説明

結晶欠陥の生物分子認識

表面にある不連続な分散した欠陥を検出する。性能を危うくしうる不連続な欠陥は、修復することができる。本発明は、基材上の表面被膜中の欠陥を修復する方法であって、基材に対する親和性は発揮するが被膜に対する親和性はない部分を含む材料と;該被膜のための修復材料と、該部分および該修復材料を結合するテザーとを提供する工程と、該修復材料を欠陥に送達するために、該材料を使用する工程と、該修復材料を表面被膜に取り込む工程と、を含む、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、材料表面の異質部分を認識するための生物学的機序の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
欠陥は、様々な機序を介して材料内に形成し、これらの材料の性能に劇的な影響を与える可能性がある。空格子のような結晶欠陥は、金属および半導体に固有のものであり、導電性および他の特性に影響を与える。転位部および結晶粒界は、結晶構造の周期性の断絶がある場所を形成する。ひび割れのようなより大きな欠陥、または材料組成のバリエーションのような化学的な欠陥も、材料の日常の性能に影響を与え、劇的な崩壊をもたらす可能性がある。生物学的相互作用の特徴として特異性がある。天然系において、生体分子は、何千もの競合物質から個々の標的分子を識別することができる。この特異性を模倣することは、標的が拡散し、広い競合バックグラウンドから分離できない、ある無機系においては、困難な課題に相当する。したがって、材料を使用する前に、あるいは使用中それが破損する前に、表面にある欠陥および他の異質部分を検出するために、生物学的相互作用の特異性を開発することが望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本発明は、基材上の表面被膜中の欠陥を修復する方法である。該方法は、基材に対する親和性は発揮するが被膜に対する親和性はない部分を含む材料と、被膜を修復材料と、前記部分と修復材料とに結合するテザーとを提供する工程と、修復材料を欠陥に送達するために前記材料を使用する工程と、修復材料を表面被膜に取り込む工程と、を含む。
【0004】
基材は、金属、セラミック、ポリマーまたは半導体を含んでもよい。修復材料は無電解めっき用の触媒用の触媒であり、かつ取り込む工程は、少なくとも欠陥を表面被膜材料でめっきすることを含んでもよい。修復材料は、表面被膜のポリマー成分のオリゴマーであり、かつ取り込む工程は、欠陥領域を加熱すること、欠陥領域を架橋剤に曝すこと、あるいはこの両方を含んでもよい。修復材料は、表面被膜の材料の粒子を含み、かつ取り込む工程は、欠陥領域をアニーリングすることを含んでもよい。部分はペプチドであり、かつテザーは、ペプチド、ストレプトアビジンまたは核酸オリゴマーを含んでもよい。
【0005】
別の態様では、本発明は、1種以上のペプチドを含む組成物である。該1種以上のペプチドは、実質的に同じ組成であるが標的特徴部位を欠く材料に関し、所定の組成を持つ材料の標的特徴部位に対して選択性がある。
【0006】
材料は多結晶質であり、かつ標的特徴部位は所定の配向または結晶粒界を有する結晶粒であってもよい。材料は結晶質であり、かつ標的特徴部位は転位部であってもよい。材料は、合金または2種以上の金属またはセラミックの混合物であり、かつ標的特徴部位は、所定の平衡または非平衡組成を有する結晶粒であってもよい。材料は半導体材料であり、かつ標的特徴部位はドープ半導体材料であってもよい。材料はマトリックスおよび強化材料の複合体であり、かつ標的特徴部位は強化材料であってもよい。材料は所定の組成を有する腐食スケールであり、標的特徴部位は異なる組成を有するスケールであってもよい。材料は、必要に応じて不動態化されてもよい金属であり、かつ標的特徴部位は、腐食ピットであってもよい。材料は、基材上の被膜であり、かつ標的特徴部位は基材材料であってもよい。
【0007】
1または複数のペプチドは、ウイルスの一部であってもよい。ペプチドは、蛍光、放射性または磁性ラベルに結合してもよい。材料は単結晶ゲルマニウムであり、標的特徴部位は螺旋転移部であり、かつペプチドは配列CTSPHTRAC(配列番号2)を有してもよい。
【0008】
別の態様では、本発明は、サンプル上の標的特徴部位を検出する方法である。該方法は、1種以上のペプチドを含む組成物であって、該1種以上のペプチドは、実質的に同じ組成を有するが標的特徴部位を欠く材料に関し、所定の組成を有する材料中の標的特性部位に対して選択性がある組成物を準備する工程と、少なくとも、サンプル表面の一部分を調製する工程と、ペプチドが前記一部分に存在する場合、該ペプチドが標的特徴部位に結合する条件下で、組成物を前記一部分上に配置する工程と、結合ペプチドを残したまま、組成物を一部分から除去する工程と、結合ペプチドを検出する工程と、を含む。
【0009】
該組成物は、キャリア溶剤中の溶液であってもよい。調製する工程は、洗浄剤での清浄化、溶剤での清浄化、エッチング加工、研磨および酸化物除去の1つ以上を含んでもよい。配置する工程は、組成物の溶液を表面上に噴霧することを含んでもよい。除去する工程は、一部分を、溶剤、たとえば、必要に応じて洗浄剤、ウシの血清アルブミンまたはこれらの両方を含む水性溶剤ですすぐことを含んでもよい。1または複数のペプチドは、ウイルスの一部であってもよく、組成物はウイルスの懸濁物、たとえば、濃度が約10〜約1012個のウイルス/μLである懸濁物であってもよい。検出する工程は、サンプルの写真を撮像すること、サンプルの磁場を測定すること、サンプルが放出する放射線を検出すること、およびサンプルからの蛍光を検出することの1つ以上を含んでもよい。
【0010】
別の態様では、本発明は、表面の特徴部位の検出の用途のためのペプチド配列を同定する方法である。
該方法は、
A)ペプチドの第一選択物を提供する工程と、
B)少なくともペプチドの一部分が前記表面に結合してもよいように、該ペプチドの第一選択物を、第一表面特徴と第二表面特徴部の第一表面密度とを示す表面に曝す工程と、
C)該表面から結合ペプチドを回収する工程と、
D)少なくとも、第二選択部からのペプチドの一部分が前記表面に結合しないように、結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの第二選択物を、第一表面特徴と、第一密度より小さい、第二表面特徴部の第二表面密度を示す表面に曝す工程と、
E)非結合ペプチドを回収する工程と、
を含んでもよい。
【0011】
該方法は、さらに、
F)少なくとも、第三選択物からのペプチドの一部分が前記表面に結合してもよいように、非結合ペプチドと同じアミノ酸配列を有するペプチドの第三選択物を、第一および第二表面特徴を示す表面に曝す工程と、
G)結合ペプチドを回収する工程と、を含んでもよい。
【0012】
工程Cで使用される溶媒は、工程Gで使用される溶媒と、成分の濃度、pHおよび成分の有無の1以上の項目において異なっていてもよい。第二表面密度は約0であってもよい。該方法は、さらに結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物で、工程Bを繰り返すことを含んでもよい。結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物は、回収された結合ペプチドを含んでもよい。該方法は、さらに、非結合ペプチド、ペプチドの第一選択物と同じ配列を有するペプチドの選択物を使用して、工程B〜Eを繰り返すことを含んでもよい。非結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物は、回収された非結合ペプチドを含んでもよい。工程Aは、ペプチドの第一選択物を含む、ファージディスプレイライブラリーを提供することを含む。該ファージディスプレイライブラリーは、M13ファージのpIIIコートタンパク質またはpVIIIコートタンパク質中でバリエーションを示してもよい。該方法は、さらに、工程Cの後に結合ペプチドを増幅すること、工程Eの後に非結合ペプチドを増幅すること、あるいは両方を含んでもよい。ペプチドの第二選択物は、回収された結合ペプチドを含んでもよい。該方法は、さらに、非結合ペプチドの、第一および第二表面特徴を示す表面との親和性と、第一表面特徴は示すが第二表面特徴は示さない表面との親和性を比較することを含んでもよい。該方法は、さらに、第一および第二表面特徴を示す表面の表面特徴と、第一表面特徴は示すが第二特徴は示さない表面の表面特徴とを比較することを含んでもよい。
【0013】
別の態様では、本発明は、1種以上のペプチドを含む組成物であって、該ペプチドの配列を、
A)ペプチドの第一選択物を提供する工程と、
B)少なくともペプチドの一部分が表面に結合してもよいように、ペプチドの第一選択物を、第一表面特徴と第二表面特徴部の第一表面密度とを示す表面に曝す工程と、
C)表面から結合ペプチドを回収する工程と、
D)少なくとも、第二選択部からのペプチドの一部分が前記表面に結合しないように、結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの第二選択物を、第一表面特徴と、第一密度より小さい、第二表面特徴部の第二表面密度を示す表面に曝す工程と、
E)非結合ペプチドを回収する工程と、
を含む方法によって選択する組成物である。
【0014】
該方法は、さらに
F)少なくとも、第三選択物からのペプチドの一部分が前記表面に結合してもよいように、非結合ペプチドと同じアミノ酸配列を有するペプチドの第三選択物を、第一および第二表面特徴を示す表面に曝す工程と、
G)結合ペプチドを回収する工程と、
を含んでもよい。
【0015】
代わりの実施形態では、該方法はさらに、F)非結合ペプチドの、第一および第二表面特徴の両方を示す表面への親和性と、第一表面特徴は示すが第二表面特徴を示さない表面への親和性とを比較することを含んでもよい。
【0016】
代わりの実施形態では、該方法はさらに、F)第一および第二表面特徴を示す表面の表面特徴と、第一表面特徴は示すが第二特徴は示さない表面の表面特徴とを比較することを含んでもよい。
【0017】
該方法はさらに、工程Cの後結合ペプチドを増幅すること、工程Eの後非結合ペプチドを増幅すること、または両方を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(特定の好ましい実施形態の詳細な説明)
過去10年間、どのようにして生物学的分子が無機材料と相互作用するかという理解について、相当の進歩があった。生体分子は、自己集合の特徴部位を垣間見ることができるような方法で、無機材料の相、増殖1〜3および組織化4〜7に影響を与えるために使用されている。半導体材料の場合、線維状M13ウイルスを使用するファージディスプレイは、選択された基材に関して結合親和性および特異性を有するペプチドの同定において、重大な役割を果たす。しかし、選択標的が拡散性であり、大きな競合バックグラウンドから分離できないため、困難な課題が起こるという問題がある。この非分離性は、選択標的を単離するために望ましい選択方法を複雑にする。
このような非分離性/拡散性標的の2つの例が、表面欠陥部(転位部、ステップエッジ、結晶粒界)および不純物(故意のその他)である。選択の間、表面欠陥を単離することが困難である。欠陥部を結合する能力は、応用可能性への道を提供する。欠陥部の分布を制御しうる系(たとえば、エピタキシャル横方向過成長、ELO)では、欠陥部への結合を、直接鋳型アセンブリに使用することができる。さらに、欠陥部の密度が機能面(たとえば、リーク電流10、歪み硬化)に影響を与える如何なる系においても、非破壊的な方法で、欠陥部の場所を探し当てることができることは有用である。
【0019】
ファージディスプレイは、ランダムペプチド配列を発現するウイルスのライブラリーを、関心のある基材へ曝す無作為配列技術である。ある実施形態では、ランダムライブラリーは、10個のバリエーションを表す、一意的に修飾されている、約1011個のウイルスを含む。修飾は、ウイルスアセンブリのコートタンパク質の1つに発現した付加的なアミノ酸配列の形を取ってもよい。一実施形態では、ファージライブラリーは、コートタンパク質、たとえばpVIIIまたはpIIIの1つに修飾を発現させたM13バクテリオファージに基づく。M13は、約2700コピーのコートタンパク質pVIIIを含むカプシドを持つ、線維状のファージ(長さが〜880nmで、直径が6nm)である。例示的なファージディスプレイライブラリーでは、5コピーの修飾されたpIIIタンパク質を、ウイルスアセンブリの1端に発現させる。あるいは、修飾は、pVIIIに行われる。生物選別(米国特許公開公報第2003006890号および第20030113714号参照、これらの中身は参照によって本明細書に組み入れられる)と呼ばれる数ラウンドの選択が、関心のある基材に選択的に結合するそれらの配列を同定するために使用される。fl、fdおよびタバコモザイクウイルス(TMV)のような他のウイルスも、本発明の実施形態で使用してよい。
【0020】
本明細書で使用される用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって互いに結合する少なくとも2個のアミノ酸のストリングを示す。ペプチドは、個々のペプチドまたはペプチドの収集物を言ってもよい。ペプチドとして、天然のアミノ酸のみを含んでもよいし、業界において知られているような、非天然アミノ酸(すなわち、自然に発生したものではないがポリペプチド鎖に組み込まれえる化合物)および/またはアミノ酸類縁体を代わりに使用してもよい。また、たとえば、炭水化物基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基のような化学成分の付加、結合用リンカー、官能化、または他の修飾法によって、ペプチド中の1種以上のアミノ酸を修飾してもよい。一実施形態では、ペプチドの修飾は、より安定したペプチド(たとえば、インビボでのより長い半減期)をもたらす。これらの修飾法として、ペプチドの環化、D−アミノ酸の取り込みなどが挙げられる。修飾が全くないと、所望の活性を持つペプチドと実質的に相互反応させるべきである。
【0021】
選択の第一ラウンドでは、ランダムファージライブラリーを、関心のある基材に、1時間あるいは他の適切な時間曝す。曝露後、該基材を、たとえば、トリス緩衝食塩水またはリン酸緩衝食塩水で洗浄し、非結合ファージを除去する。結合ファージを、たとえばpHが約2のグリシンHClのような緩衝液を使用して、pHを小さくすることによって溶離する。この溶離されたファージの集団は、発現したペプチド融合体の一部分しか基材に対する親和性を示さないので、最初の集団と比べて、減少した遺伝学的多様性を有する。溶離された集団は、それらの天然の細菌宿主を使用して増幅してもよく、選択沈殿を使用して精製してもよい。次いで、この新しい「ライブラリー」を基材に再び曝し、この手順を繰り返す。選択の異なるラウンドでは、洗浄をより積極的にあるいはより消極的に行ってもよい。たとえば、洗浄を、ツウィーン−20(商標)または他の市販の界面活性剤、たとえば、ダウ社から入手しうるトリトンブランドの界面活性剤のような洗浄剤の濃度を増やすことによって、あるいはウシの血清アルブミン(BSA)のような競合結合剤を導入し、基材に対して強い親和性を示す配列にのみを選択することによって、より積極的に行ってもよい。ツウィーン−20またはBSAの濃度は、適宜、高くてもよい。しかし、ある実施形態では、ツウィーン−20の濃度が0.5%を超えると、洗浄液がセッケン様になり取り扱いが困難になり、BSAの濃度が0.5g/Lを超えると、基材に対する結合が強く競合しすぎることになる場合がある。数ラウンドの後、ウイルス性DNAの配列が決定され、表面に対して親和性を示した修飾アミノ酸配列が明らかになりうる。
【0022】
図1は、特定の標的特徴部位に対して選択性のあるファージ集団の発生における使用のためのこの技術に関するバリエーション、他の点では実質的に同一の2個の基材間での表面特性の相違を示す。第一例では、ファージライブラリーを、標的特徴部位を示す基材に曝す。ある実施形態では、該標的特徴部位が、表面のある「バックグラウンド」特性のバリエーションである場合もある。たとえば、基材は、単結晶材料、たとえば、エピタキシャルゲルマニウムであってもよく、標的特徴部位は、表面で螺旋転移の発生部であってもよい。あるいは、標的特徴部位は、ドープされていないシリコン表面中のp型またはn型シリコンの領域であってもよい。別の実施形態では、表面は、複数の結晶粒状の合金またはセラミックであり、標的特徴部位は結晶粒界である。あるいは、標的特徴部位は、特定の組成、たとえば、α+β混合物中のα結晶粒を有する合金中の結晶粒であってもよい。超伝導テープでは、たとえば、結晶粒の配向が材料の性能に影響を与え、標的特徴部位は準最適配向を有する結晶粒であってもよい。複合体では、標的特徴部位は、マトリックス相および強化相の層剥離によって規定されてもよく、該ファージは、強化相が曝された、層剥離領域を選択的に結合してもよい。あるいは、ファージは、腐食生成物、たとえば金属中の腐食ピット、あるいは下位にある金属中の合金元素の枯渇により、剥離後、スケールの残存部とは異なる組成を有する腐食スケールが形成する場所に選択的に結合してもよい。
【0023】
標的特徴部位が拡散というより分離している場合は、生物選別は、1つは標的特徴部位を示し、もう1つはバックグラウンド特徴部位を示す、2個の「純粋な」表面を伴って行われてもよい。たとえば、標的特徴部位がα結晶粒である場合、α組成を持つ1面およびβ組成を持つもう1つの面の2つの表面を調製してもよい。陽性選択はαサンプル上で行われ、陰性選択はβサンプル上で行われる。合金サンプルを、選択の結果得られる特定のペプチドをファージディスプレイする選択性を確認するために使用してもよい。同様に、全サンプルを、p型またはn型シリコンと、ドープシリコン上の陽性選択およびドープされていないシリコン上の陰性選択で行った生物選別とから形成してもよい。また、この技術は、材料の被膜中の欠陥の位置を探すために使用してもよい。陰性選択は被膜材料のサンプル上で行われ、一方陽性選択はコートされる基材のサンプル上で行われる。たとえば、基材材料はシリコン、かつ被膜材料は窒化タンタルまたは金であってもよい。ニッケルおよびクロムをプラスチックおよび金属にめっきし、耐蝕性被膜を作り出す。同様に、酸化物を金属基材上に頻繁に成長させ、特定の表面特性を与え、材料の腐食を制御する。この例では、陰性選択が酸化物上で行われ、一方陽性選択が基材材料上で行われる。基材材料は、たとえば、金属、セラミック、半導体またはポリマーなど、塗布されるものであればどのような材料でもよい。
【0024】
これに代えてあるいはこれに付け加えて、これらの技術を、ポリマー被膜中のピンホールの位置を探すために適用してもよい。ポリマー化フェニレンビニレン被膜を、LED中の導電性ポリマーとして使用する(米国特許第5,869,350号明細書参照、この中身は参照によって本明細書に組み入れられる)。ポリピロールおよびポリアニリンのような他の導電性ポリマーも、導電性被膜として使用する。ポリイミド類を、半導体および薄膜マルチチップモジュールの両方において誘電体層として使用してもよい。半導体応用における用途が見出される他のポリマーとして、アクリル類、ポリエステル類、ポリスチレン類、アリル系ポリマー、エポキシ類、ポリウレタン類、シリコン類、ポリスルホン類およびフェノール類が挙げられるが、これらに限定されない。使用にあたって、これらを直接、シリコン表面、誘電体、半導体材料、たとえば、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、セレン化亜鉛、硫化カドミウムまたは導電性リード線などに析出させてもよい。被膜材料に関し、塗布される各材料に対し選択性のある数種のペプチド配列を同定することが望ましい。
【0025】
実際には、適切に調製することができる限り、如何なる表面にもファージディスプレイライブラリーで生物選別してもよい。適切な表面調製技術は、表面の組成および標的特徴部位の性質に依る。たとえば、ポリマーまたはポリマーマトリックス複合体表面は、表面の汚れを除去するためにだけ清浄化する必要があるかもしれない。同様に、あるセラミック表面は、清浄化だけが必要であるかもしれない。適切な清浄化剤は、洗浄剤および温和な溶剤を含んでもよい。金属および半導体表面は、保護層を除去するためにエッチングが必要であるかもしれない。金属表面を不動態化するのにどのくらいの時間がかかるかに依るが、不活性雰囲気で生物選別を行うのが望ましい。たとえば、シリコンは、不動態酸化物層を約1時間以内に形成するが、同様の層をゲルマニウム上に発生させるためには約1ヶ月を必要とする。あるいは、材料の酸化挙動がわかっている場合は、たとえば、下層の材料の適切な組成を同定するために、生物選別を、不動態化層上で行ってもよい。たとえば、ステンレス鋼上の不動態層は、優先的にクロミアである。腐食ピットを同定するためには、ステンレス鋼と鉄酸化物を区別することができるペプチド配列を見つける必要はなく、むしろ不動態酸化物層を除去するための表面の研磨を不要にする、クロミアの変わりに鉄酸化物に優先的に結合するペプチド配列を見つける。転位部、結晶粒界および他の結晶欠陥を区別するために、表面を研磨してスクラッチを除去するのが好ましい。あるいは、材料を切断し、清浄化表面としてもよい。
【0026】
したがって、表面から溶離されたファージは、標的特徴部位を含む表面に対して親和性を示す。第一選択物は陽性選択であり、これは、ある表面特徴部位のための一体型選別なしに、全表面をサンプリングする。特定の特徴部位に対し選択性のあるファージを同定するために、陽性選択のラウンドが完了した後に、陰性選択のラウンドを、前もって指定したバックグラウンド特性は示すが標的特徴部位は示さない表面上で行う。たとえば、陰性選択用の表面は、先に記載した実施形態において、溶融成長した単結晶ゲルマニウムまたはα合金であってもよい。これは陰性選択工程であり、表面に結合しないファージは、回収し、増幅する。陰性選択において、表面は、バックグラウンド特性に対する親和性は示すが、標的特徴部位に対する親和性は示さない配列のためのフィルターとして使用されることが必須である。陽性および陰性選択工程の両方を使用することによって、特定の標的特徴部位を示す表面と示さない表面との間で識別する方法が提供される。次いで、標的特徴部位を示す表面に曝されたファージで、陽性選択工程を繰り返し、表面に結合したそれらのファージを溶離し、回収する。いずれかの選択工程の後に回収されたファージを増幅してもよい。
【0027】
陽性および陰性選択工程は、それぞれ交互にあるいは一度に(たとえば、1回以上の陰性選択工程の前に、陽性選択工程を1回以上繰り返す)繰り返してもよい。溶離溶媒の侵攻性も同様に調整してもよい。緩衝化酸性溶液を使用してファージを溶離する場合、pHの低下によって、溶離はより侵攻性が増す。溶液の希釈によって溶離は侵攻性が劣ることになる。陰性選択工程様の溶離溶媒の侵攻性は、陽性選択工程様のために独立して調整してもよい。ある実施形態では、特定の選択工程の選択性を増やすまたは減らすことが望ましい場合もある。
【0028】
一度特定のペプチド配列が同定されれば、種々の方法でペプチドを修飾することによって選択性はさらに向上する。たとえば、ペプチドはDアミノ酸で製造してもよく、あるいは種々の化学成分を該ペプチドに付加してもよい。これらの標的特徴部位に関して修飾されたペプチドの選択性を、並んであるいはより大きなサンプル中で比較してもよい。
【0029】
生物選別手順の結果得たファージ集団は、特定の表面の他の特徴部位に優先して、標的特徴部位に対する親和性を有するペプチドを表示する。選択が完了した後、ペプチドが、標的特徴部位を選択的に結合すること(表面のある他の特徴部位とは対照的に)および該標的特徴が、選択するために使用された表面を識別する優勢特性であることを確かめるのが望ましい。このペプチド配列を示すファージの集団を、同種類の表面上の同じ標的特徴部位を検出するための領域、たとえば、生産の設定においてあるいは材料がある時間使用された後で使用してもよい。たとえば、約10〜約1012個のファージ/μLのファージを含む溶液を、半導体基材または超伝導テープに、噴霧しまたは洗浄し、結晶質欠陥を検出してもよい。また、簡単に検出するために、ファージは蛍光タグを含んでもよい。たとえば、ファージは、ファージ(ビオチン化抗fd)用の抗体を使用することによって、ビオチン−ストレプトアビジン結合を介して、蛍光染料(たとえば、ストレプトアビジン結合テトラメチルローダミン−TMR)に結合する蛍光タグを付けてもよい。もし表面が異なるタイプの標的特徴部位を含むことが予想される場合は、生物選別および異なる集団上の異なる色のタグを含めることによって検出される異なる標的特徴部位を介して、異なるファージ集団を発生させてもよい。他の検出システム、たとえば、放射性ラベル化ストレプトアビジンまたはストレプトアビジン接合金粒子を、使用してもよい。分析される表面が磁性でない場合、ファージは、磁性粒子でラベル化してもよい。
【0030】
ファージ集団によって表示されたペプチドは、ファージなしで使用し、表面上の標的特徴部位を検出してもよい。ペプチドは、固相合成方法、たとえば、Fmocに基づく合成を使用して製造してもよい。ラベル化ペプチドの溶液を、特徴付けられた表面に噴霧またはそれで洗浄してもよい。ラベル化ペプチドは、ファージほど激しい照射を示さないので、ラベル化を複製することができ、点または線欠陥より、結晶粒またはより大きな異質部分を同定するためにペプチドを使用することがより適切である。あるいは、同じ用途において使用されるファージの集団より高い濃度のペプチド溶液を使用するのが望ましいかもしれない。別の実施形態では、ペプチドは、より激しい照射を示しうるアルカリ性フォスファターゼのような酵素のレセプターに接合してもよい。別の実施形態では、ペプチドは、より激しい照射を示す粒子、たとえば、量子ドットと連結してもよい。
【0031】
別の実施形態では、他の表示システムを使用して、標的特徴部位に対して選択性のあるペプチドを同定してもよい。たとえば、他のウイルス表示システム、たとえば、fl、fdまたはタバコモザイクウイルスを使用してもよい。また、細胞ベース表示システムを使用してもよい。たとえば、ペプチドディスプレイライブラリーを、酵母または大腸菌で調製してもよい。これらの材料の細胞膜は、ペプチド融合の提示に加えて、電荷も提示する。ある実施形態では、実際、ファージを使用しない細胞ベース表示方法を使用してペプチドを同定する場合、たとえば、1〜5マーの長さの短いポリDまたはポリE融合を持つペプチドを製造するのが望ましい場合もある。
【0032】
ペプチドが表面の不連続な特徴部位に対して選択性があると同定された場合、ペプチドを欠陥の修正を助けるために使用するのが望ましいかもしれない。たとえば、ペプチドを、ファージまたは他のリンカーを介して、被膜材料に結合してもよい。ペプチドは、ピンホールや他の欠陥に被膜材料を位置付け、次いで、届けられる材料を被膜に取り込むように、該材料が処置される。たとえば、ペプチドは、ポリマー被膜の材料のオリゴマー鎖に結合してもよい。一旦収まれば、被膜をポリマーのTgを超える温度に加熱し、オリゴマー鎖を周りの被膜でそれ自身に巻き込ませる。あるいは、被膜を、架橋剤たとえば紫外線光に曝し、オリゴマーを周りのポリマーに化学的に結合させる。金属被膜を使用する場合、ペプチドを、被膜材料の粒子に結合させてもよい。粒子が欠陥部位に届けられた後、被膜を簡単にアニーリングしてもよい。あるいは、またはこれに加えて、修復材料は、無電解めっき用の触媒であってもよい。一旦修復材料が欠陥部に届けられれば、めっき法が当業者に公知の技術に従って実施される。触媒は局在性があるので、欠陥部は「めっきされる」一次領域であり、めっき層の厚さを大きく付け加えることなく、欠陥部に詰められる。熱を用いて届けられる材料と被膜との間の連続性を増やす場合、基材は特定の温度に対して耐性がある、あるいは加熱時間が短いことが望ましいかもしれない。たとえば、被膜をポリマー基材上で加熱する場合、温度は、基材材料のTg未満あるいはTm未満であるのが望ましいかもしれない。
【0033】
欠陥部の位置を探すために使用されるペプチドは、当業者に公知の結合技術を使用して、修復材料に結合させてもよい。たとえば、ペプチドと修復材料とを両方ビオチン化し、二官能性ストレプトアビジンテザーを使用し2つの材料を結合する。選択性ペプチドに、選択性ペプチドの欠陥部の位置を探す能力に邪魔されることなくビオチンを受け取ることができるペプチド配列を取り付けることが望ましい。あるいは、ポリNヌクレオチド配列を、たとえばHermanson,GT.,Bioconjugate Techniques,San Diego:Academic Press,1996(この中身は参照によって本明細書に組み込まれる)中の技術を使用して、ペプチドに取り付けてもよい。すなわち、修復材料を相補的配列と結合し、その後、2つの配列をハイブリッド形成し、選択的ペプチドと修復材料とを結合する。同様に、当業者に知られている化学反応を使用して、ポリマー修復材料のオリゴマーを相補的配列で単純に官能化してもよい。ヌクレオチド官能化金属粒子を調整する技術も、業界でよく説明されており、たとえば、米国特許第6,361,944号公報にあり、この内容は、参照によって本明細書に取り込まれる。一実施形態では、オリゴヌクレオチドを、3’または5’末端で、アルカンチオールを使用して調整する。そのようなヌクレオチド−チオール複合体は、金およびニッケルを始めとする多くの金属に簡単に結びつく。Whitesides,Proceedings of the Robert A.Welch Foundation 39th Conference On Chemical Research Nanophase Chemistry,Houston,Tex.,第109〜121頁(1995)を参照のこと。
【0034】
代わりに、あるいは、これに加えて、ペプチドを金属性の修復材料に結合してもよい。修復材料に対して親和性を示すペプチドを、修復材料の粒子と溶液中で培養してもよい。たとえば、ナノ粒子(たとえば、0.05〜3nM)の希釈溶液を、ペプチドまたはペプチド溶液と組み合わせ、約l〜2mMのペプチド溶液を形成してもよい。被膜材料に関して基材に対して選択性のあるペプチドを、修復材料に対して親和性を示すペプチドに溶融させてもよい。二官能性ペプチドを修復材料に配位させ、次いで修復材料を欠陥部に送達するために使用してもよい。
【実施例】
【0035】
(実施例1−(100)Si上Ge上での貫通転位の位置探求)
(100)ゲルマニウム中の貫通転位に対して選択性のあるファージを同定するために、生物選別を使用した。この選択のためにゲルマニウムを使用するのには2つの利点がある。ゲルマニウムはゆっくりと酸化する11ので、きれいな表面を、研究室設定内で作り出し、維持することができる。さらに、シリコン(Si上Ge)上でのエピタキシャルゲルマニウム薄膜の成長は、高度に欠陥のあるゲルマニウム基材であるにもかかわらず単結晶を作り出す効果的な方法である。Si上Ge系の欠陥は、積算光学デバイスの期待の中で、シリコン理論12を用いて充分研究されてきた。シリコン上のゲルマニウム薄膜の析出において作り出される欠陥は、貫通転位であり、その密度は、加工によって部分的に制御することができる13。貫通転位はゲルマニウム/シリコン界面の近くに形成し、曝された(100)表面と通ってゲルマニウムを出る。結晶表面で転位が現れる点は、残りのGe表面とは異なる幾何学構造、反応性および電子的構造を持つ局在的表面欠陥部である。ゲルマニウムにおける第一転位系は、長さおよび方向(a/2)<011>14,15(長さが〜4Å)のBurgersベクトルを有する。使用した2つの基材は、Si上Ge(アニーリングなし、高欠陥密度)およびGeウェハ(無視できる欠陥密度)であった。Si上Ge基材は、シリコンウェハ上に約1ミクロンの厚さで成長させたゲルマニウムのエピタキシャル成長薄膜で構成される。表面欠陥密度は、おおよそ10/cm 13である。この高密度は、如何なる固体状態も無効とするが、実際、結晶表面の小さな割合のみに影響を与える。結晶の幾何学的構造に大きく影響する転移部の距離は、Burgersベクトルのオーダーである。転位密度が10/cmのゲルマニウムに関して、4ÅのBurgersベクトルは、約0.0001%の表面が欠陥部によって幾何学的に影響を受けている、たとえば標的は拡散性であるということを示す。しかし、転位に伴う空間電荷領域は、Debye長さ(ドープされていないGeで〜50nm)のオーダーであり、これは、Burgersベクトルより非常に大きい可能性があることは注目すべきである。
【0036】
欠陥部選択性ペプチド配列の同定
選択性ペプチド配列を同定するために、2つのタイプのSi上Geサンプルを使用した。そのままの状態で成長させたSi上Geに関する典型的な転位密度は、10/cmのオーダーである。Czochralski成長ゲルマニウムの転位密度は、非常に低い(10/cm)。この実験で使用したファージディスプレイキットは、7−アミノ酸で拘束されたライブラリー(New England Biolabs PhDC7C)を利用している。用語「拘束された」は、ランダムアミノ酸配列がシステインによってかみ合うことを示す。これらのシステインは、ジスルフィド結合を形成し、ペプチド融合を環のような構造にする。これはペプチドの立体配座的自由度を制限し、その結果、より特定された適合を基材に保障する。PhD−C7Cマニュアル(この内容は参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されたプロトコルを、Si上Ge表面を優先的に結合するファージを同定するために使用した。以下に示す5つの選択を実施した。
1)高密度サンプルでの陽性選択、次いで、増幅
2)増幅された溶離液を使用した高密度サンプルでの陽性選択、次いで、増幅
3)低密度サンプル(たとえば非結合ファージを溶離)での陰性選択で、増幅なし
4)増幅なしの低密度サンプルでの陰性選択
5)高密度サンプルでの陽性選択
これにより、2種のコンセンサス配列、CSYHRMATC(配列番号1)およびCTSPHTRAC(配列番号2)を得た。これらの配列は非常に類似し、特に配列の環の性質を考えた場合そうである(図2)。第一配列を配列1vと名づけ、第二配列を3vと名づけた。これらの配列は、類似の頻度で現れた。次いで、高転位表面に関する配列の特異性を、測定した。高い転位密度サンプルの5mm正方形を、脱イオン水中で濯ぎ、40%HF中に10秒浸漬した。これを3回繰り返し、脱イオン水濯ぎと浸漬の間に水で濯いだ。サンプルをアセトンで2回、エタノールで2回、再びアセトンで1回濯いだ。1010プラーク形成単位(pfu)の溶液を0.2%ツウィーン−20(TBST)を含む90μlのトリス緩衝食塩水(TBS)中で調製し、この溶液の20μlの液滴を各サンプル中に置いた。サンプルを1時間透明プラスチックボックス中に放置し、その後TBST+0.5g/LのBSAで濯ぎ、その後10%TBSで2回濯いだ。次いで、サンプルを0.01mMグリシン−HCl+0.1MのNaClの溶液に1〜5分間曝し、10%TBSで2回濯いだ。ファージを0.2Mグリシン−HClで溶離し、次いで、Tris−HClで中和した。次いで、この最終的な溶液を滴定し、結合ファージの活性を測定した。配列1vは、顕著な特異性は示さなかったが、配列3vは、低密度サンプルより90倍大きな結合を高密度サンプルで示した。野生型M13KEファージで試験されたコントロールサンプルは、高および低密度サンプルのいずれでも特異性は示さなかった。
【0037】
(実施例2−基材でのペプチド配列相互作用の特徴評価)
一旦コンセンサス配列を同定すれば、Si上Ge基材の表面欠陥に結合優先を示すことを確かめた。結合を確かめるために、1ミクロン長さのウイルスと4Å表面欠陥とを同時に画像にするより、間接的な技術を使用した。溶融成長GeとSi上Ge基材との間の結合優先を、蛍光顕微鏡およびファージ滴定を使用して測定した(図3)。基材それ自体も比較した。拡散性選択において、特定の標的に対する親和性を探した。しかし、該技術は、使用した2つの基材の間にあるなんらかの相違を発見する傾向にあるようである。最も大きな相違は最初に標的化されたものであることを保障するため、表面の元素組成、表面粗さ、結晶配向および欠陥密度を試験した。
【0038】
蛍光測定
ストレプトアビジン結合テトラメチルローダミン(TMR)を使用して、サンプルにタグを付け、ビオチン化抗体を使用して、これをファージの主要コートタンパク質に結合した(図3)。先ず基材を5mm×5mm正方形に切断することによって、サンプルを調製した。全サンプルを48%HFに10秒間毎に3回浸漬し、浸漬の間は水で濯いだ。次いで、サンプルを0.07%HNOに10秒浸漬し、再び濯いだ。次いで、サンプルをアセトンで2回、エタノールで2回、最後にアセトンで1回濯いだ。次いでサンプルを2×2アレーに並べ、20Φl/サンプルのファージ溶液(10個のファージ/Φl;滴定および分光分析16によって測定)に曝した。半時間後、サンプルを中間洗浄(TBST−BSA[TBS+0.5g/LBSA+0.5%ツウィーン−20]で1回、TBST[TBS+0.2%ツウィーン−20]で1回、10%TBSで1回)した。次いで、サンプルを、20Φl/サンプルのビオチン化抗fd(原液の1:50希釈液、Sigma)に半時間曝した。第二の中間的な洗浄の後、サンプルを最終的に20Φl/サンプルのストレプトアビジン結合TMR(原液の1:100希釈液、Molecular Probes)に曝した。次いで、サンプルを最終洗浄(TBST−BSA[TBS+0.5g/LBSA+0.5%ツウィーン−20]で4回、TBST[TBS+0.2%ツウィーン−20]で4回、10%TBSで1回、HOで1回)し、マウントし、測定した。蛍光測定は、オリンパスIX51蛍光顕微鏡上でTRITCフィルターを用いて行った。オリンパスQ−カラー3CCDを用いてサンプルの画像を撮影し、それらの平均輝度を、標準ソフトウェアパッケージ(アドベフォトショップ6.0:棒状図)を使用して測定した。
【0039】
滴定
サンプルを、ファージ曝露の後、サンプルを、抗−fdおよびTMR曝露の代わりに、最終洗浄した以外は、蛍光測定と同じ工程を使用して調製した。次いで、ファージを溶離し、New England Biosciencesファージディスプレイキットのマニュアル(この内容は参照によって本明細書に取り込む)に記載のように滴定した。滴定の結果は、ブルーウイルス性プラークを持つプレートである。プラークの数は、基材に結合するファージの数に対応する。プレート化する前にウイルス性集団を希釈し、所定のプレート上のプラークの数を手で数えることができるようにする。
【0040】
XPS測定
XPSを、Al源および187.85eVのパスエネルギーを持つ小スポットESCAを使用して行った。結合エネルギーを0eVから1300eVに押し上げた。
【0041】
AFM測定
AFMを、デジタルインストルメントナノスコープ4を使用して行った。スポットサイズ約1ミクロンを一体型粗さ測定プロトコルとともに使用した(図4)。
【0042】
XRD測定
XRDを、Cu Ka源を使用して行った。2Θ角を25°から70°へ押し上げた。
【0043】
EPD測定
エッチング液は、67mlのCHCOOH、20mlのHNO、10mlのHFおよび30mgのIを含んでいた。サンプルを10秒浸漬し、次いで、オリンパス光学顕微鏡を使用して撮像した(図4)。
【0044】
結果
3v配列は、配列決定中に、最も高い頻度で現れ、特徴化はペプチド上に集中した。蛍光測定は、2個の異なるファージ集団を用いて実施した。1集団は、全て3vを示すウイルス性クローンの単分散収集物(M13−3v)であった。第二集団は、M13KEとして知られる「野生型」ファージで構成され、pIII上のペプチド融合はないが他は全てM13−3vと同じであり、したがって、非選択性バックグラウンド結合の効果に関して優秀なコントロールを提供する。ファージに、蛍光染料(ストレプトアビジン結合TMR)に結合するファージ(ビオチン化抗fd)の抗体を使用して、ビオチン−ストレプトアビジン結合を介して蛍光タグを付した(図3)。バックグラウンドコントロールは、ビオチン結合抗fdおよびストレプトアビジン結合TMRだけを含むファージのないサンプルを使う方法を繰り返して得た。該して、バックグラウンド蛍光シグナルに対して4つの潜在的な寄与がある。すなわち、1)曝露中にCCDによって経験される任意の雑音、2)基材に結合する任意の非選択性抗体/染料、3)大ウイルスアセンブリの任意の非選択性結合および4)選択されたペプチドを有する任意のゲルマニウム親和性である。最初の2つの寄与は小さく、測定した蛍光から単に差し引く。得られたM13−3v蛍光測定は、Si上Ge基材に関して、Ge基材と比べて約2:1の優先性を示した(図3A)。M13KE結合から得られた蛍光シグナルは、どちらの基材にも選択性を示さず、Ge上M13−3vのため、前記シグナルより僅かに小さかった。M13KE結合をバックグラウンドとして、M13−3v結合に処置した場合、Si上GeのGeに対する優先性は、10:1に増えた(図3)。
【0045】
滴定は、基材を結合するファージの数を測定するための定量技術である。基材曝露後増幅前に、溶離されたファージ集団の分画を、培養プレート上に成長した細菌ローンに曝す。細菌ローンが感染させられ始めた各点で、ウイルス性ブルームを形成する。ファージをlacZで修飾し、ウイルス性ブルーム(または「プラーク」)を青色に変える。もしファージが充分に希釈されていれば、各プラークは、1事象のみに対応する。所定の希釈で所定のプレート上のプラークの数を数えることによって、最初の基材を結合したファージの数を測定することが可能である。滴定測定は、単分散されたM13−3vファージ集団を使用して行った。(野生型ファージは感染力速度がより速いので、これらの結果は、野生型M13KEとは比較しなかった。)滴定には抗体も蛍光染料も必要でなかった。得られたプレートは、Si上Ge基材に関して、Ge基材に比べて3:1の優先性を示し(図3C)、これは蛍光において見られた2:1に類似する。
【0046】
蛍光および滴定結果によって、M13−3vはSi上Geに関して優先性を示すことを確認する。また、Ge表面およびSi上Ge表面は、転位部の存在を除いて、同一であることを実証した。XPSデータは、基材が同じ元素組成を持つことを明らかにした(図4A)。AFM画像は、基材が非常に平滑で、類似の表面粗さ(Si上Ge:Rrms=0.235+/−0.098nm;Geウェハ:Rrms=0.201+/−0.034nm)を持つことを実証した(図4B)。XRDは、両基材が強い(100)配向を持つことを示した(図4C)。最後に、EPD試験は、Si上Ge基材に数多くの欠陥部があり、Geウェハには欠陥はなかったことを明らかにした(図4D)。中間密度サンプルは、約2/cmの転移を有し、純粋なゲルマニウムは、l/cmの転移を有していた。高転位密度サンプルは、濃密に詰まりすぎ、EPDを使用して識別できない転移を有していた。その結果、l/cmの値を、このタイプの構造の典型的な値として使用した。
【0047】
結論
ファージディスプレイ選択に由来する2種のペプチド配列は非常に類似していた。偶然起こる類似性のこのレベルのオッズは、約0.02%(全アミノ酸が独立し、同程度であると仮定する)であった。これは、配列は基本的に別々に到着したので、非常に有望である。重複部分のこのレベルは、可能性のある結合配列の正しい空間に焦点を当てえたという確信を与える。また、この主張は蛍光および滴定データによってサポートされている。
【0048】
結合機序は完全には明らかではない。如何なる特定の理論に縛られるものではないが、おそらく、表面欠陥に伴う空間電荷領域があると発明者らは仮説を立てる。これは、主要な静電気的相互作用の源になりうるであろう。しかし、ゲルマニウムフィルムは、普通、ドープされず(僅かにp型、N〜1016/cm 16)、したがって、空間電荷の大きさは、非常に小さく、広がるであろう。また、結合機序は、欠陥の局所化学に由来してもよい。転位の部位が優先的に酸化するであろうと予測する。水酸基含有アミノ酸が金属酸化物に結合するであろう17ことが示されている。
【0049】
ファージ結合を定量化する努力において、基本的なモデルが開発された。ファージ−表面相互作用は、単純な二分子相互作用として取り扱われる。
【0050】
ファージ−転位相互作用に関して
【0051】
【数1】

を使用する。
【0052】
ファージ−バックグラウンド相互作用に関して
【0053】
【数2】

を使用する。
【0054】
平衡状態で
【0055】
【数3】

(式中、Kは、平衡解離定数である。)を使用する。相補基材を同時に同じファージ溶液に曝したので、[phage]は、両サンプルに関して同じである。さらに、全サンプル表面を、ファージ溶液に曝すので、[phage]は欠陥部分およびバックグラウンドに関して同じである。[phage]の解き方および再配置は以下のとおりである。
【0056】
【数4】

もしSi上Ge蛍光がGeウェハ蛍光の2倍であるとしたら([phage−atom]はどちらの基材上でも同じと仮定する)
【0057】
【数5】

となる。
【0058】
代入および消去は以下の通りである。
【0059】
【数6】

(4)原子
原子表面密度は約1014/cmであり、転位密度は10/cmである。結果は以下の通りである。
【0060】
【数7】

これを式(7)に代入して、
【0061】
【数8】

を得る。
【0062】
すなわち、選択において100000倍の改良が効果的にある。
【0063】
(実施例3−ドープシリコンに選択性のあるファージ集団の発生)
2つのタイプのシリコンウェハ、すなわち、ドープされていないシリコンおよび当業者に知られた方法、たとえばイオン注入法、を使用して、1以上のドープ領域を調製したドープされていないシリコンを提供する。2種のウェハをHFでエッチングして先天的な酸化物層を除去し、乾燥窒素下に貯蔵する。pIIIまたはpVIIIコートタンパク質中でバリエーションを示すファージディスプレイライブラリーを、不活性雰囲気、たとえばグローブボックス中で、ドープ領域(「ドープシリコンウェハ」)を持つシリコンウェハに曝す。約1時間後、ウェハを、緩衝液で洗浄し、結合ファージを0.2MのグリシンHClでウェハから溶離する。緩衝化食塩水中の0.2%ツウィーン−20を使用して、培養を回収されたファージで繰り返し、未結合ファージを表面から洗浄する。
【0064】
第二培養後に回収されたファージを、標準細菌学的技術に従って大腸菌を使用することによって、たとえばNew England Biolabsマニュアル(この内容は参照することによって本明細書に取り込まれる)中の技術を使用することによって、増幅する。増幅されたファージ集団を、ドープされていないシリコンウェハで約1時間培養し、その後シリコンウェハを緩衝液で洗浄し、未結合ファージを回収する(たとえば、シリコンウェハ上に残るファージを廃棄する)。
【0065】
回収されたファージを、ドープシリコンウェハで約1時間培養する。該ウェハを緩衝液中の0.5%ツウィーン−20で洗浄する。上記のようにグリシンHClを使用しウェハからファージを溶離し、溶離されたファージを配列する。もし1を超える配列が同じ頻度で現れる場合は、選択された配列の1つと強濃度の洗浄剤を有するペプチドを示すファージの混合物を使用して、上記の工程を繰り返してもよい。
【0066】
ドープシリコン選択性ペプチドを表示するファージの集団を調製する。該ファージに蛍光ラベルを付し、ドープシリコンウェハで培養する。ウェハの蛍光顕微鏡検査を使用し、ファージがウェハのドープ領域に結合していることを確かめる。
【0067】
(実施例4−イットリウム・ビスマス・銅酸化物フィルム中のa軸配向結晶粒の検出)
YBaCu(YBCO)のc軸配向結晶粒に関して、a軸配向結晶粒に対し選択性のあるファージの集団に、蛍光ラベルでタグを付し、緩衝化食塩水に懸濁し、濃度を1012個のファージ/μLとする。YBCOテープの区分を穏やかなセッケンおよび水を使用して清浄化し、もし必要なら、研磨して目に見えるスクラッチを除去する。ファージ/緩衝液懸濁物を、たとえば、ポンプ運動噴霧ボトルでテープに噴霧することによって、あるいは懸濁物中にテープ区分を浸漬することによって、YBCOテープ上に配置する。次いで、穏やかなセッケンでテープを洗浄し、蛍光画像を、a軸配向結晶粒に対応する表面上に結合ファージを置くために使用する。たとえば、タグが赤色光を吸収し、可視波長で蛍光する場合は、携帯型レーザーを使用して蛍光を刺激し、a軸結晶粒を可視化してもよい。
【0068】
(実施例5−多結晶質材料中の結晶粒界の検出)
多結晶質材料の結晶粒界に対して選択性のあるファージの集団に、放射性ラベルでタグを付け、緩衝化食塩水に懸濁し、濃度を1012個のファージ/μLとする。多結晶質材料から製造した成分を、携帯型機械式研磨機を使用して研磨し、ファージ/緩衝液懸濁物を噴霧する。約1時間後、該成分を洗浄剤、たとえば緩衝化食塩水中の0.2%ツウィーン−20で洗浄し、成分からの放射性発光を写真に撮る。この手順を周期的に、たとえば1ヶ月毎または四半期毎に繰り返し、成分中の結晶粒粗大化をモニターする。
【0069】
(実施例6−特定の成分の合金に対して選択性のあるファージ集団の同定)
組成XおよびZを有するAとBの2種の合金を調製する(図5)。これらの合金のサンプルを研磨し、眼に見えるスクラッチを除去し、窒素下に貯蔵する。pIIIまたはpVIIIコートタンパク質のどちらかでバリエーションを示すファージディスプレイライブラリーを、Zサンプルに曝す。約1時間後、サンプルを緩衝化食塩水で洗浄し、結合ファージをグリシンHClでサンプルから溶離する。
【0070】
回収したファージを、Xサンプルで約1時間培養する。未結合ファージを緩衝化食塩水で表面から洗浄し、回収し、増幅する。この集団をXサンプルで培養する。未結合ファージを回収し、Zサンプルで培養する。未結合ファージを洗浄剤で洗い流し、溶離したファージを再びサンプルXで培養する。未結合ファージをより高い、たとえば2倍濃度の洗浄剤で洗い流し、溶離されたファージを増幅する。増幅した集団をサンプルZで培養し、未結合ファージを回収する。回収したファージをサンプルXで培養し、溶離したファージを配列する。
【0071】
コートタンパク質の1つに融着するX選択性ペプチドを有するファージの集団を提供する。ファージに蛍光ラベルを付し、サンプルYで培養する。サンプルの蛍光顕微鏡検査を使用し、ファージがZ結晶粒に結合していることを確かめる。
【0072】
(実施例7−特定の組成の合金に対して選択性のあるファージ集団の同定)
実施例6で検討したXおよびYのサンプルを研磨し、湿潤雰囲気中で加熱して酸化を促進させる。実施例と同様にして生物選別を酸化サンプル上で行う。
【0073】
(実施例8−複合体中の層剥離領域に対して選択性のあるファージ集団の同定)
繊維強化複合体を提供し、該複合体の一部分を区分化あるいは破断し、マトリックスおよび強化部の両方を含む表面をさらす。また、マトリックス材料のサンプルを提供し、穏やかな洗浄剤で清浄化する。pIIIまたはpVIIIコートタンパク質のどちらかでバリエーションを示すファージディスプレイライブラリーを、複合体材料のサンプルに曝す。約1時間後、サンプルを緩衝化食塩水で洗浄し、結合ファージを0.2MグリシンHClでサンプルから溶離する。
【0074】
溶離したファージをマトリックス材料で約1時間培養し、その後サンプルを緩衝化食塩水で洗浄し、未結合ファージを回収し、増幅する。
【0075】
増幅したファージを複合体サンプルで約1時間培養する。該サンプルを緩衝化食塩水中の0.2%ツウィーン−20で洗浄する。ファージを、上記のように、グリシンHClを使用してウェハから溶離し、溶離したファージをマトリックス材料で培養する。未結合ファージを回収し、複合体サンプルで培養し、次いでこれをより高い濃度、たとえば0.4%のツウィーン−20で洗浄する。溶離したファージを配列し、強化材料に対して選択性のある配列を明らかにする。
【0076】
コートタンパク質の1つに融着する強化部選択性ペプチドを有するファージの集団を調製する。ファージを蛍光ラベル化し、複合体サンプルで培養する。サンプルの蛍光顕微鏡検査を用い、ファージが強化材料に結合することを確認する。
【0077】
(実施例9−鉄鋼サンプル上での腐食ピット検出)
クロミア、金属性鉄、または両方に関して、鉄酸化物に対して選択性のあるファージの集団を、蛍光ラベルでタグ化し、緩衝化食塩水に懸濁して、濃度を1012個のファージ/μLとする。評価すべき鉄鋼の一部分を洗浄剤および必要に応じてアセトン、ケロシン、トリフルオロエチレンのような溶剤で清浄化する。ファージ/緩衝液懸濁物を清浄化する表面に噴霧し、約1時間培養する。次いで、表面を穏やかなセッケンで洗浄し、蛍光画像を、金属中の腐食ピットに対応する表面上に結合ファージを配置するために使用する。
【0078】
(実施例10−ピンホール欠陥の修復)
ニッケルに関して、ポリスチレンに対し選択性のある配列を含むペプチドを、固相ペプチド合成技術を使用して調製し、アルカンチオールで官能化する。官能化したペプチドを、溶液中の40nm金ナノ粒子に接触するようにし、ペプチド−ナノ粒子集合体を回収する。集合体を緩衝化食塩水に懸濁し、ニッケルめっきポリスチレン表面上で約2時間培養し、次いで緩衝液ですすぐ。次いで、表面を、市販の無電解ニッケルめっき溶液で、製造者の指示に従って培養する。
【0079】
(参考文献)
【0080】
【数9】

【0081】
【数10】

本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮およびここに開示の発明の実施から当業者に明らかになるであろう。明細書および実施例は例示としてのみ考えられるものであり、本発明の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本発明を、いくつかの図面を参照して説明する。
【図1】特定の表面特徴部位に対して選択性のあるファージを同定するための例示的な生物選別プロトコルを図示する概略図。
【図2】図2Aは、Si上Ge表面に対して選択性のあるファージ用の生物選別によって同定された改変M13によって発現された2種のペプチド配列の概略図である。図2Bは、図2Aに図示された2種のペプチドのモンテカルロシミュレーションである。
【図3】図3Aは、Si上Ge基材に結合する野生型および3vM13ファージの蛍光度を示すグラフである。図3Bは、Si上Ge基材に結合する野生型および3vM13ファージの蛍光度を比較する、コントラストが強調された画像である。図3Cは、Ge基材およびSi上Ge基材から溶離されたM13−3vのファージ力価によって製造された2つのプレートの画像である。
【図4】図4は、Ge表面およびSi上Ge表面に関するXPSデータを示すグラフである。図4Bは、Ge表面およびSi上Ge表面のAFM画像を含む。図4Cは、Ge表面およびSi上Ge表面に関するXRDスペクトルを示すグラフ。図4Dは、EPD後のSi上Ge表面およびGe表面の写真を含む。
【図5】仮定的な金属合金に関する位相図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の表面被膜中の欠陥を修復する方法であって、
基材に対する親和性は発揮するが被膜に対する親和性はない部分を含む材料と;該被膜のための修復材料と、該部分および該修復材料を結合するテザーとを提供する工程と、
該修復材料を欠陥に送達するために、該材料を使用する工程と、
該修復材料を表面被膜に取り込む工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記基材が、金属、セラミック、ポリマーまたは半導体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記修復材料が、無電解めっき用の触媒であって、取り込む工程が、少なくとも前記欠陥を前記表面被膜材料でめっきすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記修復材料が、前記表面被膜のポリマー成分のオリゴマーであって、取り込む工程が、前記欠陥領域を加熱すること、該欠陥領域を架橋剤に曝すこと、あるいは両方を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記修復材料が、表面被膜の材料の粒子であり、取り込む工程が、前記欠陥領域をアニーリングすることを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記部分がペプチドである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記テザーが、ペプチド、ストレプトアビジンまたは核酸オリゴマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
1種以上のペプチドを含む組成物であって、該1種以上のペプチドは、実質的に同じ組成を有するが標的特徴部位を欠く材料に関し、所定の組成を有する材料の標的特徴部位に対して選択性である、組成物。
【請求項9】
前記材料が多結晶質であり、前記標的特徴部位が所定の配向を有する結晶粒である、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記材料が多結晶質であり、前記標的特徴部位が結晶粒界である、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
前記材料が結晶質であり、前記標的特徴部位が転位部である、請求項8記載の組成物。
【請求項12】
前記材料が合金または2種以上の金属またはセラミックの混合物であり、前記標的特徴部位が所定の平衡または非平衡組成を有する結晶粒である、請求項8記載の組成物。
【請求項13】
前記材料が半導体材料であり、前記標的特徴部位がドープ半導体材料である、請求項8記載の組成物。
【請求項14】
前記材料が、マトリックスおよび強化材料の複合体であり、前記標的特徴部位が該強化材料である、請求項8記載の組成物。
【請求項15】
前記材料が所定の組成を有する腐食スケールであり、前記標的特徴部位が異なる組成を有するスケールである、請求項8記載の組成物。
【請求項16】
前記材料が、必要に応じて不動態化された金属であり、前記標的特徴部位が腐食ピットである、請求項8記載の組成物。
【請求項17】
前記材料が基材上の被膜であり、前記標的特徴部位が該基材材料である、請求項8記載の組成物。
【請求項18】
1または複数のペプチドが、ウイルスの一部である、請求項8記載の組成物。
【請求項19】
前記ペプチドが、蛍光、放射性または磁性ラベルに結合する、請求項8記載の組成物。
【請求項20】
前記材料が単結晶ゲルマニウムであり、前記標的特徴部位が螺旋転移部であり、ペプチドが配列CTSPHTRAC(配列番号2)を有する、請求項8記載の組成物。
【請求項21】
サンプル上の標的特徴部位を検出する方法であって、
1種以上のペプチドを含む組成物であって、該1種以上のペプチドは、実質的に同じ組成を有するが標的特徴部位を欠く材料に関し、所定の組成を有する材料中の標的特性部位に対して選択性がある組成物を提供する工程と、
少なくとも、サンプル表面の一部分を調製する工程と、
ペプチドが該一部分に存在する場合、該ペプチドが標的特徴部位に結合する条件下で、組成物を該一部分上に配置する工程と、
結合ペプチドを残したまま、組成物を該一部から除去する工程と、
結合ペプチドを検出する工程と
を含む方法。
【請求項22】
前記材料が多結晶質であり、前記標的特徴部位が所定の配向を有する、結晶粒である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記材料が多結晶質であり、前記標的特徴部位が結晶粒界である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記材料が結晶質であり、前記標的特徴部位が転位部である、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記材料が、合金または2種以上の金属またはセラミックの混合物であり、前記標的特徴部位が、所定の平衡または非平衡組成を有する結晶粒である、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記材料が半導体材料であり、前記標的特徴部位がドープ半導体材料である、請求項21記載の方法。
【請求項27】
前記材料がマトリックスおよび強化材料の複合体であり、前記標的特徴部位が強化材料である、請求項21記載の方法。
【請求項28】
前記材料が所定の組成を有する腐食スケールであり、前記標的特徴部位が異なる組成を有するスケールである、請求項21記載の方法。
【請求項29】
前記材料が基材上の被膜であり、前記標的特徴部位が基材材料である、請求項21記載の方法。
【請求項30】
前記材料が、必要に応じて不動態化される金属であり、前記標的特徴部位が腐食ピットである、請求項21記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、キャリア溶剤中の溶液である、請求項21記載の方法。
【請求項32】
調整する工程が、洗浄剤での清浄化、溶剤での清浄化、エッチング加工、研磨および酸化物除去の1つ以上を含む、請求項21記載の方法
【請求項33】
配置する工程が、前記表面上に前記組成物の溶液を噴霧することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項34】
除去する工程が、前記一部分を溶剤ですすぐことを含む、請求項21記載の方法。
【請求項35】
前記溶剤が水性である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記溶剤が、さらに、洗浄剤、ウシの血清アルブミン、またはこれらの両方を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記1または複数のペプチドが、ウイルスの一部である、請求項21記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、ウイルスの懸濁物である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記懸濁物の濃度が、約10〜約l012個のウイルス/μLである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記ペプチドが、蛍光、放射性または磁性ラベルに結合する、請求項21記載の方法。
【請求項41】
検出する工程が、サンプルの写真を撮像すること、サンプルの磁場を測定すること、サンプルが放出する放射線を検出すること、およびサンプルからの蛍光を検出することの1つ以上を含む、請求項21記載の方法。
【請求項42】
前記材料が単結晶ゲルマニウムであり、前記標的特徴部位が螺旋転移部であり、前記ペプチドが配列CTSPHTRAC(配列番号2)を有する、請求項21記載の方法。
【請求項43】
表面の特徴部位の検出の用途のためのペプチド配列を同定する方法であって、該方法が、
A)ペプチドの第一選択物を提供する工程と、
B)少なくともペプチドの一部分が該表面に結合し得るように、該ペプチドの第一選択物を、第一表面特徴と第二表面特徴部の第一表面密度とを示す表面に曝す工程と、
C)該表面から結合ペプチドを回収する工程と、
D)少なくとも、第二選択物由来のペプチドの一部分が該表面に結合しないように、該結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの第二選択物を、第一表面特徴と、第一密度より小さい、第二表面特徴部の第二表面密度を示す表面に曝す工程と、
E)非結合ペプチドを回収する工程と、
を含む、方法。
【請求項44】
前記第一表面特徴部が第一配向を有する結晶質結晶粒であり、前記第二表面特徴部が第二配向を有する結晶質結晶粒である請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記第一表面特徴部が結晶質材料であり、前記第二表面特徴部が結晶粒界である、請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記第一表面特徴部が結晶質材料であり、前記第二表面特徴部が転位部である、請求項43記載の方法。
【請求項47】
前記第一表面特徴部が第一組成物であり、前記第二表面特徴部が第二組成物である、請求項43記載の方法。
【請求項48】
前記第一組成物および第二組成物が、少なくとも1個の共通元素を有する、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記第一組成物が半導体材料であり、前記第二組成物がドープ半導体材料である、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記第一組成物が複合体中のマトリックス材料であり、前記第二組成物が該複合体中の強化材料である、請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記材料が所定の組成を有する腐食スケールであり、前記標的特徴部位が異なる組成を有するスケールである、請求項43記載の方法。
【請求項52】
前記材料が必要に応じて不動態化された金属であり、前記標的特徴部位が腐食ピットである、請求項43記載の方法。
【請求項53】
前記第一表面特徴部が単結晶ゲルマニウムであり、前記第二表面特徴部が螺旋転移部であり、かつ前記ペプチドが配列CTSPHTRAC(配列番号2)を有する、請求項43記載の方法。
【請求項54】
さらに、
F)少なくとも、第三選択物由来のペプチドの一部分が前記表面に結合し得るように、非結合ペプチドと同じアミノ酸配列を有するペプチドの第三選択物を、第一および第二表面特徴を示す表面に曝す工程と、
G)結合ペプチドを回収する工程と、
を含む、請求項43記載の方法。
【請求項55】
工程Cで使用した溶媒が、工程Gで使用した溶媒と、成分の濃度、pHおよび成分の有無の1以上の項目において異なる、請求項54記載の方法。
【請求項56】
第二表面密度が約0である、請求項43記載の方法。
【請求項57】
さらに、結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物によって工程Bを繰り返すことを含む、請求項43記載の方法。
【請求項58】
結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物が、前記回収された結合ペプチドを含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
さらに、前記非結合ペプチド、前記ペプチドの第一選択物と同じ配列を有するペプチドの選択物を使用して、工程B〜Eを繰り返すことを含む、請求項43記載の方法。
【請求項60】
非結合ペプチドと同じ配列を有する前記ペプチドの選択物が、回収された非結合ペプチドを含む、請求項59記載の方法。
【請求項61】
工程Aが、ペプチドの第一選択物を含むファージディスプレイライブラリーを提供することを含む、請求項43記載の方法。
【請求項62】
前記ファージディスプレイライブラリーが、M13ファージのpIIIコートタンパク質またはpVIIIコートタンパク質中でバリエーションを示す、請求項61記載の方法。
【請求項63】
さらに、工程Cの後に前記結合ペプチドを増幅すること、工程Eの後に前記非結合ペプチドを増幅することを含む、請求項43記載の方法。
【請求項64】
前記ペプチドの第二選択物が、前記回収された結合ペプチドを含む、請求項43記載の方法。
【請求項65】
さらに、前記非結合ペプチドの、前記第一および第二表面特徴を示す表面との親和性と、該第一表面特徴は示すが該第二表面特徴は示さない表面との親和性とを比較することを含む、請求項43記載の方法。
【請求項66】
さらに、前記第一および第二表面特徴を示す表面の表面特徴と、該第一表面特徴は示すが該第二特徴は示さない表面の表面特徴とを比較することを含む、請求項43記載の方法。
【請求項67】
1種以上のペプチドを含む組成物であって、該ペプチドの配列を、
A)ペプチドの第一選択物を提供する工程と、
B)少なくとも該ペプチドの一部分が表面に結合し得るように、該ペプチドの第一選択物を、第一表面特徴と第二表面特徴部の第一表面密度とを示す表面に曝す工程と、
C)該表面から該結合ペプチドを回収する工程と、
D)少なくとも、第二選択部由来のペプチドの一部分が該表面に結合しないように該結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの第二選択物を、第一表面特徴と、第一密度より小さい、第二表面特徴部の第二表面密度を示す表面に曝す工程と、
E)非結合ペプチドを回収する工程と、
を含む方法によって選択する、組成物。
【請求項68】
前記方法が、さらに、
F)少なくとも、第三選択物由来のペプチドの一部分が前記表面に結合してもよいように、前記非結合ペプチドと同じアミノ酸配列を有するペプチドの第三選択物を、第一および第二表面特徴を示す表面に曝す工程と、
G)前記結合ペプチドを回収する工程と、
を含む、請求項67記載の組成物。
【請求項69】
前記第二表面密度が約0である、請求項67記載の組成物。
【請求項70】
前記方法が、さらに、前記結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物で工程Bを繰り返すことを含む、請求項67記載の組成物。
【請求項71】
前記結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物が、回収された結合ペプチドを含む、請求項70記載の組成物。
【請求項72】
前記方法が、さらに、前記非結合ペプチド、前記ペプチドの第一選択物と同じ配列を有するペプチドの選択物を使用して、工程B〜Eを繰り返すことを含む、請求項67記載の組成物。
【請求項73】
前記非結合ペプチドと同じ配列を有するペプチドの選択物が、回収された非結合ペプチドを含む、請求項72記載の組成物。
【請求項74】
工程Aが、前記ペプチドの第一選択物を含むファージディスプレイライブラリーを提供することを含む、請求項67記載の組成物。
【請求項75】
前記ファージディスプレイライブラリーが、M13ファージ中のpIIIコートタンパク質またはpVIIIコートタンパク質中でバリエーションを示す、請求項74記載の組成物。
【請求項76】
さらに、
F)前記非結合ペプチドの、前記第一および第二表面特徴の両方を示す表面への親和性と、該第一表面特徴は示すが該第二表面特徴を示さない表面への親和性とを比較することを含む、請求項67記載の組成物。
【請求項77】
さらに、
F)前記第一および第二表面特徴を示す表面の表面特徴と、該第一表面特徴は示すが該第二特徴は示さない表面の表面特徴とを比較することを含む、請求項67記載の組成物。
【請求項78】
前記方法が、さらに、工程Cの後に前記結合ペプチドを増幅すること、工程Eの後に前記非結合ペプチドを増幅すること、またはその両方を含む、請求項67記載の組成物。
【請求項79】
前記ペプチドの第二選択物が、前記回収された結合ペプチドを含む、請求項67記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−520189(P2008−520189A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538085(P2007−538085)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037975
【国際公開番号】WO2006/045071
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504348998)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (10)
【Fターム(参考)】