説明

結腸直腸癌のインビトロ診断のためのアミノアシラーゼ1・アッセイ方法

本発明は、結腸直腸癌を有することが疑われる患者から得られた生物試料のアミノアシラーゼ1腫瘍マーカーの存在を決定することによる結腸直腸癌のインビトロ診断のための方法に関する。前記方法は、結腸直腸癌に関する早期診断、スクリーニング、フォローアップ治療及び予後診断のために、更に再発診断のために用いられることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は癌腫学分野に関する。本発明の目的は、より具体的には、ヒト患者から採取された生物試料におけるアミノアシラーゼ1の存在を決定することによる、この患者における結腸直腸癌のインビトロ診断のための方法であって、早期診断、スクリーニング、フォローアップ治療及び予後診断のため、及び結腸直腸癌に関する再発診断のための両方に使用可能な方法である。
【0002】
結腸直腸癌(CRC)は、主要な公衆衛生の問題である。その全世界的な発病率は、1996年では新規事例875,000件と推定された(文献1)。男女両方を考慮して、西洋諸国において、最も頻繁に発生する癌であり、癌による最も多い死因の最初の3つに通常分類される。全てのステージを考慮に入れた5年生存率は、約60%である。
【0003】
早期診断だけが、治癒的治療の希望を与える。しかしながら、現時点において、早期では血清学的スクリーニングテストも特異的な診断検査もない。
【0004】
現在ヨーロッパでは、結腸直腸癌のスクリーニングは、2つの異なったアプローチで実施されている:第1に、糞便中の血液の存在を探すことを含む臨床関連領域のテストを使用するものである(糞便潜血反応、FOBT、例えばHemoccult(登録商標)の名で市販されている)。この技術は、その臨床有用性が証明されている。50から74歳の間の個体では2年ごとに使用され、結腸直腸癌による死亡率を15〜20%減少できる(文献2)。このためには、該当する集団の半分以上がスクリーニングに定期的に参加し、陽性テストの場合には結腸鏡検査法を実行し、続いて場合により適切な治療をすることが必要である。
【0005】
それにもかかわらず、このスクリーニング技術は、一定数の不利な条件により劣っている:
・このテストの主な欠点は、あまり良くない感受性であり、それは最もアデノーマ(前癌の形成異常病変)で顕著であり、そのサイズが大きい場合は、10のうち1の場合で癌の進行に結果としてなる。
・また、このテストはあまり特異的でない。糞便中の血液の出現は、潰瘍性大腸炎、痔核、瘻などの非腫瘍症状に関連する可能性がある。この場合、結腸鏡検査法による検査を行わなければならないが、以下に記載されている欠点を伴う。
・最後に、Hemoccult(登録商標)テストは解釈するのが困難である;従って、それらは資格のある適格なスタッフによって、専門施設で調べられなければならない。
【0006】
また、ヒト・ヘモグロビンに特異的な免疫学的検査も記載されている(Feca EIA(登録商標)、Heme Select(登録商標)等)。それらは多分Hemoccult(登録商標)と比較して向上しているが、基本的に同じ問題を呈する。InSureTM(Enterix社によって市販されている)により、CRCに苦しむ患者の87%、及び前癌ポリープを有する患者の47%を検出できる。それは、糞便のヒト・ヘモグロビンを、特にこの分子のグロビン部分を検出するテストである。
【0007】
第2のスクリーニング・ストラテジーは50歳以後に結腸鏡検査法を組織的に行うことであり、理論的には結腸直腸癌による死亡率を減少することを可能にする。しかしながら、良い健康状態の個体において、この試験の許容性は、死亡率を減少するために内視鏡検査を使用するスクリーニング方針に対してはあまりにも低い(このスクリーニング・ストラテジーを設けているヨーロッパ諸国の結腸鏡検査法の順守のレベルは、約2%である)。結腸の穿孔と出血及び死亡(1/10000)は無視できないリスク(0.1%)であり、また公衆衛生のためにはあまりにも高価である。さらにまた、結腸鏡検査法は非常に限定的な前もった結腸調製を必要とし、それが主に低い順守を説明する。
【0008】
イムノアッセイによって検査されうる腫瘍マーカーは、結腸直腸癌との関係において、長い間記載されてきた。それらは、特に胎児性癌抗原(CEA)及びCA19-9である。
CEAはフォローアップのために使われている。それは、感受性と特異性が不十分であるので、結腸直腸癌のスクリーニングに、又は早期診断のために使用できない。これは、このマーカーが他の種類の癌によって及び良性病変において発現されるためである。いろいろあるけれども、CEAと他の腫瘍マーカー(例えばCA19-9またはCA72-4)を組合わせることによって、特異性を失うことなしに感受性を増すことが可能である。
【0009】
CA19-9の生理的変異の原因はまれであるが、他の良性の症状(肝・胆道系の症状、膵臓の症状)、または悪性病状はCA19-9の増加を誘発する可能性がある。従って、また、このマーカー単独では診断のためには重要でない。それにもかかわらず、その血清濃度が腫瘍のサイズおよび転移癌の存在と相関しているので、フォローアップ治療又は再発の早期証明を可能にしうる。
【0010】
さらに、市販の試験が提案されている:
・Colopath(登録商標)/ColorectAlertMD(Ambriliaによって市販されている)は、CRCのための迅速で、比較的非侵襲的スクリーニングテストである。Colopath(登録商標)は結腸直腸の病的状態をもつ個体の直腸の粘液のプラスマローゲン(リン脂質の部分である複合脂質のクラス)を検出し、ColorectAlertMDは直腸の粘液のT抗原、複合糖類を検出する。Colopath(登録商標)/ColorectAlertMDテストは試験片に直腸の粘液の塗布することを含み、陽性または陰性の結果はシッフ反応に基づく。Ambriliaは1787個体を研究して、Colopath(登録商標)/ColorectAlertMDは早期ステージ結腸直腸癌の54%のケース及び全ステージを合わせて49%を検出することを証明した。
・COLARIS(Myriad Geneticsによって市販されている)は、血液で、遺伝性非腺腫性大腸癌(HNPCC症候群)をスクリーニングするためにMLH1及びMSH2遺伝子の突然変異を検出するテストである。試験の結果は3週で入手できる。Myriadは現在利用可能な最も感受性があり及び最も特異的なシークエンシング技術を使用する。当該テストは、高価である。
・DR-70(登録商標)(AMDLによって市販されている)は、様々な種類の癌(肺、結腸、胸部、肝臓、胃、その他)を検査するテストである。従って、CRCに特異的でない。当該テストの原理は、二重サンドイッチELISA技術(DR-70抗原の分析)に基づく。検出は、酵素反応(ビオチンとストレプトアビジンに結合する抗体)によって実施される。着色した反応は、癌の存在を示す。
【0011】
出願人は現在、驚くべきことに、癌組織のうち結腸腫瘍によって放出され、且つこれらの腫瘍に特徴的である新規な腫瘍マーカーを示した。それは腫瘍から離れた生物試料及び腫瘍自体の両方において検出できる。
したがって、本発明の第1の目的は結腸直腸癌を有することが疑われる患者から採取された生物試料、好ましくは腫瘍から離れた生物試料のアミノアシラーゼ1の存在を決定することによる結腸直腸癌のインビトロ診断のための方法である。
また、本発明は、結腸直腸癌に関する早期診断、スクリーニング、フォローアップ治療、予後診断、及び再発診断の両方のための当該方法の使用に関する。
【0012】
本発明の方法は、従って、患者から採取された生物試料、好ましくは潜在的な腫瘍から離れた生物試料のアミノアシラーゼ1の存在を調査することにを含む簡単なテストによって、特異的に早期に結腸直腸癌を診断可能にする。これは、出願人が、以下により詳細に証明されるように、予想外に、結腸腫瘍が特異的にアミノアシラーゼ1を分泌するだけでなく、癌組織から外にそれを放出すること、及び本発明の方法が実施される生物試料中のその濃度が正常患者で決定された基準値と比較して増加することを示したためである。
【0013】
腫瘍から離れていてもよいか又は離れていなくてもよい生物試料におけるアミノアシラーゼ1の存在の決定は、追求される病的状態に関し結論を出すことを可能にする。そのため、本発明の方法の利点の1つは、組織診断が侵襲的にとられる生検を必要とするのに対して、診断試料として潜在的腫瘍から離れた試料を使用する可能性にあり、それによって、簡単で非侵襲性の診断を可能にする。実際に、組織マーカー、例えば組織切片(免疫組織化学)における研究は、予後診断の興味はあり得るが、結腸直腸癌のスクリーニングまたは診断についての興味はない。
【0014】
アミノアシラーゼ1マーカー(Swiss Prot No.Q03154、別名EC3.5.1.14、N-アシル-L-アミノ酸アミドヒドロラーゼまたはACY-1)は、アミノアシラーゼ・ファミリーの一員である。それらは、アシル化されたアミノ酸の加水分解に触媒作用を及ぼし、それにより脂肪酸とアミノ酸を提供する酵素である(文献3)。アミノアシラーゼ酵素活性のための免疫化学的なアッセイが、K.Lorentzによって1975年という早い時期に開発され(文献4)、さまざまな組織と血清の分析に使われた(文献5)。研究は、肝臓の病的状態の場合にアミノアシラーゼ活性の増加を示したが、大腸癌の場合にはそうではなかった。さらに、アミノアシラーゼ1遺伝子は、染色体3p21.1上に同定されている(文献6)。3p21.1領域は小細胞肺癌ではホモ接合になり、この場合アミノアシラーゼ発現は抑制されるか又は検出できない(文献7)。同様に、S.Balabanov(文献8)は、アミノアシラーゼ発現が腎臓癌の場合、抑制されることを示した。しかしながら、アミノアシラーゼ1は結腸直腸癌に関するマーカーとして有用である可能性、特に腫瘍から離れた生物試料中で分析される可能性についてはこれまで記載されていなかった。
【0015】
「腫瘍マーカーの存在を決定する」なる表現は、タンパク質またはそのメッセンジャーRNAの存在を決定すること、またはコードまたは非コード配列の遺伝子における修飾(例えばメチル化)を検出することを意味することを目的とする。
「結腸腫瘍による放出」なる表現は、機構を問わず、腫瘍細胞自身による、又は腫瘍の進行から生じている細胞表現型の病変または変化に続く隣接非腫瘍細胞による腫瘍マーカーの能動的または受動的な分泌、放出を意味することを目的とする。
「本発明の方法が実施される生物試料」なる表現は、興味がある腫瘍マーカーを含む可能性がある任意の生物試料を意味することを目的とする。腫瘍から離れていない生物試料の例として、腫瘍、この腫瘍の生検、リンパ節または患者の転移ガンに由来する組織のような固体試料、及びこれらの固体試料から精製された細胞を挙げることができる。腫瘍から離れた生物試料の例として、全血またはその派生物(例えば、血清または血漿、尿、唾液と滲出液、骨髄と糞便)のような体液及びこれらの体液から精製された細胞を挙げることができる。血液またはその派生物、更には糞便、滲出液及びこれらの液体試料から精製された細胞が好ましい。
【0016】
本発明の方法は、アミノアシラーゼ1に加えて、必要に応じて癌組織のうち結腸腫瘍によって放出される少なくとも一つの他の腫瘍マーカーで検出することによって改良されうる。このように、少なくとも2つのマーカーの組合せは、結腸直腸癌の診断のためのテストの特異性及び感受性を改良することを可能にする。
【0017】
このように、また、本発明の他の目的は、以下の2つのグループのマーカーの存在を、単独で又は組合わせて検討して、決定することを含む:
− グループA:白血球エラスターゼ・インヒビター、エズリン、肝臓脂肪酸結合タンパク質、腸脂肪酸結合タンパク質、アポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII及びI-プラスチン、これらのマーカーのいくつかは本出願人によって同定された新規マーカーである、
− グループB:付加的な診断の興味を有するマーカー、すなわち:β2-ミクログロブリン、プロテアソーム20S、ガレクチン-3、L-乳酸脱水素酵素B鎖、カルレティキュリン、再生膵島由来タンパク質3α、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1、II型ケラチンCytoskeletal8、I型ケラチンCytoskeletal18、I型ケラチンCytoskeletal19、上皮カドヘリン、CEA、ビリン、CA19-9、CA242、CA50、CA72-2、テストステロン、TIMP-1、Cripto-1、インテレクチン-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、サイトケラチン20、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質、(プロ)デフェンシン-A5、メチル化プロフィールについて特異的な修正を有する血液のDNA断片の検出、例えばAXL4遺伝子のメチル化DNA(aristaless様ホメオボックス4遺伝子メチル化)またはセプチン-9遺伝子のメチル化DNA、糞便DNA断片の特異的な修正の検出、例えば糞便DNAの特異的な変異、糞便DNAのメチル化プロフィールの特異的な修正、ヒト糞便のヘモグロビンの検出。
【0018】
従って、本発明の方法は、少なくとも2つのマーカーを検出することによって改良されうる。一つはアミノアシラーゼ1であって、他方はグループA、すなわち、白血球エラスターゼインヒビター、エズリン、肝臓脂肪酸結合タンパク質、腸脂肪酸結合タンパク質、アポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII及びI-プラスチンから選択される他の腫瘍マーカーである。
【0019】
「新しく記載された腫瘍マーカー」は、タンパク質またはメッセンジャーRNAまたは対応する遺伝子の特異的な修飾、例えば突然変異やメチル化、を意味することを目的とする。
【0020】
白血球エラスターゼインヒビター腫瘍マーカー(Swiss Prot No.P30740、別名LEI、Serpin B1、単球/好中球・エラスターゼインヒビター、M/NEI又はEI)は、1992年に配列決定された(文献9)。LEIは、SDSの作用下で解離することができない複合体の形成によって、エラスターゼ型又はキモトリプシン型の特性を有するプロテアーゼを特異的に阻害する(文献10)。従って、LEIは、好中球によって産生された主なプロテアーゼのうち、白血球エラスターゼ、プロテイナーゼ3及びカテプシンGの3つを阻害する:これらのプロテアーゼは、免疫系が細胞外又は貧食された基質の蛋白質分解によって生物を防御することを可能にする。しかしながら、これらのプロテアーゼが過度の場合、炎症性反応の原因となる。LEIは、従って、細胞プロテアーゼによって誘発される炎症性機能を調整及び制限する役割を有するかもしれない。一方で、本出願人は、驚くべきことに、このタンパク質が結腸直腸癌を有する患者からとられる生物試料であって、腫瘍から離れている前記試料において良好なマーカーであることを示した。
【0021】
エズリン・マーカー(Swiss Prot No.P15311、別名p81、サイトビリンまたはビリン2)は、特に腸の上皮細胞の微小絨毛において、細胞膜と細胞の細胞骨格のアクチンフィラメントとの間で結合性を提供するタンパク質である(文献11)。W.G.Jiang及びS.Hiscox(文献12)は、インターロイキンIL-2、IL-8、IL-10等がHT29ヒト結腸直腸癌細胞株のエズリンの発現を阻害することができることを示した。同じ著者(文献13)は、HT115及びHRT18の結腸直腸癌細胞株におけるエズリン発現の阻害は細胞間の粘着力を減少させ、細胞の可動性と侵襲性の行動を増やすことを示した。彼らは、エズリンが細胞接着分子E-カドヘリン及びβ-カテニンと相互に作用することによって、細胞/細胞及び細胞/細胞間質の粘着力を調整すると結論した。彼らは、エズリンが癌細胞の侵襲能力を制御することにおいて重要な役割を果たすかもしれないことを示唆した。さらに、T.Xiao等(文献14)は、肺癌患者の血漿エズリンを定量化するためにELISAアッセイを用いた。しかしながら、彼らは、対照個体と比較して何ら違いを観察しなかった。一方、本出願人は、驚くべきことに、このタンパク質が結腸直腸癌を有する患者から採取された生物試料であって、当該試料が腫瘍から離れていても離れていなくても良好なマーカーであることを示した。
【0022】
肝臓脂肪酸結合タンパク質マーカー(Swiss Prot No.P07148、別名L-FABP、FABP1、FABPL、Z-タンパク質またはステロール輸送体タンパク質)は、9つのイソフォームを含むFABPファミリーに属する。各々のイソフォームは、それが最初に検出された組織に従って名づけられる。これらのイソフォームは共有の機能及び類似した三次元構造を有するが、それらの配列相同性は高くない。L-FABPは1985年に配列決定された(文献15)。それは、細胞質ゾルに豊富にあり、遊離脂肪酸に、更にビリルビンにも結合する能力を有する15kDaの小タンパク質である。いくつかの最近の研究では、L-FABPタンパク質の発現の障害が腫瘍形成過程を誘導しうることを示すように見える。前立腺癌の場合、腫瘍組織生検におけるL-FABP mRNAの発現レベルは、正常組織よりも10倍高かった(文献16)。大腸癌の場合、いくつかのチームは、2次元の電気泳動法技術を用いて、正常な大腸粘膜と比較して腫瘍組織におけるL-FABPタンパク質の発現の減少を同定した(文献17)。また、この結果は免疫組織化学技術によっても確認された。加えて、L-FABPタンパク質は、肝臓に転移していた結腸直腸癌患者の予後の肝切除術マーカーである(文献18)。一方、本出願人は、驚くべきことに、このタンパク質が結腸直腸癌を有する患者から採取された生物試料であって、当該試料が腫瘍から離れていても離れていなくても良好なマーカーであることを示した。
【0023】
腸脂肪酸結合タンパク質マーカー(Swiss Prot No.P12104、別名I-FABP、FABP-2またはFABPI)は、1987年に配列決定された(文献19)。それは、細胞質ゾルに豊富にあり、遊離脂肪酸に、更にビリルビンにも結合する能力を有する15kDaの小タンパク質である。I-FABPタンパク質は、小腸の腸細胞で発現され、この細胞型のタンパク質含有量のほぼ2%を構成しうる。組織レベルで、十二指腸と空腸は、結腸よりかなり高いI-FABPの量を含む(空腸:4.8μg/g、結腸:0.25μg/g)(文献20)。I-FABPは、正常な個体の血漿試料では検出できない。一方では、特定の病理学的背景、例えば腸の虚血、クローン病または原発性胆汁性肝硬変症において、特定の個体の血漿I-FABP濃度の増加を示すことが可能である(文献20)。前立腺癌の場合、腫瘍組織生検におけるI-FABP mRNAの発現レベルは、正常組織よりも7倍高かった(文献16)。ラットのアゾキシメタンによる結腸直腸腫瘍の誘導のモデルにおいて、癌の発病率を減らす食事(大豆タンパク質または乳漿加水分解産物)を与えた動物の場合は、I-FABP mRNAの発現のレベルが2.92から3.97倍減少する(文献21)。一方、本出願人は、驚くべきことに、このタンパク質が結腸直腸癌を有する患者から採取された生物試料であって、当該試料が腫瘍から離れていても離れていなくても良好なマーカーであることを示した。
【0024】
アポリポタンパク質は、極性アミノ酸で構成されるタンパク質のファミリーであり、リポタンパク質と呼ばれている親水性の巨大分子複合体の形成によって血液中の脂質の輸送を可能にする。各々のヒト血漿アポリポタンパク質の場合、遺伝的多型および/または翻訳後修飾に由来するイソフォームがあり、血液中のその存在は特定の病的状態と関連している可能性がある(文献22)。アポリポタンパクの血漿濃度は、mg/mlのオーダーで無視できない(文献23)。
【0025】
アポリポタンパク質AIマーカー(NCBI No.490098、別名Apo A-I、Apo AI及びApo A1)は、243アミノ酸、28kDaのタンパク質である。それは、肝臓及び腸によって基本的に合成される。SELDI-TOF(文献24)によって、このタンパク質は、正常な個体と比較して、結腸直腸癌で苦しんでいる患者の血清において十分に豊富でないことが示された。しかしながら、CRCを有する患者がApo AIと他のタンパク質マーカーとを組合わせることによって、正常な個体から区別されることは、この論文において特定されている。さらに、この論文は、他のチームによって実施された免疫比濁法によるApo AIの分析がCRCを有する患者の血清において、このタンパク質が十分に豊富でないことを確認していないことを示している(文献25)。一方で、Hachem等(文献26)は、結腸直腸癌転移後の肝癌を有していた患者の血清のApo AIを分析した。一方で、本出願人は、驚くべきことに、SELDI-TOF技術を実施することによってのみ、この減少を証明することが可能だったとEngwegen等(文献24)によって提案されたことに反して、イムノアッセイによる分析により、結腸直腸癌を有する患者において、このタンパク質の濃度の減少が証明できることを示した。Zhang等のチームによって使用されたように、実行されるイムノアッセイによる分析が比濁法でない限り、腫瘍から離れている生物試料のイムノアッセイによってApo AIを分析することは結腸直腸癌の診断のための良好な方法である(文献25)。
【0026】
アポリポタンパクAIIマーカー(Swiss Prot No.P02652、別名ApoA II、Apo-AII及びApo A2)は、ジスルフィド架橋によって連結される各々77アミノ酸の2つのポリペプチド鎖から成る17380Daのタンパク質である。アポリポタンパクAIのように、アポリポタンパクAIIは、肝臓及び腸によって基本的に合成される。Hachem等(文献26)は、結腸直腸癌転移後の肝癌を有していた患者の血清のApo AIIを分析した。しかしながら、結果は有意でなく、求められる病的状態に関しては結論を出すことは可能でない。一方、本出願人は、驚くべきことに、このタンパク質が結腸直腸癌を有する患者から採取された生物試料であって、当該試料が腫瘍から離れていても離れていなくても良好なマーカーであることを示した。
【0027】
I-プラスチンマーカー(Swiss Prot No.Q14651、別名腸特異的プラスチン又はプラスチン1)は、3つの代表例、I-プラスチン、L-プラスチン及びT-プラスチンが知られているヒトのプラスチンのファミリーに属する。一部の研究者はプラスチン類を「フィンブリン」と呼ぶが、他の研究者はフィンブリンの名をI-プラスチンのために残している。プラスチンは、アクチンに結合し、それにより細胞骨格(細胞の骨格)を形成するタンパク質である。それらは、真核生物進化の全体にわたって比較的よく保存されている70kDaのタンパク質である。それらは強い組織特異性を呈し、一度に一つのイソフォームのみが正常組織に存在する(文献27)。癌に関するプラスチンの使用は特許US-A-5360715にすでに記載されており、細胞が造血性または潰瘍性、すなわち癌性であるかどうかを決定する方法を提案する。この方法は、細胞レベルのL-プラスチン及びT-プラスチンのアッセイ、より具体的にはそのmRNAのアッセイを請求する。しかしながら、これらの特性にもかかわらず、従来の研究には、血清または糞便試料を使用した結腸直腸癌の診断に関してプラスチンの重要性を評価することを実施するものはなかった。さらにまた、I-プラスチンは、潜在的癌マーカーとしてこれまで想定さえされなかった(文献28)。一方で、出願人は、驚くべきことに、このタンパク質が結腸直腸癌を有する患者から採取される生物試料であって、腫瘍から離れているか又は離れていない前記試料において、優良なマーカーであることを示した。
【0028】
グループAから選択される腫瘍マーカーの濃度は、考慮するマーカーに応じて、本発明の方法が実施される生物試料において、正常な患者のために決定される基準値と比較して増減される。
【0029】
本発明の方法は、また、アミノアシラーゼ1の検出と、グループB:β2-ミクログロブリン、プロテアソーム20S、ガレクチン-3、L-乳酸脱水素酵素B鎖、カルレティキュリン、再生膵島由来タンパク質3α、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1、II型ケラチンCytoskeletal8、I型ケラチンCytoskeletal18、I型ケラチンCytoskeletal19、上皮カドヘリン、CEA、ビリン、CA19-9、CA242、CA50、CA72-2、テストステロン、TIMP-1、Cripto-1、インテレクチン-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、サイトケラチン20、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質、(プロ)デフェンシン-A5、メチル化プロフィールについて特異的な修正を有する血液のDNA断片の検出、例えばAXL4遺伝子のメチル化DNA(aristaless様ホメオボックス4遺伝子メチル化)またはセプチン-9遺伝子のメチル化DNA、糞便DNA断片の特異的な修正の検出、例えば糞便DNAの特異的な変異、糞便DNAのメチル化プロフィールの特異的な修正、ヒト糞便のヘモグロビンの検出から選択される他の一つの腫瘍マーカーの検出を組合わせることによって改良することができる。もちろん、本発明の方法は、また、同じアッセイにおいて、アミノアシラーゼ1の検出、グループBから選択される少なくとも1つの腫瘍マーカーの検出、及びループAから選択される少なくとも1つの腫瘍マーカーの検出を実施することができる。
【0030】
β2-ミクログロブリン・マーカー(Swiss Prot No.P61769、別名β2-ミクログロブリン、β2M)は、大部分の核を有するヒト細胞の表面に見られる低分子量タンパク質(11から12kDa)である。血清β2-ミクログロブリン・レベルは癌を患っている特定の患者において増加し、この増加は特異性がないか、または腫瘍の性質、疾患のステージまたは重症度と相関する。また、有意な増加は他の疾患、例えば紅斑性狼瘡、リウマチ様関節炎、シェーグレン症候群、リンパ系の悪性疾患(多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫)、特定のウイルス病(肝炎またはエイズ)において、及び血友病者患者において観察される。β2-ミクログロブリンは腎臓糸球体によってろ過されて、近位尿細管によって再吸収されるので、その血液中濃度は腎臓の病的状態の場合は変更されうる。従って、β2-ミクログロブリンの分析は、最も一般的には、腎臓の病的状態の診断ために、または獲得性の免疫不全ウイルスによる感染のフォローアップ向けである。しかしながら、このマーカーは腫瘍マーカー、特に大腸癌のものとして知られている。
【0031】
プロテアソーム20Sのマーカー(別名プロソーム)はプロテアソームの中心構造であり、それはそれ自身でユビキチン化タンパク質の細胞内の分解の役割を果たす分子複合体である(文献29)。プロテアソームは、7つのサブユニットの4つのリングが結合した28サブユニットで構成される700kDaの分子複合体である。ヒトにおいて、7つのαユニット(α1、α2、α3、α4、α5、α6及びα7)と10のβユニット(β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β1i、β2i及びβ5i)が知られている。その触媒特性によって、プロテアソームは、細胞増殖、成長、調節とアポトーシスの機構において、従って癌化経路において中心的役割を果たす。ボルテゾミブ(ベルケード)によるプロテアソーム阻害は、多発性骨髄腫で認可された治療である。第二相または三相の治験は、血液癌または腫瘍のために進行中である。T.Lavabre-Bertrand等(文献30)は、プロテアソームの血清レベルが特定の病的状態、特に癌(骨髄腫、リンパ腫及び充実性腫瘍)の場合に増加する可能であることを示した。
【0032】
ガレクチン-3マーカー(Swiss Prot No.P17931、別名Gal-3、ガラクトース特異的レクチン3、MAC-2抗原IgE結合タンパク質、35kDaレクチン、炭水化物結合タンパク質35、CBP35、ラミニン-結合タンパク質、レクチンL-29、L-31、ガラクトシド-結合タンパク質またはGALBP)は、N-アセチルラクトサミン型のβ-ガラクトシド構造に結合できるレクチンである。それは、腫瘍細胞の付着、増殖、分化、脈管形成、アポトーシス、転移癌進行を含むさまざまな生物学的機能に関係する多数の機能を有するタンパク質である(文献31)。さまざまな調査は、Gal-3が多数の分子と複合体を形成できることを示している:CEA、IgE、ラミニン、ムチン、Mac 2BP、LAMP1、LAMP2、フィブロネクチン等。Gal-3の血清分析は、I.Iurisci等によって記載されている(文献32)。Gal-3は、Mac-2-結合タンパク質(Gal-3結合タンパク質)によりコートされたマイクロプレート上に捕獲されて、次に抗Gal-3ラット抗体により明らかにされた。この研究は、胃腸癌、乳癌、肺癌、卵嚢癌、メラノーマ及び非ホジキンリンパ腫の場合、高い血清Gal-3を示した。
【0033】
L-乳酸脱水素酵素B鎖マーカー(Swiss Prot No.P07195、別名LDH-B、LDH心臓ユニット、又はLDH-H)は、ホモテトラマーの形で複合体を形成することができるタンパク質である。また、このタンパク質は、L-乳酸脱水素酵素A鎖タンパク質(Swiss Prot No.P00338、別名LDH-A、LDH筋肉ユニット、またはLDH-M)と、ヘテロテトラマーの形で複合体を形成することができる。四量体複合体(LDHと呼ばれている)の血清量および/または血清酵素活性は、多くの充実性腫瘍の場合、腫瘍質量に比例して血流中で増加する。その使用は、精嚢癌の追跡調査の場合、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(β-hCG)と胎盤のアルカリ性ホスファターゼとの組合せが推奨される。LDHは、リンパ腫、白血病および結腸癌の予後診断の重要なマーカーであると考えられる(文献33)。
【0034】
カルレティキュリン・マーカー(Swiss Prot No.P27797、別名CRP55、Calregulin、HACBP、ERp60またはgrp60)は、多機能タンパクである。それは、小胞体の全てのモノグリコシル化タンパク質と、一時的に実質的に相互に作用することができるレクチンである。D.J.McCool等は、したがって、カルレティキュリンが結腸ムチンMUC2の成熟に関係していることを示した(文献34)。組織、糞便または体液のカルレティキュリンの分析を使用するCRCの診断のための方法は、特許出願WO03/065003に記載されている。
【0035】
再生膵島由来タンパク質3α・マーカー(Swiss Prot No.Q06141、別名RegIII-α、膵臓炎関連タンパク質1、またはPAP1)は、正常な膵臓においてわずかに発現されるタンパク質である。それは、膵臓炎の急性期の間及び慢性膵炎で苦しんでいる特定の患者に過剰発現する。この場合、それは、膵液に及び血流に現れる(文献35)。Y.Motoo等(文献36)は、ELISAアッセイによって、その大腸癌、胃癌、肝癌または膵臓癌を有する特定の患者において、腎不全症の場合、血液中PAP1のレベルが増加することを示した。彼らは、Dynabio社(La Gaude、フランス)によって市販されているELISAアッセイ分析(PANCEPAP)を使用した。
【0036】
腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1・マーカー(Swiss Prot No.P16422、別名主要胃腸腫瘍関連タンパク質GA733-2、上皮細胞表面抗原、EpCAM、上皮糖タンパク質、EGP、腺癌関連抗原、KSA、KS1/4抗原、細胞表面糖タンパク質Trop-1またはCD326抗原)が、結腸直腸癌細胞に向かう抗体によって認識されるその能力によって、1979年に特徴づけられた(文献37)。上記のように、このタンパク質はさまざまな名で知られているが、最も一般的に使用されるのはEpCAMである。それは、特定の上皮及び多くの癌の細胞の側底面表面で発現する膜貫通タンパク質である(文献38)。1982年という早い時期に、Herlyn等(文献39)は、抗EpCAMモノクローナル抗体の注射が結腸直腸癌を有する患者の腫瘍成長を阻害する可能性を示した。これらの結果は、エドレコロマブと呼ばれる抗EpCAM抗体に基づく抗腫瘍治療の進展に結果としてなった。本治療は、PanorexTMの名で市場に出されている。そのうえ、H.Abe等(文献40)は、ELISAアッセイによって、EpCAMの可溶型(MK-1と呼ばれている)が、調べられている癌患者の10%の血流において増加することを示した。
【0037】
サイトケラチンは、上皮細胞の細胞骨格の中間フィラメントをつくるタンパク質の部分である。現在では、20以上のヒト・サイトケラチンが同定されている。サイトケラチン8(Swiss Prot No.P05787、別名サイトケラチン-8、CK8、ケラチン-8またはK8、18(Swiss Prot No.P05783、別名サイトケラチン-18、CK18、ケラチン-18、またはK18)及び19(Swiss Prot No.P08727、別名サイトケラチン-19、CK-19、ケラチン-19またはK19)は、上皮細胞で最も豊富にあり、癌病理学の診断に役立つツールである(文献41)。この臨床重要性は、アポトーシスの又は増殖段階の上皮細胞によるサイトケラチンの放出と関連がある。アポトーシスの場合、この放出は、カスパーゼのタンパク質分解活性下で出現するようにみえる可溶性断片の形態で起こる。分解されていないサイトケラチン形態は、血流において、これまで記載されていなかった。臨床的に使われる最も一般的な3つのサイトケラチンアッセイは、組織ポリペプチド抗原アッセイ(TPA)、組織ポリペプチド特異性抗原(TPS)アッセイ及びCYFRA21-1アッセイである。TPAは、サイトケラチン8、18及び19を測定する広域スペクトル・テストである。TPS及びCYFRA21-1アッセイはより特異的であり、それぞれサイトケラチン18及びサイトケラチン19の断片を測定する。これらの3つのアッセイは、単独で又はタンパク質複合体の形態で存在してもよいサイトケラチン断片を検出する。TPA、TPSまたはCYFRA21-1が、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、膀胱癌、卵嚢癌、膵臓癌、前立腺癌及び特定ENT癌のフォローアップ治療のために使われてきた。血液の可溶性サイトケラチン断片を分析することは、実際には再発のためのスクリーニングにおいて、又は使用される治療(放射線療法、化学療法、ホルモン治療)への反応を評価することにおいて臨床価値を有する。定期的な分析により、腫瘍質量の経過を評価することが特に可能である。可溶性血液サイトケラチンの量も、腫瘍段階及び転移癌の形成に関して予後診断の側面を有する。現在、最も一般的に使用されるサイトケラチンの血液検査法は、CYFRA21-1である。それは、肺非小細胞癌を有する患者のフォローアップに、非常に推奨される。さまざまな市販のアッセイが、TPA(AB Sangtec Medical Co.、 Byk-Roland、その他)、TPS(IDL Biotech AB、BEKI Diagnosiss、その他)及びCYFRA21-1(Roche Diagnosiss、CIS Bio-International、Fujirebio Diagnosiss、その他)のために存在する。そのうえ、H.Kim等(文献42)は、糞便のサイトケラチン19(DiNonA社)の分析は、糞便潜血アッセイと組合わせて胃腸疾患のためのスクリーニングにおいて役立つ可能性があることを示している。最後に、サイトケラチン20(Swiss Prot No.P35900、別名ケラチン、I型Cytoskeletal20、CK20、ケラチン-20、K20、またはITタンパク質)の結腸直腸癌のマーカーとしての使用は、特許出願US2002/0160382に記載されている。
【0038】
上皮カドヘリン・マーカー(Swiss Prot No.P12830、別名E-カドヘリン、ウボモルリン、カドヘリン-1、CAM120/80またはCD324抗原))は、カルシウム依存性細胞接着に介在する膜貫通タンパク質である。それは上皮細胞において特に発現し、それらの表現型を維持することに関係している。E-カドヘリンの細胞質ドメインは、それ自体が細胞骨格のアクチン・フィラメントネットワークに結合するβ-カテニンに結合する。このE-カドヘリン/β-カテニン結合は、上皮組織の細胞/細胞接着を安定させることにおいて不可欠な役割を果たす。従って、E-カドヘリンの減失は、細胞接着を減少させ、癌細胞の侵襲性能力を増やしうる。E-カドヘリン又はβ-カテニンの発現の減少は、特に胃腸癌に関して、腫瘍のより高い攻撃性及び脱分化に通常関連している。F.Roca等(文献43)は、したがって結腸直腸癌を有し且つE-カドヘリンを過小発現させている患者は、正常な発現レベルを有する患者より好ましくない予後を有することを示した。1983年という早い時期に、Damsky等(文献44)は、E-カドヘリンの可溶型がMCF-7乳がん細胞株によって放出される可能性を示した。この可溶型は、E-カドヘリンの細胞外部分の切断に相当する。後に、M.Katayama(文献45)は、E-カドヘリンの可溶型は癌の場合に血流中に放出される可能性があることを示し、C.Willmanns等(文献46)は、血液中のE-カドヘリンの量の増加は結腸直腸癌の腫瘍段階と相関していることを示した。さらに、市販のキットは、タカラ・バイオケミカルズ社(東京、日本)によって提案される。
【0039】
結腸直腸癌の診断のためのCEA(胎児性癌抗原)の分析は、P.Gold及びS.Freedman(文献47)によって1965年以降、提案されてきたが、血液中のこのマーカーのアッセイは比較的進行していない段階の結腸直腸癌の診断では低い感受性を有する。従って、血清CEAの分析は、特に肝臓転移癌(文献48)のリスクを評価するために、及びフォローアップ治療のために推薦される。加えて、それは、結腸直腸癌にあまり特異的なマーカーではない;それは、多くの他の癌(肺、胸部、その他)において、実際に増加する可能性がある。一方では、糞便のCEAの分析は、血清CEAの分析または糞便血の分析よりも、より感受性があって且つより特異的に見える(文献49)。しかしながら、この分析は、普通には、まだ提唱されない。
【0040】
反応性の抗原決定基1116-NS-19-9、より一般にはCA19-9(炭水化物抗原19.9)と呼ばれているものは、高分子量タンパク質によって担持される(文献50)。血液中のCA19-9の分析は、CEAのそれよりも特異的である。血液のCA19-9レベルは、結腸直腸癌、膵臓癌、肝癌(胆管癌)において増加するが、非癌性の病的状態(胆管炎、その他)の場合にも増加する。CEAと組合わせたその使用は、癌の診断時に、及び病的状態のフォローアップのために推奨される。
【0041】
J.Holmgren等(文献51)は、血清中のCA50抗原の量が結腸直腸癌の場合に増加したことを示した。CA50抗原は、特異的なモノクローナル抗体によって認識されるその能力によって定義される。
【0042】
CA72マーカーに関しては、T.L.Klug(文献52)は、血清のCA72抗原の量が結腸直腸癌の場合に増加したことを示した。CA72抗原は、特異的なモノクローナル抗体によって認識されるその能力によって定義される。
【0043】
同様に、P.Kuusela等(文献53)は、血清中のCA242抗原の量が結腸直腸癌の場合に増加したことを示した。CA242抗原は、特異的なモノクローナル抗体によって認識されるその能力によって定義される。
【0044】
結腸直腸癌の診断のためにテストステロンを分析することは、M.Holland等(文献54)によって、男性において提案された。これらの著者は、結腸直腸癌の場合は、血液テストステロンレベルの下落を示した。
【0045】
TIMP-1マーカー、またはマトリックスメタロプロテイナーゼ1型の組織阻害物質に関しては、特許出願US2007/0020707は、特に体液の分析によって結腸直腸癌の診断の場合にTIMP-1を分析することを記載する。
【0046】
F.Model等(文献55)は、2006年7月に、胃腸癌の国際会議において、結腸直腸癌を有する患者の血漿のセプチン-9遺伝子のメチル化型を検出することが可能だったことを示した。
【0047】
M.P.Ebert等(文献56)は、ALX4遺伝子またはaristaless様ホメオボックス-4遺伝子は、対照血清においてよりも、結腸直腸癌を有する患者の血清において、より頻繁にメチル化されることを示した。限界値41.4pg/mlを使用して、彼らは、83.3%の感受性及び70%の特異性を得た。
ビリンは、特許出願FR2581456において、結腸直腸癌の診断のための血液マーカーとして記載された。
【0048】
C.Bianco等(文献57)は、血清のCripto-1の量が結腸直腸癌の場合には増加することを示した。
【0049】
結腸直腸癌の診断のためのインテレクチン-1(Swiss Prot No.Q8WWA0、別名腸ラクトフェリン受容体、ガラクトフラノース結合性レクチン、内皮レクチンHL-1またはOmentin)の分析は、特許出願US2003/0082533に記載されている。
【0050】
結腸直腸癌のマーカーとしての、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(Swiss Prot No.P07237、別名EC5.3.4.1、PDI、プロリル4-水酸化酵素サブユニットβ、細胞甲状腺ホルモン結合タンパク質またはp55)の、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質(Swiss Prot No.P13693、別名TCTP、p23、ヒスタミン放出因子、HRFまたはFortilin)及び(プロ)デフェンシン-A5(Swiss Prot No.Q01523)の使用は、それぞれ特許出願EP1724586、US2003/0172388およびUS2006/0179496に記載されている。「(プロ)デフェンシン」なる用語は、前駆体、すなわち、切断前のプロデフェンシン、プロペプチド、すなわち切断後のプロデフェンシンのN末端部分、切断後のC末端部分に対応する成熟したタンパク質、すなわちデフェンシンを意味することを目的とする。
【0051】
最後に、ヒト糞便ヘモグロビンの分析は知られており、以前記載されたように実施されてもよい。
正常な患者で決定される基準値と比較して、グループBから選択される腫瘍マーカーの濃度は、考慮されるマーカーに応じて、本発明の方法が実施される生物試料において増減される。
好ましくは、グループBの腫瘍マーカーは、マーカー:β2-ミクログロブリン、プロテアソーム20S、ガレクチン-3、L-乳酸脱水素酵素B鎖、カルレティキュリン、再生膵島由来タンパク質3α、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1、上皮カドヘリン、CEA、CA19-9、テストステロン、TIMP-1、インテレクチン-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、サイトケラチン20、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質、(プロ)デフェンシン-A5、及びヒト糞便のヘモグロビンの検出から選択される。
【0052】
もちろん、本発明の方法は、当業者に知られている結腸直腸癌のための他のいかなるマーカーをも検出に含むことができる。
上記のように、興味がある腫瘍マーカーは、タンパク質の形態で、またはメッセンジャーRNAの形態で、または対応するDNAの修正(突然変異またはメチル化の修飾)によって検出される。
生物試料において、興味がある「タンパク質」腫瘍マーカーの存在の決定は、当業者に知られている試料におけるタンパク質の存在を決定する任意の方法、例えばイムノアッセイを含む生化学検査によって、または質量分析法によって行われることができる。
生化学検査は、分子相互作用、すなわち前記腫瘍マーカーと前記腫瘍マーカーに特異的あるいは非特異的な一つ以上の結合性パートナーとの間の反応を含む当該分野の当業者に知られている任意のテストであってもよい。
好ましくは、生化学検査は、当業者に知られているイムノアッセイであり、腫瘍マーカー間の免疫反応を含み、それは抗原と一つ以上の特異的な結合性パートナー、すなわち、この抗原に向かう抗体である。
【0053】
本発明の方法で求める腫瘍マーカーに特異的な又は特異的でない結合パートナーは、これ又はこれらのマーカーに結合できる任意のパートナーである。高い特異性により又は100%の特異性でさえも、これらのマーカーに結合できる場合、それらは特異的であると言われる。これらのマーカーへの結合の特異性が低く、他のリガンド(例えばタンパク質)に結合できる場合、それらが非特異的であると言われる。例えば、このマーカーに結合できる抗体、抗体部分、受容体と他の任意の分子をあげることができる。
【0054】
結合パートナー抗体は、例えば、ポリクローナル抗体かモノクローナル抗体である。 ポリクローナル抗体は、関心ある腫瘍マーカーによる動物の免疫化、続いて、前記動物から血清を採ること、及び特に抗体によって特異的に認識される抗原、特に前記マーカーが取り付けられたカラムにおけるアフィニティークロマトグラフィーにより血清成分から前記抗体を分離することによって精製された形態での所望の抗体の回収により得られる。
【0055】
モノクローナル抗体はハイブリドーマ技術によって得ることができ、その一般的原理を以下に示す。
第1に、動物(通常はマウス)は興味がある腫瘍マーカーによって免疫化され、それにより前記動物のBリンパ球は前記抗原に対して抗体を生じることができる。続いて、これらの抗体産生リンパ球を、「不死の」ミエローマ(例えばマウス)と融合させ、それによりハイブリドーマを産生する。次に、このように得られる細胞の異種混合物を使用して、特定の抗体を産生し、際限なく増殖することができる細胞の選抜を実施する。各々のハイブリドーマは、クローンの形で繁殖し、例えばELISAによって、一次元あるいは二次元のウエスタンブロットによって、免疫蛍光法によって、またはバイオセンサーによって、前記腫瘍マーカーに関する認識特性が試験されてもよいモノクローナル抗体の産生に結果としてなる。特に、上で記載されているアフィニティークロマトグラフィ技術によれば、このように選択されたモノクローナル抗体は続いて精製される。
また、モノクローナル抗体は、当業者によく知られている技術によって、遺伝子工学によって得られた組換え抗体であってもよい。
【0056】
抗白血球エラスターゼ・インヒビター抗体の例は知られおり、特にAbcamカタログのウサギ抗-LEIポリクローナル抗体(Cat.No.Ab47731)が入手できる。抗-LEIモノクローナル抗体(クローンELA-1)は、Yasumatsu等(文献58)の論文に記載されている。
抗-エズリン抗体の例は知られており、特にAbcamカタログの抗-エズリン・モノクローナル抗体のクローン3C12(Cat.No.Ab4069)及びウサギ抗-エズリン・ポリクローナル抗体(Cat.No.Ab47418)が入手できる。
抗-アミノアシラーゼ1抗体の例は知られており、特にAbnovaカタログの抗-アミノアシラーゼ1モノクローナル抗体のクローン4F1-B7(Cat.No.H00000095-M01)及びAbcamカタログのチキン抗-アミノアシラーゼ1ポリクローナル抗体(Cat.No.Ab26173)が入手できる。
抗-肝臓脂肪酸結合タンパク質抗体の例は知られており、特にAbcamカタログの抗-L-FABPモノクローナル抗体のクローン6B6(Cat.No.Ab10059)及びウサギ抗-L-FABPポリクローナル抗体(Cat.No.Ab7807)が入手できる。
抗-腸脂肪酸結合タンパク質抗体の例は知られており、特にR&Dシステムカタログの抗-I-FABPモノクローナル抗体のクローン323701(Cat.No.MAB3078)及びAbcamカタログのウサギ抗-I-FABPポリクローナル抗体(Cat.No.Ab7805)が入手できる。
抗-アポリポタンパク質AI抗体の例は知られており、特にBiodesign Meridian Life Sciencesカタログの抗-Apo AIモノクローナル抗体のクローン4A90(Cat.No.H45402M)及びヤギ抗-Apo AIポリクローナル抗体(Cat.No.K45252P)が入手できる。
抗-アポリポタンパクAII抗体の例は知られており、特にUS Biologicalカタログの抗-Apo AIIモノクローナル抗体のクローン1402(Cat.No.A2299-31C)及び特にBiodesign Meridian Life Sciencesカタログのヤギ抗-Apo AIIポリクローナル抗体(Cat.No.K74001P)が入手できる。
抗-I-プラスチン・ポリクローナル抗体の例は知られており、特にサンタクルスバイオテクノロジーカタログにおいて入手できる。ウサギ・ポリクローナル抗体H-300(Cat.No.sc-28531)はI-プラスチン、L-プラスチン及びT-プラスチンと反応する。出願人はI-プラスチンに向かうモノクローナル抗体を開発した。
抗-β2-ミクログロブリン抗体、抗-CEA抗体、抗-CA19-9抗体及び抗テストステロン抗体の例が知られており、特に出願人のアッセイキット、それぞれVidas(登録商標)β2-ミクログロブリン、Vidas(登録商標)CEA、Vidas(登録商標)CA19-9TM及びVidas(登録商標)テストステロンが使用される。
抗プロテアソーム20Sの抗体の例は知られており、親和性研究用製品カタログにおいて特に入手できる。
抗-ガレクチン-3抗体、抗-L-乳酸脱水素酵素B鎖抗体、抗-カルレティキュリン抗体、抗腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1抗体、抗-II型ケラチンCytoskeletal8抗体、抗-I型ケラチンCytoskeletal18抗体、抗-I型ケラチンCytoskeletal19抗体、抗-上皮カドヘリン抗体、抗-ビリン抗体及び抗-TIMP-1抗体は知られており、特にAbcamカタログにおいて入手できる。
抗-再生膵島由来タンパク質3α抗体の例は知られており、特にDynabioアッセイキット(La Gaude、フランス)が使われる。
抗-CA242抗体、抗-CA50抗体及び抗-CA72-4抗体の例が知られており、特にFujirebioカタログにおいて入手できる。
抗-インテレクチン-1抗体の例は知られており、アレクシス・バイオケミカルズ・カタログの抗-インテレクチン-1モノクローナル抗体のクローンSaly-1(Cat.No.ALX-804-850-C100)及びウサギ抗-インテレクチン-1ポリクローナル抗体(Cat.No.ALX-210-941)が入手できる。
抗タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ抗体の例は知られており、特にAbcamカタログの抗-PDIモノクローナル抗体のクローンRL77(Cat.No.Ab5484)及びウサギ抗-PDIポリクローナル抗体(Cat.No.Ab3672)が入手できる。
抗-サイトケラチン20抗体の例は知られており、特にAbcamカタログにおいて、抗-サイトケラチン20モノクローナル抗体のクローンKs20.8(Cat.No.Ab962)及びウサギ抗-サイトケラチン20ポリクローナル抗体(Cat.No.Ab36756)が入手できる。
抗-TCTP抗体の例は知られており、特にAbnovaカタログにおいて、抗-TCTPモノクローナル抗体のクローン3C7(No.157H00007178-M01)及び抗-TCTPポリクローナル抗体(Cat.No.157H00007178-A01)が入手できる。
抗-デフェンシン-A5抗体の例は知られており、特にサンタクルス生物工学カタログにおいて、抗-デフェンシン-A5モノクローナル抗体のクローン8C8(Cat.No.sc-53997)及びAlpha Diagnosis International 社カタログのウサギ抗-デフェンシン-A5ポリクローナル抗体(Cat.No.HDEFA51-A)が入手できる。
【0057】
本発明の方法で求められる腫瘍マーカーに特異的あるいは特異的でない結合パートナーが、捕捉試薬として、検出試薬として、又は捕捉及び検出試薬として使用されてもよい。
免疫反応、すなわち腫瘍マーカー/結合性パートナー結合の視覚化は、検出(例えば直接的または間接的な方法)の任意の方法によって実施されてもよい。
直接的検出、すなわち標識の包含なしの場合、免疫反応は、例えば表面プラスモン共鳴によって、または導電性ポリマーを有する電極上のサイクリックボルタンメトリーによって観察される。
間接的検出は、関心のある腫瘍マーカー自身の又は「検出試薬」結合パートナーのどちらかの標識によって実施される。後者の場合は、これは競合方法として記載されている。
「標識化」なる表現は、直接的または間接的に検出可能なシグナルを生じることができる標識試薬の付加を意味することを目的とする。
【0058】
これらの標識の非限定的なリストは、
・比色法、蛍光または発光によって検出可能なシグナルを生じる酵素、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼまたはグルコース‐6‐リン酸デヒドロゲナーゼ;
・蛍光または発光化合物、染料のような発色団;
32P、35Sまたは125Iのような放射性分子、及び
・アレクサまたはフィコシアニンのような蛍光分子
を含む。
【0059】
また、間接的な検出システムを使用してもよく、例えば抗リガンドと反応可能なリガンドである。リガンド/抗リガンドの組合せは当業者にとって周知であり、こういう場合では、例えば、以下の組合せである:ビオチン/ストレプトアビジン、ハプテン/抗体、抗原/抗体、ペプチド/抗体、糖/レクチン、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチドに相補的な配列。この場合、結合パートナーを担持するのは、リガンドである。抗リガンドは、前のパラグラフに記載されている標識試薬によって直接的に検出可能であってもよいか、あるいはそれ自体がリガンド/抗リガンドによって検出可能である。
これらの間接的な検出システムは、特定の条件下でシグナルの増幅を生じることができる。このシグナル増幅技術は当業者にとって周知であり、本出願人により先の特許出願FR98/10084またはWO-A-95/08000又はChevalier等(文献59)の論文を参照することができる。
使用する標識の種類に応じて、当業者は、標識を視覚化することを可能にする試薬を添加する。
【0060】
上記の通りイムノアッセイの例として、ELISA,IRMA及びRIAのような「サンドイッチ」法、「競合」法、及び免疫組織化学、免疫細胞化学、ウェスタンブロッティング及びドットブロッティングのような直接免疫検出法を挙げることができる。
また、質量分析法が、体液において、本発明の方法で求められる腫瘍マーカーを検出するために使用されてもよい。スペクトロメトリーの原理は、当業者に広く知られており、例えばPatterson,S(文献60)に記載されている。
これを行うため、生物試料(前処理されていても、いなくでもよい)は質量分析計に通され、得られたスペクトルは本発明の方法で求められる腫瘍マーカーのそれと比較される。試料の前処理の例は、それを本発明の方法で求められる腫瘍マーカーのための結合パートナーのうちの一つ、例えば本発明の方法で求められる腫瘍マーカーに向かう抗体、を含む免疫捕捉支持体の上に通すことを含む。試料の前処理の他の例は、試料のタンパク質類を互いに分離するための、生物試料の前分画であってもよい。当業者によく知られている技術において、試料中の優勢なタンパク質は、例えば、まず第一に除去されてもよい。
【0061】
最近の技術進歩によって、MRM(多重の反応モニタリング)モードで操作しているトリプル四重極アナライザーを使用して実施されるタンデム型質量分析(MS/MS)を使用して、複雑な生物学的媒体中のタンパク質を定量化することが可能になった。この操作モードはダブル選択性(2つのアナライザー、親イオン選択及び生成物イオン選択)を有し、検出感度は他の走査モードと比較して改良されている。
このアプローチの技術的な実現可能性は、非常に大量のタンパク質の免疫除去後、血漿中濃度が100ng/mlのほどオーダーのタンパク質を検出することに成功したAnderson及びHunter(文献61)によって、最近証明された。
生物試料において、興味がある「mRNA」腫瘍マーカーの存在の決定は、試料中のmRNAの存在を決定する任意の方法、すなわちmRNAの直接的検出またはmRNAの間接的検出、または試料中のmRNAの存在を決定する任意の方法であって当業者に知られている方法によって、実施されてもよい。
「mRNAの直接的検出」なる表現は、生物試料においてmRNA自体を証明することを意味することを目的とする。
生物試料のmRNAの直接的検出は、例えば好ましくはPCRまたはNASBA技術によって増幅後、mRNAに特異的な結合パートナーとのハイブリダイゼーションによって、当業者に知られている任意手段によって実施されてもよい。
【0062】
「ハイブリダイゼーション」なる表現は、適切な条件下で、2つのヌクレオチド断片が安定且つ特異的な水素結合により互いに結合し、それにより二本鎖複合体を形成することを意図する。これらの水素結合は、相補的塩基アデニン(A)とチミン(T)(またはウラシル(U))(A−T結合と呼ばれる)との間に、または相補的塩基グアニン(G)とシトシン(C)(G−C結合と呼ばれる)との間に形成される。2つのヌクレオチド断片のハイブリダイゼーションは、完全なものでもよい(従って、リファレンスは相補的ヌクレオチド断片または配列である)、すなわちこのハイブリダイゼーションで得られた二本鎖複合体はA−T結合とC−G結合のみを含む。このハイブリダイゼーションは部分的あってもよく(従って、リファレンスは十分に相補的ヌクレオチド断片または配列である)、すなわち、得られた二本鎖複合体は、二本鎖複合体の形成を可能にするA−T結合とC−G結合だけでなく、相補的な塩基に結合しない塩基もまた含む。2つのヌクレオチド断片間のハイブリダイゼーションは、使用する操作条件、特にストリンジェンシーに依存する。
ストリンジェンシーは、2つのヌクレオチド断片の塩基組成の観点から、加えて2つのヌクレオチド断片間のミスマッチの程度によって、特に定められる。また、ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液中に存在するイオン種の濃度及び種類、変性剤の性質と濃度及び/又はハイブリダイゼーション温度のような反応パラメーターに依存する。全てのこれらのデータは知られており、当業者は適切な条件を決定することができる。一般に、ハイブリダイゼーション温度は、ハイブリダイズすることが求められるヌクレオチド断片の長さに応じて、約0.5から1Mの濃度の食塩水中で、約20と70℃との間、特に35と65℃との間にある。mRNAに特異的であるかまたは特異的でない結合パートナーは、このmRNAに結合できる任意のパートナーである。例えば、核酸プローブ、増幅プライマー及びこのmRNAに結合できる他の任意の分子を挙げることが出来る。
【0063】
「ハイブリダイゼーション・プローブ」なる表現は、5から100の核酸単位、特に10から35の核酸単位を含み、所定の条件下でハイブリダイゼーション特異性を有し、それにより興味の標的遺伝子に特異的な物質とハイブリダイゼーション複合体を形成するヌクレオチド断片を意味することを目的とする。ハイブリダイゼーション・プローブは、その検出を可能にするマーカーを含んでもよい。
【0064】
本発明の目的において、「増幅プライマー」なる用語は、5から100核酸単位、好ましくは15から30核酸単位を含むヌクレオチド断片であって、酵素ポリメリゼーション、特に酵素増幅反応の開始を可能するものを意味することを目的とする。「酵素増幅反応」なる用語は、少なくとも一つの酵素の作用によってヌクレオチド断片の多数のコピーを生成する方法を意味することを目的とする。
この増幅反応は当業者にとって周知であり、以下の技術を特に挙げることができる:
−US特許第4683195号、US4683202、及びUS4800159に記載されている、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)
−特許出願WO91/02818の、NASBA(核酸配列に基づいた増幅)、及び
−US特許第5399491号の、TMA(転写媒介増幅)。
【0065】
「検出」なる用語は、物理的方法又はSYBR(登録商標)GreenI、エチジウムブロマイドのようなインターカレーター色素による化学的方法、又はマーカーによる検出方法を意味すると目的とする。多数の検出方法が、核酸の検出用に存在する(文献62)。適切な標識は上記の通りある。本発明の目的では、ハイブリダイゼーションプローブは、いわゆる「検出」プローブであってもよい。この場合、いわゆる「検出」プローブは、上記の標識で標識される。この標識の存在のおかげで、所与の検出プローブと検出される転写産物との間のハイブリダイゼーション反応の存在が検出できる。
【0066】
検出プローブは、特に「分子ビーコン」検出プローブであってもよい(文献63)。これらの「分子ビーコン」は、ハイブリダイゼーションの間、蛍光性になる。それらは、ステム・ループ構造を有しており、フルオロフォアとクエンチャー基を含む。特異的なループ配列とその相補的な標的核酸配列との結合によって、ステムの巻き戻しと、適切な波長での励起において蛍光シグナルの放出が生じる。
【0067】
また、ハイブリダイゼーションプローブは、更に「捕捉」プローブであってもよい。この場合、いわゆる「捕捉」プローブは、適切な手段で、すなわち直接的に又は間接的に、例えば共有結合又は吸着によって、固体支持体上に固定されるか又は固定可能である。固体支持体は当業者に知られており、合成物質または天然物質、ラテックス、磁性粒子、金属誘導体、ゲル類などを挙げることができる。固体支持体は、微量滴定プレート、特許出願WO-A-94/12670に記載されているようなメンブレン、または粒子の形態であってもよい。また、複数の異なる捕捉プローブが支持体に固定されてもよく、各々の捕捉プローブは1つの標的転写産物に特異的である。
特に、多数のプローブを固定することができるバイオチップを、支持体として使用してもよい。支持体へのプローブの固定もまた当業者に知られており、直接移動、マイクロ蒸着、インサイツ合成及びフォトリソグラフィーによるプローブの配置を挙げることができる。
生物試料において、興味がある腫瘍マーカーをコードする遺伝子における、DNA修飾又は変異の証明は、試料中におけるDNA修正を決定する任意の方法、すなわち突然変異の直接的検出、又は興味のある遺伝子座のメチル化プロフィールの修正の証明、又は試料中のDNA修正を決定するための、当業者に知られている他の任意の方法によって実施されてもよい。
【0068】
突然変異は、1つのヌクレオチドの他のものとの点置換、一つ以上のヌクレオチドの欠失、及び一つ以上のヌクレオチドの挿入を含んでもよい。突然変異は、興味のある腫瘍マーカーの遺伝子のコード部分に、又は転写プロモーター領域又は転写終止領域のような5’及び3’非コード部分に位置していてもよい。
突然変異を証明するためのストラテジーは、分子生物学的技術に基づいており、DNA抽出、PCR又は他の増幅技術による増幅、ハイブリダイゼーションおよび/またはシークエンシング工程を含む。結腸直腸癌の場合、以下の方法は、糞便DNAの突然変異を検出するために成功裏に使用される:沈殿によるDNA濃縮、磁気ビーズ上の捕捉オリゴヌクレオチドを使用した標的の濃縮、興味がある遺伝子のPCR増幅、点突然変異を同定するための固相シークエンシング(文献64)。欠失は、予想される基準断片と変異した断片のサイズの違いに関して同定された。Imperiale等(文献64)は、K-ras、APCとp53遺伝子に位置する21突然変異のパネルを記載しており、それは浸潤性の癌の16/31を検出することを可能にする。
【0069】
使用された他のDNAマーカーはBAT-26欠失であり、それはマイクロサテライトの不安定性と長いDNA(L-DNA)と呼ばれる高度に増幅可能なDNAのためのマーカーであり、それは特異的なマーカーでないが、結腸の内腔に剥脱した腫瘍細胞の無秩序なアポトーシスを反映するように見える(文献65)。これらのマーカーは、感受性に関して又は特異性に関して、十分でない。
前述のように、DNA修正は、また、興味がある腫瘍マーカーに対応する遺伝子のメチル化プロフィールの修飾に相当してもよい。メチル化プロフィールの修飾は、低メチル化(メチル化の数が減少する)にまたはハイパー・メチル化(メチル化の数が増加する)に相当してもよい。修正された部分は、興味のある腫瘍マーカーの遺伝子のコード部分に、又は転写プロモーター領域又は転写終止領域のような5’及び3’非コード部分に位置していてもよい。
【0070】
DNAメチル化の解析は、MSP(メチル化特異的PCR)、亜硫酸水素塩シークエンシング、PCRと組合わせたメチル化感受性制限酵素による消化、COBRA(混合性亜硫酸水素塩切断解析)及びMs-SNuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチド・プライマー伸長)のような質的なおよび/または定量的なPCRに基づいた技術を使用して実施されてもよい。全てのこれらの技術は、方法論の論文(文献66)に、比較的詳細に概説されている。
【0071】
文献において、いくつかのハイパーメチル化された遺伝子が、結腸直腸癌の場合に報告されている。例えば、ALX4(aristaless様ホメオボックス-4)遺伝子(文献56)、TPEF/HHP1(膜貫通タンパク質を含む上皮増殖因子とホリスタチンドメイン)遺伝子のプロモーター領域(文献67)または他にセプチン-9遺伝子(文献68)を挙げることができる。
本発明の方法において、少なくとも2つのマーカーを検出する場合、それらは、例えば異なるイムノアッセイ測定を使用して別々に、あるいはマルチプレックスアッセイにおいて同時に証明されてもよい。
本発明の方法において、異なる性質の2つのマーカー、例えばタンパク質マーカー及びmRNAマーカーが検出される場合、上記の方法から選択される2つの異なる検出方法が使用されてもよい。特許出願WO03/104490に記載したように、それらは同じ検出媒質で、同じ反応条件下で、同時に検出されてもよい。この特許出願に記載されている検出方法の工程は、少なくとも1つの核酸および少なくとも1つの異なる性質の他のリガンドからなる標的分析物を含む試料中のハイブリダイゼーションと免疫反応を同時に検出することを含んでなり:
(i)反応バッファーで希釈された試料の既知の体積量を、前記標的分析物についての捕捉パートナーであって、少なくとも一つの核酸プローブ及び少なくとも1つの抗リガンドを含む前記捕捉パートナーでプレコートした捕捉表面上に置くこと、
(ii)15℃と60℃との間の温度で反応させること、および
(iii)このようにして得られたハイブリダイゼーションと免疫反応を明視化することを含む。
生物試料は、特別な処理を必要としてもよい。なぜなら、それは、本発明の方法で求められる腫瘍マーカーを含んでいるか、あるいは本発明の方法で求められるマーカーを含む循環腫瘍細胞および/または本発明の方法で求められるマーカーを分泌することができる循環腫瘍細胞を含んでいる可能性があるためである。
したがって、本発明のある実施形態によれば、生物試料は、前記液体に含まれる循環腫瘍細胞を分離するために前処理される。
「循環腫瘍細胞を分離する」なる表現は、循環腫瘍細胞が濃縮された細胞分画を得ることを意味することを目的とする。
循環腫瘍細胞を分離するための生物試料の処理は、フロー・サイトメーターの細胞選別によって、フィコール上の濃縮によって、特異的抗体で覆われた磁気ビーズによる濃縮によって、または当業者に知られている特異的な濃縮法の任意の方法によって実行されうる。
【0072】
生物試料としての血液の場合、循環腫瘍細胞は、磁気ビーズ(Dynal Biotech ASA、ノルウェー)に結合する抗-CD45抗体を使用した血球の除去と組合わせたフィコール上の細胞分離の技術によって分離されることができる。
本発明の方法で求められる腫瘍マーカーの検出は、次にサイトスピンによってスライド上に循環腫瘍細胞を付着させた後に、例えば本発明の方法で求められる腫瘍マーカーに対する抗体により、これらの細胞の免疫細胞化学的な標識化することによって、生物試料から分離される循環腫瘍細胞を使用して直接的に行うことができる。本発明の方法で求められる腫瘍マーカーの検出は、また、Metezeau等(文献69)に記載されているフローサイトメトリー法を使用して、循環腫瘍細胞において、直接的に実施されてもよい。
これらの条件下では、前記循環細胞は、本発明の方法で求められる腫瘍マーカーを前記細胞内部で遮断することを可能にする条件で処理されることができる。このような処理は、Mathieu等(文献70)によって記載されている。
本発明の方法で求められる腫瘍マーカーの検出は、本発明の方法で求められるマーカーのための結合パートナー特異的な侵入を可能にするために細胞膜を透過可能にようにした後に行われる。
【0073】
また、本発明の方法で使用する腫瘍マーカーの直接的検出は、循環細胞に基づいており、ELISPOT法によって、例えば出願人による特許出願WO03/076942に記載されている方法によって、実行できる。この方法は生物試料の循環腫瘍細胞を検出および/または定量する方法であり、それは一つ以上の腫瘍マーカーの放出又はインビトロでの分泌を可能にする方法であって:
(i)前記細胞の量を前記腫瘍マーカーに特異的な少なくとも一つの結合性パートナーが取り付けられた培養表面の底に置くこと、
(ii)前記腫瘍マーカーが放出又は分泌されるような条件下で前記細胞を培養し、培養表面の底に免疫的に捕捉すること、
(iii)洗浄によって細胞を取り除くこと、
(iv)前記腫瘍マーカーに特異的な少なくとも一つの標識されたコンジュゲートを加えること、および
(v)このように得られた標識を明視化すること
を含む。
【0074】
また、腫瘍細胞における本発明の方法で使用する腫瘍マーカーの直接的な検出は、本発明の方法で使用する腫瘍マーカーを分泌するような条件下で、それらを培養した後に、前記細胞の培地において実行されることができる。
腫瘍マーカーの放出または発現のための培養条件は、37℃、湿潤雰囲気下及び5%COのような通常の条件である。
また、生物試料が固体試料である場合、腫瘍マーカーの存在は、腫瘍のインビボ、インサイツで証明されてもよい。
インビボの腫瘍において腫瘍マーカーの存在を示すために、当業者に知られている任意のイメージング方法が使用されてもよい。このために、前記腫瘍マーカーの結合パートナーは、イメージング・トレーサーに結合されてもよい。
「結合パートナーをイメージング・トレーサーに結合させる」なる用語は、当業者に知られている任意のイメージング方法によって検出され、直接的または間接的に検出可能なシグナルを生じることができるトレーサーの付加を意味することを目的とする。したがって、トレーサーは、テクネチウム-99のような放射性トレーサーであってもよい。この場合、原発癌または転移癌を有する器官は、腫瘍マーカーとそのトレーサーを結合する。器官によって放出される放射線は、特別なカメラ(例えばガンマ線カメラ)で撮影されうる。計測器は、放射性物質によって生成されるシンチレーションを収集して、これにより器官を視覚化することを可能にする。
本発明の他の方法において、トレーサーは、ポジトロンを放出する放射性物質(フッ素18)を含んでもよい。画像は、それからポジトロンエミッショントモグラフィーシステムによって得られる。
【0075】
本発明の他の好適な方法において、腫瘍マーカーのパートナーは、ナノパーティクルに結合することができる。例えば、それらは、超磁性体ナノパーティクルであってもよい;例えば、直接的細胞標識化に用いられるアニオン性磁気ナノパーティクルとNMR映像法によるインビボ検出である。それらは、金のナノパーティクルであってもよい。
インビボで腫瘍マーカーの検出を可能にする本発明の方法によって、腫瘍マーカー、癌、特に結腸直腸癌を生じている腫瘍マーカーに結合パートナーの結合があった体の部位、更にはそれらの遠隔転移癌と関連しているリンパ節の局在は、視覚化されることができる。
癌細胞だけがアミノアシラーゼ1を分泌し、この産生は癌の悪性度に依存するので、本発明の方法が早期診断だけでなく、結腸直腸癌に関するスクリーニング、フォローアップ治療、予後診断及び再発診断のためにも用いられることができる。それは本発明の別の課題を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
本発明は、より非限定的具体例として提供される以下の実施例によって、更には付属の図1から21によって、より明らかに理解される:
【図1】図1は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、LEIのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図2】図2は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、エズリンのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図3】図3は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、アミノアシラーゼ1のELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図4】図4は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、L-FABPのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図5】図5は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、I-FABPのELISAアッセイに関するグラフである(pg/ml)。
【図6】図6は、マイクロプレートELISA(図6A)、またはLincoplexキット(図6B)による、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、アポリポタンパク質AIのELISAアッセイに関するグラフである(μg/ml)。
【図7】図7は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、アポリポタンパク質AIIの、Lincoマルチプレックス・キットを用いたアッセイに関するグラフである(μg/ml)。
【図8】図8は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、I-プラスチンのELISAアッセイに関するグラフである(FRV:相対的蛍光値)。
【図9】図9は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、β2-マイクログロブリンのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図10】図10は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、CEAのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図11】図11は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、CA19-9のELISAアッセイに関するグラフである(U/ml)。
【図12】図12は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、テストステロンのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図13】図13は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、E-カドヘリンのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図14】図14は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、PAP1のELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図15】図15は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、ガレクチン-3のELISAアッセイに関するグラフである(RFV)。
【図16】図16は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、LDHのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図17】図17は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の血清における、プロテアソーム20SのELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図18】図18は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の糞便における、アミノアシラーゼ1のELISAアッセイに関するグラフである(ng/ml)。
【図19】図19は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の糞便における、ガレクチン-3のELISAアッセイに関するグラフである(RFV)。
【図20】図20は、結腸直腸癌を有する患者(CRC+)と正常な患者(CRC−)の糞便における、プロテアソーム20SのELISAアッセイに関するグラフである(RFV)。
【図21】図21は、LEI、エズリン、及びガレクチン-3についてのELISPOTアッセイを、Caco-2、HT-29及びHT29-B6株の10の癌細胞ごとのスポット数で表わしたグラフである。
【0077】
実施例1:腫瘍マーカーをコードしている遺伝子のクローニング及び組換えタンパク質の発現
1. cDNA増幅とクローニング
FCS(ウシ胎仔血清)なしに、Caco-2結腸直腸癌株を、2mMのL-グルタミンを含むDMEM培地中で培養した(全てギブコ)。
LEI、L-FABP及びGal-3遺伝子のクローニングの場合、メッセンジャーRNAを、インビトロゲンFastTrack2.0キット(Cat.No.45-0019)を使用して、10のCaco-2細胞のペレットから、製造業者によって供給されたプロトコルに従って抽出した。逆転写とPCR工程は、プラチナTaq DNAポリメラーゼ酵素を使用しているスーパースクリプトIII ワンステップRT-PCRシステム・キット(インビトロゲン Cat.No.12574-018)で、製造業者によって供給されるプロトコルに従って、450ngのCaco-2 mRNAを使用する一工程で実施した。遺伝子増幅のために使用するPCRプライマーを、表1に示す。

表1

得られたDNA断片は、Bsm BI及びXbaIで消化後、TAクローニング・キット(インビトロゲンCat.No.K4520-01)のベクターpCR2.1 TOPO(LEI及びGal-3)又はOrigene社のベクターpCMV6-XL4(L-FABP)にクローニングした。プラスミドは、cDNAが実際に期待される配列に合うことを確認するために配列決定された。
アミノアシラーゼ1をコードする遺伝子のクローニングの場合は、キアゲンのRNA Easy Miniキットを使用して、製造業者によって供給されるプロトコルに従って、10のCaco-2細胞のペレットから抽出した。逆転写は、スーパースクリプトII酵素(インビトロゲン)で、製造業者によって供給されるプロトコルに従って、10ngのCaco-2 RNAを使用して実施した。逆転写プライマーは、オリゴ(dT)である。
この反応由来のcDNAは、AccuPrime Pfxキット(インビトロゲン Cat.No.12344-024)を使用して、製造業者によって供給されたプロトコルに従って、PCR反応のテンプレートとして使用した。PCRプライマーは、次の通りであるACY-1 Fwd2(配列番号7:5’−GCGAATTCTTTAAGAAGGAGATATACATATGACGAGCAAAGGTCCGGAAGAGGAGCACCCATCG−3’)および、ACY-1 Rev(配列番号8:5’−GCAAGCTTCAGCTGTCACTGGGCAGGGC−3’)。
これらの条件下では、Zero Blunt TOPO PCRクローニング・キット・タイプのクローニングベクターにクローニングされた1.3kbの断片を増幅することが可能である(インビトロゲン Cat.No.K2820-20)。このプラスミドは、cDNAが実際に期待される配列にあっていることを確認するために配列決定された。
I-FABP翻訳領域を含む以下のDNA断片(配列番号9)を、Geneart社によって実施された化学合成によって得た。
配列番号9:
GGTACCGAATTCCGCGTTTGACAGCACTTGGAAGGTAGACCGGAGTGAAAACTATGACAAGTTCATGGAAAAAATGGGTGTTAATATAGTGAAAAGGAAGCTTGCAGCTCATGACAATTTGAAGCTGACAATTACACAAGAAGGAAATAAATTCACAGTCAAAGAATCAAGCGCTTTTCGAAACATTGAAGTTGTTTTTGAACTTGGTGTCACCTTTAATTACAACCTAGCAGACGGAACTGAACTCAGGGGGACCTGGAGCCTTGAGGGAAATAAACTTATTGGAAAATTCAAACGGACAGACAATGGAAACGAACTGAATACTGTCCGAGAAATTATAGGTGATGAACTAGTCCAGACTTATGTGTATGAAGGAGTAGAAGCCAAAAGGATCTTTAAAAAGGATTCTAGAGTCGACGAGCTC.
【0078】
2. 発現ベクター構築
LEIおよびガレクチン-3をコードする遺伝子は原核生物の発現ベクターpMR78(文献71)にサブクローニングし、L-FABP遺伝子はベクターpET3d(New England Biolabs)にクローニングした。クローニングのために必要な制限サイトは、テンプレートとして、プラスミドpCR2.1 TOPO-LEI、pCR2.1 TOPO-Gal-3およびpCMV6-LFABPを使用して導入された。PCR酵素はプロメガPfu DNAポリメラーゼであり、PCR反応は製造業者の指示により、表2に示されるプライマーで実施した。

表2

LEIまたはガレクチン-3をコードする翻訳領域を含むPCR産物は、EcoRIおよびHindIII制限酵素で消化した。断片は、同じ酵素(プラスミドpMR-LEIおよびpMR-Gal-3)によって制限されたベクターpMR78に導入された。ベクターpMR78はタンパク質が発現されるフレームで6-ヒスチジン配列を含み、それは金属キレート・アフィニティークロマトグラフィーによって精製されることができる。L-FABP PCR産物は、ベクターpET3dに、NcoIおよびBamHI制限サイトで、クローニングした。
アミノアシラーゼ1の場合、TOPOクローニングベクターはacy1翻訳領域を含む1.3kb断片をつくるためにEcoRIおよびHindIIIによって直接消化され、ベクターpStaby1(Eurogentec)に導入された。組換えプラスミドは、pStaby1-ACYと呼ばれている。
I-FABPの場合、Geneart社によって提供されるクローニングベクターはコード配列を含むほぼ400bpの断片を生成するためにEcoRIおよびSalI制限酵素によって消化され、それはベクターpMRCH79(ビオメリューのベクターpMR78に由来する)に導入された。組換えプラスミドは、pMRCH-IFABPと呼ばれている。
GST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)と融合されたエズリンおよびI-プラスチンをそれぞれ発現することができるプラスミドpGEX-エズリンおよびpGEX-I-プラスチンはキュリー研究所から提供された。
【0079】
3. 組換えタンパク質発現および精製
組換え腫瘍マーカーを産生するための発現プラスミドは、大腸菌BL21バクテリアと派生株(ストラタジーン)に導入される。培養は、振盪により周囲温度で実行される。各々のタンパク質のための正確な培養条件を表3に示す。IPTGは、イソプロピル-β-D-1-チオガラクトシダーゼである。
バクテリアのペレットは、2×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)バッファーに溶解され、1.5kbarで、細胞分離器にかけた(コンスタントシステム)。溶菌液は、3000g、4℃で30分間遠心分離される。上澄は可溶性タンパク質を含む。ペレットは、封入体を含む。封入体を可溶化するためのバッファーは、タンパク質によって決まる。
LEIの場合、精製は、5mLのNi-NTA-セファロース樹脂(キアゲン)を含むカラムにより、可溶性分画を使用して実行され、タンパク質は450mMのイミダゾール(pH7.5)を含む2×PBSによって溶出した。
ガレクチン-3の場合、封入体は1Mの尿素を含む2×PBSに溶解されて、5mLのNi-NTA-セファロース樹脂(キアゲン)に通され、Gal-3タンパク質は450mMのイミダゾールと1Mの尿素を含む2×PBS(pH7.5)によって溶出した。
L-FABPの場合、精製は、Macherey-NagelのNi-IDAキットで、可溶性分画を使用して実行される。

表3

GST-エズリンの場合、精製は、GSTアフィニティークロマトグラフィーによって、8Mの尿素と10mMのDTTを含む100mMのトリスバッファーに溶解された封入体を使用して実行される。5mlのグルタチオン・セファロース4ファストフローゲル(アマシャム)を含むカラムが用いられる。平衡化と洗浄バッファーは、0.05%トゥイーン20含有2xPBSである。溶出バッファーは、20mMの還元グルタチオン(pH8)を含む50mMのTris-HClである。
アミノアシラーゼ1の場合、培養の可溶性分画はアマシャムHiTrap Q FFカラムに通され、ACY-1タンパク質は0.3MのNaCl(pH7.5)によって溶出した。いくつかの他のタンパク質がこれらの条件下で共に溶出されたので、疎水性相互作用カラム(HIC Phenyl HP、アマシャム)における精製を行った。ACY-1タンパク質は、0.5MのNaCl(pH7)によって溶出した。
組換えGST-I-プラスチン・タンパク質は、精製された形態でキュリー研究所によって提供された。組換えカルレティキュリン・タンパク質は、工業用プロテウスサービス社(ディジョン、フランス)から提供された。カルレティキュリンをコードしている配列は、化学合成によって得られた。
【0080】
実施例2:腫瘍マーカーに向かうモノクローナル抗体の産生
1. 動物モデル
免疫化実験は、最初の免疫化時に6〜8週であった雌のBALB/c(H-2d)マウスで行った。
2. 免疫原および免疫化
マウスで得られた免疫反応を増強して、モノクローナル抗体を生成することを可能にするために、腫瘍マーカーは実施例1に記載されている手順に従って、組換えタンパク質の形態で産生された。LDHタンパク質は、SciPac社(Cat.No.103-133)から得られた。これらのタンパク質は、良好な免疫原性の能力を有することが知られている油中水型乳剤の形で調製されたフロイントアジュバント(シグマ)と、同体積により混合された。3匹のマウスは、各々の腫瘍マーカーで免疫化された。マウスは、10μgの免疫原を、0、2および4週に3回連続して投与された。全ての注射は、皮下に行われた。最初の注射は完全フロイントアジュバントとの混合物として与えられ、次の2回は不完全フロインドアジュバントとの混合物として与えられる。最初の注射後D50とD70との間に、100μgの組換えタンパク質の静注によって、体液性応答は再刺激された。
【0081】
3. 体液性応答の出現のモニタリング
抗体の出現を監視するために、血液サンプルは定期的にマウスから採取される。抗腫瘍マーカー抗体の存在は、ELISAを使用して試験される。興味があるタンパク質が、捕捉(1μg/ウェル)のために用いられる;飽和の後に、抗原は、テスト血清のさまざまな希釈物と反応させられる(37℃で1時間のインキュベーション)。血清に存在する特異的抗体は、アルカリホスファターゼ(H+L、ジャクソンイムノリサーチ、Cat no.115-055-146)にコンジュゲートされており、求める抗体と結合するAffiniPureヤギ抗マウスIgG抗体によって検出される(0.1μg/ウェル)。
【0082】
4. モノクローナル抗体の産生
最後の注射の3日後に、各腫瘍マーカーごとに、免疫マウスのうちの1匹を解剖した。血液および脾臓が取り出された。KohlerおよびMilstein(文献72、73)によって記載されたプロトコルに従って、脾臓から得られた脾細胞は、バラバラにされ、不死化するために、Sp2/0-Ag14ミエローマ細胞によって培養された。
12−14日のインキュベーション期間の後に、得られたハイブリドーマの上澄は、この実施例のポイント3に記載されたELISAアッセイを使用して、抗-腫瘍マーカー抗体の存在を決定するためにスクリーニングされた。免疫原としてGST融合タンパクが使われた場合、GSTに向かうクローンは、捕捉のために、連結していないGSTを有するELISAスクリーニングを実行することによって除去される。陽性のハイブリドーマ・コロニーは、当業者にとって周知である限界希釈法技術に従って、二回サブクローンをつくった。
【0083】
5.イムノブロッティングによるモノクローナル抗体の特徴づけ
さまざまな腫瘍マーカーに対して得られたモノクローナル抗体のリストを表4に示す。これらのモノクローナル抗体は、ウェスタン・ブロット法によって分析された。

表4

【0084】
5.1. 方法論
Caco-2およびHT-29株の細胞培養抽出物は、8.3Mの尿素と2Mのチオ尿素と4%の3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート (CHAPS)と100mMのDTTと2%のセルバライト 4-9(Serva、ハイデルベルク、ドイツ)と0.1g/lのオレンジGの水溶液の600μlで直接溶解し、次にNuPAGE Novexゲル試料調整プロトコル(インビトロゲン)に従って処理した。
組織の抽出物を得るために、患者GHBD001、GHBD004およびCLSP109の腫瘍と粘膜生検をメスで切り出し、次に2.5mMのEDTAとプロテアーゼインヒビター(錠剤、ロシュ)を含む1mlのPBSバッファーで50-μm Mediconsを使用するMedimachineシステム(ベクトン・ディキンソン)において、10サイクルの抽出にかけた。これらの細胞懸濁液の10mlをプールし、25mlにし、次に600gで15分間遠心分離した。上澄が、NuPAGE Novexゲル試料調整プロトコルに従って処理された組織抽出物に該当する。最終全タンパク質濃度0.4mg/mlに濃縮された試料が使用される。デポジット体積は、MOPS泳動バッファーのNuPAGE Novexビス‐トリス4−12%ゲル上にウェルごとに20μlである。泳動(200V、1時間)およびPVDF膜(400mA、45分間)上への移動後、移動の質はアミドブラックによる染色法によって評価される。
膜は、1時間の周囲温度で、TNT(15mMのトリス、0.14MのNaCl、0.5%トゥイーン20、pH8)の溶液において5%脱脂乳(Regilait)で飽和する。飽和後、膜は、飽和溶液で10μg/mlに希釈されたさまざまなテスト抗体で1時間インキュベートされる。TNTでリンスした後、膜は、飽和溶液で1:5000まで希釈された抗-マウス-西洋わさびペルオキシダーゼ(Cat No.115-035-062,ジャクソンイムノリサーチ)のコンジュゲートと共に、周囲温度で1時間インキュベートされる。リンス後、発現は、Substrate Supersignal West Dura Extendedキット(Cat No.34076,Pierce)により、使用に推奨された情報に従って実施する。
膜上の化学発光シグナルは、Biorad社のVersaDocイメージングシステムによって測定された。ウエスタンブロットのイメージに基づいて、さまざまな腫瘍マーカーに該当するバンドの体積は、QuantityOneソフトウェア(バイオラド)によって数値を求められた。体積は、バンドの表面積によって増大する化学発光シグナルの強度に該当する。
【0085】
5.2. 結果
ウェスタンブロッティング結果は表5に示す。それは、試験されるさまざまな試料に関して、ウェスタン・ブロット解析における、興味がある腫瘍マーカーに対応するバンドの体積を与える。これらの結果は、試験される腫瘍マーカーがCaco-2およびHT-29大腸癌株で実際に発現していること、および患者から得られた腫瘍および粘膜の抽出物で示されるように組織においても実際に発現していることを示す。試料上の抗体によって得られたシグナルの強度は、他の試料および同じ抗体によって得られたシグナルと比較することができる。使用する技術は、組織(非遠隔試料)中のマーカーの有無、およびマーカーについての抗体の特異性を確認することを可能にする。この技術は、遠隔試料のこの実施例においては使用されなかった。
遠隔試料中の腫瘍マーカーの有無に関して結論を出すことができず、また前記腫瘍マーカーの濃度が前記試料において増減するかどうかについても決定できないためである。さらに、使用する実験スキームは、1つの抗体の反応性をもう一方と比較することを可能にするものではない。

表5

【0086】
5.3. I-プラスチンに対するモノクローナル抗体
患者GHBD004において、8C8C5抗体は、I-プラスチンに相当するバンドを光らせないか、又は非常に弱く光らせた。これらの試料のI-プラスチンの存在は、例えば、ブロッティングのI-プラスチンに対してより良い親和性を有する8G2D2抗体を使用して証明されてもよい。
I-プラスチンが70%以上の相同性を有する2つの他のイソフォーム(L-プラスチンとT-プラスチン)を含むタンパク質のファミリーのメンバーであるので、GST-プラスチン-LとGST-プラスチン-Tタンパク質(キュリー研究所によって提供された)に関するそれらの反応性について、得られたモノクローナル抗体の全てのクローンを試験した。このスクリーニング終了後、ファミリーの他のメンバーと交差反応性を何ら呈しないクローン3D11D10、8C8C5、3A3H2および8G2D2を選択した。これらの抗体は、I-プラスチン・イソフォームに実際に特異的である。
【0087】
実施例3:腫瘍マーカーのための血清分析
1. 患者および標本
血液サンプルは、2つのHuriet法規約の背景において、フランスに分布する8つの臨床センターのネットワークから収集される。血清を得るために、血液サンプルは、乾燥管に採取される。血漿を得るために、血液サンプルは、EDTA管に採取される。凝固の後、管は1000gで10分間遠心分離され、血清が除去され、等分されて、−80℃で保存される。血漿の管は、1000gで10分間直接遠心分離され、血漿は除去され、等分され、−80℃で保存される。試料は、患者の病歴について完全に文書化される。
【0088】
2. LEI腫瘍マーカーのための血清分析
LEIタンパク質は、実施例2に記載された抗体およびVidas(登録商標)自動化装置(ビオメリュー)を使用するELISAアッセイを使用して分析された。これを行うために、ELISAアッセイは、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラ・キットの試薬を使用して構成された(ビオメリュー、Cat.No.30315)。試薬は、付随の情報シートの記載(ref.11728D-FR-2005/05)に従い、以下の変更を加えて使用した:
1.コーンは、10μg/mlの濃度で、捕捉抗体10E1H1と感作させた。
2.HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルの内容物を、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラキットの第2ウェルのバッファー(ヤギ血清及び1g/lのアジ化ナトリウムのバッファー)で1μg/mlにまで希釈された、ビオチン結合検出用抗体21B10A5の300μlに置き換えた。
3.血清、血漿または糞便試料(50μl)は、HBs Agウルトラキットの第2ウェルのバッファー(ヤギ血清及び1g/lのアジ化ナトリウムのバッファー)に1/20まで前もって希釈した後に、あるいはそのまま、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルのバッファーに直接希釈された。
4.ELISA反応は、Vidas(登録商標)自動化装置及びHBs Agウルトラ・キットのプロトコルを使用して実施された。
5.結果は、バックグラウンド・ノイズ(反応前の基質の読取値)の減算の後、粗分析の値の形で得られた。
【0089】
標準曲線は、組換えタンパク質の形態の腫瘍マーカーの濃度の範囲を分析することによって定められた。標準曲線は、y軸に沿ってVidas(登録商標)によって読みとられるシグナル(RFVまたは相対蛍光値)及びx軸に沿って腫瘍マーカーの濃度を記録することによってプロットされた。分析される体液(血液、血清、血漿、糞便)に存在する腫瘍マーカーの濃度は、Vidas(登録商標)によって読み取られたRFVシグナルに対応する濃度を記録することによって算出した。
分析された患者で得られた量は、図1に報告される。この図において、ステージIVの結腸大腸癌を有する患者の3つの血清及びステージIIIの結腸大腸癌を有する患者の1つの血清は、血清LEIの量においてはっきりした増加を示す。
【0090】
3. エズリン腫瘍マーカーのための血清分析
エズリン・タンパク質は、実施例2に記載された抗体及びVidas(登録商標)自動化装置(ビオメリュー)を使用したELISAアッセイを使用して分析した。これを行うため、ELISAアッセイは、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラ・キットの試薬を使用して構築された(ビオメリュー、Cat.No.30315)。試薬は、付随の情報シートに記載(ref.11728D-FR-2005/05)に従い、以下の変更を加えて使用した:
1.コーンは、30μg/mlの濃度で、捕捉抗体4A9H5と反応させた。
2.HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルの内容物を、ビオチンに結合した、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラキットの第2ウェルのバッファー(ヤギ血清及び1g/lのアジ化ナトリウムのバッファー)で1μg/mlにまで希釈された300μlの検出用抗体4A7A6C1に置き換えた。
3.血清、血漿または糞便試料(50μl)は、HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルのバッファーに直接希釈された。
4.ELISA反応は、試料を捕獲及び検出抗体とインキュベートする工程を100サイクル行うVidas自動化装置及びVidas(登録商標)HBs Agウルトラ・キットのプロトコルを使用して実施された。
5.結果は、バックグラウンド・ノイズ(反応の前の基質の読取値)の減算の後、粗分析の値の形で得られた。
【0091】
分析される体液(血液、血清、血漿、糞便)に存在する腫瘍マーカーの濃度は、LEIを分析することに関するパラグラフ2に記載されている手順に従って算出された。
分析された患者で得られた量は、図2に報告されている。この図において、ステージIVの結腸大腸癌を有する患者の3つの血清は、血清エズリンの量においてはっきりした増加を示すことに注目されたい。
【0092】
4. アミノアシラーゼ1腫瘍マーカーのための血清分析
アミノアシラーゼ1タンパク質は、実施例2に記載されている抗体及びVidas(登録商標)自動化装置(ビオメリュー)を使用したELISAアッセイを使用して分析された。これを行うため、ELISAアッセイは、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラ・キットの試薬を使用して構築された(ビオメリュー、Cat.No.30315)。試薬は、付随の情報シートに記載(ref.11728D-FR-2005/05)に従い、以下の修飾を加えて使用した:
1.コーンは、20μg/mlの濃度で、捕捉抗体2A7F6と反応させた。
2.HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルの内容物を、ビオチンに結合した、HBs Agウルトラキットの第2ウェルのバッファー(ヤギ血清及び1g/lのアジ化ナトリウムのバッファー)で1μg/mlにまで希釈された300μlの検出用抗体11H7D9に置き換えた。
3.血清、血漿または糞便試料(100μl)は、HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルのバッファーに直接希釈された。
4. ELISA反応は、試料を捕獲及び検出抗体とインキュベートする工程を100サイクル行うVidas自動化装置及びVidas(登録商標)HBs Agウルトラ・キットのプロトコルを使用して実施された。
5.結果は、バックグラウンド・ノイズ(反応の前の基質の読取値)の減算の後、粗分析の値の形で得られた。
【0093】
分析される体液(血液、血清、血漿、糞便)に存在する腫瘍マーカーの濃度は、LEIを分析することに関するパラグラフ2に記載されている手順に従って算出された。

表6

表6の続き


分析された患者で得られた値は、図3に報告する。この図において、ステージIIの結腸大腸癌を有する患者の1つの血清、ステージIIIの結腸大腸癌を有する患者の1つの血清、及びステージIVの結腸大腸癌を有する患者の2つの結成は血清アミノアシラーゼ1の量がはっきりと増加していることに注目されたい。
【0094】
5. L-FABP腫瘍マーカーのための血清分析
我々は、ヒトL-FABPタンパク質を分析するために、Hycult Biotechnology社から市販されているELISAキット(Cat.No.HK404)を使用した。このキットは、肝臓の病変の存在を決定するために、細胞培養上清のまたは血清、血漿または尿のL-FABPタンパク質を定量化することを可能にする。我々は、製造業者によって推奨される手順に従ったが、2つの変更を加えた:インキュベーションは周囲温度でなく、37℃で実施し、血清は分析の前に1/10に希釈した。L-FABPタンパク質の分析は、当業者に周知の代替技術によって実施されてもよい。
図4に、この分析の結果を示す。我々が試験した血清パネルにおいて、結腸直腸癌を有する141人中の41人の患者は17ng/mlを超える血清L-FABP濃度を有するが、対照群ではこの値を上回る個体はなかった。これらの41人の患者は、ステージIの結腸直腸癌をもつ8人、ステージIIの結腸直腸癌を有する8人、ステージIIIの結腸直腸癌を有する13人およびステージIVの結腸直腸癌を有する12人の患者である。141人の結腸直腸癌患者で観察される平均血清L-FABP濃度は、16.6±1.3ng/mlであった。112人の正常な個体(ネガティブ・コントロール)の平均値は、6.6±0.2ng/mlである。この違いは、統計学的に有意である(P<0.0001、不等分散のためのウェルチの修正による片側t検定)。
【0095】
6. I-FABP腫瘍マーカーのための血清分析
我々は、ヒトI-FABPタンパク質を分析するために、Hycult Biotechnology社から市販されているELISAキット(Cat.No.HK406)を使用した。このキットは、小腸の虚血性の病変の存在を決定するために、細胞培養上清のまたは血清、血漿または尿のI-FABPタンパク質を定量化することを可能にする。製造業者によって推奨される手順に従った。I-FABPタンパク質の分析は、当業者に周知の代替技術によって実施されてもよい。
図5に、この分析の結果を示す。我々が試験した血清パネルにおいて、結腸直腸癌を有する40人中の15人の患者は40pg/mlを超える血清I-FABP濃度を有するが、対照群ではこの値を上回たのは24個体中2個体だけだった。より明らかには、ステージIの結腸直腸癌を有する患者の3つの血清、ステージIIIの結腸直腸癌を有する患者の2つの血清およびステージIVの結腸直腸癌を有する患者の1つの血清が、100pg/mlを超える血清I-FABP濃度を有する。この値より上の濃度は、CRC−対照群では見られなかった。
【0096】
7. アポリポタンパクAI腫瘍マーカーについての血清分析
血清アポリポタンパクAIの分析は、2つの異なるイムノアッセイ技術によって実施された。まず、マイクロプレート・サンドイッチELISAを使用した。96ウェル・プレートは、抗-Apo AIモノクローナル抗体のクローン1404(Biodesign Cat.No.H45404)により、ウェルにつき1μgで被覆された。PBS-0.05%トゥイーン20(PBS−T)によって3回洗浄した後、PBS−T中の10%ミルクにより、37℃で1時間飽和させた。プレートはPBS−Tで更に3回洗浄され、試験血清試料の1/100000希釈液の100μl又は基準範囲の希釈の100μlがプレート上へ置かれて、そのプレートは37℃で2時間インキュベートされた。基準範囲は、Apo AIタンパク質(Biodesign Cat.No.A50620H)をPBS−T(BSA1%)(1.6〜100ng/ml)に希釈することによって調製された。PBS−Tによる3回の洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Biodesign Cat.No.K45452P)に結合するポリクローナル検出抗体をウェルにつき0.1μg加えて、そのプレートを37℃で2時間インキュベートした。更に3回のPBS−Tによる洗浄後、OptEIA基質(BD)を100μl/ウェルで加えた。20分後に、発色が起こった時に、反応を2Nの硫酸で停止して、450nMの吸光度を測定した。
【0097】
図6Aにこの分析の結果を示す。我々は、結腸直腸癌を有する個体のApo AIの血清濃度の減少を証明した。ステージIからIVのCRCを有する38個体の平均濃度は675±36μg/mlであるが、27の正常な個体(対照)ではこれより非常に高い値である:1040±39μg/ml。この相違は、統計学的に非常に有意である(P<0.0001、片側t検定)。比較として、肝癌を有する13個体では、Apo AIの平均血清濃度がサンドイッチELISA技術では1175±87μg/mlであった。従って、血清濃度の減少は、APO AIが結腸直腸癌の特異的なマーカーであり、この減少はイムノアッセイによって証明することができることを証明した。
【0098】
使用された第2の分析技術は、Linco社によって市販されているマルチプレックス・アッセイであり、それは同時に、同じ試料において、AIおよびAIIを含む複数のアポリポタンパク質を同時に分析することができる(Cat.No.APO-62K)。製造業者によって推奨される手順を適用した。
図6Bは、この分析の結果を示す。CRCを有する患者のApo AIの血清濃度の減少は、この第2の技術によって確認される。ステージIからIVのCRCを有する34個体のApo AIの平均濃度は768±30μg/mlであるが、正常な17個体においてはこれより非常に高い:1194±51μg/ml。この違いは、統計学的に非常に有意である(P<0.0001、片側t検定)。
【0099】
8. アポリポタンパクAII腫瘍マーカーについての血清分析
血清アポリポタンパクAIIの分析は、Lincoマルチプレックス・キットにより実施した。図7は、この分析の結果を示す。我々は、結腸直腸癌を有する個体のApo AIIの血清濃度の減少を証明した。ステージIからIVのCRCを有する34個体におけるApo AIIの平均濃度は170±11μg/mlであるが、正常な17個体(対照)ではこれより非常に高い277±16μg/ml。この相違は、統計学的に非常に有意である(P<0.0001、片側t検定)。
【0100】
9. I-プラスチン腫瘍マーカーについての血清分析
I-プラスチン・タンパク質は、実施例2に記載の抗体およびVidas(登録商標)自動化装置(ビオメリュー)を使用して分析された。これを行うために、ELISA分析は、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラ・キットの試薬を使用して構成された(ビオメリュー、Cat.No.30315)。試薬は、付随の情報シートの記載(ref.11728D-FR-2005/05)に従い、以下の修飾を加えて使用した:
1.コーンは、15μg/mlの濃度で、捕捉抗体3D11D10と感作させた。
2.HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルの内容物を、Vidas(登録商標)HBs Agウルトラキットの第2ウェルのバッファー(ヤギ血清及び1g/lのアジ化ナトリウムのバッファー)で1μg/mlにまで希釈されたビオチン結合した検出用抗体8C8C5の300μlに置き換えた。
3.血清、血漿または糞便試料(100μl)は、HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルのバッファーに直接希釈された。
4.ELISA反応は、Vidas(登録商標)自動化装置及びHBs Agウルトラ・キットのプロトコルを使用して実施された。
5.結果は、バックグラウンド・ノイズ(反応前の基質の読取値)の減算の後、粗分析の値の形で得られた。
【0101】
分析される体液(血液、血清、血漿、糞便)に存在する腫瘍マーカーの濃度は、LEIを分析することに関してパラグラフ2に記載されている手順に従って算出された。
分析された患者で得られた量を図8に示す。試験された結腸直腸癌を有する患者の2つの血清は、血清I-プラスチン量のはっきりした増加を示す。
【0102】
10. グループB腫瘍マーカーについての血清分析
β2-ミクログロブリン、CEA、CA19-9およびテストステロン腫瘍マーカーを、出願人のアッセイキット、それぞれVidas(登録商標)β2-ミクログロブリン, Vidas(登録商標)CEA, Vidas(登録商標)CA19-9TMおよびVidas(登録商標)テストステロンを使用して、各々のキットに特有の手順に従って分析した。
E-カドヘリン・タンパク質は、キットの手順に従ってE-カドヘリンEIAキット(タカラ・バイオケミカルズ、東京、日本)を使用して分析された。
再生膵島由来タンパク質3αタンパク質、別名膵臓炎関連タンパク質(PAP1)は、PANCREPAP ELISAキット(DynaBio、マルセーユ、フランス)を使用して、キットの手順に従って分析した。
【0103】
ガレクチン-3およびLDHタンパク質は、実施例2に記載されている抗体を使用して分析した。プロテアソーム20Sは、特許EP 0434670に記載されている抗体を使用して分析した。これを行うため、ELISA分析は、Vidas(登録商標)自動化装置(ビオメリュー)とVidas(登録商標)HBs Agウルトラ・キットの試薬を使用して構成された(ビオメリュー、Cat.No.30315)。試薬は、付随の情報シートに記載(ref.11728D-FR-2005/05)に従い、以下の修飾を加えて使用した:
1.コーンは、5から30μg/mlの間の濃度で、捕捉抗体と感作させた。
2.HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルの内容物を、ヤギ血清と1g/lのアジ化ナトリウムのバッファーに1μg/mlにまで希釈された、ビオチンに結合した300μlの検出用抗体に置き換えた。
3.血清、血漿または糞便試料は、HBs Agウルトラ・カートリッジの第2ウェルのバッファーに直接希釈された。
4. ELISA反応は、Vidas(登録商標)自動化装置及びHBs Agウルトラ・キットのプロトコルを使用して実施された。捕捉および検出抗体と共に試料をインキュベートする工程は、14と100サイクルとの間である。
5.結果は、バックグラウンド・ノイズ(反応前の基質の読取値)の減算の後、粗分析の値の形で得られた。
分析される体液(血液、血清、血漿、糞便)に存在する腫瘍マーカーの濃度は、LEIを分析することに関してパラグラフ2に記載されている手順に従って算出された。さまざまな腫瘍マーカーのためのアッセイ条件を表7に記載する。

表7

【0104】
β2-ミクログロブリン、CEA、CA19-9、テストステロン、E-カドヘリン、再生膵島由来タンパク質3α、ガレクチン-3、LDHおよびプロテアソーム20S腫瘍マーカーによって分析された患者で得られた値を図9から17にそれぞれ記録されている。
結腸直腸癌を有する患者の3つの血清は、血清β2-ミクログロブリンの量の増加を示す。結腸直腸癌を有する患者の10の血清は、血清CEAの量の増加を示す。より明確には、ステージIIIの結腸直腸癌を有する患者の1つの血清およびステージIVの結腸直腸癌を有する患者の7つの血清が、血清CEA量の相当な増加を示す。
結腸直腸癌を有する患者の9つの血清は、血清CA19-9の量の増加を示す。より明確には、ステージIIIの結腸直腸癌を有する患者の1つの血清およびステージIVの結腸直腸癌を有する患者の7つの血清が、血清CA19-9量の相当な増加を示す。
結腸直腸癌を有する患者の10の血清は、血清テストステロンの量の減少を示す。より明らかには、ステージIIの結腸直腸癌を有する患者の1つの血清、ステージIIIの結腸直腸癌を有する患者の1つの血清およびステージIVの結腸直腸癌を有する患者の2つの血清が、血清テストステロン量の下落を示す。
結腸直腸癌を有する患者の2つの血清は、血清再生膵島由来タンパク質3αの量の増加を示す。
ステージIVの結腸直腸癌を有する患者の4つの血清、ステージIIIの結腸直腸癌を有する患者の2つの血清およびステージIIの結腸直腸癌を有する患者の1つの血清は、血清ガレクチン-3の量の明確な増加を示す。
【0105】
実施例4:組合せによる腫瘍マーカーの血清分析の使用
出願人は、結腸直腸癌を有する特定の患者の血流において、腫瘍マーカーの異常に上昇した量または異常に減少した量が観察されことを実施例3で示した。驚くべきことに、血液において、2つの所与のマーカー量の増加または減少は、同じ患者において体系的に観察されない。その結果、いくつかの腫瘍マーカーの組合せは、結腸直腸癌を有すると同定される患者数を増加させることが可能である。したがって、患者Aは一つ以上の腫瘍マーカー(グループX)の減少又は増加を示すが、患者BではグループXの前記マーカーで正常である場合がある;この同じ患者Bで、一つ以上の他の腫瘍マーカー(グループY)は、上昇または減少する場合があり、患者AではグループYの前記マーカーで正常である場合がある。出願人によって分析されるさまざまな腫瘍マーカーは、したがって、当業者によく知られているさまざまな数学的アルゴリズムによって結合されることができる。網羅的な例ではないが、具体的には、以下の方法が実施された:
1.各々の腫瘍マーカーについて、限界値が設定された。
2.結腸直腸癌のケースで血液中の腫瘍マーカーの量が増加した場合、所与の患者で得られた血液の量はその限界値によって分割された。結腸直腸癌のケースで血液中の腫瘍マーカーの量が減少した場合、所与の患者で得られた血液の量は逆数にされて、その限界値をかけられた。
3.「限界値によって分割された血液中の量」の比率が1より大きい場合、比率は係数(例えば10)をかけられた。したがって得られる値は、研究される患者について、考慮中の腫瘍マーカーのための「スコア」と呼ばれた。
4.さまざまな腫瘍マーカーで得られたスコアは、各々のマーカーに特異的な係数によって重み付けされて加えられた。下記の実施例の場合、全ての重み付けの係数は1にセットした。
5.スコアの合計は加えられるスコアの総数によって分割され、こうして得られる値に「トータルスコア」という名前をつけた。
6.彼または彼女のトータルスコアが限界値スコアに比例して増加している場合、患者は結腸直腸癌を有すると診断される。
アミノアシラーゼ−1を含む2、4および8つのマーカーの選択のトータルスコアを表8に示す。
アミノアシラーゼ−1とプロテアソーム20Sの腫瘍マーカーの組合せは、22人の患者の同じ群について、結腸直腸癌を有する9人の患者でトータルスコア「2」をえられる一方で、アミノアシラーゼ−1又はプロテアソーム20S単独の分析ではそれぞれ4人および7人の患者のみでの増加が示された。
アミノアシラーゼ1、β2−ミクログロブリン、プロテアソーム20SおよびCA19−9腫瘍マーカーの組合せは、22人の患者の同じ群について、結腸直腸癌を有する13人の患者でトータルスコア「4」をえられる一方で、アミノアシラーゼ−1、β2−ミクログロブリン、プロテアソーム20S又はCA19−9単独の分析ではそれぞれ4人、3人、7人および8人の患者のみでの増加が示された。
アミノアシラーゼ1、β2−ミクログロブリン、プロテアソーム20、CA19−9、L−FABP、PAP、E−カドヘリンおよびCEA腫瘍マーカーの組合せは、22人の患者の同じ群について、結腸直腸癌を有する18人の患者で増加したトータルスコア「8」をえられる一方で、アミノアシラーゼ−1、β2−ミクログロブリン、プロテアソーム20、CA19−9、L−FABP、PAP、E−カドヘリン又はCEA単独の分析ではそれぞれ4人、3人、7人、8人、6人、2人、1人及び10人の患者のみでの増加が示された。

表8

表8のつづき

【0106】
実施例5:糞便腫瘍マーカーアッセイ
糞便は重さ約1gの破片を使用して抽出され、それは1g/lアジ化合物を含む100mMのリン酸ナトリウム・バッファー(pH7.2)の10mlに加えられる。混合物は、1分間のボルテックスで均質にされる。次に、試料を氷上で7秒間4サイクルの超音波にかける。不溶性分画は4℃で10分間、2000gで遠心分離により取り除かれる。上澄は分析されるまで−30℃で保存される。実施例3に記載のELISAアッセイが、必要に応じて、HBs Agウルトラ・カートリッジの第1ウェルのバッファーに糞便を適切に希釈した後に糞便の腫瘍マーカーを分析するために使用された。
アミノアシラーゼ1、ガレクチン-3およびプロテアソーム20Sによる試験の分析定量は、それぞれ図18から20に表わされる。アミノアシラーゼ1、ガレクチン-3およびプロテアソーム20Sの量の増加が、それぞれ結腸直腸癌を有する患者の10、14、および8つの糞便で観察された。
【0107】
実施例6:ELISPOT技術による腫瘍マーカーの検出
1. 細胞培養
LnCAP前立腺癌株は、2mMのL-グルタミンと10mMのHEPESと1mMピルビン酸ナトリウムと10%FCSを添加したRPMI1640培地で培養される(全てギブコ)。細胞はネガティブコントロールとして使用される。
Caco-2結腸大腸癌株は、FCSを含まず2mMのL-グルタミンを含むDMEM培地で培養される(全てギブコ)。
HT-29結腸直腸癌株は、10%FCSおよび2mMのL-グルタミンを含むDMEM培地で培養される(全てギブコ)。
HT-29/B6結腸直腸癌株は、FCSを含まず4mMのL-グルタミンを含むDMEM培地で培養される(全てギブコ)。
細胞は、5%のCOを有するインキュベーターで37℃に保たれる。
【0108】
2. ELISPOT技術
この手順は、タンパク質を分泌している細胞数を決定することを可能にする。PVDF膜(マルチスクリーンIP、ミリポア)を有する96ウェルELISPOTプレートは、10μg/mlでマウス抗-腫瘍マーカー・モノクローナル抗体(捕捉抗体、ELISPOTで使用した抗体を示す下の表9を参照されたい)で、ウェルにつき100μlで、滅菌PBS中で、+4℃で一晩、被覆する。次にプレートはPBSによって洗われて、10%FCSを含む培地で飽和する。平行して、細胞は、トリプシン処理され、計数されて、次に10細胞/mlまで希釈した。この保存溶液のカスケード希釈として、この細胞懸濁液の200μlはウェルに分配された。次に、プレートは5%COの湿性雰囲気において37℃で20時間インキュベートされ、次に0.05%のTween-20含有PBSによって洗浄した。次に残りの細胞は10分間の氷冷水による処理によって溶解され、次にプレートは再び洗われる。検出抗体(分析される腫瘍マーカーに向かうビオチン化モノクローナル(表9))は、0.1μg/ウェルで加えられる(周囲温度で2時間インキュベート)。スポットは、extravidin-アルカリホスファターゼ(シグマ)と基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル・ホスフェート/ニトロ・ブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT、Biorad)を加えることによって検出される。バックグラウンド・ノイズは、LnCapウェルで測定されるスポット数に相当し、使用した読み取り条件下では0から8スポットの間で変化する。非特異的なスポットの平均数は、特異的なシグナルから減算された。

表9

【0109】
3. 結果
インキュベートされた細胞100万に対する、興味がある腫瘍マーカーを分泌しているCaco-2、HT-29およびHT-29/B6細胞の数を、図21に示す。ELISPOT技術は、大腸癌株による腫瘍マーカーの放出または分泌を確認することを可能にする。出願人による特許出願WO03/076942の方法に従い、この技術を使用して患者の循環腫瘍細胞について調査を実施することが可能であろう。
【0110】
実施例7:結腸組織を使用した腫瘍マーカーの免疫組織化学検出
1. 方法論
第1に、組織マイクロアレイ・スライドは、脱パラフィンされる。このために、それらは次の溶液バットにおいて、10分間、連続的にインキュベートされる:メチルシクロヘキサン(2回)、100%エタノール、95%エタノール、70%エタノールおよび水。次にスライドは、0.1%のトゥイーン20を含むTBSで、10分間、撹拌しながら、リンスした。抗原は、10mMのクエン酸バッファー中で、40分間、90℃まで加熱することによって再活性化し、次に30分間、周囲温度まで冷却させた。内因性ペルオキシダーゼは3%のHを含むTBS−T中でのインキュベートによって阻害される。次に、スライドは37℃で1時間、湿潤なチャンバーにおいて、3%BSAのTBS−Tで飽和する。
次に、スライドは、3%BSA含有TBS−Tに10μg/mlに希釈した抗-白血球エラスターゼ・インヒビター(クローン3D9C2)、抗-エズリン(クローン5G2D12)、抗-アミノアシラーゼ1(クローン8A8A10)または抗-I-プラスチン(クローン8D6A3)一次抗体と共に2時間インキュベートする。TBS−T中で10分間3回洗浄後、スライドは、飽和溶液で1/400に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗-マウス二次抗体(Cat.No.115-035-003 Jackson Immunoresearch)と共に、湿潤チャンバーにおいて、37℃で2時間インキュベートする。スライドは、TBS−T中で10分間3回洗浄され、次にPBS中で10分間3回洗浄する。スライドは、シグマFast substrate(Cat.No.D-4168,シグマアルドリッチ)によって5分間、発現させる。染色は、PBSでの洗浄によって停止させる。ハリス・ヘマトキシリン(Cat.No.MHS16、シグマアルドリッチ)による対比染色は、30秒間実施する。水およびPBSによる洗浄後、スライドは顕微鏡下に観察のために置かれる。
免疫組織化学の標識化のために使用する抗体は、特に本出願のために、ELISAでの又はウエスタンブロッティングでのそれらの反応性に独立に選択された。
【0111】
2. 白血球エラスターゼ・インヒビターの免疫組織化学検出
組織マイクロアレイスライドは、多数の試料をスクリーニングするために用いた。これらの試料は、スライド上へ配置される結腸組織である。患者の特徴(結腸直腸癌の組織マイクロアレイに存在する結腸組織スポットの特徴)、更には抗-白血球エラスターゼ・インヒビター抗体による免疫標識の結果を、表10に示す。

表10

表の結果は正常な結腸粘膜生検において、標識化されたものがないことを示す(10の陰性)。標識は、また、腺腫においても陰性である(1/1)。標識は、結腸腺癌の上皮細胞において陽性である(8/11の患者で+)。間質では標識されたものがない。
【0112】
3. エズリンの免疫組織化学検出
組織マイクロアレイ・スライドは、多数の試料をスクリーニングするために使用した。これらの試料は、スライド上へ配置される結腸組織である。結腸腺癌を有する各患者について、3つの試料は腫瘍の中央から採取され、3つの試料は浸潤前面から採取され、3つの試料は正常な組織から採取された。表11は、抗-エズリン抗体による免疫標識の結果を示す;示した標識のレベルは、分析した3つの試料についての最大強度である。

表11

30人の患者の試料において、25試料は隣接した正常な組織と比較して、腫瘍(腫瘍中心または浸潤前面)においてエズリンの過剰発現を示す。
【0113】
4. アミノアシラーゼ1の免疫組織化学検出
組織マイクロアレイスライドは、多数の試料をスクリーニングするために用いた。これらの試料は、スライド上へ配置される結腸組織である。結腸腺癌を有する各患者について、3つの試料は腫瘍中央から採取され、3つの試料は浸潤前面から採取され、3つの試料は正常な組織から採取された。表12は、抗-アミノアシラーゼ抗体による免疫標識の結果を示す;示した標識のレベルは、分析した3つの試料についての最大強度である。

表12

30人の患者の試料において、21試料は隣接した正常な組織と比較して、腫瘍(腫瘍中心または浸潤前面)においてアミノアシラーゼの過剰発現を示す。
【0114】
5. I-プラスチンの免疫組織化学検出
組織マイクロアレイ・スライドを、多数の試料をスクリーニングするために用いた。これらの試料は、スライド上へ配置された結腸と直腸の組織である。患者の特徴(結腸直腸癌の組織マイクロアレイに存在する結腸組織スポットの特徴)、更には抗-I-プラスチン抗体による免疫標識の結果を、表13に示す。

表13

表13のつづき

表の結果は:
正常な結腸粘膜生検において、8試料(+)において標識は弱く、2試料は++である。また、標識は結腸腺腫(1/1)において弱い(+)。標識は、結腸腺癌の上皮細胞において強い陽性++である(結腸コロイド腺癌を含めて、6/9の患者で++であり、3人の患者で弱い+)。間質では標識されたものがない;
正常な直腸粘膜生検において、標識は、非特異的に表面上皮に(3/4)および1試料で++レベルで存在する。標識は、直腸腺腫で強い陽性++(5/9)または弱い+(4/9)である。さらに、標識は、直腸腺癌の上皮細胞で強い++である(3/4患者において++、1患者で弱い+)。間質では標識されたものがない
ことを示す。
【0115】
実施例8:LC-MRM-MS技術による腫瘍マーカーの検出
1.方法論
検出限界を数ng/mlまで下げることを可能にするために、改良されたMRM-MS方法が用いられた。この方法の連続した工程は:1)大量のタンパク質の免疫除去、2)トリプシン消化、3)ペプチドのSPE(固相抽出)分画化、4)MRM-MSと組合わせた液体クロマトグラフィー(LC)である。
セッティングは、10〜250ng/mlの濃度でACY、エズリン、L-FABP、PDI又はI-プラスチン組換えタンパク質を、対照血清プールに加えることによって、スパイク試料上で実施された。アポリポタンパクA1とA2は、血清に天然に存在する。
免疫除去
血清中の大量のタンパク質の除去は、ビバサイエンスのVivapure抗-HSAキットを使用して実施された。あるいは、CalbiochemのProteoextract アルブミン/IgGおよびバイオラドのAurumTM血清タンパク質ミニキットを使用した。製造業者の指示に従って、CNBr活性化セファロース4B樹脂(アマシャム・バイオサイエンス)に、除去するタンパク質に向かうモノクローナル抗体を結合させることによって、実験室で特異的樹脂を製造することもできる。
酵素消化
除去された血清試料は、30mMのジチオスレイトールを含有する6M尿素の10mMトリス溶液(pH8)で、40℃で40分間変性され、次に40分間、暗所、周囲温度で、50mMのヨードアセトアミドでアルキル化される。それらは水で6倍希釈され、トリプシン消化は1:30の酵素/基質比率を使用して37℃で一晩実施される(プロメガ)。消化は、0.5%の最終濃度でギ酸を加えることによって停止される。消化された試料は、オアシスHLB 3cc 逆相カートリッジ(60mg)(Waters)を使用して固相抽出(SPE)によって脱塩される。試料の適用の後、カートリッジを0.1%のギ酸1mlによって洗浄し、次に溶出は0.1%のギ酸を含むメタノール/水混合液(80/20 v/v)で実施される。溶出液は減圧下で乾燥される。
SPE分画
乾燥試料は、1mlの酢酸バッファーに溶解され、酢酸バッファーとメタノールで前もって平衡化されたオアシスMCX(混合陽イオン交換)60mg混合カートリッジ(疎水性および陽イオン交換)(Waters)上にロードされる。カートリッジは、1mlの酢酸バッファーと1mlのメタノールによって洗浄される。興味があるペプチド(表14)は、メタノール/酢酸バッファー混合物(50/50 v/v)の1mlによって溶出される。酢酸バッファーのpHは、興味があるペプチドの等電点に応じて選択される。溶出液は減圧下で乾燥され、0.1%のギ酸を含むアセトニトリル/水(3/97 v/v)溶液の200μlに溶解する。50μlのアリコートは、MS-MSシステムに接続するLCに注入された。
液体クロマトグラフィーおよび質量分析法
LC-MS分析は、Sciex API2000トリプル四重極、またはより感受性のよいSciex API4000Qtrap(複合型トリプル四重極-イオントラップMS)(MDS Sciex)のどちらかの質量分析計に接続されている、バイナリーポンプとインジェクター(Agilent Technologies)を有するHP1100シリーズ高圧クロマトグラフィーシステム(HPLC)において実施された。LC分離は、300μl/分の溶出流速で、C18シンメトリーカラム(Waters)において実施した。(溶出液A=0.1%ギ酸水溶液、溶出液B=0.1%のギ酸アセトニトリル溶液、25分間で5%Bから50%B、次に3分間で50%Bから100%Bの直線濃度勾配)。MS分析は5500V電圧で陽性イオン化法で実施され、ニードル電位として適応され、源のイオン化を可能にする。計測器照合とデータ収集は、アナリスト1.4.1ソフトウェアにより実施された。霧状ガス(空気)およびカーテン・ガス(窒素)流は、それぞれ30と20psiである。ターボVTMイオン源は400℃に、補助窒素流は40psiに合わせる。各ペプチドで記録されたMRM遷移を表14に示す。衝突エネルギー(CE)、デクラスタリング・ポテンシャル(DP)およびコリジョンセルエクジットポテンシャル(CXP)は、選択されたMRM遷移について最適化される。
【0116】
2. 結果
各々の腫瘍マーカー(表14のタンパク質)について、理論上のMRM遷移のリストは、MIDAS(MRM-initiated検出およびシークエンシング)ソフトウェアを使用して生成された。このリストは、800から3000Daの質量範囲および全てのあり得るyまたはb型の断片イオンの、理論上のトリプシンペプチドの全ての二重荷電あるいは三重荷電親イオンを含む。各タンパク質について、各々の可能な遷移は、最も感受性があり、最も特異的な遷移を決定するために試験された。この選択の結果を表14に示す。AQUA型の重ペプチド(シグマ)、あるいは、重組換えタンパク質をアッセイ基準として使用して、複雑な生物媒質において興味がある腫瘍マーカーを絶対値で定量化することが可能である。

表14

表14のつづき

表14のつづき

表14のつづき

【0117】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸直腸癌を有することが疑われる患者から得られた生物試料におけるアミノアシラーゼ1マーカーの存在を決定することによる結腸直腸癌のインビトロ診断方法。
【請求項2】
生物試料が腫瘍から離れた試料であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
白血球エラスターゼ・インヒビター、エズリン、肝臓脂肪酸結合タンパク質、腸脂肪酸結合タンパク質、アポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII及びI-プラスチンマーカーから選択される少なくとも一つの他の腫瘍マーカーの存在を更に決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
β2-ミクログロブリン、プロテアソーム20S、ガレクチン-3、L-乳酸脱水素酵素B鎖、カルレティキュリン、再生膵島由来タンパク質3α、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1、II型ケラチンCytoskeletal8、I型ケラチンCytoskeletal18、I型ケラチンCytoskeletal19、上皮カドヘリン、CEA、ビリン、CA19-9、CA242、CA50、CA72-2、テストステロン、TIMP-1、Cripto-1、インテレクチン-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、サイトケラチン20、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質、(プロ)デフェンシン-A5、好ましくはAXL4遺伝子のメチル化DNAまたはセプチン-9遺伝子のメチル化DNAのような血液中のメチル化DNAの検出、糞便DNAの特異的な変異又は糞便DNAのメチル化プロフィールの特異的な修正のような糞便DNA断片の特異的な修正の検出、及びヒト糞便のヘモグロビンの検出から選択される少なくとも一つの他の腫瘍マーカーの存在の決定を更に含むことを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
結腸直腸癌に関する早期診断、スクリーニング、フォローアップ治療及び予後診断のための、請求項1から4の何れか一項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2010−533850(P2010−533850A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516548(P2010−516548)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051290
【国際公開番号】WO2009/019366
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】