説明

結晶化用コンベヤー

複数個のポリマーペレットの結晶化方法は、初期平均温度を有する気体搬送システムにペレットを導入する工程を含む。複数個のポリマーペレットは、搬送ガスを用いて入口から出口まで気体圧によって移送する。前記搬送システム内に滞留している間は、ペレットは結晶化が起こるのに充分な温度を有する。本発明の方法を実施する気体搬送システムも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にポリマーペレットの結晶化方法及びシステムに関し、より具体的にはポリエステルペレットの結晶化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、多くの商業用途に使用されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル並びに同様なポリマー及びコポリマーは、特に、製造がよく知られ且つ充分発達した主要商品となっている。ポリエステルの用途としては、食品、飲料及び他の液体の容器並びに合成繊維が挙げられる。PETのような一部のポリエステルは非晶性及び半結晶性の両方の形態で存在できる。非晶性PETは透明であるが、結晶性PETは不透明である。
【0003】
従来のPET製造方法においては、PETは、反応器中でテレフタル酸及びエチレングリコールをエステル化してプレポリマー混合物を形成することによって生成させる。エステル化は触媒する必要はない。単独で又は組合せて使用できる典型的なエステル交換触媒としては、チタンアルコキシド、錫(II)若しくは(IV)エステル、亜鉛、マンガン若しくはマグネシウムの酢酸塩若しくは安息香酸塩及び/又は当業者によく知られた他のこのような触媒が挙げられる。プレポリマーペーストは続いて加熱して、重合を促進する。次に、得られた混合物は高温において、例えば285℃において適当な触媒の存在下でメルトの形態で重縮合に供する。Sn、Sb、Ge、Tiなどの化合物が重縮合触媒として使用されてきた。ポリマーは重縮合反応器から、直接、ストランドへと押出する。高温の押出ストランドは冷水と接触させてから細断してペレット化し、乾燥し、そして結晶化の前にサイロ中に貯蔵する。
【0004】
ペレット化前にストランドを伸長するペレット化方法が特許文献1に開示されている。一般に通用している見解から、貯蔵中の焼結を回避するためには、ペレットの少なくとも表面を20〜30℃に冷却しなければならないことがわかる。貯蔵の間に、ペレットのより高温の内部からの熱がペレット全体に分散される。従って、温かいペレット、即ち外部が20〜30℃よりもかなり高いペレットは、貯蔵中に温度平衡後に凝集するかもしれない。水との接触によって温度を低下させる他に、ペレットは冷たい空気、窒素又は不活性ガスによって所望の温度まで更に冷却することできる。ペレットは貯蔵し、それからその後に所望の結晶化温度まで再加熱する。これらの加熱、冷却及び再加熱工程は、既にエネルギー集約的なプロセスにかなりのエネルギー損失をもたらす。高温ペレットの結晶化は、結晶化振盪機中で実施する。インヘレント粘度の上昇及びアルデヒドの除去の両方を行うために固相化(solid stating)を用いる。
【0005】
図1A、1B及び1Cを参照すると、PET製造設備の概略図が示されている。PET加工設備10は、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)を混合してプレポリマーペーストを形成する混合タンク12を含む。このプレポリマーペーストをエステル化反応器14に移し且つそこで加熱して、エステル化モノマーを形成する。エステル化反応器14中の圧力を調節して、エチレングリコールの沸点を制御し且つエステル化反応器16への生成物の移動を助ける。エステル化反応器14からのモノマーはエステル化反応器16中において更に加熱するが、今度はエステル化反応器14中の圧力よりも低い圧力下で実施する。次に、エステル化反応器16からのモノマーをプレポリマー反応器18中に導入する。このモノマーを、プレポリマー反応器18内にある間に真空下で加熱して、プレポリマーを形成する。このプレポリマーのインヘレント粘度は、プレポリマー反応器18内で増加し始める。プレポリマー反応器18中で形成されたプレポリマーは重縮合反応器20、次いで重縮合反応器22に順次導入する。プレポリマーは、重縮合反応器20、22のそれぞれの中で、プレポリマー反応器18中よりも大きい真空下で加熱することによって、ポリマー鎖長及びインヘレント粘度を増加させる。最終重縮合反応器の後に、PETポリマーをポンプ24によって加圧下でフィルター26,28、そしてダイ30、32、24に通して移動させて、PETストランド36、38、40を形成させる(図1B参照)。
【0006】
図1Bを参照すると、ポリエステルペレットの形成方法が示されている。押出ポリマーストランド36、38、40は、それらがダイ30、32、34から出てくる際にストランドへの水噴霧流42、44、46によって冷却する。ダイ30、32、34から出てきた後、ストランド36、38、40はまだ高温の間にカッター54、56、58によって切断して、ペレット48、50、52にする。このようにして形成したポリエステルペレットは円筒形を有する傾向があるが、立方形、ドッグボーン形又は他の形状に変形させることもできる。プロセスのこの時点では、ポリエステルペレットは通常は非晶性である。ポリエステルペレットは典型的には顧客への出荷前に結晶化させる。このような結晶化はより高い温度におけるその後の乾燥を可能にするので、ポリエステルを要求通りに押出できる。ポリエステルペレットの結晶化は典型的にはペレットを結晶化温度より高い温度まで再加熱することによって達成する。ペレット結晶化時の追加熱は、結晶化熱の発生の結果として得られる。この追加熱はペレットを軟化させ且つ互いに付着させる傾向がある。従って、ペレットが軟化によって互いに粘着してしまわないように、ペレットを撹拌する。結晶化後、ペレットは一般に、高温ペレットの周囲に不活性ガスを通すことによって固相化して、インヘレント粘度を上昇させる。
【0007】
図1Cを参照すると、別のペレット形成プロセスの概略図が示されている。この変形においては、ダイ66、68、70から出てくるストランド60、62、64を水中でダイフェースカッター80、82、84によって切断して、ペレット72、74、76にする。この変形において、押出ポリエステルストランドはダイ66、68、70から出たときに水中に完全に浸漬され、水中で切断される。このようにして形成されたペレット72、74、76は、水中に出てくる際の溶融ポリエステルの表面張力のために球形を有する傾向がある。初めは、切断後のペレット72、74、76は依然として内部にかなりの熱量を保持している。その後、ペレット/水の組合せを搬送システム92によって乾燥機90に送る。有用な乾燥機の例としては、水からペレット72、74、76を除去する求心性乾燥機が挙げられる。乾燥機90から出る際に、乾燥機90から出てすぐには依然として高温であるペレット72、74、76の熱含量によって、更なる水が煮沸されて取り除かれる。ペレット/水の組合せを充分に速く乾燥機に搬送するならば、ポリエステルペレットは結晶化が起こるのに充分な熱を保持できる。ペレット72、74、76を次に晶析装置94に移し、晶析装置94内で結晶化が起こる滞留時間(約2〜20分)の間、滞留する。晶析装置94はまた、ポリエステルペレットが互いに粘着するのを妨げるのに充分な撹拌を提供する。
【0008】
特許文献2、3及び4は、ポリマーペレットの結晶化方法を開示している。特許文献2は、ポリマーペレットを液体浴(例えば水浴)中で高温で処理して結晶化を引き起こす方法を開示している。特許文献3及び4は、ペレットを乾燥機90へ、そして乾燥機90中に通して速く搬送するために図1Cのペレット/水スラリー中に空気を吹き込む方法を開示している。
【0009】
結晶化後、ペレット72、74、76は、濃密相搬送システム96によって1つ又はそれ以上のペレット加工ステーションに搬送する。このような濃密相搬送システムは空気を利用して、ペレットを1つの場所から別の場所に移動させる。例えば、ペレットは、ペレットの平均的性質が調整されるであろうブレンド用サイロに搬送する。このようなブレンド用サイロ中で、ポリエステルペレットを混ぜ合わせて、目標の規格を達成する。このような規格は、色、分子量、触媒濃度、添加剤濃度、密度などに関するものであることができる。更に別の例においては、ペレットを固相化プロセス反応器に搬送する。稀薄相搬送システムは、ペレット表面を溶融させるか又は高衝撃速度を有することによって、不所望な流れや微粉を形成する可能性があるので、この適用例においては濃密相搬送システムが稀薄相搬送システムよりも有用である傾向があることに留意すべきである。
【0010】
ポリマーペレット、特にポリエステルペレットを製造するためのこれらの方法及びシステムは充分に機能するが、これらの装置は製作及びメンテナンスのコストが高い傾向がある。典型的なPET製造ラインは、それぞれがかなり大きいモーターを利用し且つ製造プラント中で比較的大きい設置面積を占めるいくつかの晶析装置を含む場合がある。このような晶析装置の初期資本投資は優に100万ドルを超え得る。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,310,515号
【特許文献2】国際出願公開番号第WO2004/033174号
【特許文献3】米国特許出願公開第20050110182号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20050110184号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、設置、操作及びメンテナンスのコストがより低いポリマー加工装置及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも1つの実施態様において、複数個のポリマーペレットを結晶化させる方法を提供することによって1つ又はそれ以上の問題を克服する。この実施態様の方法は、複数個のポリマーペレットを入口において気体搬送システムに導入する工程を含む。結晶化が可能であるためには、ポリマーペレットは結晶性の1種又はそれ以上のポリマーから形成される必要がある。このような結晶性ポリマーは、結晶化温度及び溶融温度を特徴とする。更に、複数個のポリマーペレットは平均ペレット温度によって特徴付けられる。複数個のポリマーペレットは初期平均温度で気体搬送システムに導入する。複数個のポリマーペレットは、入口から出口まで搬送ガスを用いて気体圧によって移送する。搬送ガスは、気体搬送システムの出口からペレットを取り出す前に複数個のポリマーペレットの結晶化が実質的に開始されるか又は達成されるような温度範囲内に複数個のペレットを保持するのに充分な温度を有する。
【0014】
本発明は、有利には、乾燥機から気体圧によって運び去られている際にポリマーペレットの結晶化を促進する。結晶化を完了させるためには、ペレットは気体搬送システムにおいて充分な滞留時間を必要とする。結晶化速度は温度と共に増加するので、結晶化に必要な時間はより高温で結晶化させることによって短縮できる。例えば、結晶化は190℃の温度では2分で達成できる。この実施態様は、ペレットの搬送に使用する搬送ガスの温度を調節することによって、気体搬送システム中の結晶化温度を調節する。少なくとも1つの実施態様において、搬送ガスは空気である。有利には、本発明は、結晶化シェーカーデッキの使用を回避することによって、かなりのコスト削減をもたらすことができる。
【0015】
本発明の一変形において、結晶化コンベヤーシステムはカッターからストリッパーまでペレットを直接運び、それによって晶析装置/シェーカーの必要性を排除する。別の変形において、結晶化コンベヤーは、結晶化/ストリッピング時にペレットの混合を促進する少なくとも1つの上向きに傾斜したセクションを含む。このシステムの温度範囲内に沸点を有する液体又は別の気体をコンベヤーシステムに加えて、システム内の冷却を促進することができる。
【0016】
この実施態様の変形においては、ペレットが気体搬送システム中に滞留している間に、アルデヒドの全て又は一部を複数個のポリマーペレットからストリッピングする。ストリッピングを最適に実施すると、晶析装置/シェーカー及びストリッピング用の別の容器はいずれも排除できる。従って、結晶化コンベヤーにおいて使用する高温搬送ガスは、ペレットを搬送するための流体、結晶化を加速するための熱源及びアセトアルデヒドを除去するためのストリッピングガスとして働くことができる。滞留時間及び/又はストリッピング度を微調整するために、結晶化コンベヤー中の搬送ガス/ペレット比及び温度を調節できる。ポリマーペレット、特にPETからアセトアルデヒドを除去するのに使用できる温度は150〜200℃である。
【0017】
本発明の別の実施態様において、ポリマーペレットを結晶化させるための気体搬送システムを提供する。気体搬送システムは、搬送ガスを用いて複数個のポリマーペレットを気体圧によって搬送する導管を含む。この導管は、搬送ガスの温度が所定の範囲内にある場合に、気体搬送システムからペレットを取り出す前に複数個のポリマーペレットの結晶化が実質的に開始されるか又は達成されるような充分な長さを有する。気体搬送システムは更に、複数個のポリマーペレットを導管中に導入するための入口及び複数個のポリマーペレットを取り出すための出口を含む。
【0018】
本発明の更なる利点及び実施態様は説明から明らかであるか、或いは本発明の実施によって確認できるであろう。本発明の更なる利点はまた、添付した「特許請求の範囲」中で特に指摘した要素及び組合せによって実現及び達成されるであろう。従って、前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも本発明の一部の実施態様の例及び説明として役立ち、「特許請求の範囲」に記載した本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1Aは、重縮合反応器を通るポリエステル製造ラインの概略図であり;
図1Bは、ストランドカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図であり;
図1Cは、ダイフェースカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図であり;
図2は、本発明の方法において使用できる気体搬送システムの一実施態様の概略図であり;
図3は、傾斜した導管セクション中におけるペレットの混合の概略図であり;
図4は、長い水平導管セクションを有する気体搬送システムの一実施態様の概略図であり;そして
図5は、初期の長い傾斜した導管セクションを有する気体搬送システムの一実施態様の概略図である。
【0020】
これから、本発明者らが現在理解している本発明を実施するための最良の形態を構成する本発明の現在好ましい組成物、実施態様及び方法により詳細に言及する。図は必ずしも原寸に比例していない。また一方、開示した実施態様は、種々の代替形態で具体化できる本発明の単なる例示であることを理解すべきである。従って、本明細書中に開示した具体的な詳細は限定的なものとして理解するのではなく、本発明の任意の態様の代表的な基準として及び/又は当業者に本発明をさまざまに使用するための教示をするための代表的な基準としてのみ解釈すべきである。
【0021】
実施例を除いて又は他に特に断らない限り、材料の量又は反応及び/若しくは使用の条件を示す本明細書の説明中の全ての数量は、本発明の最も広い範囲の記載においては「約」によって修飾されるものと理解すべきである。記載した数値限度内における実施が一般に好ましい。また、そうでないことが明白に述べられない場合には、パーセント、「部」及び比の値は重量に基づき;用語「ポリマー」は「オリゴマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」などを含み;1つの群又は種の材料が本発明に関連して所定の目的で適当である又は好ましいという記載は、その群又は種の構成員の任意の2つ又はそれ以上の混合物が等しく適当である又は好ましいという意味を含み;化学用語での成分の記載は、その記載において特定された任意の組合せへの添加時における成分を意味し、混合後の混合物の成分間の化学相互作用を必ずしも除外せず;頭字語又は他の略語の最初の定義は同じ略語の本明細書中における全てのその後の使用に適用し、最初に定義された略語の通常の文法上の変形に、変更すべきところは変更して適用し;そうでないことが明白に述べられない場合には、性質の測定値は、同じ性質について前に参照した又は後で参照するのと同じ方法によって測定する。
【0022】
また、具体的な成分及び/又は条件は当然ながら変動し得るので、本発明は以下に記載する具体的な実施態様及び方法に限定するものではないことを理解すべきである。更に、本明細書中で使用した用語は、本発明の特定の実施態様の説明のためにのみ用いるのであって、決して限定を目的としない。
【0023】
また、本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形(a、an及びthe)は、前後関係からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば、単数形の成分への言及は、複数の成分を含むものとする。
【0024】
本明細書の全体を通して、文献を参照する場合には、本発明が関係する最新技術をより完全に説明するために、これらの文献の開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0025】
本明細書で使用する用語「ポリマーペレット」は、ポリマーから形成される三次元物体を意味する。このようなポリマー物体は、任意の方向におけるポリマー物体の寸法より大きいか又はそれに等しい最大寸法を含む。ポリマーペレットは、球形、円筒形などのような複数個の形状で生じる。球の最大寸法は直径である。
【0026】
本明細書中で使用する用語「結晶化熱」は、質量単位の物質が結晶化する際に放出される熱量を意味する。
【0027】
本明細書中で使用する用語「結晶化温度」は、物質の少なくとも一部が結晶化し始める温度を意味する。
【0028】
本明細書中で使用する用語「溶融温度」は、物質の少なくとも一部が結晶状態から液体に転移する温度を意味する。物質が本発明のために一定の温度範囲にわたってこのような転移を受ける場合には、溶融温度はこのような範囲の温度の中央値(median temperature)である。典型的には、非晶性ペレットは結晶性ペレットよりも低い温度で溶融する。
【0029】
本明細書中で使用する用語「結晶化度」は、ポリマーサンプルにおける結晶化度の分数量を意味する。本発明において、結晶化度はポリマーペレットにおける結晶化度の平均分数量である。結晶化度は、重量%又は容量%として表すことができる。本明細書中で使用する結晶化度は、そうでないことが明白に示されない限り、重量%として表す。結晶化度は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定できる。
【0030】
本発明の一実施態様において、複数個のポリマーペレットの結晶化方法を提供する。本発明に係る複数個のポリマーペレットを気体搬送システムに導入する。一般に、本発明に従って結晶化させる複数個のペレットは、非晶性ペレット又は所望の結晶化度より低い結晶化度を有するペレットである。この実施態様の一変形において、結晶化前のペレットの結晶化度は30重量%未満である。この実施態様の別の変形においては、結晶化前のペレットの結晶化度は20重量%未満である。この実施態様の更に別の変形においては、結晶化前のペレットの結晶化度は10重量%未満である。
【0031】
結晶化後の結晶化度は典型的には30重量%より大きい。他の変形において、結晶化後の結晶化度は40重量%より大きい。ほとんどの適用例では、結晶化後の結晶化度は70重量%未満である。他の変形においては、結晶化後の結晶化度は60重量%未満である。更に他の変形においては、結晶化後の結晶化度は50重量%未満である。
【0032】
有利には、結晶化させるポリマーペレットは任意の結晶性ポリマーを含む。この結晶性ポリマーは結晶化温度及び溶融温度を特徴とする。このようなポリマーの例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン及びポリケトンが挙げられるが、これらに限定するものではない。比較的高い結晶化熱を有するポリマーが最も有用である。一変形において、このような有用なポリマーの結晶化熱は、(ポリマーの結晶化熱)÷(ポリマーの熱容量)が少なくとも5℃であるようなものである。この実施態様はポリアルキレンテレフタレートポリマー、とりわけポリエチレンテレフタレートポリマーの結晶化に特に有用である。
【0033】
本発明の一変形においては、未使用ポリエステル溶融ポリマーを連続法で溶融相重合し、得られた溶融ポリマーを水のような液体との接触によって凝固させてペレットを形成する。この液体の少なくとも一部をペレットから分離する。次いで、ペレットを本発明の搬送システムに導入する。更なる改良において、液体はペレットから連続的に分離して、部分乾燥されたペレットの流れを形成する。続いて、ペレットのこの流れを本発明の搬送システムの入口に連続的に導入する。一部の変形においては、ペレットは、搬送システムの入口への導入時に1重量%未満の含水率を有する。他の変形において、ペレットは、搬送システムの入口への導入時に0.2重量%未満の含水率を有する。例えば、溶融相重合プロセスから出た又は本発明の搬送システムに導入されるポリアルキレンテレフタレートポリマーは、少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.6dL/g、とりわけ少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.74dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gであって、約1.2dL/g以下又は1.1dL/g以下又は0.9dL/g以下のIt.V.を有する。部分結晶化ポリエステルポリマーはまた、有利には固相重合させない。従って、固相重合されていない、少なくとも20%の結晶化度及び少なくとも0.70dL/gのIt.V.を有する複数個の部分結晶化ペレットを含む出荷用コンテナを包含する実施態様も提供する。適当な出荷用コンテナは、少なくとも1m3若しくはそれ以上又は2m3若しくはそれ以上又は3m3若しくはそれ以上又は8m3若しくはそれ以上又は20m3若しくはそれ以上の容積を有する、商業目的での出荷に適当なものであり、ゲイロードボックス(Gaylord box)、鉄道タンク貨車、トラクタートレイラー用のトレイラー及び船殻などである。ペレットのIt.V.は前に特定した0.70dL/gより高い任意の値であることができ、結晶化度は前に特定した20%より高い任意の値であることができる。
【0034】
本発明の方法で利用するペレットは、当業者に知られた種々の方法によって形成する。このようなペレット形成方法の例としては、図1A、1B及び1Cに図示し且つ前述した方法が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明は、少なくとも1つの実施態様において、図1Cの説明に関連して記載したような晶析装置を用いたシステムに比べて改善をもたらすことを認識すべきである。詳細には、本発明は晶析装置を排除できると共に、装置コストを同時に著しく減少させることができる。
【0035】
この実施態様の方法は、ほとんど全ての形状又は寸法のペレットの結晶化に使用する。典型的には、複数個のポリマーペレットの少なくとも一部は、0.25インチ未満の最大サイズ寸法を特徴とする三次元物体である。本発明の実施において使用できるペレット造形品の例としては、球状に造形されたペレット、円筒状に造形されたペレット及び長方形断面を有するペレットが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0036】
図2を参照すると、本発明の一実施態様の理想的概略図が示されている。この実施態様の方法は、複数個のポリマーペレット100をペレット入口104を経て気体搬送システム102中に導入することを含む。一変形においては、複数個のペレット100を5,000〜200,000lb/時の量で晶析装置に導入する。一変形においては、ポリマーペレット100と共に再生ペレットを差圧分離装置106を経て気体搬送システム102に導入することができる。この変形においては、ペレット100の温度は、再生ペレットの温度を変えることによって調節できる。
【0037】
少なくとも図示した実施態様においては、ペレット100は差圧分離装置106によってペレット入口104に導入する。差圧分離装置106に使用できる装置の例としては、ロータリー・エアロック及びブローポットが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0038】
複数個のポリマーペレット100は、搬送システム102への導入時に初期平均ペレット温度を有する。この実施態様のいくつかの変形において、ペレット100は、ペレット100が搬送システム102中に滞留する間に結晶化が起こるのに有効な高温である。ペレット100がPETである場合のような少なくとも一部の実施態様において、この高温は135〜205℃であり、他の実施態様においては155〜200℃である。ポリマーペレットは、ポリマーペレットを冷却後に再加熱する方法を含む任意のやり方で提供できる。このような方法の一例としては、図1Bの説明と関連して前述した、ストランドカッターによるPETストランドの切断が挙げられる。
【0039】
気体搬送システム102は搬送導管108を含む。この実施態様の一改良において、搬送導管108の全長は10〜1000フィートである。別の改良においては、搬送導管108の全長は50〜500フィートである。更に別の改良においては、搬送導管108の全長は100〜300フィートである。
【0040】
搬送導管108は、実質的に水平な導管セクション110を含む。導管セクション110の水平配置は、ペレットを搬送のために位置付けることができる。典型的には、導管セクション110は長さが5〜20管径(即ち導管セクションの直径)である。気体搬送導管110は場合によっては、上向きに傾斜したセクション112を含む。上向きに傾斜したセクション112に入ると、ペレット100は、重力に対して角度A1で規定される上向きの方向に移動するように誘導される。角度A1は典型的には90°未満であって、0°より大きい。一変形において、A1は25°〜65°である。別の変形において、A1は35°〜55°である。最適には、A1は約45°である。搬送導管108は場合によっては、これもまた実質的に水平である導管セクション116のような追加導管セクションや1つ又はそれ以上の垂直セクション(図示せず)を含む。
【0041】
この実施態様の方法に従って、複数個のポリマーペレットを、119で図示した搬送ガスによって入口104から出口118まで気体圧によって移送する。搬送ガス119の流れは、流量制御装置120によって調節できる。適当な流量制御装置120の例としては、計量型圧縮機、流量計、マスフローコントローラー、バルブ、オリフィス、拡大ノズルなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。搬送ガス119は、気体搬送システム102からペレットを取り出す前に複数個のポリマーペレット100の結晶化が実質的に開始されるか又は達成されるような温度範囲内に複数個のポリマーペレット100を保持するのに充分な温度を有する。少なくとも1つの実施態様において、この温度範囲はポリマーペレット100の溶融温度未満である。例えば、ペレット100がPETから形成される場合には、この温度は135〜200℃である。
【0042】
ペレットの移送を行っている搬送ガス119は場合によっては、温度調節装置122によって加熱又は冷却することができる。更に、搬送システムに導入する搬送ガスの温度は、当該入口に導入するペレットの温度よりも高いか又は低いことができる。他の変形においては、搬送導管108の1つ又はそれ以上の部分を、水、蒸気又は他の伝熱媒体を用いて熱ジャケットによって加熱又は冷却することができる。図2は、収集装置126に移送されているペレット100を示している。最後に、場合によっては搬送ガス119を熱交換装置130を経て回収し、揮発性有機化合物は熱破壊装置132中で破壊することができる。場合によっては、熱交換装置130の前又は後に、微粒子除去装置(図示せず)を配置することができる。他の変形において、搬送ガス119の温度は、搬送導管108の長手方向に高温又は低温ガスを加えることによって調節できる。典型的には、搬送ガスは0〜220℃の範囲の温度で搬送システムに導入する。
【0043】
搬送システム102は、濃密層又は稀薄相搬送システムであることができる。少なくとも1つの実施態様において、搬送システム102が濃密相搬送システムである場合には、搬送導管108の長さは5〜20管径であり、滞留時間は3秒〜20分である。他の変形においては、滞留時間は1〜20分である。更に別の変形においては、滞留時間は1〜10分である。搬送システム102が濃密相搬送システムである変形において、搬送速度は、100PSIGに等しいか又はそれ以下の搬送圧力で100〜1000フィート/分の範囲である。搬送システム102が濃密相搬送システムである別の変形において、搬送速度は、100PSIGに等しいか又はそれ以下の搬送圧力で1000〜3000フィート/分の範囲である。搬送システム102が濃密相搬送システムである更に別の変形において、搬送速度は、15インチ水銀に等しいか又はそれ以下の搬送圧力で50〜1000フィート/分である。少なくとも1つの実施態様において、搬送システム102が稀薄相搬送システムである場合には、搬送導管108の長さは5〜20管径であり、滞留時間は30秒〜10分である。搬送システム102が稀薄相搬送システムである変形において、搬送速度は、15PSIGに等しいか又はそれ以下の搬送圧力で1000〜4000フィート/分である。搬送システム102が稀薄相搬送システムである別の変形において、搬送速度は、15PSIGに等しいか又はそれ以下の搬送圧力で約4000フィート/分又はそれ以上である。搬送システム102が稀薄相搬送システムである更に別の変形において、搬送速度は、15インチ水銀に等しいか又はそれ以下の搬送圧力で1000〜4000フィート/分である。搬送システム102が稀薄相搬送システムである更なる変形において、搬送速度は、15インチ水銀に等しいか又はそれ以下の搬送圧力で4000フィート/分又はそれ以上である。
【0044】
本発明の別の変形においては、ペレット10を、気体搬送システム102中で搬送しながらペレットを冷却するような温度の流体と接触させる。この変形の更なる改良において、流体は、流体との接触がなされる場所においてペレット100の平均温度より低い沸点を有する液体である。従って、この改良において、流体は、ペレットとの接触時に沸騰する。
【0045】
図3を参照すると、内部にペレット100が含まれる、上向きに傾斜したセクション112の概略図が示されている。気体搬送システム102が上向きに傾斜したセクション112を含む場合には、ペレット100の一部が、方向d3で示されるように重力下で下方に移動する傾向がある。全体的にはペレットの最終的移動は方向d4の上向きであるので、この傾向は有利にはペレットの混合を可能にする。従って、既に結晶化し且つその結晶化熱から発生した熱のためにより高温である傾向があるペレット124は、まだ結晶化していない非晶性ペレット100と効率的に混合される。これは、結晶化されたペレット124から非晶性ペレット100への熱の移動を可能にし、それが非晶性ペレットの結晶化を助ける。
【0046】
この実施態様の特に有用な変形においては、ポリマーペレット100を、図1Cの説明に関連して前述したダイフェースペレットカッターによって切断する。この変形においては、ペレット100を、ペレット搬送システム92によってダイフェースペレットカッターから乾燥機90に移す。有用な乾燥機の例としては、水からペレット100を取り出す求心性乾燥機が挙げられる。これに関連して、乾燥機90はペレットを水から分離するのに使用できる任意の装置であることを理解すべきである。ペレット100の熱含量は乾燥機90から出てくる際には依然として比較的高いため、乾燥機90から出てすぐに、更なる水を煮沸によって取り除くことができる。この変形においては、ダイフェースペレットカッターを用いてペレット100をカッターから乾燥機に充分に速く移すので、ペレット100はかなりの熱量を保持している。典型的には、このような乾燥機から出ていくポリマーペレットは135℃より高い温度を有する。
【0047】
ペレット100のそれぞれは典型的には、内部が外部よりも高温である比較的不均一な温度分布を有することを理解すべきである。これは、ダイフェースカッター及びペレット搬送システム92中で使用する水の冷却効果とポリマーの低い熱度伝導率による。更に、各ペレットはわずかに異なる温度分布を有する可能性がある。従って、複数個のペレットは平均ペレット温度を有するものとして記載するのが適当である。
【0048】
また、ダイフェースカッターから乾燥機90へのペレット100の搬送に使用する水は、優れた又はより望ましい伝熱性を有する他の搬送用流体と置き換えることができることを理解すべきである。ペレット100の平均温度は、ダイフェースカッターから乾燥機90へのペレット100の搬送に使用する水(又は他の搬送用流体)の温度によって制御することもできる。例えば、搬送用流体は、より高い初期平均ペレット温度(気体搬送システム102に導入される際のペレットの温度)を実現するために加熱し、又はより低い初期平均ペレット温度を実現するために冷却することができる。典型的なポリエステル形成方法において、ダイフェースカッターから乾燥機90への搬送時間は約数秒であり、ペレット含有スラリーは、ペレット搬送システム92中にある間に10〜30フィート/秒の速度で移動する。
【0049】
この実施態様の一変形において、ポリマーペレット100は、結晶化の最適温度よりも高い平均温度を有する気体搬送システム102に入る。この変形において、ポリマーペレット100は搬送ガスによって冷却する。この変形においては搬送ガスはペレット100の平均温度よりも低い温度を有するであろう。この変形の方法は、通常は135℃の温度で結晶化し始め且つ200℃の温度で溶融するポリエチレンテレフタレートペレットの結晶化に特に有用である。ペレット100が結晶化が起こるのに充分な熱含量を有する領域を有する場合には、ペレット100が搬送されるにつれて、平均ペレット温度は上昇する。この温度上昇は、結晶化につれてペレット100から結晶化熱が放散される結果である。
【0050】
本発明の1つの改良において、初期平均ペレット温度(気体搬送システム102に導入する際の温度)と結晶化温度との差は、外部冷却がない場合にペレット100の結晶化によって引き起こされる温度上昇より小さい。従って、この改良においては、冷却された搬送ガスを用いて、ペレットを気体圧によって搬送し且つペレットの溶融又は粘着を妨げると同時に結晶化を依然として起こらせる。
【0051】
本発明の別の変形において、ペレットは結晶化が起こるのに充分な内部熱を含むであろう。本発明の他の変形においては、ペレットは結晶化に充分な熱を含まない。この後者の変形において、平均ペレット温度は、高温の搬送ガスと接触させることによって調節する。
【0052】
この実施態様の更に別の変形において、ポリマーペレット100は、結晶化が所望の結晶化度まで進行するには低すぎる平均温度で気体搬送システム102に入る。この場合には、搬送ガスの温度は、ポリマーペレット100が搬送ガスとの接触によって加熱されるような温度である(即ち、搬送ガスの温度はペレット100の平均温度よりも高い)。
【0053】
本発明の更に別の変形において、搬送ガス119はペレット100からアセトアルデヒドをストリッピングするのに充分な温度を有する。アセトアルデヒドのストリッピングが最も効率的であるためには、搬送ガス119は、気体搬送システム102中に存在する温度及び圧力においてペレット100中のアセトアルデヒドの平衡濃度未満でなければならない。搬送ガス119中のアセトアルデヒドは、アセトアルデヒドを搬送ガス中に拡散させるように、ペレット100中のアセトアルデヒドの蒸気圧未満でなければならない。一変形において、搬送ガスの温度は、ポリマーペレットから残留アセトアルデヒドを少なくとも4ppm低減させるのに充分な温度である。別の変形において、搬送ガスの温度は、ポリマーペレットから残留アセトアルデヒドを少なくとも2ppm低減させるのに充分な温度である。更に別の変形において、搬送ガスの温度は、ポリマーペレットから残留アセトアルデヒドを少なくとも1ppm低減させるのに充分な温度である。更に、場合によっては、追加のアセトアルデヒドストリッピングを収集装置又は容器126(図2)中で、導管134を経て追加のガスをその装置に貫流させることによって実施する。この追加ガスは導管136から抜き、ストリッピングしたアセトアルデヒドは熱破壊装置132中で破壊する。一変形において、コンベヤーシステムの出口118から出たペレットは、ペレットの残留アセトアルデヒドレベルが低減された容器に連続的に供給する。この変形の更なる改良において、容器は、その容器内のポリエステルポリマーペレットの流動様式が栓流となるような位置に入口及び出口があるように配向させる。典型的には、当該容器内のアセトアルデヒドレベルの低減は少なくとも4ppmである。他の改良において、当該容器内のアセトアルデヒドレベルの低減は少なくとも2ppmである。アセトアルデヒドストリッピングは、比較的小さいペレットを用いることによって更に向上する。
【0054】
図4及び5を参照すると、この実施態様の変形が示されている。図4においては、搬送導管108が入口104から実質的に水平である変形が示されている。この変形においては、複数個のポリマーペレット100を、実質的に水平な導管セクション110において搬送導管108に導入する。搬送導管108は、次のステーション又はプロセス装置(例えば収集装置126)までが実質的に水平であり続けることができる。導管セクション110は相当の距離にわたって実質的に水平であり続ける。一改良において、導管セクション110は少なくとも10フィートにわたって水平である。別の改良において、導管セクション110は少なくとも50フィートの距離にわたって水平である。更に別の改良において、導管セクション110は少なくとも100フィートの距離にわたって水平である。
【0055】
また、搬送導管108の全長は10〜1,000フィートであることを理解すべきである。別の改良において、搬送導管108の全長は50〜500フィートである。更に別の改良において、搬送導管108の全長は100〜300フィートである。
【0056】
図5には、搬送導管108がペレット入口104に隣接した領域から最初に角度を付けられている一変形が示されている。搬送導管108は、次のステーション又はプロセス装置(例えば収集装置126)までが実質的に傾き続けることができる。
【0057】
ペレット100と実質的に反応もしないしペレットの性質に悪影響も与えない、不活性又は非反応性の任意の型の気体を、搬送ガス119として使用できる。適当な気体としては、空気、窒素、アルゴン、二酸化炭素、それらの組合せなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。この実施態様の一変形においては、流量制御装置120を、搬送ガス119の流量の制御に使用する。別の変形において、搬送ガス119の流量は、搬送ガスの速度を制御して流れを制御できるロータリー・ローブ・コンプレッサーのような陽圧凝縮装置(positive pressure condenser)によって制御できる。
【0058】
本発明の別の実施態様において、本発明の方法を実施する、ポリマーペレットを結晶化するための気体搬送システムを提供する。図2を参照すると、気体搬送システム102は、導管108に複数個のポリマーペレット100を導入するための入口104及び複数個のポリマーペレットを取り出すための出口118を更に含む。少なくとも図示した実施態様においては、ペレット100は、差圧分離装置106によってペレット入口104に導入する。差圧分離装置106に使用できる装置の例としては、ロータリー・エアロック及びブローポットが挙げられるが、これらに限定するものではない。気体搬送システム102は、複数個のポリマーペレット100を搬送ガス119を用いて気体圧によって搬送するための搬送導管108を含む。
【0059】
この実施態様の一改良において、搬送導管108の全長は10〜1000フィートである。別の改良において、搬送導管108の全長は50〜500フィートである。更に別の改良において、搬送導管108の全長は100〜300フィートである。搬送導管108は、実質的に水平な導管セクション110を含む。導管セクション110の水平配置は、ペレットを搬送のために位置付けることができる。典型的には、導管セクション110は長さが5〜20管径である。気体搬送導管110は場合によっては、上向きに傾斜したセクション112を含む。その詳細については前述してある。
【0060】
搬送導管108は場合によっては、これもまた実質的に水平である導管セクション116のような追加導管セクションを含む。この実施態様の方法に従って、複数個のポリマーペレットを、搬送ガスによって入口104から出口118まで気体圧で移送する。搬送ガス119の流れは、流量制御装置120によって調節できる。適当な流量制御装置120の例としては、計量型圧縮機、流量計、マスフローコントローラー、バルブなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。搬送ガス119は、気体搬送システム102からペレットを取り出す前に複数個のポリマーペレットの結晶化が実質的に開始されるか又は達成されるような温度範囲内に複数個のポリマーペレット100を保持するのに充分な温度を有する。少なくとも1つの実施態様において、この温度範囲はポリマーペレット100の溶融温度未満である。
【0061】
ペレットの移送を行っている搬送ガス119は場合によっては、温度調節装置122によって加熱又は冷却することができる。図2は、収集装置126に移送されているペレット100を示している。最後に、場合によっては搬送ガス119を熱交換装置130を経て回収し、揮発性有機化合物は熱破壊装置132中で破壊することができる。
【0062】
図4は、導管セクション110がかなりの距離にわたって水平に伸びている概略図を示している。更なる改良においては、搬送導管108は、次のステーション又はプロセス装置(例えば収集装置126)までが実質的に水平であり続けることができる。一改良において、導管セクション110は少なくとも10フィートにわたって水平である。別の改良において、導管セクション110は少なくとも50フィートの距離にわたって水平である。更に別の改良において、導管セクション110は少なくとも100フィートの距離にわたって水平である。また、搬送導管108の全長は10〜1,000フィートであることを理解すべきである。別の改良において、搬送導管108の全長は50〜500フィートである。更に別の改良において、搬送導管108の全長は100〜300フィートである。
【0063】
図5には、搬送導管108がペレット入口104に隣接した領域から最初に角度を付けられている一変形が示されている。搬送導管108は、次のステーション又はプロセス装置(例えば収集装置126)までが実質的に傾き続けることができる。
【0064】
本発明の実施態様を例示し且つ説明したが、これらの実施態様は本発明の全ての可能な形態を例示及び説明するものではない。むしろ、本明細書中で用いた用語は、限定ではなく説明の用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しないならば、種々の変更が可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1A】重縮合反応器を通るポリエステル製造ラインの概略図である。
【図1B】ストランドカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図である。
【図1C】ダイフェースカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図である。
【図2】本発明の方法において使用できる気体搬送システムの一実施態様の概略図である。
【図3】傾斜した導管セクション中におけるペレットの混合の概略図である。
【図4】長い水平導管セクションを有する気体搬送システムの一実施態様の概略図である。
【図5】初期の長い傾斜した導管セクションを有する気体搬送システムの一実施態様の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)結晶化温度及び溶融温度を有する結晶性ポリマーを含む複数個のポリマーペレットを、気体搬送システムに入口に導入し;そして
b)気体搬送システムの出口からペレットを取り出す前に、前記の複数個のポリマーペレットの結晶化が実質的に開始されるか又は達成されるような温度範囲内に前記の複数個のポリマーペレットを保持するのに充分な温度を有する搬送ガスを用いて、前記の複数個のポリマーペレットを入口から出口まで気体圧によって移送する
ことを含んでなる、複数個のポリマーペレットを結晶化する方法。
【請求項2】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が球形又は円筒形を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が長方形の断面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記の複数個のポリマーペレットがポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン及びポリケトンからなる群から選ばれた成分を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記の複数個のポリマーペレットがポリエステルを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートポリマー又はコポリマーである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記の複数個のポリマーペレットが、前記搬送システムの出口から取り出した後に約30%より大きい結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記の複数個のポリマーペレットが、前記搬送システムの出口から取り出した後に少なくとも40%の結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記搬送システムに導入したペレットの結晶化度を少なくとも10%を増加させる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記搬送システムに導入したペレットの結晶化度を少なくとも20%を増加させる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記搬送システムに導入するペレットの結晶化度が30%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記搬送システムに導入するペレットの結晶化度が20%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記結晶性ポリマーがPETを含み且つ前記温度範囲が約135〜約200℃である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記結晶性ポリマーがポリアルキレンテレフタレート若しくはポリアルキレンナフタレートポリマー又はコポリマーを含み且つ前記温度範囲が約135〜約190℃である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記搬送システム内における前記ペレットの滞留時間が30秒〜20分である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記気体搬送システムが濃密相搬送システムである請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記気体搬送システムが稀薄相搬送システムである請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記の複数個のポリマーペレットがポリマーの結晶化温度より高いか又は結晶化温度に等しい温度を有する領域を含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記搬送ガスが空気、窒素、二酸化炭素及びアルゴンからなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記搬送ガスを0〜220℃の範囲の温度で前記搬送システムに導入する請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記搬送システム中に導入する際の前記搬送ガスの温度が前記入口に導入するペレットの温度より低い請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記の複数個のポリマーペレットを、差圧分離装置によって前記気体搬送システムの入口に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ペレットから液体を連続的に分離して部分乾燥ペレットの流れを形成し、そして部分乾燥ペレットの流れを前記搬送システムの入口に連続的に導入することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ペレットが、前記搬送システムの入口に導入する際に、1重量%未満の含水率を有する請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ペレットが、前記搬送システムの入口に導入する際に、0.2重量%未満の含水率を有する請求項23に記載の方法。
【請求項26】
連続プロセスにおいて、未使用ポリエステル溶融ポリマーを溶融相重合させ、前記溶融ポリマーを水との接触によって凝固させてペレットを形成せしめ、水の少なくとも一部を前記ペレットから分離し、そして前記ペレットを前記搬送システムに導入することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記凝固プロセスから形成された前記ポリエステルポリマーペレットが少なくとも0.70dL/gのIt.V.を有する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記It.V.が少なくとも0.72dL/gである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記It.V.が少なくとも0.76dL/gである請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記コンベヤーシステムの出口から出たペレットを、ペレットの残留アセトアルデヒドレベルを低減させる容器に連続的に供給する請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記容器内のアセトアルデヒドレベルの低減が少なくとも4ppmである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記容器から出た時のペレットの残留アセトアルデヒドレベルが2ppm未満である請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記気体搬送システムが上向きに傾斜したセクションを含み、前記の上向きに傾斜したセクションが、前記の複数個のポリマーペレットが上向きに傾斜したセクションに通して搬送される場合に上向きに進むような角度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記角度が、上向き傾斜したセクションに入る前記の複数個のペレットの一部を下向きに落下させ、それによって前記の複数個のペレットを混合する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記角度が約25°〜65°である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記の複数個のペレットを5,000〜200,000lb/時の量で晶析装置中に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記搬送ガスの温度が前記ポリマーペレットから残留アセトアルデヒドを少なくとも4ppm低減させるのに充分な温度である請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記搬送ガスの温度が前記ポリマーペレットから残留アセトアルデヒドを少なくとも2ppm低減するのに充分な温度である請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記搬送ガスの温度が前記ポリマーペレットから残留アセトアルデヒドを少なくとも1ppm低減させるのに充分な温度である請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記搬送ガス中のアセトアルデヒドの濃度が、前記気体搬送システム中の存在する温度及び圧力において、前記の複数個のペレット中のアセトアルデヒドの平衡濃度より低い請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記気体搬送システム中の前記の複数個のポリマーペレットを、前記ポリマーペレットを冷却するのに充分な温度の流体と接触させることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記流体が前記の複数個のペレットとの接触時に沸騰する液体である請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記液体が水を含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記の複数個のペレットの一部が約0.25インチ未満の最大サイズ寸法を特徴とする三次元物体である請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記搬送システムの長さが少なくとも50フィートである請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記ペレットを出荷用コンテナに詰めることを更に含み、前記ペレットが固相で重合されていない請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記ペレットを、溶融ポリエステルポリマーの切断によって得る請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記ペレットを、ダイフェースカッターを用いた溶融ポリエステルポリマーの切断によって得る請求項1に記載の方法。
【請求項49】
a)結晶性であって且つ結晶化温度及び溶融温度を有する複数個のPETペレットを、気体搬送システムに入口に導入し;そして
b)気体搬送システムの出口からペレットを取り出す前に、前記の複数個のPETペレットの結晶化が実質的に開始されるか又は達成されるような温度範囲内に前記の複数個のPETペレットを保持するのに充分な温度を有する搬送ガスを用いて、前記の複数個のPETペレットを入口から出口まで気体圧によって移送する
ことを含んでなる、複数個のPETペレットを結晶化する方法。
【請求項50】
複数個のポリマーペレットを搬送ガスを用いて気体圧によって搬送するための導管であって、前記搬送ガスの温度が所定の範囲内にある場合に、気体搬送システムからペレットを取り出す前に前記の複数個のポリマーペレットの結晶化が実質的に開始されるか又は達成されるような充分な長さを有する導管;
前記の複数個のペレットを前記導管に導入するための入口;及び
前記の複数個のペレットを取り出すための出口
を含んでなる、ポリマーペレットを結晶化するための気体搬送システム。
【請求項51】
前記導管が上向きに傾斜したセクションを含み、前記の上向きに傾斜したセクションが、前記の複数個のポリマーペレットが上向きに傾斜したセクションに通して搬送される場合に上向きに進むような角度を有する請求項50に記載の気体搬送システム。
【請求項52】
前記角度が、前記の上向きに傾斜したセクションに入る前記の複数個のペレットの一部を下向きに落下させ、それによって前記の複数個のペレットを混合するのに充分な角度である請求項51に記載の気体搬送システム。
【請求項53】
前記の複数個のペレットを前記入口に導入するための差圧分離装置を更に含む請求項50に記載の気体搬送システム。
【請求項54】
前記差圧分離装置がロータリー・エアロック又はブローポットである請求項53に記載の気体搬送システム。
【請求項55】
前記搬送ガスの流量を制御するための計量装置を更に含む請求項50に記載の気体搬送システム。
【請求項56】
前記搬送ガスの温度を制御するための温度制御装置を更に含む請求項50に記載の気体搬送システム。
【請求項57】
回収されたポリエステルポリマーペレットを、前記ペレット中の残留アセトアルデヒドレベルを低減させる容器に連続的に供給する請求項50に記載の気体搬送システム。
【請求項58】
前記容器内におけるアセトアルデヒドレベルの低減が少なくとも4ppmである請求項57に記載の気体搬送システム。
【請求項59】
前記容器から出る時のペレットの残留アセトアルデヒドレベルが2ppm未満である請求項57に記載の気体搬送システム。
【請求項60】
前記容器が、前記容器内におけるポリエステルポリマーペレットの流動様式がプラグフローとなるような位置に入口及び出口を有するように配向させられた請求項57に記載の気体搬送システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−538369(P2009−538369A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512049(P2009−512049)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/011794
【国際公開番号】WO2007/139712
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】