説明

給水装置

【課題】 節水効果を損なうことなく、どんな使用者の動きに対して対応し使い勝手のよい給水装置を提供する。
【解決手段】 投光素子から所定の投光量で対象物に投光し、その反射光を受光素子で受光し受光レベルとして出力するセンサと、受光レベルが所定値以下の状態が所定時間継続すると物体無の出力をするオフディレイ時間を有して対象物の有無を判断する物体有無判断手段と、物体有無判断手段の出力に応じて吐水動作を指示する制御部と、制御部の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁と、を備えた給水制御装置において、物体有無判断手段は複数のオフデレイ時間を有するとともに、物体有無の出力が物体の有りから無しに変化した時点から、再度、物体有りに変化するまでの時間を再検知時間として計時し、再検知時間より長いオフディレイ時間を複数のオフディレイ時間より選択して再設定し、吐水動作を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関し、具体的には物体を検知するセンサの検知状況に応じて吐水および止水を自動的に行う給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体検知センサを有する給水装置は、例えば、使用者の手などを感知すると吐水を行い、一方、検知しなくなり一定時間が経過すると止水を行う。そのときに、非検知と判断するまでの所定時間(オフディレイ時間)を長く設定すれば、一連の手洗い動作の中で止水しにくくなる。また、オフディレイ時間を短く設定すれば、非検知になったときに逸早く止水することができ節水できるが、使用途中に少しでも手がセンサの感知領域から外れると不本意に止水(感知切れによる止水)をしてしまい、使い勝手の上でトレードオフの関係であった。
【0003】
また、一連の動作の中で検知状態が食器洗いのように所定時間内に検知・非検知を繰り返す場合、特定のモードに遷移して非検知条件を設定するものもある(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−164618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、環境問題から生活の中で節水を図るために、センサ感知が外れると素早く止水するように、オフディレイ時間を短めに設定する必要がある。その場合は、個人の癖等により使用状態で、どうしてもセンサの感知が一時的に外れてしまう使用者が出てくる。また、センサ感知が外れにくくするために、オフディレイ時間を長めにすればどんな使用者の手でも確実に感知できるようになるかもしれないが、それでは手洗いの最後でセンサ感知が外れて立ち去るときに、このオフディレイ時間が長ければ長いほど、無駄な水が出続けることになり節水に反する。
【0005】
また、特許文献1のように、手洗いと食器洗い動作の違いを考慮して、異なるオフデレイ時間を設定して使い勝手を向上しているものがある。しかし、同一つの動作モード(たとえば、手洗い動作)では、設定されたオフデレイ時間は一定に固定されているために、上記のような、問題は解決できない。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、節水効果を損なうことなく、どんな使用者の動きに対して対応し、最適なオフディレイ時間を設定し吐水・止水を繰り返さない使い勝手のよい給水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、投光素子から所定の投光量で対象物に投光し、その反射光を受光素子で受光し受光レベルとして出力するセンサと、前記受光レベルが所定値以下の状態が所定時間継続すると物体無の出力をするオフディレイ時間を有して前記対象物の有無を判断する物体有無判断手段と、前記物体有無判断手段の出力に応じて吐水動作を指示する制御部と、前記制御部の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁と、を備えた給水制御装置において、前記物体有無判断手段は複数のオフデレイ時間を有するとともに、前記物体有無の出力が前記物体の有りから無しに変化した時点から、再度、物体有りに変化するまでの時間を再検知時間として計時し、前記再検知時間より長いオフディレイ時間を前記複数のオフディレイ時間より選択して再設定し、吐水動作を指示することを特徴とする。
これにより、センサ感知が外れ一度再検知した後は、現在、手洗いをし続けている使用者の実際の再検知時間よりも長いオフディレイ時間が設定されるので、同じ使用者が再度同じ動作を繰り返しても感知切れによる止水をすることは少なく、より実情に合い使い勝手が向上される。
【0008】
また、第2の発明は、第1の請求項において、前記再検知時間が所定時間より長いときは、前記物体有無判断手段は吐水動作の完了と判断し、前記選択され再設定されるオフディレイ時間は、あらかじめ決められた初期値のオフディレイ時間に設定することを特徴とする。
これにより、一連の手洗い動作が終了して、次の使用者が使用するまで所定時間が経過したら、自動であらかじめ決められた初期値のオフディレイ時間に設定変更するので、不特定多数の使用者がいる現場においては、次の使用者が前の使用者のときに設定されたオフディレイ時間の影響を受けることがなくなるので、より使い勝手を向上することができる。
【0009】
また、第3の発明は、第1又は第2の請求項において、前記制御部は、所定の期間を周期として計時を行う計時手段と、をさらに備え、前記物体有無判断手段は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に、前記複数のオフディレイ時間から選択してその1つを前記オフディレイ時間に再設定することを特徴とする
これにより、時間帯により、個別のオフディレイ時間を設定できるので、例えば朝の忙しい時間帯で使用者が素早く手洗いを行う場合や夜の時間帯でゆったりと使用する場合の行動に合わせて、高い節水効果が期待できたり、又、早朝や夜間に比べて昼間の使用人数が多いオフィスにおいて、昼間のオフディレイ時間を短くすれば、より高い節水効果が得られる。
【0010】
また、第4の発明は、第3の請求項において、前記制御部は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に前記電磁弁を開駆動した回数を記憶する回数記憶手段と、をさらに備え、前記駆動回数が多い時間帯における初期値のオフディレイ時間は、前記駆動回数が少ない時間帯の初期値のオフディレイ時間より短い値に再設定することを特徴とする。
これにより、電磁弁の開駆動した回数により使用者の多い時間帯と少ない時間帯が分かる。使用者の多い時間帯は、いわばトータルの吐水量が多い時間帯である。よって、使用者の多い時間帯の初期値のオフディレイ時間を短くすることにより、より実効性の高い節水効果が得られる。
【0011】
また、第5の発明は、第3の請求項において、前記制御部は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に、過去の所定期間に再設定された前記オフディレイ時間を記憶する時間記憶手段と、をさらに備え、前記再設定されたオフディレイ時間より最小値を抽出して、前記複数の時間帯毎にその最小値を前記オフディレイ時間の初期値に再設定することを特徴とする。
これにより、その複数の時間帯における、過去の所定期間に設定された最小値のオフディレイ時間をもとにして、最新の初期値のオフディレイ時間を更新するので、その時間帯において、記憶された実績ある最小値のオフディレイ時間を初期値に使用することにより節水効果を期待でき、なお、実績を考慮しつつ使い勝手を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、節水効果を損なうことなく、どんな使用者の動きに対しても吐水・止水を繰り返さない使い勝手のよい給水装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる給水装置を例示する模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる給水装置を例示するブロック図である。
【0014】
本実施形態にかかる給水装置は、センサ10と、制御部20と、給水源40と、電磁弁50と、水栓本体60と、を備えている。センサ10は、水栓本体60の内部に設けられている。なお、センサ10は、例えば赤外線の投光素子と受光素子を有した反射式積分型センサなどと呼ばれるセンサである。但し、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。
制御部20は、洗面台70の下部に設けられ、物体有無判断手段34を有している。水栓本体60は、洗面台70が有するボウル部72に臨ませて設けられた吐水口62を有している。電磁弁50と、給水源40と、吐水口62と、は電気信号を伝送する配線16によって接続されている。
【0015】
センサの投光素子から投光された光は、例えばボウル部72や使用者の手などによって反射され、この反射光を受光素子が受光する。センサ10は、受光素子が受光した反射光を受信レベルという電気信号として、配線16を通して制御部20に出力する。
制御部20がセンサ10から受け取った受信レベルは、物体有無判断手段34へ伝送される。物体有無判断手段34は受信レベルと予め設定されたしきい値とを比較して、受信レベルがしきい値以上の状態が所定時間(オンディレイ時間)継続すれば物体有りと判断し、受信レベルがしきい値未満の状態が所定時間(オフディレイ時間)継続すれば物体無しと判断する。制御部20はその結果を受けて、物体有りであれば電磁弁を開駆動し、物体無しであれば電磁弁を閉駆動して吐水・止水動作を行う。
【0016】
以下、本実施形態の具体例について図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態の具体例にかかる給水装置のタイムチャート図である。
ここでは、オンディレイ時間を0.1秒、オフディレイ時間の初期値を0.1秒、オフディレイ時間を初期値に戻すまでの再検知時間を1.0秒としている。
なお、これらの時間設定の値、更には後述する時間設定の全ての値は一例であり、時間設定の値を限定するものでは無い。また、複数のオフディレイ時間を持っていて、その中から、選択して設定される場合もありうる。ここで、オフディレイ時間を所定の値を選ぶことも上記と同様に考える。
【0017】
図3に表したタイムチャート図において、使用者の手による反射が無いときは受信レベルは一定であり給水装置は待機状態である。この待機状態から、使用者が手洗い動作を行うために吐水口62に手を近づけると、このときの受信レベルがしきい値以上であることを物体有無判断手段34が認識する。そして、受信レベルがしきい値以上である状態がそのまま0.1秒継続すると、物体有無判断手段34は、確実に使用者の手があると判断して、制御部20は電磁弁50を開駆動して吐水動作を開始する。
ここで次に、物体有無判断手段34は受信レベルがしきい値未満になるのを待つ。使用者が手洗い動作を終了すると、受信レベルがしきい値未満となる。そして、受信レベルがしきい値未満である状態がそのまま0.1秒継続すると、物体有無判断手段34は、使用者の手が無くなったと判断して、制御部20は電磁弁50を閉駆動して吐水動作を終了する。
【0018】
ところが、これは使用者の手洗い動作が終了したのではなく、一時的にセンサの感知領域から手が外れただけであって使用者は手洗い動作を実行中である。止水動作後から0.1秒後にセンサの感知領域に再び使用者の手が入ってくると、受信レベルが再びしきい値以上になる。物体有無判断手段34は再び受信レベルがしきい値以上の状態が0.1秒継続すると、使用者の手があると判断して、制御部20は電磁弁50を開駆動して吐水動作を再開する。このとき、再検知時間が0.2秒であったので、物体有無判断手段34は再検知時間の0.2秒に0.1秒を足した0.3秒を新たなオフディレイ時間として再設定する。
そして、同じ使用者の手が先程と同様に再び一時的にセンサの感知領域から外れたとしてもオフディレイ時間が0.3秒に変わっているので、物体有無判断手段34は0.3秒未満の間は受信レベルがしきい値未満になっても使用者の手が無くなったとは判断しない。結果として、制御部20は電磁弁を閉動作することもなく、一連の手洗い動作において不要な止水・吐水動作を繰り返すことがなくなる。
【0019】
そして、使用者が一連の手洗い動作を終了して、本当にその場から立ち去ったときは、受信レベルがしきい値未満の状態が0.3秒継続した時点で、物体有無判断手段34は使用者がいなくなったと判断して、制御部20は電磁弁50を閉駆動して吐水動作を終了する。ここから更に、0.7秒の間受信レベルがしきい値未満の状態が継続、即ち受信レベルがしきい値未満となった時点からその状態が1.0秒継続すると、物体有無判断手段34は次の使用者への準備として、オフディレイ時間を初期値の0.1秒に戻す。
【0020】
図4は、本具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
まず、給水装置の電源を投入する(ステップS100)。電源が投入されると、制御部20は、センサ10にセンサ投光をさせる(ステップS200)。続いて、制御部20は、後に詳述する吐水制御サブルーチンの動作を物体有無判断手段34に行わせ、吐水または止水の動作を行う(ステップS300)。続いて、物体有無判断手段34は、後に詳述するオフディレイ時間再設定サブルーチンの動作を行い、オフディレイ時間を設定する動作を行う(ステップS400)。
【0021】
以下、前述した各サブルーチンについて図面を参照しつつ説明する。
図5は、本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、物体有無判断手段34は、水などが吐水口から吐水されているか否かを判断する(ステップS301)。水などが吐水口から吐水されていない場合には(ステップS301:N)、受信レベルがしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS302)。しきい値未満である場合には(ステップS302:N)、オンディレイタイマをリセットして経過時間を「0」に戻して(ステップS303)、吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS312)。
【0022】
ステップS302において、受信レベルがしきい値以上である場合は(ステップS302:Y)、オンディレイタイマの経過時間が0.1秒以上であるか否かを判断する(ステップS304)。0.1秒以上である場合は(ステップS304:Y)、制御部20は電磁弁50を開駆動して、吐水動作を行い(ステップS305)、吐水が開始したことを表す吐水開始フラグを1にセットして(ステップS306)、吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS312)。ステップS304において、オンディレイタイマの経過時間が0.1秒未満である場合は(ステップS304:N)、そのまま吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS312)。
【0023】
一方、ステップS301において、水などが吐水口から吐水されている場合には(ステップS301:Y)、受信レベルがしきい値未満であるか否かを判断する(ステップS307)。しきい値以上である場合には(ステップS307:N)、物体有無判断手段34はオフディレイタイマをリセットして経過時間を「0」に戻して(ステップS308)、再検知タイマをリセットして経過時間を「0」に戻して(ステップS311)、吐水制御サブルーチンをリターンする(ステップS312)。
【0024】
ステップS307において、受信レベルがしきい値未満である場合は(ステップS307:Y)、オフディレイタイマの経過時間が設定時間(T)以上であるか否かを判断する(ステップS309)。設定時間(T)以上である場合は(ステップS309:Y)、制御部20は電磁弁50を閉駆動して、止水動作を行い(ステップS310)、吐水制御サブルーチンを終了する(ステップS312)。ステップS309においてオフディレイタイマの経過時間が設定時間(T)未満である場合は(ステップS309:N)、そのまま吐水制御サブルーチンを終了する(ステップS312)。
【0025】
なお、設定時間(T)は、電源投入時は初期値である0.1秒に設定されており、以後の設定は後に詳述するオフディレイ時間再設定サブルーチンの動作の中で行われる。
【0026】
図6は、本具体例にかかる給水装置のオフディレイ時間再設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
まず、物体有無判断手段34は、吐水開始フラグが1にセットされているか否かを判断する(ステップS401)。吐水開始フラグが1にセットされている場合は(ステップS401:Y)、吐水開始フラグを0にクリアして(ステップS402)、T更新フラグが1にセットされているか否かを判断する(ステップS413)。T更新フラグが1にセットされていなければ(ステップS413:N)、再検知タイマの経過時間に0.1秒を足した時間を設定時間(T)に設定する(ステップS403)。そして、設定された設定時間(T)が0.5秒以上であるか否かを判断する(ステップS404)。0.5秒以上であれば(ステップS404:Y)、設定時間(T)を0.5秒に再設定して(ステップS405)、オフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。これは、オフディレイタイマの設定時間を最高0.5秒までとしている。ステップS404において、設定時間(T)が0.5秒未満であれば(ステップS404:N)、そのままオフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。ステップS413において、T更新フラグが1にセットされている場合は(ステップS413:Y)、T更新フラグを0にクリアして(ステップS410)、オフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。
【0027】
一方、ステップS401において、吐水開始フラグが1にセットされていない場合は(ステップS401:N)、再検知タイマの経過時間が1.0秒以上であるか否かを判断する(ステップS406)。1.0秒以上であれば(ステップS406:Y)、設定時間(T)を初期値の0.1秒に設定して(ステップS407)、T更新フラグを1にセットして(ステップS409)、オフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。ステップS406において、再検知タイマの経過時間が1.0秒未満の場合は(ステップS406:N)、そのままオフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。
【0028】
図7は、本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
電源投入(ステップS100)、センサ投光(ステップS200)、吐水制御サブルーチン(S300)は、図4、図5を参照しつつ説明したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0029】
図8は、本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【0030】
また、図9は、給水装置の使用頻度を例示する表である。
本具体例においては、1日を1時間毎に区切り、1時間毎の使用頻度を記録していく使用頻度学習サブルーチンを例に挙げて説明する。
【0031】
なお、使用頻度学習サブルーチンをメインルーチンに組み込む場合には、制御部20は、適宜設定された期間を周期として計時を行う計時手段と、その周期を分割した複数の時間帯に電磁弁を開駆動した駆動回数を記憶する回数記憶手段と、をさらに備えている。
まずは、図8のフローチャートに沿って説明をする。
最初に、物体有無検出手段34が、例えば使用者の手などを検知したか否かを判断する(ステップS602)。検知手段34が検知したか否かについては、図5に表したフローチャート図におけるステップS304に相当する。物体有無検出手段34が検知した場合には(ステップS602:Y)、使用回数を+1する(ステップS604)。一方、検知手段34が検知していない場合には(ステップS602:N)、使用回数を更新することはしない。
【0032】
続いて、計時タイマが1時間を経過したか否かを判断する(ステップS606)。但し、このタイマは1時間に限られるわけではなく、例えば0.5時間であってもよい。タイマが1時間を経過したと判断した場合には(ステップS606:Y)、計時タイマをリセットして、経過時間を「0」に戻す(ステップS608)。
【0033】
続いて、使用回数を0にリセットして(ステップS616)、時間帯(H)に「1」を加算する(ステップS618)。続いて、時間帯(H)が「24」以上か否かを判断する(ステップS620)。時間帯(H)が「24」以上であると判断した場合には(ステップS620:Y)、時間帯(H)を「0」にリセットして(ステップS622)、使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。一方、時間帯(H)が「24」以上であると判断しない場合には(ステップS620:N)、時間帯(H)を「0」にリセットすることなく、使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。
なお、ステップS606において、計時タイマが1時間を経過したと判断しない場合には(ステップS606:N)、そのまま使用頻度学習サブルーチンをリターンする(ステップS624)。
【0034】
続いて、この使用頻度学習サブルーチンの一例を、図9を参照しつつ説明する。
前述したように、本具体例においては、1日を1時間毎に区切り、1時間毎の使用頻度を記録していく使用頻度学習サブルーチンを例に挙げている。そこで、図9に表したように、各時間帯(H)毎に、給水装置が使用された回数が「使用回数」の項目に記載されている。
【0035】
図9に表した一例によれば、時間帯が、「0〜11」および「20〜23」においては、使用回数が6回未満であるので、オフディレイ時間は0.1秒が設定されている。一方、時間帯が「12〜19」においては、使用回数が6回以上であるので、オフディレイ時間は0.08秒が設定されている。
【0036】
なお、オフディレイ時間を0.08秒に設定する使用回数は適宜設定することができる。
【0037】
図10は、本具体例にかかる給水装置のオフディレイ時間再設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
図10に表したフローチャート図においては、図6に表したフローチャート図に対して、ステップS406の後にステップS411とステップS412が追加されている。その他のステップについては、図6に表したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0038】
物体有無判断手段34が、再検知タイマの経過時間が1.0秒以上であるか否かを判断する(ステップS406)。1.0秒以上であれば(ステップS406:Y)、現在の時間帯(H)の使用回数(回)が6回以上であるか否かを判断する(ステップS411)。6回以上であれば(ステップS411:Y)、設定時間(T)を0.08秒に設定して(ステップS407)、T更新フラグを1にセットして(ステップS409)、オフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。ステップS411において、使用回数(回)が6回未満の場合は(ステップS411:N)、設定時間(T)を0.1秒に設定して(ステップS412)、T更新フラグを1にセットして(ステップS409)、オフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。
【0039】
以上説明したように、本具体例によれば、使用頻度の高い時間帯では、オフディレイ時間の初期値に再設定される値を使用頻度の低い時間帯よりも短くすれば、実効的により高い節水効果が得られることになる。
【0040】
図11は、本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習に関する変形例を例示する表である。
本変形例においては、給水装置の設置現場が夜間(22:00)から早朝(8:00)にはあまり使用されない現場を想定している。物体有無判断手段34は使用頻度の少ない時間帯「0〜7」と「22〜23」においては予めオフディレイ時間を0.1秒に設定する。一方、時間帯「8〜21」においては予めオフディレイ時間を0.08秒に設定する。
このようにすることで、使用頻度学習サブルーチンを設定することなく、あらかじめ決められた時間帯に対して、簡易的に設定する。その結果、使用頻度の高い時間帯では、オフディレイ時間の初期値に再設定される値を使用頻度の低い時間帯よりも短くすれば、実効的により高い節水効果が得られることになる。
【0041】
図12は、本実施形態のさらに他の具体例にかかる給水装置のフローチャート図である。
図12に表したフローチャート図においては、図6に表したフローチャート図に対して、ステップS406の後にステップS420がステップS407の代わりに追加されている。その他のステップについては、図6に表したフローチャート図と同様であるため、その説明は省略する。
【0042】
物体有無判断手段34が、再検知タイマの経過時間が1.0秒以上であるか否かを判断する(ステップS406)。1.0秒以上であれば(ステップS406:Y)、過去8回分の吐水における設定値(T)の最小値を算出して、その最小値を新たな設定値(T)として設定し(ステップS420)、T更新フラグを1にセットして(ステップS409)、オフディレイ時間再設定サブルーチンを終了する(ステップS408)。
さらに、この最小値を平均値にしても多少効果は落ちるが、節水効果が期待できる。
【0043】
以上説明したように、本具体例によれば、過去の吐水状況から最適なオフディレイ時間を設定できるので、より高い節水効果を出しつつ、使い勝手の向上もできる。
なお、ここでは設定値(T)の算出方法として、過去8回分の最小値を使用したが、これに限定されず、最小値ではなく、平均値を用いることでも程度問題であるが使い勝手が向上し節水効果が得られる。
以上説明した給水装置は、洗面台70に備えられた場合を例に挙げて説明したが、これだけに限られるわけではなく、例えば小便器や大便器に備えられていてもよい。
【0044】
図13は、本発明の実施の形態にかかる給水装置が備えられた小便器を例示する模式図
である。
図13に表した給水装置は、センサ10と、制御部20と、給水源40と、電磁弁50と、水栓本体60とを、を備えている。センサ10は、水栓本体60の内部に設けられ、図示しない投光素子と受光素子とを有している。このセンサ10は、小便器80の前に立つ使用者の有無を検知する。
【0045】
制御部20は、小便器80の後方に設けられた図示しない壁面などの、さらに後方部に設けられ、使用者からは見えないようになっている。水栓本体60は、小便器80に向かって設けられた吐水口62を有している。電磁弁50は、給水源40と、水栓本体60と、を連結する給水管路52に設けられている。センサ10と、制御部20と、は電気信号を伝送する配線16によって接続されている。
【0046】
このような小便器80に備えられた給水装置であっても、図2〜12を参照しつつ説明した構造および動作などを有することによって、洗面台70に備えられた給水装置の場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、給水装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやセンサ10の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包
含される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態にかかる給水装置を例示する模式図である。
【図2】本実施形態にかかる給水装置を例示するブロック図である。
【図3】本実施形態の具体例にかかる給水装置のタイムチャート図である。
【図4】本具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
【図5】本具体例にかかる給水装置の吐水制御サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図6】本具体例にかかる給水装置のオフディレイ時間再設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図7】本実施形態の他の具体例にかかる給水装置の動作のメインルーチンを表すフローチャート図である。
【図8】本具体例にかかる給水装置の使用頻度学習サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図9】本具体例にかかる給水装置の使用頻度を例示する表である。
【図10】本具体例にかかる給水装置のオフディレイ時間再設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図11】本実施形態のさらに他の具体例にかかる給水装置のオフディレイ時間を設定するための表である。
【図12】本実施形態のさらに他の具体例にかかる給水装置のオフディレイ時間再設定サブルーチンを例示するフローチャート図である。
【図13】本発明の実施の形態にかかる給水装置が備えられた小便器を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0049】
10 センサ、16 配線、20 制御部、50 電磁弁、34 物体有無判断手段、
40 給水源、52 給水管路、60 水栓本体、62 吐水口、70 洗面台、
72 ボウル部、80 小便器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光素子から所定の投光量で対象物に投光し、その反射光を受光素子で受光し受光レベルとして出力するセンサと、前記受光レベルが所定値以下の状態が所定時間継続すると物体無の出力をするオフディレイ時間を有して前記対象物の有無を判断する物体有無判断手段と、前記物体有無判断手段の出力に応じて吐水動作を指示する制御部と、前記制御部の指示に基づいて弁を開閉する電磁弁と、を備えた給水制御装置において、前記物体有無判断手段は複数のオフデレイ時間を有するとともに、前記物体有無の出力が前記物体の有りから無しに変化した時点から、再度、物体有りに変化するまでの時間を再検知時間として計時し、前記再検知時間より長いオフディレイ時間を前記複数のオフディレイ時間より選択して再設定し、吐水動作を指示することを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記再検知時間が所定時間より長いときは、前記物体有無判断手段は吐水動作の完了と判断し、前記選択され再設定されるオフディレイ時間は、あらかじめ決められた初期値のオフディレイ時間に設定することを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、
所定の期間を周期として計時を行う計時手段と、を備えるとともに、
前記物体有無判断手段は、前記周期を分割した複数の時間帯毎に、前記複数のオフディレイ時間から選択してその1つを前記オフディレイ時間に再設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記周期を分割した複数の時間帯毎に前記電磁弁を開駆動した回数を記憶する回数記憶手段と、をさらに備え、
前記駆動回数が多い時間帯における初期値のオフディレイ時間は、前記駆動回数が少ない時間帯の初期値のオフディレイ時間より短い値に再設定することを特徴とする請求項3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記周期を分割した複数の時間帯毎に、過去の所定期間に再設定された前記オフディレイ時間を記憶する時間記憶手段と、をさらに備え、
前記再設定されたオフディレイ時間より最小値を抽出して、前記複数の時間帯毎にその最小値を前記オフディレイ時間の初期値に再設定することを特徴とする請求項3に記載の給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−221795(P2009−221795A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69868(P2008−69868)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】