説明

結核の診断のための核酸標的としてのRD9およびIS6110の使用、ならびにマルチプレックス−コンプライアントIS6110およびRD9標的の提供

【課題】結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出のための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの他方の前記MtbCのその他の株からの特異的で高感度な識別のための、核酸標的としてのRD9およびIS6110の双方の使用を提供する。
【解決手段】結核のin vitro診断のための使用であり、IS6110標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブ、およびRD9標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブの使用に関し、前記MtbC検出および前記種識別は、単一の増幅工程(マルチプレックスPCR)にて行うことができる。本発明による手段は、結核の診断のための有利な手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は結核、特に結核の診断に関する。本発明の手段は、結核の診断のための核酸標的としてRD9およびIS6110の両者を使用する。本発明は、特に、マイコバクテリウム種間の識別を可能とする。このことは正確な診断を可能とし、それによって適切な治療の選択のための有利な手段を提供する。
【0002】
[発明の概要]
本発明は結核、特に結核の診断に関する。本発明の手段は、結核の診断のための核酸標的としてRD9およびIS6110の両者を使用する。本発明は、それゆえ、結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex)(MtbC)に属する、マイコバクテリウムの検出に特に適した手段を提供する。本発明の手段は、更に、一方のM.ツベルクロシス(M.tuberculosis)およびM.カネッティ(canetti)の、他方のMtbCのその他の株(例えばM.ボビス(bovis))からの識別を可能とする。
【0003】
有利な特徴によると、本発明は、マルチプレックス−コンプライアント(multiplex−compliant)RD9およびIS6110標的を提供し、それは特にマルチプレックスPCRの実行に適しており、そのため前記MtbC検出および前記種識別は単一の増幅行程で達成できる。マルチプレックスPCRの実施態様によれば、本発明の手段は、好都合に、マルチプレックスにおける異なる2つの核酸標的、すなわちRD9標的およびIS6110標的の増幅を可能とする。本発明の手段により、MtbCに属すマイコバクテリウムの検出、および一方のMtbCのその他の株からの、他方のM.ツベルクロシスおよびM.カネッティの識別のために、わずか1度の単一の増幅工程が要求される。本発明の手段は、また、高速で信頼できる性能という長所を有する:患者のサンプルの採取の日と同日に、結果が利用可能となる。それらは、更に、特異的で、感度が高く、および信頼性が高い。
【背景技術】
【0004】
世界保健機構は、世界の人口の1/3が結核菌に感染していると見積もっており、結核菌に感染する(しかし、HIVには感染していない)人々の5−10%は、彼らの人生においてしばしば病気なり、又は感染症になると評価している。2003年において1,750,000人の死者が結核を原因としていると推定している。HIVおよび結核菌は、更に、互いに他方の進行を加速させ、致死的な組み合わせを形成する。
【0005】
抗結核薬に対して天然で抵抗性を有する菌株が、調査を受けたあらゆる国で記録された。例えば、M.ボビスは、ピラジダミド(pyrazidamide)に天然で抵抗性を有する。さらに、主要な抗結核剤に対して抵抗性を獲得した結核菌の菌株が、医療に対する不整合な、不完全な又は不規則な適合を主な原因として出現した。特に危険な薬剤耐性結核の形態は多剤耐性結核であり、これは、少なくとも最も強力な抗結核剤の2つである、イソニアジドおよびリファンピシンに対して耐性を示す結核菌によって生じる疾病として定義される。多剤耐性結核の割合は、一部の国、特に旧ソビエト連邦で高く、結核予防の努力を脅かす。
【0006】
哺乳類(人間および/または動物)で結核を起こす細菌は、結核菌群(MtbC)として知られるものに分類されるマイコバクテリウムである。結核菌群は、特に以下のマイコバクテリウムを含む:マイコバクテリウム・アフリカナム(africanum)、マイコバクテリウム・ボビス(弱毒化M.ボビスBCG−カルメット−ゲラン杆菌(Bacillus Calmette−Guerin)−を含む)、マイコバクテリウム・カネッティ、マイコバクテリウム・カプラエ(caprae)、マイコバクテリウム・ミクロチ(microti)、マイコバクテリウム・ピンニペディ(pinnipedii)、マイコバクテリウム・ツベルクロシス。
【0007】
結核菌群に分類されるマイコバクテリウムは、ヌクレオチドレベルで99.9%の相同性を有し、同一の16SrRNA配列を有することで特徴付けられる。
【0008】
それらのハウスキーピング遺伝子の保存性は非常に高度であるにもかかわらず、結核菌群のマイコバクテリウムは、宿主の向性、表現型および病原性に関して幅広く異なっている。一部はもっぱらヒトの病原体となり(M.ツベルクロシス、M.アフリカナム、M.カネッティ)、一部はもっぱら齧歯目の病原体となり(M.ミクロチ)、一方でその他は幅広い宿主の範囲を有することができる(M.ボビス、M.カプラエ)。M.ボビスおよびM.カプラエは、人間に加えて、牛またはヤギといった広範囲にわたる家畜または野生動物においても疾病を生じさせ得る。M.ミクロチは、ハタネズミのような小さい齧歯動物に感染し、より最近ではヒトにも感染することが報告された(Niemann et al., 2000 Emerg. Infect. Dis. 6: 539−542; Kubica et al., 2003, J. Clin. Microbiol. 41 3070−3077.)。M.ピンニペディは、アザラシ(seal)にする天然の宿主であると思われるが、この生物はまた、モルモット、ウサギ、ヒト、ブラジルバク(タピラス・テレストリス(Tapirus terrestris))およびおそらく、牛の病原体となる(Cousin et al., 2003, Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 53, 1305−1314)。
【0009】
2から12.7kbのサイズにわたる14の差異領域(Fourteen Regions of Difference)が同定されており、これは、M.ボビスBCGには無いが、M.ツベルクロシスH37Rvゲノムには存在する。それらは、RD1からRD14と呼ばれる(Gordon et al. 1999, Mol. Microbiol. 32, 643−655; Behr et al. 1999, Science 284, 1520−1523参照)。本願で使用するRD命名法は、Broschらのそれである(Brosch et al. 2000, Molecular Genetics of Mycobacteria, eds. Hatfull, G.F., & Jacobs, W.R., Jr. (Am. Soc. Microbiol., Washington, DC), pp. 19−36)。前記14のBCGH37RvRD領域のうちの10は、結核菌群のその他のメンバーに関して、結核菌株の中で非常に保存されている。(RD1、RD2、RD4、RD7、RD8、RD9、RD10、RD12、RD13、RD14; Brosch et al. 2002, PNAS USA, 99(6), 3684−3689)。
【0010】
結核菌群のその他のメンバーと比較して、M.ツベルクロシスH37Rvのゲノムには無い6つの領域が記述された:
−5つのH37Rv関連欠失(RvD1からRvD5と称される)および
−M.ツベルクロシス特異的欠失1(TbD1)として知られる領域
(Gordon et al. 1999, Mol. Microbiol. 32, 643−655; Brosch et al. 1999, Infect. Immun. 67, 5768−5774)。
【0011】
TbD1は、特に、ほとんどすべてのM.ツベルクロシス菌株のmmpL6遺伝子から欠く2,153bp領域として最初に同定された(Brosch et al. 2002, PNAS USA 99:3684−3689)。TbD1領域の有無に基づいて、M.ツベルクロシス菌株は、「先祖(ancestral)」および「現代(modern)」型にそれぞれ分けることができる。大きな流行の原因となる北京、ハールレムおよびアフリカの菌株は、現代型である(Kremer et al. 1999, J. Clin. Microbiol. 37, 2607−2618; Brosch et al. 2002, PNAS USA, 99(6), 3684−3689)。
【0012】
結核の臨床徴候および症状は、それ自身でおよびそれ自身の信頼できる結核の診断を構成するのに十分特異的ではない。
【0013】
診断は、従って、生体試料のマイコバクテリウム分析を通して実行され、MtbCに属すマイコバクテリウムの有無の検出を意味する。
【0014】
様々な生物学的および分子的なマイコバクテリウムの特徴は、MtbC分離株を同定するために利用された。
【0015】
増殖、表現型および生化学的特性に基づく一連の古典的試験は、MtbCのメンバーを区別するために伝統的に使用されてきた(Haas et al. 1997, J. Clin. Microbiol. 35, 663−666; Niemann et al. 2000, J. Clin. Microbiol. 38, 3231−3234)。しかしながら、これらの試験は、遅く、厄介で、不正確で、非再現性で、および時間がかかり得る。それらは更に、あらゆる場合に明白な結果をもたらすわけではなく、それゆえ結核の診断のための手段としての使用を妨げる。
【0016】
結核診断のための現在の検出手段は、特に以下を含む:
−顕微鏡観察(直接観察および/または細胞染色)、
−細胞培養、
−Gen−Probe(登録商標)キット。
【0017】
マイコバクテリウムは、非運動性の多形性の杆菌である。M.ボビスのコロニーは滑らかで劣性(すなわち小さいコロニー)であり、一方でM.ツベルクロシスコロニーは粗く優性である(すなわち大きいコロニー)。細菌コロニーの直接の観察は、しかしながらあまり特異的でない。また、それは非常に感度が高いわけでもない。というのは、サンプルが比較的高い濃度のマイコバクテリウム細胞(>10/mL)を含むためである。
【0018】
マイコバクテリウム属に属す生物は、ミコール酸を含み高い脂質含有量を有する独特の細胞外被を持つ。細胞が疎水性であり、1つにまとまる傾向があるため、それらは通常の染料(例えばグラム染色)を通さない。それらは、その脂質に富んだ細胞外被のために「抗酸性細菌」として知られ、色素がフェノールと組み合わされていない限り、さまざまな塩基性色素に対して比較的不浸透性である。一旦染色されると、細胞は、酸性化有機溶媒による脱色に対して抵抗性をもつため「抗酸性」と言われる。現在、2種類の抗酸性染色が、臨床的マイコバクテリウム研究において行われている。1のタイプはカルボールフクシン(チール−ネールセン[ZN]またはキニョウン(Kinyoun)法であり、その他は蛍光色素(オーラミンまたはオーラミン−ローダミン)である。特徴として、それらは、それらは、酸およびアルコールによる連続的なまたは併用的な処理の後、フクシンまたはオーラミン染色を保持する。抗酸性の顕微鏡観察の特異性がマイコバクテリウム種にとって優れているにも関わらず、感度は最適でない。顕微鏡観察の感度は、多数の因子に影響を受ける。例えば、疾病の罹患率および重症度、試料のタイプ、試料収集の品質、試料に存在するマイコバクテリウムの数、処理の方法(直接か濃縮されたか)、遠心分離の方法、染色技術、および試験の品質に影響を受ける。少なくとも100(低所得国において)および好ましくは300(先進工業国において)の顕微鏡浸漬視野(microscopic immersion view fields)(または等価蛍光視野(equivalent fluorescent view fields))の試験の後にのみ、陰性の結果が報告されることが推奨される。従って、顕微鏡観察が正しく行われるとき、それは時間を要し面倒と成り得る。疲労による偽陰性もまた、感度の低下に寄与する可能性がある。
【0019】
マイコバクテリウムは、増殖の遅い細菌であり、通常の世代時間は12〜18時間である。コロニーは、通常3から10週のインキュベーション時間後に初めて確認できるようになる。低濃度でマイコバクテリウム細胞を含むサンプルは、更に、幾度かの継代培養を必要とする。特異的な培地におけるマイコバクテリウム培養は、生体試料に含まれる特定のマイコバクテリウム種の同定を可能とする技術である。しかしながら、それは、特に感染工程の開始時にある患者では、時間を要す。
【0020】
核酸ハイブリダイゼーション試験は、生体試料中のマイコバクテリウムを検出するために開発された。最初の試験は、直接のプローブハイブリダイゼーションを利用した。しかしながら、患者から採取した試料に含まれるマイコバクテリウム細胞の濃度は、通常、陽性のハイブリダイゼーションシグナルを与えるにはあまりに低い。従って、PCR増幅を利用する試験が開発された。「増幅マイコバクテリウム・ツベルクロシス直接試験(Amplified(商標) Mycobacterium tuberculosis direct test)」キットとして商品化されたGen−Probe(登録商標)キット、またはMTDキット(Gen−Probe Inc., San Diego, California 92121, USA)は、MtbC特異的なrRNAの増幅(転写媒介増幅(Transcription−Mediated Amplification))、その後のGen−Probe HPA法によるアンプリコン検出(ハイブリダイゼーションプロテクションアッセイ)を利用した。MTD試験が陽性の場合、試料がMtbCのマイコバクテリウムを含むことを示す。しかしながら、阻害の問題のために、および不十分な感度のために、MTD試験が陰性となっても、試料からMtbC生物体が単離される可能性を除外できない。MTD試験は、更に、様々なマイコバクテリウム種間での識別を行わない;それは、とりわけ、M.ボビスとM.ツベルクロシスとを識別しない。
【0021】
BCG接種を受けたそれらの人々がM.ボビス陽性である(例えば、彼らの尿試料は、M.ボビス陽性である)という事実のために、結核の診断は更に難しくなる。それ故、結核キャリアでないものの、M.ボビス陽性となる場合がありうる。このような状況のもと、それは生体試料が、M.ボビスでなく、とりわけM.ツベルクロシスであるMtbCマイコバクテリウムを含むかどうかの検出は、第1に重要である。
【0022】
それ故、哺乳類から、とりわけ人間からから採取した試料に適用でき、M.ツベルクロシスをその他の主なMtbC菌株から、とりわけM.ボビスから識別することができる診断手段の必要性が存在する。迅速で信頼できるMtbC+診断試験、および、好ましくは生体試料がM.ボビスでないMtbCに属すマイコバクテリウムを含む(MtbC+Mb−)疑いがあるかどうかの迅速で信頼できる診断、最も好ましくは生体試料がM.ツベルクロシス細胞を含む(Mt+)疑いがあるか、またはそれがM.ツベルクロシス細胞を含まない(Mt−)かどうかの迅速で信頼できる診断の必要がある。本発明は、そのような試験および手段を提供する。本発明の手段は、特に増幅に適しており、特にPCR増幅に適し、有利な特徴としてはマルチプレックスPCRに適している。本発明のマルチプレックスPCRの実施態様によれば、2つの異なる核酸標的は、マルチプレックスで、すなわち単一の増幅行程で増幅することができる:1つの標的はIS6110内で適切に選択され、その他の標的はRD9内で適切に選択される。
【0023】
IS6110およびRD9は当該分野の当業者に既知である。IS6110配列は、パスツール研究所(INSTITUT PASTEUR)の名において、EP 0 490 951 B1 (US 5,597,911; US 5,807,672; US 5,837,455) および EP 0 461 045 B1 (US 5,776,693)に記載されている。M.ツベルクロシスH37RvのIS6110配列(IS6110参照配列)は、アクセス番号X17348 M29899で利用できる。RD9配列は、例えば、パスツール研究所の名においてWO 00/55632に記載されている(EP 1 161 562 A1;および対応する米国特許出願)。M.ツベルクロシスH37RvのRD9配列(IS6110参照配列)は、cobL、Rv2073c、Rv2074およびRv2075c配列を含む。M.ツベルクロシスH37RvのRD9配列は、M.ツベルクロシスH37Rvゲノムの位置250,271から位置254,176に及ぶ配列に相当し、これはアクセス番号BX842578(M.ツベルクロシスH37Rvゲノムのセグメント7/13)として利用できる。
【0024】
出願人の知る限りでは、先行技術は、しかしながら、IS6110の検出とRD9の検出とを組み合わせることを示唆しない;先行技術は、マルチプレックスPCRによるIS6110およびRD9の検出に適した手段を開示しない;および、先行技術は、本発明によってマルチプレックス−コンプライアント標的として選択されるIS6110およびRD9サブ配列(例えば、本発明による配列番号2および配列番号8)を開示しない。
【0025】
本発明の手段は、特に、単一の増幅行程における非常に詳細で正確なマイコバクテリウムの情報の供給に適している。本発明は、それにより、結核の診断のための、高速で、信頼でき、特異的で、および高感度な手段を提供する。診断は、このように高速で正確なものとすることができ、このことは患者にとって直接の利点である。本発明の手段は、また、特定の医学的治療が感染症に対する何れかの効果を有す可能性があるか、または有しているかを評価する手段として使用することができる。それらが、M.ツベルクロシスをその他の主要なMtbC菌株から識別するため、とりわけM.ツベルクロシスをM.ボビスから識別するため、本発明の手段は、更に、抗結核薬剤に対する耐性を十分に考慮に入れ、およびそれにより不適当な治療の適用を回避することを可能とする。それらは、更に、耐性バチルスの結果的な発生を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、M.ツベルクロシスH37RVのRD9のサブ配列(1464ヌクレオチドの配列Rv2075c;配列番号19)、および、太字にて本発明による配列番号7(Rv2075c内の位置351−600)を示す。本発明の配列番号8のRD9標的配列(Rv2075c内の位置390−561)は、太字および下線にて示される。
【図2】図2は、M.ツベルクロシスH37RVのIS6110配列(1360ヌクレオチド;配列番号20)を示す。本発明によりIS6110内で選択される配列番号1のサブ配列(位置361−600)、は太字で表す。本発明による配列番号2のIS6110標的配列(位置372−572)は、太字および下線で示す。
【発明の詳細な説明】
【0027】
本願において、マイコバクテリウム・アフリカナム、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・カネッティ、マイコバクテリウム・カプラエ、マイコバクテリウム・ミクロチ、マイコバクテリウム・ピンニペディ、およびマイコバクテリウム・ツベルクロシスのそれぞれは、学名の観点において異なる種を構成すると理解される。M.ボビスは、M.ボビス並びにM.ボビス由来の弱毒化M.ボビスBCG(例えばM.ボビス パスツール、またはM.ボビス トーキョー)を含む。当該分野において広範囲な文献から示されるように、前記種のそれぞれは当業者に既知である(例えば、Kremer et al. 1999, J. Clin. Microbiol. 37, 2607−2618; Goh et al. 2001, J. Clin. Microbiol. 39, 3705−3708; Van Soolingen et al. 1998, J. Clin. Microbio. 36, 1840−1845参照)。例証となる菌株は、特に、以下を含む:
−ATCC27294、ATCC25177、ATCC51910(M.ツベルクロシス);
−ATCC25420、ATCC35711(M.アフリカナム(サブタイプI));
−ATCC19422、ATCC35782、ATCC11152(M.ミクロチ);
−ATCC19210、ATCC35725、ATCC35726、ATCC35730(M.ボビス);
−ATCC27290、ATCC35736、ATCC35737(M.ボビスBCG);
−M.カプラエのCIP105776株(パスツール研究所コレクション(the Institut Pasteur Collection)から利用可能、またはATCCからATCC番号 BAA 824で利用可能)。
ATCCとは、American Type Culture Collection(10801 University Boulevard Manassas, Virginia 20110−2209)である。パスツール研究所コレクションまたはCIP(“Collection de l’Institut Pasteur”)とは、Collection de l’Institut Pasteur、パスツール研究所(25−28 rue du Docteur Roux, F−75724 Paris Cedex 15, France)である。
【0028】
本発明は、2つのマイコバクテリウム核酸、すなわち、RD9およびIS6110の適切な選択および使用に起因する。IS6110およびRD9は当業者に既知である。IS6110はIS様因子であり、これはM.ツベルクロシス参考株H37Rvでは1360ヌクレオチドから成る。M.ツベルクロシスH37RvのIS6110配列は、アクセス番号X17348 M29899として利用できる。RD9は差異領域であり、これはM.ツベルクロシス参考株H37Rvでは1464ヌクレオチドから成る。M.ツベルクロシスH37RvのRD9配列は、M.ツベルクロシスH37Rvのゲノム配列の位置250,271−254,176に相当し、これはアクセス番号BX842578のもとで利用できる(M.ツベルクロシス H37Rvゲノムのセグメント7/13)。
【0029】
本発明によるRD9およびIS6110の使用は、一方のM.ツベルクロシスおよびM.カネッティの、他方のその他のMtbCからの、とりわけM.ボビスからの識別を可能とする。RD9およびIS6110の双方の使用は以下のことを可能にする:
−MtbCのマイコバクテリウムの検出、
−一方のM.ツベルクロシスおよびM.カネッティの、他方のMtbCその他の菌株からの識別。
【0030】
本発明は、結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出のための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの他方の前記MtbCのその他の株からの特異的で高感度な識別のための、核酸標的としてのRD9およびIS6110の双方の使用に関する。本発明は、結核のin vitro診断のための、核酸標的としてのRD9およびIS6110の使用に関する。本発明は、従って、結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出のための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの、他方の前記MtbCのその他の株からの特異的で高感度な識別のための、以下の双方の使用に関する:
−少なくとも1つのIS6110標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブ、および
−少なくとも1つのRD9標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブ。
前記使用は、結核のin vitro診断に適している。好ましくは、前記少なくとも1つのIS6110標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブは、IS6110特異的増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブであり、および前記少なくとも1つのRD9標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブは、RD9特異的増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブである。特異的プライマーペアまたはプローブとは、ここにおいて、その標的(IS6110またはRD9)以外の何れかのマイコバクテリウム核酸とも交差反応せず、好ましくは何れかのヒト核酸とも交差反応しないプライマーペアまたはプローブを意味する。
【0031】
本発明の手段は、特に、増幅およびとりわけPCR増幅に適している。有利な特徴として、本発明の手段は、特に、マルチプレックスPCRに適している。本発明は、それ故、核酸標的としてのRD9およびIS6110の使用に関し、ここにおいて、前記IS6110およびRD9は、マルチプレックスPCRにおいて標的とされる。本発明のマルチプレックスPCRの実施態様によると、2つの異なる核酸標的は、マルチプレックスにおける増幅、すなわち単一の増幅工程の増幅において、標的とされる:1つの標的は、IS6110核酸内で適切に選択され、その他の標的は、RD9核酸内で適切に選択される。本発明によって選択される特異的なRD9およびIS6110核酸標的は、以下のことを可能にする:
−MtbCのマイコバクテリウムの検出、
−一方のM.ツベルクロシスおよびM.カネッティの、他方のMtbCのその他の菌株からの識別、および
−マルチプレックスで使用できるプライマー、すなわち、単一のマルチプレックス増幅行程で使用した場合でも特異的で感度が高いプライマーの設計。
【0032】
本発明によると、生体試料においてRD9およびIS6110の存在(+)または非存在(−)を評価した場合、RD9−IS6110+反応は、試料が、M.ツベルクロシスでない結核菌群のマイコバクテリウムを含むこと(すなわちMtbC+Mt−)を意味する。RD9−IS6110−を除く何れかのその他のRD9IS6110反応は、試料が、M.ツベルクロシスまたはM.カネッティである結核菌群のマイコバクテリウムを含む(すなわちMtbC+および(Mt+またはカネッティ+))ことを意味する。
【表1】

【0033】
本発明は、更に、M.ツベルクロシス種の範囲内における詳細な診断を提供する:
−RD9+IS6110−反応は、生体試料が先祖型M.ツベルクロシス菌株を含むことを意味し、および
−RD9+IS6110+反応は、生体試料が、現代型M.ツベルクロシス菌株、または非常に希少なM.カネッティのどちらかを含むことを意味する。
本発明は、従って、先祖型M.ツベルクロシス菌株を現代型M.ツベルクロシス菌株から識別し、および、先行技術において、IS6110を唯一のマーカーとして使用した場合にしばしば生じた偽陰性の結果の問題を回避する。
【表2】

【0034】
先祖型菌株は、ここにおいて、M.ツベルクロシスTbD1+株として定義され、一方で、現代型M.ツベルクロシス菌株は、M.ツベルクロシス TbD1−株として定義される。TbD1領域を含む先祖型M.ツベルクロシス株no.74からの遺伝子mmpS6およびmmpL6の配列は、アクセス番号AJ426486としてEMBLデータベースに寄託された(TbD1の2,153bp、AJ426486の位置340から位置2492まで及ぶ)。Brosch et al. 2002, PNAS USA 99:3684−3689に記述されるPCR方法およびTbD1プライマーは、TbD1が生体試料に存在するかどうかの評価のために使用することができる;前記Broschらの文献のsupporting material中の表1を参照(TBD1intS.FおよびTBD1intS.Rプライマー(それぞれ、CGT TCA ACC CCA AAC AGG TA − SEQ ID NO:15−およびAAT CGA ACT CGT GGA ACA CC − SEQ ID NO:16−)、ならびにTBD1fla1−fおよびTBD1fla1−Rプライマー(それぞれ、CTA CCT CAT CTT CCG GTC CA − SEQ ID NO:17−およびCAT AGA TCC CGG ACA TGG TG − SEQ ID NO:18−)が記載される)。
【0035】
現代型M.ツベルクロシス株の例は、特に、M.ツベルクロシス単離株H37Rv、およびM.ツベルクロシス単離株H37Raを含む。M.ツベルクロシス単離株H37Rvの完全なゲノムは、配列決定された(Cole et al. 1998, Nature, 393, 537−544)。配列はまた、ID MTBH37RV(アクセス番号AL123456)の下、利用できる。TbD1(M.ツベルクロシス特異的欠失1)は、主要な伝染病(例えばハールレム、北京およびアフリカクラスタ)由来の代表的な菌株を含むM.ツベルクロシス株の約87%にて存在しない(Kremer et al. 1999, J. Clin. Microbiol. 37, 2607−2618; Brosch et al. 2002, PNAS USA, 99(6), 3684−3689)。
【0036】
M.カネッティは、結核様の症状を示すヒト患者の中では希少な罹患率を持つ。それ故、RD9+IS6110+反応は、最も頻繁にMtbC+およびMt+(すなわち、M.ツベルクロシスである結核菌群のマイコバクテリウム)を意味する。
【0037】
にもかかわらず、M.ツベルクロシスの存在(すなわちMt+)とM.カネッティの存在(すなわちカネッティ+)とを識別すること望む場合、当業者は適切な手段を利用できる。実際、M.カネッティは、M.ツベルクロシスの非常に希少で滑らかな変種であり、普通、アフリカからのまたはアフリカにつながりのある患者から単離される。それは、同一の16SrRNA配列をM.ツベルクロシス、複合体のその他のメンバーと共有し、全てのRDおよびRvD、ならびにTbD1領域を含むにも関わらず、M.カネッティ菌株は、特定のハウスキーピング遺伝子の多形性、IS1081コピー数、コロニーの形態、および細胞壁の脂質含有量を含む多くの点で異なり、特に以下の点で異なる:
i.M.カネッティは、結核菌群のその他の何れのメンバーにも存在しないDR領域における26のユニークなスペーサー配列を保持することが示されている(Van Embden et al. 2000, J. Bacteriol. 182, 2393−2401);
ii.M.カネッティは、Brosch et al. 2002, PNAS USA, 99(6), 3684−3689に記述されるように、特異的なRDcan領域がないことが特徴づけられ、これは部分的にRD12と重複しており、しばしばRD12−can欠失と称される。M.ツベルクロシスH37Rvゲノムと関連して、M.カネッティ分離株14000059のRD12−can欠失配列は、アクセス番号AJ583833でEMBLデータベースに寄託されている;
iii.M.カネッティは、単一コピーのIS1081挿入配列の存在によって特徴づけられる(M.ボビスIS1081は、アクセス番号X61270として利用できる);
iv.M.カネッティ細胞は滑らかなコロニーを形成し、一方M.ツベルクロシス細胞は粗いコロニー形成する。
【0038】
それ故、当業者がM.カネッティからM.ツベルクロシスを識別しようとする何れの状況においても、iからivの特徴の何れか1つ、または複数を使用することができる。
【0039】
以下の表3のように要約される。
【表3】

【0040】
上記の表3に示されるパターンは典型的ものであり、すなわち、示された種に属す菌株の、全てではないにしても、大多数において認められる。
【0041】
本発明は、更に、前記RD9およびIS6110核酸内で選択された核酸標的を提供する。これらの選択されたRD9およびIS6110核酸標的は、診断応用に要求される、非常に高いレベルの特異性を備えている:それらの検出は、微生物または哺乳類由来のその他のいかなる核酸との混同が生じることなく、RD9およびIS6110核酸が評価する試料中に存在することを確実に示す。これらの選択された標的は、好都合に、マルチプレックス(すなわち、同じ増幅行程)にて使用できる一方で、非常に感度が高くおよび非常に特異的に維持されるプライマーの設計を可能にする。そのようなプライマーは、交差ハイブリッド形成をもたらさず、そのため要求される特異性を保持し、および試料当り1マイコバクテリウムCFUと同程度の感度を維持する(下記の例参照)。
【0042】
本発明の選択されたRD9およびIS6110核酸標的は、以下の配列を持つ:
−IS6110標的の配列番号2の配列、または前記配列番号2の全長に対して完全に相補的である配列、
−RD9標的の配列番号8の配列、または前記配列番号8の全長に対して完全に相補的である配列。
配列番号2のIS6110標的は、位置372から572(開始および終了の位置を含む)の、M.ツベルクロシスH37Rv IS6110(アクセス番号X17348 M29899)の断片である:
【化1】

【0043】
配列番号8のRD9標的は、M.ツベルクロシスH37Rv RD9の断片である。M.ツベルクロシスH37RvゲノムのRD9配列は、アクセス番号BX842578として利用できるH37Rv配列の位置250,271から位置254,176まで及ぶ。M.ツベルクロシスH37RvのRD9配列の範囲内に含まれるRv2075c配列は、アクセス番号BX842578の下で利用できるH37Rv配列の位置252,713から位置254,176まで及ぶ。配列番号8のRD9標的は、前記Rv2075c配列の位置390から561(開始および終了の位置を含む)に及び、すなわち以下の配列である:
【化2】

【0044】
本発明は、従って、結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムを検出するための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティを他方の前記MtbCのその他の株から識別するための単一の増幅行程のマルチプレックスで使用できるプライマーの設計において、参照テンプレート配列として使用するのに適した1組の2ポリヌクレオチドに関し、
ここにおいて、前記2つの参照テンプレートポリヌクレオチドのうちの1つはRD9の断片であり、他方はIS6110の断片であり、
ここにおいて、前記IS6110断片は、配列番号2の配列に、または配列番号2の全長に完全に相補的である配列に存し、
および
ここにおいて、前記RD9断片は、配列番号8の配列に、または配列番号8の全長に完全に相補的である配列に存する。
【0045】
前記IS6110断片は、好都合に、M.ツベルクロシス株H37RvのIS6110配列の位置372から572にわたる断片(開始および終了の位置を含む)である(M.ツベルクロシスH37Rv IS6110配列は、アクセス番号X17348 M29899として利用できる)。前記RD9断片は、好都合に、M.ツベルクロシス株H37RvのRD9配列の位置390から561に及ぶ断片(開始および終了の位置を含む)である(M.ツベルクロシスH37Rvゲノムのセグメント7/13の配列は、アクセス番号BX842578として利用できる;RD9は、この配列の位置252,713−254,176に相当する)。
【0046】
配列番号2の前記選択されたIS6110標的の増幅、および配列番号8の前記選択されたRD9標的の増幅をもたらし得るように、そのような参照テンプレート配列から選択されたプライマーは、なお特異的なおよび感度が高い検出および識別を提供しつつ、単一増幅工程でマルチプレックスで使用できる。
【0047】
本発明は、また、個々の前記参照テンプレート配列のそれぞれに関し、すなわち、結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムを検出し、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティを他方の前記MtbCのその他の菌株から識別するための単一の増幅行程でマルチプレックスで使用できる、プライマーの設計における参照テンプレート配列としての使用に適したポリヌクレオチドに関し、ここにおいて、前記参照テンプレートポリヌクレオチドは、2つのポリヌクレオチドの前記セットから選択される。
【0048】
本発明は、それゆえ、マルチプレックスで使用されても感度および特性が維持され、それゆえ単一の増幅工程で前記MtbC検出および前記種識別が達成できる、特異的で高感度な増幅プライマーおよびプローブを提供する。これらのプライマーおよびプローブは、有利に、前記IS6110およびRD9標的を参照して設計される。
【0049】
増幅方法、特にポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)およびPCRに基づく方法は、当該分野において既知である(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Maniatis, Fritsch, and Sambrook, CSHL Press; Molecular Biology of the Cell, Alberts et al.; PCR Primer: A Laboratory Manual, Dieffenbach and Dveksler, CSHL Press; The Polymerase Chain Reaction, Mullis, Ferre, and Gibbs, Birkhauser Boston Press; Gene quantification, Ferre, Birkhauser Boston Press.)。
【0050】
本発明は、特に生体試料におけるマルチプレックスPCR、およびより特に少なくともデュープレックスPCR(2つの標的、すなわちIS6110およびRD9)、最も好ましくは少なくともトリプレックスPCR(2つの標的、すなわちIS6110およびRD9、ならびに1つの内部標準)の実行に適している核酸(オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド)を記述する。
【0051】
マルチプレックスPCRとは、ここにおいて、1を越える標的の増幅を目的とする何れのPCR反応と解される。例えば、マルチプレックスPCRは、デュープレックスPCR(2つの標的)、トリプレックスPCR(3つの標的)およびより高いマルチプレックスPCRを含む。
【0052】
当然、本発明による核酸は、また、シンプレックスプロトコール、マルチプレックスプロトコール、エンド−ポイントプロトコール、定性的プロトコール、定量的プロトコール、それらの組合せなどを含むその他のプロトコールに適している。核酸とは、ここにおいて、あらゆる核酸と解される:それは、合成または非合成、組換え型または天然型、直線形または環形と成り得る。これは、DNAおよびRNAを含む。核酸は、一本鎖または二重鎖または、さらには、3本鎖の何れかと成り得る。それは、様々な生物学的供給源を由来とすることができ、例えば、微生物(細菌など)または高等生物、例えば哺乳類細胞(例えばヒト細胞または非ヒト哺乳類細胞)を由来とすることができる。核酸は、また、全DNA、全RNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、プラスミドDNA、BAC DNAおよびそれらの混合物を含むことができる。さらに、核酸は様々な状態の純度を考えることができる。試料とは、ここにおいて、天然または非天然の、何れの試料と解される。好ましくは、前記試料は、生物学的起源を由来とする。前記試料は、また、細胞培養上清を由来としてもよい。好ましい実施態様において、前記試料は、気管支の吸引液、気管支の洗浄液、痰、肺組織、脳脊髄液、血液、尿であり、またはそれらを由来とする。前記試料は、また、予備工程から生じてもよい。例えば、前記試料は、精製および/または抽出方法にから入手可能であってもよい。特に、前記試料は、生体試料で行われる分離および/または精製および/または抽出過程に起因してもよい。前記試料は、また、対照試料でありえる。対照試料は、定性的対照、正の対照、負の対照、定量的対照および較正対照としての試料を含む。前記対照は、内部的ならびに外部的でありえる。本発明による何れの試料も、数回存在しうる。例えば、前記試料は、2倍で、3倍で、4倍で、複数倍で提供することができ、このことは定量的実験の場合において有利である。
【0053】
当業者は、標的テンプレートの概念に精通している。前記標的テンプレートは、その存在が前記方法で評価される何れかの核酸とすることができる。前記標的テンプレートは、おそらく、しかし必然的でなく、前記方法で増幅される核酸(PCRアンプリコン)である。
【0054】
ポリヌクレオチドとは、ここにおいて、ヌクレオチドの何れかのポリマーと解され、ここにおいて、ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチド、変性ヌクレオチドなどと成り得る。前記ヌクレオチドは、好ましくは一本鎖であり、しかしまた、二本鎖でありえる。前記ポリヌクレオチドの長さは、変えることができ、および、好ましくは500ヌクレオチド(nt)未満、好ましくは50−400ntの範囲、より好ましくは100−300nt、さらにより好ましくは150−250ntである。例えば、配列番号2の選択されたIS6110標的は201ntであり、および、配列番号8の選択されたRD9標的は172ntである。
【0055】
オリゴヌクレオチドとは、ここにおいて、ヌクレオチドの何れかの短いポリマーと解され、ここにおいて、ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチド、変性ヌクレオチドなどでありえる。前記オリゴヌクレオチドは、好ましくは一本鎖である。前記オリゴヌクレオチドの長さは、変えることができ、および、通常150ヌクレオチド(nt)未満、好ましくは10−100ntの範囲、より好ましくは15−60nt、さらにより好ましくは18−50ntである。前記オリゴヌクレオチドは、例えば放射能、蛍光、ビオチン標識、digラベリングによるタギングまたはマーキングといった、化学修飾を付与することができる。本発明によるオリゴヌクレオチドは、フォワード(センス)またはリバース(アンチセンス)の何れかでありえる。加えて、好ましい機能が、本発明による一部のオリゴヌクレオチドに関連して言及してもよいにもかかわらず、所定のオリゴヌクレオチドに、いくつかの機能を想定してもよく、および本発明による異なるやり方で使用してもよいことが明確であることは強調しなければならない。例えば、オリゴヌクレオチドは、プライマーまたはプローブの何れかとして使用することができる。また、オリゴヌクレオチドが、プローブとして有用であるとして記述されるとき、当業者は、このオリゴヌクレオチドの相補的配列は、同じアンプリコンを標的とするプローブとして等しく有用であることを理解する。さらに、マルチプレックス分析にふさわしいどんなプライマーもまた、本発明の意味の範囲内において、シンプレックスプロトコールに使用することができるということも明らかである。本発明によるオリゴヌクレオチドは、特に、PCRプライマーおよびプローブを含む。特に明記しない限り、核酸配列は、5’から3’方向で示される。前記オリゴヌクレオチドは、望ましい溶媒および望ましい濃度の溶液/懸濁液中、多くの形態の下で、例えば乾燥した状態の下で存在することができる。当業者は、どの溶媒、濃度、貯蔵条件が、本発明のオリゴヌクレオチドにふさわしいかを知っているだろう。特に、当業者は、前記オリゴヌクレオチドを原液としてどのように作製するかを知っているだろう。本発明によるオリゴヌクレオチドは、また、例えばHPLCクロマトグラフィーによって当業者が判断できるように、様々な純度の程度を想定することができる。
【0056】
本適用において、生成物、例えば核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ、アンプリコン、参照テンプレート配列等が、定義された配列を含むと言う場合、そのような表現の範囲は、前記生成物が前記定義された配列にある状況を含むように理解されるべきである。
【0057】
プライマーまたはPCRプライマーの概念は、当業者に既知である。例えば、それは適切な厳密性条件の下で標的テンプレートにアニールでき、ポリメラーゼ鎖伸長を可能とするオリゴヌクレオチドを含む。プライマーの典型的な長さは、10−30nt、好ましくは10−18ntに、最も好ましくは15−18nt、例えば15、16、17または18ntである。適切な厳密性条件は、特に、高い厳密性の条件を含む。高い厳密性の例証となる条件は、核酸ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄の際に使用される温度およびイオン性の条件である。「非常に厳密な条件」ならびにハイブリダイゼーションの速度に影響を及ぼす因子は、当業者に既知であり、例えばManiatis et al. 1982, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratoryに見ることができる。一般に、非常に厳密な条件は、定義されたイオン強度およびpHにおいて、オリゴヌクレオチドの熱融点(Tm)より約5から20℃低く選択される。Tmは、50%の相補的な標的配列が、完全にマッチしたプローブにハイブリダイズする(定義されたイオン強度およびpHの下での)温度である。DNA−DNAハイブリッドのために、Tmは、Tm=69.3+0.41x(CG)%−650/Lの方程式(MeinkothおよびWahl、Anal. Biochem. 1984, 138:267−284)で見積もることができる:ここにおいて、Lは、ヌクレオチドにおけるプローブの強さである。「非常に厳密な条件」はまた、洗浄方法にも適用される。厳密性のその他の例証となる条件は、後述する例にて示される。
【0058】
プローブの概念は、また、当業者に既知である。例えば、それは、望ましいハイブリダイゼーション条件の下で標的テンプレートにアニールできるオリゴヌクレオチドを含む。プローブの典型的な長さは、15−60nt、好ましくは15−40nt、より好ましくは15−30nt、最も好ましくは15−28nt、例えば16−27ntである。好ましくは、前記プローブは蛍光標識される。しかしながら、特定の状況では、プローブとしてプライマーを使用してよく、およびその逆であってもよいことは当業者に明らかである。さらに、本発明による生成物、特にオリゴヌクレオチドは、とりわけ、ここに言及される意図された使用に限定されず、むしろ示された目的に関わらず広く解釈すべきであることが強調される。例えば、特定の使用のための生成物(オリゴヌクレオチド)に対する請求項は、明示された使用に実際に適した生成物(オリゴヌクレオチド)を意味するよう解釈すべきである。したがって、マルチプレックスプロトコールにおけるプライマーとしての使用に適したオリゴヌクレオチドはまた、本発明の意味の範囲内でシンプレックスプロトコールに明確に適している。Taqman(商標)プローブ(加水分解プローブ)、分子ビーコン(ビーコンプローブまたは分子ビーコンプローブ)およびScorpion(商標)プローブを含む様々なフォーマット(タイプ)のプローブは当該分野において既知である。核酸プローブは、それらのヌクレオチド配列内における、挿入薬剤(intercalating agents)、例えば1または複数の挿入色素を含んでよい。
【0059】
好ましい実施態様において、本発明によるプローブは、全て合成でき、および分子ビーコンフォーマットに使用できる。分子ビーコンの構造は、以下の通りである。標的配列に無関係な短いヌクレオチド配列(いわゆるビーコンアーム)は、従って、プローブの両端に共有結合する。短い無関係なアームは、従って、プローブの5’に結合し、蛍光成分(すなわち蛍光色素または蛍光マーカー)で標識される。別の、しかしなお無関係なアームは、プローブの3’末端に結合し、蛍光消光成分で標識される。この為、分子ビーコンは、相対する両端にフルオロフォアおよび消光剤を有している。5’ショートアームは、3’のものと完全に相補的であり、それらは一緒にアニールすることができ、従って、溶液中で標的にハイブリダイズしない場合、ヘアピン構造を想定できる。このヘアピン高次構造において、消光剤および蛍光色素は、互いに十分近接しフルオロフォアの効率的な消光が可能となる。しかしながら、プローブが標的分子に遭遇するとき、ビーコンアームTmおよびプローブTmの値が最適に選択されている場合(理論的には:プローブTm>ビーコンアームTm>プライマーTm、ここにおいて、Tmは対象の融解温度である)は、アニーリングはヘアピン高次構造に関して好ましい。フルオロフォアおよび消光剤が互いに遠ざかり、フルオロフォアが適切な光の励起で照らされた場合に、蛍光を発することができる。PCRの進行に伴い、増幅産物は蓄積し、および何れの所定のサイクルにおける蛍光の量は、その時存在する増幅産物の量に依存する。(例えば、Sanjay Tyagi and Fred Russell Kramer, Nature Biotechnology 1996, volume 14, pages 303−308; Nature Biotechnology 1998, volume 16, pages 49−53参照)。もちろん、3’末端にフルオロフォアをつなぎ、一方で5’末端に消光剤を結合することもできる。図式的に、前記プローブは、以下の式(分子ビーコンフォーマット)を有することができる:
5’フルオロフォア−(アーム1)−プローブ(アーム2)−消光剤3’
5’消光剤−(アーム1)−プローブ(アーム2)−フルオロフォア3’
ここにおいて、アーム1およびアーム2は、例えば、3−10のヌクレオチド、好ましくは5、6、7のヌクレオチドの範囲の、適切な厳密性条件の下でのヘアピン構造形成を可能にする、あらゆる短いヌクレオチド配列とすることができ、すなわち、アーム1およびアーム2は、望ましい厳密性条件の下でアニールするために、完全に相補的である(標準的PCR厳密性条件は、例えば55から65℃のアニーリング温度および4から8mMのMg濃度を含む)。しかしながら、アーム1およびアーム2は、プローブの標的配列に無関係であり、すなわち、アーム1とアーム2との間のアニーリングによるヘアピン高次構造は、ハイブリダイズしていない状態では、プローブの本質的に唯一の生じうる二次構造である。当業者は、どのように所定のプローブに対するそのようなアームを選択するかを知っているだろう。例えば、考えられるビーコンフォーマットは、以下を含む:
CGTGCG−(プローブ配列)−CGCACG
ATGCGG−(プローブ配列)−CCGCAT。
【0060】
フルオロフォアとは、ここにおいて、当該分野において既知の何れかの蛍光マーカー/色素と解される。そのような適切な蛍光マーカーの例は、Fam、Hex、Tet、Joe、Rox、Tamra、Max、Edans、Cy色素(例えばCy5)、フルオレッセイン、クマリン、エオシン、ローダミン、Bodipy、Alexa、カスケードブルー(Cascade Blue)、ヤキマイエロー(Yakima Yellow)、ルシファーイエローおよびテキサスレッド(Texas Red)(これら全てが商標である)を含む。消光剤とは、ここにおいて、当該分野で既知の何れか消光剤と解される。そのような消光剤の例は、Dabcyl、ダーククエンチャー(Dark Quencher)、エクリプスダーククエンチャー(Eclipse Dark Quencher)、エルクエンチャー(ElleQuencher)、Tamra、BHQおよびQSY(これら全てが商標である)を含む。当業者は、色素/消光剤のどの組合せが、プローブを設計する際に適していることを知っているだろう。本発明による好ましい実施態様において、前記プローブのスペクトル特性は、互いに干渉しないよう選択することができる。特に、プローブがマルチプレックスで使われるとき、各々の単一のプローブは、互いに分光的に有意に異なる自身のフルオロフォアを有することができ、すなわち、吸収/発光スペクトルは、本質的に非オーバーラップである。これは、好都合に、全ての単一のプローブのために低ノイズマルチプレックス検出を可能とし、検出において個々のシグナルが互いに干渉しないことを確かなものとする。マルチプレックスにて一緒に使用できる色素の例は、FamとTamra、FamとTamraとテキサスレッドを含む。本発明によれば、全ての提供されるオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、別々に維持され、または部分的に混合され、または完全に混合される状態の何れかとすることができる。前記オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、当業者に判断されるように、乾燥形態で、または適切な溶媒に溶解した状態で提供することができる。適切な溶媒は、TE、PCR等級水などを含む。
【0061】
本発明は、配列番号2の前記選択されたIS6110標的の増幅をもたらし得るように設計されたプライマーペア、および配列番号8の前記選択されたRD9標的の増幅をもたらし得るように設計されたプライマーペアに関する。
【0062】
本発明は、従って、少なくとも2対のプライマーを含む、一組のプライマーに関する。前記少なくとも2対のプライマーは、結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的なおよび高感度な検出に、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティを他方の前記MtbCのその他の菌株からの特異的で感度が高い識別に適している。前記少なくとも2対のプライマーは、マルチプレックスで単一の増幅行程で使用できる一方で、まだ特異的で感度が高い検出および識別を提供するような配列を有する。前記少なくとも2対のプライマーは、IS6110フォワードプライマーおよびIS6110リバースプライマーから成るIS6110プライマーペア、ならびにRD9フォワードプライマーおよびRD9リバースプライマーから成るRD9プライマーペアである。前記RD9フォワードプライマーは、配列番号8の配列の10〜18のヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記配列番号8のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始する。前記RD9リバースプライマーは、前記配列番号8の全長にわたって前記配列番号8に完全に相補的である配列の10から18ヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記相補的配列のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始する。前記IS6110フォワードプライマーは、配列番号2の配列の10から18のヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記配列番号2のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始する。前記IS6110リバースプライマーは、前記配列番号2の全長にわたって前記配列番号2に完全に相補的である配列の10から18ヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記相補的配列のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始する。前記それぞれのプライマーは、好ましくは、10から18ヌクレオチド、11から18ヌクレオチド、12から18ヌクレオチド、13から18ヌクレオチド、14から18ヌクレオチド、15から18ヌクレオチド、16から18ヌクレオチド、17から18ヌクレオチド、例えば17ヌクレオチドの断片である。前記RD9フォワードプライマーは、好都合に、配列番号11(RD389プライマー)の配列を含んでもよい。前記RD9リバースプライマーは、好都合に、配列番号12(RD561プライマー)の配列を含んでもよい。前記IS6110フォワードプライマーは、好都合に、配列番号5(IS368プライマー)の配列を含んでもよい。前記IS6110リバースプライマーは、好都合に、配列番号6(IS569プライマー)の配列を含んでもよい。好ましくは、前記IS6110フォワードおよびリバースプライマーは、(お互い独立して)10−18ヌクレオチド、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、または18ヌクレオチドである。最も好ましくは、前記IS6110フォワードおよびリバースプライマーは、(お互い独立して)14−18ヌクレオチドで、例えば、15−18、15−17、例えば15、16または17ヌクレオチドである。好ましくは、前記RD9フォワードおよびリバースプライマーは、(お互い独立して)10−18ヌクレオチドであり、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、または18ヌクレオチドである。最も好ましくは、前記RD9フォワードおよびリバースプライマーは、(お互い独立して)14−18ヌクレオチドであり、例えば15−18、15−17、例えば15、16または17ヌクレオチドである。本発明はまた、個々の実体として、前記それぞれのプライマーペア、および前記それぞれのプライマーに関する。本発明は、従って、少なくとも2つのプライマーペア(すなわち、RD9プライマーペアまたはIS6110プライマー)の前記セットから選択されるプライマーペア、およびそのようなプライマーペア(すなわち、RD9フォワードプライマー、RD9リバースプライマー、IS6110フォワードプライマー、IS6110リバースプライマー)から選択されるプライマーに関する。
【0063】
M.ツベルクロシス参考株H37Rvと異なるMtbCマイコバクテリウムを含む生体試料の増幅プライマーとして、配列番号2の前記選択されたIS6110標的の増幅ができるように設計されたプライマーペア、および配列番号8の前記選択されたRD9標的の増幅ができるように設計されたプライマーペアを使用することは、IS6110アンプリコンおよび/またはRD9アンプリコンの生成をもたらすと考えられ、それらの配列は、前記試料中に存在する特定のMtbCマイコバクテリウム菌株の核酸配列に依存して、それぞれ配列番号2および/または配列番号8の参照配列とわずかに異なってもよい。
例として:
−現代型M.ツベルクロシスであるMtbCマイコバクテリウムを含む生体試料で本発明が実行される場合、RD9およびIS6110アンプリコンの両者が得られるだろう、
−先祖型M.ツベルクロシスであるMtbCマイコバクテリウムを含む生体試料で本発明が実行される場合、RD9アンプリコンが得られ、しかしIS6110アンプリコンが得られないだろう、
−M.ツベルクロシスでなく、およびM.カネッティでないMtbCマイコバクテリウムを含む生体試料で本発明が実行される場合、IS6110アンプリコンが得られ、しかしRD9アンプリコンが得られない。
前記生体試料に含まれるMtbCマイコバクテリウムがM.ツベルクロシスH37Rvでないとすぐに、得られたアンプリコンは、配列番号2および配列番号8の前記IS6110およびRD9参照配列に比較して、変種配列を有してもよい。そのような変種配列は、配列番号2または配列番号8の参照配列とほぼ同じサイズをそれぞれ有しているだろう。例えば、本発明の実行によって入手できるIS6110アンプリコンは、190から210ヌクレオチド、好ましくは195から205ヌクレオチド、最も好ましくは199から203ヌクレオチドまでの範囲のサイズを有していると考えられ、ならびに、本発明の実行によって入手できるRD9アンプリコンは、160から185ヌクレオチド、好ましくは165から180ヌクレオチド、最も好ましくは170から174ヌクレオチドまでの範囲のサイズを有している。そのような変種配列は、それぞれ配列番号2または配列番号8の前記参照配列との高度な同一性を示すだろう。例えば、本発明の実行によって入手できるIS6110アンプリコンは、配列番号2の参照配列と少なくとも95%の配列同一性を有し、および本発明の実行によって入手できるRD9アンプリコンは、配列番号8の参照配列と少なくとも95%の配列同一性を有するだろう。好ましくは、前記最小限の配列同一性は、96%、97%、98%または99%であるだろう。前記同一性の%は、それぞれの配列番号2または配列番号8の前記参照配列の全長にわたって算出される。高度な同一性を有すそのような変種配列は、代わりに、非常に厳密な条件の下、それらは、配列番号2の前記IS6110参照配列に、または配列番号8の前記RD9参照配列にハイブリダイズするという事実によって特徴づけてもよい。「非常に厳密な条件」ならびにハイブリダイゼーションの速度に影響を及ぼす因子は、当業者に既知であり、例えば、Maniatis et al. 1982, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratoryに見ることができる。例証となる「非常に厳密な条件」は、例えば水溶液中68℃でのまたは50%ホルムアミド存在下42℃での6xSSCまたは6xSSPEのハイブリダイゼーションを含み、および、室温で2−60分間の0.1xSSCおよび0.2SDSを含む水溶液中での、前記参照配列とハイブリダイズした前記変種配列の洗浄条件、その後の2−60分間の、検出されたハイブリッドの算出Tmより約12−20℃低い温度での0.1xSSCを含む溶液におけるインキュベーションを含む。その他の例証となる非常に厳密な条件は、後述する例に示される。
【0064】
それ故、本発明はまた、MtbCマイコバクテリウム、および特にM.ツベルクロシス参考株H37Rvと異なるMtbCマイコバクテリウムを含む生体試料における本発明の実行によって入手できるそのようなIS6110および/またはRD9アンプリコンに関する。本発明は、特に以下のものに関する:
−190から210ヌクレオチドまで、好ましくは195から205ヌクレオチドまで、最も好ましくは199から203ヌクレオチドまでに及ぶサイズを有する何れかのポリヌクレオチドであって、
○配列番号2の参照配列と、または、配列番号2の全長にわたって配列番号2に完全に相補的な配列と少なくとも95%の配列が同一であり(好ましくは、96%、97%、98%または99%の最小限の配列同一性を有する)、および/または
○非常に厳密な条件の下、配列番号2の参照配列と、または配列番号2の全長にわたって配列番号2と完全に相補的である配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド、
ならびに
−160から185ヌクレオチドまで、好ましくは165から180ヌクレオチドまで、最も好ましくは170から174ヌクレオチドまで及ぶサイズを有する何れかのポリヌクレオチドであって、
○配列番号8の参照配列と、または、配列番号8の全長にわたって配列番号8に完全に相補的な配列と少なくとも95%の配列が同一であり(好ましくは、96%、97%、98%または99%の最小限の配列同一性を有する)、および/または
○非常に厳密な条件の下、配列番号8の参照配列と、または配列番号8の全長にわたって配列番号8と完全に相補的である配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド。
【0065】
本発明は、生体試料にて行う増幅反応におけるプライマーとしてIS6110プライマーペアおよびRD9プライマーペアを用いて入手可能なアンプリコンの検出に適したプローブに関する。好都合には、前記プローブは、以下のものである:
−配列番号8の配列、もしくは配列番号8の全長にわたって配列番号8と完全に相補的である配列、または前記配列番号8の配列もしくは前記相補的配列の少なくとも15ヌクレオチドの断片、または
−配列番号2の配列、もしくは配列番号2の全長にわたって配列番号2と完全に相補的である配列、または前記配列番号2の配列もしくは前記相補的配列の少なくとも15ヌクレオチドの断片。
好ましくは、前記配列番号2または配列番号8の少なくとも15ヌクレオチドの前記断片は、30ヌクレオチド未満であり、最も好ましくは15−28ヌクレオチド、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28ヌクレオチドであり、最も好ましくは20−25ヌクレオチド、例えば23ヌクレオチドである。
本発明は、とりわけ、以下のアンプリコンを標的とするプローブに関する:
−配列番号8の配列、もしくは配列番号8の全長にわたって配列番号8と完全に相補的である配列、または前記配列番号8の配列もしくは前記相補的配列の少なくとも15ヌクレオチドかつ29ヌクレオチド未満の断片、または
−配列番号2の配列、もしくは配列番号2の全長にわたって配列番号2と完全に相補的である配列、または前記配列番号2の配列もしくは前記相補的配列の少なくとも15ヌクレオチドかつ29ヌクレオチド未満の断片。
RD9アンプリコンの検出に適した有利なプローブは、配列番号8と相補的である配列の断片であり、ここにおいて、前記断片は、配列番号9(RD441プローブ)の配列を含む。好ましくは、このRD9を標的とするプローブは、30ヌクレオチド未満であり、最も好ましくは15−28ヌクレオチド、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28ヌクレオチドであり、最も好ましくは20−25ヌクレオチド、例えば23ヌクレオチドである。IS6110アンプリコンの検出に適した有利なプローブは、配列番号3の配列(IS503プローブ)を含む配列番号2の断片であることが特徴付けられる。好ましくは、このIS6110を標的とするプローブは、30ヌクレオチド未満であり、最も好ましくは15−28ヌクレオチド、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28ヌクレオチドであり、最も好ましくは20−25ヌクレオチド、例えば23ヌクレオチドである。本発明のプローブは、それらの配列内に1または複数の挿入薬剤、例えば1または複数の挿入色素を含んでよい。本発明のプローブは、少なくとも1つのビーコンアーム、好ましくは2つのビーコンアーム、その末端のそれぞれに1つ(例えば、CGTGCG−(プローブ配列)−CGCACG;またはATGCGG−(プローブ配列)−CCGCAT)を含んでよい。有利なビーコン付加プローブは、特に、配列番号10のプローブ(それは、ビーコンフォーマットにおいて配列番号9のプローブである)、および配列番号4のプローブ(それは、ビーコンフォーマットにおいて配列番号3のプローブである)を含む。本発明のプローブは、その5’末端にフルオロフォアおよび/またはその3’末端に消光剤を含んでよく、例えば、5’末端にTamraまたはFamおよび/または3’末端にDabcylを含んでよい。
【0066】
本発明は、また、少なくとも1つの本発明のプライマーペアと、少なくとも1つの本発明のプローブとから成るPCRセットに関する。とりわけ、少なくとも1つの本発明のRD9プライマーペアと、少なくとも1つの本発明のRD9プローブとから成るPCRセット、ならびに少なくとも1つの本発明のIS6110プライマーペアと、少なくとも1つの本発明のIS6110プローブとから成るPCRセットに関する。
【0067】
本発明の実行に特に適した適切な内部標準(IC)もまた提供される。本発明は、結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出における内部標準(IC)としての使用に適した、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの、他方前記MtbCのその他の菌株からの、特異的で高感度な識別に適したオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドに関する。本発明のICオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、好都合に、以下のものを含む:
a.2つのプライマー結合部位配列、ここにおいて、前記2つのプライマー結合部位配列の他方と関連して5’に位置する前記2つのプライマー結合部位配列の1つは、本発明のプライマーペア(IS6110プライマーペアまたはRD9プライマーペア)の1メンバーと同一であり、および前記2つのプライマー結合部位配列の他方は、本発明の同じプライマーペアのその他のメンバーに完全に相補的である;および
b.マイコバクテリウムに関連がなく、前記2つのプライマー結合部位配列の間に位置する配列。
好ましくは、前記マイコバクテリウムに関連のない配列はまた、何れのヒト核酸にも関連がなく、最も好ましくは何れの哺乳類核酸に関連がない。
例証となるICは、92塩基であってよい:
−5’末端領域に位置する17の塩基および3’末端領域に位置する17の塩基;これらは同一であり、およびそれぞれ、IS6110プライマーに完全に相補的である(それぞれ、配列番号5および6のIS368およびIS569);
−マイコバクテリウムに関連のない残りの58塩基(ランダムな配列)。
例えば、本発明のキットは、IS6110プライマーペアによって増幅されるICオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、例えば配列番号13のICオリゴヌクレオチド:を含んでよい。
【0068】
本発明は、更に、(前記対照配列にアニールすることによる)本発明のICオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの検出に特に適したICプローブを提供する。例証となるICプローブは、配列番号14(SIM ATTO 590)のプローブである。
【0069】
本発明はまた、結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出に適した、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの、他方の前記MtbCのその他の菌株からの特異的で高感度な識別に適したキットに関し、ならびに結核のin vitro診断のためのキットに関する。本発明のキットは、以下のものを含む:
−少なくとも1セットの本発明による2対のプライマー、および/または
−少なくとも1つの本発明のプライマーペア、および/または
−少なくとも1つの本発明のプライマー、および/または
−少なくとも1セットの本発明による2つの参照テンプレートオリゴヌクレオチド、および/または
−少なくとも1つの発明による参照テンプレートポリヌクレオチド、および/または
−少なくとも1つの本発明の何れか1つのプローブ。
本発明のキットは、特に、本発明によるPCRセット(すなわち、少なくとも1つの本発明のプライマーペアおよび少なくとも1つの本発明のプローブ)を含んでよい。本発明によるキットにおいて、核酸(プライマー、プローブ)は、個別に維持し、または部分的に混合し、または完全に混合することができる。前記核酸は、当業者が判断するように、乾燥形態、または適した溶媒に溶解した状態で提供することができる。適した溶媒は、TE、PCR等級水などを含む。そのような試薬は、当業者に既知であり、水、例えばヌクレアーゼを含まない水、DNAseを含まない水、PCR等級水;塩、例えばマグネシウム、カリウム;緩衝剤、例えばTris;酵素、例えば、Taq、Vent、Pfu(これらは全て商標)、活性化可能ポリメラーゼ(activable polymerase)、逆転写酵素などのポリメラーゼを含む;ヌクレオチド、例えば、デオキシヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチド、dNTPs、dATP、dTTP、dCTP、dGTP、dUTP;その他の薬剤、例えばDTTおよび/またはRNA分解酵素阻害薬;およびポリヌクレオチド、例えば、polyT、polydTおよびその他のオリゴヌクレオチド(例えばプライマー)を含む。本発明によるキットは、PCR対照を含んでもよい。そのような対照は、当該分野で既知であり、および定性的対照、正の対照、負の対照、内部標準(IC)、定量的対照、内部定量的対照ならびに較正範囲を含む。前記PCR工程のための内部標準は、PCR工程における標的テンプレートに関連しないテンプレートとすることができる。そのような対照はまた、対照プライマーおよび/または対照プローブを含んでもよい。例えば、MtbCマイコバクテリウム検出の場合、内部標準として、その存在が人体由来の試料から除外され(例えば、植物遺伝子由来)、およびそのサイズおよびGC含有量が標的配列のそれらと等しい遺伝子の中から選択されるポリヌクレオチドを使用することが可能である。本発明のキットは、本発明のICオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、および/または本発明のICプローブを含んでよい。本発明によるキットは、生体試料由来、例えば気管支の吸引液、気管支の洗浄液、痰、脳脊髄液、尿、血液、血清、血漿由来の核酸を抽出および/または精製する手段を含んでよい。そのような手段は、当業者に周知である。本発明のキットは、核酸抽出のための溶解緩衝剤、例えば、二価イオンに結合する陰イオン性のレジンを含む溶解緩衝剤を含んでもよい。溶解は、好ましくは、界面活性剤の存在下およびChelex X−100ビーズといった二価イオンに結合する陰イオン性レジンの存在下で行われる。有利な特徴として、前記陰イオン性レジンはまたカオトトロピック剤(chaototropic agent)である。適切な溶解緩衝剤の例は、Tris 10mM(Sigma, ref : T−6791)、EDTA 1mM(Sigma, ref : E−1644)、pH8.3の緩衝液に、8%のChelex X−100レジン(Bio−Rad, ref : 142−1253)、0.5%NP−40(Sigma, ref : Igepal I−3021)、0.5%Tween20(VWR, ref : 28829296)を含む溶解緩衝液を含む。本発明によるキットは、その使用のための説明書を含んでもよい。前記説明書は、好都合に、リーフレット、カードなどでありえる。前記説明書は、また、2つの形態として存在しうる:キットおよびその使用に関する徹底的な情報を集めた、場合によっては文献データをも含む、詳細なもの;その使用に必要な基本的な情報を集めた、例えばカードの形のクイックガイド形態またはメモ。好ましい実施態様において、前記キットは、診断キット、特にin vitro診断キット、すなわち結核診断キットである。
【0070】
本発明はまた、生体試料中の結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムを検出するための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの、他方の前記MtbCのその他の菌株からの識別のための方法に関する。本発明の方法は、2つの標的核酸配列の検出を含み、
ここにおいて、前記2つの標的配列のうちの1つは、IS6110またはその断片であり、もう一方の標的配列はRD9またはその断片であり、
ここにおいて、前記RD9標的の存在および前記IS6110標的の存在または非存在の検出は、M.ツベルクロシスまたはM.カネッティであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料中に存在することを表し、
ここにおいて、前記RD9標的の非存在および前記IS6110標的の存在の検出は、M.ツベルクロシスでないMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表し、
ここにおいて、前記RD9標的の非存在および前記IS6110標的の非存在の検出は、MtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在しないことを表す。
【0071】
前記RD9標的の存在および前記IS6110標的の存在または非存在の検出は、特に、M.ボビスでないMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表す。
【0072】
好都合に、本方法のマルチプレックスPCRの実行のために特に、前記RD9標的配列は、配列番号8の配列、または配列番号8の全長にわたって配列番号8と完全に相補的である配列に存在し、および前記IS6110標的配列は、配列番号2の配列、または配列番号2の全長にわたって配列番号2と完全に相補的である配列に存在する。
【0073】
前記RD9標的の存在および前記IS6110標的の非存在の検出は、M.カネッティまたは先祖型M.ツベルクロシス株の何れかであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表す。前記RD9標的の存在および前記IS6110標的の存在の検出は、M.カネッティまたは現代型M.ツベルクロシス株の何れかであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表す。前記RD9標的の非存在および前記IS6110標的の存在の検出は、M.ボビス、M.アフリカナム、M.カプラエ、M.ミクロチ、またはM.ピンニペディであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表す。本発明の有利な特徴によると、本方法はPCRによって実行することができる。本発明の非常に有利な特徴によると、本方法は、特に増幅プライマーとして本発明の少なくとも1つのプライマーペア(少なくとも1つのIS6110および/または少なくとも1つのRD9プライマーペア)を用いて、マルチプレックスPCRで実行することができる。本発明の方法は、ハイブリダイゼーションプローブおよび/または検出プローブとしての、本発明の少なくとも1つのプローブの使用を含んでよい。
【0074】
本発明は、結核の診断のin vitroの方法であって、
生体試料のMtbCのマイコバクテリウムの存在または非存在が、および/または
生体試料のM.ツベルクロシスまたはM.カネッティ株の存在または非存在が、および/または
生体試料のM.ツベルクロシスではないMtbCのマイコバクテリウムの存在または非存在が、
前記生体試料におけるMtbC検出のおよび/またはMtbC種識別の前記方法の実行によって決定されることを特徴とする方法に関する。
【0075】
本発明は、更に、MtbC分析のための生体試料から核酸を抽出する方法を提供する。溶解は、好ましくは、界面活性剤の存在下およびChelex X−100ビーズといった二価イオンに結合する陰イオン性レジンの存在下で行われる。有利な特徴として、前記陰イオン性レジンはまた、カオトトロピック剤である。適切な溶解緩衝剤の例は、Tris 10mM(Sigma, ref : T−6791)、EDTA 1mM(Sigma, ref : E−1644)、pH8.3の緩衝液に、8%のChelex X−100レジン(Bio−Rad, ref : 142−1253)、0.5%NP−40(Sigma, ref : Igepal I−3021)、0.5%Tween20(VWR, ref : 28829296)を含む溶解緩衝液を含む。
【実施例】
【0076】
本発明は下記の例に例示され、これらは、例証の目的としてのみ与えられる。
【0077】
[例1(in vitro細菌試料−特異性および感度)]
1.材料および方法:
1.1.核酸の抽出:
細菌細胞は、100の異なる株のカルチャーから収集した(マイコバクテリウム以外の54細菌株;MtbCに属さない26マイコバクテリウム株;4つのM.ボビスBCGを含む、5株のM.ボビス;23株のM.ツベルクロシス;M.ツベルクロシスまたはM.ボビス以外であるが、MtbCに属す6つの株−M.ピンニペディ、M.カプラエ、3株のM.アフリカナム、M.ミクロチ−;1株のM.カネッティ)。
【0078】
溶解は、界面活性剤の存在下およびChelex X−100ビーズ(すなわち、二価イオンに結合する陰イオン性のレジン)の存在下で行った。有利な特徴として、前記陰イオン性レジンは、カオトトロピック剤である。
【0079】
溶解緩衝液の組成:Tris 10mM(Sigma, ref : T−6791)、EDTA 1mM(Sigma, ref : E−1644)、pH8.3の緩衝液に、8%のChelex X−100レジン(Bio−Rad, ref : 142−1253)、0.5%NP−40(Sigma, ref : Igepal I−3021)、0.5%Tween20(VWR, ref : 28829296)を含む。
【0080】
方法:
−200μlの生体試料
−400μlの溶解緩衝液
−10μlの液体内部標準(IC)を添加
−30秒間ボルテックス
−95℃で10分間インキュベーション
−8000rpmで5分間遠心分離
−上清10μlでPCR。
【0081】
負の対照は、200μlの生体試料を、200μlのリン酸緩衝液(pH6.8、25mM)で置き換えて行った。
【0082】
ICは抽出段階で添加する。それは、液体の形態とする。10μlのICを200μlの生体試料に添加する。IC溶液は9.6 10コピーのICを10μl中に含み、そのため、抽出後PCR試験当り1.6 10コピーが得られる(1/60希釈)。
【0083】
1.2.プライマーおよびプローブ:
1.2.1.IS6110システム
IS6110のEMBLデータ=
位置 MTIS6110 1360bp DNA linear BCT 07−JUL−2002
定義 マイコバクテリウム・ツベルクロシス IS6110 IS様エレメント
アクセス番号 X17348 M29899
バージョン X17348.1 GI:48695
キーワード 挿入エレメント IS6110; トランスポゾン
ソース マイコバクテリウム・ツベルクロシス H37Rv。
【0084】
IS6110内で選択されるサブ配列=
【化3】

【0085】
上記配列番号1における下線は、IS6110システムで使用されるプライマーおよびプローブの配列を表す:
−372から387まで:IS368フォワードプライマー;
−506から528まで:IS503プローブ;
−556から572まで:IS569リバースプライマーの相補的配列。
【0086】
1本鎖フォーマットにおけるIS6110増幅標的配列=
【化4】

【0087】
IS6110プローブ:
IS503プローブ=CGACCACATCAACCGGGAGCCCA(配列番号3)
分子ビーコン(登録商標)アーム=ATGCGGおよびCCGCAT
レポーター色素および消光薬剤=Tamra(登録商標)およびDabcyl(登録商標)
ビーコン(登録商標)フォーマットにおけるIS503:IS503MBプローブ=5’−Tamra−ATGCGGCGACCACATCAACCGGGAGCCCACCGCAT−Dabcyl−3’(配列番号4)。
【0088】
IS6110フォワードプライマー:
IS368プライマー=5’−CAGCACGCTAATTACCC−3’(配列番号5)。
【0089】
IS6110リバースプライマー:
IS569プライマー=5’−GCTGATGTGCTCCTTGA−3’(配列番号6)。
【0090】
1.2.2.RD9システム:
位置 BX842578 1464 bp DNA linear BCT 10−JUN−2004
定義 マイコバクテリウム・ツベルクロシス H37Rv 完全ゲノム; セグメント 7/13.
アクセス番号 BX842578 REGION: 相補 (252713..254176)
位置250,271から位置254,176:RD9の配列
BX842578の位置252,713から位置254,176:Rv2075cの配列(RD9のサブ配列)。
【0091】
RD9内で選択されるサブ配列(RD9に含まれるRv2075c内で選択されるサブ配列):
【化5】

【0092】
上記配列番号7における下線は、RD9システムで使用されるプライマーおよびプローブの配列を意味する:
−390から406:RD389フォワードプライマー;
−441から464:RD441プローブの相補的配列;
−545から561:RD561リバースプライマーの相補的配列。
【0093】
一本鎖フォーマットにおけるRD9増幅標的配列=
【化6】

【0094】
RD9プローブ:
RD441プローブ=GCTATTACGAGGACTCCACGCTGG(配列番号9)
分子ビーコン(登録商標)アーム=CGTGCGおよびCGCACG
レポーター色素および消光薬剤=FamおよびDabcyl(登録商標)
ビーコン(登録商標)フォーマット下のRD441:RD441MBプローブ=5’−Fam−CGTGCGGCTATTACGAGGACTCCACGCTGGCGCACG−Dabcyl−3’(配列番号10)。
【0095】
RD9フォワードプライマー:
RD389=5’−TAAGCGCCTGCGGATTG−3’(配列番号11)。
【0096】
RD9リバースプライマー:
RD 561=5’−GGCGTTGAGCTGGAAAG−3’(配列番号12)。
【0097】
1.3.内部標準(IC):
内部標準(IC)は、一本鎖配列で存在する。ICは、増幅標的配列に関連のない配列を含むよう選択され、前記関連のない配列は、PCR反応で使用されるプライマーペア(IS6110プライマーペア、またはRD9プライマーペア)のうちの1つに適した標的配列である配列の5’および3’に隣接する。
【0098】
ICは、その5’末端領域に配列を、およびその3’末端領域に別の配列を含み、ここにおいて、前記3’に含まれる配列は、IS6110プライマーペアの1メンバーとハイブリダイズし、および前記5’に含まれる配列は、同じIS6110プライマーペアのその他のメンバーの相補的配列にハイブリダイズする。好ましくは、前記3’に含まれる配列は、IS6110プライマーペアの1メンバーに完全に相補的であり、および前記5’に含まれる配列は、同じIS6110プライマーペアのその他のメンバーと同一の配列を有する。あるいは、RD9プライマーペアは、IS6110プライマーペアの代わりに使用することができる:目的は、PCR行程で実行され、しかし前記5’に含まれる配列と3’に含まれる配列との間に、マイコバクテリウムに関連のない配列、好ましくは細菌および哺乳類の核酸に関連のない配列を含むプライマーペアのうちの1つによって増幅したICを有することである。本例のICは、その5’末端領域にIS6110プライマーペアの1メンバーと同一の配列を、その3’末端領域に同じIS6110プライマーペアのその他のメンバーと完全に相補的な配列を含む。
【0099】
本例のICは、92塩基で存在する:
−5’末端領域に位置する17塩基および3’末端領域に位置する17塩基;これらは同一であり、それぞれ、S6110プライマーと完全に相補的である(それぞれ、配列番号5および6のIS368およびIS569)、
−マイコバクテリウムに関連のない残りの58塩基(ランダムな配列)。
本例のICは、以下の配列を有する。
【化7】

【0100】
上記配列番号13内の下線は以下のことを示す(5’から3’方向):
−IS386(配列番号5のIS6110フォワードプライマー)
−ICプローブ
−IS569の標的配列(すなわち、配列番号6のIS6110リバースプライマーの相補的配列)。
【0101】
ICプローブ=SIM ATTO 590=GACGTGGCAGCCATGAGAGTGGG(配列番号14)、この5’および3’末端にビーコンアームが付加される。
【0102】
1.4.トリプレックスPCRのための例証となる実験的条件:
試薬:
Hot Start Taq Polymease Qiagen(5U/μl,ref203205)(PCR緩衝液を含む)
dNTP :Promega ref U151x(4X25mM)
MgCl: Sigma, ref M−2670
PVP10 : Sigma, ref : PVP−10
グリセロール: VWR, ref : 24388295。
【0103】
サーマルサイクラー
iQ1(Bio−Rad)。
【0104】
1xPCRミックスの組成
1xPCRミックス(ビーコンフォーマット中の0.2μMのRD9プローブ(配列番号10)、ビーコンフォーマット中の0.2μMのICプローブ(配列番号14)、ビーコンフォーマット中の0.4μMのIS6110プローブ(配列番号4)、0.5μMのそれぞれの前記4つのプライマー、5%グリセロール、0.3%PVP10、2UのTaqポリメラーゼ、1mM dNTPおよび終濃度5mMのMgClを添加)。10μlのDNAをこのミックスに添加する。
【0105】
熱サイクル
−第1サイクル:95℃で15分、
−50回繰り返し:
第2サイクル:95℃で30秒
第3サイクル:59℃で30秒
第4サイクル:72℃で30秒
−装置を開けるまで20℃に維持。
【0106】
2.結果:
2.1.マルチプレックスで使用した場合のプライマーおよびプローブの特異性:
選択されたIS6110およびRD9プライマーおよびプローブは、MtbC特異的である:それらは、MtbCマイコバクテリウム以外の核酸との有意な相同性を示さない。好都合に、選択されたIS6110およびRD9プライマーおよびプローブは、トリプレックスで使用したときでさえ特異的である。
【0107】
これらの「トリプレックス−等級」特異性は、細菌ライセートにて例証できる。DNAの存在は、16SDNAの効果的な増幅によって確認した。陽性IC反応は、結核PCR分析の妥当性を確認する。トリプレックス結果は、以下の通りであった:
【表4】

【0108】
詳細な結果は以下の表5−1から表5−4に示される。
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【表5−4】

【0109】
2.2.PCR感度:
トリプレックスPCRを、予め計測したM.ツベルクロシスH37Rvのライセートにて、二重で行った。結果は以下の通りである(表6)。
【表6】

【0110】
PCR検出許容限界:
−IS6110では、12CFU/ml(PCR当り0.12コピーに相当)
−RD9では、120CFU/ml(PCR当り1.2コピーに相当)。
【0111】
選択したIS61110およびRD9プライマーは、好都合に、M.ツベルクロシス(+非常に稀なM.カネッティ)特異性を有し、および、マルチプレックスでの使用でもこの特異性を保持する。それらは、更に、非常に高感度な検出(ほとんど試料当り1コピー程度まで低い)を可能とする。
【0112】
[例2(ヒトから採取した試料−比較例)]:
マルチプレックスPCRは、上記の例1に記載されるように行ったが、ヒト患者から採取した試料で行った(パーシー病院(フランス)):
−脳脊髄液(CDF)の試料、
−気管支の洗浄液の試料、
−気管支の吸引液の試料、
−唾液の試料。
【0113】
分析の前に、呼吸性の試料を、消化−汚染除去の前処理に供す。実際には、マイコバクテリウムの培養に供した大部分の試料は、急速にマイコバクテリウムより増殖できる種々の生物体が混入している。この為、マイコバクテリウムは、ムチンおよび細胞で捕捉されるマイコバクテリウムを放出して、混入する細菌を減少させるまたは除去する方法を用いて、最適に臨床材料から回収される。最も広く使用される消化−汚染除去方法は、N−アセチル−L−システイン(NALC)−NaOH法である。試料は、標準的手順に沿って、1%(終濃度)水酸化ナトリウム−N−アセチルシステイン(sodium hydroxide−N−acetylcysteine)で汚染除去し、および3,000×gで20分間遠心分離して濃縮した(Metchock, B. G., F. S. Nolte, and R. J. Wallace, Jr. 1999. Mycobacterium, p. 399−437. In P. R. Murray, E. J. Baron, M. A. Pfaller, F. C. Tenover, and R. H. Yolken (ed.), Manual of clinical microbiology, 7th ed. American Society for Microbiology, Washington, D.C.)。ペレットは、リン酸緩衝液(0.067M、pH6.8)で再懸濁される。試料は、これにより、顕微鏡観察試験、培養または分子生物学によって分析する準備が整う。脳脊髄液(CDF)の試料は直接分析する。
【0114】
比較分析は、以下のように行った:
−細菌培養および顕微鏡観察によって、または、
−Gen−Probe MTD試験によって行う。
【0115】
細菌培養は、KentおよびKubica(“Public health mycobacteriology: a guide for the level III laboratory”, 1985, U.S. Dpt. f Public Health and Human Services, Atlanta, GA, USA)、およびRoberts、KonemanおよびKim(“Mycobacterium”, 1991, pages 304−339; In A. Barlows et al. (ed.), Manual of Clinical Microbiology, American Society for Microbiology, Washington, D.C., USA)に記載されるように行った。とりわけ、Lowenstein−Jensen(LJ)培養は、Petranらが記載するとおり(1971. Health Lab. Sci. 8 : 225−230)に行った。LJ培地は、ミネラル塩、馬鈴薯澱粉、グリセリン、マラカイトグリーン(無菌)および卵(アルブミン)を含む。培養は、スクリューキャップチューブで行う。3滴の遠心分離ペレットを、リン酸緩衝液に再懸濁し、ゲローススロープ(gelose slope)の上部に置く。2〜6チューブ(試料の量に依存)に播種し、37℃でインキュベートする。チューブはゆるくキャップをし(過剰なあらゆる液体の蒸発を可能にするため)、傾斜した位置でインキュベートする。試料は、少なくとも8週のあいだ、週に一度観察する。週に1度の観察は、共生細菌の混入または、成長の早いマイコバクテリウムの存在の検出を可能とする。コロニーが生ずるとき、培養がマイコバクテリウム陽性であると明言する前に、酸アルコール抵抗性細菌の存在を確認するために、チール-ネールセン染色スメア(Ziehl−Neelsen stained smear)を行う。
【0116】
顕微鏡観察試験は、KentおよびKubica(“Public health mycobacteriology: a guide for the level III laboratory”, 1985, U.S. Dpt. Of Public Health and Human Services, Atlanta, GA, USA)に記載されるように、フクシン染色によって行った。スメア結果を報告する推奨される解釈は、表7に示される。
【表7】

【0117】
Gen−Probe MTD試験は、製造者の推奨に従って行った。これは、“Amplified(商標) Mycobacterium tuberculosis direct test”キット(Gen−Probe Inc., San Diego, California 92121, USA)として商品化されるGen−Probe(登録商標)キットで実行する。Gen−Probe MTD試験は、MtbC特異的rRNAの増幅およびの検出を利用する。簡単には、生体試料を超音波処理し、熱変性処理に供し、その後Gen−Probe TMA法(転写媒介増幅)による増幅に供し、およびGen−Probe HPA法(ハイブリダイゼーションプロテクションアッセイ)によるアンプリコン検出に供する。陽性のMTD試験は、試料がMtbCのマイコバクテリウムを含むことを意味する(阻害および不十分な感度の問題により、陰性のMTD試験は、しかしながら、試料中のMtbC生物体の単離の可能性を除外しない)。
【0118】
結果は以下の通りである。
【表8】

【0119】
表8において、
は、M.ツベルクロシスまたは非常に稀なM.カネッティ、
ND=検出されず、
np=試験を行わず、
MtまたはMc以外のMtbC=MtbCに属すが、M.ツベルクロシス(Mt)またはM.カネッティ(Mc)の何れでもないマイコバクテリウム株、
ba=気管支の吸引液、
bw=気管支の洗浄液、
急上昇(spiked)=人工的に感染させた試料、
CSF=脳脊髄液、
を、それぞれ意味する。
【0120】
マルチプレックスPCRで実行される本発明のプライマーおよびプローブにより得られる結果は、従来の培養方法およびGen−Probeキットで得られるそれらと相関する。本発明は、従来の培養方法よりも非常に迅速である。本発明は、また、Gen−Probe MTD試験よりも正確である:MTD試験は、MtbC陽性/MtbC陰性の反応を与えるだけである;MTD試験に通常由来するM.ツベルクロシスの結論は、患者が、結核のような症状を呈し、MTD陽性であり、M.ツベルクロシス株に感染している可能性が高いという事実に基づく仮説となるのみである。本発明は、直接、菌株がM.ツベルクロシス(または、非常に珍しく、容易に同定可能なM.カネッティ)であること、およびそれはMtbCのその他の菌株でないこと、および特に、それがM.ボビス(すなわち、BCG接種のために試料中に存在し得る菌株)でないことを確認する。本発明は、更に、先祖型M.ツベルクロシス(RD9+IS6110−反応)と現代型M.ツベルクロシス(RD9+IS6110+反応)との間の識別を可能とする。
【0121】
全ての引用される文献または刊行物(特許文献または科学的刊行物の何れも)の内容は本願に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出のための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの他方の前記MtbCのその他の株からの特異的で高感度な識別のための、以下の使用:
−少なくとも1つのIS6110標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブ、および
−少なくとも1つのRD9標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブ。
【請求項2】
結核のin vitro診断のための、以下の使用:
−少なくとも1つのIS6110標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブ、および
−少なくとも1つのRD9標的化増幅プライマーペアまたはハイブリダイゼーションプローブ。
【請求項3】
前記IS6110およびRD9がマルチプレックスPCRにおいて標的とされる、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的なおよび高感度な検出に、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティを他方の前記MtbCのその他の菌株からの特異的で感度が高い識別に適した2対のプライマーのセットであって、
ここにおいて、前記2対のプライマーは、マルチプレックスで単一の増幅行程で使用できる一方で、特異的で感度が高い検出および識別をなお提供できる配列を有し、
ここにおいて、前記2対のプライマーは、IS6110フォワードプライマーおよびIS6110リバースプライマーから成るIS6110プライマーペア、ならびにRD9フォワードプライマーおよびRD9リバースプライマーから成るRD9プライマーペアであり、
ここにおいて、前記RD9フォワードプライマーは、配列番号8の配列の10から18ヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記配列番号8のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始し、
ここにおいて、前記RD9リバースプライマーは、前記配列番号8の全長にわたって前記配列番号8に完全に相補的である配列の10から18ヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記相補的配列のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始し、
ここにおいて、前記IS6110フォワードプライマーは、配列番号2の配列の10から18ヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記配列番号2のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始し、
ここにおいて、前記IS6110リバースプライマーは、前記配列番号2の全長にわたって前記配列番号2に完全に相補的である配列の10から18ヌクレオチドの5’末端断片であり、前記5’末端断片は、前記相補的配列のまさに最初の5’ヌクレオチドから開始する、
2対のプライマーのセット。
【請求項5】
前記RD9フォワードプライマーが配列番号11の配列を含むことを特徴とする、請求項4に記載の2対のプライマーのセット。
【請求項6】
前記RD9リバースプライマーが配列番号12の配列を含むことを特徴とする、請求項4に記載の2対のプライマーのセット。
【請求項7】
前記IS6110フォワードプライマーが配列番号5の配列を含むことを特徴とする、請求項4に記載の2対のプライマーのセット。
【請求項8】
前記IS6110リバースプライマーが配列番号5の配列を含むことを特徴とする、請求項4に記載の2対のプライマーのセット。
【請求項9】
請求項4から8の何れか1項に記載の2対のプライマーペアのセットから選択されるプライマーペア。
【請求項10】
請求項9に記載のプライマーペアから選択されるプライマー。
【請求項11】
RD9プライマーであることを特徴とする請求項10に記載のプライマー。
【請求項12】
IS6110プライマーであることを特徴とする請求項10に記載のプライマー。
【請求項13】
IS6110リバースプライマーであることを特徴とする請求項12に記載のプライマー。
【請求項14】
結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムを検出するための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティを他方の前記MtbCのその他の株から識別するための単一の増幅行程のマルチプレックスで使用できるプライマーの設計において、参照テンプレート配列として使用するのに適した2つのポリヌクレオチドのセットであって、
ここにおいて、前記2つの参照テンプレートポリヌクレオチドのうちの1つはRD9の断片であり、他方はIS6110の断片であり、
ここにおいて、前記RD9断片は、配列番号8の配列に、または配列番号8の全長に完全に相補的である配列に存し、
および
ここにおいて、前記IS6110断片は、配列番号2の配列に、または配列番号2の全長に完全に相補的である配列に存する、
2つのポリヌクレオチドのセット。
【請求項15】
結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムを検出するための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティを他方の前記MtbCのその他の株から識別するための単一の増幅行程のマルチプレックスで使用できるプライマーの設計において、参照テンプレート配列として使用するのに適したポリヌクレオチドであって、
ここにおいて、前記参照テンプレートポリヌクレオチドが、請求項14のセットから選択される、
ポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項4から8の何れか1項に記載の2つのプライマーペアのセットを、生体試料の増幅プライマーとして用いて得られるIS6110アンプリコンであって、
a.199から203のヌクレオチドのサイズを有し、
b.配列番号2の参照配列と、または配列番号2の全長にわたって配列番号2と完全に相補的な配列と、最小で98%の配列同一性を有する、
ことを特徴とする、アンプリコン。
【請求項17】
請求項4から8の何れか1項に記載の2つのプライマーペアのセットを、生体試料の増幅プライマーとして用いて得られるRD9アンプリコンであって、
a.170から174のヌクレオチドのサイズを有し、
b.配列番号8の参照配列と、または配列番号8の全長にわたって配列番号8と完全に相補的な配列と、最小で98%の配列同一性を有する、
ことを特徴とする、アンプリコン。
【請求項18】
請求項4から8の何れか1項に記載の2つのプライマーペアのセットを、生体試料にて行う増幅反応においてプライマーとして用いて得られるアンプリコンの検出に適したプローブであって、ここにおいて、前記プローブは:
−配列番号8の配列、もしくは配列番号8の全長にわたって配列番号8と完全に相補的である配列、または前記配列番号8の配列もしくは前記相補的配列の少なくとも15ヌクレオチドかつ29ヌクレオチド未満の断片、
または
−配列番号2の配列、もしくは配列番号2の全長にわたって配列番号2と完全に相補的である配列、または前記配列番号2の配列もしくは前記相補的配列の少なくとも15ヌクレオチドかつ29ヌクレオチド未満の断片
であることを特徴とするプローブ。
【請求項19】
更に、少なくとも1つのビーコンアームを含む請求項18に記載のプローブ。
【請求項20】
RD9アンプリコンの検出に適した請求項18に記載のプローブであって、それが、配列番号8に相補的な配列の断片であり、ここにおいて前記断片が配列番号9の配列を含むことを特徴とするアンプリコン。
【請求項21】
IS6110アンプリコンの検出に適した請求項18に記載のプローブであって、それが、配列番号3の配列を含む配列番号2の断片であることを特徴とするアンプリコン。
【請求項22】
請求項19または20に記載のプローブであって、それが配列番号10の配列を有することを特徴とするプローブ。
【請求項23】
請求項19または21に記載のプローブであって、それが配列番号4の配列を有することを特徴とするプローブ。
【請求項24】
5’末端にフルオロフォアをおよび/または3’末端に消光剤を更に含む、請求項18から23の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項25】
少なくとも1つの請求項18から24の何れか1項に記載のプローブ、および少なくとも1つの請求項9に記載のプライマーペアから成るPCRセット。
【請求項26】
結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出における内部標準(IC)としての使用に適した、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの、他方前記MtbCのその他の菌株からの特異的で高感度な識別に適したオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであって、前記ICオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、以下のものを含むことを特徴とするオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド:
a.2つのプライマー結合部位配列;ここにおいて、前記2つのプライマー結合部位配列の他方と関連して5’に位置する前記2つのプライマー結合部位配列の1つが、請求項9に記載のプライマーペアの1メンバーと同一であり、および前記2つのプライマー結合部位配列の他方は、請求項9に記載の同じプライマーペアのその他のメンバーに完全に相補的である;および
b.マイコバクテリウムに関連がなく、前記2つのプライマー結合部位配列の間に位置する配列。
【請求項27】
請求項26に記載のICとしての使用に適したオリゴヌクレオチドであって、配列番号13の配列を有することを特徴とするオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
請求項27に記載のICオリゴヌクレオチドの検出に特に適合したプローブであって、配列番号14の配列を有することを特徴とするオリゴヌクレオチド。
【請求項29】
結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムの特異的で高感度な検出のための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの、他方の前記MtbCのその他の株からの特異的で高感度な識別のためのキットであって、以下のものを含むことを特徴とするキット:
−少なくとも1つの、請求項4から8の何れか1項に記載の2対のプライマーのセット、
−少なくとも1つの、請求項9に記載のプライマーペア、
−少なくとも1つの、請求項10から13の何れか1項に記載のプライマー、
−少なくとも1つの、請求項14に記載の2つの参照テンプレートポリヌクレオチドのセット、
−少なくとも1つの、請求項15に記載の参照テンプレートポリヌクレオチド、
−少なくとも1つの、請求項18から24の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項30】
結核のin vitro診断のためのキットであって、以下の要素の内少なくとも1つを含むことを特徴とするキット:
−少なくとも1つの、請求項4から8の何れか1項に記載の2対のプライマーのセット、
−少なくとも1つの、請求項9に記載のプライマーペア、
−少なくとも1つの、請求項10から13の何れか1項に記載のプライマー、
−少なくとも1つの、請求項14に記載の2つの参照テンプレートポリヌクレオチドのセット、
−少なくとも1つの、請求項15に記載の参照テンプレートポリヌクレオチド、
−少なくとも1つの、請求項18から24の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項31】
請求項25または26に記載のICオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、および/または請求項27に記載のICプローブを更に含む、請求項29または30に記載のキット。
【請求項32】
核酸抽出のための溶解緩衝液を更に含むことを特徴とする、請求項29から31の何れか1項に記載のキット。
【請求項33】
前記溶解緩衝液が二価イオンに結合する陰イオン性レジンを含むことを特徴とする、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
生体試料中の結核菌群(MtbC)のマイコバクテリウムを検出するための、および/または一方のマイコバクテリウム・ツベルクロシスおよびマイコバクテリウム・カネッティの、他方の前記MtbCのその他の菌株からの識別のための方法であって、2つの標的核酸配列の検出を含むことを特徴とする方法:
ここにおいて、前記2つの標的配列のうちの1つは、IS6110またはその断片であり、もう一方の標的配列はRD9またはその断片であり、
ここにおいて、前記RD9標的の存在および前記IS6110標的の存在または非存在の検出は、M.ツベルクロシスまたはM.カネッティの何れかであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料中に存在することを表し、
ここにおいて、前記RD9標的の非存在および前記IS6110標的の存在の検出は、M.ツベルクロシスでないMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表し、
ここにおいて、前記RD9標的の非存在および前記IS6110標的の非存在の検出は、MtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在しないことを表す。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
前記RD9標的配列は、配列番号8の配列、または配列番号8の全長にわたって配列番号8と完全に相補的である配列に存在し、および
前記IS6110標的配列は、配列番号2の配列、または配列番号2の全長にわたって配列番号2と完全に相補的である配列に存在する。
【請求項36】
請求項34または35に記載の方法であって、前記RD9標的の存在および前記IS6110標的の非存在の検出は、M.カネッティまたは先祖型M.ツベルクロシス株の何れかであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表すことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項34または35に記載の方法であって、前記RD9標的の存在および前記IS6110標的の存在の検出は、M.カネッティまたは現代型M.ツベルクロシス株の何れかであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表すことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項34または35に記載の方法であって、前記RD9標的の非存在および前記IS6110標的の存在の検出は、M.ボビス、M.アフリカナム、M.カプラエ、M.ミクロチ、またはM.ピンニペディであるMtbCに属すマイコバクテリウムが前記生体試料に存在することを表すことを特徴とする方法。
【請求項39】
PCRにより実行されることを特徴とする、請求項34から38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記PCRがマルチプレックスで実行されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項39または40に記載の方法であって、前記PCRが請求項4から8の何れか1項に記載の2対のプライマーを増幅プライマーとして用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39または41に記載の方法であって、前記PCRが請求項18から24の何れか1項に記載の少なくとも1つのプローブを検出プローブとして用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項43】
結核の診断のin vitroの方法であって、
生体試料のMtbCのマイコバクテリウムの存在または非存在が、および/または
生体試料のM.ツベルクロシスまたはM.カネッティ株の存在または非存在が、および/または
生体試料のM.ツベルクロシスではないMtbCのマイコバクテリウムの存在または非存在が、
前記生体試料における、請求項34から42の何れか1項に記載の方法の実行によって決定されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−55947(P2013−55947A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−237006(P2012−237006)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2008−529475(P2008−529475)の分割
【原出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(592096719)
【Fターム(参考)】