説明

結合アンテナを用いたウェアラブルデータトランシーバおよびその方法

【課題】個人または装置の位置特定などの用途を支援して情報を効率的に通信する経済的、可撓性、かつ、ウェアラブルなデバイスを提供する。
【解決手段】アクティブウェアラブルデータトランシーバ電子位置特定・識別デバイスのための関連回路要素に容量結合された可撓性アンテナ。ウェアラブルデータトランシーバ(WDX)は、ブレスレット、バッジとして用いられ、バックパックのストラップ、衣類の襟、袖口、および、裾などに組み込まれてもよい。それらは様々な色を有しうる。また、アクティブトランシーバ通信デバイスは、リアルタイム位置追跡および識別のために対象物に取り付けられる。体に取り付けられたWDXは、信号の送受信のためのアンテナを体に適合させる。WDXの電源は、同一平面上のバッテリセルを含み、回路は無線送信器要素および無線受信器要素を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年9月4日出願の米国特許出願第12/554,446号の利益を主張し、その内容は参照によってすべての目的のために全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、関連する電子部品に結合する可撓性アンテナに関し、特に、アクティブ無線データトランシーバ(WDX)デバイスで用いられる容量結合可撓性アンテナシステムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの用途で、高周波識別(RFID)タグが用いられている。RFIDタグは、もともとRFIDリーダから伝送された反射エネルギを利用し、RFエネルギを生成しない。いくつかのリアルタイム位置情報システム(RTLS)が、関連付けられたRFIDタグによって対象物を追跡する。個人に対しては、医療施設、倉庫、および、位置が重要となるその他の場所などの環境で追跡を行うために、バッジが用いられる。これらのRFID社員バッジは、固定または携帯型リーダと通信する。これらのデバイスは、アンテナおよび電子部品を組み合わせて用いる。それらは、アンテナおよび電子部品を支持および保護、ならびに、対象物に取り付けまたは付着させるための構造を提供する。多くの用途において、サイズ、形状、および、機械的特性(可撓性など)が重要であるが、妨害にもなる。大きい材料および構造は、過度の厚さおよび剛性をデバイスに付加する。これらのデバイスは、コネクタおよびアンテナなどの構成要素について、適切な電気的接続、機械的支持、および、適切な位置決めを必要とする。これらのための構造が、RFIDデバイスに複雑さ、厚さ、非可撓性、および、コストを追加しうる。
【0004】
さらに、RFIDシステムは、高周波(HF)から超高周波(SHF)までの様々な周波数で動作する。多くの動作上の問題がこの帯域で生じる。HF帯域で動作するRFIDタグの性能は、タグが人体に近接することによる影響を比較的受けない可能性があるが、典型的な装着型デバイスは、アンテナを含めておよそ10cmの長さを有する。これは、比較的低い周波数にとっては波長のごく一部の長さに相当する。線寸法で波長のごく一部の長さであるアンテナは、送信アンテナおよび受信アンテナとして非常に効率が悪い。結果として、HF帯域に対する有効動作距離は、リーダアンテナから数インチだけにとどまり、HFタグの有用性を著しく制限する場合がある。しかしながら、より高い周波数で動作するRFIDシステムは、部分的には、より短い波長がよりアンテナ寸法に近いという理由で、より長い動作距離を提供しうる。この寸法の適合が、効率を改善する。しかしながら、HF帯域に比べて、これらのより高い周波数の信号は、波長が短いために、アンテナの周囲の環境にある障害物および物体からはるかに強い影響を受ける。さらに、人体に接触または近接して動作するアンテナは、大きく離調され、動作不能になる場合がある。したがって、RFID機能を備えた識別デバイスにおけるこれらのアンテナの有用性は非常に限定されている。人体の表面に接触または近接すると、リアクティブニアフィールドが人体の組織から影響を受け、アンテナおよび接続された回路の間にインピーダンス不整合が生じて、全体の効率が低下しうる。この不整合は、アンテナを離調させ、人体から離れて放射されるエネルギを減少させ、さらに性能を低下させうる。
【0005】
RFIDシステムの別の特徴は、かかるシステムの性能がレーダ方程式(1)に従うことである。
【数1】

【0006】
ここで、Pr=受信アンテナに戻る電力、Pt=送信器電力、Gt=送信アンテナの利得、Ar=受信アンテナの実効面積、σ=対象物のレーダ断面積または散乱係数、F=パターン伝搬係数、R=距離である。
【0007】
基本的に、これは、システム性能がRFIDタグまでの距離の4乗に反比例(1/R4)することを意味する。これは、RFIDインテロゲータの送信器電力がRFIDタグに反射してインテロゲータによって受信される必要があるためである。
【0008】
RFIDシステムの上記の問題は、距離の制限、複数の近接したタグを同時に追跡する困難、および、情報量の制限につながりうる。個人または装置の位置特定などの用途を支援して情報を効率的に通信する経済的、可撓性、かつ、ウェアラブルなデバイスが求められている。
【発明の概要】
【0009】
RFIDデバイスと異なり、本発明は、無線データトランシーバ(WDX)である。WDXは、部分的には、バッテリ、RF発振器、送信器、受信器、および、アンテナを備える。WDXは、自身のRFエネルギを生成する。したがって、WDXの性能は、問い合わせを行っているトランシーバまでの距離の2乗で抑制される。実施形態は、関連する電子機器に結合された可撓性アンテナを備えたウェアラブルデータトランシーバ(WDX)通信デバイスを含む。実施形態は、バッジ、リストバンド、または、ブレスレットを含む。デバイスは、衣類の襟、袖口、および、裾などに組み込まれてもよく、様々な色を有しうる。周波数帯域は、300〜347MHz、433MHz、および、902〜928MHzの帯域を含んでよい。標準のヨーロッパ帯域、ならびに、2.4GHzおよび5.8GHz周囲のISM帯域が、実施形態で用いられてもよい。超広帯域に利用される7GHzの別の周波数実施形態も可能である。別の周波数帯域が用いられてもよい。適用される環境としては、病院、診療所、学校、倉庫、オフィスビル、工場、および、刑務所が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
一実施形態は、通信のためのデバイスを提供しており、そのデバイスは、筐体と、可撓性アンテナ要素と、信号を生成および受信するための通信回路と、を備え、通信回路は前記アンテナ要素と電気通信し、通信回路およびアンテナ要素は前記筐体内に配置され、デバイスはアクティブリアルタイム位置特定・識別デバイスである。さらなる実施形態では、アンテナ要素および通信回路の電気通信は、アンテナと回路との容量結合を含んでおり、容量結合は、接着剤がアンテナ要素を前記回路に固定することを含む。別の実施形態では、デバイスが、着用者の近接した身体に適合されることよって、通信性能が高められる。さらなる実施形態では、筐体は可撓性である;筐体の構成要素がシーム溶接されることによって、デバイスのサイズが縮小される;もしくは、筐体の構成要素がRFシーム溶接される。任意選択的に、筐体の構成要素は、熱シーム溶接される。実施形態において、回路は、電源およびRF発振器を備える。さらなる別の実施形態では、デバイスは、襟、裾、バックパックのストラップ、および、対象物の内の少なくとも1つに取り付けられ;デバイスは使い捨てである。いくつかの実施形態では、回路およびアンテナのアセンブリが、筐体によって規定されたスロットを通して挿入され、スロットは、着用者の付属器官の周りに固定されると密閉される。別の実施形態では、回路およびアンテナのアセンブリは、筐体によって規定されたスロットを通して挿入され、スロットは、着用者の付属器官の周りに固定される前に密閉される。さらに別の実施形態では、回路およびアンテナのアセンブリは、筐体の構成要素をシーム溶接する前に、筐体によって規定されたスロットを通して挿入される。さらに、いくつかの実施形態において、通信回路は、非可撓性の回路基板を備え;通信回路の回路基板と同一平面上に少なくとも1つのバッテリを備える。別の実施形態は、少なくとも1つの同一平面上のバッテリを保持するクリップを備えており、それによってデバイスの厚さが削減される。さらに、別の実施形態では、デバイスの色が選択可能である。別の実施形態では、デバイスは、約100オームの差動送信器出力インピーダンスを整合する約315MHzの整合回路網を備える。
【0011】
さらに別の実施形態は、対象物を識別する方法を提供しており、その方法は、回路に情報を格納する工程と、回路をアンテナ要素と電気的に接続する工程と、筐体内に回路およびアンテナのアセンブリを挿入する工程と、格納された情報に関連付けられる対象物に筐体を取り付ける工程と、回路内の情報にアクセスする工程と、を備える。別の実施形態において、筐体は、筐体を対象物に取り付けるための手段と、アセンブリを保持するための手段とを備え、保持手段は、内部に開口部を規定する弾性本体部分と、開口部に隣接する保持リップとを備え、開口部は、アセンブリを本体部分に挿入することができるよう変形可能であり、保持リップは、本体部分の中にアセンブリを保持することを支援し、アセンブリ保持手段は、取り付け手段と関連している。さらなる実施形態において、識別方法は、さらに、RF通信によって対象物を位置特定する工程を備える;また、タブを除去することによってデバイスが起動される。
【0012】
さらなる実施形態は、回路に接続されたアンテナを備えるデバイスを用いて電磁信号で動作を実行するための方法を提供しており、その方法は、個人に近接するようにデバイスを配置する工程と、近接によって個人にデバイスを結合する工程と、受信信号を受信する工程と、受信信号をアンテナに結合する工程と、アンテナに接続された回路によって受信信号を受信する工程と、プロセッサによって、受信された信号をデコードする工程と、送信データを生成する工程と、回路によって送信信号を生成する工程と、回路に接続されたアンテナに送信信号を結合する工程と、送信信号を送信する工程と、を備える。別の実施形態において、回路およびアンテナは容量結合で結合される。
【0013】
本明細書に記載された特徴および利点はすべてを包含しているわけではなく、特に、図面、明細書、および、特許請求の範囲を鑑みれば、多くのさらなる特徴および利点が当業者にとって明らかになる。本明細書で用いられている言語は、主に読みやすさと教示を目的として選択されたものであり、本発明の主題の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、要素の相対サイズ、形状、および、その他の詳細な属性は、正確ではなく概略的に図示されている。
【0015】
【図1】一実施形態に従って構成されたブレスレットデバイスを示す概略図。
【0016】
【図2】一実施形態に従って、デバイス構成要素の構成を示す概略図。
【0017】
【図3】一実施形態に従って、デバイスの構成要素層を示す概略分解図。
【0018】
【図4】デバイスの起動/終了の実施形態を示す概略図。
【0019】
【図5】一実施形態に従って機能図を示す概略図。
【0020】
【図6A】一実施形態に従って、デバイスの構成要素としての等価回路を示す図。
【図6B】一実施形態に従って、デバイスの構成要素としての整合回路を示す図。
【0021】
【図7】一実施形態に従って、動作方法を示すフローチャート。
【0022】
【図8】一実施形態に従って、身体におけるデバイスの配置を示す概略図。
【0023】
【図9】一実施形態に従って、動作システム構成を示す概略図。
【0024】
【図10A】一実施形態に従って、リストバンドシステムを示す詳細図。
【図10B】一実施形態に従って、リストバンドシステムを示す詳細図。
【図10C】一実施形態に従って、リストバンドシステムを示す詳細図。
【図10D】一実施形態に従って、リストバンドシステムを示す詳細図。
【図10E】一実施形態に従って、リストバンドシステムを示す詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態は、ブレスレット形状のウェアラブルデータトランシーバ(WDX)を含む。それらは、既存の非アクティブブレスレットと同等の物理的寸法を有する。小さいフォームファクタを提供するために、継ぎ目はRFシーム溶接されており、接着された継ぎ目のように大きくならない。用いられる材料により、様々な色のブレスレットを作ることが可能である。実施形態は、柔らかく可撓性のブレスレットを形成する2つのビニル層の中にパッケージングされている。可撓性アンテナが備えられており、アンテナは、アセンブリがブレスレットに挿入される際に可撓性を保つ。アクティブ回路は、硬質で非可撓性のプリント回路基板上に構築されるが、ブレスレットの機能を損なわないほど十分に小さい。回路およびアンテナ要素のアセンブリは、個人の手首の周りに固定された時に密閉されるスロットを通して挿入されてもよいし、溶接の前に挿入されてもよい。実施形態において、スロットは、起動用プルタブを提供するために残される。別の実施形態は、筐体のポケット内にプルタブを有して、外部スロットを持たなくてもよい。ブレスレットは軟質ビニルで形成されるため、ビニルを通して掴んで引き抜くことによって、タブを引き抜いて、デバイスを有効にすることができる。実施形態において、デバイスは、手首、足首、首、または、人体のその他の部分、動物、もしくは、物体に固定される。ズボンまたはドレスの裾、襟の先、シャツの袖口、腰ベルト、サスペンダー、もしくは、ジャケットの袖口など、衣料品に挿入されてもよい。実施形態は、1回使用した後に使い捨てできる。例えば、リストバンドは、手首または足首から切り離されてもよいし、再利用可能であり、長期間の動作のために充電式バッテリを用いるものであってもよい。
【0026】
実施形態において、プルタブは、バーコード化された識別番号を備えるよう構成されており、そうすれば、ブレスレットをチェックインでスキャンすることによって病院の患者と関連付けることが可能であり、それと同時に、タブを引っ張ることによってWDXデバイスが起動される。患者が身につけている時だけWDXを起動することによって、バッテリの電力が節約されるため、デバイス全体のサイズを縮小し、動作寿命を延ばすことができる。バッテリを回路基板と同一平面上に配置すれば、顕著な突出を避け、全体の厚さを薄くすることができる。実施形態は、この目的のために特別なバッテリ接点を備える。
【0027】
アンテナは、人体の存在時または人体への接触時に最適な性能を示すよう調整される。これは、バッテリ寿命を延ばし、ウェアラブルデータトランシーバの位置決定の距離および精度を高める。
【0028】
図1A〜図1Eは、一実施形態に従って構成されたブレスレットデバイス100を示す概略図である。
【0029】
図1Aは、第1の構成要素層105および第2の構成要素層110を示す側面図である。実施形態では、第1の構成要素層105および第2の構成要素層110の材料はビニルである。実施形態では、ビニルの厚さは0.005インチであるが、厚さは特定の用途に合わせて変更されてよい。腰用のベルトは、革のように見える材料で形成されてもよいし、革製であってもよい。実施形態では、材料の厚さは、より厚く、より強く調節されてよい。材料は、特定の環境向けに変更されてもよい。例えば、WDXは、化学物質を扱うために用いられるゴム手袋の内部に配置することができる。
【0030】
図1Bは、斜線で示す第1の溶接領域115で互いに付着した第1および第2の層を示す平面図である。非溶接領域120では、第1の構成要素層105および第2の構成要素層110は付着しておらず、ポケットを形成している。非溶接領域の幅、すなわち第1の幅125は、最小で約0.87インチである。非溶接領域120でのデバイスの外面幅、すなわち第2の幅130は、約1インチである。第1の溶接領域115におけるデバイスの幅、すなわち第3の幅135は、約0.6インチである。デバイスの全長140は、約10.85インチである。スリット145が、第1の構成要素層105に設けられている。実施形態において、デバイスの構成要素は、スリット145を通して挿入される。
【0031】
図1Cは、第3の構成要素150を備えたデバイス100の平面図である。第3の構成要素150の実施形態は、約2.2インチ×0.55インチの寸法を有し、手首の周りに巻かれた時にデバイスを一緒に保持するために用いられる粘着テープを含む。他の実施形態では、別の取り付け方法を用いる。
【0032】
図1Dは、デバイスの側面図であり、特に、図1Eに詳細を示す領域155を示している。図1Eは、第1および第2の構成要素層160に隣接する第3の構成要素155を示す側面図である。実施形態では、第3の構成要素150の材料は、0.002インチ〜0.005インチの厚さの感圧接着剤(PSA)である。第3の構成要素150(PSA)は、最初は、第1の構成要素層105に対向する表面上に剥離ライナを有する。剥離ライナは、第1の構成要素層105および第2の構成要素層110に第3の構成要素150を貼り付ける際に除去される。スリット145が、第3の構成要素150に設けられており、第1の構成要素層105のスリット145と整列されている。実施形態において、第3の構成要素150は、第1の構成要素層105および第2の構成要素層110を溶接した後に、第1の構成要素層105に接着される。実施形態において、第3の構成要素は、手首に取り付けられた際にデバイスが密閉されるように、デバイスのスロット側に設けられる。
【0033】
図2A〜図2Dは、本発明の実施形態のためのバッテリ、回路、および、アンテナに関して、デバイスの様々な構成200を示す。
【0034】
図2Aは、回路基板205の利用を示す。アンテナ要素210は、導電性銀でスクリーン印刷されたアンテナ素子215を基板220上に備えており、実施形態では、構成要素を結合するために3M(商標)の超強力(VHB(商標))粘着テープを領域225に備える。実施形態では、0.002インチ厚の粘着テープ(3M(商標)製467MP)が用いられる。別の実施形態では、0.005インチ厚のVHB(3M(商標)製468MP)を用いる。さらなる実施形態では、3M(商標)製の9505および9502VHB型を用いる。型式の選択は、厚さとチューニングパラメータとの関係性に基づく。実施形態は、基板220に対して0.005インチ厚のポリエステルを用いる。導電性の構成要素は、金属、ポリマ、インク、カーボン、および、有機材料であってよい。不必要な損失を避けるために、材料の抵抗損が設計で考慮される。図2Aは、さらに、導電板230および235の利用を示している。実施形態において、導電板230は、回路基板205上の円形の銅であり、導電板235は、基板220上の導電性銀インクである。板230および235は、コンデンサの板、結合アンテナ、および、回路要素として機能する。一実施形態において、板の直径は、0.25インチであり、板同士は、0.005インチの粘着性の誘電体によって隔てられている。導電板230および235は、互いに重なり合うように整列され、その際、回路要素240および電源245は、アンテナ要素210の横方向反対側に配置される。回路要素およびバッテリは、組み立てられた時に、領域225および230の外側に存在する。当業者であれば、導電板230および235が円形以外の形状であってもよいこと、ならびに、板がわずかに位置ずれしても動作に大きく影響することがないことがわかるだろう。実施形態での組立長さは、約4インチである。実施形態において、回路基板の材料は、難燃性グレード4(FR4)であり、厚さは0.015インチである。属性は、アンダーライターズラボラトリーズのUL94−V0難燃性規格への準拠を含む。誘電率特性は、最大で4.7、500MHzで4.35、および、1GHzで4.34の値を含む。実施形態において、本発明のアンテナは、平衡型で電気的に小型なループアンテナである。別のアンテナが実装されてもよく、必ずしもループである必要はない。電気的に小型なループアンテナの場合、ループが囲む領域を最大化することが望ましい。この場合、囲む領域を最大化することを除けば、ループの形状は重要ではない。適合する構成要素の値は、デバイスの構成要素を身体に近接させた状態で決定される。
【0035】
図2Bは、デバイスの第1の側250および第2の側255を示しており、第1の側250にはバッテリ260があり、第2の側255には回路要素240がある。バッテリ260の内の左側のバッテリは、追加の電力容量が必要でない場合には設けなくてもよい。
【0036】
図2Cは、デバイスの第1の側265および第2の側270を示す。第1の側265にはバッテリ275および回路要素240があり、第2の側270にはバッテリ275’がある。
【0037】
図2Dは、図の回路基板部分285と同一平面上にクリップ290で保持されたバッテリ280を示す。
【0038】
図3は、デバイスの構成要素層の概略分解図を示す。アンテナ素子層305が、接着剤315によって基板層310に固定される。実施形態では、接着剤は、結合領域のみに提供される。
【0039】
図4A〜図4Cは、デバイスのオンオフを実行する際の実施形態400を示す。図4Aでは、プルタブすなわちストリップ405を引くと、基板415上のタブスイッチ410を動作させることによってシステムが起動する。図4Bでは、押しボタン420を押すと、基板430上のボタンスイッチ425を動作させることによってデバイスが起動する。図4Cでは、タブ435を引くと、バッテリ440およびバッテリクリップ445の間の電気的接触を可能にすることによって、システムが起動する。実施形態において、バッテリ440は、基板450の開口部内に配置される。別の実施形態では、デバイスは、可撓性の筐体に外力をかけて回路を閉じることによって起動される。或る実施形態では、切断によってデバイスの動作を停止させる。アンテナ部分でブレスレットを切断すれば、実施形態において伝送を停止するのに十分であり、その際、すでに説明したデバイスを除去するための作業を用いる。いくつかの実施形態では、デバイスはオフにされる必要がなく、いくつかの実施形態では、バッテリが短時間で切れる。
【0040】
図5は、WDXデバイス505の機能図を示す概略図500である。可撓性アンテナ510が、回路520に結合515されている。結合の実施形態は容量結合である。回路520は、WDXデバイス505に組み込まれた電源525によって動作する。WDXデバイス505は、トランシーバ530と通信して、データをやり取りすると共にWDXデバイス505の位置を確立する。実施形態において、回路520の構成要素は、マイクロプロセッサ535、高周波(RF)発振器540、スイッチ545、RF受信器550、RF復調器555、RF変調器560、および、RF送信器565を含む。各実施形態は、電源およびRF発振器を含む。RF発振器540は、RF信号伝送に向けてRF信号を生成するものであり、集積回路のクロック発振器とは異なることに注意されたい。構成要素が、他の構成要素内に含まれてもよい。様々な他の実施形態の構成要素(図示せず)は、アナログデジタル変換器(ADC)、デジタルアナログ変換器(DAC)、および、メモリを含む。集積回路要素のフォームファクタは、スモールアウトライン集積回路(SOIC)、および、エポキシ封止材(グロブトップ)を用いたチップオンボードを含むが、これらに限定されない。
【0041】
図6Aおよび図6Bは、それぞれ、デバイスの実施形態のための等価回路および整合回路を示す。
【0042】
図6Aは、アンテナ要素605および回路要素610を備えたWDXデバイスのための等価回路600Aを示す。実施形態において、アンテナ要素605および回路要素610は、要素615によって容量結合されている。アンテナ要素605は、抵抗器625と直列に接続されたリアクタンス620としてモデル化できる。リアクタンス620は、アンテナのリアクタンスを表す。抵抗器625は、アンテナおよび結合された誘電体における損失と放射エネルギとによる電力損失を表す。回路要素615は、回路からの実効電源インピーダンス630および実効電圧源635を備える。
【0043】
図6Bは、WDXデバイス用の整合回路600Bを示す。TP_ANT1(640)およびTP_ANT2(645)は、可撓性アンテナとインターフェースをとるプリント回路基板(PCB)上のパッドである。送信器の出力(左側、ラベルなし)が差動平衡出力であるため、左右の構成が類似しており、そのため、片側のみについて説明する。33pFのC12(650)、18nHのL1(655)、および、22pFのC13(660)は、以下の2つの機能を有する「pi」ネットワークを形成する。第1に、ポイントTP_ANT1(640)およびTP_ANT2(645)におけるアンテナのインピーダンスを、約100オームの差動インピーダンスである送信器出力に整合させる。第2に、意図された動作帯域よりも若干高い遮断周波数を有するローパスフィルタを形成する。このフィルタ機能は、高調波抑制のためのFCC要件への準拠を保証する助けになる。示された値は代表的な値であり、315MHz帯域での実施形態の応用に特異的なものである。以下の条件の少なくともいずれかを変更すれば、別の値が必要になる:異なる動作周波数、異なるアンテナサイズまたは形状、ブレスレット以外への最適化。
【0044】
図7は、WDXデバイスの一実施形態の動作方法を示すフローチャート700である。方法は以下の工程を備える:デバイスを個人に近接させて配置する工程705;近接によって個人にデバイスを結合する工程710;RF信号を受信する工程715;RF信号をアンテナに結合する工程720;回路が、アンテナとの結合を介してRF信号を受信する工程725;マイクロプロセッサが、受信信号のデータをデコードし、送信データを生成する工程730;回路が、RF信号を生成する工程735;RF信号が、アンテナに結合される工程740;およびデバイスが、RF信号を送信する工程745。工程は、別の順番で実行されてもよいことに注意されたい。
【0045】
図8は、WDXデバイスのための包括的ではない特定の人体部位800を示す。デバイスを取り付けるための人体805の部位は、手首810、衣類の裾815、腰820、胸825、および、襟830を含む。部位の実施形態は、袖口、ベルト、手袋、靴、および、接着片のように肌に接着する実施形態を含むが、これらに限定されない。
【0046】
図9は、動作システム構成の実施形態を示す概略図900である。トランシーバ905は、この例では建物内で、複数のWDXデバイスと通信する。WDXデバイス910、915、920、および、925は、トランシーバ905と通信する。さらなるWDXデバイス930が、施設建物内で動作してもよい。実施形態において、トランシーバ905のアンテナは、ランダム直線偏波のウェアラブルデータトランシーバアンテナに対応するために円偏波アンテナとして構成される。これにより、偏波の減衰(polarization fades)が防止される。
【0047】
図10A〜10Eは、回路要素およびアンテナ要素と、リストバンド筐体への要素の挿入とを示すリストバンドシステム実施形態の詳細図である。
【0048】
図10Aは、プルタブ1010を備えた回路1005およびアンテナ1015を構成要素として含むアセンブリ1020を、リストバンド筐体1025と共に示す詳細図1000Aである。
【0049】
図10Bは、リストバンド筐体1025内に部分的に挿入されたアセンブリ1020を示す詳細図1000Bである。
【0050】
図10Cは、リストバンド筐体1025内のアセンブリ1020(見えない)とプルタブ1010とを示す詳細図1000Cである。
【0051】
図10Dは、回路要素の上面すなわち前面を示す詳細図1000Dである。
【0052】
図10Eは、回路要素の下面すなわち裏面を示す詳細図1000Eである。
【0053】
以上、例示および説明のために、本発明の実施形態を記載した。包括的であることも、開示された正確な形態に本発明を限定することも意図されていない。本開示に照らして、多くの変形例および変更例が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明ではなく、本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信のためのデバイスであって、
筐体と、
可撓性アンテナ要素と、
信号を生成および受信するための通信回路と、
を備え、
前記通信回路は前記アンテナ要素と電気通信し、前記通信回路および前記アンテナ要素は前記筐体内に配置され、前記デバイスはアクティブリアルタイム位置特定・識別デバイスである、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記アンテナ要素および前記通信回路の前記電気通信は、前記回路への前記アンテナの容量結合を含む、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、前記容量結合は、前記アンテナ要素を前記回路に固定する接着剤を含む、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスであって、前記デバイスが、着用者の近接した身体に適合されることよって、通信性能が高められる、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスであって、前記筐体は可撓性である、デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスであって、前記筐体の構成要素がシーム溶接されていることによってデバイスサイズが縮小されている、デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、前記筐体の構成要素はRFシーム溶接されている、デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスであって、前記筐体の構成要素は熱シーム溶接されている、デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスであって、前記回路は、電源およびRF発振器を備える、デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスであって、前記デバイスは、襟、裾、バックパックのストラップ、および、対象物の内の少なくとも1つに取り付けられる、デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスであって、前記デバイスは使い捨てである、デバイス。
【請求項12】
請求項1のデバイスであって、前記回路および前記アンテナのアセンブリが、前記筐体によって規定されたスロットを通して挿入され、前記スロットは、着用者の付属器官の周りに固定されると密閉される、デバイス。
【請求項13】
請求項1のデバイスであって、前記回路および前記アンテナのアセンブリが、前記筐体によって規定されたスロットを通して挿入され、前記スロットは、着用者の付属器官の周りに固定される前に密閉される、デバイス。
【請求項14】
請求項1のデバイスであって、前記筐体の構成要素をシーム溶接する前に、前記回路および前記アンテナのアセンブリが、前記筐体によって規定されたスロットを通して挿入される、デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載のデバイスであって、前記通信回路は、非可撓性の回路基板を備える、デバイス。
【請求項16】
請求項1に記載のデバイスであって、前記通信回路の回路基板と同一平面上に少なくとも1つのバッテリを備える、デバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つの同一平面上のバッテリを保持するクリップを備え、それによって前記デバイスの厚さが削減されている、デバイス。
【請求項18】
請求項1に記載のデバイスであって、前記デバイスの色が選択可能である、デバイス。
【請求項19】
請求項17に記載のデバイスであって、約100オームの差動送信器出力インピーダンスを整合する約315MHzの整合回路網を備える、デバイス。
【請求項20】
対象物を識別する方法であって、
回路に情報を格納する工程と、
前記回路をアンテナ要素と電気的に接続する工程と、
筐体内に前記回路および前記アンテナのアセンブリを挿入する工程と、
前記格納された情報に関連付けられる前記対象物に前記筐体を取り付ける工程と、
前記回路内の前記情報にアクセスする工程と、
を備える、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記筐体は、前記筐体を前記対象物に取り付けるための手段と、前記アセンブリを保持するための手段とを備え、前記保持手段は、内部に開口部を規定する弾性本体部分と、前記開口部に隣接する保持リップとを備え、前記開口部は、前記アセンブリを前記本体部分に挿入することができるよう変形可能であり、前記保持リップは、前記本体部分の中に前記アセンブリを保持することを支援し、前記アセンブリ保持手段は、前記取り付け手段と関連付けられている、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、さらに、RF通信によって前記対象物を位置特定する工程を備える、方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、タブを除去することによってデバイスが起動される、方法。
【請求項24】
回路に接続されたアンテナを備えるデバイスを用いて電磁信号で動作を実行するための方法であって、
個人に近接するように前記デバイスを配置する工程と、
近接によって前記個人に前記デバイスを結合する工程と、
受信信号を受信する工程と、
前記受信信号を前記アンテナに結合する工程と、
前記アンテナに接続された前記回路によって前記受信信号を受信する工程と、
前記受信した信号をプロセッサによってデコードする工程と、
送信データを生成する工程と、
送信信号を前記回路によって生成する工程と、
前記回路に接続された前記アンテナに前記送信信号を結合する工程と、
前記送信信号を送信する工程と、
を備える、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記回路および前記アンテナは容量結合で結合される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【公開番号】特開2013−47969(P2013−47969A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−229779(P2012−229779)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2012−528082(P2012−528082)の分割
【原出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(510196800)コンソーシアム・ピー・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】CONSORTIUM P INCORPORATED
【Fターム(参考)】