説明

結合された高反応性硬質ポリウレタンフォーム

プレポリマー及びポリオール成分を、特定のカルバメート発泡剤の存在下で反応させること以外は、ポリウレタンフォームが製造され、開放キャビティを有する基体に結合される。この方法によって、音又は振動減衰のために及び構造強化のために、非常に速く硬化する良好な品質の接着性フォームを、例えば、車両部品及びアセンブリーの上に作ることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年3月11日付で出願された米国仮特許出願第60/552,321号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム、特に、自動車工業に於けるような、強化材料として有用である硬質ポリウレタンフォーム(発泡体)に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンフォームは、自動車及びその他の工業に於いて、多くの目的のために使用されてきた。例えば、硬質フォームは、構造的強化、腐食の防止並びに音及び振動の減衰のために使用されてきた。これらのフォームは、典型的に、反応性フォーム配合物を部品に適用し、そして現場で配合物を発泡させることによって形成される。この部品は、しばしば、フォームを適用するとき、車両の上に既に組み立てられている。このことは、フォーム配合物が、混合し、付与することが容易でなくてはならず、それが部品から流れ去る前に急速に硬化しなくてはならず、そして好ましくは適度な温度で硬化を開始しなくてはならないことを意味する。作業者の化学薬品曝露を最小にするために、この配合物は、好ましくは、揮発性有機化合物、特に揮発性イソシアネート及びアミンが低い。個々の成分は、好ましくは、室温で長期間貯蔵安定性である。
【0004】
これらの応用のための一つの発泡システムは、特許文献1に於いてRizkらによって記載されているプレポリマーをベースにしている。この特許に記載されているプレポリマーは、イソシアネートを単官能性アルコール及びポリオールと反応させることによって製造する。フォームは、このプレポリマーを水と反応させることによって、このプレポリマーから製造する。このアプローチを使用して良好な品質の硬質フォームを製造することができるが、これは幾つかの欠点を有する。第一に、このプレポリマーは水流で硬化するので、反応剤(プレポリマー及び水)の体積比が、15:1以上のようにしばしば非常に高い。市販の付与装置の大部分は、このような高い成分比を取り扱うことができない。第二に、このシステムで十分に速い反応を得るために、成分を80℃又はそれ以上の温度にまで予熱することが、しばしば必要である。これは、エネルギーコストを増加させ、作業者を高温度反応剤に曝露し、そしてシステムの粘度を低下させ、それによって流出を促進する。
【0005】
特許文献1のシステムを改良又は修正するためのアプローチが、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載されている。これらのアプローチには、より低い硬化温度を可能にするための特別のアクリレート又はメタクリレート官能性材料の使用及び密度と圧縮強度とをバランスさせるための中空微小球の使用が含まれる。
【0006】
継続する要望は、ポリウレタンシステムが硬化する速度を更に増加させることである。速い硬化は、フォーム配合物を基体に適用したとき流れ去る前に、フォーム配合物を固定させるので、より速い硬化によって、より低い粘度の成分を使用することが可能になる。より速い硬化の達成は、所望のフォーム密度及び必要な物理的特性の犠牲でなされてはならない。更に、成分の比は、望ましくは、混合及び付与を単純化するために1:5〜5:1の範囲内である。
【0007】
非常に急速な硬化は、触媒レベルを上昇させること及び/又はより高い反応性の成分を使用することによって得ることができる。これらのアプローチに伴う問題点は、それらが発泡反応及びゲル化反応の配列を混乱させることである。これは、フォームが、予想よりも高い密度、劣った物理的特性及び幾らか不完全な硬化を有する原因になる。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,817,860号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第WO02/079340A1号明細書
【特許文献3】国際特許出願公開第WO03/037948A1号明細書
【特許文献4】米国特許第6,541,534号明細書
【特許文献5】米国特許第6,423.755号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、良好な品質の硬質フォームにまで非常に急速に硬化する硬質ポリウレタンシステム、特に、より低い体積比で適用することができ、そして適度な操作温度で適用することができるものを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの面に於いて、本発明は、開放キャビティを有する基体(substrate)に結合された硬質ポリウレタンフォームの形成方法であって、ポリイソシアネート成分をポリオール成分と、発泡剤及び少なくとも1種の、ポリオールとポリイソシアネートとの反応用触媒の存在下に、混合する工程、得られた混合物を基体の上に分配する(dispense)工程並びにこの混合物を、それを硬化させて、基体に接着性である、3〜40ポンド/立方フート(48〜640kg/m3)の嵩密度を有するフォームを形成させるために十分な条件に付す工程を含んでなり、
(a)ポリイソシアネート成分が、少なくとも1種の、複数個の遊離イソシアネート基を有する化合物を含有し、
(b)ポリオール成分が、少なくとも約2.0の平均官能度を有し、そして少なくとも1種のポリオールを含有するイソシアネート反応性材料を含有し、そして
(c)ポリイソシアネート成分のポリオール成分に対する体積比が、5以下:1で且つ1以上:5であり、
(d)ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の、ポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数に対する比が、約0.7:1〜約1.5:1であり、
(e)発泡剤にアルカノールアミンのカルバメートが含まれ、そして
(f)混合物のクリーム時間(cream time)が2秒間未満である硬質ポリウレタンフォームの形成方法である。
【0011】
本発明の方法は、なお、配合物を非常に急速に良好な品質のフォームにしながら、硬質ポリウレタンフォームを、便利な混合比で、そして適度の操作温度で製造することができる方法を提供する。この方法及び得られるフォームは、それが、強化が必要である現場で容易に発泡されるので、特に自動車応用のために、現場発泡強化又は音若しくは振動減衰フォームを製造するために特に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に於いて、ポリウレタンフォーム配合物は、開放キャビティを有する基体の上に分配される(dispense)。「開放キャビティ」によって、フォームが反応し、膨張し、そして硬化するとき、その中にポリウレタンフォーム配合物が付与される基体の部分が、大気に対して開いていることが意味される。用語「キャビティ」は、大気に対して開いていること以外に、何も特別の形状又は配置を暗示することを意図しない。「キャビティ」は、実質的に平らな領域、湾曲した領域、部分内の中空空間又は他の適当な形状であってよい。このキャビティは、その形状又は配置のために、流体を保有できないものであってよい。
【0013】
関心の基体は、接着性ポリウレタンフォームを結合することが望まれている任意の部品又はアセンブリーである。特に関心のあるものの中には、車両部品及びアセンブリー、特に、構造強化、振動減衰又は音減衰が望まれる、自動車及びトラック部品及びアセンブリーがある。このような車両部品の例には、ピラー、ロッカー、敷居、セイル、カウル、プレナム、シーム、フレームレール、車両サブアセンブリー、ハイドロ−フォームド部品(hydro-formed parts)、クロスカービーム及びエンジンクレイドル(engine cradles)が含まれる。これらは、フォーム配合物を適用し、発泡させるとき、車両又は車両フレームの上に組み立てることができる。
【0014】
フォーム配合物には、下記のような、ポリイソシアネート成分、イソシアネート反応性成分、触媒及びカルバメート発泡剤が含まれる。
【0015】
ポリイソシアネート成分には、少なくとも1種の有機ポリイソシアネート化合物が含まれる。適当なポリイソシアネート化合物には、芳香族、脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートが含まれる。コスト、入手性及び特性に基づいて、芳香族ポリイソシアネートが一般的に好ましいが、光に対する安定性が重要である場合には、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。代表的ポリイソシアネート化合物には、例えばm−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の種々の異性体、所謂ポリマー性MDI製品(これは、モノマー性MDI中のポリメチレンポリフェニレンイソシアネートの混合物である)、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI(H12 MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタンジイソシアネート、水素化ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート並びに4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートが含まれる。特に適当なポリマー性MDI製品は、約5〜約40重量%、更に好ましくは約10〜約25重量%の遊離MDI含有量を有し、そして約2.7〜4.0、更に好ましくは約2.8〜約3.4の平均官能度(1分子当たりのイソシアネート基の数)を有する。このようなポリマー性MDI製品は、ザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から商品名パピ(PAPI)(登録商標)で入手できる。
【0016】
揮発性有機化合物のレベルを低下させ、成分粘度を上昇させ、そして体積比のバランスをとるために、好ましいポリイソシアネートは、過剰の前記のような有機ポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとから製造されるイソシアネート末端停止プレポリマーである。このプレポリマーは、有利には、約150から、好ましくは約175から、約500まで、好ましくは約350まで、更に好ましくは約250までのイソシアネート当量を有する。これらのイソシアネート当量は、約28〜8.4重量%、好ましくは、24〜12重量%、更に好ましくは約24〜16.8重量%のNCO含有量に相当する。
【0017】
イソシアネート末端停止プレポリマーを製造する際に使用されるポリオール(群)は、1分子当たり、少なくとも約2、有利には約2〜約6、特に約2〜約3、なお更に特に約2〜約2.5のヒドロキシル基の平均官能度を有する。ヒドロキシル基当たりの当量は、プレポリマーが所望の当量を有する限り、広く変化してよい。それぞれのポリオールの当量は、約31〜1500又はそれ以上の範囲内であってよいが、好ましくは約500以下、更に好ましくは約300以下、なお更に好ましくは約200以下である。
【0018】
イソシアネート末端停止プレポリマーを製造する際に使用するための適当なポリオールには、アルキレングリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、グリコールエーテル(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)、グリセリン、トリメチロールプロパン、第三級アミン含有ポリオール、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン並びにエチレンジアミン、トルエンジアミン等のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のような化合物が含まれる。適当なポリエーテルポリオールの中には、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び1,2−ブチレンオキシド又はこのようなアルキレンオキシドの混合物のポリマーがある。好ましいポリエーテルは、ポリプロピレンオキシド又はプロピレンオキシドと少量(約12重量%以下)のエチレンオキシドとの混合物のポリマーである。これらの好ましいポリエーテルは、約30重量%以下のエチレンオキシドでキャッピングすることができる。
【0019】
ポリエステルポリオールもプレポリマーを製造する際に適している。これらのポリエステルポリオールには、オリオール、好ましくはジオールと、ポリカルボン酸又はその無水物、好ましくはジカルボン酸又はジカルボン酸無水物との反応生成物が含まれる。このポリカルボン酸又は無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環式であってよく、そして例えばハロゲン原子によって置換されていてよい。ポリカルボン酸は不飽和であってよい。これらのポリカルボン酸の例には、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸無水物、無水フタル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物及びフマル酸が含まれる。ポリエステルポリオールを製造する際に使用されるポリオールは、好ましくは、約150以下の当量を有し、そしてエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,4−及び2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール等を含む。ポリカプロラクトンポリオール、例えば、ザ・ダウ・ケミカル社によって商品名「トーン(Tone)」で販売されているものも有用である。
【0020】
プレポリマーを製造するための好ましいポリオールは、アルキレングリコール、約75以下の当量のグリコールエーテル、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン及び約200以下の当量のポリ(プロピレンオキシド)ポリオールである。
【0021】
プレポリマーを製造するために、ポリイソシアネート化合物及びポリオールに加えて、アクリレート(CH2=CH−C(O)−)又はメタクリレート(CH2=C(CH3)−C(O)−)基及びイソシアネート反応性ヒドロキシル基を含有する、ヒドロキシ官能性アクリレート及びメタクリレートを使用することができる。適当なヒドロキシ官能性アクリレート及びメタクリレートには、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシ−n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−n−ブチルメタクリレート、4−ヒドロキシ−n−ブチルメタクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸のポリ(オキシエチレン)−及び/又はポリ(オキシプロピレン)−エステル(但し、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基の数は、好ましくは、約2〜約10である)等が含まれる。上記のものの中で、特に、ポリオール成分に第一級アミン化合物が含まれるとき、メタクリレートが好ましい。HEMAが特に好ましい。ヒドロキシ官能性アクリレート又はメタクリレート(存在するとき)のポリオールに対する当量比は、有利には約0.5:1から、好ましくは約0.75:1から、そして更に好ましくは約1.25:1から、約4:1まで、好ましくは約3:1まで、なお更に好ましくは約2:1までである。
【0022】
出発有機ポリイソシアネートの当量に対する、ヒドロキシ官能性アクリレート又はメタクリレート(存在する場合)にポリオール(群)を加えた当量の合計数は、有利には、プレポリマーが、前記のようなイソシアネート当量を有するようなものである。
【0023】
プレポリマーは、有機ポリイソシアネート、ポリオール(及び使用する場合、ヒドロキシ官能性アクリレート又はメタクリレート)を混合し、そしてこの混合物を、イソシアネートとヒドロキシル基とが反応してプレポリマーを生成するような条件に付すことによって便利に製造される。一般的に、この反応時間は少なくとも約10分間〜最大約48時間である。混合及び反応工程の温度は、大きい範囲に亘って変えることができるが、一般的に、反応剤が分解せず、如何なるアクリレート又はメタクリレート基も、如何なる顕著な程度までにも重合せず、そして反応が実施可能な速度で進行するように制限される。好ましい温度は約25〜75℃である。反応剤は、一般的に、乾燥雰囲気下で、そして好ましくは、窒素又は他の不活性雰囲気下で接触される。ヒドロキシル官能性アクリレート又はメタクリレートが存在する場合、アクリレート及び/又はメタクリレート基の重合を促進する遊離基開始剤のような物質の不存在及び条件下でプレポリマーを製造することが好ましい。
【0024】
プレポリマーを製造する際に、触媒が使用してよく、好ましくは使用する。適当な触媒には、米国特許第4,390,645号明細書(引用して本明細書に含める)に記載されているものが含まれる。代表的触媒には、(a)第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン、4,4′−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス及びトリエチレンジアミン;(b)第三級ホスフィン、例えばトリアルキルホスフィン及びジアルキルベンジルホスフィン;(c)種々の金属のキレート、例えばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等と、金属、例えばBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co及びNiとから得ることができるもの;(d)強酸の酸性金属塩、例えば、塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス及び塩化ビスマス;(e)強塩基、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド及びフェノキシド;(f)種々の金属のアルコラート及びフェノレート、例えば、Ti(OR)4、Sn(OR)4及びAl(OR)3(式中、Rは、アルキル又はアリールである)並びにこのアルコラートとカルボン酸、β−ジケトン及び2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルコールとの反応生成物;(g)有機酸と種々の金属、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Ni及びCuとの塩、例えば、酢酸ナトリウム、第一スズオクトエート(stannous octoate)、オレイン酸第一スズ、鉛オクトエート、金属乾燥剤、例えば、ナフテン酸マンガン及びナフテン酸コバルトを含む並びに(h)四価のスズ、三価及び五価のAs、Sb及びBiの有機金属誘導体並びに鉄及びコバルトの金属カルボニルが含まれる。
【0025】
触媒は、典型的には少量で使用する。例えば、プレポリマー組成物を製造する際に使用する触媒の全量は、約0.0015〜約5重量%、好ましくは約0.01〜約1重量%であってよい。
【0026】
ポリイソシアネート成分には、可塑剤が含有されていてよい。可塑剤は、また、プレポリマーが製造された後に添加することができ又はその生成の間に存在していてもよい。可塑剤は、幾つかの機能、例えば、プレポリマー粘度を低下させて、加工し及び取り扱うことが容易なようにすること、発泡反応の速度を修正すること又は得られるポリウレタンフォームの物理的特性を軟質化若しくは他の方法で修正することを実施することができる。可塑剤は、一般的に、有機ポリイソシアネート、ポリオール及び(使用する場合)ヒドロキシ官能性アクリレート又はメタクリレートと反応する基を有していない。可塑剤の例には、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル及びフタル酸エステルの混合物、例えば、BASF社(BASF Corporation)、ニュージャージー州マウントオリーブ(Mt. Olive)により、商品名プラチノール(PLATINOL)(登録商標)(例えば、プラチノール(登録商標)79P)で販売されているもの)、リン酸エステル(例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル及びリン酸クレジルジフェニル)、塩素化ビフェニル並びに芳香族油、例えば、ビカル(VYCUL)(登録商標)U−V(クロウリー・ケミカルズ社(Crowley Chemicals)によって販売されている)及びジェイフレックス(Jayflex)(登録商標)L9P(エクソン・ケミカルズ社(Exxon Chemicals)によって販売されている)が含まれる。使用するとき、可塑剤の量は、所望するフォーム特性に依存する広範囲に亘る範囲であってよい。一般的に、存在するとき、可塑剤は、ポリイソシアネート組成物の、約1〜最高約50重量%、好ましくは、約15〜約45重量%の範囲内である。
【0027】
プレポリマー組成物は、また、米国特許第4,390,645号明細書(引用して含める)に記載されているもののような界面活性剤の存在下で製造することができる。界面活性剤は、典型的には、所望する場合、プレポリマーを製造する際に使用する他の成分を相容化することを助けるために使用される。更に、界面活性剤は、プレポリマーからフォームを形成する際に有利な役割を演じるものであってよい。界面活性剤の例には、非イオン性界面活性剤及び湿潤剤、例えば、プロピレンオキシド及び次いでプロピレングリコールへのエチレンオキシドの逐次付加により製造されたもの、固体又は液体オルガノシリコーン、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸性硫酸エステルの第三級アミン又はアルキロールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル並びにアルキルアリールスルホン酸が含まれる。プロピレンオキシド及び次いでプロピレングリコールへのエチレンオキシドの逐次付加により製造された界面活性剤が、固体又は液体オルガノシリコーンと同様に好ましい。非加水分解性液体オルガノシリコーンが、更に好ましい。界面活性剤を使用するとき、これは、典型的には、プレポリマー成分の約0.0015〜約1重量%の量で存在する。
【0028】
完全に配合したイソシアネート成分は、有利には、約150から、好ましくは約175から、約750まで、好ましくは約500まで、更に好ましくは約400までのイソシアネート当量を有する。イソシアネート官能度(非反応性材料、例えば可塑剤、界面活性剤などを除く)は、有利には、平均で、少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも2.5で、約4.0まで、好ましくは約3.5まで、更に好ましくは約3.2までのイソシアネート基/分子である。
【0029】
ポリイソシアネート成分には、また、好ましくは、25重量%よりも少ない、更に好ましくは約15重量%よりも少ない、特に5重量%以下の、300以下の分子量を有するイソシアネート含有化合物が含有されている。このような少ないモノマー性ジイソシアネート含有量を有することによって、ポリイソシアネート吸入曝露の危険性が実質的に減少し、そうして下降気流換気のような費用のかかる工学的制御を実質的に減少又は潜在的に除去することができる。
【0030】
ポリオール成分には、ポリオール又はポリオールの混合物が含まれる。ポリオール成分には、最も典型的には、2種又はそれ以上の異なったポリオールのブレンドが含有されるであろう。ポリオール成分(ポリオール及び下記のようなアミン官能性化合物を含有するが、存在する場合に、非イソシアネート反応性材料を除く)の官能度(イソシアネート反応性基/分子の平均数)は、少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも2.3、更に好ましくは少なくとも2.5である。
【0031】
適当なポリオールは、ポリオール成分が、少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも2.3、そして更に好ましくは少なくとも約2.5で、約6.0まで、好ましくは約4.0までの平均官能度を有するという条件で、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート反応性ヒドロキシル基を有する化合物である。個々のポリオールの官能度は、好ましくは、約2〜約12、更に好ましくは約2〜約8の範囲内である。後で更に完全に検討するように、他のイソシアネート反応性化合物と一緒の1種又はそれ以上のポリオールの混合物が好ましい。個々のポリオールのヒドロキシル当量は、約31〜約2000以上の範囲内であってよい。好ましくは、個々のポリオールのヒドロキシル当量は、約31〜約500、更に好ましくは約31〜約250、なお更に好ましくは約31〜約200である。
【0032】
全体としてポリオール成分の当量は、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基のポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数に対する比が、約0.7:1〜約1.5:1であるとき、ポリイソシアネートのポリオール成分に対する体積比が、4:1〜1:4、好ましくは2:1〜1:2、特に1.5:1〜1:1.5の範囲内であるように選択される。
【0033】
適当なポリオールの中には、イソシアネート末端停止プレポリマーの成分として前記したものがある。
【0034】
ポリオール成分には、第三級アミン含有ポリオール及び/又はアミン官能性化合物が含有されることが好ましい。これらの材料の存在は、ポリイソシアネート成分とのポリオール成分の反応の初期段階の間に、ポリオール成分の反応性を増加させる傾向がある。次いで、これは、最初に混合し、そしてクリーム時間を過度に短縮させることなく適用したとき、反応混合物が一層迅速に粘性を作るのを助け、そうして流出又は漏洩を減少させる。
【0035】
このような第三級アミン含有ポリオールには、例えばトリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン並びに約800以下、好ましくは約400以下の分子量を有する、エチレンジアミン、トルエンジアミン又はアミノエチルピペラジンのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物が含まれる。また、関心のあるものは、所謂「マンニッヒ」ポリオールであり、これは、フェノール、ホルムアルデヒド及び第二級アミンのアルコキシル化反応生成物である。存在するとき、第三級アミン含有ポリオールは、ポリオール成分の少量又は多量成分を構成することができる。(本発明に於いて、「多」若しくは「主」量又は「多」若しくは「主」成分は、全体としてポリオール成分の少なくとも50重量%を構成するものである)。例えば、第三級アミン含有ポリオールは、ポリオール成分の約1〜約80重量%を構成することができる。
【0036】
アミン官能性化合物は、少なくとも2個のイソシアネート反応性基(その少なくとも1個は第一級又は第二級アミン基である)を有する化合物である。これらの中には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等並びに脂肪族ポリアミン、例えばアミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン及びテトラエチレンペンタアミンがある。また、これらの化合物の中には、ポリエーテルポリオールのヒドロキシル基の全部又は一部が、第一級又は第二級アミン基に転化されている、所謂アミノ化されたポリエーテルが含まれる。適当なこのようなアミノ化されたポリエーテルは、ハンツマン・ケミカルズ社(Huntsman Chemicals)により商品名ジェファミン(JEFFAMINE)(登録商標)で販売されている。これらの商業的材料についてのヒドロキシル基のアミン基への典型的な転化率は、約70〜95%であり、従って、これらの商業的製品には、アミン基に加えて幾らかの残留ヒドロキシル基が含有されている。アミノ化されたポリエーテルの中で、約100〜1700ダルトン、特に約100〜250ダルトンのイソシアネート反応性基当たりの重量を有し、そして分子当たり2〜4個のイソシアネート反応性基を有するものが好ましい。
【0037】
これらのアミン官能性化合物は、有利には、ポリオール成分の全重量の、約30重量%以下、好ましくは約0.25〜約15重量%、特に約1〜約5重量%を構成する。
【0038】
フォーム(発泡体)に靱性を与えるために、少量の高(即ち、800又はそれ以上、好ましくは約1500〜3000)当量ポリオールを、同様にポリオール成分に添加することができる。この高当量ポリオールは、好ましくは、分子当たり2〜3個のヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオールである。これは、更に好ましくは、(ポリオールの重量の)30%以下のポリ(エチレンオキシド)によって末端閉塞されていてよいポリ(プロピレンオキシド)である。高当量ポリオールには、分散されたポリマー粒子が含有されていてよい。これらの材料は商業的に知られており、そして一般的に「ポリマーポリオール」(又はときには「コポリマーポリオール」)として参照される。分散されたポリマー粒子は、例えばビニルモノマーのポリマー(例えばスチレン、アクリロニトリル又はスチレン−アクリロニトリル粒子)、ポリウレア粒子又はポリウレタン粒子であってよい。約2〜約50重量%以上の分散されたポリマー粒子を含有するポリマーポリオール又はコポリマーポリオールが適している。使用するとき、このポリマーポリオール又はコポリマーポリオールは、ポリオール成分中の全てのイソシアネート反応性材料の重量の、約45%以下、好ましくは約5〜約40%を構成することができる。
【0039】
発泡剤には、少なくとも1個のヒドロキシル基を含有するアミンのカルバメートが含まれる。このアミンには、好ましくは、また、分子当たり少なくとも1個、好ましくは1個又は2個のエーテル基が含まれる。適当なカルバメートは、例えば米国特許第4,735,970号明細書、米国特許第5,464,880号明細書、米国特許第5,587,117号明細書及び米国特許第5,859,285号明細書(全て引用して本明細書に含める)に記載されているように、アルカノールアミンを二酸化炭素と反応させることによって便利に製造される。関心のアルカノールアミンには、例えばN−メチル−2−アミノエタノール、N−エチル−2−アミノエタノール、2−(2−N−メチル−アミノエチル)−1,2−エタンジオール、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−1,2−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−1−メチル−2,4−及び−2,6−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシプロピル)−p−キシリレンジアミン、N−(β−ヒドロキシエチル)−N’−(β−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン又はトリス(β−ヒドロキシエチル)−1,6,11−トリアミノウンデカンが含まれる。他の適当なアルカノールアミンは、一般構造式:
【0040】
HR1N−(CR23n−OH (I)
(式中、R1は水素、C1〜C5アルキル基又は構造(CR23nの基であり、R2は、それぞれ独立に、水素又はC1〜C5アルキル基であり、そしてnは2〜6の整数である)
を有する。
【0041】
特に好ましいアルカノールアミンは、構造:
zN−[(CHR’−CHR”−O−)a−(CH2x−OH]y (II)
(式中、yは少なくとも1であり、z+yは3に等しく、R’及びR”は、独立に、水素、エチル又はメチルであり、xは1〜4の数であり、そしてaは1又は2であり、但し、a×yは2以下である)
を有する。この種類の特に好ましいアルカノールアミンは、2−(2−アミノエトキシ)エタノール及び2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エタノールである。
【0042】
このカルバメートは、その粘度を所望のレベルまで低下させるために、非水性液体媒体中に便利に含有される。「非水性(non-aqueous)」によって、液体媒体が、0.5重量%未満の水、好ましくは0.2重量%未満の水を含有することを意味する。この液体媒体は、非プロトン性物質又はプロトン性物質であってよい。プロトン性物質は、本発明の目的のために、イソシアネート反応性基、特に1個又はそれ以上のヒドロキシル基を含有するものである。ジオール及びトリオール液体媒体、例えばアルキレングリコール又はトリオール、ポリアルキレンジオール又はトリオール、例えばポリ(オキシエチレン)グリコール若しくはトリオール若しくはポリ(オキシプロピレン)グリコール若しくはトリオールが好ましい。このジオール又はトリオールは、好ましくは約31〜約1000、好ましくは31〜600、更に好ましくは31〜約400の分子量を有する。適当なジオール及びトリオールの例には、エチレングリコール、1,2−若しくは1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−、1,3−若しくは1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの全てのエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシド付加物が含まれる。液体媒体は、媒体及びカルバメートの一緒にした重量の5〜95%、好ましくは約25〜75%、更に好ましくは約40〜60%を構成してよい。
【0043】
このカルバメートは、米国特許第4,735,970号明細書、米国特許第5,464,880号明細書、米国特許第5,587,117号明細書及び米国特許第5,859,285号明細書に記載されている方法を使用して製造することができる。一般的には、二酸化炭素をアミンと、大気圧又は大気圧を超える圧力下で、0〜100℃の温度で、(もしあれば)液体媒体の存在下で、組合せる。0〜40℃の温度が好ましい。反応は、しばしば発熱であるので、温度を適度にするために、冷却又は他の温度制御手段を使用することができる。化学量論的量以下の二酸化炭素を使用することができる。しかしながら、幾らかの未反応アミンがカルバメート混合物中に残留し得る場合に、化学量論的レベルよりも低い二酸化炭素を使用することが可能である。
【0044】
適当な市販のカルバメート混合物は、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能なスペックフレックス(Specflex)(登録商標)NR566である。この製品には、前記構造IIのアルカノールアミンのカルバメートが含有され、そして約45%のグリコール液体媒体が含有されている。
【0045】
このカルバメートは、唯一の発泡剤であってよい。このような場合に、所望の密度を有するフォームを提供するために、十分量のカルバメートを使用する。唯一の発泡剤として使用するとき、約10〜約40ポンド/立方フート(160〜640kg/m3)の範囲内のフォーム密度を、容易に製造することができる。好ましいフォーム密度は、カルバメートが唯一の発泡剤であるとき、約10〜約25ポンド/立方フート(192〜400kg/m3)である。正味ベース(即ち、存在してよい任意の液体媒体を除く)で、カルバメートの適当な量は、ポリオール成分100重量部当たり、約0.5〜約10重量部である。更に適当な範囲は、ポリオール成分100重量部当たり、約0.75〜約5重量部のカルバメートである。
【0046】
膨張(expansion)を更に補助するために又はより低い密度のフォームを得るために、他の発泡剤を反応混合物の中に含有させることができる。これらには、物理的発泡剤、例えば低沸点炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、フルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン等が含まれる。これらは、好ましくは約50〜約120℃の範囲内の沸点を有する。水は、プレポリマー上のイソシアネート基と反応して、二酸化炭素を発生し、そしてポリマーを架橋するので、水は有用な補助発泡剤である。48kg/m3以下のように低い、好ましくは80kg/m3のように低い、幾らか低いフォーム密度は、補助発泡剤を使用するとき得ることができる。所望の短いクリーム時間を得るために、補助発泡剤が存在するときでも、前記のカルバメート発泡剤の量を使用することが好ましい。
【0047】
ポリオールとイソシアネートとの反応のための触媒は、この方法で使用する。最も典型的には、この触媒は、ポリオール成分の中に含有されるであろうが、或る場合には、ポリイソシアネート成分の中に混合するか又は別個の流れとして添加することができる。適当な触媒は、プレポリマーの製造に関して前に記載している。しかしながら、第三級アミン触媒が好ましく、そしてイソシアネートと反応してフォームの中に化学的に結合されるようになり得る、ヒドロキシル又は第一級若しくは第二級アミン基を含有する、所謂「反応性」アミン触媒が特に好ましい。これらの特に好ましい触媒の中には、N,N,N−トリメチル−N−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル(ハンツマン・ケミカル社から商品名ZF−10で入手可能)及びジメチル1−2(2−アミノエトキシ)エタノール(ニトロール−ヨーロッパ社(Nitrol-Europe)から商品名NP−70で入手可能)及びエア・プロダクツ社(Air Products)により商品名ダブコ(Dabco)(登録商標)8154及びダブコ(登録商標)Tで販売されているものがある。
【0048】
触媒の量は、所望の速いクリーム時間を与えるように、他の成分と関連させて選択される。クリーム時間、即ち、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合した後、目に見える反応が生じる時間は、2秒又はそれ以下、好ましくは1.5秒又はそれ以下、更に好ましくは1秒又はそれ以下である。必要な触媒の量は、特別の触媒に幾らか依存するであろう。一般的に、プレポリマーの製造に関して前記した量が適している。
【0049】
更に、ポリオール成分及び/又はプレポリマー成分には、硬質フォームを製造する際に有用であるような種々の補助成分、例えば、界面活性剤、充填剤、着色剤、防臭剤、難燃剤、殺生物剤、酸化防止剤、UV安定剤、耐電防止剤、チキソトロピー剤及び気泡開放剤が含有されていてよい。
【0050】
適当な界面活性剤には、市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマー、例えばダウ・コーニング社(Dow Corning)から入手可能なテゴスタブ(Tegostab)(ゴールドシュミット・ケミカル社(Goldschmidt Chemical Corp.)の登録商標)B−8462及びB−8404並びにDC−198及びDC−5043界面活性剤が含まれる。
【0051】
適当な難燃剤の例にはリン化合物、ハロゲン含有化合物及びメラミンが含まれる。
【0052】
充填剤及び顔料の例には炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン及びカーボンブラックが含まれる。
【0053】
UV安定剤の例にはヒドロキシベンゾトリアゾール、ジブチルチオカルバミン酸亜鉛、2,6−ジ−第三級ブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒンダードアミン及び亜リン酸塩が含まれる。
【0054】
気泡開放剤の例にはシリコン系消泡剤、ワックス、微細に分割された固体(微粉固体)、液体ペルフルオロカーボン、パラフィン油及び長鎖脂肪酸が含まれる。
【0055】
上記の添加物は、一般的には、少量、例えばポリイソシアネート成分の約0.01重量%〜約1重量%で使用する。
【0056】
本発明に従ったフォームは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、触媒及びカルバメート(並びに他の任意の成分)の存在下に混合し、この混合物を前述のように基体の上に分配し、そして反応剤を反応させて、結合されたフォームを形成することによって製造する。本発明は如何なる理論にも制限されないが、カルバメートが非常に急速にイソシアネート基と反応し、CO2を放出し、同時にイソシアネート基への尿素結合を形成すると信じられる。単一の反応がゲル化と発泡との両方を起こすので、これらの反応を継続することによって、顕著な問題に終止符が打たれる。初期粘度形成は、イソシアネート基と、カルバメートから遊離されるアミン基との反応のために非常に速い。これによって、発生したガスが反応している混合物内に吸収され、そうしてそれを膨張させる。
【0057】
本発明の別の利点は、成分を、環境乃至適度に上昇させた温度、例えば約20〜約75℃、好ましくは約30〜60℃で混合したときでも、これらの非常に速いクリーム時間を得ることができることである。これによって、フォームを取り扱うこと及び適用することが単純化される。本発明の更に別の利点は、ポリオール成分とイソシアネート成分との低い体積比のために、種々の一般的に利用可能な混合及び分配装置を使用できることである。
【0058】
このフォーム配合物は、更に好ましくは、20秒よりも短い、好ましくは15秒よりも短い、そして更に好ましくは約9〜12秒の非粘着時間を有する。
【0059】
このフォーム配合物は、一般的に、硬化のための追加の熱又はエネルギーの更なる適用なしに、現場で硬化するが、硬化を促進させることを望む場合、加熱を使用することができる。完全な膨張及び硬化を実施するために、通常は熱を適用する必要はない。
【0060】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との比は、有利には、約0.7、好ましくは約0.85、更に好ましくは約0.95から、約1.5まで、好ましくは約1.25まで、更に好ましくは約1.15までのイソシアネート指数(NCOのイソシアネート反応性基に対する比)を与えるように選択される。ポリオール成分及びイソシアネート成分は、5:1〜1:5、好ましくは4:1〜1:4、更に好ましくは約2:1〜1:2、なお更に好ましくは約1.5:1〜1:1.5の体積比で混合される。
【0061】
下記の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、その範囲を限定することを意図していない。全ての部及び%は、他の方法で示されていない限り、重量基準である。
【0062】
実施例1
下記の成分を一緒に窒素雰囲気下で混合し、そして一定のNCO含有量が得られるまで71℃で加熱することによって、プレポリマー成分Aを製造する。
【0063】
【表1】

【0064】
得られる可塑化されたプレポリマー成分Aは、約12重量%のNCO%を有する。プレポリマー成分Aの遊離MDI含有量は約19重量%である。
【0065】
下記の成分を混合することによって、ポリオール成分Aを製造する。
【0066】
【表2】

【0067】
プレポリマー成分Aとポリオール成分Aとを、1:1体積比で、ガスマー(Gusmer)H7発泡機の混合ヘッドで、500〜1200psi(3447〜8274kPa)の付与圧力で混合し、この混合物を1クォートのカップに中に分配し、そしてそれを室温で硬化させることによって、フォームを製造する。両方の成分を160°F(71℃)に予熱して、粘度を低下させ、そしてより良い混合を得る。この配合物についてのクリーム時間は1秒間よりも短い。優れた気泡構造及び約12ポンド/立方フート(192kg/m3)の密度を有する安定なフォームが得られる。
【0068】
実施例2
44.377部のダウ・ケミカル社からのパピ(登録商標)20ポリマー性MDI(NCO29.5%、3.2−官能度)を、10.706部の216当量ポリ(プロピレンオキシド)ジオール(ダウ・ケミカル社からのボラノール(登録商標)220−260ポリオール)、2.567部のn−ブタノール、42部の非反応性可塑剤(BASF社からのプラチノール711P)及び0.35部のオルガノシリコーン界面活性剤(エア・プロダクツ社からのDC198)と反応させることによって、プレポリマー成分Bを製造する。
【0069】
得られる可塑化されたプレポリマー成分Aは、9.7重量%のNCO%、429の当量、1000のMn(可塑剤を除く)及び2.52イソシアネート基/分子(可塑剤を除く)の平均官能度を有する。プレポリマー成分Aの遊離MDI含有量は<5%である。
【0070】
下記の成分を混合することによって、ポリオール成分Bを製造する。
【0071】
【表3】

【0072】
プレポリマー成分Bとポリオール成分Bとを、成分重量比が4:1である以外は、実施例1に記載した一般的方法で混合することによって、フォーム実施例2を製造する。得られるフォームは、2秒間よりも短いクリーム時間及び15秒間よりも短い非粘着時間を有する。その自由上昇密度は、12〜14ポンド/立方フート(192〜224kg/m3)である。得られるフォームの2インチ×2インチ×1インチ(5×5×2.5cm)スキンレス部分の圧縮弾性率を、50℃で1時間フォームを予備コンディショニングした後、ASTMに従って測定する。この圧縮弾性率は約9000psi(約62,000kPa)である。
【0073】
実施例3
下記の成分を混合することによって、ポリオール成分Cを製造する。
【0074】
【表4】

【0075】
プレポリマー成分Bとポリオール成分Dとを、実施例2に記載した一般的方法で混合することによって、フォーム実施例3を製造する。得られるフォームは、2秒間よりも短いクリーム時間及び20秒間よりも短い非粘着時間を有する。その自由上昇密度は、22〜24ポンド/立方フート(352〜384kg/m3)である。実施例2に於けるようにして測定した圧縮弾性率は、28,000psi(193,000kPa)である。
【0076】
実施例4
65重量部の、3.2官能度、141当量のポリマー性MDI(ダウ・ケミカル社からのパピ(登録商標)20)を、35部の炭化水素油と混合することによって、ポリイソシアネート組成物を製造する。体積比が2:1であり、そしてイソシアネート指数が1.34である以外は、これを、実施例1に記載したのと同じ一般的方法で、ポリオール成分Cと反応させることによって、フォーム実施例4を製造する。クリーム時間は1秒間よりも短く、そして非粘着時間は20秒よりも短い。下記の成分を混合することによって、ポリオール組成物Dを製造する。
【0077】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放キャビティを有する基体に結合された硬質ポリウレタンフォームの形成方法であって、ポリイソシアネート成分をポリオール成分と、少なくとも1種の、ポリオールとポリイソシアネートとの反応用の触媒及び発泡剤の存在下で、混合する工程、得られた混合物を、開放キャビティを規定する基体の上に分配する工程並びにこの混合物を、混合物を硬化させて、基体に接着性である、3〜40ポンド/立方フート(48〜640kg/m3)の嵩密度を有するフォームを形成させるのに十分な条件に付す工程を含んでなり、(a)ポリイソシアネート成分が、少なくとも1種の、複数個の遊離イソシアネート基を有する化合物を含有し、(b)ポリオール成分が、少なくとも約2.3の平均官能度を有し、そして少なくとも1種のポリオールを含むイソシアネート反応性材料を含有し、そして(c)ポリイソシアネート成分のポリオール成分に対する体積比が、5:1以下で且つ1:5以上であり、(d)ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の、ポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数に対する比が、約0.7:1〜約1.5:1であり、(e)発泡剤にアルカノールアミンのカルバメートが含まれ、そして(f)混合物のクリーム時間が2秒間未満である硬質ポリウレタンフォームの形成方法。
【請求項2】
カルバメートが非水性媒体中に含有されている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カルバメートが、二酸化炭素と、N−メチル−2−アミノエタノール、N−エチル−2−アミノエタノール、2−(2−N−メチル−アミノエチル)−1,2−エタンジオール、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−1,2−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−1−メチル−2,6−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシプロピル)−p−キシリレンジアミン、N−(β−ヒドロキシエチル)−N’−(β−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン又はトリス(β−ヒドロキシエチル)−1,6,11−トリアミノウンデカンとの反応生成物である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
カルバメートが、二酸化炭素と、構造:
zN−[(CHR’−CHR”−O−)a−(CH2x−OH]y
(式中、yは少なくとも1であり、z+yは3に等しく、R’及びR”は、独立に、水素、エチル又はメチルであり、xは1〜4の数であり、そしてaは1又は2であり、但し、a×yは2以下である)
を有するアルカノールアミンとの反応生成物である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
アルカノールアミンが2−(2−アミノエトキシ)エタノール又は2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エタノールである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
イソシアネート末端停止プレポリマー成分が、有機ポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとの反応生成物である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イソシアネート末端停止プレポリマーが、有機ポリイソシアネート、少なくとも1種のポリオール及びヒドロキシル官能性アクリレート又はメタクリレートの反応生成物である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリイソシアネート成分に少なくとも1種の可塑剤が含有されている請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ポリオール成分中の少なくとも1種のポリオールに第三級アミン基が含有されている請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリオール成分に少なくとも1種のアミン末端停止ポリエーテルが含有されている請求項1に記載の方法。
【請求項11】
発泡剤を、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合する前に、ポリオール成分中にブレンドする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
触媒を、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合する前に、ポリオール成分中にブレンドする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
クリーム時間が1秒間未満である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
開放キャビティを有する基体が自動車部品である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
フォーム配合物を適用し、そして発泡させるとき、自動車部品を、車両又は車両フレームの上に組立てる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
車両部品がピラー、ロッカー、敷居、セイル、カウル、プレナム、シーム、フレームレール、車両サブアセンブリー、ハイドロ−フォームド部品、クロスカービーム及びエンジンクレイドルである請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2007−528434(P2007−528434A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502896(P2007−502896)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/007323
【国際公開番号】WO2005/090431
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】