説明

経験に基づく確率論的な寿命診断プロセスを構築する方法及びシステム

【課題】 ミッション構成に基づくタービンエンジンの確率論的な寿命診断プロセスを容易化するシステム(10)を提供する。
【解決手段】 システム(10)のサーバ(18)は、1以上のタービンエンジンに関する運用データと、当該タービンエンジンに関する複数のクールダウン曲線(60、62)と、当該タービンエンジンに関する複数の異なる始動種別(74、80)と、1以上の運用計画と、当該タービンエンジンの設計耐用年数とをデータベースに格納し、格納された運用データを解析し、運用データを用いて1以上のヒストグラム及び確率モデルを構築して、両者をデータベースに格納し、上記運用計画に関するミッション構成を決定し、タービンエンジンのサイクル寿命消費量データと併せて上記確率モデルのシミュレーションを実行し、消費寿命を上記タービンエンジンの設計耐用年数全体に拡張して総サイクル寿命消費量の確率分布を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には寿命診断プロセスに関し、より詳細には回転装置の運用計画に基づいて確率論的な寿命診断プロセスを構築する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、部品寿命診断は、部品の稼動寿命を予測するプロセスである。また、部品の寿命診断予測は、製造業者の推奨と製品仕様に基づく場合が多い。
【特許文献1】米国特許第6,226,597号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0235707号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、タービンエンジンに関して製品仕様に明示される「ミッション構成」とも称する周知の経験論的な運用計画定義は、未確認情報に基づくタービンエンジン部品の設計基準となってしまう場合がある。例えば、周知の経験論的なミッション構成を用いると、タービンエンジンの年間予測運用時間が年間の総時間数よりも大きくなることがあるが、これは不可能である。結果として、タービンエンジンに関する周知の経験論的なミッション構成を用いると、製品の過剰な設計寿命基準を満足するために、製品又は部品の「過剰設計」を招来する可能性がある。そして、このような設計寿命基準により、設計・製造コストが増大する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、確率論的な寿命診断プロセスを容易化する方法が提供されている。この方法は、1以上のタービンエンジンに関する運用データを取得し、当該1以上のタービンエンジンに関する複数のクールダウン曲線を規定し、当該1以上のタービンエンジンに関する複数の異なる始動種別を識別し、当該1以上のタービンエンジンに関する方式を構築することを含む。また、この方法は、運用計画を決定するとともに、上記1以上のタービンエンジンの設計耐用年数を規定し、上記運用データを用いて1以上のヒストグラム及び確率モデルを構築し、当該1以上のタービンエンジンのサイクル寿命消費量データと併せて確率モデルのシミュレーションを実行することにより運用計画のミッション構成を決定することを含む。
【0005】
別の例示的な実施形態では、ミッション構成に基づくタービンエンジン・システム及びサブシステムの確率論的な寿命診断プロセスを容易化するシステムが提供されている。このシステムは、サーバとして構成された1以上のコンピュータを備え、サーバは、データベースを具備するとともに、1以上のタービンエンジンに関する運用データと、当該1以上のタービンエンジンに関する複数のクールダウン曲線と、当該1以上のタービンエンジンに関する複数の異なる始動種別と、1以上の運用計画と、当該1以上のタービンエンジンの設計耐用年数とをデータベースに格納するように構成されている。また、このサーバは、データベースに格納された運用データを解析し、運用データを用いて1以上のヒストグラム及び1以上の確率モデルを構築して、当該1以上のヒストグラム及び当該1以上の確率モデルをデータベースに格納し、上記1以上の運用計画に関するミッション構成を決定し、上記1以上のタービンエンジンのタービンエンジンサイクル寿命消費量データと併せて上記1以上の確率モデルのシミュレーションを実行し、消費寿命を上記1以上のタービンエンジンの設計耐用年数全体に拡張することによって総サイクル寿命消費量の確率分布を求めるように構成されている。
【0006】
さらに別の例示的な実施形態では、ミッション構成に基づくタービンエンジンの確率論的な寿命診断プロセスを容易化する装置が提供されている。この装置は、1以上のタービンエンジンに関する運用データと、当該1以上のタービンエンジンに関する複数のクールダウン曲線と、当該1以上のタービンエンジンに関する複数の異なる始動種別と、1以上の運用計画と、当該1以上のタービンエンジンの設計耐用年数とを格納する手段を備える。また、この装置は、運用データを解析する手段と、運用データを用いて1以上のヒストグラム及び1以上の確率モデルを構築する手段、並びに当該1以上のヒストグラム及び当該1以上の確率モデルを格納する手段と、上記1以上の運用計画に関するミッション構成を決定する手段と、サイクル寿命消費量データと併せて上記1以上の確率モデルのシミュレーションを実行する手段と、サイクル寿命消費量データを用いて、シミュレーション中に消費寿命を計算する手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書に開示する方法及びシステムは、ミッション構成に基づくタービンエンジンの確率論的な寿命診断プロセスを容易化する。「ミッション構成」は、本明細書では、機械の寿命を通して用いられるパラメータを規定した機械運用計画を示す。また、ミッション構成は、過去の運用条件において機械に設定されたパラメータを示す場合もある。例えば、タービンエンジンをベースロード運用することがあるが、この場合、エンジンのクールダウン/再始動サイクル数は、その寿命を通して比較的少なくなる。また、タービンエンジンをピークロード運用することがあるが、この場合、エンジンは、少なくとも部分的なクールダウン・再始動サイクルを日常的に経験することになる。さらに、システム負荷や期別要件に応じて、上記運用計画の組み合わせを経験する場合もある。本明細書に開示する方法及びシステムは、多種多様なタービンエンジン、並びにタービンエンジンに含まれる多種多様な部品に適用可能と考えられる。本明細書に開示する例示的な実施形態は、発電事業に関連するが、本発明は、発電事業での利用のみに限定されるわけではない。例えば、本発明は、任意の公共用、産業用、又は機械駆動のタービンエンジンにおいて、ミッション構成に基づく確率論的な寿命診断プロセスを容易化するのに用いてもよい。
【0008】
以下、ミッション構成に基づくタービンエンジンの確率論的な寿命診断プロセスを容易化するシステムの例示的な実施形態を詳細に説明する。このシステムによれば、例えば、現場データを解析してタービンエンジンの設計耐用年数を長くすることが容易になる。本明細書に開示するシステムの技術的効果の1つとして、タービンエンジンの総稼動持続時間において消費された総予想寿命を計算できることが挙げられる。より具体的には、例示的な実施形態において、タービンエンジン及びタービンエンジン部品製造会社又はタービンエンジン部品を提供する事業に携わる他の事業体は、例示的な実施形態に係る方法及びシステムを利用して、タービンエンジン又はタービンエンジン内の部品の稼動持続時間における総予想寿命を計算することができる。例示的な実施形態において、部品寿命診断プロセス・ユーザインターフェース(CLPUI)システムのユーザは、タービンエンジンの稼動持続時間において消費された総予想寿命の計算等、及びこれらには限定されない多くの課題を遂行することができる。
【0009】
例示的な実施形態では、現場運用データを解析することによって、様々なタービンエンジンの実際の運用計画を理解する上での手掛かりとなり得る傾向又はパターンを特定する。具体的には、タービンエンジンの代表サンプルからの現場データ及び運用データを解析することによって、ミッション構成を取得する。また、異なる計画に対応する異なるサブセットに関して運用計画を特定し、その異なる運用計画の統計モデルを構築することにより、実世界に存在する予想変動を把握する。モデルの構築は実データを用いて行うため、総運用時間は年間の総時間数以下となる。さらに、現場運用中のタービンエンジンから得られたクールダウン曲線を部品寿命消費量の評価に組み込むことにより、設計プロセスにおいて現場データを活用する。
【0010】
一実施形態では、コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体上に具現化されており、管理用のユーザインターフェース及び標準入力・報告書生成用のインターフェースを有するSQLを利用している。別の例示的な実施形態では、Microsoft社のExcelスプレッドシート上のプログラミングツールを用いてコンピュータプログラムを提供することにより、計算の実行と報告書の生成を行ってもよい。例示的な実施形態において、本システムは、事業体のイントラネット上で稼動する。さらに別の例示的な実施形態において、本システムは、Windows(商標)RNT環境で動作する(Windowsは、ワシントン州レドモンドにあるMicrosoft社の登録商標である)。このアプリケーションは柔軟で、いかなる機能も損なわずに様々な環境で実行できるように設計されている。
【0011】
本システム及びプロセスは、本明細書に開示する特定の実施形態に限定されるものではない。さらに、各システム及び各プロセスの構成要素は、本明細書に開示する他の構成要素及びプロセスから独立して個別に実施可能である。また、各構成要素及びプロセスは、他の組立品パッケージ及びプロセスと組み合わせて用いることもできる。
【0012】
図1は、サーバシステム18と、サーバシステム18に接続されたクライアントシステム20とも称する複数のクライアントサブシステムとを具備した部品寿命診断プロセス・ユーザインターフェース(CLPUI)システム12の簡易ブロック図である。以下に詳述するように、コンピュータ制御のモデリング・グルーピングツールは、サーバ18に格納され、いずれかのコンピュータ20からリクエスタによってアクセス可能である。また、以下により詳しく説明するように、データベースサーバ22は、様々な事象に関する情報を含むデータベース24に接続されている。一実施形態において、集中型データベース24は、サーバシステム18上に格納されており、クライアントシステム20の1つを介してサーバシステム18にログオンすることによって、当該クライアントシステム20からの潜在的ユーザによるアクセスが可能である。別の実施形態において、データベース24は、サーバシステム18から離れて格納されており、非集中型であってもよい。
【0013】
図2は、部品寿命診断プロセス・ユーザインターフェース(CLPUI)システム26におけるサーバアーキテクチャの例示的な実施形態の拡張型ブロック図である。CLPUIシステム26の構成要素は、システム12の構成要素(図1に示す)と同じであるため、図2中でも図1と同じ符号を用いて識別される。すなわち、CLPUIシステム26は、サーバシステム18とクライアントシステム20とを具備する。サーバシステム18は、データベースサーバ22、アプリケーションサーバ28、Webサーバ30、Faxサーバ32、ディレクトリサーバ34、及びメールサーバ36をさらに具備する。データベースサーバ22とディレクトリサーバ34には、磁気ディスク装置38が結合されている。また、サーバ22、28、30、32、34、及び36は、ローカルエリアネットワーク(LAN)40内で結合されている。さらに、LAN40には、システム管理者用ワークステーション42、ユーザ用ワークステーション44、及び監視者用ワークステーション46が結合されている。あるいは、ワークステーション42、44、及び46は、インターネット接続によってLAN40に結合されるか、又は、イントラネットを介して接続されている。
【0014】
各ワークステーション42、44、及び46は、Webブラウザを有するパソコンである。これらのワークステーションで通常実行される機能は、それぞれのワークステーション42、44、及び46で実行されているように示してあるが、LAN40に結合された多数のパソコンの1つで実行することもできる。ワークステーション42、44、及び46は、LAN40にアクセス可能な個人が実行できる種々機能を容易に理解できるようにすることのみを目的として、個別の機能と関連付けられているように示してある。
【0015】
サーバシステム18は、ISPインターネット接続54により、従業員48等の様々な個人及びクライアント/顧客52等の第三者と通信可能に結合される構成である。例示的な実施形態における通信は、インターネットを用いて行われているように示してあるが、他の実施形態では、その他任意のワイドエリアネットワーク(WAN)型の通信を利用することも可能である。すなわち、本システム及びプロセスは、インターネットによる実施に限定されない。また、WAN50よりもむしろ、ローカルエリアネットワーク40を代わりに用いてもよい。
【0016】
例示的な実施形態において、ワークステーション56を有する任意の認可された個人は、CLPUIシステム26にアクセス可能である。また、クライアントシステムの1以上は、管理ワークステーション58を具備する。ワークステーション56及び58は、サーバシステム18と通信するように構成されたパソコンである。さらに、Faxサーバ32は、クライアントシステム58を含むクライアントシステムと電話回線を用いて通信する。Faxサーバ32は、他のクライアントシステム42、44、及び46とも同様に通信するように構成されている。
【0017】
ワークステーション42、44、46、56、及び58は、手持ち情報に対して高速かつ正確にアクセスする方法を含むデータをフロッピー(商標)ディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスク(MOD)、又はデジタル多用途ディスク(DVD)等のコンピュータ可読媒体から読み出すための、フロッピー(商標)ディスクドライブ又はCD−ROMドライブ等、及びこれらには限定されない装置を具備したコンピュータを含む。さらに、ワークステーション42、44、46、56、及び58は、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、及びカラーモニタ等の表示装置を含むが、これらには限定されない。また、ワークステーション42、44、46、56、及び58は、マウス(不図示)、キーボード(不図示)、及びグラフィカルユーザインターフェース(不図示)等の入力装置を含むが、これらには限定されない。
【0018】
アプリケーションサーバ28は、プロセッサ(不図示)及びメモリ(不図示)を具備する。当然のことながら、本明細書において、「プロセッサ」という用語は、当技術分野でプロセッサと称する類の集積回路に限定されず、コンピュータ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理制御装置、特定用途向け集積回路、及びその他任意のプログラマブル回路等を広く示す。また、当然のことながら、プロセッサは、アプリケーションサーバ28に格納された命令を実行する。なお、上記の例は、単なる例示に過ぎず、「プロセッサ」という用語の定義及び/又は意味を何ら限定するものではない。
【0019】
メモリ(不図示)としては、消去再書き込み可能な揮発性又は不揮発性のメモリ、もしくは消去再書き込み不可能な固定メモリ等の任意の適切な組み合わせが考えられる。消去再書き込み可能なメモリとしては、揮発性であろうと不揮発性であろうと、任意数のスタティックRAM(ランダムアクセスメモリ)又はダイナミックRAM、フロッピー(商標)ディスクとディスクドライブ、書き込み可能又は書き換え可能な光ディスクとディスクドライブ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等が考えられる。同様に、消去再書き込み不可能な固定メモリについては、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラマブル読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ)、CD−ROM又はDVD−ROMディスク等の光ROMディスクとディスクドライブ等の任意の1つ又は複数を用いて実装可能である。
【0020】
図3は、例示的なタービンエンジンの例示的なクールダウン曲線の範囲を示すグラフである。具体的には、温度64と停止後経過時間66の関数として、最遅クールダウン曲線60及び最速クールダウン曲線62がプロットされている。ここで、クールダウン曲線60及び62は、同じタービンエンジンのクールダウン特性を表している。さらに、当然のことながら、異なる種類のタービンエンジンは、異なるクールダウン特性を有するため、クールダウン曲線60及び62も異なる結果となる。また、当然のことながら、タービンエンジンのクールダウン特性は、タービンエンジンの製造に用いた材料の量と種類、周囲温度条件、タービンエンジンの運用条件等、及びこれらには限定されない要因の影響を受ける。例えば、タービンエンジンの金属部品が増えると、一般的にはクールダウン時間が長くなる。
【0021】
一般に、周囲温度条件が温間での運用はタービンエンジンのクールダウン時間が長くなる一方、冷間での運用はタービンエンジンのクールダウン時間が短くなる。周囲温度は、発電システムにおけるタービンエンジンの配置、季節、及び/又はタービンエンジンの地理的位置等、及びこれらには限定されない要因の影響を受ける可能性がある。例えば、タービンエンジンは、発電所においてボイラ等の発熱装置の周辺に配置された場合、地理的に温暖な土地に設置された場合、及び/又は夏季の常温に曝された場合、温間周囲条件に曝される可能性がある。したがって、低速クールダウン曲線60は、夏季における所与のタービンエンジンのクールダウンを表し、高速クールダウン曲線62は、冬季における同じタービンエンジンのクールダウンを表すこととしてもよい。当然のことながら、タービンエンジンの寿命を診断する確率論的手法では、タービンエンジンのクールダウン特性に影響を及ぼし得る要因のほぼすべてを考慮に入れる。
【0022】
曲線60及び62間に規定された領域68は、所与のタービンエンジンに対するクールダウン特性の存在可能範囲を表す。所与のタービンエンジンの運用データを解析することによって、最遅クールダウン曲線60及び最速クールダウン曲線62間におけるクールダウン曲線の変動可能性を決定することができる。例えば、例示的な実施形態では、任意の停止後経過時間におけるタービンエンジンの推定温度を反映した運用データから確率分布を求めることができる。具体的には、例示的な実施形態において、ガウス確率分布を求めることにより、任意の停止後経過時間に対する最遅クールダウン曲線60及び最速クールダウン曲線62間の温度を決定する。例えば、停止後90時間経過すると、タービンエンジンの温度は、約200°F〜400°Fの間となる。つまり、停止後90時間について求めた確率分布を用いることにより、停止後90時間のタービンエンジンの温度を決定する。なお、ガウス確率分布を用いているため、停止後90時間の温度は、約300°Fとなる可能性が最も高い。当然のことながら、例示的な実施形態では、ガウス確率分布を用いて最遅クールダウン曲線60及び最速クールダウン曲線62間のタービンエンジンの温度を決定しているが、他の実施形態では、本明細書に開示する寿命診断プロセスを容易化可能なその他任意の確率分布を用いてもよい。
【0023】
各クールダウン曲線60及び62には、タービンエンジン停止時の最高温度が含まれる。停止後経過時間が増加すると、タービンエンジンの温度は、約100°Fの絶対低温まで低下する。例えば、クールダウン曲線62は、タービンエンジン停止時に約1000°Fの最高温度を有しており、停止後の時間が経過するにつれて、タービンエンジンの温度が100°Fの絶対低温まで低下することを示している。当然のことながら、曲線60及び62は、各タービンエンジン固有の運用データを用いて決定されるため、任意の形状が可能であるとともに、各タービンエンジンに特有のものとなる。
【0024】
また、当然のことながら、例示的な実施形態では、数多くの異なる運用計画を用いてタービンエンジンの運用を行ってもよい。例えば、第1の運用計画として、毎日約16時間連続してタービンエンジンを動作させるとともに、約8時間連続して停止させるようにしてもよい。このように、第1の計画を用いると、タービンエンジンは通常、始動と停止を毎日それぞれ1回ずつのみ経験することになる。具体的には、約16時間の連続動作の後、約1000°Fの動作温度でタービンエンジンを停止し、約900〜950°Fの温度になるまで約8時間クールダウンする。このように、タービンエンジンの温度は、約900〜950°Fの間となっているため、この状態で始動させると、タービンエンジンは高温始動を経験することになる。タービンエンジンは始動後、約1000°Fの定常状態動作温度で動作し、約16時間の連続動作の後に再度停止となる。
【0025】
第2の運用計画として、1日24時間のタービンエンジンの連続動作を毎年約320日間連続して実施し、その後、約40日間連続して停止させるようにしてもよい。第2の計画を用いると、第1の運用計画に比べて、タービンエンジンが経験する始動と停止の回数は非常に少なくなる。当然のことながら、第2の計画においては、各タービンエンジンの始動が「低温」始動となる。
【0026】
第3の運用計画として、1日24時間のタービンエンジンの連続動作を約5日間連続して実施し、その後、2日間連続して停止させるようにしてもよい。第3の運用計画を用いると、タービンエンジンは通常、始動と停止を毎週それぞれ1回ずつ経験することになる。当然のことながら、第3の運用計画においては、各始動が高温始動又は常温始動となる可能性がある。また、当然のことながら、例示的な実施形態は、タービンエンジンの運用計画を3つとして説明したが、他の実施形態では、本明細書に開示する寿命診断プロセスを容易化可能な任意のタービンエンジン運用計画を実施してもよい。
【0027】
例示的な実施形態において、タービンエンジンの運用計画は、当該タービンエンジンに関するミッション構成を決定する。具体的には、タービンエンジンのミッション構成は、その耐用年数において経験する低温始動、常温始動、及び高温始動の回数として定義される。例えば、タービンエンジンのミッション構成は、400回の低温始動、500回の常温始動、及び2000回の高温始動を含む構成であってもよい。一般に、低温始動、常温始動、及び高温始動は、タービンエンジンの温度範囲がそれぞれ、約100〜400°F、400〜700°F、及び700°F超の場合に生じる。
【0028】
当然のことながら、例示的な実施形態では、解析対象の各タービンエンジンに対して実際の運用計画及び関連するミッション構成データが収集される。また、例示的な実施形態では、収集したデータを用いることにより、各タービンエンジンの運用計画に対応した確率モデルが構築される。この確率モデルは、タービンエンジンの種々部品のサイクル寿命消費量データと組み合わされる。このような確率論的解析を実施することによって、タービンエンジンの予想稼動持続時間において消費された総寿命を計算することができる。さらに、確率論的解析によって、タービンエンジンの特定の部品が所与の運用計画に対する設計耐用年数を満足する確率を計算することができる。その上、当然のことながら、タービンエンジンの実際の運用計画及びミッション構成データを用いるため、タービンエンジンの性能に影響を及ぼすすべてのパラメータを本質的に把握するとともに、本明細書に開示する寿命診断プロセスに包含可能となる。
【0029】
図4は、例示的なタービンエンジンの始動曲線で消費された例示的な寿命を示すグラフである。具体的には、1回の始動当たりの寿命消費率72と温度で決まる始動種別74との線形関数として、始動曲線70での消費寿命がプロットされている。当然のことながら、曲線70は、新たなタービンエンジンの性能を表すものであるため、設計予測に基づいている。また、その他に注目すべきこととして、タービンエンジンが異なれば、図4の曲線の傾斜も違ったものとなる。
【0030】
当然のことながら、各タービンエンジンは、有限の耐用年数を有するように設計されるとともに、通常、始動時に不利益な消耗を経験する。したがって、タービンエンジンの設計耐用年数の少なくとも一部は、始動時に消費される。当然のことながら、例示的な実施形態では、始動時の寿命消費量と始動種別74との間で延在する線形関数として、始動曲線70での消費寿命を説明しているが、他の実施形態では、曲線70が本明細書に開示する寿命診断プロセスを容易化するいかなる非線形関数であってもよい。
【0031】
各始動時に消費される耐用年数の決定精度を改善することによって、タービンエンジンの耐用年数の決定精度を容易に向上させることができる。始動種別74は、タービンエンジンの始動温度を示すものであるため、その始動が低温始動、常温始動、又は高温始動のいずれであるかを示している。また、各始動種別が消費するタービンエンジンの耐用年数は、それぞれ異なることが分かる。例えば、タービンエンジンは、その耐用年数において合計約2000回の低温始動を経験するような、すなわち、各始動当たり、総寿命の約2000分の1を消費するような設計であってもよい。一般に、始動が低温になるほど、タービンエンジンの耐用年数は多く消費され、高温になるほど、タービンエンジンの寿命消費は少なくなる。当然のことながら、タービンエンジン固有の曲線76(図5に示す)は、タービンエンジンを動作させてデータを収集することにより作成可能となる。
【0032】
図5は、始動曲線76で消費された別の例示的な寿命を示すグラフである。具体的には、1回の始動当たりの寿命消費率78と温度で決まる始動種別80との線形関数として、タービンエンジンの運用データを用いて決定される始動曲線76での消費寿命がプロットされている。当然のことながら、曲線76は、タービンエンジン固有であるため、タービンエンジン毎に異なるものであってもよい。
【0033】
図6は、第1の計画に対する例示的な確率分布を示すグラフである。具体的には、図示の曲線82は、第1の運用計画の使用により、タービンエンジン又はタービンエンジン部品がその設計耐用年数を超える時期が早くなって故障する確率のガウス確率分布を表している。限界84は、タービンエンジンの耐用年数を超える時期が早くなること、又はタービンエンジンの早期故障についての許容リスク水準を規定している。したがって、タービンエンジンは、早期故障のリスク又は確率を考慮に入れた設計が可能である。限界84は、本明細書に開示するタービンエンジンの寿命診断プロセスの改善が容易となる水準に規定してもよい。また、当然のことながら、例示的な実施形態では、第1の運用計画の使用によるタービンエンジンの早期故障の確率決定にガウス確率分布を用いているが、他の実施形態では、本明細書に開示する寿命診断プロセスを容易化する任意の確率分布を用いてもよい。
【0034】
図7は、第2の運用計画に対する例示的な確率分布を示すグラフである。具体的には、図示の曲線86は、第2の運用計画の使用により、タービンエンジンがその設計耐用年数を超える時期が早くなって故障する確率のガウス確率分布を表している。例示的な実施形態では、限界84が曲線86と交差していないため、タービンエンジンの早期故障はない。したがって、第2の運用計画の使用により、タービンエンジンが早期故障するリスクは、十分に解消又は最小化される。当然のことながら、例示的な実施形態では、第2の計画の使用によるタービンエンジンの早期故障の確率決定にガウス確率分布を用いているが、他の実施形態では、本明細書に開示する寿命診断プロセスを容易化する任意の確率分布を用いてもよい。
【0035】
図8は、第1の運用計画82、第2の運用計画86、及び第3の運用計画88に対する例示的な確率分布を示すグラフである。確率分布を重ね合わせることによって、それぞれの運用計画の特性をより簡単に比較することができる。例えば、リスクの許容限界84には、確率分布曲線82が最も近いため、第1の運用計画に従って厳密に動作するタービンエンジンは、他の運用計画に従って動作するタービンエンジンよりも早期故障する可能性が高い。その結果、第1の運用計画に従って動作するタービンエンジンは、他の運用計画で動作するタービンエンジンよりも頻繁に保守点検しなければならない。同様に、リスクの許容限界84から離れて動作するタービンエンジンに関しては、早期故障の可能性が低いため、点検頻度は低くてもよい。
【0036】
図9は、ミッション構成に基づくタービンエンジン部品の確率論的な寿命診断プロセスの決定を容易化するために、CLPUIシステム10(図1に示す)で用いられる例示的なプロセスを示すフローチャート90である。寿命診断プロセスを開始し(ステップ92)、解析すべきタービンエンジンの可能なクールダウン曲線範囲を規定又は取得する(ステップ94)。次に、タービンエンジンの運用データから多種多様な始動種別を識別・解析して(ステップ96)、寿命消費量曲線76を取得又は規定する。当然のことながら、始動種別は通常、温度によって規定されるため、低温始動、常温始動、及び高温始動等の始動種別を規定する温度範囲が存在する。さらに、始動種別は、特定のタービンエンジンの始動温度によって規定してもよい。例えば、タービンエンジンの温度が約431°Fで生じる始動は、431始動と考えられる。次に、年間のタービンエンジンの運用を計上する方式を構築する(ステップ98)。具体的には、例示的な実施形態において、この方式は、年間のタービンエンジンの運用を時間単位で計上するとともに、可能性のあるミッション構成をほぼすべて考慮に入れる。すなわち、この方式では、1年間に発生する始動、タービンエンジンの定常状態動作、及び停止の時間数を少なくとも計上する。したがって、タービンエンジンの解析中は、年間の総時間数よりも長く動作することはあり得ない。
【0037】
次に、タービンエンジンの運用計画を決定する(ステップ100)。例えば、第1の運用計画82を用いて、毎日約16時間連続してタービンエンジンを動作させるとともに、約8時間連続して停止させる。運用計画の決定(ステップ100)の後、タービンエンジンの設計耐用年数を規定する(ステップ102)。各種の実施形態において、タービンエンジンの設計耐用年数は、解析又はモデル化対象の特定のタービンエンジンに適したいかなる期間であってもよい。
【0038】
各タービンエンジンは解析中、開始時刻において、約100°Fの絶対低温始動温度から運用を開始する(ステップ104)。解析では、開始時刻、運用計画、設計耐用年数、及び低温始動温度を包含することにより、タービンエンジンの運用データを反映したヒストグラムを規定する。その後、当然のことながら、確率分布を用いてタービンエンジンの増分稼働時間を決定する(ステップ106)とともに、始動種別の確率分布を用いて始動種別を選択する(ステップ108)。例示的な実施形態では、稼働時間及び始動種別の確率分布(不図示)ともにガウス型確率分布である。ただし、当然のことながら、他の実施形態では、本明細書に開示する寿命診断プロセスを容易化可能ないかなる確率分布を稼働時間及び始動種別に用いてもよい。
【0039】
各増分稼働時間は、クールダウン時間に関連する。例示的な実施形態において、タービンエンジンの停止と次の始動との間のクールダウン時間は、所定のガウス確率分布を用いて決定される。したがって、タービンエンジンの増分稼働時間とそれに関連するクールダウン時間を合計して総増分稼動時間を決定する(ステップ110)。また、タービンエンジンの総稼働時間に各総増分稼動時間を加算する(ステップ112)。タービンエンジンの総稼働時間は、過去の総増分稼動時間の累積合計である。当然のことながら、タービンエンジンの総稼働時間は、タービンエンジンの運用開始から取得される一方、各総増分稼動時間の始動・停止温度、増分稼働時間、及び始動・停止温度に対応する時間は、データベース24に格納された第1の時間から測定される。このように、選定した運用計画に対して、タービンエンジンの総稼働持続時間のヒストグラムを決定する(ステップ112)。
【0040】
タービンエンジンの総稼働時間がタービンエンジンの設計耐用年数とほぼ等しいというわけではない場合は(ステップ114)、タービンエンジンに関する別の増分稼働時間を決定する(ステップ106)。一方、タービンエンジンの総稼働時間がタービンエンジンの設計耐用年数とほぼ等しい場合は(ステップ114)、タービンエンジンの総稼働時間の最適化を行ってもよい(ステップ116)。タービンエンジンの総稼働時間の最適化(ステップ116)に際しては、タービンエンジンの総稼働時間とタービンエンジンの設計耐用年数とを比較する(ステップ118、122)。タービンエンジンの総稼働時間が設計耐用年数未満の場合は(ステップ118)、タービンエンジンの始動をさらに減らしてエンジン寿命の消費量を低減する(ステップ120)。具体的には、タービンエンジンの始動方法を変更することによって、より低速の始動を実行することで、1回の始動当たりの寿命消費量が低減し、低温始動温度を設定する(ステップ104)。一方、タービンエンジンの総稼働時間がタービンエンジンの設計耐用年数未満でない場合は、タービンエンジンの総稼働時間とタービンエンジンの設計耐用年数とを比較して、タービンエンジンの総稼働時間がタービンエンジンの設計耐用年数より大きいか否かを判定する(ステップ122)。タービンエンジンの総稼働時間がタービンエンジンの設計耐用年数より大きい場合は、タービンエンジンの始動数を増やして各始動のエンジン寿命の消費量を増加する(ステップ124)。すなわち、解析中のタービンエンジンの始動方法を変更することによって、より高速の始動を実行することで、1回の始動当たりの寿命消費量が増加する(ステップ124)。次に、100°Fの低温始動温度を設定する(ステップ104)。
【0041】
タービンエンジンの総稼働時間がタービンエンジンの設計耐用年数未満ではない場合であって(ステップ118)、設計耐用年数を超えることもない場合は(ステップ122)、希望に応じて、選定又は決定した運用計画に対する別のヒストグラムの生成を行ってもよい(ステップ126)。別のヒストグラムを希望の場合は(ステップ126)、100°Fの低温始動温度を設定する(ステップ104)。別のヒストグラムを希望しない場合は(ステップ126)、別の運用計画(ステップ128)の決定を行って(ステップ100)、対応するヒストグラムの生成を行ってもよい。例示的な実施形態では、ヒストグラムが適当な確率モデルに収束して、特定の運用計画に対するタービンエンジン運用のほぼ完全なスペクトルが得られるようになるまで、各運用計画に対して複数のヒストグラムを構築する。通常は、特定の運用計画の正確な確率モデルの構築に3〜5個のヒストグラムが必要となる。ただし、他の実施形態では、運用計画の適当な確率モデルへの収束に必要な任意数のヒストグラムを生成してもよい。
【0042】
所望の各運用計画に対して正確な確率モデルの決定を行った後、別の運用計画を希望しない場合は(ステップ128)、確率モデルのそれぞれについてモンテカルロシミュレーションを実行し、各運用計画に対応するミッション構成を決定する(ステップ130)。当然のことながら、例示的な実施形態ではモンテカルロシミュレーションを実行しているが、他の実施形態では、本明細書に開示する寿命診断プロセスの構築を容易化するいかなるシミュレーションツールを用いてもよい。モンテカルロシミュレーションにおいては、クールダウン曲線範囲を用いたタービンエンジンの始動温度の決定を行う。また、寿命消費量曲線を用いて各シミュレーションにおける消費寿命の量を決定する(ステップ134)。さらに、消費寿命をタービンエンジンの予想耐用年数全体に拡張して(図6〜8に示す)、総サイクル寿命消費量の確率分布を決定する(ステップ136)。
【0043】
各実施形態において、上述のタービンエンジンの耐用年数を拡張する方法は、運用データに基づいて確率論的な寿命診断基準を構築するプロセスの規定を容易化する。具体的には、現場運用データを詳細に解析することによって、様々なタービンエンジンの実際の運用計画を理解する上での手掛かりとなり得る傾向又はパターンを特定する。タービンエンジンの運用持続時間は、合計すると年間の時間数となるため、確率論的な寿命診断基準の手法により、物理的に可能なミッション構成を構築することができる。さらに、この確率論的な寿命診断基準によれば、タービンエンジンの設計代案のリスク・見返り評価を改善可能であるとともに、タービンエンジン及びタービンエンジン部品の非現実的な前提による過剰設計を回避できるため、設計のサイクル時間とコストを容易に低減できる。また、確率論的な寿命診断プロセスを用いることによって、運用データを用いた設計の意思決定が可能であるとともに、設計時間とコストの低減も可能となる。したがって、タービンエンジンの性能と部品の耐用年数はそれぞれ、費用対効果に優れた信頼性のある形で容易に改善できる。
【0044】
以上、ミッション構成に基づくタービンエンジン部品の寿命診断プロセスを容易化する方法の例示的な実施形態を詳細に説明したが、これらの方法は、本明細書に開示する特定のタービンエンジンの実施形態での使用には限定されず、本明細書に開示する他のタービンエンジンから独立して個別に利用可能である。例えば、これらの方法は、任意の公共用、産業用、又は機械駆動のタービンエンジンにおいて使用してもよい。さらに、本発明は、以上に詳述した方法の実施形態には限定されず、特許請求の精神及び範囲内で他の変形例を利用することもできる。
【0045】
本発明を様々な特定の実施形態に関して説明したが、当業者であれば、特許請求の精神及び範囲内で本発明を変更して実施可能であることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】部品寿命診断プロセス・ユーザインターフェース(CLPUI)の例示的なサーバアーキテクチャの簡易ブロック図である。
【図2】CLPUIシステムの実装に利用できる例示的なサーバアーキテクチャの拡張型ブロック図である。
【図3】例示的なタービンエンジンの例示的なクールダウン曲線の範囲を示すグラフである。
【図4】例示的なタービンエンジンの始動曲線で予測される消費寿命を示すグラフである。
【図5】例示的なタービンエンジンの始動曲線で消費寿命の別の実施形態を示すグラフである。
【図6】例示的なタービンエンジンの運用計画に対する例示的な確率分布を示すグラフである。
【図7】別のタービンエンジンの運用計画に対する別の確率分布を示すグラフである。
【図8】例示的なタービンエンジンの運用計画に対する複数の確率分布を相互に重ね合わせたグラフである。
【図9A】CLPUIを利用した例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【図9B】CLPUIを利用した例示的なプロセスを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッション構成に基づくタービンエンジンの確率論的な寿命診断プロセスを容易化するシステム(10)であって、当該システムが、サーバ(18)として構成された1以上のコンピュータ(20)を備えており、該サーバ(18)がデータベース(34)を具備しているとともに、
1以上のタービンエンジンに関する運用データと、該1以上のタービンエンジンに関する複数のクールダウン曲線(60、62)と、該1以上のタービンエンジンに関する複数の異なる始動種別(74、80)と、1以上の運用計画と、該1以上のタービンエンジンの設計耐用年数とを前記データベース(34)に格納し、
前記データベース(34)に格納された前記運用データを解析し、
前記運用データを用いて1以上のヒストグラム及び1以上の確率モデルを構築して、該1以上のヒストグラム及び該1以上の確率モデルを前記データベース(34)に格納し、
前記1以上の運用計画に関するミッション構成を決定し、
前記1以上のタービンエンジンのタービンエンジンサイクル寿命消費量データと併せて前記1以上の確率モデルのシミュレーションを実行し、
消費寿命を前記1以上のタービンエンジンの設計耐用年数全体に拡張することによって総サイクル寿命消費量の確率分布を求める
ように構成されている、システム(10)。
【請求項2】
前記サーバ(18)がさらに、前記複数のクールダウン曲線(60、62)の1以上を用いて、前記1以上のタービンエンジンにおけるシミュレーション用の始動温度(64)を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記サーバ(18)がさらに、前記タービンエンジンサイクル寿命消費量データを用いて、前記シミュレーション中に消費寿命を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記サーバ(18)がさらに、前記1以上のタービンエンジンの複数の低温始動と、該1以上のタービンエンジンの複数の常温始動と、該1以上のタービンエンジンの複数の高温始動とを規定するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記サーバ(18)がさらに、タービンエンジン総稼動時間が前記1以上のタービンエンジンの設計耐用年数未満である場合に該1以上のタービンエンジンの始動方法を変更することによって、該タービンエンジン総稼動時間を最適化するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記サーバ(18)がさらに、シミュレーションにおいて前記1以上のタービンエンジンの性能に影響を及ぼすすべてのパラメータが本質的に考慮されるように、タービンエンジンの実運用計画及びミッション構成データを含む該1以上のタービンエンジンのモデルを構築するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項7】
ミッション構成に基づくタービンエンジンの確率論的な寿命診断プロセスを容易化する装置であって、
1以上のタービンエンジンに関する運用データと、該1以上のタービンエンジンに関する複数のクールダウン曲線(60、62)と、該1以上のタービンエンジンに関する複数の異なる始動種別(74、80)と、1以上の運用計画と、該1以上のタービンエンジンの設計耐用年数とを格納する手段と、
前記運用データを解析する手段と、
前記運用データを用いて1以上のヒストグラム及び1以上の確率モデルを構築する手段、並びに該1以上のヒストグラム及び該1以上の確率モデルを格納する手段と、
前記1以上の運用計画に関するミッション構成を決定する手段と、
サイクル寿命消費量データと併せて前記1以上の確率モデルのシミュレーションを実行する手段と、
前記サイクル寿命消費量データを用いて、前記シミュレーション中に消費寿命を計算する手段と
を備える装置。
【請求項8】
消費寿命を前記設計耐用年数全体に拡張することによって総サイクル寿命消費量の確率分布を求める手段をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のクールダウン曲線(60、62)の1以上を用いて、前記1以上のタービンエンジンにおけるシミュレーション用の始動温度を決定する手段をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記1以上のヒストグラムを構築する手段が、タービンエンジン総稼動時間を最適化する手段をさらに備えており、該タービンエンジン総稼動時間が前記設計耐用年数未満である場合に、前記1以上のタービンエンジンの始動方法を変更する、請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2009−47696(P2009−47696A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206499(P2008−206499)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】