説明

給水ユニットの制御装置

【課題】マイクロコンピュータやリレーを介さずともリードスイッチで電磁弁を駆動できる給水ユニットの制御装置を提供する。
【解決手段】加湿用の水を蓄える給水ユニットの制御装置であって、電圧Vによって動作し、給水パンへの給水管を開閉する給水用電磁弁4と、給水パン内の水位に応じて動作するフロートスイッチ6に含まれ、耐電圧がVであり、水位に応じて、給水用電磁弁4を自己の接点で直接、オン又はオフの状態にするリードスイッチ91とを設ける。そして、リードスイッチ91と並列に接続されるバリスタ92は、その降伏電圧Vが、V<V<Vの関係にあるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気調和機に取り付けられる加湿器に水を供給する給水ユニットに関し、特に、その容器内の貯水量を管理するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機には加湿器が取り付けられる場合がある。このような加湿器には清浄な水を安定供給することができる給水ユニットが必要である(例えば、特許文献1参照。)。給水ユニットは水道から引き込んだ水を蓄える容器を有しており、フロートスイッチや電磁弁を備えた制御装置により、容器内の貯水量を管理する。
【0003】
フロートスイッチの検知部としてはリードスイッチが性能及び価格において最適である。リードスイッチの接点出力は例えば、空気調和機のマイクロコンピュータに取り込まれ、このマイクロコンピュータの出力に基づいて電磁弁駆動用のリレーが駆動される。そして、このリレーの接点により電磁弁の励磁回路が構成され、電磁弁が駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−224167号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、加湿器は、空気調和機のオプションとして取り付けられる場合があり、この場合には、空気調和機本体のマイクロコンピュータによる制御を受けずに、直接的に電磁弁を駆動する方が便利である。また、オプションとしての加湿器を手軽に低コストで取り付けるためには、リレーを省略したい。ところが、フロートスイッチに通常使用されるリードスイッチの接点は、電磁弁のような大きなインダクタンスを含む回路の開閉に十分な耐電圧性能を有していない。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、マイクロコンピュータやリレーを介さずともリードスイッチで電磁弁を駆動できる給水ユニットの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、加湿用の水を蓄える給水ユニットの制御装置であって、電圧Vによって動作し、前記給水ユニットの容器への給水管を開閉する給水用電磁弁と、前記容器内の水位に応じて動作するフロートスイッチに含まれ、耐電圧がVであり、前記容器内の水位に応じて、前記給水用電磁弁を自己の接点で直接、オン又はオフの状態にするリードスイッチと、前記リードスイッチと並列に接続され、降伏電圧Vが、V<V<Vの関係にあるバリスタと、を備えている。
【0008】
上記のように構成された給水ユニットの制御装置においては、リードスイッチのオン動作のバウンス発生時又はオフ動作時に、電磁弁のインダクタンスにより、バリスタの降伏電圧(バリスタ電圧)Vを超える高電圧が発生すると、バリスタは低抵抗となってリードスイッチの両端に印加される電圧を抑制する。従って、リードスイッチの両端間には、耐電圧Vを超える電圧は印加されない。このように、並列接続されたバリスタでリードスイッチを保護することにより、リードスイッチで直接、電磁弁を駆動することが可能となる。
【0009】
(2)また、上記(1)の給水ユニットの制御装置において、リードスイッチは、バリスタと同一の基板に取り付けられていてもよい。
この場合、リードスイッチ及びバリスタを、一基板にコンパクトにまとめて取り付け容易とすることができる。
【0010】
(3)また、上記(2)の給水ユニットの制御装置において、リードスイッチは基板の一方の面に、バリスタは基板の他方の面に、それぞれ取り付けられていることが好ましい。
この場合、基板を非常にコンパクトに構成することができる。
【0011】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの給水ユニットの制御装置において、フロートスイッチは、固定側としてステム及びフランジを有し、可動側として前記ステムと摺接するスライダ及び当該スライダと一体的に設けられたフロートを有するものであり、リードスイッチは、フランジから延設されたケースに取り付けられているものであってもよい。
【0012】
仮に、リードスイッチをステムに取り付けたとすると、スライダからステムに過剰な力が加わった場合に、リードスイッチが破損する可能性があるが、このように、リードスイッチを、ステムではなくフランジから延設されたケースに取り付けたことにより、リードスイッチの破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の給水ユニットの制御装置によれば、マイクロコンピュータやリレーを介さずともリードスイッチで直接、電磁弁を駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御装置を含む、給水ユニットの構成を示す図である。
【図2】図1の状態から、水位が所定位置まで上昇した状態を示す図である。
【図3】給水ユニットの制御装置の回路図である。
【図4】リードスイッチ及びバリスタの取り付け方の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置を含む、給水ユニット1の構成を示す図である。加湿器100は、この給水ユニット1と、加湿ユニット21と、排水用電磁弁30とを備えている。このような加湿器100は、例えば、空気調和機(図示せず。)に、オプションの装置として搭載される。図において、給水ユニット1の本体部分は、加湿用の水を蓄える容器としての給水パン2と、この給水パン2に水を供給するための給水管3a,3b及び給水用電磁弁4とを備えている。給水管3aには、水道管(図示せず。)から水道水が供給される。
【0016】
給水パン2には、鉛直部分5vと水平部分5hとを有する支持部材5が固定されている。支持部材5の水平部分5hには、フロートスイッチ6が取り付けられている。フロートスイッチ6は、支持部材5に固定された固定部7と、水位に応じて上下動する可動部8と、センサ機能を有するセンサ部9とによって、構成されている。固定部7は、互いに一体的に構成されたステム7s及びフランジ7fと、ステム7sの下端に水平に取り付けられたピン7pとを有する。
【0017】
可動部8は、ステム7sに摺接して上下に移動可能なスライダ8s、スライダ8sに取り付けられたマグネット8m(直方体で片面着磁)、及び、スライダ8sの下端に取り付けられたフロート8fを有する。スライダ8sには切り欠き8s1が形成されており、この切り欠き8s1にピン7pが水平に通されていることによって、このピン7pに案内されながら、可動部8は上下に移動可能である。
【0018】
センサ部9は、樹脂のケース90と、このケース90に収容されたリードスイッチ91及びバリスタ92とを備えている。ケース90は、フランジ7fと一体に形成されるか、または、別体で形成されてフランジ7fに固定されていることにより、フランジ7fから延設された状態となっている。リードスイッチ91は、マグネット8mの磁気に反応し、マグネット8mの位置すなわち、水位に応じてオン又はオフとなる。例えば図示のマグネット8mの位置では、リードスイッチ91はオンである。バリスタ92は、リードスイッチ91に並列に接続されている。
【0019】
上記給水パン2には、出水管20aと、戻り管20bとが接続されている。そして、出水管20aから加湿ユニット21を通り、さらに戻り管20bにより給水パン2に戻る水の循環経路が形成される。加湿ユニット21は、加湿部211と、ポンプ212とを備えている。ポンプ212を運転することにより、給水パン2の水は、加湿部211を通って循環する。加湿部211は、水を水蒸気として空気中に放出する。従って、給水パン2の水は、徐々に減少する。図1は、通常運転時に、水道から給水パン2への給水が始まるタイミングでの図である。
【0020】
なお、出水管20aは排水管20cと連通しており、排水管20cには排水用電磁弁30が接続されている。排水用電磁弁30は、通常は閉じているが、これを開くことによって給水パン2の水を全て排出することができる。例えば、定期的に給水パン2の水を排水して新しい水に入れ替えることにより、水の清浄度を維持することができる。
【0021】
さて、フロート8f及びスライダ8sが水位の低下に伴って下降し、図1の状態になると、リードスイッチ91がオフからオンになる。リードスイッチ91がオンになると、給水用電磁弁4が開き、水道水が給水パン2に供給される。これにより、水位が上昇する。
【0022】
図2は、図1の状態から、水位が所定位置まで上昇した状態を示す図である。この状態では、リードスイッチ91はオフである。リードスイッチ91がオフになると、給水用電磁弁4が閉じ、給水パン2への水道水の供給が止まる。
リードスイッチ91にはヒステリシスがあり、図2の状態から水位が少し下がっても直ちにオンにならず、オフが続いて、図1の状態でオンとなる。逆に、図1の状態から水位が少し上がっても直ちにオフにならず、オンが続いて、図2の状態でオフとなる。こうして、水位は、図1の状態と図2の状態とを行き来し、貯水量は常に少なくとも図1の水位に維持される。
【0023】
図3は、給水ユニットの制御装置の回路図である。図において、この回路は、図1,図2に示した給水用電磁弁4と、フロートスイッチ6の要素としてのリードスイッチ91と、コネクタ10とを、図示のように接続して構成されている。コネクタ10は、例えば空気調和機の本体側に接続され、加湿器100の運転操作がされた場合に、例えばAC200Vの電源供給を受けるようになっている。リードスイッチ91は、給水用電磁弁4を自己の接点で直接、オン(励磁)又はオフ(非励磁)の状態にする。給水用電磁弁4の動作電圧(定格)をV(ここでは200V)、バリスタ92の降伏電圧(バリスタ電圧)をV、リードスイッチ91の接点間の耐電圧をVとすると、これらの値は、V<V<Vの関係にあるように、設計されている。
【0024】
図3において、リードスイッチ91がオンになると、給水用電磁弁4が励磁され、水道水が給水パン2に供給される。リードスイッチ91がオフからオンになるときの過渡的な状態においては、接点のバウンスにより、極めて短時間に何回かオン・オフが繰り返された後で安定したオンになる。このようなリードスイッチ91のオン動作のバウンス発生時又はオフ動作時には、給水用電磁弁4のインダクタンスにより、高電圧が発生し、リードスイッチ91の両端に印加される。
【0025】
このとき、バリスタ92の両端にも同じ高電圧が印加される。バリスタ92の降伏電圧(バリスタ電圧)Vを超える高電圧が発生すると、バリスタ92は低抵抗となってリードスイッチ91の両端に印加される電圧を抑制する。従って、リードスイッチ91の両端間には、電圧Vが瞬間的に印加されることはあっても、耐電圧Vを超える電圧は印加されない。このように、並列接続されたバリスタ92でリードスイッチ91を保護することにより、リードスイッチ91で直接、給水用電磁弁4を駆動(オン/オフ)することが可能となる。すなわち、当該制御装置によれば、マイクロコンピュータやリレーを介さずともリードスイッチ91で直接、給水用電磁弁4を駆動することができる。
【0026】
なお、オン動作時のバウンスによってリードスイッチ91の接点が瞬間的に開いているとき、低抵抗となっているバリスタ92は、給水用電磁弁4への突入電流をリードスイッチ91に代わって引き受けることになり、これにより、突入電流が抑制される。
【0027】
図4は、リードスイッチ91及びバリスタ92の取り付け方の一例を示す図である。図において、基板(絶縁基板)11の一方の面には、リードスイッチ91のリード線91a,91bが取り付けられる。また、他方の面には、バリスタ92のリード線92a,92bが取り付けられる。例えば、基板11の貫通孔にリード線91a,91bの各端部を通してバリスタ92側へ少し出せば、リード線92a,92bの各端部と共にはんだ付けすることができる。また、外部へ導出されるリード線12,13も、同じ場所に、はんだ付けすることができる。
【0028】
この場合、リードスイッチ91及びバリスタ92を、一つの基板11にコンパクトにまとめて容易に取り付けることができる。しかも、両面を利用するので、基板11を非常にコンパクトに構成することができる。また、はんだ付けも集約され、簡単確実な回路接続を実現することができる。なお、このような構成によればバリスタ92は、見かけ上はフロートスイッチ6の一部材として組み込むことができるので、フロートスイッチ6とは別に単独でバリスタを設けるよりも製造が容易である。また、動作時に衝撃を生じる給水用電磁弁4から物理的に隔離できる点でも、好ましい。
【0029】
また、リードスイッチ91を収容するケース90が、フランジ7fから延設される形で取り付けられていることにより、リードスイッチの破損を防止することができる。なお仮に、リードスイッチ91をステム7sの内部に取り付けたとすると、スライダ8sからステム7sに過剰な力が加わった場合に、リードスイッチ91が破損する可能性がある。
【0030】
なお、バリスタ92としては、酸化亜鉛バリスタが好適であるが、その他、ツェナーダイオード2個を互いに逆向きに向かい合わせ接続したバリスタも使用可能である。
また、上記実施形態の給水ユニットの制御装置は、空気調和機にオプション的に取り付けられるものとして説明したが、専用の加湿装置や、換気システムにも搭載することは可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:給水ユニット
2:給水パン(容器)
3a,3b:給水管
4:給水用電磁弁
6:フロートスイッチ
7f:フランジ
7s:ステム
8f:フロート
8s:スライダ
11:基板
90:ケース
91:リードスイッチ
92:バリスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿用の水を蓄える給水ユニット(1)の制御装置であって、
電圧Vによって動作し、前記給水ユニット(1)の容器(2)への給水管(3a,3b)を開閉する給水用電磁弁(4)と、
前記容器(2)内の水位に応じて動作するフロートスイッチ(6)に含まれ、耐電圧がVであり、前記容器(2)内の水位に応じて、前記給水用電磁弁(4)を自己の接点で直接、オン又はオフの状態にするリードスイッチ(91)と、
前記リードスイッチ(91)と並列に接続され、降伏電圧Vが、V<V<Vの関係にあるバリスタ(92)と
を備えていることを特徴とする給水ユニットの制御装置。
【請求項2】
前記リードスイッチ(91)は、前記バリスタ(92)と同一の基板(11)に取り付けられている請求項1記載の給水ユニットの制御装置。
【請求項3】
前記リードスイッチ(91)は前記基板(11)の一方の面に、前記バリスタ(92)は前記基板(11)の他方の面に、それぞれ取り付けられている請求項2記載の給水ユニットの制御装置。
【請求項4】
前記フロートスイッチ(6)は、固定側としてステム(7s)及フランジ(7f)を有し、可動側として前記ステム(7s)と摺接するスライダ(8s)及び当該スライダ(8s)と一体的に設けられたフロート(8f)を有するものであり、
前記リードスイッチ(91)は、前記フランジ(7f)から延設されたケース(90)に取り付けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の給水ユニットの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−101064(P2013−101064A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245246(P2011−245246)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】