説明

結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる骨髄画分の単離、及び結合組織の形成を促進するためのその使用

1またはそれより多くの結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる骨髄単離物、該単離物を形成する方法、及び、該単離物を用いて結合組織の成長を促進する方法について、記載されている。骨髄を含んでなる生体試料を遠心分離して、該試料を結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む画分に分離する。次いで、結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる画分を、分離された試料から単離する。該単離物は、直接的に用いられるか、またはキャリアーと組み合わせて、患者の組織(例えば、骨)欠損部位に移植されることが可能である。該生体試料は、骨髄及び全血を含んでいてもよい。該単離物を組織欠損部位に適用する前に、(例えば、プロモーターと機能可能に連結されている骨誘導ポリペプチドをコードする核酸を用いるトランスフェクションによって)修飾することができる。該単離物を、単一の手順にて(すなわち、手術中に)作製し、組織欠損部位に適用することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、2003年7月9日に出願された米国特許出願第60/485,445の利益を主張する。該出願の全体は、参照によって本明細書に記載されているものとする。本出願はまた、2002年4月4日に出願された米国特許出願第10/116,729(2002年12月5日に、米国特許出願公報第2002/0182664として公開)に関する。
【0002】
本出願は、概して、組織成長を促進する組成物及び方法に関し、そして具体的には、1またはそれより多くの結合組織(例えば、骨)成長促進コンポーネントが豊富に含まれる骨髄単離物、該単離物を形成する方法、及び該単離物を用いて結合組織の成長を促進する方法に関する。
【0003】
現在のところ、骨髄を骨移植の手順において用いる場合、通常は、骨髄を、腸骨稜から吸引し、そしていかなる骨髄の二次的処理も行わずに骨移植片(graft)上に直接載せる。骨髄吸引物の大部分は、骨形成を容易にするのにあまり役に立たない血液である。さらに、血液中には大量の血小板があり、これは、PDGF(血小板由来成長因子)、TGF−β(トランスフォーミング成長因子β)及びFGF(線維芽細胞成長因子)など(これらは、ある環境下で骨形成に対する阻害効果を有することが示されている)の望ましくない成長因子を放出する。
【0004】
したがって、骨髄からコンポーネント、具体的には、結合組織の形成を促進するコンポーネントを単離するための技術、ならびに、骨移植及び軟骨修復などの結合組織の修復手順において単離コンポーネントを用いるための技術を、改良するかまたは代替する必要性がある。
【0005】
一つの実施態様において、本発明は、骨髄画分を取得するための方法を提供する。この方法は、全血及び骨髄を含む生体試料を遠心分離し、密度に基づいて該試料のコンポーネントを分離させることを含む。この分離により、密度の高い方から並べた以下の画分が、得られる:(1)血液細胞が豊富に含まれる画分;(2)バフィーコート画分;(3)血小板が豊富な画分;及び、(4)血小板が乏しい画分。バフィーコート画分を、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物を形成するように、単独で、または、血小板が豊富な画分の全部または一部と併せて、単離する。
【0006】
別の実施態様において、本発明は、患者を治療するための方法を提供する。この方法は、結合組織の形成を促進するコンポーネントを含む骨髄画分を単離すること、及び骨髄画分を患者の組織欠損部位に移植することを含む。本発明によれば、骨髄画分の単離は、移植とともに、手術中に行われる。
【0007】
別の実施態様において、本発明は、患者の骨髄から試料を取得すること、及び該試料を密度に基づいて画分に分離するために該試料を遠心分離することを含む、患者を治療するための方法を提供する。ここで該画分は、組織促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む。組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を単離し、そして患者に移植する。本発明にしたがって、取得、遠心分離、及び単離の工程は、移植の工程とともに、手術中に行われる。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる骨髄画分を取得するための方法を提供する。該方法は、骨髄を含んでなる生体試料を遠心分離し、該試料を密度に基づいて画分に分離することを含み、ここで該画分は、成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む。次いで、組織の成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を、単離する。
【0009】
本発明のさらなる実施態様、ならびに特徴及び利点は、本明細書における記載から明らかであろう。
【0010】
本発明の原理についての理解を促す目的で、本発明のある実施態様が参照され、そして特定の語がそれを記載するのに用いられるであろう。しかしながら、それによって本発明の範囲が限定されないことが意図され。そして、例示された移植物(implant)における改変及び修飾、ならびに本明細書に例示されるような本発明の原理のさらなる応用が、本発明に関係する技術分野の当業者が通常考えられるものと意図されることが理解されるであろう。
【0011】
先に開示したように、本発明は、骨髄由来の1またはそれより多くの結合組織(例えば、骨)成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物、該単離物を形成する方法、及び該単離物を用いて結合組織の成長を促進する方法を提供する。
【0012】
全血は、以下のコンポーネントを含む:血漿、赤血球、白血球及び血小板。全血の液体部分は、血漿と称され、赤血球と白血球と血小板が懸濁されているタンパク質−塩溶液である。血漿は、90%が水であり、総血液容量の約55%を構成する。血漿は、アルブミン(主要なタンパク質構成物)、フィブリノーゲン(血液の凝固に部分的に関与する)、グロブリン(抗体を含む)及び他の凝固タンパク質を含有する。血漿は、十分な血圧の維持及び容積の提供から、血液凝固及び免疫に決定的なタンパク質の供給に至るまで、多様な機能を果たす。血漿は、血液の液体部分を、その中に浮遊している細胞から分離することによって、取得される。赤血球(red blood cell)(erythrocyte)は、全身に酸素を運ぶ一方で、血液にその赤色を与える鉄含有タンパク質であるヘモグロビンを、含有する。赤血球から構成される血液容量の比率は、「ヘマトクリット」と称される。白血球(white blood cell)(leukocyte)は、細菌、真菌及びウイルスなどの外来物質による侵入からの身体の保護に関与する。いくつかの種類の白血球が、この目的のために存在し、これらは、侵入している細菌及びウイルスを取り囲みそして破壊することによって感染から保護する、顆粒球及びマクロファージ、ならびに免疫防御を助けるリンパ球などである。血小板(platelet)(thrombocyte)は、血管内膜に固着することによって凝固過程を助ける、血液の小さな細胞コンポーネントである。血小板は、外傷に起因する多量の失血と、それ以外により生じるであろう血管の漏出の双方を防止する。
【0013】
全血を採取し、そして適切な抗凝固剤の添加によってその凝固を防ぐ場合、それを遠心分離してそのコンポーネント部分に分けることが可能である。遠心分離の結果、最も高密度である赤血球は、回転容器の最も外側に集まるであろうし、一方で、最も低密度である白血球は、回転容器の内側部分に定着するであろう。血漿と赤血球を分離しているのは、バフィーコートと称される、薄い白色または灰色がかった層である。バフィーコート層は、白血球及び血小板を含み、これらはあわせて総血液容量の約1%を構成する。
【0014】
骨髄は、造血幹細胞、赤血球及び白血球及びそれらの前駆体、間充織幹細胞及び前駆細胞、間質細胞及びその前駆体、ならびに、線維芽細胞、網状赤血球、脂肪細胞及び内皮細胞を含む細胞群(「間質」と称される結合組織ネットワークを形成する)から構成される複合組織である。間質由来の細胞は、細胞表面タンパク質による直接的な相互作用を介した造血細胞の分化、及び成長因子の分泌を、形態学的に調節し、かつ骨格の構築及び支持に関与する。動物モデルを用いた試験により、骨髄が、軟骨、骨及び他の結合組織細胞への分化能を有する「前間質」細胞を含有することが示唆されている。"Osteogenic Stem Cells and the Stromal System of Bone and Marrow"(Beresford, Clin. Orthop., 240:270、1989年)。最近の証拠によれば、多能性(pluripotent)間質幹細胞または間充織幹細胞と称されるこれらの細胞が、活性化されると、いくつかの異なる種類の細胞株(すなわち、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞等)を生じる能力を有することが示されている。しかしながら、間充織幹細胞は、非常に多様な他の細胞(すなわち、赤血球、血小板、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、脂肪細胞等)とともに、組織中に極めて微量存在し、そして、年齢に反比例して、それらは、多数の生理活性因子の影響に依存して、結合組織の類別(assortment)へと分化することが可能である。
【0015】
本発明の一つの実施態様によると、骨髄を含んでなる生体試料を、該試料のコンポーネントを密度に基づいて種々の画分に分離するために遠心分離するが、ここで該画分には、間充織幹細胞などの結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分が含まれる。次いで、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を単離する。結果として得られる単離物は、1またはそれより多くの結合組織成長コンポーネントを、元の試料中に存在するものよりも高濃度で含有することが可能である。結果として得られる単離物を、骨または他組織の欠損部位に直接適用することが可能である。あるいは、該単離物をキャリアーと組み合わせることが可能であって、そして結果として得られる移植物を、骨または他組織の欠損部位に適用することが可能である。これらの点について、本発明のある実施態様では、細胞を含有する単離画分を、単離物のいかなるex vivo増殖または他の培養も行わずに、単独で、あるいはキャリアーまたは他の物質(例えば、別の治療物質)と組み合わせて、組織欠損部位に適用することが可能である。このような使用において、所望の場合には、単離画分を、いかなるこのような増殖または他の培養も行わずに、シリンジ、カテーテルまたは同様のものなどの適切な送達装置に充填することが可能である。該単離物を、骨または他組織の欠損部位へ適用する前に、あるいは他の使用のために、(例えば、骨形成ポリペプチドをコードする核酸をトランスフェクトすることによって)修飾することもまた可能である。該単離物は、骨髄(例えば、骨髄吸引物)から本質的になることが可能である。例えば、本発明の一つの実施態様によると、骨髄吸引物は、該単離物の、細胞を含有する唯一のコンポーネントであってもよい。
【0016】
同様に、遠心分離される生体試料は、細胞培養培地材料を含まなくてもよく、そして、本発明のある形態において、遠心分離される生体試料は、結果として得られる単離画分が移植されることになる患者由来の組織材料(例えば、血液または他組織材料と組み合わされていてもよい骨髄材料)から本質的になっていてもよく、1またはそれより多くの抗凝固剤を含有していてもよい。
【0017】
本発明のさらなる実施態様によると、全血(例えば、末梢血)及び骨髄を含んでなる生体試料を遠心分離し、該試料のコンポーネントを密度に基づいて分離する。該試料を分離した結果、密度の高い方から並べた以下の画分が形成される:赤血球が豊富な画分;白血球が豊富な画分またはバフィーコート画分;血小板が豊富な画分及び血小板が乏しい画分。次いで、バフィーコート画分を、場合によっては、バフィーコート画分に隣接する血小板が豊富な画分の全部または一部とともに単離して、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物を形成することが、可能である。結果として得られる単離物は、1またはそれより多くの結合組織成長コンポーネントを、元の試料中に存在するものよりも高濃度で含有することが可能である。結合組織成長コンポーネントとしては、これに限定されないが、造血幹細胞及び間充織幹細胞などの単核細胞が挙げられる。結合組織成長コンポーネントは、例えば、結合組織前駆細胞を含むことが可能である。
【0018】
全血の骨髄材料と混合しての使用に加え、またはそれに代わり、遠心分離によって処理されることになる生体試料の形成に際して、全血の画分を、骨髄材料と混合してもよい。実例として、全血の、赤血球を含有する画分または血漿画分を、本発明にしたがって処理される生体試料に用いてもよい。
【0019】
本発明にしたがって処理される生体試料の調製に使用される全血またはその画分は、例えば、ヒト組織材料であってよい。全血または全血画分は、患者へ移植するための材料を作製するのに用いられる場合、患者に対して、自家、同種または異種であってもよい。同種の場合、全血または画分の型を検査して、そして患者と比較して血液のHLAを一致させてもよい。
【0020】
結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる生体試料及び/または単離物はまた、抗凝固剤も含んでよい。適切な抗凝固剤としては、これに限定されないが、ヘパリン、クエン酸ナトリウム及びEDTAが挙げられる。
【0021】
さらに、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物を、溶液(例えば無菌等張溶液)と組み合わせることが可能である。適切な等張溶液としては、これに限定されないが、リン酸緩衝生理食塩液、及び最小必須培地などの組織培養培地が挙げられる。
【0022】
上記のように、骨髄を含んでなる生体試料を、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む種々の画分に分離するのに、遠心分離機を用いることが可能である。次いで、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を単離することが可能であり、その次に、結果として得られる単離物を、骨移植手順において用いることが可能である。例えば、該単離物を、その骨形成の可能性及び移植片の融合比率を改良するために、自家骨移植片及び/または骨移植代替物に載せるか、あるいははそれらと組み合わせることが可能である。
【0023】
本発明のさらなる実施態様によると、骨髄を含んでなる生体試料を、骨形成を促進するコンポーネントを該試料から選択的に単離することによって、または骨形成を阻害するコンポーネントの試料中濃度を低下させることによって、骨形成の有効性について最適化することが可能である。本発明の実施態様によると、この最適化は、メドトロニック・Inc.によって製造されているマゼラン(商標登録)遠心分離システムなどのポータブル遠心分離機の使用によって、手術室で行われることが可能である。次いで、結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれている、結果として得られる骨髄単離物を、直接的に用いるか、あるいは自家骨移植片または骨移植代替物などのキャリアーと組み合わせることが、可能である。単離物を形成し(すなわち、骨髄を含んでなる生体試料を取得し、画分に分離し、そして結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる画分を単離することが可能である)、そして組織欠損部位に適用することが、単一の手順にて(すなわち、手術中に)可能である。該組織欠損部位は、骨欠損部位であることが可能である。
【0024】
本発明の別の実施態様では、別々の手順にて、単離物を形成し、そして患者の組織欠損部位に適用することが、可能である。例えば、第一の手順において、骨髄試料を患者から取得することが可能である。このように取得された骨髄試料を、組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物を取得するために、本発明にしたがって処理することが可能である。この処理は、第一の手技中に取得されることもまた可能な患者の全血(例えば、末梢血)試料と併せた処理を含むことが可能である。第二の手技では、組織成長促進コンポーネントを含む、取得された単離物を、骨欠損部位などの患者の組織欠損部位に移植することが可能である。
【0025】
上述のように、結合組織成長が豊富な画分が単離される生体試料は、血液(例えば、末梢血)と骨髄(例えば、骨髄吸引物)との混合物を含んでなることが可能である。本発明の一つの実施態様によると、該試料は、血液2容量に対して、骨髄1容量を含有することが可能である(すなわち、骨髄と血液との容量比率が1:2)。血液に対する骨髄の他の容量比率もまた、該試料において用いられることが可能である。例えば、該試料における血液に対する骨髄の容量比率は、1:1、2:1、1:3、3:1等であることが可能である。血液に対する骨髄の容量比率は、例えば、1:100〜100:1の範囲内、より典型的には1:3〜3:1の範囲内であってもよく、そして所望の処理の特徴及び単離物の量を達成するために、調整してもよい。
【0026】
骨髄は、例えば、網状骨梁または海綿骨梁間の腔、長骨の髄腔、及び/またはハバース管などの、任意の源由来であることが可能である。骨髄は、ヒトまたは他の哺乳動物源に由来してもよく、そして、骨髄が、患者における移植物材料を調製するのに用いられることになる場合、骨髄は、患者に関して、自家、同種または異種であってもよい。例えば、骨髄は、吸引された骨髄(例えば、腸骨稜から吸引された骨髄)であってよい。血液及び骨髄を、それぞれ、患者から得て、合わせて一試料とし、そして単離された試料(例えば、遠心分離を介して)の結合組織成長コンポーネントが豊富な画分、及び結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる単離物を、組織欠損部位に適用することが可能である。単離物を形成し、そして単離物を欠損部位に適用することを伴う手順は、単一の操作中に(すなわち、手術中に)行われることが可能である。
【0027】
本発明のさらなる実施態様によると、結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる単離物は、初期試料の2倍、3倍または4倍を超える血小板収量(すなわち、初期試料中の血小板濃度で割った、単離物中の血小板濃度)を有することが可能である。結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる単離物はまた、容量が50%未満、25%未満または12.5%未満のヘマトクリット含量を有することも可能である。本発明の一つの実施態様によると、結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる単離物は、初期試料の4倍を超える血小板収量、及び12.5容量%未満のヘマトクリット含量を有することが可能である。
【0028】
上記のように、骨髄を含んでなる生体試料の、結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む種々の画分への分離は、遠心分離システムを用いて行われることが可能である。生体試料(例えば、血液を含んでなる試料)を画分に分離可能な任意の遠心分離システムを用いることが可能である。遠心分離機の例は、メドトロニック・Inc.によって製造されている、マゼラン(商標登録)自家血小板分離(APS)システムである。血液を種々の画分に分離する遠心分離システム及び方法は、以下の米国特許出願に開示されている:米国特許出願第09/832,517(2001年4月9日に出願され、2002年2月21日に米国特許出願公報第20020022213として公開された);米国特許出願第09/832,463(2001年4月9日に出願され、2002年10月10日に米国特許出願公報第20020147094として公開された);米国特許出願第09/833,234(2001年4月9日に出願され、2001年12月27日に米国特許出願公報第20010055621として公開された);米国特許出願第09/961,793(2001年9月24日に出願され、2003年3月27日に米国特許出願公報第20030060352として公開された);米国特許出願第10/116,729(2002年4月4日に出願され、2002年12月5日に米国特許出願公報第20020182664として公開された);及び、米国特許出願第09/833,230(2001年4月9日に出願され、2002年10月10日に米国特許出願公報第20020147098として公開された)。これらの出願の各々は、そのすべてを参照によって本明細書に記載されているものとする。これらの出願において開示されている方法及びシステムは、骨髄を含んでなる生体試料から結合組織成長コンポーネントが豊富な画分を単離するのに用いられることが可能である。具体的には、血液及び骨髄を含んでなる試料を、遠心分離することが可能であって、そしてバフィーコート画分(すなわち、2番目に最も密度の高い画分)に相当する画分、及び血小板が豊富な血漿画分(すなわち、バフィーコート画分に隣接する、血漿層のより密度の高い領域)の全部または一部を、前述の出願において開示されているような装置及び方法を用いて単離することが可能である。本発明の実施態様によると、該装置は、液体密度の変化に基づいて、試料の分離された画分間の接触面を同定するのに用いられることが可能なセンサー部を含んでなることが可能である。例えば、赤血球が豊富に含まれる領域とバフィ−コート画分または血小板が豊富な血漿画分との接触面、ならびに血小板が豊富な血漿画分と血小板が乏しい血漿画分との間の接触面を、前述の出願に記載のセンサー部を用いて同定することが可能である。試料の分離された画分間の接触面の位置についての知見は、試料から所望の画分を単離するのに利用できる。
【0029】
生体試料から単離される、結合組織成長コンポーネントが豊富な画分は、血液及び骨髄を含んでなる試料の分離によって得られる、バフィ−コート画分(すなわち、2番目に最も密度の高い画分)、及び、血小板が豊富な血漿画分(すなわち、バフィーコート画分に隣接する、血漿層のより密度の高い領域)の全部または一部を含んでなることが可能である。本発明のさらなる実施態様によると、該単離物は、試料の50%の容量まで含んでなることが可能である。例えば、該単離物は、試料の40%、30%または20%の容量まで含んでなることが可能である。本発明の好ましい実施態様によると、生体試料から単離される、結合組織成長コンポーネントが豊富な画分は、元の試料の5〜17%の容量を含んでなることが可能である。例えば、60ccの試料中に、該単離物は、3〜10ccの容量を有することが可能である。さらなる実施態様によると、該単離物は、元の試料のおよそ10%の容量を含んでなることが可能である(例えば、60ccの試料に対して6ccの単離物)。60ccの試料容量を先に開示したが、それよりも大きいかまたは小さい容量の生体試料を用いることもまた可能である。例えば、生体試料の容量は、利用可能な血液もしくは骨髄の量、及び/または所与の手順に必要な単離物の量に基づいて、選択されることが可能である。例えば、該生体試料は、100cc、75cc、50ccまたは25ccまでの容量を有することが可能である。
【0030】
該試料の遠心分離を、所望の分離度を達成するのに十分な時間及び回転率で行う。例えば、遠心分離は、0〜5000rpmの回転率で、およそ60秒〜10分間行われることが可能である。本発明の一つの実施態様によると、遠心分離は、17〜20分間行われる。全般的に、回転速度が速いほど、より短期間に生体試料のコンポーネントが分離されることが、当業者によって理解されるであろう。概して、約60分間またはそれよりも短期間にわたって分離を達成することが望ましいであろう。さらに、骨髄材料を、再移植用の画分を作製するために患者から採取する場合、骨髄を含む生体試料の遠心分離を、望ましくは、骨髄採取後すぐに、例えば約2時間以内に、そして望ましくは約1時間以内に行う。同様に、本発明にしたがったこのような単離画分の再移植は、単離画分を得てすぐに、例えば約2時間以内に、そして望ましくは約1時間以内に行うことができる。本発明のなおさらなる実施態様において、骨髄画分の採取、単離画分を取得するための遠心分離、及び該単離画分の移植は、同じ日に、例えばほんの約3時間のうちに、すべて行われることが可能である。
【0031】
先に開示されるように、一つの使用法では、本発明の単離画分を、患者における移植に用いることが可能である。同様に、例えば、単離画分からの単離細胞の回収、及び/またはその中のコンポーネントに関連する診断もしくは研究において(例えば、単離画分に含有される細胞に関連する研究において)、本発明の単離物を、さらに精製されてもよいコンポーネント源として用いることが可能である。
【0032】
本発明にしたがった単離物の移植を、疾病に対して、幅広く多様な組織欠損を治療するために行うことが可能である。治療されてもよい組織欠損の例としては、骨、神経、筋肉、腱、真皮及び骨髄間質組織における欠損が挙げられる。修復されてもよい骨組織の例としては、胸骨、頭蓋、長骨、椎骨などの脊髄エレメントの骨組織、及び、概して骨嚢胞に関連する組織損傷の修復におけるものが挙げられる。修復されてもよい神経組織の例としては、中枢と末梢の神経組織の双方が挙げられる。軟骨組織もまた、本発明にしたがって移植物を用いて治療されることが可能であって、骨粗鬆症に対する治療の提供、または一般には腱及び靭帯の修復における、関節修復のための治療が含まれる。筋肉組織の治療における移植物は、心血管筋または骨格筋のいずれかにおいて作られてもよい。本発明の移植物は、椎間板核組織の修復または補充において、脊椎椎間板間内に用いることができ、そして、例えば骨及び/または歯肉組織を伴う歯科用途向けの移植物中においても用いることができる。これらまたは他の治療の各々において、本発明の単離物を、タンパク質、あるいは他の治療物質、遺伝子または他の有益な材料と組み合わせて、導入することが可能である。
【0033】
骨組織の修復においては、本発明の単離物を、前駆細胞または幹細胞の骨形成細胞系統への分化を誘導するかまたは加速する、少なくとも一つの生理活性因子と、任意選択で組み合わせることが可能である。単離物を、ex vivoで生理活性作用物と接触させるか、あるいは単離物の移植前、移植途中または移植後に欠損部位へ注入することが可能である。生理活性作用物は、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−6及びBMP−7などの骨形態形成タンパク質を始めとする種々の組織成長因子を含むTGF−ssスーパーファミリーのメンバーであってよい。
【0034】
軟骨組織の修復においては、例えば骨粗鬆症を伴う患者において、浅い軟骨の軟骨欠損または軟骨全層の欠損を治療するために、膝蓋骨または脊椎円板の軟骨を治療するために、あるいは関節の関節軟骨を再生するために、本発明の単離物を移植してもよい。本発明の単離物を用いて治療され得る関節としては、これに限定されるものではないが、膝関節、股関節、肩関節、肘関節、足関節、足根及び中足関節、手関節、脊椎関節、手根関節及び中手関節、ならびに側頭顎関節が挙げられる。
【0035】
本発明のさらなる実施態様によると、結合組織成長コンポーネントが豊富な単離物は、移植前に修飾されてもよい。例えば、結合組織成長コンポーネントが豊富な単離物中の細胞(例えば、間充織幹細胞)を、適切な遺伝子及び/またはタンパク質を用いて、系統特異的な増殖及び/または分化、あるいは多系統への増殖または分化を方向づけるために修飾することが可能である。
【0036】
本発明の実施態様によると、結合組織成長コンポーネントが豊富な因子中の細胞(例えば、間充織幹細胞)に、骨誘導タンパク質またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸配列をトランスフェクトすることが可能である。ヌクレオチド配列によってコードされることが可能な骨誘導タンパク質の例としては、これに限定されないが、BMP、LMPまたはsMADタンパク質、あるいはその活性(すなわち、骨誘導)部分が挙げられる。骨誘導タンパク質またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターと機能可能に連結されていることが可能である。例えば、該ヌクレオチド配列は、発現ベクター(例えば、アデノウイルス)などのベクター中にあることが可能である。
【0037】
LIM石灰化タンパク質(LMP)をコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸、ならびに、LIM石灰化タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸を細胞にトランスフェクトするためのベクター及び手法は、以下の米国特許第特許出願において開示されている:現在の米国特許第6,300,127(1998年7月29日に出願された、米国特許出願第09/124,238);係属中の米国特許出願第09/959,578(2000年4月28日に出願);米国特許出願第10/292,951(2002年11月13日に出願され、2003年9月25日に米国特許出願公報第20030180266として公開);及び、米国特許出願第10/382,844(2003年3月7日に出願され、2003年12月4日に米国特許出願公報第20030225021として公開)。これらの出願の各々は、そのすべてを参照によって本明細書に記載されているものとする。これらの出願において開示されている任意の材料及び技術は、結合組織成長コンポーネントが豊富な因子中の細胞を修飾するのに用いられることが可能である。
【0038】
核酸によってコードされる骨誘導ポリペプチドは、ヒトLIM石灰化タンパク質(例えば、hLMP−1またはhLMP−3)の活性(すなわち、骨誘導)部分であることが可能である。例えば、骨誘導ポリペプチドは、hLMP−1またはhLMP−3の配列に由来する少なくとも「n」個の連続したアミノ酸を含んでなることが可能であって、ここでnは、5、10、15または20である。
【0039】
本発明のさらなる実施態様によると、骨誘導ポリペプチドは、アミノ酸配列:
ASAPAADPPRYTFAPSVSLNKTARPFGAPPPADSAPQQNG(配列番号1)
に由来する少なくとも「n」個の連続したアミノ酸、またはアミノ酸配列:
ASAPAADPPRYTFAPSVSLNKTARPFGAPPPADSAPQQN(配列番号2)
に由来する少なくとも「n」個の連続したアミノ酸を含んでなる、hLMP−1またはhLMP−3の骨誘導部分であることが可能であって、ここでnは、5、10、15または20である。本発明のさらなる実施態様によると、骨誘導ポリペプチドは、アミノ酸配列:
PPPADSAPQ(配列番号3)
に由来する少なくとも「n」個の連続したアミノ酸を含んでなる、hLMP−1またはhLMP−3の骨誘導部分であることが可能であって、ここでnは、4、5、6、7または8である。本発明のさらなる実施態様によると、骨誘導ポリペプチドは、配列:
PPPAD(配列番号4)
を含んでなる、hLMP−1またはhLMP−3の骨誘導部分であることが可能である。
【0040】
骨誘導ポリペプチド(例えば、hLMP−1またはhLMP−3タンパク質の骨誘導部分)は、15アミノ酸残基まで含んでなることが可能である。本発明のさらなる実施態様によると、骨誘導ポリペプチド(例えば、hLMP−1またはhLMP−3タンパク質の骨誘導部分)は、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸残基まで含んでなることが可能である。
【0041】
骨誘導ポリペプチドは、合成ポリペプチドであることが可能である。例えば、骨誘導ポリペプチドは、hLMP−1またはhLMP−3の骨誘導部分に相当する配列を有する合成ポリペプチドであることが可能である。
【0042】
結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物を、タンパク質導入ドメイン(PTD)と骨誘導タンパク質または骨誘導タンパク質をコードする核酸との複合体で修飾することもまた可能である。例えば、結合組織成長コンポーネントが豊富な因子中の細胞(例えば、間充織幹細胞)を、タンパク質導入ドメイン(PTD)と骨誘導タンパク質または骨誘導タンパク質をコードする核酸との複合体と接触させることが可能である。骨誘導ポリペプチドは、BMP、LMP、sMADタンパク質、または骨誘導タンパク質の活性(すなわち、骨誘導)部分であることが可能である。PTDと骨誘導タンパク質との複合体は、米国特許仮出願第60/456,551(2003年3月24日に出願)に開示されている。該出願の全体は、参照によって本明細書に記載されているものとする。その出願において開示されている任意の複合体及び技術は、結合組織成長コンポーネントが豊富な因子中の細胞を修飾するのに用いられることが可能である。先に記載の、PTDとヒトLIM石灰化タンパク質(例えば、hLMP−1またはhLMP−3)の活性(すなわち、骨誘導)部分との複合体はまた、結合組織成長が豊富なコンポーネントが豊富な単離物中の細胞を修飾するのにも用いられることが可能である。
【0043】
結合組織成長コンポーネントが豊富な単離物中の細胞(例えば、間充織幹細胞)を、骨誘導ポリペプチドと接触させることもまた可能である。例えば、該単離物を、骨誘導タンパク質(例えば、BMP−2)と組み合わせることが可能である。次いで、修飾された単離物を、キャリアーに載せ、そして患者に移植することが可能である。
【0044】
この点において、本発明の単離物材料とともに用いられてもよいキャリアーは、寸法安定性または非寸法安定性(例えば、ペーストまたはパテ)キャリアーであることが可能である。該キャリアーは、例えば、吸収性多孔質基質であることが可能である。この点において、吸収性多孔質基質は、ある実施態様においては、コラーゲン性である。幅広く多様なコラーゲン材料が、吸収性基質に適する。自然発生コラーゲンは、そのアミノ酸配列、炭水化物含量、及びジスルフィド架橋の有無に応じて、いくつかの異なる種類に下位分類されてもよい。I型及びIII型コラーゲンは、最も一般的なコラーゲンのサブタイプのうちの二つである。I型コラーゲンが、皮膚、腱及び骨中に存在するのに対し、III型コラーゲンは、主として皮膚中に見出される。基質中のコラーゲンは、皮膚、骨、腱または軟骨から取得され、そして当該技術分野において公知の方法によって精製されてもよい。あるいは、コラーゲンは、市販品を購入してもよい。多孔質基質組成物は、望ましくは、I型ウシコラーゲンを含む。
【0045】
さらに、キャリアー基質のコラーゲンは、アテロペプチドコラーゲン及び/またはテロペプチドコラーゲンであることが可能である。その上、非繊維状及び/または繊維状コラーゲンが用いられてもよい。非繊維状コラーゲンは、可溶化されているコラーゲンであって、かつその天然の繊維形状に再構成されていないコラーゲンである。
【0046】
適切な吸収性キャリアー基質材料はまた、コラーゲンに加え、またはそれに代わり、天然または合成ポリマー材料などの他の有機材料から形成されてもよい。例えば、吸収性キャリアーは、ゼラチン(例えば、発泡ゼラチン)、あるいはポリ乳酸ポリマー、ポリグリコール酸ポリマーまたはそのコポリマーなどの吸収性合成ポリマーを含んでいてもよい。他の天然及び合成ポリマーもまた、生体適合性吸収性基質材料の形成について公知であり、そして本発明において用いることが可能である。
【0047】
キャリアーは、天然及び/もしくは合成の無機質(mineral)コンポーネントであるか、またはそれを含んでもよい。例えば、無機質コンポーネントは、粉末形状かまたはそれよりも大きい微粒子無機材料のいずれかを含む微粒子無機材料によって、提供されることが可能である。ある実施態様において、微粒子無機材料は、吸収性基質材料が吸収されるときに、骨内部成長のための足場を提供するのに有効である。無機材料は、例えば、骨(特に、皮質骨)、または生体適合性リン酸カルシウムセラミックなどの合成バイオセラミックであってもよい。セラミックの例としては、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト及び二相性リン酸カルシウムが挙げられる。これらの無機質コンポーネントは、市販品を購入するか、あるいは当該技術分野において公知の方法によって取得または合成されてもよい。
【0048】
上記のように、本発明において、二相性リン酸カルシウムを無機物含有キャリアーを提供するために用いることが可能である。望ましくは、このような二相性リン酸カルシウムは、リン酸三カルシウム:ヒドロキシアパタイトの重量比が約50:50〜約95:5、より好ましくは約70:30〜約95:5、さらにより好ましくは約80:20〜約90:10、そして最も好ましくは約85:15であろう。
【0049】
キャリアーは、骨成長が望まれる空隙内での類骨形成に十分な期間、患者の中に留まるために有効な足場を提供するであろう無機物量を含むことが、可能である。典型的には、この期間は約8〜約12週間であろうが、それよりも長いかまたは短い期間が、特定の状況において生じてもよい。これらの目的で、キャリアー中に存在しなければならない無機物の最低レベルはまた、単離物中の組織成長促進コンポーネントの活性レベル、ならびにBMPもしくは他の骨形成タンパク質などの他物質が、該単離物の組織成長促進コンポーネントと併せてキャリアー中に組込まれるかどうかにも、依存する。
【0050】
本発明のある形態において、キャリアーは、コラーゲン、ゼラチンまたは吸収性合成ポリマーなどの材料とともに形成される多孔質有機基質中に埋め込まれる無機物微粒子コンポーネントを含んでもよい。この点において、最初の移植物材料の無機物微粒子:吸収性多孔質基質の重量比は、少なくとも約4:1、より典型的には少なくとも約10:1であってもよい。高度に無機質を含んだキャリアーにおいては、無機物微粒子は、最初の移植物材料の少なくとも95重量%を構成するであろう。例えば、約97%〜約99重量%の無機物微粒子と約1%〜約3%のコラーゲンまたは他の基質形成材料とを含んでなるキャリアー材料が提供されてもよい。その上、無機質コンポーネントは、例えば、少なくとも約0.5mm、より好ましくは約0.5mm〜約5mm、及び最も好ましくは約1mm〜約3mmの平均粒子サイズであってもよい。
【0051】
該単離物と組み合わせて用いられるキャリアーは、例えば、ペーストもしくはパテなどの流動性または展性物質におけるように、非寸法安定性であってもよい。実例として、キャリアーは、組織欠損部位におけるその移植及び保持を可能にする特性を有する、生物学的に吸収性の非寸法安定性材料を含んでもよい。このようなキャリアーは、生体源または合成源に由来する高分子などの吸収性有機材料(例えば、ゼラチン、ヒアルロン酸カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、ペプチド、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン等)を含むことが可能である。このような材料は、上述のような微粒子無機質コンポーネントの有無にかかわらず用いることが可能である。ある形態において、吸収性キャリアーは、材料が移植されることになる患者の体温を超える温度において流動性であるような組成物として調製することが可能である。吸収性キャリアーは、流動性の状態が液体または流動性ゲルであって、そして非流動性の状態が安定なゲルまたは固体であるように、移植される組成物へと調製されてもよい。本発明のある実施態様において、吸収性キャリアーは、ゼラチンを含むことが可能であって、かつ/またはキャリアー組成物の約20%〜約80%の容量、より典型的には約40%〜約80%の容量を構成する量の無機物微粒子を組み入れることが可能である。
【0052】
本発明のある形態において、キャリアーは、新たな宿主骨を受け入れる生物学的に不活性な表面を提供する骨伝導性基質であることが可能である。例えば、キャリアーは、上述のような、これらの特徴を有する、コラーゲンスポンジまたは別の寸法安定性もしくは非寸法安定性キャリアーであることが可能である。
【0053】
該キャリアーは、他の細胞の成長または分化を調節可能な成長因子を含んでなることが可能である。使用しうる成長因子としては、これに限定されないが、骨形態形成タンパク質、sMADタンパク質及びLIM石灰化タンパク質が挙げられる。脱灰骨基質もまた、キャリアー中に含まれることが可能である。例えば、脱灰された骨基質の粉末または顆粒が、キャリアー中に組み入れられることが可能である。
【0054】
該単離物を、同種移植片骨及び/または自家移植片骨と組み合わせることもまた可能である。例えば、該単離物を、同種移植片骨及び/または自家移植片骨と組み合わせ、次いでその結果として得られる移植物を宿主に移植することが可能である。同様に、移植の前または後に、本発明の単離物を、該単離物中に含有される任意の血小板を活性化させるために、1またはそれより多くの血小板活性化作用物(例えば、トロンビン)と、及び/あるいはフィブリノーゲンなどの血液凝固カスケードに関連する他物質とを組み合わせることが可能である。
【0055】
該単離物または該単離物を含んでなる移植物は、骨形成、骨伝導及びまたは骨誘導などの1またはそれより多くのメカニズムによって、新生骨組織の成長を増強または加速させることが可能である。例えば、該単離物、または該単離物を含んでなる移植物は、宿主内に移植する場合に骨誘導の特性を有することが可能である。このように、該単離物、または該単離物を含んでなる移植物は、骨組織を修復する可能性を有する宿主由来の細胞を補充することが可能である。
【0056】
結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる単離物、または該単離物を含んでなる移植物を、骨修復において用いることが可能である。例えば、該単離物、または該単離物を含んでなる移植物を、骨修復部位(例えば、損傷に起因するもの、外科的処置、感染、悪性腫瘍または発生奇形の経過中にもたらされた欠損)に適用することが可能である。該単離物、または該単離物を含んでなる移植物を、多様な整形外科、歯周、神経外科的処置、ならびに口腔及び顎顔面外科的処置において用いることが可能であって、該手順は、非限定的に以下を含む:単純及び複雑骨折ならびに非癒合の修復;外固定及び内固定;関節固定などの関節再構築;一般的な関節形成;腰部のカップ関節形成;大腿骨及び上腕骨の骨頭置換;大腿骨の骨頭表面置換及び関節全置換;脊椎固定及び内固定を含む、脊柱の修復;腫瘍外科的処置(例えば欠損部の充填(filing)など);椎弓切除;脊髄腫瘍の切除;前頚部及び胸部の手術;脊椎損傷の修復;脊柱側弯症、脊柱前弯症及び脊柱後弯症の治療;骨折の顎間固定;頤形成術;顎関節置換;歯槽堤の増強及び再構築;インレー骨移植物;移植物の配置及び補正;サイナスリフト;美容の増進;等。修復されること、あるいは該単離物または該単離物を含んでなる移植物へ置換されることが可能な具体的な骨としては、これに限定されないが、篩骨;前頭骨;鼻骨;後頭骨;頭頂骨;側頭骨;下顎骨;上顎骨;頬骨;頚椎;胸椎;腰椎;仙骨;肋骨;胸骨;鎖骨;肩甲骨;上腕骨;橈骨;尺骨;手根骨;中手骨;指骨;腸骨;坐骨;恥骨;大腿骨;脛骨;腓骨;膝蓋骨;踵骨;足根骨及び中足骨が挙げられる。
【0057】
結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる単離物、または該単離物を含んでなる移植物を、軟骨の修復にも用いることが可能である。例えば、該単離物、または該単離物を含んでなる移植物を、軟骨欠損部位に適用することが可能である。例えば、該単離物を、関節軟骨欠損部位に用いることが可能である。
【0058】
結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる単離物、または該単離物を含んでなる移植物を、軟組織の修復にも用いることが可能である。
【0059】
骨髄は、吸引された骨髄であることが可能である。該骨髄は、組織欠損に関して治療されている患者から吸引された、自家骨髄であることが可能である。該骨髄は、公知の技術を用いて取得されることが可能である。本発明の実施態様によると、該骨髄は、Jamshedi針を用いて(例えば、腸骨稜から)吸引されることが可能である。
【0060】
本明細書に記載の、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を単離するための方法は、多数の利点を提供する。まず、該方法は、密度勾配培地などの分離用培地の使用を必要としないが、本発明のある実施態様においては、このような分離用培地の使用が包含されることが理解されるであろう。これらの分離用培地は、ヒトへの導入が承認されていない。したがって、患者内へ導入することが可能でない分離用培地を使用する場合、一連の洗浄工程が、単離細胞集団から分離用培地を除去するために必要とされる。本明細書に開示されている好ましい方法は、分離用培地を使用せずに所望の細胞を単離するのに用いられることが可能であって、それゆえに、別に洗浄工程を必要としない。したがって、移植されることになる本発明の単離物を、いかなる介在する洗浄工程も行わずに、シリンジ、カテーテル等などの送達装置に装填することが可能である。本明細書に記載されている好ましい方法はまた、手術中の単離、及び組織修復のための該単離物の使用を可能にする。さらに、本明細書に記載されている好ましい方法は、比較的少量の試料(例えば、60cc以下)の使用を可能にする。
【0061】
本発明のさらなる理解を促す目的で、以下の実施例が提供される。これらの実施例は例示的なものであって、かつ本発明を限定するものではないことが、理解されるであろう。
【実施例】
【0062】
(実験1)
以下の非限定的な実施例は、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物を、全血及び骨髄を含んでなる生体試料から形成する方法を例示することを、目的とする。
【0063】
抗凝固処理骨髄20mLと抗凝固処理血液40mLとの混合物を含んでなる生体試料を、マゼラン(商標登録)APSシステムを用いて処理した。次いで、各実行(Run)から、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を、単離した。次いで、結果として得られた単離物を、血小板収量(すなわち、初期試料中の血小板濃度で割った、単離物中の血小板濃度)及びヘマトクリット含量について評価した。各実行について、単離物は、およそ6ccの容量を有し、そして試料のバフィ−コート画分及び隣接する血小板が豊富な画分の一部分を含んだ。
【0064】
各実行についての試験結果を、図1〜6に記載する。ここで、図1はドナー番号30500についての試験結果を示し、図2はドナー番号30501についての試験結果を示し、図3はドナー番号30506についての試験結果を示し、図4はドナー番号30526についての試験結果を示し、図5はドナー番号30527についての試験結果を示し、図6はドナー番号30561についての試験結果を示す。図1〜6において、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分は、「PRP」と称される。生体試料の他の画分については、血小板が乏しい血漿(すなわち、最も密度の低い画分)は「PPP」、そして赤血球を含有する画分(すなわち、最も密度の高い画分)は「PRBC」と称される。許容できないと考えられる実行は、解析から除外した。許容可能な分離実行は、予期せぬ出来事に遭遇していない実行として定義される。これらの予期せぬ出来事としては、これに限定されないが:操作者の過失による失敗;信頼性のあるCBC計数を行うことができなくなること、及び;分離過程中または分離過程後直ちに過剰に血小板が凝集することによって明らかとなる、静脈穿刺または輸送中の過剰な血小板活性化が挙げられる。
【0065】
用いた装置/付属品/計器
マゼラン(商標登録)APS機器、s/n MAG1000185(ソフトウェアv.2.3を備える)、Cell Dyn 1700細胞計数器、メドトロニック・エクイップメント #133506。
【0066】
用いた材料/試料
・マゼラン(商標登録)使い捨てキット、滅菌
・Poieticsヒト骨髄−製品コード1M−125。ロット番号030500、030501、030506、030526、030527、030561。Poietics正常(Normal)。
・ヒト末梢血−製品コード1 W−406。ロット番号030500、030501、030506、030526、030527、03056。
【0067】
結果及びデータ
各実行の結果を、結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる各試料からの単離物についての、血小板収量及びヘマトクリットの容量%を示す以下の表に、要約する。血小板収量は、初期試料中の血小板濃度に対する、単離物中の血小板濃度の比率である。
【0068】
【表1】

【0069】
結論
上記のデータからわかるように、マゼラン(商標登録)APSシステムを用いて行われた6回の分離実行すべてで、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物(すなわち、PRP画分)中の血小板濃度が、元の試料よりも4倍を超えて大きかった。加えて、6回の分離実行すべてはまた、ヘマトクリット(HCT)含量が12.5%未満の、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物(すなわち、PRP画分)を、生じた。
【0070】
(実験2)
血液及び骨髄を含んでなる試料の、結合組織成長コンポーネントが豊富な画分が、単離されている。次いで、該単離物中の間充織幹細胞を含む細胞に、種々の用量のhLMP−1に対するアデノウイルスベクター(すなわち、AdVLMP))をトランスフェクトした。次いで、該細胞を、無胸腺ラット異所性モデルを用いて、ラットに移植した。
【0071】
先の明細書は、例示の目的で提供されている実施例とともに、本発明の原理を教示するが、一方で、形態及び詳細における種々の変更を、本発明の真の範囲を逸脱することなく実行可能であることが、本開示を読むことによって当業者により理解されるであろう。
【0072】
先の明細書において引用されたすべての刊行物は、各々が個々に参照によって本明細書に記載され、かつ完全に説明されているかのように、そのすべてを参照によって本明細書に記載されているものとする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1〜6は、6例の異なるドナー由来の全血及び骨髄吸引物を含んでなる生体試料からの、結合組織成長促進コンポーネントが豊富な画分の分離及び単離に関する試験結果を示す。ここで、図1は、ドナー番号30500についての試験結果を示す。
【図2】図1〜6は、6例の異なるドナー由来の全血及び骨髄吸引物を含んでなる生体試料からの、結合組織成長促進コンポーネントが豊富な画分の分離及び単離に関する試験結果を示す。図2は、ドナー番号30501についての試験結果を示す。
【図3】図1〜6は、6例の異なるドナー由来の全血及び骨髄吸引物を含んでなる生体試料からの、結合組織成長促進コンポーネントが豊富な画分の分離及び単離に関する試験結果を示す。図3は、ドナー番号30506についての試験結果を示す。
【図4】図1〜6は、6例の異なるドナー由来の全血及び骨髄吸引物を含んでなる生体試料からの、結合組織成長促進コンポーネントが豊富な画分の分離及び単離に関する試験結果を示す。図4は、ドナー番号30526についての試験結果を示す。
【図5】図1〜6は、6例の異なるドナー由来の全血及び骨髄吸引物を含んでなる生体試料からの、結合組織成長促進コンポーネントが豊富な画分の分離及び単離に関する試験結果を示す。図5は、ドナー番号30527についての試験結果を示す。
【図6】図1〜6は、6例の異なるドナー由来の全血及び骨髄吸引物を含んでなる生体試料からの、結合組織成長促進コンポーネントが豊富な画分の分離及び単離に関する試験結果を示す。図6は、ドナー番号30561についての試験結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄画分を取得するための方法であって、
a) 骨髄及び全血を含む生体試料を遠心分離し、密度に基づいて該試料のコンポーネントの分離をもたらすこと、ここで前記分離により、密度の高い方から並べた以下の画分が提供される:
(i) 血液細胞が豊富に含まれる画分;
(ii) バフィ−コート画分;
(iii) 血小板が豊富な画分;及び、
(iv) 血小板が乏しい画分;ならびに、
b) 該バフィ−コート画分を、単独で、あるいは血小板が豊富な画分の全部または一部と併せて単離し、結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる単離物を形成させること;
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記の全血と骨髄が、同じ哺乳動物源に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記哺乳動物源がヒトである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
結合組織成長促進コンポーネントが豊富な前記単離物を、キャリアーと組み合わせることをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
結合組織成長促進コンポーネントが豊富な前記単離物が、間充織幹細胞を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記全血が末梢血である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
外科的処置中に前記骨髄を患者から採取すること、をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記の遠心分離及び単離が、前記の外科的処置とともに、手術中に行われる:
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生体試料が、骨髄と全血との抗凝固処理混合物から本質的になる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生体試料が、いかなる合成密度勾配材料も存在しない状態で遠心分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記遠心分離が、少なくとも約2の血小板収量をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる前記単離物が、50容量%未満のヘマトクリット含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
結合組織成長コンポーネントが豊富に含まれる前記単離物が、前記生体試料の4倍を超える血小板濃度、及び約12.5容量%未満のヘマトクリット含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
結合組織の形成を促進するコンポーネントを有する骨髄画分を含む単離物を取得すること;及び
前記単離物を、患者の組織欠損部位へ移植すること;
を含んでなる、患者を治療するための方法であって、
前記の取得が、前記の移植とともに手術中に行われる、上記方法。
【請求項15】
前記骨髄画分が、患者に対して自家である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記の取得が、骨髄を含む生体試料を遠心分離することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記の取得が、骨髄を患者から採取し、前記骨髄を含んでなる生体試料を遠心分離し、そして前記単離物を収集することを含む:
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記生体試料が、全血をさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記全血が、患者の末梢血である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記単離物が、前記生体試料の約2倍を超える血小板濃度を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記単離物が、約12.5容量%未満のヘマトクリット含量を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記の移植が、骨欠損部位においてである、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記の移植の前、途中または後に、前記単離物を、骨形成タンパク質と接触させることをさらに含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記骨形成タンパク質が、骨形態形成タンパク質(BMP)である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記BMPが、BMP−2またはBMP−7である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記の移植が、軟骨欠損部位においてである、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記生体試料が、いかなる合成密度勾配材料も存在しない状態で遠心分離される、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記生体試料が、患者の骨髄と全血との抗凝固処理混合物から本質的になる、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記の移植の前に、前記単離物をキャリアーと組み合わせることをさらに含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記キャリアーが、吸収性である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記キャリアーが、寸法安定性を有する多孔質基質材料を含む:
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記多孔質基質材料が、天然または合成ポリマーを含んでなる:
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記多孔質基質材料が、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース及び合成ポリマーからなる群より選択されるメンバーを含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記多孔質基質材料が、コラーゲンを含んでなる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記キャリアーが、前記多孔質基質材料中に埋め込まれる無機物微粒子を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記キャリアーが、非寸法安定性キャリアーである、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記キャリアーが、ペーストまたはパテである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記キャリアーが、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン及び合成ポリマーからなる群より選択される有機材料を含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記キャリアーが、コラーゲンまたはゼラチンを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記キャリアーが、前記有機材料と混合された無機物微粒子を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
組織成長促進コンポーネントを含む非培養骨髄画分を、生体適合性キャリアーとともに含有する単離物材料:
を含んでなる、移植物組成物。
【請求項42】
前記キャリアーが、組織成長のための吸収性の足場を提供する、請求項41に記載の移植物組成物。
【請求項43】
骨髄を含む生体試料を遠心分離し、そして組織成長促進コンポーネントを含む前記骨髄画分を収集することによって前記単離物材料を取得する、請求項41に記載の移植物組成物。
【請求項44】
前記単離物が、末梢血コンポーネントをさらに含んでなる、請求項41に記載の移植物組成物。
【請求項45】
前記生体試料が、末梢血をさらに含む、請求項43に記載の移植物組成物。
【請求項46】
前記キャリアーが、コラーゲンを含んでなる、請求項42に記載の移植物組成物。
【請求項47】
前記単離物材料が、約12.5容量%未満のヘマトクリット含量を有する、請求項45に記載の移植物組成物。
【請求項48】
前記組織成長促進コンポーネントが、間充織幹細胞を含む、請求項41に記載の移植物組成物。
【請求項49】
患者を治療するための方法であって、
患者の骨髄源に由来する組織を含む生体試料を提供すること、ここで前記試料は、組織成長促進コンポーネントを含む;
生体試料を遠心分離して、該試料を密度に基づいて画分に分離すること、ここで前記画分は、前記組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む;
組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる前記画分を、単離すること;
組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる前記画分を、患者に移植すること;及び、
ここで、前記の遠心分離及び単離は、前記の移植とともに、手術中に行われる;
を含む、上記方法。
【請求項50】
前記の遠心分離及び単離が、前記画分における前記成長促進コンポーネントを、前記生体試料と比較して豊富にするのに、有効である:
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記成長促進コンポーネントが細胞を含み、かつ、前記細胞を遺伝子改変することをさらに含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記生体試料が、全血をさらに含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記全血が末梢血である、請求項53に記載の方法。
【請求項54】
前記組織が、吸引によって前記骨髄源から取得される、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記組織が、患者の腸骨稜から吸引される、請求項55に記載の方法。
【請求項56】
前記生体試料が、いかなる合成密度勾配材料も存在しない状態で遠心分離される、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
組織成長促進コンポーネントを含んでなる単離物材料を取得するための方法であって、
哺乳動物の骨髄源から組織を採取すること、ここで前組織は、組織成長促進コンポーネントを含む;
前記組織を哺乳動物の全血と組み合わせることによって、混合物を形成すること;
生体試料を密度勾配に基づいて画分に分離するように、前記混合物を含む生体試料を遠心分離すること、ここで前記画分は、前記組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む;及び、
前記組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる前記画分を単離すること;
を含んでなる、上記方法。
【請求項58】
結合組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる骨髄画分を取得するための方法であって、
骨髄を含んでなる生体試料を遠心分離して、該試料のコンポーネントを密度に基づいて画分に分離すること、ここで前記画分は、組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる画分を含む;及び、
組織成長促進コンポーネントが豊富に含まれる前記画分を単離すること;
を含んでなる、上記方法。
【請求項59】
送達用の医療用移植物材料を調製するための方法であって、
(a) 骨髄材料を含む生体試料を、組織成長を促進する骨髄コンポーネントを含む画分を分離するのに有効な条件下で、遠心分離すること;及び、
(b) 該画分を洗浄することなく、該画分を、該画分を患者へ送達するための装置内に装填すること;
を含んでなる、上記方法。
【請求項60】
送達用の医療用移植物材料を調製するための方法であって、以下:
(a) 骨髄材料を含む生体試料を、組織成長を促進する骨髄コンポーネントを含む画分を分離するのに有効な条件下で、遠心分離すること;及び、
(b) 該画分を培養することなく、該画分を、該画分を患者へ送達するための装置内に装填すること;
を含んでなる、上記方法。
【請求項61】
組織成長を促進するコンポーネントが豊富に含まれる、単離された、培養されていない骨髄画分を、該材料を患者に送達するための装置とともに含んでなる、医療用組み合わせ物。
【請求項62】
患者における組織欠損を治療するための薬剤の製造において、請求項1〜13及び58〜59のいずれかにしたがって調製された、単離物材料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−527221(P2007−527221A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518762(P2006−518762)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/021164
【国際公開番号】WO2005/004886
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】