説明

給弾機構における装弾数切替え装置

【課題】バレルに装填する弾丸の数を切替え可能な装弾数切替え装置を提供する。
【解決手段】上記装弾数切替え装置として、ノズルアセンブリー14の前進後退方向へ移動可能に銃本体に取り付けたコッキング部材31と、上記コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達し、当該ノズルアセンブリーを後退させるために上記コッキング部材とノズルアセンブリーとの間に設けた作用部材34と、上記ノズルアセンブリーを前進方向へ付勢する弾性部材の付勢力に抗して、当該ノズルアセンブリーを後退させるためにコッキング部材に関連して設けた係合手段32と、上記係合手段における係合を有効にするか無効にするかを選択することによって、コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達するか伝達しないかを選択するために、作用部材を切替える装弾数切替え部材を具備して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃本体に、圧縮気体を先端ノズル部から噴射するノズルアセンブリーと弾丸を装填する装弾部を有するバレルを具備し、ノズルアセンブリーの後退によって先端ノズル部と上記装弾部との間に弾丸を供給する給弾機構において、装弾数の切替えを行えるようにした装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
玩具銃或いは模擬銃などと通称される銃では、BB弾と呼ぶ球形のプラスチック製弾丸を使用する。多くの銃はバレルの装弾部分に1発の弾丸を装填し、従って、1回のコッキング操作で1発の弾丸を発射する操作が繰り返される。これに対して複数個の弾丸を発射する構造を持った銃もあり、本発明の出願人においても、例えば、特開平11−94495号(特許第3045984号)を出願している。同号の発明は、複数個の銃身を有する銃に弾丸を装填する装弾装置を開示しており、弾丸は各銃身に通じる装弾室前室から各銃身に1発ずつ自動的に装填される。上記構成の銃では、銃身の個数と同じ数の弾丸を装填し発射することができるが、装填する弾丸の個数を、銃身の個数よりも増加することはできない。
【0003】
複数の弾丸を発射するものには、例えば、複数弾丸発射装置という特開2004−324962号の発明がある。その発明は円筒形の弾頭が、6つの装弾室と中央の大きなガス充填筒部とに分離されていて、周囲の各装弾室にそれぞれ4個のプラスチック弾丸が装填されるので、あたかも散弾銃のように、24発の弾丸を同時に発射することが可能とされている。しかし、弾丸を装填する際は、銃身の先端から弾丸をシ−ル材の凸部に抗して装弾室の底部まで挿入しなければならないと記載されているので、1発ずつ銃身の先端から挿入する必要があるので、大変面倒である。また、同様の構成を有する従来技術では、装弾する場合には弾頭を取り外し、再度複数の弾丸を装弾して(ガスを充填して)から銃身に装着すると記載されている。
【0004】
このように、上記発明に記載されている装置は、弾丸を装填する操作それ自体が大変面倒なままである。しかも、上記複数弾丸発射装置の発明は1発ずつ挿入する方式を取っており、操作によって弾丸装填数を変更することができるものではなく、また、弾丸装填数の変更に関する技術事項が示唆されているわけでもない。このような状況において、本件の発明者は複数個の弾丸を装填する技術及び複数個の弾丸を装填する弾数を切替えることを可能にする技術の確立を意図し、鋭意研究の結果、本発明を完成したものである。
【0005】
【特許文献1】特開平11−94495号
【特許文献2】特開2004−324962号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の経緯からなされたもので、その課題は、給弾機構において、バレルに装填する弾丸の数を切替えることが可能な装弾数切替え装置を提供することである。また、本発明の他の課題は、装填する弾丸の装弾数切替え操作を、銃本体に設けた1方向操作方式又は往復操作方式の何れの方式のコッキング部材によっても行えるようにした給弾機構における装弾数切替え装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明は銃本体に、圧縮気体を先端ノズル部から噴射するノズルアセンブリーと弾丸を装填する装弾部を有するバレルを具備し、ノズルアセンブリーの後退によって先端ノズル部と上記装弾部との間に弾丸を供給する給弾機構において、ノズルアセンブリーの前進後退方向へ移動可能に銃本体に取り付けたコッキング部材と、上記コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達し、当該ノズルアセンブリーを後退させるために上記コッキング部材とノズルアセンブリーとの間に設けた作用部材と、上記ノズルアセンブリーを前進方向へ付勢する弾性部材の付勢力に抗して、当該ノズルアセンブリーを後退させるためにコッキング部材と作用部材に設けた係合手段と、上記係合手段における係合を有効にするか無効にするかを選択することによって、コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達するか伝達しないかを選択するために、作用部材を切替える装弾数切替え部材を具備して構成するという手段を講じたものである。
【0008】
ノズルアセンブリーの後退によって先端ノズル部と上記装弾部との間に弾丸を供給するために空所を設ける給弾機構は本発明の装置の前提になっているが、この方式自体は公知であり、例えば、前述の特許文献1のものも同様である。本発明の装置はそのような給弾機構における先端ノズル部の後退動作を繰り返すことによって、装弾数を切替えるものであるといえる。
【0009】
そのため、本発明の装置は、装弾数切替え操作を行う操作部材として前進後退方向へ移動可能に銃本体に取り付けたコッキング部材と、このコッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達して後退させるために上記コッキング部材とノズルアセンブリーとの間に設けた作用部材と、上記ノズルアセンブリーを前進方向へ付勢する弾性部材の付勢力に抗して後退させるためにコッキング部材と作用部材に設けた係合手段と、この係合手段における係合を有効にするか無効にするかを選択することによって、コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達するか伝達しないかを選択するために、作用部材を切替える装弾数切替え部材を具備している。
【0010】
故に、本発明はコッキング部材を前進後退方向へ移動操作させる際に作用部材を切替えることで、ノズルアセンブリーを後退させる回数、即ち、装填する弾丸の個数を制御することができる。そのコッキング部材の操作は、作用部材を介してノズルアセンブリーに伝達される。よって、作用部材の伝達作用が行なわれる回数を制御することで、上記ノズルアセンブリーを後退させる回数が変えられる。コッキング部材と作用部材は係合手段によって係合可能になっており、故にこの係合の有効無効を選択することが、コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達するか伝達しないかの選択、即ち、装填回数の制御であり、装弾数を切替えることになる。
【0011】
本発明の装置では、上記コッキング部材の1方向操作又は往復方向操作のいずれの方式も選択することができる。1方向操作とは、例えば、1回のコッキング部材の後退操作によってノズルアセンブリーを複数回後退させる操作である。この場合、コッキング部材の前進時は装弾数切替えに関与せず、原位置に戻すだけである。1方向操作を取る装置において、コッキング部材は移動方向に沿って間隔を設けて配置した、例えば、2箇所の係合部を有し、上記2箇所の係合部の回数だけノズルアセンブリーを後退可能に構成され、作用部材は、上記2箇所の係合部とともに係合手段を構成する係合相手として、1箇所目の係合部と係合する部分1を有し、また、1箇所目の係合部との係合を解除するために、ノズルアセンブリーの後方に配置された解除部と接触する部分2を有し、また、1箇所目の係合部との係合を強制的に解除する装弾数切替え部材の操作によって接触し、1箇所目の係合部との係合を解除する部分3を有して構成され、さらに、2箇所目の係合部と係合する第2の部分1をノズルアセンブリーに設けて構成される。
【0012】
他方、往復方向操作はコッキング部材を後退、前進させる操作であり、後退、前進の操作により装弾数切替えを行なう。往復方向操作を取る装置において、コッキング部材は、移動方向の中間に設けた1箇所の係合部を有し、上記1箇所の係合部の往復移動によってノズルアセンブリーを後退させるものとして構成され、作用部材はノズル本体及びコッキング部材に対して前後方向へ移動可能に、かつ、それ自体が回転可能に銃本体に取り付けられており、さらに、上記1箇所の係合部と係合して回転を生じさせる部分1を有し、また、上記回転によってノズルアセンブリー側のラックと噛み合、移動を生じさせる歯から成る部分2を有し、また、コッキング部材の後退に伴って、コッキング部材と作用部材に設けた係合手段によりノズルアセンブリーが後退し、さらに、付勢手段により前進した状態から、コッキング部材の前進に伴うノズルアセンブリーの後退を行わせるか否かを選択する部分3を有して構成される。
【0013】
上記の部分1、部分2、部分3は1方向操作方式の装置と、往復方向操作方式の装置のどちらにも必要な構成要素である。しかしこれらの構成要素は構成及び作用等の具体的内容において、全て一致するというものではなく、1方向操作方式の装置と、往復方向操作方式という方式の相違により内容にも相違があらわれる。また、各々の部分1ないし部分3は各1箇所とは限らず、複数箇所の場合もあり得る。本発明はそれらを包含するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、給弾機構において、コッキング部材の操作によってバレルに装填する装弾数を切替えることが可能になり、発射可能な弾数を多くも少なくも選択することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、装填する弾丸の装弾数切替え操作を、1方向操作方式又は往復操作方式の何れの方式のコッキング部材によっても行えるようにした、給弾機構における装弾数切替え装置を提供することができるので、実施に当たり自由度が大きいという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は本発明に係る給弾機構における装弾数切替え装置の一例を示すものであり、内部機構を示す全体的な断面図と共に、切替え機構を特に示すために要部の外観図を併記している。11は銃本体、12は圧縮ガスのガス源、13はガス流路であり、圧縮ガスを先端ノズル部から噴射するノズルアセンブリー14を経て、弾丸Bを装填する装弾部15aを有するバレル15へ噴射する構成を有している。
【0016】
ここで、圧縮ガスの噴射のための構成について簡単に説明しておく。ガス源12は、その内方に突出した気化ガス抽出筒12aによりガス流路13に通じている。ガス流路13は、弁体16で開閉される気室17をその途中に有しており、さらに、下流にバレル15の装弾部15aの側に近接して、流量調整部14bを有する上記ノズルアセンブリー14が配置されている。なお、気室17を有している部分11aは、ガス銃本体11の側に設けられており、また、ノズルアセンブリー14を原位置復帰のために前進させる付勢手段である複数個のバネ11bを配置する部分にもなっている。
【0017】
上記の弁体16は前端が開放し、後端が閉塞された筒状の部材であり、前端部16aは本体内のガス流路に入り込み、後端部16bは銃本体11の一部から後方へ付き出した状態で、前後方向へ移動可能に装着されている。また、弁体16の中間部後側寄りの外周には突部16cが設けられており、突部16cは気室後部の受座16dに接触することによって気室17を気密に封止した状態とするもので、その方向へバネ16eによって付勢されている。突部16cよりも後方に位置する筒状部分には、内外を通じるガス通口16fが設けられ、弁体16が前方移動したときに、ガスの流れをガス通口16fを通って弁体内部に流入させる構成である。なお、弁体16の前端部16a、後端部16bを移動可能に設けた本体側口部との間には気密に封止する機構が設けられている。
【0018】
図示の例は、3個のバレル15を束ねた3銃身型のものであり、それに合わせて、ノズルアセンブリー14も、3箇所の装弾部15aと、それぞれの装弾部15aの上流に接続した3個の摺動部14aと、それら全てに通じる1箇所の上記調整部14bと、各摺動部14aにそれぞれ組み込まれた制御弁14cと、制御弁14cをガス流の上流方向へ加圧するバネ14dを有している。ノズルアセンブリー14は、また、3箇所の先端ノズル部14eを有しており、これらの先端ノズル部14eは前進、後退によって3箇所の各装弾部15aに出入可能に設けられ、後退時に弾丸Bを供給するため空所22を設けるように構成されている。制御弁14cは、弾丸発射操作に伴って生じる圧縮ガス流の圧力差により閉弁方向へ押されるが、常にガス流通を維持する小開口を有しており、発射操作に伴う弾丸Bの移動開始後原位置に復帰する構成となっている。
【0019】
ガス銃本体11の発射機構に関する構成としては、発射操作のためのトリガー18が、軸18aによって回転可能に設けられ、その操作によって、シア19とストライカー20を介して、上記弁体16が開弁するように構成されている。シア19は軸19aによって回転可能に設けられ、かつ、トリガー18の係合部18bと係合する係合相手部19bを有している。また、ストライカー20は、ガス銃本体11に設けたガイド軸21に前後方向へ移動可能に取り付けられ、かつ、バネ21aによって前方へ付勢されており、その前部20aにて弁体16の後端部16bを加圧可能に構成されている。トリガー18とシア19が係合している間は、シア19もその一部19cにてストライカー20の一部20cと係合しており、ストライカー20は待機位置に置かれる。図示していないが、トリガー18及びシア19には戻しバネが設けられている。
【0020】
上記の構成を備えた給弾機構23においては、ノズルアセンブリー14の後退によって先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間の空所22に弾丸Bを供給するものであり(図4参照)、さらに、装弾部15aへの給弾構成の一例を示すと以下のとおりである。即ち、弾丸Bは、カートリッジ24の給弾路24aから、図2及び3に示されるように銃本体側に設けられた、装弾部前室25に向けて押圧状態で供給され、その内部に弾丸規定部材26が付勢手段27によって弾丸通路方向へ付勢された状態で配置されている。給弾路24aに進入しようとする弾丸Bは、給弾路24aへ出入り可能に設けられた揺動部材28に当たって停止状態に置かれ、その後、揺動部材28が給弾路24aから脱すると弾丸Bが給弾路24aに進入し、揺動部材28の先端28aに押されかつ弾丸規定部材26に押さえられるとともに、その弾丸接触部29の形状により装弾部15aに続く上記の装弾部前室25に誘導される(図3)。この給弾構成については、本出願人の所有に係る特許第3045984号の複数銃身用装弾装置の発明が適用される。なお、弾丸Bは上記給弾後に先端ノズル部14eに押され、装弾部15aに移動することで装填の完了となる。
【0021】
このような構成を有する給弾機構23に、装弾数切替え装置が設けられる。本発明の装弾数切替え装置は、前述したように、コッキング部材31の1方向操作又は往復方向操作の2方式が可能である。これらの各方式の内、以下に図1及び図4ないし図11に示した1方向操作方式に係る例1の装弾数切替え装置30について説明する。まず、コッキング部材31は前後に長く形成され、ノズルアセンブリー14の前進後退方向へ移動可能に銃本体11に取り付けられている(図1)。例1の装弾数切替え装置30における係合手段として、1方向操作によって装弾数切替えを行うために、コッキング部材31の中ほどに位置する係合部32と、ノズルアセンブリー14の前部に位置している係合部31bの2箇所を有している。上記2箇所の係合部32、31bの内1箇所目の係合部32は部分1(35−1)と係合し、2箇所目の係合部33は第2の部分1である溝部前端31bと係合可能であり、夫々の係合時にノズルアセンブリー14を後退させる構成を有する。1箇所目の係合部32は、コッキング部材31の上面に突出し、2箇所目の係合部33は、ノズルアセンブリー14の側方に突出し、コッキング部材31の上面よりも低位の溝部31aを移動して溝部前端31bに当接可能である。なお、作用部材34は、部分1(35−1)のある前部にてコッキング部材31に、一定の荷重で接するように設けられている。
【0022】
上記ノズルアセンブリー14には、それを原位置復帰のために前進させる付勢手段として複数個のバネ11bが配置されており、その付勢力に抗して、当該ノズルアセンブリー14を後退させるために、コッキング部材31と作用部材34との間、そしてまたコッキング部材31とノズルアセンブリー14との間に、夫々係合手段38が設けられている。作用部材34は、1箇所目の係合部32とともに係合手段38を構成する係合相手として部分1(35−1)を有し、また、1箇所目の係合部32との係合を解除するために、ノズルアセンブリーの後方に配置された解除部36と接触する部分2(35−2)を有し、また、1箇所目の係合部32との係合を強制的に解除する装弾数切替え部材37の操作によって接触し、1箇所目の係合部32との係合を解除する部分3(35−3)を有して構成されている。
【0023】
上記例1の装弾数切替え装置30において、付勢手段のバネ11bは、後端部にてガス銃本体11の気室17を有する部分11aに支持され、前端部にてノズルアセンブリー14を押圧している。作用部材34は、上記ノズルアセンブリー14の側面に軸34aによって回転可能に軸支され、部分1(35−1)が、前後に長く形成されているコッキング部材31の上面を摺動可能に設けられている。解除部36は、気室17を有する部分11aの側面に、前下方に向けて設けられた斜面から成り、部分2(35−2)の後退時にそれと接触可能である。さらに、弾数切替え部材37は、バレル15の後端部にあって、それと一体的に設けられ、後下方に向けた斜面にて部分3(35−3)に当接可能に設けられている。
【0024】
例1の装弾数切替え装置30の作用について説明する。まず、図1では弾丸Bがカートリッジ24の内部のバネによって加圧され、その状態から給弾路24aを上昇して装弾部15aに向かい、そこに入り込んでいる先端ノズル部14eに突き当たっている。この状態において、図4に示すようにコッキング部材31を後方へ移動させると、それによって作用部材34の部分1(35−1)が1箇所目の係合部32と係合し、作用部材34に後方への移動力が伝わり、その結果、ノズルアセンブリー14が後退した状態となる。ノズルアセンブリー14の後退によって、先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間に空所22(装弾部前室25)が形成される。かくして、給弾機構23を経て給弾路24aから弾丸Bが空所22に供給される。最初の3発の弾丸Bの供給の後、コッキング部材31を後方へ移動させることで、作用部材34が図5において反時計方向へ回転し、それによって、部分1(35−1)が1箇所目の係合部32との係合から外れるので、ノズルアセンブリー14が付勢手段のバネ11bによって前方へ押され(図5中段)、弾丸Bが装弾部15aに装填されるとともに、装弾部15aとの間の空所22が閉じる。この段階で、3個のバレル15の装弾部15aに各1発ずつ計3発の弾丸Bが装填されたことになり、ここで、弾丸Bの供給は一旦断たれることになる。
【0025】
コッキング部材31をさらに後方へ移動させると、作用部材34は一旦時計方向へ回転し、それに伴い、部分1(35−1)はコッキング部材31の上面付近を移動し、ノズルアセンブリー14の前部に設けられている2箇所目の係合部33が溝部31aを移動してその前端係合部31bに当接し、ノズルアセンブリー14に後方への移動力が伝えられる(図6上段)。その結果ノズルアセンブリー14が後退し、再び先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間の空所22(装弾部前室25)に、給弾機構23を経て給弾路24aから、図外のバネによって加圧された弾丸Bが供給される(図6中段並びに下段)。その後、コッキング部材31を前方へ移動させると、ノズルアセンブリー14は図6中段の状態から付勢手段のバネ11bによって前方へ押され(図7上段)、装弾部15aとの間の空所22が閉じる。この結果、3個のバレル15の各装弾部15aに各2発ずつ計6発の弾丸Bが装填されたことになる(図7下段)。
【0026】
次に、例1の装弾数切替え装置30において、3発のみ装填する場合の作用について説明する。3発のみ装填の場合には、図8に示すようにバレル15の後端部にある装弾数切替え部材37を操作し、後下方に向けた斜面に当接する部分3(35−3)を押し下げるようにする。これは、作用部材34を予め反時計方向へ回転させておき、コッキング部材31を後退させる1回目の操作をしても、部分1(35−1)が1箇所目の係合部32と係合しないキャンセル状態にするものである(図9)。コッキング部材31をさらに後方へ移動させると、上記部分1(35−1)は1箇所目の係合部32と係合しない状態にあり、ノズルアセンブリー14の前部に設けられている2箇所目の係合部33が、コッキング部材31の溝部31aを移動してその前端31bに当接するので、ノズルアセンブリー14に後方への移動力が伝えられる(図10上段)。その結果、ノズルアセンブリー14が後退し、先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間の空所22(装弾部前室25)に、給弾機構23を経て給弾路24aから、図外のバネによって加圧された弾丸Bが供給される(図10下段)。その後、コッキング部材31を前方へ移動させると、ノズルアセンブリー14が付勢手段のバネ11bによって前方へ押され(図11上段)、装弾部15aとの間の空所22が閉じる。これにより、3個のバレル15の装弾部15aには3発のみ弾丸Bが装填されたことになる(図11下段)。

【0027】
さらに、往復方向操作方式に係る例2の装弾数切替え装置40について図12以下を参照して説明する。例2の装弾数切替え装置40において、コッキング部材41は前後に長く形成され、ノズルアセンブリー14の前進後退方向へ移動可能に銃本体11に取り付けられている(図12)。例2の装弾数切替え装置40において、コッキング部材41は、移動方向の中間に設けた1箇所の係合部42を有し、コッキング部材41の往復移動によって、この1箇所の係合部42を、ノズルアセンブリー14を2度後退させるように構成する。なお、ノズルアセンブリー14に、それを原位置復帰のために前進させる付勢手段として複数個のバネ11bが配置されていること及び給弾機構23等の構成についても、例1と同様である。
【0028】
作用部材43はノズルアセンブリー14及びコッキング部材41に対して前後方向へ移動可能に、かつ、それ自体が回転可能に銃本体11の側に取り付けられている。さらに、上記1箇所の係合部42と係合して回転を生じさせる部分1(45−1)を有し、また、上記回転によってノズルアセンブリー側のラック44と噛み合い移動を生じさせる歯47から成る部分2(45−2)を有し、また、コッキング部材41の後退に伴って、コッキング部材41と作用部材43に設けた上記部分1(45−1)との係合によりノズルアセンブリー14が後退し、さらに、付勢手段のバネ11bにより前進した状態から、ノズルアセンブリー14を後退位置へ戻して、コッキング部材41の前進に伴うノズルアセンブリー14の後退を行わせるか否かを選択する部分3(45−3)を有している。
【0029】
例2の装弾数切替え装置40において、上記係合部42はコッキング部材41の上面のほぼ中央部に突出し、前後に斜面42a、42bを有する台形状に形成されている。作用部材43は扇型の形状を有し、その要に当たる部分43aにて可動部材46に回転可能に軸支され、扇型の円弧の前端部に部分1(45−1)が、また、後半部分に歯47が設けられている。上記可動部材46は、銃本体側に前後方向へ移動可能に設けられ、かつ、バネ46aによって後方へ付勢され、ストッパー46bにて停止している(図12B)。係合手段50は、銃本体側に軸48aによって軸支した装弾数切替え部材48の係合爪48bと、係合爪48bと係合可能に上記可動部材46の後端部に設けられた、鉤型の係合相手49とから成っている。
【0030】
例2の装弾数切替え装置40の作用について説明する。図12では、図1と同様に弾丸Bがカートリッジ24の内部のバネによって加圧され、その状態から給弾路24aを上昇して装弾部15aに向かい、そこに入り込んでいる先端ノズル部14eに突き当たっているものとする。この状態において、コッキング部材41を後方へ移動させると、その係合部42の斜面42aに部分1(45−1)が係合して押し上げられることにより、作用部材43が図中反時計方向に回転し(図13A)、部分2(45−2)において歯47がラック44と噛み合い、ノズルアセンブリー14をバネ11bに抗して後退させる。その結果、先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間の空所22(装弾部前室25)が形成されるので、給弾機構23を経て給弾路24aから弾丸Bが空所22に供給される。さらにコッキング部材41を後方へ移動させると作用部材43が図中時計方向に回転し(図13B)、部分1(45−1)が係合部42の斜面42bに係合し、ノズルアセンブリー14がバネ11bの付勢下に前進し弾丸Bが装弾部15aに装填されるとともに、装弾部15aとの間の空所22が閉じる。この段階で、3個のバレル15の装弾部15aに各1発ずつ計3発の弾丸Bが装填される。
【0031】
次に、コッキング部材41を最も後退した位置から前方へ移動させる操作を行うと、今度は往路とは逆に、係合部42の斜面42bに部分1(45−1)が係合して押し上げられ、作用部材43が図中反時計方向に回転し(図13C)、その歯47がラック44と噛み合い、ノズルアセンブリー14をバネ11bに抗して後退させる。よって、先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間の空所22(装弾部前室25)が形成され、給弾機構23を経て給弾路24aから弾丸Bが空所22に供給される。さらにコッキング部材41を前方へ移動させると作用部材43が図中時計方向に回転し(図13D)、部分1(45−1)が係合部42の斜面42bに係合し、ノズルアセンブリー14がバネ11bの付勢下に前進し弾丸Bが装弾部15aに装填されるとともに、装弾部15aとの間の空所22が閉じる。これによって、3個のバレル15の装弾部15aに各2発ずつ計6発の弾丸Bが装填されたことになる。
【0032】
例2の装弾数切替え装置40において、3発のみ装填する場合には、図14に示すように、係合手段50を操作して装弾数切替え部材48の係合爪48bと鉤型の係合相手49との係合を外しておく(図14A)。この状態では、作用部材43はバネ46aによって後方へ付勢され、ストッパー46bにて停止しているだけである(図12B)。しかし、コッキング部材41を後方へ移動させると、その係合部42の斜面42aに部分1(45−1)が係合して押し上げられ、作用部材43が図中反時計方向に回転し(図14A)、部分2(45−2)において歯47がラック44と噛み合い、ノズルアセンブリー14をバネ11bに抗して後退させる。その結果、先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間の空所22(装弾部前室25)が形成されるので、給弾機構23を経て給弾路24aから弾丸Bが空所22に供給される。さらにコッキング部材41を後方へ移動させると作用部材43が図中時計方向に回転し(図14B)、部分1(45−1)が係合部42の斜面42bに係合し、ノズルアセンブリー14がバネ11bの付勢下に前進し弾丸Bが装弾部15aに装填されるとともに、装弾部15aとの間の空所22が閉じ、従って、3個のバレル15の装弾部15aに各1発ずつ計3発の弾丸Bが装填される。
【0033】
続けて、コッキング部材41を最も後退した位置から前方へ移動させる操作を行うと、今度は往路とは逆に、係合部42の斜面42bに部分1(45−1)に接触するが、同部分1(45−1)は斜面42bに押し上げられるものの、ノズルアセンブリー14に作用しているバネ11bの付勢力に抗することができず(図14C)、ほとんど後退しないため先端ノズル部14eと上記装弾部15aとの間に空所22が形成されない。さらにコッキング部材41を前方へ移動させると、作用部材43は元の位置に戻るが、結局往復移動の後半では給弾がされないため、3発の弾丸Bが装填されるに留まるものである。
【0034】
このように本発明の装置は構成されているので、装弾数の切替えを容易かつ確実に行うことができる。例1及び例2において6発の装弾を終えた後、コッキング部材41を後退させた場合には、さらに3発の弾丸Bが装填され、前進により6発が装填されるから、バレル数の倍数分だけ装填する弾丸数を増加させることも可能である。また、上記の各例は3個のバレル15を束ねた3銃身型のものであるが、これを4銃身以上の型の或いは単銃身型銃に適用することも容易になし得る。上述したとおり、本発明はガス銃を対象としたものであるが、使用されるガスは圧縮された気体であり、従って、本発明は、圧縮空気を圧力源として構成された銃についても適用可能である。また、ガス源の構造についても、図1に示したのはガス銃本体11に作り付け式に設けたものであり、図12に示したのはガス銃本体41に着脱式に設けたものであるが、上記のとおり本発明はそのどちらのタイプにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る給弾機構における装弾数切替え装置の例1を示すもので、左側面の説明図と併記した右側面要部の外観図である。
【図2】同上の装置の給弾機構の一例を示す後方断面説明図である。
【図3】同じく前方断面説明図である。
【図4】例1の装置の作用に関するもので、6発装填における1回目のコッキング操作を示す図1と同様の説明図である。
【図5】同じく1回目のコッキング部材の操作による弾丸供給を示す説明図である。
【図6】同じく2回目のコッキング部材の操作を示す説明図である。
【図7】同じく2回目のコッキング部材の操作による弾丸供給を示す説明図である。
【図8】同様に、3発装填における1回目のコッキング部材の操作を示す図1と同様の説明図である。
【図9】同じく1回目のコッキング部材の操作によるキャンセル状態を示す説明図である。
【図10】同じく2回目のコッキング部材の操作を示す説明図である。
【図11】同じく2回目のコッキング部材の操作による弾丸供給を示す説明図である。
【図12】本発明に係る給弾機構における装弾数切替え装置の例2を示すもので、Aは装弾数切替え部材が6発装填時の右側面図、Bは装弾数切替え部材が3発装填時の左側面図である。
【図13】例2の装置の作用に関するもので、Aはコッキング部材の後退操作による3発給弾、Bは同じく3発装填、Cは前進操作による2回目の3発給弾、Dは6発装填完了を示す説明図である。
【図14】同様に、3発装填に関するもので、Aはコッキング部材の後退操作による3発給弾、Bは同じく3発装填、C及びDはキャンセル状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
11 銃本体
12 ガス源
13 ガス流路
14 ノズルアセンブリー
15 バレル
16 弁体
17 気室
18 トリガー
19 シア
20 ストライカー
21 ガイド軸
22 空所
23 給弾機構
24 カートリッジ
25 装弾部前室
26 弾丸規定部材
27 付勢手段
28 揺動部材
29 弾丸接触部
30、40 装弾数切替え装置
31、41 コッキング部材
31a コッキング部材の溝部、31b 溝部前端の係合部
32、33 係合部材
34、43 作用部材
35−1、45−1 部分1、35−2、45―2 部分2、35−3、45―3、 部分3、35−4、45−4 部分4
36 解除部
37、48 装弾数切替え部材
38、50 係合手段
44 ラック
46 可動部材
47 歯
49 係合相手


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃本体に、圧縮気体を先端ノズル部から噴射するノズルアセンブリーと弾丸を装填する装弾部を有するバレルとを具備し、ノズルアセンブリーの後退によって先端ノズル部と上記装弾部との間に弾丸を供給する構成を備えた給弾機構において、
ノズルアセンブリーの前進後退方向へ移動可能に銃本体に取り付けたコッキング部材と、
上記コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達し、当該ノズルアセンブリーを後退させるために上記コッキング部材とノズルアセンブリーとの間に設けた作用部材と、
上記ノズルアセンブリーを前進方向へ付勢する弾性部材の付勢力に抗して、当該ノズルアセンブリーを後退させるためにコッキング部材に関連して設けた係合手段と、
上記係合手段における係合を有効にするか無効にするかを選択することによって、コッキング部材の移動をノズルアセンブリーに伝達するか伝達しないかを選択するために、作用部材を切替える装弾数切替え部材を具備して構成された
給弾機構における装弾数切替え装置。
【請求項2】
コッキング部材は、移動方向に沿って間隔を設けて配置した2箇所の係合部を有し、上記2箇所の係合部の回数だけノズルアセンブリーを後退可能に構成され、
作用部材は、上記2箇所の係合部とともに係合手段を構成する係合相手として、1箇所目の係合部と係合する部分1を有し、また、1箇所目の係合部との係合を解除するために、ノズルアセンブリーの後方に配置された解除部と接触する部分2を有し、また、1箇所目の係合部との係合を強制的に解除する装弾数切替え部材の操作によって接触し、1箇所目の係合部との係合を解除する解除部分3を有して構成され、さらに、2箇所目の係合部と係合する第2の部分1をノズルアセンブリーに設けて構成された
請求項1記載の給弾機構における装弾数切替え装置。
【請求項3】
コッキング部材は、移動方向の中間に設けた1箇所の係合部を有し、上記1箇所の係合部の往復移動によってノズルアセンブリーを後退させるものとして構成され、
作用部材は、ノズルアセンブリー及びコッキング部材に対して前後方向へ移動可能に、かつ、それ自体が回転可能に銃本体に取り付けられており、さらに、上記1箇所の係合部と係合して回転を生じさせる部分1を有し、また、上記回転によってノズルアセンブリー側のラックと噛み合い、移動を生じさせる歯から成る部分2を有し、また、コッキング部材の後退に伴って、コッキング部材と作用部材に設けた係合手段によりノズルアセンブリーが後退し、さらに、付勢手段により前進した状態から、上記ノズルアセンブリーを後退位置へ戻して、コッキング部材の前進に伴うノズルアセンブリーの後退を行わせるか否かを選択する部分3を有して構成された
請求項1記載の給弾機構における装弾数切替え装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−83403(P2013−83403A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224267(P2011−224267)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(592153584)株式会社東京マルイ (29)