説明

結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩

改良型ATK阻害化合物、結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、改良型タンパク質キナーゼB(以下PKB/Akt、PKBまたはAKT)阻害化合物である、結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドの塩酸塩に関する。この化合物は、以下の構造Iにより表わされる:
【化1】

【0002】
本発明の化合物は、AKT活性の阻害剤としておよび、癌および関節炎の治療において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドの粉末X線回折(PXRD)パターンを表わす。
【図2】結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドの粉末X線回折(PXRD)パターンを表わす。
【図3】非晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドの粉末X線回折(PXRD)パターンを表わす。
【発明の具体的説明】
【0004】
N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドは、国際出願年月日を2008年2月7日とする国際出願PCT/US/第08/053269号明細書;国際公開日を2008年8月14日とする国際公開第08/098104号パンフレット(実施例96の化合物)において、特に癌および関節炎の治療においてACT活性の阻害剤として有用であるものとして、その薬学的に許容される塩と共に開示され請求されている化合物である。なおその開示全体は、参照により本明細書に組込まれている。国際出願PCT/US/第08/053269号明細書は、N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩の製造を開示している。ただし、国際出願PCT/US/第08/053269号明細書の実施例96中のプロセスにより製造された塩酸塩形態は非晶質である。
【0005】
現在、N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドの塩酸塩を結晶質形態で製造することができること、そして結晶質形態は、非晶質塩酸塩形態を含めた遊離酸およびその他の塩形態に比べて数多くの利点を有することが発見されている。N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩の結晶質形態は、薬学剤形特に錠剤の形に調合することが容易であり、改善された化学的安定性を有する。結晶質形態は、非吸湿性の無水形態であり、生体関連の媒質中で優れた溶解度を示す。非晶質形態は吸湿性である。
【0006】
遊離化合物は、特に癌および関節炎を治療する上でAKT活性の阻害剤としてきわめて有用であるが、N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドの塩酸塩の結晶質形態はさらに追加の利点を有する。
【0007】
本発明の化合物、結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩は(以下「活性成分」または「化合物A」)は、特に癌および関節炎の治療においてAKT活性の阻害剤として有用である。この活性成分は、国際出願PCT/US/第08/053269号明細書に記載されているものなど当業者が容易に理解できる技術にしたがって従来の薬学的に許容される担体または希釈剤と活性成分を組合せることによって製造される従来の剤形の形で投与可能である。
【0008】
適切には、本発は薬学的に許容される担体または希釈剤と会合させた状態で活性成分として結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩を含む医薬組成物をその範囲内に含んでいる。本発明の化合物Aは、経口、非経口、皮内または局所投与経路により投与することができる。本明細書で使用する非経口という用語は、静脈内、筋内、皮下、鼻腔内、直腸内、膣内そして腹腔内投与を含む。一般に経口投与が好ましい。化合物Aは、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒を含めた各投与経路にとって適切な剤形で調合可能である。このような固体剤形中では、活性化合物は一般に少なくとも1つの不活性希釈剤と混和されている。経口剤形は同様に通常の実践方法の通り、例えば潤滑剤、流動促進剤および酸化防止剤など、不活性希釈剤以外の追加の物質を含むこともできる。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形は同様に緩衝剤も含んでいてよい。錠剤および丸薬はさらに持続放出向けに製造可能である
【0009】
非経口投与向けの本発明係わる製造物は、無菌水溶液を含むが、エマルジョンの非水性懸濁液を利用することもできる。このような剤形は同様に、保存料、湿潤剤、浸透剤、緩衝剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含んでいてもよい。これらは、細菌保持フィルタを通した濾過、組成物中への滅菌剤の取込み、組成物の照射または組成物の加熱によって滅菌されてよい。
【0010】
上述の通りの薬学投薬単位内の本発明の活性成分の用量は、好ましくは全体重の1kgあたり0.001〜100mg、好ましくは0.001〜50mgの範囲から選択された有効な数量である。AKT阻害を必要とする、癌治療を必要とする、関節炎治療を必要とする、ヒト患者を治療する場合には、選択された用量は、好ましくは、経口または非経口で毎日1〜6回投与される。非経口投与の好ましい形態としては、局所、直腸、注射および連続輸液投与が含まれる。ヒトに投与するための経口投薬単位は好ましくは、0.05〜3,500mgの活性成分、最も好ましくは0.5〜1,000mgの活性成分を含む。比較的低い投薬量を使用する経口投与が好ましい。ただし、患者にとって安全かつ便利である場合には、高い投薬量での非経口投与を使用することができる。上述の投薬量は、遊離酸として表現される活性成分の好ましい量に関するものである。
【0011】
当業者であれば、活性成分の最適な数量および個々の投薬量の間隔が、処理対象の病態の性質および程度、投与形態、経路および部位、ならびに治療対象の特定の患者によって決定されること、そしてこのような最適値が従来の技術により決定可能であることを認識するものである。同様に、当業者であれば、最適な治療過程、すなわち定義された日数の間の一日あたりに投与される活性成分の用量数は、従来の治療過程決定試験を用いて当業者が確認できるということも認識するものである。
【0012】
一般的に言って、本発明の化合物は、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)などの適切な有機溶媒中に遊離塩基N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドを溶解させ、その後例えば42℃まで4時間加熱しながら、HCl、例えばジオキサン中4MのHClをこの溶液に加えることによって製造される。溶液は冷却され、本発明の化合物は濾過され乾燥、例えば真空中で乾燥または高温で空気乾燥される。
【0013】
有機溶媒は、Aldrich Chemical Company、Milwaukee、Wisconsinから入手可能である。
【0014】
本発明の薬学的に活性な化合物は阻害剤またはAKTとして活性であることから、癌および関節炎の治療において治療的有用性を示す。
【0015】
適切には、本発明は、脳(神経膠腫)、膠芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット−デュクロ病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頚部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺と;リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病と;悪性リンパ腫、ホジキンズリンパ腫、非ホジキンズリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫と;神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、口腔癌、口の癌、GIST(消化管間質腫瘍)および精巣癌と、から選択される癌を治療するかまたはその重篤度を軽減する方法。
【0016】
PCT/US/第2008/053269号明細書中に開示されているように、PCT/US/第2008/053269号明細書中の通りに製造した本発明の化合物は、一般にPCT/US/第2008/053269号明細書中で開示されているAKT酵素検定にしたがって活性についてテストされ、少なくとも1つの実験試行において、全長AKT1に対して9.0に等しく、全長AKT2に対して8.0に等しく、全長AKT3に対して8.8に等しいpIC50値を示した。
【0017】
本明細書中で使用される「治療(用)(treating))」という用語およびその派生語は、治療的療法を意味する。例えば対象が癌を発症するリスクが高いとみなされている場合、または対象が発癌性物質に曝露されている場合、予防的療法が適切である。
【0018】
本明細書中で使用される「有効量」という用語およびその派生語は、例えば研究者または臨床医により求められている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する薬物または医薬製剤の量を意味する。さらに「治療上有効な量」という用語およびその派生語は、このような量を受けなかった対応する対象に比べた場合に、疾病、障害または副作用の治療、治癒、予防または軽快の改善または疾病または傷害の進行速度の遅延を結果としてもたらすあらゆる量を意味する。この用語は同様にその範囲内に、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量をも含んでいる。
【0019】
本明細書中で使用される「同時投与(用)(co−administering)」という用語は、化学療法および放射線治療を含めた癌の治療において有用であるかまたは関節炎の治療において有用であることが公知である、化合物Aおよび1つのさらなる活性成分または複数の成分の同時投与または任意の逐次的投与方法のいずれかを意味している。本明細書中で使用されるさらなる1つまたは複数の成分という用語には、癌または関節炎の治療を必要とする患者に対して投与された場合に有利な特性を示すことが公知であるまたは示すあらゆる化合物または薬剤が含まれる。好ましくは、投与が同時でない場合、化合物は、時間的に互いに近接させて投与される。さらに、化合物が同じ剤形で投与されるか否かは問題ではなく、例えば1つの化合物を局所投与し、別の化合部を経口投与してよい。
【0020】
典型的には、治療中の感受性腫瘍に対する活性を有するあらゆる抗新生物剤を、本発明における癌治療において同時投与してよい。このような作用物質の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T. Devita and S.Hellman(編集人)、6th edition(February 15、2001)、Lippincott Williams & Wilkins Publishers中で見出すことができる。当業者であれば、関与する薬物および癌の詳細な特徴に基づいて、作用物質のどの組み合わせ物が有用であるかを見極めることができると考えられる。本発明において有用である典型的な抗新生物剤としては、抗微小管剤例えばジテルペノイド類およびビンカアルカロイド類;白金配位錯体;アルキル化剤例えばナイトロジェンマスタード類、オキサザホスホリン類、アルキルスルホネート類、ニトロソウレア類およびトリアゼン類;抗生物質製剤例えばアントラサイクリン類、アクチノマイシン類およびブレオマイシン類;トポイソメラーゼII阻害剤、例えばエピポドフィロトキシン類;代謝拮抗物質、例えばプリンおよびピリミジン類似体および抗葉酸化合物;トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン類;ホルモンおよびホルモン類似体;シグナル伝達経路阻害剤;非受容体チロシンキナーゼ血管形成阻害剤;免疫治療剤;プロアポトーシス剤;および細胞周期シグナル伝達阻害剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0021】
本発明の化合物Aと組合せて使用するためのまたはそれと同時投与されるさらなる1つの活性成分または複数の活性成分(抗新生物剤)の例としては、化学療法剤がある。
【0022】
抗微小管剤または抗分裂剤は、細胞周期のM期または有糸分裂期の間の腫瘍細胞の微小管に対抗する周期特異的作用物質である。抗微小管剤の例としては、ジテルペノイド類およびビンカアルカロイド類が含まれるがこれらに限定されない。
【0023】
天然の供給源に由来するジテルペノイド類は、細胞周期のG2/M期において作用する周期特異的抗癌剤である。ジテルペノイド類は微小管のβ−チューブリンサブユニットを、このタンパク質との統合によって安定化させると考えられている。このときタンパク質の分解は、有糸分裂が停止され細胞死が続くことに伴って阻害されるように思われる。ジテルペノイド類の例としてはパクリタキセルおよびその類似体ドセタキセルが含まれるがこれらに限定されない。
【0024】
パクリタキセル、すなわち(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンを伴う5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタクサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾエート13のエステルは、タイヘイヨウイチイの木、Taxus brevifoliaから単離された天然ジテルペン生成物であり、注射剤TAXOL(登録商標)として市販されている。それは、テルペン類のタキサンファミリーの成員である。それは1971年にWani、et.al.により初めて単離され(J.Am.Chem.Soc.、93:2325.1971)、彼らは、化学的方法およびX線結晶学的方法によりその構造を特徴づけした。その活性についての1つの機序は、チューブリンを統合して癌細胞の成長を阻害するパクリタキセルの能力に関係する。Schiff et al.、Proc.Natl、Acad、Sci.USA、77:1561−1565(1980);Schiff et al.、Nature、277:665−667(1979);Kumar、J.Biol、Chem、256:10435−10441(1981)。一部のパクリタキセル誘導体の合成および抗癌活性の精査については、D.G.I.Kingston et al.、Studies in Organic Chemistry vol.26、表題「New trends in Natural Products Chemistry 1986」、Attaur−Rahman、P.W.Le Quesne、Eds.(Elsevier、Amsterdam、1986)pp219−235を参照のこと。
【0025】
パクリタキセルは、米国における難治性卵巣癌の治療(Markman et al.、Yale Journal of Biology and Medicine、64:583、1991;McGuire et al.、Ann.lntem、Med.、111:273,1989)において、および乳癌の治療(Holmes et al.、J.Nat.Cancer Inst.、83:1797、1991)用としての臨床使用が承認されている。それは、皮膚内の新生物(Einzig et.al.、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.、20:46)および頭頚部癌(Forastire et.al.、Sem.Oncol.、20:56、1990)の治療のための潜在的候補である。この化合物は同様に、多発的嚢胞腎(Woo et.al.、Nature、368:750.1994)、肺癌およびマラリアの治療のための潜在性も示す。パクリタキセルによる患者の治療は、閾値濃度(50nM)を超える投薬時間に関係して骨髄抑制(多細胞系統、Ignoff、R.J.et.al、Cancer Chemotherapy Pocket Guide、1998)を起こす結果となる(Kearns、C.M.et.al.、Seminars in Oncology、3(6)p.16−23、1995)。
【0026】
ドセタキセル、5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタクサ−11−エン−9−オン4−アセテート2−ベンゾエート三水和物を伴う(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン、N−tert−ブチルエステル、13−エステルは、TAXOTERE(登録商標)として注射剤の形で市販されている。ドセタキセルは、乳癌治療を適応症とする。ドセタキセルは、ヨーロッパイチイの木の針葉から抽出した天然の前駆物質10−デアセチル−バカチンIIIを用いて製造されたパクリタキセルq.v.(前項参照)の半合成誘導体である。ドセタキセルの用量制限毒性は好中球減少である。
【0027】
ビンカアルカロイド類は、ツルニチソウ植物に由来する周期特異的抗新生物剤である。ビンカアルカロイド類は、チューブリンに特異的に統合することにより、細胞周期のM期(有糸分裂)において作用する。そのため、結合したチューブリン分子は、微小管内へ重合できない。有糸分裂は、中期で停止されると細胞死に至ると考えられている。ビンカアルカロイド類の例としては、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが含まれるがこれらに限定されない。
【0028】
ビンブラスチン、すなわち硫酸ビンカロイコブラスチンは、注射剤の形でVELBAN(登録商標)として市販されている。それは、さまざまな中実性腫瘍の二次治療としての可能性を有する適応症を有するものの、その主要な適応症は、精巣癌およびホジキン病;およびリンパ球性および組織球性リンパ腫を含めたさまざまなリンパ腫の治療にある。ビンブラスチンの容量制限副作用は骨髄抑制である。
【0029】
ビンクリスチン、すなわちビンカロイコブラスチン−22−オキソ−スルフェートは、注射剤の形でON−COVIN(登録商標)として市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療を適応症としており、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫の治療計画においても使用される。脱毛症および神経学的作用は、ビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、それより程度は低いが骨髄抑制および胃腸粘膜炎という作用も発生する。
【0030】
酒石酸ビノレルビンの注射剤(NAVELBINE(登録商標))として市販されているビノレルビン、すなわち3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−(R*,R*)−2,3−ジヒドロキシブタンジオエート(1:2)(塩)]は、半合成ビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、単剤としてまたはシスプラチンなどのその他の化学療法薬と組合せた形でさまざまな中実性腫瘍、詳細には非小細胞肺癌、進行乳癌およびホルモン抵抗性前立腺癌の治療を適応症とする。骨髄抑制が、ビノレルビンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0031】
白金配位錯体は、DNAと相互作用する周期非特異的抗癌剤である。白金錯体は、腫瘍細胞内に進入し、アクア化され、DNAとストランド内およびストランド間架橋を形成して、腫瘍に対して不利な生物学的効果をひき起こす。白金配位錯体の例としては、シスプラチンおよびカルボプラチンが含まれるがこれらに限定されない。
【0032】
シスプラチン、すなわちシスジアミンジクロロプラチナムは、注射剤の形でLATINOL(登録商標)として市販されている。シスプラチンの主要な適応症は、転移性精巣癌および卵巣癌および進行膀胱癌である。シスプラチンの主要な用量制限副作用は、水分負荷と利尿により制御可能な腎臓毒性および中毒性難聴である。
【0033】
カルボプラチン、すなわち白金、ジアミン[1,1−シクロブタン−ジカルボキシレート(2−)−O,O’]は、注射剤の形でPARAPLATIN(登録商標)として市販されている。カルボプラチンの主要な適応症は、進行卵巣癌の一次および二次治療である。骨髄抑制がカルボプラチンの用量制限毒性である。
【0034】
アルキル化剤は、周期非特異的抗癌剤であり、強い求電子性を有する。典型的に、アルキル化剤は、アルキル化により、ホスフェート、アミノ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボキシルおよびイミダゾール基などのDNA分子の求核部分を通してDNAに対する共有結合を形成する。このようなアルキル化は、核酸の機能を妨害し、細胞死を導く。アルキル化剤の例としては、ナイトロジェンマスタード類、例えばシクロホスファミド、メルファランおよびクロラムブシル;アルキルスルホネート類、例えばブスルファン;ニトロソウレア類、例えばカルムスチン;ならびにトリアゼン類、例えばダカルバジンが含まれるがこれらに限定されない。
【0035】
シクロホスファミド、すなわち2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン2−オキシド一水和物は、CYTOXAN(登録商標)として注射剤または錠剤の形で市販されている。シクロホスファミドは、単剤としてかまたはその他の化学療法薬と組合せた形で、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病の治療をその適応症とする。脱毛症、悪心、嘔吐および白血球減少症が、シクロホスファミドの最も一般的な用量制限副作用である。
【0036】
メルファラン、すなわち4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、ALKERAN(登録商標)として注射剤または錠剤の形で市販されている。メルファランの適応症は、多発性骨髄腫および切除不能な卵巣上皮癌の緩和治療である。骨髄抑制がメルファランの最も一般的な用量制限副作用である。
【0037】
クロラムブシル、すなわち4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN(登録商標)錠剤として市販されている。クロラムブシルの適応症は、慢性リンパ性白血病および悪性リンパ腫例えばリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫およびホジキン病の緩和治療である。骨髄抑制がクロラムブシルの最も一般的な用量制限副作用である。
【0038】
ブスルファン、すなわち1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートは、MYLERAN(登録商標)TABLETSとして市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の緩和治療を適応症とする。骨髄抑制が、ブスルファンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0039】
カルムスチン、すなわち1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレアは、BiCNU(登録商標)として、凍結乾燥材料の単一バイアルの形で市販されている。カルムスチンの適応症は、脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫に対する単剤としてまたはその他の作用物質と組合せた形での緩和治療である。遅発性骨髄抑制がカルムスチンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0040】
ダカルバジン、すなわち5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、DTIC−Dome(登録商標)として材料の単一バイアルの形で市販されている。ダカルバジンの適応症は、転移性悪性黒色腫の治療そしてその他の作用物質と組合せた形でホジキン病の二次治療である。悪心、嘔吐および拒食症がダカルバジンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0041】
抗生物質抗新生物剤は、DNAと結合またはインターカレートする周期非特異的作用物質である。典型的に、このような作用は、結果として安定してDNA錯体または鎖切断をもたらし、これが核酸の通常の機能を妨害して細胞死を導く。抗生物質抗新生物剤としてはアクチノマイシン類、例えばダクチノマイシン、アントラサイクリン類、例えばダウノルビシンおよびドキソルビシンおよびブレオマイシン類が含まれるがこれらに限定されない。
【0042】
アクチノマイシンDとしても公知であるダクチノマイシンは、COSMEGEN(登録商標)として注射剤形態で市販されている。ダクチノマイシンは、ウィルムス腫瘍および横紋筋肉腫の治療をその適応症としている。悪心、嘔吐および拒食症がダクチノマイシンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0043】
ダウノルビシン、すなわち(8S−シス−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、DAUNOXOME(登録商標)としてリポソーム注射剤形態で、またはCERUBIDINE(登録商標)として注射剤の形で市販されている。ダウノマイシンの適応症は、急性非リンパ性白血病および進行HIV関連カポジ肉腫の治療における寛解導入である。骨髄抑制がダウノルビシンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0044】
ドキソルビシン、すなわち(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル、7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、RUBEX(登録商標)またはADRIAMYCIN RDF(登録商標)として注射剤形態で市販されている。ドキソルビシンは、急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄芽球性白血病の治療を主たる適応症としているが、一部の中実性腫瘍およびリンパ腫の治療においても有用な構成成分である。骨髄抑制が、ドキソルビシンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0045】
ブレオマイシンは、Streptomyces verticillus菌株から単離された細胞毒性糖ペプチド抗生物質の混合物である、BLENOXANE(登録商標)として市販されている。ブレオマイシンは、単剤としてまたは他の作用物質と組合せた形で、扁平上皮細胞癌、リンパ腫および精巣癌の緩和治療を適応症としている。肺毒性および皮膚毒性がブレオマイシンの最も一般的な用量制限副作用である。
【0046】
トポイソメラーゼII阻害剤にはエピポドフィロトキシン類が含まれるがこれに限定されない。
【0047】
エピポドフィロトキシン類は、マンドレーク植物に由来する周期特異的抗新生物剤である。エピポドフィロトキシン類は典型的に、トポイソメラーゼIIとDNAの3元錯体を形成してDNA鎖切断を引き起こすことにより、細胞周期のSおよびG2期にある細胞に影響を及ぼす。鎖切断は蓄積し、細胞死がそれに続く。エピポドフィロトキシン類の例としてはエトポシドおよびテニポシドが含まれるがこれらに限定されない。
【0048】
エトポシド、すなわち4’−ジメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射剤またはカプセルの形でVePESID(登録商標)として市販されており、一般にVP−16として公知である。エトポシドは、単剤としてかまたは他の化学療法剤と組合せた形で、精巣癌および小細胞肺癌の治療を適応症とする。骨髄抑制がエトポシドの最も一般的な副作用である。白血球減少症の発生率が血小板減少症よりも深刻である傾向にある。
【0049】
テニポシド、すなわち4’−ジメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−チエニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、VUMON(登録商標)として注射剤の形で市販されており、一般にVM−26として公知である。テニポシドは、単剤としてまたは他の化学療法剤と組合せた形で小児における急性白血病の治療を適応症とする。骨髄抑制が、テニポシドの最も一般的な用量制限副作用である。テニポシドは、白血球減少症および血小板減少症の両方を誘発し得る。
【0050】
代謝拮抗新生物試薬は、DNA合成を阻害するかまたはプリンまたはピリミジン塩基合成を阻害しかくしてDNA合成を制限することにより、細胞周期のS期(DNA合成)において作用する周期特異的抗新生物剤である。その結果、S期は進展せず、細胞死がこれに続く。代謝拮抗抗新生物剤の例としてはフルオロウラシル、メトトレキセート、シタラビン、メカプトプリン、チオグアニンおよびゲムシタビンが含まれるがこれらに限定されない。
【0051】
5−フルオロフラシル、すなわち5−フルオロ−2,4−(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロフラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルの投与は、チミジレート合成の阻害を導き、同様にRNAおよびDNAの両方の中に取込まれる。結果は典型的に細胞死である。5−フルオロウラシルは、単剤としてまたは他の化学療法剤と組合せた形で、乳癌、結腸癌、直腸癌、胃癌および膵臓癌の治療を適応症とする。骨髄抑制および粘膜炎が、5−フルオロウラシルの用量制限副作用である。他のフルオロピリミジン類似体としては5−フルオロデオキシウリジン(フロクスウリジン)および5−フルオロデオキシウリジンモノホスフェートが含まれる。
【0052】
シタラビン、すなわち4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYUTOSAR−U(登録商標)として市販されており、一般にAra−Cとして公知である。シタラビンは、成長するDNA鎖内へのシタラビンの末端取込みによりDNA鎖の伸長を阻害することによって、S−期において細胞分裂周期特異性を示すと考えられている。シタラビンは、単剤としてまたは他の化学療法剤と組合せた形で、急性白血病の治療を適応症とする。他のシチジン類似体には、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)が含まれる。シタラビンは、白血球減少症、血小板減少症および粘膜炎を誘発する。
【0053】
メルカプトプリン、すなわち1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOL(登録商標)として市販されている。メルカプトプリンは、目下未特定の機序によりDNA合成を阻害することで、S期における細胞分裂周期特異性を示す。メルカプトプリンは、単剤としてまたは他の化学療法剤と組合せた形で、急性白血病の治療を適応症とする。骨髄抑制および胃腸粘膜液が、高用量でのメルカプトプリンに予想される副作用である。有用なメルカプトプリン類似体はアザチオプリンである。
【0054】
チオグアニン、すなわち2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOID(登録商標)として市販されている。チオグアニンは、目下未特定の機序によりDNA合成を阻害することで、S期における細胞分裂周期特異性を示す。チオグアニンは、単剤としてまたは他の化学療法剤と組合せた形で、急性白血病の治療を適応症とする。白血球減少症、血小板減少症および貧血症を含めた骨髄抑制が、チオグアニン投与の最も一般的な用量制限副作用である。しかしながら、胃腸副作用が発生して用量を制限する可能性がある。その他のプリン類似体としてはペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、フルダラビンホスフェートおよびクラドリビンが含まれる。
【0055】
ゲムシタビン、すなわち2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジンモノ塩酸塩(β−異性体)は、GEMZAR(登録商標)として市販されている。ゲムシタビンは、G1/S境界を通る細胞の進行を遮断することにより、S期において細胞分裂周期特異性を示す。ゲムシタビンは、シスプラチンと組合せた形で局所進行非小細胞肺癌の治療を適応症とし、単独で局所進行膵臓癌の治療を適応症とする。白血球減少症、血小板減少症および貧血症を含めた骨髄抑制が、ゲムシタビン投与の最も一般的な用量制限副作用である。
【0056】
メトトレキセート、すなわちN−[4[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキセートナトリウムとして市販されている。メトトレキセートは、プリンヌクレオチドおよびチミジレートの合成のために必要とされるジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害を通してDNA合成、修正および/または複製を阻害することによってS期において特異的に細胞分裂期効果を示す。メトトレキセートは、単剤としてまたは他の化学療法剤と組合せた形で、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、および乳癌、頭部癌、頚部癌、卵巣癌および膀胱癌の治療を適応症とする。骨髄抑制(白血球減少症、血小板減少症および貧血症)および粘膜炎が、メトトレキセート投与に予想される副作用である。
【0057】
カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体を含めたカンプトテシンが、トポイソメラーゼI阻害剤として入手可能であるかまたは開発中である。カンプトテシン細胞毒性活性は、そのトポイソメラーゼI阻害活性と関係すると考えられている。カンプトテシンの例としては、イリノテカン、トポテカンおよび以下で記述する7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンのさまざまな光学形態が含まれるがこれらに限定されない。
【0058】
イリノテカンHCl、すなわち(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン塩酸塩は、注射剤CAMPTOSAR(登録商標)として市販されている。
【0059】
イリノテカンは、その活性代謝産物SN−38と共にトポイソメラーゼI−DNA錯体に結合するカンプトテシンの誘導体である。細胞毒性は、トポイソメラーゼI:DNA:イリノテカンまたは複製酵素とのSN−38三元錯体の相互作用によって引き起こされる修復不能な二重鎖切断の結果として発生すると考えられている。イリノテカンは、結腸または直腸の転移性癌の治療を適応症とする。イリノテカンの用量制限副作用は、好中球減少症を含めた骨髄抑制、および下痢を含めた胃腸(GI)影響である。
【0060】
トポテカンHCl、すなわち(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオンモノ塩酸塩は、注射剤HYCAMTIN(登録商標)として市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA錯体に統合し、DNA分子の捩れ歪に応答してトポイソメラーゼIにより引き起こされる一本鎖切断の再連結を妨げるカンプトテシンの誘導体である。トポテカンは、卵巣癌および小細胞肺癌の転位性癌の二次治療を適応症とする。トポテカンHClの用量制限副作用は、骨髄抑制、主として好中球減少症である。
【0061】
同様に有利であるのは、“7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R,S)−カンプトテシン(ラセミ混合物)または“7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R)−カンプトテシン(R光学異性体)または“7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(S)−カンプトテシン(S光学異性体)という化学名で公知の、ラセミ混合物(R,S)形態ならびにRおよびS光学異性体を含めた、
【化2】

という構造式Aを有する現在開発中のカンプトテシン誘導体である。このような化合物ならびに関連する化合物は、米国特許公開第6,063,923;5,342,947;5,559,235;5,491,237号明細書および1997年11月24日出願の継続中の米国特許出願第08/977,217号明細書中に、製造方法を含めて記載されている。
【0062】
ホルモンおよびホルモン類似体は、1つまたは複数のホルモンと癌の成長および/または成長の欠如の間に或る関係が存在する癌の治療にとって有用な化合物である。癌治療において有用なホルモンおよびホルモン類似体の例としては、悪性リンパ腫および小児における急性白血病の治療に有用であるプレドニゾンおよびプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド;副腎皮質癌およびエストロゲン受容体を含むホルモン依存性乳癌の治療において有用である、アナストロゾール、レトラゾール、バラゾールおよびエクセメスタンなどのアミノグルテチミドおよびその他のアロマターゼ阻害剤;ホルモン依存性乳癌および子宮内膜癌の治療において有用である酢酸メゲストロールなどのプロゲステリン;前立腺癌および良性前立腺肥大の治療において有用である、エストロゲン、アンドロゲンおよび抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロンおよび5α−レダクターゼ、例えばフィナステリドおよびデュタステリド;ホルモン依存性乳癌およびその他の感受性癌において有用である抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェンならびに選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMS)、例えば米国特許公開第5,681,835、5,877,219および6,207,716号明細書中に記載されているもの;および例えばLHRHアゴニストおよびアンタゴニスト、例えば酢酸ゴセレリンおよびロイプロリドなどの、前立腺癌の治療のための黄体化ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激するゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)およびその類似体、が含まれるがこれらに限定されない。
【0063】
シグナル伝達経路阻害剤は、細胞内変化を引き起こす化学的プロセスを遮断または阻害する阻害剤である。本明細書中で使用されるこの変化は細胞増殖または分化である。本発明において有用であるシグナル伝達阻害剤としては、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメインブロッカー、セリン/トレオニンキナーゼ、ホスホチジルイノシトール−3キナーゼ、ミオイノシトールシグナル伝達およびRas癌遺伝子の阻害剤が含まれる。
【0064】
いくつかのタンパク質チロシンキナーゼが、細胞成長の調節に関与するさまざまなタンパク質中の特異的チロシル残基のリン酸化反応の触媒として作用する。このようなタンパク質キナーゼは、受容体または非受容体キナーゼとして広く分類することができる。
【0065】
受容体チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメインおよびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは、細胞成長の調節に関与し、一般に増殖因子受容体と呼ばれる。これらのキナーゼの多くの不適切なまたは無制御の活性化、すなわち例えば過剰発現または変異による異常なキナーゼ増殖因子受容体活性は、無制御の細胞成長を結果としてもたらすことが示されてきた。したがって、このようなキナーゼの異常な活性は、悪性組織成長に結びつけられてきた。したがって、このようなキナーゼの阻害剤は、癌の治療方法を提供できると考えられる。増殖因子受容体としては、例えば上皮増殖因子受容体(EGFr)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、血管内皮増殖因子受容体(VEGFr)、免疫グロブリン様および上皮増殖因子相同性ドメインを伴うチロシンキナーゼ(TIE−2)、インシュリン増殖因子−1(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkBおよびTrkC)、エフリン(eph)受容体、およびRET癌原遺伝子が含まれる。成長受容体のいくつかの阻害剤が開発中であり、これには、リガンドアンタゴニスト、抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。増殖因子受容体およびその機能を阻害する作用物質ついては、例えばKath、John C.、Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6):803−818;Shawver et al DDT Vol2、No.2 February 1997;およびLofts、F.J.et al、“Growth factor receptors as targets”、New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy、ed. Workman、Paul and Kerr、David、CRC press 1994、Londonに記載されている。
【0066】
増殖因子受容体キナーゼではないチロシンキナーゼは、非受容体チロシンキナーゼと呼ばれる。抗癌剤の標的または潜在的標的である、本発明おいて使用するための非受容体チロシンキナーゼとしては、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(焦点接着キナーゼ)、ブルートンチロシンキナーゼおよびBcr−Ablが含まれる。このような非受容体キナーゼおよびその機能を阻害する作用物質については、Sinh、S.and Corey、S.J.、(1999)Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research 8(5):465−80;およびBolen、J.B.、Brugge、J.S.、(1997)Annual review of Immunology.15:371−404に記載されている。
【0067】
SH2/SH3ドメインブロッカーは、PI3−Kp85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)およびRas−GAPを含むさまざまな酵素またはアダプタータンパク質内のSH2またはSH3ドメイン結合を分断する作用物質である。抗癌剤のための標的としてのSH2/SH3ドメインについては、Smithgall、T.E.(1995)、Journal of Pharmacological and Toxicological Methods.34(3) 125−32中で論述されている。
【0068】
セリン/トレオニン/キナーゼの阻害剤には、Rafキナーゼ(rafk)、マイトジェンまたは細胞外調節キナーゼ(MEK)および細胞外調節キナーゼ(ERK)のブロッカーを含むMAPキナーゼカスケードブロッカー;およびPKC(アルファ、ベータ、ガンマ、イプシロン、ミュー、ラムダ、イオタ、ゼータ)、IkBキナーゼファミリー(Ikka、Ikkb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリー成員、およびTGFベータ受容体キナーゼのブロッカーを含むタンパク質キナーゼCファミリー成員ブロッカーが含まれる。このようなセリン/トレオニンキナーゼおよびその阻害剤はYamamoto、T.、Taya、S.、Kaibuchi、K.、(1999)、Journal of Biochemistry.126(5)799−803;Brodt、P、Samani、A.、およびNavab、R.(2000)、Biochemical Pharmacology、60.1101−1107;Massague、J.、Weis−Garcia、F.(1996)Cancer Surveys.27:41−64;Philip、P.A.、and Harris、A.L.(1995)、Cancer Treatment and Research.78:3−27;Lackey、K.et al、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、(10)、2000、223−226;米国特許第6,268,391号明細書;およびMartinez−Iacaci、L.、et al、Int.J.Cancer(2000)、88(1)、44−52中に記載されている。
【0069】
P13−キナーゼ、ATM、DNA−PKおよびKuのブロッカーを含むホスホチジルイノシトール3キナーゼファミリー成員の阻害剤も同様に、本発明において有用であるかもしれない。このようなキナーゼについては、Abraham、R.T.(1996)、Current Opinion in Immunology.8(3)412−8;Canman、C.E.、Lim、D.S.(1998)、Oncogene 17(25)3301−3308;Jackson、S.P.(1997)、International Journal of Biochemistry and Cell Biology.29(7):935−8;およびZhong、H.et al、Cancer res、(2000)60(6)、1541−1545中で論述されている。
【0070】
本発明において同様に有利であるのは、ミオイノシトールシグナル伝達阻害剤、例えばホスホリパーゼCブロッカーおよびミオイノシトール類似体である。このようなシグナル阻害剤についてはPowis、G.、and Kozikowski A.、(1994)New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed.、Paul Workman and David Kerr、CRC press 1994、London中に記載されている。
【0071】
シグナル伝達経路阻害剤の別の群は、Ras癌遺伝子の阻害剤である。このような阻害剤としては、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼおよびCAAXプロテアーゼならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムおよび免疫療法の阻害剤が含まれる。このような阻害剤は、野生型変異体rasを含む細胞中でras活性化を遮断し、こうして抗増殖剤として作用することが示されている。Ras癌遺伝子阻害については、Scharovsky、O.G.、Rozados、V.R.、Gervasoni、S.I.Matar、P.(2000)、Journal of Biomedical Science.7(4)292−8;Ashby、M.N.(1998)、Current Opinion in Lipidology.9(2)99−102;およびBioChim.Biophys.Acta、(19899)1423(3):19−30中で論述されている。
【0072】
以上で言及した通り、受容体キナーゼリガンド結合に対する抗体アンタゴニストも同様にシグナル伝達阻害剤として役立つ。このシグナル伝達経路阻害剤群には、受容体チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインに対するヒト化抗体の使用が含まれる。例えばImcloneC225EGRF特異的抗体(Green、M.C.et al、Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors、Cancer Treat.Rev.、(2000)、26(4)、269−286を参照のこと);Herceptin(登録商標)erbB2抗体(Tyrosine Kinase Signalling in Breast cancer:erbB Family Receotor Tyrosine Kinases、Breast Cancer Res.、2000、2(3)、176−183を参照のこと);そして2CB VEGFR2特異的抗体(Brekken、R.A.et al、Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti−VEGF antibody blocks tumor growth in mice、Cancer Res.(2000)60、5117−5124を参照のこと)。
【0073】
非受容体チロシンキナーゼ血管形成阻害剤も同様に、本発明において有用である。血管形成関連VEGFRおよびTIE2の阻害剤は、シグナル伝達阻害剤に関して以上で論述されている(両方の受容体共、受容体チロシンキナーゼである)。erbB2およびEGRFの阻害剤は血管形成、主としてVEGE発現を阻害することが示されていることから、血管形成は一般にerbB2/EGFRシグナル伝達に結びつけられる。したがって、本発明の化合物と組合せた形で非受容体チロシンキナーゼ阻害剤を使用してよい。例えば、VEGFR(受容体チロシンキナーゼ)を認識しないもののリガンドに結合する抗VEGF抗体;血管形成を阻害するインテグリン(alpha beta)の小分子阻害剤;エンドスタチンおよびアンジオスタチン(非−RTK)も同様に、開示された化合物と組合せた形で有用であることが判明するかもしれない。(Bruns CJ et al (2000)、Cancer Res.、60:2926−2935;Schreiber AB、Winkler ME、and Derynck R.(1986)、Science、232:1250−1253;Yen L et al.(2000)、Oncogene 19:3460−3469
を参照のこと)。
【0074】
免疫療法投薬計画で使用される作用物質も本発明において有用であるかもしれない。免疫応答を生成するための免疫学的戦略が数多く存在する。これらの戦略は一般に、腫瘍ワクチン接種の分野に入る。免疫学的アプローチの有効性は、小分子阻害剤を用いたシグナル伝達経路の組合せ型阻害を通して大幅に増強されるかもしれない。erbB2/EGFRに対する免疫学/腫瘍ワクチンアプローチについての論述は、Reilly RT et al.(2000)、Cancer Res.60:3569−3576;およびChen Y、Hu D、Eling DJ、Robbins J、and Kipps TJ.(1998)、Cancer Res.58:1965−1971内に見出される。
【0075】
プロアポトーシス投薬計画で使用される作用物質(例えばbcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド)も同様に、本発明の組合せにおいて使用してよい。タンパク質のBcl−2ファミリーの成員はアポトーシスを遮断する。したがってbcl−2のアップレギュレーションが化学療法剤耐性に関連あるとされてきた。研究によって、上皮増殖因子(EGF)がbcl−2ファミリー(すなわちmcl−1)の抗アポトーシス製品(すなわちmcl−1)を刺激することが示されてきた。したがって、腫瘍内のbcl−2の発現をダウンレギュレートするように設計された戦略、すなわちジエンタのG3139bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチドが、臨床的メリットを実証しており、現在第2/3相試験中である。bcl−2のためにアンチセンスオリゴヌクレオチド戦略を用いるこのようなプロアポトーシス戦略についてはWater JS et al.(2000)、J.Clin.Oncol.18:1812−1823;およびKitada S et al.(1994)、Antisense Res.Dev.4:71−79中で論述されている。
【0076】
細胞周期シグナル伝達阻害剤は、細胞周期の制御に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるタンパク質キナーゼのファミリーおよびサイクリンと称されるタンパク質のファミリーとそれらの相互作用が、真菌細胞周期を通した進行を制御する。細胞周期を通しての正常な進行には、異なるサイクリン/CDK錯体の配位活性化および不活性化が必要である。細胞周期シグナル伝達のいくつかの阻害剤が開発中である。例えば、CDK2、CDK4およびCDK6を含めたサイクリン依存性キナーゼおよびそれらのための阻害剤については、例えばRosania et al、Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(2):215−230に記載されている。
【0077】
一実施形態において、請求対象の発明の癌治療方法には、化合物Aと少なくとも1つの抗新生物剤、例えば抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質製剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似体、シグナル伝達経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ血管形成阻害剤、免疫療法剤、プロアポトーシス剤および細胞周期シグナル伝達阻害剤からなる群から選択されたものとの同時投与ステップが含まれている。
【0078】
本発明の化合物Aは、それを必要としている哺乳動物、詳細にはヒトの癌および関節炎の治療においてAKT阻害剤として有用である。
【0079】
ヒトを含めた哺乳動物において癌および関節炎を治療する本発明の方法は、このような治療を必要とする対象に対して治療上有効な量の本発明の化合物を投与するステップを含む。
【0080】
本発明は同様に、療法内で使用するための薬剤の製造における化合物Aの使用をも提供している。
【0081】
本発明は同様に、AKT阻害剤として使用するための薬剤の製造における化合物Aの使用をも提供している。
【0082】
本発明は同様に、癌を治療する上で使用するための薬剤の製造における化合物Aの使用をも提供している。
【0083】
本発明は同様に、関節炎を治療する上で使用するための薬剤の製造における化合物Aの使用をも提供している。
【0084】
本発明は同様に、化合物Aと薬学的に許容される担体とを含む癌の治療において使用するための医薬組成物をも提供している。
【0085】
本発明は同様に、化合物Aと薬学的に許容される担体とを含む関節炎の治療において使用するための医薬組成物をも提供している。
【0086】
以下の実施例はさらに本発明を例証している。これらの実施例は、以上で定義され以下で請求されている通りの本発明の範囲を限定するように意図されていない。
【実施例】
【0087】
実施例1
結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩の製造
【化3】

非晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド遊離塩基を、国際出願PCT/US/第08/053269号明細書に記載されている通りに製造する。1mLのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)を、50.8mgの非晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド遊離塩基の入ったバイアルに添加する。大部分の固体が溶解した。反応混合物にHCl酸(1当量、1,4−ジオキサン中4MのHCl29.7mL)を添加した後、白色固体材料が室温で急速に析出した。反応混合物のアリコートを偏光顕微鏡法(PLM)により分析し、固体は非晶質であることがわかった。その後、磁気撹拌しながらスラリーを40℃まで加熱して大部分の固体材料を溶解させた。40℃で一晩、薄いスラリーを撹拌し、その後40℃から25℃まで冷却した。薄い白色スラリーが形成した。反応混合物のアリコートを偏光顕微鏡法(PLM)により分析し、固体は結晶質であることがわかった。白色固体を真空濾過により収集し、その後一晩50℃で乾燥させた。生成物は、図1に示されている粉末X線回折(PXRD)パターンにより、結晶質固体であると判定された。
【0088】
計器:リガクMiniflexII、Serial DD02652
【0089】
主要運転パラメータ:
方法の標準的試行
以下のパラメータを用いて試料を走査する:
走査範囲:2〜40度2シータ
発生部出力:30kV、15mA
放射線源:CuK Alpha
走査モード:FT
計数時間:1.0秒
ステップ幅:1ステップあたり0.020度2シータ
走査サイズ:2シータ/シータ
入射ビーム光学系:発散角±2.5°のソーラースリット、1.25度の発散スリット、0.3mmのRecSlit、1.25度の散乱防止スリット
回折ビーム光学系:固定スリット(MiniflexII)、±2.5°のソーラースリット
検出器タイプ:リガクMiniFlexII SC(シンチレーター計器管)
【0090】
試料を、バックグラウンドゼロの試料ホルダー(刻み目100μm)内に詰め、ガラススライドを用いて穏やかに平坦化する。
【0091】
実施例2
結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩の製造
213.9mgのN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド非晶質遊離塩基(0.500mMol)に対して5mLのMTBEを添加した。1時間、磁気撹拌しながら混合物を40℃まで加熱した。1,4−ジオキサン中の4MのHCl溶液(1当量:125.1μL)を4つの等分量で添加した。第1の分量(0.25当量)を添加した後、混合物を42℃まで加熱し、1mLのアセトニトリルを添加して固体材料を全て溶解させた。残りのHCl溶液を添加した後、幾分かの固体材料が出現した。スラリーを42℃で4時間撹拌し、その後35℃、30℃および25℃に90分間づつ保持しながら、ゆっくりと一晩22℃まで冷却した。白色固体材料を濾過し、50℃で一晩、緩慢な窒素ブリードと共に真空下で乾燥させた。収量は、HCl塩73.6%(0.3685mmol;170.90mg)であった。固体は、イオンクロマトグラフィにより1:1の化学量論的HCl塩であること、図2に示されている粉末X線回折ピークで特徴づけされるとおりに結晶質であること、そして211℃の融点を有することが発見された。
【0092】
RXRDピーク(値は度2シータで表わされ、d間隔がカッコ内に示されている):
7.2(12.20) 14.4(6.16) 17.9(4.94) 18.5(4.79) 20.8(4.26)
21.5(4.12) 22.4(3.96) 22.9(3.88) 23.7(3.75) 24.5(3.63)
24.7(3.61) 25.1(4.12) 25.7(3.46) 27.3(3.26) 28.2(3.16)
28.8(3.10) 30.4(2.94) 32.4(2.76) 32.7(2.73) 35.2(2.55)
36.1(2.48) 40.0(2.25) 41.3(2.18) 41.7(2.16)
【0093】
計器:X’Celerator検出器を用いる、Johaonsson Kα1モノクロメータを伴うPANalytical X’Pert−ProMPD
【0094】
主要運転パラメータ:
放射線:Cu(Kα1)、1.540598オングストローム(単色)
検出器:X’Celerator
電圧:45kV
電流:40mA
開始角度:2.0°2θ
終了角度:52.0°2θ
ステップサイズ:0.02°
時間/ステップ:40.0秒
走査速度:0.05°/秒
入射ビーム:2°の固定散乱防止スリット、およびプログラマブル発散スリット、
回折ビーム:0.02ラドのソーラースリット、およびプログラマブル散乱防止スリット、
試料は、シリコンのバックグランドゼロ試料ホルダー上で製造。
【0095】
実施例3
非晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩の製造
遊離塩基化合物N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドは、ジオキサン中の4MのHClで処理され、5分後に溶液を濃縮させ真空下で乾燥させてN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩を提供することを一般的に述べている、2008年2月7日を国際出願日とし、国際公開番号がWO/2008/098104号であり、2008年8月14日を国際公開日とする国際出願PCT/US/第2008/053269号の実施例96に記載されている通りに一般的に製造されたN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドの塩酸塩は、図3で示された粉末X線回折(PXRD)パターンにより表わされるような非晶質固体を生成した。
【0096】
計器:リガクMiniflexII、Serial DD02652
【0097】
主要運転パラメータ:
方法の標準的試行
以下のパラメータを用いて試料を走査する:
走査範囲:2〜40度2シータ
発生部出力:30kV,15mA
放射線源:CuK Alpha
走査モード:FT
計数時間:1.0秒
ステップ幅:1ステップあたり0.020度2シータ
走査サイズ:2シータ/シータ
入射ビーム光学系:発散角±2.5°のソーラースリット、1.25度の発散スリット、0.3mmのRecSlit、1.25度の散乱防止スリット
回折ビーム光学系:固定スリット(MiniflexII)、±2.5°のソーラースリット
検出器タイプ:リガクMiniFlexII SC(シンチレーター計器管)
【0098】
試料をガラス製試料ホルダー内に詰め、ガラススライドを用いて穏やかに平坦化する。
【0099】
実施例4
錠剤組成物
ラクトース、微晶質セルロース、グリコール酸ナトリウムデンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩を下表1に示された割合でブレンドする。このブレンドを次に錠剤の形に圧縮する。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例5
注射用非経口組成物
1.0mlの生理食塩水中に5.0mgの結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩を撹拌することにより活性成分を投与するため注射剤形態を生成する。
【0102】
実施例6
吸湿性
結晶質
一般に実施例1にしたがって作製し、PXRDにより結晶質であることが確認された結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩を以下の方法を用いてVTI計器SGAを使用して試験した。
試料の製造:
溶媒:水
乾燥温度(℃):乾燥なし
実験温度(℃):25
最大平衡時間(分):240
平衡基準(wt%):10分で0.0025
データロギング間隔(分):2または0.01wt%
【0103】
使用された相対湿度ステップ数は24であった。各ステップでの相対湿度は以下の通りである:
1−40;2−50;3−60;4−70;5−80;6−90;7−80;8−70;9−60;10−50;11−40;12−30;13−20;14−10;15−5;16−10;17−20;18−30;19−40;20−50;21−60;22−70;23−80;および24−90。
【0104】
化合物の重量増加は、水分1%w/w未満であり、これは、化合物の吸湿性レベルが低いことを表していた。
【0105】
非晶質
別の日の別個の実験において、以下の方法を用いて計器SGA100を使用して、(PXRDにより非晶質であることが確認された)非晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩を試験した。
試料の製造:
溶媒:水
乾燥温度(℃):60
加熱速度(℃/分):1
最大乾燥時間(分):120
実験温度(℃):25
最大平衡時間(分):300
平衡基準(wt%):10分で0.0025
データロギング間隔(分):2または0.01wt%
【0106】
使用された相対湿度ステップ数は19であった。各ステップでの相対湿度は以下の通りである:
1−0;2−10;3−20;4−30;5−40;6−50;7−60;8−70;9−80;10−90;11−80;12−70;13−60;14−50;15−40;16−30;17−20;18−10;および19−0。
【0107】
化合物の重量増加は、水分18%w/w超であり、これは、化合物の吸湿性レベルが高いことを表していた。
【0108】
本発明の好ましい実施形態が以上で例証されているが、本発明は本明細書で開示されている明確な指示に限定されるものではないこと、そして、以下のクレームの範囲内に入るあらゆる修正を行う権利が留保されていることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩。
【請求項2】
結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項3】
薬学的に許容される担体および有効量の請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物を製造するための方法であって、請求項1に記載の化合物を薬学的に許容される担体と会合させるステップを含んでなる、方法。
【請求項4】
それを必要としている哺乳動物において、癌および関節炎から選択される疾病または病態を治療するか、またはその重篤度を軽減する方法であって、このような哺乳動物に対して治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含んでなる、方法。
【請求項5】
哺乳動物がヒトである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が、脳(神経膠腫)、膠芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット−デュクロ病、乳房、結腸、頭頚部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫および甲状腺から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
癌および関節炎から選択される疾病または病態を治療するか、またはその重篤度を軽減する上で使用するための薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項8】
それを必要としている哺乳動物におけるAkt活性を阻害する方法であって、このような哺乳動物に対して治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含んでなる、方法。
【請求項9】
哺乳動物がヒトである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
それを必要としている哺乳動物における癌を治療する方法であって、このような哺乳動物に対して、治療上有効な量の、
a) 請求項1に記載の化合物;および
b) 少なくとも1つの抗新生物剤
を投与するステップを含んでなる、方法。
【請求項11】
少なくとも1つの抗新生物剤が、抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質製剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似体、シグナル伝達経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ血管形成阻害剤、免疫治療剤、プロアポトーシス剤および細胞周期シグナル伝達阻害剤から本質的になる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの抗新生物剤が、ジテルペノイド類およびビンカアルカロイド類から選択される抗微小管剤である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの抗新生物剤がジテルペノイドである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの抗新生物剤がビンカアルカロイドである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの抗新生物剤が白金配位錯体である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの抗新生物剤がパクリタキセル、カルボプラチンまたはビノレルビンである、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの抗新生物剤がパクリタキセルである、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの抗新生物剤がカルボプラチンである、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの抗新生物剤がビノレルビンである、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの抗新生物剤がシグナル伝達経路阻害剤である、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
シグナル伝達経路阻害剤が、VEGFR2、TIE2、PDGFR、BTK、IGFR−1、TrkA、TrkB、TrkCおよびc−fmsからなる群から選択される増殖因子受容体キナーゼの阻害剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
シグナル伝達経路阻害剤が、rafk、aktおよびPKC−ゼータからなる群から選択されるセリン/トレオニンキナーゼの阻害剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
シグナル伝達経路阻害剤が、キナーゼのsrcファミリーから選択されるセリン/トレオニンキナーゼの阻害剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
シグナル伝達経路阻害剤が、c−srcの阻害剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
シグナル伝達経路阻害剤が、ファルネシルトランスフェラーゼおよびゲラニルゲラニルトランスフェラーゼの阻害剤から選択されるRas癌遺伝子の阻害剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
シグナル伝達経路阻害剤が、P13Kからなる群から選択されるセリン/トレオニンキナーゼの阻害剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの抗新生物剤が細胞周期シグナル伝達阻害剤である、請求項10に記載の方法。
【請求項28】
細胞周期シグナル伝達阻害剤が、CDK2、CDK4およびCDK6の群の阻害剤から選択されるものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
療法において使用するための、請求項10に記載されている医薬組み合わせ物。
【請求項30】
癌の治療において有用な薬剤の製造のための、請求項10に記載されている医薬組み合わせ物の使用。
【請求項31】
前記癌が、
脳(神経膠腫)、膠芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット−デュクロ病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頚部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺;
リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病;
悪性リンパ腫、ホジキンズリンパ腫、非ホジキンズリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫;
神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、口腔癌、口の癌、GIST(消化管間質腫瘍)および精巣癌、
から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項32】
それを必要としている哺乳動物における癌を治療するか、またはその重篤度を軽減するための方法であって、このような哺乳動物に対して、治療上有効な量の結晶質形態のN−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩を投与するステップを含んでなる、方法。
【請求項33】
哺乳動物がヒトである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
化合物が経口投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項35】
化合物が非経口投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項36】
それを必要としている哺乳動物における癌を治療するか、またはその重篤度を軽減するための方法であって、このような哺乳動物に対して治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与するステップを含んでなる、方法。
【請求項37】
哺乳動物がヒトである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
化合物が経口投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
化合物が非経口投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記癌が、
脳(神経膠腫)、膠芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット−デュクロ病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頚部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺;
リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病;
悪性リンパ腫、ホジキンズリンパ腫、非ホジキンズリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫;
神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、口腔癌、口の癌、GIST(消化管間質腫瘍)および精巣癌、
から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
CuKα放射線を用いた粉末X線ディフラクトグラム中で14.4°±0.3°および32.4°±0.3°に特徴的回折ピークを有する、請求項1に記載の結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩。
【請求項42】
請求項41に記載されている特徴的回折ピークを有し、かつ、CuKα放射線を用いた粉末X線ディフラクトグラム中で25.1°±0.3°および25.7°±0.3°に特徴的回折ピークを有する、結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩。
【請求項43】
請求項42に記載されている特徴的回折ピークを有し、かつ、CuKα放射線を用いた粉末X線ディフラクトグラム中で21.5°±0.3°および20.8°±0.3°に特徴的回折ピークを有する、結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩。
【請求項44】
請求項41に記載されている特徴的回折ピークを有する結晶質N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド塩酸塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項45】
それを必要としている哺乳動物における癌を治療するか、またはその重篤度を軽減するための方法であって、このような哺乳動物に対して治療上有効な量の請求項44に記載の組成物を投与するステップを含んでなる、方法。
【請求項46】
哺乳動物がヒトである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
化合物が経口投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
化合物が非経口投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記癌が、
脳(神経膠腫)、膠芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット−デュクロ病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頚部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺;
リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病;
悪性リンパ腫、ホジキンズリンパ腫、非ホジキンズリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫;
神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、口腔癌、口の癌、GIST(消化管間質腫瘍)および精巣癌
から選択される、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−516344(P2012−516344A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548275(P2011−548275)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/022323
【国際公開番号】WO2010/088331
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】