説明

結腸直腸がんを処置または予防するための方法

本発明は、例えば、スニチニブと共にまたはロイコボリンおよび5−フルオロウラシルの組み合わせと共に抗IGF1R抗体を用いて、結腸直腸がんを処置または予防するための方法を提供する。一実施形態において、被験体の結腸直腸がんを処置または予防するための方法が提供され、該方法は、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に、治療上有効な量の単離された抗体またはそれの抗原結合断片を投与することを含み、該単離された抗体またはそれの抗原結合断片は、(a)軽鎖C、軽鎖D、軽鎖Eもしくは軽鎖Fの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;からなる群、または、(b)重鎖Aもしくは重鎖Bの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;からなる群、または、それらの両方からなる群、より選択される、一つまたはそれより多いメンバーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年3月25日に出願された米国仮特許出願番号61/039,197号の利益を主張し、この米国仮特許出願番号61/039,197号は、その全容が参照として本明細書に援用される。
【0002】
(本発明の分野)
本発明の分野は、一般に、別の化学療法剤と共に抗IGF1R抗体を投与することによって、結腸直腸がんを処置または予防する方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
(本発明の背景)
結腸直腸がん、または結腸および/もしくは直腸のがんは、米国におけるがん関連死の2番目に多い原因であり、そして、全体として3番目に最も一般的ながんである。アメリカがん協会(American Cancer Society)は、毎年、50,000人より多いアメリカ人が結腸直腸がんで死亡しており、そして約155,000の新たな症例が診断され、これは腫瘍の全タイプの15%を占めていると推定している。年齢または他の要因のため、8000万から9000万人のアメリカ人(米国の人口の約25%)が、危険に曝されていると考えられている。75歳を超える女性は、乳がんよりも結腸直腸がんで、多くが死亡している。5年生存率は、約45%にとどまっている。
【0004】
結腸直腸がんの発生は、遺伝的要因とライフスタイル要因との両方に影響されるようである。結腸直腸がんへの素因的状態としては、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、遺伝性非ポリポーシス結腸がん(HNPCC)(すなわち、リンチI症候群およびリンチII症候群)、炎症性腸疾患(慢性潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病の両方が挙げられる)、他の家族性がん症候群(例えば、ポイツ−ジェガーズ症候群および家族性若年性ポリポーシス)、および腺腫様ポリープ(例えば、無茎性、管状、絨毛性または有茎性)が挙げられる。他の危険要因としては、肉が多い食事、脂肪が多い食事および繊維が少ない食事、タバコを吸うこと、ほとんど体を動かさないライフスタイル、ならびに肥満が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結腸直腸がん、特に進行結腸直腸がんは、歴史的に、標準的な治療のアプローチのみを用いて処置することは困難である。しばしば、標準的な治療は、比較的わずかなパーセンテージの患者に効能を示すにすぎない。したがって、当該分野において、結腸直腸がんの高度に有効な処置に対する必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(本発明の概要)
本発明は、例えば、結腸直腸がんの処置および予防のための化学療法剤の高度に有効な組み合わせの供給によって、当該分野における結腸直腸がんの処置に対する必要性に対処する。上記組み合わせとしては、スニチニブ(sunitinib)と組み合わせた、またはロイコボリン(leucovorin)および5−フルオロウラシル(5−fluorouracil)と組み合わせた、抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片が挙げられる。
【0007】
本発明は、被験体(例えば、ヒト)の結腸直腸がんを処置または予防するための方法を含み、上記方法は、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に、治療上有効な量の単離された抗体またはそれの抗原結合断片(例えば、モノクローナル抗体、標識された抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え型抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体などの単離された抗体)を投与することを含み、上記単離された抗体またはそれの抗原結合断片は:(a)軽鎖C、軽鎖D、軽鎖Eもしくは軽鎖Fの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;からなる群、または、(b)重鎖Aもしくは重鎖Bの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;からなる群、または、それらの両方からなる群、より選択される、一つまたはそれより多いメンバーを含む。本発明の実施形態において、CDR−L1は、アミノ酸配列:Arg Ala Ser Gln Ser Ile Gly Ser Ser Leu His(配列番号:1)を含み;
CDR−L2は、アミノ酸配列:Tyr Ala Ser Gln Ser Leu Ser(配列番号:2)を含み;
CDR−L3は、アミノ酸配列:His Gln Ser Ser Arg Leu Pro His Thr(配列番号:3)を含み;
CDR−H1は、アミノ酸配列:Ser Phe Ala Met His(配列番号:4)またはGly Phe Thr Phe Ser Ser Phe Ala Met His(配列番号:5)を含み;
CDR−H2は、アミノ酸配列:Val Ile Asp Thr Arg Gly Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys Gly(配列番号:6)を含み;および
CDR−H3は、アミノ酸配列:Leu Gly Asn Phe Tyr Tyr Gly Met Asp Val(配列番号:7)を含む。本発明の実施形態において、上記抗体または上記断片は、配列番号:9、11、13または15のアミノ酸20〜128を含む軽鎖可変領域、および、配列番号:17または19のアミノ酸20〜137を含む重鎖可変領域を含む。本発明の実施形態において、上記抗体または上記断片は断片であり、そして上記断片は、ラクダ化(camelized)単一ドメイン抗体、ダイアボディ(diabody)、scfv、scfvダイマー、dsfv、(dsfv)、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)またはドメイン抗体である。本発明の実施形態において、前記抗体または前記断片は、κ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖またはγ4重鎖などの定常領域に連結されている。本発明の実施形態において、上記被験体は、さらなる化学療法剤(例えば、抗がん化学療法剤)または抗がん治療手順が施される。本発明の実施形態において、上記抗がん治療手順は、抗がん放射線治療または外科的腫瘍摘出術である。本発明の実施形態において、上記さらなる化学療法剤は:エベロリムス(everolimus)、トラベクテジン(trabectedin)、アブラキサン(abraxane)、TLK 286、AV−299、DN−101、パゾパニブ(pazopanib)、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン(enzastaurin)、バンデタニブ(vandetanib)、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3インヒビター、VEGFRインヒビター、EGFR TKインヒビター、オーロラ(aurora)キナーゼインヒビター、PIK−1モジュレーター、Bcl−2インヒビター、HDACインヒビター、c−METインヒビター、PARPインヒビター、Cdkインヒビター、EGFR TKインヒビター、IGFR−TKインヒビター、抗HGF抗体、PI3キナーゼインヒビター、AKTインヒビター、JAK/STATインヒビター、チェックポイント−1または2インヒビター、接着斑(focal adhesion)キナーゼインヒビター、Mapキナーゼキナーゼ(mek)インヒビター、VEGFトラップ抗体、ペメトレキセド(pemetrexed)、エルロチニブ(erlotinib)、ダサタニブ(dasatanib)、ニロチニブ(nilotinib)、デカタニブ(decatanib)、パニツムマブ(panitumumab)、アムルビシン(amrubicin)、オレゴボマブ(oregovomab)、Lep−etu、ノラトレキセド(nolatrexed)、azd2171、バタブリン(batabulin)、オファツムマブ(ofatumumab)、ザノリムマブ(zanolimumab)、エドテカリン(edotecarin)、テトランドリン(tetrandrine)、ルビテカン(rubitecan)、テスミリフェン(tesmilifene)、オブリメルセン(oblimersen)、チシリムマブ(ticilimumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ゴッシポール(gossypol)、Bio 111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド(cilengitide)、ギマテカン(gimatecan)、IL 13−PE38QQR、INO 1001、IPdR、KRX−0402、ルカントン(lucanthone)、LY 317615、ノイラジアブ(neuradiab)、ビテスパン(vitespan)、Rta 744、Sdx 102、タランパネル(talampanel)、アトラセンタン(atrasentan)、Xr 311、ロミデプシン(romidepsin)、ADS−100380、
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

、ボリノスタット(vorinostat)、エトポシド(etoposide)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ドキソルビシン(doxorubicin)、リポソームドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン(vincristine)、テモゾロミド(temozolomide)、ZK−304709、セリシクリブ(seliciclib);PD0325901、AZD−6244、カペシタビン(capecitabine)、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]二ナトリウム塩七水和物、カンプトテシン(camptothecin)、イリノテカン(irinotecan);PEG標識イリノテカン、タモキシフェン(tamoxifen)、クエン酸トレミフェン(toremifene citrate)、アナストラゾール(anastrazole)、エキセメスタン(exemestane)、レトロゾール(letrozole)、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合体化エストロゲン、ベバシズマブ(bevacizumab)、IMC−1C11、CHIR−258、
【0010】
【化3】

);3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン(quinolone)、バタラニブ(vatalanib)、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly 10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセテート[C59841814・(C(式中、x=1〜2.4)]、酢酸ゴセレリン(goserelin acetate)、酢酸ロイプロリド(leuprolide acetate)、パモ酸トリプトレリン(triptorelin pamoate)、酢酸メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate)、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(hydroxyprogesterone caproate)、酢酸メゲストロール(megestrol acetate)、ラロキシフェン(raloxifene)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、酢酸メゲストロール、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ(erlotinib)、ラパタニブ(lapatanib)、カネルチニブ(canertinib)、ABX−EGF抗体、エルビタックス(erbitux)、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファーニブ(lonafarnib)、
【0011】
【化4】

、BMS−214662、ティピファニブ(tipifamib);アミホスチン(amifostine)、NVP−LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸(suberoyl analide hydroxamic acid)、バルプロ酸(valproic acid)、トリコスタチンA(trichostatin A)、FK−228、SU11248、ソラフェニブ(sorafenib)、KRN951、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アムサクリン(amsacrine)、アナグレリド(anagrelide)、L−アスパラギナーゼ、カルメット‐ゲラン杆菌(BCG)ワクチン、ブレオマイシン(bleomycin)、ブセレリン(buserelin)、ブスルファン(busulfan)、カルボプラチン(carboplatin)、カルムスチン(carmustine)、クロラムブシル(chlorambucil)、シスプラチン(cisplatin)、クラドリビン(cladribine)、クロドロネート(clodronate)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、シプロテロン(cyproterone)、シタラビン(cytarabine)、ダカルバジン(dacarbazine)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン(epirubicin)、フルダラビン(fludarabine)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)、フルオキシメステロン(fluoxymesterone)、フルタミド(flutamide)、ヒドロキシ尿素、イダルビシン(idarubicin)、イフォスファミド(ifosfamide)、イマチニブ(imatinib)、ロイプロリド(leuprolide)、レバミソール(levamisole)、ロムスチン(lomustine)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メルファラン(melphalan)、6−メルカプトプリン、メスナ(mesna)、メトトレキサート(methotrexate)、マイトマイシン(mitomycin)、ミトタン(mitotane)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ニルタミド(nilutamide)、オクトレオチド(octreotide)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、パミドロネート(pamidronate)、ペントスタチン(pentostatin)、プリカマイシン(plicamycin)、ポルフィマー(porfimer)、プロカルバジン(procarbazine)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、リツキシマブ(rituximab)、ストレプトゾシン(streptozocin)、テニポシド(teniposide)、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ(thiotepa)、トレチノイン(tretinoin)、ビンデシン(vindesine)、13−シス−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン(estramustine)、アルトレタミン(altretamine)、フロクスウリジン(floxuridine)、5−デオオキシウリジン、シトシンアラビノシド(cytosine arabinoside)、6−メルカプトプリン、デオキシコフォルマイシン(deoxycoformycin)、カルシトリオール(calcitriol)、バルルビシン(valrubicin)、ミトラマイシン(mithramycin)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビノレルビン(vinorelbine)、トポテカン(topotecan)、ラゾキシン(razoxin)、マリマスタット(marimastat)、COL−3(メタスタット(metastat))、ネオバスタット(neovastat)、BMS−275291
【0012】
【化5】

、スクアラミン(squalamine)、エンドスタチン(endostatin)、SU5416(セマキシニブ(semaxinib))、SU6668([(Z)−3−[2,4−ジメチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−3−イル]−プロピオン酸)、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン(angiostatin)、ビタキシン(vitaxin)、ドロロキシフェン(droloxifene)、イドキシフェン(idoxyfene)、スピロノラクトン(spironolactone)、フィナステリド(finasteride)、シミチジン(cimitidine)、トラスツズマブ(trastuzumab)、デニロイキンジフチトクス(denileukin diftitox)、ゲフィチニブ(gefitinib)、ボルテジミブ(bortezimib)、パクリタキセル(paclitaxel)、クレモフォール非含有パクリタキセル(cremophor−free paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、エピチロンB(epithilone B)、BMS−247550(イクサベピロン(ixabepilone))、BMS−310705
【0013】
【化6】

、ドロロキシフェン(droloxifene)、4−ヒドロキシタモキシフェン(4−hydroxytamoxifen)、ピペンドキシフェン(pipendoxifene)、ERA−923(2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−1H−インドール−5−オール塩酸塩)、アルゾキシフェン(arzoxifene)、フルベストラント(fulvestrant)、アコルビフェン(acolbifene)、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)、イドキシフェン(idoxifene)、TSE−424(酢酸バゼドキシフェン(bazedoxifene acetate))、HMR−3339(4−クロロ−11b−[4−(2−[ジエチルアミノ]エトキシ)フェニル]−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17b−ジオール)、ZK 186619、トポテカン(topotecan)、PTK787/ZK 222584、VX−745
【0014】
【化7】

、PD 184352、ラパマイシン(rapamycin)、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス(temsirolimus)、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン(wortmannin)、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム(PEG−filgrastim)、ダルベポエチン(darbepoetin)、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロナート(zolendronate)、プレドニゾン(prednisone)、セツキシマブ(cetuximab)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン(histrelin)、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン(azacitidine)、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドマイド(lenalidomide)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、インターロイキン−11、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、アレムツズマブ(alemtuzumab,)、オールトランスレチノイン酸(all−transretinoic acid)、ケトコナゾール(ketoconazole)、インターロイキン−2、メゲストロール(megestrol)、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、イブリツモマブチウキセタン(ibritgumomab tiuxetan)、アンドロゲン(androgen)、デシタビン(decitabine)、ヘキサメチルメラミン(hexamethylmelamine)、ベキサロテン(bexarotene)、トシツモマブ(tositumomab)、三酸化ヒ素、コルチゾン(cortisone)、エジトロナート(editronate)、ミトタン(mitotane)、シクロスポリン、リポソームダウノルビシン(liposomal daunorubicin)、Edwina−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント(casopitant)、ネツピタント(netupitant)、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン(palonosetron)、アプレピタント(aprepitant)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)、メトクロプラミド(metoclopramide)、ロラゼパム(lorazepam)、アルプラゾラム(alprazolam)、ハロペリドール(haloperidol)、ドロペリドール(droperidol)、ドロナビノール(dronabinol)、デキサメタゾン(dexamethasone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、グラニセトロン(granisetron)、オンダンセトロン(ondansetron)、ドラセトロン(dolasetron)、トロピセトロン(tropisetron)、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、エリスロポエチン、エポエチンα(epoetin alfa)、およびダルベポエチンα(darbepoetin alfa)からなる群より選択される、一つまたはそれより多いメンバーである。本発明の実施形態において、上記抗体または上記断片、上記ロイコボリン、上記5−フルオロウラシルおよび上記スニチニブは、別個の薬学的組成物中にあり、それぞれの薬学的組成物は、独立に、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む。本発明の実施形態において、上記被験体は:家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸がん、リンチI症候群、リンチII症候群、炎症性腸疾患、慢性潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病、家族性がん症候群、ポイツ−ジェガーズ症候群、家族性若年性ポリポーシスおよび一つもしくはそれより多い腺腫様ポリープからなる群より選択される、一つまたはそれより多い病気に罹患している。
【0015】
本発明は、その範囲内において、(i)ロイコボリンおよび5−フルオロウラシル;(ii)ロイコボリン;または(iii)スニチニブ;と共に、さらに、必要に応じてさらなる化学療法剤(例えば、本明細書で示されるさらなる化学療法剤)と共に、(a)軽鎖C、軽鎖D、軽鎖Eもしくは軽鎖Fの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;からなる群、または、(b)重鎖Aもしくは重鎖Bの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;からなる群、または、それらの両方からなる群、より選択される、一つまたはそれより多いメンバーを含む単離された抗体またはそれの抗原結合断片を含む、組み合わせまたは組成物をさらに含む。例えば、本発明の実施形態において、上記抗体または上記断片は、配列番号:9、11、13もしくは15のアミノ酸20〜128を含む軽鎖可変領域、および/または、配列番号:17もしくは19のアミノ酸20〜137を含む重鎖可変領域を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に、本発明の15H12/19D12抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片を投与することによって、結腸直腸がんの処置または予防を必要としている被験体において、結腸直腸がんを処置または予防するための方法をとりわけ提供する。本発明の実施形態において、本発明の方法または治療の処置レジメンの一部として、他の成分が被験体に投与されることはない。本発明の実施形態において、一つまたはそれより多いさらなる化学療法剤が、上記被験体に投与される。
【0017】
(抗体およびそれの抗原結合断片)
本発明の実施形態において、被験体は、(例えば、IGF1Rに特異的に結合する)任意の抗体またはそれの抗原結合断片が投与され、それらは、例えば以下で説明されるような、軽鎖CDRまたは重鎖CDRまたはその両方を含む。
【0018】
【化8】

例えば、全3種の軽鎖免疫グロブリンCDR;
および/または
【0019】
【化9】

例えば、全3種の重鎖免疫グロブリンCDR。
【0020】
本発明の実施形態において、上記抗体は、以下の軽鎖免疫グロブリン鎖および重鎖免疫グロブリン鎖(例えば、それらの成熟した断片)の任意の組み合わせを含む。シグナル配列には点線が引かれており、CDR配列には実線が引かれている。本発明の実施形態において、成熟した可変領域断片は、上記シグナル配列を欠いている。
【0021】
【化10】

【0022】
【化11】

【0023】
【化12】

【0024】
【化13】

米国特許第7,217,796号を参照のこと;上記特許における、あらゆる抗IGF1Rまたはそれらの抗原結合断片は、本発明の方法において使用され得る。
【0025】
本発明の実施形態において、上記抗IGF1R抗体軽鎖および/または重鎖は:
(i)CMVプロモーター−15H12/19D12 HCA(γ4)−寄託名:「15H12/19D12 HCA(γ4)」;ATCCアクセッション番号:PTA−5214;
(ii)CMVプロモーター−15H12/19D12 HCB γ4)−寄託名:「15H12119D12 HCB(γ4)」;ATCCアクセッション番号:PTA−52 15;
(iii)CMVプロモーター−15H12/19D12 HCA(γ1)−寄託名:「15H12/19D12 HCA(γ1)」;ATCCアクセッション番号:PTA−5216;
(iv)CMVプロモーター−15H12/19D12 LCC(κ)−寄託名:「15H12/19D12 LCC(κ)」;ATCCアクセッション番号:PTA−5217;
(v)CMVプロモーター−15H12/19D12 LCD(κ)−寄託名:「15H12/19D12 LCD(κ)」;ATCCアクセッション番号:PTA−5218;
(vi)CMVプロモーター−15H12119D12 LCE(κ)−寄託名:「15H12/19D12 LCE(κ)」;ATCCアクセッション番号:PTA−5219;および
(vii)CMVプロモーター−15H12119D12 LCF(κ)−寄託名:「15H12119D12 LCF(κ)」;ATCCアクセッション番号:PTA−5220;
からなる群より選択される任意のプラスミドによってコードされる。
【0026】
上で特定されたプラスミドは、ブダペスト条約の下で、2003年5月21日にAmerican Type Culture Collection(ATCC);10801 University Boulevard;Manassas,Va.20110 2209に寄託された。寄託されたプラスミドの公衆による入手可能性に対する全ての制限は、この出願者によって、不可逆的に、取り除かれている。
【0027】
本発明の実施形態において、上記抗体は、LCC/HCA、LCD/HCBまたはLCF/HCAである。
【0028】
本発明の実施形態において、上記抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片は、成熟した重鎖免疫グロブリン可変領域:
【0029】
【化14】

(配列番号:20);またはそれ由来の一つもしくはそれより多いCDR(例えば、3)を含む。
【0030】
本発明の実施形態において、上記抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片は、成熟した軽鎖免疫グロブリン可変領域:
【0031】
【化15】

(配列番号:21);またはそれ由来の一つもしくはそれより多いCDR(例えば、3)を含む。
【0032】
本発明は、抗IGF1R抗体およびそれの抗原結合断片を用いるための方法を含む。したがって、本発明は、モノクローナル抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え型抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、ダイアボディ、単一鎖抗体、ジスルフィドFv(dsfv)、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)およびドメイン抗体を用いるための方法を含む。したがって、用語「抗体」および同様のものは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え型抗体、多重特異性(multispecific)抗体(例えば、二重特異性抗体)を含むが、これらに限定されない。用語、抗体(「親抗体」)の「抗原結合断片」および同様のものは、抗体の断片または誘導体を含み、これらは、上記親抗体の結合特異性の少なくともいくらかを保持している、上記親抗体の抗原結合領域または可変領域(例えば、一つまたはそれより多いCDR)の少なくとも一部を一般的に含む。抗体の抗原結合断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片;ダイアボディ;単一鎖抗体分子(例えば、sc−Fv);ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、結合断片または誘導体は、その活性がモル基準で表わされる場合、IGF1R結合活性の少なくとも10%を保持している。本発明の実施形態において、結合断片または誘導体は、親抗体のIGF1R結合親和力の少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%または100%またはそれより多くを保持している。抗原結合断片は、その生物学的活性を実質的に変更しない保存的アミノ酸置換(抗体の「保存的改変体」と言われる)を含み得ることもまた意図される。
【0033】
本発明の実施形態において、「Fab」とは、ジスルフィド結合によって、単一重鎖の可変領域および第一の定常領域に結合した単一軽鎖(可変領域および定常領域の両方)を含む断片をいう。Fab断片は、例えば、IgG抗体のパパイン消化によって生産され得る。
【0034】
本発明の実施形態において、「Fab’」とは、ヒンジ領域の一部を含むFab断片をいう。
【0035】
本発明の実施形態において、「F(ab’)」とは、Fab’のダイマーをいう。F(ab’)断片は、例えば、ペプシンによって酵素的にIgGを切断することにより生産され得る。Fab’は、F(ab’)の例えば還元(例えば2−メルカプトエタノールを用いる)によって作製され得る。
【0036】
本発明の実施形態において、「Fc」とは、ジスルフィド結合を介して、第二の重鎖の第二および第三の定常領域に結合した第一の重鎖の第二および第三の定常領域からなる抗体の一部をいう。抗体のFcの部分は、ADCCおよびCDCなどの種々のエフェクター機能の原因となるが、抗原結合における機能はない。
【0037】
本発明の実施形態において、抗体との関連で、「Fv」は、単一重鎖の可変領域に結合した単一軽鎖の可変領域である。
【0038】
本発明の実施形態において「ジスルフィドで安定化されたFv断片」または「dsFv」は、ジスルフィド架橋で連結された可変重鎖(V)および/または可変軽鎖(V)を有する分子を含む。
【0039】
本発明の実施形態において、用語「単一鎖Fv」または「scFv」抗体は、抗体のVドメインおよびVドメインを含む抗体断片を含み、ここで、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖中に存在する。一般に、上記Fvポリペプチドは、V鎖およびV鎖が組になり、そして結合部位(例えば、5〜12残基長)を形成することを可能にする、VドメインとVドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの概観のためには、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,RosenburgおよびMoore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269〜315を参照のこと。国際特許出願公開番号WO88/01649ならびに米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号もまた参照のこと。
【0040】
本発明の実施形態において、「単一鎖Fv−Fc抗体」または「scFv−Fc」とは、抗体のFc領域に結合したscFvを含む、操作された抗体をいう。
【0041】
本発明の実施形態において「ナノボディ(nanobody)」とは、重鎖抗体のVHHドメインをいう。そのような重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)ならびに2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。
【0042】
本発明の実施形態において、「ドメイン抗体」(例えば、VドメインまたはVドメイン)は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含む、免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片を含む。いくつかの例において、二価ドメイン抗体を生み出すために、2つまたはそれより多いV領域は、ぺプチドリンカーによって共有結合でつながれている。二価ドメイン抗体の2つのV領域は、同一または異なる抗原を標的とし得る。
【0043】
本発明の実施形態において、「二価」または「二重特異性」抗体は、2つの抗原結合部位を含む。いくつかの例において、上記2つの結合部位は、同一の抗原特異性を有する。しかしながら、二価抗体は、二重特異性であり得る。例えば、本発明は、単一のまたは異なる抗原結合特異性を有する完全な抗体、scfvダイマー、およびdsfvダイマーを含む。
【0044】
本発明の実施形態において、(dsfv)は、3つのぺプチド鎖:ぺプチドリンカーによって連結されかつ2つのV部分に対しジスルフィド架橋で結合している2つのV部分を含む。本発明の実施形態において、二重特異性dsダイアボディは、VHとVLとの間のジスルフィド架橋によって、(ぺプチドリンカーでつながれている)VL−VH部分に連結された、VH−VL(これもまたぺプチドリンカーでつながれている)を含む。本発明の実施形態において、二重特異性dsfv−dsfv’はまた、3つのぺプチド鎖:重鎖が、ぺプチドリンカー(例えば、長く柔軟なリンカー)によって連結されておりかつジスルフィド架橋によって、それぞれが、VL部分およびVL部分に結合している、VH−VH部分を含み;ここで、各ジスルフィドで組になった重鎖および軽鎖は、異なる抗原特異性を有する。本発明の実施形態において、scfvダイマー(二価ダイアボディ)は、V−V部分を含み、ここで、重鎖および軽鎖は、ぺプチドリンカーによって結合され、かつ別のそのような部分と二量体化され、これにより、一つの鎖のVは、別の鎖のVと統合され(coordinate)、そして2つの同一の結合部位を形成する。本発明の実施形態において、二重特異性ダイアボディは、(ぺプチドリンカーで連結されている)VL−VHと一緒になった、(ぺプチドリンカーで連結されている)VH−VL部分を含み、ここで上記VHおよび上記VLは統合され、ならびに、上記VHおよび上記VLは統合され、そして各統合されたセットは、多様な抗原特異性を有する。
【0045】
本発明の実施形態において、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質の抗体の集団から取得された抗体を含み、これはすなわち、集団を構成する個々の抗体が、可能であるような自然に起こる変異(これは、少ない量で存在し得る)を除き同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原エピトープに対し向けられる。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、一般に、種々のエピトープに対して向けられる(または特異的である)多数の抗体を含む。修飾語「モノクローナル」とは、抗体の実質的に均質な集団から取得されるような抗体の特徴を示し、ならびに、何れかの特定の方法による抗体の生産を必要とするとは解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、組換えによって、もしくはKohlerら(1975)Nature256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得、または、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えばClacksonら(1991)Nature352:624〜628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581〜597において記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731もまた参照のこと。
【0046】
モノクローナル抗体は、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含み、これにおいて、重鎖および/または軽鎖の一部は、特定の種に由来するまたは特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の、対応する配列と同一あるいはそれに対し相同であり、一方、鎖の残りは、別の種に由来するまたは別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の、対応する配列と同一あるいはそれに対し相同である。所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片もまた含む(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851〜6855)。例えば、可変ドメインはヒトなどの実験動物由来の抗体(「親抗体」)から取得され、ならびに、その定常ドメイン配列はイヌ抗体から取得され、そのため、結果として生じるキメラ抗体は、上記親のヒト抗体よりも、イヌの被験体において不都合な免疫応答を誘発することがおそらく少ない。
【0047】
本発明の実施形態において、本発明の組換え型抗体またはそれの抗原結合断片は、組換えによって生産される抗体であり、これは例えば、生物中に導入されたポリヌクレオチド(例えば、細菌細胞(例えば、E.coli)または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)中に形質転換された、上記抗体または上記断片をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド)から発現され、その後、上記生物から上記抗体または上記断片は単離される。
【0048】
本発明の実施形態において、抗イディオタイプ抗体または抗イディオタイプは、別の抗体分子の抗原結合領域または可変領域(イディオタイプと称される)に対する抗体である。Jerne(Jerne,N.K.,(1974)Ann.Immunol.(Paris)125c:373およびJerne,N.K.ら,(1982)EMBO 1:234)によって開示されるように、所定の抗原に対するパラト−プ(抗原結合部位)を発現する抗体分子を用いた免疫化は、一群の抗−抗体を生産し、その抗−抗体のいくらかは、上記抗原と、上記パラト−プに対する相補的構造を共有する。抗イディオタイプ抗体のサブ集団(subpopulation)を用いた免疫化は、今度は、最初の抗原に対して反応性である、抗体のサブ集団または免疫細胞のサブセット(subset)を生産する。
【0049】
本発明はまた、ラクダ化単一ドメイン抗体を含む。例えば、Muyldermansら(2001)Trends Biochem.Sci.26:230;Reichmannら(1999)J.Immunol.Methods 231:25;WO94/04678;WO94/25591;米国特許第6,005,079号(これらは、その全容が参照として本明細書に援用される)を参照のこと。Camelidae(ラクダ、ヒトコブラクダおよびラマ)は、軽鎖を欠いており、それゆえ、「重鎖」IgGまたはHCAb(重鎖抗体(heavy−chain antibody)のため)と称されるIgG抗体を含む。HCAbは、重鎖可変ドメインのみからなるため、一般的に、約95kDaの分子量を有する。HCAbは軽鎖を欠いているが、これは完全なものと同様の(authentic)抗原結合範囲を有する(Hamers−Castermanら,Nature(1993)363:446〜448;Nguyenら,Adv.Immunol.(2001)79:261〜296;Nguyenら,Immunogenetics.(2002)54:39〜47)。一実施形態において、本発明は、単一ドメイン抗体が形成される修飾を伴なった2つのVドメインを含む、単一ドメイン抗体を提供する。
【0050】
本発明の実施形態において、用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を含み、この断片は、同一ポリペプチド鎖中に、軽鎖可変ドメイン(V)に接続された重鎖可変ドメイン(V)、(V−VまたはV−V)を含む。同一鎖上の2つのドメイン間での対の形成を可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、上記ドメインは、別の鎖の相補的なドメインとの対の形成を強いられ、これにより2つの抗原結合部位が生じる。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHolligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444〜6448において、より完全に記載されている。操作された抗体改変体の概観のためには、一般的には、HolligerおよびHudson(2005)Nat.Biotechnol.23:1126〜1136を参照のこと。
【0051】
本発明の実施形態において、用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体および非ヒト(例えば、ネズミ、ラット)抗体の両方に由来する配列を含む抗体の形態を含む。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、上記可変ドメインにおける、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク(framework)(FR)領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、必要に応じて、ヒト免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含み得る。
【0052】
例えば、本発明は、15H12/19D12のCDRを含む任意のヒト化抗体を含み、例えば、ここで、同一のCDRは、非ヒト種の抗体からもともとは単離され、そしてヒト抗体のフレームワークに組み入れられた。
【0053】
本発明の抗体はまた、変更されたエフェクター機能を提供するために修飾された(またはブロックされた)Fc領域を有する抗体を含む。例えば、米国特許第5,624,821号;WO2003/086310;WO2005/120571;WO2006/0057702を参照のこと。そのような修飾は、免疫系の種々の反応を増進または抑制するために用いられ得、このことは、診断および治療においておこり得る有益な効果を伴ない得る。Fc領域の変更としては、アミノ酸の変化(置換、欠失および挿入)、グリコシル化または脱グリコシル化、および複数のFcの付加が挙げられる。Fcの変化はまた、治療抗体における抗体の半減期を変更し得、このことは、投薬頻度の低下、ならびにこれによる利便性の上昇および材料の使用の減少を可能にする。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731,734〜35を参照のこと。
【0054】
本発明の抗IGF1R抗体およびそれの抗原結合断片は、本発明の実施形態において、化学部分に結合体化される。上記化学部分は、とりわけ、ポリマー、放射性核種または細胞傷害性因子であり得る。本発明の実施形態において、上記化学部分は、投与される被験体の体において、上記抗体または上記断片の半減期を上昇させるポリマーである。ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDa、または40kDaの分子量を有するPEG)、デキストランおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が挙げられるが、これらに限定されない。Leeら,(1999)(Bioconj.Chem.10:973〜981)は、PEG結合体化単鎖抗体を開示する。Wenら,(2001)(Bioconj.Chem.12:545〜553)は、抗体を、放射性金属キレート剤(ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA))が付けられたPEGと結合体化することを開示する。
【0055】
本発明の抗体および抗原結合断片は、本発明の実施形態において、標識(99mTc、99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、H、131I、123I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Th、および40K、157Gd、55Mn、52Trおよび56Feなど)と結合体化される。
【0056】
本発明の抗体および抗原結合断片はまた、蛍光標識または化学発光標識(希土類キレートなどのフルオロフォア(fluorophore)、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアネート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、フルオレサミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン、アビジン、セイヨウワサビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ(例えば仔ウシ、エビまたは細菌)、スピン(spin)標識、ならびに安定なフリーラジカルが挙げられる)と結合体化され得る。
【0057】
本発明の抗体および抗原結合断片はまた、細胞傷害性因子(ジフテリア毒素、Pseudomonas aeruginosa体外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシン(modeccin)A鎖、α−サルシン(sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質および化合物(例えば、脂肪酸)、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytoiacca americanaタンパク質PAPI、PAPIIおよびPAP−S、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、saponaria officinalisインヒビター、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)ならびにエノマイシン(enomycin)など)に結合体化され得る。
【0058】
本発明の抗体および抗原結合断片を種々の部分に結合体化するため、当該分野で公知の任意の方法が使用され得、それらとしては、Hunterら,(1962)Nature 144:945;Davidら,(1974)Biochemistry 13:1014;Painら,(1981)J.Immunol.Meth.40:219;およびNygren,J.,(1982)Histochem.and Cytochem.30:407によって記載された方法が挙げられる。抗体を結合体化するための方法は、従来のものであり、当該分野で非常によく知られている。
【0059】
(抗体の作製)
抗体またはそれの抗原結合断片(例えば、モノクローナル抗体)を作製するための任意の適切な方法が用いられ得る。本発明は、例えば、本明細書で論じられたように、組換え型の生産方法および非組換え型の生産方法の両方を含む。非組換え型の方法は、動物の免疫化、およびその後の、免疫化された動物からの抗体または脾細胞(splenocyte)の単離(例えば、その後ハイブリドーマを生産する)を含む。例えば、レシピエントは、IGF1Rの連結されたもしくは連結されていない(例えば、天然に存在している)形態、またはそれの断片を用いて免疫され得る。任意の適切な免疫化の方法が用いられ得る。そのような方法としては、アジュバント、他の免疫賦活薬(immunostimulant)、繰り返しの追加免疫化(booster immunization)、および一つまたはそれより多い免疫化経路の使用が挙げられ得る。
【0060】
本発明の実施形態において、IGF1Rに対するヒトモノクローナル抗体が、マウス系ではなくヒト免疫系の部分を保有するトランスジェニックマウスを使用して作製される。本明細書中で「HuMAb」マウスと呼ばれ得るこれらのトランスジェニックマウスは、再配列されていないヒト重鎖(μおよびγ)ならびにκ軽鎖の免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子のミニ遺伝子座(minilocus)を、内因性のμ鎖およびκ鎖の遺伝子座を不活性化する標的変異と一緒に含む(Lonberg,N.ら,(1994)Nature 368(6474):856〜859)。したがって、上記マウスは、マウスIgMまたはマウスIgκの発現の減少を示し、そして免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖トランスジーンおよびヒト軽鎖トランスジーンは、クラススイッチおよび体細胞変異を起こし、そして高親和性のヒトIgGκモノクローナル抗体を生み出す(Lonberg,N.ら,(1994),前出;Lonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49〜101;Lonberg,N.ら,(1995)Intern.Rev.Immunol.13:65〜93、およびHarding,F.ら,(1995)Ann.N.Y Acad.Sci 764:536〜546において概説される)。HuMabマウスの調製は、当該分野において一般的に知られており、そしてそれは、例えば、Taylor,L.ら,(1992)Nucleic Acids Research 20:6287〜6295;Chen,J.ら,(1993)International Immunology 5:647〜656;Tuaillonら,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:3720〜3724;Choiら,(1993)Nature Genetics 4:117〜123;Chen,J.ら,(1993)EMBO J.12:821〜830;Tuaillonら,(1994)J Immunol.152:2912〜2920;Lonbergら,(1994)Nature 368(6474):856〜859;Lonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49〜101;Taylor,L.ら,(1994)International Immunology 6:579〜591;Lonberg,N.ら,(1995)Intern.Rev.Immunol.Vol.13:65〜93;Harding,F.ら,(1995)Ann.N.Y Acad.Sci 764:536〜546;Fishwild,D.ら,(1996)Nature Biotechnology 14:845〜851およびHardingら,(1995)Annals NY Acad.Sci.764:536〜546(これらの全ての内容は、その全容が参照として本明細書に援用される)に記載される。さらに、米国特許第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,789,650号;同第5,877,397号;同第5,661,016号;同第5,814,318号;同第5,874,299号;同第5,770,429号および同第5,545,807号;ならびに国際特許出願公開番号WO 98/24884;WO 94/25585;WO 93/12227;WO 92/22645およびWO 92/03918(これらの全ての開示は、その全容が参照として本明細書に援用される)を参照のこと。HuMAbマウスの使用は、Medarex,Inc.(Princeton,NJ)から商業的に可能である。
【0061】
IGF1Rに対する完全なヒトのモノクローナル抗体を作製するために、HuMabマウスは、Lonberg,N.ら,(1994)Nature 368(6474):856〜859;Fishwild,D.ら,(1996)Nature Biotechnology 14:845〜851およびWO 98/24884によって記載されるように、抗原性IGF1Rポリペプチドを用いて免疫化され得る。本発明の実施形態において、上記マウスは、最初の免疫化の際に、6〜16週齢である。例えば、IGF1RまたはsIGF1Rの精製された調製物は、上記HuMabマウスを免疫化するために、腹腔内に使用され得る。上記マウスはまた、IGF1R遺伝子によって安定に形質転換またはトランスフェクトされたHEK293細胞全体を用いて免疫化され得る。
【0062】
一般に、HuMAbトランスジェニックマウスは、まず、完全なFreundのアジュバント中の抗原を用いて腹腔内(i.p.)で免疫化され、その後、不完全なFreundのアジュバント中の抗原を用いて1週間おきにIP免疫化(通常は、合計で6回まで)される場合に良く応答する。マウスは、最初に、IGF1Rを発現する細胞(例えば、安定に形質転換されたHEK293細胞)によって免疫化され得、その後、IGF1Rの可溶性断片によって免疫化され得、そして上記2つの抗原を用いた交互の免疫化を引き続いて受け得る。上記免疫応答は、免疫化プロトコルの間中、眼窩後方からの採血(retroorbital bleed)によって得られる血漿サンプルを用いてモニタリングされ得る。上記血漿は、例えば、ELISAによって抗IGF1R抗体の存在についてスクリーニングされ得、そして十分な力価の免疫グロブリンを有するマウスは、融合のために使用され得る。マウスは、屠殺してその脾臓を取り出す3日前に、抗原を用いて静脈内に追加免疫化され得る。数匹のマウスが、各抗原について免疫化され得る。
【0063】
上記モノクローナルで完全なヒトの抗IGF1R抗体を生産するハイブリドーマ細胞は、当該分野において一般に知られている方法によって生産され得る。これらの方法としては、Kohlerら,(1975)(Nature 256:495〜497)によってもともとは開発されたハイブリドーマ技術、ならびにトリオーマ(trioma)技術(Heringら,(1988)Biomed.Biochim.Acta.47:211〜216およびHagiwaraら,(1993)Hum.Antibod.Hybridomas 4:15)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら,(1983)Immunology Today 4:72およびCoteら,(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 80:2026〜2030)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77〜96,1985)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態において、マウス脾細胞は単離され、そして、標準的なプロトコルに基づき、PEGを用いてマウス骨髄腫細胞株に融合される。結果として生じるハイブリドーマは、その後、抗原特異的抗体の生産についてスクリーニングされる。例えば、免疫化されたマウス由来の脾リンパ球の単一細胞懸濁物は、50%のPEGを用いて、6分の1の数のP3X63−Ag8.653非分泌性マウス骨髄腫細胞(ATCC,CRL 1580)と融合され得る。細胞は、約2×10細胞/mLで平底マイクロタイタープレート中に蒔かれ(plate)、その後、20%の胎仔クローン血清、18%の「653」馴化培地(conditioned media)、5%のorigen(IGEN)、4mMのL−グルタミン、1mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、5mMのHEPES、0.055mMの2−メルカプトエタノール、50単位/mlのペニシリン、50mg/mlのストレプトマイシン、50mg/mlのゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma;上記HATは、融合の24時間後に添加される)を含む選択培地において2週間インキュベートされる。2週間後、細胞は、上記HATがHTで置換された培地中で培養される。個々のウェルは、その後、ヒト抗IGF1RモノクローナルIgG抗体の同定のため、ELISAによってスクリーニングされる。一旦、大規模なハイブリドーマの増殖が起きると、培地は、通常、10〜14日後に観察され得る。抗体分泌性ハイブリドーマは、再び蒔かれ(replate)得、再びスクリーニングされ得、そしてヒトIgG(抗IGF1Rモノクローナル抗体)について依然としてポジティブな場合、そのハイブリドーマは、限界希釈によって少なくとも2回サブクローニングされ得る。安定なサブクローンは、その後、特徴付けのため、組織培養培地中で少量の抗体を生み出すためにインビトロで培養され得る。
【0064】
一般に、免疫グロブリン鎖の組換え生産のためには、それをコードしている核酸が単離され、そして、さらなるクローニング(そのDNAの増幅)および/または発現のため、複製可能なベクター中に挿入される。上記鎖をコードしているDNAは容易に単離され、そして、通常の手順を用いて(例えば、上記抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に対し、特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)配列決定される。多くのベクターが利用可能である。上記ベクターの構成要素としては、一般に、一つまたはそれより多い以下のものが挙げられるが、それらに限定されない:シグナル配列、複製起点、一つもしくはそれより多いマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。
【0065】
組換え型免疫グロブリンは、例えば、Cabillyの米国特許第4,816,567号;およびQueenら(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029〜10033による方法によって生産され得;またはトランスジェニックマウス中で作製され得る(Mendezら(1997)Nature Genetics 15:146〜156を参照のこと)。組換え型法は、特定の抗原に対し特異性を有する免疫グロブリン重鎖または軽鎖をコードするDNA配列を調製すること;宿主細胞(例えば、E.coliなどの細菌細胞または哺乳動物細胞)と適合性のある適切なプロモーターが作動可能に連結されている複製可能な発現ベクター中に、上記配列を挿入すること;上記ベクターを用いて上記宿主細胞を形質転換すること;上記宿主細胞を培養すること;および上記宿主細胞培養物から上記重鎖または上記軽鎖を回収することを含み得る。
【0066】
本発明の一実施形態において、本発明の抗体または断片は、公開された国際特許出願番号WO2005/040395に記載の方法に従って、酵母中で生産される。簡潔に述べると、目的の抗体の個々の軽鎖または重鎖をコードするベクターが、異なる酵母一倍体細胞(例えば、異なる接合タイプの酵母Pichia pastoris)中に導入され、これら酵母一倍体細胞は、必要に応じて、相補的栄養素要求株である。形質転換された一倍体酵母細胞は、その後、上記重鎖および上記軽鎖の両方を生産できる二倍体酵母細胞を生み出すために、接合または融合され得る。上記二倍体株は、その後、完全にアッセンブル(assemble)された生物学的に活性な抗体を分泌することが可能である。上記2つの鎖の相対的発現レベルは、例えば、異なるコピー数のベクターを用いることによって、異なる強さの転写プロモーターを用いることによって、または一つもしくは両方の鎖をコードする遺伝子の転写を駆動する誘導可能プロモーターからの発現を誘導することによって、最適化され得る。
【0067】
本発明の実施形態において、複数の異なる抗IGF1R抗体(「本来の」抗体)の各重鎖および各軽鎖は、複数の軽鎖を発現する一つの接合タイプの一倍体酵母株のライブラリー、および、複数の重鎖を発現する異なる接合タイプの一倍体酵母株のライブラリーを生み出すため、酵母一倍体細胞中に導入される。これらの一倍体株のライブラリーは、軽鎖および重鎖の種々の起こり得る前突然変異を含む、抗体の組み合わせライブラリーを発現する一連の二倍体酵母細胞を生産するため、接合(または、スフェロプラストとして融合)され得る。抗体の上記組み合わせライブラリーは、その後、その抗体の何れかが上記本来の抗体よりも優れた性質(例えば、IGF1Rに対するより高い親和力)を有するか否かを決定するために、スクリーニングされ得る。
【0068】
本発明の実施形態において、免疫グロブリン鎖は、D.Sahaに対する公開された米国特許出願番号US2005/0176099(米国特許第7,326,567号もまた参照のこと)において説明される、任意の組換え型免疫グロブリンの生産方法によって作製され得る。
【0069】
(さらなる化学療法剤)
本発明は、被験体に、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に、抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片が投与されるところの方法を含む。さらに、本発明は(i)ロイコボリン、(ii)スニチニブまたは(iii)ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共に;さらに、必要に応じてさらなる化学療法剤と共に、上記抗体または上記断片を含む組み合わせをさらに含む。さらなる治療剤としては、例えば、一つもしくはそれより多い抗がん治療剤または一つもしくはそれより多い:FLT−3インヒビター、VEGFRインヒビター、EGFR TKインヒビター、オーロラキナーゼインヒビター、mTORインヒビター、PIK−1モジュレーター、Bcl−2インヒビター、HDACインヒビター、c−METインヒビター、PARPインヒビター、Cdkインヒビター、EGFR TKインヒビター、IGFR−TKインヒビター、抗HGF抗体、PI3キナーゼインヒビター、AKTインヒビター、JAK/STATインヒビター、チェックポイント−1もしくは2インヒビター、接着斑キナーゼインヒビター、Mapキナーゼキナーゼ(mek)インヒビター、またはVEGFトラップ抗体が挙げられる。
【0070】
本発明の実施形態において、さらなる化学療法剤は、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴッシポール、Bio 111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ギマテカン、IL 13−PE38QQR、INO 1001、IPdR、KRX−0402、ルカントン、LY 317615、ノイラジアブ、ビテスパン、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS−100380、
【0071】
【化16】

【0072】
【化17】

ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]二ナトリウム塩七水和物、カンプトテシン、イリノテカン;PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合体化エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258、
【0073】
【化18】

);3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly 10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセテート[C59841814・(C(式中、x=1〜2.4)]、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、パモ酸トリプトレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファーニブ、
【0074】
【化19】

、BMS−214662、ティピファニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、カルメット‐ゲラン杆菌(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−シス−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコフォルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、クレモフォール非含有パクリタキセルもしくはドセタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS−247550、BMS−310705、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424、HMR−3339、ZK 186619、トポテカン、PTK787/ZK 222584、VX−745、PD 184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロナート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドマイド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、オールトランスレチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジトロナート、ミトタン、シクロスポリン、リポソームダウノルビシン、Edwina−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、およびダルベポエチンαのうちの一つ以上である。
【0075】
悪心は、多くの抗がん処置の不愉快な副作用である。従って、この問題にある程度対処するため、本発明の範囲はまた、被験体に、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に;さらに一つまたはそれより多い制吐薬と共に、抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片が投与される方法を含む。制吐薬としては、カソピタント(casopitant)(GlaxoSmithKline)、Netupitant(MGI−Helsinn)および他のNK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン(palonosetron)(AloxiとしてMGI Pharmaから販売)、アプレピタント(aprepitant)(EmendとしてMerck and Co.;Rahway,NJから販売)、ジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標)としてPfizer;New York,NYから販売)、ヒドロキシジン(Atarax(登録商標)としてPfizer;New York,NYから販売)、メトクロプラミド(metoclopramide)(Reglan(登録商標)としてAH Robins Co,;Richmond,VAから販売)、ロラゼパム(Ativan(登録商標)としてWyeth;Madison,NJから販売)、アルプラゾラム(Xanax(登録商標)としてPfizer;New York,NYから販売)、ハロペリドール(Haldol(登録商標)としてOrtho−McNeil;Raritan,NJから販売)、ドロペリドール(Inapsine(登録商標))、ドロナビノール(dronabinol)(Marinol(登録商標)としてSolvay Pharmaceuticals,Inc.;Marietta,GAから販売)、デキサメタゾン(Decadron(登録商標)としてMerck and Co.;Rahway,NJから販売)、メチルプレドニゾロン(Medrol(登録商標)としてPfizer;New York,NYから販売)、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park,NCから販売)、グラニセトロン(Kytril(登録商標)としてHoffmann−La Roche Inc.;Nutley,NJから販売)、オンダンセトロン(Zofran(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park,NCから販売)、ドラセトロン(dolasetron)(Anzemet(登録商標)としてSanofi−Aventis;New York,NYから販売)、トロピセトロン(tropisetron)(Navoban(登録商標)としてNovartis;East Hanover,NJから販売)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
がんの処置の他の副作用としては、赤血球および白血球の欠乏が挙げられる。従って、本発明は、被験体に、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に;さらにそのような欠乏を処置または予防する剤(例えば、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンαまたはダルベポエチンαなど)と共に、抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片が投与される方法を含む。
【0077】
用語「と共に」は、本発明の方法に関連して投与される組成物の成分が、同時送達のため単一組成物中に処方され得ること、または、2つもしくはそれより多い組成物(例えば、キット)中に別個に処方され得ることを示す。さらに、各成分は、他の成分が投与されるときとは異なる時間に、被験体に投与され得る;例えば、各投与は、所定の時間の期間の間、一つまたはそれより多い間隔で、同時ではなく(例えば、別個にまたは連続的に)与えられ得る。さらに、上記別個の成分は、同一の経路から、または異なる経路から被験体に投与され得る。
【0078】
上で論じられたように、本発明の実施形態において、被験体は、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に、および必要に応じてさらなる化学療法剤(さらなる抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片など)と共に、本発明の抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片が投与される。本発明の実施形態において、しかしながら、上記さらなる化学療法剤は、その抗体または断片が、2C6軽鎖もしくは重鎖免疫グロブリンまたは9H2軽鎖もしくは重鎖免疫グロブリンまたはそれらのあらゆるCDRまたはそれらの断片(例えば、それらの抗原結合断片)を含まないという条件で、別の抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片である。
【0079】
【化20】

【0080】
【化21】

(ロイコボリン/5−フルオロウラシル/スニチニブ)
本発明は、本明細書で論じられたように、(i)ロイコボリン、(ii)スニチニブまたは(iii)ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共に;さらに必要に応じてさらなる化学療法剤と共に、抗IGF1R抗体または断片を含む組み合わせ;ならびに、そのような組み合わせを用いて結腸直腸がんを処置する方法を含む。
【0081】
本発明の実施形態において、ロイコボリン(フォリン酸およびシトロボラム(citrovorum)因子としても知られる)は、以下の構造式:
【0082】
【化22】

で表される。上記用語は、ホリン酸カルシウム塩(salt calcium folinate)(またはロイコボリンカルシウム)を含む。例えば、ロイコボリンカルシウム処方物は、Wellcovorin(登録商標)としてGlaxoSmithKlineから販売されている。
【0083】
本発明の実施形態において、5−フルオロウラシルは、以下の構造式:
【0084】
【化23】

で表される。例えば、5−フルオロウラシル処方物は、Adrucilとして販売されている。
【0085】
本発明の実施形態において、スニチニブは、以下の構造式:
【0086】
【化24】

(例えば、それのブタン二酸)で表される。例えば、米国特許第6,573,293号;および同第7,125,905号を参照のこと。例えば、リンゴ酸スニチニブ処方物は、Sutent(登録商標)としてPfizer,Inc.から販売されている。
【0087】
(治療方法、投与量および投与)
本発明の方法は、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルを伴なうまたはスニチニブを伴なう、治療上有効な投与量の本発明のIGF1R抗体またはそれの抗原結合断片の投与を含む。本発明の実施形態において、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルまたはスニチニブの投与ならびに投与量は、可能であるときは、Physicians’Desk Reference 2003(Physicians’Desk Reference,57th Ed);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;57th edition(2002年11月)中の承認された剤の製品情報シートに列挙されたスケジュール、および当該分野で周知の治療プロトコルに従って提供される。
【0088】
本発明の実施形態において、ロイコボリンは、静脈内または経口投与される。一般に、ロイコボリンは、クモ膜下腔に投与されるべきではない。5−フルオロウラシルは、本発明の実施形態において、ボーラスまたは注入によって静脈内に投与される。本発明の実施形態において、スニチニブは、経口投与される。本発明の実施形態において、本発明の抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片は、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内または腫瘍内)投与される。
【0089】
本発明の範囲は、例えば、骨肉種、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、任意の小児がん、腎臓がん、白血病、腎移行細胞がん、ウェルナー−モリソン症候群、先端巨大症、膀胱がん、ウィルムスがん、卵巣がん、膵臓がん、良性前立腺増殖症、乳がん、前立腺がん、骨がん、肺がん、胃がん、子宮頸がん(cervical cancer)、滑膜肉腫、転移性カルチノイドに関連する下痢、血管作用性腸管ペプチド分泌性腫瘍、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、平滑筋の血管再狭窄および不適切な微小血管増殖、頭頸部がん、扁平上皮細胞癌、多発性骨髄腫、孤立性プラスマ細胞腫、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、生殖細胞腫瘍、胚芽細胞腫、肝細胞癌、黒色腫、腎臓の杆状腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、血液悪性疾患、慢性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病、肥満細胞性白血病、肥満細胞性新生物、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉症、シーリー(seary)症候群、皮膚T細胞リンパ腫、慢性骨髄増殖性障害、中枢神経系腫瘍、脳がん、膠芽細胞腫、非膠芽細胞腫脳がん、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原始神経外胚葉腫瘍、髄芽細胞腫、神経膠星状細胞腫、未分化神経膠星状細胞腫、希突起神経膠腫、脳室上衣細胞腫および脈絡叢乳頭腫、骨髄増殖性障害、真性赤血球増加症、血小板血症、特発性骨髄線維症、軟組織肉腫、甲状腺がん、子宮内膜がん、カルチノイドがん、生殖細胞腫瘍、肝臓がん、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、平滑筋の血管再狭窄、不適切な微小血管増殖、先端巨大症、巨人症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、平滑筋の血管再狭窄または不適切な微小血管増殖、グレーブス病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫甲状腺炎、ならびにベーチェット病などの、IGF1Rの発現もしくは活性またはIGF1Rの任意のリガンド(IGF−1またはIGF−2など)の発現もしくは活性によって媒介されるあらゆる医学的障害を、ロイコボリン、スニチニブと共に、またはロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共に;さらに必要に応じてさらなる化学療法剤(例えば、本明細書で論じたようなもの)と共に、治療上有効な量の抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片を投与することによって、予防または処置するための方法をさらに含む。
【0090】
用語、結腸直腸がんは、結腸および/または直腸の全てのがんを含む。例えば、この用語は、結腸の腺癌(例えば、ムチン(コロイド)腺癌または環状体腺癌)を含む。この用語に含まれる他のタイプの直腸がんとしては、以下の様々な結腸がんが挙げられる:神経内分泌性、リンパ腫、黒色腫、扁平上皮細胞、肉腫およびカルチノイド。
【0091】
用語、結腸直腸がんはまた、例えば、Modified Duke Staging SystemまたはTNMシステム(腫瘍、結節、転移性)の下での、結腸直腸がんの全ての病期を含む。これらのシステムに関連付けられるステージは、当該分野の専門家に周知である。
【0092】
本発明の実施形態において、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に、本発明のIGF1R抗体またはそれの抗原結合断片は、結腸直腸がんを処置または予防するために被験体に投与され、ここで、上記被験体は、結腸直腸がんに対する素因を有する。例えば、本発明の実施形態において、患者は、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、遺伝性非ポリポーシス結腸がん(HNPCC)(すなわち、リンチI症候群もしくはリンチII症候群)、炎症性腸疾患(慢性潰瘍性大腸炎(UC)もしくはクローン病など)、他の家族性がん症候群(例えば、ポイツ−ジェガーズ症候群および家族性若年性ポリポーシス)、または腺腫様ポリープ(例えば、無茎性(幅のある基部を有するが茎が無い、扁平な形状);管状(ポリープの外表面から下方に伸びる管状腺からなる);絨毛性(腸粘膜の表面から外側に伸びる指状の上皮突起からなる);有茎性(細い基部および長い茎によってつながれている))を有する。別の本発明の実施形態において、上記被験体は、上記の任意の素因に苦しんでいない。
【0093】
HNPCCは、本発明の実施形態において、MLH1、MSH2、PMS1、PMS2、およびMSH6などの一つまたはそれより多い遺伝子によって媒介され、ならびに、結腸直腸がんなどのいくつかのがんへの危険性の上昇によって特徴付けられる。HNPCCは、常染色体の優性形質として遺伝し、ならびに、リンチI症候群およびリンチII症候群を含む。本発明の実施形態において、リンチI症候群は、右側優性を有する結腸直腸がん、および大部分は早期発症型の近位結腸癌に対する家族性の素因によって特徴付けられる。本発明の実施形態において、リンチ症候群IIは、結腸がんに対する素因に加えて、他の一次性がんへの家族性の素因によっても特徴付けられる。
【0094】
本発明の実施形態において、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)は、遺伝する病状であり、この病状において、多数のポリープが、主に大腸の上皮に形成される。一般に、これらのポリープは、初めは良性であるが、処置されない場合、結腸がんへの悪性転換が起こる。
【0095】
本発明の実施形態において、炎症性腸疾患は、腸管の(例えば、赤くはれた)炎症を引き起こす原因となる障害の一群の名前である。一般に、潰瘍性大腸炎およびクローン病は、炎症性腸疾患として分類される。潰瘍性大腸炎は、結腸中の特徴的な潰瘍または開放性の潰瘍(open sore)を含む、大腸炎の形態である。本発明の実施形態において、クローン病は、腸管の慢性炎症性疾患である。これは、最初は、小腸および大腸の潰瘍化を引き起こす(内側の面を痛める)が、口から肛門のまでのあらゆる消化器系に影響し得る。クローン病はまた、肉芽腫性腸炎もしくは大腸炎、限局性腸炎、回腸炎または限局性腸炎(terminal ileitis)と呼ばれる。
【0096】
本発明の実施形態において、ポイツ−ジェガーズ(PJ)症候群は、胃腸のポリープおよび皮膚上の雀斑を引き起こす、遺伝性の病状である。ポイツ−ジェガーズの原因は、第19番染色体上のLKB1またはSTK11遺伝子中の、遺伝的に受け継がれる変異である。上記変異は、良性および癌性の腫瘍に対する素因となるようである。
【0097】
本発明の実施形態において、家族性若年性ポリポーシス(FJP)は、胃腸(GI)管の複数の若年性ポリープによって特徴付けられる、常染色体優性の病状である。家系図(kindred)が描かれており、そのなかで、結腸のみ、上部GI管または上部および下部両方のGI管の関与があった。FJPは、過誤腫ポリポーシス症候群である。PJSにおけるポリープは、真性の過誤腫であるが、いくつかは、腺腫様へと変化し得、そのため、これらのファミリーのメンバーは、胃腸の悪性腫瘍に対する危険性を上昇させる。上記PJS遺伝子は、比較ゲノムハイブリダイゼーション(comparative genomic hybridization)およびリンケージによって染色体19pにマッピングされ、そして生殖細胞系での変異が、セリンスレオニンキナーゼ遺伝子であるLKB1中で同定された。
【0098】
本発明の実施形態において、結腸および直腸の腺腫様ポリープ(腺腫)は、結腸直腸がんへの前駆体病巣であり得る、良性(非癌性)増殖である。一般に、直径が1センチメートルよりも大きいポリープは、より高いがんの危険と関連付けられる。ポリープが、除去されない場合、それらは、一般に、増殖を続け、そして癌性となり得る。
【0099】
本発明は、結腸直腸がんを処置または予防するための方法を含み、この方法は、スニチニブと共にまたはロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共に、治療上有効な量または投与量の抗IGF1Rまたはそれの抗原結合断片を投与することを含む。用語「治療上有効な量」または「治療上有効な投与量」は、管理者(研究者、医師または獣医師など)によって求められる、組織、システム、患者、被験体もしくは宿主の生物学的または医学的応答を引き出す、本発明の抗体もしくはそれの抗原結合断片または他の治療剤もしくはそれらの組み合わせまたはそれらの組成物の量または投与量を意味し、上記生物学的または医学的応答は、任意の(少しであっても)程度までの、結腸直腸がんの進行の予防、減速または停止を含む、結腸直腸がんの徴候、症状および/または臨床上の兆候(例えば、腫瘍増殖および/または転移)の任意の測定可能な緩和を含む。
【0100】
本発明の実施形態において、スニチニブの治療上有効な用量は、例えば、4週間の処置後、2週間の休止のスケジュール(例えば、食物を伴なってまたは伴わずに服用する)において、毎日1回服用される1回約50mgの経口用量である。本発明の実施形態において、ロイコボリンの治療上有効な投与量は、例えば静脈内注入による、約200mg/mである。本発明の実施形態において、5−フルオロウラシルの治療上有効な投与量は、例えば静脈内ボーラスまたは注入による、約400mg/m〜600mg/mである。
【0101】
抗IGF1R抗体およびそれの抗原結合断片ならびにそれらの組成物は、本発明の実施形態において、治療上有効な投与量で投与される。例えば、本発明の一実施形態において、本発明の任意の抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片の「治療上有効な投与量」は、1週間に約1度から3週間に約1度(例えば、1週間に約1度または2週間に約1度または3週間に約1度)で、体重1kg当たり約0.3mgと約20mgとの間(例えば、体重1kg当たり約0.3mg、体重1kg当たり約0.6mg、体重1kg当たり約0.9mg、体重1kg当たり約1mg、体重1kg当たり約2mg、体重1kg当たり約3mg、体重1kg当たり約4mg、体重1kg当たり約5mg、体重1kg当たり約6mg、体重1kg当たり約7mg、体重1kg当たり約8mg、体重1kg当たり約9mg、体重1kg当たり約10mg、体重1kg当たり約11mg、体重1kg当たり約12mg、体重1kg当たり約13mg、体重1kg当たり約14mg、体重1kg当たり約15mg、体重1kg当たり約16mg、体重1kg当たり約17mg、体重1kg当たり約18mg、体重1kg当たり約19mg、体重1kg当たり約20mg)である。
【0102】
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療の応答)を提供するために調節され得る。例えば、期間にわたって、単一用量が投与され得、もしくはいくつかに分割された用量が投与され得、またはその用量は、切迫した事態または治療状態の特定の状況もしくは必要性が示されるにつれて、比例して低減または上昇され得る。例えば、投与量は、患者の年齢、体重、身長、過去の病歴、現在の薬物適用ならびに交叉反応、アレルギー、感受性および不都合な副作用についての潜在性に応じて、当該分野の専門家(例えば、医師または獣医師)によって、決定または調節され得る。例えば、医師または獣医師は、本発明の抗体もしくは抗原結合断片またはそれらの組成物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで開始し得、そして上記所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に上昇させ得る。本発明の抗体または組み合わせの所定の用量または処置レジメンの有効性は、例えば、被験体において処置される腫瘍が減るかまたは増殖を停止するか否かを決定することにより決定され得る。腫瘍の大きさおよび進行は、例えば、X線、磁気共鳴画像法(MRI)または外科的手順において視覚的に、容易に決定され得る。一般に、腫瘍の大きさおよび増殖は、チミジンPETスキャンの使用により測定され得る(例えば、Wellsら,Clin.Oncol.8:7〜14(1996)を参照のこと)。一般的に、上記チミジンPETスキャンは、放射性トレーサ([2−11C]−チミジンなど)の注射とその後の、患者の体のPETスキャンを含む(Vander Borghtら,Gastroenterology 101:794〜799,1991;Vander Borghtら,J.Radiat.Appl.Instrum.Part A,42:103〜104(1991))。使用され得る他のトレーサとしては、[18F]−FDG(18−フルオロデオキシグルコース)、[124I]IUdR(5−[124I]ヨード−2’−デオキシウリジン)、[76Br]BrdUrd(ブロモデオキシウリジン)、[18F]FLT(3’−デオキシ−3’フルオロチミジン)、または[11C]FMAU(2’−フルオロ−5−メチル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル)が挙げられる。
【0103】
例えば、結腸直腸がんまたは結腸がんの進行は、医師によって、種々の方法によりモニターされ得、そして投与レジメンは、それ従って変更され得る。結腸直腸がんまたは結腸がんをモニターするため方法としては、CTスキャン、MRIスキャン、胸部のX線、PETスキャン、便潜血検査(FOBT)、軟性直腸S状結腸鏡検査法、全結腸鏡検査、およびバリウム注腸が挙げられる。
【0104】
用語「被験体」または「患者」は、ヒトを含む任意の哺乳動物(例えば、霊長類、イヌ、ウマ、ラット、マウス、ネコ、ウサギ)を含む。本発明の実施形態において、「被験体」または「患者」は、成人のヒト(例えば、18歳もしくはそれより上の年齢)またはヒトの子ども(例えば、18歳未満、例えば、1、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10歳未満)であり;または女性もしくは男性である。
【0105】
(薬学的組成物)
薬学的に受容可能なキャリアを伴った本発明の抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片を含む薬学的組成物を投与することによって、結腸直腸がんを処置または予防するための方法はまた、本発明の範囲内であり(それらは例えば、単一組成物中にあるか、またはキットのなかで別個にある)、また上記薬学的組成物を含む組み合わせおよび組成物である。上記薬学的組成物は、調剤分野において周知である任意の方法によって調製され得る;例えば、Gilmanら,(eds.)(1990),The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Press;A.Gennaro(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania.;Avisら,(eds.)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York;Liebermanら,(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York;およびLiebermanら,(eds.)(1990),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New Yorkを参照のこと。本発明の実施形態において、上記抗体またはそれの抗原結合断片は、約5.5から約6.0(例えば、5.5.、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0)のpHにおいて、2.30mg/mlの酢酸ナトリウム(例えば、USP三水和物);0.18mg/mlの氷酢酸(例えば、USP/Ph.Eur);70.0mg/mlのスクロース(例えば、エキストラピュア(extra pure)NF、Ph.Eur、BP);20.0mg/mlの抗IGF1R抗体またはそれの抗原結合断片、および、例えば、滅菌水などの水(例えば、USP/Ph.Eur注射のため)を含む薬学的組成物の一部として被験体に投与される。それらの凍結乾燥された粉末(これもまた本発明の一部である)が調製される場合、使用のために上記組成物を再構成(reconstitute)するため、水が添加される。
【0106】
本発明の抗体またはそれの抗原結合断片を含む薬学的組成物(必要に応じてさらなる化学療法剤を伴なう)は、従来の薬学的に受容可能な賦形剤および添加物ならびに従来の技術を用いて調製され得る。そのような薬学的に受容可能な賦形剤および添加物としては、無毒の適合性充填剤、結合剤、崩壊剤、緩衝液、保存薬、抗酸化剤、潤滑剤、矯味矯臭薬、増粘剤、着色剤、乳化剤などが挙げられる。投与の全経路が意図され、それらとしては、非経口経路(例えば、皮下経路、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、局所的経路、腹腔内(intra−peritoneal)経路、吸入経路、頭蓋内経路)および非経口的ではない(non−parenteral)経路(例えば、経口経路、経皮経路、鼻内経路、眼内経路、舌下経路、直腸経路および局所的経路)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
注射可能物は、従来の形態(液体の溶液もしくは懸濁物として、注射前の液体中の溶液もしくは懸濁物のために適切である固体の形態として、またはエマルジョンとしてのいずれか)で調製され得る。上記の注射可能物、溶液、およびエマルジョンはまた、一つまたはそれより多い賦形剤を含み得る。賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、またはエタノールが挙げられる。加えて、所望の場合、投与される上記薬学的組成物はまた、少量の加湿薬または乳化剤、pH緩衝剤、安定薬、溶解度のエンハンサー、および他の類似の剤(例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、およびシクロデキストリンなど)などの無毒性の補助的物質を含み得る。
【0108】
本発明の実施形態において、非経口調製物において用いられる薬学的に受容可能なキャリアとしては、水性のビヒクル、非水性のビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に受容可能な物質が挙げられる。
【0109】
水性のビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射剤、リンガー液、等張性ブドウ糖注射剤、滅菌水注射剤、ブドウ糖および乳酸加リンガー液が挙げられる。非水性非経口のビヒクルとしては、植物由来の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、および落花生油が挙げられる。静菌性の濃度または静真菌性の濃度における抗菌剤は、複数用量の容器に詰められた非経口調製物に添加され得、そのようなものとしては、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルおよびp−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムが挙げられる。等張剤としては、塩化ナトリウムおよびブドウ糖が挙げられる。緩衝液としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられる。抗酸化剤としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔薬としては、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(TWEEN−80)が挙げられる。金属イオンの金属イオン封鎖剤またはキレート剤としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)またはEGTA(エチレングリコール四酢酸)が挙げられる。薬学的キャリアとしてはまた、エチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール(水混和性のビヒクルのため);ならびに水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸(pH調節のため)が挙げられ得る。
【0110】
本発明の実施形態において、非経口投与のための調製物としては、注射のための準備ができた滅菌溶液、使用の直前に溶媒と組み合わされる準備ができた、凍結乾燥された粉末などの滅菌乾燥可溶性製品(皮下注射用錠剤を含む)、注射のための準備ができた滅菌懸濁物、使用の直前にビヒクルと組み合わされる準備ができた滅菌乾燥不溶性製品、および滅菌エマルジョンが挙げられ得る。上記溶液は、水性または非水性のいずれかであり得る。
【0111】
本発明の抗体またはそれの抗原結合断片(これは、必要に応じてさらなる化学療法剤を伴なう)の濃度は、注射が所望の薬理学的効果をもたらすための有効量を提供するように、調節され得る。本明細書で論じられるように、正確な用量は、当該分野で公知のように、患者または動物の年齢、体重、および状態に一部依存する。
【0112】
本発明の実施形態において、単位用量の非経口調製物は、アンプル、バイアル、または針を有する注射器中に詰められる。非経口投与のための全ての調製物は、当該分野において公知でありかつ実施されているように、無菌でなけれらばならない。
【0113】
本発明の実施形態において、無菌の凍結乾燥された粉末は、上記抗体またはそれの抗原結合断片(これは必要に応じてさらなる化学療法剤またはそれの薬学的に受容可能な誘導体を伴なう)を、適切な溶媒中に溶解させることにより調製される。上記溶媒は、上記粉末または(上記粉末から調製された)再構成された溶液の安定性または他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含み得る。用いられ得る賦形剤としては、ブドウ糖、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の適切な剤が挙げられるが、これらに限定されない。上記溶媒はまた、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、または当業者に公知である他の類似の緩衝液などの緩衝液を含み得、一実施形態において、pHはおよそ中性であり得る。当業者に公知である標準的な条件下での、その後の溶液の滅菌濾過と、後の凍結乾燥は、望ましい処方物を提供する。一実施形態において、結果として生じた溶液は凍結乾燥のためバイアル中に分配される。各バイアルは、抗IGF1R抗体もしくはそれの抗原結合断片またはそれらの組成物の単一投与量あるいは複数投与量を含み得る。一用量または一連の用量のために必要とされる、少量の超過を有する過剰充填(overfilling)バイアル(例えば、約10%)は、正確なサンプルの回収および正確な投与量を助長するために、受容可能である。上記凍結乾燥された粉末は、適切な条件下(約4℃から室温など)で保存され得る。
【0114】
注射のための、凍結乾燥された粉末の、水を用いた再構成は、非経口投与における使用のための処方物を提供する。本発明の実施形態において、再構成のために、上記凍結乾燥された粉末は、滅菌水または他の適切な液体キャリアに添加される。その正確な量は、選択された与えられる治療に依存する。そのような量は経験的に決定され得る。
【0115】
吸入による投与は、例えば、トリオレイン酸ソルビタンまたはオレイン酸を含むエアロゾルを、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは任意の他の生物学的に適合性のある高圧ガスと共に使用することにより提供され得る;必要に応じてさらなる化学療法剤を伴なうIGF1Rインヒビターを含むシステムを、粉末の形態において、単独でまたは賦形剤と共に使用することもまた可能である。
【0116】
一定の投与量レベルが維持されるような遅延放出(slow−release)系または持続放出(sustained−release)系の移植もまた、本明細書中で意図される。簡潔に述べると、活性物質(例えば、必要に応じてさらなる化学療法剤を伴なう抗IGF1R)は、固体の内部マトリックス(例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然のゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールおよび部分的に加水分解された架橋ポリ酢酸ビニル)中で分散し、これら固体の内部マトリックスは、体液に不溶である外部のポリマー膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルを有する塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、またはエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー)によって囲まれている。上記抗体または上記断片は、放出速度制御工程において外部のポリマー膜を通して拡散する。そのような非経口組成物中に含まれる活性物質のパーセンテージは、それらの特異的性質、および必要に応じてさらなる化学療法剤を伴なう上記抗体または上記抗原結合断片の活性、ならびに被験体のニーズに強く依存する。
【0117】
本明細書で説明される剤は、単層小胞(ULV)および多層小胞(MLV)リポソームならびにDepoFoamTM粒子などのリポソーム処方物を含む持続放出の処方物中に処方され得る(Kimら,Biochim.Biophys.Acta(1983)728(3):339〜348;Kim,Methods Neurosci.(1994)21:118〜131;Kimら,Anesthesiology(1996)85(2):331〜338;Katreら,J.Pharm.Sci.(1998)87(11):1341〜1346)。DepoFoamシステムの特徴は、各DepoFoam粒子の内部において、内部の不連続な水性のチャンバー(chamber)(これは脂質膜の連続的な非同心性のネットワークによって境界が引かれている)が、脂質に対する水性量のより高い比、およびMLVと比較してより大きな粒子直径を与えることである。
【0118】
本発明の実施形態において、スニチニブは、リンゴ酸スニチニブであり、そして本発明の実施形態において、上記スニチニブは、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、プロビドン(povidone)(K−25)およびステアリン酸マグネシウム(不活性な成分として)と一緒に、リンゴ酸スニチニブ(12.5mg、25mgまたは50mgのスニチニブ相当量)を含むカプセル剤において供給される。
【0119】
本発明の実施形態において、ロイコボリンは、ロイコボリンカルシウムであり、そして本発明の実施形態において、上記ロイコボリンは、5mgのロイコボリン(5.40mgの無水ロイコボリンカルシウムに相当)および以下の不活性な成分:コーンスターチ、第二リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、およびアルファ化デンプンを含む錠剤中にあり;または15mgのロイコボリン(16.20mgの無水ロイコボリンカルシウムに相当)および以下の不活性な成分:ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、微晶質セルロース、アルファ化デンプン、およびデンプングリコール酸ナトリウムを含む錠剤中にある。
【0120】
本発明の実施形態において、5−フルオロウラシルは、静脈内投与のための、無色から薄黄色で、水性で、滅菌された、非発熱性(nonpyrogenic)の注射可能な溶液であり、ここで、各10mLは、500mgのフルオロウラシルを含み;そしてここで、必要である場合、pHは、水酸化ナトリウムおよび塩酸を用いて8.6から9.4に調節される。
【実施例】
【0121】
(実施例)
本発明は、本発明を例証することを意図し、本発明の制限となることは意図しない。以下に開示される方法および組成物は、本発明の範囲内である。
【0122】
(実施例1:異種移植モデルにおける結腸直腸腫瘍の増殖阻害)
この実施例において、異種移植モデルにおける結腸直腸腫瘍の増殖を処置するための処置レジメン(これは、スニチニブと共にまたは5−フルオロウラシルおよびロイコボリンと共に抗IGF1Rを含む)の効能を実証した。
【0123】
これらの実験において、Matrigelと1:1で混合した500万個のWiDrヒト結腸直腸の腺癌細胞を、各ヌードマウス(nu/nu)の側腹部に、皮下接種した。上記腫瘍が平均100mmの大きさに達した場合に、抗IGF1Rおよび/または第二の化学療法剤(スニチニブまたはロイコボリン/5−フルオロウラシル)の投与を始めた。抗IGF1R抗体、ロイコボリン、5−FUおよびスニチニブのために用いられたビヒクルは、生理食塩水(0.9%NaCl)であった。
【0124】
抗IGF1Rならびに5−フルオロウラシルおよびロイコボリンを用いて処置されるマウスを扱うための処置レジメンを、表1で説明する。
【0125】
【表1】

これらの実験の結果を、以下の表2において説明する。
【0126】
【表2】

a:処置された群は、コントロール群よりも有意に状態がよい(better)ことを示す(p<0.05)。
b:組み合わせで処置された群は、単独で使用されたいずれかの単一剤で処置された群よりも有意に状態がよいことを示す(p<0.05)。
【0127】
期間にわたる、各処置群の上記腫瘍の大きさの平均(およびその平均の標準誤差)を、以下の表3において要約する。
【0128】
【表3】

抗IGF1Rおよびスニチニブを用いて処置されるマウスを扱うための処置レジメンを、表4で説明する。
【0129】
【表4】

これらの実験の結果を、以下の表5において説明する。
【0130】
【表5】

a:処置された群は、コントロール群よりも有意に状態がよいことを示す(p<0.05)。
b:組み合わせで処置された群は、単独で使用されたいずれかの単一剤で処置された群よりも有意に状態がよいことを示す(p<0.05)。
【0131】
期間にわたる、各処置群の上記腫瘍の大きさの平均(およびその平均の標準誤差)を、以下の表6において要約する。
【0132】
【表6】

抗IGF1R=LCF/HCA(γ1,κ)
5−FU=5−フルオロウラシル
^IP=腹腔内注射によって投与
±PO=経口的に投与(経口)
£QD=1日1回(投与スケジュール)
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態による範囲内に制限されることはない。それどころか、本発明の範囲は、本明細書で明確に説明された実施形態および本明細書で明確に説明されていない他の実施形態を含む;本明細書で明確に説明された実施形態は、必ずしも、網羅的であると意図されない。本明細書に記載された変更に加えて、本発明の種々の改変は、上記の説明から、当業者に対し明白となる。そのような変更は、特許請求の範囲内であると意図される。
【0133】
特許、特許出願、刊行物、製品の説明書、およびプロトコルは、この出願を通して引用され、それらの開示は、全ての目的のため、その全容が参照として本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の結腸直腸がんを処置または予防するための方法であって、該方法は、ロイコボリンおよび5−フルオロウラシルと共にまたはスニチニブと共に、治療上有効な量の単離された抗体またはそれの抗原結合断片を投与することを含み、該単離された抗体またはそれの抗原結合断片は、
(a)軽鎖C、軽鎖D、軽鎖Eもしくは軽鎖Fの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;からなる群、または、
(b)重鎖Aもしくは重鎖Bの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;からなる群、または、
それらの両方からなる群、
より選択される、一つまたはそれより多いメンバーを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ここで:
CDR−L1は、アミノ酸配列:Arg Ala Ser Gln Ser Ile Gly Ser Ser Leu His(配列番号:1)を含み;
CDR−L2は、アミノ酸配列:Tyr Ala Ser Gln Ser Leu Ser(配列番号:2)を含み;
CDR−L3は、アミノ酸配列:His Gln Ser Ser Arg Leu Pro His Thr(配列番号:3)を含み;
CDR−H1は、アミノ酸配列:Ser Phe Ala Met His(配列番号:4)またはGly Phe Thr Phe Ser Ser Phe Ala Met His(配列番号:5)を含み;
CDR−H2は、アミノ酸配列:Val Ile Asp Thr Arg Gly Ala Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys Gly(配列番号:6)を含み;および
CDR−H3は、アミノ酸配列:Leu Gly Asn Phe Tyr Tyr Gly Met Asp Val(配列番号:7)を含む、方法。
【請求項3】
前記抗体または前記断片は、配列番号:9、11、13または15のアミノ酸20〜128を含む軽鎖可変領域、および、配列番号:17または19のアミノ酸20〜137を含む重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体または前記抗原結合断片は、モノクローナル抗体の抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、ここで、前記抗体または前記断片は抗体であり、そして該抗体は、標識された抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え型抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、ここで、前記抗体または前記断片は断片であり、そして該断片は、ラクダ化単一ドメイン抗体、ダイアボディ、scfv、scfvダイマー、dsfv、(dsfv)、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、ナノボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)またはドメイン抗体である、方法。
【請求項7】
前記抗体または前記断片が、定常領域に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記定常領域が、κ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖またはγ4重鎖である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記被験体は、さらなる化学療法剤または抗がん治療手順が施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記抗がん治療手順は、抗がん放射線治療または外科的腫瘍摘出術である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記さらなる化学療法剤は、抗がん化学療法剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記さらなる化学療法剤は:エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3インヒビター、VEGFRインヒビター、EGFR TKインヒビター、オーロラキナーゼインヒビター、PIK−1モジュレーター、Bcl−2インヒビター、HDACインヒビター、c−METインヒビター、PARPインヒビター、Cdkインヒビター、EGFR TKインヒビター、IGFR−TKインヒビター、抗HGF抗体、PI3キナーゼインヒビター、AKTインヒビター、JAK/STATインヒビター、チェックポイント−1または2インヒビター、接着斑キナーゼインヒビター、Mapキナーゼキナーゼ(mek)インヒビター、VEGFトラップ抗体、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴッシポール、Bio 111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ギマテカン、IL 13−PE38QQR、INO 1001、IPdR、KRX−0402、ルカントン、LY 317615、ノイラジアブ、ビテスパン、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS−100380、
【化25】

ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]二ナトリウム塩七水和物、カンプトテシン、イリノテカン;PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合体化エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258、
【化26】

);3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly 10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセテート[C59841814・(C(式中、x=1〜2.4)]、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、パモ酸トリプトレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファーニブ、
【化27】

、BMS−214662、ティピファニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、カルメット‐ゲラン杆菌(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−シス−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコフォルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、クレモフォール非含有パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS−247550、BMS−310705、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424、HMR−3339、ZK 186619、トポテカン、PTK787/ZK 222584、VX−745、PD 184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロナート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドマイド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、オールトランスレチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジトロナート、ミトタン、シクロスポリン、リポソームダウノルビシン、Edwina−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、およびダルベポエチンα、からなる群より選択される、一つまたはそれより多いメンバーである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体または前記断片、前記ロイコボリン、前記5−フルオロウラシルおよび前記スニチニブは、別個の薬学的組成物中にあり、それぞれの薬学的組成物は、独立に、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記被験体はヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記被験体が:家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸がん、リンチI症候群、リンチII症候群、炎症性腸疾患、慢性潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病、家族性がん症候群、ポイツ−ジェガーズ症候群、家族性若年性ポリポーシスおよび一つもしくはそれより多い腺腫様ポリープからなる群より選択される、一つまたはそれより多い病気に罹患した、請求項の1に記載の方法。
【請求項16】
(i)ロイコボリンおよび5−フルオロウラシル;
(ii)ロイコボリン;または
(iii)スニチニブ;
と共に、さらに、必要に応じてさらなる化学療法剤と共に、
(a)軽鎖C、軽鎖D、軽鎖Eもしくは軽鎖Fの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;からなる群、または、
(b)重鎖Aもしくは重鎖Bの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;からなる群、または、
それらの両方からなる群、
より選択される、一つまたはそれより多いメンバーを含む単離された抗体またはそれの抗原結合断片を含む、組み合わせ。
【請求項17】
前記抗体または前記断片は、配列番号:9、11、13もしくは15のアミノ酸20〜128を含む軽鎖可変領域、および/または、配列番号:17もしくは19のアミノ酸20〜137を含む重鎖可変領域を含む、請求項16に記載の組み合わせ。
【請求項18】
前記さらなる化学療法剤は:エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV−299、DN−101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY−142886)、AMN−107、TKI−258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ−197、MK−0457、MLN8054、PHA−739358、R−763、AT−9263、FLT−3インヒビター、VEGFRインヒビター、EGFR TKインヒビター、オーロラキナーゼインヒビター、PIK−1モジュレーター、Bcl−2インヒビター、HDACインヒビター、c−METインヒビター、PARPインヒビター、Cdkインヒビター、EGFR TKインヒビター、IGFR−TKインヒビター、抗HGF抗体、PI3キナーゼインヒビター、AKTインヒビター、JAK/STATインヒビター、チェックポイント−1または2インヒビター、接着斑キナーゼインヒビター、Mapキナーゼキナーゼ(mek)インヒビター、VEGFトラップ抗体、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep−etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴッシポール、Bio 111、131−I−TM−601、ALT−110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ギマテカン、IL 13−PE38QQR、INO 1001、IPdR、KRX−0402、ルカントン、LY 317615、ノイラジアブ、ビテスパン、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS−100380、
【化28】

ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK−304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD−6244、カペシタビン、L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]二ナトリウム塩七水和物、カンプトテシン、イリノテカン;PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合体化エストロゲン、ベバシズマブ、IMC−1C11、CHIR−258、
【化29】

);3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、バタラニブ、AG−013736、AVE−0005、[D−Ser(Bu t)6,Azgly 10]の酢酸塩(ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセテート[C59841814・(C(式中、x=1〜2.4)]、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、パモ酸トリプトレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP−724714;TAK−165、HKI−272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX−EGF抗体、エルビタックス、EKB−569、PKI−166、GW−572016、ロナファーニブ、
【化30】

、BMS−214662、ティピファニブ;アミホスチン、NVP−LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK−228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L−アスパラギナーゼ、カルメット‐ゲラン杆菌(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13−シス−レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5−デオオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコフォルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、クレモフォール非含有パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS−247550、BMS−310705、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA−923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE−424、HMR−3339、ZK 186619、トポテカン、PTK787/ZK 222584、VX−745、PD 184352、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、テムシロリムス、AP−23573、RAD001、ABT−578、BC−210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L−779,450、PEG−フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロナート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2a、ペグ化インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2b、アザシチジン、PEG−L−アスパラギナーゼ、レナリドマイド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン−11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、オールトランスレチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン−2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジトロナート、ミトタン、シクロスポリン、リポソームダウノルビシン、Edwina−アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK−1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンα、およびダルベポエチンα、からなる群より選択される、一つまたはそれより多いメンバーである、請求項16に記載の組み合わせ。

【公表番号】特表2011−515478(P2011−515478A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501946(P2011−501946)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/037953
【国際公開番号】WO2009/142810
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】