説明

結合剤なしのブリケット及び金属チップと金属ダストとから成るブルケットを製造するための方法並びに装置

本発明は金属チップと金属ダストとから成る結合剤なしのブリケットを製造するための方法に関する。当該方法において金属チップをカップ状の形状にプレス加工し、これにより発生した上方に開放している中空室を金属ダストによって充填し、その後、開口をプレス加工された金属チップから成るカバーによって閉鎖する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
DE3732351A1には、金属製の鉄を含有する微粒子の製鋼所ダストからの、製錬に使用するための結合剤なしのブリケットを製造するための方法が既に記載されている。製鋼所ダストは加熱され高温状態においてロールブリケットプレス加工においてブリケッティングされ、次いで冷却される。再酸化を回避するためにこのことは不活性雰囲気において行うことが望まれる。
【0002】
不利なことにはこのために、500℃以上のブリケッティング温度への加熱のために著しいエネルギ量が必要である。
【0003】
DE4416699A1には金属製の残留材料、特にチップ材料を溶融炉において使用するための方法が記載されている。この方法において再循環したい小部分のチップ材料は、フィルタ装置から発生するダストである、有利にはSiO含有物といった、スラグ形成及び/又は燃料形成ダストと一緒に圧縮される。この場合、最大で15重量%、有利には5〜10重量%のダストの混合が行われ圧縮したい材料混合物が形成される。この方法では金属ダスト量は極めて制限されてしまう。
【0004】
たとえば研磨プロセスにおいて発生する金属ダストを更なる混加物なしでプレスしてブリケットを形成する試みは、プレス製品に形状安定性が欠けているという点で失敗する。純粋なダストから製造されたブリケット体に対する僅かな押込み又はその他の力作用だけでは既に破壊に繋がってしまう。接着剤を添加するという択一的な形態は手間がかかり、更にダストの再利用時には予め接着剤を加熱により再び除去する必要があるということを暗示している。
【0005】
恒常的に原材料の価格が高騰する時代にあっては、特に研磨中に発生する屑である切削加工屑内に含まれている、特に高価な金属及び金属合金を再び利用可能にするという切実な要求がある。しかしそのためには堅固に形状付与することが前提となり、この形状付与により破壊分解の危険なしに保存性及び運搬性が与えられている。同様のことがフィルタにおいて収集される、金属処理プロセスから発生するダストに対しても当てはまる。
【0006】
本発明の課題は、経済的で且つ簡単に取扱い可能に、任意の組成物である金属チップ及び金属ダストを添加剤の付加なしで加工処理して、運搬可能な形状を付与することができる方法並びに装置を提供することである。
【0007】
この課題は、前記金属チップがカップ状の形状にプレスされ、これにより発生する上方に開放した中空室を金属ダストで充填し、その後、開口をプレスされた金属チップから成るカバーによって閉鎖することにより解決される。この方法の根底にある発明の思想は、金属チップはその天然の強度及び変形可能性に基づきプレスされて極めて良好に形状安定的な物体に形成することができる。この物体はこの場合には金属ダストのための耐破壊性の覆いとして働く。金属チップに対する金属ダストの百分率に応じて、カップ状の金属チップ容器の閉鎖可能な内側の中空室が選択される。いずれにしてもカップ状の形状はカバーにより閉鎖されるので、注入された金属ダストをプレスにより圧縮することは必然的に必要ないものの、カップの充填能を最適に利用できるためには推奨される。有利には、この方法技術にはプレス加工しようとする金属物の加熱は必要なく、更に、再利用前に再びストリッピングする必要がある接着性の結合剤を使用する必要もない。
【0008】
本発明の別の形態によれば、金属チップはプレスされてカップ形状体に対応するカバーに形成される。このカバーは次いで開放したカップ形状体と一緒にプレス結合される。この場合、有利には圧縮圧はカバーの縁部に加えられる。これに対して択一的には、ルーズな金属チップはカップ形状体にある金属ダスト及びカップ縁部に分配され、次いでプレスを用いて閉鎖カバーに成型することができる。
【0009】
従って最初に述べた形態では、カバーが開放したカップ状の金属チップ容器と一緒にプレスすることにより結合される前に、カバーは金属チップから別個に成形される。開放した金属チップ容器の中空室が既に予め圧縮されている金属チップのよって完全に充填されていない場合には、特にこの方法が提供される。これに対して金属チップ容器が既に圧縮された金属ダストによって完全に充填されていて、その結果、カップ縁部と金属ダストとがほぼ閉鎖された、プレスするために必要な反作用力を加えることができるようにする平面を成していると、第2の方法によるカバー成型が推奨される。いずれにしても製造されたブリケット状の形状は、ほぼ金属チップから成る外側の堅固な覆いを有している。この覆いは圧力及び衝撃荷重に対しても比較的形状安定的である。含有金属ダストが5〜10%の僅かな含有率を超えない限りは、このカップ形状体を金属チップから完全に成っている必要はないということは自明である。
【0010】
特に、存在する金属ダストの量に適合される中空室がその都度提供される限りは、本発明によるカップ形状体は皿形状にまで任意に形成されてよいということが言及される。
【0011】
本発明によれば、結合剤なしのブリケットから成る、製造プロセスに戻し案内可能な製品がある。前記ブリケットはプレス結合された金属チップから成るカップと、プレス結合された金属チップから成るカバーと、金属ダストによって充填可能な中空室もしくは金属ダストによって充填される中空室とを有している。有利には、カップ及び/又はカバーは少なくとも4cmの壁厚を有している。注入された金属ダストと共に金属チップから成るブリケットは、任意の形状、特に円筒形状、円錐形状、直方体形状又はバー形状(Barrenform)を有している。圧縮圧によって粗悪に達成可能である、いわゆるアンダカットは避けたい。
【0012】
前記結合剤なしのブリケットを製造するために、本発明の更に別の形態により少なくとも1つのめ型及びこのめ型に対応する少なくとも1つのお型を有する装置が使用される。め型内に導入可能な金属チップはお型による加圧によってプレス結合してカップを形成可能である。このカップは次いで金属ダストによって充填可能であり、プレス結合された金属チップから成るカバーによって閉鎖可能である。プレス結合された金属チップから成るカバーは、め型において既に製造されているカップ形状体に載置され、対応するお型によって圧着される前に別体のプレス加工装置において製造される。これに対して択一的には、同じプレス加工装置においてまず金属チップから成るカップ形状体を製造し、次いでカップ状の中空室が金属ダストによって縁部にまで堆積するか、もしくは圧縮率を考慮して堆積して充填し、次いでダストを圧縮し、金属チップをカップ縁部及び圧縮された金属ダストに散布して圧縮するか、又は金属チップを直接金属ダストにカバー層として散布してから金属ダストと一緒に圧縮する、という可能性がある。め型は製造したいブリケットの所望の凸形状(Positivformen)に対応する相応の凹形状(Negativformen)を有している。
【0013】
本発明に係る金属チップ及び金属ダストから結合剤なしのブリケットを製造するための方法は、金属チップ及び金属ダストから結合剤なしのブリケットを製造するための方法において、金属チップをプレスしてカップ状の形状体を形成し、これにより生じる上方に開放した中空室を金属ダストによって充填し、その後、開口をプレスされた金属チップから成るカバーによって閉鎖することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る方法は、有利には、金属チップをプレスしてカップ形状体に対応するカバーを形成し、続いて該カバーをカップ形状体とプレス結合し、有利には、カバーの縁部においてプレス力を加える。
【0015】
本発明に係る方法は、有利には、ルーズな金属チップをカップ形状体内にある金属ダスト及びカップ縁部の上に分配し、続いて金属チップをプレスを用いてプレス加工して閉鎖するカバーを形成する。
【0016】
本発明に係る金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケットは、金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケットにおいて、該ブリケットが、プレス結合された金属チップから成るカップ形状体と、プレス結合された金属チップから成るカバーと、金属ダストによって充填可能な中空室とから成っていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るブリケットは、有利には、カップ及び/又はカバーが少なくとも4cmの壁厚を有している。
【0018】
本発明に係るブリケットは、有利には、当該ブリケットが、有利には、円筒状、円錐状、直方体状又はバー状に形成されている。
【0019】
本発明に係るルーズな金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケットを、め型及び該め型に対応する少なくとも1つのお型を用いて製造するための装置は、ルーズな金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケットを、め型及び該め型に対応する少なくとも1つのお型を用いて製造するための装置において、め型内に導入可能な金属チップがお型による加圧によってプレス結合されてカップを形成可能であり、該カップが金属ダストによって充填可能であり、且つプレス結合された金属チップから成るカバーによって閉鎖可能であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る装置は、有利には、め型及び対応するお型が、有利には、円筒状、円錐状、直方体状又は台形状に形成されている。
【0021】
別の実施の形態を図面につき説明する。
【0022】
図1にはカップ形状体13を製造するためのプレス加工法が概略的に示されている。このためにルーズな金属チップ(lose Metallspaene)がめ型11の中空室内に充填される。方向14で可動に支承されているお型12を用いて加圧することにより、金属チップはプレスされて形状安定的で一方で開放したカップ形状体13を形成する。製造されたカップ形状体13が図2に斜視的に示されている。カップ13はここで示された円筒状の基本形状において高さhと外径dと壁厚bとを有している。
【0023】
ルーズな金属チップから成型されたカップ13に金属ダスト(Metallstaub)31を充填した後に、カップ13をブリケットへと閉鎖する2つの択一的な可能性が提案されている。図3aには、ルーズな金属チップ32を充填されているカップに堆積させる可能性が概略的に示されている。金属チップ32は続いてポンチ33によって直接カップ13へとプレスされてコンパクトな閉鎖カバー42(図4参照)が形成される。この形態において有利には、カバー42と金属ダスト31の上側縁辺部との間に中間空間が発生せず、これにより提供される体積体は最適に利用される。
【0024】
図3bによれば別の形態は、金属チップ32から予め成型加工され、金属チップから予めプレスされたカバー34が、ポンチ33によってカップ13にプレスされ、その結果、閉鎖されたブリケットがもたらされる。この形態において有利には、金属チップの充填度を任意に変更することができる。
【0025】
しかし2つの方法において共通していることは、図4に概略的に示されているように、金属ダスト31で充填され、そして閉鎖されたブリケット41が製造されるということである。
【0026】
金属チップと金属ダストとは異なるプロセスに起因し且つ任意にまとめられ、その結果、金属チップと金属ダストとの化学的な組成、及びブリケットが溶融により導入される更なる処理プロセスのための金属チップと金属ダストとの百分率を介して所望のドーピングが調節可能である。
【0027】
台形状または立方体状もしくは直方体状のブリケットの形状の更に別の形態が、たとえば図5a,5bに示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】め型、お型及びプレスされたカップ形状体の横断面図である。
【図2】円筒状のカップ形状体の斜視図である。
【図3a】金属ダストで充填されルーズな金属チップによってカバーされているカップ及びポンチを示した図である。
【図3b】金属ダストで充填されたカップ及び金属チップから成る予めプレスされているカバーを示した図(分解図)である。
【図4】金属ダストで充填されたブリケットの横断面図である。
【図5a】台形状のカップ形状体を示した図である。
【図5b】立方体状又は直方体状のカップ形状体を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
11 め型、 12 お型、 13 プレスされた金属チップから成るカップ、 14 お型の運動方向、 21 円筒状のカップ、 31 金属ダスト、 32 金属チップ、 33 ポンチ、 34 予めプレスされたカバー、 41 ブリケット、 42 カバー、 51 台形状のブリケット、 55 立方体状もしくは直方体状のブリケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属チップ及び金属ダストから結合剤なしのブリケットを製造するための方法において、
金属チップをプレスしてカップ状の形状体(13)を形成し、これにより生じる上方に開放した中空室を金属ダスト(31)によって充填し、その後、開口をプレスされた金属チップから成るカバー(42)によって閉鎖することを特徴とする、金属チップ及び金属ダストから結合剤なしのブリケットを製造するための方法。
【請求項2】
金属チップをプレスしてカップ形状体に対応するカバー(34)を形成し、続いて該カバー(34)をカップ形状体とプレス結合し、有利には、カバーの縁部においてプレス力を加える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ルーズな金属チップ(32)をカップ形状体内にある金属ダスト(31)及びカップ縁部(13)の上に分配し、続いて金属チップをプレス(33)を用いてプレス加工して閉鎖するカバーを形成する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケットにおいて、
該ブリケットが、
a)プレス結合された金属チップから成るカップ形状体(13)と、
b)プレス結合された金属チップから成るカバー(42)と、
c)金属ダスト(31)によって充填可能な中空室と
から成っていることを特徴とする、金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケット。
【請求項5】
カップ(13)及び/又はカバー(42)が少なくとも4cmの壁厚を有している、請求項4記載の結合剤なしのブリケット。
【請求項6】
当該ブリケットが、有利には、円筒状、円錐状、直方体状又はバー状に形成されている、請求項4又は5記載の結合剤なしのブリケット。
【請求項7】
ルーズな金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケットを、め型(11)及び該め型(11)に対応する少なくとも1つのお型(12)を用いて製造するための装置において、
め型(11)内に導入可能な金属チップがお型(12)による加圧によってプレス結合されてカップ(13)を形成可能であり、該カップ(13)が金属ダスト(31)によって充填可能であり、且つプレス結合された金属チップから成るカバー(42)によって閉鎖可能であることを特徴とする、ルーズな金属チップ及び金属ダストから成る結合剤なしのブリケットを、め型及び該め型に対応する少なくとも1つのお型を用いて製造するための装置。
【請求項8】
め型(11)及び対応するお型(12)が、有利には、円筒状、円錐状、直方体状又は台形状に形成されている、請求項7記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2010−526934(P2010−526934A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506795(P2010−506795)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000657
【国際公開番号】WO2008/138295
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(504178236)エーゴン エーヴェルツ コマンディートゲゼルシャフト (ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー) (3)
【氏名又は名称原語表記】Egon Evertz K.G. (GmbH & Co.)
【住所又は居所原語表記】Birkenweiher 60−80, D−42651 Solingen, Germany
【Fターム(参考)】