給水装置
【課題】反射式センサの投光量を減少させた場合であっても、外乱ノイズによる誤動作を低減することができる給水装置を提供。
【解決手段】投光素子12から投光し、反射光を受光素子14で受光し出力する反射式センサ10と、受光レベル24により対象物の有無を判断して吐水動作を指示する制御部20と、制御部20の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁50と、水を吐出する吐水口62と備えた給水装置において、制御部20は投光量を複数設定する投光量設定手段22と、基準レベル設定手段26と、複数の基準レベル28のそれぞれに所定のオフセットを加えた検知レベル32を複数設定し、受光レベル24がそれぞれの投光量に対応した検知レベル32よりも大きいときに検知信号を出力する検知手段34を有するとともに、制御部20は投光量設定手段22により設定された複数の投光量に切り替えて動作し、検知手段34の出力に応じて吐水動作を指示する。
【解決手段】投光素子12から投光し、反射光を受光素子14で受光し出力する反射式センサ10と、受光レベル24により対象物の有無を判断して吐水動作を指示する制御部20と、制御部20の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁50と、水を吐出する吐水口62と備えた給水装置において、制御部20は投光量を複数設定する投光量設定手段22と、基準レベル設定手段26と、複数の基準レベル28のそれぞれに所定のオフセットを加えた検知レベル32を複数設定し、受光レベル24がそれぞれの投光量に対応した検知レベル32よりも大きいときに検知信号を出力する検知手段34を有するとともに、制御部20は投光量設定手段22により設定された複数の投光量に切り替えて動作し、検知手段34の出力に応じて吐水動作を指示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関し、具体的には反射式センサの検知状況に応じて吐水および止水を自動的に行う給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射式センサを有する給水装置は、例えば、使用者の手などを検知すると吐水を行い、一方、検知しなくなり一定時間が経過すると止水を行う。そのため、反射式センサを常に稼動させておく必要がある。したがって、反射式センサを有する給水装置は、常に電力を消費していることになる。
【0003】
これに対して、給水装置の使用状態に応じて、反射式センサが有する投光素子の投光量を減少させて低消費電力化を図った給水装置がある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された給水装置は、投光量を減少させて低消費電力化を図っているが、投光量の減少に伴って、反射式センサが有する受光素子の受光量が低下するため、受光レベルの出力アンプの増幅率を増加させて、反射式センサの検知距離を一定に保っている。
【特許文献1】特開平5−247983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受光レベルの出力アンプの増幅率を増加させた場合には、例えば蛍光灯などからの外乱ノイズの受光レベルも増幅されてしまう。そのため、外乱ノイズによる影響が大きくなり、反射式センサが誤動作を起こしてしまう問題がある。すなわち、例えば蛍光灯などからの外乱ノイズを誤検知してしまい、吐水動作を行ってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、反射式センサの投光量を減少させた場合であっても、外乱ノイズによる誤動作を低減することができる給水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、投光素子から所定の投光量で対象物に投光し、その反射光を受光素子で受光し受光レベルとして出力する反射式センサと、前記受光レベルにより前記対象物の有無を判断して吐水動作を指示する制御部と、前記制御部の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁と、水を吐出する吐水口と、を備えた給水装置において、前記制御部は、前記投光素子からの投光量を複数設定する投光量設定手段と、前記複数設定されたそれぞれの投光量に対応して前記対象物を感知していない状態の受光レベルを基準レベルとして複数設定する基準レベル設定手段と、前記複数の基準レベルのそれぞれに所定のオフセットを加えた検知レベルを複数設定し、前記受光レベルがそれぞれの投光量に対応した検知レベルよりも大きいときに検知信号を出力する検知手段と、を有するとともに、前記制御部は、前記投光量設定手段により設定された複数の投光量に切り替えて動作し、前記検知手段の出力に応じて吐水動作を指示することを特徴とする給水装置である。
これにより、投光量を複数設け、それぞれの投光量ごとに基準レベルを設定し所定のオフセットを加えた値を検知レベルとするので、低消費化のためにセンサの投光量を減少させた場合でも、蛍光灯などによる外乱ノイズでの誤動作を低減することができる。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記投光量設定手段は、第1の投光量及び前記第1の投光量より小さい第2の投光量を設定できるとともに、前記制御部は、前記第2の投光量による投光動作により前記検知手段が前記検知信号を出力すると、吐水動作は指示せず前記第1の投光量に切り替えることを特徴とする。
これにより、小さな投光量による受光レベルが、検知対象物の反射によるものなのか、外乱ノイズによるものなのか、を判断できない場合は、外乱ノイズの影響を受けにくい大きな投光量に切替えて動作するので、より検出精度を向上させ誤動作を低減することができる。
【0008】
また、第3の発明は、第1または2の発明において、前記制御部は、前記所定の投光量で間欠動作を所定時間継続して動作中に、所定間隔又は無作為に前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする。
これにより、所定の投光量で間欠動作を所定期間継続して動作中であっても、投光量が切替えられた投光動作を所定間隔又は無作為に行い、それぞれの投光量に対応した基準レベルを継続して更新することによって、所定期間が長期に継続していても、投光量が切替えられた直後の基準レベルは環境の変化に対応済みなので、正確な検知動作を行うことができる。
【0009】
また、第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記制御部は、所定の期間を周期として計時を行う計時手段をさらに備え、前記制御部は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に、前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする。
これにより、夜間や早朝など決まった時間帯に周囲の照明装置の明かりが消される環境においては、その時間帯は蛍光灯などの外乱ノイズが少ないので、投光量を小さく設定しても、外乱ノイズによる誤動作の影響は少なく、投光量を小さくすることで給水装置の低消費電力化を図ることができる。
【0010】
また、第5の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記制御部は、所定の期間を周期として計時を行う計時手段と、前記周期を分割した複数の時間帯毎に前記電磁弁を開駆動した駆動回数を記憶する記憶手段と、をさらに備え、前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数に応じて所定の投光量を切り替えることを特徴とする。
これにより、実際の使用状態(電磁弁を開駆動した回数)に応じて、投光量を再設定することで実際の使用状態にあった低消費電力化も図られ、且つ使い勝手のよい給水装置を供給することができる。
【0011】
また、第6の発明は、第5の発明において、前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数が所定回数より多い時間帯に比べ前記所定回数より少ない時間帯において、前記所定の投光量を小さくすることを特徴とする。
これにより、実際の使用状態(電磁弁を開駆動した回数)が少なければ、投光量を小さくして設定することで実際の使用状態にあった低消費電力化も図られ、且つ実用上問題ない使い勝手のよい給水装置を供給することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、反射式センサの投光量を減少させた場合であっても、外乱ノイズによる誤動作を低減することができる給水装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる給水装置を例示する模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる給水装置を例示するブロック図である。
【0014】
本実施形態にかかる給水装置は、反射式センサ10と、制御部20と、給水源40と、電磁弁50と、水栓本体60とを、を備えている。反射式センサ10は、水栓本体60の内部に設けられ、投光素子12と、受光素子14と、を有している。なお、反射式センサ10は、例えば積分型センサなどと呼ばれるセンサである。但し、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0015】
制御部20は、洗面台70の下部に設けられ、投光量設定手段22と、基準レベル設定手段(以下、「基準レベル変更手段」という)26と、検知手段34と、を有している。水栓本体60は、洗面台70が有するボウル部72に臨ませて設けられた吐水口62を有している。電磁弁50は、給水源40と、吐水口62と、を連結する給水管路52に設けられている。反射式センサ10と、制御部20と、は電気信号を伝送する配線16によって接続されている。
【0016】
投光素子12は、ボウル部72に臨ませて設けられており、投光量設定手段22によって複数設定された投光量の光をボウル部72に向けて投光する。なお、投光量設定手段22によって複数設定された投光量の情報は、配線16を通して投光素子12に伝送される。投光素子12から投光された光は、例えばボウル部72や使用者の手などによって反射され、この反射光を受光素子14が受光する。受光素子14は、受光した反射光を受光レベル24という電気信号として、配線16を通して制御部20に出力する。
【0017】
制御部20が受光素子14から受け取った受光レベル24は、基準レベル変更手段26へ伝送される。基準レベル変更手段26は、受光レベル24に基づいて演算処理などを行い、基準レベル28を設定変更する。ここで、基準レベル28は、後に詳述するように、例えば使用者の手などの対象物を感知していない状態、すなわちボウル部72からの反射光のみの状態の受光レベルを表している。基準レベル変更手段26によって設定された複数基準レベル28は、適宜設定されたオフセット(以下、「偏差値」という)30がそれぞれの基準レベル28に加算されて、複数の検知レベル32として設定される。このとき、検知手段34は、受光レベル24と、検知レベル32と、を比較して、検知レベル32よりも受光レベル24の方が大きい場合には検知信号を出力する。その結果、制御部20は電磁弁50を開駆動して吐水動作を行う。
【0018】
以下、本実施形態の具体例について図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
また、図4は、本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
また、図5は、投光量と反射式センサとの関係を説明する模式図であり、図5(a)は、投光量とパルス幅との関係を説明する模式図であり、図5(b)は、投光量とパルス高さとの関係を説明する模式図であり、図5(c)は、投光量と投光回数との関係を説明する模式図である。
【0019】
図3および4に表したタイムチャート図は、外乱ノイズが比較的小さい場合を表している。ここで、外乱ノイズとは、例えば蛍光灯などから生ずる赤外線や太陽光、およびインバータなどから生ずる電磁ノイズなどである。本具体例においては、この外乱ノイズの大きさを例えば「15」と設定する。
【0020】
図3に表したタイムチャート図において、投光素子12から投光される投光量(第1の投光量)は、図4に表したタイムチャート図における投光量(第2の投光量)よりも大きく設定されており、このときの基準レベル28を例えば「12」(第1の基準レベル28)と設定する。このとき、基準レベル28は、例えば使用者の手などがない状態、すなわちボウル部72からの反射光のみの状態の受光レベルを表している。つまり、給水装置が待機している環境状態における受光レベルを表している。
【0021】
また、図3に表したタイムチャート図においては、基準レベル28に加算される偏差値30を、例えば「15」(第1の偏差値30)と設定する。したがって、図3に表したタイムチャート図における検知レベル32は、第1の基準レベル28「12」と、第1の偏差値30「15」と、を加算した「27」(第1の検知レベル32)と設定される。このとき、外乱ノイズの大きさ「15」は、第1の検知レベル32「27」よりも小さいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知しない。したがって、制御部20は、電磁弁50を開駆動することはなく、吐水動作を行わない。
【0022】
一方、例えば、使用者が手洗い動作を行うために吐水口62に手を近づけると、このときの受光レベル24が第1の検知レベル32より大きいことを検知手段34が検知する。そのため、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。その後、使用者の手洗い動作が終了して、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さくなり、適宜設定された時間が経過すると、制御部20は、電磁弁50を閉駆動して、止水動作を行う。
【0023】
本具体例にかかる給水装置においては、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続すると、消費電力を低減させるために、投光量設定手段22は、投光素子12から投光される投光量を図3に表したタイムチャート図における投光量よりも小さく設定することができる。このとき、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が継続する所定時間は、適宜設定することができる。
【0024】
本具体例にかかる給水装置の反射式センサ10は、例えば間欠投光式の積分型センサを使用している。そこで、投光素子12から投光される投光量を小さくする場合には、図5(a)に表した模式図のように、反射式センサ10のパルス幅を短くする。例えば、図3に表したタイムチャート図における投光量が約30μ秒程度である場合には、図4に表したタイムチャート図における投光量を約15μ秒程度にする。これにより、投光素子12から投光される投光量を小さくすることができる。但し、投光量の変更方法はこれだけに限られるわけではなく、図5(b)に表した模式図のように、パルス高さを変更する、すなわち光の強さを変更してもよいし、図5(c)に表した模式図のように、単位時間当たりの投光回数を変更してもよい。
【0025】
このようにして、小さく設定された投光量によって新たに設定される基準レベル28を、図4に表したタイムチャート図のように、例えば「6」(第2の基準レベル28)と設定する。また、図4に表したタイムチャート図においては、基準レベル28に加算される偏差値30を、例えば「12」(第2の偏差値30)と設定する。なお、第1および第2の偏差値30は、適宜設定することができ、一定値に保たれる。
【0026】
したがって、図4に表したタイムチャート図における検知レベル32は、第2の基準レベル28「6」と、第2の偏差値30「12」と、を加算した「18」(第2の検知レベル32)として新たに設定される。すなわち、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続した場合に、投光量設定手段22が投光量をより小さく設定することによって、制御部20は第2の基準レベル28および第2の検知レベル32を新たに設定する動作を行っている。
【0027】
このときであっても、外乱ノイズの大きさ「15」は、第2の検知レベル32「18」よりも小さいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知しない。したがって、制御部20は、電磁弁50を開駆動することはなく、吐水動作を行わない。一方、図3に表したタイムチャート図と同様に、使用者が手洗い動作を行うために吐水口62に手を近づけると、制御部20は図3に表したタイムチャート図と同様の動作を行う。
【0028】
基準レベル28の設定変更の方法は、例えば、第1および第2の基準レベル28を予め基準レベル変更手段26の図示しないメモリにそれぞれ保存しておき、その保存された基準レベル28をそれぞれ読み出して設定変更する方法がある。すなわち、例えば、第1の基準レベル28を「12」として、且つ第2に基準レベル28を「6」として保存しておき、投光量設定手段22が投光量を大きく設定した場合には第1の基準レベル28「12」を読み出し、一方、小さく設定した場合には第2の基準レベル28「6」を読み出して設定する方法である。このようにすれば、加算されるべき第1および第2の偏差値30はそれぞれ一定値に適宜設定されているため、自動的に第1および第2検知レベル32はそれぞれ設定変更される。
【0029】
さらに、本発明においては、基準レベル28の設定変更の方法として、例えば、制御部20が受光素子14から受け取った受光レベル24を新たな基準レベル28として、基準レベル変更手段26が設定変更する方法を採用することもできる。このようにすれば、基準レベル変更手段26は、例えばボウル部72濡れ具合などの環境状況に対応した基準レベル28を細かく新たに設定することができる。加算されるべき第1および第2の偏差値30はそれぞれ一定値に適宜設定されているため、自動的に第1および第2検知レベル32はそれぞれ設定変更される。
【0030】
図6は、比較例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
本比較例にかかる給水装置は、図3〜5を参照しつつ説明した給水装置と同様に、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続すると、消費電力を低減させるために、投光量設定手段22は、投光素子12から投光される投光量を図3に表したタイムチャート図における投光量よりも小さく設定する。
【0031】
このとき、投光量が小さく設定されるため、制御部20が受光素子14から受け取る受光レベル24も小さくなる。そこで、本比較例にかかる給水装置は、センサの検知距離を略一定に保つように、受光レベル24の出力アンプの増幅率を増加させて、投光量が大きい場合(例えば、図3参照)と略同じとなるように基準レベル28および検知レベル32を増加させている。しかしながら、受光レベル24の出力アンプの増幅率を増加させたことによって、外乱ノイズも増幅されてしまい、検知レベル32よりも外乱ノイズの方が大きくなる場合がある。すなわち、本比較例にかかる給水装置は、外乱ノイズの影響を受けて誤動作を起こす場合がある。
【0032】
これに対して、図3〜5を参照しつつ説明した給水装置は、受光レベル24の出力アンプの増幅率を増加させるのではなく、基準レベル28および検知レベル32を新たに小さく設定することによって、センサの検知距離を略一定に保っている。そのため、図4に表したタイムチャート図のように、外乱ノイズは検知レベル32よりも小さいままであり、外乱ノイズの影響による誤動作を低減することができる。
【0033】
図7は、本具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
まず、給水装置の電源を投入する(ステップS100)。電源が投入されると、給水装置は、後に詳述する投光量設定サブルーチンの動作を行い投光量を設定する(ステップS200)。続いて、設定された投光量に従い、反射式センサ10は投光を行う(ステップ300)。続いて、給水装置は、後に詳述する吐水制御サブルーチンの動作を行い、吐水または止水の動作を行う(ステップS400)。続いて、給水装置は、後に詳述する基準レベル更新サブルーチンの動作を行い、基準レベル28を更新する(ステップS500)。続いて、給水装置は、後に詳述する使用頻度学習サブルーチンを行い、使用者が給水装置を使用する頻度に応じて投光量を設定する動作を行う(ステップS600)。
【0034】
以下、前述した各サブルーチンについて図面を参照しつつ説明する。
図8は、本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、水などが吐水口から吐水されているか否かを判断する(ステップS402)。水などが吐水口から吐水されていない場合には(ステップS402:N)、そのときの投光量が大きい場合か小さい場合かを判断する(ステップS404)。投光量が大きい場合には(ステップS404:大)、制御部20は偏差値30に例えば「15」(第1の偏差値30)を設定する(ステップS406)。続いて、制御部20は第1の偏差値30「15」を投光量が大きい場合の基準レベル28(第1の基準レベル28)に加算して、その値を検知レベル32(第1の検知レベル32)として設定する(ステップS408)。
【0035】
一方、投光量が小さい場合には(ステップS404:小)、制御部20は偏差値30に例えば「12」(第2の偏差値30)を設定する(ステップS410)。続いて、制御部20は第2の偏差値30「12」を投光量が小さい場合の基準レベル28(第2の基準レベル28)に加算して、その値を検知レベル32(第2の検知レベル32)として設定する(ステップS412)。
【0036】
続いて、ステップS408およびステップS412において設定された検知レベル32が、受光素子14から伝送された受光レベル24よりも小さいか否かを、検知手段34が判断する(ステップS414)。検知手段34が、検知レベル32の方が受光レベル24よりも小さいと判断した場合には(ステップS414:Y(検知))、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。一方、検知手段34が、検知レベル32の方が受光レベル24よりも大きいと判断した場合には(ステップS414:N(非検知))、制御部20は電磁弁50を開駆動することなく、吐水制御サブルーチンをリターンする(S422)。
【0037】
ステップS402において、水などが吐水口から吐水されている場合には(ステップS402:Y)、受光レベル24が一定時間安定しているか否かを判断する(ステップS418)。受光レベル24が一定時間安定している場合には(ステップS418:Y(非検知))、制御部20は電磁弁50を閉駆動して、止水動作を行う。一方、受光レベル24が一定時間安定していない場合には(ステップS418:N(検知))、制御部20は電磁弁50を開放したまま吐水動作を継続して、吐水制御サブルーチンをリターンする(S422)。なお、受光レベル24が安定している一定時間は、適宜設定することができる。
【0038】
図9は、本具体例にかかる給水装置の基準レベル更新サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、投光量が大きい場合か小さい場合かを判断する(ステップS502)。投光量が大きい場合には(ステップS502:大)、受光レベル24が一定時間安定しているか否かを判断する(ステップS504)。受光レベル24が一定時間安定している場合には(ステップS504:Y)、制御部20は第1のカウンタに「1」を加算する(ステップS506)。
【0039】
続いて、制御部20は、第1のカウンタが「100」以上であるか否かを判断する(ステップS508)。すなわち、第1のカウンタが「100」以上であるか否かを判断することは、適宜設定された時間が経過したか否かを判断することに相当する。第1のカウンタが「100」以上であると判断した場合には(ステップS508:Y)、基準レベル変更手段26は、そのときの受光レベル24を第1の基準レベル28として設定する(ステップS510)。
【0040】
なお、第1の基準レベル28の設定方法は、前述したように、予め保存された第1の基準レベル28を読み出して設定してもよい。このようにして、第1の基準レベル28の更新は完了し(ステップS512)、基準レベル更新サブルーチンをリターンする(ステップS532)。一方、第1のカウンタが「100」以上ではないと判断した場合には(ステップS508:N)、第1の基準レベルの更新は行わずに、基準レベル更新サブルーチンをリターンする(ステップS532)。
【0041】
ステップS504において、受光レベル24が一定時間安定していない場合には(ステップS504:N)、第1のカウンタを「0」にリセットする(ステップS514)。続いて、第1の基準レベル28を更新中と設定して(ステップS516)、基準レベル更新サブルーチンをリターンする(ステップS532)。
【0042】
ステップS502において、投光量が小さい場合にも(ステップS502:小)、受光レベル24が一定時間安定しているか否かを判断する(ステップS518)。ステップS518以降の工程は、ステップS504以降の工程において、第1のカウンタを第2のカウンタに置き換え、さらに第1の基準レベル28を第2の基準レベル28に置き換えた工程と同様であるため、その説明は省略する。
【0043】
図10は、本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、第1または第2の基準レベル28が、更新中か否かを判断する(ステップS202)。第1および第2の基準レベル28の更新については、図9に表したフローチャート図のステップS516およびステップS530にそれぞれ相当する。第1または第2の基準レベル28が、更新中であると判断した場合には(ステップS202:Y)、前回の投光量が大きい場合か小さい場合かを判断する(ステップS204)。
【0044】
前回の投光量が小さい場合には(ステップS204:小)、投光量設定手段22は投光量を大きく設定する(ステップS206)。一方、前回の投光量が大きい場合には(ステップS204:大)、投光量設定手段22は投光量を小さく設定する(ステップS208)。続いて、投光量設定サブルーチンをリターンする(ステップ216)。
【0045】
ステップS202において、第1または第2の基準レベル28が、更新中ではないと判断した場合には(ステップS202:N)、使用者が給水装置を使用していない時間帯の日数が連続7日以上であるか否かを判断する(ステップS210)。これは、後に詳述する使用頻度学習サブルーチンに相当する。なお、ステップS210において判断される日数は「7」に限られるわけではなく、適宜設定することができる。
【0046】
使用者が給水装置を使用していない時間帯の日数が連続7日以上ではないと判断した場合には(ステップS210:N)、投光量設定手段22は投光量を大きく設定する(ステップS212)。一方、使用者が給水装置を使用していない時間帯の日数が連続7日以上であると判断した場合には(ステップS210:Y)、投光量設定手段22は投光量を小さく設定する(ステップS214)。続いて、投光量設定サブルーチンをリターンする(ステップ216)。
【0047】
図11は、本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンを例示するフローチャート図である。
また、図12は、給水装置の使用頻度を例示する表であり、図12(a)は、電源投入した初日の使用頻度を例示する表であり、図12(b)は、電源投入から7日目の使用頻度を例示する表である。
本具体例においては、1日を1時間毎に区切り、1時間毎の使用頻度を記録していく使用頻度学習サブルーチンを例に挙げて説明する。
なお、使用頻度学習サブルーチンをメインルーチンに組み込む場合には、制御部20は、適宜設定された期間を周期として計時を行う計時手段と、その周期を分割した複数の時間帯に電磁弁を開駆動した駆動回数を記憶する記憶手段と、をさらに備えている。
【0048】
まず、検知手段34が、例えば使用者の手などを検知したか否かを判断する(ステップS602)。検知手段34が検知したか否かについては、図8に表したフローチャート図におけるステップ414に相当する。検知手段34が検知した場合には(ステップS602:Y)、使用した記録を残すために使用フラグに「1」を設定する(ステップS604)。一方、検知手段34が検知していない場合には(ステップS602:N)、使用した記録を残す必要はないため、使用フラグに「1」を設定することはない。
【0049】
続いて、タイマが1時間を経過したか否かを判断する(ステップS606)。但し、このタイマは1時間に限られるわけではなく、例えば0.5時間であってもよい。タイマが1時間を経過したと判断した場合には(ステップS606:Y)、タイマをリセットして、経過時間を「0」に戻す(ステップS608)。
【0050】
続いて、使用フラグが「1」に設定されているか否かを判断する(ステップS610)。使用フラグが「1」に設定されている場合には(ステップS610:Y)、未使用日数を「0」にリセットする。すなわち、使用した記録がある場合には、未使用日数として加算しないことを意味している。一方、使用フラグが「1」に設定されていない場合には(ステップS610:N)、未使用日数に「1」を加算する。すなわち、使用した記録がない場合には、未使用日数として「1」を加算することを意味している。
【0051】
続いて、使用フラグに「0」を設定して、使用フラグをリセットさせる(ステップS616)。続いて、時間帯(H)に「1」を加算する(ステップS618)。続いて、時間帯(H)が「24」以上か否かを判断する(ステップS620)。時間帯(H)が「24」以上であると判断した場合には(ステップS620:Y)、時間帯(H)を「0」にリセットして(ステップS622)、使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。一方、時間帯(H)が「24」以上であると判断しない場合には(ステップS620:N)、時間帯(H)を「0」にリセットすることなく、使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。
【0052】
なお、ステップS606において、タイマが1時間を経過したと判断しない場合には(ステップS606:N)、そのまま使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。
【0053】
この使用頻度学習サブルーチンの一例を、図12を参照しつつ説明する。
前述したように、本具体例においては、1日を1時間毎に区切り、1時間毎の使用頻度を記録していく使用頻度学習サブルーチンを例に挙げている。そこで、図12(a)および(b)に表したように、各時間帯(H)毎に、給水装置が1回でも使用された場合には、「使用/未使用」の項目に「○」が記載されている。一方、1回も使用されていない場合には、「使用/未使用」の項目に「×」が記載されている。
【0054】
図12(a)に表した一例によれば、時間帯が、「0〜9」および「20〜22」においては、給水装置が1回も使用されていないとして、「使用/未使用」の項目に「×」が記載され、「未使用日数(日)」の項目には、それぞれの時間帯に「1」が記載されている。また、現在の時間帯が「23」であるため、この枠のデータは、まだ更新がされておらず、「使用/未使用」の項目には初期値の「×」が記載されている。なお、図12(a)は、電源投入した初日の使用頻度を表しているため、投光量は全て「大」が設定されている。
【0055】
続いて、同様の記録が行われ、図12(b)に表したような電源投入から7日目の使用頻度の一例によれば、時間帯が「0〜9」および「20〜22」においては、7日連続で給水装置が1回も使用されていないとして、「未使用日数」の項目には「7」が記載されている。また、現在の時間帯が「23」であるため、この枠のデータは、まだ更新がされておらず、「未使用日数」の項目には「6」が記載されている。
【0056】
このとき、時間帯が「0〜9」および「20〜22」においては、「未使用日数」の項目に「7」が記載されているため、投光量設定手段22は投光量を「小」に設定する。一方、時間帯が「10〜19」および「23」においては、「未使用日数」の項目が「7」未満であるため、投光量設定手段22は投光量を「大」のままに設定する。なお、投光量設定手段22が投光量を「小」に設定変更する未使用日数は、「7」に限られるわけではなく、適宜設定することができる。
【0057】
図13は、本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンの変形例を例示するタイムチャート図である。
本変形例においては、制御部20は時間帯「6〜21」においては予め投光量を大きく設定することによって、より大きな第1の基準レベル28に設定する。一方、時間帯「0〜6」および「21〜23」においては予め投光量を小さく設定することによって、より小さな第2の基準レベル28に設定する。
【0058】
このようにすることで、使用頻度学習サブルーチンを設定することなく、簡易的に給水装置の低消費電力化を図ることができる。但し、時間帯の設定はこれだけに限られるわけではなく、予め適宜設定変更することができる。
【0059】
以上説明したように、本具体例によれば、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続した場合に、投光量設定手段22が投光量をより小さく設定することによって、制御部20は第2の基準レベル28および第2の検知レベル32を新たに設定する。したがって、本具体例にかかる給水装置は外乱ノイズの影響による誤動作を低減することができる。さらに、使用頻度学習サブルーチンによって、電磁弁50の開動作の回数が少ない場合には、投光量を「小」に設定するため、給水装置の低消費電力化を図ることができる。
【0060】
図14は、本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
また、図15は、本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
図14および15に表したタイムチャート図は、外乱ノイズが比較的大きい場合を表している。本具体例においては、この外乱ノイズの大きさを例えば「21」と設定する。また、第1および第2の基準レベル28、第1および第2の偏差値30、および第1および第2の検知レベル32は、図3および4を参照しつつ説明したそれぞれの値と同一とする。
【0061】
図14に表したように、投光量が大きい場合(第1の投光量の場合)には、外乱ノイズの大きさ「21」は、第1の検知レベル32「27」よりも小さいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知しない。したがって、制御部20は、電磁弁50を開駆動することはなく、吐水動作を行わない。これは、図3を参照しつつ説明したタイムチャート図の場合と同様である。
【0062】
これに対して、図15に表したように、投光量が小さい場合(第2の投光量の場合)には、外乱ノイズの大きさ「21」は、第1の検知レベル32「18」よりも大きいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知してしまう。このような場合には、投光量設定手段22は投光量を大きく設定することによって、基準レベル28を第2の基準レベル28「6」から第1の基準レベル28「12」へと切り替える。さらに、偏差値30についても、制御部20は第2の偏差値30「12」から第1の偏差値30「15」へと切り替える。すなわち、制御部20は吐水動作を指示せずに、検知レベル32を第2の検知レベル32「18」から第1の検知レベル32「27」へと切り替えることになる。
【0063】
このように基準レベル28、偏差値30、および検知レベル32を切り替えた場合であっても、受光レベル24が検知レベル32よりも大きいと検知手段34が判断した場合に限って、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。したがって、図14および15に表したタイムチャートのように、外乱ノイズが比較的大きい場合であっても、基準レベル28、偏差値30、および検知レベル32を切り替えることによって、外乱ノイズの影響による誤動作を低減することができる。
【0064】
以下、本具体例にかかる給水装置の動作を例示するサブルーチンについて図面を参照しつつ説明する。
なお、メインルーチン、基準レベル更新サブルーチン(ステップS500)、および使用頻度学習サブルーチン(S600)は、図7、図9、および図11を参照しつつ説明したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0065】
図16は、本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
図16に表したフローチャート図においては、図8に表したフローチャート図に対して、ステップS414がステップS408およびステップS412のそれぞれに対応して、別個独立に設けられている(ステップS414aおよびステップS414b)。さらに、第2の検知レベルと受光レベル24とを検知手段34が比較判断するステップ(ステップS414b)の後に、ステップS424が追加されている。その他のステップについては、図8に表したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0066】
検知手段34が、第2の検知レベル32の方が受光レベル24よりも小さいと判断した場合には(ステップS414b:Y)、制御部20は投光量を「大」に設定変更する要求フラグに「1」を設定して(ステップS424)、吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS422)。一方、第2の検知レベル32の方が受光レベル24よりも大きいと判断した場合には(ステップS414b:N)、そのまま吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS422)。なお、要求フラグに「1」を設定するステップ(ステップS424)は、後に詳述する図17におけるステップS218に関連している。
【0067】
図17は、本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、投光量を「大」に設定変更する要求フラグが「1」に設定されているか否かを判断する。要求フラグを「1」に設定するステップは、図16に表したフローチャート図におけるステップS424に相当する。要求フラグが「1」に設定されている場合には(ステップS218:Y)、投光量を「大」に設定変更する要求フラグを「0」にリセットする(ステップS220)。続いて、投光量設定手段22は、投光量を「大」に設定して(ステップS222)、投光量設定サブルーチンをリターンする(ステップS216)。一方、要求フラグが「1」に設定されていない場合は(ステップS218:N)、図10に表したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0068】
以上説明したように、本具体例によれば、投光量を大きくすることによって、第1の基準レベル28から第2の基準レベル28へと、第1の偏差値30から第2の偏差値30へと、および第1の検知レベル32から第2の検知レベル32へと、切り替えた場合であっても、受光レベル24が検知レベル32よりも大きいと検知手段34が判断した場合に限って、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。したがって、投光量が小さい場合に、大きい外乱ノイズがあっても、外乱ノイズの影響による誤動作をより低減することができる。なお、本具体例は、図13を参照しつつ説明した使用頻度学習サブルーチンの変形例の機能を有していてもよい。これによれば、図13を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0069】
図18は、本実施形態のさらに他の具体例にかかる給水装置のタイムチャート図である。
本具体例にかかる給水装置は、投光量が小さい場合(第2の投光量の場合)の第2の基準レベル28で検知動作を行っているときに、適宜設定された時間だけ間欠的に、又は無作為に、投光量が大きい場合(第1の投光量の場合)の第1の基準レベル28に切り替えて検知動作を行う。すなわち、第2の検知レベル32にて検知動作を行っているときに、適宜設定された時間だけ間欠的に、又は無作為に、第1の検知レベル32に切り替えて検知動作を行う。
【0070】
これによれば、投光量が小さい場合の検知動作を長い間行っているときであっても、投光量が大きい場合の検知動作を間欠的に行い、大きい投光量に対応した基準レベルを更新することによって、より正確な検知動作を行うことができる。これは、投光量を切り替えて検知動作を行っても、環境変化に伴って基準レベルが最新の状態に更新されているためである。ここで、環境変化とは、例えばボウル部72における水の濡れ具合の変化などが挙げられる。
【0071】
なお、本具体例にかかる給水装置の動作は、図7〜12または図16〜17と同様である。さらに、本具体例は、図13を参照しつつ説明した使用頻度学習サブルーチンの変形例の機能を有していてもよい。これによれば、図7〜13および図16〜17を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0072】
以上説明した給水装置は、洗面台70に備えられた場合を例に挙げて説明したが、これだけに限られるわけではなく、例えば小便器や大便器に備えられていてもよい。
図19は、本発明の実施の形態にかかる給水装置が備えられた小便器を例示する模式図である。
図19に表した給水装置は、反射式センサ10と、制御部20と、給水源40と、電磁弁50と、水栓本体60とを、を備えている。反射式センサ10は、水栓本体60の内部に設けられ、図示しない投光素子と受光素子とを有している。この反射式センサ10は、小便器80の前に立つ使用者の有無を検知する。
【0073】
制御部20は、小便器80の後方に設けられた図示しない壁面などの、さらに後方部に設けられ、使用者からは見えないようになっている。水栓本体60は、小便器80に向かって設けられた吐水口62を有している。電磁弁50は、給水源40と、水栓本体60と、を連結する給水管路52に設けられている。反射式センサ10と、制御部20と、は電気信号を伝送する配線16によって接続されている。
【0074】
このような小便器80に備えられた給水装置であっても、図2〜18を参照しつつ説明した構造および動作などを有することによって、洗面台70に備えられた給水装置の場合と同様の効果を得ることができる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、給水装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや反射式センサ10の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態にかかる給水装置を例示する模式図である。
【図2】本実施形態にかかる給水装置を例示するブロック図である。
【図3】本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
【図4】本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
【図5】投光量と反射式センサとの関係を説明する模式図であり、図5(a)は、投光量とパルス幅との関係を説明する模式図であり、図5(b)は、投光量とパルス高さとの関係を説明する模式図であり、図5(c)は、投光量と投光回数との関係を説明する模式図である。
【図6】比較例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
【図7】本具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
【図8】本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図9】本具体例にかかる給水装置の基準レベル更新サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図10】本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図11】本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図12】給水装置の使用頻度を例示する表であり、図12(a)は、電源投入した初日の使用頻度を例示する表であり、図12(b)は、電源投入から7日目の使用頻度を例示する表である。
【図13】本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンの変形例を例示するタイムチャート図である。
【図14】本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
【図15】本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
【図16】本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図17】本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図18】本実施形態のさらに他の具体例にかかる給水装置のタイムチャート図である。
【図19】本発明の実施の形態にかかる給水装置が備えられた小便器を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0077】
10 反射式センサ、 12 投光素子、 14 受光素子、 16 配線、 20 制御部、 20 電磁弁、 22 投光量設定手段、 24 受光レベル、 26 基準レベル変更手段、 28 基準レベル、 30 偏差値、 32 検知レベル、 34 検知手段、 40 給水源、 50 電磁弁、 52 給水管路、 60 水栓本体、 62 吐水口、 70 洗面台、 72 ボウル部、 80 小便器
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関し、具体的には反射式センサの検知状況に応じて吐水および止水を自動的に行う給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射式センサを有する給水装置は、例えば、使用者の手などを検知すると吐水を行い、一方、検知しなくなり一定時間が経過すると止水を行う。そのため、反射式センサを常に稼動させておく必要がある。したがって、反射式センサを有する給水装置は、常に電力を消費していることになる。
【0003】
これに対して、給水装置の使用状態に応じて、反射式センサが有する投光素子の投光量を減少させて低消費電力化を図った給水装置がある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された給水装置は、投光量を減少させて低消費電力化を図っているが、投光量の減少に伴って、反射式センサが有する受光素子の受光量が低下するため、受光レベルの出力アンプの増幅率を増加させて、反射式センサの検知距離を一定に保っている。
【特許文献1】特開平5−247983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受光レベルの出力アンプの増幅率を増加させた場合には、例えば蛍光灯などからの外乱ノイズの受光レベルも増幅されてしまう。そのため、外乱ノイズによる影響が大きくなり、反射式センサが誤動作を起こしてしまう問題がある。すなわち、例えば蛍光灯などからの外乱ノイズを誤検知してしまい、吐水動作を行ってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、反射式センサの投光量を減少させた場合であっても、外乱ノイズによる誤動作を低減することができる給水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、投光素子から所定の投光量で対象物に投光し、その反射光を受光素子で受光し受光レベルとして出力する反射式センサと、前記受光レベルにより前記対象物の有無を判断して吐水動作を指示する制御部と、前記制御部の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁と、水を吐出する吐水口と、を備えた給水装置において、前記制御部は、前記投光素子からの投光量を複数設定する投光量設定手段と、前記複数設定されたそれぞれの投光量に対応して前記対象物を感知していない状態の受光レベルを基準レベルとして複数設定する基準レベル設定手段と、前記複数の基準レベルのそれぞれに所定のオフセットを加えた検知レベルを複数設定し、前記受光レベルがそれぞれの投光量に対応した検知レベルよりも大きいときに検知信号を出力する検知手段と、を有するとともに、前記制御部は、前記投光量設定手段により設定された複数の投光量に切り替えて動作し、前記検知手段の出力に応じて吐水動作を指示することを特徴とする給水装置である。
これにより、投光量を複数設け、それぞれの投光量ごとに基準レベルを設定し所定のオフセットを加えた値を検知レベルとするので、低消費化のためにセンサの投光量を減少させた場合でも、蛍光灯などによる外乱ノイズでの誤動作を低減することができる。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記投光量設定手段は、第1の投光量及び前記第1の投光量より小さい第2の投光量を設定できるとともに、前記制御部は、前記第2の投光量による投光動作により前記検知手段が前記検知信号を出力すると、吐水動作は指示せず前記第1の投光量に切り替えることを特徴とする。
これにより、小さな投光量による受光レベルが、検知対象物の反射によるものなのか、外乱ノイズによるものなのか、を判断できない場合は、外乱ノイズの影響を受けにくい大きな投光量に切替えて動作するので、より検出精度を向上させ誤動作を低減することができる。
【0008】
また、第3の発明は、第1または2の発明において、前記制御部は、前記所定の投光量で間欠動作を所定時間継続して動作中に、所定間隔又は無作為に前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする。
これにより、所定の投光量で間欠動作を所定期間継続して動作中であっても、投光量が切替えられた投光動作を所定間隔又は無作為に行い、それぞれの投光量に対応した基準レベルを継続して更新することによって、所定期間が長期に継続していても、投光量が切替えられた直後の基準レベルは環境の変化に対応済みなので、正確な検知動作を行うことができる。
【0009】
また、第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記制御部は、所定の期間を周期として計時を行う計時手段をさらに備え、前記制御部は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に、前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする。
これにより、夜間や早朝など決まった時間帯に周囲の照明装置の明かりが消される環境においては、その時間帯は蛍光灯などの外乱ノイズが少ないので、投光量を小さく設定しても、外乱ノイズによる誤動作の影響は少なく、投光量を小さくすることで給水装置の低消費電力化を図ることができる。
【0010】
また、第5の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記制御部は、所定の期間を周期として計時を行う計時手段と、前記周期を分割した複数の時間帯毎に前記電磁弁を開駆動した駆動回数を記憶する記憶手段と、をさらに備え、前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数に応じて所定の投光量を切り替えることを特徴とする。
これにより、実際の使用状態(電磁弁を開駆動した回数)に応じて、投光量を再設定することで実際の使用状態にあった低消費電力化も図られ、且つ使い勝手のよい給水装置を供給することができる。
【0011】
また、第6の発明は、第5の発明において、前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数が所定回数より多い時間帯に比べ前記所定回数より少ない時間帯において、前記所定の投光量を小さくすることを特徴とする。
これにより、実際の使用状態(電磁弁を開駆動した回数)が少なければ、投光量を小さくして設定することで実際の使用状態にあった低消費電力化も図られ、且つ実用上問題ない使い勝手のよい給水装置を供給することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、反射式センサの投光量を減少させた場合であっても、外乱ノイズによる誤動作を低減することができる給水装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる給水装置を例示する模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる給水装置を例示するブロック図である。
【0014】
本実施形態にかかる給水装置は、反射式センサ10と、制御部20と、給水源40と、電磁弁50と、水栓本体60とを、を備えている。反射式センサ10は、水栓本体60の内部に設けられ、投光素子12と、受光素子14と、を有している。なお、反射式センサ10は、例えば積分型センサなどと呼ばれるセンサである。但し、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0015】
制御部20は、洗面台70の下部に設けられ、投光量設定手段22と、基準レベル設定手段(以下、「基準レベル変更手段」という)26と、検知手段34と、を有している。水栓本体60は、洗面台70が有するボウル部72に臨ませて設けられた吐水口62を有している。電磁弁50は、給水源40と、吐水口62と、を連結する給水管路52に設けられている。反射式センサ10と、制御部20と、は電気信号を伝送する配線16によって接続されている。
【0016】
投光素子12は、ボウル部72に臨ませて設けられており、投光量設定手段22によって複数設定された投光量の光をボウル部72に向けて投光する。なお、投光量設定手段22によって複数設定された投光量の情報は、配線16を通して投光素子12に伝送される。投光素子12から投光された光は、例えばボウル部72や使用者の手などによって反射され、この反射光を受光素子14が受光する。受光素子14は、受光した反射光を受光レベル24という電気信号として、配線16を通して制御部20に出力する。
【0017】
制御部20が受光素子14から受け取った受光レベル24は、基準レベル変更手段26へ伝送される。基準レベル変更手段26は、受光レベル24に基づいて演算処理などを行い、基準レベル28を設定変更する。ここで、基準レベル28は、後に詳述するように、例えば使用者の手などの対象物を感知していない状態、すなわちボウル部72からの反射光のみの状態の受光レベルを表している。基準レベル変更手段26によって設定された複数基準レベル28は、適宜設定されたオフセット(以下、「偏差値」という)30がそれぞれの基準レベル28に加算されて、複数の検知レベル32として設定される。このとき、検知手段34は、受光レベル24と、検知レベル32と、を比較して、検知レベル32よりも受光レベル24の方が大きい場合には検知信号を出力する。その結果、制御部20は電磁弁50を開駆動して吐水動作を行う。
【0018】
以下、本実施形態の具体例について図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
また、図4は、本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
また、図5は、投光量と反射式センサとの関係を説明する模式図であり、図5(a)は、投光量とパルス幅との関係を説明する模式図であり、図5(b)は、投光量とパルス高さとの関係を説明する模式図であり、図5(c)は、投光量と投光回数との関係を説明する模式図である。
【0019】
図3および4に表したタイムチャート図は、外乱ノイズが比較的小さい場合を表している。ここで、外乱ノイズとは、例えば蛍光灯などから生ずる赤外線や太陽光、およびインバータなどから生ずる電磁ノイズなどである。本具体例においては、この外乱ノイズの大きさを例えば「15」と設定する。
【0020】
図3に表したタイムチャート図において、投光素子12から投光される投光量(第1の投光量)は、図4に表したタイムチャート図における投光量(第2の投光量)よりも大きく設定されており、このときの基準レベル28を例えば「12」(第1の基準レベル28)と設定する。このとき、基準レベル28は、例えば使用者の手などがない状態、すなわちボウル部72からの反射光のみの状態の受光レベルを表している。つまり、給水装置が待機している環境状態における受光レベルを表している。
【0021】
また、図3に表したタイムチャート図においては、基準レベル28に加算される偏差値30を、例えば「15」(第1の偏差値30)と設定する。したがって、図3に表したタイムチャート図における検知レベル32は、第1の基準レベル28「12」と、第1の偏差値30「15」と、を加算した「27」(第1の検知レベル32)と設定される。このとき、外乱ノイズの大きさ「15」は、第1の検知レベル32「27」よりも小さいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知しない。したがって、制御部20は、電磁弁50を開駆動することはなく、吐水動作を行わない。
【0022】
一方、例えば、使用者が手洗い動作を行うために吐水口62に手を近づけると、このときの受光レベル24が第1の検知レベル32より大きいことを検知手段34が検知する。そのため、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。その後、使用者の手洗い動作が終了して、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さくなり、適宜設定された時間が経過すると、制御部20は、電磁弁50を閉駆動して、止水動作を行う。
【0023】
本具体例にかかる給水装置においては、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続すると、消費電力を低減させるために、投光量設定手段22は、投光素子12から投光される投光量を図3に表したタイムチャート図における投光量よりも小さく設定することができる。このとき、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が継続する所定時間は、適宜設定することができる。
【0024】
本具体例にかかる給水装置の反射式センサ10は、例えば間欠投光式の積分型センサを使用している。そこで、投光素子12から投光される投光量を小さくする場合には、図5(a)に表した模式図のように、反射式センサ10のパルス幅を短くする。例えば、図3に表したタイムチャート図における投光量が約30μ秒程度である場合には、図4に表したタイムチャート図における投光量を約15μ秒程度にする。これにより、投光素子12から投光される投光量を小さくすることができる。但し、投光量の変更方法はこれだけに限られるわけではなく、図5(b)に表した模式図のように、パルス高さを変更する、すなわち光の強さを変更してもよいし、図5(c)に表した模式図のように、単位時間当たりの投光回数を変更してもよい。
【0025】
このようにして、小さく設定された投光量によって新たに設定される基準レベル28を、図4に表したタイムチャート図のように、例えば「6」(第2の基準レベル28)と設定する。また、図4に表したタイムチャート図においては、基準レベル28に加算される偏差値30を、例えば「12」(第2の偏差値30)と設定する。なお、第1および第2の偏差値30は、適宜設定することができ、一定値に保たれる。
【0026】
したがって、図4に表したタイムチャート図における検知レベル32は、第2の基準レベル28「6」と、第2の偏差値30「12」と、を加算した「18」(第2の検知レベル32)として新たに設定される。すなわち、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続した場合に、投光量設定手段22が投光量をより小さく設定することによって、制御部20は第2の基準レベル28および第2の検知レベル32を新たに設定する動作を行っている。
【0027】
このときであっても、外乱ノイズの大きさ「15」は、第2の検知レベル32「18」よりも小さいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知しない。したがって、制御部20は、電磁弁50を開駆動することはなく、吐水動作を行わない。一方、図3に表したタイムチャート図と同様に、使用者が手洗い動作を行うために吐水口62に手を近づけると、制御部20は図3に表したタイムチャート図と同様の動作を行う。
【0028】
基準レベル28の設定変更の方法は、例えば、第1および第2の基準レベル28を予め基準レベル変更手段26の図示しないメモリにそれぞれ保存しておき、その保存された基準レベル28をそれぞれ読み出して設定変更する方法がある。すなわち、例えば、第1の基準レベル28を「12」として、且つ第2に基準レベル28を「6」として保存しておき、投光量設定手段22が投光量を大きく設定した場合には第1の基準レベル28「12」を読み出し、一方、小さく設定した場合には第2の基準レベル28「6」を読み出して設定する方法である。このようにすれば、加算されるべき第1および第2の偏差値30はそれぞれ一定値に適宜設定されているため、自動的に第1および第2検知レベル32はそれぞれ設定変更される。
【0029】
さらに、本発明においては、基準レベル28の設定変更の方法として、例えば、制御部20が受光素子14から受け取った受光レベル24を新たな基準レベル28として、基準レベル変更手段26が設定変更する方法を採用することもできる。このようにすれば、基準レベル変更手段26は、例えばボウル部72濡れ具合などの環境状況に対応した基準レベル28を細かく新たに設定することができる。加算されるべき第1および第2の偏差値30はそれぞれ一定値に適宜設定されているため、自動的に第1および第2検知レベル32はそれぞれ設定変更される。
【0030】
図6は、比較例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
本比較例にかかる給水装置は、図3〜5を参照しつつ説明した給水装置と同様に、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続すると、消費電力を低減させるために、投光量設定手段22は、投光素子12から投光される投光量を図3に表したタイムチャート図における投光量よりも小さく設定する。
【0031】
このとき、投光量が小さく設定されるため、制御部20が受光素子14から受け取る受光レベル24も小さくなる。そこで、本比較例にかかる給水装置は、センサの検知距離を略一定に保つように、受光レベル24の出力アンプの増幅率を増加させて、投光量が大きい場合(例えば、図3参照)と略同じとなるように基準レベル28および検知レベル32を増加させている。しかしながら、受光レベル24の出力アンプの増幅率を増加させたことによって、外乱ノイズも増幅されてしまい、検知レベル32よりも外乱ノイズの方が大きくなる場合がある。すなわち、本比較例にかかる給水装置は、外乱ノイズの影響を受けて誤動作を起こす場合がある。
【0032】
これに対して、図3〜5を参照しつつ説明した給水装置は、受光レベル24の出力アンプの増幅率を増加させるのではなく、基準レベル28および検知レベル32を新たに小さく設定することによって、センサの検知距離を略一定に保っている。そのため、図4に表したタイムチャート図のように、外乱ノイズは検知レベル32よりも小さいままであり、外乱ノイズの影響による誤動作を低減することができる。
【0033】
図7は、本具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
まず、給水装置の電源を投入する(ステップS100)。電源が投入されると、給水装置は、後に詳述する投光量設定サブルーチンの動作を行い投光量を設定する(ステップS200)。続いて、設定された投光量に従い、反射式センサ10は投光を行う(ステップ300)。続いて、給水装置は、後に詳述する吐水制御サブルーチンの動作を行い、吐水または止水の動作を行う(ステップS400)。続いて、給水装置は、後に詳述する基準レベル更新サブルーチンの動作を行い、基準レベル28を更新する(ステップS500)。続いて、給水装置は、後に詳述する使用頻度学習サブルーチンを行い、使用者が給水装置を使用する頻度に応じて投光量を設定する動作を行う(ステップS600)。
【0034】
以下、前述した各サブルーチンについて図面を参照しつつ説明する。
図8は、本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、水などが吐水口から吐水されているか否かを判断する(ステップS402)。水などが吐水口から吐水されていない場合には(ステップS402:N)、そのときの投光量が大きい場合か小さい場合かを判断する(ステップS404)。投光量が大きい場合には(ステップS404:大)、制御部20は偏差値30に例えば「15」(第1の偏差値30)を設定する(ステップS406)。続いて、制御部20は第1の偏差値30「15」を投光量が大きい場合の基準レベル28(第1の基準レベル28)に加算して、その値を検知レベル32(第1の検知レベル32)として設定する(ステップS408)。
【0035】
一方、投光量が小さい場合には(ステップS404:小)、制御部20は偏差値30に例えば「12」(第2の偏差値30)を設定する(ステップS410)。続いて、制御部20は第2の偏差値30「12」を投光量が小さい場合の基準レベル28(第2の基準レベル28)に加算して、その値を検知レベル32(第2の検知レベル32)として設定する(ステップS412)。
【0036】
続いて、ステップS408およびステップS412において設定された検知レベル32が、受光素子14から伝送された受光レベル24よりも小さいか否かを、検知手段34が判断する(ステップS414)。検知手段34が、検知レベル32の方が受光レベル24よりも小さいと判断した場合には(ステップS414:Y(検知))、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。一方、検知手段34が、検知レベル32の方が受光レベル24よりも大きいと判断した場合には(ステップS414:N(非検知))、制御部20は電磁弁50を開駆動することなく、吐水制御サブルーチンをリターンする(S422)。
【0037】
ステップS402において、水などが吐水口から吐水されている場合には(ステップS402:Y)、受光レベル24が一定時間安定しているか否かを判断する(ステップS418)。受光レベル24が一定時間安定している場合には(ステップS418:Y(非検知))、制御部20は電磁弁50を閉駆動して、止水動作を行う。一方、受光レベル24が一定時間安定していない場合には(ステップS418:N(検知))、制御部20は電磁弁50を開放したまま吐水動作を継続して、吐水制御サブルーチンをリターンする(S422)。なお、受光レベル24が安定している一定時間は、適宜設定することができる。
【0038】
図9は、本具体例にかかる給水装置の基準レベル更新サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、投光量が大きい場合か小さい場合かを判断する(ステップS502)。投光量が大きい場合には(ステップS502:大)、受光レベル24が一定時間安定しているか否かを判断する(ステップS504)。受光レベル24が一定時間安定している場合には(ステップS504:Y)、制御部20は第1のカウンタに「1」を加算する(ステップS506)。
【0039】
続いて、制御部20は、第1のカウンタが「100」以上であるか否かを判断する(ステップS508)。すなわち、第1のカウンタが「100」以上であるか否かを判断することは、適宜設定された時間が経過したか否かを判断することに相当する。第1のカウンタが「100」以上であると判断した場合には(ステップS508:Y)、基準レベル変更手段26は、そのときの受光レベル24を第1の基準レベル28として設定する(ステップS510)。
【0040】
なお、第1の基準レベル28の設定方法は、前述したように、予め保存された第1の基準レベル28を読み出して設定してもよい。このようにして、第1の基準レベル28の更新は完了し(ステップS512)、基準レベル更新サブルーチンをリターンする(ステップS532)。一方、第1のカウンタが「100」以上ではないと判断した場合には(ステップS508:N)、第1の基準レベルの更新は行わずに、基準レベル更新サブルーチンをリターンする(ステップS532)。
【0041】
ステップS504において、受光レベル24が一定時間安定していない場合には(ステップS504:N)、第1のカウンタを「0」にリセットする(ステップS514)。続いて、第1の基準レベル28を更新中と設定して(ステップS516)、基準レベル更新サブルーチンをリターンする(ステップS532)。
【0042】
ステップS502において、投光量が小さい場合にも(ステップS502:小)、受光レベル24が一定時間安定しているか否かを判断する(ステップS518)。ステップS518以降の工程は、ステップS504以降の工程において、第1のカウンタを第2のカウンタに置き換え、さらに第1の基準レベル28を第2の基準レベル28に置き換えた工程と同様であるため、その説明は省略する。
【0043】
図10は、本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、第1または第2の基準レベル28が、更新中か否かを判断する(ステップS202)。第1および第2の基準レベル28の更新については、図9に表したフローチャート図のステップS516およびステップS530にそれぞれ相当する。第1または第2の基準レベル28が、更新中であると判断した場合には(ステップS202:Y)、前回の投光量が大きい場合か小さい場合かを判断する(ステップS204)。
【0044】
前回の投光量が小さい場合には(ステップS204:小)、投光量設定手段22は投光量を大きく設定する(ステップS206)。一方、前回の投光量が大きい場合には(ステップS204:大)、投光量設定手段22は投光量を小さく設定する(ステップS208)。続いて、投光量設定サブルーチンをリターンする(ステップ216)。
【0045】
ステップS202において、第1または第2の基準レベル28が、更新中ではないと判断した場合には(ステップS202:N)、使用者が給水装置を使用していない時間帯の日数が連続7日以上であるか否かを判断する(ステップS210)。これは、後に詳述する使用頻度学習サブルーチンに相当する。なお、ステップS210において判断される日数は「7」に限られるわけではなく、適宜設定することができる。
【0046】
使用者が給水装置を使用していない時間帯の日数が連続7日以上ではないと判断した場合には(ステップS210:N)、投光量設定手段22は投光量を大きく設定する(ステップS212)。一方、使用者が給水装置を使用していない時間帯の日数が連続7日以上であると判断した場合には(ステップS210:Y)、投光量設定手段22は投光量を小さく設定する(ステップS214)。続いて、投光量設定サブルーチンをリターンする(ステップ216)。
【0047】
図11は、本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンを例示するフローチャート図である。
また、図12は、給水装置の使用頻度を例示する表であり、図12(a)は、電源投入した初日の使用頻度を例示する表であり、図12(b)は、電源投入から7日目の使用頻度を例示する表である。
本具体例においては、1日を1時間毎に区切り、1時間毎の使用頻度を記録していく使用頻度学習サブルーチンを例に挙げて説明する。
なお、使用頻度学習サブルーチンをメインルーチンに組み込む場合には、制御部20は、適宜設定された期間を周期として計時を行う計時手段と、その周期を分割した複数の時間帯に電磁弁を開駆動した駆動回数を記憶する記憶手段と、をさらに備えている。
【0048】
まず、検知手段34が、例えば使用者の手などを検知したか否かを判断する(ステップS602)。検知手段34が検知したか否かについては、図8に表したフローチャート図におけるステップ414に相当する。検知手段34が検知した場合には(ステップS602:Y)、使用した記録を残すために使用フラグに「1」を設定する(ステップS604)。一方、検知手段34が検知していない場合には(ステップS602:N)、使用した記録を残す必要はないため、使用フラグに「1」を設定することはない。
【0049】
続いて、タイマが1時間を経過したか否かを判断する(ステップS606)。但し、このタイマは1時間に限られるわけではなく、例えば0.5時間であってもよい。タイマが1時間を経過したと判断した場合には(ステップS606:Y)、タイマをリセットして、経過時間を「0」に戻す(ステップS608)。
【0050】
続いて、使用フラグが「1」に設定されているか否かを判断する(ステップS610)。使用フラグが「1」に設定されている場合には(ステップS610:Y)、未使用日数を「0」にリセットする。すなわち、使用した記録がある場合には、未使用日数として加算しないことを意味している。一方、使用フラグが「1」に設定されていない場合には(ステップS610:N)、未使用日数に「1」を加算する。すなわち、使用した記録がない場合には、未使用日数として「1」を加算することを意味している。
【0051】
続いて、使用フラグに「0」を設定して、使用フラグをリセットさせる(ステップS616)。続いて、時間帯(H)に「1」を加算する(ステップS618)。続いて、時間帯(H)が「24」以上か否かを判断する(ステップS620)。時間帯(H)が「24」以上であると判断した場合には(ステップS620:Y)、時間帯(H)を「0」にリセットして(ステップS622)、使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。一方、時間帯(H)が「24」以上であると判断しない場合には(ステップS620:N)、時間帯(H)を「0」にリセットすることなく、使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。
【0052】
なお、ステップS606において、タイマが1時間を経過したと判断しない場合には(ステップS606:N)、そのまま使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。
【0053】
この使用頻度学習サブルーチンの一例を、図12を参照しつつ説明する。
前述したように、本具体例においては、1日を1時間毎に区切り、1時間毎の使用頻度を記録していく使用頻度学習サブルーチンを例に挙げている。そこで、図12(a)および(b)に表したように、各時間帯(H)毎に、給水装置が1回でも使用された場合には、「使用/未使用」の項目に「○」が記載されている。一方、1回も使用されていない場合には、「使用/未使用」の項目に「×」が記載されている。
【0054】
図12(a)に表した一例によれば、時間帯が、「0〜9」および「20〜22」においては、給水装置が1回も使用されていないとして、「使用/未使用」の項目に「×」が記載され、「未使用日数(日)」の項目には、それぞれの時間帯に「1」が記載されている。また、現在の時間帯が「23」であるため、この枠のデータは、まだ更新がされておらず、「使用/未使用」の項目には初期値の「×」が記載されている。なお、図12(a)は、電源投入した初日の使用頻度を表しているため、投光量は全て「大」が設定されている。
【0055】
続いて、同様の記録が行われ、図12(b)に表したような電源投入から7日目の使用頻度の一例によれば、時間帯が「0〜9」および「20〜22」においては、7日連続で給水装置が1回も使用されていないとして、「未使用日数」の項目には「7」が記載されている。また、現在の時間帯が「23」であるため、この枠のデータは、まだ更新がされておらず、「未使用日数」の項目には「6」が記載されている。
【0056】
このとき、時間帯が「0〜9」および「20〜22」においては、「未使用日数」の項目に「7」が記載されているため、投光量設定手段22は投光量を「小」に設定する。一方、時間帯が「10〜19」および「23」においては、「未使用日数」の項目が「7」未満であるため、投光量設定手段22は投光量を「大」のままに設定する。なお、投光量設定手段22が投光量を「小」に設定変更する未使用日数は、「7」に限られるわけではなく、適宜設定することができる。
【0057】
図13は、本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンの変形例を例示するタイムチャート図である。
本変形例においては、制御部20は時間帯「6〜21」においては予め投光量を大きく設定することによって、より大きな第1の基準レベル28に設定する。一方、時間帯「0〜6」および「21〜23」においては予め投光量を小さく設定することによって、より小さな第2の基準レベル28に設定する。
【0058】
このようにすることで、使用頻度学習サブルーチンを設定することなく、簡易的に給水装置の低消費電力化を図ることができる。但し、時間帯の設定はこれだけに限られるわけではなく、予め適宜設定変更することができる。
【0059】
以上説明したように、本具体例によれば、受光レベル24が第1の検知レベル32よりも小さい状態が一定時間以上継続した場合に、投光量設定手段22が投光量をより小さく設定することによって、制御部20は第2の基準レベル28および第2の検知レベル32を新たに設定する。したがって、本具体例にかかる給水装置は外乱ノイズの影響による誤動作を低減することができる。さらに、使用頻度学習サブルーチンによって、電磁弁50の開動作の回数が少ない場合には、投光量を「小」に設定するため、給水装置の低消費電力化を図ることができる。
【0060】
図14は、本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
また、図15は、本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
図14および15に表したタイムチャート図は、外乱ノイズが比較的大きい場合を表している。本具体例においては、この外乱ノイズの大きさを例えば「21」と設定する。また、第1および第2の基準レベル28、第1および第2の偏差値30、および第1および第2の検知レベル32は、図3および4を参照しつつ説明したそれぞれの値と同一とする。
【0061】
図14に表したように、投光量が大きい場合(第1の投光量の場合)には、外乱ノイズの大きさ「21」は、第1の検知レベル32「27」よりも小さいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知しない。したがって、制御部20は、電磁弁50を開駆動することはなく、吐水動作を行わない。これは、図3を参照しつつ説明したタイムチャート図の場合と同様である。
【0062】
これに対して、図15に表したように、投光量が小さい場合(第2の投光量の場合)には、外乱ノイズの大きさ「21」は、第1の検知レベル32「18」よりも大きいため、検知手段34は、この外乱ノイズを検知してしまう。このような場合には、投光量設定手段22は投光量を大きく設定することによって、基準レベル28を第2の基準レベル28「6」から第1の基準レベル28「12」へと切り替える。さらに、偏差値30についても、制御部20は第2の偏差値30「12」から第1の偏差値30「15」へと切り替える。すなわち、制御部20は吐水動作を指示せずに、検知レベル32を第2の検知レベル32「18」から第1の検知レベル32「27」へと切り替えることになる。
【0063】
このように基準レベル28、偏差値30、および検知レベル32を切り替えた場合であっても、受光レベル24が検知レベル32よりも大きいと検知手段34が判断した場合に限って、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。したがって、図14および15に表したタイムチャートのように、外乱ノイズが比較的大きい場合であっても、基準レベル28、偏差値30、および検知レベル32を切り替えることによって、外乱ノイズの影響による誤動作を低減することができる。
【0064】
以下、本具体例にかかる給水装置の動作を例示するサブルーチンについて図面を参照しつつ説明する。
なお、メインルーチン、基準レベル更新サブルーチン(ステップS500)、および使用頻度学習サブルーチン(S600)は、図7、図9、および図11を参照しつつ説明したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0065】
図16は、本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
図16に表したフローチャート図においては、図8に表したフローチャート図に対して、ステップS414がステップS408およびステップS412のそれぞれに対応して、別個独立に設けられている(ステップS414aおよびステップS414b)。さらに、第2の検知レベルと受光レベル24とを検知手段34が比較判断するステップ(ステップS414b)の後に、ステップS424が追加されている。その他のステップについては、図8に表したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0066】
検知手段34が、第2の検知レベル32の方が受光レベル24よりも小さいと判断した場合には(ステップS414b:Y)、制御部20は投光量を「大」に設定変更する要求フラグに「1」を設定して(ステップS424)、吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS422)。一方、第2の検知レベル32の方が受光レベル24よりも大きいと判断した場合には(ステップS414b:N)、そのまま吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS422)。なお、要求フラグに「1」を設定するステップ(ステップS424)は、後に詳述する図17におけるステップS218に関連している。
【0067】
図17は、本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、制御部20は、投光量を「大」に設定変更する要求フラグが「1」に設定されているか否かを判断する。要求フラグを「1」に設定するステップは、図16に表したフローチャート図におけるステップS424に相当する。要求フラグが「1」に設定されている場合には(ステップS218:Y)、投光量を「大」に設定変更する要求フラグを「0」にリセットする(ステップS220)。続いて、投光量設定手段22は、投光量を「大」に設定して(ステップS222)、投光量設定サブルーチンをリターンする(ステップS216)。一方、要求フラグが「1」に設定されていない場合は(ステップS218:N)、図10に表したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0068】
以上説明したように、本具体例によれば、投光量を大きくすることによって、第1の基準レベル28から第2の基準レベル28へと、第1の偏差値30から第2の偏差値30へと、および第1の検知レベル32から第2の検知レベル32へと、切り替えた場合であっても、受光レベル24が検知レベル32よりも大きいと検知手段34が判断した場合に限って、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行う。したがって、投光量が小さい場合に、大きい外乱ノイズがあっても、外乱ノイズの影響による誤動作をより低減することができる。なお、本具体例は、図13を参照しつつ説明した使用頻度学習サブルーチンの変形例の機能を有していてもよい。これによれば、図13を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0069】
図18は、本実施形態のさらに他の具体例にかかる給水装置のタイムチャート図である。
本具体例にかかる給水装置は、投光量が小さい場合(第2の投光量の場合)の第2の基準レベル28で検知動作を行っているときに、適宜設定された時間だけ間欠的に、又は無作為に、投光量が大きい場合(第1の投光量の場合)の第1の基準レベル28に切り替えて検知動作を行う。すなわち、第2の検知レベル32にて検知動作を行っているときに、適宜設定された時間だけ間欠的に、又は無作為に、第1の検知レベル32に切り替えて検知動作を行う。
【0070】
これによれば、投光量が小さい場合の検知動作を長い間行っているときであっても、投光量が大きい場合の検知動作を間欠的に行い、大きい投光量に対応した基準レベルを更新することによって、より正確な検知動作を行うことができる。これは、投光量を切り替えて検知動作を行っても、環境変化に伴って基準レベルが最新の状態に更新されているためである。ここで、環境変化とは、例えばボウル部72における水の濡れ具合の変化などが挙げられる。
【0071】
なお、本具体例にかかる給水装置の動作は、図7〜12または図16〜17と同様である。さらに、本具体例は、図13を参照しつつ説明した使用頻度学習サブルーチンの変形例の機能を有していてもよい。これによれば、図7〜13および図16〜17を参照しつつ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0072】
以上説明した給水装置は、洗面台70に備えられた場合を例に挙げて説明したが、これだけに限られるわけではなく、例えば小便器や大便器に備えられていてもよい。
図19は、本発明の実施の形態にかかる給水装置が備えられた小便器を例示する模式図である。
図19に表した給水装置は、反射式センサ10と、制御部20と、給水源40と、電磁弁50と、水栓本体60とを、を備えている。反射式センサ10は、水栓本体60の内部に設けられ、図示しない投光素子と受光素子とを有している。この反射式センサ10は、小便器80の前に立つ使用者の有無を検知する。
【0073】
制御部20は、小便器80の後方に設けられた図示しない壁面などの、さらに後方部に設けられ、使用者からは見えないようになっている。水栓本体60は、小便器80に向かって設けられた吐水口62を有している。電磁弁50は、給水源40と、水栓本体60と、を連結する給水管路52に設けられている。反射式センサ10と、制御部20と、は電気信号を伝送する配線16によって接続されている。
【0074】
このような小便器80に備えられた給水装置であっても、図2〜18を参照しつつ説明した構造および動作などを有することによって、洗面台70に備えられた給水装置の場合と同様の効果を得ることができる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、給水装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや反射式センサ10の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態にかかる給水装置を例示する模式図である。
【図2】本実施形態にかかる給水装置を例示するブロック図である。
【図3】本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
【図4】本実施形態の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
【図5】投光量と反射式センサとの関係を説明する模式図であり、図5(a)は、投光量とパルス幅との関係を説明する模式図であり、図5(b)は、投光量とパルス高さとの関係を説明する模式図であり、図5(c)は、投光量と投光回数との関係を説明する模式図である。
【図6】比較例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
【図7】本具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
【図8】本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図9】本具体例にかかる給水装置の基準レベル更新サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図10】本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図11】本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図12】給水装置の使用頻度を例示する表であり、図12(a)は、電源投入した初日の使用頻度を例示する表であり、図12(b)は、電源投入から7日目の使用頻度を例示する表である。
【図13】本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンの変形例を例示するタイムチャート図である。
【図14】本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が大きい場合のタイムチャート図である。
【図15】本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の投光量が小さい場合のタイムチャート図である。
【図16】本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図17】本具体例にかかる給水装置の投光量設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図18】本実施形態のさらに他の具体例にかかる給水装置のタイムチャート図である。
【図19】本発明の実施の形態にかかる給水装置が備えられた小便器を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0077】
10 反射式センサ、 12 投光素子、 14 受光素子、 16 配線、 20 制御部、 20 電磁弁、 22 投光量設定手段、 24 受光レベル、 26 基準レベル変更手段、 28 基準レベル、 30 偏差値、 32 検知レベル、 34 検知手段、 40 給水源、 50 電磁弁、 52 給水管路、 60 水栓本体、 62 吐水口、 70 洗面台、 72 ボウル部、 80 小便器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光素子から所定の投光量で対象物に投光し、その反射光を受光素子で受光し受光レベルとして出力する反射式センサと、
前記受光レベルにより前記対象物の有無を判断して吐水動作を指示する制御部と、
前記制御部の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁と、
水を吐出する吐水口と、
を備えた給水装置において、
前記制御部は、
前記投光素子からの投光量を複数設定する投光量設定手段と、
前記複数設定されたそれぞれの投光量に対応して前記対象物を感知していない状態の受光レベルを基準レベルとして複数設定する基準レベル設定手段と、
前記複数の基準レベルのそれぞれに所定のオフセットを加えた検知レベルを複数設定し、前記受光レベルがそれぞれの投光量に対応した検知レベルよりも大きいときに検知信号を出力する検知手段と、
を有するとともに、
前記制御部は、前記投光量設定手段により設定された複数の投光量に切り替えて動作し、前記検知手段の出力に応じて吐水動作を指示することを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記投光量設定手段は、第1の投光量及び前記第1の投光量より小さい第2の投光量を設定できるとともに、前記制御部は、前記第2の投光量による投光動作により前記検知手段が前記検知信号を出力すると、吐水動作は指示せず前記第1の投光量に切り替えることを特徴とする請求項1記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定の投光量で間欠動作を所定時間継続して動作中に、所定間隔又は無作為に前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、
所定の期間を周期として計時を行う計時手段
をさらに備え、
前記制御部は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に、前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、
所定の期間を周期として計時を行う計時手段と、
前記周期を分割した複数の時間帯毎に前記電磁弁を開駆動した駆動回数を記憶する記憶手段と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数に応じて所定の投光量を切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数が所定回数より多い時間帯に比べ前記所定回数より少ない時間帯において、前記所定の投光量を小さくすることを特徴とする請求項5記載の給水装置。
【請求項1】
投光素子から所定の投光量で対象物に投光し、その反射光を受光素子で受光し受光レベルとして出力する反射式センサと、
前記受光レベルにより前記対象物の有無を判断して吐水動作を指示する制御部と、
前記制御部の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁と、
水を吐出する吐水口と、
を備えた給水装置において、
前記制御部は、
前記投光素子からの投光量を複数設定する投光量設定手段と、
前記複数設定されたそれぞれの投光量に対応して前記対象物を感知していない状態の受光レベルを基準レベルとして複数設定する基準レベル設定手段と、
前記複数の基準レベルのそれぞれに所定のオフセットを加えた検知レベルを複数設定し、前記受光レベルがそれぞれの投光量に対応した検知レベルよりも大きいときに検知信号を出力する検知手段と、
を有するとともに、
前記制御部は、前記投光量設定手段により設定された複数の投光量に切り替えて動作し、前記検知手段の出力に応じて吐水動作を指示することを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記投光量設定手段は、第1の投光量及び前記第1の投光量より小さい第2の投光量を設定できるとともに、前記制御部は、前記第2の投光量による投光動作により前記検知手段が前記検知信号を出力すると、吐水動作は指示せず前記第1の投光量に切り替えることを特徴とする請求項1記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定の投光量で間欠動作を所定時間継続して動作中に、所定間隔又は無作為に前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、
所定の期間を周期として計時を行う計時手段
をさらに備え、
前記制御部は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に、前記所定の投光量を切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、
所定の期間を周期として計時を行う計時手段と、
前記周期を分割した複数の時間帯毎に前記電磁弁を開駆動した駆動回数を記憶する記憶手段と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数に応じて所定の投光量を切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記時間帯における前記駆動回数が所定回数より多い時間帯に比べ前記所定回数より少ない時間帯において、前記所定の投光量を小さくすることを特徴とする請求項5記載の給水装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1】
【公開番号】特開2009−102889(P2009−102889A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276072(P2007−276072)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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