説明

給水装置

【課題】雷によるサージ、ノイズ等の発生や、各種センサの寿命によって、一方の制御基板が機能しなくなった場合でも、他方の制御基板により、給水能力を低下させずに、制御基板のバックアップができ、また、同時に制御基板が故障しないように工夫したことで、確実にバックアップができる給水装置を提供する。
【解決手段】複数のポンプ3と、対応するポンプ3の回転速度を可変制御する複数のインバータINVと、複数のインバータINVを制御する第1の制御基板CN1及び第2の制御基板CN2とを備え、第1の制御基板CN1に異常が発生した場合に、第2の制御基板CN2が第1の制御基板CN1をバックアップすることで運転を継続することができる給水装置1であって、第1の制御基板CN1に異常があったときに、第1の制御基板CN1から複数のインバータINVへの指令を遮断するスイッチSW1を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に係り、特に複数のポンプおよびインバータを備え、ポンプを可変速運転して集合住宅などに給水する給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅やビルなどに設置され、各給水端へ水を供給する装置として給水装置がある。給水装置においては、商用交流電源の周波数および電圧を任意の周波数および電圧に変換するインバータを用いることにより、ポンプを可変速運転することが広く行われている。インバータは、ポンプを駆動するモータの回転速度を任意に変えられるため、ポンプを負荷に対応した最適な回転速度で運転することが可能となり、定格速度で運転する場合に比較して省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
このような給水装置においては、複数のポンプを複数のインバータを用いて制御する場合があり、この場合には、これらのポンプおよびインバータを制御する制御部が設けられる。このような複数のポンプおよびインバータを用いた給水装置においては、あるポンプ・モータが故障(漏電、過電流、欠相など)した場合には、自動的に他のポンプに切り替え、断水を回避することができるようになっている。
【0004】
また、ポンプおよびインバータを制御する制御部(制御基板)についても、運転中の制御基板が何らかの不具合によって正常に動作しなくなった場合に、故障した制御基板から待機中の制御基板へ切り替えてバックアップすることにより、給水を止めることのない給水装置が開示されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−351267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、制御基板は、雷によるサージや、ノイズ等の発生に弱く、そのために故障することが多く、また、各種センサの消耗による寿命低下を来し、制御基板が機能しなくなることも多い。そのため、一方の制御基板が故障し、いざ他方の待機中の制御基板を動かそうとしても、故障してしまって、バックアップが行えない場合があり、折角、バックアップ機能が付いていても、その機能が発揮できないこともある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、雷によるサージ、ノイズ等の発生や、各種センサの寿命によって、一方の制御基板が機能しなくなった場合でも、他方の制御基板により、給水能力を低下させずに、制御基板のバックアップができ、また、同時に制御基板が故障しないように工夫したことで、確実にバックアップができる給水装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、複数のポンプと、対応するポンプの回転速度を可変制御する複数のインバータと、前記複数のインバータを制御する、第1の制御基板および第2の制御基板を含む複数の制御基板とを備え、前記第1の制御基板に異常が発生した場合に、前記第2の制御基板が前記第1の制御基板をバックアップすることで運転を継続することができる給水装置であって、前記第1の制御基板に異常があったときに、前記第1の制御基板から前記複数のインバータへの指令を遮断するスイッチを設けたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記第1の制御基板または前記第2の制御基板に、前記スイッチをON/OFFするための信号を出力する出力手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の一参考例によれば、複数のポンプと、対応するポンプの回転周波数を可変制御する複数のインバータと、前記複数のインバータを制御する複数の制御基板とを備え、一方の制御基板に異常が発生した場合に、他方の制御基板が前記一方の制御基板をバックアップすることで運転を継続することができる給水装置であって、前記一方の制御基板から前記複数のインバータを経て前記他方の制御基板までの間を、通信線により直列に接続し、前記通信線上に、通信をON/OFFするスイッチを設けたことを特徴とするものである。ここで、制御基板に異常が発生とは、制御基板そのものの異常(例えば、制御基板内のCPUの異常)に限らず、制御基板に接続された各系統のいずれかの機器(又はいずれかの箇所)において異常が発生して当該制御基板が正常に動作できなくなる状況をも含むものである。この状況には、電源の異常、制御基板に給電する電源系統の異常、制御基板に繋がる圧力センサの故障等があげられる。
本参考例によれば、一方の制御基板に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板がバックアップする際に、通信をON/OFFするスイッチをOFFすることにより異常が発生した制御基板とインバータとの間の通信線を物理的に遮断する。これにより、複数のインバータは、他方の制御基板のみにより制御されるようになる。
【0010】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板または前記他方の制御基板に、前記スイッチをON/OFFするための信号を出力する出力手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、異常が発生した制御基板を通信線上から切り離すためのスイッチを、正常な制御基板側からON/OFF信号を出力して動作させることができる。
【0011】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板及び/または前記他方の制御基板から最初のインバータに接続される通信線上に前記スイッチを設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、異常が発生した制御基板と最初のインバータとの間で通信を遮断することができるため、異常が発生した制御基板から誤った指令がいずれのインバータにも送られることはない。
【0012】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板または前記他方の制御基板の異常により前記スイッチを切り替えた後、前記制御基板を再起動させるために、現在運転中の制御基板の通信を止めて、前記スイッチをリセットするリセット機能を制御基板に持たせたことを特徴とする。
上記参考例によれば、稼働中の制御基板に異常が発生して通信をON/OFFするスイッチがOFFとなり、制御基板を切り替えてもう一つの制御基板によりインバータを制御している間に、この制御基板の通信を止めて、OFF状態の前記スイッチをリセットしてONとする。そして、先に異常が発生した制御基板を再起動することにより、制御基板を復帰させることができる。
【0013】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに電源を供給する電源系統に電源スイッチを設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の制御基板、もしくは、それにかかわる信号系統の修理又は交換などを行う際に、電源スイッチをOFFとして一方の制御基板を切り離すことにより、他方の制御基板により運転が継続できる。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記電源スイッチは前記制御基板内に設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板には、常に電源が投入されていることを特徴とする。
上記参考例によれば、電源スイッチは、常時投入されており、また制御基板内にある電源回路も常時投入されている。したがって、いずれか一方の制御基板に異常が発生した場合に、直ちに他方の制御基板が前記一方の制御基板をバックアップすることで、給水装置の運転を継続することができる。また異常が発生した制御基板を復帰する場合も、短時間で復帰を行うことができる。
【0015】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板との間を通信線で接続し、制御基板が正常か否かを監視する監視手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の制御基板と他方の制御基板とを接続している通信線を利用して制御基板が正常か否かを監視することができる。したがって、バックアップ運転への判断、もしくは、バックアップ運転後の復帰は、その動作が可能か否かをチェックした上で、バックアップ運転をすることができ、もしくは、バックアップ運転後の復帰をすることができる。
なお、監視手段が、一方の制御基板と他方の制御基板以外のところに有る場合もある。
【0016】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板との間を通信線で接続し、制御基板と前記インバータとの間が正常に通信されているか否かを監視する監視手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の制御基板と他方の制御基板とを接続している通信線を利用して制御基板とインバータとの間が正常に通信されているか否かを監視することができる。したがって、バックアップ運転への判断、もしくは、バックアップ運転後の復帰は、その動作が可能か否かをチェックした上で、バックアップ運転をすることができ、もしくは、バックアップ運転後の復帰をすることができる。
なお、監視手段が、一方の制御基板と他方の制御基板以外のところに有る場合もある。
【0017】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つの制御基板と前記複数のインバータとの間をアナログ信号または接点信号を送る信号線で接続したことを特徴とする。
上記参考例によれば、全ての通信が機能不全になっても、制御基板とインバータとを繋ぐ信号線を介してアナログ信号又は接点信号によりインバータを制御することができる。すなわち、通信が異常になっても、サージやノイズ等の外的要因に対して強いアナログ信号又は接点信号でバックアップすることで、給水装置の運転を継続することができる。
【0018】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板の前記圧力検知部のうち、いずれか一方に圧力センサを設け、他方に圧力スイッチを設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の制御基板に圧力センサを接続し、他方の制御基板に圧力スイッチを接続することにより、圧力スイッチの方が圧力センサよりもノイズ等の外的要因に対する耐性のレベルが高いため、外的要因の影響を低くすることができる。したがって、バックアップを必要とする際に、圧力スイッチに繋がる制御基板を含むバックアップ側の系統を確実に動作させることができる。
【0019】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板に、それぞれ1系統以上の圧力検知手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、1系統以上の圧力検知手段を設けたため、一方の制御基板の圧力検知手段に異常が発生しても、他方の制御基板の圧力検知手段でバックアップすることができる。
【0020】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに前記圧力検知手段から入力した検出値を比較をして、異なった場合には、前記入力信号の異常と判断する判断手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、圧力検知手段に故障や異常が発生した場合に、直ちに故障や異常を検知できる。
【0021】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに電源入力部を持たせ、前記各電源入力部には、対応する各電源部を接続するとともに他方の電源部を接続可能とすることを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の電源部から一方の制御基板の電源入力部に給電している間に、この電源部が故障した場合に、他方の電源部がバックアップして、前記一方の制御基板の電源入力部に給電することができる。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに前記電源部を取り込んだことを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記複数の制御基板にそれぞれ接続され、前記給水装置の操作および制御のための各種設定を行う複数の操作表示部をさらに備え、前記操作表示部は、前記給水装置の運転状況を表示する表示部を有していることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の参考例によれば、複数のポンプと、対応するポンプの回転周波数を可変制御する複数のインバータと、前記複数のインバータを制御する複数の制御基板とを備え、一方の制御基板に異常が発生した場合に、他方の制御基板が前記一方の制御基板をバックアップすることで運転を継続することができる給水装置であって、前記複数のインバータに、それぞれ2つ以上の異なる通信ポートを設け、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板から、それぞれ異なる通信線により直列に前記複数のインバータを接続したことを特徴とするものである。ここで、制御基板に異常が発生とは、制御基板そのものの異常(例えば、制御基板内のCPUの異常)に限らず、制御基板に接続された各系統のいずれかの機器(又はいずれかの箇所)において異常が発生して当該制御基板が正常に動作できなくなる状況をも含むものである。この状況には、電源の異常、制御基板に給電する電源系統の異常、制御基板に繋がる圧力センサの故障等があげられる。
上記参考例によれば、一方の制御基板と他方の制御基板から、それぞれ異なる通信線により直列に複数のインバータを接続したため、一方の通信線に異常が発生した場合に、他方の通信線により通信を確保することができるため、ノイズ等による通信線の不良が原因でインバータの制御が不能になる事態が防止できる。
【0023】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記複数の制御基板にそれぞれ2つ以上の異なる通信ポートを設け、前記一方の制御基板、前記複数のインバータ及び前記他方の制御基板を複数の通信線によりそれぞれ直列に接続したことを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板から、それぞれ異なる通信線が直列に最後のインバータまで延びていることを特徴とする。
【0024】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つの制御基板と前記複数のインバータとの間をアナログ信号または接点信号を送る信号線で接続したことを特徴とする。
上記参考例によれば、全ての通信が機能不全になっても、制御基板とインバータとを繋ぐ信号線を介してアナログ信号又は接点信号によりインバータを制御することができる。すなわち、通信が異常になっても、サージやノイズ等の外的要因に対して強いアナログ信号又は接点信号でバックアップすることで、給水装置の運転を継続することができる。
【0025】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板または前記他方の制御基板と前記複数のインバータを接続する通信線上に、通信をON/OFFするスイッチを設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、運転中の制御基板に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板がバックアップする際に、他方の制御基板からスイッチのOFF信号を出力してスイッチをOFFすることにより、異常が発生した制御基板とインバータとの間の通信線を物理的に遮断する。これにより、インバータは、他方の制御基板のみにより制御されるようになる。したがって、異常が発生した制御基板から誤った指令がインバータに送られることはない。
【0026】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板及び/または前記他方の制御基板から最初のインバータに接続される通信線上に前記スイッチを設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、異常が発生した制御基板と最初のインバータとの間で、通信を遮断することができるため、異常が発生した制御基板から誤った指令がいずれのインバータにも送られることはない。
【0027】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板の圧力検知部のうち、いずれか一方に圧力センサを設け、他方に圧力スイッチを設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の制御基板に圧力センサを接続し、他方の制御基板に圧力スイッチを接続することにより、圧力スイッチの方が圧力センサよりもノイズ等の外的要因に対する耐性のレベルが高いため、外的要因の影響を低くすることができる。したがって、バックアップを必要とする際に、圧力スイッチに繋がる制御基板を含むバックアップ側の系統を確実に動作させることができる。
【0028】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板に、それぞれ1系統以上の圧力検知手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、1系統以上の圧力検知手段を設けたため、一方の圧力検知手段に異常が発生しても、他方の圧力検知手段でバックアップすることができる。
【0029】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに前記圧力検知手段から入力した検出値を比較をして、異なった場合には、前記入力信号の異常と判断する判断手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、圧力検知手段に故障や異常が発生した場合に、直ちに故障や異常を検知できる。
【0030】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに電源入力部を持たせ、前記各電源入力部には、対応する各電源部を接続するとともに他方の電源部も接続可能とすることを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の電源部から一方の制御基板の電源入力部に給電している間に、この電源部が故障した場合に、他方の電源部がバックアップして、前記一方の制御基板の電源入力部に給電することができる。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに前記電源部を取り込んだことを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記複数の制御基板にそれぞれ接続され、前記給水装置の操作および制御のための各種設定を行う複数の操作表示部をさらに備え、前記操作表示部は、前記給水装置の運転状況を表示する表示部を有していることを特徴とする。
【0031】
本発明のさらに他の参考例によれば、複数のポンプと、対応するポンプの回転周波数を可変制御する複数のインバータと、前記複数のインバータを制御する複数の制御基板とを備え、一方の制御基板に異常が発生した場合に、他方の制御基板が前記一方の制御基板をバックアップすることで運転を継続することができる給水装置であって、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに繋がる電源系統、信号系統、制御系統のうちの少なくとも一つにおいて、一方の系統の外的要因に対する耐性のレベルを他方の系統の外的要因に対する耐性のレベルと異ならせることを特徴とするものである。ここで、制御基板に異常が発生とは、制御基板そのものの異常(例えば、制御基板内のCPUの異常)に限らず、制御基板に接続された各系統のいずれかの機器(又はいずれかの箇所)において異常が発生して当該制御基板が正常に動作できなくなる状況をも含むものである。この状況には、電源の異常、制御基板に給電する電源系統の異常、制御基板に繋がる圧力センサの故障等があげられる。
上記参考例によれば、バックアップ側の制御基板に繋がる系統におけるサージやノイズの耐量レベル、耐水圧性のレベル等の外的要因に対する耐性のレベルを高くできるので、バックアップを必要とする際に、制御基板を含むバックアップ側の系統を確実に動作させることができる。
【0032】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記外的要因に対する耐性のレベルは、サージ及びノイズのうち少なくとも一つの耐量レベルであることを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板に繋がる系統に対するサージ及び/またはノイズの耐量レベルと、前記他方の制御基板に繋がる系統に対するサージ及び/またはノイズの耐量レベルとの間で、前記一方の制御基板側よりも前記他方の制御基板側の耐量レベルを上げることを特徴とする。
【0033】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記外的要因に対する耐性のレベルは、圧力検知部の耐水圧性であり、前記一方の制御基板に繋がる圧力検知部の耐水圧性を前記他方の制御基板に繋がる圧力検知部の耐水圧性と異ならせることを特徴とする。
上記参考例によれば、圧力検知部の耐水圧性を異ならせることで、圧力検知部にウォータハンマ等の高水圧がかかった場合でも、圧力検知部の故障リスクを低減することができる。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに繋がる複数の圧力検知部を設け、同一の制御基板内の前記複数の圧力検知部同士で、耐水圧性を異ならせることを特徴とする。
【0034】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板の圧力検知部のうち、いずれか一方に圧力センサを設け、他方に圧力スイッチを設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の制御基板に圧力センサを接続し、他方の制御基板に圧力スイッチを接続することにより、圧力スイッチの方が圧力センサよりもノイズ等の外的要因に対する耐性のレベルが高いため、外的要因の影響を低くすることができる。したがって、バックアップを必要とする際に、圧力スイッチに繋がる制御基板を含むバックアップ側の系統を確実に動作させることができる。
【0035】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板に、それぞれ1系統以上の圧力検知手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、1系統以上の圧力検知手段を設けたため、一方の圧力検知手段に異常が発生しても、他方の圧力検知手段でバックアップすることができる。
【0036】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに前記圧力検知手段から入力した検出値を比較をして、異なった場合には、前記入力信号の異常と判断する判断手段を設けたことを特徴とする。
上記参考例によれば、圧力検知手段に故障や異常が発生した場合に、直ちに故障や異常を検知できる。
【0037】
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに電源入力部を持たせ、前記各電源入力部には、対応する各電源部を接続するとともに他方の電源部を接続可能とすることを特徴とする。
上記参考例によれば、一方の電源部から一方の制御基板の電源入力部に給電している間に、この電源部が故障した場合に、他方の電源部がバックアップして、前記一方の制御基板の電源入力部に給電することができる。
上記参考例の好ましい態様によれば、前記一方の制御基板と前記他方の制御基板のそれぞれに前記電源部を取り込んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明および上記参考例によれば、以下に列挙する効果を奏する。
(1)雷によるサージ、ノイズ等の発生や、各種センサの寿命によって、一方の制御基板が機能しなくなった場合でも、他方の制御基板により、給水能力を低下させずに、給水装置の運転を継続することができる。
(2)一方の制御基板と他方の制御基板から、それぞれ異なる通信線により直列に複数のインバータを接続したため、一方の通信線に異常が発生した場合に、他方の通信線により通信を確保することができるため、ノイズ等による通信線の不良が原因でインバータの制御が不能になる事態が防止できる。
(3)バックアップ側の制御基板に繋がる系統におけるサージやノイズの耐量レベル、耐水圧性のレベル等の外的要因に対する耐性のレベルを高くできるので、バックアップを必要とする際に、制御基板を含むバックアップ側の系統を確実に動作させることができる。
(4)制御基板が同時に故障する原因として、圧力検知部にウォータハンマ等の高水圧がかかった場合に、圧力検知部の耐水圧をオーバーして破損にいたる場合もあったが、本発明によれば、圧力検知部の耐水圧性を異ならせることで、圧力検知部の故障リスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の給水装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の給水装置の一実施例を示す図であり、図1に示す給水装置の通信線の構成を更に詳細に示す概略図である。
【図3】図1および図2に示す給水装置に他のスイッチを追加した実施形態を示す概略図である。
【図4】図3に示す給水装置に、運転中の制御基板の通信を止める機能と、通信をON/OFFするスイッチをリセットする機能とを追加した実施形態を示す概略図である。
【図5】図4に示す給水装置の構成において、通信をON/OFFするスイッチをリセットする場合のフローチャートである。
【図6】図1および図2に示す給水装置の電源系統の構成を更に詳細に示す概略図である。
【図7】図7(a)は、一方の制御基板と他方の制御基板とを接続している通信線を利用して相手側制御基板を監視する監視システムのフローチャートであり、図7(b)は、監視基板の配置構成を示す図である。
【図8】一方の制御基板と他方の制御基板とを接続している通信線を利用して相手側制御基板とインバータとの間が正常に通信されているか否かを監視する監視システムのフローチャートである。
【図9】図9(a)は、本発明の給水装置の一実施形態を示す図であり、図9(b)は、本発明の給水装置の一実施形態を示す図である。
【図10】本発明の給水装置の一実施形態を示す図である。
【図11】図10に示す給水装置に、通信をON/OFFするスイッチを設けた実施形態を示す概略図である。
【図12】本発明の給水装置の一実施形態を示す図であり、図1に示す給水装置の機器構成を更に詳細に示す概略図である。
【図13】給水装置の圧力検知部の一実施形態を示す概略図である。
【図14】給水装置の圧力検知部の他の実施形態を示す概略図である。
【図15】給水装置の制御基板に電源入力部を設けた実施形態を示す概略図である。
【図16】本発明の給水装置の一実施形態を示す図である。
【図17】給水装置の制御盤を示す前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る給水装置の実施形態について図1から図17を参照して詳細に説明する。また、図1から図17において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の給水装置1の全体構成を示す概略図である。図1において、実線(太線)は電源系統を示し、破線は制御系統(通信線)を示し、矢印は信号系統(信号線)を示す。給水装置は、複数台のポンプおよびインバータを備えるが、本実施形態においては、3台のポンプおよびインバータを備えた給水装置について説明する。
【0041】
図1に示すように、給水装置1は、受水槽2と、配管10を介して受水槽2に接続される3台のポンプ3と、3台のポンプをそれぞれ駆動する3台のモータ4と、3台のモータ4の回転周波数をそれぞれ制御する3台のインバータINV1,INV2,INV3と、これら3台のインバータINV1〜INV3をはじめとする各種機器を制御する2つの制御基板(制御基板1,制御基板2)CN1,CN2とを備えている。
【0042】
インバータINV1,INV2,INV3には、それぞれ、電源5から漏電遮断器ELB1,ELB2,ELB3を介して電源が供給されるようになっている。そして、各インバータINV1,INV2,INV3からは、各モータ4に、周波数制御された電源が供給されるようになっている。また、2つの制御基板(制御基板1,制御基板2)CN1,CN2には、それぞれ、電源5からノイズフィルタNF1,NF2およびサージ吸収素子AL1,AL2を介して電源が供給されるようになっている。また漏電遮断器ELB1,ELB2,ELB3は、それぞれ、信号線を介して制御基板CN1および制御基板CN2に接続されている。
【0043】
制御基板(制御基板1)CN1、インバータINV1、インバータIVN2、インバータINV3、制御基板(制御基板2)CN2は、通信線によって直列に数珠つなぎされた接続になっている。すなわち、制御基板CN1の通信ポート1からインバータINV1のポート、インバータINV2のポート、インバータINV3のポート、制御基板CN2の通信ポート1に順番にRS485により接続されている。したがって、制御基板CN1からある指令(情報)を送ると、インバータINV1,INV2,INV3、制御基板CN2に同じ指令(情報)が送られる。また制御基板CN2からある指令(情報)を送ると、インバータINV3,INV2,INV1、制御基板CN1に同じ指令(情報)が送られる。そして、制御基板CN1と制御基板CN2とは、通信ポート3を介してRS485によって相互に接続されている。
【0044】
上述の構成において、給水装置1の運転中に、一方の制御基板CN1(又はCN2)に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板CN2(又はCN1)が前記一方の制御基板CN1(又はCN2)をバックアップすることで、インバータINV1,INV2,INV3を制御してポンプ3の運転を継続することができるようになっている。
ここで、制御基板CN1(又はCN2)に異常が発生とは、制御基板CN1(又はCN2)そのものの異常(例えば、制御基板内のCPUの異常)に限らず、制御基板CN1(又はCN2)に接続された各系統のいずれかの機器(又はいずれかの箇所)において異常が発生して当該制御基板CN1(又はCN2)が正常に動作できなくなる状況をも含むものである。この状況には、電源の異常、制御基板に給電する電源系統の異常、制御基板に繋がる圧力センサ(後述する圧力センサPS1,PS2等)の故障等があげられる。
【0045】
受水槽2には、電極棒12aにより受水槽2の水位を検知する2セットの水位検知器WL1,WL2が設けられている。本実施形態における各水位検知器WL1,WL2は、4つの液面レベル(満水、減水、復帰、渇水)を検知する。本実施形態においては、水位検知器WL1は信号線を介して制御基板CN1に接続されており、水位検知器WL2は信号線を介して制御基板CN2に接続されている。受水槽2には、水道本管(図示せず)に接続された給水管14から電磁弁16を介して水道水が導入されるようになっている。水位検知器WL1,WL2により受水槽2の水位が検知され、水位の増減に応じて制御基板CN1(又はCN2)により電磁弁16が開閉される。このような構成により、受水槽2に水道水がいったん貯水され、この貯水された水がポンプ3により住宅等の末端の供給先に供給されるようになっている。
【0046】
各ポンプ3の吐出側には、配管18が接続されており、3本の配管18は吐出管20に合流するようになっている。これにより、受水槽2内の水道水は、ポンプ3により配管18および吐出管20を介して住宅等の末端の供給先に供給されるようになっている。各配管18にはチェッキ弁22およびフロースイッチ24がそれぞれ設けられており、フロースイッチ24の出力は制御基板CN1,CN2に入力される。すなわち、各フロースイッチ24は信号線を介して制御基板CN1および制御基板CN2に接続されている。なお、チェッキ弁22はポンプ3が停止した場合に吐出側から吸込側に水が逆流することを防止するための逆流防止弁であり、フロースイッチ24は配管18内を流れる水の水量が少なくなったことを検知するための少水量検知手段である。
【0047】
吐出管20には、ポンプ3の吐出圧力を検出する2つの圧力センサ(圧力センサ1,圧力センサ2)PS1,PS2が設置されており、これらの圧力センサPS1,PS2の出力信号は制御基板CN1,CN2に入力されている。すなわち、圧力センサPS1は信号線を介して制御基板CN1に接続されており、圧力センサPS2は信号線を介して制御基板CN2に接続されている。また、吐出管20には圧力タンク28が接続されており、フロースイッチ24により水量が少なくなったことが検知された場合には、ポンプ3の締切運転を防止するために、圧力タンク28に蓄圧してからポンプ3の運転を停止することができるようになっている。
【0048】
この給水装置1においては、フロースイッチ24や圧力センサ(圧力センサ1,圧力センサ2)PS1,PS2などの出力信号に基づいて、ポンプ3の回転速度(回転周波数)がインバータINV1,INV2,INV3を用いて可変速制御される。一般的には、圧力センサPS1,PS2により検出された圧力信号が設定された目標圧力と一致するようにポンプ3の回転速度を制御してポンプ3の吐出圧力が一定になるように制御する吐出圧力一定制御や、ポンプ3の吐出圧力の目標値を適切に変化させることにより末端の供給先における供給水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御などが行われる。これらの制御によれば、その時々の需要水量に見合った回転速度でポンプ3が駆動されるので、省エネルギーを達成することができる。
【0049】
また、フロースイッチ24がONになると、水の使用のない、水量が少ない状態と判断され、ポンプ3の運転が停止される(少水量停止動作が行われる)。吐出圧力の低下などにより水の使用が検知されると、ポンプが再起動される。水量の少ないときにポンプ3を停止する場合には、一度ポンプ3を加速して、圧力タンク28に蓄圧してからポンプ3を停止する蓄圧運転を行ってもよい。
【0050】
本実施形態の給水装置1は、複数のポンプ3を備えているので、追加解列を伴う複数台運転を行ったり、運転中に特定のポンプ3やインバータINV1,INV2,INV3の異常が検知された場合に、他の正常なポンプ3やインバータINV1,INV2,INV3に運転を切り替えて給水を継続することができる。なお、受水槽2を設置しないで、配管10を水道本管に直結して直結給水装置を構成してもよい。
【0051】
図2は、本発明の給水装置の一実施形態を示す図であり、図1に示す給水装置の通信線の構成を更に詳細に示す概略図である。図2に示すように、一方の制御基板CN1から3台のインバータINV1,INV2,INV3を経て他方の制御基板CN2に通信線により直列に接続されている。そして、制御基板CN1と最初のインバータINV1とを結ぶ通信線上に、通信をON/OFFするスイッチSW1を設けている。すなわち、制御基板CN1とインバータINV1〜INV3とを接続する通信線のうち最初の通信線に、通信をON/OFFするスイッチSW1を設けている。このスイッチSW1は、接点を有し、物理的に通信線を遮断する手段であり、スイッチSW1のON/OFF制御は、制御基板CN2から出力されるON/OFF信号により行われるようになっている。
【0052】
上述の構成において、制御基板CN1に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板CN2がバックアップする際に、制御基板CN2からスイッチのOFF信号を出力してスイッチSW1をOFFすることにより、制御基板CN1とインバータINV1との間の通信線を物理的に遮断する。これにより、3台のインバータINV1,INV2,INV3は、制御基板CN2のみにより制御されるようになる。したがって、異常が発生した制御基板CN1から誤った指令がインバータINV1,INV2,INV3に送られることはない。
【0053】
図3は、図1および図2に示す給水装置にスイッチSW2を追加した実施形態を示す概略図である。すなわち、制御基板CN2とインバータINV3とを結ぶ通信線上に、通信をON/OFFするスイッチSW2を設けている。スイッチSW2は制御基板CN2と最初のインバータINV3とを接続する通信線上に設けられている。そして、スイッチSW2のON/OFF制御は、制御基板CN1から出力されるON/OFF信号により行われるようになっている。
【0054】
上述の構成において、制御基板CN1に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板CN2がバックアップする際に、制御基板CN2からスイッチのOFF信号を出力してスイッチSW1をOFFすることにより、制御基板CN1とインバータINV1との間の通信線を物理的に遮断する。これにより、3台のインバータINV1,INV2,INV3は、制御基板CN2のみにより制御されるようになる。そして、制御基板CN2が稼働中に、制御基板CN2に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板CN1がバックアップする際に、制御基板CN1からスイッチのOFF信号を出力してスイッチSW2をOFFすることにより、制御基板CN2とインバータINV3との間の通信線を物理的に遮断する。これにより、3台のインバータINV1,INV2,INV3は、制御基板CN1のみにより制御されるようになる。したがって、異常が発生した制御基板CN2から誤った指令がインバータINV1,INV2,INV3に送られることはない。
【0055】
図4は、図3に示す給水装置に、運転中の制御基板の通信を止める機能と、通信をON/OFFするスイッチをリセットする機能とを追加した実施形態を示す概略図である。すなわち、制御基板CN2は、制御基板CN2の運転中に、制御基板CN2の通信を止めて、OFF状態のスイッチSW1をリセットしてONにするリセット機能を有している。また制御基板CN1は、制御基板CN1の運転中に、制御基板CN1の通信を止めて、OFF状態のスイッチSW2をリセットしてONにするリセット機能を有している。
【0056】
上述の構成において、制御基板CN1に異常が発生してスイッチSW1がOFFとなり、制御基板CN2によりインバータINV1,INV2,INV3を制御している間(図4はこの状態を示している)に、制御基板CN2の通信を止めて、OFF状態のスイッチSW1をリセットしてONとする。そして、制御基板CN1を再起動する。これにより、制御基板CN1によりインバータINV1,INV2,INV3を制御することができる。なお、制御基板CN2の通信を止めている間は、制御基板CN2が通信を止める前の指令に基づいてインバータINV1,INV2,INV3は制御される。
【0057】
また、制御基板CN2に異常が発生してスイッチSW2がOFFとなり、制御基板CN1によりインバータINV1,INV2,INV3を制御している間に、制御基板CN1の通信を止めて、OFF状態のスイッチSW2をリセットしてONとする。そして、制御基板CN2を再起動する。これにより、制御基板CN2によりインバータINV1,INV2,INV3を制御することができる。なお、制御基板CN1の通信を止めている間は、制御基板CN1が通信を止める前の指令に基づいてインバータINV1,INV2,INV3は制御される。
【0058】
図5は、図4に示す給水装置の構成において、通信をON/OFFするスイッチをリセットする場合のフローチャートである。図5に示すように、相手側制御基板の復帰処理は、次の手順で行われる。以下においては、制御基板CN2でバックアップ運転している場合を説明する。なお、制御基板CN1でバックアップ運転している場合については括弧内に示す。ステップS1において、制御基板CN1と制御基板CN2との間の通信3が異常か否かを判断し、異常の場合には、制御基板CN1(又はCN2)を復帰することなく、バックアップ運転を継続する。そして、通信3が異常でない場合には、ステップS2において、運転中の制御基板CN2(又はCN1)からインバータINV1,INV2,INV3への通信を停止する。次に、ステップS3において、OFF信号状態にあるスイッチSW1(又はSW2)をリセットしてONとする。そして、ステップS4において、通信3で相手側制御基板から「自動運転中、全インバータ通信異常」を受信したか否かを判断する。上記信号を受信しない場合には、制御基板CN1(又はCN2)の系統が正常であるため、制御基板CN2によるバックアップ運転を終了する。一方、上記信号を受信した場合には、ステップS5において、スイッチSW1(又はSW2)のOFF信号を出力する。
【0059】
図6は、図1および図2に示す給水装置の電源系統の構成を更に詳細に示す概略図である。図6に示すように、制御基板CN1,CN2に電源を供給する電源系統に、それぞれ電源スイッチPSW1,PSW2を設けている。実施形態においては、電源スイッチPSW1をノイズフィルタNF1と制御基板CN1との間に設け、電源スイッチPSW2をノイズフィルタNF2と制御基板CN2との間に設けているが、これら電源スイッチPSW1,PSW2を制御基板CN1,CN2内に設けてもよい。
【0060】
上述の構成において、一方の制御基板、もしくは、それにかかわる信号系統の修理又は交換などを行う際に、他方の制御基板により運転が継続できる。通常の状態においては、電源スイッチPSW1,PSW2は、常時投入されており、また制御基板CN1,CN2内にある電源回路(図示せず)も常時投入されている。したがって、いずれか一方の制御基板CN1(又はCN2)に異常が発生した場合に、直ちに他方の制御基板CN2(又はCN1)が前記一方の制御基板CN1(又はCN2)をバックアップすることで、給水装置の運転を継続することができる。また異常が発生した制御基板CN1(又はCN2)を復帰する場合も、短時間で復帰を行うことができる。
【0061】
次に、図1および図2に示す給水装置における監視システムについて説明する。
図7(a)は、制御基板CN1と制御基板CN2とを接続している通信線を利用して相手側制御基板を監視する監視システムのフローチャートである。図7(a)に示すように、相手側制御基板の監視処理は、次の手順で行われる。以下においては、制御基板CN1で運転していて制御基板CN2でバックアップ運転する場合を説明する。なお、制御基板CN2で運転していて制御基板CN1でバックアップ運転する場合については括弧内に示す。
【0062】
図7(a)に示すように、制御基板CN1と制御基板CN2とを接続している通信線を介して行われる通信3が異常か否かを判断し、制御基板CN1(又はCN2)が異常か否かを判断する。制御基板CN1(又はCN2)が異常の場合にはスイッチSW1(又はSW2)の切断信号(OFF信号)を出力し、制御基板CN2(又はCN1)によるバックアップ運転に移行する。制御基板CN1(又はCN2)が異常でない場合にはスイッチSW1(又はSW2)の切断信号(OFF信号)を出力しない。
なお、図7(b)に示すように、制御基板CN1と制御基板CN2とを接続している通信線の途中に監視基板30を設けることもできる。監視基板30は、制御基板CN1、制御基板CN2と接続可能な通信ポートを備えており(図示せず)、通信線により制御基板CN1、制御基板CN2に接続されている。監視基板30はこの通信線を介して制御基板CN1、制御基板CN2がそれぞれ正常に動作しているかどうかを監視し、一方の制御基板CN1(又はCN2)に異常があった場合には、他方の制御基板CN2(又はCN1)に通信線を介して一方の制御基板CN1(又はCN2)に異常があったことを通達するように構成されている。このように、制御基板CN2(又はCN1)にもう一方の制御基板CN1(又はCN2)の異常を判断する機能を持たせるのではなく、両方の制御基板CN1,CN2の異常を一括して判断する機構を設けることもでき、それぞれの制御基板CN1,CN2は自ら異常の判断を行うのではなく、異常を通達されるという点で異なるのみで、図7(a)に示した動作には違いが生じない。
上記構成により、バックアップ運転への判断、もしくは、バックアップ運転後の復帰は、その動作が可能か否かをチェックした上で、バックアップ運転をすることができ、もしくは、バックアップ運転後の復帰をすることができる。
【0063】
図8は、制御基板CN1と制御基板CN2とを接続している通信線を利用して相手側制御基板とインバータとの間が正常に通信されているか否かを監視する監視システムのフローチャートである。図8に示すように、インバータと制御基板間の監視処理は次の手順で行われる。以下においては、制御基板CN1で運転していて制御基板CN2でバックアップ運転する場合を説明する。なお、制御基板CN2で運転していて制御基板CN1でバックアップ運転する場合については括弧内に示す。
【0064】
図8に示すように、制御基板CN1と制御基板CN2とを接続している通信線を介して行われる通信3で相手側制御基板から「自動運転中、全インバータ通信異常」を受信したか否かを判断して制御基板CN1(又はCN2)とインバータINV1,INV2,INV3との間の通信異常があるか否かを判断する。通信異常の場合にはスイッチSW1(又はSW2)の切断信号(OFF信号)を出力し、制御基板CN2(又はCN1)によるバックアップ運転に移行する。通信異常でない場合にはスイッチSW1(又はSW2)の切断信号(OFF信号)を出力しない。
上記構成により、バックアップ運転への判断、もしくは、バックアップ運転後の復帰は、その動作が可能か否かをチェックした上で、バックアップ運転をすることができ、もしくは、バックアップ運転後の復帰をすることができる。
【0065】
図9(a)は、本発明の給水装置の一実施形態を示す図である。図1に示す給水装置は、制御基板CN1,CN2とインバータINV1,INV2,INV3との間の通信線が一系統であったのに対し、図9(a)に示す給水装置は、制御基板CN1,CN2とインバータINV1,INV2,INV3との間の通信線を二系統にしたものである。
すなわち、制御基板CN1,CN2に2つの通信ポート(すなわち、通信ポート1と通信ポート2)を設け、各インバータINV1,INV2,INV3に2つのポート(すなわちポート1とポート2)を設け、制御基板CN1、インバータINV1〜INV3、制御基板CN2を異なる通信線L1,L2で直列に接続する。これにより、通信線を通信1と通信2が可能な二系統にしている。実施形態では、通信線L1,L2にはRS485を用いている。図9(a)においては、一方の通信線L1を実線で示し、他方の通信線L2を破線で示している。そして、制御基板CN1と制御基板CN2とは、通信ポート3を介して通信線L3で接続し、制御基板CN1と制御基板CN2との間で通信3が可能な構成としている。通信線L3にもRS485を用いている。
【0066】
図9(a)に示す給水装置によれば、一方の通信線L1(又はL2)に異常が発生した場合に、他方の通信線L2(又はL1)により通信を確保することができるため、ノイズによる通信線等の不良が原因でインバータINV1,INV2,INV3の制御が不能になる事態が防止できる。
なお、図9(b)に示すように、制御基板CN1と制御基板CN2のそれぞれに、通信ポートを1つだけ設け、制御基板CN1とインバータINV1〜INV3、制御基板CN2とインバータINV1〜INV3を異なる通信線で直列に接続することも出来る。
【0067】
図10は、本発明の給水装置の一実施形態を示す図である。図10に示す給水装置は、制御基板CN1,CN2とインバータINV1,INV2,INV3との間の通信線を二系統にし、かつ制御基板とインバータINV1,INV2,INV3との間でアナログ信号もしくは接点信号を送ることができる構成としたものである。
すなわち、制御基板CN1,CN2に2つの通信ポート(すなわち、通信ポート1と通信ポート2)を設け、各インバータINV1,INV2,INV3に2つのポート(すなわちポート1とポート2)を設け、制御基板CN1とインバータINV1,INV2,INV3を通信線L1で直列に接続し、制御基板CN2とインバータINV3,INV2,INV1を通信線L2で直列に接続し、さらに制御基板CN2とインバータINV1,INV2,INV3との間でアナログ信号もしくは接点信号を送ることができる信号線SL1,SL2,SL3を設けたものである。なお、通信線L1は、制御基板CN1から最後のインバータINV3まで延びており、通信線L2は、制御基板CN2から最後のINV1まで延びている。
【0068】
図10に示す給水装置によれば、一方の通信線L1(又はL2)に異常が発生した場合に、他方の通信線L2(又はL1)により通信を確保することができるため、ノイズ等による通信線の不良が原因でインバータINV1,INV2,INV3の制御が不能になる事態が防止できる。そして、制御基板CN2とインバータINV1,INV2,INV3との間でアナログ信号もしくは接点信号を送ることができる信号線SL1,SL2,SL3を設けた構成により、制御基板CN2がアナログ信号を出力した場合には、インバータINV1,INV2,INV3が可変の回転周波数を出力するように制御することができ、また制御基板CN2が接点信号を出力した場合には、インバータINV1,INV2,INV3が予め定められた複数の段階的な固定の回転周波数を出力するように制御することができる。
【0069】
図10に示す実施形態によれば、全ての通信が機能不全になっても、制御基板CN2とインバータINV1,INV2,INV3とを繋ぐ信号線SL1,SL2,SL3を介してアナログ信号又は接点信号によりインバータINV1,INV2,INV3を制御することができる。すなわち、通信が異常になっても、サージやノイズ等の外的要因に対して強いアナログ信号又は接点信号でバックアップすることで、給水装置の運転を継続することができる。
【0070】
図10に示す実施形態においては、制御基板CN1,CN2とインバータINV1,INV2,INV3との間の通信線が二系統ある給水装置に制御基板とインバータINV1,INV2,INV3との間でアナログ信号もしくは接点信号を送ることができる構成を設けたが、制御基板CN1,CN2とインバータINV1,INV2,INV3との間の通信線が一系統の給水装置に制御基板とインバータINV1,INV2,INV3との間でアナログ信号もしくは接点信号を送ることができる構成を設けるようにしてもよい。この場合にも、通信が異常になっても、アナログ信号又は接点信号でバックアップすることで、給水装置の運転を継続することができる。
【0071】
図11は、図10に示す給水装置に、通信をON/OFFするスイッチSW1,SW2を設けた実施形態を示す概略図である。図11に示すように、制御基板CN1,CN2に2つの通信ポート(すなわち、通信ポート1と通信ポート2)を設け、各インバータINV1,INV2,INV3に2つのポート(すなわちポート1とポート2)を設け、制御基板CN1、インバータINV1〜INV3、制御基板CN2を異なる通信線L1,L2で直列に接続することにより、通信1と通信2が可能な二系統の構成にしている。そして、制御基板CN1と最初のインバータINV1とを結ぶ通信線上に、通信をON/OFFするスイッチSW1を設け、制御基板CN2と最初のインバータINV3とを結ぶ通信線上に、通信をON/OFFするスイッチSW2を設けている。スイッチSW1のON/OFF制御は、制御基板CN2から出力されるON/OFF信号により行われ、スイッチSW2のON/OFF制御は、制御基板CN1から出力されるON/OFF信号により行われるようになっている。
【0072】
上述の構成において、運転中の制御基板CN1に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板CN2がバックアップする際に、制御基板CN2からスイッチのOFF信号を出力してスイッチSW1をOFFすることにより、制御基板CN1とインバータINV1との間の通信線を物理的に遮断する。これにより、3台のインバータINV1,INV2,INV3は、制御基板CN2のみにより制御されるようになる。したがって、異常が発生した制御基板CN1から誤った指令がインバータINV1,INV2,INV3に送られることはない。
【0073】
また、運転中の制御基板CN2に異常が発生した場合に、待機中の他方の制御基板CN1がバックアップする際に、制御基板CN1からスイッチのOFF信号を出力してスイッチSW2をOFFすることにより、制御基板CN2とインバータINV3との間の通信線を物理的に遮断する。これにより、3台のインバータINV1,INV2,INV3は、制御基板CN1のみにより制御されるようになる。したがって、異常が発生した制御基板CN2から誤った指令がインバータINV1,INV2,INV3に送られることはない。
【0074】
図11に示すように、制御基板CN1および制御基板CN2から、通信をON/OFFするスイッチSW1,SW2に接点信号を出力するようにしたため、装置のコンパクト化を図ることができる。また、制御基板CN1(又はCN2)と最初のインバータINV1(又はINV3)とを結ぶ通信線上に、通信をON/OFFするスイッチSW1(又はSW2)を設けているため、故障した制御基板の通信線をおおもとから完全に切断することができる。
【0075】
図12は、本発明の給水装置の一実施形態を示す図であり、図1に示す給水装置の機器構成を更に詳細に示す概略図である。図12において、電源系統に設けられたサージ吸収素子AL1とサージ吸収素子AL2のサージ放電耐量は、一方が高く、他方が低く設定されている。すなわち、サージ吸収素子AL1,AL2は、それぞれ線間および対地間両方のサージを吸収し、大きな放電耐量を有しているが、一方のサージ吸収素子AL2の放電耐量を他方のサージ吸収素子AL1の放電耐量より大きくしている。たとえば、サージ吸収素子AL1の放電耐量を10kAとし、サージ吸収素子AL2の放電耐量を20kAとする。これにより、雷によるサージで、一方のサージ吸収素子が故障しても、他方のサージ吸収素子は正常に動作できるようにしている。
【0076】
また図12において、電源系統に設けられたノイズフィルタNF1とノイズフィルタNF2のノイズ減衰量は、一方が高く、他方が低く設定されている。すなわち、一方のノイズフィルタNF2のノイズ減衰量のレベルを他方のノイズフィルタNF1のノイズ減衰量のレベルより大きくしている。これにより、雷などにより高いレベルのノイズが発生して、一方のノイズフィルタが故障しても、他方のノイズフィルタは正常に動作できるようにしている。
【0077】
さらに図12において、吐出管20に設けられた圧力センサPS1と圧力センサPS2の耐電圧および許容最大圧力(耐水圧性)は、一方が高く、他方が低く設定されている。すなわち、一方の圧力センサPS2の耐電圧のレベルを他方の圧力センサPS1の耐電圧のレベルより大きくしている。そして、一方の圧力センサPS2の許容最大圧力(耐水圧性)を他方の圧力センサPS1の許容最大圧力(耐水圧性)より大きくしている。たとえば、圧力センサPS2の耐電圧を250Vとし、圧力センサPS1の耐電圧を100Vとしている。また圧力センサPS2の許容最大圧力(耐水圧性)を圧力レンジの2倍とし、圧力センサPS1の許容最大圧力(耐水圧性)を圧力レンジの1.5倍としている。
【0078】
以上説明したように、図12に示す本発明の実施形態においては、制御基板CN1,CN2のそれぞれに繋がるサージ吸収素子AL1,AL2およびノイズフィルタNF1,NF2を含む電源系統、圧力センサPS1,PS2を含む信号系統、通信線L1,L2を含む制御系統において、各系統は二つの系統から構成され、この二つの系統におけるサージ、ノイズ、耐水圧性等の外的要因に対する耐性のレベルを異ならせている。
【0079】
すなわち、電源系統は、サージ吸収素子AL1とノイズフィルタNF1を含み制御基板CN1に繋がる系統と、サージ吸収素子AL2とノイズフィルタNF2を含み制御基板CN2に繋がる系統とから構成されており、一方の系統の外的要因に対する耐性のレベルを他方の系統の外的要因に対する耐性のレベルと異ならせている。本実施形態では、制御基板CN2に繋がる電源系統の外的要因に対する耐性のレベルを制御基板CN1に繋がる電源系統の外的要因に対する耐性のレベルよりも高くしている。
【0080】
また、信号系統は、圧力センサPS1等を含み制御基板CN1に繋がる系統と、圧力センサPS2等を含み制御基板CN2に繋がる系統とから構成されており、一方の系統の外的要因に対する耐性のレベルを他方の系統の外的要因に対する耐性のレベルと異ならせている。本実施形態では、制御基板CN2に繋がる信号系統の外的要因に対する耐性のレベルを制御基板CN1に繋がる信号系統の外的要因に対する耐性のレベルよりも高くしている。
【0081】
制御系統は、通信線L1等を含み制御基板CN1に繋がる系統と、通信線L2等を含み制御基板CN2に繋がる系統とから構成されており、一方の系統の外的要因に対する耐性のレベルを他方の系統の外的要因に対する耐性のレベルと異ならせている。本実施形態では、制御基板CN2に繋がる制御系統の外的要因に対する耐性のレベルを制御基板CN1に繋がる制御系統の外的要因に対する耐性のレベルよりも高くしている。
【0082】
以上説明したように、通常、バックアップ側の制御基板として用いられる制御基板CN2に繋がる系統におけるサージやノイズの耐量レベル、耐水圧性のレベル等の外的要因に対する耐性のレベルを高くしているので、バックアップを必要とする際に、制御基板CN2を含むバックアップ側の系統を確実に動作させることができる。
【0083】
図13は、給水装置の圧力検知部の一実施形態を示す概略図である。図13に示すように、制御基板CN1,CN2のそれぞれに繋がる圧力センサを2セットずつ設けている。すなわち、制御基板CN1には圧力センサPS1−1,PS1−2を接続し、制御基板CN2に圧力センサPS2−1,PS2−2を接続する。この場合、同一の制御基板内の圧力センサの耐水圧レベル(耐水圧性)を異ならせており、圧力センサPS1−2の耐水圧レベルを圧力センサPS1−1の耐水圧レベルより大きくし、圧力センサPS2−2の耐水圧レベルを圧力センサPS2−1の耐水圧レベルより大きくしている。そして、耐圧レベルが高い方の圧力センサPS1−2,PS2−2をバックアップ用の圧力センサとして用いる。
【0084】
このように、同一制御基板内において、複数の圧力センサの耐水圧レベル(耐水圧性)を異ならせることにより、一方の圧力センサが故障しても他方の圧力センサで圧力検出を行うことができるようにして、給水装置の信頼性を向上させている。なお、図13では図示していないが、4個の圧力センサPS1−1,PS1−2,PS2−1,PS2−2は同種のセンサを用い、圧力レンジを同一とすることにより、複数の圧力センサ、例えば4個の圧力センサの検出値を比較してセンサの故障や異常を発見できるようにしてもよい。
なお、各制御基板に繋がる圧力センサの数は、適宜決めることができる。
【0085】
図14は、給水装置の圧力検知部の他の実施形態を示す概略図である。図14に示すように、一方の制御基板の系統の圧力検知部と他方の制御基板の系統の圧力検知部のうち、一方の系統に圧力センサPSを設け、他方の系統に圧力スイッチPWを設けている。図14に示す実施形態では、制御基板CN1に圧力センサPSを接続し、制御基板CN2に圧力スイッチPWを接続している。ここで、圧力センサPSは、圧力を検出し、検出圧力値に対応したアナログ信号又はデジタル信号を出力するものであり、圧力スイッチは、予め設定された所定の圧力に対応してON/OFF信号を出力するものである。
図14に示すように、制御基板CN1に圧力センサPSを接続し、制御基板CN2に圧力スイッチPWを接続することにより、圧力スイッチPWの方が圧力センサPSよりもノイズ等の外的要因に対する耐久性のレベルが高いため、外的要因の影響を低くすることができる。したがって、バックアップを必要とする際に、制御基板CN2を含むバックアップ側の系統を確実に動作させることができる。
【0086】
図15は、給水装置の制御基板に電源入力部を設けた実施形態を示す概略図である。図15に示すように、制御基板CN1,CN2のそれぞれに電源入力部PIN1,PIN2を設け、電源入力部PIN1,PIN2に対応するように電源部PWS1,PWS2を設けている。そして、制御基板CN1の電源部PWS1と電源入力部PIN1とを接続し、かつ制御基板CN1の電源部PWS1と制御基板CN2の電源入力部PIN2とを接続可能としている。また制御基板CN2の電源部PWS2と電源入力部PIN2とを接続し、かつ制御基板CN2の電源部PWS2と制御基板CN1の電源入力部PIN1とを接続可能としている。
【0087】
上述の構成により、制御基板CN1の電源部PWS1から電源入力部PIN1に給電している間に、制御基板CN1の電源部PWS1が故障した場合に、制御基板CN2の電源部PWS2がバックアップして、制御基板CN2の電源部PWS2から制御基板CN1の電源入力部PIN1に給電することができる。また制御基板CN2の電源部PWS2から電源入力部PIN2に給電している間に、制御基板CN2の電源部PWS2が故障した場合に、制御基板CN1の電源部PWS1がバックアップして、制御基板CN1の電源部PWS1から制御基板CN2の電源入力部PIN2に給電することができる。この場合、故障した側の制御基板の電源部は、その故障の状況を把握保持できるようになっている。
なお、図15においては、制御基板内に電源部を設けた例を説明したが、電源部を制御基板と別体にして電源基板として構成してもよい。
【0088】
図16は、本発明の給水装置の一実施形態を示す図である。本実施形態の特に説明しない構成は、図1に示す給水装置の構成と同様である。本実施形態においても、制御基板CN1は主制御基板として機能し、制御基板CN2は予備制御基板として機能する。すなわち、通常の運転では、制御基板CN1によってポンプの運転が制御され、そして、制御基板CN1に異常が発生したときに、制御基板CN2によるバックアップ運転が行われる。
【0089】
図16に示すように、制御基板CN1,CN2には、それぞれ電源基板(電源部)PWS1,PWS2が接続されている。電源基板PWS1,PWS2は、制御基板CN1,CN2とは別体として設けられている。これらの電源基板PWS1,PWS2は、図1に示すノイズフィルタNF1,NF2およびサージ吸収素子AL1,AL2を介して電源5に接続されている。
【0090】
また、制御基板CN1,CN2には、それぞれ操作表示器OD1,OD2が接続されている。図17に示すように、操作表示器OD1,OD2は、複数のボタンと、表示部を備えており、制御盤40のフロントパネルに露出していて、外部からボタン操作が可能になっている。制御盤40の内部には、上述した制御基板CN1,CN2や、電源基板PWS1,PWS2などが収容されている。
【0091】
操作表示器OD1,OD2は、通信ポート1,3とは別の電気信号により制御基板CN1,CN2と接続されている。操作表示器OD1,OD2への電力の供給は、制御基板CN1,CN2を介して行われる。操作表示器OD1,OD2は、給水装置の各種設定の入力装置として機能する。すなわち、操作表示器OD1,OD2のボタン操作により、給水装置の運転の開始および停止が行われる。また、操作表示器OD1,OD2では、給水装置の各種設定、例えば吐き出し圧力の目標値の設定や受水槽2の電磁弁16(図1参照)の制御の有無の設定が行われる。これら設定は、制御基板CN1,CN2の図示しないメモリーに記憶される。
【0092】
各制御基板CN1,CN2での固有の設定(例えば、主制御基板なのか予備制御基板なのかを指定する設定等)を除いて、両方の制御基板CN1,CN2で同じ設定が保存されるようになっていることが望ましい。したがって、対応する操作表示器を介して制御基板CN1,CN2の一方に設定が記憶されると、その設定情報が他方の制御基板に通信により送られて、両方の制御基板CN1,CN2に同じ設定が保存されることが望ましい。
【0093】
また、操作表示器OD1,OD2の表示部は、給水装置の運転の状況、例えば圧力センサPS1,PS2により検知された給水圧力やモータ4を駆動する電流値等を表示するように構成されている。また、図17に示すように、制御盤40のフロントパネルには、バックアップ運転を示すバックアップランプ45が設けられている。
【0094】
制御基板CN1または対応する圧力センサPS1が故障すると、給水装置の運転は、制御基板CN2によるバックアップ運転に切り替わる。制御基板CN1から制御基板CN2に切り替わる動作の流れは、次のようになる。
(1)制御基板CN1または圧力センサPS1の故障が発生し(制御基板CN2への切り替え条件が成立)、
(2)制御基板CN1に連結された操作表示器OD1が故障の発生を知らせる警報を発し、
(3)給水装置の運転制御が制御基板CN1から制御基板CN2に切り替わり、制御基板CN2によるポンプ3の運転を開始し、そして、
(4)両方の操作表示器OD1,OD2にバックアップ運転を知らせるコードを表示し、制御盤40のバックアップランプ45が点灯する。
【0095】
制御基板CN2への切り替え(すなわちバックアップ運転)は、次のいずれかが検知されたときに自動的に行なわれる。
(i)制御基板CN1の異常
(ii)圧力センサPS1の異常
(iii)制御基板CN1と全てのインバータINV1〜INV3との間の通信異常
(iv)制御基板CN1と制御基板CN2との間の通信異常(制御基板CN1に接続される電源基板PWS1の異常もこれに含む)
【0096】
警報および表示以外のバックアップ運転の詳細は、既に述べた実施形態と同様である。なお、バックアップ運転中に制御基板CN2において各種設定を変更した場合、制御基板CN1との通信により設定変更の情報が共有される。しかしながら、制御基板CN1と制御基板CN2との通信が断絶している場合は、バックアップ運転終了に伴って設定の異なる給水制御が制御基板CN1によって行われるおそれがある。そこで、制御基板CN1と制御基板CN2とで共有すべき設定については、バックアップ運転からの復帰時に制御基板CN1と制御基板CN2との通信により、制御基板CN2の設定で制御基板CN1の設定を上書きすることが望ましい。
【0097】
なお、本実施形態における操作表示器は、上述した他の実施形態にも採用することができる。また、本実施形態では、操作表示器を制御基板とは別に設けたが、操作表示器を制御基板と一体に構成してもよい。
【0098】
これまで本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。例えば、図1や図16に示した本実施形態では、水位検知器を各制御基板に対応して2セット設けているが、水位検知器は1セットのみ設置して、水位検知器からの信号線を分岐して、各制御基板に接続するように構成してもよい。ただし、水位検知器を1セットのみ設置する場合には、分岐した信号線を介して各制御基板へ相互に侵入するサージやノイズに対する対策を各制御基板に対して施すのが望ましい。
【符号の説明】
【0099】
1 給水装置
2 受水槽
3 ポンプ
4 モータ
5 電源
10 配管
12a 電極棒
14 吸水管
16 電磁弁
18 配管
20 吐出管
22 チェッキ弁
24 フロースイッチ
28 圧力タンク
45 バックアップランプ
INV1,INV2,INV3 インバータ
CN1,CN2 制御基板
ELB1,ELB2,ELB3 漏電遮断器
NF1,NF2 ノイズフィルタ
AL1,AL2 サージ吸収素子
WL1,WL2 水位検知器
PS1,PS2 圧力センサ
SW1,SW2 スイッチ
L1,L2,L3 通信線
PSW1,PSW2 電源スイッチ
PW 圧力スイッチ
PIN1,PIN2 電源入力部
PWS1,PWS2 電源部
OD1,OD2 操作表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポンプと、
対応するポンプの回転速度を可変制御する複数のインバータと、
前記複数のインバータを制御する、第1の制御基板および第2の制御基板を含む複数の制御基板とを備え、
前記第1の制御基板に異常が発生した場合に、前記第2の制御基板が前記第1の制御基板をバックアップすることで運転を継続することができる給水装置であって、
前記第1の制御基板に異常があったときに、前記第1の制御基板から前記複数のインバータへの指令を遮断するスイッチを設けたことを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記第1の制御基板または前記第2の制御基板に、前記スイッチをON/OFFするための信号を出力する出力手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の給水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−180834(P2012−180834A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−81748(P2012−81748)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2008−330080(P2008−330080)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】