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結合ドメイン−免疫グロブリン融合タンパク質
説明

結合ドメイン−免疫グロブリン融合タンパク質

【課題】免疫活性のある組換え結合タンパク質、詳しくは一本鎖Fv-免疫グロブリン融合
タンパク質を含む、分子的に操作された結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質を
提供すること。
【解決手段】本発明は、抗原、カウンターレセプターなどのコグネイト構造の結合ドメイ
ン、システイン残基を有さない、または1個有するヒンジ領域ポリペプチド、および免疫
グロブリンCH2およびCH3ドメインを特徴とし、主として単量体タンパク質として存在しな
がらADCCおよび/またはCDC能を有する新規な結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク
質を提供する。これらの融合タンパク質は高い発現レベルで組換え発現し得る。また、関
連の組成物および免疫療法適用をはじめとする方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、免疫活性のある組換え結合タンパク質、詳しくは一本鎖Fv-免疫グロ
ブリン融合タンパク質を含む、分子的に操作された結合ドメイン-免疫グロブリン融合タ
ンパク質に関する。本発明はまた、自己抗体の産生を特徴とする疾病をはじめとする悪性
症状およびB細胞疾患を治療する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫グロブリン分子は、鎖間ジスルフィド結合によって結合して高分子となる2つの同
一の軽鎖と2つの同一の重鎖からなる。鎖内ジスルフィド結合は同じポリペプチド鎖の異
なる領域を連結し、その結果、隣接するアミノ酸を伴って免疫グロブリンドメインを構成
するループが形成される。各軽鎖および各重鎖は抗体ごとに著しいアミノ酸組成のバリエ
ーションを示す単一の可変領域を有する。軽鎖可変領域VLは重鎖可変領域VHと会合して免
疫グロブリンの抗原結合部位Fvを形成する。軽鎖は1つの不変領域ドメインを有し、重鎖
は数個の不変領域ドメインを有する。クラスIgG、IgA、およびIgEはCH1、CH2、およびCH3
と呼ばれる3つの不変領域ドメインを有し、クラスIgMおよびIgEは4つの不変領域を有する

【0003】
免疫グロブリンの重鎖は、Fd、ヒンジおよびFcの3つの機能的領域に分けることができ
る。Fd領域はVHおよびCH1ドメインを含み、軽鎖との組合せでFabを形成する。Fcフラグメ
ントは一般に補体結合およびFcレセプターとの結合といった免疫グロブリンのエフェクタ
ー機能をつかさどると考えられている。ヒンジ領域はIgG、IgA、およびIgDクラスで見ら
れ、柔軟なスペーサーとして働き、Fab部分がスペース内を自由に移動できるようにする
。不変領域とは対照的に、このヒンジドメインは構造的に多様であり、免疫グロブリンの
クラスおよびサブクラス間で配列、長さとも様々である。例えば、3つのヒトIgGサブクラ
スIgG1、IgG2、およびIgG4は12〜15個のアミノ酸のヒンジ領域を有するが、IgG3は21個の
プロリン残基と11個のシステイン残基を含むおよそ62個のアミノ酸を含む。結晶学的研究
によれば、ヒンジはさらに機能上、上方ヒンジ、コア、そして下方ヒンジの3つの領域に
細分することができる(Shin et al., Immunological Reviews 130:87 (1992))。上方ヒン
ジはCH1のカルボキシル末端から、動きを制限するヒンジの最初の残基、通常は2つの重鎖
間で鎖間ジスルフィド結合を形成する最初のシステイン残基までのアミノ酸を含む。上方
ヒンジ領域の長さは抗体のセグメントの柔軟性と相関している。コアヒンジ領域は重鎖内
ジスルフィド架橋を含み、下方ヒンジ領域はCH2ドメインのアミノ末端を連結し、CH2の残
基を含む(同上)。ヒトIgG1のコアヒンジ領域はCys-Pro-Pro-Cysの配列を含むが、これは
ジスルフィド結合が形成された際に旋回軸として働くと考えられる環状オクタペプチドが
生じ、これにより柔軟性が付与される。ヒンジ領域はまた炭水化物結合部位を含み得る。
例えば、IgA1はヒンジ領域の17個のアミノ酸セグメント内に5つの炭水化物部位を含み、
分泌免疫グロブリンに有利な特性であると考えられるヒンジの腸管プロテアーゼ耐性を排
除する。
【0004】
ヒンジ領域の構造と柔軟性に許容されるコンホメーション変化はその抗体のFc部分のエ
フェクター機能に影響を及ぼし得る。Fc領域に関連するエフェクター機能の3つの一般的
なカテゴリーとしては、(1)従来の補体カスケードの活性化、(2)エフェクター細胞との相
互作用、および(3)免疫グロブリンのコンパートメント化が挙げられる。異なるヒトIgGサ
ブクラスは補体カスケードのステップを活性化および増幅させる相対活性が異なる。一般
に、IgG1およびIgG3が最も効果的に補体と結合し、IgG2はその効果が低く、IgG4は補体を
活性化しない。補体の活性化は抗原-抗体複合体に、カスケードの最初の補体C1のサブユ
ニットであるC1qが結合することで開始される。C1qの結合部位が抗体のCH2ドメインに位
置するとしても、ヒンジ領域は抗体がカスケードを活性化させる能力に影響を与える。例
えば、ヒンジ領域を欠く組換え免疫グロブリンは補体を活性化させることができない(同
上)。ヒンジ領域によって柔軟性が付与されなければ、抗原に結合した抗体のFab部分はC1
qのCH2への結合を可能とするのに必要なコンホメーションを採用できない可能性がある(
同上参照)。研究ではヒンジの長さとセグメントの柔軟性が補体の活性化に相関している
ことが示されているが、この相関は絶対的なものではない。IgG4と同じほど硬質の変化し
たヒンジ領域を有するヒトIgG3分子はなおこのカスケードを効果的に活性化する。
【0005】
またヒンジ領域の欠損も、ヒトIgG免疫グロブリンが免疫エフェクター細胞のFcレセプ
ターに結合する能力に影響を与える。免疫グロブリンとFcレセプターとの結合は、腫瘍細
胞の排除に重要な手段であると考えられる抗体依存細胞傷害作用(ADCC)を助長する。ヒト
IgG Fcレセプターファミリーは、IgGと高い親和性で結合し得るFcγRI(CD64)、いずれも
親和性の低いレセプターであるFcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)の3つの群に分類さ
れる。これらの3種の各レセプターと免疫グロブリンの間の分子的相互作用はまだ厳密に
は定義されていないが、実験では、CH2ドメインのヒンジ隣接領域の残基が抗体とFcレセ
プターの間の相互作用の特異性に重要であることが示されている。さらにまた、ヒンジ領
域を欠いたIgG1メラノーマタンパク質および組換えIgG3キメラ抗体は、おそらくCH2への
接近が低下しているためにFcγRIと結合できない(Shin et al., Intern. Rev. Immunol.
10:177, 178-79(1993))。
【0006】
モノクローナル抗体技術および遺伝子操作法はヒト疾病の診断および治療用の免疫グロ
ブリン分子の迅速な開発をもたらした。コグネイト抗原に対する抗体の親和性を向上させ
るため、免疫原性に関する問題をなくすため、また、抗体のエフェクター機能を変化させ
るためにタンパク質工学が適用されてきた。免疫グロブリンのドメイン構造は、抗原結合
ドメインおよびエフェクター機能を付与するドメインが免疫グロブリンクラスおよびサブ
クラス間で交換可能であるという点で操作しやすいものである。
【0007】
さらにまた、全免疫グロブリン療法に付随する問題を克服するために小免疫グロブリン
分子が構築されている。一本鎖Fv(scFv)は短いリンカーペプチドを介して軽鎖可変ドメイ
ンと連結した重鎖可変ドメインを含む(Huston et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:
5879-83,1988)。scFv分子が小さいので、それらは全免疫グロブリンよりも極めて迅速
な血漿および組織からのクリアランスとより有効な組織浸透を示す。抗腫瘍scFvは対応す
るキメラ抗体よりも迅速な腫瘍浸透およびより均一な腫瘍分布を示した(Yokota et al.,
Cancer Res. 52,3402-08 (1992))。scFvと、毒素などの別の分子との融合は標的組織へ
毒素を送達するため、scFvの特異的な抗原結合活性と小型であることを利用するものであ
る(Chaudaryet al., Nature 339:394 (1989); Batra et al., Mol. Cell. Biol. 11:220
0 (1991))。
【0008】
scFv分子は血清療法を実現するという利点にもかかわらず、この治療アプローチにはい
くつかの欠点がある。scFvの迅速なクリアランスが正常細胞における有毒作用を軽減する
ものの、このように迅速なクリアランスは標的組織への最小有効用量の送達を妨げてしま
うことがある。scFvの発現および単離が困難で生産量に悪影響を及ぼすことから、患者へ
の投与に十分量のscFvを製造する試みが続いている。発現中、scFv分子は安定性を欠き、
別の分子の様々な領域が対合することで凝集することが多い。さらに、哺乳類発現系にお
けるscFv分子の産生レベルは低く、治療向けのscFv分子の効率的な製造の可能性を制限し
ている(Daviset al, J. Biol. Chem. 265:10410-18 (1990); Traunecker et al., EMBO
J. 10: 3655-59(1991))。可変領域に対するグリコシル化部位の付加をはじめ、生産を向
上させる戦略が探求されている(Jost, C. R. 米国特許第5,888,773号, Jost et al, J. B
iol. Chem. 269:26267-73 (1994))。
【0009】
scFVに対する毒素の結合または融合により極めて有効な分子が得られるが、毒素分子か
らの毒性によって投与は制限される。有毒作用としては、肝臓酵素の上昇および血管漏出
症候群が挙げられる。さらに、免疫毒素は高い免疫原性を持ち、毒素に対して生じた宿主
抗体はその反復治療の可能性を制限する。
【0010】
治療にscFvを用いるさらなる利点としては、エフェクター機能がないことである。免疫
グロブリンの不変領域に関連する細胞溶解機能、ADCCおよび補体依存細胞傷害作用(CDC)
のないscFvは疾病の治療に有効ではないものと思われる。scFv技術の開発が12年前に始ま
っているにもかかわらず、現在に至ってまだ治療が認可されているscFvはない。
【0011】
疾病の治療に対する抗体不変領域に関連するエフェクター機能のため、非免疫グロブリ
ン配列が抗体可変領域に置換されている融合タンパク質の開発が促された。例えば、HIV
により認識されるT細胞表面タンパク質であるCD4が免疫グロブリンFcエフェクタードメイ
ンと組換え融合された(Sensel et al., Chem. Immunol. 65:129-158 (1997)参照)。この
ような分子の生物活性は選択された不変領域のクラスまたはサブクラスに部分的に依存す
るであろう。IL-2-IgG1融合タンパク質は補体により媒介されるIL-2レセプター保有細胞
の溶解をもたらした(同上参照)。これら、またその他の融合タンパク質の構築を目的とし
た免疫グロブリン不変領域の使用はまた、薬物動態特性の向上をもたらし得る。
【0012】
数種の免疫グロブリン療法に従うものと思われる疾病および疾患としては、癌および免
疫系疾患が挙げられる。癌は世界で約4人に1人が罹患する広範な疾患である。急速で制御
されない悪性細胞の増殖が血液の悪性症状をはじめ多種の癌の特徴である。血液の悪性症
状を有する患者は過去20年間の癌治療の進展から最も恩恵を受けてきた(Multani et al.,
J. Clin.Oncology 16: 3691-3710, 1998)。緩解率は高まってきているが、大部分の患
者がなお再発し、その疾病に屈している。細胞傷害薬による治癒の障壁としては腫瘍細胞
の耐性、および多くの患者で最適な投与の妨げとなる化学療法の高い毒性が挙げられる。
モノクローナル抗体(mAb)をはじめ、悪性細胞と特異的に結合する分子を用いたターゲッ
ティングに基づく新しい治療は毒性を高めることなく効果を向上させることができる。
【0013】
1975年に初めてmAbが記載されて以来(Kohleret al., Nature 256:495-97 (1975))、多
くの患者が腫瘍細胞で発現した抗原に対するmAbを用いて治療されてきた。これらの研究
は治療に適した標的抗原の選択に関する重要な教訓となっている。第一に最も重要なこと
としては、標的抗原は重要な正常組織によっては発現されてはならない。幸いにも、血液
の悪性細胞は幹細胞その他の必須細胞では発現しない多くの抗原を発現する。血液起源の
正常および悪性細胞の双方を枯渇させる血液の悪性症状の治療は、治療が終わった後に始
原細胞から正常細胞の再生が起こるので許容されてきた。第二に、標的抗原は腫瘍細胞の
全てのクローン原性集団で発現しなければならず、かつ、発現は免疫グロブリン療法の選
択圧によらず持続しなければならない。このようにB細胞悪性症状の治療のための表面イ
ディオタイプの選択は、その抗原が高い腫瘍選択性を示したとしても、表面イディオタイ
プの発現の変化を伴う腫瘍細胞変異体の派生物によって制限されたものとなっている(Mee
ker et al., N.Engl. J. Med. 312:1658-65 (1985))。第三に、選択された抗原は、免疫
グロブリンがそれと結合した後に適宜移動しなければならない。免疫グロブリンが標的抗
原と結合した後のその抗原の放出またはインターナリゼーションは腫瘍細胞を破壊から逃
れさせる可能性があり、従って、血清療法の有効性を制限する。第四に、活性化シグナル
を伝達する、免疫グロブリンと標的抗原との結合は増殖の停止とアポトーシスをもたらす
腫瘍細胞の機能的応答の向上をもたらし得る。これらの特性は全て重要であるが、免疫グ
ロブリンが抗原と結合した後のアポトーシスの誘発は血清療法の成功を達成する上で重要
な因子であり得る。
【0014】
BおよびT細胞悪性症状の血清療法の標的として試験された抗原としては、Igイディオタ
イプ(Brown etal., Blood 73:651-61 (1989))、CD19(Hekman et al., Cancer Immunol.
Immunother.32:364-72 (1991); Vlasveld et al., Cancer Immunol. Immunother. 40: 3
7-47 (1995))、CD20(Presset al., Blood 69: 584-91 (1987); Maloney et al., J. Cli
n. Oncol.15:3266-74, (1997)) CD21 (Scheinberg et. al., J. Clin. Oncol. 8:792-80
3, (1990))、CD5(Dillmanet. al., J. Biol. Respn. Mod. 5:394-410 (1986))、およびC
D52(CAMPATH)(Pawsonet al., J. Clin. Oncol. 15:2667-72, (1997))が挙げられる。こ
れらのうち、B細胞リンパ腫の治療標的としてCD20を用いる場合で最も成功が得られてい
る。その他の標的は各々抗原の生物特性によって制限されている。例えば、表面イディオ
タイプは体細胞突然変異によって変更される可能性があり、腫瘍細胞を逃れさせることが
ある。CD5、CD21、およびCD19は、もしmAbが毒素分子と結合していなければ、mAbと結合
した後に速やかにインターナライズされて腫瘍細胞を破壊から逃れさせてしまう。CD22は
B細胞リンパ腫のサブセットでしか発現しないが、CD52はT細胞およびB細胞の双方で発現
し、T細胞の枯渇から免疫抑制を生じる。
【0015】
CD20はB細胞悪性症状の治療に適当な標的抗原の選択に関して上記した基本的な基準を
満たす。キメラCD20mAbを用いた低悪性度または濾胞性B細胞リンパ腫を有する患者の治
療は多くの患者で部分的または完全応答を誘導する(McLaughlin et al, Blood 88:90a (a
bstract, suppl.1)(1996); Maloney et al, Blood 90: 2188-95 (1997))。しかし、一般
に6ヶ月から1年以内に腫瘍の再発が起こる。従って、低悪性度B細胞リンパ腫においてよ
り持続的な応答を誘導し、高悪性度リンパ腫その他のB細胞疾患の効果的な治療を可能と
するには血清療法にさらなる改善が必要である。
【0016】
CD20血清療法を改善する一つの試みはCD20に特異的なmAbを用いてB細胞リンパ腫に放射
性同位元素をターゲッティングすることであった。治療の有効性は高まっているものの、
放射性抗体のinvivo半減期が長いことに関連する毒性も高まり、患者が幹細胞救助を受
ける必要が生じることもある(Press et al., N. Eng. J. Med. 329: 1219-1224, 1993; K
aminski et al.,N. Eng.J. Med. 329:459-65 (1993))。CD20に対するMAbは放射性同位元
素の結合前にプロテアーゼにより切断されてF(ab')2 またはFabフラグメントを生じる。
これは放射性同位元素コンジュゲートの腫瘍への浸透を高め、in vivo半減期を短縮する
ことで正常組織への毒性を軽減する。しかし、補体結合およびADCCをはじめ、CD20 mAbの
Fc領域によって供されるエフェクター機能の利点は失われている。従って、放射性同位元
素の送達の向上のためには、Fc依存性のエフェクター機能を保持するが大きさが小さいCD
20 mAb誘導体を作出し、それにより腫瘍への浸透を高め、かつ、mAbの半減期を短縮する
戦略が必要である。
【0017】
CD20はモノクローナル抗体によって認識される最初のヒトB細胞系特異的表面分子であ
ったが、B細胞の生物学におけるCD20の機能はまだ完全には理解されていない。CD20は細
胞質内にアミノおよびカルボキシ両末端を有する35kDaの非グルコシル化疎水性リンタン
パク質である(Einfeldet al, EMBO J. 7:711-17 (1988))。CD20の天然リガンドはまだ同
定されていない。CD20は全ての正常な成熟B細胞により発現されるが、B細胞前駆体によっ
ては発現されない。
【0018】
CD20mAbsは正常B細胞へ生存力および成長に影響を及ぼすシグナルを伝達する(Clark e
t al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA 83:4494-98 (1986))。最近のデータでは、CD20の大
規模な架橋がBリンパ腫細胞系のアポトーシスを誘導し得ることが示されている(Shanet
al., Blood91:1644-52 (1998))。チロシン残基における細胞基質のリン酸化を測定する
ことで検出されたことであるが、細胞表面におけるCD20の架橋はシグナル変換の大きさお
よび速度を高める(Deanset al., J. Immunol. 146:846-53 (1993))。重要なこととして
は、RamosBリンパ腫細胞のアポトーシスはFcレセプター陽性細胞の付加によるCD20mAbの
架橋によっても誘導された(Shan et al., Blood 91: 1644-52 (1998))。従って、補体お
よびADCC機構による細胞涸渇に加え、invivoにおけるCD20 mAbによるFcレセプター結合
もCD20の架橋による悪性B細胞のアポトーシスを促進することが可能であった。この理論
はSCIDマウスモデルにおけるヒトリンパ腫のCD20療法の有効性がCD20mAbによるFcレセプ
ター結合に依存していたことを示す実験と一致する(Funakoshi et al., J. Immunotherap
y 19:93-101(1996))。
【0019】
CD20ポリペプチドは4つのトランスメンブランドメインを含む(Einfeldet al., EMBO J
. 7: 711-17,(1988); Stamenkovic et al., J .Exp. Med. 167:1975-80 (1988); Tedder
et. al.,J. Immunol. 141:4388-4394 (1988))。この複数の膜貫通ドメインは抗体結合
後のCD20のインターナリゼーションを妨げる。このCD20の特性は、B細胞リンパ腫を有す
る患者にネズミCD20mAbである1F5を注射した際に悪性細胞の著しい涸渇と部分的な臨床
応答をもたらす、細胞悪性症状の効果的な療法にとっての重要な特徴と認識された(Press
et al.,Blood 69: 584-91 (1987))。
【0020】
正常な成熟B細胞もまたCD20を発現することから、CD20抗体療法中には正常なB細胞も涸
渇される(Reff,M.E. et al, Blood 83: 435-445, 1994)。しかし、治療が完了した後にC
D20陰性B細胞前駆体から正常なB細胞が再生するので、抗CD20療法で処置した患者は顕著
な免疫抑制を受けることはない。正常なB細胞の涸渇は、自己抗体の不適切な産生を含む
疾病またはB細胞が役割を果たすと考えられるその他の疾病に有用であり得る。ヒトIgG1
重鎖およびヒトκ軽鎖不変領域と融合したマウス起源の重鎖および軽鎖可変領域からなる
CD20特異的キメラmAbはCD20との結合およびADCCを媒介して補体と結合する能力を保持し
ていた(Liu etal., J. Immunol. 139:3521-26 (1987); Robinson et al., 米国特許第5,
500,362号)。この研究は、現在米国食品医薬品局によりB細胞リンパ腫療法として認可さ
れているキメラCD20mAbであるRituximab(商標)の開発をもたらした。Rituximabによる治
療後には多くの場合で臨床応答が見られるが、6〜12ヶ月後に再発する患者が多い。
【0021】
Rituximab(商標)は、この分子がおよそ150kDaという大きなものであって、多数の腫瘍
細胞が存在しているリンパ組織中では拡散が制限されることから、静脈注射のためには高
用量が必要となる。Rituximab(商標)の抗腫瘍活性のメカニズムはADCC、補体の結合およ
びアポトーシスを誘導する悪性B細胞におけるシグナルの引き金を含む、いくつかの活性
の組合せであると考えられる。サイズの大きなRituximab(商標)は悪性B細胞を含むリンパ
組織へのこの分子の最適な拡散の妨げとなり、それによりこれらの抗腫瘍活性も制限され
る。上記で論じたように、プロテアーゼによるCD20 mAbのFabまたはF(ab')2フラグメント
への切断により、それらはより小さくなり、リンパ組織へ浸透しやすくなるが、抗腫瘍活
性にとって重要なエフェクター機能が失われる。CD20 mAbフラグメントは放射性同位元素
の送達のためには完全抗体よりも有効であり得るが、Fc部分のエフェクター機能を保持し
ているが、大きさが小さく、良好な腫瘍浸透を促進し、かつ、半減期がより短くなるCD20
mAb誘導体を構築することが望ましい。
【0022】
CD20はB細胞リンパ腫および慢性リンパ性白血病(CLL)をはじめとするB細胞起源の悪性
細胞によって発現される。CD20は急性リンパ芽球性白血病などの悪性のB細胞前駆体によ
っては発現されない。従って、CD20はB細胞リンパ腫、CLLおよびその他、B細胞が疾病の
活動に関わる疾病の治療によい標的となる。その他のB細胞疾患としては、B細胞の形質細
胞への分化中に自己抗体が産生される自己免疫疾患が挙げられる。B細胞疾患の例として
は、グレーブス病および橋本病をはじめとする自己免疫性甲状腺疾患、慢性関節リウマチ
、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、シェーグレン症候群、免疫血小板減少性紫斑病(ITP)、多発性
硬化症(MS)、重症性筋無力症(MG)、乾癬、強皮症、ならびにクローン病および潰瘍性大腸
炎をはじめとする炎症性腸疾患が挙げられる。
【0023】
以上から悪性症状およびB細胞疾患を治療する組成物および方法の改良には明確な必要
性が明らかである。本発明の組成物および方法は、免疫グロブリン重鎖CH3不変領域ポリ
ペプチドと融合した免疫グロブリン重鎖CH2不変領域ポリペプチドと融合した免疫グロブ
リンヒンジ領域ポリペプチドと融合した結合ドメインポリペプチドを含む結合ドメイン-
免疫グロブリン融合タンパク質を提供することで先行技術の制限を克服するものであり、
ここでは結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質がADCCまたは補体結合を媒介し得
る。さらに、これらの組成物および方法はその他の関連の利点も示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
(本発明の要約)
本発明の1つの態様は、(a)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドと融合した結合ドメ
インポリペプチド、なおこのヒンジ領域ポリペプチドは(i)システイン残基を含まず、か
つ、1以上のシステイン残基を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに由
来する変異型ヒンジ領域ポリペプチド、(ii)1つのシステイン残基を含み、かつ、2以上の
システイン残基を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに由来する変異型
ヒンジ領域ポリペプチド、(iii)野生型ヒトIgAヒンジ領域ポリペプチド、(iv)システイン
残基を含まず、かつ、野生型ヒトIgA領域ポリペプチドに由来する変異型ヒトIgAヒンジ領
域ポリペプチド、および(v)1つのシステイン残基を含み、かつ、野生型ヒトIgA領域ポリ
ペプチドに由来する変異型ヒトIgAヒンジ領域ポリペプチドからなる群から選択される;(b
)ヒンジ領域ポリペプチドと融合した免疫グロブリン重鎖CH2不変領域ポリペプチド;およ
び(c)CH2不変領域ポリペプチドと融合した免疫グロブリン重鎖CH3不変領域ポリペプチド
を含み、(1)結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質が抗体依存細胞媒介性細胞傷害
作用および補体結合からなる群から選択される少なくとも1つの免疫活性能を持ち、かつ
、(2)結合ドメインポリペプチドが抗原に対して特異的結合能を持つ、結合ドメイン-免疫
グロブリン融合タンパク質を提供することである。ある実施形態では、この免疫グロブリ
ンヒンジ領域ポリペプチドは変異型ヒンジ領域ポリペプチドであり、かつ、野生型ヒト免
疫グロブリンGヒンジ領域ポリペプチドに比べて低い二量体形成能を示す。もう1つの実施
形態では、この結合ドメインポリペプチドは、免疫グロブリン軽鎖可変領域ポリペプチド
または免疫グロブリン重鎖可変領域ポリペプチドである少なくとも1つの免疫グロブリン
可変領域ポリペプチドを含む。さらなる実施形態では、この免疫グロブリン可変領域ポリ
ペプチドはヒト免疫グロブリンに由来する。
【0025】
もう1つの実施形態では、結合ドメインFv-免疫グロブリン融合タンパク質結合ドメイン
ポリペプチドは、(a)少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域ポリペプチド;(b)少な
くとも1つの免疫グロブリン重鎖可変領域ポリペプチド;および(c)(a)のポリペプチドかつ
(b)のポリペプチドと融合している少なくとも1つのリンカーペプチドを含む。さらなる実
施形態では、この免疫グロブリン軽鎖可変領域および重鎖可変領域ポリペプチドはヒト免
疫グロブリンに由来する。
【0026】
もう1つの実施形態では、免疫グロブリン重鎖CH2不変領域ポリペプチドおよび免疫グロ
ブリン重鎖CH3不変領域ポリペプチドの少なくとも1つがヒト免疫グロブリン重鎖に由来す
る。もう1つの実施形態では、免疫グロブリン重鎖不変領域CH2およびCH3ポリペプチドは
ヒトIgGおよびヒトIgAから選択されるイソタイプのものである。もう1つの実施形態では
、抗原はCD19、CD20、CD37、CD40およびL6からなる群から選択される。上記の融合タンパ
ク質のさらなる特定の実施形態では、このリンカーポリペプチドはGly-Gly-Gly-Gly-Ser[
配列番号21]のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドを含み、その他の特定
の実施形態では、このリンカーポリペプチドはGly-Gly-Gly-Gly-Ser[配列番号21]のアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドの少なくとも3つのリピートを含む。特定の実施形態では
、この免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドはヒトIgAヒンジ領域ポリペプチドを含む
。特定の実施形態では、この結合ドメインポリペプチドはCD154細胞外ドメインを含む。
特定の実施形態では、この結合ドメインポリペプチドはCD154細胞外ドメインおよび少な
くとも1つの免疫グロブリン可変領域ポリペプチドを含む。
【0027】
他の実施形態では、本発明は、上記のいずれかの結合ドメイン-免疫グロブリン融合タ
ンパク質をコードする単離ポリヌクレオチドを提供し、関連の実施形態では、本発明は、
かかるポリヌクレオチドを含む組換え発現構築物を提供し、さらなる特定の実施形態では
、本発明は、かかる組換え発現構築物で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞
を提供する。もう1つの実施形態では、本発明は、結合ドメイン-免疫グロブリン融合タン
パク質の作製方法であって、(a)上記の宿主細胞を結合ドメイン-免疫グロブリン融合タン
パク質の発現を可能とする条件下で培養し;さらに(b)その宿主細胞培養物から結合ドメ
イン-免疫グロブリン融合タンパク質を単離するステップを含む方法を提供する。
【0028】
本発明はまた、特定の実施形態において上記の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タン
パク質を生理学上許容される担体とともに含む医薬組成物を提供する。もう1つの実施形
態では、治療上有効量の上記結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質を患者に投与
することを含む、悪性症状またはB細胞疾患を有する、または有することが疑われる被験
体を治療する方法を提供する。さらなる特定の実施形態では、この悪性症状またはB細胞
疾患はB細胞リンパ腫または自己抗体の産生を特徴とする疾病であり、他の特定の実施形
態では、この悪性症状またはB細胞疾患は慢性関節リウマチ、重症性筋無力症、グレーブ
ス病、I型糖尿病、多発性硬化症または自己免疫疾患である。
【0029】
本発明のこれら、およびその他の態様は以下の詳細な説明および添付の図面を参照すれ
ば明らかとなる。本明細書に開示されている参照文献は全て出典明示によりその全内容が
あたかも個々に組み入れられているように本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】CD20と特異的に結合し得る結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質である2H7scFv-IgのDNAおよび推定アミノ酸配列[配列番号__]を示す。
【図1B】CD20と特異的に結合し得る結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質である2H7scFv-IgのDNAおよび推定アミノ酸配列[配列番号__]を示す。
【図2】トランスフェクトされた安定なCHO系統による2H7 scFv-Igの産生レベルおよび精製2H7scFv-IgとCD20発現CHO細胞との結合による標準曲線の作製を示す。
【図3】単離2H7scFv-Igタンパク質の複数の調製物のSDS-PAGE解析を示す。
【図4A】2H7scFv-Igによる補体結合(図4A)および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC、図4B))を示す。
【図4B】2H7scFv-Igによる補体結合(図4A)および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC、図4B))を示す。
【図5】正常B細胞の増殖に対するCD20およびCD40の同時連結の作用を示す。
【図6】Bリンパ芽球細胞系統におけるCD95の発現およびアポトーシスの誘導に対するCD20およびCD40の同時連結の作用を示す。
【図7A】CD20およびCD40と特異的に結合し得る結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質2H7scFv-CD154L2(図7A、配列番号__)および2H7scFv-CD154 S4(図7B、配列番号__)のDNAおよび推定アミノ酸配列[配列番号__]を示す。
【図7B】CD20およびCD40と特異的に結合し得る結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質2H7scFv-CD154L2(図7A、配列番号__)および2H7scFv-CD154 S4(図7B、配列番号__)のDNAおよび推定アミノ酸配列[配列番号__]を示す。
【図7C】CD20およびCD40と特異的に結合し得る結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質2H7scFv-CD154L2(図7A、配列番号__)および2H7scFv-CD154 S4(図7B、配列番号__)のDNAおよび推定アミノ酸配列[配列番号__]を示す。
【図7D】CD20およびCD40と特異的に結合し得る結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質2H7scFv-CD154L2(図7A、配列番号__)および2H7scFv-CD154 S4(図7B、配列番号__)のDNAおよび推定アミノ酸配列[配列番号__]を示す。
【図8】フローイムノサイトフルオリメトリーによる2H7scFv-CD154結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質とCD20+CHO細胞との結合を示す。
【図9】2H7scFv-CD154結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質と細胞との結合後のアネキシンVとB細胞系統Ramos、BJABおよびT51との結合を示す。
【図10】2H7scFv-CD154結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質の結合後のB細胞系統T51の増殖に対する作用を示す。
【図11】CytoxBまたはCytoxB誘導体:CytoxB-MHWTG1C(2H7ScFv、変異型ヒンジ、野生型ヒトIgG1Fcドメイン)、CytoxB-MHMG1C(2H7 ScFv、変異型ヒンジ、変異型ヒトIgG1 Fcドメイン)およびCytoxB-IgAHWTHG1C(2H7ScFv、ヒトIgA由来ヒンジ[配列番号__]、野生型ヒトIgG1Fcドメイン)と呼ばれる2H7ScFv-Ig融合タンパク質[配列番号__]の構造の模式図を示す。矢印はFcR結合およびADCC活性(濃い矢印)、および補体結合(薄い矢印)に関与すると考えられるアミノ酸残基の位置番号を示す。鎖間ジスルフィド結合が存在しないことに着目。
【図12】単離CytoxBおよび2H7scFv-CD154結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質のSDS-PAGE解析を示す。
【図13】CytoxB誘導体の抗体依存細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)活性を示す。
【図14】CytoxB誘導体の補体依存細胞傷害作用(CDC)を示す。
【図15】マカク血液サンプルにおけるCytoxB-MHWTG1Cの血清半減期の測定を示す。
【図16】マカク血液サンプルにおける循環CD40+B細胞のレベルに対するCytoxB-MHWTG1の作用を示す。
【図17】トランスフェクト哺乳類細胞系統によるHD37(CD19特異的)ScFv-Igの産生レベルおよび精製HD37ScFv-IgとCD19発現細胞との結合による標準曲線の作製を示す。
【図18】トランスフェクトされた安定なCHO系統によるL6(癌腫抗原)ScFv-Igの産生レベルおよび精製L6ScFv-IgとL6抗原発現細胞との結合による標準曲線の作製を示す。
【図19】結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質2H7 ScFv-Ig、HD37 ScFv-IgおよびG28-1(CD37特異的)ScFv-IgのADCC活性を示す。
【図20】L6ScFv-Ig融合タンパク質のADCC活性を示す。
【図21】L6ScFv-Igおよび2H7 ScFv-Ig融合タンパク質のSDS-PAGE解析を示す。
【図22】G28-1ScFv-IgおよびHD37 ScFv-Ig融合タンパク質のSDS-PAGE解析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、免疫治療および免疫診断用途に有用であって、先行技術の抗原特異的ポリペ
プチドに優る特定の利点を供する結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質、ならび
に関連の組成物および方法を目的とする。本発明の融合タンパク質は好ましくは適切な部
分として以下の融合ドメイン:結合ドメインポリペプチド、免疫グロブリンヒンジ領域ポ
リペプチド、免疫グロブリン重鎖CH2不変領域ポリペプチド、および免疫グロブリン重鎖C
H3不変領域ポリペプチドを含むポリペプチド一本鎖である。特に好ましい実施形態では、
その結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質のポリペプチドドメインはヒト遺伝子
配列の産物であるポリペプチドを含むか、またはそれに由来するものであるが、本発明は
これに限定される必要はなく、実際には、本明細書に記載の結合ドメイン-免疫グロブリ
ン融合タンパク質に関する遺伝子操作ポリペプチドおよび/または変異型ポリペプチドを
はじめ、いずれの天然源または人工源に由来するものであってもよい。
【0032】
本発明は1つには、本明細書に記載の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質が免
疫活性能を有するという驚くべき知見に関する。より詳しくは、これらのタンパク質は、
そのようなエフェクター活性を促進し得るとは予測されない構造を有するにもかかわらず
、抗体依存細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC、例えば適当な条件下で、細胞表面への抗原の
結合に続いて起こる、FcRγIIIを有するナチュラルキラー(NK)細胞など、適当なFcレセプ
ターを有する細胞傷害性エフェクター細胞の会合および誘導)および/または補体依存細
胞傷害作用(CDC、例えば細胞表面への抗原の結合に続いて起こる、血液補体カスケードの
成分である細胞溶解タンパク質の動員および活性化)の補体結合をはじめとする周知の免
疫エフェクター活性に関与する能力を保持する。以下にさらに詳細に記載するが、ADCCお
よびCDCは対象となる融合タンパク質に対して選択された構造、特に、鎖間ホモ二量体ジ
スルフィド結合を形成し得るそれらの能力に妥当なヒンジ領域ポリペプチドの選択に好ま
しい免疫グロブリン重鎖領域を含む単量体タンパク質にとっては予測できない作用である

【0033】
本発明によって与えられるもう1つの利点は先行技術の一本鎖抗体構築物で通常得られ
るものより典型的に多い実質的量で産生することができる結合ドメイン-免疫グロブリン
融合ポリペプチドである。好ましい実施形態では、本発明の結合ドメイン-免疫グロブリ
ン融合タンパク質は哺乳類発現系で組換え発現され、in vivoで(例えば、生理条件下で)
安定なポリペプチドを提供するという利点を供する。特定の理論に限定されるものではな
いが、このような安定性は1つには融合タンパク質の翻訳後修飾、具体的にはグリコシル
化によるものであり得る。組換え哺乳類発現を通じた本発明の結合ドメイン-免疫グロブ
リン融合タンパク質の産生は静置細胞培養物において培養上清1リットル当たり50mgを超
えるレベルで得られており、通常、このような培養物では10〜50mg/lで認められ、従って
、静置培養条件下では少なくとも10〜50mg/lが産生されることが好ましく、また、 「フ
ェッドバッチ(fedbatch)」(すなわち、非静置)産生などの当技術分野で受け入れられて
いるスケールアップ法を用いて融合タンパク質の産生向上も考えられ、これによればタン
パク質産物にもよるが、少なくとも5-500mg/l、場合によっては少なくとも0.5〜1gm/lの
収率が得られる。
【0034】
本発明によれば結合ドメインポリペプチドはコグネイト生体分子、あるいは1を超える
分子の複合体、または安定的なものであれ一時的なものであれ、このような分子の集合体
または凝集体を特異的に認識して結合する能力を有するいずれのポリペプチドであっても
よく、このような分子としてはタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、または
その誘導体;脂質、脂肪酸など、またはその誘導体;炭水化物、糖など、またはその誘導
体;核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、プリン、ピリミジンもしくは関連の分子、また
はその誘導体など;あるいは例えば糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質、リポタンパク質
、 タンパク脂質などのそのいずれかの組合せ;あるいは生体サンプルに存在し得る他の
いずれかの生体分子が挙げられる。生体サンプルは血液サンプル、生検標本、組織外植片
、器官培養物、体液またはその他被験体もしくは生物源のいずれかの組織もしくは細胞調
製物を採取することで得られる。被験体または生物源はヒトもしくは非ヒト動物、一次細
胞培養物、限定されるものではないが、染色体に組み込まれているかエピソーム組換えさ
れた核酸配列を含み得る遺伝子操作細胞系統、不死化された、もしくは不死化可能な細胞
系統、体細胞雑種細胞系統、分化した、もしくは分化可能な細胞系統、形質転換された細
胞系統などをはじめとする培養に適合した細胞系統であり得る。本発明の特定の好ましい
実施形態では、被験体または生物源は上記で示した悪性症状またはB細胞疾患を有するこ
とが疑われる、またはそのリスクがあるものであり、さらなる特定の好ましい実施形態で
は自己免疫疾患であり、本発明のその他の特定の好ましい実施形態では、この被験体また
は生物源はかかる疾病のリスクがない、またはかかる疾病が存在しないことが分かってい
るものであり得る。
【0035】
従って結合ドメインポリペプチドは目的の標的構造をとる、本明細書で示されたコグネ
イト生体分子(本明細書では「抗原」と呼ぶ)の天然に存在する、または組換え産生された
結合相手であってもよいが、本開示によれば本発明の融合タンパク質が特異的に結合する
ことが望ましい、いずれの標的生体分子も包含するものとする。結合ドメイン-免疫グロ
ブリン融合タンパク質は「免疫特異的」である、すなわちそれらが結合するならば、本明
細書で示される抗原などの所望の標的分子と、約104M-1以上、好ましくは約105M-1以上、
より好ましくは約106M-1以上、いっそう好ましくは約107M-1のKaで特異的に結合し得るも
のと定義される。本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質の親和性は常法
、例えばScatchardet al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660 (1949)に記載の方法を用いて
容易に測定することができる。このような目的の標的抗原と結合する融合タンパク質の決
定はもまた、他のタンパク質またはポリペプチドと特異的に相互作用するタンパク質を同
定および獲得する多くの公知の方法のいずれか、例えば米国特許第5,283,173号および同
第5,468,614号に記載のものなどの酵母ツーハイブリッドスクリーニング系を用いて行う
ことができる。
【0036】
本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質の好ましい実施形態は、本明細
書に記載の抗原またはその他目的の標的構造と特異的に結合する限り、重鎖または軽鎖V
領域の全てまたは一部またはフラグメントなど、少なくとも1つの免疫グロブリン可変領
域ポリペプチドを含む結合ドメインを含む。他の好ましい実施形態では、結合ドメインは
、少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖V領域の全てまたは一部および少なくとも1つの免
疫グロブリン重鎖V領域の全てまたは一部を含んでもよく、それらのV領域と融合したリン
カーをさらに含む、一本鎖免疫グロブリン由来Fv産物を含み、このような構築物の調製お
よび試験は本明細書にさらに詳細に記載され、また当技術分野でも周知のものである。そ
の他の結合ドメインポリペプチドは、非免疫グロブリンをはじめ、本明細書で示される抗
原と特異的に結合する能力を保持するいずれかのタンパク質またはその一部を含み得る。
従って本発明では、ホルモン、サイトカイン、ケモカインなどのようなポリペプチドリガ
ンド;このようなポリペプチドリガンドの細胞表面または可溶性レセプター;レクチン;
特異的白血球インテグリン、セレクチン、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーメン
バー、細胞間接着分子(ICAM-1、-2、-3)などのような細胞間接着レセプター;組織適合性
抗原などに由来する結合ドメインポリペプチドを含む融合タンパク質を意図する。
【0037】
結合ドメインポリペプチドを提供し、かつ、本発明の結合ドメイン-Ig融合タンパク質
が望ましく結合する標的分子または抗原としても選択され得る細胞表面レセプターの例と
しては次のものなどが挙げられる:HER1(例えば、GenBank受託番号U48722、SEG_HEGFREXS
, KO3193)、HER2(Yoshinoet al., 1994 J. Immunol. 152:2393; Disis et al., 1994 Ca
nc. Res. 54:16;また例えば、GenBank受託番号X03363、M17730、SEG_HUMHER20も参照)、H
ER3(例えば、GenBank受託番号U29339、M34309)、HER4(Plowmanet al., 1993 Nature 366
:473;また例えば、GenBank受託番号L07868、T64105も参照)、上皮成長因子レセプター(EG
FR)(例えば、GenBank受託番号U48722、SEG_HEGFREXS、KO3193)、血管内皮細胞成長因子(
例えば、GenBank受託番号M32977)、血管内皮細胞成長因子レセプター(例えば、GenBank受
託番号AF022375、1680143、U48801、X62568)、インスリン様成長因子-I(例えば、GenBank
受託番号X00173、X56774、X56773、X06043、また、欧州特許第GB2241703号も参照)、イン
スリン様成長因子-II(例えば、GenBank受託番号X03562、X00910、SEG_HUMGFIA、SEG_HUMG
FI2、M17863、M17862)、トランスフェリンレセプター(Trowbridgeand Omary, 1981 Proc
. Nat. Acad.USA 78:3039;また例えば、GenBank受託番号X01060、M11507も参照)、エス
トロゲンレセプター(例えば、GenBank受託番号M38651、X03635、X99101、U47678、M12674
)、プロゲステロンレセプター(例えば、GenBank受託番号X51730、X69068、M15716)、卵胞
刺激ホルモンレセプター(FSH-R)(例えば、GenBank受託番号Z34260、M65085)、レチノイン
酸レセプター(例えば、GenBank受託番号L12060、M60909、X77664、X57280、X07282、X065
38)、MUC-1(Barneset al., 1989 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86:7159;また例えば、Gen
Bank受託番号SEG_MUSMUCIO、M65132、M64928も参照)、NY-ESO-1(例えば、GenBank受託番
号AJ003149、U87459)、NA17-A(例えば、欧州特許第WO96/40039号)、Melan-A/MART-1(Kaw
akami et al.,1994 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91:3515;また例えば、GenBank受託番号
U06654、U06452も参照)、チロシナーゼ(Topalianet al., 1994 Proc. Nat. Acad. Sci.
USA 91:9461;また例えば、GenBank受託番号M26729、SEG_HUMTYR0も参照、またWeberet a
l., J. Clin.Invest (1998) 102:1258も参照)、Gp-100(Kawakami et al., 1994 Proc. N
at. Acad. Sci.USA 91:3515;また例えば、GenBank受託番号S73003も参照、また欧州特許
第EP668350;Adema et al., 1994 J. Biol. Chem. 269:20126も参照)、MAGE(van den Bru
ggen et al.,1991 Science 254:1643;また例えば、GenBank受託番号U93163、AF064589、
U66083、D32077、D32076、D32075、U10694、U10693、U10691、U10690、U10689、U10688、
U10687、U10686、U10685、L18877、U10340、U10339、L18920、U03735、M77481)、BAGE(例
えば、GenBank受託番号U19180、また米国特許第5,683,886号および同第5,571,711号も参
照)、GAGE(例えば、GenBank受託番号AF055475、AF055474、AF055473、U19147、U19146、U
19145、U19144、U19143、U19142)、特にSSX2遺伝子によってコードされるHOM-MEL-40抗原
を含むCTAクラスのレセプターのいずれか(例えば、GenBank受託番号X86175、U90842、U90
841、X86174)、癌胎児抗原(CEA,Gold and Freedman, 1985 J. Exp. Med. 121:439;また
例えば、GenBank受託番号SEG_HUMCEA、M59710、M59255、M29540も参照)、およびPyLT(例
えば、GenBank受託番号J02289、J02038)。
【0038】
結合ドメインポリペプチドの供給源であり得るか、またはコグネイト抗原であり得るさ
らなる細胞表面レセプターとしては次のものなどが挙げられる:CD2(例えば、GenBank受
託番号Y00023、SEG_HUMCD2、M16336、M16445、SEG_MUSCD2、M14362)、4-1BB(CDw137,Kwo
n et al., 1989Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86:1963)、4-1BBリガンド(Goodwin et al.,
1993 Eur.J. Immunol. 23:2361; Melero et al., 1998 Eur. J. Immunol. 3:116)、CD5
(例えば、GenBank受託番号X78985、X89405)、CD10(例えば、GenBank受託番号M81591、X76
732)、CD27(例えば、GenBank受託番号M63928、L24495、L08096)、CD28(Juneet al., 199
0 Immunol.Today 11:211;また例えば、GenBank受託番号J02988、SEG_HUMCD28、M34563も
参照)、CTLA-4(例えば、GenBank受託番号L15006、X05719、SEG_HUMIGCTL)、CD40(例えば
、GenBank受託番号M83312、SEG_MUSC040A0、Y10507、X67878、X96710、U15637、L07414)
、インターフェロン-γ(IFN-γ;また例えば、Farraret al. 1993 Ann. Rev. Immunol. 1
1:571およびそこに挙げられている参照文献,Gray et al. 1982 Nature 295:503, Rinder
knecht et al.1984 J. Biol. Chem. 259:6790, DeGrado et al. 1982 Nature 300:379も
参照)、インターロイキン-4(IL-4;また例えば、53rdForum in Immunology, 1993 Resear
ch in Immunol.144:553-643; Banchereau et al., 1994 in The Cytokine Handbook, 2n
d ed., A. Thomson, ed., Academic Press,NY, p. 99; Keegan et al., 1994 J Leukocy
t. Biol..55:272およびそこに挙げられている参照文献参照)、インターロイキン-17(IL-
17)(例えば、GenBank受託番号U32659、U43088)およびインターロイキン-17レセプター(IL
-17R)(例えば、GenBank受託番号U31993、U58917)。以上にもかかわらず、本発明は米国特
許第5,807,734号および同第5,807,734号に開示されるいずれの免疫グロブリン融合タンパ
ク質も明らかに含まない。
【0039】
結合ドメインポリペプチドの供給源であり得るか、またはコグネイト抗原であり得るさ
らなる細胞表面レセプターとしては次のものなどが挙げられる:CD59(例えば、GenBank受
託番号SEG_HUMCD590、M95708、M34671)、CD48(例えば、GenBank受託番号M59904)、CD58/L
FA-3(例えば、GenBank受託番号A25933、Y00636、E12817;また日本国特許JP1997075090-A
も参照)、CD72(例えば、GenBank受託番号AA311036、S40777、L35772)、CD70(例えば、Gen
Bank受託番号Y13636、S69339)、CD80/B7.1(Freemanet al., 1989 J. Immunol. 43:2714;
Freemanet al., 1991 J. Exp. Med. 174:625;また例えば、GenBank受託番号U33208、I6
83379)、CD86/B7.2(Freemanet al., 1993 J. Exp. Med. 178:2185, Boriello et al., 1
995 J. Immunol.155:5490;また例えば、GenBank受託番号AF099105、SEG_MMB72G、U39466
、U04343、SEG_HSB725、L25606、L25259)、CD40リガンド(例えば、GenBank受託番号SEG_H
UMCD40L、X67878、X65453、L07414)、IL-17(例えば、GenBank受託番号U32659、U43088)、
CD43(例えば、GenBank受託番号X52075、J04536)およびVLA-4(α4β7)(例えば、GenBank受
託番号L12002、X16983、L20788、U97031、L24913、M68892、M95632)。次の細胞表面レセ
プターは典型的にB細胞と会合する:CD19(例えば、GenBank受託番号SEG_HUMCD19W0、M843
71、SEG_MUSCD19W、M62542)、CD20(例えば、GenBank受託番号SEG_HUMCD20、M62541)、CD2
2(例えば、GenBank受託番号I680629、Y10210、X59350、U62631、X52782、L16928)、CD30
リガンド(例えば、GenBank受託番号L09753、M83554)、CD37(例えば、GenBank受託番号SEG
_MMCD37X、X14046、X53517)、CD106(VCAM-1)(例えば、GenBank受託番号X53051、X67783、
SEG_MMVCAM1C、また米国特許第5,596,090号も参照)、CD54(ICAM-1)(例えば、GenBank受託
番号X84737、S82847、X06990、J03132、SEG_MUSICAM0)、インターロイキン-12(例えば、R
eiter et al,1993 Crit. Rev. Immunol. 13:1およびそこに挙げられている参照文献参照
)。また、補助細胞剤としては、典型的に樹状細胞と会合する次の細胞表面レセプターの
いずれかが挙げられる:CD83(例えば、GenBank受託番号AF001036、AL021918)、DEC-205(
例えば、GenBank受託番号AF011333、U19271)。
【0040】
上記で論じた免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドとしては、天然に存在する、また
は人工ペプチドとしての、もしくは遺伝子操作の結果としてのものであって、CH1およびC
H2領域における鎖内免疫グロブリン-ドメインジスルフィド結合の形成に関与するアミノ
酸残基間の免疫グロブリン重鎖ポリペプチドに位置するいずれのヒンジペプチドまたはポ
リペプチドも含み、本発明で用いるヒンジ領域ポリペプチドとしてはまた、変異型ヒンジ
領域ポリペプチドも含み得る。従って、免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドは上記の
ように、従来ヒンジ機能を有するものとされている免疫グロブリンポリペプチド鎖領域に
由来するものであってもよいし、あるいはその一部またはフラグメント(すなわち、ペプ
チド結合の1以上のアミノ酸、典型的には5〜65のアミノ酸、好ましくは10〜50、より好ま
しくは15〜35、いっそう好ましくは18〜32、いっそう好ましくは20〜30、いっそう好まし
くは21、22、23、24、25、26、27、28または29のアミノ酸)であってもよい。しかしなが
ら、本発明で用いるヒンジ領域ポリペプチドはこのように限定する必要はなく、CH1ドメ
インまたはCH2ドメインなどの隣接する免疫グロブリンドメイン、または人為的に操作し
た特定の免疫グロブリン構築物の場合には免疫グロブリン可変領域ドメインに位置するア
ミノ酸を含み得る(当技術分野で知られているように、様々であり得る特定のドメインに
対して特定の残基を割り付ける構造基準に従う)。
【0041】
野生型免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドとしては、免疫グロブリンの不変領域ド
メインCH1およびCH2の間に位置する天然型のヒンジ領域のいずれもを含む。野生型免疫グ
ロブリンヒンジ領域ポリペプチドは好ましくはヒトIgG免疫グロブリン由来のヒンジ領域
、より好ましくはヒトIgG1イソ型由来のヒンジ領域ポリペプチドを含むヒト免疫グロブリ
ンヒンジ領域ポリペプチドであることが好ましい。当技術分野で公知のように、免疫グロ
ブリンアミノ酸配列が全体として著しく多様であるにもかかわらず、免疫グロブリンの一
次構造は、免疫グロブリンポリペプチド鎖の特定の部分において、顕著にはそれらのメル
カプト基によって、利用可能な他のメルカプト基とのジスルフィド結合の形成の可能性を
与えるシステイン残基の存在に関して高い程度の配列保存を示す。従って、本発明の内容
では、野生型免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドは1以上の高度に保存された(例えば
統計学的に有意な割合で優勢である)システイン残基を特徴とするものであると考えられ
、特定の好ましい実施形態では、変異型ヒンジ領域ポリペプチドはシステイン残基を含ま
ないか、または1つ含み、かつ、かかる野生型ヒンジ領域に由来するものが選択され得る

【0042】
変異型免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドはCH2およびCH3ドメインのものとは異な
る種、免疫グロブリンイソ型もしくはクラス、または免疫グロブリンサブクラスの免疫グ
ロブリンにその起源を有するヒンジ領域を含み得る。例えば、本発明の特定の実施形態で
は、結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質は、本明細書に記載のようにシステイ
ン残基を含まないか、または1個のみ含む野生型ヒトIgAヒンジ領域ポリペプチドまたは変
異型ヒトIgAヒンジ領域ポリペプチドを含む免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドと融
合した結合ドメインポリペプチドを含み得る。このようなヒンジ領域ポリペプチドは別の
Igイソ型またはクラス、例えばIgGサブクラス(特定の好ましい実施形態ではIgG1サブクラ
スである)由来の免疫グロブリン重鎖CH2領域ポリペプチドと融合されていてもよい。
【0043】
例えば、以下にさらに詳細に記載するが、本発明の特定の実施形態では、免疫グロブリ
ンヒンジ領域ポリペプチドは天然型として3つのシステインを含む野生型ヒトIgAヒンジ領
域に由来しするものから選択され、ここでその選択されたヒンジ領域ポリペプチドは1個
のシステイン残基のみが残るように、完全ヒンジ領域に対して末端切断されている(例え
ば、配列番号35〜36)。同様に、本発明の他の特定の実施形態では、結合ドメイン-免疫グ
ロブリン融合タンパク質は、アミノ酸置換または欠失によりシステイン残基の数が減って
いる変異型ヒンジ領域ポリペプチドを含む免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドと融合
した結合ドメインポリペプチドを含む。このように変異型ヒンジ領域ポリペプチドは1以
上のシステイン残基を含む野生型免疫グロブリンヒンジ領域に由来するものであってもよ
い。特定の実施形態では、変異型ヒンジ領域ポリペプチドはシステイン残基を含まないか
、または1個のみ含んでよく、この変異型ヒンジ領域ポリペプチドはそれぞれ1以上または
2以上のシステイン残基を含む野生型免疫グロブリンヒンジ領域に由来するものである。
この変異型ヒンジ領域ポリペプチドにおいては、野生型免疫グロブリンヒンジ領域のシス
テイン残基はジスルフィド結合を形成できないアミノ酸で置換されていることが好ましい
。本発明のある実施形態では、変異型ヒンジ領域ポリペプチドは、4つのヒトIgGイソ型サ
ブクラスIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のいずれかを含んでなり得るヒトIgG野生型ヒンジ
領域ポリペプチドに由来する。特定の好ましい実施形態では、変異型ヒンジ領域ポリペプ
チドはヒトIgG1野生型ヒンジ領域ポリペプチドに由来する。例としては、ヒトIgG1野生型
ヒンジ領域ポリペプチド由来の変異型ヒンジ領域ポリペプチドは野生型免疫グロブリンヒ
ンジ領域の3つのシステイン残基のうち2つにおける突然変異、または3つのシステイン残
基全てにおける突然変異を含み得る。
【0044】
野生型免疫グロブリンヒンジ領域に存在し、かつ、本発明の特に好ましい実施形態の突
然変異誘発によって除去されるシステイン残基としては、鎖間ジスルフィド結合を形成す
る、または形成し得るシステイン残基が挙げられる。理論に拘束されるものではないが、
本発明は鎖間ジスルフィド架橋の形成に関与すると考えられているかかるヒンジ領域シス
テイン残基の突然変異が、驚くことに、その融合タンパク質が抗体依存細胞媒介性細胞傷
害作用(ADCC)を促進する、または補体と結合する能力をなくすことなく、鎖間ジスルフィ
ド結合の形成を介して本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質の二量体(ま
たはより高次のオリゴマー)形成能を低下させることを意図する。特に、ADCC(例えば、Fc
RIII、CD16)を媒介するFcレセプター(FcR)は免疫グロブリンFcドメインに対して低い親和
性を示すが、このことはFcとFcRとの機能的結合には通常の抗体の重鎖の二量体構造によ
るFc-FcR複合体のアビディティの安定化、および/または通常のAbFc構造によるFcRの凝
集および架橋を必要とする(Sonderman et al., 2000 Nature 406:267; Radaev et al., 2
001 J. Biol.Chem. 276:16469; Radaev et al., 2001 J. Biol. Chem. 276:16478; Kool
wijk et al., 1989J. Immunol. 143:1656; Kato et al., 2000 Immunol. Today 21:310)
。よって、本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質は一本鎖免疫グロブリ
ン融合タンパク質に付随した利点を提供しながら、予期されないことに免疫活性を保持し
ている。同様に、補体と結合する能力もFcを含むものなどの重鎖不変領域に関して二量体
である免疫グロブリンに不随しているのが典型であり、それと同時に本発明の結合ドメイ
ン-免疫グロブリン融合タンパク質は予期されない補体結合能を示す。
【0045】
上記で示したように、結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質は、限定されない
理論によれば、それらの二量体形成能に妥当なものであると考えられ、さらに理論によれ
ば、この特性は融合タンパク質の構築に含めることを目的に選択された免疫グロブリンヒ
ンジ領域ポリペプチドに存在するシステイン残基の数が減る結果である。ポリペプチドの
相対的二量体形成能の決定は十分関連技術の知識の範囲内であり、確立されているいくつ
かの方法論のうちのいずれかを適用してタンパク質の二量体形成を検出することができる
(例えば、Scopes,Protein Purification: Principles and Practice, 1987 Springer-Ve
rlag, New York参照)。例えば、分子サイズをもとにタンパク質を分離する生化学的分離
技術(例えば、ゲル電気泳動、ゲル濾過クロマトグラフィー、分析的超遠心分離など)、お
よび/またはメルカプト活性剤(例えば、ヨードアセトアミド、N-エチルマレイミド)また
はジスルフィド還元剤(例えば、2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトール)導入前後
のタンパク質の物理化学的特性の比較、またはその他同等の方法論は全てポリペプチドの
二量体形成またはオリゴマー形成の程度の測定、およびこのような、とり得る第四級構造
に対するジスルフィド結合の可能性のある関与の判断のために用いることができる。特定
の実施形態では、本発明は、本明細書で示されるように野生型ヒト免疫グロブリンGヒン
ジ領域ポリペプチドに比べて低い(すなわち、適当なIgG由来対照に対して統計学的に有意
に)二量体形成能を示す結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質に関する。従って、
当業者ならば特定の融合タンパク質がこのような低い二量体形成能を示すかどうかを容易
に決定することができる。
【0046】
免疫グロブリン融合タンパク質の調製のための組成物および方法は例えば単一コードポ
リヌクレオチドの産物であるが、本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質
ではない組換え抗体を開示する米国特許第5,892,019号に記載されているものなど、当業
者で周知である。
【0047】
ヒトでの使用を意図した本発明の免疫グロブリン融合タンパク質では、可能性のある抗
ヒト免疫応答を最小にし、適当なエフェクター機能を提供するためにこれらの不変領域は
典型的にはヒト配列起源のものとなる。抗体不変領域をコードする配列の操作は、Morris
on and OiのPCT公報WO89/07142に記載されている。特に好ましい実施形態では、CH1ドメ
インは欠失され、結合ドメインのカルボキシ末端、または結合ドメインが2つの免疫グロ
ブリン可変領域ポリペプチドを含む場合には第2の(すなわち、C末端により近い)可変領域
はヒンジ領域を介してCH2のアミノ酸末端に連結される。二例の結合ドメイン-免疫グロブ
リン融合タンパク質の構造を示した模式図が図11に示されているが、ここで、特に好まし
い実施形態では鎖間ジスルフィド結合は存在せず、他の実施形態では、野生型ヒンジ領域
ポリペプチドが代わりに存在した場合に存在する結合の数に比べて限定された数の鎖間ジ
スルフィド結合しか存在せず、また、他の実施形態では、融合タンパク質は野生型ヒトIg
Gヒンジ領域ポリペプチドに比べて低い二量体形成能を示す変異型ヒンジ領域ポリペプチ
ドを含むことを注記しておかねばならない。このように、この単離ポリヌクレオチド分子
は、選択された抗原に対して特異的結合親和性を提供する結合ドメインを有する一本鎖免
疫グロブリン融合タンパク質をコードする。
【0048】
上記に示したように、特定の実施形態では、結合タンパク質-免疫グロブリン融合タン
パク質は軽鎖または重鎖変領域ポリペプチドであり得る少なくとも1つの免疫グロブリン
可変領域ポリペプチドを含み、また特定の実施形態では、融合タンパク質は少なくとも1
つのかかる軽鎖V領域と1つのかかる重鎖V領域およびこれらV領域の各々と融合した少なく
とも1つのリンカーペプチドを含む。このような結合ドメイン、例えば一本鎖Fvドメイン
の構築は当技術分野で周知のものであり、以下の実施例にもさらに詳細に記載され、また
、例えば米国特許第5,892,019号およびそこに挙げられている参照文献にも記載されてお
り、一本鎖可変領域、ならびに重鎖由来および軽鎖由来V領域の各々と融合させ得るリン
カーポリペプチドの選択および構築(例えば、一本鎖Fvポリペプチドを含む結合ドメイン
を作出するため)も当技術分野で公知であり、本明細書にも記載され、また、例えば米国
特許第5,869,620号、同第4,704,692号および同第4,946,778号にも記載されている。特定
の実施形態では、非ヒト源に由来する免疫グロブリン配列の全てまたは一部はヒト化抗体
、すなわちヒト免疫系がこのようなタンパク質を外来のものとして認識する程度を引き下
げるためにヒトIg配列が導入される免疫グロブリン配列の作出を目的に認知されている手
法に従って「ヒト化」してもよい(例えば、米国特許第5,693,762号、同第5,585,089号、
同第4,816,567号、同第5,225,539号、同第5,530,101号およびそこに挙げられている参照
文献参照)。
【0049】
本明細書で示したような結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質がひと度デザイ
ンされれば、そのポリペプチドをコードするDNAを、例えばSinha et al., Nucleic Acids
Res., 12,4539-4557 (1984)に記載のようなオリゴヌクレオチド合成によって合成し、
例えばInnis,Ed., PCR Protocols, Academic Press (1990)、またBetter et al. J. Bio
l. Chem. 267,16712-16118 (1992)に記載のようなPCRによって構築し、例えばAusubel e
t al., Eds.,Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York
(1989)、またRobinsonet al., Hum. Antibod. Hybridomas, 2, 84-93 (1991)に記載の
ような標準的手法によってクローニングおよび発現させ、さらに例えばHarlow et al., E
ds.,Antibodies: A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor Laboratory,
ColdSpring Harbor (1988)およびMunson et al., Anal. Biochem., 107, 220-239 (198
0)に記載のように特異的抗原結合活性について試験することができる。
【0050】
Fv領域の単一ポリペプチド鎖結合分子、すなわち一本鎖Fv分子の調製は出典明示により
本明細書に組み入れる米国特許第4,946,778号に記載されている。本発明では、一本鎖Fv
様分子は重鎖または軽鎖の第1の可変領域をコードし、それぞれ対応する軽鎖または重鎖
の可変領域に対する1以上のリンカー続けることで合成される。2つの可変領域間の適当な
リンカーの選択については米国特許第4,946,778号に記載されている。本明細書に記載さ
れるリンカー例は(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)3である。このリンカーを用いて、自然凝集して
いるが化学的に分離する重鎖および軽鎖を単一ポリペプチド鎖のアミノ末端抗原結合部分
へと変換するが、この抗原結合部分は2つのポリペプチド鎖からなる元の構造と同様の構
造へと折りたたむことから、目的抗原との結合能を保持する。リンカーをコードする配列
によって連結される重鎖および軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は抗体不変領
域をコードするヌクレオチド配列と連結される。これらの不変領域は結果として得られた
ポリペプチドに鎖間ジスルフィド結合を形成させて二量体を形成させ、抗体依存細胞傷害
作用(ADCC)を媒介する能力など所望のエフェクター機能を含むものである。ヒトでの使用
を意図した本発明の免疫グロブリン様分子としては、これらの不変領域は可能性のある抗
ヒト免疫応答を最小にし、かつ、エフェクター機能に妥当性を与えるために実質的にヒト
であることが典型である。抗体不変領域をコードする配列の操作は、出典明示により本明
細書に組み入れるMorrisonand OiのPCT公報WO89/07142に記載されている。好ましい実施
形態では、CH1ドメインは欠失され、第2の可変領域のカルボキシ末端はヒンジ領域を介し
てCH2のアミノ酸末端に連結されている。軽鎖の対応するCysとジスルフィド結合を形成し
て天然抗体分子の重鎖および軽鎖を折りたたむヒンジのCys残基は欠失させてもよいし、
あるいは好ましくは例えばPro残基などで置換する。
【0051】
上記のように、本発明は本明細書で示す結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質
の発現を命令し得る組換え発現構築物を提供する。本明細書に言及される種々のアミノ酸
配列に見られるアミノ酸は公知の三文字または一文字略号に従って示されている。本明細
書で言及される種々のDNA配列またはその断片に見られるヌクレオチドは当技術分野で通
常用いられる標準的な一文字表記で示されている。記載のアミノ酸配列は例えば例示であ
って限定されるものではないが、共有結合化学修飾、挿入、欠失および置換など微細な変
化のみを有する同等のアミノ酸配列も包含してもよく、さらに保存的置換も含み得る。互
いによく似たアミノ酸配列は実質的な配列相同領域を共有し得る。同様に、ヌクレオチド
配列も、例えば例示であって限定されるものではないが、共有結合化学修飾、挿入、欠失
および置換など微細な変化のみを有する実質的に同等のヌクレオチド配列も包含し、さら
に遺伝コードの縮重によるサイレント変異も含み得る。互いによく似たヌクレオチド配列
は実質的な配列相同領域を共有し得る。
【0052】
被験体における悪性症状の存在とは、例えば新生物、腫瘍、非接触阻害または発癌転換
細胞などをはじめとする被験体における異形成、癌化および/または悪性転換細胞の存在
をさす。本発明が意図する好ましい実施形態では、例えばかかる癌細胞は、リンパ系の悪
性転換細胞、特にB細胞リンパ腫などの悪性造血系細胞であり、特定の好ましい実施形態
では、癌細胞は癌腫細胞などの上皮細胞であってもよい。本発明はまたB細胞疾患も包含
し、B細胞を侵す特定の悪性症状(例えば、B細胞リンパ腫)を含み得るが、これに限定され
るものではなく、自己免疫疾患、特に自己抗体の産生を特徴とする疾病、疾患および症状
も含む。
【0053】
自己抗体とは自己抗原と反応する抗体である。自己抗体はいくつかの自己免疫疾患(す
なわち、宿主免疫系が不適切な抗「自己」免疫反応を生じる疾病、疾患または症状)で検
出され、そこではそれらが疾病の活動に関与している。これら自己免疫疾患の現行の治療
薬は継続投与を要し、特異性を欠き、重い副作用を引き起こす免疫抑制剤である。最小の
毒性で自己抗体の産生をなくし得る新しいアプローチは、多くの人々を侵す疾病範囲に必
要なまだ見ぬ医療に取り組むものである。本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タ
ンパク質はリンパ組織への浸透を高めるようデザインされている。Bリンパ球の涸渇は自
己抗体の産生サイクルを妨げ、骨髄の前駆体から新しいBリンパ球が産生される際に免疫
系がリセットさせる。
【0054】
限定されるものではないがある理論によれば、B細胞涸渇療法から有益な効果が得られ
るものと確信されるいくつかの疾病が確認されており、以下、これらの疾病のいくつかの
例を簡単に説明する。
【0055】
自己免疫甲状腺疾患としてはグレーブス病および橋本甲状腺炎が挙げられる。米国だけ
でも数形態の自己免疫甲状腺疾患を有する患者が約2千万人存在する。自己免疫甲状腺疾
患は甲状腺を刺激して甲状腺機能亢進を引き起こす(グレーブス病)か、または甲状腺を破
壊して甲状腺機能低下を引き起こす(橋本甲状腺炎)自己抗体の産生によるものである。甲
状腺刺激は甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターと結合してこれを活性化する自己抗体に
よって引き起こされる。甲状腺の破壊は他の甲状腺抗原と反応する自己抗体によって引き
起こされる。
【0056】
グレーブス病の現行の治療法としては、外科術、放射性ヨウ素、または抗甲状腺薬療法
が挙げられる。抗甲状腺投薬は重い副作用を有し、疾病の再発率も高いことから放射性ヨ
ウ素が広く用いられている。外科術は大きな甲状腺腫を有する患者、または極めて速やか
な甲状腺機能の正常化が必要な場合に限られる。TSHレセプターの刺激に関与する自己抗
体の産生をターゲッティングする治療法はない。橋本甲状腺炎の現行の治療法はレボチロ
キシンナトリウムであり、緩解の可能性は低いので、この治療法は通常延命措置である。
抑制療法は橋本甲状腺炎において甲状腺腫を退縮させることが示されているが、自己抗体
の産生を減らしてこの疾病メカニズムをターゲッティングする治療法は知られていない。
【0057】
慢性関節リウマチ(RA)は腫脹、痛み、および機能欠損をきたす間接の炎症を特徴とする
慢性疾患である。米国ではRAは推定250万人に達している。RAは初期感染または傷害、異
常な免疫応答、および遺伝的因子をはじめとする事柄の組合せによって引き起こされる。
RAでは自己反応性T細胞およびB細胞が存在するが、RAの診断には関節に集まり、リウマチ
因子と呼ばれる高レベルの抗体の検出が用いられる。RAの現行の治療法としては、痛みを
管理し疾病の進行を遅らせる多くの投薬法が挙げられる。この疾病を治癒できる治療法は
まだ見つかっていない。投薬法には非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)および疾病改善抗リ
ウマチ薬(DMARDS)が挙げられる。NSAIDSは良性疾患には効果的であるが、重度のRAにおけ
る関節の破壊および弱化への進行を防ぐことはできない。NSAIDSにもDMARDSにも重い副作
用が伴う。唯一新しいDMARDであるレフルノミドだけが10年間にわたって認可され続けて
いる。レフルノミドは自己抗体の産生を遮断し、炎症を軽減し、RAの進行を遅らせる。し
かし、この薬剤も悪心、下痢、脱毛、発疹および肝傷害をはじめとする重い副作用を引き
起こす。
【0058】
全身性紅斑性狼瘡(SLE)は腎臓、皮膚および関節をはじめとする多臓器の血管への頻発
傷害によって引き起こされる自己免疫疾患である。米国ではSLEは50万人を超えるに達し
ている。SLE患者では、T細胞とB細胞の間の不完全な相互作用が細胞核を攻撃する自己抗
体の産生をもたらす。これらには抗二本鎖DNAおよび抗Sm抗体が含まれる。また、SLE患者
の約半数ではリン脂質と結合する自己抗体も見られ、血管損傷および低血球数の原因とな
っている。免疫複合体はSLE患者の腎臓、血管、および関節に集積し、そこでこれらは炎
症および組織損傷を引き起こす。この疾病を治癒させるSLE治療は見つかっていない。こ
の疾病の重篤度によってNSAIDSおよびDMARDSが治療法として用いられている。血漿交換に
よって自己抗体を除去する血漿瀉血はSLE患者における一時的改善をもたらすことができ
る。自己抗体がSLEの原因であることは一般に合意されているので、B細胞系を涸渇させ、
前駆体から新たなB細胞が生じた際に免疫系をリセットさせる新しい療法はSLE患者に長期
的利益の期待を与えるものである。
【0059】
シェーグレン症候群は体の水分産生腺の破壊を特徴とする自己免疫疾患である。シェー
グレン症候群は最も罹患率の高い自己免疫疾患の1つであり、米国では400万人に達するま
でになっている。シューグレン症候群の約半数は慢性関節リウマチなどの結合組織の疾患
も有するが、他方の半数は他の併発自己免疫疾患を伴わない原発性のシューグレン症候群
を有する。シューグレン症候群患者には抗核抗体、リウマチ因子、抗フォドリン、および
抗ムスカリンレセプターをはじめとする自己抗体がしばしば存在する。従来の治療法とし
てはコルチコステロイドがある。
【0060】
免疫血小板減少性紫斑病(ITP)は血小板と結合してそれらの破壊を引き起こす自己抗体
によって引き起こされる。ITPの症例には薬物によって引き起こされるものもあれば、感
染、妊娠またはSLEなどの自己免疫疾患に関連するものもある。全症例の約半数が、その
原因が不明であることを意味する「特発性」として分類されている。ITPの治療は徴候の
重篤度によって決定される。いくつかの症例では治療は必要ない。大多数の症例では、T
細胞を涸渇させるためコルチコステロイドまたは免疫グロブリンの静脈点滴をはじめとす
る免疫抑制薬を用いる。通常血小板数の増加をもたらすもう1つの治療法として抗体によ
ってコートされた血小板を破壊する臓器である脾臓の摘出がある。重篤な症例を有する患
者には、シクロスポリン、シクロホスファミドまたはアザチオプリンをはじめとするより
効力のある免疫抑制薬を用いる。重篤な疾病を有する患者では第2の治療法として患者の
血漿をAタンパク質カラムに通すことによる自己抗体の除去が用いられる。
【0061】
多発性硬化症(MS)は中枢神経系の炎症、ならびに脳、脊髄および身体の神経細胞繊維を
絶縁するミエリンの破壊を特徴とする自己免疫疾患である。MSの原因は分かっていないが
、自己免疫T細胞がこの疾病の病因の主たる一因であると広く考えられている。しかし、M
S患者の脳脊髄液には高レベルの抗体が存在し、抗体産生をもたらすB細胞の応答がこの疾
病の媒介に重要であると推定する説もある。MS患者ではB細胞涸渇療法は研究されたこと
はない。MSに確かな治療法はない。現行の治療法としてはコルチコステロイドがあり、こ
れは発作の持続時間および重さを軽減することができるが、時間が経つにつれMSの経過に
作用しなくなる。最近になってMSに対する新しいバイオテクノロジーインターフェロン(I
FN)療法が認可された。
【0062】
重症性筋無力症(MG)は随意筋群の虚弱を特徴とする慢性自己免疫性神経筋疾患である。
MGは米国で約40,000人に達している。MGは神経筋接合部で発現するアセチルコリンレセプ
ターと結合する自己抗体によって引き起こされる。これらの自己抗体はアセチルコリンレ
セプターを減少させるか、または遮断して神経から筋肉へのシグナル伝達を妨げる。MGに
知られている治療法はない。一般的な処置としてはコルチコステロイド、シクロスポリン
、シクロホスファミド、またはアザチオプリンによる免疫抑制が挙げられる。自己免疫応
答を弱めるために胸腺の外科摘出がしばしば用いられる。MGには血液中の自己抗体レベル
を引き下げるために用いる血漿瀉血が効果的であるが、自己抗体の産生は継続するので一
時的なものである。血漿瀉血は通常、外科術に先立ち重度の筋肉虚弱の場合に限られる。
【0063】
乾癬はおよそ500万人に達している。皮膚の自己免疫性炎症。30%が関節炎を伴う乾癬(
乾癬性関節炎)。ステロイド、紫外線レチノイド、ビタミンD誘導体、シクロスポリン、メ
トトレキサートをはじめとする多くの治療法がある。
【0064】
強皮症は全身性硬化症としても知られる結合組織の慢性自己免疫疾患である。強皮症は
コラーゲンの過剰生産を特徴とし、皮膚の肥厚をきたす。米国ではおよそ300,000人が強
皮症である。
【0065】
クローン病および潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患は消化器系の自己免疫疾患
である。
【0066】
本発明はさらに、結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質をコードする構築物、
特に例えばかかるポリペプチドの断片、類似体および誘導体として発現し得るタンパク質
をコードする組換え構築物を投与する方法に関する。結合ドメイン-免疫グロブリン融合
ポリペプチドまたは融合タンパク質についていう場合の「断片」、「誘導体」および「類
似体」とは、いずれの結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドまたはかかるポリ
ペプチドと実質的に同じ生物作用もしくは活性を保持する融合タンパク質をもさす。従っ
て類似体は、活性型の結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドの生成を目的とし
たプロタンパク質部分の切断によって活性化され得るプロタンパク質を含む。
【0067】
本明細書で言及されるcDNAによりコードされる結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリ
ペプチドまたは融合タンパク質をはじめとする、結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリ
ペプチドまたは融合タンパク質の断片、誘導体または類似体は、(i)1以上のアミノ酸残基
が保存的または非保存的アミノ酸残基(好ましくは保存的アミノ酸残基)で置換されている
もの(このような置換アミノ酸残基は遺伝コードによってコードされるものであってもな
くともよい)、あるいは(ii)1以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、あるいは(iii)結
合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドまたはプロタンパク質配列の検出または特
定の機能変更に用いられるアミノ酸をはじめ、さらなるアミノ酸が結合ドメイン-免疫グ
ロブリン融合ポリペプチドに融合しているものであってもよい。本明細書における教示か
らこのような断片、誘導体および類似体も当業者の範囲内であると考えられる。
【0068】
本発明のポリペプチドとしては、結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチド、お
よび当技術分野で公知の配列と同一または同等の結合ドメインポリペプチドアミノ酸配列
を有する融合タンパク質、あるいはその断片または一部が挙げられる。例えば例示であっ
て、限定されるものではないが、ヒトCD154分子細胞外ドメインは、報告されているポリ
ペプチドおよびそのようなポリペプチドの一部と少なくとも70%の類似性(好ましくは70
%の同一性)、より好ましくは90%の類似性(より好ましくは90%の同一性)、いっそう好
ましくは95%の類似性(いっそう好ましくは95%の同一性)を有するポリペプチドである場
合は本発明の使用に意図され、ここでこのような結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリ
ペプチドの一部とは一般に少なくとも30のアミノ酸、より好ましくは少なくとも50のアミ
ノ酸を含む。
【0069】
当技術分野で知られているように、2つのポリペプチド間の「類似性」は、あるポリペ
プチドのアミノ酸配列およびそれに対する保存的アミノ酸置換を他方のポリペプチドの配
列と比較することで調べる。本発明のポリペプチドをコードする核酸の断片または一部を
用いて本発明の全長核酸を合成してもよい。本明細書において「同一性%」とは、2以上
のポリペプチドのアライメントを行い、それらの配列を、the National Institutes of H
ealth/ NCBIdatabase (Bethesda, MD;www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLAST/nph-newbla
st参照)により提供される初期加重値に従って配列ギャップおよび配列ミスマッチを負荷
するギャップBLASTアルゴリズム(例えば、Altschulet al., 1997 Nucl. Ac. Res. 25:33
89)を用いて分析した場合の、対応するアミノ酸残基位置に位置する同一のアミノ酸のパ
ーセンテージをいう。
【0070】
「単離」とは、その材料がその元の環境(例えば、それが天然に存在するならばその天
然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、天然に存在する核酸または動物
生体に存在するポリペプチドは単離されてはいないが、天然系で共存しているいくつか、
または全てのものから分離された同じ核酸またはポリペプチドは単離されている。このよ
うな核酸はベクターの一部であってもよいし、かつ/またはこのような核酸またはポリペ
プチドは組成物の一部であってもよく、このようなベクターまたは組成物はその天然環境
の一部ではないという点でやはり単離されている。
【0071】
「遺伝子」とは、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し、コード
領域「リーダーおよびトレーラー」前後に領域を、ならびに個々のコードセグメント(エ
クソン)間に介在配列(イントロン)を含む。
【0072】
本明細書に記載のように、本発明は、例えば例示であって限定されるものではないが、
融合タンパク質の欠失、機能変更、単離および/または精製を可能とする付加的な機能的
ポリペプチド配列と融合した結合ドメインポリペプチド配列の発現のために供する付加的
な免疫グロブリンドメインコード配列とフレーム内融合した結合ドメインコード配列を有
する核酸によってコードされる結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質を提供する
。このような融合タンパク質は、例えば(上記のように)ジスルフィド結合の形成に関与す
るメルカプト基の利用能を引き下げることにより、また、ADCCおよび/またはCDCを増強
する能力を付与することによって融合産物の挙動に影響を及ぼす付加的な免疫グロブリン
由来ポリペプチド配列を含めることで、結合ドメインの機能変更を可能とする。
【0073】
ポリペプチドの修飾は当業者に公知のいずれの手段によって達成してもよい。本明細書
において好ましい方法は融合タンパク質をコードするDNAの修飾および修飾されたDNAの発
現に頼るものである。上記の結合ドメイン-免疫グロブリン融合物の1つをコードするDNA
は以下に記載されるものをはじめ標準的な方法論を用いて突然変異誘発できる。例えば、
そうでなければ多量体形成を促進する、または特定の分子コンホメーションを促すシステ
イン残基をポリペプチドから欠失させるか、または例えば凝集塊の形成に関与するシステ
イン残基を置換することができる。必要であれば、凝集塊の形成に寄与するシステイン残
基の識別は、システイン残基を欠失および/または置換して生じたタンパク質が生理学上
許容されるバッファーおよび塩を含有する溶液中で凝集するかどうかを確認することによ
り経験的に行うことができる。さらに、結合ドメイン-免疫グロブリン融合物の断片を構
築して使用してもよい。上記で示したように、当業者が即製の発現構築物のコード産物に
含めるのに適当なポリペプチドドメインを容易に選択できるよう、多くの候補結合ドメイ
ン-免疫グロブリン融合物のカウンターレセプター/リガンド結合ドメインを描写した。
【0074】
保存的アミノ酸置換は周知のものであり、一般に、得られる結合ドメイン-免疫グロブ
リン融合タンパク質分子の生物活性を変更することなく行える。例えば、このような置換
は一般に、極性残基群、電荷残基群、疎水性残基群、小残基群などの中で相互交換するこ
とで行う。必要であれば、このような置換は実験的に、単にin vitro生物アッセイにおい
て適当な細胞表面レセプターと結合する能力、または適当な抗原もしくは所望の標的分子
と結合する能力に関して得られた修飾タンパク質を試験することで確認することができる

【0075】
本発明はさらに本明細書で示される結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質コー
ドポリヌクレオチド配列とハイブリダイズする核酸、または配列間に少なくとも70%、好
ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性があれば、当業者に容
易に明らかとなるそれらの相補物に関する。本発明は特に本明細書で言及される結合ドメ
イン-免疫グロブリン融合物コード核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
る核酸に関する。本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、配列間に少なくと
も95%、好ましくは少なくとも97%の同一性がある場合に限ってハイブリダイゼーション
が起こることを意味する。本明細書で言及される結合ドメイン-免疫グロブリン融合物コ
ード核酸とハイブリダイズする核酸は、好ましい実施形態では、本明細書に挙げられてい
る参照文献のcDNAによってコードされる結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチド
と実質的に同等の生物作用または活性を保持するポリペプチドをコードする。
【0076】
本発明で用いる場合、特定のストリンジェンシーの条件下で「ハイブリダイズする」と
は、2つの二本鎖核酸分子間で生じたハイブリッドの安定性を表すのに用いる。ハイブリ
ダイゼーションのストリンジェンシーはこのようなハイブリッドがアニーリングおよび洗
浄されるイオン強度および温度条件で表すのが典型である。典型的には「高」、「中」お
よび「低」ストリンジェンシーは次の条件またはそれと同等の条件を含む:高ストリンジ
ェンシー:0.1xSSPEまたはSSC、0.1%SDS、65℃;中ストリンジェンシー:0.2xSSPEまた
はSSC、0.1%SDS、50℃;および低ストリンジェンシー:1.0xSSPEまたはSSC、0.1% SDS
、50℃。当業者に知られているように、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシ
ーのバリエーションは回数、温度および/またはプレハイブリダイゼーション、ハイブリ
ダイゼーションおよび洗浄工程に用いる溶液の濃度を変更することで達成でき、好適な条
件は1つには用いるプローブの特定のヌクレオチド配列、およびブロットされた発端の核
酸サンプルのヌクレオチド配列によっても異なる。従って、プローブの所望の選択性を確
認する過度な実験を行わなくとも、1以上のある発端とはハイブリダイズし得るが、他の
特定の発端配列とはハイブリダイズしないことをもとに、好適なストリンジェント条件を
容易に選択することができると考えられる。
【0077】
本発明の核酸は、本明細書ではポリヌクレオチドとも呼ばれ、RNAの形態であってもDNA
の形態であってもよく、DNAとしてはcDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAが含まれる。DNAは一
本鎖であっても二本鎖であってもよく、一本鎖であればコード鎖であっても非コード鎖(
アンチセンス鎖)であってもよい。本発明に従って用いられる結合ドメイン-免疫グロブリ
ン融合ポリペプチドをコードするコード配列はあるいずれかの結合ドメイン-免疫グロブ
リン融合物として当技術分野で公知のコード配列に等しいものであってもよいし、あるい
は遺伝コードの重複または縮重の結果として同じ結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリ
ペプチドをコードする異なるコード配列であってもよい。
【0078】
本発明に従って用いられる結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドをコードす
る核酸としては、限定されるものではないが、結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペ
プチドのコード配列のみ;結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドのコード配列
および付加的なコード配列;結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチド(および所望
により付加的なコード配列)、およびイントロン、または結合ドメイン-免疫グロブリン融
合ポリペプチドのコード配列の5'および/または3'側の非コード配列のような非コード配
列(これはさらに例えば、限定されるものではないが、調節または調節可能なプロモータ
ー、エンハンサー、その他の転写調節配列、レプレッサー結合配列、翻訳調節配列または
その他いずれかの調節核酸配列であり得る1以上の調節核酸配列を含んでもよい)が挙げら
れる。従って、結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質を「コードする核酸」また
は「コードするポリヌクレオチド」とは、結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチ
ドのコード配列のみ、ならびに付加的なコード配列および/または非コード配列を含む核
酸を含む核酸を包含する。
【0079】
本明細書に記載の使用のための核酸およびオリゴヌクレオチドは当業者に公知のいずれ
かの方法によって合成することができる(例えば、WO93/01286、米国出願第07/723,454号
、米国特許第5,218,088号、同第5,175,269号、同第5,109,124号参照)。本発明で用いるオ
リゴヌクレオチドおよび核酸配列の同定には当技術分野で周知の方法が含まれる。例えば
、有用なオリゴヌクレオチドの望ましい特性、長さおよびその他の特徴は周知のものであ
る。特定の実施形態では、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、スルホン、スルフ
ェート、ケチル、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデート、リン酸エステルなどの結
合、その他アンチセンス適用に有用であることが分かっている結合を含めることで、内在
する宿主細胞の核分解酵素による分解に耐性のある合成オリゴヌクレオチドおよび核酸配
列をデザインすることができる(例えば、Agrwal et al., Tetrehedron Lett. 28:3539-35
42 (1987);Miller et al., J. Am. Chem. Soc. 93:6657-6665 (1971); Stec et al., Te
trehedron Lett.26:2191-2194 (1985); Moody et al., Nucl. Acids Res. 12:4769-4782
(1989); Uznanskiet al., Nucl. Acids Res. (1989); Letsinger et al., Tetrahedron
40:137-143(1984); Eckstein, Annu. Rev. Biochem. 54:367-402 (1985); Eckstein, T
rends Biol.Sci. 14:97-100 (1989); Stein In: Oligodeoxynucleotides. Antisense In
hibitors ofGene Expression, Cohen, Ed, Macmillan Press, London, pp. 97-117 (198
9); Jager etal., Biochemistry 27:7237-7246 (1988)参照)。
【0080】
ある実施形態では、本発明は、結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質に用いる
末端切断型成分(例えば、結合ドメインポリペプチド、ヒンジ領域ポリペプチド、リンカ
ーなど)を提供し、もう1つの実施形態では、本発明は、このような末端切断型成分を有す
る結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質をコードする核酸を提供する。末端切断
型分子はその分子の全長型よりも短いいずれの分子であってもよい。本発明によって提供
される末端切断型分子は末端切断型生体ポリマーを含んでもよく、好ましい実施形態では
、このような末端切断型分子は末端切断型核酸分子または末端切断型ポリペプチドであっ
てもよい。末端切断型核酸分子は公知の、または記載されている核酸分子の全長ヌクレオ
チド配列より短く、このような公知の、または記載されている核酸分子は当業者がそれを
全長分子とみなす限りは天然に存在する核酸分子であっても、合成核酸分子であっても、
組換え核酸分子であってもよい。このように例えば、遺伝子配列に相当する末端切断型核
酸分子は全長遺伝子よりも短く、この遺伝子はコード配列および非コード配列、プロモー
ター、エンハンサーその他の調節配列、フランキング配列など、ならびにその他その遺伝
子の一部と認識されている機能的および非機能的配列を含む。もう1つの例では、mRNA配
列に相当する末端切断型核酸分子は全長mRNA転写物より短く、種々の翻訳領域および非翻
訳領域ならびにその他機能的および非機能的配列を含み得る。
【0081】
その他の好ましい実施形態では、末端切断型分子は特定のタンパク質またはポリペプチ
ド成分の全長アミノ酸より短い。本明細書において「欠失」とは、当業者に理解されてい
る一般的な意味を有し、例えば、本明細書で提供される末端切断型分子の場合と同様、対
応する全長分子に対して末端または非末端領域のいずれかに由来する1以上の配列部分を
欠いた分子をさし得る。核酸分子またはポリペプチドなどの直鎖生体ポリマーである末端
切断型分子は分子の末端に由来するか分子の非末端領域に由来するかのいずれかの1以上
の欠失を有する場合があり、このような欠失は1〜1500の連続するヌクレオチドまたはア
ミノ酸残基、好ましくは1〜500の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸残基、より好まし
くは1〜300の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸残基の欠失であり得る。ある特定の好
ましい実施形態では、末端切断型核酸分子は270〜330の連続するヌクレオチドの欠失を有
し得る。他のある特定の実施形態では、末端切断型ポリペプチド分子は80〜140の連続す
るアミノ酸残基の欠失を有し得る。
【0082】
本発明はさらに結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドの断片、類似体および
/または誘導体をコードする本明細書に記載の核酸の変異体に関する。結合ドメイン-免
疫グロブリン融合物をコードする核酸の変異体は核酸の天然に存在する対立遺伝子変異体
であっても、あるいは天然には存在しない変異体であってもよい。当技術分野で知られて
いるように、対立遺伝子変異体は1以上のヌクレオチドの置換、欠失または付加を少なく
とも1以上有し得る核酸配列の変異型であり、それはいずれもコードされる結合ドメイン-
免疫グロブリン融合ポリペプチドの機能を実質的に変更しない。
【0083】
結合ドメイン-免疫グロブリン融合物の変異体または誘導体は結合ドメイン-免疫グロブ
リン融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の突然変異によって得られる。天然
型アミノ酸配列の変更はいくつかの常法のうちのいずれかによって達成できる。天然配列
の断片との連結を可能とする制限部位によってフランキングされた変異配列を含むオリゴ
ヌクレオチドを合成することにより特定の遺伝子座に突然変異を導入することができる。
連結後、得られた再構成配列は所望のアミノ酸挿入、置換または欠失を有する類似体をコ
ードする。
【0084】
あるいは、オリゴヌクレオチドによって指定される位置特異的突然変異誘発法を用いて
所定のコドンが置換、欠失または挿入によって変更され得る変異遺伝子を得ることができ
る。このような変更をなす方法例がWalder et al. (Gene 42:133, 1986); Bauer et al.
(Gene 37:73, 1985);Craik (BioTechniques, January 1985, 12-19); Smith et al. (Ge
neticEngineering: Principles and Methods BioTechniques, January 1985, 12-19); S
mith et al.(Genetic Engineering: Principles and Methods, Plenum Press, 1981); K
unkel (Proc.Natl. Acad. Sci. USA 82:488, 1985); Kunkel et al. (Methods in Enzym
ol. 154:367,1987);および米国特許第4,518,584および同第4,737,462号に開示されてい
る。
【0085】
一例として、DNAの修飾は、プライマーを用いたDNA増幅法を併用して、そのタンパク質
をコードするDNAの位置指定突然変異誘発を行ってオーバーラップエクステンションによ
るPCRスプライシング(SOE)など、DNA鋳型に変異を導入、増幅することによって行える。
位置指定突然変異誘発は典型的には 周知であって市販されているM13ファージベクターな
どの一本鎖および二本鎖型のファージベクターを用いて行う。一本鎖ファージ複製起点を
含む他の好適なベクターも使用できる(例えば、Veira et al., Meth. Enzymol. 15:3, 19
87参照)。一般に、位置指定突然変異誘発は目的タンパク質(例えば、ある結合ドメイン-
免疫グロブリン融合タンパク質の全てまたは成分)をコードする一本鎖ベクターを製造す
ることによって行う。一本鎖ベクターのDNAと相同な領域内に所望の突然変異を含むオリ
ゴヌクレオチドプライマーをベクターにアニーリングした後、二本鎖領域をプライマーと
して用いて、一方の鎖が変異配列をコードし、他方の鎖がオリジナル配列をコードするヘ
テロ二重らせんを形成する大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼI(クレノウフラグメント)な
どのDNAポリメラーゼIを添加する。このヘテロ二重らせんを適当な細菌細胞に導入し、所
望の突然変異を含むクローンを選択する。得られた変異型DNA分子は適当な宿主細胞で組
換え発現させて修飾タンパク質を産生させることができる。
【0086】
生物活性に必要でない種々のアミノ酸残基もしくは配列の付加または置換、あるいは末
端または内部残基または配列の欠失をコードする同等のDNA構築物も本発明に包含される
。例えば、上記で論じたように、生物活性に望まれない、または必須でないCys残基をコ
ードする配列をCys残基を欠失させるか、あるいは他のアミノ酸で置換して変化させ、復
元時に不適切な分子間ジスルフィド架橋の形成を妨げることができる。
【0087】
宿主生物としては、in vitroおよびin vivo発現を含め、細菌(例えば、大腸菌)、酵母(
例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびピチア・パスト
リス(Pichiapastoris))、昆虫細胞および哺乳類細胞など、本発明の組換え構築物によっ
てコードされる結合ドメイン-免疫グロブリン融合産物の組換え生産が起こり得る生物が
挙げられる。従って宿主生物には本明細書で提供されるワクチン生産における構築、増殖
、発現またはその他の工程のための生物が含まれ、宿主としてはまた上記のように免疫応
答が生じる対象が含まれる。現在のところ好ましい宿主生物としては大腸菌株、ネズミ近
交系およびネズミ細胞株、ならびにヒト細胞、被験体および細胞株がある。
【0088】
所望の結合ドメイン-免疫グロブリン融合物をコードするDNA構築物は適当な宿主での発
現のためのプラスミドに導入する。好ましい実施形態では、この宿主は細菌宿主である。
リガンドまたは核酸結合ドメインをコードする配列は特定の宿主での発現のためにコドン
を至適化するのが好ましい。従って例えば、ヒト結合ドメイン-免疫グロブリン融合物を
細菌で発現させる場合にはコドンを細菌向けに至適化する。短いコード領域では、遺伝子
は単一のオリゴヌクレオチドとして合成され得る。大きなタンパク質では、複数のオリゴ
ヌクレオチドのスプライシング、突然変異誘発またはその他当業者に公知の技術を用いて
もよい。プロモーターおよびオペレーターなどの調節領域であるプラスミド中のヌクレオ
チド配列は転写のために互いに作動可能なように連結する。結合ドメイン-免疫グロブリ
ン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列はまた分泌シグナルををコードするDNA
を含んでもよく、それにより生じたペプチドはタンパク質前駆体となる。生じたプロセッ
シングタンパク質は周辺質空間または発酵培地から回収できる。
【0089】
好ましい実施形態では、DNAプラスミドはまた転写ターミネーター配列も含む。本明細
書において「転写ターミネーター領域」とは、転写終結のシグナル伝達を行う配列である
。完全な転写ターミネーターは、挿入された結合ドメイン-免疫グロブリン融合物コード
遺伝子またはプロモーター供給源と同一であっても異なっていてもよいタンパク質コード
遺伝子から得られる。転写ターミネーターは本明細書の発現系の任意の成分であるが、好
ましい実施形態では用いられる。
【0090】
本明細書で用いるプラスミドは目的のタンパク質またはポリペプチドをコードするDNA
と作動可能なように連結したプロモーターであり、所望のプラスミドの用途(例えば、結
合ドメイン-免疫グロブリン融合物コード配列を含むワクチンの投与)によって上記のよう
な好適な宿主(例えば、細菌、ネズミ、またはヒト)でのタンパク質の発現向けにデザイン
されたものである。本明細書のタンパク質およびポリペプチドの発現に好適なプロモータ
ーは広く入手可能であって、当技術分野で周知のものである。調節領域と連結した誘導プ
ロモーターまたは構成プロモーターが好ましい。かかるプロモーターとしては、限定され
るものではないが、T7ファージプロモーター、ならびにT3、T5およびSP6プロモーターな
どのその他のT7様ファージプロモーター、大腸菌由来のtrp、lpp、およびlacプロモータ
ー(lacUV5など)、バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のP10またはポリヘドリン遺伝子プ
ロモーター(例えば、米国特許第5,243,041号、同第5,242,687号、同第5,266,317号、同第
4,745,051号および同第5,169,784号参照)および他の真核生物発現系由来の誘導プロモー
ターが挙げられる。タンパク質発現のためにはこのようなプロモーターはlacオペロンな
どの対照領域をプラスミド中に作動可能なように連結して挿入する。
【0091】
好ましいプロモーター領域としては大腸菌で誘導可能かつ機能的なものである。好適な
誘導プロモーターおよびプロモーター領域の例としては、限定されるものではないが、イ
ソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG;Nakamuraet al., Cell 18:1109-1117, 1
979参照)応答性の大腸菌lacオペレーター;重金属(例えば亜鉛)誘導応答性のメタロチオ
ネインプロモーター金属調節エレメント(例えば、Evans et al.の米国特許第4,870,009号
参照);IPTG応答性のファージT7lacプロモーター(例えば、米国特許第4,952,496号;および
Studier et al.,Meth. Enzymol. 185:60-89, 1990参照)およびTACプロモーターが挙げら
れる。
【0092】
これらのプラスミドは所望により宿主内で機能的な選択マーカー遺伝子を含んでよい。
選択マーカー遺伝子は形質転換細菌細胞の同定および多数の非形質転換細胞からの選択的
増殖を可能とする表現型を細菌に付与するいずれの遺伝子も含む。細菌宿主に好適な選択
マーカー遺伝子としては例えばアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)、テトラサイクリン耐性遺
伝子(Tcr)およびカナマイシン耐性遺伝子(Kanr)が挙げられる。現在のところカナマイシ
ン耐性遺伝子が好ましい。
【0093】
これらのプラスミドはまた、作動可能なように連結されたタンパク質の分泌のためのシ
グナルをコードするDNAを含んでもよい。使用に好適な分泌シグナルは広く入手可能であ
って、当技術分野で周知のものである。大腸菌で機能的な原核生物および真核生物分泌シ
グナルを用いてもよい。現在のところ好ましい分泌シグナルとしては、限定されるもので
はないが、以下の大腸菌遺伝子:ompA、ompT、ompF、ompC、β-ラクタマーゼ、アルカリ
性ホスファターゼなどによってコードされるものが挙げられる(von Heijne, J. Mol. Bio
l. 184:99-105,1985)。さらにまた、細菌pelB遺伝子分泌シグナル(Lei et al., J. Bact
eriol.169:4379, 1987)、phoA分泌シグナルおよび昆虫細胞で機能的なcek2を用いてもよ
い。最も好ましい分泌シグナルは大腸菌ompA分泌シグナルである。当業者に公知のその他
の原核生物および真核生物分泌シグナルを利用してもよい(例えば、von Heijne, J. Mol.
Biol.184:99-105, 1985参照)。当業者ならば本明細書に記載の方法を用いて酵母、昆虫
または哺乳類細胞のいずれかでこれらの細胞からのタンパク質の分泌に機能的な分泌シグ
ナルを代用することができる。
【0094】
大腸菌の形質転換に好ましいプラスミドとしてはpET発現ベクター(例えば、pET-11a、p
ET-12a-c、pET-15b;米国特許第4,952,496号;Novagen,Madison, WI.から入手可能)が挙げ
られる。他の好ましいプラスミドとしては、pKKプラスミド、特にtacプロモーターを含む
pKK223-3(Brosius et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6929, 1984; Ausubel et al.,
CurrentProtocols in Molecular Biology;米国特許第5,122,463号、同第5,173,403号、
同第5,187,153号、同第5,204,254号、同第5,212,058号、同第5,212,286号、同第5,215,90
7号、同第5,220,013号、同第5,223,483号、および同第5,229,279号参照)が挙げられる。
プラスミドpKKはアンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子に置き換えることで
改変されたものである(Pharmaciaから入手可能;pUC4Kから獲得、例えば、Vieira et al.
(Gene19:259-268, 1982;および米国特許第4,719,179号参照)。また、昆虫細胞における
ポリペプチドの発現のためにはpBlueBac(pJVETLおよびその誘導体とも呼ばれる)、特にpB
lueBac III(例えば、米国特許第5,278,050号、同第5,244,805号、同第5,243,041号、同第
5,242,687号、同第5,266,317号、同第4,745,051号、および同第5,169,784号参照;Invitro
gen, San Diegoから入手可能)などのバキュロウイルスベクターを使用してもよい。その
他のプラスミドとしてはpIN-IIIompA2などのpIN-IIIompAプラスミド(米国特許第4,575,01
3号参照;また、Duffaudet al., Meth. Enz. 153:492-507, 1987も参照)が挙げられる。
【0095】
このDNA分子は細菌細胞、好ましくは大腸菌で複製することが好ましい。好ましいDNA分
子としてはまた、細菌の世代間でのDNA分子の維持を確保する細菌複製起点も挙げられる
。このような場合、細菌の複製によって大量のDNA分子が生産できる。好ましい細菌複製
起点としては、限定されるものではないが、f1-oriおよびcol E1複製起点が挙げられる。
好ましい宿主は、lacUVプロモーターなどの誘導プロモーターと作動可能なように連結さ
れたT7 RNAポリメラーゼをコードするDNAの染色体コピーを含む(米国特許第4,952,496号
参照)。このような宿主としては、限定されるものではないが、溶原大腸菌HMS174(DE3)pL
ysS株、BL21(DE3)pLysS株、HMS174(DE3)株およびBL21(DE3)株が挙げられる。BL21(DE3)株
が好ましい。pLys株は低レベルの、T7RNAポリメラーゼ阻害剤T7ライソザイムを提供する

【0096】
提供されるDNA分子はまたレプレッサータンパク質をコードする遺伝子を含んでもよい
。レプレッサータンパク質はレプレッサータンパク質が結合するヌクレオチドの配列を含
むプロモーターの転写を抑制し得る。このプロモーターは細胞の生理条件を変更すること
によって脱抑制し得る。例えばこの変更は、オペレーターと、または調節タンパク質もし
くはその他のDNA領域と相互作用する能力を阻害する分子を増殖培地に加えることにより
、あるいは増殖培地の温度を変更することにより達成することができる。好ましいレプレ
ッサータンパク質としては、限定されるものではないが、IPTG誘導反応性の大腸菌lacIレ
プレッサー、温度感受性λcI857レプレッサーなどが挙げられる。大腸菌lacIレプレッサ
ーが好ましい。
【0097】
一般に、本発明の組換え構築物はまた、転写および翻訳に必要なエレメントを含む。特
にこのようなエレメントは結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質をコードする核
酸配列を含む組換え発現構築物が宿主細胞または生物での発現のために意図される場合に
好ましい。本発明の特定の実施形態では、細胞結合ドメイン-免疫グロブリン融合物コー
ド遺伝子の細胞種選択的または細胞種特異的発現はその遺伝子をプロモーターの制御下に
置くことで達成し得る。プロモーターの選択肢は形質転換する細胞種および望まれる制御
の程度またはタイプによって異なる。プロモーターは構成型でも活性型のものでもよく、
さらに細胞種特異的、組織特異的、個々の細胞特異的、事象特異的、時間特異的または誘
導型のものでもよい。細胞種特異的プロモーターまたは事象種特異的プロモーターが好ま
しい。構成的または非特異的プロモーターの例としてはSV40初期プロモーター(米国特許
第5,118,627号)、SV40後期プロモーター(米国特許第5,118,627号)、CMV初期遺伝子プロモ
ーター(米国特許第5,168,062号)、およびアデノウイルスプロモーターが挙げられる。ウ
イルスプロモーターの他、細胞プロモーターも本発明の内容に従う。特にいわゆるハウス
キーピング遺伝子の細胞プロモーターが有用である。ウイルスプロモーターは一般に細胞
プロモーターよりも強力なプロモーターであるので好ましい。プロモーター領域は高等真
核生物を含む多くの真核生物の遺伝子で同定されているので、当業者ならば個々の宿主で
用いるのに好適なプロモーターを容易に選択することができる。
【0098】
また、誘導プロモーターを使用してもよい。これらのプロモーターとしてはデキサメタ
ゾンにより誘導可能なMMTV LTR(PCT WO91/13160)、重金属により誘導可能なメタロチオネ
インプロモーター、およびcAMPにより誘導可能なcAMP応答エレメントを有するプロモータ
ーが挙げられる。誘導プロモーターを用いることで、結合ドメイン-免疫グロブリン融合
タンパク質をコードする核酸配列を本発明の発現構築物により細胞へ送達し、インデュー
サーを添加するまで停止させておくことができる。これはさらに遺伝子産物の産生のタイ
ミングにおいて制御可能である。
【0099】
事象種特異的プロモーターは腫瘍形成またはウイルス感染などの事象が起こったときに
のみ活性化またはアップレギュレートされる。HIV LTRは事象特異的プロモーターの周知
の例である。このプロモーターはウイルス感染時に生じるtat遺伝子産物が存在しない限
り不活性である。いくつかの事象種プロモーターは組織特異的でもある。
【0100】
さらにまた、特定の細胞遺伝子で協調調節されるプロモーターを用いてもよい。例えば
特定の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質コード遺伝子の発現が1以上の付加的
内在性または外から導入された遺伝子の発現と協調して望まれる場合に協調発現される遺
伝子のプロモーターを用い得る。この種のプロモーターは免疫系の特定の組織における免
疫応答の誘導に関する遺伝子発現パターンを知る際に特に有用であり、これによりその組
織内の特異的免疫担当細胞が活性化されるか、そうでなければ免疫応答に参加するべく動
員される。
【0101】
例えば宿主が治療戦略の一環として一時的に免疫無防備にする場合などの特定の状況で
は、プロモーターの他、レプレッサー配列、ネガティブレギュレーター、または組織特異
的サイレンサーを挿入して結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質コード遺伝子の
非特異的発現を低下させてもよい。プロモーター領域には複数のレプレッサーエレメント
を挿入し得る。転写抑制はレプレッサーエレメントの配向やプロモーターからの距離には
依存しない。ある種のレプレッサー配列は絶縁配列である。このような配列は転写を阻害
し(Dunawayet al., Mol Cell Biol 17: 182-9, 1997; Gdula et al., Proc Natl Acad S
ci USA93:9378-83, 1996, Chan et al., J Virol 70: 5312-28, 1996; Scott and Geyer
, EMBO J14:6258-67, 1995; Kalos and Fournier, Mol Cell Biol 15:198-207, 1995; C
hung et al.,Cell 74: 505-14, 1993)、バックグラウンド転写をサイレンシングする。
【0102】
またレプレッサーエレメントはII型(軟骨)コラーゲン、コリンアセチルトランスフェラ
ーゼ、アルブミン(Huet al., J. Cell Growth Differ. 3(9):577-588, 1992)、ホスホグ
リセリン酸キナーゼ(PGK-2)(Misunoet al., Gene 119(2):293-297, 1992)遺伝子のプロ
モーター領域で、また6-ホスホフルクト-2-キナーゼ/フルクトース-2,6-ビスホスファタ
ーゼ遺伝子(Lemaigreet al., Mol. Cell Biol. 11(2):1099-1106)でも同定されている。
さらにいくつかの肝特異的遺伝子では負の調節エレメントTse-1が同定され、肝細胞にお
けるcAMP応答エレメント-(CRE)によって媒介される遺伝子活性化誘導を遮断することが示
されている(Boshartet al., Cell 61(5):905-916, 1990)。
【0103】
好ましい実施形態では、所望の産物の発現を増強するエレメントを構築物に組み込む。
このようなエレメントとしては内部リボソーム結合部位(IRES; Wang and Siddiqui, Curr
. Top.Microbiol. Immunol 203:99, 1995; Ehrenfeld and Semler, Curr. Top. Microbi
ol. Immunol.203:65, 1995; Rees et al., Biotechniques 20:102, 1996; Sugimoto et
al., Biotechnology12:694, 1994)が挙げられる。IRESは翻訳効率を高める。同様に他の
配列も発現を高め得る。いくつかの遺伝子では特に5'末端の配列が転写および/または翻
訳を阻害する。これらの配列は通常パリンドロームとなっていてヘアピン構造を形成する
ことがある。送達すべき核酸中にこのような配列があれば一般に欠失させる。転写または
翻訳産物の発現レベルをどの配列が発現を左右するかを確認または突き止めるべくアッセ
イする。転写レベルはノーザンブロットハイブリダイゼーション、RNアーゼプローブ保護
などをはじめとするいずれの公知の方法によってアッセイしてもよい。タンパク質レベル
はELISA、ウエスタンブロット、免疫組織化学またはその他の周知の技術をはじめ、いず
れの公知の方法によってアッセイしてもよい。
【0104】
本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質コード構築物にその他のエレメ
ントを組み込んでもよい。好ましい実施形態では、構築物はポリアデニル化配列、スプラ
イス供与部位および受容部位、ならびにエンハンサーをはじめとする転写ターミネーター
配列を含む。哺乳類細胞またはその他の真核細胞での構築物の発現および維持に有用なそ
の他エレメントも組み込んでよい(例えば、複製起点)。これらの構築物は細菌細胞で便宜
に産生されるので、細菌中での増殖に必要な、または細菌での増殖を増強するエレメント
を組み込む。このようなエレメントとしては複製起点、選択マーカーなどがある。
【0105】
本明細書で示されるように、本発明の構築物を用いて細胞へ送達された結合ドメイン-
免疫グロブリン融合タンパク質をコードする核酸の発現のさらなるレベルの制御は2以上
の示差的に調節される核酸構築物を同時に送達することによって得られる。このような複
数の核酸構築アプローチを用いることで、例えば細胞種および/または別の発現コード成
分の存在に依存する時間的空間的協調といった免疫応答の協調調節が可能となる。当業者
ならば複数の調節遺伝子発現レベルも同様に、限定されるものではないが、プロモーター
、エンハンサー、およびその他周知の遺伝子調節エレメントをはじめとする好適な調節配
列の選択によって達成できることが分かるであろう。
【0106】
本発明はまた、ベクター、および本発明の核酸を含む公知のベクターから製造した構築
物、特に上記で示したような本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質およ
びポリペプチドをコードする核酸のいずれかを含む「組換え発現構築物」、本発明のベク
ターおよび/または構築物で遺伝子操作した宿主細胞、ならびに組換え技術による、本発
明のかかる結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドおよび融合タンパク質をコー
ドする核酸配列、またはその断片もしくは変異体を含む発現構築物を投与する方法に関す
る。結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質は構築物の性質(例えば、上記のように
プロモーターの種類)および所望の宿主細胞の性質(例えば、有糸分裂後の分化終期か活発
な分裂期か;例えば、発現構築物が宿主細胞においてエピソームとして存在するか宿主細
胞ゲノムに組み込まれるか)によって、適当なプロモーターの制御下、実質的にいずれの
宿主細胞でも発現し得る。原核生物および真核生物宿主とともに用いるのに適当なクロー
ニングおよび発現ベクターは上記で示したようにSambrook, et al., Molecular Cloning:
A LaboratoryManual, Second Edition, Cold Spring Harbor, NY, (1989)に記載されて
おり、本発明の特に好ましい実施形態では、組換え発現は本発明の組換え発現構築物でト
ランスフェクトまたは形質転換した哺乳類細胞で行う。
【0107】
典型的には、これらの構築物はプラスミドベクターに由来する。好ましい構築物として
は、アンピシリン耐性遺伝子、ポリアデニル化シグナルおよびT7プロモーター部位をコー
ドする核酸配列を有する改変型pNASSベクター(Clontech, Palo Alto, CA)がある。他の好
適な哺乳類発現ベクターも周知である(例えば、Ausubel et al., 1995; Sambrook et al.
, 上記参照;また、例えば、Invitrogen,San Diego, CA; Novagen, Madison, WI; Pharma
cia,Piscataway, NJその他のカタログも参照)。現在のところ、結合ドメイン-免疫グロ
ブリン融合タンパク質の高産生レベルをもたらすため、好適な調節制御下にジヒドロ葉酸
レダクターゼ(DHFR)コード配列を含む好ましい構築物が製造し得るが、このレベルは適当
な選択剤(例えば、メトトレキサート)の適用後の遺伝子増幅によるものである。
【0108】
一般に組換え発現ベクターは宿主細胞の形質転換を可能とする複製起点および選択マー
カー、ならびに上記のように下流構造配列の転写を命令するため、高レベルで発現する遺
伝子に由来するプロモーターを含む。この異種構造配列は翻訳開始および終結配列に対し
て適当な位相に組み込む。従って例えば、本明細書で提供される結合ドメイン-免疫グロ
ブリン融合タンパク質コード核酸は、宿主細胞で結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリ
ペプチドを発現させるための組換え発現構築物として、種々の発現ベクター構築物のいず
れか1つに含めればよい。特定の好ましい実施形態では、これらの構築物はinvivoに投与
される製剤中に含める。このようなベクターおよび構築物としては染色体配列、非染色体
配列および合成DNA配列、例えばSV40の誘導体;細菌プラスミド;ファージDNA;酵母プラ
スミド;プラスミドとファージDNA、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイル
スおよび仮性狂犬病ウイルス、または以下に記載する複製欠陥レトロウイルスなどのウイ
ルスDNAとの組合せに由来するベクターが挙げられる。しかしながら、組換え発現構築物
の製造のためにその他のベクターを用いてもよく、好ましい実施形態では、このようなベ
クターは宿主中で複製可能で生存力を持つものである。
【0109】
これら適当なDNA配列は種々の手法によりベクターへ挿入できる。一般に、このDNA配列
は当技術分野で公知の手法によって適当な制限エンドヌクレアーゼ部位へ挿入する。DNA
リガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼなどの酵素反応のためのクローニ
ング、DNA単離、増幅および精製の標準的な技術ならびに種々の分離技術は当業者に公知
であり、一般に用いられているものである。標準的な技術のいくつかが、例えばAusubel
et al. (1993Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publ. Assoc. Inc. &
John Wiley& Sons, Inc., Boston, MA); Sambrook et al. (1989 Molecular Cloning, S
econd Ed., ColdSpring Harbor Laboratory, Plainview, NY); Maniatis et al. (1982
MolecularCloning, Cold Spring Harbor Laboratory, Plainview, NY); Glover (Ed.) (
1985 DNACloning Vol. I and II, IRL Press, Oxford, UK); Hames and Higgins (Eds.
), (1985Nucleic Acid Hybridization, IRL Press, Oxford, UK)その他に記載されてい
る。
【0110】
発現ベクター中のDNA配列は、mRNA合成を命令すべく少なくとも1つの好適な発現制御配
列(例えば、構成プロモーターまたは調節プロモーター)に作動可能なように連結されてい
る。このような発現制御配列の代表例としては上記のような真核細胞またはそれらのウイ
ルスのプロモーターが挙げられる。プロモーター領域はCAT(クロラムフェニコールトラン
スフェラーゼ)ベクターまたはその他のベクターを選択マーカーとともに用いていずれの
所望の遺伝子からでも選択できる。真核プロモーターとしてはCMV前初期、HSVチミジンキ
ナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウスメタロチオネイ
ン-Iが挙げられる。適当なベクターおよびプロモーターの選択は十分当業者のレベルの範
囲内にあり、本明細書では結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドをコードする
核酸と作動可能なように連結された少なくとも1つのプロモーターまたは調節プロモータ
ーを含む特定の特に好ましい組換え発現構築物の製造を記載する。
【0111】
高等真核生物による本発明のポリペプチドをコードするDNAの転写はベクターにエンハ
ンサー配列を挿入することによって増強することができる。エンハンサーとは、プロモー
ターに作用してその転写を増強する通常約10〜300bpの、DNAのcis作用エレメントである
。例としては複製起点の後期部位bp100〜bp270のSV40エンハンサー、サイトメガロウイル
ス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期部位のポリオーマエンハンサー、およ
びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
【0112】
本明細書で示されるように、特定の実施形態では、このベクターはレトロウイルスベク
ターなどのウイルスベクターであってもよい(Miller et al., 1989 BioTechniques 7:980
; Coffin andVarmus, 1996 Retroviruses, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY.
)。例えばレトロウイルスプラスミドベクターを誘導し得るレトロウイルスとしては、限
定されるものではないが、モロニーネズミ白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、レトロウ
イルス(ラウス肉腫ウイルス、ハーヴィー肉腫ウイルス、鳥類白血症ウイルス、テナガザ
ル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、
および乳癌ウイルスなど)が挙げられる。
【0113】
レトロウイルスは複製し、DNA中間体を通じて宿主細胞のゲノムに組み込まれ得るRNAウ
イルスである。このDNA中間体、すなわちプロウイルスは宿主細胞のDNAへ安定して組み込
まれる。本発明の特定の実施形態によれば、ワクチンは、通常のレトロウイルスRNAの代
わりに外来タンパク質をコードする外来遺伝子が組み込まれているレトロウイルスを含み
得る。レトロウイルスRNAが感染と同時に宿主細胞に入る際、この外来遺伝子も細胞に導
入され、その後、それがレトロウイルスゲノムの一部であったかのように宿主細胞DNAへ
組み込まれる。宿主内でこの外来遺伝子が発現すると、外来タンパク質が発現することに
なる。
【0114】
遺伝子治療向けに開発されたほとんどのレトロウイルスベクター系はネズミレトロウイ
ルスを基にしたものである。このようなレトロウイルスはビリオンと呼ばれる遊離型のウ
イルス粒子として、または宿主細胞DNAへ組み込まれたプロウイルスとしての2形態で存在
する。ビリオン形態のウイルスはレトロウイルスの構造タンパク質および酵素タンパク質
(逆転写酵素を含む)、ウイルスゲノムの2つのRNAコピー、およびウイルスエンベロープ糖
タンパク質を含有するソース細胞の原形質膜部分を含む。このレトロウイルスゲノムは4
つの主要領域、すなわち転写の開始と終結に必要なcis作用エレメントを含み、コード遺
伝子の5'および3'双方に位置する長い末端反復配列(LTR)、ならびに3つのコード遺伝子ga
g、pol、およびenvへと組織される。これらの3つの遺伝子gag、pol、およびenvはそれぞ
れ内部ウイルス構造、酵素タンパク質(インテグラーゼなど)、およびウイルスの感染力と
宿主域特異性を付与するエンベロープ糖タンパク質(gp70およびp15eと呼ばれる)、ならび
にまだ機能の同定されていない「R」ペプチドをコードする。
【0115】
本発明により提供されるワクチンにおけるそれらの使用をはじめ、レトロウイルスの使
用に関する安全的懸念のため、個別のパッケージング細胞系統およびベクター産生細胞系
統が開発されている。要するに、この方法論ではレトロウイルスベクターとパッケージン
グ細胞系統(PCL)の二成分の使用を採用する。レトロウイルスベクターは長い末端反復配
列(LTR)、導入する外来DNAおよびパッケージング配列(y)を含む。このレトロウイルスベ
クターは構造タンパク質およびエンベロープタンパク質をコードする遺伝子をベクターゲ
ノム内に含まないのでそれ自体は再生しない。PCLはgag、pol、およびenvタンパク質をコ
ードする遺伝子を含むが、パッケージングシグナル「y」を含まない。従って、PCLそれ自
体によっては空のビリオン粒子しか形成することができない。この一般法の中では、レト
ロウイルスベクターをPCLに導入し、それによりベクター産生細胞系統(VCL)を作り出す。
このVCLはレトロウイルスベクターの(外来の)ゲノムのみを含むビリオン粒子を作り、従
って、これまでのところ治療用として安全なレトロウイルスベクターであると考えられて
いる。
【0116】
「レトロウイルスベクター構築物」とは、本発明の好ましい実施形態では、結合ドメイ
ン-免疫グロブリン融合物コード核酸配列などの目的配列または目的遺伝子の発現を命令
し得る集合体をさす。要するに、このレトロウイルスベクター構築物は5' LTR、tRNA結合
部位、パッケージングシグナル、第二鎖DNA合成の起点および3' LTRを含んでいなければ
ならない。例えば、タンパク質(例えば、細胞傷害性タンパク質、疾病関連抗原、免疫補
助分子、または置換遺伝子)をコードする配列、または分子それ自体として有用なもの(例
えば、リボザイムまたはアンチセンス配列)をはじめ、ベクター構築物には多様な異種配
列を含め得る。
【0117】
本発明のレトロウイルスベクター構築物は、例えばB、CおよびD型レトロウイルス、な
らびにスプマウイルスおよびレンチウイルスをはじめとする多様なレトロウイルスから容
易に構築することができる(例えば、RNA Tumor Viruses, Second Edition, Cold Spring
HarborLaboratory, 1985参照)。このようなレトロウイルスはAmerican Type Culture Co
llection("ATCC"; Rockville, Maryland)などの寄託先またはコレクションから容易に得
られるか、または一般に利用可能な技術を用いて既知起源から単離することができる。上
記のレトロウイルスはいずれも、本明細書の開示および標準的な組換え技術(例えば、Sam
brook et al,Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor
LaboratoryPress, 1989; Kunkle, PNAS 82:488, 1985)に示される本発明のレトロウイル
スベクター構築物、パッケージング細胞、または産生細胞を組立てまたは構築すべく容易
に使用できる。
【0118】
一般にウイルスベクターで用いるのに好適なプロモーターとしては、限定されるもので
はないが、レトロウイルスLTR;SV40プロモーター;およびMiller, et al., Biotechniqu
es 7:980-990(1989)に記載のヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、またはその
他いずれかのプロモーター(例えば、限定されるものではないが、ヒストン、pol III、お
よびβ-アクチンプロモーターをはじめとする真核細胞プロモーターなどの細胞プロモー
ター)が挙げられる。用い得るその他のプロモーターとしては、限定されるものではない
が、アデノウイルスプロモーター、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、およびB19パル
ボウイルスプロモーターが挙げられる。好適なプロモーターの選択は、当業者には本明細
書に含まれている教示から明らかであり、上記のような調節プロモーターまたはプロモー
ターのいずれかから選択すればよい。
【0119】
上記のように、パッケージング細胞系統に形質導入して産生細胞系統を形成するにはレ
トロウイルスプラスミドベクターを用いる。トランスフェクトし得るパッケージング細胞
の例としては、限定されるものではないが、PE501、PA317、Ψ-2、Ψ-AM、PA12、T19-14X
、VT-19-17-H2、ΨCRE、ΨCRIP、GP+E-86、GP+envAm12、およびMiller,Human Gene Ther
apy, 1:5-14(1990)に記載のDNA細胞系統が挙げられる。このベクターは当技術分野で公
知のいずれかの手段によってパッケージング細胞に形質導入し得る。このような手段とし
ては、限定されるものではないが、エレクトロポレーション、リポソームの使用、および
CaPO4沈殿法が挙げられる。1つの選択肢としては、レトロウイルスプラスミドベクターを
リポソームに封入するか脂質と結合させた後、宿主に投与してもよい。
【0120】
産生細胞系統は結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプチドまたは融合タンパク質
をコードする核酸配列を含む感染力のあるレトロウイルスベクター粒子を生じる。次に、
このようなレトロウイルスベクター粒子を用いてin vitroまたはin vivoのいずれかで真
核細胞に形質導入すればよい。形質導入された真核細胞は結合ドメイン-免疫グロブリン
融合ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする核酸配列を発現する。形質導入し得
る真核細胞としては、限定されるものではないが、胚幹細胞ならびに造血系幹細胞、肝細
胞、繊維芽細胞、循環末梢血単球および骨髄単球をはじめとする多形核細胞、リンパ球、
筋芽細胞、組織マクロファージ、樹状細胞、クップファー細胞、リンパ節および脾臓のリ
ンパ様細胞および網内皮細胞、ケラチノサイト、内皮細胞および気管支上皮細胞が挙げら
れる。
【0121】
ウイルスベクターを用いて組換え結合ドメイン-免疫グロブリン融合発現構築物を製造
する本発明の実施形態のもう1つの例として、ある好ましい実施形態では、結合ドメイン-
免疫グロブリン融合ポリペプチドまたは融合タンパク質の発現を命令する組換えウイルス
構築物によって形質導入された宿主細胞は、ウイルスの出芽の際、ウイルス粒子により組
み込まれた宿主細胞膜の部分に由来する発現結合ドメイン-免疫グロブリン融合ポリペプ
チドまたは融合タンパク質を含有するウイルス粒子を生じ得る。
【0122】
もう1つの態様では、本発明は、上記の組換え結合ドメイン-免疫グロブリン融合発現構
築物を含む宿主細胞に関する。宿主細胞は、本発明のベクターおよび/または発現構築物
(例えばクローニングベクター、シャトルベクターまたは発現構築物であってもよい)で
遺伝子操作(形質導入、形質転換またはトランスフェクト)される。このベクターまたは構
築物は例えばプラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であってもよい。これら操
作された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、または結合ドメイン-
免疫グロブリン融合ポリペプチドまたは結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質を
コードする遺伝子などの特定の遺伝子の増幅に適当なように改変した従来の栄養培地で
培養することができる。温度、pHなど、発現のために選択された個々の宿主の培養条件は
当業者ならば容易に明らかとなる。
【0123】
宿主細胞は哺乳類細胞などの高等真核細胞または酵母細胞などの下等真核細胞であって
もよく、あるいは宿主細胞は細菌細胞などの原核細胞であってもよい。本発明の適当な宿
主細胞の代表例としては、限定されるものではないが、大腸菌、放線菌(Streptomyces)、
ネズミチフス菌(Salmonellatyvphimurium)などの細菌細胞;酵母などの真菌細胞;ドロ
ソフィラ(Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9などの昆虫細胞;CHO、COS
または293細胞などの動物細胞;アデノウイルス;植物細胞、あるいはinvitro増殖にす
でに適合されているか、またはそのようにde novoで確立された好適ないずれかの細胞が
挙げられる。適当な宿主の選択は本明細書の教示から当業者の範囲内にあるものと思われ
る。
【0124】
種々の哺乳類細胞培養系を用いて組換えタンパク質を発現させることができる。哺乳類
発現系の例としては、Gluzman, Cell 23:175 (1981)に記載されているサル腎繊維芽細胞
のCOS-7系統、ならびに例えばC127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞系統などの適合ベクタ
ーを発現し得る他の細胞系統が挙げられる。哺乳類発現ベクターは複製起点、好適なプロ
モーターおよびエンハンサーを含み、また、例えば結合ドメイン-免疫グロブリン融合発
現構築物の製造に関して本明細書に記載されているものなど、必要があればリボゾーム結
合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与部位および受容部位、転写終結配列、およ
び5'フランキング非転写配列を含む。SV40スプライス部位およびポリアデニル化部位に由
来するDNA配列を用いて必要な非転写遺伝エレメントを提供してもよい。宿主細胞へのこ
の構築物の導入は、限定されるものではないが、例えば、リン酸カルシウムトランスフェ
クション、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクトロポレーション
(Davis et al.,1986 Basic Methods in Molecular Biology)をはじめとする当業者に公
知の種々の方法によって達成することができる。
【0125】
本発明の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質は周知の方法による投与向けの
医薬組成物へと調剤できる。医薬組成物は一般に1以上の組換え発現構築物、および/ま
たはそのような構築物の発現産物を、医薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み
合わせて含む。このような担体は用いる用量および濃度でレシピエントに無毒なものであ
る。核酸を基にした製剤、または本発明の組換え構築物の発現産物を含む製剤としては、
約0.01μg/kg〜約100mg/体重kgを典型的には皮内、皮下、筋肉内または静脈経路、あるい
はその他の経路によって投与する。好ましい用量は約1μg/kg〜約1mg/kgであり、約5μg/
kg〜約200μg/kgが特に好ましい。当業者ならば投与の回数および頻度が宿主の応答によ
って異なることが明らかであろう。治療用途の「医薬上許容される担体」は製薬分野で周
知のものであり、例えばRemingtons Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A
.R. Gennaroedit. 1985)に記載されている。例えば、滅菌生理食塩水およびリン酸緩衝
生理食塩水を生理学的pHで用いればよい。この医薬組成物には保存剤、安定剤、染料およ
び香味剤も供してよい。例えば安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp-ヒドロキシ安息
香酸エステルを保存剤として添加してもよい(同上、1449)。さらに抗酸化剤および沈殿防
止剤を用いてもよい(同上)。
【0126】
「医薬上許容される塩」とは、このような化合物および有機もしくは無機酸(酸付加塩)
または有機もしくは無機塩基(塩基付加塩)の組合せから誘導される本発明の化合物の塩を
さす。本発明のこれらの化合物は遊離塩基または塩形態のいずれで用いてもよく、両形体
とも本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0127】
1以上の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質コード構築物(またはそれらの発
現産物)を含む医薬組成物は、その組成物の患者への投与を可能とするいずれの形態であ
ってもよい。例えば、この組成物は固体、液体または気体(エアゾール)の形態であっても
よい。典型的な投与経路としては、限定されるものではないが、経口、局所、非経口(舌
下または口内)、舌下、直腸、膣および鼻内が挙げられる。本明細書において非経口とは
、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内、海綿内、くも膜下内、道内、尿道内注射または点
滴法が挙げられる。この医薬組成物は、組成物を患者に投与した際にそこに含まれる有効
成分がバイオアベラブルとなるように調剤する。患者へ投与する組成物は1以上の投与単
位の形態をとり、例えば錠剤は単一の投与単位であり、エアゾール形態の本発明の1以上
の化合物の容器は複数投与単位であり得る。
【0128】
経口投与としては、賦形剤および/または結合剤が存在してもよい。例としてスクロー
ス、カオリン、グリセリン、デンプンデキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシ
メチルセルロース、およびエチルセルロースが挙げられる。着色剤および/または香味剤
が存在してもよい。コーティング剤皮を用いてもよい。
【0129】
組成物は例えばエリキシル、シロップ、溶液、エマルションまたは懸濁液などの液体形
態であってもよい。液体は二例として経口投与用または注射送達用であり得る。経口投与
を意図する場合、好ましい組成物は1以上の結合ドメイン-免疫グロブリン融合構築物また
は発現産物の他、1以上の甘味剤、保存剤、染料/着色剤および香味強化剤を含む。注射
投与を意図する組成物では、1以上の界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、沈殿防止剤
、バッファー剤、安定剤、および等張剤を含んでもよい。
【0130】
本明細書において液体医薬組成物は、溶液であれ懸濁液であれ、その他も同様の形態で
あっても、以下の1以上のアジュバントを含んでよい:注射水、塩水、好ましくは生理食
塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒として用いられる合成モノも
しくはジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレング
リコールまたはその他の溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベ
ンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジ
アミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸またはリン酸などのバッファー、および
塩化ナトリウムもしくはデキストロースなどの張力調節剤。
【0131】
非経口製剤はガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジ、ま
たは多用量バイアルに封入することができる。生理食塩水が好ましいアジュバントである
。注射用医薬組成物は滅菌することが好ましい。
【0132】
また製剤中には、限定されるものではないが、アルミニウム塩、油中水エマルション、
生分解性オイルビヒクル、水中油エマルション、生分解性マイクロカプセル、およびリポ
ソームをはじめとする送達ビヒクルなどの他の成分を含むことも望まれる。このようなビ
ヒクルにおいて用いられる免疫刺激物質(アジュバント)の例としては、N-アセチルムラミ
ル-L-アラニン-D-イソグルタミン(MDP)、リポポリ多糖類(LPS)、グルカン、IL-12、GM-CS
F、γインターフェロンおよびIL-15が挙げられる。
【0133】
本発明の医薬組成物には当業者に公知の好適な担体はいずれも用い得るが、担体の種類
は投与様式および徐放性が求められるかどうかによって異なる。皮下注射などの非経口投
与では、担体は好ましくは水、塩水、アルコール、油脂、ワックスまたはバッファーを含
む。経口投与では上記担体またはマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マ
グネシウム、ナトリウムサッカリン、タルク、セルロース、グルコース、スクロースおよ
び炭酸マグネシウムなどの固形担体はいずれも用い得る。生分解性ミクロスフェア(例え
ば、ポリ乳酸ガラクチド)も本発明の医薬組成物の担体として用い得る。好適な生分解性
ミクロスフェアは例えば米国特許第4,897,268号および同第5,075,109号に開示されている
。これに関しては、ミクロスフェアがおよそ25μより大きいことが望ましい。
【0134】
医薬組成物はまた、バッファーなどの希釈剤、アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子
量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質;アミノ酸;グルコース、スクロースまたは
デキストリンをはじめとする炭水化物;EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、ならびに
その他の安定剤および賦形剤を含んでもよい。中性緩衝塩水または非特異的血清アルブミ
ンと混合した塩水は適当な希釈剤の例である。好ましくは製剤は希釈剤として適当な賦形
剤溶液(例えば、スクロース)を用いて凍結乾燥物として調剤する。
【0135】
上記のように、本発明は結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質をコードする核
酸分子を送達し得る組成物を含む。このような組成物としては組換えウイルスベクター(
例えば、レトロウイルス(WO90/07936、WO91/02805、WO93/25234、WO93/25698、およびWO9
4/03622参照)、アデノウイルス(Berkner,Biotechniques 6:616-627, 1988; Li et al.,
Hum. Gene Ther.4:403-409, 1993; Vincent et al., Nat. Genet. 5:130-134, 1993;お
よびKollset al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:215-219, 1994参照)、ポックスウイ
ルス(米国特許第4,769,330号、同第5,017,487号、およびWO89/01973参照)、ポリ陽イオン
分子と複合化した組換え発現構築物核酸分子(WO93/03709参照)、およびリポソームと会合
した核酸(Wanget al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7851, 1987参照)が挙げられる
。特定の実施形態では、このDNAは死滅または不活性化アデノウイルスと結合させてもよ
い(Curielet al., Hum. Gene Ther. 3:147-154, 1992; Cotton et al., Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA89:6094, 1992参照)。他の好適な組成物としてはDNA-リガンド(Wu et al.,
J. Biol.Chem. 264:16985-16987, 1989参照)および脂質-DNAの組合せ(Felgner et al.,
Proc.Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7417, 1989参照)が挙げられる。
【0136】
直接invivo法の他、宿主細胞から細胞を取り出し、改変して、同じまたは別の宿主動
物に入れるexvivo法を用いてもよい。ex vivoに関して結合ドメイン-免疫グロブリン融
合タンパク質または結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質コード核酸分子を組織
細胞へ導入するのに、上記で示したいずれの組成物を用いてもよいことは明らかである。
ウイルス的、生理的および化学的取り込み法のプロトコールは当技術分野で周知のもので
ある。
【0137】
よって、本発明はB細胞疾患または悪性症状を有する患者の治療、あるいはこのような
患者に由来する細胞培養物の処置に有用である。本明細書において「患者」とは、温血動
物、好ましくはヒトをさす。患者はB細胞リンパ腫などの癌に罹患していても正常(すなわ
ち、検出可能な疾病および感染がない)であってもよい。「細胞培養物」とは、ex vivo処
理に従ういずれかの調製物であり、例えば免疫担当細胞または免疫系の単離細胞(限定さ
れるものではないが、T細胞、マクロファージ、単球、B細胞および樹状細胞を含む)を含
む調製物がある。このような細胞は当業者に周知の種々の技術のいずれによって単離して
もよい(例えば、フィコール-ハイパーク密度勾配遠心分離)。細胞は(必ずしもその必要は
ないが)B細胞疾患または悪性症状に罹患した患者から単離されたものであって、処置後に
患者に再導入されるものであってもよい。
【0138】
非経口または経口投与のいずれかを意図した液体組成物は好適な用量が得られるような
量の結合ドメイン-免疫グロブリン融合タンパク質コード構築物または発現産物を含んで
いなければならない。典型的には、この量は組成物中、結合ドメイン-免疫グロブリン融
合物構築物または発現産物の少なくとも0.01重量%である。経口投与を意図する場合、こ
の量は組成物重量の0.1から約70%の間で異なる。好ましい経口組成物は約4%から約50%
の間の結合ドメイン-免疫グロブリン融合構築物または発現産物を含有する。好ましい組
成物および製剤としては、非経口投与単位が有効化合物0.01から1重量%となるように調
製する。
【0139】
この医薬組成物は、担体が溶液、エマルション、軟膏またはジェル基剤を適宜含み得る
場合には局所投与も意図し得る。例えば基剤は以下のものの1以上を含み得る:ワセリン
、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、
ならびに乳化剤および安定剤。局所投与用医薬組成物中には増粘剤が存在してもよい。経
皮投与を意図する場合には、組成物は経皮パッチまたはイオン導入装置を含んでもよい。
局所製剤は約0.1から約10%w/v(単位容量当たりの重量)の濃度の結合ドメイン-免疫グロ
ブリン融合構築物または発現産物を含めばよい。
【0140】
この組成物は例えば直腸内で融解して薬剤を放出する坐剤の形態で直腸投与を意図して
もよい。直腸投与用の組成物は好適な無刺激性賦形剤として油性基剤を含み得る。このよ
うな基剤としては、限定されるものではないが、ラノリン、カカオ脂、およびポリエチレ
ングリコールが挙げられる。
【0141】
本発明の方法では、結合ドメイン-免疫グロブリン融合物コード構築物または発現産物
はインサート、ビーズ、徐放性製剤、パッチ、または速放性製剤の使用によって投与して
もよい。
【0142】
以下の実施例は例示のために示すものであって、これに限定されない。
【実施例1】
【0143】
2H7可変領域のクローニングと2H7scFV-Igの構築および配列決定
本実施例はモノクローナル抗体2H7の重鎖および軽鎖可変領域をコードするcDNA分子の
クローニングについて示す。本実施例はまた2H7scFv-Igの構築、配列決定および発現につ
いても示す。
【0144】
CD20と特異的に結合する2H7モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞はワシ
ントン州立大学(Seattle,WA)のEd Clarkにより提供されたものである。採取に先立ち、
ハイブリドーマ細胞はグルタミン、ピルビン酸、DMEM非必須アミノ酸、およびペニシリン
-ストレプトマイシンを添加したRPMI1640培地(Life Technologies, Gaithersburg, MD)
中で数日間、対数増殖期で維持した。細胞を遠心分離により培地からペレット化し、2×1
07細胞を用いてRNAを調製した。Pharmingen(San Diego, CA)全RNA単離キット(カタログ
番号45520K)を用いキットに付随する製造業者の説明書に従って2H7産生ハイブリドーマ細
胞からRNAを単離した。1□gの全RNAを鋳型として用い、逆転写によりcDNAを調製した。RN
Aおよび300ngのランダムプライマーを合わせ、酵素の添加前に72℃で10分間変性させた。
酵素を添加した5X第二鎖バッファーおよび0.1MDTTの存在下、Superscript II逆転写酵素
(LifeTechnologies)をRNAとプライマー混合物へ総量25□lで添加した。逆転写反応を42
℃で1時間進行させた。
【0145】
ランダムプライム逆転写酵素反応で生成した2H7 cDNAおよびV領域特異的プライマーを
用い、PCRにより2H7抗体の軽鎖および重鎖可変領域を増幅した。このV領域特異的プライ
マーは公開されている配列(Genbank受託番号はVLがM17954、VHがM17953)を指標として用
いてデザインした。この2つの可変鎖を適合末端配列を用い、増幅および制限酵素消化の
後にこの2つのV領域を連結することによってscFvが構築できるようにデザインした。
【0146】
この2つのV領域の間に挿入される(gly4ser)3ペプチドリンカーを、2H7のVLのアンチセ
ンスプライマーに付加的なヌクレオチドを加えることで組み込んだ。またSac I制限部位
もこの2つのV領域の間の接合部に導入した。HindIII制限部位と軽鎖リーダーペプチドを
含み、2H7 VLの増幅に用いたセンスプライマーは、5'-gtcaag ctt gcc gcc atg gat ttt
caa gtgcag att ttt cag c-3'(配列番号__)であった。アンチセンスプライマーは、5'-
gtc gtc gagctc cca cct cct cca gat cca cca ccg ccc gag cca ccg cca cct ttc agc
tcc agc ttg gtccc-3'(配列番号__)であった。V領域のリーディングフレームは太字の下
線のコドンで示し、HindIIIおよびSacI部位は斜体下線の配列で示す。
【0147】
VHドメインはリーダーペプチドを用いずに増幅したが、VLとの融合のための5'SacI制
限部位、ならびにヒトIgG1 Fcドメインおよび末端切断型CD40リガンドであるCD154をはじ
めとする種々のテールとの融合のための3'末端にBclI制限部位を含んだ。センスプライマ
ーは、5'-gctgct gag ctc tca ggc tta tct aca gca agt ctg g-3'(配列番号__)であっ
た。SacI部位は斜体下線フォントで示し、VHドメインの最初のアミノ酸コドンのリーディ
ングフレームは太字下線で示す。アンチセンスプライマーは5'-gtt gtc tga tca gag acg
gtg accgtg gtc cc-3'(配列番号__)であった。BclI部位は斜体下線で示し、VHドメイン
配列の最後のセリンは太字下線で示す。
【0148】
2H7 scFvHindIII-BclI断片をヒトIgG1ヒンジ、CH2、およびCH3領域を含み、制限酵素H
indIIIおよびBclIで消化したpUC19へ挿入することでscFv-Igを構築した。連結後、連結産
物をDH5α菌へ形質転換した。診断部位として2H7のVL-VH接合部にあるSacI部位を用い、
適切に断片が挿入されたかどうかで陽性クローンをスクリーニングした。この2H7scFv-Ig
cDNAに対して、PE9700サーモサイクラーにて96℃10秒の変性、50℃30秒のアニーリング
、および72℃4分の伸張による25サイクルのプログラムを用い、サイクルシーケンシング
を行った。シーケンシングプライマーはpUCフォワードおよびリバースプライマーならび
にIgG不変領域部分においてヒトCH2ドメインとアニーリングされた内部プライマーとした
。シーケンシング反応はBig Dye Terminator Ready Sequencing Mix (PE-Applied Biosys
tems, Foster City,CA)を製造業者の説明書に従って用いて行った。次に、Centrisepカ
ラム(カタログ番号CS-901,Princeton Separations, Adelphia, N.J.)を用いてサンプル
を精製し、Savant真空乾燥機で溶出物を乾燥させ、TemplateSuppression Reagent (PE-A
BI)で変性し、ABI 310Genetic Analyzer (PE-Applied Biosystems)で解析した。配列を
編集、翻訳し、VectorNtiバージョン6.0 (Informax, North Bethesda, MD)を用いて解析
した。図1は2H7scFv-Ig構築物のcDNAおよび推定アミノ酸配列を示す。
【実施例2】
【0149】
安定なCHO細胞系統における2H7scFV-Igの発現
本実施例は真核細胞系統における2H7scFv-Igの発現、ならびにSDS-PAGEによる、また、
ADCCおよび補体結合を含む機能的アッセイによる発現2H7scFv-Igの特性決定について示す

【0150】
正確な配列の2H7scFv-IgHindIII-XbaI(〜1.6kb)断片を哺乳類発現ベクターpD18へ挿入
し、陽性クローン由来のDNAをQIAGENプラスミド調製キット(QIAGEN, Valencia, CA)を用
いて増幅した。次に、組換えプラスミドDNA(100□g)をAscI消化により非必須領域で線状
化し、フェノール抽出により精製し、組織培養培地Excell 302(カタログ番号14312-79P,
JRHBiosciences, Lenexa, KS)に再懸濁させた。トランスフェクション用の細胞CHO DG44
細胞は対数増殖期で維持し、各トランスフェクション反応につき107細胞を採取した。エ
レクトロポレーションのため、線状DNAをこのCHO細胞に総量0.8mlで加えた。
【0151】
2H7scFv-Ig融合タンパク質(配列番号10)の安定生産は、CMVプロモーターの制御下に2H
7 scFv-Ig cDNAを含む選択的増幅プラスミドpD18の、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)
細胞へのエレクトロポレーションによって達成した。2H7発現カセットを〜1.6kb HindIII
-XbaI断片としてベクター多重クローニング部位のCMVプロモーターの下流にサブクローニ
ングした。このpD18ベクターはプラスミドの選択圧を高めるべく弱化したプロモーターと
ともにDHFR選択マーカーをコードするpcDNA3である。Qiagenmaxiprepキットを用いてプ
ラスミドDNAを調製し、精製したプラスミドを固有AscI部位で線状化した後、フェノール
抽出およびエタノール沈降を行った。サケ精子DNA(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を担
体DNAとして加え、各100□gのプラスミドおよび担体DNAを用いてエレクトロポレーション
により107CHO DG44細胞をトランスフェクトした。細胞をグルタミン(4mM)、ピルビン酸
、組換えインスリン、ペニシリン-ストレプトマイシン、および2X DMEM非必須アミノ酸(
全てLifeTechnologies, Gaithersburg, Marylandより)を含有するExcell 302培地(JRH B
iosciences)(以下、「Excell302完全」培地と呼ぶ)で対数増殖期まで増殖させた。非ト
ランスフェクト細胞用の培地にはHT(ヒポキサンチンおよびチミジンの100X溶液から希釈)
(LifeTechnologies)も含んだ。選択下のトランスフェクション用培地には選択剤として5
0nM〜5□Mの範囲の種々のレベルのメトトレキサート(Sigma-Aldrich)を含んだ。エレクト
ロポレーションは275ボルト、950□Fで行った。トランスフェクト細胞を非選択培地で一
晩回復させた後、96ウェル平底プレート(Costar)に125細胞/ウェル〜2000細胞/ウェルの
範囲の種々の希釈シリーズで選択平板培養した。細胞のクローニング用の培地は100nMの
メトトレキサートを含有するExcell 302完全培地とした。クローン増殖が十分となったと
ころでマスターウェルからの培養上清の希釈シリーズについてCD20-CHOトランスフェクト
細胞と結合するかどうかスクリーニングする。融合タンパク質の産生の最も高いクローン
をT25次いでT75フラスコと拡張し、冷凍および2H7scFvIgのスケールアップ生産に十分な
数の細胞を得た。さらに、メトトレキサート含有培地で連続的に増幅することで3つのク
ローン由来の培養物の産生レベルを高めた。細胞の各連続継代培養では、Excell 302完全
培地には増加濃度のメトトレキサートを含み、DHFRプラスミドを増幅した細胞だけが生き
残るようにした。
【0152】
2H7scFv-Igを発現するCHO細胞から上清を回収し、0.2□mのPES発現フィルター(Nalgene
, Rochester,NY)で濾過し、Aタンパク質-アガロース(IPA 300架橋アガロース)カラム(Re
pligen, Needham,MA)に通した。このカラムをPBSで洗浄した後、結合したタンパク質を0
.1Mクエン酸バッファーpH3.0で溶出した。画分を回収し、溶出タンパク質を1MTris, pH
8.0で中和した後、PBS中で一晩透析した。精製した2H7scFv-Ig(配列番号__)の濃度は280n
mの吸光度で測定した。VectorNtiバージョン6.0ソフトウエアパッケージ(Informax, Nor
th Bethesda,MD)を用い、吸光率1.77が測定された。このプログラムはアミノ酸組成を用
いて吸光率を算出するものである。
【0153】
トランスフェクトされた安定なCHO細胞による2H7scFv-Igの産生レベルはフローサイト
メトリーで分析した。精製したCHO細胞に対する2H7scFv-IgをCD20を発現したCHO細胞(CD2
0 CHO)に結合させ、フルオレセイン結合抗ヒトIgGセカンドステップリージェント(カタ
ログ番号H10101およびH10501,CalTag, Burlingame, CA)を用い、フローサイトメトリー
により分析した。図2(上)はCD20CHOに結合している2H7scFv-Igを滴定することで作製し
た標準曲線を示す。各濃度の2H7scFv-Igに対し、フルオレセインシグナルの平均明度が直
線上に示されている。次に、2H7scFv-Igを発現する安定なCHO細胞クローンを含むTフラス
コから回収した上清をCD20 CHOと結合させ、その結合をフローサイトメトリーによって分
析した。上清に含まれていた2H7scFv-Igによって生じたフルオレセインシグナルを測定し
、上清中の2H7scFv-Ig濃度を標準曲線から算出した(図2、下)。
【0154】
精製した2H7scFv-Ig(配列番号__)をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析し
た。それぞれAタンパク質アガロースカラムに流すことにより精製した2H7scFv-Igサンプ
ルをジスルフィド結合を還元しないSDSサンプルバッファー中で煮沸し、SDS 10% Tris-B
ISゲル(カタログ番号NP0301,Novex, Carlsbad, CA)に適用した。各精製バッチ20μgをゲ
ルにロードした。電気泳動後、クーマシーブルー染色(Pierce Gel Code Blue Stain Reag
ent, カタログ番号24590,Pierce, Rockford, IL)によりタンパク質を可視化し、蒸留水
中で脱色した。同じゲルに分子量マーカーも含めた(Kaleidoscope Prestained Standards
, カタログ番号161-0324,Bio-Rad, Hercules, CA)。結果は図3に示す。レーンの上の数
字は各々の精製バッチを示す。図の左側に分子量マーカーの分子量kDaを示す。別のサン
プル調製条件を用いたさらなる実験では、DTTまたは2-メルカプトエタノールを含有するS
DSサンプルバッファー中でタンパク質を煮沸することでジスルフィド結合を還元すると2H
7scFv-Igの凝集が生じることが示された。
【0155】
当技術分野で周知の通常のアッセイを用い、他のいくつかの免疫学的パラメーターをモ
ニタリングしてもよい。これらには例えば抗体依存細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)アッセ
イ、invitro二次抗体応答、十分確立されたマーカー抗原系を用いる種々の抹消血または
リンパ系単核細胞部分集団のフロー免疫細胞蛍光測定解析、免疫組織化学またはその他関
連のアッセイが含まれる。これらおよびその他のアッセイは例えばRose et al. (Eds.),
Manual ofClinical Laboratory Immunology, 5th Ed., 1997 American Society ofMicr
obiology,Washington, DCに見出せる。
【0156】
補体の存在下で2H7scFv-IgがCD20陽性細胞を死滅させる能力はB細胞系統RamosおよびBj
abを用いて試験した。このアッセイにはウサギ補体(Pel-Freez,Rogers, AK)を1/10の最
終濃度で用いた。精製2H7scFv-IgをB細胞および補体とともに37℃で45分間インキュベー
トした後、トリパンブルー排除により生細胞と死細胞を計数した。図4Aの結果はウサギ補
体の存在下で2H7scFv-IgがCD20を発現するB細胞を溶解したことを示す。
【0157】
末梢血単核細胞(PBMC)の存在下、2H7scFv-IgがCD20陽性細胞を死滅させる能力は、100:
1比のPBMCおよびBjabを用い、4時間のアッセイ中、標識Bjab細胞からの51Crの放出を測定
することにより試験した。図4Bに示される結果は、PBMCおよび2H7scFv-Igの双方の存在下
ではPBMCまたは2H7scFv-Igいずれか単独の存在下よりも51Crの放出が高いことから、2H7s
cFv-Igが抗体依存細胞傷害作用(ADCC)を媒介し得ることが示された。
【実施例3】
【0158】
正常B細胞の増殖およびCD95の発現に対するCD20およびCD40の同時連結の作用、ならびに
アポトーシスの誘導
本実施例は細胞増殖に対する細胞表面で発現したCD20およびCD40の架橋の作用について
示す。
【0159】
稠密な休止B細胞をヒト扁桃からパーコール密度勾配によって単離し、Eロゼット形成試
験によりT細胞を取り出した。休止中の稠密な扁桃B細胞の増殖は4日間の実験のうち最後
の12時間の3[H]-チミジン取り込みによって測定した。示されたように、増殖は4回の培養
における平均値±標準誤差として測定した。ネズミ抗ヒトCD20 mAb 1F5は単独で用いるか
(抗CD20)、または抗ネズミκmAb187.1と架橋した(抗CD20XL)。CD40の活性化はネズミCD8
と融合した可溶性ヒトCD154(CD154)(Hollenbaugh et al., EMBO J. 11: 4212-21 (1992))
を用いて行い、CD40の架橋は抗ネズミCD8mAb 53-6 (CD154XL)を用いて行った。この手順
により細胞表面におけるCD20およびCD40の同時架橋が可能であった。結果は図5に示す。
【0160】
Bリンパ腫細胞系統であるRamos細胞に対するCD20およびCD40架橋の作用を調べた。CD20
(1F5)およびCD40(G28-5)と特異的に結合するネズミmAbを用いた処理(ヤギ抗マウスIgG(GA
M)は含まない)および/または架橋(+GAM)8時間後のRamos細胞のCD95(Fas)発現およびアポ
トーシス%を分析した。対照はCD3に特異的な非結合イソ型対照(64.1)で処理した。
【0161】
処理したRamos細胞を回収し、FITC-抗CD95とともにインキュベートし、フローサイトメ
トリーによる分析で、CD20またはCD40架橋後の細胞表面のFasの相対的発現レベルを求め
た。データは示された刺激による処理後の細胞の平均蛍光としてプロットしたものである
(図6A)。
【0162】
同じ実験の、処理したRamos細胞を採取し、アネキシンVの結合を測定して処理した培養
物におけるアポトーシス%を示した。アポトーシスは、1F5およびG28-5を用いてCD20およ
びCD40を架橋してから18時間後にアネキシンVを結合させ、その後、GAMと架橋させること
で測定した。アネキシンVの結合はFITC-アネキシンVキット(カタログ番号PN-IM2376, Imm
unotech,Marseille, France)を用いて測定した。アネキシンVの結合は細胞がアポトーシ
スへと進む初期段階であることが知られている。アポトーシス、すなわちプログラムされ
た細胞死は自殺による細胞死をもたらす異化反応のカスケードを特徴とするプロセスであ
る。アポトーシスの初期段階において、細胞が形態変化してDNAを加水分解するまでは細
胞膜の完全性は維持されるが、細胞は膜のリン脂質の非対称性を失い、細胞表面にホスフ
ァチジルセリンなどの負電荷リン脂質が露出する。カルシウムおよびリン脂質結合タンパ
ク質であるアネキシンVは優先的かつ高い親和性でホスファチジルセリンと結合する。FAS
レセプター(CD95)の発現に対するCD20およびCD40両者の架橋の作用を示す結果が図6Bに示
されている。細胞へのアネキシンVの結合に対するCD20およびCD40両者の架橋の作用は図6
Bに示されている。
【実施例4】
【0163】
2H7 scFV-CD154融合タンパク質の構築および特性決定
CD20およびCD40の両者と結合し得る分子を構築するため、2H7scFvをコードするcDNAを
CD40リガンドであるCD154をコードするcDNAと融合させた。この2H7scFvIg構築物から、H
indIII-BclI断片にコードされている2H7scFv cDNAを取り出し、ヒトCD154の細胞外ドメ
インをコードするBamHI-XbaIcDNA断片とともにpD18ベクターに挿入した。この細胞外ド
メインは他のII型膜タンパク質と同様、CD154のカルボキシ末端にコードされている。
【0164】
このヒトCD154の細胞外ドメインを、ランダムプライマーおよびPHA(フィトヘマグルチ
ニン)で活性化したヒトTリンパ球由来RNAを用いて作製したcDNAを用いてPCR増幅した。こ
れらのプライマー対は2つの異なる5'またはセンスプライマーを含んでおり、CD154の細胞
外ドメイン内の2つの異なる位置に融合接合部を作り出した。2つの異なる融合接合部をデ
ザインし、これらはCD154の細胞外ドメインのアミノ酸108(Glu)-261(Leu)+(Glu)を含む短
鎖または末端切断型(S4型)とアミノ酸48(Arg)-261(Leu)+(Glu)を含む長鎖または完全型(L
2型)を生じ、両者ともBamHI-XbaI断片として構築されたものである。2つの異なる末端切
断型細胞外ドメインと2H7scFvを融合させるセンスプライマーはクローニングのためのBam
HI部位を含む。CD154cDNAのS4型に対するセンスプライマーは配列番号11またはCD154BAM
108で示され、以下の配列:5'-gttgtc gga tcc aga aaa cag ctt tga aat gca a-3'を有
する34マーをコードし、一方、アンチセンスプライマーは配列番号12またはCD154XBAで示
され、以下の配列:5'-gttgtt tct aga tta tca ctc gag ttt gag taa gcc aaa gga cg-
3'を有する44マーをコードする。
【0165】
アミノ酸48(Arg)-261(Leu)+(Glu)をコードするCD154細胞外ドメインの長鎖型(L2)の増
幅に用いるオリゴヌクレオチドプライマーは以下の通りである。センスプライマーはCD15
4 BAM48(配列番号13)で示され、以下の配列:5'-gttgtc gga tcc aag aag gtt gga caa
gat aga ag-3'を有する35マーをコードする。アンチセンスプライマーはCD154XBA(配列番
号__)で示され、5'-gttgtt tct aga tta tca ctc gag ttt gag taa gcc aaa gga cg-3'
の44マーをコードする。その他のPCR反応条件は2H7scFvの増幅に用いたものと同じとし
た(実施例1参照)。PCRクイックキット(QIAGEN,San Diego, CA)によりPCR断片を精製し、
30□l ddH2Oで溶出し、反応量40□l、37℃にて3時間、BamHIおよびXbaI(Roche)制限エン
ドヌクレアーゼで消化した。断片をゲル精製し、QIAEXキットを製造業者(QIAGEN)の説明
書に従って用いて精製し、HindIII+XbaIで消化したpD18発現ベクター中へ2H7 HindIII-Bc
lI断片とともに連結した。連結反応物をDH5-α化学適合菌へ形質転換し、100□g/mlアン
ピシリンを含有するLBプレートで平板培養した。形質転換体を37℃で一晩培養し、単離し
たコロニーを用い、100□g/mlアンピシリンを含有するLuriaBroth中3mlの液体培養物へ
接種した。ミニプラスミドプレパレーション(QIAGEN)の後、2H7 scFvおよびCD154両者の
細胞外ドメイン断片が挿入されているかどうかでクローンをスクリーニングした。
【0166】
2H7scFv-CD154構築物cDNAに対して、PE9700サーモサイクラーにて96℃10秒の変性、50
℃5秒のアニーリングおよび60℃4分の伸張を含む25サイクルを用いてサイクルシーケンシ
グを行った。用いたシーケンシグプライマーはpD18フォワード(配列番号__: 5'-gtctatat
aagcagagctctggc-3')およびpD18リバース(配列番号__:5'-cgaggctgatcagcgagctctagca-3
')プライマーであった。さらにヒトCD154配列(配列番号__:5'-ccgcaatttgaggattctgatca
cc-3')と相同性を有する内部プライマーを用いた。シーケンシング反応には3.2pmolのプ
ライマー、およそ200ngのDNA鋳型、および8□lのシーケンシング混合物を含んだ。シーケ
ンシング反応はBigDye Terminator Ready Sequencing Mix (PE-Applied Biosystems, Fo
ster City, CA)を製造業者の説明書に従って用いて行った。次に、Centrisepカラム(Prin
cetonSeparations, Adelphia, NJ)を用いてサンプルを精製した。溶出物をSavant急速真
空乾燥機で乾燥させ、20□lのTemplate Suppression Reagent (ABI)中、95oCで2分間変性
させ、ABI310 Genetic Analyzer (PE-Applied Biosystems)で解析した。配列を編集、翻
訳し、VectorNtiバージョン6.0 (Informax, North Bethesda, MD)を用いて解析した。2H
7scFv-CD154 L2のcDNA配列および推定アミノ酸は図7Aに示され、2H7scFv-CD154S4のcDNA
配および推定アミノ酸配列は図7Bに示されている。
【0167】
2H7scFv-CD154融合タンパク質(配列番号: __および__)のCD20およびCD40に対する結合
活性はフローサイトメトリーによって同時に測定した。このアッセイではCD20を発現する
CHO細胞標的を用いた。2H7scFv-CD154発現プラスミドでトランスフェクトした細胞から
の上清とともにCD20CHO細胞を45分間インキュベートした後、CD20 CHO細胞を2回洗浄し
、PBS/2%FBS中、ビオチン結合CD40-Ig融合タンパク質とともにインキュベートした。45
分後、細胞を2回洗浄し、PBS/2%FBS中、1:100で、ヒコエリスリン(PE)標識ストレプト
アビジン(MolecularProbes, Eugene OR)とともにインキュベートした。さらに30分間イ
ンキュベートした後、細胞を2回洗浄し、フローサイトメトリーにより分析した。結果は2
H7 scFv-CD154分子が細胞表面でCD20と結合し、ビオチン結合CD40を溶液から取り込むこ
とができたことを示す(図8)。
【0168】
Bリンパ腫およびリンパ芽球様細胞系統の増殖および生存力に対する2H7scFv-CD154の作
用を調べるため、細胞を12時間、2H7scFv-CD154 L2(配列番号__)とともにインキュベート
した後、アネキシンVの結合に関して調べた。アネキシンVの結合はFITC-アネキシンVキッ
ト(Immunotech,Marseille, France, カタログ番号PN-IM2376)を用いて測定した。B細胞
系統を、分泌型の2H7scFv-CD154融合タンパク質を発現する細胞からの上清を濃縮、透析
したものの希釈物とともに1ml培養物中でインキュベートした。結果は図9に示す。
【0169】
2H7scFv-CD154の存在下のRamosBリンパ腫細胞系統の増殖速度を、24時間の培養のうち
少なくとも6時間の間の3H-チミジン取り込みによって調べた。細胞増殖に対する2H7scFv-
CD154の作用は図10に示されている。
【実施例5】
【0170】
CytoxB抗体誘導体の構築および特性決定
CytoxB抗体は2H7scFv-IgGポリペプチド由来のものであった。2H7 scFv(実施例1参照)
を改変型ヒンジドメイン(11参照)を介してヒトIgG1 Fcドメインと連結した。ヒンジ領
域中のシステイン残基を位置指定突然変異誘発およびその他当技術分野で公知の方法によ
ってセリン残基に置換した。この変異型ヒンジを野生型Fcドメインと融合してCytoB-MHWT
G1Cと呼ばれる構築物を作出するか、あるいはCH2ドメインにさらなる突然変異を導入した
変異型Fcドメイン(CytoxB-MHMG1C)と融合した。エフェクター機能に関連するCH2のアミノ
酸残基は図11に示されている。これらの残基の1以上の突然変異はFcR結合およびエフェク
ター機能の媒介を低下させ得る。本実施例では、2H7 scFv融合タンパク質において、当技
術分野でFcレセプター結合に重要であることが分かっているロイシン残基234を変異させ
た(CytoxB-[MG1H/MG1C])。また別の構築物では、ヒトIgG1ヒンジ領域を、野生型ヒトFcド
メインと融合したヒトIgAヒンジ部分に置換した(CytoxB-IgAHWTHG1C)(図11参照)。この変
異型ヒンジ領域はヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインの機能特性を保持する単量体および二
量体分子の混合物を発現させる。これらの分子の合成組換えcDNA発現カセットを構築し、
実施例2に記載の方法に従ってポリペプチドをCHODG44細胞で発現させた。
【0171】
CytoxB-scFvIg分子の精製した融合タンパク質誘導体を実施例2に記載の方法に従いSDS-
PAGEによって解析した。ポリアクリルアミドゲルの泳動は非還元および還元条件下で行っ
た。2つの異なる分子量マーカーセット、BioRadプレステインマーカー(BioRad,Hercules
, CA)およびNovexMultimark分子量マーカーを各ゲルにロードした。種々の構築物および
Rituximab(商標)の移動パターンを図12に示す。
【0172】
CytoxB-scFvIg分子の種々の誘導体がADCCを媒介する能力は、標的としてBjabBリンパ
腫細胞を、エフェクター細胞として新たに調製したヒトPBMCを用いて測定した(実施例2参
照)。エフェクターと標的の比率は70:1、35:1、および18:1と変え、ウェル当たりのBjab
細胞数は一定としてPBMCの数を変えた。Bjab細胞は51Crで2時間標識し、平底96ウェルプ
レートの各ウェルに5x104細胞/ウェルの細胞密度で分注した。精製した融合タンパク質ま
たはrituximabを種々の希釈率のPBMCに10mg/mlの濃度で加えた。PBMCまたは融合タンパク
質を添加せずに自然放出を測定し、適当なウェルに洗剤(1% NP-40)を加えることで最大
放出を測定した。反応物を4時間インキュベートし、培養上清100μlをLumaplate (Packar
d Instruments)に採取し、一晩乾燥させた後、放出されたcpmを測定した。結果は図13に
示す。
【0173】
CytoxB誘導体の補体依存細胞傷害(CDC)活性も測定した。反応は実質的に実施例2に記載
した通りに行った。結果は、各濃度の融合タンパク質について全細胞に対する死細胞のパ
ーセンテージとして図14に示す。
【実施例6】
【0174】
マカクにおけるinvivo研究
CytoxB誘導体の最初のinvivo研究はヒトでない霊長類で行った。図15はサルにおけるC
ytoxBの血漿半減期を特徴付けるデータを示す。測定は、矢印で示した日に各サルに6mg/k
gの用量を投与した後、2個体の異なるマカク(J99231およびK99334)から得た血漿サンプル
で行った。各サンプルについて存在する2H7scFvIgのレベルを精製CytoxB-(MHWTG1C)-Ig融
合タンパク質とCD20CHO細胞との結合によって作製した標準曲線に当てはめて推定した(
実施例2参照)。データは図15の下のパネルの表で示す。
【0175】
マカクの循環CD40+細胞のレベルに対するCytoxB-(MHWTG1C)Ig融合タンパク質の作用を
調べた。図16で示した日にそれぞれ完全な血球を計数した。さらに細胞集団の中からB細
胞を検出するCD40特異的フルオレセイン結合抗体を用い、末梢血リンパ球に対してFACS(
蛍光活性化細胞選別)アッセイを行った。次に陽性細胞のパーセンテージを用いて元のサ
ンプルのB細胞数を算出した。データは注射後の示された日に測定した血液のマイクロタ
イター当たりのB細胞1000個としてグラフで示す(図16)。
【実施例7】
【0176】
抗CD19scFV-Ig融合タンパク質の構築および発現
抗CD19 scFv-Ig融合タンパク質を構築し、真核細胞へトランスフェクトし、実施例1、2
および5に記載の方法および当技術分野の標準に従って発現させた。CD19と特異的に結合
する抗体HD37を産生するハイブリドーマ細胞から単離したRNAから可変重鎖領域および可
変軽鎖領域をクローニングした。HD37scFv-IgAHWTG1CおよびHD37scFv-IgMHWTG1Cの発現レ
ベルを測定し、精製HD37scFvIgを用いて作製した標準曲線に当てはめた。結果は図17に
示す。
【実施例8】
【0177】
抗L6scFV-IG融合タンパク質の構築および発現
scFv-Ig融合タンパク質を抗癌腫mAb、L6に由来する可変領域を用いて構築した。この融
合タンパク質を構築し、真核細胞へトランスフェクトし、実施例1、2および5に記載の方
法および当技術分野の標準に従って発現させた。L6scFv-IgAHWTG1CおよびL6scFv-IgMHWTG
1Cの発現レベルを測定し、精製HD37scFvIgを用いて作製した標準曲線に当てはめた。結
果は図18に示す。
【実施例9】
【0178】
種々のscFV-Ig融合タンパク質の特性決定
すでに記載したscFv-Ig融合タンパク質の他、G28-1(抗CD37)scFv-Ig融合タンパク質を
実質的に実施例1および5に記載のようにして調製した。重鎖および軽鎖可変領域を当技術
分野で公知の方法に従ってクローニングした。2H7-MHWTG1C、2H7-IgAHWTG1C、G28-1-MHWT
G1C、G28-1IgAHWTG1C、HD37-MHWTG1C、およびHD37-IgAHWTG1CのADCC活性を上記の方法(
実施例2参照)に従って測定した。結果は図19に示す。L6scFv-IgAHWTG1CおよびL6scFv-IgM
HWTG1CのADCC活性は2981ヒト肺癌細胞系統を用いて測定した。結果は図20に示す。ネズミ
L6モノクローナル抗体はADCC活性を阻害しないことが分かっている。
【0179】
精製したタンパク質を還元および非還元条件下でSDS-PAGEにより解析した。実質的に実
施例2および5に記載のようにしてサンプルを調製し、ゲル泳動を行った。L6および2H7sc
Fv-Ig融合タンパク質に関する結果は図21に示し、G28-1およびHD37scFv-Ig融合タンパク
質に関する結果は図22に示す。
【0180】
例示を目的に本発明の特定の実施形態を本明細書に記載してきたが、以上から、本発明
の精神および範囲を逸脱することなく様々な改変を行えることが分かるであろう。よって
、本発明は添付のクレーム以外のものに限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−49707(P2013−49707A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257362(P2012−257362)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2010−126883(P2010−126883)の分割
【原出願日】平成14年1月17日(2002.1.17)
【出願人】(511001758)エマージェント プロダクト デベロップメント シアトル, エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】