結晶方位制御ポリシリコン膜を生成するためのシステム及び方法
1つの態様によれば、本発明は、制御される微小構造体並びに結晶学的配向を有する多結晶膜を形成する方法を提供する。本方法は、特定の結晶方位の細長い粒子又は単結晶アイランドを形成する。特に、基板上で膜を処理する方法は、1つの好ましい結晶方位に主に向けられた結晶粒子を有する配向膜を提供する段階と、次いで、好ましい結晶方位に向けられた粒子の位置制御成長を可能にする順次横方向固化結晶化法を用いて微小構造体を生成する段階とを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年、非晶質又は多結晶半導体膜の結晶化、又はその結晶化度の改善について様々な技術が研究されている。この技術は、画像センサ及びディスプレイ、例えばアクティブマトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)デバイスなどの様々なデバイスの製造において用いられる。ディスプレイでは、適切な透明基板上に薄膜トランジスタ(TFT)の規則的なアレイが作製され、各トランジスタはピクセルコントローラの役割を果たす。
【0002】
半導体膜は、ラインビームELAとしても知られるエキシマレーザアニーリング(ELA)を用いて処理され、ここでは膜のある領域がエキシマレーザによって照射されて膜を部分的に溶融し、結晶化される。図1Aは、レーザ誘起溶融及び固化によって得ることができる低温ポリシリコン(ポリsi)(LTPS)微小構造体を例示している。このプロセスは通常、基板表面上を連続的に進む細長いビーム形状を使用し、ビームが表面全体にわたる一回の走査で全半導体薄膜を照射することが潜在的にできるようにする。ELAは小粒状多結晶膜を生成するが、この方法はパルス間のエネルギー密度変動及び/又は不均一なビーム強度プロファイルによって引き起こされる可能性のある微小構造体上の不均一性を生じることが多い。図2は、ELAから得られるランダムな微小構造体の画像である。均一な粒径を備えたランダムな多結晶膜を生成するためには、Si膜は複数回照射される。
【0003】
エキシマレーザを用いた順次横方向固化(SLS)は、大きく均一な粒子を有する高品質多結晶膜を形成するのに使用されてきた1つの方法である。SLSは、膜上の予め定義された位置において結晶化材料の細長い粒子が得られる結晶化プロセスである。図1B〜1Dは、SLSによって得ることができる微小構造体を示している。電子流方向で粒界の数が少ないと高い電子移動度が生じることから、大きな粒状多結晶膜はスイッチング特性の改善を示すことができる。SLSプロセスは粒界の位置を制御する。Dr.James Imに付与され、その全開示事項が引用により本明細書に組み込まれる、本出願の同一譲受人に譲渡された米国特許第6,322,625号、第6,368,945号、第6,555,449号、及び第6,573,531号には、かかるSLSシステム及びプロセスが記載されている。
【0004】
図3A〜3FはSLSプロセスを概略的に例示している。SLSプロセスでは、最初に非晶質又は多結晶膜(例えば、連続波(CW)処理済みSi膜、堆積したままの膜、又は固相結晶化膜)を超狭幅レーザビームレットによって照射する。ビームレットは、例えばレーザビームパルスをスロット付きマスクに透過させることによって形成され、シリコン膜の表面上に投影される。ビームレットは非晶質シリコンを溶融し、冷却すると、非晶質シリコン膜は再結晶化して1つ又はそれ以上の結晶を形成する。結晶は最初に照射区域の縁部から中心に向かって内方に成長する。最初のビームレットが膜の一部分を結晶化した後、この最初のビームレットからの「横方向成長長さ」よりも短い位置で第2のビームレットが膜を照射する。新しく照射された膜位置では、前の段階で形成された多結晶材料の種晶から結晶粒子が横方向に成長する。この横方向成長の結果として、結晶はビームレット進行方向に沿って高品質なものとなる。細長い結晶粒子は、狭幅ビームレットの長さにほぼ直角であり、長い粒子軸に対してほぼ平行に延びる粒界によって分離される。
【0005】
多結晶材料が電子デバイスを作製するのに用いられる場合には、キャリア輸送に対する全抵抗は、キャリアが所与の電位の影響下で移動するときに越える必要のある障壁の組み合せによって影響を受ける。キャリアが多結晶材料の長い粒子軸に直角方向に移動する場合、又はより多数の小粒子全体にわたり進む場合に越える粒界の数が増えることに起因して、キャリアは、長い粒子軸に平行に進む場合に比べてより高い抵抗を受けることになる。従って、TFTなど、SLSを用いて形成される多結晶膜上に作製されるデバイスの性能は、主成長方向に一致する長い粒子軸に対するTFTチャンネルの結晶品質及び微小構造体によって決まることになる。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,322,625号公報
【特許文献2】第6,368,945号公報
【特許文献3】第6,555,449号公報
【特許文献4】第6,573,531号公報
【特許文献5】米国特許出願第10/944,350号公報
【特許文献6】米国特許出願第60/503,419号公報
【非特許文献1】M.W.Geis他の「Zone−Melting recrystallization of Si films with a moveable−strip−heater oven(可動ストリップヒータオーブンを用いたSi膜のゾーン溶融再結晶化)」、J.Electro−Chem.Soc.129、2812(1982年)
【非特許文献2】Mat.Res.Soc.Sym.Proc、321、665−670、(1994年)
【非特許文献3】「Tailoring texture in laser crystallization of silicon thin−films on glass(ガラス上のシリコン薄膜のレーザ結晶化における配向調整)」、Solid State Phenom.93、173(2003年)
【非特許文献4】Physical Review B(Solid State)4、1950(1971年)におけるT.Sato、Y.Takeishi、及びY.Okamotoの「Mobility anisotropy of electrons in inversion layers on oxidized silicon surfaces(酸化シリコン表面上の反転層における電子の移動度の異方性)」
【非特許文献5】IEEE Trans.Electron Devices ED−19、1280(1972年)におけるM.H.White及びJ.R.Cricchiの「Characterization of thin−oxide MNOS memory transistors(薄い酸化膜のMNOSメモリトランジスタの特性評価)」
【発明の開示】
【0007】
多結晶薄膜を利用するデバイスにおいて許容可能なシステム性能を達成するために、結晶粒子の明確な結晶方位をもたらす製造プロセスを最適化する必要性が依然としてある。
【0008】
1つの態様によれば、本発明は、制御される微小構造体並びに結晶学的配向を有する多結晶膜を形成する方法を提供する。本方法は、特定の結晶方位の細長い粒子又は単結晶アイランドを形成する。特に、基板上で膜を処理する方法は、1つの好ましい結晶方位に主に向けられた結晶粒子を有する配向膜を提供する段階と、次いで、好ましい結晶方位に向けられた粒子の位置制御成長を可能にする順次横方向固化結晶化法を用いて微小構造体を生成する段階とを含む。結晶方位の1つの好ましい方向は、膜表面に対して法線方向である。
【0009】
順次横方向固化結晶化法(SLS)のプロセスは、複数のレーザビームパルスを生成する段階と、複数のレーザビームパルスをマスクを通して誘導し、複数のパターン形成されたレーザビームを生成する段階と、複数のパターン形成されたビームのうちの1つで膜の選択領域の一部分を照射する段階であって、該ビームは膜の照射部分の全厚を通って溶融するのに十分な強度を有し、膜の照射部分は冷却時に横方向に結晶化する段階とを含む。このプロセスは、後続の部分が前に照射された部分と重なり合い、結晶粒子の更なる横方向成長が可能になるように、膜を再配置してパターン形成されたビームで選択領域の後続の部分を照射する段階を含む。1つの実施形態では、膜の選択領域にわたるパターン形成されたビームの1回の横断で膜が実質的に完全に結晶化されるように、選択領域の連続部分が照射される。「完全に結晶化される」とは、選択領域の更なるレーザ走査が必要とされないように、その選択領域が望ましい微小構造及び結晶方位を有することを意味する。マスクはドットパターンマスクを含み、ドット形状区域、六角形形状区域、及び矩形形状区域のうちの少なくとも1つを含む不透明配列パターンを有する。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、配向膜は、ゾーン溶融再結晶化法、固相最結晶化法、直接堆積法、表面エネルギー駆動の二次粒子成長法、又はパルスレーザ結晶化法のうちの1つによって生成される。直接堆積法は、化学蒸着、スパッタリング、及び蒸発のうちの1つを含む。パルスレーザ結晶化法はSLS又は多パルスELA法を含む。膜は金属膜又は半導体膜とすることができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、基板上で膜を処理するためのシステムは、複数のレーザビームパルスを生成するための少なくとも1つのレーザと、少なくとも一方向に移動することができる、膜を位置付けるための膜支持体と、マスク支持体と、にレーザビームパルスの第1のセットを第1のマスクを通して誘導して配向膜を生成するための光学要素と、配向膜上にレーザビームの第2のセットを誘導するための光学要素と、レーザビームパルスの周波数に関連して膜支持体及びマスク支持体の移動を制御するためのコントローラとを含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、デバイスは周期的に位置付けられた粒子を有する多結晶薄膜を含み、粒子の各々は主に1つの結晶方位のものである。主な結晶方位は<111>方位であり、別の実施形態では<100>方位である。周期的に位置付けられた粒子は細長い粒子の列を形成する。
【0013】
本発明の上記及び他の特徴並びに利点は、添付図面に示す、本発明の実施形態の下記のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
混成順次横方向固化(SLS)として定義される、本明細書で説明するプロセス及びシステムは、特定の結晶方位の細長い粒子又は単結晶アイランドをもたらす。本発明の実施形態は、SLS中の横方向結晶成長の結晶方位が照射領域の境界での材料の方位に依存する認識に基づく。配向性のある結晶によって定義された固相境界からの材料の横方向結晶成長は、その結晶方位の成長を促進する。
【0015】
最も基本的には、混成SLSは図4に例示する2段階プロセスである。第1の段階42では、配向性前駆体が生成され、又は提供される。配向性膜は、少なくとも単一の方向において主として同じ結晶方位を有する粒子を含むが、これらの粒子は、表面上でランダムに位置し、特定のサイズ(微小構造体)のものではない。より具体的には、薄い多結晶膜のほとんどの結晶子の1つの結晶軸が優先的に所与の方向を示す場合、この微小構造は1軸配向を有すると呼ばれる。本明細書で説明する実施形態では、1軸配向の優先方向は、結晶子表面に対し法線方向である。従って、本明細書で用いる「配向」は、粒子の1軸表面配向を意味する。配向度は、特定の用途に応じて変えることができる。例えば、スイッチ回路用に用いられる薄膜トランジスタ(TFT)とは対照的に、ドライバ回路で用いられるTFTに対しては配向度が高いのが好ましい。
【0016】
混成SLSプロセスの第2段階44では、SLSが実施される。横方向結晶化の結果、粒界の「位置制御成長」及び望ましい結晶方位の細長い結晶が生じる。本明細書で言及される位置制御成長は、特定のビームパターン及びマスク(例えばドットパターンマスクなど)を用いて粒子及び粒界の位置が制御されたものとして定義される。
【0017】
本明細書で既に簡潔に述べたように、順次横方向固化(「SLS」)は、膜上の予め定義された位置に結晶化材料の細長い粒子又は単結晶アイランドをもたらす結晶化プロセスである。しかしながらSLSは、これらの粒子の結晶方位を完全に定めることはできない。SLSプロセスでは、成長は、エピタキシャル成長であるので既存の粒子から始まり、従って、このプロセスは好ましい方位での成長を提供することができない。エピタキシャル成長は、1つの材料の結晶が別の材料の結晶面上で成長し、両方の材料の結晶粒子が同じ構造的方位を有するとみなされる。順次横方向固化では、パルスレーザが放出する順次パルス間の薄膜の小規模な並進によって大きな粒状構造体が生成される。膜が各パルスを吸収すると、膜の小区域が完全に溶融し、固相/溶融界面から横方向に再結晶化して結晶領域を形成する。本明細書で用いる用語「横方向結晶成長」又は「横方向結晶化」とは、膜領域が膜/表面界面まで溶融され、結晶化最前部が基板表面を横方向に横断して移動する際に再結晶化が生じる成長技術を意味する。
【0018】
薄膜は、金属又は半導体膜とすることができる。例示的な金属には、アルミニウム、銅、ニッケル、チタニウム、金、及びモリブデンが挙げられる。例示的な半導体膜は、シリコン、ゲルマニウム、及びシリコンゲルマニウム等の従来の半導体材料を含む。金属又は半導体膜の下或いは上に位置する追加層が企図される。追加層は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び/又は酸化物、窒化物、或いは例えば基板を過熱から保護するための熱絶縁体として、もしくは基板から膜に不純物が拡散するのを防ぐための拡散障壁として使用するのに好適な他の材料の混合物で形成することができる。PCT公報第WO2003/084688号では、パルスレーザ誘起溶融及び核形成開始結晶化を用いて制御された結晶方位を有するアルミニウム薄膜をもたらす方法及びシステムが記載されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0019】
薄膜は、SLSを用いて位置制御された細長い粒子多結晶薄膜に処理される。例示的なSLSプロセスは、予め設定されたフルエンスの複数のエキシマレーザパルスを発生させる段階、エキシマレーザパルスのフルエンスを制御可能に調整する段階、レーザパルス平面の強度プロファイルを均質化する段階、各均質化されたレーザパルスをマスクしてパターン形成されたレーザビームを定める段階、レーザビームによって薄膜を照射して薄膜の一部の溶融を生じさせる段階、及び試料を制御可能に連続的に並進させて基板表面全体にわたってパターン化ビームを移動させる段階を含む。試料の順次照射区域が1つの照射/結晶化サイクルから次のサイクルに重なるようにレーザパルス周波数及び試料の動き(速度及び方向)を調節して、大きな粒子を生じさせる横方向結晶成長を提供することができる。パルス周波数及びステージ並びにマスク位置は、コンピュータにより協働及び制御することができる。連続運動の順次横方向固化をもたらすシステム及び方法は、米国特許第6,368,945号において提供されており、該特許は引用により全体が本明細書に組み込まれる。例示的なSLSプロセスは、米国特許第6,555,449号、及びドットパターン形成マスクを用いた米国特許出願第10/944,350号で説明されており、これらの全教示は引用により本明細書に組み込まれる。
【0020】
図5Aは、例示的な2軸投影SLSシステムを示している。例えばエキシマレーザ52である光源は、レーザビームを発生し、次いで、該ビームがパルス持続時間延長器54及び減衰器プレート56を通過した後、ミラー58、62、70、テレスコープ60、ホモジナイザ64、ビームスプリッタ66及びレンズ72等の光学素子を通過する。次いで、レーザビームパルスは、マスク74及び投影光学系82を通過する。投影光学系は、レーザビームのサイズを縮小し、同時に望ましい位置で基板88に衝突する光学エネルギー強度を増大させる。基板88は、基板88をビームの下に正確に位置付けて、基板上の望ましい位置にレーザビームによって生成されるマスク74の画像の合焦又は非合焦化を助けることができる精密x−y−zステージ上に備えられる。
【0021】
代替のSLS法は、様々な実施形態において用いられ、本明細書ではドットパターン形成SLSプロセスと呼ばれる。図5Bは、ポルカドットパターン92を取り入れたマスク90を例示している。ポルカドットマスク90は反転マスクであり、ポルカドット92がマスク領域に相当し、マスクの残り部分94は透明である。大きなシリコン結晶を作製するために、試料上でこのような結晶が求められるポイント付近でポルカドットパターンを順次並進させることができる。例えは、図5Cに示すように、ポルカドットマスクを第1のレーザパルスの後に正のY方向で短距離だけ並進96し、第2のレーザパルスの後に負のX方向で短距離だけ並進98し、第3のレーザパルスの後に負のY方向で短距離だけ並進99して、大きな結晶の形成を誘起することができる。ポルカドット間の離間距離が横方向成長距離の2倍よりも大きい場合には、結晶が小さな粒状多結晶シリコン領域によって分離される結晶構造体が発生される。核形成を回避するために離間距離が横方向成長距離の2倍以下である場合には、結晶の結晶構造体が生成される。このSLS法に関する追加の詳細事項は、米国特許第6,555,449号に記載されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0022】
本発明の実施形態は、SLSを配向前駆体上で実施することによってエピタキシーで均一な方位性の材料をもたらす。横方向に成長した粒子は、種晶の方位に適応する。従来技術では、多結晶膜は粒子毎に大幅に異なる。同様の結晶方位(配向)の種晶を選択することによって、同様の結晶方位の位置制御された(微小構造の)大きな粒子を成長させることが可能である。本発明の実施形態は、配向発達技術とSLSプロセスとの特定の組み合せに関するものである。
【0023】
第1の段階では、ゾーン溶融再結晶化(ZMR)、固相再結晶化、直接堆積技術(化学蒸着(CVD)、スパッタリング、蒸発)、表面エネルギー駆動2次粒子成長(SEDSGG)、及びパルスレーザ結晶化(SLS、多パルスELA)法を含む、前駆体配向膜を得る従来の方法が用いられる。配向前駆体を発生させるために他の配向誘起法を同様に用いることができることも想起される。前駆体配向膜を得る方法は広範な金属及び/又は半導体膜に適用することができるが、半導体産業におけるシリコンの重要性、及び今までシリコンを用いて行ってきた全ての研究による当該産業におけるシリコンの理解レベルに起因して、以下の方法ではシリコン膜に関して説明される。
【0024】
以下の方法は、後で混成SLSプロセスにおいて微小構造制御及び結晶方位制御されたポリSi膜を生成するのに用いることができる配向多結晶膜を提供するために、様々な実施形態において使用されている。これらの方法は、非パターン形成平面試料の使用について説明している。グラフォエピタキシー等のパターン形成を用いる方法は、同様に微小構造体のある制御に達する手段として提案されることが多い。但し、SLSは、非平面又はパターン形成膜に対して常に許容性がある訳ではなく、更に、微小構造制御において優れている可能性が高い。
【0025】
堆積したままのCVDポリシリコン膜を用いて、結晶膜における(110)又は(100)配向を提供することができる。堆積したままのポリシリコン膜は、圧力及び温度等の堆積プロセスの詳細によっては配向を示す場合がある。通常、これらの膜の配向は、堆積プロセス全体にわたり発達し、すなわち、SiO2界面における初期成長はランダムに向けられる。SLSにおける横方向成長は、SiO2界面に位置する未溶融部分の最縁部で始まるので、結晶方位は依然としてランダムとすることができる(これは、<110>方位のポリSi膜について観測されている)。しかしながら、膜厚全体を通じて配向をもたらす方法が開発され、又は粒子成長を通じて同じ目的を定めるために後処理が実施される(すなわち、他のものを犠牲にして好ましい粒子が成長する)ことが可能である。
【0026】
イオンチャネリングによる種晶選択(SSIC)を用いて、結晶膜内に(110)配向をもたらすことができる。無配向(又は弱い(110)配向)の堆積したままのポリシリコン(Si)膜は、完全な非晶質化閾値に近い特定のドーズ量でのシリコンの「自己注入」の後に固相結晶化によって、強く(110)配向された膜に変換することができる。Si粒子における<110>方向に沿ったイオンチャネリングの作用によって、注入方向に平行なこの方向を有する粒子だけが存続する。注入がSi膜表面に直角である場合には、これは、<110>面方位の粒子が存続することを意味する。後続の再結晶化の間に、大きな粒子の<110>方位ポリSi膜が得られる。
【0027】
表面エネルギー駆動粒子成長(SEDGG)を用いて、結晶膜内に(111)配向を生成することができる。SEDGGは特定の二次粒子成長機構であり、通常、表面エネルギー駆動二次粒子成長(SEDSGG)とも呼ばれる。一次又は通常の粒子成長は、材料加熱時(>1000℃)に観測され、粒界面積の低減によって駆動される。薄膜の場合、このプロセスは、粒径が膜厚と同程度の値に達すると停止される。このポイントを超えると、二次又は異常粒子成長が発生する可能性がある。このプロセスは、表面及び二次粒子の界面における自由エネルギーの異方性によって駆動される。表面自由エネルギーの大きさは、Si−SiO2界面の自由エネルギーよりもほぼ確実に大きいので、その最小化はこのプロセスを決定付けることが予測される。Siの自由表面エネルギーは、(111)配向と共に最小化され、二次粒子が主として<111>であることが実際に観測される。
【0028】
SEDGGに関する解析は、リン(P)又はヒ素(As)がドープされたSi膜を用いて得られる結果について主として論じている。これらのドーパントは、粒界移動度を高めることによって、二次粒子成長の割合が高まることが知られている。本来備わっている膜は、依然として二次粒子成長を示しており、妥当な成長率、駆動力及び/又は増大をもたらすために、粒界移動度は別の手法で増大される。本明細書のそれぞれの実施例は、膜厚を減少させること、又はアニーリング温度を高めることである。
【0029】
金属誘起横方向結晶化(MILC)を用いて、(110)配向を有する結晶膜をもたらすことができる。金属誘起結晶化では、金属(最も一般的であるのはニッケル(Ni))がSi膜と接触して導入された後、加熱することによって急激な膜の結晶化を生じさせる。Ni−Si接触が局所的にのみ(例えばSiと金属膜との間に窓付き緩衝層を有することによって)行われる場合には、Ni残留物が少なく、(110)配向度が高い横方向結晶化ポリSi膜が得られる。
【0030】
このプロセスでは、Si膜を通したNi拡散によってNiSi2析出物が形成される。NiSi2は、立方格子を有し、c−Siとの格子不整合は僅か0.4%である。この不整合が小さいことによって、数nmのc−Siが成長し、その後、Niは表面に移動/拡散して、このプロセスが繰り返される。このプロセスが続くと、長い針状結晶が形成され、これらの針状結晶から側方に何らかの追加の固相結晶化が起こりうる場合には、高い結晶化度に達することができる。NiSi2析出物上の成長は、単一の{111}面でのみ生じ、従ってこれは1次元である。しかしながら場合によっては、異なる{111}面が選択され、針状結晶は、109°又は71°回転する。針が膜平面内に留まる(すなわち針が界面表面に当たらない)場合にはこのプロセスを持続することができ、これは、粒子の面方位が<110>である場合に達成することができる。
【0031】
部分溶融ZMRを用いて、(100)配向を有する結晶膜をもたらすことができる。Si膜のゾーン溶融再結晶化(ZMR)の結果、結晶の優先<100>面方位を有する大きな粒状多結晶Si膜の形成が生じる。本発明の実施形態は、これらの方位性多結晶膜をSLSを用いた結晶化用の前駆体として用いる。この実施形態は、方位性種晶粒子を使用して一方向に成長した大きな方位性結晶の形成を促進することを含む。このように、多結晶膜のZMRを用いて、(100)配向された大きな粒子ポリSi膜が得られる。長い(100)配向粒子の成長は、膜の未溶融区域と完全溶融区域との間の「遷移領域」内に形成される粒子において始まる。これは部分溶融の形態であり(すなわち固体と液体との共存)、この部分溶融は、溶融時にSiの反射率の有意な増大(半導体−金属遷移)の結果として、放射加熱されたSi膜内にだけ存在する。この部分溶融の形態では、<100>粒子が優位を占めることが観察され、これはSiO2−Si界面エネルギーにおける結晶学的異方性に関連付けられる現象である。
【0032】
上記の結果は、数mm/sから1mm/s未満の走査速度において得られた。より高速(すなわち「急速ZMR」)では、(100)配向成長はもはや安定ではなくなり、ランダム方位が得られる。横方向に成長する粒子の結晶方位は、ランダム方位に「ロールオフ」することが観察される。しかしながら、速度の上昇と共に配向度は減少するが、「遷移領域」は強い(100)配向を示す。部分溶融急速ZMRにおいて配向度を最大にする1つの方法は、<110>成長用に最大数の種晶を有する前駆体を生成することである。これを行うための1つの手法は、(100)配向ポリSi膜を堆積することを含む。また、Si膜を微小粒子材料に事前に結晶化することもうまく進めることができ、この微小粒子材料は、方位がランダムであれば、例えば、完全溶融結晶化(CMC)により有核粒子を生成することを通じて配向(100)粒子の高い密度を確保する。
【0033】
連続レーザを用いたゾーン溶融照射は、<100>方位を有するシリコン膜を生成し、これは、M.W.Geis他の「Zone−Melting recrystallization of Si films with a moveable−strip−heater oven(可動ストリップヒータオーブンを用いたSi膜のゾーン溶融再結晶化)」、J.Electro−Chem.Soc.129、2812(1982年)によって説明されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。図9Aは、本明細書で前述したようにCWレーザを用いた急速ZMRを用いて部分溶融を行った後の(100)配向前駆体の結晶化膜の画像を示している。(100)配向は、これにより界面準位の数に関して最高品質のSi/SiO2界面が得られるので、電子素子においては好ましいものである。
【0034】
ほぼ完全な溶融ELAを用いて、(111)配向を有する結晶膜を発生させることができる。部分溶融の形態における多パルスエキシマレーザ結晶化は、主として<111>面方位の粒子を有する均一なポリSi膜を生成するのに使用される。ポリSi膜の粗面での干渉作用によって、最大粒径の均一性を得ることができる。これによって、例えばXeClレーザを用いた300nmまでの波長にほぼ等しい粒径を有するポリSi膜がもたらされる。若干高いが完全溶融閾値よりも低いエネルギー密度では、粒径は干渉作用によってはもはや安定化されず、主として<111>面方位の遙かに大きな粒子が得られる。
【0035】
これらのプロセスが実施されるエネルギー密度が部分溶融形態にあるにも関わらず、膜厚よりも大きな粒子の累積成長を可能にするために、幾らかの完全溶融が局所的に生じる必要がある。局所的に吸収が向上し、及び/又は溶融温度が低下することに起因して、粒界において優先的溶融が生じる可能性があることが示唆される。粒界区域の溶融及び再成長の間は、溶融に対する粒子の耐性又は粒子の横方向成長速度のいずれにおいても、<111>方位粒子が好ましいことは明らかである。結果として、<111>方位粒子は異なるような方位の粒子を犠牲にして成長する。
【0036】
Si前駆体膜に関しては、溶融に近い形態におけるエキシマレーザからの多パルス照射は、<111>方位を有するSi膜を提供し、これは、Mat.Res.Soc.Sym.Proc、321、665−670、(1994年)においてH.J.Kim及びJames S.Imが説明しており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。図7A〜7Cは、ELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大によって処理された結晶化膜を示している。
【0037】
SLSは、(110)配向を有する結晶膜を生成するのに用いることができる。ある実施形態における混成SLSプロセスでは、配向前駆体を生成する第1の段階においてSLSプロセスを用いることができる。第1の段階において用いられるSLSプロセスは、配向誘起SLSプロセスである。エキシマレーザベースのSLS(図5Aを参照)によって得られる方向性ポリSiの解析は、プロセスの詳細(膜厚、ステップサイズ、パルス持続時間)に応じて、走査方向で(100)配向又は(110)配向のいずれかが得られることを示している。粒子の面方位については、この解析の結果として、これらの面内方位と同様の一定範囲の方位に対する制約が生じる(例えば(100)面内配向が存在する場合には、(111)面配向は物理的に不可能である)。2ショットSLSにおける弱い配向から観察されるように、面内配向はむしろ急速に発達する。しかしながら、方位の「ロールオフ」に起因して、長走査方向性SLSにおいても粒子が延伸されたときには配向はあまり強くならない可能性がある。
【0038】
特定の(100)配向を得るための1つの方法は、互いに対して直角な一定の面内配向を2回生成する特定のSLSプロセスを含む。このプロセスの詳細は、J.S.Imによる名称「Method and system for producing crystalline thin films with a uniform crystalline orientation(均一な結晶方位を有する結晶薄膜を生成するための方法及びシステム)」の米国特許出願第60/503,419号において説明されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。これによって面方位性材料の形成をもたらすことができ、方位がx方向及びy方向の両方において制御される場合、自明のこととしてz方向の方位も同様に制御される。
【0039】
SLSを用いて(111)配向を有する結晶膜を生成することができる。パルス固体レーザ(周波数逓倍Nd:YVO4)を用いたSLSの解析は、「Tailoring texture in laser crystallization of silicon thin−films on glass(ガラス上のシリコン薄膜のレーザ結晶化における配向調整)」、Solid State Phenom.93、173(2003年)においてM.Nerding他によって説明されており、その内容全体は、引用により本明細書に組み込まれる。基本的にはエキシマレーザと同様のプロセスであるが、粒子方位に影響を及ぼす可能性のある幾つかの相違点がある。これらのうちで最も顕著なものは波長(532nm)であるが、空間プロファイル(ガウス)及びパルス持続時間(20ns)もこのプロセスにおいて役割を果たすことができる。しかしながら、SiNXバッファ層が用いられる場合、少なくともおよそ150nmの膜厚において強い(111)面方位が得られる。
【0040】
1つの実施形態では、シリコン(Si)キャリア上のガリウムヒ素(GaAs)等のIII−V半導体のエピタキシャル成長によって、両方の材料の利点を組み合せた製品が可能となり、例えば、Si内に形成された電気回路と組み合せたGaAs内に形成される発光ダイオード(LED)である。これに加えて、Siがガラス等の非半導体基板の頂部にある堆積膜である場合には、これらの利点を低価格で大面積及び/又は透明の基板上で有することができる。
【0041】
但し、適正なエピタキシーは、高品質(すなわち欠陥が無い)であることに加えて均一な方位性の材料であることの両方を必要とする。高品質であることは、順次横方向固化(SLS)法、最も重要なことには、位置制御された単結晶アイランドを生成するのに用いることができるプロセスによって達成することができる。詳細には、本明細書で説明される混成SLSプロセスの実施形態は、エピタキシャル成長を活用し、すなわち、性能レベルの異方性はあるが移動度及び界面欠陥密度の両方による均一性をTFTに提供し、更に材料品質による均一性をTFTに提供するので、薄膜トランジスタ(TFT)産業では有用である。電界効果デバイスであるTFTの均一性の作用の詳細は、Physical Review B(Solid State)4、1950(1971年)におけるT.Sato、Y.Takeishi、及びY.Okamotoの「Mobility anisotropy of electrons in inversion layers on oxidized silicon surfaces(酸化シリコン表面上の反転層における電子の移動度の異方性)」、及びIEEE Trans.Electron Devices ED−19、1280(1972年)におけるM.H.White及びJ.R.Cricchiの「Characterization of thin−oxide MNOS memory transistors(薄い酸化膜のMNOSメモリトランジスタの特性評価)」によって説明されており、これらの教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0042】
1つの実施形態では、本明細書で上述した高エネルギー密度ELAプロセスが用いられ、その結果として、より大きな平均粒径膜が得られる。これらの膜は、選択されたELAプロセス、すなわち異なる方位の粒子の溶融及び固化における異方性に関連する可能性が高いプロセスの条件に応じて、強い(111)又は(100)配向のいずれかを有することができる。非常に高い配向度は、商業的に入手可能なラインビームELAシステムによって得られる。これらの前駆体配向膜は、微小構造体のランダム性に起因して、TFT製造又はエピタキシャルプロセスでは使用されない。
【0043】
図6A及び6Bは、本発明の実施形態による、上述の高エネルギーELAプロセスを用いた配向前駆体の生成後(図6A)、及びこれに続くSLSプロセス後(図6B)のそれぞれの<111>アイランドの混成SLSプロセスから生じた結晶化膜の画像を示している。図6A及び6Bのデータは、結晶方位のマッピングのための走査電子顕微鏡(SEM)に基づく方法である電子後方散乱回折(EBSD)を用いて収集された。図6Aは、TFT(すなわち図6Bに示す)の製造において一般的に使用されるものよりも若干高いエネルギー密度の多パルスELAを用いた、プロセスの段階1の後の膜のマップ及びその対応する逆極点図(IPF)(図6A−1)を示している。マップ100はランダムな高角粒界を示し、一方IPFは、これらの(111)粒子における強い配向を示している。図6B及びその対応するIPF(図6B−1)は、ドットパターンマスクを有するSLSプロセス(本明細書ではドットSLSとも呼ぶ)実施後の膜の画像を示しており、これは、米国特許出願第10/944,350号で記載されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。微小構造体は適切に制御され(すなわち位置制御単結晶領域)、配向が維持される。
【0044】
この実施形態の実験条件[(111)配向、SLS(150nmSi)]は、図5Aに関して説明したSLSシステムを用いて実施される、単位面積当たり125パルス数となる4μmのパルス間並進で500×500μm2の走査を含む。別の実施形態では商業的に入手可能なELAシステムを用いることができ、望ましい配向度に達するためには、単位面積当たりより少ないパルス数で十分とすることができる。SLSプロセスの第2の段階では、8μmの正方格子内に配置された1.8μmまでの大きな影領域を用いた4ショットドットSLSシステムが使用される。
【0045】
その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/944,350号に記載されるように、ELA事前処理をSLSプロセスと組み合せることによって、III〜V半導体のエピタキシャル成長、又は低コスト大面積の透明基板上の均一なTFTにおいて有用とすることができる<111>方位を有する位置制御単結晶アイランドがもたらされる。
【0046】
図8A及び8Bは、本発明の実施形態による、それぞれ、前述のELAプロセスを用いた配向前駆体の生成後(図8A)、及びSLSプロセス後(図8B)の<100>結晶アイランドにおける混成SLSプロセスから生じた結晶方位のマッピングについての結晶化膜の画像を示している。図8A及び8Bにおける画像のデータは、結晶方位のマッピングのための電子後方散乱回折法を用いて収集される。図8Aは、TFT製造において一般的に使用されるものよりも若干高いエネルギー密度の多パルスELAを用いて実施されたプロセスの段階1の後の膜のマップ及びその対応する逆極点図(IPF)(図8A−1)を示している。図8B及びその対応するIPF(図8B−1)は、ドットSLSプロセス実行後の画像を示している。この実施形態の実験条件は、1cm/sで走査された薄いビーム(数100μm長、〜10又は数10μm幅)に成形された周波数逓倍(532nm)Nd:YV04連続波レーザの使用を含む。図8Bは、3.3cm/s走査に続いて図5Aで説明したシステムを用いた4ショットドットSLSを用いる。
【0047】
図10A〜10Cは、大部分が<110>、<111>、及び<100>方位のアイランドの電子顕微鏡(TEM)画像をそれぞれ示している。図11A〜11Cは、図10Aに示す画像に対応する、大部分が<110>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示している。図12A〜12Cは、図10Bに示す画像に対応する大部分が<111>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示している。図13A〜13Cは、図10Cに示す画像に対応する大部分が<100>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示している。
【0048】
図10A〜10Cでは、主な平面欠陥がシグマ3境界であることが観察される。シグマ3境界は、図6A、6B、8A、及び8Bに関して本明細書で上記のEBSD結果で示したランダムな高角粒界とは対照的に、対応格子(CSL)によって記述される一連の特別な高角粒界の1つである。その最も特殊な形式では、これらの境界は二重境界であり、電気活性がない場合があることを意味する。一般に、CSL境界は低い欠陥密度を有する傾向があり、従って、電気特性において有害性が低い。これらの境界は前駆体内に存在するのではなく、結晶化の間に形成されることが観察される。図10Aは、面方位がシグマ3平面欠陥の形成時に変化し、アイランドが多数の欠陥を含むことを示している。図10Bでは、<111>面方位は欠陥が少なく、面方位における変化がない(エピタキシー及びTFT等の面方位が重大となる用途では重要である)。図10Cでは、<100>面方位は平面欠陥がほとんど無い。
【0049】
特にドットSLS(ドットパターンマスクを処理する)を用いる実施形態では、<111>及び<100>アイランドを得ることができ、<100>方位を有するアイランドは最も小さな欠陥密度を有し、<111>がこれに続く。これらの2つの観察は、特に<100>に対する優先度、及び<111>方位に対するより低い優先度を示している。これらの観察は、一般条件(すなわち50〜250nmのSi膜、30〜300nsのパルス持続時間、室温等)での動作時に当てはまる。異なる条件での動作を含む別の実施形態は、シグマ3境界の形成を抑えることができ、これはあらゆる方位の欠陥無しアイランドが得られることを意味する。
【0050】
本発明の原理を適用できる広範な実施形態を鑑みて、例証された実施形態は例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして認識すべきではない点を理解されたい。例えば、図の各段階は、説明されたもの以外の順序を取ることができ、更に図においてより多くの要素又はより少ない要素を用いることができる。実施形態の様々な要素がソフトウェア内に実装されるように説明してきたが、ハードウェア又はファームウェア実装の他の実施形態を代わりに用いることができ、その逆もまた同様である。
【0051】
結晶方位制御のポリシリコン膜作成に関する方法は、コンピュータ利用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品内に具現化することができる点は当業者には明らかであろう。例えば、かかるコンピュータ利用可能媒体は、ハードドライブデバイス、CD−ROM、DVD−ROM、又はコンピュータディスケット等の読取り可能メモリデバイスを含むことができ、これらにコンピュータ読取り可能プログラムコードセグメントを記憶させる。コンピュータ読取り可能媒体はまた、プログラムコードセグメントをデジタル又はアナログデータ信号として保持させる、光学、有線、又は無線のいずれかのバス又は通信リンク等の通信又は伝送媒体を含むことができる。
【0052】
他の態様、修正、及び実施形態は添付の請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】レーザ誘起溶融及び固化において得られる低温ポリシリコン(LTPS)微小構造体を示す図である。
【図1B】順次横方向固化(SLS)によって得られる微小構造体を示す図である。
【図1C】順次横方向固化(SLS)によって得られる微小構造体を示す図である。
【図1D】順次横方向固化(SLS)によって得られる微小構造体を示す図である。
【図2】エキシマレーザアニーリング(ELA)から生じる微小構造体のランダム方位の画像である。
【図3A】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3B】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3C】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3D】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3E】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3F】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態による混成順次横方向固化(SLS)法のフロー線図である。
【図5A】本発明の実施形態によるSLSのために用いられる2軸投影照射システムの概略図である。
【図5B】ポルカドットパターンを有するマスクを示す図である。
【図5C】図5Bのマスクを用いたマスク並進移動の図である。
【図6A】本発明の実施形態による、<111>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じる結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた、配向前駆体の作成後の結晶化膜の例示的画像である。
【図6A−1】図6Aの逆極点図である。
【図6B】本発明の実施形態による、<111>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じる結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた、SLSプロセス後の結晶化膜の例示的画像である。
【図6B−1】図6Bの逆極点図である。
【図7A】本発明の実施形態に従ってELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大化によって処理された結晶化膜を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態に従ってELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大化によって処理された結晶化膜を示す図である。
【図7C】本発明の実施形態に従ってELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大化によって処理された結晶化膜を示す図である。
【図8A】本発明の実施形態による、配向前駆体の生成後の<100>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じた結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた結晶化膜の例示的画像である。
【図8A−1】図8Aの逆極点図である。
【図8B】本発明の実施形態による、SLSプロセス後の<100>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じた結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた結晶化膜の例示的画像である。
【図8B−1】図8Bの逆極点図である。
【図9A】本発明の実施形態による、連続波(CW)レーザを用いる急速溶融再結晶化(ZMR)を用いた(100)配向前駆体の結晶化膜の例示的な画像である。
【図10A】大部分が<110>方位のアイランドの透過電子顕微鏡(TEM)の例示的画像である。
【図10B】大部分が<111>方位のアイランドの透過電子顕微鏡(TEM)の例示的画像である。
【図10C】大部分が<100>方位のアイランドの透過電子顕微鏡(TEM)の例示的画像である。
【図11A】図10Aに例示している画像に対応する、大部分が<110>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図11B】図10Aに例示している画像に対応する、大部分が<110>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図11C】図10Aに例示している画像に対応する、大部分が<110>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図12A】図10Bに例示している画像に対応する、大部分が<11>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図12B】図10Bに例示している画像に対応する、大部分が<11>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図12C】図10Bに例示している画像に対応する、大部分が<11>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図13A】図10Cに例示している画像に対応する、大部分が<100>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図13B】図10Cに例示している画像に対応する、大部分が<100>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図13C】図10Cに例示している画像に対応する、大部分が<100>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【背景技術】
【0001】
近年、非晶質又は多結晶半導体膜の結晶化、又はその結晶化度の改善について様々な技術が研究されている。この技術は、画像センサ及びディスプレイ、例えばアクティブマトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)デバイスなどの様々なデバイスの製造において用いられる。ディスプレイでは、適切な透明基板上に薄膜トランジスタ(TFT)の規則的なアレイが作製され、各トランジスタはピクセルコントローラの役割を果たす。
【0002】
半導体膜は、ラインビームELAとしても知られるエキシマレーザアニーリング(ELA)を用いて処理され、ここでは膜のある領域がエキシマレーザによって照射されて膜を部分的に溶融し、結晶化される。図1Aは、レーザ誘起溶融及び固化によって得ることができる低温ポリシリコン(ポリsi)(LTPS)微小構造体を例示している。このプロセスは通常、基板表面上を連続的に進む細長いビーム形状を使用し、ビームが表面全体にわたる一回の走査で全半導体薄膜を照射することが潜在的にできるようにする。ELAは小粒状多結晶膜を生成するが、この方法はパルス間のエネルギー密度変動及び/又は不均一なビーム強度プロファイルによって引き起こされる可能性のある微小構造体上の不均一性を生じることが多い。図2は、ELAから得られるランダムな微小構造体の画像である。均一な粒径を備えたランダムな多結晶膜を生成するためには、Si膜は複数回照射される。
【0003】
エキシマレーザを用いた順次横方向固化(SLS)は、大きく均一な粒子を有する高品質多結晶膜を形成するのに使用されてきた1つの方法である。SLSは、膜上の予め定義された位置において結晶化材料の細長い粒子が得られる結晶化プロセスである。図1B〜1Dは、SLSによって得ることができる微小構造体を示している。電子流方向で粒界の数が少ないと高い電子移動度が生じることから、大きな粒状多結晶膜はスイッチング特性の改善を示すことができる。SLSプロセスは粒界の位置を制御する。Dr.James Imに付与され、その全開示事項が引用により本明細書に組み込まれる、本出願の同一譲受人に譲渡された米国特許第6,322,625号、第6,368,945号、第6,555,449号、及び第6,573,531号には、かかるSLSシステム及びプロセスが記載されている。
【0004】
図3A〜3FはSLSプロセスを概略的に例示している。SLSプロセスでは、最初に非晶質又は多結晶膜(例えば、連続波(CW)処理済みSi膜、堆積したままの膜、又は固相結晶化膜)を超狭幅レーザビームレットによって照射する。ビームレットは、例えばレーザビームパルスをスロット付きマスクに透過させることによって形成され、シリコン膜の表面上に投影される。ビームレットは非晶質シリコンを溶融し、冷却すると、非晶質シリコン膜は再結晶化して1つ又はそれ以上の結晶を形成する。結晶は最初に照射区域の縁部から中心に向かって内方に成長する。最初のビームレットが膜の一部分を結晶化した後、この最初のビームレットからの「横方向成長長さ」よりも短い位置で第2のビームレットが膜を照射する。新しく照射された膜位置では、前の段階で形成された多結晶材料の種晶から結晶粒子が横方向に成長する。この横方向成長の結果として、結晶はビームレット進行方向に沿って高品質なものとなる。細長い結晶粒子は、狭幅ビームレットの長さにほぼ直角であり、長い粒子軸に対してほぼ平行に延びる粒界によって分離される。
【0005】
多結晶材料が電子デバイスを作製するのに用いられる場合には、キャリア輸送に対する全抵抗は、キャリアが所与の電位の影響下で移動するときに越える必要のある障壁の組み合せによって影響を受ける。キャリアが多結晶材料の長い粒子軸に直角方向に移動する場合、又はより多数の小粒子全体にわたり進む場合に越える粒界の数が増えることに起因して、キャリアは、長い粒子軸に平行に進む場合に比べてより高い抵抗を受けることになる。従って、TFTなど、SLSを用いて形成される多結晶膜上に作製されるデバイスの性能は、主成長方向に一致する長い粒子軸に対するTFTチャンネルの結晶品質及び微小構造体によって決まることになる。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,322,625号公報
【特許文献2】第6,368,945号公報
【特許文献3】第6,555,449号公報
【特許文献4】第6,573,531号公報
【特許文献5】米国特許出願第10/944,350号公報
【特許文献6】米国特許出願第60/503,419号公報
【非特許文献1】M.W.Geis他の「Zone−Melting recrystallization of Si films with a moveable−strip−heater oven(可動ストリップヒータオーブンを用いたSi膜のゾーン溶融再結晶化)」、J.Electro−Chem.Soc.129、2812(1982年)
【非特許文献2】Mat.Res.Soc.Sym.Proc、321、665−670、(1994年)
【非特許文献3】「Tailoring texture in laser crystallization of silicon thin−films on glass(ガラス上のシリコン薄膜のレーザ結晶化における配向調整)」、Solid State Phenom.93、173(2003年)
【非特許文献4】Physical Review B(Solid State)4、1950(1971年)におけるT.Sato、Y.Takeishi、及びY.Okamotoの「Mobility anisotropy of electrons in inversion layers on oxidized silicon surfaces(酸化シリコン表面上の反転層における電子の移動度の異方性)」
【非特許文献5】IEEE Trans.Electron Devices ED−19、1280(1972年)におけるM.H.White及びJ.R.Cricchiの「Characterization of thin−oxide MNOS memory transistors(薄い酸化膜のMNOSメモリトランジスタの特性評価)」
【発明の開示】
【0007】
多結晶薄膜を利用するデバイスにおいて許容可能なシステム性能を達成するために、結晶粒子の明確な結晶方位をもたらす製造プロセスを最適化する必要性が依然としてある。
【0008】
1つの態様によれば、本発明は、制御される微小構造体並びに結晶学的配向を有する多結晶膜を形成する方法を提供する。本方法は、特定の結晶方位の細長い粒子又は単結晶アイランドを形成する。特に、基板上で膜を処理する方法は、1つの好ましい結晶方位に主に向けられた結晶粒子を有する配向膜を提供する段階と、次いで、好ましい結晶方位に向けられた粒子の位置制御成長を可能にする順次横方向固化結晶化法を用いて微小構造体を生成する段階とを含む。結晶方位の1つの好ましい方向は、膜表面に対して法線方向である。
【0009】
順次横方向固化結晶化法(SLS)のプロセスは、複数のレーザビームパルスを生成する段階と、複数のレーザビームパルスをマスクを通して誘導し、複数のパターン形成されたレーザビームを生成する段階と、複数のパターン形成されたビームのうちの1つで膜の選択領域の一部分を照射する段階であって、該ビームは膜の照射部分の全厚を通って溶融するのに十分な強度を有し、膜の照射部分は冷却時に横方向に結晶化する段階とを含む。このプロセスは、後続の部分が前に照射された部分と重なり合い、結晶粒子の更なる横方向成長が可能になるように、膜を再配置してパターン形成されたビームで選択領域の後続の部分を照射する段階を含む。1つの実施形態では、膜の選択領域にわたるパターン形成されたビームの1回の横断で膜が実質的に完全に結晶化されるように、選択領域の連続部分が照射される。「完全に結晶化される」とは、選択領域の更なるレーザ走査が必要とされないように、その選択領域が望ましい微小構造及び結晶方位を有することを意味する。マスクはドットパターンマスクを含み、ドット形状区域、六角形形状区域、及び矩形形状区域のうちの少なくとも1つを含む不透明配列パターンを有する。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、配向膜は、ゾーン溶融再結晶化法、固相最結晶化法、直接堆積法、表面エネルギー駆動の二次粒子成長法、又はパルスレーザ結晶化法のうちの1つによって生成される。直接堆積法は、化学蒸着、スパッタリング、及び蒸発のうちの1つを含む。パルスレーザ結晶化法はSLS又は多パルスELA法を含む。膜は金属膜又は半導体膜とすることができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、基板上で膜を処理するためのシステムは、複数のレーザビームパルスを生成するための少なくとも1つのレーザと、少なくとも一方向に移動することができる、膜を位置付けるための膜支持体と、マスク支持体と、にレーザビームパルスの第1のセットを第1のマスクを通して誘導して配向膜を生成するための光学要素と、配向膜上にレーザビームの第2のセットを誘導するための光学要素と、レーザビームパルスの周波数に関連して膜支持体及びマスク支持体の移動を制御するためのコントローラとを含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、デバイスは周期的に位置付けられた粒子を有する多結晶薄膜を含み、粒子の各々は主に1つの結晶方位のものである。主な結晶方位は<111>方位であり、別の実施形態では<100>方位である。周期的に位置付けられた粒子は細長い粒子の列を形成する。
【0013】
本発明の上記及び他の特徴並びに利点は、添付図面に示す、本発明の実施形態の下記のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
混成順次横方向固化(SLS)として定義される、本明細書で説明するプロセス及びシステムは、特定の結晶方位の細長い粒子又は単結晶アイランドをもたらす。本発明の実施形態は、SLS中の横方向結晶成長の結晶方位が照射領域の境界での材料の方位に依存する認識に基づく。配向性のある結晶によって定義された固相境界からの材料の横方向結晶成長は、その結晶方位の成長を促進する。
【0015】
最も基本的には、混成SLSは図4に例示する2段階プロセスである。第1の段階42では、配向性前駆体が生成され、又は提供される。配向性膜は、少なくとも単一の方向において主として同じ結晶方位を有する粒子を含むが、これらの粒子は、表面上でランダムに位置し、特定のサイズ(微小構造体)のものではない。より具体的には、薄い多結晶膜のほとんどの結晶子の1つの結晶軸が優先的に所与の方向を示す場合、この微小構造は1軸配向を有すると呼ばれる。本明細書で説明する実施形態では、1軸配向の優先方向は、結晶子表面に対し法線方向である。従って、本明細書で用いる「配向」は、粒子の1軸表面配向を意味する。配向度は、特定の用途に応じて変えることができる。例えば、スイッチ回路用に用いられる薄膜トランジスタ(TFT)とは対照的に、ドライバ回路で用いられるTFTに対しては配向度が高いのが好ましい。
【0016】
混成SLSプロセスの第2段階44では、SLSが実施される。横方向結晶化の結果、粒界の「位置制御成長」及び望ましい結晶方位の細長い結晶が生じる。本明細書で言及される位置制御成長は、特定のビームパターン及びマスク(例えばドットパターンマスクなど)を用いて粒子及び粒界の位置が制御されたものとして定義される。
【0017】
本明細書で既に簡潔に述べたように、順次横方向固化(「SLS」)は、膜上の予め定義された位置に結晶化材料の細長い粒子又は単結晶アイランドをもたらす結晶化プロセスである。しかしながらSLSは、これらの粒子の結晶方位を完全に定めることはできない。SLSプロセスでは、成長は、エピタキシャル成長であるので既存の粒子から始まり、従って、このプロセスは好ましい方位での成長を提供することができない。エピタキシャル成長は、1つの材料の結晶が別の材料の結晶面上で成長し、両方の材料の結晶粒子が同じ構造的方位を有するとみなされる。順次横方向固化では、パルスレーザが放出する順次パルス間の薄膜の小規模な並進によって大きな粒状構造体が生成される。膜が各パルスを吸収すると、膜の小区域が完全に溶融し、固相/溶融界面から横方向に再結晶化して結晶領域を形成する。本明細書で用いる用語「横方向結晶成長」又は「横方向結晶化」とは、膜領域が膜/表面界面まで溶融され、結晶化最前部が基板表面を横方向に横断して移動する際に再結晶化が生じる成長技術を意味する。
【0018】
薄膜は、金属又は半導体膜とすることができる。例示的な金属には、アルミニウム、銅、ニッケル、チタニウム、金、及びモリブデンが挙げられる。例示的な半導体膜は、シリコン、ゲルマニウム、及びシリコンゲルマニウム等の従来の半導体材料を含む。金属又は半導体膜の下或いは上に位置する追加層が企図される。追加層は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び/又は酸化物、窒化物、或いは例えば基板を過熱から保護するための熱絶縁体として、もしくは基板から膜に不純物が拡散するのを防ぐための拡散障壁として使用するのに好適な他の材料の混合物で形成することができる。PCT公報第WO2003/084688号では、パルスレーザ誘起溶融及び核形成開始結晶化を用いて制御された結晶方位を有するアルミニウム薄膜をもたらす方法及びシステムが記載されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0019】
薄膜は、SLSを用いて位置制御された細長い粒子多結晶薄膜に処理される。例示的なSLSプロセスは、予め設定されたフルエンスの複数のエキシマレーザパルスを発生させる段階、エキシマレーザパルスのフルエンスを制御可能に調整する段階、レーザパルス平面の強度プロファイルを均質化する段階、各均質化されたレーザパルスをマスクしてパターン形成されたレーザビームを定める段階、レーザビームによって薄膜を照射して薄膜の一部の溶融を生じさせる段階、及び試料を制御可能に連続的に並進させて基板表面全体にわたってパターン化ビームを移動させる段階を含む。試料の順次照射区域が1つの照射/結晶化サイクルから次のサイクルに重なるようにレーザパルス周波数及び試料の動き(速度及び方向)を調節して、大きな粒子を生じさせる横方向結晶成長を提供することができる。パルス周波数及びステージ並びにマスク位置は、コンピュータにより協働及び制御することができる。連続運動の順次横方向固化をもたらすシステム及び方法は、米国特許第6,368,945号において提供されており、該特許は引用により全体が本明細書に組み込まれる。例示的なSLSプロセスは、米国特許第6,555,449号、及びドットパターン形成マスクを用いた米国特許出願第10/944,350号で説明されており、これらの全教示は引用により本明細書に組み込まれる。
【0020】
図5Aは、例示的な2軸投影SLSシステムを示している。例えばエキシマレーザ52である光源は、レーザビームを発生し、次いで、該ビームがパルス持続時間延長器54及び減衰器プレート56を通過した後、ミラー58、62、70、テレスコープ60、ホモジナイザ64、ビームスプリッタ66及びレンズ72等の光学素子を通過する。次いで、レーザビームパルスは、マスク74及び投影光学系82を通過する。投影光学系は、レーザビームのサイズを縮小し、同時に望ましい位置で基板88に衝突する光学エネルギー強度を増大させる。基板88は、基板88をビームの下に正確に位置付けて、基板上の望ましい位置にレーザビームによって生成されるマスク74の画像の合焦又は非合焦化を助けることができる精密x−y−zステージ上に備えられる。
【0021】
代替のSLS法は、様々な実施形態において用いられ、本明細書ではドットパターン形成SLSプロセスと呼ばれる。図5Bは、ポルカドットパターン92を取り入れたマスク90を例示している。ポルカドットマスク90は反転マスクであり、ポルカドット92がマスク領域に相当し、マスクの残り部分94は透明である。大きなシリコン結晶を作製するために、試料上でこのような結晶が求められるポイント付近でポルカドットパターンを順次並進させることができる。例えは、図5Cに示すように、ポルカドットマスクを第1のレーザパルスの後に正のY方向で短距離だけ並進96し、第2のレーザパルスの後に負のX方向で短距離だけ並進98し、第3のレーザパルスの後に負のY方向で短距離だけ並進99して、大きな結晶の形成を誘起することができる。ポルカドット間の離間距離が横方向成長距離の2倍よりも大きい場合には、結晶が小さな粒状多結晶シリコン領域によって分離される結晶構造体が発生される。核形成を回避するために離間距離が横方向成長距離の2倍以下である場合には、結晶の結晶構造体が生成される。このSLS法に関する追加の詳細事項は、米国特許第6,555,449号に記載されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0022】
本発明の実施形態は、SLSを配向前駆体上で実施することによってエピタキシーで均一な方位性の材料をもたらす。横方向に成長した粒子は、種晶の方位に適応する。従来技術では、多結晶膜は粒子毎に大幅に異なる。同様の結晶方位(配向)の種晶を選択することによって、同様の結晶方位の位置制御された(微小構造の)大きな粒子を成長させることが可能である。本発明の実施形態は、配向発達技術とSLSプロセスとの特定の組み合せに関するものである。
【0023】
第1の段階では、ゾーン溶融再結晶化(ZMR)、固相再結晶化、直接堆積技術(化学蒸着(CVD)、スパッタリング、蒸発)、表面エネルギー駆動2次粒子成長(SEDSGG)、及びパルスレーザ結晶化(SLS、多パルスELA)法を含む、前駆体配向膜を得る従来の方法が用いられる。配向前駆体を発生させるために他の配向誘起法を同様に用いることができることも想起される。前駆体配向膜を得る方法は広範な金属及び/又は半導体膜に適用することができるが、半導体産業におけるシリコンの重要性、及び今までシリコンを用いて行ってきた全ての研究による当該産業におけるシリコンの理解レベルに起因して、以下の方法ではシリコン膜に関して説明される。
【0024】
以下の方法は、後で混成SLSプロセスにおいて微小構造制御及び結晶方位制御されたポリSi膜を生成するのに用いることができる配向多結晶膜を提供するために、様々な実施形態において使用されている。これらの方法は、非パターン形成平面試料の使用について説明している。グラフォエピタキシー等のパターン形成を用いる方法は、同様に微小構造体のある制御に達する手段として提案されることが多い。但し、SLSは、非平面又はパターン形成膜に対して常に許容性がある訳ではなく、更に、微小構造制御において優れている可能性が高い。
【0025】
堆積したままのCVDポリシリコン膜を用いて、結晶膜における(110)又は(100)配向を提供することができる。堆積したままのポリシリコン膜は、圧力及び温度等の堆積プロセスの詳細によっては配向を示す場合がある。通常、これらの膜の配向は、堆積プロセス全体にわたり発達し、すなわち、SiO2界面における初期成長はランダムに向けられる。SLSにおける横方向成長は、SiO2界面に位置する未溶融部分の最縁部で始まるので、結晶方位は依然としてランダムとすることができる(これは、<110>方位のポリSi膜について観測されている)。しかしながら、膜厚全体を通じて配向をもたらす方法が開発され、又は粒子成長を通じて同じ目的を定めるために後処理が実施される(すなわち、他のものを犠牲にして好ましい粒子が成長する)ことが可能である。
【0026】
イオンチャネリングによる種晶選択(SSIC)を用いて、結晶膜内に(110)配向をもたらすことができる。無配向(又は弱い(110)配向)の堆積したままのポリシリコン(Si)膜は、完全な非晶質化閾値に近い特定のドーズ量でのシリコンの「自己注入」の後に固相結晶化によって、強く(110)配向された膜に変換することができる。Si粒子における<110>方向に沿ったイオンチャネリングの作用によって、注入方向に平行なこの方向を有する粒子だけが存続する。注入がSi膜表面に直角である場合には、これは、<110>面方位の粒子が存続することを意味する。後続の再結晶化の間に、大きな粒子の<110>方位ポリSi膜が得られる。
【0027】
表面エネルギー駆動粒子成長(SEDGG)を用いて、結晶膜内に(111)配向を生成することができる。SEDGGは特定の二次粒子成長機構であり、通常、表面エネルギー駆動二次粒子成長(SEDSGG)とも呼ばれる。一次又は通常の粒子成長は、材料加熱時(>1000℃)に観測され、粒界面積の低減によって駆動される。薄膜の場合、このプロセスは、粒径が膜厚と同程度の値に達すると停止される。このポイントを超えると、二次又は異常粒子成長が発生する可能性がある。このプロセスは、表面及び二次粒子の界面における自由エネルギーの異方性によって駆動される。表面自由エネルギーの大きさは、Si−SiO2界面の自由エネルギーよりもほぼ確実に大きいので、その最小化はこのプロセスを決定付けることが予測される。Siの自由表面エネルギーは、(111)配向と共に最小化され、二次粒子が主として<111>であることが実際に観測される。
【0028】
SEDGGに関する解析は、リン(P)又はヒ素(As)がドープされたSi膜を用いて得られる結果について主として論じている。これらのドーパントは、粒界移動度を高めることによって、二次粒子成長の割合が高まることが知られている。本来備わっている膜は、依然として二次粒子成長を示しており、妥当な成長率、駆動力及び/又は増大をもたらすために、粒界移動度は別の手法で増大される。本明細書のそれぞれの実施例は、膜厚を減少させること、又はアニーリング温度を高めることである。
【0029】
金属誘起横方向結晶化(MILC)を用いて、(110)配向を有する結晶膜をもたらすことができる。金属誘起結晶化では、金属(最も一般的であるのはニッケル(Ni))がSi膜と接触して導入された後、加熱することによって急激な膜の結晶化を生じさせる。Ni−Si接触が局所的にのみ(例えばSiと金属膜との間に窓付き緩衝層を有することによって)行われる場合には、Ni残留物が少なく、(110)配向度が高い横方向結晶化ポリSi膜が得られる。
【0030】
このプロセスでは、Si膜を通したNi拡散によってNiSi2析出物が形成される。NiSi2は、立方格子を有し、c−Siとの格子不整合は僅か0.4%である。この不整合が小さいことによって、数nmのc−Siが成長し、その後、Niは表面に移動/拡散して、このプロセスが繰り返される。このプロセスが続くと、長い針状結晶が形成され、これらの針状結晶から側方に何らかの追加の固相結晶化が起こりうる場合には、高い結晶化度に達することができる。NiSi2析出物上の成長は、単一の{111}面でのみ生じ、従ってこれは1次元である。しかしながら場合によっては、異なる{111}面が選択され、針状結晶は、109°又は71°回転する。針が膜平面内に留まる(すなわち針が界面表面に当たらない)場合にはこのプロセスを持続することができ、これは、粒子の面方位が<110>である場合に達成することができる。
【0031】
部分溶融ZMRを用いて、(100)配向を有する結晶膜をもたらすことができる。Si膜のゾーン溶融再結晶化(ZMR)の結果、結晶の優先<100>面方位を有する大きな粒状多結晶Si膜の形成が生じる。本発明の実施形態は、これらの方位性多結晶膜をSLSを用いた結晶化用の前駆体として用いる。この実施形態は、方位性種晶粒子を使用して一方向に成長した大きな方位性結晶の形成を促進することを含む。このように、多結晶膜のZMRを用いて、(100)配向された大きな粒子ポリSi膜が得られる。長い(100)配向粒子の成長は、膜の未溶融区域と完全溶融区域との間の「遷移領域」内に形成される粒子において始まる。これは部分溶融の形態であり(すなわち固体と液体との共存)、この部分溶融は、溶融時にSiの反射率の有意な増大(半導体−金属遷移)の結果として、放射加熱されたSi膜内にだけ存在する。この部分溶融の形態では、<100>粒子が優位を占めることが観察され、これはSiO2−Si界面エネルギーにおける結晶学的異方性に関連付けられる現象である。
【0032】
上記の結果は、数mm/sから1mm/s未満の走査速度において得られた。より高速(すなわち「急速ZMR」)では、(100)配向成長はもはや安定ではなくなり、ランダム方位が得られる。横方向に成長する粒子の結晶方位は、ランダム方位に「ロールオフ」することが観察される。しかしながら、速度の上昇と共に配向度は減少するが、「遷移領域」は強い(100)配向を示す。部分溶融急速ZMRにおいて配向度を最大にする1つの方法は、<110>成長用に最大数の種晶を有する前駆体を生成することである。これを行うための1つの手法は、(100)配向ポリSi膜を堆積することを含む。また、Si膜を微小粒子材料に事前に結晶化することもうまく進めることができ、この微小粒子材料は、方位がランダムであれば、例えば、完全溶融結晶化(CMC)により有核粒子を生成することを通じて配向(100)粒子の高い密度を確保する。
【0033】
連続レーザを用いたゾーン溶融照射は、<100>方位を有するシリコン膜を生成し、これは、M.W.Geis他の「Zone−Melting recrystallization of Si films with a moveable−strip−heater oven(可動ストリップヒータオーブンを用いたSi膜のゾーン溶融再結晶化)」、J.Electro−Chem.Soc.129、2812(1982年)によって説明されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。図9Aは、本明細書で前述したようにCWレーザを用いた急速ZMRを用いて部分溶融を行った後の(100)配向前駆体の結晶化膜の画像を示している。(100)配向は、これにより界面準位の数に関して最高品質のSi/SiO2界面が得られるので、電子素子においては好ましいものである。
【0034】
ほぼ完全な溶融ELAを用いて、(111)配向を有する結晶膜を発生させることができる。部分溶融の形態における多パルスエキシマレーザ結晶化は、主として<111>面方位の粒子を有する均一なポリSi膜を生成するのに使用される。ポリSi膜の粗面での干渉作用によって、最大粒径の均一性を得ることができる。これによって、例えばXeClレーザを用いた300nmまでの波長にほぼ等しい粒径を有するポリSi膜がもたらされる。若干高いが完全溶融閾値よりも低いエネルギー密度では、粒径は干渉作用によってはもはや安定化されず、主として<111>面方位の遙かに大きな粒子が得られる。
【0035】
これらのプロセスが実施されるエネルギー密度が部分溶融形態にあるにも関わらず、膜厚よりも大きな粒子の累積成長を可能にするために、幾らかの完全溶融が局所的に生じる必要がある。局所的に吸収が向上し、及び/又は溶融温度が低下することに起因して、粒界において優先的溶融が生じる可能性があることが示唆される。粒界区域の溶融及び再成長の間は、溶融に対する粒子の耐性又は粒子の横方向成長速度のいずれにおいても、<111>方位粒子が好ましいことは明らかである。結果として、<111>方位粒子は異なるような方位の粒子を犠牲にして成長する。
【0036】
Si前駆体膜に関しては、溶融に近い形態におけるエキシマレーザからの多パルス照射は、<111>方位を有するSi膜を提供し、これは、Mat.Res.Soc.Sym.Proc、321、665−670、(1994年)においてH.J.Kim及びJames S.Imが説明しており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。図7A〜7Cは、ELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大によって処理された結晶化膜を示している。
【0037】
SLSは、(110)配向を有する結晶膜を生成するのに用いることができる。ある実施形態における混成SLSプロセスでは、配向前駆体を生成する第1の段階においてSLSプロセスを用いることができる。第1の段階において用いられるSLSプロセスは、配向誘起SLSプロセスである。エキシマレーザベースのSLS(図5Aを参照)によって得られる方向性ポリSiの解析は、プロセスの詳細(膜厚、ステップサイズ、パルス持続時間)に応じて、走査方向で(100)配向又は(110)配向のいずれかが得られることを示している。粒子の面方位については、この解析の結果として、これらの面内方位と同様の一定範囲の方位に対する制約が生じる(例えば(100)面内配向が存在する場合には、(111)面配向は物理的に不可能である)。2ショットSLSにおける弱い配向から観察されるように、面内配向はむしろ急速に発達する。しかしながら、方位の「ロールオフ」に起因して、長走査方向性SLSにおいても粒子が延伸されたときには配向はあまり強くならない可能性がある。
【0038】
特定の(100)配向を得るための1つの方法は、互いに対して直角な一定の面内配向を2回生成する特定のSLSプロセスを含む。このプロセスの詳細は、J.S.Imによる名称「Method and system for producing crystalline thin films with a uniform crystalline orientation(均一な結晶方位を有する結晶薄膜を生成するための方法及びシステム)」の米国特許出願第60/503,419号において説明されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。これによって面方位性材料の形成をもたらすことができ、方位がx方向及びy方向の両方において制御される場合、自明のこととしてz方向の方位も同様に制御される。
【0039】
SLSを用いて(111)配向を有する結晶膜を生成することができる。パルス固体レーザ(周波数逓倍Nd:YVO4)を用いたSLSの解析は、「Tailoring texture in laser crystallization of silicon thin−films on glass(ガラス上のシリコン薄膜のレーザ結晶化における配向調整)」、Solid State Phenom.93、173(2003年)においてM.Nerding他によって説明されており、その内容全体は、引用により本明細書に組み込まれる。基本的にはエキシマレーザと同様のプロセスであるが、粒子方位に影響を及ぼす可能性のある幾つかの相違点がある。これらのうちで最も顕著なものは波長(532nm)であるが、空間プロファイル(ガウス)及びパルス持続時間(20ns)もこのプロセスにおいて役割を果たすことができる。しかしながら、SiNXバッファ層が用いられる場合、少なくともおよそ150nmの膜厚において強い(111)面方位が得られる。
【0040】
1つの実施形態では、シリコン(Si)キャリア上のガリウムヒ素(GaAs)等のIII−V半導体のエピタキシャル成長によって、両方の材料の利点を組み合せた製品が可能となり、例えば、Si内に形成された電気回路と組み合せたGaAs内に形成される発光ダイオード(LED)である。これに加えて、Siがガラス等の非半導体基板の頂部にある堆積膜である場合には、これらの利点を低価格で大面積及び/又は透明の基板上で有することができる。
【0041】
但し、適正なエピタキシーは、高品質(すなわち欠陥が無い)であることに加えて均一な方位性の材料であることの両方を必要とする。高品質であることは、順次横方向固化(SLS)法、最も重要なことには、位置制御された単結晶アイランドを生成するのに用いることができるプロセスによって達成することができる。詳細には、本明細書で説明される混成SLSプロセスの実施形態は、エピタキシャル成長を活用し、すなわち、性能レベルの異方性はあるが移動度及び界面欠陥密度の両方による均一性をTFTに提供し、更に材料品質による均一性をTFTに提供するので、薄膜トランジスタ(TFT)産業では有用である。電界効果デバイスであるTFTの均一性の作用の詳細は、Physical Review B(Solid State)4、1950(1971年)におけるT.Sato、Y.Takeishi、及びY.Okamotoの「Mobility anisotropy of electrons in inversion layers on oxidized silicon surfaces(酸化シリコン表面上の反転層における電子の移動度の異方性)」、及びIEEE Trans.Electron Devices ED−19、1280(1972年)におけるM.H.White及びJ.R.Cricchiの「Characterization of thin−oxide MNOS memory transistors(薄い酸化膜のMNOSメモリトランジスタの特性評価)」によって説明されており、これらの教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0042】
1つの実施形態では、本明細書で上述した高エネルギー密度ELAプロセスが用いられ、その結果として、より大きな平均粒径膜が得られる。これらの膜は、選択されたELAプロセス、すなわち異なる方位の粒子の溶融及び固化における異方性に関連する可能性が高いプロセスの条件に応じて、強い(111)又は(100)配向のいずれかを有することができる。非常に高い配向度は、商業的に入手可能なラインビームELAシステムによって得られる。これらの前駆体配向膜は、微小構造体のランダム性に起因して、TFT製造又はエピタキシャルプロセスでは使用されない。
【0043】
図6A及び6Bは、本発明の実施形態による、上述の高エネルギーELAプロセスを用いた配向前駆体の生成後(図6A)、及びこれに続くSLSプロセス後(図6B)のそれぞれの<111>アイランドの混成SLSプロセスから生じた結晶化膜の画像を示している。図6A及び6Bのデータは、結晶方位のマッピングのための走査電子顕微鏡(SEM)に基づく方法である電子後方散乱回折(EBSD)を用いて収集された。図6Aは、TFT(すなわち図6Bに示す)の製造において一般的に使用されるものよりも若干高いエネルギー密度の多パルスELAを用いた、プロセスの段階1の後の膜のマップ及びその対応する逆極点図(IPF)(図6A−1)を示している。マップ100はランダムな高角粒界を示し、一方IPFは、これらの(111)粒子における強い配向を示している。図6B及びその対応するIPF(図6B−1)は、ドットパターンマスクを有するSLSプロセス(本明細書ではドットSLSとも呼ぶ)実施後の膜の画像を示しており、これは、米国特許出願第10/944,350号で記載されており、その教示全体は引用により本明細書に組み込まれる。微小構造体は適切に制御され(すなわち位置制御単結晶領域)、配向が維持される。
【0044】
この実施形態の実験条件[(111)配向、SLS(150nmSi)]は、図5Aに関して説明したSLSシステムを用いて実施される、単位面積当たり125パルス数となる4μmのパルス間並進で500×500μm2の走査を含む。別の実施形態では商業的に入手可能なELAシステムを用いることができ、望ましい配向度に達するためには、単位面積当たりより少ないパルス数で十分とすることができる。SLSプロセスの第2の段階では、8μmの正方格子内に配置された1.8μmまでの大きな影領域を用いた4ショットドットSLSシステムが使用される。
【0045】
その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/944,350号に記載されるように、ELA事前処理をSLSプロセスと組み合せることによって、III〜V半導体のエピタキシャル成長、又は低コスト大面積の透明基板上の均一なTFTにおいて有用とすることができる<111>方位を有する位置制御単結晶アイランドがもたらされる。
【0046】
図8A及び8Bは、本発明の実施形態による、それぞれ、前述のELAプロセスを用いた配向前駆体の生成後(図8A)、及びSLSプロセス後(図8B)の<100>結晶アイランドにおける混成SLSプロセスから生じた結晶方位のマッピングについての結晶化膜の画像を示している。図8A及び8Bにおける画像のデータは、結晶方位のマッピングのための電子後方散乱回折法を用いて収集される。図8Aは、TFT製造において一般的に使用されるものよりも若干高いエネルギー密度の多パルスELAを用いて実施されたプロセスの段階1の後の膜のマップ及びその対応する逆極点図(IPF)(図8A−1)を示している。図8B及びその対応するIPF(図8B−1)は、ドットSLSプロセス実行後の画像を示している。この実施形態の実験条件は、1cm/sで走査された薄いビーム(数100μm長、〜10又は数10μm幅)に成形された周波数逓倍(532nm)Nd:YV04連続波レーザの使用を含む。図8Bは、3.3cm/s走査に続いて図5Aで説明したシステムを用いた4ショットドットSLSを用いる。
【0047】
図10A〜10Cは、大部分が<110>、<111>、及び<100>方位のアイランドの電子顕微鏡(TEM)画像をそれぞれ示している。図11A〜11Cは、図10Aに示す画像に対応する、大部分が<110>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示している。図12A〜12Cは、図10Bに示す画像に対応する大部分が<111>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示している。図13A〜13Cは、図10Cに示す画像に対応する大部分が<100>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示している。
【0048】
図10A〜10Cでは、主な平面欠陥がシグマ3境界であることが観察される。シグマ3境界は、図6A、6B、8A、及び8Bに関して本明細書で上記のEBSD結果で示したランダムな高角粒界とは対照的に、対応格子(CSL)によって記述される一連の特別な高角粒界の1つである。その最も特殊な形式では、これらの境界は二重境界であり、電気活性がない場合があることを意味する。一般に、CSL境界は低い欠陥密度を有する傾向があり、従って、電気特性において有害性が低い。これらの境界は前駆体内に存在するのではなく、結晶化の間に形成されることが観察される。図10Aは、面方位がシグマ3平面欠陥の形成時に変化し、アイランドが多数の欠陥を含むことを示している。図10Bでは、<111>面方位は欠陥が少なく、面方位における変化がない(エピタキシー及びTFT等の面方位が重大となる用途では重要である)。図10Cでは、<100>面方位は平面欠陥がほとんど無い。
【0049】
特にドットSLS(ドットパターンマスクを処理する)を用いる実施形態では、<111>及び<100>アイランドを得ることができ、<100>方位を有するアイランドは最も小さな欠陥密度を有し、<111>がこれに続く。これらの2つの観察は、特に<100>に対する優先度、及び<111>方位に対するより低い優先度を示している。これらの観察は、一般条件(すなわち50〜250nmのSi膜、30〜300nsのパルス持続時間、室温等)での動作時に当てはまる。異なる条件での動作を含む別の実施形態は、シグマ3境界の形成を抑えることができ、これはあらゆる方位の欠陥無しアイランドが得られることを意味する。
【0050】
本発明の原理を適用できる広範な実施形態を鑑みて、例証された実施形態は例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして認識すべきではない点を理解されたい。例えば、図の各段階は、説明されたもの以外の順序を取ることができ、更に図においてより多くの要素又はより少ない要素を用いることができる。実施形態の様々な要素がソフトウェア内に実装されるように説明してきたが、ハードウェア又はファームウェア実装の他の実施形態を代わりに用いることができ、その逆もまた同様である。
【0051】
結晶方位制御のポリシリコン膜作成に関する方法は、コンピュータ利用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品内に具現化することができる点は当業者には明らかであろう。例えば、かかるコンピュータ利用可能媒体は、ハードドライブデバイス、CD−ROM、DVD−ROM、又はコンピュータディスケット等の読取り可能メモリデバイスを含むことができ、これらにコンピュータ読取り可能プログラムコードセグメントを記憶させる。コンピュータ読取り可能媒体はまた、プログラムコードセグメントをデジタル又はアナログデータ信号として保持させる、光学、有線、又は無線のいずれかのバス又は通信リンク等の通信又は伝送媒体を含むことができる。
【0052】
他の態様、修正、及び実施形態は添付の請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】レーザ誘起溶融及び固化において得られる低温ポリシリコン(LTPS)微小構造体を示す図である。
【図1B】順次横方向固化(SLS)によって得られる微小構造体を示す図である。
【図1C】順次横方向固化(SLS)によって得られる微小構造体を示す図である。
【図1D】順次横方向固化(SLS)によって得られる微小構造体を示す図である。
【図2】エキシマレーザアニーリング(ELA)から生じる微小構造体のランダム方位の画像である。
【図3A】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3B】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3C】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3D】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3E】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図3F】順次横方向固化(SLS)に含まれるプロセスを概略的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態による混成順次横方向固化(SLS)法のフロー線図である。
【図5A】本発明の実施形態によるSLSのために用いられる2軸投影照射システムの概略図である。
【図5B】ポルカドットパターンを有するマスクを示す図である。
【図5C】図5Bのマスクを用いたマスク並進移動の図である。
【図6A】本発明の実施形態による、<111>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じる結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた、配向前駆体の作成後の結晶化膜の例示的画像である。
【図6A−1】図6Aの逆極点図である。
【図6B】本発明の実施形態による、<111>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じる結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた、SLSプロセス後の結晶化膜の例示的画像である。
【図6B−1】図6Bの逆極点図である。
【図7A】本発明の実施形態に従ってELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大化によって処理された結晶化膜を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態に従ってELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大化によって処理された結晶化膜を示す図である。
【図7C】本発明の実施形態に従ってELAを用いた(111)配向前駆体の多パルス粒子拡大化によって処理された結晶化膜を示す図である。
【図8A】本発明の実施形態による、配向前駆体の生成後の<100>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じた結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた結晶化膜の例示的画像である。
【図8A−1】図8Aの逆極点図である。
【図8B】本発明の実施形態による、SLSプロセス後の<100>アイランドにおける混成SLSプロセスから生じた結晶方位をマッピングするために電子後方散乱回折法を用いた結晶化膜の例示的画像である。
【図8B−1】図8Bの逆極点図である。
【図9A】本発明の実施形態による、連続波(CW)レーザを用いる急速溶融再結晶化(ZMR)を用いた(100)配向前駆体の結晶化膜の例示的な画像である。
【図10A】大部分が<110>方位のアイランドの透過電子顕微鏡(TEM)の例示的画像である。
【図10B】大部分が<111>方位のアイランドの透過電子顕微鏡(TEM)の例示的画像である。
【図10C】大部分が<100>方位のアイランドの透過電子顕微鏡(TEM)の例示的画像である。
【図11A】図10Aに例示している画像に対応する、大部分が<110>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図11B】図10Aに例示している画像に対応する、大部分が<110>方位のアイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図11C】図10Aに例示している画像に対応する、大部分が<110>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図12A】図10Bに例示している画像に対応する、大部分が<11>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図12B】図10Bに例示している画像に対応する、大部分が<11>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)の例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図12C】図10Bに例示している画像に対応する、大部分が<11>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図13A】図10Cに例示している画像に対応する、大部分が<100>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図13B】図10Cに例示している画像に対応する、大部分が<100>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【図13C】図10Cに例示している画像に対応する、大部分が<100>方位の結晶アイランドの走査電子顕微鏡(SEM)例示的な画像及び電子後方散乱回折(EBSD)データを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上で膜を処理する方法であって、
主に一方向の結晶方位を有する結晶粒子を含む配向膜を提供する段階と、
前記結晶方位に向けられた前記結晶粒子の位置制御成長を可能にする順次横方向固化結晶化を用いて微小構造体を生成する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記順次横方向固化結晶化が、
複数のレーザビームパルスを生成する段階と、
前記複数のレーザビームパルスをマスクを通して誘導し、複数のパターン形成されたレーザビームを生成する段階と、
前記複数のパターン形成されたビームのうちの1つで膜の一部分を照射する段階であって、前記ビームは前記膜の照射部分の全厚を通って溶融するのに十分な強度を有し、前記膜の照射部分は冷却時に横方向に結晶化する段階と、
前記膜の後続の部分が前に照射された部分と重なり合い、前記結晶粒子の更なる横方向成長が可能になるように、前記膜を再配置して、パターン形成されたビームで前記後続部分を照射する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記順次横方向固化結晶化が、
複数のレーザビームパルスを生成する段階と、
前記複数のレーザビームパルスをマスクを通して誘導し、複数のパターン形成されたレーザビームを生成する段階と、
前記複数のパターン形成されたビームのうちの1つで膜の選択領域の一部分を照射する段階であって、前記ビームは前記膜の照射部分を溶融するのに十分な強度を有し、前記膜の照射部分は冷却時に結晶化する段階と、
前記膜の選択領域にわたる前記パターン形成されたビームの1回の横断で前記膜の選択領域が実質的に完全に結晶化されるように、前記選択領域の連続部分がパターン形成されたビームで照射されている間に前記膜を第1の並進経路に沿って移動させ、前記マスクを第2の並進経路に沿って移動させる段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクはドットパターンマスクを含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記マスクは、ドット形状区域、六角形形状区域、及び矩形形状区域のうちの少なくとも1つを含む不透明な配列パターンを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記配向膜は、ゾーン溶融再結晶化法、固相最結晶化法、直接堆積法、表面エネルギー駆動二次粒子成長法、及びパルスレーザ結晶化法のうちの1つによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記直接堆積法は、化学蒸着、スパッタリング、及び蒸発のうちの1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パルスレーザ結晶化法は、順次横方向固化及び多パルスELAプロセスのうちの1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記膜は半導体膜であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記膜は金属膜であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記一方向は、好ましくは前記膜の表面に対し法線方向であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
主な結晶方位が<111>方位であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記主な結晶方位が<100>方位であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基板上で膜を処理するためのシステムであって、
複数のレーザビームパルスを生成するための少なくとも1つのレーザと、
少なくとも一方向に移動することができる、前記膜を位置付けるための膜支持体と、
マスク支持体と、
レーザビームパルスの第1のセットを第1のマスクを通して誘導し、配向膜を生成するための光学要素と、
前記配向膜上にレーザビームパルスの第2のセットを第2のマスクを通して誘導するための光学要素と、
レーザビームパルスの前記第1のセット及び第2のセットの周波数に関連して前記膜支持体及びマスク支持体の移動を制御するためのコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項15】
前記配向膜は、ゾーン溶融再結晶化、固相再結晶化、直接堆積法、表面エネルギー駆動二次粒子成長法、及びパルスレーザ結晶化法のうちの1つによって生成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記直接堆積法は、化学蒸着、スパッタリング、及び蒸発のうちの1つを含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記パルスレーザ結晶化法は、順次横方向固化及び多パルスELAプロセスのうちの1つを含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記膜は半導体膜であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記膜は金属膜であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
周期的に位置付けられた粒子を有し、該粒子の各々が主に1つの結晶方位のものである多結晶薄膜を含むデバイス。
【請求項21】
前記膜は半導体膜であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記膜は金属膜であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
主な結晶方位が<111>方位であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項24】
主な結晶方位が<100>方位であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項25】
前記周期的に配置された粒子の微小構造体が、六角形パターン、円形パターン、矩形パターン、又は正方形パターンであることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項26】
前記周期的に配置された粒子が細長い粒子の列を形成することを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項1】
基板上で膜を処理する方法であって、
主に一方向の結晶方位を有する結晶粒子を含む配向膜を提供する段階と、
前記結晶方位に向けられた前記結晶粒子の位置制御成長を可能にする順次横方向固化結晶化を用いて微小構造体を生成する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記順次横方向固化結晶化が、
複数のレーザビームパルスを生成する段階と、
前記複数のレーザビームパルスをマスクを通して誘導し、複数のパターン形成されたレーザビームを生成する段階と、
前記複数のパターン形成されたビームのうちの1つで膜の一部分を照射する段階であって、前記ビームは前記膜の照射部分の全厚を通って溶融するのに十分な強度を有し、前記膜の照射部分は冷却時に横方向に結晶化する段階と、
前記膜の後続の部分が前に照射された部分と重なり合い、前記結晶粒子の更なる横方向成長が可能になるように、前記膜を再配置して、パターン形成されたビームで前記後続部分を照射する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記順次横方向固化結晶化が、
複数のレーザビームパルスを生成する段階と、
前記複数のレーザビームパルスをマスクを通して誘導し、複数のパターン形成されたレーザビームを生成する段階と、
前記複数のパターン形成されたビームのうちの1つで膜の選択領域の一部分を照射する段階であって、前記ビームは前記膜の照射部分を溶融するのに十分な強度を有し、前記膜の照射部分は冷却時に結晶化する段階と、
前記膜の選択領域にわたる前記パターン形成されたビームの1回の横断で前記膜の選択領域が実質的に完全に結晶化されるように、前記選択領域の連続部分がパターン形成されたビームで照射されている間に前記膜を第1の並進経路に沿って移動させ、前記マスクを第2の並進経路に沿って移動させる段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクはドットパターンマスクを含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記マスクは、ドット形状区域、六角形形状区域、及び矩形形状区域のうちの少なくとも1つを含む不透明な配列パターンを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記配向膜は、ゾーン溶融再結晶化法、固相最結晶化法、直接堆積法、表面エネルギー駆動二次粒子成長法、及びパルスレーザ結晶化法のうちの1つによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記直接堆積法は、化学蒸着、スパッタリング、及び蒸発のうちの1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パルスレーザ結晶化法は、順次横方向固化及び多パルスELAプロセスのうちの1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記膜は半導体膜であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記膜は金属膜であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記一方向は、好ましくは前記膜の表面に対し法線方向であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
主な結晶方位が<111>方位であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記主な結晶方位が<100>方位であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基板上で膜を処理するためのシステムであって、
複数のレーザビームパルスを生成するための少なくとも1つのレーザと、
少なくとも一方向に移動することができる、前記膜を位置付けるための膜支持体と、
マスク支持体と、
レーザビームパルスの第1のセットを第1のマスクを通して誘導し、配向膜を生成するための光学要素と、
前記配向膜上にレーザビームパルスの第2のセットを第2のマスクを通して誘導するための光学要素と、
レーザビームパルスの前記第1のセット及び第2のセットの周波数に関連して前記膜支持体及びマスク支持体の移動を制御するためのコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項15】
前記配向膜は、ゾーン溶融再結晶化、固相再結晶化、直接堆積法、表面エネルギー駆動二次粒子成長法、及びパルスレーザ結晶化法のうちの1つによって生成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記直接堆積法は、化学蒸着、スパッタリング、及び蒸発のうちの1つを含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記パルスレーザ結晶化法は、順次横方向固化及び多パルスELAプロセスのうちの1つを含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記膜は半導体膜であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記膜は金属膜であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
周期的に位置付けられた粒子を有し、該粒子の各々が主に1つの結晶方位のものである多結晶薄膜を含むデバイス。
【請求項21】
前記膜は半導体膜であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記膜は金属膜であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
主な結晶方位が<111>方位であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項24】
主な結晶方位が<100>方位であることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項25】
前記周期的に配置された粒子の微小構造体が、六角形パターン、円形パターン、矩形パターン、又は正方形パターンであることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項26】
前記周期的に配置された粒子が細長い粒子の列を形成することを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6A−1】
【図6B】
【図6B−1】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8A−1】
【図8B】
【図8B−1】
【図9A】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6A−1】
【図6B】
【図6B−1】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8A−1】
【図8B】
【図8B−1】
【図9A】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2008−521247(P2008−521247A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543001(P2007−543001)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/039055
【国際公開番号】WO2006/055003
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507155753)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/039055
【国際公開番号】WO2006/055003
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507155753)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (1)
【Fターム(参考)】
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