説明

給水装置

【課題】環境に悪影響を与えることなく、水洗トイレ等から排出された汚水等を有効に利用する。
【解決手段】トイレから排出された汚水等を段階的に浄化する複数の浄化処理室6〜8,13〜15を有する浄化処理タンク1,2と、この浄化処理タンク1,2により浄化処理された浄化水を貯留する浄化水貯留タンク3と、この浄化水貯留タンク3内に加圧ガスを供給して浄化水貯留タンク3内から押し出された浄化水を、水洗トイレ9の給水タンク31および消火栓35等からなる被給水部に圧送する圧送手段5とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレから排出された汚水等を段階的に浄化処理された浄化水を有効に利用する給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、FRP製外殻の内部を隔壁により仕切って複数の空間を形成し、下部の部屋には、これらの設備から排出される汚水を溜める沈殿タンクを設け、さらに上記上部の部屋および下部の部屋と隣接して上記汚水を生物処理する合併処理浄化槽を設置して汚水を処理するとともに、上記FRP製外殻の外部には上記汚水の処理設備を含む各種負荷電源に電力を供給する自家発電設備を取り付けた可搬式の合併処理浄化槽付仮設ハウスが知られている。
【特許文献1】特開2003−64894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示された合併処理浄化槽付仮設ハウスでは、上部の部屋に設置された水洗トイレに対して近隣の水道設備や湧き水、雨水等を使用するように構成されているため、地震等からなる災害の発生時等に上記水道設備等からの給水が遮断されると、上記水洗トイレを使用することが不可能になるという問題がある。また、上記合併処理浄化槽により浄化処理された処理水を河川等に放流するようにしているため、上記合併処理浄化槽の処理能力が不充分であれば環境汚染が発生し、処理能力を高度に設定した場合においても上記放流水により河川等が富栄養化される虞がある等の問題があった。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、環境に悪影響を与えることなく、水洗トイレ等から排出された汚水等を有効に利用することができる給水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、トイレから排出された汚水等を段階的に浄化する複数の浄化処理室を有する浄化処理タンクと、この浄化処理タンクにより浄化処理された浄化水を貯留する浄化水貯留タンクと、この浄化水貯留タンク内に加圧ガスを供給して浄化水貯留タンク内から押し出された浄化水を被給水部に圧送する圧送手段とを備えたものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の給水装置において、上記圧送手段に、加圧ガスを貯留する蓄圧タンクと、この蓄圧タンクに貯留された加圧ガスを必要に応じて上記浄化水貯留タンクに供給する供給管とを設けたものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の給水装置において、飲料水を貯留する飲料水貯留タンクと、この飲料水貯留タンク内に加圧ガスを供給して飲料水貯留タンク内から押し出された浄化水を被給水部に圧送する圧送手段とを備えたものである。
【0008】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載の給水装置において、被給水部に浄化水を供給する浄化水の供給タンクを被給水部よりも高所に設け、災害発生時に圧送手段を介して浄化水貯留タンク内に加圧ガスを供給することにより浄化水貯留タンク内から押し出された浄化水を上記浄化水の供給タンクに圧送するように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
上記請求項1に係る発明によれば、地震等からなる災害の発生時等に、上記圧送手段から浄化水貯留タンク内に加圧ガスを供給することにより、この浄化水貯留タンク内の浄化水を、水洗トイレの給水タンクおよび消火栓等からなる被給水部に供給することができるため、浄化水貯留タンク内に貯留された洗浄水の有効利用を図ることができる。
【0010】
上記請求項2に係る発明によれば、地震等からなる災害の発生時等に、蓄圧タンクに貯留された加圧ガスを上記浄化水貯留タンクに供給することにより、この浄化水貯留タンク内の浄化水を被給水部に対して簡単かつ迅速に圧送できるという利点がある。
【0011】
上記請求項3に係る発明によれば、地震等からなる災害の発生時等に、上記圧送手段から飲料水貯留タンク内に加圧ガスを供給することにより、この飲料水貯留タンク内の浄化水を被給水部に供給することができるため、ライフラインが回復されるまでの間、上記飲料水貯留タンクを利用して飲料水を確保できるという利点がある。
【0012】
上記請求項4に係る発明によれば、地震等からなる災害の発生時等に、上記圧送手段から浄化水貯留タンク内に加圧ガスを供給して浄化水貯留タンク内から押し出された浄化水を、高所に位置する浄化水の供給タンク内に圧送することにより、給水ラインを気密状態に維持する等の煩雑な構成を採用することなく、上記供給タンク内に圧送されて貯留された浄化水を長期間に亘り有効に利用できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明に係る給水装置の実施形態を示している。この給水装置は、鋼板材、アルミニウム合金材、ステンレス鋼材、プラスチック材、PC(プレストレスコンクリート)材、鉄筋コンクリート材、FRP(繊維強化プラスチック)材またはプラスチック材等により形成された複数の浄化処理室6〜8を有する第1浄化処理タンク1と、この第1浄化処理タンク1から導出された処理水を浄化処理する複数の浄化処理室13〜15および浄化水を貯留する浄化水貯留室16を有する第2浄化処理タンク2と、この第2浄化処理タンク2から導出された浄化水を貯留する浄化水貯留タンク3と、水道水等の飲料水を貯留する飲料水貯留タンク4と、上記浄化水貯留タンク3内の浄化水および飲料水貯留タンク4内の飲料水を必要に応じて被給水部に圧送する圧送手段5とを備えている。
【0014】
上記第1浄化処理タンク1は、最上流部に位置する沈殿分離室からなる最上流浄化処理室6と、その下流側に位置する接触ばっ気処理室からなる第2浄化処理室7と、その下流側に位置する沈殿室からなる第3浄化処理室8とを有し、家屋または公衆便所等に設置された水洗トイレ9の便器10から排出管11を介して導出された汚水等が上記最上流浄化処理室6内に導入されるようになっている。
【0015】
また、上記第2浄化処理タンク2は、第1浄化処理タンク1から連結管12を介して導出された処理水が導入される第1の接触濾過室からなる第4浄化処理室13と、この第4浄化処理室13の下流側に位置する第2の接触濾過室からなる第5浄化処理室14と、この第5浄化処理室14の下流側に位置する沈殿濾過室からなる最下流浄化処理室15と、この最下流浄化処理室15から導出された処理水を脱色処理して貯留する浄化水貯留室16とを有している。
【0016】
上記第1浄化処理タンク1の最上流浄化処理室(沈殿分離室)6は、導入された汚水中の紙および粗大異物等の汚泥成分を沈殿させて分離した後に、この分離後の処理水を上記第2浄化処理室7にオーバフローさせて導出するとともに、この第2浄化処理室7に浮遊物が流失するのをバッフルプレート17により阻止するように構成されている。なお、上記最上流浄化処理室6において沈殿した固形分は、定期的(例えば1年毎)に外部に吸い出されて処理される。
【0017】
上記第2浄化処理室8(接触ばっ気室)には、従来周知の図示を省略したプラスチック製接触材および濾過膜材が設置されるとともに、ブロア18から供給された空気を上記プラスチック製接触材の下方に放出する散気管19が接続されている。そして、上記最上流浄化処理室7の上部からオーバフローすることにより第2浄化処理室8内に導入された処理水が、散気管19から放出された空気によって撹拌されつつ、上記プラスチック製接触材に付着して生息した微生物により上記分離水中の汚泥成分が分解処理されるとともに、濾過膜材により濾過処理されるように構成されている。
【0018】
また、上記第2浄化処理室7内において浄化処理された処理水は、連通路を介して第3浄化処理室8(沈殿室)内に導入されることにより沈殿処理される。この第3浄化処理室8内において沈殿処理された処理水は、上記連結管12を介して上記第2浄化処理タンク2内にオーバフローすることにより、上記第4浄化処理室13および第5浄化処理室14内に順次導入されるようになっている。この第4,第5浄化処理室(接触濾過室)13,14内には、メッシュ状の袋体内にカキ、ホタテ貝、ホッキ貝、真珠貝、アサリ、シジミ、はまぐり、アオヤギ、カラス貝、サザエ、ミル貝もしくは貝化石等からなる貝殻、または死滅して白化した珊瑚が収容されてなる貝殻・珊瑚製接触材(図示せず)が充填されるとともに、その下方にブロア18から供給された空気を放出する散気管20が接続されている。
【0019】
そして、上記第4,第5浄化処理室13,14内に導入された処理水は、散気管20から放出された空気によって撹拌されつつ、上記貝殻・珊瑚製接触材に付着した状態で生息する微生物により、上記処理水中の汚泥成分が分解処理される。また、上記第5浄化処理室14において浄化処理された処理水は、その下端部から最下流浄化処理室15に導出される。この最下流浄化処理室(沈殿濾過室)15は、多孔質体からなるゼオライトが収容された濾過体(図示せず)を有し、上記第5浄化処理室14から導出された処理水中の不純物を沈殿させて汚水と上澄み水とに分離するとともに、この上澄み水中の微細な不純物を上記濾過体により濾過して浄化水を生成するように構成されている。
【0020】
上記最下流浄化処理室15において生成された浄化水は、上記浄化水貯留室16内にオーバフローして導出される。この浄化水貯留室16には、図2に示すように、複数の透孔が形成された仕切り板21,22が上下に設置された吸着筒23と、この吸着筒23内の仕切り板21,22間に配設された活性炭収容体24と、浄化水貯留室16内の処理水を吸引して上記活性炭収容体24の下方部に吐出する循環ポンプ25および循環パイプ26を有する循環手段27とが設けられている。上記活性炭収容体24は、布材等からなる袋体内に石炭系の活性炭が充填されることにより構成されている。上記循環手段27により活性炭収容体24の下方部に吐出された処理水が、上記吸着筒23内を通って上記浄化水貯留室16内を循環するとともに、その際に、活性炭収容体24内の石炭系活性炭により色素成分が吸着されて効果的に脱色されるようになっている。
【0021】
上記浄化水貯留室16において脱色処理された浄化水は、図1に示すように、その一部が給水ポンプ28および給水パイプ29を有する給水手段30によって水洗トイレ9の給水タンク31に供給されるとともに、残りが導出管32を介して上記浄化水貯留タンク3に導出されて貯留されるように構成されている。上記導出管32には、浄化水貯留タンク3内の浄化水が第2浄化処理タンク2に逆流するのを阻止するとともに、後述する加圧ガスの供給時に浄化水貯留タンク3を気密状態に維持するための逆止弁32aが設けられている。
【0022】
また、上記浄化水貯留タンク3の容量は、第1浄化処理タンク1および第2浄化処理タンク2からなる汚水浄化装置の定期点検を行う前に、この汚水浄化処理装置によって汚水が浄化処理されることにより生成された浄化水が、上記浄化水貯留タンク3からオーバフローするのを防止し得る容量に設定されている。すなわち、上記水洗トイレ9の便器10から排出管11を介して第1浄化処理タンク1の最上流浄化処理室6内に導入される汚水等は、上記汚水浄化装置により浄化処理された後に給水手段30を介して水洗トイレ9の給水タンク31に供給されることにより循環使用される処理水と、上記給水タンク31に水道等から適宜に補充される補充水と、上記水洗トイレの便器10に排出された糞尿等とからなり、この糞尿等に起因した処理水と上記補充水とに相当する量だけ処理水量が順次増大し、この増大した処理水量に相当する浄化水が上記浄化水貯留タンク3内に貯留されることになる。したがって、例えば1年毎に定期点検が行われる場合には、この間に増大した上記浄化水を上記浄化水貯留タンク3内に貯留し得るように、その容量が設定されている。
【0023】
上記圧送手段5は、空気または窒素ガス等を圧縮して加圧した加圧ガスを貯留する蓄圧タンク33と、この蓄圧タンク33内の加圧ガスを必要に応じて上記浄化水貯留タンク3に供給する第1供給管34と、上記蓄圧タンク33内の浄化水を水洗トイレ9の給水タンク31および消火栓35等からなる被給水部に圧送する第1圧送管37とを有している。また、上記圧送手段5には、蓄圧タンク33内の加圧ガスを必要に応じて上記飲料水貯留タンク4に供給する第2供給管38と、上記蓄圧タンク33内の飲料水を水道の蛇口39からなる被給水部に圧送する第2圧送管40とが設けられている。
【0024】
そして、地震等からなる災害の発生時等には、第1供給管34に設けられた開閉バルブ41を開放状態とすると、上記蓄圧タンク33から第1供給管34を介して浄化水貯留タンク3内に加圧ガスが供給され、その圧力に応じて浄化水貯留タンク3内から押し出された浄化水が、上記第1圧送管37を介して上記給水タンク31および消火栓35等に圧送される。また、上記第2供給管38に設けられた開閉バルブ42を開放状態とすると、上記蓄圧タンク33から第2供給管38を介して飲料水貯留タンク4内に加圧ガスが供給され、その圧力に応じて飲料水貯留タンク4内から押し出された飲料水が、上記第2圧送管40を介して上記水道の蛇口39等に圧送されるようになっている。
【0025】
上記構成において、水洗トイレ9の便器10から排出管11を介して第1浄化処理タンク1の最上流浄化処理室(沈殿分離室)6内に導入された汚水等は、この最上流浄化処理室6内において紙および粗大異物等の汚泥成分が沈殿分離された後、第2浄化処理室(接触ばっ気室)7内に導入される。この第2浄化処理室7内に導入された処理水は、その汚泥成分が微生物により分解処理されるとともに、第3浄化処理室(沈殿室)8に導入されて沈殿処理された後、上記第2浄化処理タンク2の第4,第5流浄化処理室(接触濾過室)13,14および最下流浄化処理室(沈殿濾過室)15を経て浄化水貯留室16内に導入されて貯留され、さらに上記浄化水貯留タンク3に導出されて貯留される。
【0026】
そして、地震等からなる災害の発生時等には、第1供給管34の開閉バルブ41を開放状態として上記蓄圧タンク33から浄化水貯留タンク3内に加圧ガスを供給することにより、浄化水貯留タンク3内の浄化水を、上記給水タンク31および消火栓35等からなる被給水部に圧送することができる。このため、上記災害の発生等により、水道水や電力等を供給するライフラインが遮断された場合においても、上記消火栓35を利用して火災の消火活動を行うとともに、上記給水タンク34内に給水して水洗トイレの継続使用を可能にすることにより、上記浄化水貯留タンク3内に貯留された洗浄水の有効利用を図ることができる。
【0027】
しかも、上記実施形態では、通常時に上記第2浄化処理タンク2の浄化水貯留室16内に貯留された浄化水の一部を、給水手段30によって水洗トイレの給水タンク31に供給するとともに、残りを上記浄化水貯留タンク3に導出して貯留し、かつこの浄化水貯留タンク3の容量を、上記第1,第2浄化処理タンク1,2からなる汚水浄化処理装置の定期点検を行う前に上記浄化水貯留タンク3から浄化水がオーバフローするのを防止し得る値に設定したため、上記浄化水を河川等に放流することなく、これを有効に利用することができる。したがって、上記汚水浄化装置により浄化処理された浄化水が放流されて環境汚染が発生したり、河川等が富栄養化したりする等の弊害を生じることなく、上記浄化水の有効利用を図ることができるという利点がある。なお、通常時に、上記浄化水貯留タンク3内に貯留された浄化水を、水耕栽培植物等からなる作物の栽培水として供給することにより、上記浄化水の有効利用を図るように構成してもよい。
【0028】
上記圧送手段5に、加圧ガスを貯留する蓄圧タンク33と、この蓄圧タンク33に貯留された加圧ガスを必要に応じて上記浄化水貯留タンク3に供給する第1供給管34とを設けてなる上記実施形態に代え、手動操作により加圧ガスを上記浄化水貯留タンク3に供給する手動式の加圧ポンプ等を利用して上記浄化水貯留タンク3内に加圧ガスを圧送するように構成してもよい。しかし、上記実施形態に示すように、蓄圧タンク33に貯留された加圧ガスを上記浄化水貯留タンク3に供給することにより、浄化水貯留タンク3内の浄化水を、上記給水タンク31および消火栓35等からなる被給水部に圧送するように構成した場合には、簡単かつ迅速に上記浄化水を被給水部に供給できるという利点がある。
【0029】
また、上記実施形態に示すように、飲料水を貯留する飲料水貯留タンク4を設け、この飲料水貯留タンク4内に上記圧送手段5から加圧ガスを供給することにより、飲料水貯留タンク4内から押し出された浄化水を水道の蛇口39等からなる被給水部に圧送するように構成した場合には、地震等からなる災害の発生時等に、ライフラインが回復されるまでの間、上記飲料水貯留タンク4を利用して飲料水を確保できるという利点がある。
【0030】
なお、図1の仮想線で示すように、上記給水タンク31および消火栓35等からなる被給水部に上記浄化水貯留タンク3内の浄化水を供給する浄化水の供給タンク43を、被給水部よりも高所に位置する家屋の屋上等に設け、地震等からなる災害の発生時等に、上記圧送手段5から浄化水貯留タンク3内に加圧ガスを供給することにより浄化水貯留タンク3内から押し出された浄化水を上記浄化水の供給タンク43内に圧送するように構成してもよい。このように構成した場合には、上記蓄圧タンク33、第1供給管34、第1圧送管37、浄化水貯留タンク3、第1圧送管37、浄化水の供給タンク43および被給水部等からなる給水ラインを気密状態に維持する等の複雑な構成を採用することなく、上記供給タンク43内に圧送されて貯留された浄化水を、水洗トイレ9の給水タンク31等からなる被給水部に供給してこの浄化水を長期間に亘り有効に利用できるという利点がある。
【0031】
また、図3に示すように、家屋の屋上等に太陽光発電施設44を設けるともに、風力発電施設45を家屋の近傍等に設け、これらの発電施設44,45により得られた電力を、電柱46を介して供給される商用電力とともに有効に利用するように構成してもよい。すなわち、上記太陽光発電施設44および風力発電施設45により得られた電力を接続端子47およびインバータ48を介して分電盤49に供給し、この分電盤49から家屋内の電気設備および上記ブロア18および給水ポンプ28等に供給するとともに、上記接続端子47からチャージコントローラ50を介して蓄電池51に供給し、この蓄電池51に充電するようにしてもよい。
【0032】
上記のように構成した場合には、地震等からなる災害の発生時等に、ライフラインである商用電力の供給が停止された場合においても、上記ブロア18および給水ポンプ28等を作動させて上記汚水浄化装置を有効に作動させることができる。また、エンジン発電機等からなる非常用の発電機52を設け、この非常用の発電機52において発生した電力を分電盤49から各所に供給するように構成してもよい。さらに、上記太陽発電施設44および風力発電施設45により得られた余分な電力を商用電力として売電するようにしてもよい。
【0033】
また、上記太陽発電施設44として集風ダクトを利用した風洞型風力発電機を使用し、この風洞型風力発電機の集風ダクト内に上記蓄圧タンク33から必要に応じて圧縮ガスを供給するように構成してもよい。このように構成した場合には、風力が弱いときに、上記蓄圧タンク33から供給される圧縮ガスの圧力を利用して風洞内の羽根を回転させることにより、効率よく電気エネルギーが得られるという利点がある。
【0034】
図4に示すように、家屋内に配設されたキッチンユニット53および風呂54等から排出された排水を、排水管55を介して第1浄化処理タンク1の最上流浄化処理室6内に導入させることにより、上記水洗トイレ9の便器10から排出された汚水等とともに浄化処理するように構成してもよい。また、地震等からなる災害の発生時等に、飲料水貯留タンク4内に貯留された飲料水(水道水)を、第2圧送管40を介してキッチンユニット53および風呂54の水道用蛇口に圧送する圧送管40に、必要に応じて水洗トイレ9の給水タンク31に上記飲料水貯留タンク4内の飲料水(水道水)を圧送する圧送管56を設けた構造としてもよい。
【0035】
さらに、図4に示す実施形態では、給水手段30の給水ポンプ28および給水パイプ29により第2浄化処理タンク2の浄化水貯留室16から導出された浄化水を、循環パイプ57を介して循環させることにより、上記活性炭収容体24が収容された吸着筒23に処理水を通過させる循環手段の循環ポンプとして上記給水ポンプ28を利用するように構成しているが、この構成に限られず、図2に示すように、別体の循環ポンプ25を有する循環手段28を設けた構成としてもよい。また、上記浄化水貯留タンク3内の浄化水を第1浄化処理タンク1の最上流浄化処理室6内に張水として供給する水中ポンプ58、送水管59および開閉弁60を有する送水手段61を設けた構造としてもよい。
【0036】
上記送水手段61を設けた場合には、上記第1,第2浄化処理タンク1,2からなる汚水浄化装置を定期点検する際等に、最上流浄化処理室6の吸引口に排水吸引手段の吸引ホース等を挿入して内部の汚水を吸引することにより、上記最上流浄化処理室6内の排水を外部に導出させるとともに、第2浄化処理室7および第3浄化処理室8等からなる浄化処理室内の処理水を順次外部に導出させた後、上記送水手段61により浄化水貯留タンク3内の浄化水を排水浄化装置内に張水として供給できるという利点がある。また、地震等の災害の発生時において、電力の供給が行われて各ポンプの駆動が可能な状態にある場合には、通常時と同様に、給水手段30の給水ポンプ28を作動させて浄化水貯留室16内の浄化水を水洗トイレ9の給水タンク31内に浄化水を供給するとともに、上記送水手段61の水中ポンプ58を利用して浄化水貯留タンク3内の浄化水を消火水や洗車水として利用し、あるいは散水することも可能である。
【0037】
なお、複数の浄化処理室6〜8を有する第1浄化処理タンク1と、この第1浄化処理タンク1から導出された処理水を浄化処理する複数の浄化処理室13〜15および浄化水を貯留する浄化水貯留室16を有する第2浄化処理タンク2と、この第2浄化処理タンク2から導出された浄化水を貯留する浄化水貯留タンク3とを別体に形成した上記実施形態に代え、上記第1,第2浄化処理タンク1,2を一体に形成するとともに、これらと浄化水貯留タンク3とを別体に形成してもよい。また、上記第1,第2浄化処理タンク1,2と浄化水貯留タンク3とを一体に形成するとともに、その最下流部に大容量の浄化水貯留室を設け、この浄化水貯留室を上記被給水部に浄化水を供給する浄化水貯留タンクとして利用するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る給水装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】浄化水貯留室に設けられた循環手段の具体的構成を示す斜視図である。
【図3】電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る給水装置の別の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 第1浄化処理タンク
2 第2浄化処理タンク
3 浄化水貯留タンク
4 飲料水貯留タンク
5 圧送手段
31 給水タンク(被給水部)
33 蓄圧タンク
34 供給管
35 消火栓(被給水部)
39 蛇口(被給水部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレから排出された汚水等を段階的に浄化する複数の浄化処理室を有する浄化処理タンクと、この浄化処理タンクにより浄化処理された浄化水を貯留する浄化水貯留タンクと、この浄化水貯留タンク内に加圧ガスを供給して浄化水貯留タンク内から押し出された浄化水を被給水部に圧送する圧送手段とを備えたことを特徴とする給水装置。
【請求項2】
上記圧送手段に、加圧ガスを貯留する蓄圧タンクと、この蓄圧タンクに貯留された加圧ガスを必要に応じて上記浄化水貯留タンクに供給する供給管とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
飲料水を貯留する飲料水貯留タンクと、この飲料水貯留タンク内に加圧ガスを供給して飲料水貯留タンク内から押し出された浄化水を被給水部に圧送する圧送手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の給水装置。
【請求項4】
被給水部に浄化水を供給する浄化水の供給タンクを被給水部よりも高所に設け、災害発生時に圧送手段を介して浄化水貯留タンク内に加圧ガスを供給することにより浄化水貯留タンク内から押し出された浄化水を上記浄化水の供給タンクに圧送するように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−177479(P2007−177479A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376025(P2005−376025)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(595173145)永和国土環境株式会社 (6)
【Fターム(参考)】