説明

給水装置

【課題】住宅内の機器間の通信のし易さの斑を抑制できる給水装置を提供する。
【解決手段】給水装置1は上水道11から水が供給されるヘッダー12,14とヘッダー12,14からの水をキッチン3などに供給する複数の給水管13,15を備えている。給水管13,15が金属で構成されかつ内側に水を通す筒状の内側金属部と絶縁材料で構成されかつ内側金属部の周りを被覆した断熱層と金属で構成されかつ断熱層の周りを被覆した外側金属部を備えている。給水管13,15の一端と他端との双方において内側金属部と外側金属部が流量計16、温度計17及びサーバー18に電気的に接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水源からの水を一旦ヘッダーに蓄えてから、このヘッダーから住宅内の住宅設備機器に水などを供給する給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅内の機器同士を通信させるために、この住宅内に設置された機器同士の情報を通信させるために、従来から所謂無線LAN(Local Area Network)が用いられている。この種の無線LANは、前述した機器や中継機に電波を送受信する通信機器を設け、通信機器同士が電波を送受信することで、機器間のデータの通信を行なう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一般の住宅では、壁や柱などの構造物や表面に金属鍍金が施された住宅設備機器が設けられている。この種の住宅設備機器の金属鍍金は、前述した電波を遮る。このために、一般の住宅では、前述した機器、中継機間の通信のし易い箇所やし難い箇所が生じてしまう。即ち、一般の住宅内では、前述した機器、中継機間の通信のし易さに斑が生じてしまう。
【0004】
一方、前述した一般の住宅では、給水源からの水を一旦ヘッダーに供給してから、このヘッダーから住宅内の住宅設備機器に水などを供給する給水装置が用いられている。この種の給水装置は、前述したヘッダーと、複数の給水管とを備えている。ヘッダー及び給水管は、主に住宅の床下に配置されている。給水管は、住宅内に設置される住宅設備機器と1対1で対応している。給水管は、一端がヘッダーに接続しかつ他端が対応する住宅設備機器に接続して、ヘッダーに供給された水を住宅設備機器に供給する。このため、前述した給水装置では、前述した給水管がヘッダーから住宅内に四方八方に延びている。このため、給水装置の給水管を機器間の通信に用いることで、前述した問題を解決できると思慮される。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、住宅内の機器間の通信のし易さの斑を抑制できる給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る給水装置は、給水源に接続して、この給水源から水が供給されるヘッダーと、前記ヘッダーに一端が接続されかつ他端が住宅内に設置された住宅設備機器に接続して、前記ヘッダーからの水を前記住宅設備機器に供給する複数の給水管と、を備えた給水装置において、前記給水管が、金属で構成されかつ内側に前記水を通す筒状の内側金属部と、絶縁材料で構成されかつ前記内側金属部の周りを被覆した絶縁部と、金属で構成されかつ前記絶縁部の周りを被覆した外側金属部と、を備え、前記一端と前記他端との双方において、前記内側金属部と前記外側金属部が前記住宅内に設置される機器に電気的に接続して、前記住宅内に設置される機器同士を通信可能とする、ことを特徴とする。
【0007】
この給水装置では、給水管の互いに絶縁された内側金属部と外側金属部が住宅内に設置される機器と電気的に接続しているので、ヘッダーから住宅の四方八方に延びた給水管により住宅内の機器同士を電気的に接続することができる。したがって、住宅内の四方八方に互いに離間して配置される機器同士を給水管により確実に電気的に接続でき、住宅内における機器同士の通信のし易さの斑を抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係る給水装置は、給水源に接続して、この給水源から水が供給されるヘッダーと、前記ヘッダーに一端が接続されかつ他端が住宅内に設置された住宅設備機器に接続して、前記ヘッダーからの水を前記住宅設備機器に供給する複数の給水管と、を備えた給水装置において、前記給水管が、金属で構成されかつ内側に前記水を通す筒状の内側金属部と、絶縁材料で構成されかつ前記内側金属部の周りを被覆した絶縁部と、金属で構成されかつ前記絶縁部の周りを被覆した外側金属部と、を備え、前記内側金属部と前記外側金属部が前記住宅設備機器に電気的に接続しているとともに、前記外側金属部にはこの外側金属部を貫通して前記絶縁部を露出させる露出部が前記給水管の長手方向に間隔をあけて複数設けられ、前記内側金属部及び前記外側金属部を伝播する情報を前記露出部を通して輻射して、前記住宅設備機器と、前記ヘッダーとは独立した住宅設備機器とを通信可能とする、ことを特徴とする。
【0009】
この給水装置では、給水管の互いに絶縁された内側金属部と外側金属部が住宅設備機器と電気的に接続しているので、ヘッダーから住宅の四方八方に延びた給水管により住宅内の機器同士を電気的に接続することができる。また、給水管に外側金属部を貫通した露出部が設けられているために、内側金属部と外側金属部とを伝播する機器間の通信情報を露出部から給水管の周りに輻射することができる。この露出部からの輻射により機器同士を接続することができる。したがって、住宅内の四方八方に互いに離間して配置される機器同士を給水管により接続することに加えて、住宅内の四方八方に設けられた給水管の露出部からの輻射によっても、機器同士を接続することができるので、住宅内における機器同士の通信のし易さの斑をより確実に抑制することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る給水装置は、給水源に接続して、この給水源から水が供給されるヘッダーと、前記ヘッダーに一端が接続されかつ他端が住宅内に設置された住宅設備機器に接続して、前記ヘッダーからの水を前記住宅設備機器に供給する複数の給水管と、を備えた給水装置において、前記給水管が、金属で構成されかつ内側に前記水を通す筒状の内側金属部と、絶縁材料で構成されかつ前記内側金属部の周りを被覆した絶縁部と、金属で構成されかつ前記絶縁部の外表面に配置されかつ前記内側金属部に電気的に接続した外側金属部と、を備え、前記内側金属部が前記住宅設備機器に電気的に接続しているとともに、前記外側金属部が前記給水管の長手方向に間隔をあけて複数設けられ、前記内側金属部を伝播する情報を前記外側金属部を通して輻射して、前記住宅設備機器と、前記ヘッダーとは独立した住宅設備機器とを通信可能とする、ことを特徴とする。
【0011】
この給水装置では、給水管の内側金属部が住宅設備機器と電気的に接続しているので、ヘッダーから住宅の四方八方に延びた給水管により住宅内の機器同士を電気的に接続することができる。また、給水管の外表面に内側金属部に接続した外側金属部が設けられているために、内側金属部を伝播する機器間の通信情報を外側金属部から給水管の周りに輻射することができる。この外側金属部からの輻射により機器同士を接続することができる。したがって、住宅内の四方八方に互いに離間して配置される機器同士を給水管により接続することに加えて、住宅内の四方八方に設けられた給水管の外側金属部からの輻射によっても、機器同士を接続することができるので、住宅内における機器同士の通信のし易さの斑をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る給水装置は、ヘッダーから住宅の四方八方に延びた給水管により機器同士を接続するので、住宅内における機器同士の通信のし易さの斑を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態1に係る給水装置を示す概略構成図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る給水装置の冷水用ヘッダーなどを示す概略構成図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る給水装置の給水管を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は、実施形態2に係る給水装置の冷水用ヘッダーなどを示す概略構成図である。
【図6】図6は、実施形態2に係る給水装置の給水管を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6中のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図8は、実施形態3に係る給水装置を示す概略構成図である。
【図9】図9は、実施形態3に係る給水装置の冷水用ヘッダーなどを示す概略構成図である。
【図10】図10は、実施形態2及び実施形態3に係る給水装置の変形例の給水管を示す斜視図である。
【図11】図11は、図10中のXI−XI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る給水装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る給水装置を示す概略構成図、図2は、実施形態1に係る給水装置の冷水用ヘッダーなどを示す概略構成図、図3は、実施形態1に係る給水装置の給水管を示す斜視図、図4は、図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
【0016】
図1などに示す実施形態1の給水装置1は、典型的には、住宅に設置される住宅設備機器に水(本明細書では、水や温水などを含んで、これらを包括して水と記す)を供給するとともに、住宅設備機器の情報をサーバーに収集するシステムである。なお、本発明でいう住宅設備機器とは、勿論、住宅内に設置されて、この住宅の給水にかかる各種の給水機器などの設備機器をいい、具体的には、トイレ、トイレ手洗、洗面化粧台、浴槽、キッチン、給湯器、水栓装置などをいう。さらに、本発明でいう住宅設備機器とは、住宅内に設置されて、他の機器と情報の通信(送信のみ、受信のみ、送受信を含む)を行なう全ての機器も含まれる。即ち、住宅設備機器は、前述した狭義の住宅設備機器、これらの住宅設備機器を構成する各種のセンサ等の各種の部品、ポータブルコンピュータ、携帯電話、サーバーなどの各種の情報機器などをいう。勿論、住宅設備機器は、無線通信回路を備えた前述した狭義の住宅設備機器、これらの住宅設備機器を構成する各種のセンサ等の各種の部品、ポータブルコンピュータ、携帯電話、サーバーなどの各種の情報機器などが含まれる。
【0017】
図1には、前述した住宅設備機器として、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10を示している。キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9には、給水源としての上水道11からの水が給湯器2により所望の温度まで加熱されて、湯として供給される。また、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6の水栓装置、水栓装置10には、上水道11からの水が加熱などされることなく供給される。
【0018】
キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5には、それぞれ、後述する給水管13,15を通して供給される水の流量を検出する流量計16と、給水管13,15を通して供給される水の温度を検出する温度計17とが設けられている。さらに、トイレ6、水栓装置10には、それぞれ、給水管15を通して供給される水の流量を検出する流量計16と、給水管15を通して供給される水の温度を検出する温度計17とが設けられている。これらの流量計16及び温度計17は、住宅内に設置される機器をなしている。なお、本発明でいう住宅内に設置される機器とは、住宅内に設置されて、他の機器と情報の通信(送信のみ、受信のみ、送受信を含む)を行なう全ての機器をいう。即ち、住宅内に設置される機器は、前述した住宅設備機器、これらの住宅設備機器を構成する各種のセンサ等の各種の部品、ポータブルコンピュータ、携帯電話、サーバーなどの各種の情報機器などをいう。
【0019】
また、トイレ6の水栓装置、水栓装置10には、図示しない流量制御弁が取り付けられているとともに、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9には、図示しない湯水混合弁が取り付けられている。流量制御弁は、トイレ6の水栓装置や水栓装置10から吐水される水の単位時間当たりの流量を変更・制御する。湯水混合弁は、水栓装置7,8,9から吐水される水の混合比率及びこれらの単位時間当たりの流量を変更・制御する。さらに、トイレ6には、便座を暖める暖房機器が取り付けられている。これらの流量制御弁及び湯水混合弁は、所謂電動弁であって、住宅内に設置される機器をなしているとともに、暖房機器は、住宅内に設置される機器をなしている。
【0020】
給水装置1は、前述したキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10に水を供給する給水管13,15内を通る水などが消費したエネルギーの値、トイレ6の暖房機器の消費電力即ちキッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10のエネルギー消費量を収集するとともに、これらのエネルギー消費量を最小限とするために、流量制御弁、湯水混合弁及び暖房機器の動作を制御する。
【0021】
給水装置1は、図1及び図2に示すように、温水用ヘッダー12と、温水用ヘッダー12に接続した複数の給水管13と、冷水用ヘッダー14と、冷水用ヘッダー14に接続した複数の給水管15と、サーバー18と、表示端末19とを備えている。なお、温水用ヘッダー12と冷水用ヘッダー14は、前述した水を供給することが可能な互いに別体の容器であって、勿論、ヘッダーをなしている。
【0022】
温水用ヘッダー12には、上水道11から供給されかつ給湯器2により所望の温度まで加熱された水が供給される。温水用ヘッダー12は、給湯器2からの水が供給される。給水管13は、それぞれ、勿論、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9と1対1で対応しており、一端が温水用ヘッダー12に接続しかつ他端がキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9のいずれかに接続している。給水管13は、一端が温水用ヘッダー12に接続しかつ他端がキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9のいずれかに接続していることで、温水用ヘッダー12から住宅の四方八方に延びている。給水管13の一端には、温水用ヘッダー12に接続する接続具13aが取り付けられている。なお、給水管13の詳細な構成は、後ほど説明する。
【0023】
温水用ヘッダー12は、上水道11から供給されかつ給湯器2により所望の温度まで加熱された水を、給水管13を通して、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9に供給する。また、温水用ヘッダー12は、送受信機20が取り付けられている。送受信機20は、給水管13の一端における後述する内側金属部23と外側金属部25に接続している。送受信機20は、キッチン3、洗面化粧台4及び浴槽5の流量計16が検出した単位時間当たりの流量を示す流量情報及び温度計17が検出した温度を示す温度情報を、サーバー18に接続した送受信機21に向かって送信する。また、送受信機21は、サーバー18に接続した送受信機20が送信したキッチン3、洗面化粧台4及び浴槽5の湯水混合弁の制御信号を受信する。送受信機20,21は、住宅内に設置される機器をなしている。
【0024】
冷水用ヘッダー14には、上水道11からの水が直接供給される。給水管15は、それぞれ、勿論、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10と1対1で対応しており、一端が冷水用ヘッダー14に接続しかつ他端がキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10のいずれかに接続している。給水管15は、一端が冷水用ヘッダー14に接続しかつ他端がキッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10のいずれかに接続していることで、冷水用ヘッダー14から住宅の四方八方に延びている。給水管15の一端には、冷水用ヘッダー14に接続する接続具15aが取り付けられている。なお、給水管15の詳細な構成は、後ほど説明する。
【0025】
冷水用ヘッダー14は、上水道11から供給された水を、給水管15を通して、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6、水栓装置10に供給する。また、冷水用ヘッダー14は、送受信機20が取り付けられている。送受信機20は、給水管15の一端における内側金属部23と外側金属部25に接続している。送受信機20は、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6及び水栓装置10の流量計16が検出した単位時間当たりの流量を示す流量情報、温度計17が検出した温度を示す温度情報及びトイレ6の暖房機器の消費電力を示す消費電力情報や使用回数を示す情報を、サーバー18に接続した送受信機21に向かって送信する。また、送受信機20は、サーバー18に接続した送受信機21が送信したトイレ6の水栓装置、暖房機器及び水栓装置10の流量制御弁の制御信号を受信する。
【0026】
給水管13,15は、図3及び図4に示すように、塩化ビニルなどの絶縁性の合成樹脂で構成された導水管22と、導電性の金属で構成されかつ導水管22の周りを被覆した内側金属部23と、絶縁性の合成樹脂で構成されかつ内側金属部23の周りを被覆した絶縁部としての断熱層24と、導電性の金属で構成されかつ断熱層24の周りを被覆した外側金属部25とを備えている。導水管22は、前述したヘッダー12,14からの水を内側に形成された空間である通水部10に通して、これらの水を水栓装置7,8,9,10まで導く。即ち、内側金属部23は、導水管22を介して内側に前述したヘッダー12,14からの水を通す円筒状に形成されている。内側金属部23と外側金属部25は、断熱層24により互いに電気的に絶縁されており、給水管13,15の一端では、送受信機20,21を介して、サーバー18に電気的に接続している。内側金属部23と外側金属部25は、給水管13,15の他端では、前述した流量計16、温度計17、流量制御弁、湯水混合弁及び暖房機器に電気的に接続している。こうして、給水管13,15は、前述した流量計16、温度計17、流量制御弁、湯水混合弁及び暖房機器と、サーバー18とを電気的に接続して、これら同士の情報(データ)の通信を可能としている。
【0027】
給水管13,15は、内側金属部23及び外側金属部25が、流量計16が検出した給水管13,15内の水の単位時間当たりの流量を示す流量情報、温度計17が検出した給水管13,15内の水の温度を示す温度情報、トイレ6の暖房機器の消費電力を示す消費電力情報や使用回数を示す情報をサーバー18に導く。また、給水管13,15は、内側金属部23及び外側金属部25が、サーバー18からの流量制御弁、湯水混合弁及び暖房機器への制御信号をこれらの流量制御弁、湯水混合弁及び暖房機器に導く。
【0028】
また、給水管13,15は、絶縁性の合成樹脂で構成されて、可撓性を有する円筒状の保護部材26(図3及び図4などに示す)内に通されて、保護されている。さらに、ヘッダー12,14及び給水管13,15は、前述した住宅の床下に配置されている。
【0029】
サーバー18は、住宅の適宜箇所に設置されている。サーバー18には、送受信機21が接続している。このため、サーバー18は、送受信機20,21を介して、給水管13,15の一端における内側金属部23及び外側金属部25が電気的に接続している。サーバー18は、送受信機20が受信した給水管13,15内の水の単位時間当たりの流量を示す流量情報及び給水管13,15内の水の温度を示す温度情報、トイレ6の暖房機器の消費電力を示す消費電力情報や使用回数を示す情報及びこれらを受信した時間などに基いて、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6及び水栓装置10のエネルギー消費量を算出して、温度情報、流量情報、消費電力情報、エネルギー消費量を時間とともに記憶する。即ち、サーバー18は、状態情報としての温度情報、流量情報、消費電力情報に関する情報を記憶する。また、サーバー18は、エネルギー消費量に関する情報を記憶する。
【0030】
また、サーバー18は、流量情報、温度情報、消費電力情報や使用回数を示す情報及びエネルギー消費量などに基いて、エネルギー消費量が最小となる流量制御弁及び湯水混合弁の開度、トイレ6の暖房機器の運転状況を算出する。そして、サーバー18は、算出した開度、運転状況を示す制御信号を送受信機20,21及び給水管13,15を介して、流量制御弁、湯水混合弁及びトイレ6の暖房機器に向かって出力する。こうして、サーバー18は、エネルギー消費量が最小となるように、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6及び水栓装置10を制御する。なお、サーバー18は、住宅内に設置される機器をなしている。
【0031】
表示端末19は、住宅の適宜箇所に設置されている。表示端末19は、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6及び水栓装置10のエネルギー消費量、流量制御弁、湯水混合弁の開度及びトイレ6の暖房機器の運転状況などを表示する。
【0032】
前述した給水装置1は、上水道11からの水を給湯器2で所望の温度まで加熱して、温水用ヘッダー12及び給水管13を介して、キッチン3、洗面化粧台4及び浴槽5に供給するとともに、上水道11からの水を加熱することなく、冷水用ヘッダー14及び給水管15を介して、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6及び水栓装置10に供給する。給水装置1は、湯水混合弁、流量制御弁の開度が変更されて、キッチン3の水栓装置7、洗面化粧台4の水栓装置8、浴槽5の水栓装置9、トイレ6の水栓装置及び水栓装置10から水を吐水又は止水する。
【0033】
また、給水装置1は、給水管13,15内の水などの状態を示す流量情報、温度情報及びトイレ6の暖房機器の消費電力情報や使用回数を示す情報を給水管13,15、送受信機20,21などを介してサーバー18が受信する。給水装置1は、サーバー18が、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6及び水栓装置10のエネルギー消費量などを算出して、算出したエネルギー消費量などを記憶する。さらに、サーバー18が、エネルギー消費量が最小となる流量制御弁、湯水混合弁の開度及びトイレ6の暖房機器の運転状況を算出して、これらの開度、運転状況を示す情報を送受信機20,21及び給水管13,15を介して、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6や水栓装置10に向かって送信する。そして、サーバー18が、エネルギー消費量が最小となるように、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6や水栓装置10などを制御する。
【0034】
上記のように構成された給水装置1は、給水管13,15の互いに絶縁された内側金属部23と外側金属部25が住宅内に設置される機器としての流量計16、温度計17、流量制御弁、湯水混合弁、暖房機器やサーバー18などに電気的に接続している。このために、ヘッダー12,14から住宅の四方八方に延びた給水管13,15により住宅内の前述した機器同士を電気的に接続することができる。したがって、住宅内の四方八方に互いに離間して配置される前述した機器同士を給水管13,15により互いに電気的に接続でき、住宅内における前述した機器同士の通信のし易さの斑を抑制することができる。
【0035】
したがって、流量計16及び温度計17が検出した流量情報及び温度情報、トイレ6の暖房機器の消費電力情報をサーバー18が確実に得ることができ、エネルギー消費量が最小となるように、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6などを制御することができる。
【0036】
[実施形態2]
以下、実施形態2に係る給水装置1について説明する。なお、前述した実施形態1と同一部分には、同一符合を付して説明を省略する。図5は、実施形態2に係る給水装置の冷水用ヘッダーなどを示す概略構成図、図6は、実施形態2に係る給水装置の給水管を示す斜視図、図7は、図6中のVII−VII線に沿う断面図である。
【0037】
実施形態2では、図5に示すように、流量計16、温度計17が給水管13,15(図5では、給水管15のみを示す)の前述した一端に取り付けられて、ヘッダー12,14(図5では、冷水用ヘッダー14のみを示す)に取り付けられた送信機27と電気的に接続している。また、実施形態2の流量計16は、給水管13,15内の水の流れにより回転する羽根車を備えており、この羽根車の回転により発電する。流量計16は、発電により得た電力を、ヘッダー12,14に取り付けられた送信機27に供給する。流量計16は、給水管13,15内の水の単位時間当たりの流量を示す流量情報を送信機27に向かって出力し、温度計17は、給水管13,15内の水の温度を示す温度情報を送信機27に向かって出力する。送信機27は、給水管13,15の金属部23,25に電気的に接続している。こうして、給水管13,15の金属部23,25は、送信機27を介して、住宅設備機器としての流量計16及び温度計17に接続している。送信機27は、流量計16から電力が供給されると、流量情報及び温度情報を給水管13,15の金属部23,25に出力する。なお、送信機27は、住宅内に設置される機器をなしている。
【0038】
また、実施形態2では、図6及び図7に示すように、給水管13,15の外側金属部25に、露出部としてのスロット28が複数設けられている。スロット28は、外側金属部25を貫通した孔であり、断熱層24を露出させている。実施形態2では、スロット28の平面形状は、偏平な矩形状に形成されているとともに、スロット28の長手方向は、給水管13,15の長手方向と周方向との双方に対して、交差している。複数のスロット28は、給水管13,15の長手方向に沿って互いに間隔をあけて設けられている。スロット28は、外側金属部25を貫通して断熱層24を露出させることで、金属部23,25を伝播する流量情報及び温度情報を、給水管13,15の周りに輻射させる。即ち、スロット28は、流量計16、温度計17及びサーバー18同士を通信可能とする。
【0039】
こうして、実施形態2では、給水管13,15自体を流量情報及び温度情報を、これら給水管13,15の周りに送信するためのアンテナとして用いている。なお、互いに隣り合うスロット28間の間隔は、アンテナとして用いられる給水管13,15の小型化と利得向上を図るために、送信機27が出力する流量情報及び温度情報の実効波長の1/2となっている。
【0040】
さらに、実施形態2では、サーバー18は、受信機29を介して、給水管13,15のスロット28から輻射される流量情報及び温度情報を受信して、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10のエネルギー消費量を算出して、温度情報、流量情報、エネルギー消費量を時間とともに記憶する。即ち、サーバー18は、金属部23,25と電気的に接続している。受信機29は、住宅内に設置される機器をなしている。こうして、サーバー18は、無線通信回路としての受信機29を備えたヘッダー13,14とは独立した(ヘッダー13,14に接続していない又はヘッダー13,14と別体の)住宅設備機器をなしている。
【0041】
実施形態2の給水装置1は、前述した実施形態1と同様に、上水道11からの水などをヘッダー12,14、給水管13,15を介して、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6、水栓装置10に供給する。また、実施形態2の給水装置1は、給水管13,15内の水などの状態を示す流量情報及び温度情報を、給水管13,15、送受信機27,29などを介してサーバー18が受信する。給水装置1は、サーバー18が、キッチン3、洗面化粧台4、浴槽5、トイレ6及び水栓装置10のエネルギー消費量などを算出して、算出したエネルギー消費量などを記憶する。
【0042】
上記のように構成された給水装置1は、給水管13,15の互いに絶縁された内側金属部23と外側金属部25が住宅設備機器としての流量計16、温度計17及びサーバー18に接続しているので、ヘッダー12,14から住宅の四方八方に延びた給水管13,15により住宅内の流量計16、温度計17及びサーバー18などの機器同士を電気的に接続することができる。また、給水管13,15に外側金属部25を貫通したスロット28が設けられているために、内側金属部23と外側金属部25とを伝播する機器間の通信情報としての流量情報及び温度情報をスロット28から給水管13,15の周りに輻射することができる。このスロット28からの輻射により流量計16、温度計17及びサーバー18などの機器同士を接続することができる。したがって、住宅内の四方八方に設けられた給水管13,15のスロット28からの輻射により、機器同士を接続することができるので、住宅内における機器同士の通信のし易さの斑をより確実に抑制することができる。
【0043】
[実施形態3]
以下、実施形態3に係る給水装置1について説明する。なお、前述した実施形態1及び実施形態2と同一部分には、同一符合を付して説明を省略する。図8は、実施形態3に係る給水装置を示す概略構成図、図9は、実施形態3に係る給水装置の冷水用ヘッダーなどを示す概略構成図である。
【0044】
実施形態3では、給水装置1の給水管13,15は、図8及び図9に示すように、一端における金属部23,25がインターネット回線などの住宅の外部の情報回線に接続した住宅内に設置される機器としての外部接続装置30に接続している。また、給水管13,15には、前述した実施形態2と同様に、スロット28が複数設けられている。さらに、前述した実施形態2と同様に、給水管13,15は、送信機27を介して金属部23,25が流量計16及び温度計17に接続して、送信機27から流量情報と温度情報とが出力される。そして、実施形態3では、ヘッダー16,17と独立した(ヘッダー16,17と接続していない又はヘッダー13,14とは別体の)無線通信回路を備えた住宅設備機器としてのポータブルコンピュータや携帯電話などの端末装置31が、スロット28を通して、流量計16、温度計17及び外部接続装置30などと各種の情報の送受信を行なう。即ち、スロット28は、流量計16、温度計17、外部接続装置30、端末装置31同士を通信可能とする。
【0045】
上記のように構成された給水装置1は、給水管13,15の互いに絶縁された内側金属部23と外側金属部25が、流量計16、温度計17や外部接続装置30に接続しているので、ヘッダー12,14から住宅の四方八方に延びた給水管13,15により住宅内の流量計16、温度計17、端末装置31及び外部接続装置30などの機器同士を通信可能に接続することができる。また、給水管13,15に外側金属部25を貫通したスロット28が設けられているために、内側金属部23と外側金属部25とを伝播する機器間の通信情報をスロット28から給水管13,15の周りに輻射することができる。このスロット28からの輻射により流量計16、温度計17、端末装置31及び外部接続装置30などの機器同士を接続することができる。したがって、住宅内の四方八方に設けられた給水管13,15のスロット28からの輻射により、機器同士を接続することができるので、住宅内における機器同士の通信のし易さの斑をより確実に抑制することができる。
【0046】
[変形例]
以下、実施形態2及び実施形態3に係る給水装置1の変形例について説明する。なお、前述した実施形態2及び実施形態3と同一部分には、同一符合を付して説明を省略する。図10は、実施形態2及び実施形態3に係る給水装置の変形例の給水管を示す斜視図、図11は、図10中のXI−XI線に沿う断面図である。
【0047】
実施形態2及び実施形態3に係る変形例では、給水管13,15は、図10及び図11に示すように、外側金属部41が断熱層24の外表面上に給水管13,15の長手方向に間隔をあけて複数配置されている。外側金属部41は、導電性を有する金属で構成され、その平面形状が矩形状に形成されている。外側金属部41は、長手方向が互いに平行でありかつ給水管13,15の長手方向と周方向との双方に対して交差している。また、複数の外側金属部41は、等間隔に設けられ、互いに隣り合う外側金属部41間の間隔は、内側金属部23を伝播する情報の実効波長の1/2となっている。また、外部金属部41は、図11に示すように、導電性の金属で構成された接続部42により内部金属部23に接続している。さらに、内部金属部23は、送信機27を介して、住宅設備機器としての住宅設備機器としての流量計16や温度計17に接続している。
【0048】
この変形例の給水管13,15では、送信機27から流量情報と温度情報とが内側金属部23に出力される。給水管13,15では、内側金属部23を伝播する情報を外側金属部41が周りに輻射する。本変形例では、ヘッダー16,17と独立した(ヘッダー16,17と接続していない又はヘッダー13,14とは別体の)無線通信回路を備えた住宅設備機器としてのポータブルコンピュータ、携帯電話などの端末装置31やサーバー18が、外側金属部41を通して、流量計16、温度計17及び外部接続装置30などと各種の情報の送受信を行なう。即ち、スロット28は、流量計16、温度計17、外部接続装置30、端末装置31、サーバー18同士を通信可能とする。この変形例の場合も前述した実施形態2及び実施形態3と同様に、住宅内における機器同士の通信のし易さの斑をより確実に抑制することができる。
【0049】
なお、上述した本発明の実施形態1〜実施形態3に係る給水装置1は、上述した実施形態や変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 給水装置
3 キッチン(住宅設備機器)
4 洗面化粧台(住宅設備機器)
5 浴槽(住宅設備機器)
6 トイレ(住宅設備機器)
10 水栓装置(住宅設備機器)
11 上水道(給水源)
12 温水用ヘッダー(ヘッダー)
13,15 給水管
14 冷水用ヘッダー(ヘッダー)
16 流量計(住宅内に設置される機器、住宅設備機器)
17 温度計(住宅内に設置される機器、住宅設備機器)
18 サーバー(住宅内に設置される機器、住宅設備機器)
20,21 送受信機(住宅内に設置される機器、無線通信回路、住宅設備機器)
23 内側金属部
24 断熱層(絶縁部)
25 外側金属部
27 送信機(住宅内に設置される機器、無線通信回路、住宅設備機器)
28 スロット(露出部)
29 受信機(住宅内に設置される機器、無線通信回路、住宅設備機器)
30 外部接続装置(住宅内に設置される機器、住宅設備機器)
31 端末装置(住宅内に設置される機器、住宅設備機器)
41 外側金属部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源に接続して、この給水源から水が供給されるヘッダーと、
前記ヘッダーに一端が接続されかつ他端が住宅内に設置された住宅設備機器に接続して、前記ヘッダーからの水を前記住宅設備機器に供給する複数の給水管と、を備えた給水装置において、
前記給水管が、金属で構成されかつ内側に前記水を通す筒状の内側金属部と、絶縁材料で構成されかつ前記内側金属部の周りを被覆した絶縁部と、金属で構成されかつ前記絶縁部の周りを被覆した外側金属部と、を備え、前記一端と前記他端との双方において、前記内側金属部と前記外側金属部が前記住宅内に設置される機器に電気的に接続して、前記住宅内に設置される機器同士を通信可能とする、
ことを特徴とする給水装置。
【請求項2】
給水源に接続して、この給水源から水が供給されるヘッダーと、
前記ヘッダーに一端が接続されかつ他端が住宅内に設置された住宅設備機器に接続して、前記ヘッダーからの水を前記住宅設備機器に供給する複数の給水管と、を備えた給水装置において、
前記給水管が、金属で構成されかつ内側に前記水を通す筒状の内側金属部と、絶縁材料で構成されかつ前記内側金属部の周りを被覆した絶縁部と、金属で構成されかつ前記絶縁部の周りを被覆した外側金属部と、を備え、前記内側金属部と前記外側金属部が前記住宅設備機器に電気的に接続しているとともに、前記外側金属部にはこの外側金属部を貫通して前記絶縁部を露出させる露出部が前記給水管の長手方向に間隔をあけて複数設けられ、前記内側金属部及び前記外側金属部を伝播する情報を前記露出部を通して輻射して、前記住宅設備機器と、前記ヘッダーとは独立した住宅設備機器とを通信可能とする、
ことを特徴とする給水装置。
【請求項3】
給水源に接続して、この給水源から水が供給されるヘッダーと、
前記ヘッダーに一端が接続されかつ他端が住宅内に設置された住宅設備機器に接続して、前記ヘッダーからの水を前記住宅設備機器に供給する複数の給水管と、を備えた給水装置において、
前記給水管が、金属で構成されかつ内側に前記水を通す筒状の内側金属部と、絶縁材料で構成されかつ前記内側金属部の周りを被覆した絶縁部と、金属で構成されかつ前記絶縁部の外表面に配置されかつ前記内側金属部に電気的に接続した外側金属部と、を備え、前記内側金属部が前記住宅設備機器に電気的に接続しているとともに、前記外側金属部が前記給水管の長手方向に間隔をあけて複数設けられ、前記内側金属部を伝播する情報を前記外側金属部を通して輻射して、前記住宅設備機器と、前記ヘッダーとは独立した住宅設備機器とを通信可能とする、
ことを特徴とする給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−40448(P2013−40448A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176197(P2011−176197)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】