。
【0015】
もし他の点で定義されない場合、ここに用いられる技術的および科学用語は、すべて本発明が属する技術における通常の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有している。
本発明の実行または試験の中でここに記述されたものに同じか等価である方法および材料を用いることができるが、適切な方法および材料は下記に述べる。
矛盾がある場合には、定義を含む特許明細書が対照することになる。
さらに、材料、方法および具体例は、単に例示であり、限定する意図はない。
【0016】
図の簡易さおよび明瞭さについては、図面中に示す要素が必ずしも正確にまたは尺度で描かれていないことが認識される。
例えば、エレメントのいくつかの寸法は、明瞭さのために他のエレメントに比べて誇張される場合もある。また、いくつかの物理的構成部分は、1つの機能ブロックまたはエレメント内に含まれる場合もある。
さらに、適切であると見なされた場合、対応するあるいは類似要素を示すために、参照符号が図面内で繰り返される場合もある。
さらに、図面に示すブロックのいくつかは、単一の機能に統合する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の上述の効果および更なる効果は、添付図面に関連して以下の説明により適切に理解できる。
【図1A】本発明の好ましい実施例によるシステムの概略図である。
【図1B】図1Aのシステムに採用らされたヘルメットを示す図である。
【図2A】ベースおよび外側に突き出る拡張部を有する、フレームおよび電気的伝導性のコイルを含むデバイスを示す図である。
【図2B】図2Aに示す実施例の導線および電流フローを示す概要図である。
【図3A】複数の放射状に細長い延長エレメントを有し、ベースおよび外側に突き出る拡張部を有する、フレームおよび電気的伝導性のコイルを含むデバイスを示す図である。
【図3B】図3Aに示す実施例の導線および電流フローを示す概要図である。
【図4】本発明の好ましい実施例によるTMSのためのコイルを示す概略図である。
【図5】本発明の好ましい実施例によるTMSのためのコイルを示す概略図である。
【図6】本発明の好ましい実施例による冷却装置を示すブロック図である。
【図7】図6に示す冷却装置の外部冷房設備を示すブロック図である。
【図8】図6に示す冷却装置に採用される液体サーキュレータを示すブロック図である。
【図9】本発明の好ましい一実施例によれる、図4および図5に示すコイルと接触する内部システムを示す概略図である。
【図10】4人の被検者の上記平均を反映している強度−継続期間曲線を示すグラフ図であり、6〜148[μH]の間のインダクタンスLを有する8つの相異するコイルを使用している。
【図11】13[μH]および70[μH]のインダクタンスを有するTMSコイルによって発生されるパルスを示すグラフ図である。
【図12】本発明の実施例による多チャネルTMSシステムを示すブロック図である。
【図13】深い脳領域、第1皮質領および第2の皮質領において誘発される電場パルスを示すグラフ図である。
【図14】深い脳領域および3つの皮質領において誘発される電場パルスを示すグラフ図である。
【図15】図14に示す相異するパラメータについて、深い脳領域および3つの皮質領において誘発される電場パルスを示すグラフ図である。
【図16】人間に関する実験における右側の短母指外転筋を刺激するように設計されたコイルを示す図である。
【図17】標準の8文字コイルと比較して、図16の上記コイルを使用して刺激を実行した結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明において、多数の特定の詳細は、本発明についての詳細な理解に供するために述べる。
本発明がこれらの特定の詳細がなく実施されてもよいことは、当業者によって理解される。
他の実施例において、よく知られている方法、手続き、構成および構造は、本発明を不明瞭にしないように詳細に記述されなくてもよい。
【0019】
本発明は、TMSを用いて、深部脳範囲を刺激する方法である。
具体的には、本発明は、表面的な範囲に対して、電界強度の高い割合を維持しながら、脳の深部部分を刺激するために用いることができる。
【0020】
本発明による経頭蓋磁気刺激のためのシステムおよび方法の原理および作用は、図面および添付の記述に関連して一層よく理解できる。
【0021】
本発明の少なくとも1つの実施例について詳細に説明する前に、構造の詳細および以下の記述で述べるもしくは図面の中に示す構成要素のアレンジの適用において、発明が限定されないことは理解されるべきである。
本発明は、他の実施例、または様々な状態の中で実施あるいは実行できる。
また、ここで使用される語法および用語が記述のためにあり、限定的であると見なされるべきでないことは、理解されるべきである。
【0022】
ここで、参照する図1Aは、本発明の好ましい実施例によるシステム80の概略図である。
システム80は、磁気刺激のためのコイルを有し、被験者の頭部のまわりで位置決めできるヘルメット82を備えている。
ヘルメット82は、ポジショニング部84を介して調整可能である。
ポジショニング部は、調整腕83を備えたスタンド81、リアヘッドサポート87を備えた椅子85、およびヘルメット82と調整腕83との間にアダプタ89を有する。
刺激器86は、ヘルメット82内のコイルと電気的に通信状態にあり、コイルに電気刺激を提供するために設計されている。
刺激器86は、米国、ミネソタ州、ミネアポリスのメドトロニック社によって製造された磁気刺激器の様々なモデル(例えば、マグプロ、マグライト コンパクト)、または米国、ニューヨーク州、ニューヨークの有限責任会社マグスティム社 US社によって製造された磁気刺激器の様々なモデルで販売された電源(例えば、マグスティム モデル200、マグスティム モデル220、マグスティム モデル250、ビスティム、マグスティム ラピッド、マグスティム クアドロパルス、マグスティム ラピッド2)のいずれかのような市販で入手可能な神経刺激器である。
刺激器86は、脳に電気刺激を与えるために用いられ、制御された出力、周波数およびパルス持続時間を設け、またコイル温度の表示を有してもよい。
また、冷却装置88は、ヘルメット82のコイルと通信状態にあり、刺激器86によって提供される反復刺激中にコイル内の周囲温度を維持するために設計されている。
冷却系装置88は、開放空気経路または閉じた双方向空気経路のいずれかと共に、フレオンシステムを用いた空気冷却に基づいたシステム、またはメルコア社(米国、ニュージャージー州、トレントン)によって製造されたTECsなどのような熱電冷却機(TEC)システムであってもよく、あるいは、冷却系装置88は、液体冷却装置であってもよい。
冷却系装置88の特定の実施例は、特に、本発明の上記コイルの用途に設計され、図6〜9に関してより詳細に下記明細書に記述する。
【0023】
ここで、参照する図1Bは、本発明の好ましい実施例によるヘルメット82のさらに詳細な説明図である。
ヘルメット82は、強剛なカバー90および可撓性カバー92を有する。
可撓性カバー92は、頭部に対する柔軟性を与えるように設計されている。
ヘルメット82の内部壁は、当て物用のスポンジで覆っている。
一実施例において、裏地は、片側に接着剤(3Mフォーム医療テープ)を備えた0.9[mm]の生物学的適合性のスポンジである。
アダプタ89は、調整ネジ94を介してスタンド81の上方部に接続されている。
調整ネジ94は、ヘルメット82の高さあるいは角度の調節を可能にする。
ワイヤ96、98は、刺激器86および冷却装置88からヘルメット82まで及ぶ。
【0024】
経頭蓋磁気刺激に用いるコイルをヘルメット82内に配置する。
有害な副作用を最小限にしている一方、コイルは脳の深部部分に浸透するために設計されている。
深部脳刺激に適しているコイルの作用の基本原理は、以下の通りである。
【0025】
(1)コイルを刺激する適切な配向。
コイルが表面に接する方向に相当な磁界を発生させるために、コイルは正しい方角に置かれる必要があり、また、考慮中であるニューロンを活性化するのに望ましい方向である必要がある。
すなわち、コイルのワイヤは、1つ以上の方向に向けられ、これらの特定方向に向けられたニューロン組織の好ましい活性化を結果として生じる。
ある場合に、長さまたは幅軸に沿って1つの望ましい方向があり、他の場合において、長さと幅の両方の軸に沿って2つ以上の望ましい方向がある。
従って、頭脳上のコイルを活性化する配置および配向は重要である。
【0026】
(2)非接線のコイルエレメントの最小化。
刺激される組織内の電界強度、およびコイルからの距離により働く電界の下落率は、組織表面に関するコイルエレメントの配向に依存する。
表面に垂直なコイルエレメントが表面電荷(それは組織内のすべてのポイントで誘導された領域の垂直成分の解除、および一般に、ほとんどのポイントで他のすべての方向の電界の減少を導く)の蓄積を誘導することが証明されている。
従って、脳組織表面に接しないコイルエレメントの長さは最小限にする必要がある。
更に、非接線のコイルエレメントは、可能な限り小さく、かつ活性化する深い範囲から可能な限り遠く配置する必要がある。
これらの2つの要因の組み合わせは、表面電荷の蓄積を最小限にするのを助長する。
【0027】
(3)皮質の領域と比較して深い範囲内の領域の最大化。
深部TMSの主要な目標は、脳の表面領域で大きな電界を引き起こさずに、深部範囲刺激を最大限にすることである。
表面領域の電界が大きすぎる場合、苦痛、癲癇性発作または他の合併症を引き起こす場合がある。
従って、表面領域で大きな電界を蓄積させずに、深部範囲刺激を最大限にすることは重要である。
これは、電気インパルスの合計(以下でさらに記述される概念)によって達成できる。
さらに、望ましい方向(リターン経路)の反対方向の電流を導くコイルエレメントは、所望の脳範囲から遠くに配置する必要がある。
【0028】
本発明をよりよく理解する目的のために、図4〜10を例示するとともに、まず、図2A、2B、3Aおよび3Bに例示した上述したコイルの構造および作用を参照する。
コイルは、2つの異なる構成を示しており、それは国際公開番号WO02/32504号に「磁気刺激のためのコイル、およびそれを用いる方法」と題され以前に開示されたその全体を参照文献として本明細書に援用する。
【0029】
ここで、図2Aを参照すると、デバイス11は、ベース12および外側に突き出る拡張部14を有する、フレームおよび電気的伝導性のコイルを含んでいる。
一部の実施例において、フレームはそれ自身、電気的導体材料から構成されるフレームなどのような、電気的伝導性のコイルである。
しかしながら、他の実施例において、フレームは、柔軟か順応性のある材料(それは特定の適用のために所望の形状に構成されてもよい)であり、電気的伝導性のコイルは、フレームに並んで、取り付けられ、まわりに巻きつけられ、もしくは内部に配置され、動作されるようなフレームに関連した電気的導体材料の1つ以上の巻線を含む。
ベース12は、凹面の表版19(それは被験者のボデイ部に向けられる)、および表版19の反対側に別の側面20を有する。
拡張部14は、この第2の側から外側に、およびベースから遠方に延びる。
【0030】
デバイス11は、頭脳のまわりで様々な配向で配置する。
しかしながら、デバイス11が被験者のボデイに面するベース12の凹面19で配置される場合、デバイス11は、被験者のボデイ内の電界を効果的に誘導する。
【0031】
図2Aに示すデバイス11は、第1の端部22および第2の端部24を備えた、部分的に環状体か卵形のベース12を有する。
これらの2つの端部22、24の間に延びるラインは、ベース12の長さに沿って長さ軸を定義する。
ベース12は、その長さ軸に沿って、ほぼ弓形、半環状、または半卵形の形状を有している。
また、ベース12は、その長さ軸まで垂直に延ばす幅軸を有しており、この幅軸は、ほぼ弓形、半環状、または半卵形の形状を有している。
従って、図2Aで描写されたベース12は、その長さ軸に沿って延びるアーチ、およびその幅軸に沿って延びるアーチを有する。
長さと幅の両方の軸に沿ったアーチ構成は、デバイスが用いられるべきボデイ部の外形に相補的である。
デバイスは、被験者の頭脳の横方向と、正面から後部とのアーチ形状に適合する。
【0032】
図2Aに示すように、ベース12は、ほぼ並列で、弓形で、長方形で、縦方向に延び、横に間を置いて配置された骨組部材21および23の1対を有している。
縦フレーム部材21、23間で延びて相互に連結させるものは、10個の長方形で弓形の横フレーム部材1、2、3、4、5、6、7、8、9、10である。
部材1〜10は、縦フレーム部材21、23の長さに沿って別々に間を置いて配置され、それらの対向端部で、直角に全般的に延びる縦フレーム部材21、23に結合される。
【0033】
拡張部14は、ベース12の間の電気の流れにパスを提供する。
表面電荷は、ベースのコイル部分によって生じた電界の強さに干渉して縮小する。
表面電荷の減少は、三角形、または上方へ収斂する拡張部14を用いることにより達成する。
拡張部14は、第1と第2の長方形のエレメント26、28を含む。
エレメントは、ベース12の軸の長さに沿って別々に間を置いて配置された位置のベース12に接続された内側端部30、32の第1のセットを有する。
第1の長方形のエレメント26は、ベース12の第1の端22に隣接するベース12に第1の内側端部30を接続し、第2の長方形のエレメント28は、ベース12の第2の端24に隣接するベース12に第1の内側端部32を接続する。
これらのエレメント26、28の残り部分34、36は、ベース12から離れて延び、互いの方向へ収斂する。
【0034】
図2Bは、図2Aで示した実施例の伝導配線および電流フローを示す概略図である。
図2Bにおいて、A−JおよびAA−JJにラベル付けられたポイントは、ベースに関連し、ポイントQ−Vは、拡張部に関連する。
ポイントU、Vは、電源(図示せず)から供給される電流にとっての電気的入力に対応する。
図2Bに示すフロー図を用いて説明すると、図2Aの実施例のためにコイルがどのように構成されるかを理解できる。
例えば、図2Aに示すデバイス11は、10個の長方形の弓形の横フレーム部材1〜10に沿ったベースの弓幅方向に延びる、1〜10と番号付けられた10個の巻線を有するコイルを備える。
表1は、巻線の配置を概説する。
【表1】

【0035】
ベースを流れる電流のかなりの部分は、コイルの横の一片を通って流れ、従って、図2Aで示される参照用Z軸に沿ってほぼ方向づける。
ベースに関連したコイル部分は、被験者の頭脳の表面に対し相補的であり接線である。
特別の実施例において、横フレームエレメント1〜10(つまり、ベースの幅軸とほぼ平行)に関連したコイルの全体長は、ベース(つまりベースの長さ軸とほぼ平行な残りの長さ)に関連したコイルの残りの長さを超過する。
これらの実施例において、ベースを流れる電流の大多数は、図2Aに示す参照用Z軸に沿ってほぼ方向づける。
【0036】
国際公開番号WO02/32504号内で開示されたデバイスの他の実施例を図3A、3Bに示す。
デバイス11Aは、ベース12Aおよび拡張部14Aを有しており、ベース12Aは第1の端部22Aおよび第2の端部24A、およびその長さと幅の軸に沿ったほぼ弓形、半環状、または半卵形の形状を有している。
しかしながら、この実施例において、拡張部14Aは、図2Aで示される放射状に長方形のエレメント26、28の最小限の数ではなく、複数の放射状の長方形の拡張エレメント110、112、114、・・・158、160を有する。
他の実施例では、そのような長方形の拡張エレメントの異なる数を使用してもよいが、図3Aに示す実施例は、26個の放射状に延びる長方形の拡張エレメント110、112、114、・・・158、160を有する。
図に示すように、放射状の長方形のエレメント110、112、114、・・・158、160は、4つのファン状のグループ170、172、174、176にまとめられ、延長されるエレメント134、136は、側面のエレメント180、182により接続される。
【0037】
図2Aに示すベース12と同様に、図3Aに示すベース12Aは、ほぼ並列で、弓形で、長方形で、縦方向に延び、横に間を置いて配置された骨組部材21A、23Aのペアを有する。
縦フレーム部材21A、23A間で延びて相互に連結させるものは、26個の長方形で弓形の横フレーム部材210、212、214、・・・258、260である。
【0038】
表面電荷の量、および刺激される被験者のボデイのより深い組織へのその表面電荷の影響は、非接線成分を有する電気部品の全長および位置に依存する。
本実施例において、そのような非接線のエレメントの全長は、縮小され、活性化のために目的とした深い脳の範囲からの距離を増加する。
言いかえれば、ベースからベースに関連したコイルの全体長まで放射状に延びるコイルの全体長の比率は、図2Aに示す直前の実施例に対応する比率未満である。
【0039】
図3Bは、図3Aに示した構造の巻線に関連する参照符号とともに、図3Aに示した実施例の巻線による電流フローの概略図である。
図3Bは真の意味の接続図ではない。この図は、デバイスに対応するコイルが、コイルの個々の巻線から回路を含む個々の巻線で、どのように作成できるかを単に示している。
明瞭性のために、全デバイスの一部だけを示す。
【0040】
図3Bに示すように、電流の流れ方向は、側面の骨組部材23Aから側面の骨組部材21Aまでの方向に流れるベース12Aの26個の小片の全てで同じである。
全般的に、コイルのこの部分への電流はZに到着し、I2まで移動し、小片J2−J1、K2−K1、L2−L1およびM2−M1を通って流れる。
各小片(A2−A1、B2−B1、・・・M2−M1)は、扇状のグループ170、172、174、176の1つの長方形のエレメント110、112、114、・・・158、160を通ってリターン経路を有している。
例えば、小片J2−Jiのためのリターン経路は、長方形のエレメント140(図3Bでは図示せず)でもよい。
I2への電流フローは、その後、小片H2−H1を通って、I1に流れる。
ここから、電流は、Wに拡張して、次にXに(2つの長方形のエレメント148、150の分岐点を表わすラインW−X)、次にG2に、次に小片F2−F1、E2−E1、D2−D1、C2−C1、B2−B1、A2−A1を通って流れ、G2に戻る。
各々の小片F2−F1、E2−E1、D2−D1、C2−C1、B2−B1、A2−A1は、長方形のエレメント150〜160から構成される扇状の集合部176の長方形のエレメントを通じてリターン経路を有している。
電流フローのリターン経路は、小片の逆方向にある。
図2Aに示す第1の実施例のように、この第2の実施例の拡張部14Aは、被験者の体内組織に対するそれらの電気的影響を弱めるために、電流がリターン経路を被験者から離れて流れるように配置する。
【0041】
図2A〜Bおよび3A〜Bに関連して上述した磁気刺激のためのデバイスの2つの先に記述した実施例において、リターン経路は、被験者の体内組織に対するそれらの電気的影響を弱めるために被験者から離れたところに配置する。
しかしながら、頭脳からの距離を増加させることは、より長い非接線のエレメントを必要とし表面電荷の蓄積を引き起し、深さでの電界の崩壊を増加させる。
これら矛盾する原理は、リターン経路内の電流フローによる不要な電気的効果および表面電荷の不要な蓄積の両方を最小限にするように可能な限りバランスを取る。
【0042】
本出願において、さらに非接線のエレメントの長さを減少させる(したがって刺激の領域で不要な表面電荷を最小限にする)設計を開示する。
ここに記述する実施例は、刺激範囲が前頭葉前部の範囲などのような脳の中心線上にない時に特に役立つ。
【0043】
ここで参照する図4は、本発明の1つの好ましい実施例によるTMSのためのコイル300の図である。
コイル300は、ベース部312、突出リターン部314および接触リターン部315を有する。
ベース部312は、電気的導体材料の巻線317で構成する。
ベース部312は、凹面の第1の側面319(それは頭脳に直接接触状態にあり、被験者のボデイ部に向けられる)、および第1の側面319の向こうに第2の側面320を有する。
突出リターン部314は、第2の側面320外側に、およびベース部312から遠方に延び、接触リターン部315は、ベース部312から距離をおいて配置する(しかし頭脳に接している)。
従って、ベース部312は、目標領域に関して第1の高さにあると見なすことができる。
突出リターン部314は、第2の高さにあり、第1と第2の高さはy−z平面に関して定義する。
接触リターン部315は、第1の高さにあり、すなわち、ほぼベース部312と同じ平面上にあるが、目標領域からの平面の距離(x−z平面内の)にある。
巻線317は、頭脳に接するように設計してあり、予め形成してもよいし、それが配置される領域の湾曲した組織に適応するように順応性があってもよい。
この設計は、接線の刺激を最大限にし、軸索の減極には最適である。
【0044】
図4に示すデバイス(コイル)300は、第1の端部322および第2の端部324を備えた弓形のベース312を有する。
これらの2つの端部322、324の間に延びるラインは、ベース312の長さに沿って長さ軸を定義する。
ベース312は、その長さ軸に沿って、ほぼ弓形、半環状、または半卵形の形状を有している。
また、ベース312は、その長さ軸まで垂直に延ばす幅軸を有しており、この幅軸は、ほぼ弓形、半環状、または半卵形の形状を有する。
従って、図4に示すベース312は、その長さ軸に沿って延びるアーチ、およびその幅軸に沿って延びるアーチを有する。
長さと幅の両方の軸に沿ったアーチ構成は、デバイスを用いるべきボデイ部の外形に対して相補的である。
デバイスは、被験者の頭脳の横方向と正面から後部へのアーチ形状に一致する。
【0045】
ベース312は、巻線317(それはほぼ一連の並列部材301〜310で構成される)を有する。
図4に示す実施例において、部材301〜310は、デバイス(コイル)300を帯状模様のある、または前前頭皮質を側坐核、および腹面の被蓋の領域に結び付ける前前頭皮質とファイバー内の構造を活性化するのに適するようにして、側面の内側の方向に方向づける。
これらは、動機付け、ほうび、および楽しみのコントロールと関係するニューロンの伝達経路である。
各々の部材301〜310は、各々の部材301〜310と同様である電流の方向で、側面内側の方向(ベース312の長さ軸とほぼ平行)で電流を伝える。
各々の部材301〜310は、突出リターン部314または接触リターン部315のいずれかを通して延ばす、リターン経路を有する。
部材301〜310は、電気的なリード316、318のように、電源に電気的に接続する。
好ましい実施例において、各々の部材301〜310は、1つの実施例として、長さ14〜22[cm]であり、‥‥各々の部材301〜310の間は0.5〜1.5[cm]の離隔距離がある。
好ましい実施例において、各々の部材301〜310間に0.8[cm]の離隔距離がある。
部材306〜310のリターン経路306”〜310”は、セグメントH−Iまで輪郭を描かれるように、そこから頭部の上に離れて位置している。
一実施例において、頭部から部材306〜310のリターン経路306〜310までの距離は、4〜10[cm]の間にある。
好ましい実施例において、頭部から部材306〜310のリターン経路306〜310までの距離は、約7[cm]である。
【0046】
コイル300は、金属などのような任意の電気的伝導性の材料から構成してもよい。
特別の実施例は、銅、アルミニウムまたは他の電気的導体材料で作成されたワイヤを有するコイルを備えている。
好ましい実施例において、コイルは、800[cm]の全体長を有しており、直列に接続されて、巻線317へ巻かれた、2重の14本のAWG絶縁銅線で作られている。
他の実施例において、コイルは、各ワイヤの0.9[mm]の直径、またはあらゆる種類のマルチラインワイヤで、2つのポリエステル層(66の[μm]絶縁幅)によって絶縁された、7つのセラミド200銅線で作られる。
別の実施例において、コイルは、3[mm]の断面積の40〜60ラインからなるマルチラインワイヤから作る。
好ましい実施例において、コイルエレメントは、付加的な電気的絶縁のために、ポリウレタン樹脂型レジネックス4(イスラエルのハムチャバー ベハムカシャー社)によってコートされる。
他の実施例において、コイルエレメントは、付加的な電気的絶縁のために、0.65[mm]の厚さのRNF−3000熱収縮性チューブ(米国、カリフォルニア州、メンローパーク レイチェン社)によってコートする。
他の実施例において、コイルエレメントはPVCなどのような他の絶縁材料によってコートするか、または絶縁材料の層の間に挟む。
ここに開示した実施例が具体例のみで、限定的であると見なすべきではないことは容易に明白である。
巻線317は、適切なケーブルおよびコネクターに接続し、次に、それは刺激器に接続する。
刺激器は、他の磁気コイルでの使用に利用可能な電源などのような、任意の適切な市販の入手可能な電源でもよい。
好ましい実施例において、刺激器は、米国、ミネソタ州、ミネアポリスのメドトロニック社によって製造された磁気刺激器の様々なモデル(例えば、マグプロ、マグライトコンパクト)、または米国、ニューヨーク州、ニューヨークの有限責任会社マグスティムカンパニー US社によって製造された磁気刺激器の様々なモデルで販売された電源(例えば、マグスティムモデル200、マグスティムモデル220、マグスティムモデル250、バイティム、マグスティムラピッド、マグスティム クアドロパルス、マグスティムラピッド2)のいずれかのような市販の入手可能な神経刺激器である。
【0047】
電源あるいは刺激器(図示せず)は、部材301〜310の1つの中へリード316を通して電流が供給される。
刺激的な電流パルスは、側面内側の方向にほぼ流れる。
次に、電流は、ベース部312から上方に向かって延びる上昇部311を通して上昇する。
このポイントにおいては、電流が、突出リターン部314または接触リターン部315のいずれかを通して、2つのパスのうち1つのパスをとる。
電流が突出リターン部314を通って流れる場合、上昇部311から突出リターン部(それはベース部312の部材とほぼ平行になる)を通って流れ、そして下降部323で頭脳のレベル下へ戻る。
そこから、電流はリード318を通って電源へ戻る。
電流が接触リターン部315を通って流れる場合、上昇部311から下降コネクター313まで、接触リターン部315(それはベース部312の部材とほぼ平行になり、だがベース部312の部材301〜310からの距離で頭脳に直接置かれる)を通って、上昇コネクター321に流れ、そして下降部323で頭脳のレベル下へ戻る。
そこから、電流はリード318を通って電源へ戻る。
好ましい実施例において、部材の半分は突出リターン部315を通って流れ、それらの半分は接触リターン部314を通って流れる。
しかしながら、本発明はこの割合に限定されず、リターン経路が各部材の少なくとも1つから電流を受ける限り、突出リターン経路および接触リターン経路のいかなる割合も可能である。
電流は、全ての部材に同時に供給してもよいし、あるいは、連続して、ランダムな順序で、または選択的に供給してもよい。
別の実施例において、電流は部材301に供給され、付加的な部材301〜310の各々を備えるループを通って流れる。
本発明は、10個の部材に関して示したが、本発明がこの数に限定されるいかなる方法でもないことも容易に明白である。また、部材のいかなる適切な数を用いてもよい。
付加的な実施例において、単一の部材は、突出リターン部314および接触リターン部315の両方を通したリターン経路を有していてもよい。
付加的な実施例において、異なる部材が平行に接続され、連続して、同時にまたは任意のいずれかのシーケンスで活性化するが、部材は各直列内のいくつかのワイヤを接続してもよい。
【0048】
図4で表された好ましい実施例において、個々の部材301〜310からの電流は、経路301’〜310’を介して上昇部311を通って流れる。
上昇部311の一番上に、部材306〜310からの電流が経路306”〜310”を介して突出リターン部314を通って流れている一方、部材301〜305からの電流は経路301”〜305”を介して接触リターン部315を通って流れる。
具体的には、部材301〜303は、パスA−B−C−D−E−F−G−H−I−J−Q−R−S−T−K−L−Aを通過する。
部材304は、パスA−B−G−H−I−J−Q−R−S−T−K−L−Aを通過する。
部材305は、パスA−M−N−B−G−O−P−H−I−J−Q−R−S−T−K−L−Aを通過する。
部材306〜307は、パスA−M−N−B−G−O−P−H−I−J−K−L−Aを通過する。
部材308〜309は、パスA−B−G−H−I−J−K−L−Aを通過する。
部材310は、パスA−H−I−J−K−L−Aを通過する。
他の組み合わせおよび経路が可能であり、本発明の範囲内であることは容易に明白である。
【0049】
突出リターン部314は、上述したように、頭脳からの距離をおいて配置する。
頭脳からリターン経路を離して配置することによって、脳の不要な部分の電気刺激が最小限になる。
しかしながら、脳の表面での表面電荷蓄積は増加する。
そのため、リターン経路のいくつかは表面電荷蓄積を縮小させるために頭脳自体に配置する。
しかしながら、これらのリターン経路は、刺激の領域の矛盾する信号を回避させるために脳内の刺激位置から距離をおいて配置する。
好ましい実施例において、部材から接触リターン経路までの距離は、少なくとも5[cm]である。
一部の実施例において、部材から接触リターン経路までの距離は7〜20[cm]の範囲である。
好ましい実施例において、距離は約10[cm]である。
このようにして、上記脳の不必要な部分への電気刺激を回避するために、表面電荷を縮小するための上記要求と、上記矛盾する要求との間にバランスが保持される。
【0050】
ここで、参照する図5は、本発明の別の好ましい実施例によるTMSのためのコイル400を示す図である。
この実施例において、部材401〜414は、左半球に対する優位と共に、帯状束のまたは前前頭皮質を側坐核および腹面の被蓋の領域に結び付ける前前頭皮質内の構造およびファイバーの活性化のために前後方向に方向づける。
これらは、動機付け、ほうび、および楽しみのコントロールと関係するニューロンの伝達経路である。
コイル400は、ベース部425、突出リターン部440および接触リターン部415を備える。
ベース部425は、電気的導体材料の巻線417で構成する。
ベース部425は、頭脳に直接接触し被験者のボデイ部に向けられる凹面の第1の(内部)側面419、および第1の側面419反対側に第2の(外部)側面420を有する。
突出リターン部440は、第2の側面420から外側に、およびベース部425から遠方に延びる。また、接触リターン部415は、ベース部425から距離をおいて配置する(しかし頭脳に接している)。
従って、ベース部425は、目標領域に関して第1のレベルにあると見なすことができる。
突出リターン部440は、y−方向内の第1レベルから離れている第2のレベルにある。
接触リターン部415は、第1レベルにある。すなわち、ほぼベース部425と同じ平面上にあるが、目標領域からの平面の距離(x−z平面内の)にある。
巻線417は、頭脳に接するように設計しており、予め形成してもよいし、それが配置される領域の湾曲した組織に適応するように順応性があってもよい。
この設計は、接線の刺激を最大限にし、それは軸索の減極に最適である。
【0051】
図5に描写されたデバイス(コイル)400は、第1の端部422および第2の端部424を備えた弓形のベース425を有する。
これらの2つの端部422、424の間に延びるラインは、ベース425の長さに沿って長さ軸を定義する。
ベース425は、その長さ軸に沿って、ほぼ弓形、半環状、または半卵形の形状を有している。
ベース425はまた、その長さ軸まで垂直に延ばす幅軸を有しており、この幅軸は、ほぼ弓形、半環状、または半卵形の形状がある。
従って、図5に示すベース425は、その長さ軸に沿って延びるアーチ、およびその幅軸に沿って延びるアーチを有する。
長さと幅の両方の軸に沿ったアーチ構成は、デバイスが用いられるべきボデイ部の外形に相補的である。
デバイスは、被験者の頭脳の横方向と正面から後部へのアーチ形状に一致する。
【0052】
ベース425は、巻線417を含んでおり、それはほぼ一連の並列部材401〜414で構成する。
図5に示す実施例において、部材401〜414は、デバイス(コイル)400を前前頭皮質内の構造を活性化するのに適するようにし、前後方向に方向づける。
各々の部材401〜414は、各々の部材401〜414と同じ電流の方向と共に、前後方向(ベース425の長さ軸によりほぼ垂直)に電流を伝える。
各々の部材401〜414は、突出リターン部440または接触リターン部415のどちらかを通して延びるリターン経路を有する。
部材401〜414は、電気的なリード416、418によるような電源に電気的に接続する。
好ましい実施例において、各々の部材401〜414の長さは7〜12[cm]である。
14個の部材401〜414は、左半球の前前頭皮質上に分配する。
一実施例において、各々の部材401〜414間には、0.5〜1.5[cm]の離隔距離がある。
好ましい実施例において、各々の部材401〜414間には、1[cm]の離隔距離がある。
3つの部材408〜410が前額部の方へ延長され、セグメントJ−Iによって輪郭を描かれるように、その範囲内の付加的作用を提供するために、それらの連続は眼窩前頭皮質に沿った左/右の方向を通過する。
セグメントD−Eによって輪郭を描かれるように、部材401〜407のリターン経路401”〜407”は、右半球の頭部に接続する。
一実施例において、リターン経路401”〜407”の各々は、約0.5〜1.2[cm]によって互いに分離される。
好ましい実施例において、リターン経路401”〜407”の各々は、約0.8[cm]によって互いに分離される。
部材408〜414のリターン経路408”〜414”は、セグメントM−Gによって輪郭が描かれるように、頭部上に離れてそこから位置している。
一実施例において、リターン経路408”〜414”の各々は、約0.1〜0.7[cm]によって互いに分離される。
好ましい実施例において、リターン経路401”〜407”の各々は、約0.3[cm]によって互いに分離される。
一実施例において、頭部から部材408〜414のリターン経路408”〜414”までの距離は、4〜10[cm]の間にある。
好ましい実施例において、頭部から部材408〜414のリターン経路408”〜414”までの距離は、約7[cm]である。
【0053】
コイル400は、金属などのような任意の電気的に伝導性の材料から構成してもよい。
特別の実施例は、銅、アルミニウム、銀または他の電気的導体材料で作られたワイヤを有するコイルを備えている。
好ましい実施例において、コイルは、750[cm]の全体長を有しており、直列に接続されて、巻線417へ巻かれた2重の14個のAWG絶縁銅線で作製する。
他の実施例において、コイルは、各ワイヤの直径0.9mmで、2つのポリエステル層(66μmの絶縁幅)によって絶縁された、7個のシェラミド200銅線、またはいかなる種類の多重ラインワイヤで作製する。
好ましい実施例において、コイルエレメントは、付加的な電気的絶縁のためにポリウレタン樹脂型レジネックス4(イスラエル、ハムチャバー ベハムカシャー社)によってコートする。
他の実施例において、コイルエレメントはPVCなどのような他の絶縁材料によってコートするか、または絶縁材料の層の間に挟む。
他の実施例において、コイルエレメントは、付加的な電気的絶縁のために0.65[mm]の厚さでRNF−3000熱収縮性チューブ(米国、カリフォルニア州、メンローパーク、レイケム社)によってコートする。
ここに開示した実施例が具体例のみで、限定的であると見なすべきでないことは容易に明白である。
巻線417は、適切なケーブルおよびコネクターに接続し、次に、それは刺激器に接続する。
刺激器は、他の磁気コイルでの使用に利用可能な電源などのような、任意の適切な市販で入手可能な電源でもよい。
好ましい実施例において、刺激器は、米国、ミネソタ州、ミネアポリスのメドトロニック社によって製造された磁気刺激器の様々なモデル(例えば、マグプロ、マグライトコンパクト)、または米国、ニューヨーク州、ニューヨークの有限責任会社マグスティムカンパニー US社によって製造された磁気刺激器の様々なモデルで販売された電源(例えば、マグスティムモデル200、マグスティムモデル220、マグスティムモデル250、バイティム、マグスティムラピッド、マグスティム クアドロパルス、マグスティムラピッド2)のいずれかのような市販で入手可能な神経刺激器である。
【0054】
刺激器または電源(図示せず)は、部材401〜414の1つの中へリード416を通って電流を供給する。
刺激的な電流パルスは、前後方向にほぼ流れる。
このポイントにおいては、電流は、ベース部425から延び、次に突出リターン部440を通して、接触リターン部415を通す、または上昇部421を通すかのいずれか、2つのパスのうちの1つのパスをとる。
電流が接触リターン部415を通って流れる場合、上昇部311から下降コネクター313まで、接触リターン部315(それはベース部312の部材とほぼ平行になり、だがベース部312の部材301〜310からの距離で頭脳に直接置かれる)を通って、上昇コネクター321に流れ、そして下降部323で頭脳のレベル下へ戻る。
そこから、電流はリード418を通って電源へ戻る。
一方、突出リターン部440を通って流れる電流の場合、上昇部421から突出リターン部440(それはベース部425の部材とほぼ平行になる)を通って流れ、下降部423で頭脳のレベル下に戻る。
そこから、電流はリード418を通って電源へ戻る。
好ましい実施例において、部材の半分は突出リターン部440を通って流れ、それらの半分は接触リターン部415を通って流れる。
しかしながら、本発明はこの割合に限定的ではない。また、各リターン経路に部材の少なくとも1つからの電流がある限り、突出リターン経路と接触リターン経路のいかなる割合も可能である。
電流は、全ての部材に同時に供給すてもよいし、あるいは、連続して、ランダムの順序で、または選択的に供給してもよい。
別の実施例において、電流は部材401に供給され、付加的な部材401〜414の各々を有するループを通って流れる。
本発明は、14個の部材に関して示したが、本発明がこの個数に限定されるいかなる方法でもないことも容易に明白である。また、部材のいかなる適切な個数を用いてもよい。
付加的な実施例において、単一の部材は、突出リターン部440および接触リターン部415の両方を通してリターン経路を有していてもよい。
【0055】
図5に示す好ましい実施例において、部材408〜414からの電流が経路408”〜414”を介して上昇部421および突出リターン部440を通って流れる一方、個々の部材401〜407からの電流は、経路401”〜407”を介して接触リターン部415を通って流れる。
具体的には、部材401〜407は、パスA−B−C−D−E−F−G−H−Aを通過する。
部材408〜410は、パスA−I−J−K−L−M−G−H−Aを通過する。
部材411〜414は、パスA−N−L−M−G−H−Aを通過する。
他の組み合わせおよび経路が可能であり、本発明の範囲内であることは容易に明白である。
【0056】
突出リターン部414は、頭脳から距離をおいて配置する。
好ましい実施例において、この距離は7[cm]である。
頭脳からリターン経路を離して配置することによって、脳の不要な部分の電気刺激は最小限になる。
しかしながら、脳の表面での表面電荷蓄積は増加する。
そのため、リターン経路のいくつかは、表面電荷蓄積を縮小させるために頭脳自体に配置する。
しかしながら、これらのリターン経路は、刺激の領域の矛盾する信号を回避するために脳内の刺激される位置から距離をおいて配置する。
一実施例において、中央部材(例えば部材414などのような)から接触リターン経路までの距離は、7〜15[cm]の範囲である。
好ましい実施例において、中央部材(例えば部材414などのような)から接触リターン経路までの距離は、約8または9[cm]である。
このようにして、上記脳の不必要な部分への電気刺激を回避するために、表面電荷を縮小するための上記要求と、上記矛盾する要求との間にバランスが保持される。
【0057】
一実施例において、電気がリターン部を通って流れる時に生じる磁界をさらに縮小するために、スクリーンはコイル300またはコイル400のどちらかに印加してもよい。
スクリーンは、μメタル、鉄または鋼などのような磁界を抑制するか転換することができ、高透磁率を備えた材料で構成する。
これに代わって、スクリーンは、リターン部によって生じた効果を妨害してもよい電流またはチャージ蓄積を引き起こす場合がある高伝導性を備えた金属で構成する。
磁界を抑制する適切なスクリーンまたはシールドを用いてもよい。
スクリーンは、1つ、いくつかまたは全てのコイル300またはコイル400の部材を囲むμメタルのシース、戦略的に配置された金属の平円板、またはほぼリターン経路を囲むエンクロージャに限定されずに、任意の適切なサイズまたは形状でもよい。
【0058】
ここで参照する図6は、本発明の一実施例による冷却装置88のブロック図である。
この実施例は、冷却に水または他の液体を用いるが、空気冷却を用いることも想定している。
用語「流体」はここでは、水のような液体、または混合物のガスのようなガス、およびより具体的には空気を示す。
冷却装置88は、繰返し処理中にコイルの中で周囲温度を維持するために設計されている。
冷却装置88は、外部熱交換器500、流体サーキュレーター502、および内部システム504を有する。
内部システム504は、コイル300またはコイル400に接続する。
矢印506は、冷却の方向を表わす。
【0059】
外部熱交換器500のブロック・ダイヤグラム図である図7を、ここで参照する。
外部熱交換器500は、コンプレッサ506、コンデンサ508、膨張弁510、および気化器512を有する。
コンプレッサ506は、市販で入手可能なコンプレッサ(例えば、タイ、エレクトロラックス、L57TN型から利用可能)である。
好ましい実施例において、コンデンサ508は、0.95[cm]の直径パイプで作られており、1.4[kW]、5−30[W]形機関(イタリア、EMI)を備えた換気機、および0.20[A]までの電流を有している。
膨張弁510は、ほぼ直径0.18[cm]で長さ4[m]の毛状のパイプで作製する。
気化器512は、少なくとも4.7[m]の全体長がある3/8直径スパイラル鋼管で作製する。
【0060】
ここで参照する図8は、流体サーキュレーター502のブロック図である。
ここに記述した実施例において、流体サーキュレーターは、水サーキュレーターであり、水タンク514および水ポンプ516を有する。
水タンク514は、外部熱交換器500の気化器512に接している。
好ましい実施例において、水タンク514は、発砲ポリウレタンの1[cm]の層によってコートされた10リットルの鉄のタンクである。
水ポンプ516は、内部システム504と流体コミュニケーションにあり、内部システム504のラジエタで冷やされた水を送るように構成する。
水ポンプ516は、ペンタックス(イタリア(CM50/01型))産の利用可能な市販の水ポンプである。
使用される上記公称の使用圧力は、2×10[N/m](2バール)である。
圧力は、手動のフィードバックコックによって規制する。
水の過剰分は、タンクに戻し、循環を生じさせる。
【0061】
冷却は、以下のように達成する。
フレオンガスは、コンプレッサ506内で圧縮し、コンデンサ508内で凝縮し、膨張弁510を通って膨張する。
膨張弁510内の毛細管は、気化器512に接続され、そこでガスが再び蒸発し、コンプレッサ506に戻す。
気化器512は、水タンク514内で浸され、水を冷却する。
水は、水ポンプ516を介して汲み出し、内部システム504のラジエタの中で循環させる。
他の実施例において、冷却された空気が、水の代わりに循環する。
一実施例において、内部システム504はラジエタシステムである。
図9に関連してより詳しく以下に記述するように、ラジエタは、コイル300またはコイル400を備えた熱連結内にある。
流体の循環は、パルス列中にコイルを冷やし、穏やかな温度領域でその温度を安定させる。
一実施例において、温度センサーは、コイル300またはコイル400、またはそのコイルの近くに配置し、進行の間の温度に関する情報は、冷却装置88に直接送信する。
次に、冷却自動調整は温度情報に基づいて行うことができる。
【0062】
ここで参照する図9は、本発明の一実施例による、コイル300またはコイル400に接続する内部システム504の概略図である。
ここに示された実施例において、内部システム504は、熱の接触、およびコイル300またはコイル400を備えた近似の幾何学的なアラインメントを閉ざす、個々の放熱器ユニット518(部分的な切断を示された)を有する。
各々の放熱器ユニット518は、2つの平行する1/4インチのパイプと、それらの間の直径0.07インチのいくつかの毛状のパイプで構成する。
好ましい実施例において、パイプは銅で作製しており、絶縁ラッカー(米国、ニュージャージー、ジョンC.ドルフ社)を塗布する。
放熱器ユニット518は、熱の層および電気的絶縁体520によって間に挟む。
また、コイル300またはコイル400は、絶縁体520の層によって間に挟む。
好ましい実施例において、絶縁体520は、半柔軟なポリウレタン樹脂であり、好ましくはイスラエル、バトヤム、ハンチャバー アンド ハンカシャー社から利用可能なレジネックス4である。
好ましい実施例において、少なくとも絶縁体520の2層はコイル300またはコイル400のどちらかの側に位置しており、絶縁体520の少なくとも1層は、さらに放熱器ユニット518とヘルメット82の間に位置している。
生物学的適合性がある発泡医療テープ522(例えば、米国、ミネソタ州、セントポール、3Mセンタから利用可能な9776型)の付加層を、被験者の頭部の全組織に貼り付ける。
放熱器ユニット518の数は、コイル内の部材またはコイルユニット数に依存する。
例えば、コイル300については、6つの放熱器ユニットを用い、コイル400については、7つの放熱器ユニットを用いる。
【0063】
[操作方法]
本発明のシステム80を操作するための基本的方法は、以下のステップを有する。まず、聴力へのいかなる可能な悪影響をも減少させるために、被験者に耳栓を装着する。
次に、被験者は、リアヘッドサポート87に寄りかかって椅子85に着席する。
コイル300またはコイル400、ならびに放熱器ユニット518、または他の適切な冷却装置を備えたヘルメット82は、被験者の前前頭皮質に対する頭部の上、短母指外転筋(APB)筋肉刺激のためのホットスポットより前方5[cm]に配置する。
被験者のモータ閾値は、運動皮質に単一の刺激を送ることにより、および強度(毎時間1つのパルスを印加する単一パルスモードを用いて)を徐々に増加させ、表面電極を用いて短母指外転筋(あるいは他の筋肉)内の電気活性を記録することにより、測定する。
閾値は、少なくとも10の試みのうち5つの50[μV]のモータ誘発電位を生じることが可能な刺激の最低強度として定義する。
運動性の閾値を定義した後に、コイル300またはコイル400は前前頭皮質に置かれ、セッションは運動性の閾値の110%で実行する。
判定につれて、必要電力、周波数および持続時間値を刺激器86に設定する。
周波数は、1〜50[Hz]の変動可能性がある。
【0064】
各処理セッションは、トレインの設定数を有する。
一部の実施例において、1〜100回のパルス列を印加する。
個々のパルスは、約50〜2000[μs]まで、好ましくは1000[μs]の範囲で測定する。
好ましい実施例において、各パルス列の継続時間は、1[s]であり、20[s]のインタートレイン間隔を有する。
代替の継続時間および間隔は、同様に可能である。
治療計画は、例えば、異なる日に用いられる周波数の増加を含む。
パルスは、回数においても周波数においても変動することができる。
特定の実施例では、約1〜100[Hz]の周波数範囲を使用する。
【0065】
好ましい実施例において、各処理セッションは、42個のパルス列を有する。
各パルス列の継続時間は1[秒]であり、インタートレイン間隔は20[秒]である。
各被験者は、1日、3日、5日で、3つの処理セッションを経験する。
1日目では、刺激は1[Hz]であり、2日目では、刺激は10[Hz]であり、3日目では、刺激は20[Hz]である。
【0066】
上記システムの基本原理および作用は、電気インパルスの合計に基づく。
合計の一般的な概念は、いくつかのサブ閾値インパルスの提供によって、脳の表面領域で適用された、不要な刺激または過度の電界がない脳の深部部分を刺激することができることである。
国際公開番号WO02/32504号において、この概念は、表面の電界への深部脳電界の高い比率を維持する一方、高電界強度が特定の深部脳範囲内で濃縮されるように、頭部のまわりで異なる位置に各々配置されて、所望方向に電流を伝えるいくつかのコイルエレメントを用いることにより空間に適用された。
個別エレメントの各々が同じ焦点を合わせたポイントを刺激するので、この種の空間的加重は1ポイントの空間的加重と称することができる。
【0067】
1ポイントの空間的加重は、有利であると証明されているが、より多くの特定方法が、処理の深さ浸透および特異性をさらに増加させるのに役立つ。
【0068】
本発明の一実施例において、異なる型の空間的加重が想定される。
単一のポイントに焦点を合わせるのではなく、ニューロン組織に沿った数ポイントが刺激され、その結果、低い電界の強度で最終結果減極をも引き起こすことができる。
この種の空間的加重は、形態学上のライン空間的加重と称することができる。
電界が生じるニューロンに沿ったポイントは、直線構成でもよいし、そうでなくてもよい。
例えば、内側前脳束のような、特定の軸索のバンドルのパスが知られている場合、コイルはバンドルに沿った数ポイントで大幅な電界を生ずるために構成設計することができる。
コイルの構成は、バンドルのパスに接近する。それは、例えばファイバートラッキング拡散テンソルMRIまたは他の既知の撮像方法によって判定することができる。
他の脳範囲の活性化を最小限にしている一方、この構成はバンドル内の活動電位の誘導を可能にすることができる。
具体的には、コイルは、サブ閾値である強度で活性化することができ、このように1つの特定の脳範囲で活動電位を誘導しない。しかし、それが特定のパスに沿って誘導されているので、スペースのポイントの合計は所望された軸索のバンドル内の活動電位を誘導するのに十分である。
【0069】
[時間和の原則]
一般に、TMS刺激器は、単層または二相の電流パルスを生成することができる。
放電サイクル中に、TMS回路はRCL回路と同様に作用し、その電流Iは次の式から与えられる。
<数1>
【数1】

ここで、Vは最大電圧であり、
<数2>
【数2】

そして、R、CおよびLは、回路内の、抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスのそれぞれの合計値である。
インダクタンスは、主としてコイル・インダクタンスである。しかし、ケーブルからの付加的な寄生インダクタンスがある。また、抵抗は、スイッチ(後述するように)およびコイルからの寄生インダクタンスを有する。
【0070】
放電する前のコンデンサ上の総エネルギーは次の式から与えられる。
=(1/2)CV <数3>
【0071】
原則として、2つの関連するパラメータ、電界強度および電界の空間の誘導体が、ニューロンの活性化には適切かもしれない。
末梢神経の活性化が、脳のような屈曲と分岐で比較的短い軸索を持ったニューロンの組織を、主として神経繊維に沿った電界の誘導体に依存するが、誘導された電界の絶対等級はニューロンの刺激のための生物学上適切なパラメータである。
誘導された電界は、電流(dl/dt)の変化率に比例する。
短時間の強い電流は、時間を変化する磁界Bを生成する。
電界Eは、磁界に垂直で、ベクトルポテンシャルA(r)の時間割合変化に比例する振幅を有している方向に生成される。
【0072】
位置rの中のベクトルポテンシャルA(r)は、次式によってコイルl内の電流と関連する。
<数4>
【数3】

【0073】
ここで、μ=4π×10−7[Tm/A]は空きスペースの透磁率であり、dl’の積分はワイヤ経路上にあり、fはワイヤエレメントの位置を示すベクトルである。
磁気および電界は、次式を通じてベクトルポテンシャルと関連する。
=∇×A <数5>
=−∂A/∂t <数6>
【0074】
電流Iのみが時間とともに変化する量である。
従って、電界Eは次のように書くことができる。
<数7>
【数4】

【0075】
大気と頭脳がほとんど完全な絶縁体である一方、脳組織が導く特性を有するので、ベクトルポテンシャルは脳表面で電荷の蓄積を誘導する。
この電荷は、電界のための別のソースであり、これは次のように表現することができる。
Φ=−∇Φ <数8>
ここで、Φは表面の静電荷によって生じたスカラポテンシャルである。
脳組織Eでの領域の合計は、これらの2つの領域のベクトル和である。
E=E+EΦ <数9>
【0076】
静電界Eφは、全般的に誘導された領域Eを妨害し、それは従って合計の領域Eを縮小する。
表面電荷の量は、生成、また、生成の結果、EΦの振幅はコイル構成および配向に強く依存する。
【0077】
(数1)に戻って参照すると、R、CおよびLの容認された値で最も実用的なTMS回路において、その条件は、
α<<W <数10>
が満たされる。
電界が電流の時間誘導体に比例するので、次のようにその時間依存性に接近することができる。
E=Eexp(−αt)cos(Wt) <数11>
【0078】
この電界は、激しやすいニューロンのセルの活動電位を生ずる。特別の閾値が達する場合、それは神経回路の活性化の結果として生じてもよい。
ニューロンの反応は、電界強度だけでなくパルス持続時間にも依存する。
1つのパルス周期の継続時間Tは、次のものに関係している。
<数12>
【数5】

【0079】
パルス継続時間が長いほど、ニューロンの閾値Ethrに到達する必要な電界は少ない。
パルス継続時間へのEthrの依存は、形式の強度・時間曲線から与えられる。
thr=b(1+2C/T) <数13>
ここで、bは基電流(それは無限の継続時間でニューロンの活性化を誘導するのに必要な電界に対応する)であり、cはニューロンの膜(例えば、ボーリアンド JD、ニェンフェス JA、ノエ WA、スチャファー JD、フォスター KS、およびゲッデスLA、プロック. Int. Soc. 医学磁気共鳴 第4回科学会議、ニューヨーク、1996年、p1724に述べているように)の時定数に関連して、クロナキシーである。
【0080】
ここで参照する図10は、6〜148[μH]のインダクタンスLを備えた8個の異なるコイルを用いて、4人の被験者の平均を表わす強度・時間曲線である。
【0081】
(数12)から見なすことができるように、TMSパルスの期間は、キャパシタンスCを増加させることによる、またはコイル・インダクタンスLを増加させることによる2つの方法で延ばすことができる。
既知の刺激器において、Cは一定である。
Lの増加は、増加したパワーおよびエネルギー使用量に結びつく。
式1から、電界Emaxを誘導したピークが、比例することは理解される。
max∝(dl/dt)∝V/L <数14>
【0082】
ニューロンの閾値Ethrに到達するのに必要な電界は、増加するLとともに減少する(数12)および(数13)。
(数12)〜(数14)を組み合わせることにより、誘導されたピーク電界と必要とされた閾値の間で比率(r)を検査することで、次のものを得る。
<数15>
【数6】

ここで、Eoはコイル形状、構成、インダクタンス、巻数などを有する各種パラメータに依存する前要因あり、aおよびaはLとCの依存を強調するために導入される。
ニューロンの活性化閾値に到達するのに必要な電圧が、Lとともに増加し、Cとともにゆっくり減少することが理解できる。
【0083】
LおよびCに必要エネルギーの依存性を取得するために、(数15)においてr=1を用いておき、次にコンデンサエネルギーの合計(数3)のための式においてVを用いる。
<数16>
【数7】

【0084】
必要エネルギーがLとともに2次的に増加し、Cとともに直線的に増加することが理解できる。
【0085】
ここで図11を参照すると、それは、13[μH]および70[μH]のインダクタンスを有するTMSコイルによって生じたパルスを表している。
振幅は、図10に示す強度・時間曲線内のポイント1および2によって閾値電界を表わす。
プロット線は、それぞれR=0.1[Ω]およびC=165[μf]の抵抗およびキャパシタンスに対するものである。
【0086】
パルス持続時間がより長い場合、必要な閾値電界はより小さいことが理解できる。
【0087】
通常のTMS刺激器において、コンデンサ(あるいはコンデンサのバンク)は、単一のスイッチを通して単一のコイルへ放電され、同時に電流フローの結果として、全てのコイルエレメントを通して放電され、これにより全てのコイルエレメントに同時に生じた電界を通って放電される。
従って、コイルエレメントに近い皮質の脳範囲の中で誘導された電界は、一般に、より深い脳範囲の中で誘導された領域より大きい。
【0088】
本発明の一実施例において、様々なコイル部材の各々は、時間的加重の結果として、連続的に刺激することができる。
ニューロンの活性化閾値は、電界の強さ/強度および刺激継続時間の両方に依存するので、閾値はそれらの短い間隔によりいくつかのパルスの印加により縮小してもよい。
従って、刺激の期間を増加させることにより減少した刺激強度で活動電位を刺激することは可能である。
単一パルスの持続期間の増加は、脳の表面領域にとって苦痛または不利益の場合もあるが、1つの持続期間にわたる一連の個々のパルスの合計は、所望された効果の可能性がある。
さらに、時間と空間的加重の組み合わせは、表面的な範囲のニューロンを活性化せずに、深部脳範囲内のニューロンの経路の活性化を可能にする場合もある。
与えられたコイルエレメントに近い表面的な範囲内の誘導された領域が、パルスの全期間の中で短時間の割合より高いが、他のコイルエレメントの活性化の間より低い一方、深い範囲内の誘導された電界が、コイルの異なる部材から来るパルスの期間において重要な場合もある。
例えば、コイルは、様々な部材が所望領域またはパスに散在しているように構成の中で設計してもよいし、各期間においてあるエレメントまたはグループのエレメントのみが活性化するように連続的に刺激してもよい。
この方法、かなりの電界は、脳の皮質の部分内の間、全ての期間のための、またはなお活性化を可能にしてもよい短い相互パルス間隔で、所望領域で誘導することができ、ある範囲のみが一定期間でかなりの領域を体験し、かなりの領域の体験の間隔ははるかに長くなる。
【0089】
この効果は、1つ以上の刺激器を用いることにより、または刺激のための複数のチャネルを有する刺激器の構成を用いることにより、達成できる。
多チャネル組織は複合コンデンサを含んでいてもよく、個々の複合コンデンサは個別チャネルを介して異なるコイルまたはコイルの部分の中への異なるスイッチにより、または平行に接続されるコイルの異なる部分に放電される。
制御装置は、個々のコンデンサの充放電の回数を制御することができ、また、連続するコイルの操作時間の間の遅延を制御できる。
【0090】
ここで、参照する図12は、本発明の実施例による、多チャネルTMSシステム700のブロック図である。
システム700は、電源710、制御装置720、および複数のチャネル731〜735を有する。
この具体例は、5本の個別チャネルを有するが、任意の適切な数のチャネルを用いてもよい。
一部の実施例において、2チャネル以上を用いる。一部の実施例において、3〜5チャネルを用いる。他の実施例において、10チャネルを用いてもよい。
電源710は、各々のチャネル731〜735に接続する。
各チャネル731〜735は、さらに、充電器740、あるいは1つ以上のコンデンサ750、コンデンサ750が放電される高電流高速スイッチ760、およびTMSコイルまたは分離したコイルの選択された部分に接続する。
入出力制御装置720は、充電する電圧およびタイミング、放電タイミング、様々なコイルまたはコイル部分の操作時間、および各チャネルにおける電流極性の間の遅延を制御するように構成し、ディジタル、アナログまたはそれらの組み合わせでもよい。
入出力制御装置720は、システム700内に組み込んでもよいし、それに接続されるプロセッサで構成してもよい。
例えば、外部PCは、刺激器(710)および各々のチャネル731〜735に接続してもよい。
図12に示す実施例において、各コンデンサは、個々のコイルまたはコイルの部分への分離したスイッチを通って放電される。
【0091】
電源710は、高電圧へのコンデンサの充電を可能にする、いかなる種類のシステムも含んでいてもよい。
それは、ACをDCに変換し、電圧を増幅する回路を有してもよい。
それは、AC−DC変圧器、IGBTトランジスタ、FLYBACKシステム、バックブースト回路、または高電圧にコンデンサを充電することができる他のシステムを有してもよい。
電源710は、コンデンサの充電を制御可能にしてもよい。
一部の実施例において、システム700は、さらにアキュムレータ、コンデンサの充電にエネルギーを供給してもよいバッテリーを有してもよい。
システム700は、部品の任意の組み合わせ、または言及された構成エレメントの全てを有してもよく、220〜230[V]の電気主回路、110〜115[V]の電気主回路または他の電気主回路上で、1つの電気的なフェーズ、3つのフェーズまたは両方の上で作動してもよい。
システム700は、ある型の電気主回路に特有な場合もあり、また、2つ以上の種類の電気ネット上で広い用途で作動することも可能である。
【0092】
コンデンサ750の最大の電圧は、数百[V]以上でもよい。
特定のシステムは、500[V]、1000[V]、1200[V]、1500[V]、1800[V]、2000[V]、3000[V]、5000[V]以上の電圧に、1つ以上のコンデンサ750を充電することができてもよい。
【0093】
コンデンサ750は、数[μf]から何百[μf]までのキャパシタンスを有していてもよい。
一部の実施例において、コンデンサ750は、40〜60[μf]のキャパシタンスを有してもよい。
一部の実施例において、コンデンサ750は、10〜100[μf]のキャパシタンスを有してもよい。
他の実施例において、コンデンサ750は、10〜300[μf]のキャパシタンスを有してもよい。
他の実施例において、コンデンサ750は、1〜1000[μf]以上のキャパシタンスを有してもよい。
一部の実施例において、各々のチャネル731〜735のキャパシタンスは同じである。
他の実施例において、チャネル731〜735のいくつかまたは全ては、異なるキャパシタンスを有してもよい。
各チャネルにおいて、単一のコンデンサ750、または平行、直列、または平行と直列の任意の組み合わせで接続する一連の2つ以上のコンデンサ750があってもよい。
【0094】
スイッチ760は、サイリスタ、シリコンコントロールドレクチファイア(SCR)、IGBTトランジスタであってもよく、MOSFET技術、TTL技術、または両方の任意の組み合わせに基づいて、トランジスタ、ダイオード、または両方の任意の組み合わせ、MOSゲートサイリスタ、MOS制御サイリスタ(MCT)、または短い量の時間で高電流を通過することができるあらゆるスイッチを有してもよい。
スイッチ760は、1[μs]当たり何十[A]あるいはより高い位で電流を通過できるべきである。
一部の実施例において、スイッチ760は、100[A/μs]までの電流を流せてもよい。
他の実施例において、スイッチ760は、120[A/μs]、150[A/μs]、200[A/μs]、500[A/μs]またはそれ以上までの電流を流せてもよい。
ピーク電流は、100[A]以上の場合もある。
一部の実施例において、スイッチ760は、200[A]、500[A]、1000[A]、2000[A]、3000[A]、5000[A]、10000[A]またはそれ以上のピーク電流を通過できてもよい。
パルス波形は、単層、二相、多相、または他でもよい。
原則として、2個以上のスイッチが、同じコイルまたはコイルのエレメントに接続してもよい。
一部の実施例において、1つのスイッチは、各コイルまたはコイルのエレメントに接続する。
一部の実施例において、コイルまたはコイルのエレメントは、1つ以上のスイッチに接続し、いくつかのチャネルによっていくつかの時期で活性化してもよい。
【0095】
一実施例において、複数の個々の刺激器は、複数のチャネルを有する単一の刺激器の代わりに、各刺激器の動作タイミングをコントロールするための全体的な制御ユニットを用いてもよい。
さらに、別の実施例において、複数の個々の刺激器の組み合わせ、および多チャネル刺激器を用いてもよい。
【0096】
上述の実施例の全てにおいて、様々なコイルまたはコイルの部分は、[μs]、数十[μs]、または数百[μs]に及ぶ全体的な分解能により、0から数[ms]に及ぶ遅延時間で、連続して操作してもよい。
各動作において、1つのTMSサイクルは、特定のコイルまたはコイルの部分を通して誘導される。
サイクルは二相または単層であってもよく、異なるコイルまたはコイルエレメントの数は変化してもよい。
一部の実施例において、3〜5個のコイルまたはコイルの部分が連続的に操作される。
他の実施例において、10個以上のコイルまたはコイルの部分が刺激される。
他の実施例において、2個のコイルまたはコイルの部分が連続的に操作される。
ある場合には、コイルまたはコイルの部分のいくつかが、一定期間内に同時に操作されてもよい。
ある場合には、コイルまたはコイルの部分が各一度刺激され、他の実施例において、各コイルまたはコイルの部分は複数回刺激される。
遅延時間は、各刺激に対して同じまたは変化してもよい。
コイルは、刺激のためにターゲットとされた深い脳範囲またはいくつかの深部脳範囲に散在していて、被験者の頭部に様々な範囲で置かれてもよい。
【0097】
以下のパラメータがシステム700のオペレータによって制御可能である。すなわち、異なるコイルまたはコイルの部分の刺激間の遅延時間、チャネルおよび刺激されたコイル/コイル部分の数、コイル/コイル部分が各活性化される回数、各活性化のタイミング、コイル内の電流の極性、各コイルの動作の周波数(つまり各コイル/コイル部分内のパルス/秒の数)、各コイルのトレイン継続時間、トレインおよびインタートレイン間隔の数、および各コイルの動作の電力出力である。
これらのパラメータは全て、コイル/コイル部分の異なる動作で一定でもよいし、または異なる動作のために変化してもよい。
【0098】
[具体例]
ここで参照する図13は、深い脳範囲(カーブ740)、第1の皮質の範囲(カーブ742)、および第2の皮質の範囲(カーブ744)において誘導された電界パルスのグラフを示す図である。
第2の皮質の範囲のコイル部分(カーブ744)のパルスは、完全な周期において、第1皮質の範囲コイル部分(カーブ742)のパルスより遅れる。
各コイル部分において、1つのパルス周期は誘導され、電流がゼロである場合、スイッチは1周期の終わりに遮断される。
図13に示す具体例において、深い脳範囲内の電界強度は、第1皮質の範囲に隣接するコイル部分の近くの皮質の範囲内で誘導された強度の50%であり、一方、第2の皮質の範囲の近くのコイル部分の動作の間のこの同じ皮質の範囲内の電界強度は5%である。
従って、深い脳範囲において、個々の皮質の範囲のうち、かなりの領域は1周期(サイクル)中にのみ誘導される一方、かなりの電界は連続2つのパルス中に誘導される。
従って、皮質の刺激の領域を交互にすることによって、深い脳範囲が刺激の様々な期間の一貫した電界強度を受けている一方、異なる皮質の範囲は変更する量の電界強度を得る。
【0099】
ここで参照する図14は、連続した2つのパルス間の遅延時間が半周期分であり、第2のパルス内の電流極性が、1番目および第3のパルスの極性と反対である場合において、深い脳範囲(カーブ746)および3つの皮質の範囲(カーブ747、748および749)内で誘導された電界パルスのグラフを示す図である。
各コイルまたはコイル部分において、1つのパルス周期が誘導され、電流がゼロである場合、スイッチはサイクルの終わりに遮断される。
この具体例において、深い脳範囲内の電界強度は、等価なコイル近くの皮質の範囲内の誘導された強度の50[%]であり、一方、別の皮質の範囲近くコイルの部分の動作の間の皮質の範囲のいずれか1つの電界強度は5[%]である。
この具体例において、深い脳範囲がかなりの領域に露出される継続時間の拡張があり、さらに、各半周期(サイクル)の後に強度の増加がある。
各パルスの初めの最大の絶対値は、減衰因子α=R/2L(式10)により同じパルスの次の最大限より高い。それにより、第2のパルスの初めに、深い範囲内の領域と第1皮質の範囲内の領域との関係は、より高い回路抵抗R、およびより低いコイル・インダクタンスLにより、より高くなる。
【0100】
ここで参照する図15は、第2および第3のパルスの電流極性が第1のパルスの極性と反対であり、第1と第2のパルス間の遅延時間が約3/4周期(サイクル)であり、第2と第3のパルスの間の遅延時間が約1/8周期である場合において、深い脳範囲(カーブ750)、および3つの皮質の範囲(カーブ752、754、および756)に誘導された電界パルスのグラフを示す図である。
各コイルにおいて、1つのパルス周期は誘導され、電流がゼロである場合、スイッチは周期(サイクル)の終わりに遮断される。
この具体例において、深い脳範囲内の電界強度は、皮質の範囲に隣接するコイル部の近くの皮質の範囲で誘導された強度の50[%]であり、一方、別の皮質の範囲の近くのコイルの動作の間の皮質の範囲のいずれか1つの中の電界強度は5[%]である。
この具体例において、深い脳範囲内の正の半周期(サイクル)の期間の拡張、および強度の増加がある。
【0101】
図13、14、および15に関連して上述されるのと同じ原理が、複合コイルまたはコイル部分に当てはまり、一度または複数回作動するコイルまたはコイル部分のいくつかのものまたは全てを用いて、同様の方法を使用できることは容易に明白である。
また、1つ以上のパルスはコイルの一部または全てで誘導され、それにより、深部脳範囲が大幅な誘導された領域を体験する継続時間を増加させてもよい。
ニューロン組織を活性化にするのに必要な全ての刺激器出力はこのように低下してもよく、皮質の範囲のわずかな活性化により深部脳範囲を活性化する性能を改善しもよい。
【0102】
本発明の一実施例に従って時間的加重を用いる経頭蓋磁気刺激の方法は、以下の通りである。
図4と図5に関連して上述したようなコイル300またはコイル400は、頭脳に配置する。
一実施例において、電気的なリードは、1つの電源または刺激器に複数のチャネルを接続する。
別の実施例において、付加的なリードは、電気刺激の提供のために2つ以上の電源および少なくとも2つの部材に別々に接続する。
パルスは、低電圧、電流の変化率において印加(適用)し、その結果、皮質の脳範囲で誘導された領域は、サブ閾値であるかおよそ閾値であるが、異なる時間に異なる部材または部材のグループに印加(適用)する。
【0103】
1つの具体例として、図5に戻って参照すると、エレメントB−C 401〜407は1つのチャネルに接続してもよく、エレメントA−N 411〜414は別のチャネルに接続してもよく、エレメントE−D 401”〜407”は異なるチャネルに接続してもよい。
電流の極性(電流の方向およびフェーズ)は、別のチャネルにおいて同じか異なってもよい。
刺激器に各エレメントを接続する巻線は、図5に示す巻線とは異なってもよい。
オペレータは、各チャネルの作用および電流の極性のタイミングを制御してもよい。
各チャネルは、一度または複数回操作してもよい。
例えば、1つのパルス周期のエレメントB−C 401〜407を、次に、フルサイクル、半サイクル、4分の1サイクル、または他の遅延時間の遅延で1つのパルス周期のエレメントE−D 401”〜407”、後続して、フルサイクル、半サイクル、4分の1サイクル、または他の遅延時間の遅延で1つのパルス周期のエレメントA−N 411〜414によって、そして再び後続して、フルサイクル、半サイクル、4分の1サイクル、または他の遅延時間の遅延により1つのパルス周期のエレメントB−C 401〜407によって、操作してもよい。
このように、皮質の範囲の活性化がない、または最小限の活性化、により深部脳範囲の有効な活性化を達成してもよい。
多チャネルシステムを用いることによって、十分なニューロンの活性化のための強さ/継続時間の相互作用を最適化するために、遅延時間および活性化サイクルを制御可能であることに注目する必要がある。
【0104】
様々なコイルまたはコイルのエレメントは、0〜1[ms]以上の間の遅延時間で、特に[μs]、数十[μs]、数百[μs]のオーダーの遅延時間に関しては連続して操作してもよい。一実施例において、異なる刺激は100[μs]の間隔で適用する。
他の実施例において、異なるパルスは、10〜1000[μs]の間隔の間で、または数[ms]の間隔でさえ適用する。
一実施例において、部材は連続する順序で活性化する。
別の実施例において、ある部材のみが活性化し、またはランダムパターンが生成される。
他の実施例において、グループの部材はある順序で活性化する。
【0105】
標準のTMS刺激器において、オペレータは以下のパラメータを制御してもよい。
(1)電力出力。電力出力は、ピーク電流がコイルを通って通過し、その結果、電界の強さが誘導されたと判断する。
(2)周波数。周波数は毎秒コイルを通して通過されるパルスの数を判定する。
受け入れた値は、単一パルスから、1[Hz]、10[Hz]、20[Hz]、30[Hz]、50[Hz]、および時に100[Hz]まで及んでもよい。
(3)トレイン期間 − パルスのトレイン(列)の期間。
継続時間と周波数は、トレイン内のパルスの個数を判定する。
例えば、2[s]の期間の20[Hz]のトレインにおいて、40パルスがある。
(4)インタートレイン間隔 − 連続するトレインの間隔。
間隔は数秒から数分までもよい。
間隔は、トレインのセッション(すなわちセッションに沿った変数)の間一定でもよい。
(5)トレインのセッションのトレインの数。
【0106】
上述の全てのものに加えて、ここに開示したような多チャネルシステムにおいて、オペレータは以下のパラメータを制御してもよい。
(1)各チャネルの動作のタイミングおよび連続するチャネル間の遅延時間。
遅延時間は、0(チャネルの同時操作)から数秒まででもよく、1[μs]、数[μs]、数十[μs]、数百[μs]、数[ms]、またはそれ以上でもよい。
遅延時間は、任意の連続するチャネル間で同じでもよく、または、異なる連続するチャネル間で異なる遅延時間があってもよい。
(2)各チャネル(すなわち二相のサイクルの第1ストローク内の正または負電流)の電流の極性、または単層のサイクルの方向。
(3)各チャネルのパルス波形、つまり単層、二相、多相、1サイクル、2サイクル、3サイクル、またはそれ以上。
特定の実施例において、標準のTMS刺激器において慣習的なように、各チャネルを通る1つのパルス周期があってもよい。
(4)動作したチャネルの数。
(5)チャネルの動作の順序。
ある場合には、1本以上のチャネルをさらに一度操作しもよい。
例えば、10の動作シーケンスは、1、3、2、1、3、2、1、3、2、1の順序で、3つのチャネルを用いてプログラムしもよい。
5つのチャネルを用いる15の動作シーケンスの別の例は、1、5、3、4、2、1、5、3、4、2、1、5、3、4、2である。
ある適用において、2つ以上のチャネルを同じコイルに接続してもよい。その結果、このコイルは異なるチャネルのいくつかの動作で活性化してもよい。
(6)各チャネルにおける、電力出力、周波数、トレイン継続時間、インタートレイン間隔、およびセッションのトレイン数。
上述のパラメータの一部または全ては、全てのチャネルに対して同じでもよく、または、それらは異なるチャネルの一部または全ての間で異なってもよい。
【0107】
一実施例において、上記多種類の総数の2つ以上を組み合わせる。
例えば、形態上のライン空間的加重は、時間的加重と組み合わせてサブ閾値強度で用いることができる。すなわち、軸索の束の別部品は、同時にではなく、選択的にまたは連続して目標にすることができる。
あるいは、1つのコイルは、1ポイントの合計および形態上のライン空間的加重用部材を有することができる。部材の型の各々は、同時に、連続して、または選択的に刺激することができる。
【0108】
上述したような多チャネルTMSシステムは、異なる電力出力、周波数、パルス波形、トレイン継続時間、インタートレイン間隔、セッションのトレインの数と共に、異なるボディパーツ(つまり異なる脳範囲)の活性化に用いてもよい。
異なる範囲は、同時にまたはそれらの間の任意の遅延時間により活性化してもよい。
遅延時間は、[μs]、数十[μs]、数百[μs]、数[ms]、またはそのための任意の組み合わせの順序でもよい。
異なる刺激プロトコルは、抑制または興奮性活性化を誘導してもよい。
従って、異なる脳範囲内の異なるニューロン組織間の多数の対話を研究することが可能である。
【0109】
1つの具体例において、多チャネルシステムの可能な適用は、異なる周波数と共に、異なるボディパーツ(つまり異なる脳範囲)の活性化でもよい。
異なる範囲は、同時にまたはそれらの間の任意の遅延時間により活性化してもよい。
非限定的な具体例として、いくつかの研究で、左の前前頭皮質に向けた10[Hz]またはそれ以上の高周波の反復のTMS(rTMS)が、抑うつ患者に抗うつ性効果があることが分かった(パドベルグF、ゼワンズガーP、トーマ H、カースマンN、ハーグ C、グリーンベルグBD、ハンペルH、モーラーHJ、薬物療法 難治性大うつ病の反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS):速い、遅いおよび虚偽のrTMSの比較研究、精神医学研究誌1999年、88:163−171)。
右の前前頭皮質に向けられた1Hzの低周波rTMSが、抗うつ性効果(フィッツジェラルドPB、ブラウン T、マーストン NAU、ダスカラディスZJ、クルカリニ J、二重盲検偽薬は、上記うつ病治療の経頭蓋磁気刺激の試験を制御した。アーチ情報精神医学2003年;60:1002−1008;クライン E、クレイニンI、クリストヤコブA、コーレン D、メクズL、マニュアS、ベン−シャーチャー D、フェイソド M、大うつ病の右側の前前頭骨遅い反復性経頭蓋磁気刺激の中の治療効力:二重盲検管理下試験。アーチ情報精神医学1999年;56:315−320;フィッツジェラルドPB、ベンテズ J、De カステリア A、ダスカラキズ ZJ、ブラウン TL、クルカリニ J、治療抵抗性鬱病のための順次両側性反復性経頭蓋磁気刺激の中の無作為化制御試験。Am J精神医学誌2006年;163:88−94)があったことが、また実証された。
多チャネルTMSシステムを用いて、高周波rTMSにより残された前前頭部および低周波rTMSにより右の前前頭部を同時にまたはそれらの間の任意の遅延時間により活性化することが可能で、それにより、強化された治療効果を場合により達成できる。
【0110】
別の適用は、1つのスイッチを通って1つのチャネルに平行して(および/または連続して)2つ、3つまたはそれ以上のコンデンサを接続しており、それにより、回路キャパシタンスの合計(式11)を変化させることによりパルス継続時間を制御してもよい。
例えば、約150[μf]の回路キャパシタンスの合計を得るために、平行して50[μf]の3つのコンデンサを接続し、それにより、

についてパルス継続時間を延ばしてもよい。キャパシタンスを増加させることによりパルス継続時間を延ばすことは、電源消費、エネルギー内の節約、ニューロンの刺激に必要な電圧、電流を提供することができる。
キャパシタンスの異なる値を用いる能力は、キャパシタンスまたはその他同種のものを変更する効果を比較するような、研究者のための付加的な調査のツールを与えてもよい。
【0111】
いくつかの脳範囲を同時にまたはそれらの間の任意の遅延時間により刺激し、かつ1つの標準チャネルTMS刺激器に関する深部脳範囲の焦点の活性化をより得るために、ここで記述されるような多チャネルTMSシステムの能力は、多様性適用において有益かもしれない。
上記システムおよび本願明細書において記述した本発明の方法、すなわち、動作パラメータの任意のセットで任意の深部脳範囲も活性化することに関しては、研究目的のために用いてもよい。
さらに、それらは神経生理学的状態を調査するか治療するために用いてもよい。
「神経生理学の状態」は、臨床的鬱病、非臨床的鬱病、気分変調、双極性障害、薬物依存、物質濫用、心配性障害、強迫観念の強制的な病気、統合失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病、外傷後ストレス障害、喫煙やアルコール中毒などのような中毒、自閉症、肥満、過食症および拒食症を含む摂食障害他のような病理学の神経生理学の状態または神経生理学の障害でもよいが、これらに限定されない。
【0112】
[テストしたコイルの例]
ここで以下の具体例を参照すると、それは上述の記述と共に方法を限定しない発明を図に示す。
【0113】
図4および図5に関連して上述されたものに同じようなコイルの生物学上の効能は、ザンゲンら「深い脳領域の中の経頭蓋磁気刺激:上記H−コイルの有効性の証拠」臨床神経生理学誌116:775〜779(2005)に述べているように、生物学的作用の基準としてモータ閾値を用いてテストされた。
実験コイル(その模型は図16に示す)運動皮質(アクセス可能で、測定可能な部分)を刺激するために用いるが、その結果は脳(それは測定するのがより困難である)の深部部分を刺激することを目指したコイルと適切に比較することができるということに注目する必要がある。
この比較は、活性化(すなわち運動皮質)の位置からの実験コイルの距離をおいて増加させることで可能になる。
従って、距離に関連する電界の下落率の測定は、頭脳からの異なる距離をおいて得られる。
これらの測定は、標準の8文字コイルを用いて、同じ条件下で得られた測定と比較する。
【0114】
図16に示すように、コイル600は右の短母指外転筋(APB)を刺激するために設計する。
コイル600は、図16におけるA−BおよびG−Hに示す、2つのグループへ分割する10個の部材601〜610を有する。
部材の平均の長さは11[cm]である。
放射状の電流成分を有するコイルエレメントのみは、部材606〜610であり、それは、セグメントC−IおよびJ−Fに示すリターン経路に接続する。
放射状の接続エレメントの長さは約8[cm]である。
他の5つの部材601〜605のリターン経路は、対側性の半球(セグメントD−E)で頭部に配置する。
ワイヤ(セグメントB−CおよびF−A)連結部材601〜605およびリターン経路601’〜605’は、平均で長さ約9[cm]である。
コイル600は、7[cm]の内部ループ直径を有する標準的な商業的なマグスティムの8文字コイルと比較された。
【0115】
被験者は、右前腕と手を支持して着席する。
右のAPB筋肉のモータ誘発電位は、銀の塩化銀の表面電極を用いて記録する。
被験者は、研究の全体にわたって筋弛緩を維持するように指示す。
EMG振幅は、10[Hz]と2000[Hz]との間の帯域通過と共に、従来のEMGマシン(デンマーク、スコブロド、カウンターポイント、ダンテックエレクトロニクス社)を用いて増幅する。
信号は、5[kHz]の周波数でディジタル化して、実験室コンピュータに供給する。
【0116】
8文字コイルまたはH−コイルのいずれかと結び付けて、両相パルスを生ずるマグスティムの最高の迅速な刺激器(ニューヨーク州、ニューヨーク、マグスティム社)を用いる。
予備的研究では、本発明の好ましい実施例に従って上述されたコイル300およびコイル400と同様に活性化した時、H−コイルが122[dB]の音の大きさのレベルを有することを示した。
音を減衰させるために、被験者に耳栓を装着する。
【0117】
コイル600は、左の運動皮質上の頭皮に配置された。
8文字コイルの交差は、45度の角度を後方および横に中線から離れて指し示すハンドルにより、頭皮に接線的に当てる。
コイルは、頭皮上の「ホットスポット」上の異なる高さで調節することができる、安定したコイルホルダー内に保持する。
モータ閾値の休止は、0.5[cm]の増加量で頭皮上の異なる距離をおいてコイルごとに判定する。
【0118】
ここで図17を参照すると、図17は上述された具体例の結果のグラフ式の図である。
そのグラフは、コイル600および標準の8文字コイルの両方のための頭脳上の「ホットスポット」からのコイルの距離をおいての機能として、休止するモータ閾値に到達するために必要とされる刺激器出力のパーセンテージを示す。
図17に示すように、頭皮から大きな距離にあるコイル600の効能は、8文字コイルに対してよりも著しく大きかった。
最大の刺激電力出力を用いる場合、8文字コイルはコイルから2[cm]まで離れたところで有効になる、その一方、コイル600はコイルから5.5[cm]遠方で有効になる場合もある。
さらに、コイルからの距離をおいての機能としての有効性の減衰のレートは、8文字コイルに比べてコイル600においてはるかに遅い。
【0119】
ここに記述した方法が、TMSコイルの多種類に適用され、本出願内で開示したTMSコイルの特定の実施例に限定されないことは、容易に明白である。
【0120】
本発明のある機能(それらは明瞭性のために、分離した実施例の文脈内で述べている)も、単一の実施例内の組み合わせの中で提供してもよいことを認識できる。反対に、発明の様々な機能(それらは簡潔さのために、単一の実施例の文脈内で述べている)も、別々にまたは任意の適切な副組み合わせの中で提供してもよい。
【0121】
上記本発明は特定の実施例と共に説明したが、多くの代案、変形および変更が当業者にとって推定可能であることは明らかである。
従って、添付された請求項の精神および広い範囲内にある代案、変形および変更を全て包含するように意図する。
個々の刊行物、特許または特許出願が各参照文献として本明細書に援用されるために特に個々に示すかのように、同じ範囲まで、この明細書の中で言及された刊行物、特許および特許出願は全て、本明細書への参照文献としてそれらの全体がここに援用する。
さらに、本適用内の任意の参照文献の引用または検証は、そのような参照文献が本発明に対する先行技術として利用可能であるという許可としては解釈されないものとする。
【0122】
本発明のある機能がここに図示され記述されたが、多くの変形、代用、変化および等価物が当業者に想到してもよい。
従って、添付された請求項は、本発明の精神に収まるような、変形および変化を全て包含することを意味することを理解する必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューロン組織を活性化する方法であって、
標的領域に対する電気刺激を送出するための少なくとも1つのコイルを提供するステップと、
前記少なくとも1つのコイルは、所定方向の電流を伝達するように設計された個々の部材からなり、
非同時に少なくとも前記個々の部材のいくつかを活性化するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コイルを提供するステップは、複合コイルを提供するステップからなり、
前記個々の部材は、前記複合コイルの部材を有し、
前記活性化するステップは、前記非同時に前記複合コイルから個々の部材を活性化する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記活性化するステップは、前記複合コイルの中の1つのコイルの個々の部材を活性化するステップと、
複合コイルから個々の部材を活性化するステップとを有する、ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記個々の部分の一部を同時に活性化するステップを更に有する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記活性化するステップは、前記個々の部材の中の1番目の部材を最初に活性化するステップと、
第1の所定期間の後、前記個々の部材の中の2番目の部材を活性化するステップとを有する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第1の所定期間は、0乃至1000[μsec]の範囲内にある、ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1の所定期間は、50乃至200[μsec]の範囲内にある、ことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1の所定期間は、0乃至100[msec]の範囲内にある、ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記第1の所定期間は、0乃至10[ms]の範囲内にある、ことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記活性化するステップは、第2の所定期間の後に、前記個々の部材の中の3番目の部材を活性化するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項11】
前記第2の所定期間は、前記第1の所定期間と同じ時間である、ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第2の所定期間は、前記第1の所定期間とは相異する時間である、ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記コイルはマルチチャネル制御刺激装置からなり、前記個々の部材の各々は、前記マルチチャネル刺激装置の別々のチャネルに接続し、
前記活性化するステップは、前記別々のチャネルを活性化するステップによって実行される、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記個々の部材は、別々のコイルの中の部材であり、前記活性化するステップは、前記別々のコイルの中の各々を活性化するステップによって実行され、
別々の制御装置は、前記個々の部材についての前記活性化するステップにおいて、制御時間調整のために提供される、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記所定方向は、前記個々の部材の各々に対して同一方向である、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記所定方向は、前記個々の部材の各々に対して相異する方向であり、
前記所定方向の各々は、ニューロン組織を模倣するように設計されたパスを形成する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記活性化するステップは、前記個々の部材の各々を連続して活性化する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記活性化するステップは、前記個々の部材の各々を任意に活性化する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記活性化するステップは、前記個々の部材の一部を選択的に活性化する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記活性化するステップは、前記個々の部材の一部を繰り返し活性化する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項21】
標的領域の磁気刺激のたに、ボディ部に位置決め可能なコイルであって、
前記コイルは、
前記標的領域に接する方向の電流の流れを提供するための別々の部材の間に間隔を置いた複数の基底部であって、
前記標的領域に関して第1のレベルに置かれる前記基底部と、
前記標的領域の反対側方向の戻り電流を伝えるための接触リターン部と、を備え、
前記接触リターン部は、前記複数の別々の部材の間に間隔を置いた少なくとも1つと電気通信し、
ほぼ前記第1のレベルに配置され、
前記標的領域から少し離れて間隔を置かれる、ことを特徴とするコイル。
【請求項22】
前記標的領域の反対側方向の戻り電流を伝えるための突出リターン部を更に備え、
前記突出リターン部は、前記複数の別々の部材の間に間隔を置いた少なくとも1つと電気通信し、
前記標的領域に関して第2のレベルで配置され、
前記第1のレベルを上回って離れて前記第2のレベルに位置決めされる、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項23】
前記複数の別々の部材の間に間隔を置いたリターン部を突出して電気通信し、
前記複数の別々の間に間隔を置いた部材は、前記接触リターン部を有して電気通信する、ことを特徴とする請求項22記載のコイル。
【請求項24】
少なくとも1つの前記複数の別々の間に間隔を置いた部材は、側面内側方向に配置される、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項25】
少なくとも1つの前記複数の別々の間に間隔を置いた部材は、前後方向に配置される、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項26】
前記複数の別々の間に間隔を置いた部材は、互いにほぼ平行である、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項27】
前記第1のレベルは、頭骨にある、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項28】
前記第1のレベルより上の前記第2のレベルの距離は、4乃至10[cm]である、ことを特徴とする請求項22記載のコイル。
【請求項29】
前記第1のレベルより上の前記第2のレベルの距離は、7[cm]である、ことを特徴とする請求項22記載のコイル。
【請求項30】
前記標的領域から前記接触リターン部までの距離は、7乃至10[cm]である、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項31】
前記基底部は、ほぼ前記ボディ部と相補的なアーチ状の構成である、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項32】
前記ボディ部は頭部であり、前記標的領域は脳の一部である、ことを特徴とする請求項21記載のコイル。
【請求項33】
脳の前記一部は、少なくとも3[cm]深い、ことを特徴とする請求項32記載のコイル。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−46880(P2013−46880A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268579(P2012−268579)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−516502(P2008−516502)の分割
【原出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507408235)ブレインズウェイ インコーポレイテッド (2)
【出願人】(509016184)イェダ リサーチ アンド デベロップメント カンパニー リミテッド (1)
【出願人】(506392001)ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ ナショナル インスティテューツ オブ ヘルス (5)
【Fターム(参考)】