給水装置
【目的】水中における鉄分の存否を自動的に確認しながら、水の供給源から水の利用系に対して水を供給できるようにする。
【構成】給水装置4は、ボイラシステム1において、原水を除鉄処理するための原水予備処理装置2から軟水化装置33および脱酸素装置34を備えたボイラ装置3へ給水するためのものであり、原水予備処理装置2からボイラ装置3へ給水を供給するための給水経路40と、給水経路40を通じてボイラ装置3へ供給される給水の一部を導入路102を通じて給水試料として採取し、当該給水試料中における鉄分の存否を光学的に判定するための判定装置41とを備えている。
【構成】給水装置4は、ボイラシステム1において、原水を除鉄処理するための原水予備処理装置2から軟水化装置33および脱酸素装置34を備えたボイラ装置3へ給水するためのものであり、原水予備処理装置2からボイラ装置3へ給水を供給するための給水経路40と、給水経路40を通じてボイラ装置3へ供給される給水の一部を導入路102を通じて給水試料として採取し、当該給水試料中における鉄分の存否を光学的に判定するための判定装置41とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置、特に、水の供給源から水の利用系に対して水を供給するための給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラへの給水として用いられる水道水などの原水は、通常、ボイラ内での腐食やスケールの発生を防止するために、溶存酸素を除去する脱酸素処理および硬度成分、すなわちカルシウムやマグネシウムを除去する軟水化処理が施されている。ここで、脱酸素処理は、通常、原水を分離膜で処理することにより実施されている。また、軟水化処理は、通常、原水をイオン交換樹脂で処理することにより実施されている。
【0003】
ところで、水道水などの原水は、鉄分を含む場合がある。この鉄分は、脱酸素処理で用いる分離膜を目詰まりさせ、原水の脱酸素処理効率を損なう可能性があり、また、軟水化処理で用いるイオン交換樹脂に吸着し、原水の軟水化を妨げる可能性がある。そこで、ボイラ給水として用いられる原水は、通常、脱酸素処理および軟水化処理する前に、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライトをろ材に使用した塔式ろ過装置や砂ろ過装置等の除鉄装置により、鉄分を除去するのが好ましい。すなわち、ボイラへの給水経路は、除鉄装置の後段に脱酸素装置および軟水化装置を備えているのが好ましい。
【0004】
上述のような給水経路では、除鉄装置の不具合等の理由により、原水中の鉄分の一部が除去されない場合もある。この場合は、脱酸素装置および軟水化装置において上述のような不具合を引き起こし、脱酸素装置の分離膜や軟水化装置のイオン交換樹脂の寿命を損なうおそれがある。このため、このような給水経路においては、通常、除鉄装置を通過後の原水を定期的に採取し、採取された原水における鉄分の存否を判定するのが好ましい。
【0005】
ところで、ボイラ給水用の原水等の水中における鉄分の存否の判定方法として、非特許文献1は、1,10−フェナントロリンによる吸光光度法を提示している。この方法では、先ず、被試験水中の鉄分を酸で溶解し、三価鉄イオンを塩酸ヒドロキシルアミンで二価鉄イオンへ還元する(第一工程)。そして、被試験水に対し、二価鉄イオンと反応して橙赤色の錯化合物を生成する1,10−フェナントロリンを添加する(第二工程)。ここで、被試験水が錯化合物による橙赤色へ変色した場合、被試験水に鉄分が存在するものと判定することができ、また、被試験水の変色量を吸光光度法により測定すると、被試験水の鉄分濃度を求めることもできる。一方、被試験水が変色しない場合、被試験水は鉄分を含まないものと判定することができる。
【0006】
しかし、上述の判定方法は、塩酸ヒドロキシルアミンを用いる第一工程と、1,10−フェナントロリンを用いる第二工程との二つの工程を手作業で実施する必要があるため、判定工程が煩雑で長時間を要する。したがって、この方法によりボイラへの給水において鉄分の存在を確認することができるのは、鉄分を含む大量の原水が脱酸素装置および軟水化装置へ既に供給されてしまってからであり、給水の停止処置などの速やかな対処を図るのは実質的に困難である。
【0007】
本発明の目的は、水中における鉄分の存否を自動的に確認しながら、水の供給源から水の利用系に対して水を供給できるようにすることにある。
【0008】
【非特許文献1】日本水道協会発行、「上水試験方法 2001年版」、340〜342頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の給水装置は、水の供給源から水の利用系に対して水を供給するためのものであり、供給源から利用系へ水を供給するための給水経路と、給水経路を通じて利用系へ供給される水における鉄分の存否を光学的に判定するための判定装置とを備えている。
【0010】
この給水装置において、供給源からの水は、給水経路を通じて利用系へ供給される。この際、利用系へ供給される水は、判定装置により鉄分の存否が光学的に判定される。このため、この給水装置においては、鉄分の存否を自動的に確認しながら、水の供給源から水の利用系に対して水を供給することができる。
【0011】
この給水装置において用いられる判定装置は、例えば、容器と、給水経路から分岐しかつ利用系へ供給される水の一部を容器へ導入するための導入路と、鉄分と反応した場合に発色物質を生成する試薬を容器へ供給するための試薬供給装置と、容器において発色物質の有無を光学的に判定するための判定手段とを備えている。ここで用いられる試薬は、三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元するための第一剤と、第一剤と混合された、二価鉄イオンと反応して発色物質を生成する第二剤とを含んでいる。
【0012】
この判定装置において、給水経路を通じて利用系へ供給される水の一部は、導入路から容器へ導入される。そして、容器内に導入された水に対し、試薬供給装置が試薬を供給する。供給された試薬は、水中に鉄分が含まれる場合、発色物質を生成する。具体的には、容器内の水が三価鉄イオン(Fe3+)の鉄分のみ若しくは三価鉄イオンおよび二価鉄イオン(Fe2+)の両方の鉄分を含む場合、水中の三価鉄イオンは、第一剤により二価鉄イオンへ還元される。そして、このようにして生成した二価鉄イオンおよび水中に最初から含まれていた二価鉄イオンは、第二剤と反応して発色物質を生成する。また、容器内の水が二価鉄イオンの鉄分のみを含む場合、当該二価鉄イオンは、第二剤と反応して発色物質を生成する。これに対し、容器内の水が鉄分を含まない場合、当該水は、試薬を添加しても第二剤との反応により発色物質を生成しない。判定手段は、容器内における発色物質の有無を光学的に判定し、容器内の水における鉄分の存否を確認する。
【0013】
この判定装置において用いられる判定手段は、例えば、光線を容器へ向けて照射し、容器を通過した当該光線の透過率に基づいて発色物質の有無を判定する。また、上述の判定装置において用いられる試薬は、例えば、第一剤として塩酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキノン、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトおよびアスコルビン酸からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含み、かつ、第二剤として4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン二スルホン酸およびそのアルカリ金属塩並びに2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジンからなる群から選ばれた一つの化合物を含んでいる。このような試薬は、第一剤と第二剤とが反応しにくく、保存安定性が優れているため、水中における鉄分の存否を誤判定する可能性が小さい。
【0014】
本発明の給水装置において、給水経路は、例えば、判定装置での判定結果に基づいて作動する、水の供給を遮断するための遮断装置を有している。
【0015】
この場合、給水装置は、判定装置が利用系へ供給する水中における鉄分の存在を確認すると、遮断装置が作動し、利用系に対する水の供給を自動的に停止する。したがって、この給水装置は、鉄分を含む水が利用系に与える影響を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の給水装置は、上述のような判定装置を備えているため、供給中の水中における鉄分の存否を自動的に確認しながら、水の供給源から水の利用系に対して水を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る給水装置が採用されたボイラシステムを説明する。図において、ボイラシステム1は、原水予備処理装置2(水の供給源の一例)と、ボイラ装置3(水の利用系の一例)と、原水予備処理装置2とボイラ装置3との間に配置された、原水予備処理装置2からボイラ装置3へ給水するための給水装置4とを主に備えている。
【0018】
原水予備処理装置2は、水道水や地下水などの水源から延びる原水供給路20と除鉄装置21とを主に備えている。除鉄装置21は、原水供給路20からの原水中に含まれる鉄分を除去するためのものであり、例えば、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライトをろ材(図示省略)に使用した塔式ろ過装置や砂ろ過装置である。
【0019】
ボイラ装置3は、ボイラ本体30と、給水処理装置31とを主に備えている。給水処理装置31は、ボイラ本体30と接続された給水路32を有しており、この給水路32は、給水装置4側から順に軟水化装置33および脱酸素装置34を備えている。軟水化装置33は、給水装置4からの給水に含まれる硬度分、すなわちカルシウムやマグネシウムを除去するためのものであり、硬度分を捕捉するためのイオン交換樹脂(図示省略)を備えている。また、脱酸素装置34は、給水装置4からの給水に含まれる溶存酸素を除去するためのものであり、給水中の溶存酸素を分離するための分離膜(図示省略)を備えている。
【0020】
給水装置4は、原水予備処理装置2において予備処理された原水をボイラ装置3へ供給するためのものであり、給水経路40と判定装置41とを主に備えている。給水経路40は、原水予備処理装置2の除鉄装置21から延びており、また、ボイラ装置3の給水路32と連絡している。また、給水経路40は、第一電磁弁42(遮断装置の一例)を有している。
【0021】
判定装置41は、原水予備処理装置2からの原水(以下、この原水を「給水」と云う)中における鉄分の存否を光学的に判定するためのものであり、図2に示すように、容器100、試薬供給装置110、透過率測定装置120(判定手段の一例)および制御装置130を主に備えている。
【0022】
容器100は、鉄分の存否の判定対象となる給水試料を貯留するためのものであり、例えば、石英ガラスなどの透光性を有する無色透明の材料を用いて形成された、底部を有する円筒状のものである。容器100の容量は、通常、1〜10ミリリットルが好ましい。容器100の上端部は、栓101により気密に封止されている。また、この容器100は、給水試料を内部へ導入するための導入路102と、給水試料を外部へ排出するための排出路103とを備えている。導入路102は、給水経路40から分岐しており(図1)、給水試料の導入を制御するための第二電磁弁104を有している。また、導入路102の先端は、栓101を通じて容器100内の底部へ向けて延びている。排出路103は、栓101から容器100の外部へ向けて延びている。
【0023】
上述の容器100は、マグネチックスターラー105上に配置されており、また、底部には、磁石を内蔵した攪拌子106が配置されている。
【0024】
試薬供給装置110は、容器100内に貯留された給水試料に対して鉄分の存否を判定するための試薬(以下、「判定用試薬」と云う)を供給するためのものであり、判定用試薬を貯蔵するための試薬タンク111と、試薬タンク111から容器100内へ延びる試薬供給路112とを備えている。試薬供給路112は、栓101を通じて容器100内へ延びており、試薬タンク111内の判定用試薬を容器100内へ送り出すための試薬ポンプ113と、逆止弁114とを有している。試薬タンク111内に貯蔵される判定用試薬の詳細については後述する。
【0025】
透過率測定装置120は、容器100の底部近傍に配置された発光ダイオードなどの発光素子121と、容器100を挟んで発光素子121と対向する、フォトトランジスタ等の受光素子122とを主に備えており、発光素子121から照射されかつ容器2を通過する光線の透過率を測定するためのものである。
【0026】
制御装置130は、判定装置41の動作を制御するためのコンピュータ装置であり、中央処理装置(CPU)、判定装置41の動作プログラムを記憶している読出専用記憶装置(ROM)、各種の情報を記憶するための書換可能記憶装置(RAM)および入出力ポートを主に備えている。入出力ポートの入力側には、判定装置41に対して各種の動作指令を入力するための操作盤および受光素子122などが連絡している。一方、入出力ポートの出力側には、発光素子121、各電磁弁42,104、マグネチックスターラー105、試薬ポンプ113および鉄分の判定結果等を表示するための表示装置などが連絡している。
【0027】
上述の判定装置41の試薬タンク111に貯蔵される判定用試薬は、鉄分の還元剤として機能する第一剤と、鉄分の発色剤として機能する第二剤とを混合した液状のものである。第一剤は、三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元するためのものであり、そのような還元作用を有する各種の化合物である。このような化合物としては、例えば、塩酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキノン、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトおよびアスコルビン酸を挙げることができる。これらの化合物は、本発明の目的を損なわない範囲において、適宜、二種以上を混合して用いることもできる。
【0028】
一方、第二剤は、二価鉄イオンと反応して発色するものであり、そのような発色作用を有する各種の化合物である。このような化合物としては、例えば、o−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン二スルホン酸(DPP)およびそのアルカリ金属塩、2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジン(TPTZ)、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5−[N−n−プロピル−N−(3−スルホプロピル)アミノ]フェノール(Nitro−PAP)およびそのアルカリ金属塩並びに3−(2−ピリジル)−5,6−ビス(4−スルホフェニル)−1,2,4−トリアジン(PDT)およびそのアルカリ金属塩を挙げることができる。但し、第二剤は、判定用試薬の保存安定性の観点から、常温において第一剤との反応性を実質的に有していないものが好ましい。ここで、「常温」とは、5〜50℃の温度範囲を意味する。このような条件を備えた第二剤として好ましいものは、第一剤として上記の例示のもののいずれかを用いる場合、DPP若しくはそのアルカリ金属塩またはTPTZである。
【0029】
このような判定用試薬は、通常、第一剤および第二剤を適量の水に溶解して混合すると調製することができる。ここでは、第一剤と第二剤とを予め混合してから水に溶解してもよいし、第一剤および第二剤のうちの一方を最初に水に溶解した後、他方をさらに添加して溶解するようにしてもよい。この際、水に対する第一剤若しくは第二剤の溶解性を高めるために、塩酸などの酸を添加してもよい。また、利用する第二剤が特定のpH範囲においてのみ発色するような場合、当該pH範囲に調整するためのpH調整剤や緩衝剤を併せて混合することもできる。第一剤と第二剤との混合割合は、特に限定されるものではないが、通常、第二剤1重量部に対し、第一剤が10〜100重量部である。
【0030】
判定用試薬における第一剤と第二剤との組合せとして好ましいものは、次の形態のものである。
形態1
第二剤としてDPPの二ナトリウム塩を用い、第一剤として塩酸ヒドロキシルアミン、チオ硫酸ナトリウム若しくはピロ亜硫酸ナトリウムを用いたもの。この場合、第二剤1重量部に対し、第一剤を55〜65重量部用いるのが好ましい。
形態2
第二剤としてTPTZを用い、第一剤として塩酸ヒドロキシルアミンを用いたもの。この場合、第二剤1重量部に対し、第一剤を15〜25重量部用いるのが好ましい。
これらの形態の判定用試薬は、保存安定性が良好であり、試薬タンク111において、数ヶ月単位の長期間保存も可能である。
【0031】
上述のような判定用試薬は、三価鉄イオン(Fe3+)の鉄分のみ若しくは三価鉄イオンおよび二価鉄イオン(Fe2+)の両方の鉄分を含む水中へ添加した場合、第一剤が三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元する。そして、第二剤は、このようにして生成した二価鉄イオンおよび水中に最初から含まれていた二価鉄イオンと反応して発色物質を生成する。また、二価鉄イオンの鉄分のみを含む水中へ添加した場合、第二剤が当該二価鉄イオンと反応して発色物質を生成する。一方、判定用試薬を鉄分を含まない水中へ添加した場合、当該水は、第二剤と反応する二価鉄イオンを含まないため発色物質を生成しない。
【0032】
このため、上記試薬を添加した水が発色試薬により変色した場合、当該水は鉄分を含むものと判定することができる。一方、当該水に発色物質が生成しない場合、当該水は変色せず、鉄分を含まないものと判定することができる。
【0033】
判定装置41は、第一剤と第二剤とを混合した上述のような判定用試薬を用いているため、複数の試薬タンクを設ける必要がなく、簡素にかつ小型に構成することができる。
【0034】
次に、図3に示す動作プログラムのフローチャートに基づいて、給水装置4の動作を説明する。ここでは、判定装置41で用いる判定用試薬として上述の形態1のものを用い、また、発光素子121として、判定用試薬の第二剤(すなわち、DPPの二ナトリウム塩)と二価鉄イオンとの反応により生成する発色物質により透過率が変化する緑色の光線を照射可能な緑色LED(緑色発光ダイオード)を用いる場合について説明する。
【0035】
制御装置130において判定装置41の電源をONにすると、動作プログラム(以下、単に「プログラム」と云う)は、ステップS1において、第一電磁弁42を開放した状態に設定し、また、第二電磁弁104を閉鎖した状態に設定する等の初期設定動作を実施する。これにより、原水予備処理装置2において、原水供給路20からの水は、除鉄装置21により鉄分が取り除かれ、原水供給路20側の水圧により給水経路40へ給水として供給される。給水経路40へ供給された給水は、原水供給路20側の水圧によりボイラ装置3の給水路32へ供給され、軟水化装置33および脱酸素装置34においてそれぞれ軟水化処理および脱酸素処理が施されてボイラ本体30へ供給される。
【0036】
次に、プログラムは、ステップS2において、制御装置130の内部タイマーの経過時間tを0に設定する。そして、次のステップS3において、経過時間tが所定の経過時間Tに到達したか否かを判断する。経過時間tがTに到達していないとき、プログラムはそのまま待機状態となり、給水装置4は、原水予備処理装置2からボイラ装置3への給水を継続する。
【0037】
一方、ステップS3において、経過時間tがTに到達したものと判断したとき、プログラムは、ステップS4へ移行して内部タイマーの経過時間tを0にリセットした後、ステップS5において、判定装置41の容器100への採水工程を実行する。ここでは、第二電磁弁104を一定時間開放し、給水経路40を原水予備処理装置2からボイラ装置3へ流れる給水の一部を導入路102を通じて容器100内へ導入する。この結果、容器100内には、給水の一部が給水試料として採取される。
【0038】
採水工程の終了後、プログラムは、ステップS6へ移行し、採取した給水試料の透過率を測定する。ここでは、発光素子121を点灯し、その光線(緑色光線)を容器100へ照射する。容器100へ照射された光線は、給水試料を透過し、受光素子122により受光される。そして、プログラムは、受光素子122からの出力に基づいて光線の透過率(I)を測定する。以下、ここで測定される透過率を「参照透過率」と云う。
【0039】
次に、プログラムは、ステップS7へ移行し、試薬注入工程を実行する。ここでは、マグネチックスターラー105を一定時間作動させ、容器100内の給水試料を攪拌する。また、試薬ポンプ113を作動させ、試薬タンク111内に貯蔵された判定用試薬を試薬供給路112を通じて容器100内へ供給する。判定用試薬の供給量は、特に限定されるものではないが、通常、給水試料1ミリリットルに対し、10〜20マイクロリットルの割合に設定するのが好ましい。
【0040】
容器100内へ供給された判定用試薬は、攪拌子106の回転により給水試料中へ拡散する。これにより、給水試料中に鉄分が含まれる場合、判定用試薬は、当該鉄分と反応し、発色物質を生成する。一方、給水試料が鉄分を含まない場合、判定用試薬は、発色物質を生成しない。
【0041】
試薬注入工程の後、プログラムは、ステップS8へ移行し、ステップS6の場合と同様に給水試料の透過率を測定する。すなわち、発光素子121を点灯してその光線(緑色光線)を容器100へ照射し、受光素子122からの出力に基づいて光線の透過率(I1)を測定する。以下、ここで測定された透過率を「測定透過率」と云う。因みに、測定透過率は、給水試料において発色物質が生成している場合、給水試料が当該発色物質により発色するため、参照透過率よりも小さくなる。
【0042】
次のステップS9において、プログラムは、測定透過率(I1)と参照透過率(I)とを対比する。ここで、測定透過率(I1)が参照透過率(I)よりも小さいとき、給水試料は、鉄分を含んでいることになる。この場合、原水予備処理装置2(特に、除鉄装置21)に異常が発生し、原水予備処理装置2から給水装置4を通じてボイラ装置3へ供給される給水中に鉄分が含まれているものと判定することができる。
【0043】
そこで、プログラムは、ステップS10へ移行し、異常対処工程を実行する。ここでは、制御装置130の表示部に異常が発生したことを表示するとともに、第一電磁弁42を閉鎖し、給水装置4からボイラ装置3への給水を停止する。これにより、給水装置4は、ボイラ装置3において、給水中の鉄分により軟水化装置33および脱酸素装置34に不具合が生じるのを回避することができる。
【0044】
ステップS9において、測定透過率(I1)が参照透過率(I)よりも小さくないとき、給水試料は、鉄分を含んでいないものと判定することができるため、プログラムは、ステップS9からステップS11へ移行し、洗浄工程を実行する。また、ステップS10において異常対処工程が終了したときも、プログラムは、ステップS11へ移行する。洗浄工程において、プログラムは、第二電磁弁104を開放し、原水予備処理装置2からの給水の一部を導入路102を通じて容器100内へ一定時間連続的に導入する。容器100内へ連続的に導入された給水は、容器100内の給水試料を排出路103から容器100外へ押出し、容器100内を洗浄する。
【0045】
ステップS11の後、プログラムは、ステップS12へ移行し、再度透過率を測定する。ここでは、ステップS6と同様にして、容器100内の給水について透過率(I2)を測定する。ここで測定する透過率(I2)を「確認用透過率」という。
【0046】
次に、プログラムは、ステップS13へ移行し、確認用透過率(I2)と参照用透過率(I)とを対比する。ここで、確認用透過率(I2)が参照用透過率(I)よりも小さいときは、ステップS11の洗浄工程における容器100の洗浄が不十分と判断することができるため、プログラムは、ステップS11〜ステップS13を繰り返す。一方、確認用透過率(I2)が参照用透過率(I)よりも小さくないときは、ステップS11の洗浄工程において容器100が十分に洗浄されたものと判断することができるため、プログラムは、ステップS3へ戻り、ステップS3以下を繰り返す。
【0047】
したがって、給水装置4は、所定の経過時間T毎に給水経路40から給水試料を採取し、当該給水試料中における鉄分の存否を判定装置41により自動的に判定しながら、原水予備処理装置2からボイラ装置3へ給水することができる。
【0048】
[他の実施の形態]
(1)上述の実施の形態において、判定用試薬として他の形態のものを用いる場合、発光素子121として、当該判定用試薬により生成する発色物質のために透過率が低下する波長の色相の光線を照射可能なものを用いる。例えば、判定用試薬として上述の形態2のものを用いた場合、発光素子121としては、通常、黄色〜橙色の光線を照射可能なLEDを用いる。
【0049】
(2)上述の実施の形態では、判定装置41により給水試料中における鉄分の存否を単純に判定しているが、判定装置41により給水試料の鉄分濃度を測定することもできる。この場合は、水中の二価鉄イオン濃度と上述の透過率との関係を予め調べて検量線データを作成し、これを制御装置130に記憶しておく。そして、この検量線データに基づいて、測定透過率から二価鉄イオン濃度を求める。
【0050】
(3)上述の実施の形態では、給水試料における発色物質の生成を発光素子121からの光線の透過率に基づいて判定しているが、発色物質の生成は、給水試料の吸光スペクトルを測定し、その極大吸収の吸光度に基づいて判定することもできる。この場合も、水中の二価鉄イオン濃度と吸光度との関係を予め調べて検量線データを作成しておけば、当該検量線データに基づいて、給水試料の吸光度から二価鉄イオン濃度を測定することができる。また、発色物質の生成は、その他の公知の光学的手段により判定することもできる。
【0051】
(4)上述の実施の形態では、本発明の給水装置をボイラシステムにおいて用いた場合について説明したが、本発明の給水装置は、ボイラシステム以外の各種の用途、例えば、水道水用の浄化設備(水の供給源)から飲用水道水の供給経路(水の利用系)に対して水道水を供給するための給水装置等として用いることもできる。
【0052】
[実験例]
実験例1〜6
第二剤としてDPPの二ナトリウム塩(以下、「DPPS」と云う)を用い、これと表1に示す各種の第一剤とを混合して判定用試薬を調製した。ここでは、第一剤と第二剤とを蒸留水に溶解し、判定用試薬を調製した。第一剤、第二剤および蒸留水の各使用量は、表1に記載の通りである。また、第二剤として用いたDPPSの特性は、次の通りである。
【0053】
◎二価鉄イオンと反応可能なpH範囲:2〜9
◎二価鉄イオンと反応して発色した場合の分光スペクトルにおける極大吸収:535nm
◎モル吸光係数:22,400M−1cm−1
【0054】
実験例7〜12
第二剤としてTPTZを用い、これと表1に示す各種の第一剤を混合して判定用試薬を調製した。ここでは、第一剤と第二剤とを0.1規定塩酸水溶液に溶解し、判定用試薬を調製した。第一剤、第二剤および0.1規定塩酸水溶液の各使用量は、表1に記載の通りである。また、第二剤として用いたTPTZの特性は、次の通りである。
【0055】
◎二価鉄イオンと反応可能なpH範囲:3.4〜5.8
◎二価鉄イオンと反応して発色した場合の分光スペクトルにおける極大吸収:595nm
◎モル吸光係数:23,000M−1cm−1
【0056】
【表1】
【0057】
評価1(鉄分の存否判定)
三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.1mg/リットルの被試験水を調製した。そして、この被試験水4ミリリットルに対し、各実験例の判定用試薬40マイクロリットルを添加した。その結果、実験例1〜6の判定用試薬がそれぞれ添加された被試験水は、赤色へ変色し、また、実験例7〜12の判定用試薬がそれぞれ添加された被試験水は、青色へ変色した。また、蒸留水4ミリリットルに各実験例の判定用試薬40マイクロリットルを添加したところ、いずれの蒸留水についても変色は観察されなかった。
【0058】
これらの結果によると、実験例1〜12の判定用試薬を用いれば、水中における鉄分の存否を簡単に判定することができる。したがって、実験例1〜12の判定用試薬は、上述の実施の形態において用いられる判定装置41において利用可能である。
【0059】
評価2(鉄分濃度の測定)
三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.05mg/リットル、0.2mg/リットルおよび0.5mg/リットルにそれぞれ設定された三種類の被試験水を4ミリリットルずつ調製した。そして、これらの各被試験水に対して各実験例の判定用試薬40マイクロリットルを添加し、そのときの変色を吸光光度法により調べた。この際の分光スペクトルおよび当該分光スペクトルにおける極大吸収波長の吸光度と三価鉄イオン濃度との関係に基づいて作成した検量線を図4〜図27に示す。各実験例と各図との対応関係は、表2の通りである。
【0060】
【表2】
【0061】
図4、図6、図8、図10、図12および図14によると、実験例1〜6の判定用試薬が添加された被試験水は、535nm付近に極大吸収を有し、また、その吸光度は、三価鉄イオン濃度の高低により異なる(三価鉄イオン濃度が高いほど吸光度が大きく、三価鉄イオン濃度が低いほど吸光度が小さい)ことがわかる。そして、図5、図7、図9、図11、図13および図15によると、図4、図6、図8、図10、図12および図14の分光スペクトルに基づいてそれぞれ作成された検量線は、相関係数(R2)がほぼ1であり、信頼性が極めて高い。
【0062】
また、図16、図18、図20、図22、図24および図26によると、実験例7〜12の判定用試薬が添加された被試験水は、595nm付近に極大吸収を有し、また、その吸光度は、三価鉄イオン濃度の高低により異なる(三価鉄イオン濃度が高いほど吸光度が大きく、三価鉄イオン濃度が低いほど吸光度が小さい)ことがわかる。そして、図17、図19、図21、図23、図25および図27によると、図16、図18、図20、図22、図24および図26の分光スペクトルに基づいてそれぞれ作成された検量線は、相関係数(R2)がほぼ1であり、信頼性が極めて高い。
【0063】
以上の結果によると、実験例1〜12の判定用試薬は、被試験水中の鉄分濃度の測定のためにも有用であり、上述の実施の形態において用いられる判定装置41において、給水試料の鉄分濃度を測定するためにも利用可能である。
【0064】
評価3(保存安定性)
(実験例1〜6について)
実験例1〜6の判定用試薬について、保存安定性を調べた。ここでは、三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.5mg/リットルの被試験水を調製した。そして、この被試験水4ミリリットルに対して実験例1〜6の判定用試薬40マイクロリットルを添加し、535nmの吸光度を測定した。ここで用いた判定用試薬は、調製直後のもの、55℃で5時間保存したもの、同温度で25時間保存したものおよび同温度で100時間保存したもの(実験例6を除く)である。結果を図28〜図33に示す。実験例1〜6と図との対応関係は表3の通りである。図28〜図33によると、実験例1〜5の判定用試薬は、調製直後のものと100時間保存したものとで吸光度がほぼ同じであり、保存安定性が良好である。したがって、実験例1〜5の判定用試薬は、上述の判定装置41の試薬タンク111に比較的長時間貯蔵しながら利用することができる。
【0065】
【表3】
【0066】
また、実験例1〜5の判定用試薬については、上記の方法と同様にして、より長期間の保存安定性を調べた。結果を図34に示す。図34において、縦軸のモル吸光係数比は、被試験水において発色した第二剤のモル吸光係数(測定値)と第二剤のモル吸光係数の理論値との比(測定値/理論値)を意味し、数値が高いほど判定用試薬の保存安定性が良好なことを示している。
【0067】
図34によると、実験例1、実験例2および実験例3の判定用試薬は、55℃で30日間保存しても保存安定性が良好であり、保存安定性の点において特に優れていることがわかる。
【0068】
(実験例7〜12について)
実験例7〜12の判定用試薬について、保存安定性を調べた。ここでは、三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.5mg/リットルの被試験水を調製した。そして、この被試験水4ミリリットルに対して実験例7〜12の判定用試薬40マイクロリットルを添加し、595nmの吸光度を測定した。ここで用いた判定用試薬は、調製直後のもの、55℃で5時間保存したもの、同温度で25時間保存したものおよび同温度で100時間保存したもの(実験例10、12を除く)である。結果を図35〜図40に示す。実験例7〜12と図との対応関係は表4の通りである。図35〜図40によると、実験例7、9および11の判定用試薬は、概ね100時間程度保存した後でも吸光度が実質的に変化せず、保存安定性が良好である。したがって、実験例7、9および11の判定用試薬は、上述の判定装置41の試薬タンク111に比較的長時間貯蔵しながら利用することができる。
【0069】
【表4】
【0070】
また、実験例7、9および11の判定用試薬については、上記の方法と同様にして、より長期間の保存安定性を調べた。結果を図41に示す。図41において、縦軸のモル吸光係数比は、図34と同じ意味である。図41によると、実験例7の判定用試薬は、55℃で30日間保存しても保存安定性が良好であり、保存安定性の点において特に優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の一形態に係る給水装置が採用されたボイラシステムの概略図。
【図2】前記給水装置において採用された判定装置の概略図。
【図3】前記給水装置の動作フローチャート。
【図4】実験例の評価2において、実験例1の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図5】実験例の評価2において、実験例1の試薬について作成した検量線を示す図。
【図6】実験例の評価2において、実験例2の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図7】実験例の評価2において、実験例2の試薬について作成した検量線を示す図。
【図8】実験例の評価2において、実験例3の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図9】実験例の評価2において、実験例3の試薬について作成した検量線を示す図。
【図10】実験例の評価2において、実験例4の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図11】実験例の評価2において、実験例4の試薬について作成した検量線を示す図。
【図12】実験例の評価2において、実験例5の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図13】実験例の評価2において、実験例5の試薬について作成した検量線を示す図。
【図14】実験例の評価2において、実験例6の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図15】実験例の評価2において、実験例6の試薬について作成した検量線を示す図。
【図16】実験例の評価2において、実験例7の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図17】実験例の評価2において、実験例7の試薬について作成した検量線を示す図。
【図18】実験例の評価2において、実験例8の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図19】実験例の評価2において、実験例8の試薬について作成した検量線を示す図。
【図20】実験例の評価2において、実験例9の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図21】実験例の評価2において、実験例9の試薬について作成した検量線を示す図。
【図22】実験例の評価2において、実験例10の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図23】実験例の評価2において、実験例10の試薬について作成した検量線を示す図。
【図24】実験例の評価2において、実験例11の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図25】実験例の評価2において、実験例11の試薬について作成した検量線を示す図。
【図26】実験例の評価2において、実験例12の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図27】実験例の評価2において、実験例12の試薬について作成した検量線を示す図。
【図28】実験例の評価3において、実験例1の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図29】実験例の評価3において、実験例2の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図30】実験例の評価3において、実験例3の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図31】実験例の評価3において、実験例4の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図32】実験例の評価3において、実験例5の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図33】実験例の評価3において、実験例6の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図34】実験例の評価3において、実験例1〜5の試薬についての長期保存安定性を調べた結果を示す図。
【図35】実験例の評価3において、実験例7の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図36】実験例の評価3において、実験例8の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図37】実験例の評価3において、実験例9の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図38】実験例の評価3において、実験例10の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図39】実験例の評価3において、実験例11の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図40】実験例の評価3において、実験例12の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図41】実験例の評価3において、実験例7、9および10の試薬についての長期保存安定性を調べた結果を示す図。
【符号の説明】
【0072】
4 給水装置
40 給水経路
41 判定装置
42 第二電磁弁
100 容器
102 導入路
110 試薬供給装置
120 透過率測定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置、特に、水の供給源から水の利用系に対して水を供給するための給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラへの給水として用いられる水道水などの原水は、通常、ボイラ内での腐食やスケールの発生を防止するために、溶存酸素を除去する脱酸素処理および硬度成分、すなわちカルシウムやマグネシウムを除去する軟水化処理が施されている。ここで、脱酸素処理は、通常、原水を分離膜で処理することにより実施されている。また、軟水化処理は、通常、原水をイオン交換樹脂で処理することにより実施されている。
【0003】
ところで、水道水などの原水は、鉄分を含む場合がある。この鉄分は、脱酸素処理で用いる分離膜を目詰まりさせ、原水の脱酸素処理効率を損なう可能性があり、また、軟水化処理で用いるイオン交換樹脂に吸着し、原水の軟水化を妨げる可能性がある。そこで、ボイラ給水として用いられる原水は、通常、脱酸素処理および軟水化処理する前に、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライトをろ材に使用した塔式ろ過装置や砂ろ過装置等の除鉄装置により、鉄分を除去するのが好ましい。すなわち、ボイラへの給水経路は、除鉄装置の後段に脱酸素装置および軟水化装置を備えているのが好ましい。
【0004】
上述のような給水経路では、除鉄装置の不具合等の理由により、原水中の鉄分の一部が除去されない場合もある。この場合は、脱酸素装置および軟水化装置において上述のような不具合を引き起こし、脱酸素装置の分離膜や軟水化装置のイオン交換樹脂の寿命を損なうおそれがある。このため、このような給水経路においては、通常、除鉄装置を通過後の原水を定期的に採取し、採取された原水における鉄分の存否を判定するのが好ましい。
【0005】
ところで、ボイラ給水用の原水等の水中における鉄分の存否の判定方法として、非特許文献1は、1,10−フェナントロリンによる吸光光度法を提示している。この方法では、先ず、被試験水中の鉄分を酸で溶解し、三価鉄イオンを塩酸ヒドロキシルアミンで二価鉄イオンへ還元する(第一工程)。そして、被試験水に対し、二価鉄イオンと反応して橙赤色の錯化合物を生成する1,10−フェナントロリンを添加する(第二工程)。ここで、被試験水が錯化合物による橙赤色へ変色した場合、被試験水に鉄分が存在するものと判定することができ、また、被試験水の変色量を吸光光度法により測定すると、被試験水の鉄分濃度を求めることもできる。一方、被試験水が変色しない場合、被試験水は鉄分を含まないものと判定することができる。
【0006】
しかし、上述の判定方法は、塩酸ヒドロキシルアミンを用いる第一工程と、1,10−フェナントロリンを用いる第二工程との二つの工程を手作業で実施する必要があるため、判定工程が煩雑で長時間を要する。したがって、この方法によりボイラへの給水において鉄分の存在を確認することができるのは、鉄分を含む大量の原水が脱酸素装置および軟水化装置へ既に供給されてしまってからであり、給水の停止処置などの速やかな対処を図るのは実質的に困難である。
【0007】
本発明の目的は、水中における鉄分の存否を自動的に確認しながら、水の供給源から水の利用系に対して水を供給できるようにすることにある。
【0008】
【非特許文献1】日本水道協会発行、「上水試験方法 2001年版」、340〜342頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の給水装置は、水の供給源から水の利用系に対して水を供給するためのものであり、供給源から利用系へ水を供給するための給水経路と、給水経路を通じて利用系へ供給される水における鉄分の存否を光学的に判定するための判定装置とを備えている。
【0010】
この給水装置において、供給源からの水は、給水経路を通じて利用系へ供給される。この際、利用系へ供給される水は、判定装置により鉄分の存否が光学的に判定される。このため、この給水装置においては、鉄分の存否を自動的に確認しながら、水の供給源から水の利用系に対して水を供給することができる。
【0011】
この給水装置において用いられる判定装置は、例えば、容器と、給水経路から分岐しかつ利用系へ供給される水の一部を容器へ導入するための導入路と、鉄分と反応した場合に発色物質を生成する試薬を容器へ供給するための試薬供給装置と、容器において発色物質の有無を光学的に判定するための判定手段とを備えている。ここで用いられる試薬は、三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元するための第一剤と、第一剤と混合された、二価鉄イオンと反応して発色物質を生成する第二剤とを含んでいる。
【0012】
この判定装置において、給水経路を通じて利用系へ供給される水の一部は、導入路から容器へ導入される。そして、容器内に導入された水に対し、試薬供給装置が試薬を供給する。供給された試薬は、水中に鉄分が含まれる場合、発色物質を生成する。具体的には、容器内の水が三価鉄イオン(Fe3+)の鉄分のみ若しくは三価鉄イオンおよび二価鉄イオン(Fe2+)の両方の鉄分を含む場合、水中の三価鉄イオンは、第一剤により二価鉄イオンへ還元される。そして、このようにして生成した二価鉄イオンおよび水中に最初から含まれていた二価鉄イオンは、第二剤と反応して発色物質を生成する。また、容器内の水が二価鉄イオンの鉄分のみを含む場合、当該二価鉄イオンは、第二剤と反応して発色物質を生成する。これに対し、容器内の水が鉄分を含まない場合、当該水は、試薬を添加しても第二剤との反応により発色物質を生成しない。判定手段は、容器内における発色物質の有無を光学的に判定し、容器内の水における鉄分の存否を確認する。
【0013】
この判定装置において用いられる判定手段は、例えば、光線を容器へ向けて照射し、容器を通過した当該光線の透過率に基づいて発色物質の有無を判定する。また、上述の判定装置において用いられる試薬は、例えば、第一剤として塩酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキノン、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトおよびアスコルビン酸からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含み、かつ、第二剤として4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン二スルホン酸およびそのアルカリ金属塩並びに2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジンからなる群から選ばれた一つの化合物を含んでいる。このような試薬は、第一剤と第二剤とが反応しにくく、保存安定性が優れているため、水中における鉄分の存否を誤判定する可能性が小さい。
【0014】
本発明の給水装置において、給水経路は、例えば、判定装置での判定結果に基づいて作動する、水の供給を遮断するための遮断装置を有している。
【0015】
この場合、給水装置は、判定装置が利用系へ供給する水中における鉄分の存在を確認すると、遮断装置が作動し、利用系に対する水の供給を自動的に停止する。したがって、この給水装置は、鉄分を含む水が利用系に与える影響を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の給水装置は、上述のような判定装置を備えているため、供給中の水中における鉄分の存否を自動的に確認しながら、水の供給源から水の利用系に対して水を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る給水装置が採用されたボイラシステムを説明する。図において、ボイラシステム1は、原水予備処理装置2(水の供給源の一例)と、ボイラ装置3(水の利用系の一例)と、原水予備処理装置2とボイラ装置3との間に配置された、原水予備処理装置2からボイラ装置3へ給水するための給水装置4とを主に備えている。
【0018】
原水予備処理装置2は、水道水や地下水などの水源から延びる原水供給路20と除鉄装置21とを主に備えている。除鉄装置21は、原水供給路20からの原水中に含まれる鉄分を除去するためのものであり、例えば、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライトをろ材(図示省略)に使用した塔式ろ過装置や砂ろ過装置である。
【0019】
ボイラ装置3は、ボイラ本体30と、給水処理装置31とを主に備えている。給水処理装置31は、ボイラ本体30と接続された給水路32を有しており、この給水路32は、給水装置4側から順に軟水化装置33および脱酸素装置34を備えている。軟水化装置33は、給水装置4からの給水に含まれる硬度分、すなわちカルシウムやマグネシウムを除去するためのものであり、硬度分を捕捉するためのイオン交換樹脂(図示省略)を備えている。また、脱酸素装置34は、給水装置4からの給水に含まれる溶存酸素を除去するためのものであり、給水中の溶存酸素を分離するための分離膜(図示省略)を備えている。
【0020】
給水装置4は、原水予備処理装置2において予備処理された原水をボイラ装置3へ供給するためのものであり、給水経路40と判定装置41とを主に備えている。給水経路40は、原水予備処理装置2の除鉄装置21から延びており、また、ボイラ装置3の給水路32と連絡している。また、給水経路40は、第一電磁弁42(遮断装置の一例)を有している。
【0021】
判定装置41は、原水予備処理装置2からの原水(以下、この原水を「給水」と云う)中における鉄分の存否を光学的に判定するためのものであり、図2に示すように、容器100、試薬供給装置110、透過率測定装置120(判定手段の一例)および制御装置130を主に備えている。
【0022】
容器100は、鉄分の存否の判定対象となる給水試料を貯留するためのものであり、例えば、石英ガラスなどの透光性を有する無色透明の材料を用いて形成された、底部を有する円筒状のものである。容器100の容量は、通常、1〜10ミリリットルが好ましい。容器100の上端部は、栓101により気密に封止されている。また、この容器100は、給水試料を内部へ導入するための導入路102と、給水試料を外部へ排出するための排出路103とを備えている。導入路102は、給水経路40から分岐しており(図1)、給水試料の導入を制御するための第二電磁弁104を有している。また、導入路102の先端は、栓101を通じて容器100内の底部へ向けて延びている。排出路103は、栓101から容器100の外部へ向けて延びている。
【0023】
上述の容器100は、マグネチックスターラー105上に配置されており、また、底部には、磁石を内蔵した攪拌子106が配置されている。
【0024】
試薬供給装置110は、容器100内に貯留された給水試料に対して鉄分の存否を判定するための試薬(以下、「判定用試薬」と云う)を供給するためのものであり、判定用試薬を貯蔵するための試薬タンク111と、試薬タンク111から容器100内へ延びる試薬供給路112とを備えている。試薬供給路112は、栓101を通じて容器100内へ延びており、試薬タンク111内の判定用試薬を容器100内へ送り出すための試薬ポンプ113と、逆止弁114とを有している。試薬タンク111内に貯蔵される判定用試薬の詳細については後述する。
【0025】
透過率測定装置120は、容器100の底部近傍に配置された発光ダイオードなどの発光素子121と、容器100を挟んで発光素子121と対向する、フォトトランジスタ等の受光素子122とを主に備えており、発光素子121から照射されかつ容器2を通過する光線の透過率を測定するためのものである。
【0026】
制御装置130は、判定装置41の動作を制御するためのコンピュータ装置であり、中央処理装置(CPU)、判定装置41の動作プログラムを記憶している読出専用記憶装置(ROM)、各種の情報を記憶するための書換可能記憶装置(RAM)および入出力ポートを主に備えている。入出力ポートの入力側には、判定装置41に対して各種の動作指令を入力するための操作盤および受光素子122などが連絡している。一方、入出力ポートの出力側には、発光素子121、各電磁弁42,104、マグネチックスターラー105、試薬ポンプ113および鉄分の判定結果等を表示するための表示装置などが連絡している。
【0027】
上述の判定装置41の試薬タンク111に貯蔵される判定用試薬は、鉄分の還元剤として機能する第一剤と、鉄分の発色剤として機能する第二剤とを混合した液状のものである。第一剤は、三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元するためのものであり、そのような還元作用を有する各種の化合物である。このような化合物としては、例えば、塩酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキノン、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトおよびアスコルビン酸を挙げることができる。これらの化合物は、本発明の目的を損なわない範囲において、適宜、二種以上を混合して用いることもできる。
【0028】
一方、第二剤は、二価鉄イオンと反応して発色するものであり、そのような発色作用を有する各種の化合物である。このような化合物としては、例えば、o−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン二スルホン酸(DPP)およびそのアルカリ金属塩、2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジン(TPTZ)、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5−[N−n−プロピル−N−(3−スルホプロピル)アミノ]フェノール(Nitro−PAP)およびそのアルカリ金属塩並びに3−(2−ピリジル)−5,6−ビス(4−スルホフェニル)−1,2,4−トリアジン(PDT)およびそのアルカリ金属塩を挙げることができる。但し、第二剤は、判定用試薬の保存安定性の観点から、常温において第一剤との反応性を実質的に有していないものが好ましい。ここで、「常温」とは、5〜50℃の温度範囲を意味する。このような条件を備えた第二剤として好ましいものは、第一剤として上記の例示のもののいずれかを用いる場合、DPP若しくはそのアルカリ金属塩またはTPTZである。
【0029】
このような判定用試薬は、通常、第一剤および第二剤を適量の水に溶解して混合すると調製することができる。ここでは、第一剤と第二剤とを予め混合してから水に溶解してもよいし、第一剤および第二剤のうちの一方を最初に水に溶解した後、他方をさらに添加して溶解するようにしてもよい。この際、水に対する第一剤若しくは第二剤の溶解性を高めるために、塩酸などの酸を添加してもよい。また、利用する第二剤が特定のpH範囲においてのみ発色するような場合、当該pH範囲に調整するためのpH調整剤や緩衝剤を併せて混合することもできる。第一剤と第二剤との混合割合は、特に限定されるものではないが、通常、第二剤1重量部に対し、第一剤が10〜100重量部である。
【0030】
判定用試薬における第一剤と第二剤との組合せとして好ましいものは、次の形態のものである。
形態1
第二剤としてDPPの二ナトリウム塩を用い、第一剤として塩酸ヒドロキシルアミン、チオ硫酸ナトリウム若しくはピロ亜硫酸ナトリウムを用いたもの。この場合、第二剤1重量部に対し、第一剤を55〜65重量部用いるのが好ましい。
形態2
第二剤としてTPTZを用い、第一剤として塩酸ヒドロキシルアミンを用いたもの。この場合、第二剤1重量部に対し、第一剤を15〜25重量部用いるのが好ましい。
これらの形態の判定用試薬は、保存安定性が良好であり、試薬タンク111において、数ヶ月単位の長期間保存も可能である。
【0031】
上述のような判定用試薬は、三価鉄イオン(Fe3+)の鉄分のみ若しくは三価鉄イオンおよび二価鉄イオン(Fe2+)の両方の鉄分を含む水中へ添加した場合、第一剤が三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元する。そして、第二剤は、このようにして生成した二価鉄イオンおよび水中に最初から含まれていた二価鉄イオンと反応して発色物質を生成する。また、二価鉄イオンの鉄分のみを含む水中へ添加した場合、第二剤が当該二価鉄イオンと反応して発色物質を生成する。一方、判定用試薬を鉄分を含まない水中へ添加した場合、当該水は、第二剤と反応する二価鉄イオンを含まないため発色物質を生成しない。
【0032】
このため、上記試薬を添加した水が発色試薬により変色した場合、当該水は鉄分を含むものと判定することができる。一方、当該水に発色物質が生成しない場合、当該水は変色せず、鉄分を含まないものと判定することができる。
【0033】
判定装置41は、第一剤と第二剤とを混合した上述のような判定用試薬を用いているため、複数の試薬タンクを設ける必要がなく、簡素にかつ小型に構成することができる。
【0034】
次に、図3に示す動作プログラムのフローチャートに基づいて、給水装置4の動作を説明する。ここでは、判定装置41で用いる判定用試薬として上述の形態1のものを用い、また、発光素子121として、判定用試薬の第二剤(すなわち、DPPの二ナトリウム塩)と二価鉄イオンとの反応により生成する発色物質により透過率が変化する緑色の光線を照射可能な緑色LED(緑色発光ダイオード)を用いる場合について説明する。
【0035】
制御装置130において判定装置41の電源をONにすると、動作プログラム(以下、単に「プログラム」と云う)は、ステップS1において、第一電磁弁42を開放した状態に設定し、また、第二電磁弁104を閉鎖した状態に設定する等の初期設定動作を実施する。これにより、原水予備処理装置2において、原水供給路20からの水は、除鉄装置21により鉄分が取り除かれ、原水供給路20側の水圧により給水経路40へ給水として供給される。給水経路40へ供給された給水は、原水供給路20側の水圧によりボイラ装置3の給水路32へ供給され、軟水化装置33および脱酸素装置34においてそれぞれ軟水化処理および脱酸素処理が施されてボイラ本体30へ供給される。
【0036】
次に、プログラムは、ステップS2において、制御装置130の内部タイマーの経過時間tを0に設定する。そして、次のステップS3において、経過時間tが所定の経過時間Tに到達したか否かを判断する。経過時間tがTに到達していないとき、プログラムはそのまま待機状態となり、給水装置4は、原水予備処理装置2からボイラ装置3への給水を継続する。
【0037】
一方、ステップS3において、経過時間tがTに到達したものと判断したとき、プログラムは、ステップS4へ移行して内部タイマーの経過時間tを0にリセットした後、ステップS5において、判定装置41の容器100への採水工程を実行する。ここでは、第二電磁弁104を一定時間開放し、給水経路40を原水予備処理装置2からボイラ装置3へ流れる給水の一部を導入路102を通じて容器100内へ導入する。この結果、容器100内には、給水の一部が給水試料として採取される。
【0038】
採水工程の終了後、プログラムは、ステップS6へ移行し、採取した給水試料の透過率を測定する。ここでは、発光素子121を点灯し、その光線(緑色光線)を容器100へ照射する。容器100へ照射された光線は、給水試料を透過し、受光素子122により受光される。そして、プログラムは、受光素子122からの出力に基づいて光線の透過率(I)を測定する。以下、ここで測定される透過率を「参照透過率」と云う。
【0039】
次に、プログラムは、ステップS7へ移行し、試薬注入工程を実行する。ここでは、マグネチックスターラー105を一定時間作動させ、容器100内の給水試料を攪拌する。また、試薬ポンプ113を作動させ、試薬タンク111内に貯蔵された判定用試薬を試薬供給路112を通じて容器100内へ供給する。判定用試薬の供給量は、特に限定されるものではないが、通常、給水試料1ミリリットルに対し、10〜20マイクロリットルの割合に設定するのが好ましい。
【0040】
容器100内へ供給された判定用試薬は、攪拌子106の回転により給水試料中へ拡散する。これにより、給水試料中に鉄分が含まれる場合、判定用試薬は、当該鉄分と反応し、発色物質を生成する。一方、給水試料が鉄分を含まない場合、判定用試薬は、発色物質を生成しない。
【0041】
試薬注入工程の後、プログラムは、ステップS8へ移行し、ステップS6の場合と同様に給水試料の透過率を測定する。すなわち、発光素子121を点灯してその光線(緑色光線)を容器100へ照射し、受光素子122からの出力に基づいて光線の透過率(I1)を測定する。以下、ここで測定された透過率を「測定透過率」と云う。因みに、測定透過率は、給水試料において発色物質が生成している場合、給水試料が当該発色物質により発色するため、参照透過率よりも小さくなる。
【0042】
次のステップS9において、プログラムは、測定透過率(I1)と参照透過率(I)とを対比する。ここで、測定透過率(I1)が参照透過率(I)よりも小さいとき、給水試料は、鉄分を含んでいることになる。この場合、原水予備処理装置2(特に、除鉄装置21)に異常が発生し、原水予備処理装置2から給水装置4を通じてボイラ装置3へ供給される給水中に鉄分が含まれているものと判定することができる。
【0043】
そこで、プログラムは、ステップS10へ移行し、異常対処工程を実行する。ここでは、制御装置130の表示部に異常が発生したことを表示するとともに、第一電磁弁42を閉鎖し、給水装置4からボイラ装置3への給水を停止する。これにより、給水装置4は、ボイラ装置3において、給水中の鉄分により軟水化装置33および脱酸素装置34に不具合が生じるのを回避することができる。
【0044】
ステップS9において、測定透過率(I1)が参照透過率(I)よりも小さくないとき、給水試料は、鉄分を含んでいないものと判定することができるため、プログラムは、ステップS9からステップS11へ移行し、洗浄工程を実行する。また、ステップS10において異常対処工程が終了したときも、プログラムは、ステップS11へ移行する。洗浄工程において、プログラムは、第二電磁弁104を開放し、原水予備処理装置2からの給水の一部を導入路102を通じて容器100内へ一定時間連続的に導入する。容器100内へ連続的に導入された給水は、容器100内の給水試料を排出路103から容器100外へ押出し、容器100内を洗浄する。
【0045】
ステップS11の後、プログラムは、ステップS12へ移行し、再度透過率を測定する。ここでは、ステップS6と同様にして、容器100内の給水について透過率(I2)を測定する。ここで測定する透過率(I2)を「確認用透過率」という。
【0046】
次に、プログラムは、ステップS13へ移行し、確認用透過率(I2)と参照用透過率(I)とを対比する。ここで、確認用透過率(I2)が参照用透過率(I)よりも小さいときは、ステップS11の洗浄工程における容器100の洗浄が不十分と判断することができるため、プログラムは、ステップS11〜ステップS13を繰り返す。一方、確認用透過率(I2)が参照用透過率(I)よりも小さくないときは、ステップS11の洗浄工程において容器100が十分に洗浄されたものと判断することができるため、プログラムは、ステップS3へ戻り、ステップS3以下を繰り返す。
【0047】
したがって、給水装置4は、所定の経過時間T毎に給水経路40から給水試料を採取し、当該給水試料中における鉄分の存否を判定装置41により自動的に判定しながら、原水予備処理装置2からボイラ装置3へ給水することができる。
【0048】
[他の実施の形態]
(1)上述の実施の形態において、判定用試薬として他の形態のものを用いる場合、発光素子121として、当該判定用試薬により生成する発色物質のために透過率が低下する波長の色相の光線を照射可能なものを用いる。例えば、判定用試薬として上述の形態2のものを用いた場合、発光素子121としては、通常、黄色〜橙色の光線を照射可能なLEDを用いる。
【0049】
(2)上述の実施の形態では、判定装置41により給水試料中における鉄分の存否を単純に判定しているが、判定装置41により給水試料の鉄分濃度を測定することもできる。この場合は、水中の二価鉄イオン濃度と上述の透過率との関係を予め調べて検量線データを作成し、これを制御装置130に記憶しておく。そして、この検量線データに基づいて、測定透過率から二価鉄イオン濃度を求める。
【0050】
(3)上述の実施の形態では、給水試料における発色物質の生成を発光素子121からの光線の透過率に基づいて判定しているが、発色物質の生成は、給水試料の吸光スペクトルを測定し、その極大吸収の吸光度に基づいて判定することもできる。この場合も、水中の二価鉄イオン濃度と吸光度との関係を予め調べて検量線データを作成しておけば、当該検量線データに基づいて、給水試料の吸光度から二価鉄イオン濃度を測定することができる。また、発色物質の生成は、その他の公知の光学的手段により判定することもできる。
【0051】
(4)上述の実施の形態では、本発明の給水装置をボイラシステムにおいて用いた場合について説明したが、本発明の給水装置は、ボイラシステム以外の各種の用途、例えば、水道水用の浄化設備(水の供給源)から飲用水道水の供給経路(水の利用系)に対して水道水を供給するための給水装置等として用いることもできる。
【0052】
[実験例]
実験例1〜6
第二剤としてDPPの二ナトリウム塩(以下、「DPPS」と云う)を用い、これと表1に示す各種の第一剤とを混合して判定用試薬を調製した。ここでは、第一剤と第二剤とを蒸留水に溶解し、判定用試薬を調製した。第一剤、第二剤および蒸留水の各使用量は、表1に記載の通りである。また、第二剤として用いたDPPSの特性は、次の通りである。
【0053】
◎二価鉄イオンと反応可能なpH範囲:2〜9
◎二価鉄イオンと反応して発色した場合の分光スペクトルにおける極大吸収:535nm
◎モル吸光係数:22,400M−1cm−1
【0054】
実験例7〜12
第二剤としてTPTZを用い、これと表1に示す各種の第一剤を混合して判定用試薬を調製した。ここでは、第一剤と第二剤とを0.1規定塩酸水溶液に溶解し、判定用試薬を調製した。第一剤、第二剤および0.1規定塩酸水溶液の各使用量は、表1に記載の通りである。また、第二剤として用いたTPTZの特性は、次の通りである。
【0055】
◎二価鉄イオンと反応可能なpH範囲:3.4〜5.8
◎二価鉄イオンと反応して発色した場合の分光スペクトルにおける極大吸収:595nm
◎モル吸光係数:23,000M−1cm−1
【0056】
【表1】
【0057】
評価1(鉄分の存否判定)
三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.1mg/リットルの被試験水を調製した。そして、この被試験水4ミリリットルに対し、各実験例の判定用試薬40マイクロリットルを添加した。その結果、実験例1〜6の判定用試薬がそれぞれ添加された被試験水は、赤色へ変色し、また、実験例7〜12の判定用試薬がそれぞれ添加された被試験水は、青色へ変色した。また、蒸留水4ミリリットルに各実験例の判定用試薬40マイクロリットルを添加したところ、いずれの蒸留水についても変色は観察されなかった。
【0058】
これらの結果によると、実験例1〜12の判定用試薬を用いれば、水中における鉄分の存否を簡単に判定することができる。したがって、実験例1〜12の判定用試薬は、上述の実施の形態において用いられる判定装置41において利用可能である。
【0059】
評価2(鉄分濃度の測定)
三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.05mg/リットル、0.2mg/リットルおよび0.5mg/リットルにそれぞれ設定された三種類の被試験水を4ミリリットルずつ調製した。そして、これらの各被試験水に対して各実験例の判定用試薬40マイクロリットルを添加し、そのときの変色を吸光光度法により調べた。この際の分光スペクトルおよび当該分光スペクトルにおける極大吸収波長の吸光度と三価鉄イオン濃度との関係に基づいて作成した検量線を図4〜図27に示す。各実験例と各図との対応関係は、表2の通りである。
【0060】
【表2】
【0061】
図4、図6、図8、図10、図12および図14によると、実験例1〜6の判定用試薬が添加された被試験水は、535nm付近に極大吸収を有し、また、その吸光度は、三価鉄イオン濃度の高低により異なる(三価鉄イオン濃度が高いほど吸光度が大きく、三価鉄イオン濃度が低いほど吸光度が小さい)ことがわかる。そして、図5、図7、図9、図11、図13および図15によると、図4、図6、図8、図10、図12および図14の分光スペクトルに基づいてそれぞれ作成された検量線は、相関係数(R2)がほぼ1であり、信頼性が極めて高い。
【0062】
また、図16、図18、図20、図22、図24および図26によると、実験例7〜12の判定用試薬が添加された被試験水は、595nm付近に極大吸収を有し、また、その吸光度は、三価鉄イオン濃度の高低により異なる(三価鉄イオン濃度が高いほど吸光度が大きく、三価鉄イオン濃度が低いほど吸光度が小さい)ことがわかる。そして、図17、図19、図21、図23、図25および図27によると、図16、図18、図20、図22、図24および図26の分光スペクトルに基づいてそれぞれ作成された検量線は、相関係数(R2)がほぼ1であり、信頼性が極めて高い。
【0063】
以上の結果によると、実験例1〜12の判定用試薬は、被試験水中の鉄分濃度の測定のためにも有用であり、上述の実施の形態において用いられる判定装置41において、給水試料の鉄分濃度を測定するためにも利用可能である。
【0064】
評価3(保存安定性)
(実験例1〜6について)
実験例1〜6の判定用試薬について、保存安定性を調べた。ここでは、三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.5mg/リットルの被試験水を調製した。そして、この被試験水4ミリリットルに対して実験例1〜6の判定用試薬40マイクロリットルを添加し、535nmの吸光度を測定した。ここで用いた判定用試薬は、調製直後のもの、55℃で5時間保存したもの、同温度で25時間保存したものおよび同温度で100時間保存したもの(実験例6を除く)である。結果を図28〜図33に示す。実験例1〜6と図との対応関係は表3の通りである。図28〜図33によると、実験例1〜5の判定用試薬は、調製直後のものと100時間保存したものとで吸光度がほぼ同じであり、保存安定性が良好である。したがって、実験例1〜5の判定用試薬は、上述の判定装置41の試薬タンク111に比較的長時間貯蔵しながら利用することができる。
【0065】
【表3】
【0066】
また、実験例1〜5の判定用試薬については、上記の方法と同様にして、より長期間の保存安定性を調べた。結果を図34に示す。図34において、縦軸のモル吸光係数比は、被試験水において発色した第二剤のモル吸光係数(測定値)と第二剤のモル吸光係数の理論値との比(測定値/理論値)を意味し、数値が高いほど判定用試薬の保存安定性が良好なことを示している。
【0067】
図34によると、実験例1、実験例2および実験例3の判定用試薬は、55℃で30日間保存しても保存安定性が良好であり、保存安定性の点において特に優れていることがわかる。
【0068】
(実験例7〜12について)
実験例7〜12の判定用試薬について、保存安定性を調べた。ここでは、三価鉄イオン濃度が100mg/リットルである和光純薬工業株式会社製の鉄標準液を蒸留水で希釈し、三価鉄イオン濃度が0.5mg/リットルの被試験水を調製した。そして、この被試験水4ミリリットルに対して実験例7〜12の判定用試薬40マイクロリットルを添加し、595nmの吸光度を測定した。ここで用いた判定用試薬は、調製直後のもの、55℃で5時間保存したもの、同温度で25時間保存したものおよび同温度で100時間保存したもの(実験例10、12を除く)である。結果を図35〜図40に示す。実験例7〜12と図との対応関係は表4の通りである。図35〜図40によると、実験例7、9および11の判定用試薬は、概ね100時間程度保存した後でも吸光度が実質的に変化せず、保存安定性が良好である。したがって、実験例7、9および11の判定用試薬は、上述の判定装置41の試薬タンク111に比較的長時間貯蔵しながら利用することができる。
【0069】
【表4】
【0070】
また、実験例7、9および11の判定用試薬については、上記の方法と同様にして、より長期間の保存安定性を調べた。結果を図41に示す。図41において、縦軸のモル吸光係数比は、図34と同じ意味である。図41によると、実験例7の判定用試薬は、55℃で30日間保存しても保存安定性が良好であり、保存安定性の点において特に優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の一形態に係る給水装置が採用されたボイラシステムの概略図。
【図2】前記給水装置において採用された判定装置の概略図。
【図3】前記給水装置の動作フローチャート。
【図4】実験例の評価2において、実験例1の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図5】実験例の評価2において、実験例1の試薬について作成した検量線を示す図。
【図6】実験例の評価2において、実験例2の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図7】実験例の評価2において、実験例2の試薬について作成した検量線を示す図。
【図8】実験例の評価2において、実験例3の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図9】実験例の評価2において、実験例3の試薬について作成した検量線を示す図。
【図10】実験例の評価2において、実験例4の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図11】実験例の評価2において、実験例4の試薬について作成した検量線を示す図。
【図12】実験例の評価2において、実験例5の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図13】実験例の評価2において、実験例5の試薬について作成した検量線を示す図。
【図14】実験例の評価2において、実験例6の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図15】実験例の評価2において、実験例6の試薬について作成した検量線を示す図。
【図16】実験例の評価2において、実験例7の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図17】実験例の評価2において、実験例7の試薬について作成した検量線を示す図。
【図18】実験例の評価2において、実験例8の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図19】実験例の評価2において、実験例8の試薬について作成した検量線を示す図。
【図20】実験例の評価2において、実験例9の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図21】実験例の評価2において、実験例9の試薬について作成した検量線を示す図。
【図22】実験例の評価2において、実験例10の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図23】実験例の評価2において、実験例10の試薬について作成した検量線を示す図。
【図24】実験例の評価2において、実験例11の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図25】実験例の評価2において、実験例11の試薬について作成した検量線を示す図。
【図26】実験例の評価2において、実験例12の試薬について測定した分光スペクトルを示す図。
【図27】実験例の評価2において、実験例12の試薬について作成した検量線を示す図。
【図28】実験例の評価3において、実験例1の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図29】実験例の評価3において、実験例2の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図30】実験例の評価3において、実験例3の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図31】実験例の評価3において、実験例4の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図32】実験例の評価3において、実験例5の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図33】実験例の評価3において、実験例6の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図34】実験例の評価3において、実験例1〜5の試薬についての長期保存安定性を調べた結果を示す図。
【図35】実験例の評価3において、実験例7の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図36】実験例の評価3において、実験例8の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図37】実験例の評価3において、実験例9の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図38】実験例の評価3において、実験例10の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図39】実験例の評価3において、実験例11の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図40】実験例の評価3において、実験例12の試薬についての保存安定性を調べた結果を示す図。
【図41】実験例の評価3において、実験例7、9および10の試薬についての長期保存安定性を調べた結果を示す図。
【符号の説明】
【0072】
4 給水装置
40 給水経路
41 判定装置
42 第二電磁弁
100 容器
102 導入路
110 試薬供給装置
120 透過率測定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の供給源から水の利用系に対して水を供給するための給水装置であって、
前記供給源から前記利用系へ前記水を供給するための給水経路と、
前記給水経路を通じて前記利用系へ供給される前記水における鉄分の存否を光学的に判定するための判定装置と、
を備えた給水装置。
【請求項2】
前記判定装置は、容器と、前記給水経路から分岐しかつ前記利用系へ供給される前記水の一部を前記容器へ導入するための導入路と、前記鉄分と反応した場合に発色物質を生成する試薬を前記容器へ供給するための試薬供給装置と、前記容器において前記発色物質の有無を光学的に判定するための判定手段とを備え、前記試薬は、三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元するための第一剤と、前記第一剤と混合された、二価鉄イオンと反応して前記発色物質を生成する第二剤とを含んでいる、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記判定手段は、光線を前記容器へ向けて照射し、前記容器を通過した前記光線の透過率に基づいて前記発色物質の有無を判定する、請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記試薬は、前記第一剤として塩酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキノン、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトおよびアスコルビン酸からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含み、かつ、前記第二剤として4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン二スルホン酸およびそのアルカリ金属塩並びに2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジンからなる群から選ばれた一つの化合物を含む、請求項2または3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記給水経路は、前記判定装置での判定結果に基づいて作動する、前記水の供給を遮断するための遮断装置を有している、請求項1から4のいずれかに記載の給水装置。
【請求項1】
水の供給源から水の利用系に対して水を供給するための給水装置であって、
前記供給源から前記利用系へ前記水を供給するための給水経路と、
前記給水経路を通じて前記利用系へ供給される前記水における鉄分の存否を光学的に判定するための判定装置と、
を備えた給水装置。
【請求項2】
前記判定装置は、容器と、前記給水経路から分岐しかつ前記利用系へ供給される前記水の一部を前記容器へ導入するための導入路と、前記鉄分と反応した場合に発色物質を生成する試薬を前記容器へ供給するための試薬供給装置と、前記容器において前記発色物質の有無を光学的に判定するための判定手段とを備え、前記試薬は、三価鉄イオンを二価鉄イオンへ還元するための第一剤と、前記第一剤と混合された、二価鉄イオンと反応して前記発色物質を生成する第二剤とを含んでいる、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記判定手段は、光線を前記容器へ向けて照射し、前記容器を通過した前記光線の透過率に基づいて前記発色物質の有無を判定する、請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記試薬は、前記第一剤として塩酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキノン、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトおよびアスコルビン酸からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含み、かつ、前記第二剤として4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン二スルホン酸およびそのアルカリ金属塩並びに2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジンからなる群から選ばれた一つの化合物を含む、請求項2または3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記給水経路は、前記判定装置での判定結果に基づいて作動する、前記水の供給を遮断するための遮断装置を有している、請求項1から4のいずれかに記載の給水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2006−284209(P2006−284209A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100939(P2005−100939)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】
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