説明

結合および解放することができる校正錘を有する力伝達機構

【課題】校正錘が測定変換器に与える力に、幾何形状の変化が影響を及ぼさないようにする。
【解決手段】重量測定器の力伝達機構110は、固定部分11と荷重受容部分12とを備え、荷重受容部分は、力伝達接続部を介して、直接、または結合要素19およびレバー16により、固定部分上に配置される測定変換器30に接合される。力伝達機構は、結合手段124と支点113、第1の校正レバーアーム121および第2の校正レバーアーム122を有する校正レバー120とを含み、第1の校正レバーアームは、校正錘23に堅固に接続され、さらに、結合手段は、校正レバーと少なくとも1つのレバー16との間に配置され、さらに、結合手段は、第1の結合部分125および第2の結合部分126に分割され、さらに、けん引力のみ、または圧縮力のみを、第1の結合部分と第2の結合部分との間で伝達することができ、支点は、荷重受容部分上に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量測定器用の力伝達機構に関し、力伝達機構は、荷重受容部分および固定部分を含む。荷重受容部分に接続される秤量皿は、秤量すべき荷重を受ける。荷重が秤量皿に与える力は、直接、または力低減レバー装置により、測定変換器に伝達される。秤量皿および荷重受容部分を垂直案内運動に拘束する平行四辺形のリンク機構、力伝達機構、および測定変換器は、基本的に、重量測定器の秤量セルを共に構成する。
【背景技術】
【0002】
知られている最新の秤量セルは、例えば、歪ゲージ、緊張弦振動子、または電磁力補償(EMFC)に基づいて、様々な動作原理により動作する。振動弦秤量セルまたはEMFC秤量セルを有する重量測定器は、極めて高い分解能の秤量結果をもたらす。
【0003】
EMFC秤量セルでは、荷重の重量は、直接、または1つまたは複数の力伝達レバーにより、荷重の重量を表す電気信号を生成する電気機械式測定変換器に伝達される。さらに、信号は、電子信号処理装置により処理され、表示器画面に表示される。
【0004】
これらの機械的構成では、振動弦の原理に基づく秤量セルは、電磁変換器の代わりに振動弦変換器が使用されることを除けば、EMFC秤量セルとほとんど類似する。荷重が、振動弦の張力の変化をもたらし、代わりに、振動弦の振動数変化が、加えられた荷重の尺度を表す。測定時に、EMFC秤量セルの機械システムは、釣合錘を有する機械的梃子秤の平衡と同様の平衡位置にある。対照的に、弦が、緊張し、したがって荷重の下で極めて小さいレベルで引き伸ばされるとき、振動弦秤量セルの荷重受容部分は、固定部分に対してその垂直位置をわずかに変化させる。したがって、振動弦秤量セルは、「小偏位」力測定セルとも呼ばれる。
【0005】
両タイプの秤量セルは、例えば精密天秤および化学天秤においてミリグラム範囲で、または微量天秤においてマイクログラム範囲で使用され、製造者の仕様および法的な要求に応じて規定の公差範囲内で測定値を供給する、秤量セルの能力を維持するように周期的に再校正される必要がある。これらの周期的な校正は、周囲温度または大気圧の変化などの、秤量セルに影響を及ぼす要素に対する補正装置である。
【0006】
校正は、荷重受容部分に既知の錘を周期的に負荷することにより行われる。秤量セルの出荷前の最終検査中に決定される重量値と、現在の測定でわかる値との間の差に基づいて、補正値を計算することができ、補正値により、秤量セルの後続の測定結果を補正することができる。可能性がある最も正確な校正値を提供するために、校正錘は、秤量セルの荷重容量と釣り合うべきである。このことが、極めて大きい校正錘が必要とされる結果をもたらす可能性がある。
【0007】
知られている最新技術は、一体的に組み込まれる校正錘を有する様々な重量測定器を含む。
電磁力補償の原理に従って動作し、内蔵式棒状校正錘を有する、このタイプの重量測定器が、EP0955530B1に開示される。棒状校正錘は、秤量セルの外側に配置され、校正錘アーム上に配置され、校正錘アームは、荷重受容部分に結合され、力拡大レバーとして働く。このレバーの利点により、校正錘の質量、したがってその寸法を小さく保つことができる。校正錘アームは、常に荷重受容部分に結合されているので、校正プロセス中に梃子作用を及ぼし、校正錘を支持する機能だけを行うが、それ自体、校正錘の一部分ではない。したがって、校正錘アームは、力伝達機構の一部分、より具体的には荷重に梃子作用を及ぼし、荷重を測定変換器に伝達するためのレバー装置の一部分であり、装置が標準秤量モードで動作するときも、秤量セルの荷重受容部分に接続されたままになる。
【0008】
CH661121A5に開示されるように、力伝達機構は、2段階以上のレバー装置を含むこともでき、個々のレバーは、結合要素により互いに適切に接続され、したがって、荷重受容部分と測定変換器との間で、力の低減が達成される。結合要素の1つは、校正錘を受けるように設計される保持手段を含む。
【0009】
日本特許第3761792号に開示される歪ゲージを有する秤量セルは、比率レバーと共に校正錘を有する。結合要素は、比率レバーと荷重受容部分との間に配置される。校正錘および結合要素を持ち上げることにより、結合要素上に形成される荷重支え部が、荷重受容部分上に配置される刃先から解放され、それにより、比率レバーは、荷重受容部分から解放される。
【0010】
以上の最新の解決策のすべては、秤量技術の分野で当業者によく知られた校正錘負荷装置を含む。
補正値の正確な決定は、測定変換器の分解能に応じて変わるだけでなく、幾何学的な比率をどれほど正確に維持することができるかにかなりの程度依存する。例えばEP0955530B1に記載される校正錘アーム上、CH661121A5に記載される結合部材上の校正錘のその標準位置からの最も小さい偏差、または日本特許第3761792号の刃先に対する荷重支え部の位置の最も小さい変化でも、有効なレバーアームを長く、または短くし、したがって、補正値に誤差を導く。したがって、校正錘と校正錘アームとの間、または刃先と荷重支え部との間の接触点は、最も正確な精度で、したがって、高コストで仕上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP0955530B1
【特許文献2】CH661121A5
【特許文献3】日本特許第3761792号
【特許文献4】EP2434264A1
【特許文献5】EP2336736A1
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0218303(A1)号
【特許文献7】CH593481A5
【特許文献8】EP1726926A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、測定変換器を有する重量測定器用の力伝達機構を作成する目的を有し、校正錘が測定変換器に与える力に、幾何形状の変化が影響を及ぼす可能性がある程度を最小化するように、校正錘は、力伝達機構に結合することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、校正錘レバーを有する本発明の力伝達機構、および本発明による力伝達機構を備える重量測定器により解決される。
重量測定器の力伝達機構は、固定部分と荷重受容部分とを備える。荷重受容部分は、力伝達接続部を介して、直接、または少なくとも1つの結合要素および少なくとも1つのレバーにより、固定部分上に配置される測定変換器に結合される。本発明による力伝達機構は、結合手段、および支点を有する校正レバーをさらに備える。校正レバーは、第1および第2の校正レバーアームを有し、結合手段が、校正レバーと少なくとも1つのレバーとの間に配置される。結合手段は、第1の結合部分および第2の結合部分に分割され、第1の結合部分および第2の結合部分は、それらの間でけん引力または圧縮力のみを伝達することができるように、互いに方向付けられている。校正レバーの支点は、荷重受容部分上に支持される。
【0014】
結合手段の2部分装置は、一体的に接続された校正錘を含む校正レバーを力伝達係合を介して荷重受容部分に結合し、または校正レバーを荷重受容部分から完全に解放することを可能にする。具体的には、結合手段は、けん引力または圧縮力を伝達することにより、校正力を伝達するように働く。結合手段の2つの部分は、反対方向に押されるとき、互いに分離し、したがって、それらの間に力を伝達することができない。結合手段の2つの部分の実際の構成に応じて、結合手段の一方の部分が、他方の部分に対して一定量だけ変位するときだけ、分離が起こることも可能であるが、この場合、この変位のみを本発明の技術的思想に合うものとして考えるべきである。解放状態では、2つの結合部分は、互いに接触せず、したがって、それらの間に力を伝達することができない。
【0015】
荷重受容部分上に校正レバーの支点を配置する思想は、力伝達機構の小型構造に有利である。
電磁力補償を有する秤量セルでは、平衡状態で測定が行われるので、力伝達機構の可撓性回転軸の曲げモーメントは、ほぼ0である。したがって、校正レバー、特にその支点可撓性部材は、校正プロセス中に支点可撓性部材に曲げモーメントが生じないように設計されるのが好ましい。
【0016】
一実施形態では、結合手段は、平行案内結合手段として構成され、平行案内結合手段の第1の結合部分は、互いに平行に配置される第1および第2の平行要素を備え、平行案内結合手段を介して、第1の平行案内結合部分は、校正レバーまたは荷重受容部分に連結され、したがって、平行案内結合手段を介する力の伝達において生じる横方向の相対運動は、第1および第2の平行要素により吸収される。様々な種類の平行案内結合手段は、ここに参照により本発明の開示に組み込まれている、欧州特許出願EP2434264A1などに記載されている。
【0017】
したがって、平行案内結合手段により、校正錘は、力伝達機構に結合することができ、それにより、力伝達機構を校正することができる。校正錘を力伝達機構に結合係合させるプロセスでは、回転半径の差により、校正錘の結合点と最も近い回転軸点までの距離との間に横方向の変位が起こる可能性がある。これらの変位は、特に平行案内結合手段により、具体的には結合手段の平行案内結合部分により補償することができる。
【0018】
この構成における平行案内結合手段は、平行案内結合手段の中心長手方向軸に沿って方向付けられる、圧縮力または張力のみを伝達することができるように配置される。
それに加えて、結合手段の平行案内結合部分の2つの平行要素は、一方では、撓みが小さい曲げモーメントのみをもたらすようにできる限り可撓性があるように構成され、他方では、力伝達機構が標準動作モードで働きながら、結合手段の一部分が、それら自体の重量の下で、または慣性力および動的な力の結果としては撓まないほど十分に強いままであるように構成される。2つの平行要素は、互いに平行であり、平行案内結合手段を介して伝達することができる力の方向と平行である。2つの平行要素は、横方向の相対変位が比較的小さくても、校正錘の結合部において横方向の相対変位を吸収する目的を有するが、横方向の相対変位は、結合部を介して力が伝達される一方で、校正測定値が決定されているとき、生じる可能性がある。
【0019】
荷重の荷重受容部分上への配置は、弦のわずかな伸張のみをもたらし、したがって、力伝達機構の可撓性回転軸に生じる曲げモーメントは、限定された大きさのみであるので、本明細書に述べてきたことは、振動弦秤量セルにも良好な近似で当てはまる。さらに、この種の結合手段は、歪ゲージ荷重セルに使用することもできる。
【0020】
別の実施形態によれば、結合手段は、第1および第2の結合部分に同様に分割される一方向性結合手段として構成される。第1の結合部分は、第1の可撓性回転軸を含み、第2の結合部分は、第2の可撓性回転軸を含み、結合部分の一方は、その対応する可撓性回転軸を介して荷重受容部分に連結されるが、他方の結合部分は、校正レバーに連結される。2つの結合部分の可撓性回転軸は、一方では、撓みが小さい曲げモーメントのみをもたらすようにできる限り可撓性があるように構成され、他方では、それらの一般的機能を依然として行うことができ、すなわち、それらの中心長手方向軸の方向に張力または圧縮力を伝達するように構成される。さらに、圧縮の下で曲がるそれらの不安定化傾向によっては、結合部分が、それ自体の重量の下で、または慣性力および動的な力の結果として横方向に撓まない一方で、力伝達機構が標準動作モードで動作するように可撓性回転軸を設計する必要がある。一方向性結合手段が2つの部分に分割されるために、第2の可撓性回転軸から第1の可撓性回転軸に伝達することができる力が、純粋な張力または純粋な圧縮力であるように、2つの結合部分は互いに整列する。
【0021】
不安定化モーメントが一方向性結合手段内に生じないように、第1および第2の可撓性回転軸の中心長手方向軸が、互いに一致するのが好ましい。しかし、第1および第2の結合部分の間の少なくとも1つの接触領域が、2つの結合部分の横方向の撓みに対して本質的に安定して設計されるとき、2つの中心長手方向軸間の小さい平行偏差を許容することができる。張力の伝達では、この安定性は、引張り中の物体の自然特性として生じる。対照的に、圧縮力が伝達されるとき、一方向性結合手段を本質的に安定にするのに利用できる、ある特定の構造配置のみが存在する。一方向性結合手段の様々な実施形態は、ここに参照により本出願に組み込まれている、EP2336736A1などに記載されている。
【0022】
校正錘の支持接触点を介して力が伝達される、既存の現況技術とは対照的に、本発明の思想による校正錘力は、結合手段を介して伝達される。平行案内結合手段では平行要素を介して、一方向性結合手段では可撓性回転軸を介して、力が伝達される。その結果、平行要素または可撓性回転軸の不変の位置により規定される、力導入の実際の点で、第1および第2の結合部分の間の小さい位置変位は、生じるのではなく、吸収されるので、重要な幾何学的寸法は、常に不変のままである。
【0023】
一実施形態では、第1の結合部分および第2の結合部分はそれぞれ、圧縮力の伝達のために少なくとも1つの接触位置を有し、第1および第2の結合部分のそれぞれの接触点は、それらが互いに面するように方向付けられる。力伝達接触位置は、第1および第2の結合部分が校正プロセス中に互いにそれ自体を中心に配置するように設計することができる。
【0024】
けん引力が伝達されるとき、2つの結合部分の一方は、凸面の突起部などを有する第1のけん引要素を含むことができるが、他方の結合部分は、凹面支え部などを有する第2のけん引要素を含み、第1および第2のけん引要素は互いに伸び、突起部および支え部が互いに接触するとき、突起部は凹面支え部と位置合わせし、けん引力が伝達される。
【0025】
力伝達機構は、少なくとも1つの上側平行案内部および少なくとも1つの下側平行案内部により荷重受容部分を固定部分に連結する平行案内装置を含むこともでき、上側平行案内部および下側平行案内部は、動作位置において荷重受容部分を垂直運動で案内する。
【0026】
校正錘は、校正錘負荷装置に結合することができ、校正錘負荷装置は、駆動源により電源を供給され、校正錘を持ち上げ、またはそれを下ろすことにより、校正錘を力伝達機構のレバーシステムに結合させ、またはそれから解放させる。
【0027】
一実施形態によれば、校正錘負荷装置は、荷重受容部分上に配置されるが、そのことは、力伝達機構の小型の構成に有利である。
校正錘負荷装置は、力伝達機構の平行案内部などを介して電流を供給することができる。それに加えて、力伝達機構の平行案内部を介して電気信号を伝達することも可能であり、例えば、制御命令の伝達または校正錘負荷装置からのデータの検索も可能にする。この思想は、校正錘負荷装置が荷重受容部分上に配置されるとき、特に有利であるが、それは、そうした配置が駆動源の電磁干渉を除去するのに特に効果的であるためである。
【0028】
固定部分から荷重受容部分への電流および/または電気信号の伝達は、細いリード線により実現することもできる。これらの線は、力伝達機構の機能を妨げないように極めて細くすべきである。
【0029】
校正錘負荷装置は、例えば自己抑制偏心器により作動させることができる。校正錘負荷装置の別の設計選択肢は、力伝達機構の外部にあり、校正錘の結合および解放ためだけに係合する駆動源を備える。
【0030】
力伝達機構は、接続具要素により1ユニットに組み立てられる、複数の個々の部品から構成することができる。これらの部品のいくつかは、互いに一体的に接続することもできる。少なくとも荷重受容部分、固定部分、校正レバー、および結合手段は、互いに一体的に接続されるのが好ましい。
【0031】
以上に既に述べたように、測定変換器および校正錘を伴う、本発明による力伝達機構は、重量測定器内の秤量セルとして使用することができる。重量測定器は、通常、校正錘の重力が力伝達機構により伝達された後、校正錘の重力が荷重受容部分に加えられる力と同じ方向で測定変換器に作用するように校正される。したがって、校正力の荷重は、標準秤量モードで動作中の荷重と同様に測定変換器に加えられる。振動弦秤量セルでは、測定変換器は、ほとんどの場合、荷重と同じ方向に作用する荷重のみを受容することができる。したがって、以上の説明の発明思想は、振動弦秤量セルおよびEMFC秤量セルに等しく適用できる。
【0032】
別の実施形態では、校正錘は、回転軸継手と結合手段との間に配置することができ、その結果、校正錘により生成される重力は、荷重受容部分上に配置される荷重から生じる力と反対方向で力測定変換器に作用する。この構成は、米国特許出願公開第2008/0218303(A1)号に詳細に記載されるように、プッシュプル原理により測定変換器が動作する、EMFC秤量セルに特に適している。この設計により、校正錘は、秤量セルの荷重範囲を拡張し、または荷重受容部に作用する予荷重を補償するように補償錘として使用することができる。この構成の秤量セルは、例えば、校正錘を用いて解放位置で0〜100グラムの範囲の荷重を秤量し、校正錘を力伝達機構に結合することにより100から200グラムの間の荷重の秤量範囲に拡張するように使用することができるが、それは、校正錘の重力が荷重受容部分に作用する荷重と相殺するためである。
【0033】
校正錘は、通常、ρ=8.0kg/dmの均一な密度を有する耐腐食材料から形成される。しかし、校正錘は、部分的に力伝達機構と同じ材料から形成することもでき、より高い密度の補助質量体により補助することができる。校正値の精度は、重量測定器の周囲大気圧測定用の圧力センサを使用することにより、さらに向上させることができる。大気圧の測定値は、校正錘の空気浮力の補正値を計算するのに使用することができるが、それは、校正錘により移動した空気の浮力が、校正錘の重力と反対方向に作用するためである。
【0034】
本発明による力伝達機構の実施形態の様々な変形形態、および重量測定器内でのそれらの使用法は、ある図面から別の図面で同一の要素が同じ参照符号により特定される、添付の図面の助けを借りてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】荷重受容部分に作用する力を低減するために、荷重受容部分と測定変換器との間にレバーシステムを含む力伝達機構であって、圧縮力のみを伝達することができる平行案内結合手段が、レバーシステムと校正レバーとの間に配置され、校正レバーが荷重受容部分に取り付けられる、力伝達機構の一実施形態を有する秤量セルを概略的に示す側面図である。
【図2】荷重受容部分に作用する力を低減するために、荷重受容部分と測定変換器との間にレバーシステムを含む力伝達機構であって、けん引力のみを伝達することができる一方向性結合手段が、レバーシステムと校正レバーとの間に配置される、力伝達機構の別の実施形態を有する秤量セルを概略的に示す側面図である。
【図3】荷重受容部分に作用する力を低減するために、荷重受容部分と測定変換器との間に2つのレバーを有するレバーシステムを含む力伝達機構であって、圧縮力のみを伝達することができる一方向性結合手段が、2つのレバーの第2の結合要素と校正レバーとの間に配置される、力伝達機構の別の実施形態を有する秤量セルを概略的に示す側面図である。
【図4】荷重受容部分に作用する力を低減するために、荷重受容部分と測定変換器との間に2つのレバーのレバーシステムを含む力伝達機構であって、けん引力のみを伝達することができる平行案内結合手段が、2つのレバーの第2の結合要素と校正レバーとの間に配置される、力伝達機構の別の実施形態を有する秤量セルを概略的に示す側面図である。
【図5】荷重受容部分に作用する力を低減するために、荷重受容部分と測定変換器との間に3つのレバーのレバーシステムを含む力伝達機構であって、けん引力のみを伝達することができる平行案内結合手段が、レバーシステムと校正レバーとの間に配置される、力伝達機構の別の実施形態を有する秤量セルを概略的に示す側面図である。
【図6】荷重受容部分に作用する力を低減するために、荷重受容部分と測定変換器との間にレバーシステムを含む力伝達機構であって、けん引力のみを伝達することができる一方向性結合手段が、レバーシステムと校正レバーとの間に配置され、校正レバーが、荷重受容部分に直接取り付けられる、力伝達機構の別の実施形態を有する秤量セルを概略的に示す側面図である。
【図7】けん引力のみを伝達することができる一方向性結合手段の一実施形態を示す図である。
【図8】圧縮力のみを伝達することができる一方向性結合手段の一実施形態を示す図である。
【図9】けん引力のみを伝達することができる平行案内結合手段の一実施形態を示す図である。
【図10】圧縮力のみを伝達することができる平行案内結合手段の別の実施形態を示す図である。
【図11】けん引力のみを伝達することができる平行案内結合手段の一実施形態を示す図である。
【図12】圧縮力のみを伝達することができる平行案内結合手段の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、力伝達機構110の一実施形態を含む秤量セル100を概略的に示す。力伝達機構110は、固定部分11および荷重受容部分12を含む。荷重受容部分12は、固定部分11に連結され、第1の平行案内部材14および第2の平行案内部材15により平行移動で案内される。校正レバー120は、支点113により荷重受容部分12上で回転可能に支持される。支点113および力伝達機構110の回転軸継手のすべては、大きい円形ドットとして示され、従来の任意の設計により実現することができる。これらの回転軸継手は、通常、狭い可撓性材料接続部として構成される。
【0037】
荷重受皿40は、秤量皿の形態で荷重受容部分12に接続する。さらに、力を表す秤量信号を生成する能力を有する測定変換器30が、固定部分11上に堅固に取り付けられる。この図内の測定変換器30は、コイル31および永久磁石を有する磁石システム32、ならびに位置センサ33を含む。磁石システム32は、固定部分11に堅固に接続され、測定すべき力は、磁石システム32内の無接触浮遊位置に配置されるコイル31に作用する。コイル31に作用する力により、コイル31は、磁石システム32に対して運動し、この変位が、位置センサ33により検出される。位置センサ33により生成される信号は、作用した力にかかわらず磁石システム32に対するコイル31の原点位置を回復するように、コイル31を流れる電流を継続的に調整する、電子制御回路(図面に示さず)に送られる。コイル31を流れる電流が測定され、得られた原測定信号は、表示器に送られ表示される測定値を生成するように、秤量電子装置により処理される。当然、本明細書に示す測定変換器30は、例えば、振動弦変換器、誘導性および容量性測定変換器、歪ゲージベースの変換器などの、他の測定変換器に置き換えることもできる。
【0038】
測定変換器30は、荷重受容部分12に作用する力の平衡を保つように限定された相殺力のみを生成することができるので、1つまたは複数のステージを有するレバー配置は、測定すべき力を低減するための多くの場合に使用される。このレバー配置は、その力伝達機能を遂行するように、荷重受容部分12と測定変換器30との間に置かれる。図1に示すレバー配置は、レバー16を有し、レバー16は、固定部分11上に回転可能に支持され、その短レバーアーム17が第1の結合要素19により荷重受容部分12に接続される。レバー16の長レバーアーム18は、コイル31に接続される。
【0039】
力伝達機構110は、校正レバーをさらに含み、校正レバーは、支点113を介して荷重受容部分12上に回転可能に取り付けられ、その第1の校正レバーアーム121は、校正錘23に堅固に接続される。この場合、校正錘23は、荷重受容部分12の貫通開口部135内に配置される。本実施形態では、第1の平行案内結合部分125および第2の固定結合部分126を含む平行案内結合手段124により、校正錘23の重力を伝達する機能が遂行される。第1の結合部分125は、この場合には可撓性回転軸を含む2つの平行要素により、第2の校正レバーアーム122に接続され、固定結合部分126は、レバーアーム17に接続され、したがって、平行案内結合手段124が、レバー16と第2の校正レバーアーム122との間に配置される。
【0040】
図1に示すように、校正錘負荷装置50は、荷重受容部分12に堅固に取り付けられ、そのカムディスク51の位置に応じて、荷重受容部分12上の支持位置で校正錘23を保持し、または校正錘23を解放する。本明細書に示す校正錘負荷装置は、カムディスク51によってここに示す、自己抑制偏心器を含むことが好ましい。支持状態では、第1の平行案内結合部分125および第2の固定結合部分126は、互いに遮断されている。校正錘負荷装置50の解放状態では、2つの結合部分125、126は、校正錘23の重力がレバーアーム17、18を介して測定変換器30のコイル31に伝達されるように、互いに横たわっている。図1の実施形態では、校正錘負荷装置50は、荷重受容部分12の外側に配置される。この配置は、一方では、磁場の良好な遮蔽を必要とするが、他方では、校正錘負荷装置50は、例えば、カムディスク51を有する偏心器として実現され、または、図1に示すように校正錘負荷装置50を基本的には秤量セル100の外側、具体的には力伝達機構110の外側に配置することができるように、適切な結合部を介して校正錘23に接続することができるので、校正錘負荷装置50のより柔軟性のある設計を可能にする。
【0041】
概略図からはっきりわかるように、校正錘23の解放状態では、第2の固定結合部分126が第1の平行案内結合部分125に対して押され、測定変換器30により生成される反力と反対に作用するので、平行案内結合手段124は、圧縮力のみを伝達することができる。
【0042】
平行案内結合手段124は、平行案内機構を用いることなく、結合部分の変位に伴う横方向の力を吸収するように働くが、それは、この場合、相対水平変位が、回転半径の差によりレバー支点で互いに反対の反力を発生させることができるためである。これらの横方向の力は、平行案内結合手段124、具体的には平行案内結合部分125により吸収される。
【0043】
図2は、力伝達機構210の別の実施形態を有する秤量セル200を側面図で概略的に示す。図7に詳細を示す一方向性結合手段224は、けん引力を伝達するように設計され、本実施形態の校正錘23は、レバー支点213を介して荷重受容部分12に接続される。校正錘23を結合する機能、すなわち、校正錘23を結合状態と非結合状態との間で動かす機能は、先に図1で示したカムディスクを有する校正錘負荷装置50、または、例えば外部から結合することができる駆動源により行うことができる。校正錘負荷装置には、力伝達機構210の平行案内部14、15を介して、制御命令などの電流および/または電気信号を供給することができる。実際には、このことは、力伝達機構210の本来の機能性に影響を及ぼさないように、例えば、平行案内部14、15の表面上に直接導電性トラック(図には示さず)を置くことにより実現することができる。別の可能性として、電流および/または信号は、荷重受容部分12と固定部分11との間に配置される細線を介して伝達することもできる。
【0044】
図2の校正レバー220は、第1の校正レバーアーム221および第2の校正レバーアーム222を有し、第1の校正レバーアーム221は、校正錘23から支点213まで延び、第2の校正レバーアーム222は、支点213と一方向性結合手段224の第1の結合部分225との間に延びる。
【0045】
一方向性結合手段224は、その解放状態で互いに接触しない第1および第2の結合部分225、226を有する。校正錘23が解放され、けん引力が2つの結合部分225、226を介してレバー16の長レバーアーム18に伝達されることが必要になると直ちに、第1の結合部分225は、わずかに相対変位し、第2の結合部分226と接触する。
【0046】
図3は、荷重受容部分12に作用する力を低減するために、荷重受容部分12と測定変換器30との間に2つのレバー336、337を有するレバーシステムを含む力伝達機構310の別の実施形態を有する秤量セル300を側面図で概略的に示す。図3に示す要素のいくつかは、同様に、以上の図面の要素と類似しており、したがって、同じ参照符号を持ち越し、すなわち、説明で再び言及しない。第1のレバー336は、力伝達結合要素334により第2のレバー337に連結される。圧縮力のみを伝達するように設計される一方向性結合手段324は、結合要素334と、荷重受容部分12に回転可能に接続される校正レバー320との間に配置される。結合手段324の第1の結合部分325は、第2のレバー337に接続され、第2の結合部分326は、校正レバー320に接続される。
【0047】
測定変換器30の交換を容易にするために、固定部分11は、測定変換器30を平行案内部14、15から見て外側を向く固定部分11の側面上に配置することができるように、第2のレバー337が貫通する通路開口部335を有する。
【0048】
図4は、図3と同様に、荷重受容部分12に作用する力を低減するために、荷重受容部分12と測定変換器30との間に2つのレバー436、437を有するレバーシステムを含む力伝達機構410の別の実施形態を有する秤量セル400を側面図で概略的に示す。図4に示す要素のいくつかは、同様に、以上の図面の要素と類似しており、したがって、同じ参照符号を持ち越し、すなわち、説明で再び言及しない。第1のレバー436は、力伝達結合要素434により第2のレバー437に連結される。けん引力のみを伝達するように設計される平行案内結合手段424は、結合要素434と、荷重受容部分12に回転可能に接続される校正レバー420との間に配置される。平行案内結合手段424の固定結合部分426は、結合要素434に接続され、平行案内結合部分425は、校正レバー420に接続される。
【0049】
平行案内結合手段424は、無負荷状態で接触することなく互いに近づく、平行案内結合部分425および固定結合部分426を含む。固定結合部分426から平行案内結合部分425に、したがってレバー436にけん引力を伝達するようにする校正錘23が、解放されると直ちに、固定結合部分426は、2つの部分が規定の短変位径路に沿って互いに運動した後、平行案内結合部分425と係合する。
【0050】
例示する実施形態では、結合要素434および横方向に接続する平行案内結合手段424のそれぞれの力の作用線間の偏差は、レバー436、437の支点460、461において反力を発生させるトルクを導く。したがって、2つの作用線が互いに一致する、図5に関して説明する種類の解決策が好ましい。さらに、このトルクは、図3などに示す結合手段の適切な選択により補償することができる。
【0051】
図4の実施形態では、校正錘23からレバー436に伝達されるけん引力は、荷重受用部40上に配置される荷重により生成された、測定すべき力と同じ効果を有する。
図5は、力伝達機構510の別の実施形態を有する秤量セル500を側面図で概略的に示す。力伝達機構510は、荷重受容部分12に作用する力を低減するために、荷重受容部分12と測定変換器30との間に3つのレバー536、537、538を有するレバーシステムを含む。既に図3および4に示し、上述したように、第1のレバー536は、第2の結合要素539により第2のレバー537に連結され、第2のレバー537は、第3の結合要素529により第3のレバー538に連結され、力伝達接続部を構築する。けん引力のみを伝達するように設計される平行案内結合手段524は、レバーシステムと校正レバー520との間に配置される。力は、第1のレバー536を第2のレバー537に接続する第2の結合要素539に導かれ、平行案内結合手段524は、図4のような平行配置ではなく、むしろ、第2の結合要素539と直列に配置される。直列配置は、図4に示す結合要素434の場合のように、校正プロセス中にトルクが第2の結合要素539に働く欠点を回避する。
【0052】
当然、校正錘23は、力伝達機構610の別の実施形態を有する秤量セル600の側面図を示す図6に示すように、荷重受容部分12上に、より直接作用するように設計することもできる。校正レバー620および一方向性結合手段624を除いて、図示する要素のすべては、図1の要素と類似しており、したがって、以下の説明で再び触れない。レバー配置は、荷重受容部分12と測定変換器30との間に配置されるレバー16を含む。一方向性結合手段624を介して固定部分11に回転可能に接続される、校正錘23を有する校正レバー620は、(秤量セル600の動作位置の関係で)荷重受容部分12の下に配置される。校正レバー620は、支点回転軸613により荷重受容部分12上に支持される。
【0053】
校正レバー620から荷重受容部分12への力の伝達は、けん引力を伝達するように設計される一方向性結合手段624により起こる。本実施形態では、第1の結合部分625は、校正レバー620に接続され、第2の結合部分626は、荷重受容部分12に接続される。校正レバー620の第2のレバーアーム622が、第1の校正レバーアーム621に対して短くなるほど、一方向性結合手段624を介して荷重受容部分12に伝達される校正力は、大きくなる。
【0054】
当然、図6の例の配置は、CH593481A5またはEP1726926A1などに開示されるように、測定すべき力が直接導かれるシステムと組み合わせて使用することもできる。この場合、校正錘23は、支点回転軸613が荷重受容部分12に取り付けられることを図6に示すように、結合手段624を介して測定システムに直接結合される。
【0055】
図7〜12は、図1〜6に示す秤量セルの力伝達機構内に配置することができる平行案内結合手段の様々な実施形態を示す。結合手段は、けん引力の伝達または圧縮力の伝達のために、平行案内結合手段または一方向性結合手段として構成することができる。結合手段は、力を伝達するために、互いに接触係合することができる第1および第2の結合部分を含む。本発明によれば、結合手段は、校正レバーと力伝達機構のレバーシステムとの間に配置される。
【0056】
図7は、その動作位置で、けん引力のみを伝達するように設計される一方向性結合手段の一実施形態を示す。第1の結合部分725は、第1の可撓性回転軸764を介して、力伝達機構の荷重受容部分またはレバーシステム(断片的にのみ示す)に接続される。第1の結合部分725の懸吊位置のために、第1の可撓性回転軸764は、極めて細長い形状を有することができる。第1の結合部分725は、第1のけん引要素746をさらに含む。
【0057】
第2の結合部分726は、第2の可撓性回転軸765を介して校正レバー720(断片的にのみ示す)に接続される。第2の可撓性回転軸765がその直立位置に留まるように、第2の可撓性回転軸765は、第1の可撓性回転軸764よりも強い弾性定数、したがってより大きい比率を有する必要がある。第2の可撓性回転軸765が、力伝達機構の動作状態に合わせて適切に設計されるとき、第2の結合部分726は、それ自体の重さの下で、または動作中に生じる慣性力および動的な力の結果としては撓まない。
【0058】
第2の結合部分726は、第2のけん引要素747を含む。第2の可撓性回転軸765から第1の可撓性回転軸764に伝達すべき力があるとき、第1のけん引要素746は、わずかな相対変位の後、第2のけん引要素747と係合する。けん引力のさらにより確実な伝達を行うように、第1のけん引要素746は、突起部743を有することができ、第2のけん引要素747は、受座749を有することができる。第1のけん引要素746および第2のけん引要素747が互いに係合すると直ちに、突起部743および受座749は、それらが形成される方法のために、互いに自己心合わせされ、突起部743は、受座749と力伝達接触をする。
【0059】
図8は、その動作位置で圧縮力のみを伝達することができる一方向性結合手段の可能性のある構造を示す。第1の結合部分825は、第1の可撓性回転軸864により、断片的に示す荷重受容部分、または力伝達機構のレバーシステムに接続される。
【0060】
第2の結合部分826は、第2の可撓性回転軸865により、断片的に示す校正レバー820に接続される。校正プロセス中に伝達される力が圧縮力であり、結合手段の2つの部分825、826が荷重の下で留まることが許されない可能性があるとき、一方向性結合手段は、本質的に安定している必要がある。第2の結合部分826は、第1の結合部分825に面する表面866を有し、2つの突起部843が表面866から立ち上がり、2つの突起部843は、第2の可撓性回転軸865の中心長手方向軸Xに関して鏡面対称に配置される。さらに、第1の結合部分825は、第2の結合部分826に面する2つの接触領域867を有し、したがって、2つの突起部843のそれぞれがそれ自体、接触領域867の一方に着座することができる。したがって、この構造は、2つの接触位置をもたらし、2つの接触位置は、2つの可撓性回転軸864、865の中心長手方向軸Xに垂直な平面内にあり、一方向性結合要素に本質的な安定性を与え、圧縮力を伝達するその機能を果たす。
【0061】
図8に示すように、この構成により、第1の結合部分825および第2の結合部分826は、校正プロセス中に互いに位置合わせすることができる。したがって、可撓性回転軸864、865の中心長手方向軸Xと垂直な変位を防止することができる。2つの結合部分の位置合わせ機能を果たすように、第1の結合部分825の2つの接触領域867は、互いに鈍角で傾斜する。しかし、一方向性結合手段の本質的な安定性の要求を満たすように、接触領域867の傾斜角度は、一定の制限値内にある必要がある。
【0062】
接触領域867の傾斜角度の制限値は、一方向性結合手段の幾何形状に依存し、重要な要素は、接触表面領域867の一方と可撓性回転軸864の中心長手方向軸Xとで囲まれる角度αである。決定的なパラメータは、可撓性回転軸の中心長手方向軸Xからの、接触点すなわち突起部843の垂直距離b、ならびに接触表面領域867上の接触点と第1の可撓性回転軸864の回転軸Yとの間の距離sである。
χ=arcsin(b/s)
α=(90°−χ)=arcos(b/s)
角度αは、以下の制限値内にある必要がある。
90°≧α≧arcos(b/s)
以上に与える角度αの定義によれば、接触点を介して伝達される力の作用線Wが、第1の結合部分825内で互いに交差しないとき、本質的な安定性の条件が満たされる。極限の場合α=arcos(b/s)を図8に示す。
【0063】
図9は、平行案内結合手段の一実施形態を示し、第1の平行案内結合部分925は、支え部を有する第2のけん引要素947を含み、第2の固定結合部分926は、突起部を有する第1のけん引要素946を含み、結合部分925、926は、力を伝達するために互いに係合することができる。この図面の平行案内結合部分925は、板ばねとして構成される2つの平行要素927、928を含む。
【0064】
図10は、圧縮力のみを伝達するように設計される平行案内結合手段の可能性のある構成を示す。平行案内結合手段は、第2の固定結合部分1026と、互いに平行に配置される2つの平行要素1027、1028を有する第1の平行案内結合部分1025とを含む。平行要素1027、1028は、この場合、案内部材として構成され、それぞれが2つの可撓性回転軸を有するが、平行案内要素の他のどんな従来の構造でも代わりに使用することができる。平行要素1027、1028の幾何学的配置により、平行要素1027、1028は、平行案内結合手段を介して力が伝達されるときに生じる可能性がある横方向の力を吸収することができる。
【0065】
校正プロセス中に伝達される力が圧縮力であり、結合手段の2つの部分1025、1026が荷重の下で留まることが許されない可能性があるとき、平行案内結合部分1025は、本質的に安定している必要がある。固定結合部分1026は、平行案内結合部分1025に面する表面を有し、2つの突起部は、2つの平行要素1027、1028間の中心長手方向軸に関して鏡面対称に配置される第1の接触位置1044を表す。さらに、平行案内結合部分1025は、2つの第2の接触位置1045を有し、第2の接触位置1045は、固定結合部分1026に面し、第1の接触位置1044それ自体は、力伝達接触するために第2の接触位置1045に着座する。したがって、この構造は、接触位置1044、1045をもたらし、接触位置1044、1045は、2つの平行要素1027、1028の中心長手方向軸Xに垂直な平面内にあり、校正力が結合手段の2つの部分1025、1026間で伝達されるとき、結合手段の2つの部分1025、1026を互いに中心に配置するように働く。
【0066】
図10に示すように、この構成により、平行案内結合部分1025および固定結合部分1026は、校正プロセス中に互いに位置合わせすることができる。この構成により、平行要素1027、1028の中心長手方向軸Xに垂直な変位を防止することができる。2つの結合部分の位置合わせ機能を果たすように、平行案内結合部分1025上の2つの第2の接触位置1045は、互いに鈍角で傾斜する。
【0067】
図11は、平行案内結合部分1125および固定結合部分1126を有する別の平行案内結合手段を示す。平行案内結合部分1125は、凹部の形態の第2のけん引要素1147を含み、第2のけん引要素1147は、受座として機能し、狭い材料接続部の形態の可撓性回転軸を有する2つの平行要素1128、1127間の中間点に位置する。結合手段の固定結合部分1126は、突起部と同様に機能し、この場合に球体または棒状体として構成される第1のけん引要素1146を含む。第1のけん引要素1146は、接続具要素1152により固定結合部分1126に接続されるが、接続具要素1152は、基本的に、自由運動を可能にする間隙を有する平行案内結合部分1125の内部に配置される。2つのけん引要素を中心に位置合わせさせるために、平行案内結合部分1125内の通路孔1153は、けん引要素1146から見て外側を向く開口部において、固定結合部分1126上に形成される突起部1155が中に突起することができる凹部1154を有することができる。
【0068】
図9に戻れば、そこに示す第2のけん引要素は、図11の第2のけん引要素に関して説明したように、同様に、第1のけん引要素を含む結合部分内に少なくとも部分的に配置することができる。
【0069】
図12は、圧縮力を伝達することができる別の平行案内結合手段を示す。平行案内結合手段は、第2の固定結合部分1226および平行案内結合部分1225を含む。固定結合部分1226は、その自由端に接触位置1244が形成される一種の直立支柱を有する。支柱は、平行案内結合部分1225の2つの平行要素1227、1228間に配置される。力を伝達するように、接触位置1244は、平行案内結合部分1225上に配置される接触位置1245と接触することができる。
【0070】
第1および第2の平行要素が可撓性回転軸の板ばねとして示される、図9〜12に示した実施形態に加えて、一定の本質的な剛性または限定された回転範囲を有するものとして当業者に知られている、他の従来の構造を使用することができる。平行要素のこの特性は、特に、平行案内結合部分の直立構造の可撓性回転軸としてのそれらの実施形態において有利である。
【0071】
本発明を特定の例示的実施形態を提供することにより説明してきたが、例えば、実施形態の個々の例の特徴を互いに組み合わせることにより、および/または、実施形態間で個々の機能装置を交換することにより、本発明の教示に基づいて別のいくつかの変形形態を生み出すことができることは自明と考えられる。他の可能性のうち、本発明により提示される平行案内結合手段および/または一方向性結合手段により、互いに独立にレバー装置に結合することができる複数の校正錘などを含む、本発明の実施形態が考えられる。このことにより、例えば、秤量器の秤量範囲の所望の拡張をほぼ何でも実現することが可能になるであろう。当然、2つ以上の部分に分割され、互いに独立に操作することができる、結合手段、校正レバー、および校正錘を使用することもできる。校正レバーおよび校正錘が一体的に結合される実施形態も可能である。
【0072】
本発明の構成の別の利点は、校正錘が、校正レバーの支点から様々な距離で校正レバーアーム上に取り付けることができるとき、同じ部品を使用して、様々な荷重範囲をカバーすることができることから生じる。適切な設計により、校正錘と校正レバーの支点との間の正確な距離を調整するために、校正錘と校正レバーとの間に調整ねじを配置することも可能であろう。このことは、錘の正確な位置調整により校正力を設定することを可能にし、したがって、校正装置の様々な生成装置は、製作公差および不均一な材料により生じる相違にかかわらず、同じ校正力を有する。
【符号の説明】
【0073】
100、200、300、400、500、600 秤量セル
110、210、310、410、510、610 力伝達機構
11 固定部分
12 荷重受容部分
113、213、313、413、513、613 回転軸継手、支点
14 第1の平行案内部材
15 第2の平行案内部材
16 レバー
17 短レバーアーム
18 長レバーアーム
19 第1の結合要素
220、320、420、520、620、720、820 校正レバー
121、221、621 第1の校正レバーアーム
122、222、622 第2の校正レバーアーム
23 校正錘
124、224、324、424、524、624 結合手段
125、225、325、425、625、725、825、925、1025、1125、1225 第1の結合部分
126、226、326、426、626、726、826、926、1026、1126、1226 第2の結合部分
927、1027、1127、1227 第1の平行要素
928、1028、1128、1228 第2の平行要素
529 第3の結合要素
30 測定変換器
31 コイル
32 磁石システム
33 位置センサ
334、434 結合要素
335、435、535 貫通開口部
336、436、536 第1のレバー
337、437、537 第2のレバー
538 第3のレバー
539 第2の結合要素
40 荷重受容部
743、843 突起部
1044、1244 第1の接触位置
1045、1245 第2の接触位置
746、946、1146 第1のけん引要素
747、947、1147 第2のけん引要素
749 受座
50 校正錘負荷装置
51 カムディスク
1152 接続具要素
1153 通路孔
1155 突起部
460 支点
461 支点
764、864 第1の可撓性回転軸
765、865 第2の可撓性回転軸
866 表面/接触領域
867 着座領域/接触位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部分(11)と荷重受容部分(12)とを備え、前記荷重受容部分(12)は、力伝達接続部を介して、直接、または少なくとも1つの結合要素(19)および少なくとも1つのレバー(16、336、436、636)により、前記固定部分(11)上に配置される測定変換器(30)に接合される、重量測定器の力伝達機構(110、210、310、410、510、610)において、前記力伝達機構は結合手段(124、224、324、424、524、624)と校正レバー(220、320、420、520、620)とを備えており、前記校正レバーは、支点(113、213、313、413、513、613)、第1の校正レバーアーム(121、221、621)および第2の校正レバーアーム(122、222、622)を有し、前記第1の校正レバーアーム(121、221、621)は、校正錘(23)に堅固に接続され、さらに、前記結合手段(124、224、324、424、524、624)は、前記校正レバー(220、320、420、520、620)と前記少なくとも1つのレバー(16)との間に配置され、さらに、前記結合手段(124、224、324、424、524、624)は、第1の結合部分(125、225、325、425、525、625)および第2の結合部分(126、226、326、426、526、626)に分割され、さらに、けん引力のみ、または圧縮力のみを、前記第1の結合部分(125、225、325、425、525、625)と前記第2の結合部分(126、226、326、426、526、626)との間で伝達することができ、前記支点(113、213、313、413、513、613)は、前記荷重受容部分(12)上に支持されることを特徴とする、力伝達機構(110、210、310、410、510、610)。
【請求項2】
前記結合手段は、平行案内結合手段(924、1024、1124、1224)であり、その第1の結合部分(925、1025、1125、1225)が、互いに平行に配置される第1および第2の平行要素(927、1027、1127、1227、928、1028、1128、1228)を備え、その結果、前記結合手段(924、1024、1124、1224)を介する力の伝達において生じる横方向の相対運動が、前記第1および第2の平行要素(927、1027、1127、1227、928、1028、1128、1228)により吸収されることを特徴とする、請求項1に記載の力伝達機構。
【請求項3】
前記結合手段は、一方向性結合手段(224、324、624、724、824)であり、その第1の結合部分(225、325、625、725、825)が、第1の可撓性回転軸を備え、その第2の結合部分(226、326、626、726、826)が、第2の可撓性回転軸を備えることを特徴とする、請求項1に記載の力伝達機構。
【請求項4】
前記第1の結合部分(125、325、825、1025、1225)および前記第2の結合部分(126、326、826、1026、1226)はそれぞれ、圧縮力の伝達のために少なくとも1つの接触位置(1044、1244、1045、1245、866、867)を有し、前記第1および前記第2の結合部分の前記それぞれの接触位置は、互いに面することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の力伝達機構。
【請求項5】
前記2つの結合部分(725、925、1125、726、926、1126)の一方は、突起部を有する第1のけん引要素(746、946、1146)を備えるが、他方の結合部分(725、925、1125、726、926、1126)は、凹面支え部を有する第2のけん引要素(747、947、1147)を含み、前記第1のけん引要素(746、946、1146)および前記第2のけん引要素(747、947、1147)は、互いに伸び、けん引力が伝達されるとき、前記突起部が前記凹面支え部と接触することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の力伝達機構。
【請求項6】
前記力伝達機構の動作位置において、前記荷重受容部分(12)は、少なくとも1つの上側平行案内部(14)および少なくとも1つの下側平行案内部(15)により垂直運動案内のために前記固定部分(11)に連結されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の力伝達機構。
【請求項7】
前記校正錘(23)は校正錘負荷装置(50)に結合され、前記校正錘負荷装置は駆動源を備え、前記校正錘(23)を前記力伝達機構(110、210、310、410、510、610)の前記レバーシステムに結合し、それから解放することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の力伝達機構。
【請求項8】
前記校正錘負荷装置(50)は、前記荷重受容部分(12)上に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の力伝達機構。
【請求項9】
前記力伝達機構の前記平行案内部を介して、前記校正錘負荷装置(50)に、電流が供給され、および/または電気信号が伝達されることを特徴とする、請求項7または8に記載の力伝達機構。
【請求項10】
前記力伝達機構は、電流および/または電気信号が前記固定部分から前記荷重受容部分に伝達される細線を備えることを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の力伝達機構。
【請求項11】
前記校正錘負荷装置の前記駆動源は、自己抑制偏心器(51)を含むことを特徴とする、請求項7から10のいずれか1項に記載の力伝達機構。
【請求項12】
少なくとも前記荷重受容部分、前記固定部分、前記校正レバー、および前記結合手段は、一体的に接続されるユニットとして形成されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の力伝達機構。
【請求項13】
校正錘(23)を有する荷重受容部、および請求項1から12のいずれか1項に記載の力伝達機構(110、210、310、410、510、610)を含む、重量測定器。
【請求項14】
前記校正錘(23)の重力は、前記力伝達機構(110、210、310、410、510、610)により伝達することができ、その結果、前記重力は、前記荷重受容部分(12)に加えられる力と同じ方向で前記測定変換器(30)に作用することを特徴とする、請求項13に記載の重量測定器。
【請求項15】
前記校正錘(23)は、前記力伝達機構(110、210、310、410、510、610)と同じ材料から形成され、補助質量体は、密度の影響を補償するように前記校正錘(23)に接続され、および/または、前記重量測定器の周囲大気圧の測定用に、圧力センサが提供されることを特徴とする、請求項13または14に記載の重量測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−255780(P2012−255780A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−125701(P2012−125701)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland