絡み合った繊維で形成された電子デバイス及び電子デバイスアクセサリ
電子デバイス用の構造体又は他のパーツを形成するために繊維が絡み合わされてもよい。繊維はコンピュータ制御の織機、組機、編機を用いて絡み合わされてもよい。絡み合った繊維にバインダ材料が選択的に組み込まれてもよい。絡み合った繊維の性質及び組み込まれるバインダのパターンを制御することによって、アンテナ窓、音透過・遮断構造体、統合剛性・可撓性部分を有する構造体、及びシームレスな分岐部分を有する管を含む構造体が形成されうる。これらのような繊維ベース構造体はヘッドホン又は他の電子デバイスのケーブル及び他のパーツ、ポータブルコンピュータ用の筐体のような電子デバイス用の筐体及び他の構造体を形成するために用いられてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絡み合った繊維で形成された構造体に関し、より具体的には絡み合った繊維で電子デバイス用の構造体を形成する手法に関する。
【0002】
本出願は2009年12月14日に出願された米国特許出願第12/637,509号、2009年12月14日に出願された米国特許出願第12/637,355号及び2009年6月10日に出願された米国特許出願第61/185,934号に優先権を主張し、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
他の製作技術を用いて実施するのが困難又は不可能であろう構造体を作成するために近年の織機(weaving equipment)、組機(braiding equipment)及び編機(knitting equipment)が用いられうる。例えば、他の材料で形成された筐体構造よりも軽くて強い電子デバイス用の筐体構造を形成するために炭素繊維織布が用いられてもよい。可撓性ケーブルシースは繊維編組ツールを用いて形成されてもよい。多くの医療デバイスが繊維で形成される。例えば、分岐代用血管及び他の心臓血管デバイスが繊維で形成されてもよい。
【発明の概要】
【0004】
ケーブル用シース、ヘッドセットのようなアクセサリの一部及び他の構造体を形成する際に絡み合った繊維が用いられてもよい。
【0005】
織物、組物及び編物のためのツールのような繊維絡み合わせ装置(fiber intertwining equipment)が繊維を絡み合わせるために用いられてもよい。この装置を用いて絡み合わされる繊維はポリマー繊維、金属繊維、絶縁体被覆金属繊維、ガラス繊維又は他の適切な繊維を含んでもよい。絡み合わされると、エポキシ又は他の適切なマトリクスのようなバインダが絡み合った構造体に組み込まれ、硬化されてもよい。
【0006】
製作プロセス中に変わりうるパラメータは、構造体の特定の領域に組み込まれる繊維の本数、繊維の間隔、繊維のタイプ、バインダのタイプ、バインダの位置などを含む。これらの要因を選択的に変えることによって、構造体の相異なる領域が相異なる柔軟性、(例えば透音性(audio transparency)、水分浸透などを調整するための)相異なる密度、相異なる導電性などを有する構造体が形成されうる。絡み合わせ装置を用いて形成されてもよい形状は、分岐構造(例えば、二股構造)、可変直径の管状構造、潜在的に複合曲面を有する構造などを含む。
【0007】
好適な添付の図面及び実施形態の以下の詳細な説明から本発明の更なる特徴、その特性及び様々な利点が一層明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る絡み合った繊維を有する構造体を製作するために用いられてもよい例示の製作装置の概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る構造体を製作する際に、絡み合わせパラメータ及びバインダ組み込みパラメータのようなパラメータが構造体の位置の関数としてどのように変わりうるかを示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態に係る単位面積あたりの繊維の本数が位置の関数としてどのように変わりうるかを示す例示の構造体の側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る用いられる繊維のタイプが位置の関数としてどのように変わりうるかを示す例示の構造体の側面図である。
【図5】、
【図6】、
【図7】本発明の実施形態に係る構造体を形成する際に用いられてもよい例示のバインダ組み込みパターンの側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る繊維絡み合わせプロセスの間に変わった直径を有する例示の管状構造体の図である。
【図9】本発明の実施形態に従う繊維を絡み合わせることによって形成された複合曲面を有する筐体を備える例示の電子デバイスの透視図である。
【図10】本発明の実施形態に従う繊維を絡み合わせることによって形成され、電子コンポーネントとディスプレイ画面とを含む複合筐体曲面を有する例示の電子デバイスの断面側面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る図10で示されたタイプの電子デバイスの背面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る構造支持部材を実装するために用いられた装飾用カバー層と繊維シートとを形成するために用いられた絡み合った繊維の層を有する例示の構造体の断面側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る繊維シートが複合曲面形状を収容することを助けるように部材が除去された部分を示す図12に示されたタイプの例示の繊維シートの平面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る複合曲面形状に適応させるために固体支持体又は骨格フレームのような内部支持構造体が絡み合わされた繊維層で覆われた例示の構造の断面側面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る絡み合った繊維を用いて形成されてもよい例示の電子デバイスの透視図である。
【図16】本発明の実施形態に係る絡み合わせ装置で形成された分岐(二股)管状構造体の透視図である。
【図17】本発明の実施形態に係る電子デバイス用ケーブルのような管状構造の断面図である。
【図18】本発明の実施形態に係るバインダを絡み合った繊維に選択的に組み込むために用いられてもよい例示の樹脂トランスファー形成装置の断面側面図である。
【図19】本発明の実施形態に係るバインダを管状構造体に組み込むために用いられてもよい例示の製造装置の平面図である。
【図20】本発明の実施形態に係る二股部分を有する絡み合った繊維の連続した管から、管の長さを切断することによってどのようにヘッドセットケーブルが形成されてもよいかを示す図である。
【図21】本発明の実施形態に係る絡み合った導電繊維で形成された例示のスイッチの断面図である。
【図22】本発明に係るスイッチ又は他の構造体で用いられる導電電極部を有する絡み合った繊維の管の透視図である。
【図23】本発明に係る導電繊維と絶縁分岐分離部材とを有する複数ブランチの繊維管で形成された例示のスイッチの断面図である。
【図24】本発明の実施形態に係る高密度で比較的小さな音量を通す部分と低密度で比較的大きな音量を通す部分とを有する例示の繊維イヤホン構造体の側面図である。
【図25】本発明の実施形態に係る関連するシース管の相異なる部分が相異なる量の剛性をどのように与えられてもよいかを示す3.5mmオーディオプラグのような例示のオーディオコネクタの側面図である。
【図26】本発明の実施形態に係る絡み合った繊維で形成されてもよい例示のオーディオプラグ及び関連するケーブルシースの断面側面図である。
【図27】本発明の実施形態に係るケーブルの長さに沿ってケーブルの柔軟性を調整するようにバインダが選択的に組み込まれた繊維ケーブルを有する例示のオーディオプラグを説明する側面図である。
【図28】本発明の実施形態に係るケーブルの柔軟性を段階的に調整するために半径方向に非対称なパターンでバインダがケーブルにどのように組み込まれてもよいかを示すオーディオプラグ及び繊維ケーブルの透視図である。
【図29】本発明の実施形態に係る繊維絡み合わせ・バインダ組み込み装置を用いて電子デバイス構造体に形成されてもよいタイプの例示の複合構造体の透視図である。
【図30】本発明の実施形態に係る可撓性ヒンジ部及び剛性上側・下側平面部を備えてもよいコンピュータ筐体や電子デバイス用着脱可能保護ケースのような繊維ベース構造体の透視図である。
【図31】本発明の実施形態に係る可撓性ポケット部及び剛性平面部を繊維ベース構造体にどのように与えられてもよいかを示す図である。
【図32】本発明の実施形態に係る高周波(RF)アンテナを形成するために相異なる領域内の相異なる性質を有する繊維で形成された筐体を有する例示の電子デバイスの透視図である。
【図33】本発明の実施形態に係るデバイス内にアンテナ及び送受信機回路がどのように搭載されてもよいかを示す図32に示されたタイプの例示の電子デバイスの断面側面図である。
【図34】本発明の実施形態に係る選択的に組み込まれたバインダを有する繊維ベース構造体を形成する際に伴う例示のステップのフローチャートである。
【図35A】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい例示のモノフィラメント繊維の断面図である。
【図35B】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい例示のマルチフィラメント繊維の断面図である。
【図35C】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい複数の部材を含む混成構造体で形成された例示のモノフィラメント繊維の断面図である。
【図35D】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい相異なるタイプの部材で形成されたフィラメントを有する例示のマルチフィラメント繊維の断面図である。
【図35E】本発明の実施形態に係る混成繊維で形成された例示のマルチフィラメント繊維の断面図である。
【図36A】本発明の実施形態に係る絶縁ワイヤ及びモノフィラメント繊維を含む繊維ベースケーブルの断面図である。
【図36B】本発明の実施形態に係る絶縁ワイヤ及びマルチフィラメント繊維を含む繊維ベースケーブルの断面図である。
【図37】本発明の実施形態に係る絶縁ワイヤ及び2種類以上の繊維を含む繊維ベースケーブルの断面図である。
【図38】本発明の実施形態に係る管状の二股繊維ベースケーブルの透視図である。
【図39A】、
【図39B】本発明の実施形態に係る合流するブランチを有するリボン状の繊維ベースケーブルの透視図である。
【図40】本発明の実施形態に係る重畳するブランチを有するリボン状の繊維ベースケーブルの透視図である。
【図41A】本発明の実施形態に係る矩形輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図41B】本発明の実施形態に係る丸みを帯びた角の矩形輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図41C】本発明の実施形態に係る扁平な楕円輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図41D】本発明の実施形態に係る楕円輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図42】本発明の実施形態に係る1つのアームに配置されたスイッチを有する繊維ベースケーブルで形成された例示のヘッドセットの透視図である。
【図43A】本発明の実施形態に係るアクセサリに用いられてもよい例示の繊維ベースケーブルの一部の透視図である。
【図43B】本発明の実施形態に係る図43AのX−X断面線のようなケーブルの部分におけるケーブルのセンターコアにどのように導電ワイヤが位置してもよいかを示す例示の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図43C】本発明の実施形態に係るスイッチ構造の一部を形成するために導電ワイヤがどのように選択的にケーブルの表面にもたらされてもよいかを示す例示の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図43D】本発明の実施形態に係る図43AのZ−Z断面線のようなケーブルの一部におけるケーブルのセンターコアにどのように導電ワイヤが位置してもよいかを示す例示の繊維ベースケーブルの断面図の断面図である。
【図44A】本発明の実施形態に係るボタンアセンブリを有する繊維ベースケーブルの一部の断面図である。
【図44B】本発明の実施形態に係る図44AのX−X断面線に沿った図44Aに示されるタイプのケーブルの断面図である。
【図44C】本発明の実施形態に係る図44Aのケーブルのブタンアセンブリ部分を通り、図44AのY−Y断面線に沿った図44Aに示されるタイプのケーブルの断面図である。
【図44D】本発明の実施形態に係る図44AのZ−Z断面線に沿った図44Aに示されるタイプのケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る絡み合った繊維を有する構造体を製作するために用いられてもよい例示の製作装置の概略図が図1に示される。製作装置は任意の適切なデバイス用の繊維ベース構造体を形成するために用いられてもよい。電子デバイス筐体、ヘッドセット用ケーブルシース、電子コネクタ及び他の電子装置のような電子デバイスの一部を形成するために製作装置10が用いられる例が本明細書で例として記載されることもある。しかしながら一般に、製作装置10は任意の適切なパーツ(例えば、医療用途、工業用途、電気部品を有さない機械的構造体などのためのパーツ)を形成するために用いられてもよい。
【0010】
図1に示されるように、製作装置10は繊維ソース12から繊維を提供されてもよい。繊維ソース12は任意の適切なタイプの繊維を提供してもよい。繊維の例として、金属繊維(例えば、スチール又は銅のストランド)、ガラス繊維(例えば、全反射により光を内部的に伝達できる光ファイバの繊維)、プラスティック繊維などを含む。一部の繊維(例えば、アラミド繊維のようなポリマー)は高い強度を呈してもよい。ナイロンのような他の繊維が(例えばテイバーテストで高性能を呈することによって、)良好な磨耗耐性を示してもよい。さらに別の繊維は、(例えば塑性変形を呈すことなく伸びるように)高い柔軟性を有してもよい。ソース12により提供される繊維は、磁気繊維、導電繊維、絶縁繊維又は他の材料特性を有する繊維であってもよい。
【0011】
繊維は比較的細い(例えば、直径が20マイクロン未満又は5マイクロン未満、すなわち、カーボンナノチューブ又はカーボン繊維)であってもよいし、比較的太くてもよい(例えば、金属ワイヤ)。ソース12により提供される繊維は(フィラメントと呼ばれることもある)細い繊維がねじられた束で形成されてもよいし、単一のねじられていない部材の単一繊維としてソース12から提供されてもよい。これらの個別の構造にかかわらず(すなわち、太いか、細いか、ねじられているか、その他に細い繊維から形成されているかにかかわらず)、繊維ソース12からの部材のストランドは本明細書で繊維と呼ばれる。ソース12からの繊維はまた、ひも(cord)、スレッド(thread)、ロープ(rope)、糸(yarn)、フィラメント、ストリング、より糸(twine)などと呼ばれることもあってもよい。
【0012】
絡み合わせツール(群)14は任意の適切な繊維絡み合わせ技術に基づいてもよい。例えば、絡み合わせ装置14は、コンピュータ制御製織ツール、(例えば、管状構造を形成するための)コンピュータ制御編組ツール及び/又はコンピュータ制御編物装置(例えば、ブランチ、複合曲面及び他のこのような複雑な形状を有する絡み合った繊維構造体を生産できる3次元編物ツール)を含んでもよい。これらのツールは本明細書で集合的に絡み合わせツール(群)14と呼ばれることもある。
【0013】
ツール14は絡み合った繊維構造体を形成する。マトリクス組み込みツール(群)16は、バインダ材料を絡み合った繊維に組み込むために(例えば、これらの構造体に剛性や他の適切な性質を与えるために)用いられてもよい。マトリクスと呼ばれることもあるバインダは、エポキシ又は他の適切な材料から形成されてもよい。これらの材料は熱硬化性材料(例えば、再加熱に対してリフローしない樹脂から形成されたエポキシのような材料)や熱可塑性材料(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのような材料、ポリカーボネート、再加熱可能なABS/PCブレンド)に分類されることがあってもよい。必要ならば熱硬化性材料及び熱可塑性材料の両方並びに熱硬化性材料及び熱可塑性材料の組合せがバインダとして用いられてもよい。
【0014】
ツール16は、型、噴霧装置及び絡み合わせ装置14により生産された絡み合った繊維の部分にバインダを組み込むための他の適切な装置を含んでもよい。ツール16は必要ならば相異なる量でワークピースの相異なる部分にバインダを選択的に組み込むことができるコンピュータ制御装置及び/又は手動操作型装置を含んでもよい。例えば、繊維構造体を硬化することが望まれる場合に、絡み合った繊維により多くの樹脂が組み込まれうるが、柔軟な構造体が形成される場合に絡み合った繊維により少ない樹脂が組み込まれうる。このようにして同一の構造体の相異なる部分が相異なる柔軟性を有するように形成されうる。その後、硬化される(例えば、熱又は紫外線を用いて、バインダが硬化され、固まる)。(図1で完成パーツ20と呼ばれる)結果の構造体はコンピュータ構造体、他の電子装置用の構造体などに用いられうる。
【0015】
構造体を製作する際に構造体内の位置の関数として絡み合わせパラメータ及び組み込みパラメータのようなパラメータがどのように変わりうるかを示すグラフが図2に示される。図2のグラフの水平軸は繊維ベース構造体内の位置(例えば、ケーブルに沿った長さ又は平面に沿った側面の距離)を表す。垂直軸は変化するパラメータの大きさを表す。図2のグラフの線が示すように、パラメータは、増加傾向や、減少傾向や、周期的などで、滑らかに、連続的に、そして離散的に変わりうる。図2のグラフの線に従って変わりうるパラメータの例として、所与の面積における繊維の本数、個別の繊維のサイズ、隣接する繊維同士の間隔(間隙率又は繊維密度)、用いられるフィラメントのタイプ(繊維又は繊維の集合の絶縁性、磨耗耐性、導電性、強度、磁性などの量)及び組み込まれるバインダの量及び/又はタイプを含む。
【0016】
図3は単位面積あたりの繊維の本数が位置の関数としてどのように変わりうるかを示す絡み合った繊維の管又は平面パッチのような例示の構造体の側面図である。領域22では領域24よりも単位面積あたりの繊維が多い。領域24における構造体の部分は、領域22における構造体の部分よりも弱く、多孔質であり、それ故、水分や音の透過性が高く、軽く、柔軟である。
【0017】
図4に示されるように、構造体26は、繊維28及び繊維30のような2以上の異なるタイプの繊維を有してもよい。これらの繊維は相異なる性質を有してもよい。図4の例では、領域32では繊維30よりも繊維28の方が多い。しかしながら、領域34では、繊維28よりも繊維30の方が広くいきわたっている。繊維のタイプのこの主の空間的変動によって、装置10を用いた製作中に構造体26の性質を空間的に調整できる。
【0018】
図5、図6及び図7は相異なるパターンでバインダが組み込まれた構造体の例である。図5の構造体36では、絡み合った繊維部分38はバインダを用いずに形成されてもよいが、部分40はバインダを含んでもよい。構造体36は(例として)繊維管であってもよいし、平坦繊維ベース構造体であってもよい。図6の構造42では、比較的大部分の単一のバインダ(領域44)だけが存在し、領域46にはバインダがない。図7の構造体48では、領域50にはバインダがないが、領域52には相異なるパターンでバインダが組み込まれる。
【0019】
装置10は様々な形状(例えば、管、筐体表面のような平坦部材、球又は球の一部、複合曲線を有する形状、円柱又は円柱の一部、立方体、二股又は3つ以上に分岐した領域を有する管、これらの形状の組合せなど)の繊維ベース構造体を形成するために用いられうる。
【0020】
図8は一部の領域(例えば領域54)が他の領域(例えば領域56)よりも短い直径Dを有する管又は他の構造体58を装置10がどのように形成するかを示す。
【0021】
複合曲面を有する筐体を備える例示の電子デバイスの透視図が図9に示される。図9に示されるように、デバイス60は部分64のような平坦背面部を有する筐体又は他の構造体を有してもよい。デバイス60はまた、4つの角部62を有してもよい。各角部62は複合曲面を有する。これらの曲面は従来の製織繊維シートで形成するのが困難又は不可能でありうる。
【0022】
図1の装置10で、構造体60の平坦背面64及び複合曲面角部62の両方に適合する繊維ベース構造体(例えば、筐体又はカバー)を形成するために3次元(3D)編機又は他の絡み合わせツール14が用いられうる。
【0023】
図9の線66に沿って、方向68に見た図9のデバイス60の断面側面図が図10に示される。図10に示されるように、デバイス10は曲面側壁70、ディスプレイ又は他の前面搭載コンポーネント74及び内部電子デバイス72(例えば、プロセッサ及びメモリ回路)を有してもよい。デバイス60の背面図が図11に示され、装置10により生産された編物繊維を用いて皺や継ぎ目なく滑らかに覆われうる角部62の曲面形状の部分を説明する。
【0024】
複雑な非平坦形状に適合する絡み合った繊維の薄層を生産する装置10の能力は複合曲面を有する装飾用カバー層を作成するために用いられうる。図12に示されるように、デバイス筐体80は複合曲面筐体形状(例えば、図9の角部62)に適応するように切り取り部を有する繊維の平坦シートで形成された内部層78を有してもよい。層76は装置76を用いて形成された装飾用正角カバー層であってもよい。層76及び/又は層78はマトリクス組み込みツールを用いてバインダを浸透されてもよい。
【0025】
図13は複合曲面形状(例えば、筐体の角部)に適応するように一部82が除去された層78のような平坦層の平面図である。このプロセスは装飾層76(図12)で隠される不体裁な継ぎ目を残す。
【0026】
図14は内部支持構造体(即ち、構造体84)をどのように層76が等角に覆い、デバイス80が自身の前面に搭載されるディスプレイモジュール又は他のコンポーネント86をどのように有しうるかを示すデバイス80の断面側面図である。構造体84は固体であってもよいし、(例えばフレーム又は骨格支持体のような)空洞であってもよいし、コンポーネントを含んでもよい。
【0027】
絡み合った繊維構造体で構成されてもよい電子デバイスアクセサリの例は1組のオーディオヘッドホンである。例示のヘッドセットが図15に示される。図15に示されるように、ヘッドセット88は主ケーブル部92に含んでもよい。ケーブル92は絡み合った繊維で形成されてもよいし、(例として)相異なるタイプ及び量の繊維と相異なるパターン及び量のバインダとで形成された部分を有してもよい。ケーブル92の左右のブランチの端部にイヤホン90(すなわち、それぞれ1つ以上のスピーカを含むイヤホン)が搭載されてもよい。領域94では、ケーブル92は二股(分岐領域)を有してもよい。特徴物96は、スイッチ、マイクなどのための筐体であってもよい。ケーブル92の端部はオーディオコネクタ(プラグ)98で終端してもよい。コネクタ98は例えば、メディアプレーヤ、携帯電話機、ポータブルコンピュータ又は他の電子デバイスの対応する3.5mmオーディオジャックに係合する3.5mmオーディオプラグであってもよい。
【0028】
図16は必要ならば絡み合わせツール14が視認可能な継ぎ目なくケーブル92のY接合部94をどのように形成しうるかを示す。ケーブル92の断面図が図17に示される。図17に示されるように、ケーブル92は1つ、2つ又は3つ以上のワイヤを囲むシース100のような管状シースを有してもよい。図17の例では、シース100内に2つの導電ワイヤ束がある。ワイヤ束102は金属繊維の第1集合で形成されてもよく、ワイヤ束104はワイヤ束の第2集合で形成されてもよい。束102、104内の個別のワイヤは(必要ならば)絶縁体の薄層で被覆されてもよい。シース100はユーザによる使用中の損傷を防ぐための十分な強度と、ケーブル92が曲がるような十分な柔軟性とを有する繊維で形成されてもよい。必要ならば、Y分岐領域94とイヤホン90及びプラグ98の近くのデバイス88の部分とのような領域はこれらの領域を強化するためにより強い繊維とより多くのバインダとが提供されてもよい。
【0029】
構造体96はまたこのように強化されてもよい。例として、構造体96はバインダで浸透されてもよいし、ケーブル92の残りの大部分はバインダなしのままであってもよい。図18はツール106のような樹脂トランスファー形成ツールが(例えば開口108を通じてツール106の内部にバインダ110を浸透させることによって)どのようにケーブル92の領域96にバインダ110を選択的に組み込むかを示す。
【0030】
図19に示されるように、バインダ110が噴霧ツール114からケーブル92に向けて噴霧されている間に縦軸126の周りの方向124にケーブル92が回転してもよい。バインダ110は紫外線光源120からの紫外線122を用いて硬化されてもよい。シールド116は、バインダ110がソース120から飛び出すのを防いでもよく、ノズル128の出口で光122がバインダ110を硬化するのを防いでもよい。
【0031】
装置10は連続プロセスを用いてケーブル92を生産してもよい。図20に示されるように、装置10は周期的に分岐して2つの別々のブランチを形成し、その後2つのブランチが1つの管状構造を形成するように結合するケーブル形状を生産してもよい。このタイプの構成では、図1の後処理ツール18が切断線130に沿ってケーブル92を切断するために用いられてもよい。
【0032】
図21に示されるように、ケーブル92は繊維132、134のような導電繊維を与えられてもよい。このタイプの構成は構造体94内にスイッチを形成することが必要な場合に生産されてもよい。図21に示されるように、構造体96内の導電繊維132及び導電繊維134はギャップ領域136によって分離されてもよい。ユーザが方向140へ外縁を内側に絞り込む場合に、導電体132、134の対向する内部部分が接触でき、それによってスイッチが閉じる。
【0033】
シース92上の導電繊維は(例えば容量センサに基づくスイッチの一部として)キャパシタ電極を形成するために用いられてもよい。このタイプの構成は図22のケーブル92上の導電繊維バンド144によって説明される。
【0034】
図23の例では、スイッチ96は、(それぞれがワイヤ束102、104で形成されたワイヤのような個別のケーブルワイヤに接続されてもよい)対向する金属導電部132、134で形成されている。ケーブル92はスイッチ構造体96の一方の端部で互いに再結合する2つのブランチを有してもよい。構造体96の中心では、外向き付勢部材146(例えば、空気充填バルーン又はばね充填部材)が外側方向148へスイッチ接点132、134が互いに離れるように付勢するために用いられてもよく、これによりユーザが内向きに圧迫していない場合にスイッチ96はオフになる。
【0035】
例示の繊維ベースイヤホン及び関連するケーブルの側面図が図24に示される。図24に示されるように、イヤホン90は領域150、152を有してもよい。領域150は領域152よりも多孔質であってもよく、領域152よりも柔軟性が高く(又は低く)てもよい。領域150が高多孔質であることにより、領域150はオーディオを透過してもよく、その結果として内部スピーカドライバからの音は妨げられずに領域150を通過してもよい。領域150は領域152よりも本数が少なく密度の低い絡み合った繊維を有してもよく、領域152よりも少ないバインダが組み込まれてもよく、又は全くバインダが組み込まれなくてもよい。(例えば、音をブロックするためや、剛性又は耐久性などを向上するために、)領域152を低多孔質にすることが望ましくてもよい。従って、領域150よりも多くのバインダが領域152に組み込まれてもよいし、及び/又は繊維がより高密度に絡み合わされてもよい。領域152において繊維密度及び/又はバインダ量を増加することに加えて、異なる繊維(例えば、高密度な繊維、太い繊維など)が領域152で用いられてもよい。領域154のケーブル92は(例えば少ないバインダを有するか全くバインダを有しない)可撓性繊維で形成されてもよい。必要ならば、領域152の近くのケーブル92の一部に剛性や強度などのためにより強い繊維、より多くの繊維、より多くのバインダが与えられてもよい。
【0036】
図25に示されるように、オーディオプラグ98(又は他の電子コネクタ)に可撓性ケーブル部分92と剛性内部張力緩和構造体158とが与えられてもよい。
【0037】
金属プラグ構造体160はケーブル92内のワイヤに接続されてもよい。領域156では、強度及び剛性を増加するためにケーブル92の繊維にバインダが組み込まれてもよい。必要ならば、ケーブル92にはまた、領域156において多い本数の強い繊維が与えられてもよく、及び/又は強度を更に増すために高密度繊維が与えられてもよい。これらのタイプの構造的特徴は任意の適切な電子コネクタに用いられてもよい。図25のオーディオコネクタの使用は単なる例である。
【0038】
図26は支持(張力緩和)構造体158及びワイヤ102、104上でケーブル92がどのように等角シースを形成しうるかを示す。
【0039】
ケーブル92の柔軟性は適切なエリアにバインダを選択的に組み込むことによってその長さに沿って調整されうる。このタイプの構成が図27に示される。図27の例では、コネクタ98は部分160のような金属多接点部(例えば、3接点又は4接点のオーディオプラグ)を有してもよい。コネクタ98の領域162はバインダで完全に充填されてもよい。(この例では)領域164の一部分(例えば、リング168)だけがバインダを与えられ、それ故ケーブル92は領域162よりも領域164の方が高い柔軟性を有するだろう。領域170では、ケーブル92の繊維にバインダが存在せず、それ故ケーブル92は領域170で最高の柔軟性を有する。
【0040】
コネクタ98のための別の適切な構成が図28に示される。図28の例では、ケーブル92は領域178にバインダを有さず、それ故この領域において柔軟性を有する。領域176では、柔軟性を低下するために、放射状非対称パターンのバインダ172が用いられる。領域174は領域172よりも多くのバインダを有し、それ故剛性及び構造的強度を有する。このタイプの構成により、領域176内のバインダパターンは剛性領域174と可撓性領域178との間の柔軟性緩和インタフェースとして機能できる。
【0041】
図29は穴182を有するフック180のような部分20のための複雑な形状を形成するために装置10がどのように用いられうるかを示す。フック180内の繊維は構造体の他の部分の繊維よりも強い材料で形成されてもよい。部分20は(例として)電子デバイス筐体の不可欠な部分(integral portion)を形成してもよい。
【0042】
図30に示されるように、装置10は剛性平坦部186のような剛性平坦部と可撓性ヒンジ190のような可撓性ヒンジ部とを有する構造体184のような構造体を形成してもよい。このタイプの構成は部分186、188にバインダを組み込むが、ヒンジ190には組み込まないことで提供されてもよい。構造体184はポータブルコンピュータ筐体や、メディアプレーヤ、携帯電話機などのような着脱可能電子デバイス用の折り畳み型ケースに用いられてもよい。
【0043】
図31に示されるように、繊維ベースケース又は他の繊維ベース構造体192は剛性バインダが充填された平坦部分194と可撓性を有するバインダなしの部分196とで形成されてもよい。部分196は携帯電話機又は音楽プレーヤを保持する可撓性ポケットとして機能してもよい。部分194には必要ならばマッチング前面が与えられてもよい。
【0044】
繊維ベース構造体で形成される一部のパーツは電子デバイス筐体に用いられてもよいし、構造体の少なくとも一部分がアンテナに隣接する他の用途に用いられてもよい。このような状況では、1つ以上のアンテナ窓がこのパーツに組み込まれることが望ましい。例えば、導電繊維で形成される電子デバイス筐体では、高周波アンテナ信号を透過するアンテナ窓が電子デバイス筐体内のアンテナ上に形成されうる。アンテナ窓30は筐体に固体誘電体窓を組み込み、(例えばエポキシ又は他の接着剤を用いて)導電繊維を固体窓に取り付けることによって形成されうる。アンテナ窓構造体はまた、電子デバイス筐体のパーツ内に統合繊維ベースアンテナ窓構造体を形成するように装置10を用いて形成されうる。アンテナ窓構造体は、主にポリマー、ガラス又は他の誘電体を含む繊維で形成されてもよい。この材料は導電性を有しないので、アンテナ窓構造体は窓内の繊維の干渉を受けることなく高周波信号を通すことができる。
【0045】
アンテナ窓を有する例示の繊維ベース構造体が図32に示される。図32の構造体200は例えばメディアプレーヤ、携帯電話機、ポータブルコンピュータ又は他の電子デバイスのような電子デバイス用の筐体であってもよい。例えば、構造体200は絡み合わせツール14(例えば、3D編機)を用いて作成された複合形状を有する角部を含んでもよい。領域198では、筐体壁は絶縁部材又は導電部材若しくは絶縁部材と導電部材との組合せ(例えば、カーボン繊維、ポリマー、スチールフィラメントなど)で形成されうる。領域198の部材は導体(非誘電体)を含んでもよく、従って高周波無線信号を遮蔽してもよい。装置10はアンテナ窓202の絡み合った繊維を形成し、それによって窓202の部材がアンテナ信号を透過することを保証する場合に、誘電体繊維を用いうる。
【0046】
線201に沿った図32の構造体200の断面側面図が図33に示される。図33に示されるように、構造体200は絡み合った繊維及び関連するバインダで形成された筐体壁198を有してもよい。領域202では、アンテナ窓は無線高周波信号を透過する誘電体繊維及びバインダを用いて形成される。これにより、高周波信号212はアンテナ206を用いた無線送受信動作中に窓202を通ることができる。単一バンドアンテナ又はマルチバンドアンテナの何れであってもよく、1つ以上の個別のアンテナ構造体を含んでもよいアンテナ206は伝送回路パスを用いてプリント回路基板204上の高周波送受信回路210に結合されてもよい。
【0047】
図1の装置10を用いた繊維ベース構造体の形成に伴う例示のステップが図34に示される。ステップ214で、装置10には1つ以上の相異なる繊維ソース(例えば、図1の繊維ソース12)が提供されてもよい。適切な強度、伸縮性、柔軟性、磨耗耐性、絶縁性、導電性、色、重量、磁性などを提供する繊維が用いられてもよい。繊維の一部は鉄類のような金属で形成されてもよい。他の繊維はポリマー又はガラスで形成されてもよい。1つ、2つ、3つ、又は4つ以上の相異なるタイプの繊維ソースが所与の絡み合わせツール14で利用可能であってもよい。各繊維は相異なる性質を有してもよく、正確に制御されたパーセンテージでワークピースに組み込まれてもよい。これにより、ツール14は相異なる性質を有する部分を含む構造体を形成できる。
【0048】
ステップ216で、ツール14を用いて適切な形状及びサイズの繊維ベース構造体を形成されてもよい。相異なるタイプのツールが相異なるタイプの動作のために用いられてもよい。例えば、ヘッドセットケーブルシース用の連続的な又は半連続的な繊維ベース管を形成するためにコンピュータ制御組機が用いられてもよいし、統合アンテナ窓又は可撓性ヒンジ部を有するポータブルコンピュータ用の筐体側壁を形成するために織機が用いられてもよいし、装飾用又は構造的な筐体面をための複合曲面を有する筐体形状を形成するために3D編物ツールが用いられてもよい。これらのツールはそれぞれ、人手によって又は自動組立ツールによって組み立てられる別々のパーツを形成するために用いられてもよいし、更なる繊維ベースパーツを追加せずに完成する単一構造体を形成するために用いられてもよい。
【0049】
ステップ218の動作中に、ステップ214の動作中に生産された絡み合った繊維にバインダを選択的に組み込むためにマトリクス組み込み装置16が用いられてもよい。制御された量の柔軟性を与えるためにバインダがパターンで組み込まれてもよい。例えば、バインダパターンは同一形状又は様々な形状のリング(例えば、管又は他の細長い構造体の長さに沿った様々な点で柔軟性の量を滑らかに遷移させる他のパターンの幅を変えるリング)を含んでもよい。バインダパターンはまた、(例えばポータブルコンピュータ、ハンドヘルド電子デバイス又は他の構造体のための筐体壁のような剛体平坦構造体を形成するための)固体領域を含んでもよい。構造体の他の領域には、(例えば、最大の柔軟性が要求されるヒンジ構造体、ケーブル又はポケットや、オーディオ透過性が要求されるイヤホンスピーカポート又は筐体スピーカポートにおいて、)より少ないバインダが提供されてもよいし、バインダが提供されなくてもよい。
【0050】
所望のパターンのバインダを絡み合った繊維構造体に組み込んだ後に、追加の処理ステップがステップ220の動作中に実行されてもよい。これらの動作は例えば、連続したストリームのパーツからヘッドセットパーツを切り出すことによってヘッドセットを組み立てること、構造的筐体部材に装飾用カバーを追加すること、個別の繊維ベース構造体を互いに連結したり繊維を含まないパーツに連結したりするために接着剤又は他の固定材を用いることなどを含んでもよい。
【0051】
必要ならば、図34のステップが繰り返されてもよいし、異なる順番で実行されてもよいし、これらの両方であってもよい。例えば、ステップ218でマトリクス組み込み動作が実行される前に2つ以上の絡み合った繊維パーツを組み立てることが望ましくてもよい。また、一連の増分動作を用いて複雑な構造を構築することが望ましくてもよい。このような各増分ステップの間に、繊維ベース材料の層がワークピースへ追加されてもよく、追加のバインダが組み込まれて硬化されてもよい。(例えば、)このような増分アプローチが繊維ベース構造体の一部に用いられてもよく、当該構造体の他の部分は単一の絡み合わせ動作及び単一のバインダ組み込み動作を用いて形成されてもよい。
【0052】
繊維ベースケーブル及び他の繊維ベース構造体を構築するために用いられる繊維はナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、パラアラミド(長連鎖ポリアミド)、LEVLAR繊維のような合成繊維、他のポリマー、ガラス、スチールのような金属、若しくは他の適切な材料で形成されてもよい。必要ならば、繊維は(ニチノールと呼ばれることもある)ニッケルチタンのような超弾性形状記憶合金で形成されてもよい。これらの材料の組合せも用いられてもよい。
【0053】
繊維材料はデバイス筐体、ケーブル及び所望の性質を有する絡み合った繊維で形成される他の構造体を提供するように選択されてもよい。例えば、強く、良好な磨耗耐性を呈し、(例えば顔料を組み込むことによって)変色しづらい材料が選択されてもよい。導電(又は誘電)特性又は磁気特性に基づいて材料を選択することが望ましくてもよい。また、費用効果的な材料が用いられることが望ましくてもよい。ナイロン(ポリアミド)やポリエステルのような材料は着色添加物を受容できてもよい。パラアラミド合成ポリマーのような材料は強いかもしれないが、比較的低い磨耗耐性を呈するかもしれない。従って、他の繊維(例えば、適切なナイロンのような良好な磨耗耐性を有する繊維)も組み込んだケーブルにパラアラミド合成繊維を組み込むことが望ましくてもよい。スチールのような材料で形成された繊維ベースケーブルは磁気特性を呈しうる。例えば、スチールベースケーブルは磁化されてもよい。磁化ケーブルは磁化ケーブルを磁気的に引き付けてもよく、それによってケーブルの取扱いを容易にする。磁気ケーブルはまた、(例えばケーブルが使用されていない間に保管される際に)磁石を用いて所定の場所に保持されてもよい。繊維ベースケーブル及び他の構造体はスチール繊維を構造体の少なくとも一部に組み込むことによってこれらの磁気特性を与えられてもよい。相異なる材料の特性を利用するために材料の合成物で個別の繊維を形成することが望ましくてもよい。繊維はまた、複数のフィラメントで形成されてもよい。
【0054】
単一のフィラメント(即ち、モノフィラメント繊維構造体)で形成された例示の繊維が図35Aに示される。特に、図35Aはモノフィラメント繊維222の断面図を示す。繊維222は例えば、ナイロン又は他の適切な材料のモノフィラメントであってもよい。繊維222は任意の適切な直径(例えば、0.5mm未満、0.2mm未満、0.1mm未満、0.05mm未満、0.02mm未満、0.01mm未満など)を有してもよい。
【0055】
複数のフィラメントで形成された例示の繊維の断面図が図35Bに示される。図35Bに示されるように、マルチフィラメント繊維224は多数の個別のフィラメント226で形成されてもよい。フィラメント226は例えば、ナイロン、ポリエステル又は他の適切な材料で形成されてもよい。フィラメント226はツール14(図1)又は繊維224を形成するための他の適切な装置を用いて絡み合わされてもよい。
【0056】
図35Cは相異なる材料の合成物で形成されたモノフィラメント繊維(繊維228)の断面図を示す。合成繊維228は繊維228内で区別できるように残された材料で形成され、その結果として繊維228の一部は所定の材料で主に形成され、繊維228の他の部分は別の材料で主に形成される。図35Cの例では、繊維228は2つの相異なる材料230、232を有するように示される。一般に、繊維228は任意の個数の相異なる材料(例えば、3つ以上の相異なる材料、4つ以上の相異なる材料など)で形成されてもよい。必要ならば、材料230、232のぞれぞれは材料の混合物で形成されてもよい。繊維228は図35Cの例示の断面図で放射線状に分割されるように示される。一般に、繊維228は任意の適切な方式で相異なる複数の材料に分割されてもよい。例えば、相異なる材料は放射対称性を有するコーティング(すなわち、相異なる層)に形成されてもよい。
【0057】
図35Dは相異なる材料で形成されたフィラメント236、238を有するマルチフィラメント繊維(繊維234)の断面図を示す。繊維234は任意の適切な比率のフィラメント236、238を有してもよい。繊維234は2つのタイプのフィラメントを有するものとして示されるが、一般に繊維234は任意の数のタイプのフィラメントを有してもよい。フィラメント236、238は絡み合わせツール14又は他の適切な装置を用いて絡み合わされてもよい。
【0058】
マルチフィラメント繊維を形成するために用いられてもよい別の例示の構成が図35Eの断面図に示される。図35Eに示されるように、マルチフィラメント繊維240は材料の合成物で形成されたフィラメント242を有してもよい。図35Eの例では、各フィラメント242は材料244、246の放射状のセグメントを有するように示される。一般に、フィラメント242は任意の個数の別々の材料で形成されてもよく、フィラメント242は任意の適切な方法で分割されてもよい。図35Eの繊維240はただ1つのタイプの合成フィラメント242を有するものとして示される。必要ならば、繊維242は任意の数のタイプの合成フィラメントで形成されてもよく、合成フィラメントと単一材料フィラメント(すなわち、複数の材料の合成物で形成されていないフィラメント)との混合物で形成されてもよい。フィラメント242は絡み合わせツール14又は他の適切な装置を用いて繊維240を形成するために糸のように一緒に巻きつけられてもよい。
【0059】
繊維ベースケーブルは絶縁ワイヤを含んでもよい。このタイプの構成が図36A、図36Bの例に示される。図36Aは絡み合ったモノフィラメント繊維245で形成された繊維ベースシースの断面図を示す。繊維245は任意の適切な方式で絡み合わされてもよく、1つ以上の層で形成されてもよい。例えば、繊維245は一部の繊維245が縦糸を形成し、他の繊維245が横糸を形成するように織られてもよい。繊維245は繊維245が組み合った(interlocking)ループを形成するように編まれてもよい。繊維245はまた、組まれてもよい。1つ以上の絶縁ワイヤ247はケーブル242の内部に位置してもよい。各絶縁ワイヤ247は導電性中心部248と絶縁体250のような絶縁体層とを有してもよい。導電性中心部248は銅又は他の適切な導電性材料で形成されてもよい。絶縁体248は(例として)プラスティックで形成されてもよい。図36Aの例では2つの絶縁ワイヤ247を有するケーブル242が示される。一般に、ケーブル242は任意の適切な本数の絶縁ワイヤ247を有してもよい。図36Aでは、絶縁ワイヤ247は繊維245の1つの層で囲まれるように示される。一般に、絶縁ワイヤ245は任意の適切な数の繊維層で囲まれてもよい。
【0060】
図36Bはマルチフィラメント繊維254で形成された繊維ベースシースを有する繊維ベースケーブル252の断面図を示す。各繊維254は多くのフィラメント256を有してもよい。繊維254は絡み合わせツール14又は他の適切な装置を用いて織られ、編まれ、組まれ、又は他のように絡み合わされてもよい。ケーブル252は複数の絶縁ワイヤ247を有してもよく、絶縁ワイヤ247のそれぞれは絶縁体250に囲まれた導電中心部248を有する。図36Bのケーブル252は2つの絶縁ワイヤ247を有するものとして示される。必要ならば、ケーブル252は異なる本数の絶縁ワイヤ247(例えば、3つ以上のワイヤ247など)を有してもよい。ケーブル252はマルチフィラメント繊維254の1つの層で形成された繊維ベースシースを有するが、一般にケーブル252は任意の適切な厚さ及び任意の数のレイヤの252を有する繊維ベースシースを有してもよい。ケーブル252はモノフィラメント繊維とマルチフィラメント繊維との混合物で形成された繊維ベースシースを有してもよい。ケーブル252は相異なる材料の繊維又は合成材料で形成された繊維を有する繊維ベースシースを有してもよい。
【0061】
図37は2つのタイプの繊維で形成された繊維ベースケーブル258の断面図である。ケーブル258は例えばナイロン又は別のポリマーであってもよい繊維260を有する。繊維262はパラアラミド、ガラス、スチール又は他の適切な材料のような異なる材料であってもよい。パラアラミド材料のような強い材料で形成された繊維262はケーブル258に強度を加えてもよい。スチールのような磁気材料で形成された繊維262はケーブル258に磁気特性を加えてもよい。
【0062】
繊維262はモノフィラメント繊維であってもよいし、マルチフィラメント繊維であってもよい。繊維262はまた、合成材料で形成されてもよい。繊維260、262は織られても、編まれても、組まれても、任意の他の適切な方式で絡み合わされてもよい。ケーブル258の繊維ベースシースは2つ分の繊維の厚さを有するものとして示される。一般に、ケーブル用の繊維ベースシースは任意の適切な厚さを有してもよい。繊維262は図37ではケーブル258の内部層の一部として示されるが、必要ならば、繊維262はまたケーブル258の最も外側の面の一部として形成されてもよい。ケーブル258はそれぞれが導電中心部248と絶縁体250とを有する2つの絶縁ワイヤ247を有するものとして示される。これは単なる例示である。ケーブル258のような繊維ベースケーブルは任意の適切な本数の絶縁ワイヤ247を有してもよい。
【0063】
(二股と呼ばれることもある)シームレスY接合部は絡み合わせツール14でケーブルを形成することによってアクセサリケーブルに形成されてもよい。図38に示されるように、接合部272のようなシームレスY接合部を有するケーブル264が形成されてもよい。図38の例の繊維ベースケーブル264は丸型輪郭を有し、ケーブル264は円柱管状形状を有する。Y接合部272の下部に(すなわち、オーディオプラグの近くのヘッドセットの近接端部で)、ケーブル264はただ1つのブランチ266を有する。ブランチ266は直径D1を有してもよい。Y接合部の後(すなわち、スピーカの近くのヘッドセットの遠方端部)に、ケーブル264は2つのブランチ268、270を有してもよい。ブランチ268は直径D2を有してもよく、ブランチ270は直径D3を有してもよい。直径D2、D3のそれぞれはブランチ266の直径D1よりも小さくてもよく、ブランチ266の直径D1以上であってもよい。直径D2と直径D3とは必要ならば等しくてもよい。
【0064】
典型的な構成では、繊維ベースケーブル264は絡み合った繊維を有し、その結果ケーブルの1つの端部に存在する繊維の本数はケーブルの別の端部に存在する繊維の本数とほぼ等しい。例えば、ブランチ266はN1本の繊維を含んでもよい(すなわち、N1本の繊維がブランチ266の断面を通るだろう)。同様に、ブランチ268はN2本の繊維を含んでもよく、ブランチ270はN3本の繊維を含んでもよい。ケーブル264の繊維はY接合部の前に存在する繊維の本数がY接合部の後の繊維の本数と等しくなるように、すなわちN1=N2+N3となるように絡み合ってもよい。このタイプの構成におけるブランチ268、270内の繊維のそれぞれはY接合部272を通ってブランチ266へ延びる。ブランチ266に1つの端部を有する各繊維はブランチ268及びブランチ270の一方に別の端部を有する。電気的に絶縁されたワイヤが構造体に含まれる構成では、ワイヤのすべてがブランチ268、270の遠方端部にある必要はないが、これらのワイヤは典型的にブランチ266からブランチ268,270へ妨害されずに通る。これは、絡み合わせツール14は典型的にケーブル形成プロセス中にケーブルへの特定のワイヤの配置を妨げないからである(すなわち、ケーブル形成プロセスは図20の例に関連して示されるように実質的に連続的である)。
【0065】
ケーブル264の繊維はシースを形成してもよい。絶縁ワイヤはシースに含まれてもよい。ブランチ266内の絶縁ワイヤの本数はブランチ268内のワイヤの本数にブランチ270内のワイヤの本数を加えたものに等しくてもよい。ブランチ266に1つの端部を有する各ワイヤはブランチ268とブランチ270との一方に別の端部を有してもよい。ケーブル264がヘッドホンケーブルであるならば、4つのワイヤがブランチ266に存在してもよく、このうちの2つはブランチ268へ続き、他の2つはブランチ270へ続く。ボタンアセンブリ及びマイクのような追加の電子コンポーネントを有するアクセサリ用ケーブルはより多くの絶縁ワイヤ(例えば、ブランチ266からブランチ268へ延びる別の2つ又は4つのワイヤ)を有してもよい。
【0066】
繊維ベースケーブルはまた、平坦なリボン状輪郭を有してもよい。このタイプの繊維ベースケーブルはケーブル274として図39Aに示される。ケーブル274は矩形又は長円の断面を有してもよい。接合部276のようなY接合部がケーブル274に形成されてもよい。Y接合部276の1つの側において(すなわち、ヘッドセット又は他のアクセサリの近接端部において)、ケーブル274は1つのブランチ278を有してもよい。Y接合部276の別の側において(すなわち、ヘッドセット又は他のアクセサリの遠方端部において)、ケーブル274は2つのブランチ280、282を有してもよい。Y接合部の前後で同数の繊維が存在してもよい。例えば、ブランチ278における繊維の本数はブランチ280、282における繊維の本数に等しくてもよい。ブランチ280、282のそれぞれは単一のブランチ278よりも薄くてもよいし、断面が小さくてもよい。
【0067】
図39AのY接合部276のようなY接合部は合流Y接合部と呼ばれることがあってもよい。単一のブランチ278は幅W1と厚さT1とを有してもよい。Y接合部276の他方の側で、ブランチ280、282はそれぞれ幅W2と厚さT2とを有してもよい。図39Bに示されるように、ケーブル274の厚さは、T1=T2となるようにY接合部の前後で実質的に等しくてもよい。単一のブランチ278は(例として)ブランチ280、282の幅W2のほぼ2倍の幅W1を有してもよい。例えば、ブランチ278は2ミリメートルの幅W1と0.5mmの厚さT1とを有してもよい。ブランチ280、282はそれぞれ1ミリメートルの幅W2と0.5ミリメートルの厚さT2とを有してもよい。これらの寸法は単なる例示である。一般に、ケーブル274は任意の適切な寸法を有してもよい。図39Aの例では、ブランチ280、282が同じ断面寸法を有するものとして示されるが、必要ならばブランチ280、282は相異なる断面寸法を有してもよい。
【0068】
リボン状輪郭を有する繊維ベースケーブルはまた、図40に示されるように重畳Y接合部を有してもよい。図40の繊維ベースケーブル286はY接合部288の1つの側(すなわち、ヘッドホンのペアの近接端部)に1つのブランチ290を有し、Y接合部288の別の側(すなわち、ヘッドホンの遠方端部)に2つのブランチ292、294を有する。ブランチ292、294はY接合部288で一体化する直前に重畳してもよい。リボン状ケーブル286は矩形又は長円の断面を有してもよい。単一のブランチ290は厚さT1よりも大きな幅W1を有してもよい。ブランチ292、294は厚さT2よりも大きな幅W2を有してもよい。単一のブランチ290はブランチ292、294の厚さT2のほぼ2倍である厚さT1を有してもよい。例えば、単一のブランチ290は1.5ミリメートルの幅と1.0ミリメートルの厚さとを有してもよい。ブランチ292、294はそれぞれ1.5ミリメートルの幅W2と1.0ミリメートルの厚さT2とを有してもよい。これらの寸法は単なる例示である。一般に、ブランチ292、294は同じ寸法を有する必要はなく、単一のブランチ290の厚さはブランチ292、294の2倍の厚さである必要はない。重畳Y接合部288はシームレスY接合部であってもよい。繊維はケーブル286の長さに沿ってシームレスに続いてもよい。単一のブランチ290内の繊維はY接合部299を通り、ブランチ292、294の何れか一方に入ってもよい。単一のブランチ290に存在する繊維の本数はブランチ292、294内の繊維の本数の合計であってもよい。
【0069】
図39及び図40のリボン形状ケーブルは矩形、長円又は楕円の輪郭を有してもよい。図41A〜図41Dの断面図にリボン形状ケーブルの例が示される。図41A〜図41Dの繊維ベースケーブルのそれぞれは厚さTよりも大きな幅Wを有する。図41Aのケーブル296は丸みを帯びていない角部を有する略矩形である断面を有する。図41Bのケーブル298は丸みを帯びた角部を有する略矩形である断面を有する。ケーブル298は長円形状の断面を有すると言ってもよい。図41Cのケーブル300は平坦な楕円形状の断面を有する。図41Dのケーブル302の断面は図41Cのケーブル300よりも丸い楕円である。
【0070】
図42のヘッドホン304はY接合部306のようなシームレスY接合部を有するケーブル320のような繊維ベースケーブルを有してもよい。Y接合部306の1つの側はケーブル320の近接端部でオーディオコネクタ310につながる単一のブランチ308を有してもよい。Y接合部306の別の側はケーブル320の遠方部でイヤホンにそれぞれがつながる2つのブランチ312、314を有してもよい。ブランチ312はボタンアセンブリ又は他の適切な入出力コンポーネントのようなユーザインタフェースを有してもよい。入出力コンポーネントは、1つ以上のマイク、状態インジケータ、ボタン、スイッチなどを含んでもよい。本明細書で例として記載されることもある1つの適切な構成では、ブランチ312にはスイッチベースコントローラ318のようなボタンコントローラアセンブリが与えられてもよい。ユーザはオーディオコネクタ310に接続される電子デバイスへ情報を送信するためにコントローラ318を用いてもよい。例えば、ユーザは、複数の相異なるボタンベーススイッチ(例えば、巻き戻し又はバックボタン、停止又はポーズボタン、早送り又は再生ボタンなど)のうちの1つを作動させてもよい。コントローラ318のマイクは(電話通話中の音声マイクとして機能するように)ユーザの音声を収集するために用いられてもよい。ヘッドホン304はまた、コントローラ318から離れた位置に配置されたマイクを組み込んでもよい。
【0071】
図42の繊維ベースケーブル320は絶縁された導電ワイヤを囲む繊維ベースシースを有してもよい。ヘッドホン304はユーザにオーディオを提供するためにオーディオコネクタ310の接点(端子)を各イヤホン316に接続するワイヤを有してもよい。ヘッドホン304は例えばオーディオコネクタ310から各イヤホン316へ続く2つのワイヤを有してもよい。各ワイヤペアのワイヤの1つは共通接地として機能してもよい。各ペアの他方のワイヤはそれぞれ、左オーディオワイヤ又は右オーディオワイヤのどちらか一方として機能してもよい。ボタン及びオプションのマイク機能を提供するために、オーディオコネクタ310からコントローラ318へ追加のワイヤが続いてもよい。例えば、コントローラ318への信号及びコントローラ318からの信号を伝達するために2つの絶縁ワイヤ又は2つの導電同軸ケーブルが用いられてもよい。(例えばコントローラ318内の追加の回路と連携して)ヘッドホン304にマイクが組み込まれるならば、マイクからコネクタ310へ信号を送信する追加の導電ワイヤが存在してもよい。必要ならば、導電ワイヤは繊維ベースヘッドホン304の繊維に絡み合わされてもよい。
【0072】
図20に関連して記載されたタイプの連続プロセスを用いてケーブル304が形成される場合に、同数の繊維がケーブル320の各端部に存在してもよい。ブランチ308内の繊維の本数はブランチ312、314内の繊維の本数の合計であってもよい。また、同数の絶縁ワイヤがケーブル320の各端部に存在してもよい。例えば、6本の絶縁ワイヤがブランチ308に存在するならば、2本の絶縁ワイヤがブランチ314に存在してもよく、4本の絶縁ワイヤがブランチ312の全長に沿って存在してもよい。コネクタ310をコントローラ318に接続するワイヤは、これらのワイヤがコントローラ318とイヤホン316の近くの追加のコンポーネントとの間で信号を伝達する必要がないとしても、ブランチ312上をイヤホン316へと続いてもよい。
【0073】
繊維ベースケーブル内の導電ワイヤは繊維ベースシース内に含まれる必要はない。例えば、導電ワイヤは他の繊維と直接に絡み合ってもよい。必要ならば、ケーブル内の他の繊維の間での導電ワイヤの相対位置は、ケーブルの長さに沿った位置の関数として絡み合わせツール14により変えられてもよい。例えば、導電ワイヤはケーブルに沿った一部の位置でケーブルのセンターコアに位置してもよいし、ケーブルに沿った他の位置でケーブルの表面に位置してもよい。このタイプの構成はオーディオコネクタ310の接点をコントローラ318内の回路に接続するためのものであってもよい。
【0074】
ワイヤがコントローラ318内の回路に相互接続されるように繊維ベースケーブルの内部の絶縁ワイヤの相対位置を絡み合わせツール14が調整する例示の構成が図43A〜図43Dの例で説明される。
【0075】
繊維ベースケーブル322の一部の透視図が図43Aに示される。区間324は統合スイッチ用の端子を形成するケーブル322の領域であってもよい。このタイプの構成では、スイッチは露出ワイヤのペアで形成されてもよく、ヘッドセット用のより複雑な多機能ボタンコントローラを実装するための回路を含む必要はない。図43B〜図43Dはケーブル322のX−X線、Y−Y線及びZ−Z線に沿ったケーブル322の断面図である。
【0076】
図43Bは位置Xにおけるケーブル322の断面図であり、位置Xはスイッチ領域324の1つの側である。図43Bのケーブル322は絡み合った繊維332を有する。繊維332はモノフィラメント繊維であってもよいし、マルチフィラメント繊維であってもよい。繊維332は絶縁された導電ワイヤ247の周りのシースに配置されてもよい。繊維332は2つの繊維層の厚さを有するシースに配置されたものとして図43Bに示される。一般に、繊維シースは任意の適切な厚さを有してもよい。絶縁ワイヤ247はそれぞれ、中心部248のような導電中心部を囲む絶縁体250を有する。図43Bには4つの絶縁ワイヤ247が示される。一般に、ケーブル322は任意の適切な本数の絶縁ワイヤを有してもよい。絶縁ワイヤ247は個別のワイヤとして提供されてもよく、撚り対線として提供されてもよく、同軸ケーブルのパーツなどとして提供されてもよい。
【0077】
図43Cはケーブル322のY−Y線を通る断面図である。図43Cでは、ワイヤ247の2つが絡み合わせツール14によってケーブル322の表面に配置されており、端子342、344を形成するようにそれらの絶縁体がはがされている。2つの他のワイヤ247は絡み合った繊維332内に埋め込まれたままである。
【0078】
ケーブル322の製作中に、絶縁ワイヤがスイッチ領域324の外側の領域において(図43Aのケーブル区間322の位置X、Zにおいて)ケーブルのコア領域の内部に含まれることを保証するために絡み合わせ機械が用いられてもよい。これは、(例えば引っかきのような)損傷からワイヤを保護するのに役立つ。絡み合わせツールは図43Cの位置Yのような所望の位置でケーブル322の表面に絶縁ワイヤを選択的にもたらしてもよい。繊維ベースケーブル322が形成された後(又は前)に、絶縁ワイヤ247は、位置Yのような位置で自身の絶縁体250を選択的に剥がされて、自身の導電中心部248をケーブルの表面に露出してもよい。端子342、344はスイッチ324を形成してもよい。このようなスイッチ324はユーザによって接触された場合に短絡されてもよい。例えば、端子342、344は、ユーザの指が端子342、344を橋渡しした場合にユーザの指(指346)の皮膚によって互いに電気的に接続されてもよい。端子342、344はまた、メカニカルレバー又は他の切替機構によって橋渡しされてもよい。
【0079】
図43Dは位置Zにおける繊維ベースケーブル322を通る断面図である。位置Zにおいて、絶縁された導電ワイヤ247は繊維332の内部に存在し、絶縁体250は剥がされていない。繊維332は絶縁ワイヤ247を囲む繊維ベースシースを形成してもよいし、繊維332は絶縁ワイヤ247に絡み合ってもよい。
【0080】
図44Aはコントローラ(例えば、図42のコントローラ318のようなコントローラ)を有する繊維ベースケーブル354を示す。図44Aに示されるように、コントローラ345はケーブルの一部を囲む筐体を有してもよい。コントローラ345は(例として)スイッチ、複数のボタンとオプションのマイクとを有するスイッチベースボタンアセンブリ内の回路のような回路、又は他の適切なユーザインタフェース回路であってもよい。コントローラ334のようなコントローラはケーブル354のワイヤを介した電子デバイスとの通信を支援する回路を含んでもよい。コントローラ345はボタン346のような1つ以上のスイッチベースボタンを有してもよい。位置X、Y、Zにおけるケーブル354の断面図が図44B、図44C及び図44Dに示される。
【0081】
図44Bは図44AのX−X線を通るケーブル354の断面図である。図44Bの絡み合った繊維332はモノフィラメントワイヤ又はマルチフィラメントワイヤであってもよいし、任意の適切な材料で形成されてもよい。絶縁された導電ワイヤ247は導電中心部248を囲む絶縁体250を有する。4つのワイヤ247が図44Bに示される。一般に、ケーブル354は任意の適切な本数のワイヤを有してもよい。必要ならば、ワイヤ247はまた、同軸ケーブルの形式で提供されてもよい。図44Bでは、絡み合った繊維332は絶縁ワイヤ247を囲むものとして示される。
【0082】
図44Cは図44AのY−Y線に沿ったコントローラ345及び関連するボタン346を通る断面図である。絶縁ワイヤ247のうちの2つは絡み合わせツール14によってケーブル354の表面に配置され、それらの絶縁体250は剥がされている。これにより、ワイヤ247の導電中心部248が露出され、端子342、344が形成される。端子342は半田348によってスイッチ346のパッド352又はコントローラ345内の他の回路に接続されてもよい。端子344は半田350によってスイッチ346のパッド354又はコントローラ345内の他の回路に接続されてもよい。ボタン346がユーザによって押された場合に、端子342、344は電気的に接続されて(すなわち、短絡されて)、スイッチを閉じてもよい。他の構成(例えば、コントローラ345がより複雑な回路で形成される構成)では、ボタン346の作動の結果として、端子342、344に接続されたワイヤを介して通信信号が送信されてもよい。コントローラ345を形成するためにスイッチを用いることは単なる例示である。
【0083】
図44Dは図44AのZ−Z線を通るケーブル354の断面図である。図44Bのように、絶縁された導電ワイヤ247は絡み合わせツール14によって絡み合った繊維332の内部に埋め込まれてもよい。ケーブルのこの領域では、ワイヤ247は典型的に絶縁体250が無傷である(すなわち、絶縁体は剥がされておらず、それ故導電中心部248を囲んでいる)。
【0084】
図20のケーブルのような繊維ベースケーブルの形成中に、図1の絡み合わせツール14は(位置Xにおける)ケーブル354の内部から(位置Yにおける)ケーブル354の表面へ、そして(位置Zにおいて)再びケーブル354の内部へ絶縁ワイヤ334をもたらすために用いられてもよい。ケーブル354が形成された後に、端子342、344を形成するように位置Yにおいて絶縁体340がワイヤ334から剥がされてもよい。その後、スイッチ又はより複雑な入出力回路が端子342、344に接続されてもよい。必要ならば、3つ以上のワイヤが剥がされ、入出力回路に接続されてもよい。例えば、3つ以上のワイヤが剥がされ、スイッチ又はコントローラアセンブリ345内のより複雑な回路に接続されてもよいし、4つ以上のワイヤが剥がされ、スイッチ又はコントローラ345内のより複雑な回路に接続されてもよい。
【0085】
1つの実施形態では、スピーカのペアと、絡み合った繊維で形成された繊維ベースケーブルとを備えるヘッドホンが提供され、繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を有し、繊維ベースケーブルの第1ブランチはシームレスY接合部の1つの側でオーディオプラグに接続され、繊維ベースケーブルの第2ブランチ及び第3ブランチはそれぞれ、シームレスY接合部の別の側でスピーカのペアのそれぞれのスピーカに接続される。
【0086】
別の実施形態では、スピーカは絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンを含む。
【0087】
別の実施形態では、イヤホンはそれぞれ、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有する。
【0088】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは第1導電ワイヤ束及び第2導電ワイヤ束を有し、第1導電ワイヤ束は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第2ブランチに含まれ、第2導電ワイヤ束は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第3ブランチに含まれる。
【0089】
別の実施形態では、ヘッドホンは繊維ベースケーブルの第2ブランチにコントローラを更に備え、第1導電ワイヤ束の少なくとも1つの導電ワイヤはコントローラに接続される。
【0090】
別の実施形態では、少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域以外で繊維ベースケーブルの長さに沿って絡み合った繊維で囲まれ、少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域で繊維ベースケーブルの表面に位置する。
【0091】
別の実施形態では、少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域にスイッチ端子を形成する剥がされた部分を有するワイヤのペアを有する。
【0092】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルの一部はオーディオプラグの第1部分を覆うシースを形成する。
【0093】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはシースに組み込まれるとともにオーディオプラグの第1部分を覆うバインダを更に有する。
【0094】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは剛性張力緩和構造体を有し、絡み合った繊維は剛性張力緩和構造体の少なくとも一部の周りにシースを形成する。
【0095】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、繊維ベースケーブルの長さに沿って柔軟性を調整するように繊維ベースケーブルにバインダが選択的に組み込まれる。
【0096】
別の実施形態では、絡み合った繊維はモノフィラメント繊維を含む。
【0097】
別の実施形態では、絡み合った繊維は、ナイロン繊維、パラアラミド繊維、ポリエステル繊維、磁気材料繊維及び形状記憶材料繊維からなるグループから選択された繊維を含む。
【0098】
別の実施形態では、絡み合った繊維はそれぞれマルチフィラメント繊維を含む。
【0099】
別の実施形態では、絡み合った繊維はそれぞれ複数の相異なる繊維材料で形成された合成繊維を含む。
【0100】
別の実施形態では、絡み合った繊維は第1グループの繊維及び第2グループの繊維を含み、第1グループの繊維は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第2ブランチに含まれ、第2グループの繊維は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第3ブランチに含まれる。
【0101】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略円形の断面を有する。
【0102】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略矩形の断面を有する。
【0103】
1つの実施形態では、シームレスY接合部を有するケーブルシースを形成する絡み合った繊維と、ベース部を有するオーディオコネクタとを備える繊維ベースケーブルが提供され、ケーブルシースの第1部分はベース部に接続される。
【0104】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはケーブルシースの第1部分にバインダを更に備え、ケーブルシースの第1部分はベース部の少なくとも一部を覆う。
【0105】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、繊維ベースケーブルはケーブルの長さに沿ってケーブルの柔軟性を変えるバインダをケーブルの領域に更に備える。
【0106】
別の実施形態では、絡み合った繊維はケーブルシースを形成する複数の絡み合ったモノフィラメントナイロン繊維を含む。
【0107】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはケーブルシースの第1部分とケーブルシースの第2部分との間の領域を更に備え、領域は第1部分よりも柔軟性が高く第2部分よりも柔軟性が低い。
【0108】
別の実施形態では、ケーブルシースの第1部分はバインダで完全に充填され、ケーブルシースの第2部分はバインダを有さない。
【0109】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはケーブルシースの第1部分と第2部分との間の領域を更に備え、領域の第1部分はバインダを有し、領域の第2部分はバインダを有さない。
【0110】
別の実施形態では、領域は放射非対称パターンに分布したバインダを有する。
【0111】
1つの実施形態では、ヘッドホンケーブル用のシースを形成する方法であって、絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、ヘッドホンケーブル用の絡み合った繊維のシースを形成するように絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程と、シースの絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、バインダを硬化する工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0112】
別の実施形態では、バインダを組み込む工程は、シースがその長さに沿って強度の程度を変えるためにマトリクス組み込みツールを用いてシースの絡み合った繊維にバインダを選択的に組み込む工程を含む。
【0113】
別の実施形態では、繊維は第1タイプの繊維及び第2タイプの繊維を含み、絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程は、第2タイプの繊維に対する第1タイプの繊維の比率がシースの長さに沿って変わるように第2タイプの繊維に第1タイプの繊維を組み込む工程を含む。
【0114】
別の実施形態では、方法は絡み合わせツールを用いてシースにシームレスY接合部を形成する工程を更に有する。
【0115】
1つの実施形態では、ヘッドホンであって、繊維ベースケーブルと、絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンとを備えることを特徴とするヘッドホンが提供される。
【0116】
別の実施形態では、イヤホンは、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有する。
【0117】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を含む。
【0118】
別の実施形態では、ヘッドホンはプラスティック構造体を有するオーディオプラグを更に備え、繊維ベースケーブルはプラスティック構造体を覆うシースを含む。
【0119】
1つの実施形態では、ヘッドホンであって、スピーカと、オーディオコネクタと、スピーカとオーディオコネクタとの間に結合され、ケーブル表面にスイッチ領域を有する繊維ベースケーブルと、スイッチ領域のケーブル表面に露出した導体で形成されたスイッチとを備えることを特徴とするヘッドホンが提供される。
【0120】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは誘電性繊維及びワイヤを有し、ワイヤはスイッチ領域の外側にある繊維ベースケーブルの部分において誘電性繊維で囲まれ、スイッチ領域においてケーブル表面に位置する。
【0121】
1つの実施形態では、電子デバイスであって、アンテナと、絡み合った繊維及び絡み合った繊維を結びつけるバインダを有する筐体とを備え、筐体の絡み合った繊維の第1部分はアンテナ用のアンテナ窓を形成し、高周波アンテナ信号はアンテナ窓を通り、筐体の絡み合った繊維の第2部分は高周波アンテナ信号を遮断する導電性の絡み合った繊維を含むことを特徴とする電子デバイスが提供される。
【0122】
別の実施形態では、筐体の絡み合った繊維の第2部分はシームレスであり平坦でない。
【0123】
別の実施形態では、筐体の絡み合った繊維の第2部分は丸みを帯びた角部を有する。
【0124】
別の実施形態では、絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含む。
【0125】
別の実施形態では、絡み合った繊維はナイロン繊維を含む。
【0126】
別の実施形態では、絡み合った繊維の第2部分は統合ループを含む。
【0127】
1つの実施形態では、電子デバイス筐体であって、絡み合った繊維と、シームレスであり平坦でない筐体構造体に絡み合った繊維を結びつけるバインダとを備えることを特徴とする電子デバイス筐体が提供される。
【0128】
別の実施形態では、シームレスであり平坦でない筐体構造体は丸みを帯びた角部を形成する部分を有する。
【0129】
別の実施形態では、シームレスであり平坦でない筐体構造体は複合曲面を形成する部分を有する。
【0130】
別の実施形態では、シームレスであり平坦でない筐体構造体で覆われた内部支持構造体を更に備える。
【0131】
別の実施形態では、内部支持構造体は繊維の平坦なシートを含む。
【0132】
別の実施形態では、絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含む。
【0133】
別の実施形態では、電子デバイス筐体は絡み合った繊維で形成されたヒンジを更に備える。
【0134】
別の実施形態では、繊維はプラスティック繊維を含む。
【0135】
別の実施形態では、繊維は導電性繊維を含む。
【0136】
別の実施形態では、繊維の一部は高周波信号を遮断する筐体の導電部分を形成する導電性繊維を含み、繊維の一部は高周波信号を透過する筐体のアンテナ窓部分を形成する誘電性繊維を含む。
【0137】
別の実施形態では、電子デバイス筐体はコンピュータ筐体を更に備える。
【0138】
1つの実施形態では、絡み合った繊維で電子デバイス筐体を形成する方法であって、絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、少なくとも1つの曲面を有する電子デバイス筐体構造体を形成するように絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程と、マトリクス組み込みツールを用いて絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、電子デバイス筐体構造体を強固にするためにバインダを硬化する工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0139】
別の実施形態では、絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程は、電子デバイス筐体の面の曲面に複合曲面を形成するように繊維を絡み合わせる工程を含む。
【0140】
別の実施形態では、絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程は、電子デバイス筐体の面の曲面に複合曲面を形成するように繊維を絡み合わせる工程を含む。
【0141】
上記は本発明の原理の単なる例示であり、本発明の範囲及び精神から逸脱せずに様々な変形が当業者によってなされうる。上述の実施形態は個別に実施されてもよく、任意の組み合わせで実施されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は絡み合った繊維で形成された構造体に関し、より具体的には絡み合った繊維で電子デバイス用の構造体を形成する手法に関する。
【0002】
本出願は2009年12月14日に出願された米国特許出願第12/637,509号、2009年12月14日に出願された米国特許出願第12/637,355号及び2009年6月10日に出願された米国特許出願第61/185,934号に優先権を主張し、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
他の製作技術を用いて実施するのが困難又は不可能であろう構造体を作成するために近年の織機(weaving equipment)、組機(braiding equipment)及び編機(knitting equipment)が用いられうる。例えば、他の材料で形成された筐体構造よりも軽くて強い電子デバイス用の筐体構造を形成するために炭素繊維織布が用いられてもよい。可撓性ケーブルシースは繊維編組ツールを用いて形成されてもよい。多くの医療デバイスが繊維で形成される。例えば、分岐代用血管及び他の心臓血管デバイスが繊維で形成されてもよい。
【発明の概要】
【0004】
ケーブル用シース、ヘッドセットのようなアクセサリの一部及び他の構造体を形成する際に絡み合った繊維が用いられてもよい。
【0005】
織物、組物及び編物のためのツールのような繊維絡み合わせ装置(fiber intertwining equipment)が繊維を絡み合わせるために用いられてもよい。この装置を用いて絡み合わされる繊維はポリマー繊維、金属繊維、絶縁体被覆金属繊維、ガラス繊維又は他の適切な繊維を含んでもよい。絡み合わされると、エポキシ又は他の適切なマトリクスのようなバインダが絡み合った構造体に組み込まれ、硬化されてもよい。
【0006】
製作プロセス中に変わりうるパラメータは、構造体の特定の領域に組み込まれる繊維の本数、繊維の間隔、繊維のタイプ、バインダのタイプ、バインダの位置などを含む。これらの要因を選択的に変えることによって、構造体の相異なる領域が相異なる柔軟性、(例えば透音性(audio transparency)、水分浸透などを調整するための)相異なる密度、相異なる導電性などを有する構造体が形成されうる。絡み合わせ装置を用いて形成されてもよい形状は、分岐構造(例えば、二股構造)、可変直径の管状構造、潜在的に複合曲面を有する構造などを含む。
【0007】
好適な添付の図面及び実施形態の以下の詳細な説明から本発明の更なる特徴、その特性及び様々な利点が一層明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る絡み合った繊維を有する構造体を製作するために用いられてもよい例示の製作装置の概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る構造体を製作する際に、絡み合わせパラメータ及びバインダ組み込みパラメータのようなパラメータが構造体の位置の関数としてどのように変わりうるかを示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態に係る単位面積あたりの繊維の本数が位置の関数としてどのように変わりうるかを示す例示の構造体の側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る用いられる繊維のタイプが位置の関数としてどのように変わりうるかを示す例示の構造体の側面図である。
【図5】、
【図6】、
【図7】本発明の実施形態に係る構造体を形成する際に用いられてもよい例示のバインダ組み込みパターンの側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る繊維絡み合わせプロセスの間に変わった直径を有する例示の管状構造体の図である。
【図9】本発明の実施形態に従う繊維を絡み合わせることによって形成された複合曲面を有する筐体を備える例示の電子デバイスの透視図である。
【図10】本発明の実施形態に従う繊維を絡み合わせることによって形成され、電子コンポーネントとディスプレイ画面とを含む複合筐体曲面を有する例示の電子デバイスの断面側面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る図10で示されたタイプの電子デバイスの背面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る構造支持部材を実装するために用いられた装飾用カバー層と繊維シートとを形成するために用いられた絡み合った繊維の層を有する例示の構造体の断面側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る繊維シートが複合曲面形状を収容することを助けるように部材が除去された部分を示す図12に示されたタイプの例示の繊維シートの平面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る複合曲面形状に適応させるために固体支持体又は骨格フレームのような内部支持構造体が絡み合わされた繊維層で覆われた例示の構造の断面側面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る絡み合った繊維を用いて形成されてもよい例示の電子デバイスの透視図である。
【図16】本発明の実施形態に係る絡み合わせ装置で形成された分岐(二股)管状構造体の透視図である。
【図17】本発明の実施形態に係る電子デバイス用ケーブルのような管状構造の断面図である。
【図18】本発明の実施形態に係るバインダを絡み合った繊維に選択的に組み込むために用いられてもよい例示の樹脂トランスファー形成装置の断面側面図である。
【図19】本発明の実施形態に係るバインダを管状構造体に組み込むために用いられてもよい例示の製造装置の平面図である。
【図20】本発明の実施形態に係る二股部分を有する絡み合った繊維の連続した管から、管の長さを切断することによってどのようにヘッドセットケーブルが形成されてもよいかを示す図である。
【図21】本発明の実施形態に係る絡み合った導電繊維で形成された例示のスイッチの断面図である。
【図22】本発明に係るスイッチ又は他の構造体で用いられる導電電極部を有する絡み合った繊維の管の透視図である。
【図23】本発明に係る導電繊維と絶縁分岐分離部材とを有する複数ブランチの繊維管で形成された例示のスイッチの断面図である。
【図24】本発明の実施形態に係る高密度で比較的小さな音量を通す部分と低密度で比較的大きな音量を通す部分とを有する例示の繊維イヤホン構造体の側面図である。
【図25】本発明の実施形態に係る関連するシース管の相異なる部分が相異なる量の剛性をどのように与えられてもよいかを示す3.5mmオーディオプラグのような例示のオーディオコネクタの側面図である。
【図26】本発明の実施形態に係る絡み合った繊維で形成されてもよい例示のオーディオプラグ及び関連するケーブルシースの断面側面図である。
【図27】本発明の実施形態に係るケーブルの長さに沿ってケーブルの柔軟性を調整するようにバインダが選択的に組み込まれた繊維ケーブルを有する例示のオーディオプラグを説明する側面図である。
【図28】本発明の実施形態に係るケーブルの柔軟性を段階的に調整するために半径方向に非対称なパターンでバインダがケーブルにどのように組み込まれてもよいかを示すオーディオプラグ及び繊維ケーブルの透視図である。
【図29】本発明の実施形態に係る繊維絡み合わせ・バインダ組み込み装置を用いて電子デバイス構造体に形成されてもよいタイプの例示の複合構造体の透視図である。
【図30】本発明の実施形態に係る可撓性ヒンジ部及び剛性上側・下側平面部を備えてもよいコンピュータ筐体や電子デバイス用着脱可能保護ケースのような繊維ベース構造体の透視図である。
【図31】本発明の実施形態に係る可撓性ポケット部及び剛性平面部を繊維ベース構造体にどのように与えられてもよいかを示す図である。
【図32】本発明の実施形態に係る高周波(RF)アンテナを形成するために相異なる領域内の相異なる性質を有する繊維で形成された筐体を有する例示の電子デバイスの透視図である。
【図33】本発明の実施形態に係るデバイス内にアンテナ及び送受信機回路がどのように搭載されてもよいかを示す図32に示されたタイプの例示の電子デバイスの断面側面図である。
【図34】本発明の実施形態に係る選択的に組み込まれたバインダを有する繊維ベース構造体を形成する際に伴う例示のステップのフローチャートである。
【図35A】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい例示のモノフィラメント繊維の断面図である。
【図35B】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい例示のマルチフィラメント繊維の断面図である。
【図35C】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい複数の部材を含む混成構造体で形成された例示のモノフィラメント繊維の断面図である。
【図35D】本発明の実施形態に係る繊維ベース構造体を形成する際に用いられてもよい相異なるタイプの部材で形成されたフィラメントを有する例示のマルチフィラメント繊維の断面図である。
【図35E】本発明の実施形態に係る混成繊維で形成された例示のマルチフィラメント繊維の断面図である。
【図36A】本発明の実施形態に係る絶縁ワイヤ及びモノフィラメント繊維を含む繊維ベースケーブルの断面図である。
【図36B】本発明の実施形態に係る絶縁ワイヤ及びマルチフィラメント繊維を含む繊維ベースケーブルの断面図である。
【図37】本発明の実施形態に係る絶縁ワイヤ及び2種類以上の繊維を含む繊維ベースケーブルの断面図である。
【図38】本発明の実施形態に係る管状の二股繊維ベースケーブルの透視図である。
【図39A】、
【図39B】本発明の実施形態に係る合流するブランチを有するリボン状の繊維ベースケーブルの透視図である。
【図40】本発明の実施形態に係る重畳するブランチを有するリボン状の繊維ベースケーブルの透視図である。
【図41A】本発明の実施形態に係る矩形輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図41B】本発明の実施形態に係る丸みを帯びた角の矩形輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図41C】本発明の実施形態に係る扁平な楕円輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図41D】本発明の実施形態に係る楕円輪郭を有する例示のリボン状の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図42】本発明の実施形態に係る1つのアームに配置されたスイッチを有する繊維ベースケーブルで形成された例示のヘッドセットの透視図である。
【図43A】本発明の実施形態に係るアクセサリに用いられてもよい例示の繊維ベースケーブルの一部の透視図である。
【図43B】本発明の実施形態に係る図43AのX−X断面線のようなケーブルの部分におけるケーブルのセンターコアにどのように導電ワイヤが位置してもよいかを示す例示の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図43C】本発明の実施形態に係るスイッチ構造の一部を形成するために導電ワイヤがどのように選択的にケーブルの表面にもたらされてもよいかを示す例示の繊維ベースケーブルの断面図である。
【図43D】本発明の実施形態に係る図43AのZ−Z断面線のようなケーブルの一部におけるケーブルのセンターコアにどのように導電ワイヤが位置してもよいかを示す例示の繊維ベースケーブルの断面図の断面図である。
【図44A】本発明の実施形態に係るボタンアセンブリを有する繊維ベースケーブルの一部の断面図である。
【図44B】本発明の実施形態に係る図44AのX−X断面線に沿った図44Aに示されるタイプのケーブルの断面図である。
【図44C】本発明の実施形態に係る図44Aのケーブルのブタンアセンブリ部分を通り、図44AのY−Y断面線に沿った図44Aに示されるタイプのケーブルの断面図である。
【図44D】本発明の実施形態に係る図44AのZ−Z断面線に沿った図44Aに示されるタイプのケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る絡み合った繊維を有する構造体を製作するために用いられてもよい例示の製作装置の概略図が図1に示される。製作装置は任意の適切なデバイス用の繊維ベース構造体を形成するために用いられてもよい。電子デバイス筐体、ヘッドセット用ケーブルシース、電子コネクタ及び他の電子装置のような電子デバイスの一部を形成するために製作装置10が用いられる例が本明細書で例として記載されることもある。しかしながら一般に、製作装置10は任意の適切なパーツ(例えば、医療用途、工業用途、電気部品を有さない機械的構造体などのためのパーツ)を形成するために用いられてもよい。
【0010】
図1に示されるように、製作装置10は繊維ソース12から繊維を提供されてもよい。繊維ソース12は任意の適切なタイプの繊維を提供してもよい。繊維の例として、金属繊維(例えば、スチール又は銅のストランド)、ガラス繊維(例えば、全反射により光を内部的に伝達できる光ファイバの繊維)、プラスティック繊維などを含む。一部の繊維(例えば、アラミド繊維のようなポリマー)は高い強度を呈してもよい。ナイロンのような他の繊維が(例えばテイバーテストで高性能を呈することによって、)良好な磨耗耐性を示してもよい。さらに別の繊維は、(例えば塑性変形を呈すことなく伸びるように)高い柔軟性を有してもよい。ソース12により提供される繊維は、磁気繊維、導電繊維、絶縁繊維又は他の材料特性を有する繊維であってもよい。
【0011】
繊維は比較的細い(例えば、直径が20マイクロン未満又は5マイクロン未満、すなわち、カーボンナノチューブ又はカーボン繊維)であってもよいし、比較的太くてもよい(例えば、金属ワイヤ)。ソース12により提供される繊維は(フィラメントと呼ばれることもある)細い繊維がねじられた束で形成されてもよいし、単一のねじられていない部材の単一繊維としてソース12から提供されてもよい。これらの個別の構造にかかわらず(すなわち、太いか、細いか、ねじられているか、その他に細い繊維から形成されているかにかかわらず)、繊維ソース12からの部材のストランドは本明細書で繊維と呼ばれる。ソース12からの繊維はまた、ひも(cord)、スレッド(thread)、ロープ(rope)、糸(yarn)、フィラメント、ストリング、より糸(twine)などと呼ばれることもあってもよい。
【0012】
絡み合わせツール(群)14は任意の適切な繊維絡み合わせ技術に基づいてもよい。例えば、絡み合わせ装置14は、コンピュータ制御製織ツール、(例えば、管状構造を形成するための)コンピュータ制御編組ツール及び/又はコンピュータ制御編物装置(例えば、ブランチ、複合曲面及び他のこのような複雑な形状を有する絡み合った繊維構造体を生産できる3次元編物ツール)を含んでもよい。これらのツールは本明細書で集合的に絡み合わせツール(群)14と呼ばれることもある。
【0013】
ツール14は絡み合った繊維構造体を形成する。マトリクス組み込みツール(群)16は、バインダ材料を絡み合った繊維に組み込むために(例えば、これらの構造体に剛性や他の適切な性質を与えるために)用いられてもよい。マトリクスと呼ばれることもあるバインダは、エポキシ又は他の適切な材料から形成されてもよい。これらの材料は熱硬化性材料(例えば、再加熱に対してリフローしない樹脂から形成されたエポキシのような材料)や熱可塑性材料(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのような材料、ポリカーボネート、再加熱可能なABS/PCブレンド)に分類されることがあってもよい。必要ならば熱硬化性材料及び熱可塑性材料の両方並びに熱硬化性材料及び熱可塑性材料の組合せがバインダとして用いられてもよい。
【0014】
ツール16は、型、噴霧装置及び絡み合わせ装置14により生産された絡み合った繊維の部分にバインダを組み込むための他の適切な装置を含んでもよい。ツール16は必要ならば相異なる量でワークピースの相異なる部分にバインダを選択的に組み込むことができるコンピュータ制御装置及び/又は手動操作型装置を含んでもよい。例えば、繊維構造体を硬化することが望まれる場合に、絡み合った繊維により多くの樹脂が組み込まれうるが、柔軟な構造体が形成される場合に絡み合った繊維により少ない樹脂が組み込まれうる。このようにして同一の構造体の相異なる部分が相異なる柔軟性を有するように形成されうる。その後、硬化される(例えば、熱又は紫外線を用いて、バインダが硬化され、固まる)。(図1で完成パーツ20と呼ばれる)結果の構造体はコンピュータ構造体、他の電子装置用の構造体などに用いられうる。
【0015】
構造体を製作する際に構造体内の位置の関数として絡み合わせパラメータ及び組み込みパラメータのようなパラメータがどのように変わりうるかを示すグラフが図2に示される。図2のグラフの水平軸は繊維ベース構造体内の位置(例えば、ケーブルに沿った長さ又は平面に沿った側面の距離)を表す。垂直軸は変化するパラメータの大きさを表す。図2のグラフの線が示すように、パラメータは、増加傾向や、減少傾向や、周期的などで、滑らかに、連続的に、そして離散的に変わりうる。図2のグラフの線に従って変わりうるパラメータの例として、所与の面積における繊維の本数、個別の繊維のサイズ、隣接する繊維同士の間隔(間隙率又は繊維密度)、用いられるフィラメントのタイプ(繊維又は繊維の集合の絶縁性、磨耗耐性、導電性、強度、磁性などの量)及び組み込まれるバインダの量及び/又はタイプを含む。
【0016】
図3は単位面積あたりの繊維の本数が位置の関数としてどのように変わりうるかを示す絡み合った繊維の管又は平面パッチのような例示の構造体の側面図である。領域22では領域24よりも単位面積あたりの繊維が多い。領域24における構造体の部分は、領域22における構造体の部分よりも弱く、多孔質であり、それ故、水分や音の透過性が高く、軽く、柔軟である。
【0017】
図4に示されるように、構造体26は、繊維28及び繊維30のような2以上の異なるタイプの繊維を有してもよい。これらの繊維は相異なる性質を有してもよい。図4の例では、領域32では繊維30よりも繊維28の方が多い。しかしながら、領域34では、繊維28よりも繊維30の方が広くいきわたっている。繊維のタイプのこの主の空間的変動によって、装置10を用いた製作中に構造体26の性質を空間的に調整できる。
【0018】
図5、図6及び図7は相異なるパターンでバインダが組み込まれた構造体の例である。図5の構造体36では、絡み合った繊維部分38はバインダを用いずに形成されてもよいが、部分40はバインダを含んでもよい。構造体36は(例として)繊維管であってもよいし、平坦繊維ベース構造体であってもよい。図6の構造42では、比較的大部分の単一のバインダ(領域44)だけが存在し、領域46にはバインダがない。図7の構造体48では、領域50にはバインダがないが、領域52には相異なるパターンでバインダが組み込まれる。
【0019】
装置10は様々な形状(例えば、管、筐体表面のような平坦部材、球又は球の一部、複合曲線を有する形状、円柱又は円柱の一部、立方体、二股又は3つ以上に分岐した領域を有する管、これらの形状の組合せなど)の繊維ベース構造体を形成するために用いられうる。
【0020】
図8は一部の領域(例えば領域54)が他の領域(例えば領域56)よりも短い直径Dを有する管又は他の構造体58を装置10がどのように形成するかを示す。
【0021】
複合曲面を有する筐体を備える例示の電子デバイスの透視図が図9に示される。図9に示されるように、デバイス60は部分64のような平坦背面部を有する筐体又は他の構造体を有してもよい。デバイス60はまた、4つの角部62を有してもよい。各角部62は複合曲面を有する。これらの曲面は従来の製織繊維シートで形成するのが困難又は不可能でありうる。
【0022】
図1の装置10で、構造体60の平坦背面64及び複合曲面角部62の両方に適合する繊維ベース構造体(例えば、筐体又はカバー)を形成するために3次元(3D)編機又は他の絡み合わせツール14が用いられうる。
【0023】
図9の線66に沿って、方向68に見た図9のデバイス60の断面側面図が図10に示される。図10に示されるように、デバイス10は曲面側壁70、ディスプレイ又は他の前面搭載コンポーネント74及び内部電子デバイス72(例えば、プロセッサ及びメモリ回路)を有してもよい。デバイス60の背面図が図11に示され、装置10により生産された編物繊維を用いて皺や継ぎ目なく滑らかに覆われうる角部62の曲面形状の部分を説明する。
【0024】
複雑な非平坦形状に適合する絡み合った繊維の薄層を生産する装置10の能力は複合曲面を有する装飾用カバー層を作成するために用いられうる。図12に示されるように、デバイス筐体80は複合曲面筐体形状(例えば、図9の角部62)に適応するように切り取り部を有する繊維の平坦シートで形成された内部層78を有してもよい。層76は装置76を用いて形成された装飾用正角カバー層であってもよい。層76及び/又は層78はマトリクス組み込みツールを用いてバインダを浸透されてもよい。
【0025】
図13は複合曲面形状(例えば、筐体の角部)に適応するように一部82が除去された層78のような平坦層の平面図である。このプロセスは装飾層76(図12)で隠される不体裁な継ぎ目を残す。
【0026】
図14は内部支持構造体(即ち、構造体84)をどのように層76が等角に覆い、デバイス80が自身の前面に搭載されるディスプレイモジュール又は他のコンポーネント86をどのように有しうるかを示すデバイス80の断面側面図である。構造体84は固体であってもよいし、(例えばフレーム又は骨格支持体のような)空洞であってもよいし、コンポーネントを含んでもよい。
【0027】
絡み合った繊維構造体で構成されてもよい電子デバイスアクセサリの例は1組のオーディオヘッドホンである。例示のヘッドセットが図15に示される。図15に示されるように、ヘッドセット88は主ケーブル部92に含んでもよい。ケーブル92は絡み合った繊維で形成されてもよいし、(例として)相異なるタイプ及び量の繊維と相異なるパターン及び量のバインダとで形成された部分を有してもよい。ケーブル92の左右のブランチの端部にイヤホン90(すなわち、それぞれ1つ以上のスピーカを含むイヤホン)が搭載されてもよい。領域94では、ケーブル92は二股(分岐領域)を有してもよい。特徴物96は、スイッチ、マイクなどのための筐体であってもよい。ケーブル92の端部はオーディオコネクタ(プラグ)98で終端してもよい。コネクタ98は例えば、メディアプレーヤ、携帯電話機、ポータブルコンピュータ又は他の電子デバイスの対応する3.5mmオーディオジャックに係合する3.5mmオーディオプラグであってもよい。
【0028】
図16は必要ならば絡み合わせツール14が視認可能な継ぎ目なくケーブル92のY接合部94をどのように形成しうるかを示す。ケーブル92の断面図が図17に示される。図17に示されるように、ケーブル92は1つ、2つ又は3つ以上のワイヤを囲むシース100のような管状シースを有してもよい。図17の例では、シース100内に2つの導電ワイヤ束がある。ワイヤ束102は金属繊維の第1集合で形成されてもよく、ワイヤ束104はワイヤ束の第2集合で形成されてもよい。束102、104内の個別のワイヤは(必要ならば)絶縁体の薄層で被覆されてもよい。シース100はユーザによる使用中の損傷を防ぐための十分な強度と、ケーブル92が曲がるような十分な柔軟性とを有する繊維で形成されてもよい。必要ならば、Y分岐領域94とイヤホン90及びプラグ98の近くのデバイス88の部分とのような領域はこれらの領域を強化するためにより強い繊維とより多くのバインダとが提供されてもよい。
【0029】
構造体96はまたこのように強化されてもよい。例として、構造体96はバインダで浸透されてもよいし、ケーブル92の残りの大部分はバインダなしのままであってもよい。図18はツール106のような樹脂トランスファー形成ツールが(例えば開口108を通じてツール106の内部にバインダ110を浸透させることによって)どのようにケーブル92の領域96にバインダ110を選択的に組み込むかを示す。
【0030】
図19に示されるように、バインダ110が噴霧ツール114からケーブル92に向けて噴霧されている間に縦軸126の周りの方向124にケーブル92が回転してもよい。バインダ110は紫外線光源120からの紫外線122を用いて硬化されてもよい。シールド116は、バインダ110がソース120から飛び出すのを防いでもよく、ノズル128の出口で光122がバインダ110を硬化するのを防いでもよい。
【0031】
装置10は連続プロセスを用いてケーブル92を生産してもよい。図20に示されるように、装置10は周期的に分岐して2つの別々のブランチを形成し、その後2つのブランチが1つの管状構造を形成するように結合するケーブル形状を生産してもよい。このタイプの構成では、図1の後処理ツール18が切断線130に沿ってケーブル92を切断するために用いられてもよい。
【0032】
図21に示されるように、ケーブル92は繊維132、134のような導電繊維を与えられてもよい。このタイプの構成は構造体94内にスイッチを形成することが必要な場合に生産されてもよい。図21に示されるように、構造体96内の導電繊維132及び導電繊維134はギャップ領域136によって分離されてもよい。ユーザが方向140へ外縁を内側に絞り込む場合に、導電体132、134の対向する内部部分が接触でき、それによってスイッチが閉じる。
【0033】
シース92上の導電繊維は(例えば容量センサに基づくスイッチの一部として)キャパシタ電極を形成するために用いられてもよい。このタイプの構成は図22のケーブル92上の導電繊維バンド144によって説明される。
【0034】
図23の例では、スイッチ96は、(それぞれがワイヤ束102、104で形成されたワイヤのような個別のケーブルワイヤに接続されてもよい)対向する金属導電部132、134で形成されている。ケーブル92はスイッチ構造体96の一方の端部で互いに再結合する2つのブランチを有してもよい。構造体96の中心では、外向き付勢部材146(例えば、空気充填バルーン又はばね充填部材)が外側方向148へスイッチ接点132、134が互いに離れるように付勢するために用いられてもよく、これによりユーザが内向きに圧迫していない場合にスイッチ96はオフになる。
【0035】
例示の繊維ベースイヤホン及び関連するケーブルの側面図が図24に示される。図24に示されるように、イヤホン90は領域150、152を有してもよい。領域150は領域152よりも多孔質であってもよく、領域152よりも柔軟性が高く(又は低く)てもよい。領域150が高多孔質であることにより、領域150はオーディオを透過してもよく、その結果として内部スピーカドライバからの音は妨げられずに領域150を通過してもよい。領域150は領域152よりも本数が少なく密度の低い絡み合った繊維を有してもよく、領域152よりも少ないバインダが組み込まれてもよく、又は全くバインダが組み込まれなくてもよい。(例えば、音をブロックするためや、剛性又は耐久性などを向上するために、)領域152を低多孔質にすることが望ましくてもよい。従って、領域150よりも多くのバインダが領域152に組み込まれてもよいし、及び/又は繊維がより高密度に絡み合わされてもよい。領域152において繊維密度及び/又はバインダ量を増加することに加えて、異なる繊維(例えば、高密度な繊維、太い繊維など)が領域152で用いられてもよい。領域154のケーブル92は(例えば少ないバインダを有するか全くバインダを有しない)可撓性繊維で形成されてもよい。必要ならば、領域152の近くのケーブル92の一部に剛性や強度などのためにより強い繊維、より多くの繊維、より多くのバインダが与えられてもよい。
【0036】
図25に示されるように、オーディオプラグ98(又は他の電子コネクタ)に可撓性ケーブル部分92と剛性内部張力緩和構造体158とが与えられてもよい。
【0037】
金属プラグ構造体160はケーブル92内のワイヤに接続されてもよい。領域156では、強度及び剛性を増加するためにケーブル92の繊維にバインダが組み込まれてもよい。必要ならば、ケーブル92にはまた、領域156において多い本数の強い繊維が与えられてもよく、及び/又は強度を更に増すために高密度繊維が与えられてもよい。これらのタイプの構造的特徴は任意の適切な電子コネクタに用いられてもよい。図25のオーディオコネクタの使用は単なる例である。
【0038】
図26は支持(張力緩和)構造体158及びワイヤ102、104上でケーブル92がどのように等角シースを形成しうるかを示す。
【0039】
ケーブル92の柔軟性は適切なエリアにバインダを選択的に組み込むことによってその長さに沿って調整されうる。このタイプの構成が図27に示される。図27の例では、コネクタ98は部分160のような金属多接点部(例えば、3接点又は4接点のオーディオプラグ)を有してもよい。コネクタ98の領域162はバインダで完全に充填されてもよい。(この例では)領域164の一部分(例えば、リング168)だけがバインダを与えられ、それ故ケーブル92は領域162よりも領域164の方が高い柔軟性を有するだろう。領域170では、ケーブル92の繊維にバインダが存在せず、それ故ケーブル92は領域170で最高の柔軟性を有する。
【0040】
コネクタ98のための別の適切な構成が図28に示される。図28の例では、ケーブル92は領域178にバインダを有さず、それ故この領域において柔軟性を有する。領域176では、柔軟性を低下するために、放射状非対称パターンのバインダ172が用いられる。領域174は領域172よりも多くのバインダを有し、それ故剛性及び構造的強度を有する。このタイプの構成により、領域176内のバインダパターンは剛性領域174と可撓性領域178との間の柔軟性緩和インタフェースとして機能できる。
【0041】
図29は穴182を有するフック180のような部分20のための複雑な形状を形成するために装置10がどのように用いられうるかを示す。フック180内の繊維は構造体の他の部分の繊維よりも強い材料で形成されてもよい。部分20は(例として)電子デバイス筐体の不可欠な部分(integral portion)を形成してもよい。
【0042】
図30に示されるように、装置10は剛性平坦部186のような剛性平坦部と可撓性ヒンジ190のような可撓性ヒンジ部とを有する構造体184のような構造体を形成してもよい。このタイプの構成は部分186、188にバインダを組み込むが、ヒンジ190には組み込まないことで提供されてもよい。構造体184はポータブルコンピュータ筐体や、メディアプレーヤ、携帯電話機などのような着脱可能電子デバイス用の折り畳み型ケースに用いられてもよい。
【0043】
図31に示されるように、繊維ベースケース又は他の繊維ベース構造体192は剛性バインダが充填された平坦部分194と可撓性を有するバインダなしの部分196とで形成されてもよい。部分196は携帯電話機又は音楽プレーヤを保持する可撓性ポケットとして機能してもよい。部分194には必要ならばマッチング前面が与えられてもよい。
【0044】
繊維ベース構造体で形成される一部のパーツは電子デバイス筐体に用いられてもよいし、構造体の少なくとも一部分がアンテナに隣接する他の用途に用いられてもよい。このような状況では、1つ以上のアンテナ窓がこのパーツに組み込まれることが望ましい。例えば、導電繊維で形成される電子デバイス筐体では、高周波アンテナ信号を透過するアンテナ窓が電子デバイス筐体内のアンテナ上に形成されうる。アンテナ窓30は筐体に固体誘電体窓を組み込み、(例えばエポキシ又は他の接着剤を用いて)導電繊維を固体窓に取り付けることによって形成されうる。アンテナ窓構造体はまた、電子デバイス筐体のパーツ内に統合繊維ベースアンテナ窓構造体を形成するように装置10を用いて形成されうる。アンテナ窓構造体は、主にポリマー、ガラス又は他の誘電体を含む繊維で形成されてもよい。この材料は導電性を有しないので、アンテナ窓構造体は窓内の繊維の干渉を受けることなく高周波信号を通すことができる。
【0045】
アンテナ窓を有する例示の繊維ベース構造体が図32に示される。図32の構造体200は例えばメディアプレーヤ、携帯電話機、ポータブルコンピュータ又は他の電子デバイスのような電子デバイス用の筐体であってもよい。例えば、構造体200は絡み合わせツール14(例えば、3D編機)を用いて作成された複合形状を有する角部を含んでもよい。領域198では、筐体壁は絶縁部材又は導電部材若しくは絶縁部材と導電部材との組合せ(例えば、カーボン繊維、ポリマー、スチールフィラメントなど)で形成されうる。領域198の部材は導体(非誘電体)を含んでもよく、従って高周波無線信号を遮蔽してもよい。装置10はアンテナ窓202の絡み合った繊維を形成し、それによって窓202の部材がアンテナ信号を透過することを保証する場合に、誘電体繊維を用いうる。
【0046】
線201に沿った図32の構造体200の断面側面図が図33に示される。図33に示されるように、構造体200は絡み合った繊維及び関連するバインダで形成された筐体壁198を有してもよい。領域202では、アンテナ窓は無線高周波信号を透過する誘電体繊維及びバインダを用いて形成される。これにより、高周波信号212はアンテナ206を用いた無線送受信動作中に窓202を通ることができる。単一バンドアンテナ又はマルチバンドアンテナの何れであってもよく、1つ以上の個別のアンテナ構造体を含んでもよいアンテナ206は伝送回路パスを用いてプリント回路基板204上の高周波送受信回路210に結合されてもよい。
【0047】
図1の装置10を用いた繊維ベース構造体の形成に伴う例示のステップが図34に示される。ステップ214で、装置10には1つ以上の相異なる繊維ソース(例えば、図1の繊維ソース12)が提供されてもよい。適切な強度、伸縮性、柔軟性、磨耗耐性、絶縁性、導電性、色、重量、磁性などを提供する繊維が用いられてもよい。繊維の一部は鉄類のような金属で形成されてもよい。他の繊維はポリマー又はガラスで形成されてもよい。1つ、2つ、3つ、又は4つ以上の相異なるタイプの繊維ソースが所与の絡み合わせツール14で利用可能であってもよい。各繊維は相異なる性質を有してもよく、正確に制御されたパーセンテージでワークピースに組み込まれてもよい。これにより、ツール14は相異なる性質を有する部分を含む構造体を形成できる。
【0048】
ステップ216で、ツール14を用いて適切な形状及びサイズの繊維ベース構造体を形成されてもよい。相異なるタイプのツールが相異なるタイプの動作のために用いられてもよい。例えば、ヘッドセットケーブルシース用の連続的な又は半連続的な繊維ベース管を形成するためにコンピュータ制御組機が用いられてもよいし、統合アンテナ窓又は可撓性ヒンジ部を有するポータブルコンピュータ用の筐体側壁を形成するために織機が用いられてもよいし、装飾用又は構造的な筐体面をための複合曲面を有する筐体形状を形成するために3D編物ツールが用いられてもよい。これらのツールはそれぞれ、人手によって又は自動組立ツールによって組み立てられる別々のパーツを形成するために用いられてもよいし、更なる繊維ベースパーツを追加せずに完成する単一構造体を形成するために用いられてもよい。
【0049】
ステップ218の動作中に、ステップ214の動作中に生産された絡み合った繊維にバインダを選択的に組み込むためにマトリクス組み込み装置16が用いられてもよい。制御された量の柔軟性を与えるためにバインダがパターンで組み込まれてもよい。例えば、バインダパターンは同一形状又は様々な形状のリング(例えば、管又は他の細長い構造体の長さに沿った様々な点で柔軟性の量を滑らかに遷移させる他のパターンの幅を変えるリング)を含んでもよい。バインダパターンはまた、(例えばポータブルコンピュータ、ハンドヘルド電子デバイス又は他の構造体のための筐体壁のような剛体平坦構造体を形成するための)固体領域を含んでもよい。構造体の他の領域には、(例えば、最大の柔軟性が要求されるヒンジ構造体、ケーブル又はポケットや、オーディオ透過性が要求されるイヤホンスピーカポート又は筐体スピーカポートにおいて、)より少ないバインダが提供されてもよいし、バインダが提供されなくてもよい。
【0050】
所望のパターンのバインダを絡み合った繊維構造体に組み込んだ後に、追加の処理ステップがステップ220の動作中に実行されてもよい。これらの動作は例えば、連続したストリームのパーツからヘッドセットパーツを切り出すことによってヘッドセットを組み立てること、構造的筐体部材に装飾用カバーを追加すること、個別の繊維ベース構造体を互いに連結したり繊維を含まないパーツに連結したりするために接着剤又は他の固定材を用いることなどを含んでもよい。
【0051】
必要ならば、図34のステップが繰り返されてもよいし、異なる順番で実行されてもよいし、これらの両方であってもよい。例えば、ステップ218でマトリクス組み込み動作が実行される前に2つ以上の絡み合った繊維パーツを組み立てることが望ましくてもよい。また、一連の増分動作を用いて複雑な構造を構築することが望ましくてもよい。このような各増分ステップの間に、繊維ベース材料の層がワークピースへ追加されてもよく、追加のバインダが組み込まれて硬化されてもよい。(例えば、)このような増分アプローチが繊維ベース構造体の一部に用いられてもよく、当該構造体の他の部分は単一の絡み合わせ動作及び単一のバインダ組み込み動作を用いて形成されてもよい。
【0052】
繊維ベースケーブル及び他の繊維ベース構造体を構築するために用いられる繊維はナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、パラアラミド(長連鎖ポリアミド)、LEVLAR繊維のような合成繊維、他のポリマー、ガラス、スチールのような金属、若しくは他の適切な材料で形成されてもよい。必要ならば、繊維は(ニチノールと呼ばれることもある)ニッケルチタンのような超弾性形状記憶合金で形成されてもよい。これらの材料の組合せも用いられてもよい。
【0053】
繊維材料はデバイス筐体、ケーブル及び所望の性質を有する絡み合った繊維で形成される他の構造体を提供するように選択されてもよい。例えば、強く、良好な磨耗耐性を呈し、(例えば顔料を組み込むことによって)変色しづらい材料が選択されてもよい。導電(又は誘電)特性又は磁気特性に基づいて材料を選択することが望ましくてもよい。また、費用効果的な材料が用いられることが望ましくてもよい。ナイロン(ポリアミド)やポリエステルのような材料は着色添加物を受容できてもよい。パラアラミド合成ポリマーのような材料は強いかもしれないが、比較的低い磨耗耐性を呈するかもしれない。従って、他の繊維(例えば、適切なナイロンのような良好な磨耗耐性を有する繊維)も組み込んだケーブルにパラアラミド合成繊維を組み込むことが望ましくてもよい。スチールのような材料で形成された繊維ベースケーブルは磁気特性を呈しうる。例えば、スチールベースケーブルは磁化されてもよい。磁化ケーブルは磁化ケーブルを磁気的に引き付けてもよく、それによってケーブルの取扱いを容易にする。磁気ケーブルはまた、(例えばケーブルが使用されていない間に保管される際に)磁石を用いて所定の場所に保持されてもよい。繊維ベースケーブル及び他の構造体はスチール繊維を構造体の少なくとも一部に組み込むことによってこれらの磁気特性を与えられてもよい。相異なる材料の特性を利用するために材料の合成物で個別の繊維を形成することが望ましくてもよい。繊維はまた、複数のフィラメントで形成されてもよい。
【0054】
単一のフィラメント(即ち、モノフィラメント繊維構造体)で形成された例示の繊維が図35Aに示される。特に、図35Aはモノフィラメント繊維222の断面図を示す。繊維222は例えば、ナイロン又は他の適切な材料のモノフィラメントであってもよい。繊維222は任意の適切な直径(例えば、0.5mm未満、0.2mm未満、0.1mm未満、0.05mm未満、0.02mm未満、0.01mm未満など)を有してもよい。
【0055】
複数のフィラメントで形成された例示の繊維の断面図が図35Bに示される。図35Bに示されるように、マルチフィラメント繊維224は多数の個別のフィラメント226で形成されてもよい。フィラメント226は例えば、ナイロン、ポリエステル又は他の適切な材料で形成されてもよい。フィラメント226はツール14(図1)又は繊維224を形成するための他の適切な装置を用いて絡み合わされてもよい。
【0056】
図35Cは相異なる材料の合成物で形成されたモノフィラメント繊維(繊維228)の断面図を示す。合成繊維228は繊維228内で区別できるように残された材料で形成され、その結果として繊維228の一部は所定の材料で主に形成され、繊維228の他の部分は別の材料で主に形成される。図35Cの例では、繊維228は2つの相異なる材料230、232を有するように示される。一般に、繊維228は任意の個数の相異なる材料(例えば、3つ以上の相異なる材料、4つ以上の相異なる材料など)で形成されてもよい。必要ならば、材料230、232のぞれぞれは材料の混合物で形成されてもよい。繊維228は図35Cの例示の断面図で放射線状に分割されるように示される。一般に、繊維228は任意の適切な方式で相異なる複数の材料に分割されてもよい。例えば、相異なる材料は放射対称性を有するコーティング(すなわち、相異なる層)に形成されてもよい。
【0057】
図35Dは相異なる材料で形成されたフィラメント236、238を有するマルチフィラメント繊維(繊維234)の断面図を示す。繊維234は任意の適切な比率のフィラメント236、238を有してもよい。繊維234は2つのタイプのフィラメントを有するものとして示されるが、一般に繊維234は任意の数のタイプのフィラメントを有してもよい。フィラメント236、238は絡み合わせツール14又は他の適切な装置を用いて絡み合わされてもよい。
【0058】
マルチフィラメント繊維を形成するために用いられてもよい別の例示の構成が図35Eの断面図に示される。図35Eに示されるように、マルチフィラメント繊維240は材料の合成物で形成されたフィラメント242を有してもよい。図35Eの例では、各フィラメント242は材料244、246の放射状のセグメントを有するように示される。一般に、フィラメント242は任意の個数の別々の材料で形成されてもよく、フィラメント242は任意の適切な方法で分割されてもよい。図35Eの繊維240はただ1つのタイプの合成フィラメント242を有するものとして示される。必要ならば、繊維242は任意の数のタイプの合成フィラメントで形成されてもよく、合成フィラメントと単一材料フィラメント(すなわち、複数の材料の合成物で形成されていないフィラメント)との混合物で形成されてもよい。フィラメント242は絡み合わせツール14又は他の適切な装置を用いて繊維240を形成するために糸のように一緒に巻きつけられてもよい。
【0059】
繊維ベースケーブルは絶縁ワイヤを含んでもよい。このタイプの構成が図36A、図36Bの例に示される。図36Aは絡み合ったモノフィラメント繊維245で形成された繊維ベースシースの断面図を示す。繊維245は任意の適切な方式で絡み合わされてもよく、1つ以上の層で形成されてもよい。例えば、繊維245は一部の繊維245が縦糸を形成し、他の繊維245が横糸を形成するように織られてもよい。繊維245は繊維245が組み合った(interlocking)ループを形成するように編まれてもよい。繊維245はまた、組まれてもよい。1つ以上の絶縁ワイヤ247はケーブル242の内部に位置してもよい。各絶縁ワイヤ247は導電性中心部248と絶縁体250のような絶縁体層とを有してもよい。導電性中心部248は銅又は他の適切な導電性材料で形成されてもよい。絶縁体248は(例として)プラスティックで形成されてもよい。図36Aの例では2つの絶縁ワイヤ247を有するケーブル242が示される。一般に、ケーブル242は任意の適切な本数の絶縁ワイヤ247を有してもよい。図36Aでは、絶縁ワイヤ247は繊維245の1つの層で囲まれるように示される。一般に、絶縁ワイヤ245は任意の適切な数の繊維層で囲まれてもよい。
【0060】
図36Bはマルチフィラメント繊維254で形成された繊維ベースシースを有する繊維ベースケーブル252の断面図を示す。各繊維254は多くのフィラメント256を有してもよい。繊維254は絡み合わせツール14又は他の適切な装置を用いて織られ、編まれ、組まれ、又は他のように絡み合わされてもよい。ケーブル252は複数の絶縁ワイヤ247を有してもよく、絶縁ワイヤ247のそれぞれは絶縁体250に囲まれた導電中心部248を有する。図36Bのケーブル252は2つの絶縁ワイヤ247を有するものとして示される。必要ならば、ケーブル252は異なる本数の絶縁ワイヤ247(例えば、3つ以上のワイヤ247など)を有してもよい。ケーブル252はマルチフィラメント繊維254の1つの層で形成された繊維ベースシースを有するが、一般にケーブル252は任意の適切な厚さ及び任意の数のレイヤの252を有する繊維ベースシースを有してもよい。ケーブル252はモノフィラメント繊維とマルチフィラメント繊維との混合物で形成された繊維ベースシースを有してもよい。ケーブル252は相異なる材料の繊維又は合成材料で形成された繊維を有する繊維ベースシースを有してもよい。
【0061】
図37は2つのタイプの繊維で形成された繊維ベースケーブル258の断面図である。ケーブル258は例えばナイロン又は別のポリマーであってもよい繊維260を有する。繊維262はパラアラミド、ガラス、スチール又は他の適切な材料のような異なる材料であってもよい。パラアラミド材料のような強い材料で形成された繊維262はケーブル258に強度を加えてもよい。スチールのような磁気材料で形成された繊維262はケーブル258に磁気特性を加えてもよい。
【0062】
繊維262はモノフィラメント繊維であってもよいし、マルチフィラメント繊維であってもよい。繊維262はまた、合成材料で形成されてもよい。繊維260、262は織られても、編まれても、組まれても、任意の他の適切な方式で絡み合わされてもよい。ケーブル258の繊維ベースシースは2つ分の繊維の厚さを有するものとして示される。一般に、ケーブル用の繊維ベースシースは任意の適切な厚さを有してもよい。繊維262は図37ではケーブル258の内部層の一部として示されるが、必要ならば、繊維262はまたケーブル258の最も外側の面の一部として形成されてもよい。ケーブル258はそれぞれが導電中心部248と絶縁体250とを有する2つの絶縁ワイヤ247を有するものとして示される。これは単なる例示である。ケーブル258のような繊維ベースケーブルは任意の適切な本数の絶縁ワイヤ247を有してもよい。
【0063】
(二股と呼ばれることもある)シームレスY接合部は絡み合わせツール14でケーブルを形成することによってアクセサリケーブルに形成されてもよい。図38に示されるように、接合部272のようなシームレスY接合部を有するケーブル264が形成されてもよい。図38の例の繊維ベースケーブル264は丸型輪郭を有し、ケーブル264は円柱管状形状を有する。Y接合部272の下部に(すなわち、オーディオプラグの近くのヘッドセットの近接端部で)、ケーブル264はただ1つのブランチ266を有する。ブランチ266は直径D1を有してもよい。Y接合部の後(すなわち、スピーカの近くのヘッドセットの遠方端部)に、ケーブル264は2つのブランチ268、270を有してもよい。ブランチ268は直径D2を有してもよく、ブランチ270は直径D3を有してもよい。直径D2、D3のそれぞれはブランチ266の直径D1よりも小さくてもよく、ブランチ266の直径D1以上であってもよい。直径D2と直径D3とは必要ならば等しくてもよい。
【0064】
典型的な構成では、繊維ベースケーブル264は絡み合った繊維を有し、その結果ケーブルの1つの端部に存在する繊維の本数はケーブルの別の端部に存在する繊維の本数とほぼ等しい。例えば、ブランチ266はN1本の繊維を含んでもよい(すなわち、N1本の繊維がブランチ266の断面を通るだろう)。同様に、ブランチ268はN2本の繊維を含んでもよく、ブランチ270はN3本の繊維を含んでもよい。ケーブル264の繊維はY接合部の前に存在する繊維の本数がY接合部の後の繊維の本数と等しくなるように、すなわちN1=N2+N3となるように絡み合ってもよい。このタイプの構成におけるブランチ268、270内の繊維のそれぞれはY接合部272を通ってブランチ266へ延びる。ブランチ266に1つの端部を有する各繊維はブランチ268及びブランチ270の一方に別の端部を有する。電気的に絶縁されたワイヤが構造体に含まれる構成では、ワイヤのすべてがブランチ268、270の遠方端部にある必要はないが、これらのワイヤは典型的にブランチ266からブランチ268,270へ妨害されずに通る。これは、絡み合わせツール14は典型的にケーブル形成プロセス中にケーブルへの特定のワイヤの配置を妨げないからである(すなわち、ケーブル形成プロセスは図20の例に関連して示されるように実質的に連続的である)。
【0065】
ケーブル264の繊維はシースを形成してもよい。絶縁ワイヤはシースに含まれてもよい。ブランチ266内の絶縁ワイヤの本数はブランチ268内のワイヤの本数にブランチ270内のワイヤの本数を加えたものに等しくてもよい。ブランチ266に1つの端部を有する各ワイヤはブランチ268とブランチ270との一方に別の端部を有してもよい。ケーブル264がヘッドホンケーブルであるならば、4つのワイヤがブランチ266に存在してもよく、このうちの2つはブランチ268へ続き、他の2つはブランチ270へ続く。ボタンアセンブリ及びマイクのような追加の電子コンポーネントを有するアクセサリ用ケーブルはより多くの絶縁ワイヤ(例えば、ブランチ266からブランチ268へ延びる別の2つ又は4つのワイヤ)を有してもよい。
【0066】
繊維ベースケーブルはまた、平坦なリボン状輪郭を有してもよい。このタイプの繊維ベースケーブルはケーブル274として図39Aに示される。ケーブル274は矩形又は長円の断面を有してもよい。接合部276のようなY接合部がケーブル274に形成されてもよい。Y接合部276の1つの側において(すなわち、ヘッドセット又は他のアクセサリの近接端部において)、ケーブル274は1つのブランチ278を有してもよい。Y接合部276の別の側において(すなわち、ヘッドセット又は他のアクセサリの遠方端部において)、ケーブル274は2つのブランチ280、282を有してもよい。Y接合部の前後で同数の繊維が存在してもよい。例えば、ブランチ278における繊維の本数はブランチ280、282における繊維の本数に等しくてもよい。ブランチ280、282のそれぞれは単一のブランチ278よりも薄くてもよいし、断面が小さくてもよい。
【0067】
図39AのY接合部276のようなY接合部は合流Y接合部と呼ばれることがあってもよい。単一のブランチ278は幅W1と厚さT1とを有してもよい。Y接合部276の他方の側で、ブランチ280、282はそれぞれ幅W2と厚さT2とを有してもよい。図39Bに示されるように、ケーブル274の厚さは、T1=T2となるようにY接合部の前後で実質的に等しくてもよい。単一のブランチ278は(例として)ブランチ280、282の幅W2のほぼ2倍の幅W1を有してもよい。例えば、ブランチ278は2ミリメートルの幅W1と0.5mmの厚さT1とを有してもよい。ブランチ280、282はそれぞれ1ミリメートルの幅W2と0.5ミリメートルの厚さT2とを有してもよい。これらの寸法は単なる例示である。一般に、ケーブル274は任意の適切な寸法を有してもよい。図39Aの例では、ブランチ280、282が同じ断面寸法を有するものとして示されるが、必要ならばブランチ280、282は相異なる断面寸法を有してもよい。
【0068】
リボン状輪郭を有する繊維ベースケーブルはまた、図40に示されるように重畳Y接合部を有してもよい。図40の繊維ベースケーブル286はY接合部288の1つの側(すなわち、ヘッドホンのペアの近接端部)に1つのブランチ290を有し、Y接合部288の別の側(すなわち、ヘッドホンの遠方端部)に2つのブランチ292、294を有する。ブランチ292、294はY接合部288で一体化する直前に重畳してもよい。リボン状ケーブル286は矩形又は長円の断面を有してもよい。単一のブランチ290は厚さT1よりも大きな幅W1を有してもよい。ブランチ292、294は厚さT2よりも大きな幅W2を有してもよい。単一のブランチ290はブランチ292、294の厚さT2のほぼ2倍である厚さT1を有してもよい。例えば、単一のブランチ290は1.5ミリメートルの幅と1.0ミリメートルの厚さとを有してもよい。ブランチ292、294はそれぞれ1.5ミリメートルの幅W2と1.0ミリメートルの厚さT2とを有してもよい。これらの寸法は単なる例示である。一般に、ブランチ292、294は同じ寸法を有する必要はなく、単一のブランチ290の厚さはブランチ292、294の2倍の厚さである必要はない。重畳Y接合部288はシームレスY接合部であってもよい。繊維はケーブル286の長さに沿ってシームレスに続いてもよい。単一のブランチ290内の繊維はY接合部299を通り、ブランチ292、294の何れか一方に入ってもよい。単一のブランチ290に存在する繊維の本数はブランチ292、294内の繊維の本数の合計であってもよい。
【0069】
図39及び図40のリボン形状ケーブルは矩形、長円又は楕円の輪郭を有してもよい。図41A〜図41Dの断面図にリボン形状ケーブルの例が示される。図41A〜図41Dの繊維ベースケーブルのそれぞれは厚さTよりも大きな幅Wを有する。図41Aのケーブル296は丸みを帯びていない角部を有する略矩形である断面を有する。図41Bのケーブル298は丸みを帯びた角部を有する略矩形である断面を有する。ケーブル298は長円形状の断面を有すると言ってもよい。図41Cのケーブル300は平坦な楕円形状の断面を有する。図41Dのケーブル302の断面は図41Cのケーブル300よりも丸い楕円である。
【0070】
図42のヘッドホン304はY接合部306のようなシームレスY接合部を有するケーブル320のような繊維ベースケーブルを有してもよい。Y接合部306の1つの側はケーブル320の近接端部でオーディオコネクタ310につながる単一のブランチ308を有してもよい。Y接合部306の別の側はケーブル320の遠方部でイヤホンにそれぞれがつながる2つのブランチ312、314を有してもよい。ブランチ312はボタンアセンブリ又は他の適切な入出力コンポーネントのようなユーザインタフェースを有してもよい。入出力コンポーネントは、1つ以上のマイク、状態インジケータ、ボタン、スイッチなどを含んでもよい。本明細書で例として記載されることもある1つの適切な構成では、ブランチ312にはスイッチベースコントローラ318のようなボタンコントローラアセンブリが与えられてもよい。ユーザはオーディオコネクタ310に接続される電子デバイスへ情報を送信するためにコントローラ318を用いてもよい。例えば、ユーザは、複数の相異なるボタンベーススイッチ(例えば、巻き戻し又はバックボタン、停止又はポーズボタン、早送り又は再生ボタンなど)のうちの1つを作動させてもよい。コントローラ318のマイクは(電話通話中の音声マイクとして機能するように)ユーザの音声を収集するために用いられてもよい。ヘッドホン304はまた、コントローラ318から離れた位置に配置されたマイクを組み込んでもよい。
【0071】
図42の繊維ベースケーブル320は絶縁された導電ワイヤを囲む繊維ベースシースを有してもよい。ヘッドホン304はユーザにオーディオを提供するためにオーディオコネクタ310の接点(端子)を各イヤホン316に接続するワイヤを有してもよい。ヘッドホン304は例えばオーディオコネクタ310から各イヤホン316へ続く2つのワイヤを有してもよい。各ワイヤペアのワイヤの1つは共通接地として機能してもよい。各ペアの他方のワイヤはそれぞれ、左オーディオワイヤ又は右オーディオワイヤのどちらか一方として機能してもよい。ボタン及びオプションのマイク機能を提供するために、オーディオコネクタ310からコントローラ318へ追加のワイヤが続いてもよい。例えば、コントローラ318への信号及びコントローラ318からの信号を伝達するために2つの絶縁ワイヤ又は2つの導電同軸ケーブルが用いられてもよい。(例えばコントローラ318内の追加の回路と連携して)ヘッドホン304にマイクが組み込まれるならば、マイクからコネクタ310へ信号を送信する追加の導電ワイヤが存在してもよい。必要ならば、導電ワイヤは繊維ベースヘッドホン304の繊維に絡み合わされてもよい。
【0072】
図20に関連して記載されたタイプの連続プロセスを用いてケーブル304が形成される場合に、同数の繊維がケーブル320の各端部に存在してもよい。ブランチ308内の繊維の本数はブランチ312、314内の繊維の本数の合計であってもよい。また、同数の絶縁ワイヤがケーブル320の各端部に存在してもよい。例えば、6本の絶縁ワイヤがブランチ308に存在するならば、2本の絶縁ワイヤがブランチ314に存在してもよく、4本の絶縁ワイヤがブランチ312の全長に沿って存在してもよい。コネクタ310をコントローラ318に接続するワイヤは、これらのワイヤがコントローラ318とイヤホン316の近くの追加のコンポーネントとの間で信号を伝達する必要がないとしても、ブランチ312上をイヤホン316へと続いてもよい。
【0073】
繊維ベースケーブル内の導電ワイヤは繊維ベースシース内に含まれる必要はない。例えば、導電ワイヤは他の繊維と直接に絡み合ってもよい。必要ならば、ケーブル内の他の繊維の間での導電ワイヤの相対位置は、ケーブルの長さに沿った位置の関数として絡み合わせツール14により変えられてもよい。例えば、導電ワイヤはケーブルに沿った一部の位置でケーブルのセンターコアに位置してもよいし、ケーブルに沿った他の位置でケーブルの表面に位置してもよい。このタイプの構成はオーディオコネクタ310の接点をコントローラ318内の回路に接続するためのものであってもよい。
【0074】
ワイヤがコントローラ318内の回路に相互接続されるように繊維ベースケーブルの内部の絶縁ワイヤの相対位置を絡み合わせツール14が調整する例示の構成が図43A〜図43Dの例で説明される。
【0075】
繊維ベースケーブル322の一部の透視図が図43Aに示される。区間324は統合スイッチ用の端子を形成するケーブル322の領域であってもよい。このタイプの構成では、スイッチは露出ワイヤのペアで形成されてもよく、ヘッドセット用のより複雑な多機能ボタンコントローラを実装するための回路を含む必要はない。図43B〜図43Dはケーブル322のX−X線、Y−Y線及びZ−Z線に沿ったケーブル322の断面図である。
【0076】
図43Bは位置Xにおけるケーブル322の断面図であり、位置Xはスイッチ領域324の1つの側である。図43Bのケーブル322は絡み合った繊維332を有する。繊維332はモノフィラメント繊維であってもよいし、マルチフィラメント繊維であってもよい。繊維332は絶縁された導電ワイヤ247の周りのシースに配置されてもよい。繊維332は2つの繊維層の厚さを有するシースに配置されたものとして図43Bに示される。一般に、繊維シースは任意の適切な厚さを有してもよい。絶縁ワイヤ247はそれぞれ、中心部248のような導電中心部を囲む絶縁体250を有する。図43Bには4つの絶縁ワイヤ247が示される。一般に、ケーブル322は任意の適切な本数の絶縁ワイヤを有してもよい。絶縁ワイヤ247は個別のワイヤとして提供されてもよく、撚り対線として提供されてもよく、同軸ケーブルのパーツなどとして提供されてもよい。
【0077】
図43Cはケーブル322のY−Y線を通る断面図である。図43Cでは、ワイヤ247の2つが絡み合わせツール14によってケーブル322の表面に配置されており、端子342、344を形成するようにそれらの絶縁体がはがされている。2つの他のワイヤ247は絡み合った繊維332内に埋め込まれたままである。
【0078】
ケーブル322の製作中に、絶縁ワイヤがスイッチ領域324の外側の領域において(図43Aのケーブル区間322の位置X、Zにおいて)ケーブルのコア領域の内部に含まれることを保証するために絡み合わせ機械が用いられてもよい。これは、(例えば引っかきのような)損傷からワイヤを保護するのに役立つ。絡み合わせツールは図43Cの位置Yのような所望の位置でケーブル322の表面に絶縁ワイヤを選択的にもたらしてもよい。繊維ベースケーブル322が形成された後(又は前)に、絶縁ワイヤ247は、位置Yのような位置で自身の絶縁体250を選択的に剥がされて、自身の導電中心部248をケーブルの表面に露出してもよい。端子342、344はスイッチ324を形成してもよい。このようなスイッチ324はユーザによって接触された場合に短絡されてもよい。例えば、端子342、344は、ユーザの指が端子342、344を橋渡しした場合にユーザの指(指346)の皮膚によって互いに電気的に接続されてもよい。端子342、344はまた、メカニカルレバー又は他の切替機構によって橋渡しされてもよい。
【0079】
図43Dは位置Zにおける繊維ベースケーブル322を通る断面図である。位置Zにおいて、絶縁された導電ワイヤ247は繊維332の内部に存在し、絶縁体250は剥がされていない。繊維332は絶縁ワイヤ247を囲む繊維ベースシースを形成してもよいし、繊維332は絶縁ワイヤ247に絡み合ってもよい。
【0080】
図44Aはコントローラ(例えば、図42のコントローラ318のようなコントローラ)を有する繊維ベースケーブル354を示す。図44Aに示されるように、コントローラ345はケーブルの一部を囲む筐体を有してもよい。コントローラ345は(例として)スイッチ、複数のボタンとオプションのマイクとを有するスイッチベースボタンアセンブリ内の回路のような回路、又は他の適切なユーザインタフェース回路であってもよい。コントローラ334のようなコントローラはケーブル354のワイヤを介した電子デバイスとの通信を支援する回路を含んでもよい。コントローラ345はボタン346のような1つ以上のスイッチベースボタンを有してもよい。位置X、Y、Zにおけるケーブル354の断面図が図44B、図44C及び図44Dに示される。
【0081】
図44Bは図44AのX−X線を通るケーブル354の断面図である。図44Bの絡み合った繊維332はモノフィラメントワイヤ又はマルチフィラメントワイヤであってもよいし、任意の適切な材料で形成されてもよい。絶縁された導電ワイヤ247は導電中心部248を囲む絶縁体250を有する。4つのワイヤ247が図44Bに示される。一般に、ケーブル354は任意の適切な本数のワイヤを有してもよい。必要ならば、ワイヤ247はまた、同軸ケーブルの形式で提供されてもよい。図44Bでは、絡み合った繊維332は絶縁ワイヤ247を囲むものとして示される。
【0082】
図44Cは図44AのY−Y線に沿ったコントローラ345及び関連するボタン346を通る断面図である。絶縁ワイヤ247のうちの2つは絡み合わせツール14によってケーブル354の表面に配置され、それらの絶縁体250は剥がされている。これにより、ワイヤ247の導電中心部248が露出され、端子342、344が形成される。端子342は半田348によってスイッチ346のパッド352又はコントローラ345内の他の回路に接続されてもよい。端子344は半田350によってスイッチ346のパッド354又はコントローラ345内の他の回路に接続されてもよい。ボタン346がユーザによって押された場合に、端子342、344は電気的に接続されて(すなわち、短絡されて)、スイッチを閉じてもよい。他の構成(例えば、コントローラ345がより複雑な回路で形成される構成)では、ボタン346の作動の結果として、端子342、344に接続されたワイヤを介して通信信号が送信されてもよい。コントローラ345を形成するためにスイッチを用いることは単なる例示である。
【0083】
図44Dは図44AのZ−Z線を通るケーブル354の断面図である。図44Bのように、絶縁された導電ワイヤ247は絡み合わせツール14によって絡み合った繊維332の内部に埋め込まれてもよい。ケーブルのこの領域では、ワイヤ247は典型的に絶縁体250が無傷である(すなわち、絶縁体は剥がされておらず、それ故導電中心部248を囲んでいる)。
【0084】
図20のケーブルのような繊維ベースケーブルの形成中に、図1の絡み合わせツール14は(位置Xにおける)ケーブル354の内部から(位置Yにおける)ケーブル354の表面へ、そして(位置Zにおいて)再びケーブル354の内部へ絶縁ワイヤ334をもたらすために用いられてもよい。ケーブル354が形成された後に、端子342、344を形成するように位置Yにおいて絶縁体340がワイヤ334から剥がされてもよい。その後、スイッチ又はより複雑な入出力回路が端子342、344に接続されてもよい。必要ならば、3つ以上のワイヤが剥がされ、入出力回路に接続されてもよい。例えば、3つ以上のワイヤが剥がされ、スイッチ又はコントローラアセンブリ345内のより複雑な回路に接続されてもよいし、4つ以上のワイヤが剥がされ、スイッチ又はコントローラ345内のより複雑な回路に接続されてもよい。
【0085】
1つの実施形態では、スピーカのペアと、絡み合った繊維で形成された繊維ベースケーブルとを備えるヘッドホンが提供され、繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を有し、繊維ベースケーブルの第1ブランチはシームレスY接合部の1つの側でオーディオプラグに接続され、繊維ベースケーブルの第2ブランチ及び第3ブランチはそれぞれ、シームレスY接合部の別の側でスピーカのペアのそれぞれのスピーカに接続される。
【0086】
別の実施形態では、スピーカは絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンを含む。
【0087】
別の実施形態では、イヤホンはそれぞれ、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有する。
【0088】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは第1導電ワイヤ束及び第2導電ワイヤ束を有し、第1導電ワイヤ束は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第2ブランチに含まれ、第2導電ワイヤ束は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第3ブランチに含まれる。
【0089】
別の実施形態では、ヘッドホンは繊維ベースケーブルの第2ブランチにコントローラを更に備え、第1導電ワイヤ束の少なくとも1つの導電ワイヤはコントローラに接続される。
【0090】
別の実施形態では、少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域以外で繊維ベースケーブルの長さに沿って絡み合った繊維で囲まれ、少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域で繊維ベースケーブルの表面に位置する。
【0091】
別の実施形態では、少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域にスイッチ端子を形成する剥がされた部分を有するワイヤのペアを有する。
【0092】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルの一部はオーディオプラグの第1部分を覆うシースを形成する。
【0093】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはシースに組み込まれるとともにオーディオプラグの第1部分を覆うバインダを更に有する。
【0094】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは剛性張力緩和構造体を有し、絡み合った繊維は剛性張力緩和構造体の少なくとも一部の周りにシースを形成する。
【0095】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、繊維ベースケーブルの長さに沿って柔軟性を調整するように繊維ベースケーブルにバインダが選択的に組み込まれる。
【0096】
別の実施形態では、絡み合った繊維はモノフィラメント繊維を含む。
【0097】
別の実施形態では、絡み合った繊維は、ナイロン繊維、パラアラミド繊維、ポリエステル繊維、磁気材料繊維及び形状記憶材料繊維からなるグループから選択された繊維を含む。
【0098】
別の実施形態では、絡み合った繊維はそれぞれマルチフィラメント繊維を含む。
【0099】
別の実施形態では、絡み合った繊維はそれぞれ複数の相異なる繊維材料で形成された合成繊維を含む。
【0100】
別の実施形態では、絡み合った繊維は第1グループの繊維及び第2グループの繊維を含み、第1グループの繊維は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第2ブランチに含まれ、第2グループの繊維は繊維ベースケーブルの第1ブランチ及び第3ブランチに含まれる。
【0101】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略円形の断面を有する。
【0102】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略矩形の断面を有する。
【0103】
1つの実施形態では、シームレスY接合部を有するケーブルシースを形成する絡み合った繊維と、ベース部を有するオーディオコネクタとを備える繊維ベースケーブルが提供され、ケーブルシースの第1部分はベース部に接続される。
【0104】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはケーブルシースの第1部分にバインダを更に備え、ケーブルシースの第1部分はベース部の少なくとも一部を覆う。
【0105】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、繊維ベースケーブルはケーブルの長さに沿ってケーブルの柔軟性を変えるバインダをケーブルの領域に更に備える。
【0106】
別の実施形態では、絡み合った繊維はケーブルシースを形成する複数の絡み合ったモノフィラメントナイロン繊維を含む。
【0107】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはケーブルシースの第1部分とケーブルシースの第2部分との間の領域を更に備え、領域は第1部分よりも柔軟性が高く第2部分よりも柔軟性が低い。
【0108】
別の実施形態では、ケーブルシースの第1部分はバインダで完全に充填され、ケーブルシースの第2部分はバインダを有さない。
【0109】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはケーブルシースの第1部分と第2部分との間の領域を更に備え、領域の第1部分はバインダを有し、領域の第2部分はバインダを有さない。
【0110】
別の実施形態では、領域は放射非対称パターンに分布したバインダを有する。
【0111】
1つの実施形態では、ヘッドホンケーブル用のシースを形成する方法であって、絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、ヘッドホンケーブル用の絡み合った繊維のシースを形成するように絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程と、シースの絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、バインダを硬化する工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0112】
別の実施形態では、バインダを組み込む工程は、シースがその長さに沿って強度の程度を変えるためにマトリクス組み込みツールを用いてシースの絡み合った繊維にバインダを選択的に組み込む工程を含む。
【0113】
別の実施形態では、繊維は第1タイプの繊維及び第2タイプの繊維を含み、絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程は、第2タイプの繊維に対する第1タイプの繊維の比率がシースの長さに沿って変わるように第2タイプの繊維に第1タイプの繊維を組み込む工程を含む。
【0114】
別の実施形態では、方法は絡み合わせツールを用いてシースにシームレスY接合部を形成する工程を更に有する。
【0115】
1つの実施形態では、ヘッドホンであって、繊維ベースケーブルと、絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンとを備えることを特徴とするヘッドホンが提供される。
【0116】
別の実施形態では、イヤホンは、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有する。
【0117】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を含む。
【0118】
別の実施形態では、ヘッドホンはプラスティック構造体を有するオーディオプラグを更に備え、繊維ベースケーブルはプラスティック構造体を覆うシースを含む。
【0119】
1つの実施形態では、ヘッドホンであって、スピーカと、オーディオコネクタと、スピーカとオーディオコネクタとの間に結合され、ケーブル表面にスイッチ領域を有する繊維ベースケーブルと、スイッチ領域のケーブル表面に露出した導体で形成されたスイッチとを備えることを特徴とするヘッドホンが提供される。
【0120】
別の実施形態では、繊維ベースケーブルは誘電性繊維及びワイヤを有し、ワイヤはスイッチ領域の外側にある繊維ベースケーブルの部分において誘電性繊維で囲まれ、スイッチ領域においてケーブル表面に位置する。
【0121】
1つの実施形態では、電子デバイスであって、アンテナと、絡み合った繊維及び絡み合った繊維を結びつけるバインダを有する筐体とを備え、筐体の絡み合った繊維の第1部分はアンテナ用のアンテナ窓を形成し、高周波アンテナ信号はアンテナ窓を通り、筐体の絡み合った繊維の第2部分は高周波アンテナ信号を遮断する導電性の絡み合った繊維を含むことを特徴とする電子デバイスが提供される。
【0122】
別の実施形態では、筐体の絡み合った繊維の第2部分はシームレスであり平坦でない。
【0123】
別の実施形態では、筐体の絡み合った繊維の第2部分は丸みを帯びた角部を有する。
【0124】
別の実施形態では、絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含む。
【0125】
別の実施形態では、絡み合った繊維はナイロン繊維を含む。
【0126】
別の実施形態では、絡み合った繊維の第2部分は統合ループを含む。
【0127】
1つの実施形態では、電子デバイス筐体であって、絡み合った繊維と、シームレスであり平坦でない筐体構造体に絡み合った繊維を結びつけるバインダとを備えることを特徴とする電子デバイス筐体が提供される。
【0128】
別の実施形態では、シームレスであり平坦でない筐体構造体は丸みを帯びた角部を形成する部分を有する。
【0129】
別の実施形態では、シームレスであり平坦でない筐体構造体は複合曲面を形成する部分を有する。
【0130】
別の実施形態では、シームレスであり平坦でない筐体構造体で覆われた内部支持構造体を更に備える。
【0131】
別の実施形態では、内部支持構造体は繊維の平坦なシートを含む。
【0132】
別の実施形態では、絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含む。
【0133】
別の実施形態では、電子デバイス筐体は絡み合った繊維で形成されたヒンジを更に備える。
【0134】
別の実施形態では、繊維はプラスティック繊維を含む。
【0135】
別の実施形態では、繊維は導電性繊維を含む。
【0136】
別の実施形態では、繊維の一部は高周波信号を遮断する筐体の導電部分を形成する導電性繊維を含み、繊維の一部は高周波信号を透過する筐体のアンテナ窓部分を形成する誘電性繊維を含む。
【0137】
別の実施形態では、電子デバイス筐体はコンピュータ筐体を更に備える。
【0138】
1つの実施形態では、絡み合った繊維で電子デバイス筐体を形成する方法であって、絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、少なくとも1つの曲面を有する電子デバイス筐体構造体を形成するように絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程と、マトリクス組み込みツールを用いて絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、電子デバイス筐体構造体を強固にするためにバインダを硬化する工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0139】
別の実施形態では、絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程は、電子デバイス筐体の面の曲面に複合曲面を形成するように繊維を絡み合わせる工程を含む。
【0140】
別の実施形態では、絡み合わせツールを用いて繊維を絡み合わせる工程は、電子デバイス筐体の面の曲面に複合曲面を形成するように繊維を絡み合わせる工程を含む。
【0141】
上記は本発明の原理の単なる例示であり、本発明の範囲及び精神から逸脱せずに様々な変形が当業者によってなされうる。上述の実施形態は個別に実施されてもよく、任意の組み合わせで実施されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドホンであって、
スピーカのペアと、
絡み合った繊維で形成された繊維ベースケーブルと
を備え、
前記繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を有し、
前記繊維ベースケーブルの第1ブランチは前記シームレスY接合部の1つの側でオーディオプラグに接続され、
前記繊維ベースケーブルの第2ブランチ及び第3ブランチはそれぞれ、前記シームレスY接合部の別の側で前記スピーカのペアのそれぞれのスピーカに接続される
ことを特徴とするヘッドホン。
【請求項2】
前記スピーカは絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンを含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記イヤホンはそれぞれ、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有することを特徴とする請求項2に記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記繊維ベースケーブルは第1導電ワイヤ束及び第2導電ワイヤ束を有し、
前記第1導電ワイヤ束は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第2ブランチに含まれ、
前記第2導電ワイヤ束は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第3ブランチに含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記繊維ベースケーブルの前記第2ブランチにコントローラを更に備え、
前記第1導電ワイヤ束の少なくとも1つの導電ワイヤは前記コントローラに接続される
ことを特徴とする請求項4に記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域以外で前記繊維ベースケーブルの長さに沿って絡み合った繊維で囲まれ、
前記少なくとも1つの導電ワイヤは前記所与の領域で前記繊維ベースケーブルの表面に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドホン。
【請求項7】
前記少なくとも1つの導電ワイヤは前記所与の領域にスイッチ端子を形成する剥がされた部分を有するワイヤのペアを有することを特徴とする請求項6に記載のヘッドホン。
【請求項8】
前記繊維ベースケーブルの一部は前記オーディオプラグの第1部分を覆うシースを形成することを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項9】
前記繊維ベースケーブルは前記シースに組み込まれるとともに前記オーディオプラグの第1部分を覆うバインダを更に有することを特徴とする請求項8に記載のヘッドホン。
【請求項10】
前記繊維ベースケーブルは剛性張力緩和構造体を有し、
前記絡み合った繊維は前記剛性張力緩和構造体の少なくとも一部の周りにシースを形成する
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項11】
前記繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、
前記繊維ベースケーブルの前記長さに沿って前記柔軟性を調整するように前記繊維ベースケーブルにバインダが選択的に組み込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項12】
前記絡み合った繊維はモノフィラメント繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項13】
前記絡み合った繊維は、ナイロン繊維、パラアラミド繊維、ポリエステル繊維、磁気材料繊維及び形状記憶材料繊維からなるグループから選択された繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項14】
前記絡み合った繊維はそれぞれマルチフィラメント繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項15】
前記絡み合った繊維はそれぞれ複数の相異なる繊維材料で形成された合成繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項16】
前記絡み合った繊維は第1グループの繊維及び第2グループの繊維を含み、
前記第1グループの繊維は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第2ブランチに含まれ、
前記第2グループの繊維は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第3ブランチに含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項17】
前記繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略円形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項18】
前記繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略矩形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項19】
繊維ベースケーブルであって、
シームレスY接合部を有するケーブルシースを形成する絡み合った繊維と、
ベース部を有するオーディオコネクタと
を備え、
前記ケーブルシースの第1部分は前記ベース部に接続される
ことを特徴とする繊維ベースケーブル。
【請求項20】
前記ケーブルシースの前記第1部分にバインダを更に備え、
前記ケーブルシースの前記第1部分は前記ベース部の少なくとも一部を覆う
ことを特徴とする請求項19に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項21】
前記繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、
前記繊維ベースケーブルは前記ケーブルの前記長さに沿って前記ケーブルの前記柔軟性を変えるバインダを前記ケーブルの領域に更に備える
ことを特徴とする請求項19に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項22】
前記絡み合った繊維は前記ケーブルシースを形成する複数の絡み合ったモノフィラメントナイロン繊維を含むことを特徴とする請求項21に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項23】
前記ケーブルシースの前記第1部分と前記ケーブルシースの第2部分との間の領域を更に備え、
前記領域は前記第1部分よりも柔軟性が高く前記第2部分よりも柔軟性が低い
ことを特徴とする請求項22に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項24】
前記ケーブルシースの前記第1部分はバインダで完全に充填され、
前記ケーブルシースの第2部分はバインダを有さない
ことを特徴とする請求項19に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項25】
前記ケーブルシースの前記第1部分と前記第2部分との間の領域を更に備え、
前記領域の第1部分はバインダを有し、前記領域の第2部分はバインダを有さない
ことを特徴とする請求項24に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項26】
前記領域は放射非対称パターンに分布したバインダを有することを特徴とする請求項25に記載のヘッドホン。
【請求項27】
ヘッドホンケーブル用のシースを形成する方法であって、
絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、
前記ヘッドホンケーブル用の絡み合った繊維のシースを形成するように絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程と、
前記シースの前記絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、
前記バインダを硬化する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項28】
前記バインダを組み込む工程は、前記シースがその長さに沿って強度の程度を変えるためにマトリクス組み込みツールを用いて前記シースの前記絡み合った繊維にバインダを選択的に組み込む工程を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記繊維は第1タイプの繊維及び第2タイプの繊維を含み、
前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程は、前記第2タイプの繊維に対する前記第1タイプの繊維の比率が前記シースの長さに沿って変わるように前記第2タイプの繊維に前記第1タイプの繊維を組み込む工程を含む
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記絡み合わせツールを用いて前記シースにシームレスY接合部を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
ヘッドホンであって、
繊維ベースケーブルと、
絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンと
を備えることを特徴とするヘッドホン。
【請求項32】
前記イヤホンは、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有することを特徴とする請求項31に記載のヘッドホン。
【請求項33】
前記繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を含むことを特徴とする請求項31に記載のヘッドホン。
【請求項34】
プラスティック構造体を有するオーディオプラグを更に備え、
前記繊維ベースケーブルは前記プラスティック構造体を覆うシースを含む
ことを特徴とする請求項31に記載のヘッドホン。
【請求項35】
ヘッドホンであって、
スピーカと、
オーディオコネクタと、
前記スピーカと前記オーディオコネクタとの間に結合され、ケーブル表面にスイッチ領域を有する繊維ベースケーブルと、
前記スイッチ領域の前記ケーブル表面に露出した導体で形成されたスイッチと
を備えることを特徴とするヘッドホン。
【請求項36】
前記繊維ベースケーブルは誘電性繊維及びワイヤを有し、
前記ワイヤは前記スイッチ領域の外側にある前記繊維ベースケーブルの部分において前記誘電性繊維で囲まれ、前記スイッチ領域において前記ケーブル表面に位置する
ことを特徴とする請求項35に記載のヘッドホン。
【請求項37】
電子デバイスであって、
アンテナと、
絡み合った繊維及び前記絡み合った繊維を結びつけるバインダを有する筐体と
を備え、
前記筐体の前記絡み合った繊維の第1部分は前記アンテナ用のアンテナ窓を形成し、
高周波アンテナ信号は前記アンテナ窓を通り、
前記筐体の前記絡み合った繊維の第2部分は前記高周波アンテナ信号を遮断する導電性の絡み合った繊維を含む
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項38】
前記筐体の前記絡み合った繊維の前記第2部分はシームレスであり平坦でないことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項39】
前記筐体の前記絡み合った繊維の前記第2部分は丸みを帯びた角部を有することを特徴とする請求項38に記載の電子デバイス。
【請求項40】
前記絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含むことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項41】
前記絡み合った繊維はナイロン繊維を含むことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項42】
前記絡み合った繊維の前記第2部分は統合ループを含むことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項43】
電子デバイス筐体であって、
絡み合った繊維と、
シームレスであり平坦でない筐体構造体に前記絡み合った繊維を結びつけるバインダと
を備えることを特徴とする電子デバイス筐体。
【請求項44】
前記シームレスであり平坦でない筐体構造体は丸みを帯びた角部を形成する部分を有することを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項45】
前記シームレスであり平坦でない筐体構造体は複合曲面を形成する部分を有することを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項46】
前記シームレスであり平坦でない筐体構造体で覆われた内部支持構造体を更に備えることを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項47】
前記内部支持構造体は繊維の平坦なシートを含むことを特徴とする請求項46に記載の電子デバイス筐体。
【請求項48】
前記絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含むことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項49】
絡み合った繊維で形成されたヒンジを更に備えることを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項50】
前記繊維はプラスティック繊維を含むことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項51】
前記繊維は導電性繊維を含むことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項52】
前記繊維の一部は高周波信号を遮断する前記筐体の導電部分を形成する導電性繊維を含み、
前記繊維の一部は高周波信号を透過する前記筐体のアンテナ窓部分を形成する誘電性繊維を含む
ことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項53】
コンピュータ筐体を更に備えることを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項54】
絡み合った繊維で電子デバイス筐体を形成する方法であって、
絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、
少なくとも1つの曲面を有する電子デバイス筐体構造体を形成するように前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程と、
マトリクス組み込みツールを用いて前記絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、
前記電子デバイス筐体構造体を強固にするために前記バインダを硬化する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項55】
前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程は、前記電子デバイス筐体の面の前記曲面に複合曲面を形成するように前記繊維を絡み合わせる工程を含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程は、前記電子デバイス筐体の面の前記曲面に複合曲面を形成するように前記繊維を絡み合わせる工程を含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項1】
ヘッドホンであって、
スピーカのペアと、
絡み合った繊維で形成された繊維ベースケーブルと
を備え、
前記繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を有し、
前記繊維ベースケーブルの第1ブランチは前記シームレスY接合部の1つの側でオーディオプラグに接続され、
前記繊維ベースケーブルの第2ブランチ及び第3ブランチはそれぞれ、前記シームレスY接合部の別の側で前記スピーカのペアのそれぞれのスピーカに接続される
ことを特徴とするヘッドホン。
【請求項2】
前記スピーカは絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンを含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記イヤホンはそれぞれ、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有することを特徴とする請求項2に記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記繊維ベースケーブルは第1導電ワイヤ束及び第2導電ワイヤ束を有し、
前記第1導電ワイヤ束は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第2ブランチに含まれ、
前記第2導電ワイヤ束は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第3ブランチに含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記繊維ベースケーブルの前記第2ブランチにコントローラを更に備え、
前記第1導電ワイヤ束の少なくとも1つの導電ワイヤは前記コントローラに接続される
ことを特徴とする請求項4に記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導電ワイヤは所与の領域以外で前記繊維ベースケーブルの長さに沿って絡み合った繊維で囲まれ、
前記少なくとも1つの導電ワイヤは前記所与の領域で前記繊維ベースケーブルの表面に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドホン。
【請求項7】
前記少なくとも1つの導電ワイヤは前記所与の領域にスイッチ端子を形成する剥がされた部分を有するワイヤのペアを有することを特徴とする請求項6に記載のヘッドホン。
【請求項8】
前記繊維ベースケーブルの一部は前記オーディオプラグの第1部分を覆うシースを形成することを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項9】
前記繊維ベースケーブルは前記シースに組み込まれるとともに前記オーディオプラグの第1部分を覆うバインダを更に有することを特徴とする請求項8に記載のヘッドホン。
【請求項10】
前記繊維ベースケーブルは剛性張力緩和構造体を有し、
前記絡み合った繊維は前記剛性張力緩和構造体の少なくとも一部の周りにシースを形成する
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項11】
前記繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、
前記繊維ベースケーブルの前記長さに沿って前記柔軟性を調整するように前記繊維ベースケーブルにバインダが選択的に組み込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項12】
前記絡み合った繊維はモノフィラメント繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項13】
前記絡み合った繊維は、ナイロン繊維、パラアラミド繊維、ポリエステル繊維、磁気材料繊維及び形状記憶材料繊維からなるグループから選択された繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項14】
前記絡み合った繊維はそれぞれマルチフィラメント繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項15】
前記絡み合った繊維はそれぞれ複数の相異なる繊維材料で形成された合成繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項16】
前記絡み合った繊維は第1グループの繊維及び第2グループの繊維を含み、
前記第1グループの繊維は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第2ブランチに含まれ、
前記第2グループの繊維は前記繊維ベースケーブルの前記第1ブランチ及び前記第3ブランチに含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項17】
前記繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略円形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項18】
前記繊維ベースケーブルは少なくとも1つの略矩形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項19】
繊維ベースケーブルであって、
シームレスY接合部を有するケーブルシースを形成する絡み合った繊維と、
ベース部を有するオーディオコネクタと
を備え、
前記ケーブルシースの第1部分は前記ベース部に接続される
ことを特徴とする繊維ベースケーブル。
【請求項20】
前記ケーブルシースの前記第1部分にバインダを更に備え、
前記ケーブルシースの前記第1部分は前記ベース部の少なくとも一部を覆う
ことを特徴とする請求項19に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項21】
前記繊維ベースケーブルは長さ及び柔軟性を有し、
前記繊維ベースケーブルは前記ケーブルの前記長さに沿って前記ケーブルの前記柔軟性を変えるバインダを前記ケーブルの領域に更に備える
ことを特徴とする請求項19に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項22】
前記絡み合った繊維は前記ケーブルシースを形成する複数の絡み合ったモノフィラメントナイロン繊維を含むことを特徴とする請求項21に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項23】
前記ケーブルシースの前記第1部分と前記ケーブルシースの第2部分との間の領域を更に備え、
前記領域は前記第1部分よりも柔軟性が高く前記第2部分よりも柔軟性が低い
ことを特徴とする請求項22に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項24】
前記ケーブルシースの前記第1部分はバインダで完全に充填され、
前記ケーブルシースの第2部分はバインダを有さない
ことを特徴とする請求項19に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項25】
前記ケーブルシースの前記第1部分と前記第2部分との間の領域を更に備え、
前記領域の第1部分はバインダを有し、前記領域の第2部分はバインダを有さない
ことを特徴とする請求項24に記載の繊維ベースケーブル。
【請求項26】
前記領域は放射非対称パターンに分布したバインダを有することを特徴とする請求項25に記載のヘッドホン。
【請求項27】
ヘッドホンケーブル用のシースを形成する方法であって、
絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、
前記ヘッドホンケーブル用の絡み合った繊維のシースを形成するように絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程と、
前記シースの前記絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、
前記バインダを硬化する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項28】
前記バインダを組み込む工程は、前記シースがその長さに沿って強度の程度を変えるためにマトリクス組み込みツールを用いて前記シースの前記絡み合った繊維にバインダを選択的に組み込む工程を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記繊維は第1タイプの繊維及び第2タイプの繊維を含み、
前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程は、前記第2タイプの繊維に対する前記第1タイプの繊維の比率が前記シースの長さに沿って変わるように前記第2タイプの繊維に前記第1タイプの繊維を組み込む工程を含む
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記絡み合わせツールを用いて前記シースにシームレスY接合部を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
ヘッドホンであって、
繊維ベースケーブルと、
絡み合った繊維で少なくとも部分的に形成されたイヤホンと
を備えることを特徴とするヘッドホン。
【請求項32】
前記イヤホンは、音を遮断する絡み合った繊維の第1部分と音を透過する絡み合った繊維の第2部分とを有することを特徴とする請求項31に記載のヘッドホン。
【請求項33】
前記繊維ベースケーブルはシームレスY接合部を含むことを特徴とする請求項31に記載のヘッドホン。
【請求項34】
プラスティック構造体を有するオーディオプラグを更に備え、
前記繊維ベースケーブルは前記プラスティック構造体を覆うシースを含む
ことを特徴とする請求項31に記載のヘッドホン。
【請求項35】
ヘッドホンであって、
スピーカと、
オーディオコネクタと、
前記スピーカと前記オーディオコネクタとの間に結合され、ケーブル表面にスイッチ領域を有する繊維ベースケーブルと、
前記スイッチ領域の前記ケーブル表面に露出した導体で形成されたスイッチと
を備えることを特徴とするヘッドホン。
【請求項36】
前記繊維ベースケーブルは誘電性繊維及びワイヤを有し、
前記ワイヤは前記スイッチ領域の外側にある前記繊維ベースケーブルの部分において前記誘電性繊維で囲まれ、前記スイッチ領域において前記ケーブル表面に位置する
ことを特徴とする請求項35に記載のヘッドホン。
【請求項37】
電子デバイスであって、
アンテナと、
絡み合った繊維及び前記絡み合った繊維を結びつけるバインダを有する筐体と
を備え、
前記筐体の前記絡み合った繊維の第1部分は前記アンテナ用のアンテナ窓を形成し、
高周波アンテナ信号は前記アンテナ窓を通り、
前記筐体の前記絡み合った繊維の第2部分は前記高周波アンテナ信号を遮断する導電性の絡み合った繊維を含む
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項38】
前記筐体の前記絡み合った繊維の前記第2部分はシームレスであり平坦でないことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項39】
前記筐体の前記絡み合った繊維の前記第2部分は丸みを帯びた角部を有することを特徴とする請求項38に記載の電子デバイス。
【請求項40】
前記絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含むことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項41】
前記絡み合った繊維はナイロン繊維を含むことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項42】
前記絡み合った繊維の前記第2部分は統合ループを含むことを特徴とする請求項37に記載の電子デバイス。
【請求項43】
電子デバイス筐体であって、
絡み合った繊維と、
シームレスであり平坦でない筐体構造体に前記絡み合った繊維を結びつけるバインダと
を備えることを特徴とする電子デバイス筐体。
【請求項44】
前記シームレスであり平坦でない筐体構造体は丸みを帯びた角部を形成する部分を有することを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項45】
前記シームレスであり平坦でない筐体構造体は複合曲面を形成する部分を有することを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項46】
前記シームレスであり平坦でない筐体構造体で覆われた内部支持構造体を更に備えることを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項47】
前記内部支持構造体は繊維の平坦なシートを含むことを特徴とする請求項46に記載の電子デバイス筐体。
【請求項48】
前記絡み合った繊維は織り合わされた繊維を含むことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項49】
絡み合った繊維で形成されたヒンジを更に備えることを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項50】
前記繊維はプラスティック繊維を含むことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項51】
前記繊維は導電性繊維を含むことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項52】
前記繊維の一部は高周波信号を遮断する前記筐体の導電部分を形成する導電性繊維を含み、
前記繊維の一部は高周波信号を透過する前記筐体のアンテナ窓部分を形成する誘電性繊維を含む
ことを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項53】
コンピュータ筐体を更に備えることを特徴とする請求項43に記載の電子デバイス筐体。
【請求項54】
絡み合った繊維で電子デバイス筐体を形成する方法であって、
絡み合わせツールに繊維を搭載する工程と、
少なくとも1つの曲面を有する電子デバイス筐体構造体を形成するように前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程と、
マトリクス組み込みツールを用いて前記絡み合った繊維にバインダを組み込む工程と、
前記電子デバイス筐体構造体を強固にするために前記バインダを硬化する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項55】
前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程は、前記電子デバイス筐体の面の前記曲面に複合曲面を形成するように前記繊維を絡み合わせる工程を含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記絡み合わせツールを用いて前記繊維を絡み合わせる工程は、前記電子デバイス筐体の面の前記曲面に複合曲面を形成するように前記繊維を絡み合わせる工程を含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図35E】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図40】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図41D】
【図42】
【図43A】
【図43B】
【図43C】
【図43D】
【図44A】
【図44B】
【図44C】
【図44D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図35E】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図40】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図41D】
【図42】
【図43A】
【図43B】
【図43C】
【図43D】
【図44A】
【図44B】
【図44C】
【図44D】
【公表番号】特表2012−529844(P2012−529844A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514960(P2012−514960)
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/033438
【国際公開番号】WO2010/144188
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/033438
【国際公開番号】WO2010/144188
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]