説明

給水コンテナ

【課題】 震災時等の緊急時に他のコンテナと組み合わせて有機的に車両を活用する。
【解決手段】 給水コンテナ1は、底板2の前部に形成される前脚3と、底板2の後部に形成されるローラ4と、車両100に搭載する場合に案内するため底板2の下面に長手方向に形成されるガイド5と、車両100に底板2を固縛するため底板に形成される固縛装置6と、底板2の前端部に左右方向に立設された前板7と、前板7に固定される掛合部材8と、を備え、底板2に固定され、供給口9と排出口10を有する給水タンク11と、排出口10に固定された給水管12と、給水管12に配設した複数の給水バルブ13と、を備え、車両100に搭載されるとき車両のフック101で掛合部材8を引っ掛けアーム102の動作で車両100の前方に移動させ、車両100から降ろすとき車両100のフック101で掛合部材8を引っ掛けアーム102の動作で車両100の後方に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ脱着装置付車両に脱着自在に構成される脱着式給水コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給水車は、車両に給水装置が固定されたものであり、特許文献1に記載の発明の提案がなされている。この発明は、給水車による給水作業に要する時間や費用や労力を低減することである。そのため、この発明では、荷台に筐体を取付けるとともに、筐体の内部に貯水タンクを収容し、貯水タンクに配水用のポンプを接続した給水車において、筐体の天井部に貯水タンクの給水口に連通する漏斗を配設することにした。漏斗は、筐体の天井壁を貯水タンクの給水口に向けて傾倒して形成することにした。また、天井壁を前後に分割して構成し、前側天井壁の前端部と後側天井壁の後端部とを左右側壁に傾倒可能に取付け、一方、貯水タンクの給水口を左右側壁の間隔で形成し、前側天井壁の後端部と後側天井壁の前端部とを左右側壁に沿って水密状に貯水タンクの給水口に向けて傾倒可能に形成することにした。さらに、天井壁の表面に太陽光発電パネルを設置し、太陽光発電パネルで発電した電力を用いてポンプを駆動するように構成することにした。じると、給水車全体が利用できないか又は廃棄することとなり、資源が無駄になるおそれがある。
【0003】
しかしながら、車両に給水装置が固定されているので、車両が給水用途にしか利用できないため、震災等のときに、給水に使用するとき以外は車両が利用できないという問題がある。他の種類の脱着式コンテナと有機的な活用ができないという問題がある。給水装置及び/又は車両の部分の故障が生じた場合、交換が不可能であり、資源の有効活用をはかることができないという問題がある。さらに、震災時等の緊急時に、他のコンテナと組み合わせて有機的にコンテナ脱着装置付車両を活用することができず、非常に不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−290627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、コンテナ脱着装置付き車両に脱着可能なコンテナに給水機能を付加するとともに、震災等のときに、他の種類の脱着式コンテナと組み合わせて、車両を多目的に有効利用できるようにするとともに、故障が生じても交換が容易であり資源の有効活用を図ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、請求項1の発明は、底板の前部に形成される前脚と、底板の後部に形成されるローラと、コンテナ脱着装置付き車両に搭載する場合に案内するガイドと、コンテナ脱着装置付き車両に固縛する固縛装置と、前板に固定される掛合部材と、を備え、コンテナ脱着装置付車両に脱着自在に構成され、底板に固定され、供給口と排出口を有する給水タンクと、前記排出口に固定された給水管と、該給水管に配設した複数の給水バルブと、を備え、前記コンテナ脱着装置付車両に搭載されるときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の前方に移動させ、コンテナ脱着装置付車両から降ろすときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の後方に移動させることを特徴とする脱着式給水コンテナである。
【0007】
前記給水タンクに空気流通用の孔を設けることが好ましい。
【0008】
前記空気流通用の孔にフィルタを設けることが好ましい。
【0009】
前記給水タンクの上部に水の移設用の移設孔を設け、ケミカルポンプを取り付け可能とすることが好ましい。
【0010】
これにより、コンテナ脱着装置付車両を、給水に使用しないときには、脱着式給水コンテナ以外の他の用途のコンテナを回収、搬送、保管することもできる。例えば、震災時に、トイレコンテナと組み合わせて有機的にコンテナ脱着装置付車両を活用することができ、非常に効率的である。また、給水タンク、バルブ、拡散装置が故障しても、新品の脱着式給水コンテナに交換するだけでよくコンテナ脱着装置付車両までも交換する必要がない。コンテナ脱着装置付車両が故障しても他のコンテナ脱着装置付車両を利用できるので、脱着式給水コンテナまでをも交換する必要はない。さらに、予め複数の脱着式給水コンテナに水を貯留しておいて、順次、脱着式給水コンテナを積み替えて使用すれば、給水作業の手間を省くことができ、脱着式給水コンテナの積み替え作業はあるものの、作業効率が高くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているので、震災時等に、例えば、トイレコンテナ等の他の用途のコンテナと組み合わせて利用することで、震災時等の緊急事態において、給水面でコンテナ脱着装置付車両、脱着式コンテナの利用範囲を飛躍的に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の給水コンテナ1の正面図である。
【図2】同給水コンテナ1の平面図である。
【図3】同給水コンテナ1の右側面図である。
【図4】同給水コンテナ1の左側面図である。
【図5】同給水コンテナ1の底面図である。
【図6】本実施形態の給水コンテナ1がコンテナ脱着装置付車両100に積み降ろしされる動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な一実施形態である給水コンテナ1について図面を参照して説明する。
なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、該技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0014】
図1乃至図6に示す通り、鉄鋼製の給水コンテナ1はコンテナ脱着装置付車両100(図6参照)に積み降ろし自在に構成され、底板2の前部に形成される前脚3と、底板2の後部に形成されるローラ4と、コンテナ脱着装置付き車両100に搭載する場合に案内するため底板2の下面に長手方向に形成されるガイド5(図5参照)と、コンテナ脱着装置付き車両100に底板2を固縛するため底板に形成される固縛装置6(図5参照)と、底板2の前端部に左右方向に立設された前板7と、前板7に固定される掛合部材8と、を備え、底板2に固定され、供給口9と排出口10を有する給水タンク11と、排出口10に固定された給水管12と、給水管12に配設した単数又は複数の給水バルブ13と、を備えている。この給水バルブ13はメインバルブとなる。そして、コンテナ脱着装置付車両100に搭載されるときには、コンテナ脱着装置付き車両のフック101で掛合部材8を引っ掛けて、アーム102の動作により、車両100の前方に移動させ、コンテナ脱着装置付車両100から降ろすときには、コンテナ脱着装置付き車両100のフック101で掛合部材8を引っ掛けて、アーム102の動作により、車両100の後方に移動させることを特徴とする。
【0015】
図5に示す通り、ガイド5が長手方向に間隔を開けて一対設けてある。ガイド5の間の領域に固縛装置6が形成されている。この固縛装置6は前方に突出する一対のピンを備えていて、コンテナ脱着装置付き車両100の固縛装置に係止されるようになっている。
【0016】
図2に示す通り、前板7の前面に縦方向に凹部7aを形成してある。これは掛合部材8が他の部材と衝突しないようにするためである。脱着の際の重量バランスを考慮して凹部7aを設定してある。この凹部7aは、下部が拡幅されている。前板7に梯子を掛け止めするか、固定するようにしてもよい。これにより給水タンク11の上部への登り降りが可能となる。
【0017】
図4等に示す通り、掛合部材8は一対の板材にV字形のロッドを掛渡したものである。
【0018】
供給口9には蓋9aが取着されていて、開閉可能な構造となっている。
【0019】
給水タンク11は底板2に対して、後方下方に傾斜して固定されている。この傾斜の角度は底板2に対して1〜5度、好ましくは1〜3度の範囲である。これは給水コンテナ1をコンテナ脱着装置付車両100に装着した場合、給水コンテナ1が前方に沈み込むことを考慮して角度のバランスを図ったためである。また、水の自重で給水管12に流れるようにするためである。給水タンク11は底板2の上に固定されたベース14の上に設置されている。給水タンク11は前後にフック掛止部15を備えている。フック掛止部15はフックで引っ掛けて給水コンテナ1を吊上げて移動させるものである。
【0020】
給水タンク11に空気流通用の孔16を備えた管17を設けてある。管17にフィルタを設けることが好ましい。
【0021】
図1に示す通り、給水タンク11の上部に水の移設用の移設孔18を設け、ポンプ19を取り付け可能とすることが好ましい。移設孔18には蓋が取着され、開閉可能な構造となっている。これにより、他の給水タンク等から水を移し替えることができる。ポンプ19はケミカルポンプが好ましい。ケミカルポンプは薬液を安全で自動的に移送させるために薬液用のポンプであり、これを給水の移送に用いるものである。例えば、他の給水コンテナのタンクに移し替えることができる。
【0022】
給水バルブ13にはこれを開閉するレバー19を備えている。給水バルブ13には給水管12と直交して接続され左右方向に水平に延び出す管20と、管20から延び出す所定間隔又は適宜間隔の形成した複数の蛇口21と、を備えている。管20と蛇口21はユニットになっていて、アタッチメントにより、他の給水ユニットに交換が可能である。この給水ユニットを散水ユニットに交換できる構造としてもよい。
【0023】
底板2の裏面の後部にはローラ4が、また前部には内側に折畳んで底板2に係止可能な前脚3が夫々一対づつ設けられている。前脚3は、図示は略すが、折り曲げ可能な構造となっており、折り曲げて底板2に掛け止めされる構造であり、給水コンテナ1を地面に設置する場合は、直立し、コンテナ脱着装置付車両100に装着されるときは、折り畳まれる。なお、前脚3を折り曲げる代わりに、伸縮自在としてもよい。
【0024】
図3等に示す通り、管12を底板2上に支持する支持部材22、管20を底板22上に支持する支持部材23を設けてある。
【0025】
給水コンテナ1の動作を説明する。給水コンテナ1をコンテナ脱着装置付車両100に積み降ろしする場合は、吊上フック101を掛合部材8に取り付け、給水コンテナ1を吊り上げて移動させることで、コンテナ脱着装置付車両100への給水コンテナ1の積み降ろしを実行する。このとき、ローラ4とガイド5の働きで、給水コンテナ1の底板2の円滑な運動を確保し、円滑な作業ができる。給水タンク1をコンテナ脱着装置付車両100に搭載するときには、固縛装置6でコンテナ脱着装置付車両100の固縛装置(図示略)に装着する。
【0026】
本実施形態である給水コンテナ1の使用方法と利点の一例を説明する。給水コンテナ1をコンテナ脱着装置付車両100に積み込んだ状態或いは積み下ろした状態のいずれでも、レバー19を操作して給水バルブ13を開くことができる。給水タンク11から給水バルブ13、管20、蛇口21を経て、給水が行われる。
【0027】
給水コンテナ1は、コンテナ脱着装置付車両100へ脱着自在であるので、給水作業や保管も容易であり、効率が高くなる。給水により給水コンテナ1が空になった場合でも、いちいち給水作業を行わずに、別の給水コンテナ1の給水タンク11に予め水を貯留しておいて交換すればよいだけである。
【0028】
震災等の緊急時には、コンテナ脱着装置付車両100へ脱着自在の脱着式コンテナハウス、脱着式トイレコンテナ、脱着式シャワーコンテナ等を組み合わせて使用すれば、用途やニーズに合わせてコンテナ脱着装置付車両100やコンテナを広く利用することが可能である。
【0029】
なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、当該技術的範囲に属する限り種々の改変等の形態を採り得る。
【符号の説明】
【0030】
1・・・給水コンテナ
100・・・コンテナ脱着装置付車両
2・・・底板
3・・・前脚
4・・・ローラ
5・・・ガイド
6・・・固縛装置
7・・・前板
7a・・・凹部
8・・・掛合部材
9・・・供給口
10・・・排出口
11・・・給水タンク
12・・・給水管
13・・・給水バルブ
・・・ベース14
15・・・フック掛止部
16・・・空気流通用の孔
17・・・管
18・・・移設孔
19・・・ケミカルポンプ
20・・・管
21・・・蛇口
101・・・フック
102・・・アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の前部に形成される前脚と、
底板の後部に形成されるローラと、
コンテナ脱着装置付き車両に搭載する場合に案内するガイドと、
コンテナ脱着装置付き車両に固縛する固縛装置と、
前板に固定される掛合部材と、
を備え、コンテナ脱着装置付車両に脱着自在に構成され、
底板に固定され、供給口と排出口を有する給水タンクと、
前記排出口に固定された給水管と、
該給水管に配設した給水バルブと、
を備え、
前記コンテナ脱着装置付車両に搭載されるときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の前方に移動させ、
コンテナ脱着装置付車両から降ろすときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の後方に移動させることを特徴とする脱着式給水コンテナ。
【請求項2】
前記給水タンクに空気流通用の孔を設けた請求項1の脱着式給水コンテナ。
【請求項3】
前記空気流通用の孔にフィルタを設けた請求項1又は2の脱着式給水コンテナ。
【請求項4】
前記給水タンクの上部に水の移設用の移設孔を設け、ケミカルポンプを取り付け可能とする請求項1乃至3いずれかの脱着式給水コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240584(P2012−240584A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114007(P2011−114007)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(310007759)株式会社テクノミズホ (9)
【Fターム(参考)】