説明

結晶性組成物及びウェハに関連する方法

第1の結晶組成物がガリウムと窒素を含む、結晶組成物を成長させる方法。この結晶組成物は約3175cm−1に赤外吸収ピークを有し、単位厚み当りの吸光度が約0.01cm−1より大きい。一態様で、この材料は1立方センチメートル当り約3×1018未満の濃度の酸素量を有し、第1の結晶組成物の所定の体積中には二次元の平面境界欠陥がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年12月13日に出願された米国特許出願第11/010,507号の一部継続出願である2006年3月15日に出願された米国特許出願第11/376,575号の一部継続出願であり、2002年12月27日に出願された米国特許出願第10/329,981号の一部継続出願である。本出願は、これらの優先権及びそれによる利益を主張し、これらの開示は、参照によりここに援用される。
【0002】
連邦政府により援助された研究開発に関する記載
米国政府は、米国商務省の米国標準技術局によって与えられた協力協定第70NANB9H3020号に基づき、本発明についての一定の権利を有することが許されている。
【0003】
本願態様は、結晶組成物に関連する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
金属窒化物系のオプトエレクトロニクス(光電子工学)デバイス及びエレクトロニクス(電子工学)デバイスは、商業的に有用である。比較的低い欠陥レベルを有する金属窒化物を得ることが望ましい。そのような欠陥は、デバイスの半導体層中の貫通転位を含んでいてよい。このような貫通転位は、金属窒化物層の、サファイア又は炭化ケイ素のような不均一の基板に対する格子不整合から生じ得る。欠陥は、層の成長方法の詳細に応じて、熱膨張の不整合(ずれ)、不純物及び傾角境界から生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在利用されているものとは異なる金属窒化物を作製及び/又は利用する方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様で、方法が、第1の結晶組成物を基板上に成長させることを含んでいてよい。この第1の結晶組成物は、ガリウム及び窒素を含んでいてよい。この結晶組成物は、赤外吸収ピークを約3175cm−1で有し、単位厚み当たりの吸光度(吸収係数)は約0.01cm−1より大きい。或いは、第1の結晶組成物は、1立方センチメートル当り約3×1018個よりも小さな濃度で存在する酸素量を有し、第1の結晶組成物の所定の体積中には、二次元平面の境界欠陥がない。第1の結晶組成物は基板から外し、これによりシード結晶(種結晶)が規定される。第2の結晶組成物は、第1の結晶組成物の少なくとも1つの表面の上に成長させることができる。
【0007】
本発明の態様は、圧力下にあり且つ核形成中心と関連している源材料(ソース材料)を加熱する方法を含んでいてよい。核形成中心は、リン、ヒ素、アルミニウム又はインジウムのそれぞれを約5モルパーセント未満有する第1の結晶組成物を含んでよい。第1の結晶組成物は、直径3mmを超える少なくとも1つの粒子(grain、結晶粒)を含み、1平方センチメートル当り約1000未満の一次元転位密度を有してよく、傾角境界のような二次元の欠陥はない。この方法は、第1の結晶組成物上に第2の結晶組成物をさらに成長させることを含んでよい。一態様で、第2の結晶組成物は窒化ガリウムを含んでいてよい。
【0008】
また、一態様において、本発明は、窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法にも関する。ここで、結晶の成長は、一態様では横方向(lateral)に起こり、<11−20>方向の横方向成長は、大面積の(0001)及び(000−1)面を備えた結晶組成物を生成する。他の実施態様において、<10−10>方向の横方向成長は、大面積の(0001)及び(000−1)面を備えた結晶組成物を生成し、<000−1>方向の横方向成長を含む第2の実施態様は、大面積の(10−10)面を備えた結晶組成物を生成し、<000−1>方向の横方向成長を含む第3の実施態様は、大面積の(11−20)面を備えた結晶組成物を生成する。
【0009】
同一の又は類似の部分を参照するために、同じ参照番号を図面全体にわたって使用する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一態様による窒化ガリウム結晶組成物を作製するために使用されるカプセルの概略的な断面図である。
【図2】本発明の一態様による窒化ガリウム結晶組成物を作製するために使用される圧力容器の概略的な断面図である。
【図3】本発明の一態様による結晶組成物の一連の発光スペクトル(フォトルミネセンススペクトル)である。
【図4】転位を含むc軸配向のシード結晶上で成長させたバルク窒化ガリウム中の転位の展開若しくは発生を示す概略図である。
【図5】傾角境界を含むc軸配向のシード結晶上で成長させたバルク窒化ガリウム中の傾角境界の展開を示す概略図である。
【図6】欠陥のあるシードの場合でさえ、大面積の低転位密度の結晶組成物の成長を可能にする切欠部を備えている窒化ガリウムシード結晶の概略図である。
【図7(a)】単純に研磨した端部を有する窒化ガリウムウェハの概略図である。
【図7(b)】面取りされた端部を有する窒化ガリウムウェハの概略図である。
【図7(c)】丸み付けされた端部を有する窒化ガリウムウェハの概略図である。
【図8】本発明の態様により生成した典型的なバルク窒化ガリウム基板の赤外スペクトルを示す図である。
【図9】HVPE法によって成長させた窒化ガリウム膜の近似的な転位密度を、厚みの関数として示す図である。
【図10】本発明の態様による方法によって成長させた結晶組成物の写真である。
【図11】本発明の態様による方法によって成長させた別の結晶組成物の写真である。
【図12】レーザダイオードの寿命の、転位密度への依存具合を示すプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願態様は、所定の特性を有する結晶組成物に関する。本願態様は、結晶組成物を作製すること及び/又は使用することに関連する方法に関する。さらに、結晶組成物から形成された1つ以上のウェハ及びそのウェハから形成される電子デバイスも提案されている。
【0012】
本願の明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される、近似用語(概量を表する語)は、いかなる定量的な表現を修飾するためにも使うことができ、その用語が関連する基本的な機能に変化をもたらさない許容範囲内で可変であってよい。したがって、「約」のような用語によって修飾された値は、規定されたその正確な値に限定されることはない。いくつかの例で、このような近似用語は、値を測定する機器の精度に対応し得る。
【0013】
結晶組成物及び準結晶組成物は、原子が均一な周期的な配列を形成している材料を含んでいてよい。準結晶組成物は、所定の単位面積当り粒子数を持ってよい。結晶組成物の欠陥は、各粒子中に存在していてもよいし、粒子を規定する粒界であってもよく、例えば1平方センチメートル当り1を超え約10,000未満の欠陥、又は1立方センチメートル当り約1016までの範囲の欠陥の量で存在していてよい。多結晶材料は、不規則に配向した多数の粒子を含み、各粒子は単結晶からなり、複数の粒子は、1立方センチメートル当り約1016個より多い粒界で存在する。
【0014】
結晶組成物の欠陥は、空格子点(vacancies、空孔)、格子間物質及び不純物のような点状欠陥、転位(刃状、らせん状、それらの混合)のような一次元の線状欠陥、傾角境界、粒界、劈開点及び劈開面のような二次元の面状欠陥、並びに孔、ピット及び割れ目のような三次元の拡張欠陥のうちの1つ以上を指す。対象が欠陥の特定の部分集合であることを文脈又は用語が示さなければ、欠陥は、上述の欠陥の1つ以上を指す。「二次元の欠陥がない」との語は、「傾角境界がない」と交換可能に使用することができ、これは、結晶組成物が、非実質的なレベルで傾角境界を有するか、又は傾角境界がTEM若しくはX線回折によって容易に検知できないような傾斜角を有するか、又は結晶組成物が、互いに大きく隔てられた、例えば少なくとも1ミリメートル以上の特定の距離で隔てられた傾角境界を含んでよいことを意味する。したがって、「〜がない」若しくは「不含である」(free)は、所定の用語と組み合わせて使用することができ、修飾された用語が含まれないと理解されるが、非実質的な数又は微量を含んでいてもよい。さらに、この「〜がない」若しくは「不含である」は、修飾された用語が全くないことも含む。
【0015】
ここで使用される限り、「III族窒化物半導体結晶」又は「結晶組成物」又は「窒化ガリウムを含む結晶組成物」という用語は、GaN、AlN、InN、AlGaN、InGaN及びそれらの合金を指し、AlInGa1−x−yN[式中、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦x+y≦1]で表される。
【0016】
ここで使用される限り、「窒化ガリウムを含む結晶組成物」という用語は、「窒化ガリウムを含む結晶」と交換可能に使用することができる。
【0017】
本発明の態様によれば、粒子境界及び傾角境界のような二次元の欠陥がない結晶組成物は、単一の核又はシード結晶から合成され成長させることができる。結晶組成物は、文字x、y、wによって表される3つの次元を有し、ここで、wは厚み、x及びyは、wに垂直な結晶面の次元を表す。丸められた又は円形の結晶においては、x=y=結晶組成物の直径である。成長した結晶組成物は、少なくとも1つの次元x又はyにおいて20ミリメートル(mm)以上の寸法を有していてよい。結晶組成物は、1つ以上の粒子を有し、この粒子は、ここに開示の特性又は属性を決定している。
【0018】
一態様において、結晶組成物はn型であり、導電性があり、不透明で、横方向の歪みがなく、二次元平面の境界欠陥がなく、約10,000cm−2未満の一次元の線状転位密度を有していてよい。一態様で、この転位密度は、約1000cm−2未満又は約100cm−2未満であってよい。二次元平面の境界欠陥は、例えば傾角境界を含んでよい。
【0019】
一態様において、結晶組成物はp型であってよい。別の実施態様では、半絶縁性であってよい。p型材料と言った場合、結晶組成物が、約300ケルビン(K)未満の室温、約300K〜約250K、約250K未満、約250K〜約100Kの又は約100K未満の温度で、p型半導体として機能することができる。一態様で、結晶組成物は、磁性、蛍光性又はその両方を有していてよい。結晶組成物は、不透明である、光学的に吸収性がある且つ/又は黒色であることの1つ以上であってよい。一態様で、不透明な結晶組成物は、ドープされていない結晶組成物であってよく、特に、不透明な結晶組成物は、マグネシウム不含であってよい。ここで用いる限り、黒色は、具体的に、暗灰色、暗青色、暗褐色又は他の色と区別され、はっきりとした色相を持たない。
【0020】
一態様で、結晶組成物は、3175cm−1の近傍の赤外吸収ピークという結果をもたらす形態の水素を含み、約0.01cm−1より大きな単位厚み当たり吸光度を有していてよい。
【0021】
結晶組成物は、約5モルパーセントまでのホウ素、アルミニウム、インジウム、リン及び/又はヒ素を含んでいてよい。一態様において、結晶組成物は、ホウ素、アルミニウム、インジウム、リン及び/又はヒ素を約0.1モルパーセント〜約0.25モルパーセント、約0.25モルパーセント〜約1モルパーセント、約1モルパーセント〜約2モルパーセント、又は約2モルパーセント〜約5モルパーセントの量で含んでていよい。一態様で、結晶組成物は、本質的にホウ素不含であってよい。一態様で、結晶組成物には、本質的にアルミニウム不含であってよい。一態様で、結晶組成物は、本質的にインジウム不含であってよい。一態様で、結晶組成物は、本質的にリン不含であってよい。一態様で、結晶組成物は、本質的にヒ素不含であってよい。一態様で、結晶組成物は、本質的に他のV族元素不含であってよい。一態様で、結晶組成物は窒化ガリウムであってよく、ガリウム以外の他のIII族金属を本質的に不含であってよい。
【0022】
一態様で、結晶組成物は、少なくともBe、C、O、Mg、Si、H、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr又はHfでドープされていてよい。一態様で、結晶組成物は、少なくとも1つの希土類金属でドープされていてよい。もし存在する場合には、そのドーパント濃度は、約1016cm−3まで、約1016cm−3〜約1021cm−3、又はそれより大きな範囲であってよい。
【0023】
比較的大きな窒化ガリウム結晶組成物は、過熱流体溶媒中の高圧高温度での温度勾配再結晶(temperature gradient recrystallization)によって成長させることができる。結晶組成物は真の単結晶、つまり、粒界等を全く含まないものであってよい。本発明の態様による他の結晶組成物には、傾角境界がない、つまり、非実質的な数の傾角境界を有するにすぎないか又は傾角境界等を全く有していない。
【0024】
この窒化ガリウム結晶組成物は、過熱流体中又は超臨界流体中で温度勾配再結晶によって成長させることができる。適切な流体は窒素を含み、アンモニア、ヒドラジン、トリアジン、メチルアミン、エチレンジアミン、メラミン又は他の窒素含有材料の1つ以上を含んでていよい。一態様で、窒素含有流体は、本質的にアンモニアからなる。
【0025】
源材料は、ガリウム及び窒素含み、例えば窒化ガリウム結晶粉末の形であってよい。源材料の他の形態、例えば、単結晶又は多結晶のAlN、アモルファス窒化ガリウム、又はガリウム金属若しくはガリウム化合物といった窒化ガリウム前駆体を使用することができる。単結晶又は多結晶のAlNは、当分野で公知の多くの方法によって成長させることができる。他の形のAlN、例えば、アモルファスAlN又はAlN前駆体、例えばアルミニウム金属若しくはAlの化合物を使用することもできる。温度勾配を有する態様では、源材料は、後述のじゃま板の開口を通過できないような充分に大きなサイズの1つ以上の粒子を含んでよい。その場合、以下に詳説するように、このじゃま板は、チャンバ又はカプセルの中の、源材料が存在する源材料領域を、核形成中心が存在する結晶組成物成長領域から隔離する。非GaN窒化物の成長のための一態様では、源材料の酸化物含量は、約1重量パーセント未満に維持される。
【0026】
窒化ガリウム成長のための核形成は、シード結晶なしの核形成中心でのカプセルの成長部分上、例えば容器壁の一部上で誘起されるだろう。別態様では、シード結晶を使用することができる。
【0027】
適切なシード結晶は、GaN系でも非GaN系であってもよい。完全に同じ窒化物から形成されたシード結晶は、制御のしやすさという理由、及び成長する結晶組成物の品質を比較的高くすることができるという理由で使用される。AlNの成長のための一態様で、核形成は、炭化ケイ素のような非AlNシード結晶を有するセルの結晶成長部上で誘起され得るが、このプロセスは、AlNシード結晶が用意された場合、より制御しやすくなる。適切なGaN系シード結晶は、HVPE法、昇華又は有機金属化学気相成長法(MOCVD)の少なくとも1つによって成長させた、又はその前の実施工程で過熱流体中で成長させた結晶組成物による自立(free-standing)窒化ガリウム膜を含んでいてよい。AlNを成長させるために様々なタイプのAlNシード結晶を使用することができ、それには、サファイア若しくはSiCのような非AlN基板上のエピタキシャルAlN層、HVPE法若しくはMOCVDによって成長させた自立AlN膜、昇華/再凝縮によって成長させたAlN結晶、又は前の実施工程で超臨界流体中で成長した結晶が含まれる。
【0028】
窒化ガリウムだけから形成されてないシード結晶を使用しない場合には、適切な非GaNシード結晶はサファイア又は炭化ケイ素を含んでいてよい。一態様で、非GaN系シード結晶は、成長表面を、窒化ガリウム層でプレコーティングされていてよい。適切にコーティングされたシード結晶は、非GaN基板上のエピタキシャル窒化ガリウム層を含んでいてよい。GaN系であっても非GaN系であっても、シード結晶は、約0.04ppmより大きい、又は約0.04〜約1ppmの量のフッ素を含んでいてよい。シード結晶は、約0.04ppmより大きい、又は約0.04〜約1ppmの量の塩素を含んでいてよい。一態様で、シード結晶は本質的にハロゲン不含である。
【0029】
シード結晶は、少なくとも1つの次元x又はyで1ミリメートルより大きく、傾角境界がなく且つ約10cm−2未満の転位密度を有する高品質であってよい。一態様で、シード結晶は、約10cm−2未満の転位密度を有していてよい。シード結晶の特性及び属性は、その上に成長させる結晶組成物の特性及び属性に直接的に影響を与えるだろう。
【0030】
成長は、全ての露出した窒化ガリウム表面で起り得るので、シード結晶はいかなる結晶配向(結晶方位)を有していてもよい。シードから成長させた窒化ガリウム結晶組成物は、優性的に(0001)、(000−1)及び(1−100)のファセットによって終端し、これらの全ての配向はシード表面に適している。(11−20)面は、本発明の方法において急速に成長し、好ましいシード結晶表面の配向をも構成することができる。一態様で、成長させた窒化ガリウムの結晶組成物の結晶配向は、(0001)配向、(000−1)配向、(10−10)配向、(11−20)配向及び(10−11)配向のうちの1つの約10°以内であってよい。一態様で、成長させた窒化ガリウム結晶組成物の配向は、これらの配向のうちの1つの約5°以内にあってよい。成長させたままの(未処理の)窒化ガリウム結晶組成物又は窒化ガリウムウェハの結晶性に対する標準的な基準は、(0002)反射のX線回折ロッキング曲線測定(x-ray diffraction rocking curve measurements)によって得ることができる。本発明の方法の窒化ガリウム結晶組成物及びウェハの、ωに対する(0002)回折強度の半値全幅(FWHM)は、約50秒角(arc-second)未満、約30秒角未満、約20秒角未満又は15秒角未満であってよい。
【0031】
シード結晶に関して、シード結晶は、10cm−2未満の転位密度を有し、傾角境界がないものであってよい。低欠陥のシード結晶を使用によって、同様に比較的低い転位密度及び比較的低密度の他の型の欠陥を有する成長結晶組成物を得ることができる。一態様では、結晶粒界が存在しなくても、窒化ガリウムシード結晶は1つ以上の傾角境界を含む。一態様では、シード結晶の性質及び特徴は、シード結晶の表面上で成長させた結晶の性質及び特徴に影響を及ぼし、制御する。
【0032】
約10cm−2未満の一次元の転位密度を有し、傾角境界のような二次元の欠陥がない窒化ガリウムの結晶組成物は、約10cm−2〜10cm−2の転位密度を有し且つ傾角境界のような二次元の欠陥がないシード結晶から、下記の手順によって成長させることができる。
【0033】
源材料、溶媒量、鉱化剤濃度、温度及び温度勾配を適切に制御することによって、シード結晶上の成長は、c方向(すなわち、c軸に沿った<0001>及び<000−1>)と、c方向に垂直な方向との両方で行うことができる。c方向に成長させるバルク窒化ガリウム中の転位密度410は著しく低減する。例えば、図4に示すように、約10cm−2の転位を含むc配向のシード結晶402上に300〜800μmの厚みの層を成長させることにより、シード結晶404の上の領域に約1〜3×10cm−2の転位を有する窒化ガリウムの結晶組成物が得られる。
【0034】
しかし、c配向のシード結晶402に対して横方向に成長させたバルク窒化ガリウム406は、図4に示すように、10cm−2未満の転位、10cm−2未満の転位、さらに少ない100cm−2未満の転位を有する。c配向のシード結晶502中に存在する境界510は、成長中にc方向に伝播し、図5に概略的に示すように、シード上に成長するバルク窒化ガリウム504中には、シード502の粒子構造に類似の粒子構造が生じる。しかし、図5に示すように、傾角境界510は、例えばm方向又はa方向の成長により横方向に成長したバルク窒化ガリウム中で外方向に放射状に延びることができ、これにより、結晶組成物が大きくなるにつれて傾角境界510がない領域520が漸次的に増大する。傾角境界510の位置は、X線回折、X線トポグラフィー又は単純な光学的反射によって決定され、新しいシード結晶を、傾角境界が完全にない横方向成長した窒化ガリウムから切り出することができる。この新しいシード結晶から成長させたバルク窒化ガリウムは、傾角境界を含まず、10cm−2未満、10cm−2未満、さらに低い100cm−2未満の転位密度を有していてよい。この議論はc配向のシード結晶を想定しているが、他の配向、例えば、(0001)配向、(000−1)配向、(10−10)配向、(11−20)配向及び(10−11)配向のうちの1つの約10°以内のシード結晶を使用してもよい。転位密度は、元のシード結晶からの横方向成長によって同様に低減し、傾角境界は外方向に放射状に延伸し、それにより、傾角境界がなく、10cm−2未満、10cm−2未満、又は一態様において100cm−2未満の転位密度を有するシード結晶が可能となる。
【0035】
10cm−2未満、10cm−2未満、さらには100cm−2未満の一次元の線状転位密度を有する比較的大面積の窒化ガリウムは、次の手順によって、より高い転位密度を有するシード結晶を使用して製造される。穴、切欠部又はジグザグパターンを、例えばレーザによって切削することによってシード結晶に設けることができる。そのようなシード結晶610の実施例を図6に示す。穴、切欠部又は他のパターンは、例えば円形、楕円、正方形又は長方形であってよい。図6に示す一態様で、スロット602又はジグザグ切欠部604の長い寸法は、(10−10)(m面)に対してほぼ平行に配向していてよい。この配向で、安定した成長前面が生じ、スロット602又はスペース606が滑らかに満たされる。このようにして、横方向成長612は、結晶組成物の周囲だけでなくむしろ中央部分で起こり、10cm−2を超える比較的高い転位密度を持つシードを使用した場合でさえ、10cm−2未満の極めて低い転位密度の材料の大きな領域608を生成する。このプロセスは繰り返すことができる。上述の方法によって成長させた結晶組成物は、やや低い転位密度及び極めて低い転位密度を有することができる。より高い転位密度を有する結晶組成物の領域は切り落とし、その結晶組成物をシードとして再使用してもよい。横方向成長612によって、極めて低い転位密度の材料608で、切り落としたエリア602が再び満たされる。このようにして、10cm−2未満及び100cm−2未満の転位密度を80パーセントを超える面積で有する大面積の窒化ガリウム結晶組成物を製造することができる。この結晶組成物は、横方向成長した材料の融合領域で傾角境界を含み得るが、傾角境界間の隔たりは、約2ミリメートル(mm)、2.75mm、3mm、5mm、10mm、18mm、25mm又は25mmより大きくなっている。
【0036】
このような、シード結晶の周囲に沿った又はパターン形成されたシード結晶を用いた横方向成長方法によって、2ミリメートル以上の間隔を隔てた粒界を有する結晶組成物を製造することが可能となる。一態様で、単結晶粒子の少なくとも1つの次元x又はyは、x又はyの少なくとも一方の次元において約2mm〜約2.75mm、約2.75mm〜約3mm、約3mm〜約5mm、約5mm〜約10mm、約10mm〜25mm、約25mm〜600ミリメートであってよい。そのような結晶組成物からスライスしたウェハを基板として使用することによって、傾角境界がない、大面積のホモエピタキシャル窒化ガリウム系の電子デバイス又は光電子デバイスの製作が可能となる。
【0037】
本発明の態様によって成長させた結晶組成物の厚みは、約100マイクロメートルより大きくてよい。一態様で、厚みは、約100マイクロメートル〜約0.3mm、約0.3mm〜約1mm、約1mm〜約1.5mm、約1.5mm〜約10mm、又は約10ミリメートルを超える範囲にあってよい。
【0038】
源材料、及びもし使用されるなら1つ以上のシードは、圧力容器又は圧力カプセル内に配置することができ、その圧力容器又はカプセルは、多孔性のじゃま板によって少なくとも2つの領域に分割されていてよい。
【0039】
図1に、例示的なカプセル100を図示する。このカプセル100は壁102を含み、この壁102は、カプセル100のチャンバ104を囲むように密閉することができる。チャンバは、多孔性のじゃま板110によって分離された第1の領域108及び第2の領域106に分割されていてよい。結晶成長中、カプセル100は、じゃま板110によって互いに分離されたシード結晶120又は他の核形成中心と、源材料124とを含んでいてよい。源材料124及びシード結晶120は、例えば第2の領域106及び第1の領域108にそれぞれ配置されていてよい。カプセル100は、溶媒材料130も含むことができる。後述の成長プロセスにおいて、成長した結晶組成物132は、シード結晶120上で成長させることができ、また、前記溶媒は過熱状態にあってよい。
【0040】
じゃま板110は、例えば複数の穴を有する板又は織成された金属布を含んでいてよい。じゃま板110の部分的な開口面積は、約1パーセント〜約50パーセント、約2パーセント〜約10パーセント、約1パーセント〜約2パーセント、又は約10パーセント〜約50パーセントの範囲であってよい。源材料124からシード結晶120又は成長させた結晶組成物132への補給物質の輸送は、カプセル100のより低温の部分がより高温の部分の上方にあって、それにより自己対流により流体が撹拌される場合に、過熱流体のような溶媒中で最適化することができる。いくつかの溶媒では、窒化ガリウムの溶解度は、温度の上昇につれて増加し得る。そのような溶剤を使用する場合には、源材料124をカプセル下部のより高温の部分に置き、シード結晶120をカプセル上部のより低温の部分に置くことができる。
【0041】
シード結晶120は、例えばそのシード結晶を通じて空けられた穴を通して固定されたワイヤ150によって吊すことができ、結晶組成物を、壁102、ワイヤ150又は他の材料からの干渉を全方向で最小限に抑えて成長させるようにしてよい。適切な穴は、レーザによって又はダイヤモンドドリル、研磨ドリル若しくは超音波ドリルによって形成することができる。シード結晶120は、シードの端部の周りにワイヤをくくりつけることによって吊してもよい。
【0042】
しかし、溶媒によっては、温度の上昇とともに窒化ガリウムの溶解度が減少し得る。そのような溶媒を使用する場合には、シード結晶120を、カプセル下部のより高温の部分に置き、源材料124をカプセル上部のより低温の部分に置くことができる。源材料124は、じゃま板110から隔置された多孔性のバスケット140内に配置され、じゃま板110と直接接触しないようにすることができ、それというのは、後者の配置(じゃま板110と直接接触している配置)では、じゃま板110を通じての流体及び補給物質の輸送が妨げられる虞があるからである。
【0043】
鉱化剤(mineralizer)は、溶媒中の窒化ガリウムの溶解度を増大させるために、源材料124と一緒に又は別々にカプセル100に加えることができる。鉱化剤は、(i)窒化物、例えばアルカリ及びアルカリ土類窒化物、特にLiN、Mg又はCa、(ii)アミド、例えばアルカリ及びアルカリ土類アミド、及び特にLiNH、NaNH及びKNH、(iii)尿素及び関連化合物、例えば金属尿素錯体、(iv)窒素ハロゲン化物、例えばアンモニウム塩、及び特にNHF及びNHCl、(v)希土類ハロゲン化物、希土類硫化物又は希土類硝酸塩、例えばCeCl、NaCl、LiS又はKNO、(vi)アジ化物塩、例えばアジ化アルカリ、及び特にNaN、(vii)他のLi塩、(viii)以上のものの2つ以上の組合せ、(ix)以上のものの1つ以上の有機誘導体、例えばアルキルアンモニウムハロゲン化物、特にトリフェニルホスホニウムクロリド、或いは(x)以上のものの少なくとも1つとガリウム及び/又は窒化ガリウムとの化学反応によって形成される化合物、の少なくとも1つを含んでいてよい。一態様で、鉱化剤は、酸性の鉱化剤であり、塩基性の鉱化剤を全く含まなくてもよい。酸性鉱化剤は、プロセス条件下でヒドロニウムイオンを生成し得る。
【0044】
一態様で、アンモニアを過熱流体溶媒として使用することができ、ハロゲン化水素、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化ガリウム、三ハロゲン化ガリウム、又はそれらのハロゲン化物と、アンモニア(NH)、ガリウム又は窒化ガリウムの1つ以上との化学反応によって生成する化合物の少なくとも1つを、鉱化剤として使用することができる。適切なハロゲン化物は、フッ素、塩素又はフッ素と塩素との組合せを含んでいてよい。
【0045】
鉱化剤との組合せは、窒化ガリウムの比較的高い溶解度をもたらすと同時に、特にカプセルが銀を含む場合、カプセルに対して過度に腐食性を有していない。この場合、窒化ガリウムの有効溶解度(effective solubility)は、温度と共に減少し得る。窒化ガリウムは、鉱化剤及び溶媒と化学的に反応して、ハロゲン化ガリウム、アンモニウムイオン及びアンモニアを含む錯体を生成し、この錯体はアンモニアのような過熱流体に可溶となる。適切な錯体は、フッ化ガリウムを含んでいてよい。錯体の生成は可逆的であり、その生成の平衡定数は温度と共に減少するので、遊離の窒化ガリウムの生成は高温でより有利であり、窒化ガリウムの有効溶解度は温度と共に減少する。この化学反応で行われた結晶組成物の成長を終了した後、カプセルは白い針状結晶で満たされ得る。x線回折による分析は、結晶組成物がGaF(NH及び(NHGaF(これらの化合物の構造は文献より知られている)を含み得ることを示す。
【0046】
別の態様において、アンモニアは過熱流体溶媒として使用することができ、塩化水素、塩化アンモニウム、塩化ガリウム、三塩化ガリウム、又はHCl、NH、Gaと窒化ガリウムとの化学反応によって生成される化合物の少なくとも1つは、鉱化剤として使用することができる。この場合、窒化ガリウムの有効溶解度は温度と共に増大し得る。
【0047】
任意に、所定の型の結晶組成物を得るためにドーパント源を添加することができる。そのような所定の型の例は、n型、半絶縁性、p型、磁性、蛍光性又は光学的吸収性の窒化ガリウム結晶を含んでいてよい。バンドギャップを修正するために、ドーパントを添加することもできる。そうでなければ、酸素又は炭素のような偶発的に混入された不純物が、通常、結晶組成物をn型にする。酸素、ケイ素、ベリリウム、マグネシウム、Ge(n型)又はZn(p型)といったドーパントは、源ガリウム及び/又は窒素に加えることができる。別態様では、ドーパントは、金属、塩又は無機化合物、例えばSi、Si、InN、SiCl、AlCl、InCl、BeF、Mg、MgF、PCl、Zn、ZnF又はZnとして加えることができる。アルミニウム、ヒ素、ホウ素、インジウム及び/又はリンは、約5モルパーセントまでのレベルで存在してよく、この量は個々に又は合計で計算されたものである。そのような添加は、純粋な窒化ガリウムに対してバンドギャップを増加させるか又は減少させる効果をもたらす。そのようなドープされた結晶組成物は、たとえ他の材料をかなりのレベルで含んでいても、窒化ガリウムと呼んでよい。約1015cm−3〜約1016cm−3より低い合計のドーパント濃度を有する窒化ガリウム結晶組成物は半絶縁性であってよい。しかし、故意でなくした不純物の濃度はが1016cm−3以上となり、結晶組成物がn型となる場合もある。半絶縁性窒化ガリウム結晶組成物は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni又はCuの少なくとも1つによりドープすることによって得ることができる。一態様で、半絶縁性窒化ガリウム結晶組成物は、鉄若しくはコバルトの一方又は両方でドープすることによって製造することができる。
【0048】
特定の遷移金属、例えば、非限定的にマンガンでドープすることによって、磁性の窒化ガリウム結晶組成物を得ることができる。1つ以上の遷移金属又は1つ以上の希土類金属でドープすることによって、蛍光性の窒化ガリウム結晶組成物を得ることができる。適切な蛍光ドーパントは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Hf、Pr、Eu、Er又はTmの1つ以上を含んでいてよい。遷移金属又は希土類元素のドーパントは、源材料中の、或いは元素金属、金属塩類又は無機化合物としての添加剤であってもよい。一態様で、添加剤は、Fe、Co、CoF、CrN若しくはEuFの1つ以上を単独で、又はO、Si、Mg、Zn、C若しくはHのような1つ以上の追加のドーパントと組み合せて含まれていてよい。そのような添加剤は、源材料中に約1015cm−3〜約1021cm−3までの濃度で存在させることができる。添加剤の種類(性質)及び濃度に応じて、結晶組成物は不透明又は光学的に吸収性、例えば黒色であってよい。例えばCoで重ドープされた窒化ガリウム結晶組成物は色が黒く、窒素レーザによる照射に対応する可視のフォトルミネセンスを生じない。
【0049】
一態様で、酸素のような望ましくないドーパントの濃度を許容レベルに維持するために、原料(源材料、鉱化剤及び溶媒)中及びカプセル中の不純物レベルを、適宜、低レベルに制限することができる。例えば、成長した結晶組成物中の酸素濃度を3×1018cm−3未満にすることは、最終結晶の重量に対して原料及びカプセル中の合計酸素含量を15百万分率未満に保持することによって達成することができ、また、不純物レベルを3×1017cm−3未満は、原料中及びカプセル中の合計酸素含量を1.5百万分率未満に保持することによって達成することができる。
【0050】
システム(原料、容器)中の酸素の存在は、ある条件下の窒化物のアンモノサーマル成長(ammonothermal growth)には有害となり得る。1018cm−3より大きい、1019cm−3より大きい、さらに1020cm−3よりも大きい酸素含量が、アンモノサーマル法で成長させたいくつかのGaN中で観察された。本発明の一態様では、酸素の役割は、GaNの成長の場合よりも、AlN及びInNの両方の成長の場合に、より有害であることに留意されたい。純物質の自由生成エネルギーより、アンモニアがIII族金属窒化物を還元する容易さを下の表1に示す。データは、I. Barinより、GaNの生成エンタルピーの補正がなされている[Ranade et al., J. Phys. Chem. B 104, 4060 (2000)]。
【0051】
【表1】

【0052】
示されたように、約900K以上の温度では、アンモニアは酸化ガリウムを窒化ガリウムに容易に還元することができるが、これは大量の酸素又は酸化物が原料の中にあってもGaNをアンモノサーマル法で成長させることができるという観察と定性的に一致する。しかし、アンモニアは、このような温度では、酸化アルミニウム又は酸化インジウムのいずれをも容易に還元せず、これは、周期表中の列を(Al−Ga−In)と下がっていくにつれ、所与の反応型の熱力学が単調に変化するという意味から意外である。したがって、所望の結果は、原料の酸素含量に基づいて得ることができ、それは1%未満であってよい。さらに、酸素含量が、0.1%未満、0.01%未満、0.001%(10ppm)未満、又は1ppm未満である場合には、結果は異なるだろう。
【0053】
一態様で、酸素のような望ましくないドーパントの濃度を許容レベルまで減少させるために、1つ以上のゲッターをカプセルに加えることもできる。NHClのような非フッ化物鉱化剤のためには、適切なゲッターは、アルカリ土類金属、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、W、希土類金属、及びそれらの窒化物又はハロゲン化物を含む。NHF、HF、GaF(若しくはそれらの塩化物同等物)及び/又はそれらとNH、ガリウム及び窒化ガリウムとの反応生成物が、酸性鉱化剤とも呼ばれる鉱化剤として使用される場合、反応性の高い金属は、金属ハロゲン化物を生成する傾向があり、この金属ハロゲン化物は、システム中では水又は酸素とは非反応性となり得る。しかし、金属の化合物であって、その金属フッ化物と水とが反応し金属酸化物及びHFを生成する際の自由エネルギーが、結晶組成物の成長条件下で、GaFと水との対応する反応より負であるという特性を有するは、ゲッターとして使用することができる。酸フッ化物鉱化剤との使用に適したゲッターは、CrF、ZrF、HfF、VF、NbF、TaF及びWFを含む。
【0054】
カプセル100は、プロセス条件下で過熱された流体、例えばアンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチレンジアミン、メラミン又は他の窒素含有流体を含む溶媒130で満たすことができる。一態様で、アンモニアを溶媒130として使用することができる。カプセル内の自由体積、つまり源材料、シード結晶及びじゃま板で占められていない体積のうち、25パーセント〜100パーセント、又は70パーセント〜95パーセントは、溶媒130で満たすことができ、カプセル100を密閉することができる。
【0055】
過熱された流体溶媒に溶解された鉱化剤の濃度に応じて、結晶組成物の成長条件下で、過熱流体溶液は、超臨界にあってよいし未臨界にあってもよい。例えばアンモニアは、臨界温度132℃及び臨界圧力113バールをそれぞれ有する。NHFの場合の量は、NHClの値に類似すると予想することができ、それは、約882℃及び1635バールであってよい。NHFのアンモニア溶液は、成分であるNHFの臨界温度及び圧力とアンモニアの臨界温度及び圧力との間の中間の温度及び圧力に臨界点を有すると予想することができる。溶液中にガリウムを含む錯体が存在することによって、過熱流体の状態方程式及び臨界点がさらに変化し得る。
【0056】
一態様で、鉱化剤は、溶媒に対して0.5〜5モルパーセントの濃度で存在していてよい。酸性鉱化剤、例えばNHF及びNHClは、濃度に基づく異なる効果を示す。効果が異なることは、アンモニア中で0.5モルパーセント、1モルパーセント、2モルパーセント、5モルパーセント、10モルパーセント、20モルパーセント、50モルパーセントの任意の1つを超える、又はそれら以上の濃度で観察され得る。NHFの場合には、溶解した窒化ガリウムの濃度、すなわち結晶組成物成長条件下で溶解すると考えられている錯体中に存在するガリウムの濃度は、少なくとも25モルパーセントという高い値まで鉱化剤濃度にほぼ比例し、窒化ガリウム結晶組成物の成長は、この条件下で極めて有効となり得る。アンモニア中で鉱化剤を20モルパーセントを超える濃度で使用することによって、所与の充填レベルで溶媒の圧力を下げる付加的な利点が生じ、これによって圧力容器に対する機械的な要求が低くなる。
【0057】
カプセル100は、溶媒130が液体又は固体のいずれになってもよい温度に冷却することができる。カプセル100を充分に冷却したら、溶媒源を、カプセル100の開いたチャンバと流体連通する状態に置くことができ、溶媒を、凝縮又は注入によって、この時点で開いているチャンバ内に導入することができる。所望の量の溶媒130を開いたチャンバに導入した後、チャンバを密閉することができる。壁102の一部を締め付けて閉じるか又は潰して溶接部を形成することによって、チャンバを密閉することができる。
【0058】
密閉したカプセル100は、約550℃より高い温度を発生することができる容器内に置くことができる。温度は約550℃〜約650℃、約650℃〜約750℃、約750℃〜約900℃、又は約900℃を超える範囲にあってよい。圧力は、約5キロバール〜約10キロバール、約10キロバール〜約15キロバール、約15キロバール〜約20キロバール、約20キロバール〜約50キロバール、又は約50キロバールを超える範囲にあってよい。カプセルは、所定の長さの時間にわたり、原料で充填された状態で高温及び高圧で機能可能な材料から形成され、構造的に設計されていてよい。原料を収容できるが、プロセス条件中に密閉しておくことができないカプセルは適さない。同様に、所定の程度に反応生成物に不都合な影響を与える材料で形成されているか被覆されているカプセルも、いくつかの態様で使用に適さない。
【0059】
図2は、封入されたカプセル100を収容している圧力容器210を示す。図2に示す圧力容器210は、ダイを備えた液圧プレスを含んでいてよい。
【0060】
圧力容器210は、圧縮ダイ204と、上部及び下部のシール220及び222とによって囲まれた圧力媒体214を含んでいてよい。圧力媒体は、例えばNaCl、NaBr又はNaFであってよい。
【0061】
圧力容器210は、カプセル100の加熱の制御のための電力制御システム216を含む。電力制御システム216は、カプセル100を加熱する加熱エレメント218及び加熱エレメント218を制御するためのコントローラ222を含む。電力制御システム216は、カプセル100に関する温度信号を発生するための、カプセル100に近位の少なくとも1つの温度センサ224も含む。
【0062】
圧力容器210は、温度分布、すなわち、カプセル100内の温度勾配を含む、カプセルチャンバ内の位置の関数としての温度を提供するように構成することができる。一態様で、温度勾配は、カプセル100をセル(圧力容器210内の領域)のどちらかの端部により近付けて配置することにより達成することができる。別態様では、長さに沿って不均一な抵抗を有する少なくとも1つの加熱エレメント218を設けることによって、温度勾配を得ることができる。
【0063】
少なくとも1つの加熱エレメント218の不均一な抵抗は、例えば不均一な厚みを有する少なくとも1つの加熱エレメント218を設けることによって、選択された箇所で少なくとも1つの加熱エレメント218に孔を開けることによって、又は少なくとも1つの加熱エレメント218の長さに沿って選択された箇所で異なる抵抗の少なくとも2つの材料の積層体を含む少なくとも1つの加熱エレメント218を設けることによって、得ることができる。一態様で、少なくとも1つの温度センサ224は、カプセル100の向かい合う端部230と232との間の温度勾配を測定及び制御するために設けられる、少なくとも2つの独立した温度センサを含む。一態様で、セル内の少なくとも2つの位置に閉ループ温度制御を設けてもよい。少なくとも1つの加熱エレメント218は、カプセル100の2つの端部間に所望の温度勾配を達成するために電力を個々に供給することのできる複数のゾーンを含んでもよい。
【0064】
カプセル100は、1つ以上の成長温度に加熱することができる。成長温度は、約550℃より高い範囲にあってよい。温度は、約550℃〜約650℃、約650℃〜約750℃、約750℃〜約900℃、又は約900℃以上の範囲にあってよい。加熱は、約1℃/時〜約1000℃/時の平均ランプ速度(加熱速度)で行うことができる。圧力セル210に関して上述したように、温度勾配は、セル中のカプセルの非対称な配置、非対称な加熱等のために、カプセル中に存在させることができる。この温度勾配は、加熱の連続操作にわたって過飽和を作りだし、自発核形成を促進し得る。
【0065】
一態様で、成長温度での温度勾配は、初めは、約1分〜2時間の期間にわたり、約25℃未満及び約10℃未満と低く保持し、それにより、システムが平衡段階で平衡に達するようにする。本願で使用される温度勾配は、例えば制御熱電対が配置されているカプセルの両端部の温度の差であってよい。源材料124の位置での温度に対するシード結晶120又は核形成中心の位置での温度勾配は、多少小さくなる傾向があり得る。
【0066】
場合によっては、温度勾配は、平衡段階においては、結晶組成物の成長が核形成中心で起きる場合の温度勾配の符号と逆に(つまり、核形成中心でエッチングが起き、成長が源材料上で起きるように)設定することができ、それにより、加熱中に形成された核形成中心が供給されている可能性のあるカプセルの領域で、自発的に核形成した結晶組成物がエッチング除去される。言いかえれば、結晶組成物の成長が正の温度勾配に対して起きる場合には、温度勾配を負に設定し、また反対の場合も同様である。
【0067】
この平衡期間の後、温度勾配を、その大きさを大きくし且つシード結晶での成長がより大きな速度で起きるような符合を有するような成長期間を設けることができる。例えば、温度勾配を約0.01℃/時〜約25℃/時の速度で大きくして、成長がより速くなる、より大きな値へと増大させることができる。
【0068】
結晶組成物の成長中、温度勾配は約550℃より大きな範囲の温度で保持することができる。温度は約550℃〜約650℃、約650℃〜約750℃、約750℃〜約900℃、又は約900℃より大きい範囲であってよい。保持温度は、成長中に上方及び/又は下方に調整することができる。場合によっては、温度勾配は、成長がシード結晶で起きる場合の符号と反対の符号を有するように変化させてよい。勾配の符号は、自発的に形成された核を交互にエッチング除去し、1つ以上の核形成中心又はシード結晶組成物120上の成長を促進するためにさらに1回以上逆転させてよい。HPHT条件は、源窒化ガリウムの実質的な部分を溶解し、それを少なくとも1つの窒化ガリウム結晶、窒化ガリウムブール又は窒化ガリウム結晶組成物のシード上に堆積させるのに充分に長い時間にわたり、維持することができる。
【0069】
成長期の終結においては、カプセルの温度を、約1℃/時〜約100℃/時、約100℃/時〜約300℃/時、約300℃/時〜約500℃/時、約500℃/時〜約750℃/時、又は約750℃/時〜約1000℃/時の範囲のランプ速度(傾斜割合)で下げることができる。一態様で、このランプ速度は、成長した結晶組成物132への熱衝撃を最小化するように選択することができる。カプセル及び圧力媒体を含むセルを圧力容器210から取り出し、カプセル100をセルから取り出すことができる。
【0070】
溶媒130は、溶媒の蒸気圧を1バール未満に下げるためにカプセルを冷却し、カプセルに孔をあけ、溶媒を蒸発させるべく加熱することによって除去することができる。他の態様で、カプセルは、例えば小さな穴をドリルにより設けるか充填されたチューブを切断することによって、室温又は室温近傍で孔開けすることができ、溶媒はフード又は他の換気された空間に逃げることができる。カプセルは切断されて開かれ、成長した結晶を取り出すことができる。結晶は、水、アルコール若しくは他の有機溶媒のような適切な洗浄剤によって、又は鉱化剤を除去するために鉱酸によって洗浄することができる。
【0071】
他の態様では、傾角境界がなく約10cm−2未満の転位密度を有する高品質シード結晶を、他の結晶組成物成長方法によってAlInGaN厚膜を堆積させるための基板として使用することができる。一態様で、前記の他の結晶組成物成長方法は、ハイドライド気相エピタキシ(HVPE)を含む。
【0072】
フォトルミネセンスのような特性測定技術によって、結晶組成物の品質を示すことができる。フォトルミネセンスは、窒化ガリウムにおいては、室温でバンドエッジで起こり得る。
【0073】
結晶組成物は、処理して1つ以上のウェハにスライスし、ラッピングし、研磨し且つ/又は化学研磨することができる。スライスする方法はワイヤソー、マルチワイヤソー又は環状のこぎり(annular saw)で切断することを含む。ラッピング及び研磨は、ダイヤモンド、炭化ケイ素、アルミナ又は他の硬い粒子の1つ以上を含むスラリーによって行うことができる。研磨は、窒化ガリウムウェハに格子損傷を残し得るが、それは化学機械研磨、反応性イオンエッチング(RIE)によるドライエッチング、高密度誘導結合プラズマ(ICP)プラズマエッチング、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマエッチング、及び化学支援イオンビームエッチング(CAIBE)を含む多くの方法によって除去することができる。
【0074】
別の態様では、ウェハ研磨に起因する損傷したGaN表面層を酸化し、その酸化被膜を除去することができる。損傷した表面層の酸化は、湿式又は乾式熱プロセス、プラズマ支援プロセス、UV光により増強されたプロセス、光電気化学的酸化又はそれらの組合せの少なくとも1つを使用して行うことができる。湿式酸化は、0℃〜200℃の温度の硝酸、王水、硫酸と硝酸との混合物、過塩素酸又は過硫酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩又は過マンガン酸塩のような酸化剤に表層を曝すことによって行うことができる。乾式酸化は、約200℃〜約900℃の温度に酸素を含む雰囲気で加熱すること、又は酸素を含むプラズマへ曝すことによって行うことができる。湿式酸化は、表面を紫外線に曝し、その際、場合によっては酸化剤も含む塩基性溶液と接触させて又は正の電気的なバイアスを印加させて行うこともできる。前記塩基性溶液は0.005M〜0.2Mの濃度でアルカリ水酸化物を含有していてよい。紫外線は365nm未満の波長の放射を含み、フィルターなしの水銀アークランプによって発生させることができる。酸化物層は、例えば、真空中又は窒素若しくはアンモニアを含む雰囲気で、約600℃〜約1200℃の温度までの熱アニールによって、或いは例えば、アルカリ水酸化物又は濃縮酸の中での湿式化学エッチングによって除去することができる。酸化及び酸化物除去ステップは、約10−5秒〜約60分の間にわたり持続して行なわれ、反復して適用することができる。一態様で、酸化及び酸化物除去ステップはいずれも、有機金属化学気相成長法又は分子線エピタキシャル法によってエピタキシャル成長を行なうのに適した反応容器の中で行なわれる。
【0075】
別の実施態様では、損傷したGaN層は、アニールするか、エッチング除去するか、或いは0.001秒〜10時間、窒素及び/又は水素を含む雰囲気中、例えば窒素、水素、アンモニア、ヒドラジン、アジ化水素酸、窒素プラズマ又はプラズマで分解されたアンモニア中で800〜1500℃の温度に加熱することによって熱的脱着することにより取り除かれる。一態様で、アニールプロセスは、有機金属化学気相成長法又は分子線エピタキシャル法によってエピタキシャル成長を行なうのに適した反応容器中で行うことができる。
【0076】
別の態様では、格子損傷は化学機械的研磨によって除去される。化学機械的研磨スラリーは、研磨剤粒体、pH調整剤、粘性調整剤、分散剤、キレート剤、非イオン界面活性剤、重合体界面活性剤、アミン又はイミンの界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム化合物、フッ化物塩、アンモニウム塩及び酸化剤の1つ以上を含んでいてよい。研磨剤粒体は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化錫、希土類酸化物、二ホウ化チタン、炭化チタン、炭化タングステン、立方晶窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、SiO若しくはAlの少なくとも1つを含有する組成物を有するガラス粉、又は金属粒子の1つ以上を含有し、約10nm〜約300nmの直径を有していてよい。一態様で、pH調整剤は、スラリーのpHを0.5〜4にするように添加される。別の態様では、スラリーのpHは4〜8であり、さらに別の態様では、pHは8〜13.5である。酸化剤は、過酸化水素、ニトロ化合物及びフェリシアン化カリウムの少なくとも1つを含有していてよい。キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸等を含有していてよい。
【0077】
研磨されたウェハは、少なくとも10×10mmの横方向のエリア上で約1nm未満のRMS(root mean square)表面粗さを有していることができる。表面粗さは、少なくとも10×10mmの横方向のエリア上で0.5nm未満であってよい。ウェハ又は基板は、約0.01〜10mmの厚みを有し、多くは約0.05〜5mmの厚みを有する。窒化ガリウムウェハの表面は、1ミクロン未満の平滑さを有し得る。窒化ガリウムウェハの前面及び背面は、1°より良い平行性を有していてよい。一態様で、窒化ガリウムウェハの前面の結晶配向は、(0001)配向、(000−1)配向、(10−10)配向、(11−20)配向及び(10−11)配向のうちの1つの10°以内にあってよい。一態様で、窒化ガリウムウェハの前面の配向は、前記配向のうちの1つの5°以内にあってよい。
【0078】
窒化ガリウムは、結晶配向を示す1つ以上の追加の平面を有する円形又は正方形に磨かれてよい。一態様700では、図7(a)に概略的に示すように、窒化ガリウムウェハの端は、単に磨かれていてよい。しかし、本発明者らは、窒化ガリウム結晶組成物又はウェハは容易に割れ、単に磨いた端部を有する窒化ガリウムウェハは、チッピング及びクラッキングに特に弱いことを見出した。一態様710では、図7(b)に概略的に示すように、前面と背面の少なくとも1つが面取りされていてよい。この面取りは、当分野において公知の装置を使用してウェハの端部を磨いて作製することができる。面取りの深さ(図7(b)の寸法a)は、約10マイクロメートル〜0.2t(図7(b)の寸法t)[tはウェハの厚みである]の範囲にあってよい。面取りの幅(図7(b)の寸法b)は、a〜5aであってよい。ウェハの上面(エピタキシャル成長が行なわれる側)及び底面が面取りされる場合、底面の方を大きく面取りすることができる。面取りされた部分の端部には鋭い端ではなくわずかな曲面が存在していてよい。ウェハが取り扱い中にチップ又はクラックする傾向が低減することに加えて、面取りによって、ウェハの周囲近傍でエピタキシャル成長したAlInGaNのクラウン(crowning)又は貧弱な形状(poor morphology)の傾向も低減する。一態様では、図7(c)に概略的に示すように、ウェハ端720を丸めることができる。ウェハの上端の曲率半径(図7(c)の寸法r)は、10μm〜0.5t(図7(c)の寸法t)[tはウェハの厚みである]であってよい。丸められた部分の内側端とウェハの上側表面の間の角度θは、30度未満であってよい。ウェハの底側端の曲率半径(図7(c)の寸法r)はrより大きく、ウェハの底面とも30度未満の角度をなしていてよい。ウェハの丸められていない端部(図7(c)の寸法w)の厚みは、ゼロでもよく、0.5t未満であってもよい。
【0079】
この結晶組成物窒化ガリウム結晶及びそれから形成されたウェハは、電子デバイス及び光電子デバイス用の基板として有用となり得る。
【0080】
結晶組成物は、標準的な方法によって特徴付けることができる。転位密度を測定するためには、カソードルミネッセンス(CL)法及びエッチピット密度が都合がよいであろう。CL画像形成は、転位密度の非破壊的手段を提供し、試料調製をほとんど又は全く必要としない。転位は、窒化ガリウム中では非輻射再結合中心であり、よって、CLでは暗点として見える。転位密度を測定するには、CL画像の中の暗点の濃度を測定さえすればよい。第2の試験方法は、エッチピット密度であってよい。
【0081】
これらの方法の両方を、市販のグレードのHVPE窒化ガリウムの試料のガリウム面に適用した。1〜2×10cm−2の転位密度(暗点密度又はエッチピット密度)が得られ、これは、同様の材料について他者によって報告された値及び図9に示した値と極めてよく一致する。
【0082】
成長させた窒化ガリウムの光学的吸収及び発光の特性は、光学的吸収、散乱及びフォトルミネセンス分光法によって決定することができる。電気的特性は、ファンデルポー法及びホール測定によって、水銀プローブCVによって、又は熱プローブ技術によって測定することができる。
【0083】
結晶組成物は、当分野で公知の方法によって1枚以上のウェハへとスライスすることができる。窒化ガリウム結晶組成物又はウェハは、エピタキシャルAlInGa1−x−yN膜[式中、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦x+y≦1]用の基板、発光ダイオード、レーザダイオード、光検出器、アバランシェフォトダイオード、トランジスタ、ダイオード及び他のオプトエレクトロニクス及びエレクトロニクスデバイスとして有用である。上述のバルク窒化ガリウム結晶組成物から製造された窒化ガリウムウェハ上に堆積させたエピタキシャル窒化ガリウム又はAlInGa1−x−yN層[式中、0≦x,y、x+y≦1]は、傾角境界がなく、転位密度10cm−2未満とすることができる。一態様で、転位密度は、10cm−2未満、さらに好ましくは100cm−2未満とすることができる。
【0084】
基板に傾角境界が実質的に存在せず且つ転位密度が低いことによって、ホモエピタキシャル発光デバイスを傾角境界なしとすることができる。一態様で、約10μmまで、約9×10μmまで、又は1mmまでのデバイス面積に対して、デバイスには貫通転位がない。
【0085】
上述の態様は、温度プログラムに、温度勾配を、結晶組成物成長中の勾配に対して小さくするか又はゼロ若しくは負にすら設定されていてよい平衡期間を含めること、並びに成長チャンバ内にシード結晶を吊すことによって、改善された核形成が得られる。この結晶組成物の成長方法は、高品質、大面積の窒化ガリウム結晶を提供することができる。
【0086】
上記方法によって形成された窒化ガリウム結晶組成物の特性は、エッチピット密度測定、フォトルミネセンス及び光学吸収技術を利用して特徴付けした。形成された結晶組成物は、転位密度が100cm−1未満であること、フォトルミネセンススペクトルのピークが結晶組成物温度300Kでフォトンエネルギー約3.38〜約3.41eVにあること、並びに700nm(赤色)〜465nm(青色)の波長に対して5cm−1未満の光吸収係数を有することによって特徴付けることができる。
【0087】
上記の方法によって形成された窒化ガリウム結晶組成物を、赤外透過分光法及びラマン分光法によって特徴付けした。他の方法によって成長させた窒化ガリウムとは対照的に、ここに記載の方法によって成長させた窒化ガリウムは、図8に示すように、3050〜3300cm−1の範囲にいくつかの鋭い吸収ピークを有し、3175cm−1近傍で最大の吸収を示した。結晶組成物は、高純度窒素中で30分にわたり750℃までアニールし、赤外スペクトルを再測定した。図8に示すように、3050〜3300cm−1の範囲の吸収ピークは本質的に不変であり、これは、吸収ピークの原因である種の安定性が高いことを示す。VGa〜VGaに対する振動周波数が3100〜3470cm−1にあるとの予測(これは、実際の周波数を約200cm−1だけ過大評価されている可能性がある)、並びに水素注入した窒化ガリウムにおいて3020〜3050cm−1及び3140cm−1に赤外吸収があるとの観察 [M. G. Weinstein et al., Appl. Phys. Lett. 72, 1703 (1998)] に基づくと、本願態様による試料中の3150〜3200cm−1の吸収ピークは、VGa及びVGaに相当し、結晶組成物及び水素注入された窒化ガリウムの両方における3000〜3150cm−1で観察された吸収ピークは、VGa及びVGaに相当し、他の小さなピークは、他の不純物又は欠陥の存在に関係し得る。ここに記載の方法によって成長させた窒化ガリウム結晶組成物において3175cm−1近傍に赤外吸収の特徴が存在することは、ガリウム空格子点のパッシベーション(passivation、安定化若しくは保護)を示し、高温アニールしても赤外の特徴が維持されることは、このパッシベーションが極めて安定であり得ることを示す。窒化ガリウム結晶中の水素化されたガリウムの空格子点の濃度に依存して、3175cm−1ピークの単位厚み当り吸光度は、約0.01〜200cm−1にあってよい。
【0088】
ここに記載の方法によって成長させた窒化ガリウム結晶組成物中の点状欠陥のパッシベーションについてのさらなる証拠は、ラマン分光法によって得ることができる。計5つのピークを400〜800cm−1にある2つの構造(configuration、立体配置)で観察することができる。ピークは、530cm−1[A(TO)]、558cm−1[E(TO)]、569cm−1[E(high)]、734cm−1[A(LO)]及び742cm−1[E(LO)](カッコ内にそれぞれのピークの帰属を示す)で観察された。これらの値は全て、文献に報告されている純粋な窒化ガリウムに関し許容されている値の数cm−1以内にある。意義深いことに、フォノン−プラズモン結合に関連した幅広いピークが観察されなかった。1016cm−3〜1020cm−3のキャリア濃度を有する窒化ガリウムについての文献に報告されたラマン測定に基づくと、シフトしていないLOモードが観察されること及びフォノン−プラズモンモードが欠如していることは、キャリア濃度が1017cm−3未満であることを示す。この結晶組成物中の合計の不純物濃度は1019cm−3より大きかった。不純物濃度に比較してキャリア濃度が大幅に減少していることは、おそらく水素に起因する高度の補償を示す。
【0089】
導入された水素は良性であるか又はおそらく有益であり得る。これと対照的に、典型的な又は従来の窒化ガリウム成長法は、水素が成長システム中にあったとしても、水素化によるガリウム空格子点のパッシベーションをもたらさない。例えば、水素化物気相エピタキシ(HVPE)によって成長させた300〜400ミリメートル厚の窒化ガリウム試料の赤外透過分光測定は、他の欠陥に関連した2850及び2915cm−1の近傍の弱い吸収特徴を明らかにしたが、水素化したガリウム空格子点に帰属される3100〜3500cm−1の吸収特徴は、HVPE法窒化ガリウム材料では観察されなかった。
【0090】
パッシベートされたガリウム空格子点についてさらに述べるなら、結晶組成物の格子構造、化学的特性及び電気的特性は、空格子点のない結晶と比較して、パッシベートされていない空格子点によって、またパッシベーションのレベルの違いに応じて異なっている。一態様で、ガリウムが欠乏した結晶を形成し、次に、例えば高温及び高圧で水素浸透(hydrogen interfusion)を使用してパッシベーションすることができる。別の態様では、非ガリウム結晶中で空格子点を形成し、パッシベートする。空格子点のレベルの制御(例えば、材料の種類、量又は加工条件の制御による)、並びにパッシベーションのレベルの制御によって、所定の方法で結晶組成物特性を調整することができる。
【0091】
可視スペクトル内で、窒化ガリウムブールは透明且つ無色であり得る。名目上ドープされていない結晶組成物の光吸収係数は465nm〜700nmで5cm−1未満であってよい。高キャリア濃度で自由キャリア吸収が導入されていても、ドープされた結晶組成物は、同様に低い吸収を示し得る。さらに、ドーパント、置換型若しくは格子間不純物、空格子点錯体又は他の点状欠陥は、可視域内のより強い吸収の狭いピークを導入し得る。しかし、そのような点状欠陥に関連する狭い吸収ピークが、例えば発光の背面からの抽出において、結晶組成物の可視域での透明性を著しく減少させることはない。
【0092】
鉱化剤として、HX、NH、GaX[式中、Xはハロゲン]の少なくとも1つ、又はGa、窒化ガリウム、NH及びHFの反応によって得られる他の化合物を使用して、窒化ガリウムブールを成長させる場合、窒化ガリウムは、少なくとも約0.04ppmのフッ素、約0.04〜1ppmのフッ素を含んでいてよい。対照的に、フッ素不含の鉱化剤を用いて成長させた窒化ガリウム結晶組成物は、0.02ppm未満のフッ素を含む。導入された水素の場合と同様、導入されたフッ素は良性か又はおそらく有益であると確信できる。分子又は固体中におけるフッ素への結合距離は、それに対応する水素への結合よりわずかに大きいだけなので、フッ素は、欠陥をパッシベートする同様の役割を果たし得る。
【0093】
窒化ガリウム結晶組成物が形成された後、結晶組成物又はブールを処理して1枚以上のウェハへスライスし、ラッピングし、研磨し、化学的研磨することができる。ウェハ又は基板は、約0.01ミリメートル〜約0.05ミリメートル、約0.05ミリメートル〜約5ミリメートル、又は約5ミリメートル〜約10ミリメートルの厚みを有し、デバイス製造用の基板として有用となり得る。適切なウェハは、約100Ω・cm未満の電気抵抗率を有するn型窒化ガリウムを含んでいてよい。一態様で、ウェハは約10Ω・cm未満、約10Ω・cm〜1Ω・cm、又は約1Ω・cm未満の電気抵抗率を有していてよい。一態様で、ウェハはp型の窒化ガリウムを含み、さらに別の態様では、ウェハは半絶縁性窒化ガリウムを含む。基板は、当分野で公知の機械研磨技術を使用して、鏡面仕上げにまで磨くことができる。表面下の損傷は研磨プロセスの後も残り得る。この損傷は、化学支援イオンビームエッチング、反応性イオンエッチング、化学機械研磨及び光電気化学又は湿式化学式エッチングを含む当分野で公知のいくつかの方法によって除去することができる。
【0094】
残留損傷は、窒素を含む雰囲気、例えばNガス又はアンモニア中で、約10−8ミリバール〜約20,000バールの分圧で、約700℃〜約1500℃の温度でウェハを加熱することによって除去することができる。基板は、約0.01ミリメートル〜0.05mm、約0.05ミリメートル〜約5ミリメートル、又は約5ミリメートル〜約10ミリメートルの厚みを有する。
【0095】
少なくとも1つの次元x又はyで少なくとも約2ミリメートルであり、約10cm−1未満の転位密度を有し、傾角境界を持たない窒化ガリウムの結晶組成物を得ることができる。一態様で、少なくとも1つの次元x又はyは、約2mm〜約2.75mm、約2.75mm〜約3mm、約3mm〜約5mm、約5mm〜約1センチメートル、約1センチメートル〜約2センチメートル、約2センチメートル〜約7.5センチメートル、約7.5センチメートル〜約10センチメートル、又は約10センチメートルを超える範囲にある。窒化ガリウム結晶組成物は、少なくとも1つの次元x又はyで少なくとも約2ミリメートルであり、傾角境界がなく、300Kの結晶組成物温度で約3.38〜約3.41eVのフォトンエネルギーにピークを有するフォトルミネセンススペクトルを有していてよい。
【0096】
本発明の他の態様によれば、窒化ガリウム単結晶を形成する方法を得ることができる。その方法は、(a)チャンバの第1領域に核形成中心を設け、(b)チャンバの第2の領域に窒化ガリウム源材料を設け、(c)チャンバ内に窒化ガリウム溶媒を設け、(d)チャンバに圧力を加え、(e)チャンバの第1領域で溶媒が過飽和することができ、且つ窒化ガリウム結晶組成物が核形成中心上で成長するような第1の温度勾配が核形成中心と窒化ガリウム源材料との間にある第1の温度分布を作り、保持し、(f)溶媒がチャンバの第1の領域で過飽和することができ、且つ窒化ガリウム結晶組成物が核形成中心上で成長するような第2の温度勾配が核形成中心と窒化ガリウム源材料との間にある第2の温度分布をチャンバ内に作ることを含み、この場合、第2の温度勾配は、第1の温度勾配より大きさがより大きく、結晶組成物の成長速度は、第2の温度分布で、第1の温度分布より大きくなっていてよい。
【0097】
本発明の他の態様によれば、窒化ガリウム単結晶又は準単結晶を形成する方法が提供される。その方法は、(a)第1の端部を有するチャンバの第1の領域に核形成中心を設け、(b)第2の端部を有するチャンバの第2の領域に窒化ガリウム源材料を設け、(c)チャンバ内に窒化ガリウム溶媒を設け、(d)約5キロバール〜10キロバール、約10キロバール〜約25キロバール、又は約25キロバール〜約80キロバールの圧力をチャンバに加え、(e)溶媒がチャンバの第1の領域で過飽和でき、且つ窒化ガリウム結晶組成物が核形成中心上で成長するような第1の温度勾配が第1の端部と第2の端部との間にある、約550℃〜約1200℃で平均温度を有する第1の温度分布を作り、保持し、(f)溶媒がチャンバの第1の領域で過飽和でき、且つ窒化ガリウム結晶組成物が核形成中心で成長するような第2の温度勾配が第1の端部と第2の端部との間にある、約550℃〜約1200℃に平均温度を有する第2の温度分布を作り、保持することを含み、この場合、第2の温度勾配は、第1の温度勾配より大きさがより大きく、結晶組成物の成長速度は、第2の温度分布で、第1の温度分布より大きくなっていてよい。
【0098】
本発明の他の態様によれば、窒化ガリウム結晶組成物を形成するための方法を使用することができる。この方法は、(a)第1の端部を有するチャンバの第1の領域に核形成中心を設け、(b)第2の端部を有するチャンバの第2の領域に窒化ガリウム源材料を設け、(c)チャンバ内に窒化ガリウム溶媒を設け、(d)チャンバを加圧し、(e)第1の端部と第2の端部との間に第1の温度勾配があるような第1の温度分布を作り、保持し、(f)チャンバ内に、溶媒がチャンバの第1の領域で過飽和状態となることができ、且つ窒化ガリウム結晶組成物が核形成中心上で成長するような第2の温度勾配が第1の端部と第2の端部の間にある第2の温度分布を作ることを含み、この場合、第1の温度勾配はゼロ又は第2の温度勾配とは符号が反対でもよい。結晶組成物は単結晶であってよい。
【実施例】
【0099】
以下の例は、本発明による方法及び実施態様を示すが、特許請求の範囲を制限するものではない。別途特定されていなければ、含有成分は全て、Alpha Aesar, Inc.(マサチューセッツ州ワードヒル)、Sigma-Aldrich Company(ミズーリ州セントルイス)のような通常の化学製品供給業者から市販されているものである。下記の比較例(比較例1〜3)は、実施例(実施例1〜4)への比較のために行われている。
【0100】
比較例1
NHF鉱化剤0.1グラムを、直径約1.25センチメートルの銀製カプセルに入れる。5.0パーセントの開口面積を有するじゃま板をカプセルの中央部に配置し、多結晶窒化ガリウム源材料0.31グラムをカプセルの上半部に配置する。カプセルを、直径1.25センチメートルの鋼製リングと共に充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア0.99グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、それにより、銀のカプセルと銀のプラグとの間に冷間溶接部を形成し、プラグを囲む鋼製リングがプラグを強化する。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。セルを約700℃まで加熱し、その温度で55時間にわたり保持し、その際、約85℃の温度勾配であった。セルを冷却し、プレスから取り出した。
【0101】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、自発核形成した多数の結晶組成物がカプセルの底に観察される。直径約0.36ミリメートルの1つの結晶組成物をランダムに選択し、625℃で30分間、アルゴン中で10パーセントの塩酸(HCl)中でエッチングした。エッチピットは観察されなかった。露出したc面の面積は、約5.3×10−4cmであり、これは、エッチピット密度が(1/(5.3×10−4cm))未満、すなわち1900cm−2未満であることを示す。これに対して、エッチング処理を、水素化物/ハロゲン化物気相エピタキシ(HVPE)によって成長させた200μm厚の窒化ガリウム片に適用した場合、ガリウム面上で2×10cm−2のエッチピット密度が観察される。HVPE法で成長させた試料の観察されたエッチピット密度は、ラッピングし研磨する前では、約300マイクロメートルの厚みに成長させた材料の図9とよく一致している。
【0102】
比較例2
各々重さ3mg〜4mgの3つのシード結晶を、NHF鉱化剤0.10グラムのと共に直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの底に置く。5.0パーセントの開口面積を有するじゃま板をカプセルの中央部に配置し、多結晶窒化ガリウム源材料0.34グラムをカプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.675インチの鋼製リングと共に充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア1.03グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセルと銀製プラグとの間に冷間溶接部を形成し、プラグを囲む鋼製リングがプラグを強化する。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。
【0103】
セルを、約15℃/分で約500℃に加熱し、約0.046℃/分で約700℃に加熱し、約28℃の温度勾配で6時間、後者の温度に保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、自発核形成した多数の結晶組成物がカプセルの底に観察される。加熱速度が極めて遅いにも関わらず、自発核形成した結晶上の成長に比較して、シード上では成長はほとんど起こらなかった。
【0104】
比較例3
重さ10.4mgの窒化ガリウムシード結晶を、NHF鉱化剤0.04グラムと共に直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの底に置く。5.0パーセントの開口面積を有するじゃま板をカプセルの中央部に設け、多結晶窒化ガリウム源材料0.74グラムをカプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.675インチの鋼製リングと共に充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア1.14グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセルと銀製プラグとの間に冷間溶接部を形成し、プラグを囲む鋼製リングがプラグを強化するようにする。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。セルを、約15℃/分で約500℃に加熱し、0.05℃/分で680℃に加熱し、約70℃の温度勾配で53時間、後者の温度に保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、加熱速度が非常に遅いにも関わらず、自発核形成した多数の結晶組成物がカプセルの底に観察される。シード結晶は、重量41.7mg及び直径約2mmに成長する。しかし、自発核形成した結晶組成物の重量は、シードの重量増加の10倍以上である。
【0105】
実施例1
重さ19.7mgの窒化ガリウムシード結晶に、高出力レーザによって小さな孔を開ける。このシードを、35パーセントの開口面積の銀のじゃま板から0.13mmの銀線によって吊し、NHF鉱化剤0.10グラムと共に直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの下半部に置く。多結晶窒化ガリウム源材料0.74グラムをカプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.583インチの鋼製リングと共に充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア0.99グラムので満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセルと銀製プラグとの間に冷間溶接部を形成し、プラグを囲む鋼製リングがプラグを強化する。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。
【0106】
K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約660℃になるまで、セルを約11℃/分の速度で加熱する。温度勾配ΔTがゼロに減少するまで、ヒータの上半部の電流を増加させる。1時間、ΔT=0で維持した後、ΔTが約35℃に増加するまで、カプセルの上半部の温度を5℃/時で低下させ、温度を78時間にわたりその値で保持する。セルを冷却し、プレスから取り外す。アンモニアを抜いた後にカプセルを開くと、シード重量が33.4mgまで増加したことが観察される。
【0107】
結晶組成物の特性は、266nm励起(4倍高調波YAG)を使用して、フォトルミネセンスによって特徴付けされる。いくつかの温度のスペクトルを図3に示す。具体的には、結晶組成物試料の特性は、5K、20K、77K及び300Kの温度でフォトルミネセンスによって特徴付けられている。5K〜300Kの全ての温度で、ルミネセンスのピークは3.38〜3.45eVに生じている。
【0108】
実施例2
前の実験から得られた、重さ12.6mgの窒化ガリウムシード結晶を、35パーセントの開口面積を有する銀製じゃま板から0.13mmの銀線によって、レーザドリル孔を通して吊し、直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの下半部に置く。NHF鉱化剤0.10グラム及び多結晶の窒化ガリウム源材料1.09グラムを、カプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.583インチの鋼製リングと共に、充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア0.95グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセルと銀製プラグとの間に冷間溶接部を形成し、プラグを囲む鋼製リングがプラグを強化するようにする。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約640℃になるまで、セルを約11℃/分の速度で加熱する。温度勾配ΔTがゼロに減少するまで、ヒーターの上半部の電流を増加させる。1時間、ΔT=0に維持した後に、ΔTが約50℃まで増加するまで、カプセルの上半部の温度を5℃/時で低下させ、温度をこの値に、98時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0109】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードは24.3mgの重量に成長していた。結晶組成物を、Ar中、625℃で30分間、10パーセントのHCl中でエッチングする。いくつかのエッチピットが、約10cm−2のエッチピット密度でシード上の領域のc面上に観察される。しかし、シードの横方向に成長する領域にはエッチピットがない。新たに横方向に成長した窒化ガリウムの領域は、約3.2×10−2cmであり、これは、エッチピット密度が(1/3.2×10−2cm)未満、すなわち32cm−2未満であることを示す。
【0110】
実施例3
前の実験から得られた、重さ48.4mg及び36.6mgの2つの窒化ガリウムシード結晶を、0.13mmの銀線によってレーザドリルで開けた孔を通して、35パーセントの開口領域の銀のじゃま板から吊し、直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの下半部に置く。NHF鉱化剤0.10グラム及び多結晶の窒化ガリウム源材料1.03グラムを、カプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.583インチの鋼製リングと共に、充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア1.08グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセルと銀製プラグとの間に冷間溶接部を形成し、プラグを囲む鋼製リングがプラグを強化するようにする。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約642℃になるまで、セルを約11℃/分の割合で加熱する。温度勾配ΔTがゼロに減少するまで、ヒーターの上半部の電流を増加させる。1時間にわたりΔT=0で維持した後に、ΔTが約30℃に増加するまで、カプセルの上半部の温度を5℃/時で低下させ、温度をこの値に、100時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0111】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードは219.8mgの重量に成長していた。2つの結晶組成物の小さな方から割り欠いた片を、分析のために選択する。結晶組成物の光学的透過スペクトルをCary500i分光計を使用して測定する。透過率は、赤色(700cm−1)から青色(465cm−1)の波長に対し、60パーセントより大きい。窒化ガリウムの屈折率[参照によりここに援用されるG Yu et al., Applied Physics Letters 70, 3209 (1997)]及び結晶の厚み(0.206mm)に基づくと、光学的吸収係数は同じ波長範囲に対し5cm−1未満である。結晶組成物は、ホットポイントプローブ(hot point probe)測定によってn型導電性を有すると判定された。結晶組成物は、Ar中、625℃で30分間にわたり、10パーセントHClの中でエッチングする。結晶組成物全体にエッチピットがなかった。結晶組成物のc面の面積は約4.4×10−2cmであり、これは、エッチピット密度が(1/4.4×10−2cm)未満、すなわち23cm−2未満であることを示す。
【0112】
実施例4
前の実験から得られた、重さ25.3mgの窒化ガリウムシード結晶を、0.13mmの銀線によってレーザドリルで開けた孔を通して、35パーセントの開口領域の銀のじゃま板から吊し、直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの下半部に置く。NHF鉱化剤0.10グラム及び多結晶0.98グラムの窒化ガリウム源材料を、カプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.583インチの鋼製リングと共に、充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア1.07グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀のカプセルと銀のプラグとの間に冷間溶接部を形成し、鋼製リングがプラグを囲んで強化するようにする。カプセルを充填器/密閉アセンブリから取り外し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。K型熱電対によって測定されたカプセルの底の温度が約700℃で、カプセルの上半部の温度が約648℃になるまで、セルを約11℃/分の割合で加熱する。温度勾配ΔTが3℃に減少するまで、ヒーターの上半部の電流を増加させる。ΔT=3℃を1時間維持した後に、ΔTが約30℃に増加するまで、カプセルの上半分の温度を5℃/時で低下させ、ΔTが約60℃まで増加するまで、2.5℃/時でさらに低下させ、温度を20時間の間、この値に保持する。セルを冷却し、プレスから取り外す。
【0113】
アンモニアを抜いた後にカプセルを開くと、シード結晶は40.2mgの重量に成長していた。結晶組成物を30分の間、50パーセントのHNO中でエッチングする。エッチピットの連なりが、シード結晶と、新しい横方向に成長した材料との間の界面の上方のc面上で観察される。しかし、新しく成長した窒化ガリウムの残りの領域には、エッチピットがない。ピットがない、新しく成長した窒化ガリウムの領域は約6.9×10−2cmであり、エッチピット密度が1/6.9×10−2cm未満、すなわち14cm−2未満であることを示す。
【0114】
実施例5
HVPE法によって得られた、重さ13.5mgの窒化ガリウムシード結晶を、0.13mmの銀線によってレーザドリルで開けた孔を通して35パーセントの開口領域の銀のじゃま板から吊し、そして直径約1.25センチメートルの銀のカプセルの下半部に置く。0.10グラムのNHF鉱化剤、0.031グラムのCoF及び0.304グラムの多結晶の窒化ガリウム源材料を、カプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.583インチの鋼製リングと共に、充填器/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填器/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、1.01グラムのアンモニアで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセル及び銀製プラグの間に冷間溶接部を形成し、鋼製リングがプラグを囲んで強化するようにする。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約635℃になるまで、セルを約11℃/分の割合で加熱し、温度をその値で10時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0115】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードの重量は10.3mgだったが、より厚く(厚み0.7ミリメートル)なっており、本質的に黒色であり、例えば名目上ドープされていない結晶よりはるかに暗い色を有する。鉱化剤としてのNHFと共に使用されるシード結晶は、結晶組成物成長開始の前にエッチングを受ける。洗浄後、Coでドープされた窒化ガリウム結晶組成物を、約0.02cmの電極面積を有する液状Ga−In合金で湿らせた2枚のインジウム箔で挟む。結晶組成物の電気抵抗は、室温で約1,050MΩであることが見出されたが、これは約3×10Ω・cmの抵抗率に相当する。約10Ω・cmよりも大きい抵抗率を有する窒化ガリウムは半絶縁性である。結晶組成物をフォトルミネセンス装置内に置き、266nmの窒素レーザで照射する。フォトルミネセンスは観察されない。透明に近く、黒い窒化ガリウム結晶組成物からの近バンドエッジフォトルミネセンスの強度の、名目上ドープされていない窒化ガリウム結晶組成物に対する比は、0.1パーセント未満である。
【0116】
実施例6
HVPE法によって成長させた窒化ガリウムシード結晶を、0.13mmの銀線によってレーザドリルで開けた孔を通して、10パーセントの開口領域の銀のじゃま板から吊し、直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの下半部に置く。NHF鉱化剤0.10グラム、FeN0.087グラム及び多結晶窒化ガリウム源材料0.305グラムを、カプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.583インチの鋼製リングと共に、充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア1.12グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセルと銀製プラグとの間に冷間溶接部を形成し、プラグを囲む鋼製リングがプラグを強化するようにする。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約630℃になるまで、セルを約11℃/分の割合で加熱し、温度をこの値で10時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0117】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードは170マイクロメートル(μm)の厚みに成長しており、赤みがかった色/琥珀色を有していた。洗浄後、Feでドープされた窒化ガリウム結晶組成物を、約0.02cmの電極面積を有する液状Ga−In合金で湿らせた2枚のインジウム箔で挟む。電気抵抗は室温で約32MΩを超え、これは3×10Ω・cmの抵抗率に相当する。約10Ω・cmよりも大きな抵抗率を有する窒化ガリウムは、半絶縁性である。
【0118】
実施例7
HVPE法によって成長させた重さ14.3mgの窒化ガリウムシード結晶を、0.13mmの銀線によってレーザドリルで開けた孔を通して、35パーセントの開口領域の銀のじゃま板から吊し、直径約1.25センチメートルの銀製カプセルの下半部に置く。NHF鉱化剤0.10グラム、MnN0.026グラム及び多結晶窒化ガリウム源材料1.008グラムを、カプセルの上半部に置く。カプセルを、直径0.583インチの鋼製リングと共に、充填/密閉アセンブリに封入する。カプセル及び充填/密閉アセンブリをガスマニホールドに移し、アンモニア1.04グラムで満たす。次に、プラグをカプセルの開いた上端部に挿入し、銀製カプセルと銀製プラグとの間に冷間溶接部を形成し、鋼製リングがプラグを囲んで強化するようにする。カプセルを充填/密閉アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置に挿入する。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約650℃になるまで、セルを約11℃/分の割合で加熱し、温度をこの値で60時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0119】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードは53.4mgの重量に成長し、厚みは350マイクロメートルで、オレンジ色を呈した。磁化率測定によると、Mnでドープされた窒化ガリウムの結晶組成物は常磁性である。
【0120】
実施例8
0.100g、0.200g又は0.500グラムのNHFを、3つの別々の約1.25センチメートルの銀製カプセルに添加する。さらに、充填/密閉アセンブリを使用して、多結晶窒化ガリウム0.36のグラム及びアンモニア0.9〜1.0グラムを各カプセルに加える。NHF鉱化剤の濃度は、アンモニアに関するモル比として表すと、3つのカプセル中、それぞれ5.4パーセント、9.3パーセント及び23.7パーセントである。密閉したカプセルをゼロストローク高圧装置のセル内に置き、700℃まで加熱し、この温度に8時間にわたり保持し、冷却した。窒化ガリウムの結晶組成物は3つのカプセル全ての中で成長した。また、各カプセルの中には、GaF(NH及び(NHGaFを含有する結晶組成物が存在する。Gaを含む錯体の重量は、3つのカプセル中、それぞれ0.12g、0.25g及び0.65gであり、溶解したGa含有種の濃度が初期の鉱化剤濃度にほぼ比例することを示す。3つのカプセル中の溶解していない多結晶の窒化ガリウムの重量は、それぞれ0.29g、0.23g及び0.03gであり、鉱化剤の濃度が高いほど窒化ガリウムの迅速な溶解及び輸送が可能になることを示す。
【0121】
実施例9
1cmの正方形の窒化ガリウムシード結晶の中心に、直径2ミリメートルの孔をレーザであける。このシード結晶を25パーセントの開口面積のじゃま板から吊し、直径1.1インチの銀製カプセル内に置く。NHF1.000グラム及び多結晶窒化ガリウム15.276グラムを、グローブボックス内の直径1.1インチの銀製カプセルに加え、直径0.12インチの充填管を有する蓋をカプセルの上端部に溶接する。充填管を、内容物を空気に曝すことなくガスマニホールドに取り付け、カプセルを排気し、NH8.44グラムで満たす。充填管を溶接して密閉する。カプセルをゼロストローク高圧装置中のセルに置く。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約650℃になるまで、セルを約11℃/分の割合で加熱する。温度勾配ΔTがゼロに減少するまで、ヒーターの上半部の電流を増加する。1時間ΔT=0で保持した後に、カプセルの上半部の温度をΔTが約30℃に増加するまで、5℃/時で低下させ、温度をこの値に100時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0122】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードは約11.7×16.0ミリメートルまで横方向に成長し、中心の孔を満たしていることが見出される。図11に示された結晶では、横方向に成長した窒化ガリウムがシードと融合した位置の境界が見えるが、穴上及びその周囲で本質的に転位を含まない材料を含んでいた。m方向の成長速度は約17μm/時であり、a方向の成長速度は約60μm/時であり、これはシードの穴を高品質材料で満たすためには充分以上である。
【0123】
実施例10
厚み約0.2ミリメートルの、18×18×18ミリメートルの長い三角形の窒化ガリウムシード結晶を、15パーセントの開口領域を有するじゃま板から吊し、直径1.1インチの銀製カプセルの内部に置く。GaF0.998グラム、NHF0.125グラム及び多結晶窒化ガリウム10.118グラムをグローブボックス内のカプセルに加え、直径0.12インチの充填管を備えた蓋をカプセルの上部に溶接する。充填管を、内容を空気に曝すことなくガスマニホールドに取り付け、カプセルを排気し、NH9.07グラムので満たす。充填管を溶接して密閉する。カプセルをゼロストローク高圧装置中のセルに置く。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約750℃、カプセルの上半部の温度が約700℃になるまで、セルを加熱する。温度をこの値に54時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0124】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードは約20×20×20mmまで横方向に成長していた。c軸に対する横方向の成長速度は、約37μm/時である。図10に示す結晶は、端部領域に本質的に転位を含まない材料を含んでいた。成長したままの結晶組成物は透明であり、眼に見えるクラック、二次元の境界又は他の欠陥を有していない。
【0125】
実施例11
18×13×0.20ミリメートル厚の三角形の窒化ガリウムシード結晶を、25パーセントの開口領域を有するじゃま板から吊し、直径1.1インチの銀製カプセルの内部に置く。NHF1.0グラム及び多結晶窒化ガリウム14.655グラムを、グローブボックス内のカプセルに加え、直径0.12インチの充填管を備えた蓋をカプセルの上部に溶接する。充填管を、内容を空気に曝すことなくガスマニホールドに取り付け、カプセルを排気し、NH8.35グラムで満たす。充填管を溶接して密閉する。カプセルをゼロストローク高圧装置中のセルに置く。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約660℃になるまで、セルを加熱する。温度をこの値に99時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0126】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シード結晶の横方向の寸法は同一にとどまり、約18×13mmであった。結晶組成物はくさび形であり、じゃま板の近くの端部での0.50ミリメートルから、カプセルの底の近くの端部での2.36のミリメートルまでの範囲の厚みを有した。成長速度は、c(0001)方向に沿って薄い端部では5ミクロン/時であり、厚い端部では22ミクロン/時であった。結晶組成物は暗緑色であるが透明であり、眼に見えるクラック、二次元の境界又は他の欠陥はない。
【0127】
実施例12
1×1cmの寸法で880μm厚の窒化ガリウムシード結晶を、10パーセントの開口領域を有するじゃま板から吊し、直径1.1インチの銀のカプセルの内部に置く。GaF1.147グラム及び多結晶窒化ガリウム10.112グラムを、グローブボックス内のカプセルに加え、直径0.12インチの充填管を備えた蓋をカプセルの上部に溶接する。充填管を、内容を空気にさらすことなしにガスマニホールドに取り付け、カプセルを排気し、NH8.35グラムで満たす。充填管を溶接して密閉する。カプセルをゼロストローク高圧装置中のセルに置く。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約750℃、カプセルの上半部の温度が約705℃になるまで、セルを加熱する。温度をこの値に56.5時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0128】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、シードは1520mmまで厚みが増加したが、これはc(0001)方向に沿った成長速度が11.3ミクロン/時であることを示す。
【0129】
実施例13
NHF1.53グラム及び多結晶窒化ガリウム1.53グラムを、アンモニアのない約1.25センチメートルの銀製カプセルに加える。カプセルをゼロストローク高圧装置中のセルに置き、700℃まで加熱し、この温度に13時間保持し、冷却する。カプセルを開いたとき、高温プロセス中にNHFと窒化ガリウムとの反応によって形成されたNHガス0.42が排出される。良好なファセットを呈し、自発核形成した窒化ガリウム結晶組成物が、カプセルの底から回収される。NHF約0.62グラムの等量が残留し(1.53〜37/17×0.42)、これは、窒化ガリウムの成長が40モルパーセントのNHF中で起こることを示唆する。
【0130】
実施例14
1.3×6.1ミリメートルのスロットを、10×16×0.2ミリメートルのHVPE法による窒化ガリウム結晶の中心にレーザで切り抜く。窒化ガリウムシード結晶を25パーセントの開口領域を有するじゃま板から吊し、直径1.1インチの銀製カプセルの内部に置く。NHF1.0グラム及び多結晶窒化ガリウム12.79グラムを、グローブボックス内のカプセルに加え、直径0.12インチの充填管を備えた蓋をカプセルの上部に溶接する。充填管を、内容を空気に曝すことなしにガスマニホールドに取り付け、カプセルを排気し、NH8.17グラムで満たす。充填管を溶接して密閉する。カプセルをゼロストローク高圧装置中のセルに置く。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約660℃になるまで、セルを加熱する。温度をこの値に94時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0131】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、スロットは新しく成長した窒化ガリウム結晶組成物によって覆われ、封じられている。継ぎ目/境界がスロットの中心に存在することが予測されるが、スロットは透明で、高品質で眼に見えるクラック、境界又は他の欠陥のない新しい結晶組成物で封じられている。
【0132】
実施例15
1.9ミリメートル×5.1ミリメートルのスロットを、8.8ミリメートル×15.1ミリメートル×0.2ミリメートルのHVPE法による窒化ガリウム結晶の中心にレーザで切り抜く。窒化ガリウムシード結晶を、4パーセントの開口領域のじゃま板から吊し、直径1.1インチの銀製カプセルの内部に置く。NHF1.0グラム及び多結晶窒化ガリウム10.03グラムを、グローブボックス内のカプセルに加え、直径0.12インチの充填管を備えた蓋をカプセルの上部に溶接する。充填管を、内容を空気に曝すことなくガスマニホールドに取り付け、カプセルをまず排気してから、NH8.54グラムで満たす。充填管を溶接して密閉する。カプセルをゼロストローク高圧装置中のセルに置く。K型熱電対によって測定しながら、カプセルの底の温度が約700℃、カプセルの上半部の温度が約665℃になるまで、セルを加熱する。温度をこの値に60時間にわたり保持する。セルを冷却し、プレスから取り出す。
【0133】
アンモニアを排気した後にカプセルを開くと、スロットは透明で無色に近い新しく成長した窒化ガリウム結晶によって覆われている。この領域上でX線回折試験を行った。(0002)反射については、強度対ω(ロッキング曲線)測定により、35秒角の半値全幅(FWHM)を得た。スロット中で成長させた窒化ガリウム結晶組成物の部分のガリウム表面上で、較正された二次イオン質量分析(SIMS)によって決定された不純物濃度は、酸素5×1017cm−3、水素3×1018cm−3、炭素4×1016cm−3、ケイ素6×1015cm−3のように見出された。窒化ガリウム結晶組成物の同じ部分の窒素面上では、対応する不純物濃度は、酸素4×1017cm−3、水素2×1018cm−3、炭素5×1016cm−3、及びケイ素、2×1016cm−3のように見出された。
【0134】
実施例16
一連のドープされていない窒化ガリウム結晶組成物を、上に開示の実施例のプロセスにより製造した。試料1で製造された窒化ガリウム結晶組成物はドープされておらず、透明で無色であり、試料2では、不透明で半絶縁性であり、試料3では、透明で、ほぼ室温でp型伝導性である。試料4〜20中の窒化ガリウム結晶組成物は、下表に列挙したように他の組成物を含む。
【0135】
試料4〜20はウェハに加工される。そのようなウェハ加工は、研磨、エッチング及びエッジ面取りを含む。ウェハはエレクトロニクスへの応用では半導体チップとして評価される。エレクトロニクスへの応用は、様々なものがあり、ウェハの特徴に応じて、発光ダイオード、レーザダイオード、光検出器、アバランシェフォトダイオード、p−i−nダイオード、金属−半導体−金属ダイオード、ショットキー整流器、高電子移動度トランジスタ、金属−半導体電界効果トランジスタ、金属−酸化物電界効果トランジスタ、パワー金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ、パワー金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、金属−絶縁体電界効果トランジスタ、ヘテロジャンクションバイポーラトランジスタ、パワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、パワー垂直接合電界効果トランジスタ、カスコードスイッチ、内部サブバンドエミッタ、量子井戸赤外光検出器及び量子ドット赤外光検出器を含む。
【0136】
上述の窒化ガリウム結晶組成物を形成する方法は、より大きな高品質窒化ガリウム結晶の成長を可能にする。この窒化ガリウム結晶組成物は、効率、信頼性、収率、パワー性能、破壊電圧が比較的改善され、且つ暗電流並びに欠陥及びトラップにより引き起こされるノイズが低減された、エレクトロニクス及びオプトエレクトロニクスの素子の製作を可能にするだろう。

【0137】
物質、成分又は原料については、本開示による1つ以上の他の物質、成分又は原料と初めて接触するか、インサイトゥで生成されるか、配合されるか、混合されるかの直前の時点で存在するものについて言及する。反応生成物、得られた混合物等として判定されている物質、成分又は原料は、当業者(例えば化学者)の常識及び通常の技術を適用してこの開示に従って実施すれば、接触、インサイトゥでの生成、配合又は混合操作の過程中の化学反応又は変換によって固有の性質、特性又は特徴を得ることができる。化学製品又は最終材料への化学反応物又は出発材料の変換は、連続的に進行するプロセスであり、それが起こる速度とは無関係である。したがって、そのような変換プロセスが進行するので、出発材料と最終材料との混合物だけでなく、速度論的寿命に依存して、当業者に知られる現行の分析技術で検出するのが容易であるか又は困難であるかもしれない中間種も存在し得る。
【0138】
明細書又は特許請求の範囲において化学名又は化学式によって引用された反応物及び成分は、単数形で引用されても複数形で引用されても、化学名又は化学的な種類によって引用された他の物質(例えば他の反応物又は溶媒)と接触する前に存在すると認識され得る。得られた混合物、溶液又は反応媒体のなかで起る予備的な及び/又は遷移的な化学変化、変換又は反応は、もしあれば、中間種、マスタバッチ等であると認識され得、反応生成物又は最終材料の有用性とは別の有用性を有していてよい。これに続く別の変化、変換又は反応は、特定の反応物及び/又は成分を、この開示に従って必要とされる条件下に置くことにより生じ得る。これに続く別の変化、変換又は反応において、一緒にされる反応物、原料又は成分は、反応性生物又は最終材料であると認識又は指示され得る。
【0139】
ここに記載の態様は、特許請求の範囲に記述された本発明の構成要素に対応する構成要素を有する組成物、構造、システム及び方法の例である。この記載は、当業者に、特許請求の範囲に記述された本発明の構成要素に同様に対応する代替の要素を有する態様を製造し、使用することも可能にする。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載そのものと異ならない組成物、構造、システム及び方法を含み、また特許請求の範囲の記載そのものとわずかに異なる別の構造、システム及び方法を含む。特定の特徴及び特定の態様だけがここに示され説明されている一方で、多くの修飾や変更が当業者によって行われ得る。添付の特許請求の範囲は、そのような修飾や変更の全てを網羅する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ガリウムを含有する結晶組成物を成長させる方法であって、
核形成中心と関連している源材料を加熱し、前記核形成中心が、ガリウム及び窒素を含む第1の結晶組成物を含み、該第1の結晶組成物が、厚みwと、厚みwに垂直な結晶面を規定する次元x及びyとを有し、前記第1の結晶組成物が、少なくとも1つの次元x又はyで少なくとも3mmである少なくとも1つの粒子を含み、該少なくとも1つの粒子が、二次元の欠陥を含まず、1平方センチメートル当り約10,000未満の一次元の転位密度を有し、
前記第1の結晶組成物上に第2の結晶組成物を成長させ、前記第1の結晶組成物及び前記第2の結晶組成物が、同一の又は異なる第III族窒化物であることを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の結晶組成物が、二次元の欠陥がなく且つ1平方センチメートル当り約10,000未満の一次元の転位密度を有する、少なくとも1つの次元x又はyで少なくとも5mmである少なくとも1つの粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の結晶組成物が、二次元の欠陥がなく且つ1平方センチメートル当り約10,000未満の一次元の転位密度を有する、少なくとも1つの次元x又はyで少なくとも10mmである少なくとも1つの粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の結晶組成物が、二次元の欠陥がなく且つ1平方センチメートル当り約10,000未満の一次元の転位密度を有する、少なくとも1つの次元x又はyで少なくとも15mmである少なくとも1つの粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記核形成中心が、パターンを有する基板を含み、該パターンを有する基板が、所定の寸法を有する少なくとも1つの切欠を規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の結晶組成物を、前記切欠の境界から横方向に成長させることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記源材料が、第1の領域と第1の領域から隔てられた第2の領域とを有するチャンバ内に配置される、方法であって、
前記核形成中心を前記第1の領域に配置し、
前記源材料を前記第2の領域に配置し、
前記チャンバ内に溶媒を配置し、該溶媒が、窒素含有流体及び酸性鉱化剤を含有する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法:
【請求項8】
前記第1の領域に、前記第2の領域と比較して異なる量の熱エネルギーを供給することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記窒素含有流体が、本質的にアンモニアからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記酸性鉱化剤が、HX、NHX又はGaXの少なくとも1つを含み、式中、Xがハロゲンである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記酸性鉱化剤が、HX、NHX又はGaXのうちの2つ以上の混合物を含み、前記Xが少なくとも1つのハロゲンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記酸性鉱化剤が、ガリウム、窒化ガリウム又はアンモニアの1つ以上と、HX、NHX又はGaXの1つ以上との反応生成物の少なくとも1つを含み、式中、Xがハロゲンである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記酸性鉱化剤が、反応条件下で分解して、ガリウム、窒化ガリウム又はアンモニアの1つ以上と、HX、NHX又はGaXの1つ以上とを含む少なくとも1つの反応生成物を生成する少なくとも1つの前駆物質を含み、式中、Xがハロゲンである、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒対し、約0.5モルパーセント〜約90モルパーセントのハロゲン化物濃度を前記チャンバ内で達成するのに充分な量で酸性鉱化剤を供給することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記ドーパント源を供給することをさらに含み、該ドーパント源が、Be、C、O、Mg、Si、H、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Hf、希土類金属及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
ゲッターを配置することをさらに含み、該ゲッターが、前記チャンバ内の水又は酸素の少なくとも1つに作用するよう機能することが可能であり、これにより、前記水又は酸素の反応への利用可能性が低減する、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記ゲッターが、AlX、CrX、ZrX、HfX、VX、NbX、TaX又はWXの少なくとも1つを含み、式中、Xがハロゲンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ゲッターが、アルカリ土類金属、Al、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、W、希土類金属及びそれらの窒化物又はハロゲン化物の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の結晶組成物のガリウム空格子点をパッシベートすることをさらに含み、前記第1及び第2の結晶組成物が窒化ガリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び第2の結晶組成物が窒化ガリウムを含み、前記第1の結晶組成物上に前記第2の結晶組成物を成長させる方法が、水素化物気相エピタキシを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の結晶組成物の少なくとも1つの表面上に、前記第2の結晶組成物を成長させることを含み、前記第1の結晶組成物が、ガリウム及び窒素を含み、約3175cm−1に赤外吸収ピークを有し、約0.01cm−1より大きい単位厚み当りの吸光度を有する、方法。
【請求項22】
前記第1の結晶組成物が核形成中心を規定するように、当該第1の結晶組成物と関連している源材料を加熱することをさらに含み、前記核形成中心が、ガリウムと、アルミニウム、ヒ素、ホウ素、インジウム又はリンの各々約5モルパーセント未満とを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって、
チャンバの第1の端部で第1の領域において核形成中心と、前記第1の端部から隔てられた前記チャンバの第2の端部で第2の領域において、ガリウム及び窒素を含む源材料と、前記チャンバ内の溶媒和温度及び操作圧力で窒化ガリウムを溶媒和することができる溶媒とを供給し、
前記チャンバを操作圧力まで加圧し、
第1の温度分布を作り出し、それにより、前記第1の領域の温度が少なくとも溶媒和温度となっており、前記溶媒が前記チャンバの前記第1領域で過飽和されるようにし、それにより、窒化ガリウムを含む結晶組成物が前記核形成中心上で成長するように、第2の温度勾配が前記核形成中心と前記窒化ガリウム源材料との間に存在し、第1の温度分布を前記チャンバ内に作り、前記第1の温度分布が、前記第2の温度分布とは符号が逆であることを含む、方法。
【請求項24】
前記溶媒中の窒化ガリウムの溶解度を増加するために、前記チャンバ内に鉱化剤を供給することをさらに含む、請求項23に記載の窒化ガリウム単結晶を形成する方法。
【請求項25】
窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって、
第1の端部を有するチャンバの第1の領域において核形成中心と、第2の端部を有するチャンバの第2の領域において窒化ガリウム源材料と、前記チャンバにおいて窒化ガリウム溶媒とを供給し、
前記チャンバを加圧し、
前記溶媒が前記チャンバの第1の領域で過飽和され、且つ窒化ガリウム結晶が前記核形成中心上で成長するように第1の端部と第2の端部との間に第1の温度勾配が存在する第1の温度分布を作り、保持し、
溶媒がチャンバの第1の領域で過飽和され、且つ窒化ガリウムを含有する結晶組成物が核形成中心で成長するような第2の温度勾配が第1の端部と第2の端部との間に存在する前記チャンバ内に第2の温度分布を作り、前記第2の温度勾配が、前記第1の温度勾配より大きさが大きく、前記第2の温度分布の結晶成長速度が、前記第1の温度分布でのものより大きいことをさらに含む、方法。
【請求項26】
窒化ガリウム結晶が、前記核形成中心からエッチングされるような第1の端部と第2の端部との間に第3の温度勾配が存在するように、前記チャンバ内に第3の温度分布を作ることをさらに含む、請求項20に記載の窒化ガリウムを含む単結晶を形成する方法。
【請求項27】
窒化ガリウムを含む結晶を形成する方法であって、
核形成中心を供給し、該核形成中心が、アルミニウム又はインジウムの少なくとも1つの約5モルパーセントまでを含む窒化ガリウム単結晶を含み、該窒化ガリウム単結晶が少なくとも1つの粒子を含み、少なくとも1つの粒子が、少なくとも1つの次元x又はyで3ミリメートルより大きく、1平方センチメートル当り約10,000未満の一次元の転位密度を有し、おおむね傾角境界を含まず、
該核形成中心に窒化ガリウムを含む結晶を成長させることを含む、方法。
【請求項28】
前記核形成中心を供給することが、基板にパターンを形成することを含み、該パターンを形成した基板が、少なくとも1つの切欠を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記窒化ガリウムを含む結晶組成物を成長させることが、前記核形成中心の境界から横方向に窒化ガリウムを成長させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって、
チャンバの第1の領域において核形成中心と、前記チャンバの第2の領域において窒化ガリウム源材料と、前記チャンバ内の窒化ガリウムを溶媒和することができる溶媒と、を供給し、前記窒化ガリウム溶媒が、窒素含有の過熱流体及び酸性鉱化剤を含有し、前記酸性鉱化剤が、任意に、前記溶媒に対して約0.5モルパーセントより大きい濃度で存在し、さらに、任意に、前記チャンバの前記第1の領域又は前記第2の領域、又は前記第1の領域及び前記第2の領域の両方おいてゲッター材料を供給し、
前記チャンバを、任意に、5キロバールより大きな圧力まで加圧し、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に第1の温度勾配が存在するように第1の温度分布を作り、
前記核形成中心上に、窒化ガリウムを含有する結晶組成物を成長させることを含む、方法。
【請求項31】
前記酸性鉱化剤が、約0.5モルパーセントより大きな濃度で存在する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記酸性鉱化剤が、HX、NHX又はGaXの少なくとも1つを含み、式中、Xがハロゲンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酸性鉱化剤が、HX、NHX又はGaXの2つ以上の混合物を含み、Xが少なくとも1つのハロゲンを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記酸性鉱化剤が、ガリウム、窒化ガリウム又はアンモニアの1つ以上と、HX、NHX又はGaXの1つ以上との反応生成物の少なくとも1つを含み、式中、Xがハロゲンである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記酸性鉱化剤が、反応条件下で分解して、ガリウム、窒化ガリウム又はアンモニアの1つ以上と、HX、NHX又はGaXの1つ以上とを含む反応生成物の少なくとも1つを生成する少なくとも1つの前駆物質を含み、式中、Xがハロゲンである、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
ゲッターが前記チャンバ内に配置され、該ゲッターが、前記チャンバ内の水又は酸素の少なくとも1つに作用して、これにより、前記水又は酸素の反応への利用が低減する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記ゲッターが、AlX、CrX、ZrX、HfX、VX、NbX、TaX、又はWXの少なくとも1つを含み、式中、Xがハロゲンである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ゲッターが、アルカリ土類金属、Al、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、W、希土類金属及びそれらの窒化物又はハロゲン化物の少なくとも1つを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって、
窒化ガリウムを含む自立基板の表面を酸化して、酸化層を形成し、
乾式熱プロセス又はプラズマ支援プロセスの少なくとも1つを使用して、前記酸化層を除去することを含む、方法。
【請求項40】
前記酸化が、表面層を酸化剤に曝すことをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記酸化剤が、硝酸、王水、硫酸と硝酸との混合物、過塩素酸、クロム酸塩、二クロム酸塩又は過マンガン酸塩の少なくとも1つを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記酸化剤が過硫酸塩を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記除去することが、湿式エッチングプロセス又はUV光支援除去プロセスの少なくとも1つをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記除去することが、真空中において、窒素を含む環境で又はアンモニアを含む環境で、約600℃〜約1200℃の温度に熱アニールすることをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって、
窒化ガリウムを含む結晶組成物の破損した表面層を除去することを含み、該除去することが、約800℃〜約1500℃の温度で、約0.001秒〜約10時間にわたり、窒素を含む環境又は水素を含む環境の少なくとも1つで、アニールし、エッチングし、熱的脱着することを含む、方法。
【請求項46】
前記窒素を含む環境又は水素を含む環境が、窒素、水素、アンモニア、ヒドラジン、アジ化水素酸、窒素プラズマ又はプラズマで解離されたアンモニアの少なくとも1つを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
窒化ガリウムを含む結晶を形成する方法であって、
格子損傷層を有する表面を有する窒化ガリウムを含む結晶組成物を化学機械研磨して、格子損傷層を除去し、該化学機械研磨が、化学機械研磨スラリーを用いて行い、
該化学機械研磨スラリーが、研磨剤粒子、粘性調整剤、分散剤、キレート剤、非イオン界面活性剤、重合体の界面活性剤、アミン若しくはイミンの界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム化合物、フッ化物塩、アンモニウム塩及び酸化剤の1つ以上を含有し、
前記研磨剤粒子が、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化スズ、希土類酸化物、二ホウ化チタン、炭化チタン、炭化タングステン、立方晶窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、SiO若しくはAlの少なくとも1つを含むガラス粉末、又は金属粒子の1つ以上を含む、方法。
【請求項48】
前記スラリーが、少なくとも1つのpH調整剤をさらに含有し、前記研磨剤粒子が、任意に、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの少なくとも1つを含有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記研磨剤粒子が、約10ナノメートル〜約300ナノメートルの直径を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記酸化剤が、過酸化水素、ニトロ化合物又はフェリシアン化カリウムの少なくとも1つを含有する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸を含有する、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
第1の領域と、第1の領域から隔てられた第2の領域とを有するチャンバ内で、窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって
前記第1の領域に核形成中心を配置し、
前記第2の領域に源材料を配置し、
前記チャンバ内に、窒化ガリウムを溶媒和することができる溶媒を配置し、
前記チャンバの前記第1領域又は前記第2領域又は前記第1領域及び前記第2領域の両方に、ゲッター物質を配置し、
前記第1領域と前記第2領域との間に第1の温度勾配が存在するように第1の温度分布を作り、
前記核形成中心上に、前記窒化ガリウム結晶を成長させることを含み、
前記ゲッターが、前記チャンバ内の水又は酸素の少なくとも1つに作用することが可能で、これにより、前記水又は酸素の反応への利用が低減する、方法。
【請求項53】
前記溶媒がアンモニアを含み、前記ゲッターが、AlX、CrX、ZrX、HfX、VX、NbX、TaX若しくはWXの少なくとも1つ並びに/又はアルカリ土類金属、Al、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、W、希土類金属及びそれらの窒化物若しくはハロゲン化物の少なくとも1つを含み、式中、Xがハロゲンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
第1の領域と、該第1の領域から隔てられた第2の領域とを有するチャンバ内で窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって、
前記第1の領域に核形成中心を配置し、
前記チャンバの前記第2の領域に源材料を配置し、
前記チャンバ内に、窒化ガリウムを溶媒和することができる溶媒を配置し、該溶媒が、窒素含有流体及び酸性鉱化剤を含み、
前記チャンバの前記第1の領域又は前記第2の領域、又は前記第1の領域及び前記第2の領域との両方にドーパント源を配置し、該ドーパント源が、Be、C、O、Mg、Si、H、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Hf、希土類金属及びそれの組合せの少なくとも1つを含み、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に第1の温度勾配が存在するように、第1の温度分布を作り、
前記核形成中心上に、窒化ガリウムを含む結晶組成物を成長させることを含む、方法。
【請求項55】
前記酸性鉱化剤が、HX、NHX若しくはGaXの少なくとも1つ、HX、NHX若しくはGaXの2つ以上の混合物、ガリウム、窒化ガリウム若しくはアンモニアの1つ以上とHX、NHX若しくはGaXの1つ以上との反応生成物、並びに/又は反応条件下で分解して、ガリウム、窒化ガリウム若しくはアンモニアの1つ以上とHX、NHX若しくはGaXの1つ以上とを含有する反応生成物の少なくとも1つを生成する少なくとも1つの前駆物質を含み、式中、Xがハロゲンである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
第1の領域と、該第1の領域から隔てられた第2の領域とを有するチャンバ内で、窒化ガリウムを含む結晶組成物を形成する方法であって、
前記第1の領域に核形成中心を配置し、
前記第2の領域に源材料を配置し、
前記チャンバ内の窒化ガリウムを溶媒和することができる溶媒を配置し、該溶媒がアンモニアを含み、
前記第1領域と前記第2領域との間に第1の温度勾配が存在するように、第1の温度分布を作り、
前記核形成中心上に、窒化ガリウム結晶を成長させることを含み、
前記核形成中心が、厚みwと、厚みwに垂直な結晶面を規定する次元x及びyとを有するシード結晶を含み、x又はyの少なくとも1つがwより大きく、
前記窒化ガリウムを含む結晶の成長が、シード結晶上で横方向に起る、方法。
【請求項57】
前記結晶の横方向成長が、二次元の欠陥がなく且つ1平方センチメートル当り約10,000未満の一次元の転位密度を有する少なくとも1つの粒子を有する結晶組成物を生成する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記結晶の横方向成長が<11−20>方向に起り、(0001)及び(000−1)面内の少なくとも1つの次元x又はyが少なくとも3mmである少なくとも1つの粒子を有する結晶組成物が生成する、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記結晶の横方向成長が<10−10>方向に起り、(0001)及び(000−1)面内の少なくとも1つの次元x又はyが少なくとも3mmである少なくとも1つの粒子を有する結晶組成物が生成する、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記結晶の横方向成長が<10−10>方向に起り、(0001)及び(000−1)面内の少なくとも1つの次元x又はyが少なくとも3mmである少なくとも1つの粒子を有する結晶組成物が生成する、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記結晶の横方向成長が<000−l>方向に起り、(10−10)面内の少なくとも1つの次元x又はyが少なくとも3mmである少なくとも1つの粒子を有する結晶組成物が生成する、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記結晶の横方向成長が<000−l>方向に起り、(11−20)面内の少なくとも1つの次元x又はyが少なくとも3mmである少なくとも1つの粒子を有する結晶組成物が生成する、請求項56に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7(a)】
image rotate

【図7(b)】
image rotate

【図7(c)】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2010−509172(P2010−509172A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536327(P2009−536327)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/023693
【国際公開番号】WO2008/133653
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】