説明

結合組成物

ポリマー100gあたり約1ミリ当量を超える一級アミン、より好ましくはポリマー100gあたり約3ミリ当量を超える非三級アミンを有するポリマー結合組成物。好ましくはポリマーは顕著に架橋されていない。これらの結合組成物は、フルオロポリマーを結合するのに特に有用かもしれない。新規ポリマーを製造する方法、および得られる多層結合製品について述べられる。ポリマーはポリマー結合したZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b単位を含む。結合組成物は、チューブおよびフィルムおよび容器などの多層ポリマーラミネートを製造するために使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合組成物および製造方法に関する。結合組成物は、特にフルオロポリマーを様々なポリマーに結合するのに有用かもしれない。
【背景技術】
【0002】
フッ素含有ポリマー(「フルオロポリマー」としても知られている)は、商業的に有用な種類の材料である。フルオロポリマーとしては、例えば架橋フルオロエラストマーおよび半結晶質またはガラス質フルオロポリマーが挙げられる。フルオロポリマーは、概して熱安定性が高く、特に高温で有用である。それらはまた、非常に低い温度で非常に高い靭性と可撓性を示すかもしれない。これらのフルオロポリマーの多くは、多種多様な溶剤中でほとんど完全に不溶性であり、概して耐薬品性である。いくつかは極めて低い誘電損失および高い誘電強度を有して、ユニークな非粘着および低摩擦特性を有するかもしれない。フルオロエラストマー、特にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンなどのその他のエチレン性不飽和ハロゲン化モノマーとのコポリマーは、シール、ガスケット、およびライニングなどの高温用途で特定の有用性を有する。
【0003】
フルオロポリマーを含有する多層構造体は、幅広い産業上の利用を享受する。このような構造体は、例えば燃料供給ホースと関連容器、および化学加工分野のホースまたはガスケットにおいて有用性を見いだす。多層製品の層間の接着は、完成品の用途次第で、様々な性能基準を満たさなくてはならないかもしれない。しかし層の1つがフルオロポリマーである場合、一つにはフルオロポリマーの非接着特性のために、高い結合強度を確立するのは困難なことが多い。この問題に対処するための様々な方法が提案されている。1つのアプローチは、フルオロポリマー層と第2のポリマー層との間に接着性プロモーターを使用することである。アミンおよびアミノシランが接着性プロモーターとして使用されている。強力な還元剤(例えばナトリウムナフタリド)およびコロナ放電の使用をはじめとする、フルオロポリマー層のための表面処理を用いて、接着性が増強されている。フッ化ビニリデンから誘導される共重合単位を含有するフルオロポリマーの場合、塩基などの脱フッ化水素化剤へのフルオロポリマーの曝露が使用されている。
【0004】
出発ポリマーの有益な特性を保ちながらも、THV、PVDF、およびETFEフルオロポリマーなどの結合困難な基材への結合ができるようにする、簡単で経済的な反応によって従来の容易に入手できる市販の非フルオロポリマーから作り出せる、改善されたアミノ官能性ポリマー結合組成物に対する必要性がある。Si−NまたはSi−S結合がSi−O結合よりも弱いことはよく知られている。したがって発明のポリマー中では、Siは大部分、窒素でなくむしろ酸素に結合される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、本願明細書で記載され特許請求される新規ポリマー、それらを作り出す方法、および得られる多層結合製品を発見した。
【0006】
一態様では本発明は結合組成物を提供する。結合組成物は、ポリマー100gあたり約3ミリ当量を超える非三級アミンを含むポリマーを含み、ポリマーが、複数の内在化(internalized)ポリマー結合したZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b単位
(式中、
Zは水素、アルキル、またはアミノ置換アルキルをはじめとする置換アルキルであり、
Lは二価のアルキレンまたは置換アルキレン結合基であり、Lは1つ以上の二価の芳香族基またはヘテロ原子基で中断されていてもよく、
Pは1つ以上のポリマー鎖を表し、
aは1〜3であり、
a+bは1〜3であり、
各Xは加水分解的に安定した基であり、
各Yは不安定基であり、
XまたはYは複数である場合、独立して選択されてもよい)を含む。
【0007】
別の態様では本発明は、ポリマー100gあたり約1ミリ当量を超える内在化一級アミンを含むポリマーを含む結合組成物を提供し、ポリマーが複数の内在化ポリマー結合したZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b単位
(式中、
Zは水素、アルキル、またはアミノ置換アルキルをはじめとする置換アルキルであり、
Lは二価のアルキレンまたは置換アルキレン結合基であり、Lは1つ以上の二価の芳香族基またはヘテロ原子基で中断されていてもよく、
Pは1つ以上のポリマー鎖を表し、
aは1〜3であり、
a+bは1〜3であり、
各Xは加水分解的に安定した基であり、
各Yは不安定基であり、
XまたはYは複数である場合、独立して選択されてもよい)を含む。
【0008】
アルキルおよびアルキレンは、置換が所望の結果を妨げないような置換アルキルを含む。
【0009】
別の態様では本発明は、ポリマー100gあたり約1ミリ当量を超える内在化一級アミンを含むポリマーを含む結合組成物を提供し、ここでゲル含量が約10重量%未満であり、ポリマーが複数の内在化ポリマー結合したZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b単位
(式中、
Zは水素、アルキル、またはアミノ置換アルキルをはじめとする置換アルキルであり、
Lは二価のアルキレンまたは置換アルキレン結合基であり、Lは1つ以上の二価の芳香族基またはヘテロ原子基で中断されていてもよく、
Pは1つ以上のポリマー鎖を表し、
aは1〜3であり、
a+bは1〜3であり、
各Xは加水分解的に安定した基であり、
各Yは不安定基であり、
XまたはYは複数である場合、独立して選択されてもよい)を含む。本発明の別の態様は、発明の結合組成物層をフルオロポリマー層と同時押し出し加工するまたはそれにラミネート加工するステップを含む、多層結合製品を製造する方法を特徴とする。
【0010】
別の態様では、結合組成物は、アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と、シランエステルまたはエステル同等物と結合性に反応性である複数の極性官能基を有するポリマーとの反応生成物を含む。結合性に反応性とは、ポリマー上の基が反応してエステルまたはエステル同等基を置換することを意味する。得られるポリマーは、ケイ素原子を介してシランに共有結合する。関連態様で、結合組成物はアミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と、ポリアミドまたは熱可塑性ポリウレタンとの反応生成物を含み、反応生成物は内在化Si−O−SiおよびNHR基を有する。さらに別の関連態様では、結合組成物は、アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と酸無水物官能基を有するポリマーとの反応生成物を含み、アミノシランの量は顕著な架橋を防止するのに十分であり、反応生成物は内在化Si−O−SiおよびNHR基を有する。
【0011】
別の態様では本発明は、アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と、シランエステルまたはエステル同等物と結合性に反応性である複数の極性官能基を有するポリマーとの混合物を押し出し加工して、エステルまたはエステル同等基を置換するステップを含み、ポリマーがケイ素原子を経由してシランに共有結合する、これらの結合組成物を製造する方法を特徴とする。
【0012】
別の態様では、本発明は本発明の結合組成物を含む多層結合製品を特徴とする。多層結合製品の例としては、フィルム、チューブ、および容器が挙げられる。
【0013】
極性官能基の例としては、−OH、−Si(OH)3、−Si(OR)3、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−O(C=O)NHR(式中、Rはアルキル、アリールアルキルまたはアリールであってもよくO、SまたはNヘテロ原子またはこれらのヘテロ原子の組み合わせを含有してもよい)が挙げられる。これらの極性官能基は、好ましくはアミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物のアミンと反応せず、またはそれと塩を形成しない。したがって例えば好ましくは極性官能基は、カルボン酸またはスルホンアミドであってはならず、これはアミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物のアミンがこれらの官能基と反応して、アミンの結合反応性を大幅に低下させるかもしれないためである。結合組成物は、2つの材料を反応させるために、任意に高温でシランとポリマーとを密接混合して作られる。第1の作用として、変性ポリマーが得られてもよく、それは引き続いてシロキサン結合を介してさらにアミノシランに結合してもよい。この混合物および予備反応は、アミノシランの基材への単なるコーティングによって達成できるよりも効果的なアミノシランの基材への付着をもたらすと考えられる。これらの新しいポリマーの遊離アミンは、結合組成物と基材または基材群間の結合を作り出す上で有用であることが意図される。表1に示されるように、ミキサーのトルクおよび温度は、既述の結合反応が起きる際(実施例1〜8)に増大するかもしれないのに対し、オルガノシランエステルまたはエステル同等物の不在下ではミキサーのトルク増大は起きず、低下すら起きる(アミン官能基を有するがシロキサン官能基を有さない比較例A〜D)。実施例2および5はアミンを含有しないので本発明で有用なアミノシランの例ではないが、それでもなおトルク増大が見られ、シランエステルまたはエステル同等物を有さない比較例A〜Dとは違って、シランエステルまたはエステル同等物とポリマーとの反応が示唆された。(結合に有用な一級または二級アミンでなく)三級アミンのみを有する実施例7もまた本発明で有用なアミノシランの例ではないが、それでもなおシランエステルまたはエステル同等物とポリマーとの反応のためにトルク増大が見られた。しかしトルク増大は、新しいポリマーの形成を示唆するのに必ずしも不可欠でない。例えば非三級アミンを持つM−タイプシランエステルまたはエステル同等構造物の使用によって本発明の新しいポリマーが形成するが、トルク増大が発生することは期待されない。表2は、様々な基材との、そして様々なポリマー対シラン比での本発明の改善された剥離強さを示す。これらの結合組成物および基材(群)から作られた多層構造は、例えば単純な2層構造からなってもよく、結合組成物それ自体をフルオロポリマーと同時押し出ししてもよく、またはそれらは例えばフルオロポリマー/結合組成物/ナイロンラミネートのように3つ以上の層を有してもよい。
【0014】
これらの結合組成物を使用して作られる多層構造は、典型的に少なくとも1つのフルオロポリマー基材を含むが、基材は任意に炭化水素ポリマーまたは反応させた結合組成物の遊離アミンと反応性のあらゆる基材であってもよい。これらの新しいポリマーの有用性は、適切な加熱接触下で、上述のあらゆる様々なポリマー、具体的には水素原子がフッ素原子に隣接するフルオロポリマーと強力な結合を形成するそれらの能力から帰結する。
【0015】
アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物は、ケイ素原子上に少なくとも1つ、典型的に2つ以上、より典型的には3つのエステルまたはエステル同等物を持ち、このような基は同一でもまたは異なってもよい。結合組成物は、相活性剤を含んでもよい。好ましくは相活性剤は、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、フルオロ脂肪族スルホニル化合物、またはアリールカルボン酸であってもよい。
【0016】
結合多層材料は、フルオロポリマーと非フッ素化ポリマーの双方が有する組み合わさった物理および化学的特性を有してもよく、より安価であるが、それにもかかわらず性能が良い、そしておそらくは性能がより良い製品をもたらす。例えばフルオロポリマー構成要素は、自動車ホースおよび容器構造体、保護バリアフィルム、抗汚染フィルム、低エネルギー表面PSAテープ、および航空機コーティングで使用してもよい。結合プロセスはラミネーションまたは同時押し出しするステップを含んでもよい。結合組成物を使用して、多層材料中の非フルオロポリマー層に結合するフルオロポリマー層を有する複合材製品を形成してもよい。
【0017】
本願明細書では、「1つ以上の二価の芳香族基またはヘテロ原子基で中断される」とは、芳香族基またはヘテロ原子基および窒素の間に、少なくとも1つのアルキレンまたは置換アルキレン基を有することを意味する。
【0018】
「T−タイプシロキシ構造体」とは、もう1つのシラン付着原子が炭素であるトリオキシシラン構造体を意味する。
【0019】
「D−タイプシロキシ構造体」とは、もう1つのシラン付着原子が炭素であるジオキシシラン構造体を意味する。
【0020】
「M−タイプシロキシ構造体」とは、もう1つのシラン付着原子が炭素であるモノオキシシラン構造体を意味する。
【0021】
「内在化ポリマー結合ZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b単位」とは、ポリマー容積全体にわたり分布して(すなわち単なる表面分布でなく)、Pに共有結合する分子単位を意味し、式中、Pはアミノシラン変性ポリマー鎖をはじめとする1つ以上のポリマー鎖を表す。
【0022】
「アミノシラン変性ポリマー鎖」とは、単位ZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b
(式中、
Zは水素、アルキル、またはアミノ置換アルキルをはじめとする置換アルキルであり、
Lは二価のアルキレンまたは置換アルキレン結合基であり、Lは1つ以上二価の芳香族基またはヘテロ原子基によって中断されていてもよく、
Pは1つ以上ポリマー鎖を表し、
aは1〜3であり、
a+b=1〜3であり、
各Xは加水分解的に安定した基であり、
各Yは不安定基であり、
XまたはYは、複数である場合、独立して選択されてもよい)を含有するポリマー鎖を意味する。
【0023】
「エステル同等物」とは、R’’OHによって熱的におよび/または触媒的に置換される、シランアミド(RNR’Si)、シランアルカノアート(RC(O)OSi)、Si−O−Si、SiN(R)−Si、SiSRおよびRCONR’Siなどの基を意味する。RおよびR’は独立して選択され、水素と、アルキルと、アリールアルキルと、アルケニルと、アルキニルと、シクロアルキルと、アルコキシアルキル、アミノアルキル、およびアルキルアミノアルキルなどの置換類似物とを含むことができる。R’’はRおよびR’と同一であってもよいが、ただしそれはHであってはならない。
【0024】
「顕著に架橋されていない」とは、ASTM D2765−01ノート2(「エチレンプラスチックのゲル含量および膨潤比の判定」)による判定で、ポリマーゲル含量が10%未満であることを意味する。
【0025】
「一級アミン」とは、適切に標識されたベンズアルデヒド(例えば4−メチルチオベンズアルデヒド)と(おそらく脱水的に)反応性であり、おそらくはイミンの形態であるアルデヒドの保持が容易に検出されて測定できる、アミンを意味する。
【0026】
「非三級アミン」とは、一級および二級アミン全体を意味する。
【0027】
本発明の1つ以上の実施態様の詳細を下の説明に記載する。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0028】
【特許文献1】米国特許第4,338,237号明細書
【特許文献2】米国特許第5,285,002号明細書
【非特許文献1】Chem.Rev.1940、26、297
【非特許文献2】Chem.Rev.1963、63、489
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
一態様では、本発明は別のポリマー、好ましくはフルオロポリマーと結合して、2つ以上の層のラミネートを形成するのに用いられてもよい、ポリマーアミノシラン結合組成物を提供する。
【0030】
結合組成物は、アミノ置換オルガノシランエステル(例えばアルコキシシラン)またはエステル同等物と、シランエステルまたはエステル同等物と結合性に反応性である複数の極性官能基を有するポリマーとを反応させて製造してもよい。アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物は、ケイ素原子上に少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つのエステルまたはエステル同等基を持つ。エステル同等物は当業者によく知られており、シランアミド(RNR’Si)、シランアルカノアート(RC(O)OSi)、Si−O−Si、SiN(R)−Si、SiSR、およびRCONR’Siなどの化合物が挙げられる。これらのエステル同等物はまた、エチレングリコール、エタノールアミン、エチレンジアミン、およびそれらのアミドから誘導されるもののように環式であってもよい。RおよびR’は要約で定義される「エステル同等物」と同様に定義される。別のこのようなエステル同等物の環式の例は、
【化1】

である。この環式例では、R’は前文で定義されるとおりであるが、ただしそれはアリールであってはならない。3−アミノプロピルアルコキシシランは、加熱時に環化することがよく知られており、これらのRNHSi化合物は本発明で有用であろう。好ましくはアミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物は、メタノールとして容易に揮発するメトキシなどのエステル基を有して、結合を妨げるかもしれない残留物が境界面に残るのを回避する。アミノ置換オルガノシランは、少なくとも1つのエステル同等物を有さなくてはならず、例えばそれはトリアルコキシシランであってもよい。例えばアミノ置換オルガノシランは、式
ZNH−L−SiX’X’’X’’’
を有してもよく、式中、Zは水素、アルキル、またはアミノ置換アルキルをはじめとする置換アルキルであり、Lは二価の直鎖C1〜12アルキレンであり、またはC3〜8シクロアルキレン、3〜8員環ヘテロシクロアルキレン、C2〜12アルケニレン、C4〜8シクロアルケニレン、3〜8員環ヘテロシクロアルケニレンまたはヘテロアリーレン単位を含んでもよい。Lは、1つ以上の二価の芳香族基またはヘテロ原子基で中断されていてもよい。芳香族基としては複素環式芳香族が挙げられる。ヘテロ原子は好ましくは窒素、イオウまたは酸素である。Lは、任意にC1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ、アミノ、C3〜6シクロアルキル、3〜6員環ヘテロシクロアルキル、単環式アリール、5〜6員環ヘテロアリール、C1〜4アルキルカルボニルオキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニル、ホルミル、C1〜4アルキルカルボニルアミノ、またはC1〜4アミノカルボニルで置換される。Lは、−O−、−S−、−N(Rc)−、−N(Rc)−C(O)−、−N(Rc)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(Rc)−、−N(Rc)−C(O)−N(Rd)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、または−O−C(O)−O−でさらに任意に中断される。RcおよびRdはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシアルキル、アミノアルキル(一級、二級または三級)、またはハロアルキルであり、X’、X’’、およびX’’’のそれぞれは、C1〜18アルキル、ハロゲン、C1〜8アルコキシ、C1〜8アルキルカルボニルオキシ、またはアミノ基であるが、ただしX’、X’’、およびX’’’の少なくとも1つは不安定基である。さらにX’、X’’、およびX’’’のいずれか2つまたは全ては、共有結合を介して結合してもよい。アミノ基は、アルキルアミノ基であってもよい。アミノ置換オルガノシランの例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(シルクエスト(SILQUEST)A−1110)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(シルクエスト(SILQUEST)A−1100)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(シルクエスト(SILQUEST)A−1120)、シルクエスト(SILQUEST)A−1130、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(シルクエスト(SILQUEST)A−2120)、ビス−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン(シルクエスト(SILQUEST)A−1170)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリブトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、p−(2−アミノエチル)フェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ダイナシラン(DYNASYLAN)1146などのオリゴマーアミノシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、
【化2】

が挙げられる。
【0031】
ビス−シリル尿素[RO)3Si(CH2)NR]2C=Oなどの追加的な「前駆物質」化合物もまた、最初に熱的に解離することでアミンを遊離するアミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物の例である。アミノシランの量は官能性ポリマーに対して、0.01%〜10重量%の間、好ましくは0.03%〜3%の間で、より好ましくは0.1%〜1%の間である。官能性ポリマーは異なるので、この量は典型的にシラン変性ポリマーのアミン含量を最大化しながら、押し出しなどの溶融加工能力を提供するように選択され、これは溶融加工当業者には簡単な課題である。ポリマーの溶融加工性を維持することが好ましいので、これに適合するようにアミノシランエステルまたはエステル同等物のタイプを調節することが必要かもしれない。例えば非常に高分子量の出発ポリマーと、T−タイプシロキシ構造を持つアミノシランエステルまたはエステル同等物とを反応させた場合、得られるポリマーは溶融加工可能でないかもしれない。この場合、当業者はアミノシランエステルまたはエステル同等物をD−タイプまたはさらにはM−タイプシロキシ構造で置き換えて、得られるポリマーの溶融加工を可能にするかもしれない。
【0032】
アミノシランは好ましくは、結合用途においてより反応性であることが期待される一級アミンを含む。一級アミン含量は、アミンと、イオウなどの「標識」原子を含有するベンズアルデヒド誘導体(例えば4−メチルチオベンズアルデヒド)との反応を伴う分析スキームによって、結合組成物中で判定されてもよい。「追跡用添加物」とは、イオウまたは臭素などの容易に分析可能な置換基を有することを意味する。例えば出発ポリマーが高レベルのイオウを有すれば、当業者は4−ブロモベンズアルデヒドなどの判定可能なベンズアルデヒドを使用する。その他の十分に感応性の標識付け手順としては、例えばNMRによるフッ素、炭素14またはトリチウムなどの放射化学的方法、可視またはUV分光法による付着染料または有色基、またはX線蛍光が挙げられる。全非三級アミン含量は、三級アミンの存在下でスルホンアミドを形成する、適切に標識された脂肪族または芳香族フッ化スルホニルの反応などの既知の反応を使用することで測定できる。
【0033】
アミノシランと反応させるのに使用される有用なポリマーは、1000を超える、好ましくは10,000を超える、そしてより好ましくは100,000を超える数平均分子量を有してもよい。複数の極性官能基を有するこのような有用なポリマーの例としては、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.(Wilmington,DE))から商品名バイネル(BYNEL)同時押し出し接着樹脂の下に市販される酸無水物変性ポリエチレンポリマーと、ニューハンプシャー州シーブルックのモルトン・インターナショナル(Morton International(Seabrook,NH))からのモルタン(MORTHANE)L424.167(MI=9.7)、PN−04または3429、およびオハイオ州クリーブランドのB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Co.(Cleveland,OH))からのX−4107などのウレタンポリマーと、カナダ国オンタリオ州ブランプトンのATプラスチック(AT プラスチック(Brampton,Ontario,Canada))から市販されるエチレン−酢酸ビニルコポリマーであるアテバ(ATEVA)EVA 1240A、EVA−9(アテバ(ATEVA)1070)、およびEVA−12(アテバ(ATEVA)1240)と、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.(Wilmington,DE))から市販される18重量%の酢酸ビニルおよび61℃のビカー軟化温度を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマーであるエルバックス(ELVAX)450と、ニューヨーク州パーチェースの三井化学アメリカ(Mitsui Chemicals America Inc.(Purchase,NY))から市販されるアドマー(ADMER)NF456A(MAPE)などの変性ポリオレフィンと、デュポン(DuPont)から市販されるエルバロイ(ELVALOY)PTWなどのエチレン、ブチルアクリレート、およびグリシジルメタクリレートのターポリマーと、テキサス州ヒューストンのシェブロン・ケミカル社(Chevron Chemical Co.(Houston,TX))から入手できるEMAC2202Tと、テキサス州ヒューストンのエクイスター・ケミカルズLP(Equistar Chemicals LP(Houston,TX))から入手できるエチレン−ビニルトリアルコキシシラン(2重量%ビニルトリアルコキシシランモノマー)コポリマーであるアクアテン(AQUATHENE)AQ120−000が挙げられる。またこれらのいずれかのポリマーの混合物を使用してもよい。混合物はアミノシランとの反応の前または後に作ってもよい。
【0034】
結合組成物はまた相活性剤を含んで、例えばフルオロポリマーまたは基材または双方の中に部分的に溶解することで、効果的な結合を容易にしてもよい。相活性剤は、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、スルホニウム化合物、スルホキソニウム化合物、ヨードニウム化合物、フルオロ脂肪族スルホニル化合物、アリールカルボン酸、またはそれらの組み合わせであってもよい。例としては、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、アリールアンモニウム塩、塩化トリアリールスルホニウムが挙げられる。
【0035】
フルオロポリマー層は、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とテトラフルオロエチレン(TFE)とエチレン(E)のターポリマー(HTE)などの部分的にフッ素化されたポリマーであってもよく、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデン(THV)のターポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとエチレン(ETFE)のコポリマー、およびその他の溶融加工可能フルオロプラスチックの場合のように溶融加工可能、または硬化フルオロエラストマーなどのように溶融加工不能、のいずれであってもよい。フルオロエラストマーは、射出または圧縮成形、または常態で熱可塑性と関連したその他の方法によって硬化される前に加工されてもよい。キュアリングまたは架橋後のフルオロエラストマーは、さらに加工できないかもしれない。フルオロエラストマーは、それらの非架橋形態で溶剤から被覆してもよい。フルオロポリマーはまた、水性分散体から被覆されてもよい。フルオロポリマーの混合物もまた使用してよい。好ましい実施態様では、フルオロポリマーはTHV、HTE、ETFE、およびPVDFを含んでもよい。
【0036】
好ましくはフルオロポリマーは、溶液または分散体から押し出しまたは被覆できる材料である。このようなフルオロポリマーは、典型的に約100℃〜約330℃、より好ましくは約150℃〜約270℃の融解温度を有するフルオロプラスチックである。好ましいフルオロプラスチックは、二フッ化ビニリデン(VDF)とテトラフルオロエチレンから誘導される共重合単位を含んでもよく、さらにその他のフッ素含有モノマー、非フッ素含有モノマー、またはそれらの組み合わせから誘導される共重合単位を含んでもよい。適切なフッ素含有モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、3−クロロペンタフルオロプロペン、過フッ化ビニルエーテル(例えばCF3OCF2CF2CF2OCF=CF2などのペルフルオロアルコキシビニルエーテルと、CF3OCF=CF2およびCF3CF2CF2OCF=CF2などのペルフルオロアルキルビニルエーテル)、およびフッ化ビニルが挙げられる。適切な非フッ素含有モノマーの例としては、オレフィンモノマーなどのエチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0037】
VDF含有フルオロプラスチックは、例えばスルツバハ(Sulzbach)らに付与された(特許文献1)またはグロータート(Grootaert)に付与された(特許文献2)で述べられるように、エマルジョン重合技術を使用して調製してもよい。有用な市販されるVDF含有フルオロプラスチックとしては、例えばミネソタ州セントポールのダイネオン社(Dyneon LLC(St.Paul,MN))から入手できるTHV 200、THV 400、THV 500G、THV 610Xフルオロポリマー、ペンシルベニア州フィラデルフィアのアトケム・ノース・アメリカ(Atochem North America(Philadelphia,PA))から入手できるキナー(KYNAR)740フルオロポリマー、ニュージャージー州モリスタウンのオウシモントUSA(Ausimont USA,Inc.(Morristown,NJ))から入手できるヒラー(HYLAR)700、およびダイネオン社(Dyneon LLC)から入手できるフルオレル(FLUOREL)FC−2178が挙げられる。
【0038】
特に有用なフルオロプラスチックとしては、少なくともTFEとVDFから誘導される共重合単位が挙げられ、その中でVDFの量は少なくとも0.1重量%であるが、20重量%未満である。VDFの量は好ましくは3〜15重量%、より好ましくは10〜15重量%の範囲である。
【0039】
適切なフルオロエラストマーの例としては、VDF−HFPコポリマー、VDF−HFP−TFEターポリマー、TFE−プロピレンコポリマーなどが挙げられる。
【0040】
フルオロポリマーのその他の例としては、THV(CF2=CF2/CF3CF=CF2/CF2=CH2のターポリマー)、HTE(CF2=CF2/CF3CF=CF2/CH2=CH2のターポリマー)、ダイネオン(Dyneon)PVDF11010(CF2=CH2(85重量%)/CF3CF=CF2(15重量%)のコポリマー)、およびダイネオン(Dyneon)PVDF31508(CF2=CH2およびCF2=CFClのコポリマー)が挙げられる。
【0041】
本発明の結合組成物に結合してもよい有用な非フルオロポリマー層としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、またはその混合物が挙げられる。例えばポリマーは、非フッ素化されたエラストマー、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、塩素化−および−クロロスルホネート化ポリエチレン、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリン(ECO)ゴム、ポリ塩化ビニルとNBRの配合物、およびエチレン−アクリレートコポリマーゴムであってもよい。
【0042】
結合組成物に結合してもよい有用なポリアミドとしては、いくつかの供給元から入手できるよく知られているナイロンが挙げられる。特に好ましいポリアミドは、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−11、およびナイロン−12である。さらにナイロン−6,12、ナイロン−6,9、ナイロン−4、ナイロン−4,2、ナイロン−4,6、ナイロン−7、およびナイロン−8などのその他のナイロン材料、ならびにナイロン−6,Tおよびナイロン−6,1などの環含有ポリアミドを使用してもよい。適切なナイロンとしては、ニュージャージー州サマセットのクレアノバ(Creanova,Inc.(Somerset、NJ))から入手できるナイロン−12であるベスタミド(VESTAMID)L2140が挙げられる。またペンシルベニア州フィラデルフィアのアトケム・ノース・アメリカ(Atochem North America(Philadelphia,PA))からのペバックス(PEBAX)ポリアミドなどのポリエーテル含有ポリアミドを使用してもよい。
【0043】
結合組成物に結合してもよい有用なポリウレタンポリマーとしては、脂肪族、脂環式、芳香族、および多環式ポリウレタンが挙げられる。これらのポリウレタンは、よく知られている反応機序に従って、典型的に多官能性イソシアネートとポリオールとの反応によって生成される。ポリウレタンの生成で用いるのに有用なジイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。1つ以上の多官能性イソシアネートの組み合わせもまた使用してよい。有用なポリオールとしては、ポリペンチレンアジペートグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(酸化エチレン)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−(1,2−ブチレンオキシド)グリコール、トリオール、テトラオール、高級ポリオール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ブタンジオールまたはヘキサンジオールなどの鎖延長剤もまた、反応で使用してよい。有用な市販されるウレタンポリマーとしては、ニューハンプシャー州シーブルックのモルトン・インターナショナル(Morton International(Seabrook,NH))からのモルタン(MORTHANE)L424.167(MI=9.7)、PN−04または3429、およびオハイオ州クリーブランドのB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Co.(Cleveland,OH))からのX−4107が挙げられる。
【0044】
結合組成物に結合してもよい有用なポリオレフィンポリマーとしては、エチレン、プロピレンなどと、例えばアクリルモノマーとのコポリマーが挙げられる。このようなコポリマーは、このようなエチレン性不飽和モノマーの従来のラジカル重合または触媒反応によって調製してもよい。ポリマーの結晶化度は異なってもよい。カルボキシル官能基は、アクリル酸などの官能性モノマーを重合または共重合して、または例えばグラフト、酸化、またはイオノマー形成によって重合後にポリマーを変性して、ポリマーに組み込んでもよい。例としては酸変性エチレンならびにエチレン−アルキルアクリレートコポリマーが挙げられる。このようなポリマーおよびコポリマーは概して、例えばデラウェア州ウィルミントンのダウ・デュポン・エラストマー(Dow−DuPont Elastoers(Wilmington,DE))からエンゲージ(ENGAGE)、またはニュージャージー州リンデンのエクソンモービル(ExxonMobil(Linden,NJ))からイグザクト(EXACT)として市販される。エチレン−メチルアクリレートコポリマーの例は、テキサス州ヒューストンのシェブロン・ケミカル社(Chevron Chemical Co.(Houston,TX))からのEMACである。
【0045】
結合組成物に結合してもよい有用なポリアクリレートおよびポリメタクリレートとしては、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのポリマーが挙げられる。
【0046】
結合組成物に結合してもよい有用なポリカーボネートポリマーとしては、炭酸ポリエステル、ポリエーテル炭酸、およびビスフェノールA由来ポリカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートが挙げられる。
【0047】
結合組成物に結合してもよい有用なポリイミドポリマーとしては、無水ピロメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから作られ、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.)から商品名カプトン(KAPTON)の下に入手できるポリイミドポリマーが挙げられる。バリエーションとしては特にカプトン(KAPTON)H、カプトン(KAPTON)E、およびカプトン(KAPTON)Vが挙げられる。
【0048】
結合組成物に結合してもよい有用な市販されるエラストマーとしては、ケンタッキー州ルイスビルのゼオン・ケミカル(Zeon Chemical(Louisville,KY))からのニポール(NIPOL)1052 NBR、ケンタッキー州ルイスビルのゼオン・ケミカル(Zeon Chemical(Louisville,KY))からのヒドリン(HYDRIN)C2000エピクロロヒドリン−酸化エチレンゴム、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.(Wilmington,DE))からのヒパロン(HYPALON)48クロロスルホネート化ポリエチレンゴム、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.(Wilmington,DE))からのバマック(VAMAC)エチレン−アクリレートエラストマー、ペンシルベニア州ピッツバーグのバイエル社(BayerCorp.(Pittsburgh,PA))からのクリナック(KRYNAC)NBRおよびペンシルベニア州ピッツバーグのバイエル社(BayerCorp.(Pittsburgh,PA))からのペルブナン(PERBUNAN)NBR/PVC配合物が挙げられる。
【0049】
結合組成物は、例えばラミネーション、粉末スプレーコーティング、分散(好ましくは非水性)、および好ましくは押し出しなどのプロセスによってポリマー表面に塗布されてもよい。典型的に結合組成物は基材上に押し出され、または基材と共に同時押し出しされて、結合層を形成するペレットとして存在してもよい。
【0050】
結合組成物とポリマー表面は、例えば圧力下で互いに接触され、加熱されて層が結合してもよい。加熱は結合を生じるのに適した温度と時間で行われる。例えば温度は、50〜300℃、100〜250℃、125〜225℃、または150〜220℃であってもよい。
【0051】
多くの場合、結合中に、熱、圧力、またはそれらの組み合わせが所望されるかもしれない。適切な熱源としては、オーブン、加熱ローラー、加熱プレス、赤外線放射線源、熱気流、火炎などが挙げられるが、これに限定されるものではない。適切な圧力源はよく知られており、プレス、ニップローラーなどが挙げられる。
【0052】
ここで以下の実施例によって、本発明をさらに詳しく述べる。
【実施例】
【0053】
ダイネオン(Dyneon)THV500は、165℃の融解温度を有するTFE/HFP/VDFのターポリマーであり、HTE−1500およびHTE−1700はヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびエチレンのターポリマーであり、ダイネオン(Dyneon)PVDF 11010は160℃の融点を有するヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンのコポリマーであり、全てミネソタ州オークデールのダイネオン社(Dyneon LLC(Oakdale,MN))から入手できる。
【0054】
バイネル(BYNEL)3101は、デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont(Wilmington,DE))から入手できる酸変性エチレン−酢酸ビニルコポリマーである。
【0055】
モルタン(MORTHANE)−PUは、(イリノイ州シカゴのモルトン・インターナショナル(Morton International(Chicago,IL))から入手できるポリウレタンである。
【0056】
エルバロイ(ELVALOY)PTWは、デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont(Wilmington,DE))から市販されるエチレン、ブチルアクリレート、およびグリシジルメタクリレートのターポリマーである。
【0057】
EVA−9(アテバ(ATEVA)1070)およびEVA−12(アテバ(ATEVA)1240A)は、カナダ国オンタリオ州ブランプトンのATプラスチック(AT プラスチック(Brampton,Ontario,Canada))から市販されるエチレン−酢酸ビニルコポリマーである。
【0058】
エルバックス(ELVAX)3170は、デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont(Wilmington,DE))から入手できるエチレン−酢酸ビニル樹脂である。
【0059】
アドマー(ADMER)(登録商標)NF456A(MAPE)は、ニューヨーク州パーチェースの三井化学アメリカ(Mitsui Chemicals America Inc.(Purchase,NY))から市販される変性ポリオレフィンである。
【0060】
「DDDA」は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI))から入手できる1,12−ドデカンジアミンを指す。
【0061】
「シラン−1」は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI))から入手でき、またコネチカットグリニッチの州ウイトコ社(Witco Corp(Greenwich,CT))からシルクエスト(SILQUEST)A−1100として入手できる3−アミノプロピルトリエトキシシランを指す。
【0062】
「シラン−2」は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI))から80%純度または97%純度で入手できる3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランを指す。記述したように、実施例34を除く全ての例で97%純度を使用した。またコネチカットグリニッチの州ウイトコ社(Witco Corp(Greenwich,CT))からもシルクエスト(SILQUEST)A−1120として入手できる。
【0063】
A−1120 DLCは、ジョージア州サバナのナトロケム(Natrochem(Savannah,GA))から入手できるマイクロセル(Microcel)E珪藻土粉末上の70%A−1120(3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン)「乾燥」濃縮液である。
【0064】
「GCDPTS」は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI))から(ダウ・コーニング(Dow Corning)からのZ−6040として)入手できる3−(グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(98%)を指す。
【0065】
「IOTS」は、(ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI))から入手できるイソオクチルトリエトキシシランを指す。
【0066】
「N,N−ジメチルシラン−1」は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI))から入手できるN,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランを指す。
【0067】
「LDPE」は、ニューハンプシャー州デリーのハンツマン(Huntsman(Derry,NH))からハンツマン(Huntsman)1058として入手できる低密度ポリエチレンを指す。
【0068】
ナイロン−12(L25A)およびナイロン−12(L16A)は、スイス国ドマ/エムスCH−7013のEMS−グリボリー(EMS−GRIVORY(CH−7013,Domat/Ems,Switzerland))から商業的に入手できる。
【0069】
アクアテン(AQUATHENE)AQ120−000は、テキサス州ヒューストンのエクイスター・ケミカルズLP(Equistar Chemicals LP(Houston,TX))から入手できるエチレン−ビニルシラン(2重量%ビニルシランモノマー)コポリマーである。
【0070】
VFEPX 6815Gは、ミネソタ州オークデールのダイネオン社(Dyneon LLC(Oakdale,MN))から入手できるフルオロポリマーである。
【0071】
フォルティフレックス(FORTIFLEX)B53−35H−100は、テキサス州ヒューストンのBPソルベイ(BP Solvay(Houston,Texas))から入手できる「高密度ポリエチレン」コポリマーである。
【0072】
ドライアライト(DRIERITE)は、多種多様な有機化合物および溶剤に対して不活性でありながら、水に対して強力な親和力を有する硫酸カルシウムの熱活性化(250〜320℃)形態である。これは、オハイオの州ジーニア、W.A.ハモンド・ドライアライト社(W.A.Hammond Drierite Co.(Xenia,OH))から市販される。
【0073】
剥離強さ試験方法
剥離強さを使用して結合の程度を判定した。実施例33〜36を除く全実施例で、ASTMD−1876(T−剥離試験)に従って剥離強さを判定した。ミネソタ州イーデンプレーリーのMTS社(MTS Corporation(Eden Prairie,MN))からのシンテック(SinTech)20試験機を分速100mmのクロスヘッド速度で使用した。剥離強さを剥離試験中に測定される平均負荷として計算した。測定された剥離強さを表2に列挙する。220℃、3分間で得られたナイロンシートの剥離結果以外は、シートを200℃で2分間フルオロポリマーシートに押しつけて剥離強さの結果を得た。
【0074】
実施例33〜36では、剥離強さを試験するために、0.5−インチ(1.3cm)幅で少なくとも1インチ(2.5cm)長さの試験標本ストリップを調製した。各層をマサチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corporation(Canton,Massachusetts))から得たインストロン(Instron)引張り試験機(モデル5564)の対向するクランプ内に入れた。2層の分離の平均負荷として、150mm/分のクロスヘッド速度で剥離強さを測定した。報告される剥離強さは、少なくとも4つのサンプルの平均を表す。
【0075】
示差走査熱量測定
TAインストゥルメンツ(Instruments)Q1000標準アルミニウムサンプル皿に材料を挿入し秤量して標本を調製し、続いてデラウェア州ニューカッスルのTAインストゥルメンツ社(TA Instruments Inc.(New Castle,DE))からのTAインストゥルメンツ(Instruments)Q1000を使用して標準DSCモードで分析した。10℃/分の線加熱速度を適用して、標本を−90℃〜200℃の範囲の加熱−冷却−加熱プロファイルに曝した。熱流量曲線を使用して、ピーク積分を評価した。ピーク積分結果をサンプル重量について正規化しJ/gで報告する。
【0076】
「加熱−冷却−加熱」DSC連鎖は、ポリマーについて貴重な情報を提供する。あらゆる非可逆的な融解以下の転移は、加工が原因である準安定組織領域に起因するかもしれないので、第1の加熱はこれらによってサンプルの履歴に関連した情報を提供する。ポリマーの融点は通常、吸熱のピークで測定されて優れた再現性を示す。(小型分子では、外挿された「開始点」は毛細管融点と非常に良好に対応する。)
【0077】
融点よりもはるかに高い温度からの冷却時、分子量に関する再現可能な過冷却動態のために、同様のポリマー間に差が見られる。(架橋ポリマーの形成が典型的に大きな変化を生じる。)DSC冷却が比較的迅速であるため、ポリマーはより低い転移熱を有する準安定領域の広範な分布を生じる。(融合または結晶化熱はグラムあたりジュール(J/g)で、直線的に外挿された融解ポリマー曲線領域からの偏差の面積に比例する。)結果として、冷却(および第2の加熱)からのこのような面積は、常態ではこの場合のように第1の加熱からのものよりも狭い。
【0078】
第2の加熱は、第1の加熱同様、融点に近づくと、ポリマー下部構造中に平衡を生じる傾向がある。その結果、第1の加熱が高すぎて分解を引き起こさない限り、融点の変化はわずかである。したがってその他の点では同一のポリマーの再現可能な融点は、分子量の増大と共に小さな増大を示すかもしれない。有意であるためには、ここで行ったように、サンプルから汚染物質が洗い流されていれば助けになる。
【0079】
ゲル含量によって架橋を判定するための試験方法
ASTM D2765−01ノート2(「エチレンプラスチックのゲル含量および膨張率の判定(Determination of Gel Content and Swell Ratio of Ethylene Plastics)」に以下のバリエーションを加えた。デザインが、ニュージャージー州バインランドのケムグラス・サイエンティフィック・アパラタス(Chemglass Scientific Apparatus(Vineland,NJ))からのCG−1371に相当する、被覆付きソックスレー抽出器使用を使用し、溶剤としてアルドリッチ(Aldrich)からのp−キシレン(沸点138℃/99%)を使用した。装置のデザインによって抽出温度を138℃で一定に維持した。抗酸化剤はソックスレー抽出によってサンプルから即座に洗い流されるため、省いた。
【0080】
一級アミンを判定するための分析方法
一般手順:
サンプルのために非反応性の溶剤または溶剤混合物を選択する。溶剤は適切な温度において、ポリマーに少なくとも顕著な膨潤を生じさせなくてはならない。溶剤は完全に乾燥される。乾燥条件を維持しながら、水を完全除去するのに効果的な時間、ポリマーサンプルを溶剤中の過剰な標識ベンズアルデヒドに特定温度で曝す。過剰な試薬をソックスレー抽出または複数の沈殿によって除去する。適切な空試料と比べた追跡用添加物含量の増大について、回収サンプルを分析する。増大を遊離一級アミン含量の測定量とする。分析化学者によって良く理解されるように、意図される条件下でベンズアルデヒドと縮合できる「活性化メチレン」基などの明らかな干渉は、回避し、ブロックしまたは除去しなくてはならない。
【0081】
EVAのための特定手順:
EVA−9、EVA−12、ASEV−9/.3、およびASEV−12/.3では、メチル三級ブチルエーテル(MTBE)がその沸点55℃において、相当量の膨潤を引き起こすのでこの溶剤を選択した。
【0082】
4−(メチルチオ)ベンズアルデヒドと一級アミンとの反応による「シッフ塩基」(イミン)の形成は、水の排除を伴う平衡状態反応である。レビュー論文(スプラング(Sprung)著(非特許文献1)、およびレイヤー(Layer)著(非特許文献2))、およびその中で引用される参考文献は、平衡点に関わる情報を提供しない。したがって厳しい乾燥の分析的重要性を確立することが必要であった。この目的で、化学的に不活性で280℃の活性化硫酸カルシウム(ドライアライト(DRIERITE))が効果的であった。
【0083】
各試験を10連で行った。10個の正確に秤量した6mg(おおよそ)のポリマーディスクをPTFE裏打ちのネジブタ付き8mLのバイアルに一緒に入れた。バイアルに5.00mLの乾燥MTBE、および(場合によっては表4に示すように)アルドリッチ(Aldrich)からの0.100mLの4−CH3SC64CHO(95%)を添加した。さらに(表4に示すように)0.057gのH2Oを受容できる1.00gのドライアライト(DRIERITE)を添加した。各バイアルを少なくとも15時間55℃(±5℃)に保ち、次に冷却して内容物を濾過し、ポリマーを回収した。次にポリマーディスクを1mLのMTBEで洗浄して付着試薬を除去し、秤量して膨潤を推定し、「マイクロ」ソックスレー円筒ろ紙(12mm外径)中に入れた。特定のサンプル(表4に示される)では、ソックスレー円筒ろ紙を130℃で乾燥させた(0.023gが損失し、水であると推測された)。「マイクロ」ソックスレー抽出器の沸騰するフラスコは、20.00mLのMTBEを含有した。特定例では、フラスコはまた、表4に示すように5.00gのドライアライト(DRIERITE)も含有した。ソックスレー抽出器に1メートルの空気冷却機を装着して水分凝縮を避け、ドライアライト(DRIERITE)乾燥管を上にのせた。蒸気浴の手段によって溶剤を還流し、約1.3分毎の充填/排出サイクルを得た。これを少なくとも15時間または少なくとも約700サイクル継続した。ディスク(または粒子)を円筒ろ紙から迅速に除去して秤量し、膨潤を推定した。次に見かけの恒量にまでディスクを空気中で乾燥させた。ディスク(または全部で5〜6mgの粒子)を個々に秤量し、テキサス州ヒューストンのアンテック・インストゥルメント(Antek Instrument(Houston,TX))からのアンテック(Antek)9000 VSA NS分析器の手段によって全窒素、およびイオウについて同時に分析した。表4中のN、およびSの+/−値は、穿孔サンプルで、広範囲にわたって試料採取した異なる位置における、不完全なシラン混合の結果としての標準偏差(σ)のばらつきを示唆する。各穿孔サンプルのS/N比の+/−値は互いに近接するので、表4に列挙した+/−値は3σのためのものであり、99.6%の信頼区間を示す。表4の括弧内の値は、より長い反応時間に伴う改善によって示されるように、不完全なアルデヒド反応を示す。
【0084】
有機元素分析のNIST−追跡可能標準である、ミシガン州セントジョセフのLECO(LECO(St.Joseph,MI))からのスルファメタジン(炭素=51.78%、水素=5.07%、イオウ=11.52%、および窒素=20.13%)を使用して、アンテック(Antek)装置の標準を調製した。スルファメタジンの一部を最も近いμgまで秤量し、正確に既知の容積のEMサイエンス(EM Science)からのオムニソルブ(OMNISOLV)テトラヒドロフラン(THF)中に溶解した。気密マイクロリットルシリンジを使用して、これらの標準溶液の測定容積を6mm径の石英オープン−カプセルに移した。蒸気過熱ホットプレート(85℃)上で窒素ガス流下において、これらの標準溶液を乾燥させた。カプセルの列を作って、アンテック(ANTEK)分析器中で分析した。最低レベルの窒素サンプル(約0.1mcgの窒素)で使用される十分低い窒素含量を有する可燃性カプセルの市販の供給源はないので、石英オープン−カプセルを使用してサンプルを導入した。装置は各サンプルについて、窒素およびイオウを同時にモニターする直列型二重検出器から構成された。アンテック(ANTEK)9000VSAを使用した有機窒素の妨害は有機窒素含有材料(群)の汚染に限定されるようであり、非窒素含有有機物(例えばシリコーン)は妨げない。有機窒素は、熱分解/酸素との燃焼によってサンプルマトリックスから遊離され、オゾンとの反応によって励起状態二酸化窒素に転換される。励起状態の二酸化窒素は発光し(このプロセスは化学ルミネセンスである)、それはフローセル中で光電子増倍管によって検出される。イオウは、二酸化硫黄への転換、UV灯での励起、および放出蛍光による検出によって判定した。窒素検出器は、流路内でイオウ検出器よりも前方にある。
【0085】
データは、少なくとも4つの結論と一致する。1)未処理EVA樹脂は、わずかな窒素またはイオウしか有さず、どちらもここで述べられる研究を妨げるレベルでは存在しない。2)アミノシラン保有ポリマーサンプルは出発EVAポリマー中に存在しない窒素を有し、存在する窒素レベルは、溶剤による抽出に際してわずかにのみ減少する(すなわち存在する窒素は大部分ポリマーに反応する)。3)この手順で反応させたアミノシラン保有ポリマーについて観察されたイオウ−対−窒素比は、47%までの窒素が反応性一級アミンとして存在することを示唆する。新鮮な溶剤での長時間にわたる抽出に際してさえも、MTBAは反応して窒素と1:2の元素組成比を保つ。4)アミノシラン付着なしの出発EVA樹脂は同一条件下でMTBAを保持しない。表4の結果は、反応条件の重要性を示唆する。注意深い乾燥、乾燥剤の使用、および長期の反応時間は、正確な結果を得る上で重大な意味を持つ。適切な時間は、実験によってさらなる時間の延長が顕著に大きなベンズアルデヒドの取り込みを提供しなくなった時に、最も良く判定される。
【0086】
実施例1〜33および比較例A〜H
表1および2に記録された所望の比率で、ポリマー樹脂とアミノアルコキシシランとを混合して、実施例1〜33および比較例A〜Hの組成物を調製した。混合物をローラーブレードを装着した内部ボールミキサーである、ニュージャージー州のサウス・ハッケンサックのC.W.ブラベンダーインストゥルメント(C.W.Brabender Instrument,Inc.(South Hackensack,N.J.))から入手できるプラスチコーダー(PLASTICORDER)内で、140〜180℃において10〜20分、分あたり70〜80回転/分(rpm)の混合速度で配合した。混合後、インディアナポリスワバッシュのワバッシュMPI(Wabash MPI(Wabash,IN))からのワバッシュ(Wabash)加熱油圧プレス内で、化合した材料の一部をデラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont(Wilmington,DE))から入手できるテフロン(登録商標)(TEFLON)布帛間で、200℃においておよそ30Kpaの圧力でおよそ30秒間加圧して0.20mm厚さのフィルムにプレスした。引き続く剥離試験標本への転換のために、結合する材料フィルム(群)としてフィルムを1.25cm×5.08cmのクーポンに切断した。
【0087】
実施例34、および比較例I
50mlのボールを装着したマサチューセッツ州ウォルサムのサーモ・エレクトロン社(Thermo Electron Corporation(Waltham,MA))から入手できるハーク(Haake)HBIシステム90ミキサー内で、39.52gのアクアテン(AQUATHENE)AQ120−000を180℃で5分間混合した。トルクが安定化した後、0.48gのシラン−2(純度80%)を添加した。混合物を80〜100rpmで混合し、5分後に混合を停止して、ボールミキサーから材料を除去した。
【0088】
この化合材料をワバッシュ(Wabash)加熱油圧プレス内で149℃において1分間、2.3Mpaの圧力でプラークにプレスした。結合層として試験するために、2つの手順に従った。サーマルラミネーションと称される第1の手順では、THV 500の0.25mm厚さの層を化合材料に押しつけた。「スリップ」(結合を防ぐことが意図される1片のテフロン(登録商標)(TEFLON)布帛)を一端で2層間に挿入して、およそ2.5cmの「始動クラック」(「スリップ」によって生じる非結合領域、試験装置による独立した層の把握可能にすることが意図される)を作り出し、ラミネートを1.4Mpaにおいて200℃で1分間加熱した。真空ラミネーションと称される別の他の手順では、スリップ付きTHV 500(厚さ0.25mm)/化合材料のサンドイッチをカリフォルニア州フォート・ブラッグのラミネーティング・テクノロジー社(Laminating Technology Inc.(Fort Bragg,CA))から入手できる真空ラミネータ(内側寸法38cm×30cm)内にセットした。真空ラミネータをワバッシュ(Wabash)加熱油圧プレス内で、160℃および185℃に予熱した。試験標本を真空ラミネータ内にセットした後、シリコーンゴムブラダーが試験標本の上を密接に密封するように、真空ラミネータを真空(5ミリバール)にした。真空ラミネーションを8分間継続し、試験標本に真空によるもの以外の外力は加えなかった。200℃でのサーマルラミネーションは剥離強さ22N/cmをもたらしたのに対し、真空ラミネーションは剥離強さ4N/cm(160℃)および7N/cm(185℃)をもたらした。
【0089】
上述のサーマルラミネーション条件下でのTHV 500への結合について、シラン−2添加なしのアクアテン(AQUATHENE)を試験したところ、サンプルは試験できる前に層剥離した(比較例I)。
【0090】
実施例35
50mlのボールを装着したマサチューセッツ州ウォルサムのサーモ・エレクトロン社(Thermo Electron Corporation(Waltham,MA))から入手できるハーク(Haake)HBIシステム90ミキサー内で、酢酸ビニル含量33重量%でメルトフローインデックス43のアルドリッチ(Aldrich)から購入した40gのEVA(ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル))を180℃で5分間混合した。トルクが安定化した後、0.20gのシラン−2(純度80%)、すなわち0.50重量%のシランを添加した。混合物を80〜100rpmで混合し、5分後に混合を停止して、ボールミキサーから材料を除去した。
【0091】
この化合材料をワバッシュ(Wabash)加熱油圧プレス内で149℃において1分間、2.3Mpaの圧力でプラークにプレスした。結合層として試験するために、真空ラミネート加工手順に従った。この手順では、全ての層間に2.54cmの「スリップ」付きTHVクーポン(厚さ0.05mm)/化合材料クーポン/厚さ0.061mmのPETフィルムクーポン(後者の二軸延伸フィルムは3Mから入手できる)のサンドイッチをラミネーティング・テクノロジー社(Laminating Technology Inc.)から入手できる真空ラミネータ(内側寸法38cm×30cm)内にセットした。真空ラミネータをワバッシュ(Wabash)加熱油圧プレス内で、160℃に(加圧なしで)予熱した。試験標本を真空ラミネータ内にセットした後、シリコーンゴムブラダーが試験標本の上を密接に密封するように、真空ラミネータを真空(5ミリバール)にした。真空ラミネーションを8分間継続し、ラミネーションサイクルの最後の5分間にプレスで48kPaの外圧をかけた。
【0092】
剥離強さを試験するために、幅0.5インチ(1.27cm)で長さが少なくとも1インチ(2.54cm)(「スリップ」を越える)の試験標本のストリップを調製した。
【0093】
各層をマサチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corporation(Canton,Massachusetts))から得られたインストロン(Instron)引張り試験機(5564型)の対向するクランプ間に入れた。
【0094】
150ミリメートル/分のクロスヘッド速度で2層の分離の平均負荷として、剥離強さを測定した。報告された剥離強さは、少なくとも4個のサンプルの平均を表す。
【0095】
実施例36
0.80gのシラン−2を使用したこと以外は、実施例35と同一であった。
【0096】
実施例37
この実施例では、3層を有する複合材チューブを製造した。第1層はVFEPX 6815Gであり、つなぎ層はエルバックス(ELVAX)3170+1重量%A−1120 DLCであり、第3層はフォーティフレックス(FORTIFLEX)B53−35H−100であった。これはウェッジリング(中央口径0.72インチ(1.8cm))、内側開口部0.866インチ(2.20cm)のダイ、および外径0.642インチ(1.63cm)のストレートピンを装着した、ロードアイランド州ウェスト・ウォリックのギル・ツール&エンジニアリング社(Guill Tool and Engineering Co.,Inc.(West Warwick,RhodeIsland))からのギル(Guill)523型3層インライン押し出しヘッドを使用して調製した。
【0097】
第1層がまだ押し出し工具内にある内に、第2層をその上に押し出した。引き続いて、チューブが押し出しヘッドを出たときに、それがVFEPX 6815Gの第1層、エルバックス(ELVAX)3170+1重量%A−1120 DLCの第2層としてのつなぎ層、およびフォーティフレックス(FORTIFLEX)B53−35H−100の第3層を有するように、第3層をこれもまた押し出しヘッド内で第2層上に被覆した。第1層を形成するために、コネチカット州イーストノーウォークのハレル社(Harrel,Inc.(East Norwalk、Connecticut))から入手できる1.5インチ(3.8cm)の単軸押し出し機を使用して、VFEPX 6815Gを押し出した(温度プロフィール:ゾーン1=130℃、ゾーン2=185℃、ゾーン3=185℃、ゾーン4=195℃)。第1層がまだ押し出しヘッド内にある内に、ハレル社(Harrel,Inc.)から入手できる1.0インチ(2.5cm)単軸押し出し機を使用して、第2層をその上に押し出した(温度プロファイル:ゾーン1=130℃、ゾーン2=180℃、ゾーン3=205℃)。次に第2層がまだ押し出しヘッドにある内に、ハレル社(Harrel,Inc.)から入手できる2.0インチ(5.1cm)単軸押し出し機を使用して、第3層をその上に押し出した(温度プロファイル:ゾーン1=185℃、ゾーン2=200℃、ゾーン3=210℃)。押し出し物はチューブダイを20.3フィート/分(fpm)(6.2m/分)の線速度で出て、真空水チャンバーを使用して急冷される。得られた複合材チューブは、名目上内径6mmおよび名目上外径8mmを有した。VFEPX 6815Gとつなぎ層間の結合強度は、チューブサンプルにおいて38N/cmであった。
【0098】
つなぎ層、エルバックス(ELVAX)3170+1重量%A−1120 DLCは、ドイツ国ハノーバーのベルストロフ社(Berstorff GMBH(Hannover,Germany))からのベルストロフ(Berstorff)25mm二軸共回転押し出し機を使用して、化合させてできた。ウィスコンシン州ホワイトウォーターのアキュレート(AccuRate(Whitewater,WI))からの容積測定供給装置を通じて、ポリマー樹脂を約40lbs/hr(18.2kg/hr)の速度で押し出し機のゾーン1に添加した。ウィスコンシン州ホワイトウォーターのアキュレート(AccuRate(Whitewater,WI))からの別の容積測定供給装置を通じて、A−1120 DLC粉末を約0.4lbs/hr(0.18kg/hr)の速度で、押し出し機のゾーン7、開放ポートに添加した。アキュレート(AccuRate)容積測定供給装置の供給速度を調節して、A1120−DLCの1重量%の最終負荷をもたらした。二軸スクリューの速度は310rpmであった。押し出し機の温度は、ゾーン1−170℃、ゾーン2−170℃、ゾーン3−175℃、ゾーン4−175℃、ゾーン5−175℃、ゾーン6−180℃、ゾーン7−185℃、ゾーン8−187℃、ゾーン9−191℃、ゾーン10−207℃に設定した。ゾーン10は表されるダイゾーンを表した。溶融化合ポリマーはストランドダイを出て水浴を使用して急冷され、最終的にペレット化される(ペレットに剪断された)。
【0099】
剥離強さ測定は以下のようにして判定される:
試験する名目上0.5インチ(1.3cm)幅のサンプルストリップ(少なくとも1インチ(2.54cm)長さ)を調製する前に、ストリップを調製するのに先だってチューブをその長さに沿ってほぼ半分に細長く切る。「始動クラック」(最小長さ1.27cm)を開始して、長さ方向で剥離測定する。
【0100】
各層をマサチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corporation(Canton,Massachusetts))から得られたインストロン(Instron)引張り試験機(5564型)の対向するクランプ内に入れる。150ミリメートル/分のクロスヘッド速度で、剥離強さを2層の分離の平均負荷として測定した。
【0101】
報告された剥離強さは、少なくとも4つのサンプルの平均を表す。
【0102】
実施例38
この実施例では、2層を有する多層フィルムを製造した。基層はミネソタ州オークデールのダイネオン社(Dyneon LLC(Oakdale,MN))から入手できるTHV 500Gであった。キャップ層はアテバ(ATEVA)EVA 1240Aであった。34’’マルチ−マニホルドダイを装着した、コネチカット州ポーカタックのクロンプトン・デイビス・スタンダード・キリオン(Crompton Davis−Standard Killion(Pawcatuck,CT))からの2 1/2’’単軸HPM押し出し機、およびコネチカット州ポーカタックのクロンプトン・デイビス・スタンダード・キリオン(Crompton Davis−Standard Killion(Pawcatuck,CT))からの1 3/4’’単軸キリオン(Killion)押し出し機を使用して、フィルムを調製した。
【0103】
EVAポリマーとシラン−1を99:1重量%負荷の比率で化合させて、キャップ層、つなぎ層を調製した。マサチューセッツ州ウォルサム(Waltham,MA)のハーク(Haake)からの25mmレオコード(Rheocord)共回転二軸押し出し機#5000型内で化合を実施した。EVAとシランを押し出し加工に先だって予備混合した。重力供給装置を使用して、ポリマー樹脂配合物を押し出し機のゾーン1に添加した。二軸の速度は90rpmであった。押し出し機の温度プロファイルは、Z1−170℃、Z2−180℃、Z3−190℃、Z4−200℃に設定した。ダイゾーンは210℃に設定した。溶融化合ポリマーはストランドダイを出て、水浴を使用して急冷されペレット化された。
【0104】
フルオロサーモプラスチック、およびつなぎ層をそれぞれユニダイン(UniDyne)コンベア乾燥機およびユニダイン(UniDyne)トレー乾燥機中で乾燥させた。押し出し機/ダイ制御パネル上で温度を設定した。基層押し出し機プロファイルはZ1−240℃、Z2−250℃、Z3−260℃、Z4−270℃、Z5−275℃であり、ダイ設定点は275℃であった。キャップ層押し出し機プロファイルの設定点は、Z1−120℃、Z2−140℃、およびZ3−160℃であった。キャップ層がダイを出るときに基層上に押し出した。押し出し物は線速度30fpmでダイを出て、2本の逆転ローラー間で急冷された。得られたフィルム複合材は50〜60mmの全厚を有した。フルオロサーモプラスチックとつなぎ層の間の剥離強さは、25N/cmを超えた。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
実施例39
現行の発明の結合組成物を生じるアミノシランと極性官能基があるポリマーとの間の反応の性質を研究するために、一連の抽出および結合実験を実施した。これらは混合物が単なる配合物でなく、新しいポリマーであることを示す。シランのアルコキシ基は失われ(蒸発し)、ポリマーはSi−O−C結合によってアミノシランに付着する。EVAと反応するエトキシシランの場合、EVOHエタノールが放出される間に酢酸エチルが放出されることが予期される。あらゆるアミノ官能性ポリマーが直接結合可能かもしれないと論争することもできるが、本発明の顕著な利点は、容易に入手できるポリマーを出発ポリマーの貴重な特性を保持しながら、THVおよびETFEフルオロポリマーなどの結合困難な基材への結合を許す新しいアミノ官能性類似体に原位置(in−situ)で転換する能力である。
【0108】
このような新しいアミン保有ポリマーの例であるアミノアルキル−シリル化エチレン−酢酸ビニル(ASEV)は、エチレン−酢酸ビニルコポリマーとアミノアルキルトリアルコキシシランとを熱的に反応(「化合」)させて作られた。アミノ基によって触媒されると考えられるこの反応では、アルコキシ基のいくらかまたは全てがポリマー鎖へのシロキシ結合形成で置換される。このようにして2つの鎖が架橋すると分子量の増大が起きて、それは高すぎるレベルのシランを使用すると架橋をもたらす。熱反応中の混合速度の制限は、ポリマーサンプル中に分子量増大の局在性バリエーションをもたらすことができ、それはプロセス改善によって制御し、最小化してもよいものと理解される。
【0109】
膨潤/抽出研究のために、ASEVの2つのサンプル、すなわちASEV−9/.3およびASEV−12/.3を選択した。これらはそれぞれ市販のEVA−9およびEVA−12(注意深く乾燥させて妨害性シロキサン形成を生じがちな水分を排除した)から、0.30重量%のシルクエスト(SILQUEST)A−1120H2N(CH22NH(CH23Si(OCH33との熱反応(「化合」)によって誘導され、水分が除かれた。
【0110】
EVA−9、およびEVA−12、およびASEV−9/.3、およびASEV−12/.3で、膨潤/抽出の比較研究を実施した。後者の命名法では、9および12はコポリマー中の酢酸ビニルの重量部を示すのに対し、.3はポリマーに添加されるアミノシランレベルを特定する。ここで示すように、典型的にポリマー中には抽出可能材料がある。このような抽出によって、ASEVポリマーからあらゆる遊離アミノシランを完全に除去して、それらが境界面を汚染したり、後のフルオロポリマーへの成功裏の熱結合解釈を混乱させたりしないようにすることが意図される。このような結合性が、これらの新らしいASEVポリマーに固有であり、境界面へ移動する作用物質の自由結合の結果でないことを実証することが意図される。
【0111】
2つのソックスレー抽出を4分のサイクルで100時間にわたり同時に作動するようセットアップし、ニュージャージー州ギブズタウンのEMサイエンス(EM Science(Gibbstown,NJ))からの約150mLの新鮮な沸点55.2℃のオムニソルブ(OMNISOLV)メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)をそれぞれで使用した。MTBEはドイツ国エシュウェーゲのM.ウォールム(M.Woelm(Eschwege,Germany))からのウォールム(WOELM)中性アルミナカラムを新たに通過させた。抽出円筒ろ紙を130℃で乾燥させて、5gの新鮮に再活性化した(320℃で)ドライアライト(DRIERITE)を含有するカットオフ「キャップ」円筒ろ紙と共に提供し、サンプルに確実に水分が届かないようにした。還流冷却器は、ドライアライト(DRIERITE)で乾燥管を穿った。シリコーングリースを厳密に排除した。
【0112】
厚さ約40ミルの複数クーポンとして、10.00gのASEV−9/.3を1つの円筒ろ紙に入れ、もう一つには10.00gのASEV−12/.3を入れた。100時間(約1500サイクル)の終了時、27℃における即座の秤量時、MTBE−膨潤ASEV−9/.3Eクーポンは13.00gと秤量され、ASEV−12/.3Eは13.20gと秤量された。この重量増加によって、クーポンの全ての部分が遊離構成物抽出のためにアクセスできることが確認された。「E」は「抽出による清浄化」を指す。
【0113】
クーポンを秤量容器に入れて、空気または水分のアクセスからそれらを保護するチューブ内で、それらを乾燥窒素流に曝した。約50時間後、重量はASEV−9/.3Eで9.814g、ASEV−12/.3Eで9.448gであった。200+時間後、重量はASEV−9/.3Eで9.772g、ASEV−12/.3Eで9.427gであった。乾燥は事実上完全であった。抽出分はASEV−9/.3の2.3重量%、およびASEV−12/.3の5.7%である。
【0114】
EVA−9およびEVA−12ビーズに対して、同様の抽出手順を実施した。構成要素はいずれも感湿性でなかったため、新鮮な「オムニソブ(Omnisolv)」MTBEはアルミナでさらに乾燥させず、キャップ円筒ろ紙は省いた。100時間(約1500サイクル)終了時、27℃においてEVA−9Eは14.35g、EVA−12Eは15.12gと秤量された。50時間後、重量はEVA−9Eで9.714g、EVA−12Eで9.584gであった。200時間後、重量はEVA−9Eで9.608g、EVA−12Eで9.437gであった。抽出分はEVA−9の4.0%、およびEVA−12の5.8%である。
【0115】
MTBEによる膨潤について、ASEVサンプルとそれらの対応するEVA「親」ポリマーとの間に明らかな差が存在した。より低い膨潤性は、シロキシ架橋による分子量増大の直接的結果であり、単なる表面のシランは膨潤を修正できないので、シランが内在化していることを立証する。
【0116】
機械的特性についてASEV−12/.3E、EVA−12、およびEVA−12Eの間で観察された差はなく、ショアD硬度による判定で、ポリマーはアミノシランとの反応に際して顕著により硬くならない。全て25℃で32±1である。
【0117】
実験の下で述べられるように、変性ASTMD2765−01あたりのゲル含量によってASEV−12/.3Eサンプルを架橋について試験した。この特定サンプルでは、以下の手順および修正を使用した。材料は粉砕しなかった。抗酸化剤は添加しなかった。社内で特別に構築したが、デザインは、ニュージャージー州バインランドのケムグラス・サイエンティフィック・アパラタス(Chemglass Scientific Apparatus(Vineland,NJ))からのCG−1371に相当する、被覆付き「マイクロ」ソックスレー中の12mm外径×50mm長さの円筒ろ紙に、サンプルを注意深く秤量して(0.10128g)入れた。ソックスレーを充填/排水サイクルあたり1.7分(合計600の充填/排水サイクル)で17時間作動させた。円筒ろ紙の空隙率は、ASTM D2765−01ノート2の円筒ろ紙のそれよりも小さく、したがってASTMよりもさらにより多くのゲル保持力があった。残留生成物を乾燥窒素気流内で0.00136gの恒量に乾燥させ、それは1.34重量%を超えないゲル含量に相当した。ここで顕著な架橋は10%を超えるゲル含量と見なされるが、典型的にゲル含量は5%未満、そしてより典型的には2重量%未満であるべきである。
【0118】
これらの新しいASEVポリマーが、それらの容積全体にわたりアミノアルキルシランを含有する、すなわちいくつかのその他の(詳細不明の)架橋に伴う単なる表面付着でなくむしろ内在化することをさらに確証するために、X線蛍光(XRF)元素分析を実施して、ASEV−9/.3Eで2200、ASEV−12/.3Eで3000、EVA−9Eで160、EVA−12Eで230の(秒あたりカウント)結果を得た。低い(0.30重量%)反応物質レベルにもかかわらず10倍を超えるケイ素の増大は、表面でなく内在化されたケイ素を意味する。
【0119】
アミノアルキルシラン、および偶発的シリカ(SiO2)、およびケイ酸塩を区別するために、29Si MAS−NMR(マジック角度回転NMR)を利用した。この技術は、NMR時間スケールにおいて硬質である、固体ポリマーに特徴的なNMRシグナルを検出した。非常に低レベルのシランは、ASEV−9/.3E中の「T−タイプ」シラン(RSiO3)のシグナルが確定的に「ノイズ」を越えるようにするのに、週末にかけてのデータ収集を必要とした。SiO2およびケイ酸塩は、このシグナルを与えることができない。結合(反応)アミノアルキルシランの存在が立証される。同様にして、それぞれ内在化されたRR’SiY2またはRR’R’’SiYからの「D−タイプ」(RR’SiO2)または「M−タイプ」(RR’R’’SiO)シラン構造体の存在が検出でき、「T−タイプ」構造体、および偶発性ケイ酸塩、およびシリカから区別できる。T−タイプおよびD−タイプシランが好ましい。T−タイプが最も好ましい。
【0120】
EVA−12、およびASEV−12/.3Eの表面の飛行時間型二次イオン質量分光分析は、後者の表面のいかなるアミノアルキルシランも検出できない。これは0.3%レベルの構成要素に対して感応性でない。したがってフルオロポリマーへの結合は、アミノアルキルシランの表面への移行のためであるという推測は無効である。
【0121】
フルオロポリマーに対する熱結合の試験のために、完全に浄化したASEV−9/.3E、および12/.3Eクーポンを提供した。抽出後、THV−500へのASEV−12/.3の結合は、数回試験すると10.5〜11.2ポンドインチ(1.2Nm〜1.3Nm)の一連の剥離強さを生じた。同様にTHV−500へのASEV−9/.3の結合は、5〜8ポンドインチ(0.6Nm〜0.9Nm)の一連の剥離強さを生じた。これは内在化アミノシランがあるポリマーは、フッ素化されたポリマーに固有に結合性であることを実証し、アミン含量がより高ければ結合がより良いことを示唆した。
【0122】
EVA−9E、ASEV−9/.3E、EVA−12E、およびASEV−12/.3Eを示差走査熱量測定(DSC)にかけて、DSCが架橋の徴候である差を示すかどうかを判定した。示差走査熱量測定の下の手順に従ってサンプルを調製し、試験した。DSC結果を表3に示す。
【0123】
DSC結果の詳細な検査からは、ASEVサンプルが前駆物質EVAサンプルよりもわずかにより高い融点と、より高い融合熱を有することが明らかにされた。架橋ポリマーは結晶化に必要ないくつかの整列の制限のために、それらの前駆物質よりも低い融合熱を有することがよく知られている。ここで−O−Si−O−(そしておそらくは−O−Si−O−Si−O−)単位のランダム架橋によって引き起こされた多様な分子量増大は、実際にはわずかに整列の傾向および能力を増大し、ひいては融合および融点の熱を増大する。
【0124】
過冷却に際して同一効果が見られ、ASEVサンプルは、それらのEVA前駆物質よりも高い結晶化熱を示し、顕著により高い温度で結晶化し始める。これはASEVサンプルが架橋したために完全に自由に整列できない場合に起きるより小さな整列能力でなく、むしろより大きな整列能力を強力に示唆する。
【0125】
第1の加熱における非可逆的融解前吸熱は、全てのサンプルで約84℃および46℃前後にあり、これはメチルt−ブチルエーテル膨張物質によるソックスレー抽出(55℃での)中、およびメチルt−ブチルエーテル膨張物質の蒸発(25℃での)中に、それぞれ形成された準安定鎖配置の凝固に起因すると考えられる。
【0126】
伝統的に熱容量移行(H)の中点で測定されるガラス転移温度は、全て約−30℃であって顕著に異ならない。架橋ポリマーは典型的に、それらの前駆物質または類似体よりも高いガラス転移温度を有する。
【0127】
DSC結果からは、ASEV種が架橋ポリマーでないことが確認された。
【0128】
【表3】

【0129】
【表4】


【0130】
その他の実施態様は、以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー100gあたり約3ミリ当量を超える内在化非三級アミンを含むポリマーであって、
複数の内在化ポリマー結合したZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b単位
(式中、
Zは水素またはアルキルから選択され、
Lは二価のアルキレンから選択され、Lは1つ以上の二価の芳香族基またはヘテロ原子基で中断されていてもよく、
Pは1つ以上のポリマー鎖を表し、
aは1〜3であり、
a+bは1〜3であり、
各Xは加水分解的に安定した基であり、
各Yは不安定基であり、
XまたはYは複数である場合、独立して選択されてもよい)
を含む、ポリマー。
【請求項2】
各Xが、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、アリール、および置換アリール基から独立して選択されるが、ただし3−a−b=2である場合、Xが二価のアルキレン基を含むことによって環化する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
各Yが、非置換または置換エステル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、ヒドロキシル、アルキルカルボキシアミノ、ハロゲン、アリールカルボキシアミド、アミノ、およびエステル同等基より成る群から独立して選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
ポリマー100gあたり約1ミリ当量を超える内在化一級アミンを含むポリマーであって、
複数の内在化ポリマー結合したZNHLSi(OP)a(X)3-a-b(Y)b単位
(式中、
Zは水素、アルキル、またはアミノ置換アルキルをはじめとする置換アルキルであり、
Lは二価のアルキレンまたは置換アルキレン結合基であり、Lは1つ以上の二価の芳香族基またはヘテロ原子基で中断されていてもよく、
Pは1つ以上のポリマー鎖を表し、
aは1〜3であり、
a+b=1〜3であり、
各Xは加水分解的に安定した基であり、
各Yは不安定基であり、
XまたはYは、複数である場合、独立して選択されてもよい)
を含む、ポリマー。
【請求項5】
ポリマーがゲル内容物を有するまたはポリマーの約10重量%未満である、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
ポリマーが、T−タイプシロキシ構造、D−タイプシロキシ構造、またはM−タイプシロキシ構造を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
請求項1に記載のポリマーおよび相活性剤を含む、結合組成物。
【請求項8】
相活性剤が、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、フルオロ脂肪族スルホニル化合物、およびアリールカルボン酸よりなる群から選択される、請求項7に記載の結合組成物。
【請求項9】
アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と、シランエステルまたはエステル同等物と結合性に反応性がありエステルまたはエステル同等基を置換する複数の極性官能基を有するポリマーとの反応生成物を含み、ポリマーがケイ素原子を介してシランに共有結合する、結合組成物。
【請求項10】
ポリマーが、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびポリイミドよりなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、
【化1】

よりなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と、ポリアミドまたは熱可塑性ポリウレタンとの反応生成物を含み、反応生成物が内在化Si−O−SiおよびNHR基を有する、結合組成物。
【請求項13】
アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と、酸無水物官能基を有するポリマーとの反応生成物を含み、アミノシランの量が顕著な架橋を防止するのに十分であり、反応生成物が内在化Si−O−SiおよびNHR基を有する、結合組成物。
【請求項14】
アミノ置換オルガノシランエステルまたはエステル同等物と、シランエステルまたはエステル同等物と結合性に反応性がある複数の極性官能基を有するポリマーとの混合物を押し出し加工するステップを含み、ポリマーがケイ素原子を介してシランに共有結合する、請求項1に記載の組成物を製造する方法。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物をフルオロポリマーと同時押し出し加工する、またはそれにラミネート加工するステップを含む、多層結合製品を製造する方法。
【請求項16】
第2のポリマーに結合する請求項1に記載のポリマーを含み、第2のポリマーがフッ素化されていてもされていなくてもよい多層結合製品。
【請求項17】
フルオロポリマー層が、THV、HTE、PVDF、ETFE、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項16に記載の多層結合製品。
【請求項18】
第2のポリマーが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアクリレート、およびポリメチルメタクリレートよりなる群から選択される、請求項16に記載の多層結合製品。

【公表番号】特表2008−508396(P2008−508396A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523595(P2007−523595)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/024411
【国際公開番号】WO2006/019650
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】