説明

給油案内装置

【課題】ユーザへ燃料補給を適切に案内し、燃料費の節減を図ることが可能となる給油案内装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置2のCPU41は、情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれるガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上下落し、且つ、下落予測日までに給油が必要であると判定すると、下落予測日まで走行するために必要な給油量を算出して、給油に関する案内情報として当該下落予測日と下落予測日までに必要な給油量を液晶ディスプレイ25に表示すると共に、スピーカ26を介して音声案内する(S112:YES〜S114:YES〜S115)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザへ燃料補給に関する案内情報を報知する給油案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザへ燃料補給に関する案内情報を報知する給油案内装置に関し種々提案されている。
例えば、ユーザのナビゲーション装置への入力操作に従って、指定地域における給油所の情報についての情報提供が情報配信センタに要求されると、情報配信センタが指定地域内の給油所を有する燃料販売会社のホストコンピュータにアクセスした後に、情報配信センタからナビゲーション装置に対して、指定地域における給油所の営業時間や燃料の小売価格等の情報を給油所別に提供すると共に、給油を行う際に、ユーザが受けることのできるサービス・特典を給油所を管轄する燃料販売会社別に提供するように構成された給油案内装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−195350号公報(段落(0019)〜(0049)、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された給油案内装置では、現在から所定期間内における燃料の小売価格の変動を予測することができない。このため、数日先に燃料の小売価格が所定価格以上下落することが予測され(例えば、1リットル当たり1円乃至3円下落する場合である。)、且つ、その日まで走行可能な燃料が残っている場合でも、ユーザは、当該小売価格の下落予測を知らずに、給油してしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ユーザへ燃料補給を適切に案内し、燃料費の節減を図ることが可能となる給油案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る給油案内装置は、収集された車両の燃料に関する価格情報を時系列的に記憶する価格情報記憶手段(16)と、前記価格情報記憶手段に記憶される前記価格情報に基づいて現在から所定期間内における前記燃料の小売価格の変動に関する予測情報を作成する予測情報作成手段(10)と、ユーザへ燃料補給に関する案内情報を報知する報知手段(25、26)と、前記予測情報に基づいて前記所定期間内に前記小売価格が所定価格以上変動するか否かを判定する判定手段(23)と、前記所定期間内に前記小売価格が所定価格以上変動すると判定された場合には、前記報知手段を介してユーザへ前記案内情報を報知するように制御する報知制御手段(23)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る給油案内装置は、請求項1に記載の給油案内装置(1)において、自車両の燃料の残量を検出する残燃料検出手段(29)を備え、前記報知制御手段(23)は、前記予測情報と前記燃料の残量とに基づいて前記案内情報の内容を決定することを特徴とする。
【0007】
更に、請求項3に係る給油案内装置は、請求項2に記載の給油案内装置(1)において、自車両の過去に走行した走行履歴を記憶する走行履歴記憶手段(38)と、前記走行履歴と前記燃料の残量とに基づいて燃料補給を行う補給日を予測する補給日予測手段(23)と、を備え、前記予測情報は、前記小売価格が所定価格以上変動する日を予測した変動予測日情報を含み、前記報知制御手段(23)は、前記補給日予測手段によって予測された前記補給日と前記変動予測日情報とに基づいて前記案内情報の内容を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する請求項1に係る給油案内装置では、車両の燃料の小売価格の変動に関する予測情報に基づいて、この小売価格が所定価格以上変動すると判定された場合には、ユーザへ燃料補給に関する案内情報を適切に報知することが可能となる。また、ユーザは、燃料の小売価格が所定価格以上変動する場合には、燃料補給に関する案内情報を知ることができ、燃料費の節減を図ることが可能となる。
【0009】
また、請求項2に係る給油案内装置では、自車両の燃料の残量と、燃料の価格変動の予測情報とに基づいて、燃料補給に関する案内情報の内容を決定するため、ユーザへ燃料補給に関する案内情報を更に適切に報知することが可能となる。
【0010】
更に、請求項3に係る給油案内装置では、燃料の小売価格が所定価格以上変動すると判定された場合には、走行履歴と燃料の残量とに基づいて燃料補給を行う補給日を予測するため、信頼性の高い補給日を予測することが可能となる。また、小売価格が所定価格以上変動する日を予測した変動予測日情報と、この予測した燃料補給を行う補給日とに基づいて、燃料補給に関する案内情報の内容を決定するため、ユーザへ燃料補給に関する案内情報を更に適切に報知することが可能となる。また、ユーザは、予測された小売価格が所定価格以上変動する日までに適切な量だけ燃料を補給することが可能となり、燃料費の更なる節減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る給油案内装置をナビゲーションシステムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
先ず、本実施例に係るナビゲーションシステム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーションシステム1を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すように本実施例に係るナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報を配信する配信手段や後述の燃料小売価格の変動に関する予測情報を作成する予測情報作成手段としての情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図2を用いて詳細に説明する。
【0014】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報データベース(ナビ更新履歴情報DB)15と、燃料価格データベース(燃料価格DB)16と、センタ側通信装置17とを備える。また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、後述の燃料小売価格の変動に関する予測情報を作成する予測情報作成処理(図3参照)等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ19を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0015】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報14Aがバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0016】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報14Aには、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(道路リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0017】
ここで、特に地図表示データとしては、約10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0018】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報14Aの内、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aによってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。
【0019】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータ毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0020】
また、燃料価格DB16には、ガソリンや軽油等の燃料を卸し販売する燃料販売会社が有するホストコンピュータ(不図示)から、ネットワーク4を介して配信される日々のガソリンや軽油等の燃料の卸売り価格が時系列的に記憶されている。また、燃料販売会社のホストコンピュータからは、系列店である車両に給油を行う給油所(ガソリンスタンド)でのガソリンや軽油等の小売価格等に関する情報もネットワーク4を介して日々配信され、この燃料の小売価格等に関する情報も燃料価格DB16に時系列的に記憶されている。
【0021】
また、燃料販売会社のホストコンピュータからは、ガソリンや軽油等の卸値の値上げ又は値下げに関する情報も(例えば、来月1日からガソリンの卸値を1リットル当たり3円値下げする等である。)、ネットワーク4を介して配信され、燃料価格DB16に記憶されている。
更に、この燃料DB16には、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)におけるウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の原油価格動向に関する情報や、アラブ首長国連邦ドバイ産の原油価格動向に関する情報等も燃料価格DB16に時系列的に記憶されている。
【0022】
次に、本実施例に係るナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図2を用いて説明する。図2は本実施例に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0023】
図2に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD)25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))や情報配信センタ3等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置27と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車両の走行速度を検出する車速センサ28と、自車両の燃料の残量を検出する残燃料検出センサ29が電気的に接続されている。
【0024】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、方位センサ32、距離センサ33、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0025】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出する。また、方位センサ32は、地磁気センサやジャイロセンサ、或いは、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等により構成され、自車方位を検出する。また、距離センサ33は、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等から構成され、自車の移動距離を検出する。
【0026】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された地図情報データベース(地図情報DB)37、走行履歴データベース(走行履歴DB)38及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0027】
また、地図情報DB37には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ、交差点における信号機等の各種地物に関する地物情報等から構成されている。また、地図情報DB37の内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0028】
また、走行履歴DB38には、過去に走行した経路に関する出発地及び目的地等の過去の走行履歴に関する走行履歴情報が格納されている。この、走行履歴情報は、「日時」と、「出発地→目的地」、「リンク列データ」等から構成されている。この「日時」としては、走行した年月日及び走行開始時刻が記憶されている。また、「出発地→目的地」としては、当該走行経路の始点である出発地から終点である目的地までの各出発地と目的地の一対の各座標位置(例えば、緯度と経度である。)が記憶されている。また、「リンク列データ」としては、当該出発地から目的地まで走行した走行経路の始点から終点までの連続した各リンクのリンクIDが順次記憶されている。
【0029】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや情報配信センタ3から受信したガソリン小売価格等の変動を予測した予測情報等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のガソリン小売価格等の変動を予測した予測情報に基づいて燃料の補給を案内する燃料補給案内処理プログラム(図5参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。
【0030】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
この操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。尚、操作部24としては、キーボード、マウス等や、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0031】
また、液晶ディスプレイ25には、地図が表示されて各リンク上の交通情報が表示される経路案内画面の他、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」等がある。
【0032】
そして、通信装置27は、情報配信センタ3と通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、情報配信センタ3との間で最もバージョンの新しい更新地図情報やガソリン小売価格等の変動を予測した予測情報等の送受信を行う。また、通信装置27は、情報配信センタ3に加えて、道路交通情報センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0033】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、情報配信センタ3のCPU11が実行する処理であって、ガソリンや軽油等の燃料小売価格の変動を予測した予測情報を作成する予測情報作成処理について図3及び図4に基づいて説明する。
【0034】
図3は情報配信センタ3のCPU11が実行する処理であって、ガソリンや軽油等の燃料小売価格の変動に関する予測情報を作成する予測情報作成処理を示すフローチャートである。図4は燃料価格DB16に記憶されるウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の原油価格の先物取引価格とガソリンスタンドでのガソリン小売価格とに関する情報の一例を示す図である。尚、図3に、S11乃至S13のフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているRAM12やROM13に記憶されており、CPU11により所定時間毎に(例えば、約1時間毎乃至24時間毎等である。)実行される。
【0035】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU11は、原油価格の当日の価格や先物取引価格、また、ガソリンや軽油等の燃料を卸し販売する燃料販売会社のガソリンや軽油の卸売価格や、燃料販売会社の系列店であるガソリンスタンドにおけるガソリンや軽油等の燃料小売価格等を収集して、この収集した各価格情報に「日時データ」を付して、燃料価格DB16に順次、記憶する。
【0036】
例えば、CPU11は、燃料販売会社が有するホストコンピュータから、ネットワーク4を介して受信した日々のガソリンや軽油等の燃料の卸売り価格に、その受信した「日時データ」を付して順次、燃料価格DB16に記憶する。また、CPU11は、燃料販売会社が有するホストコンピュータから、ネットワーク4を介して受信した系列店であるガソリンスタンドでの日々のガソリンや軽油等の小売価格に、その受信した「日時データ」を付して順次、燃料価格DB16に記憶する。
【0037】
また、CPU11は、燃料販売会社のホストコンピュータから、ネットワーク4を介して受信したガソリンや軽油等の卸値の値上げ又は値下げに関する情報に、その受信した「日時データ」を付して順次、燃料価格DB16に記憶する。更に、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)におけるウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の原油価格や、アラブ首長国連邦ドバイ産の原油価格の当日の価格や先物取引価格に、当該当日の「日時データ」を付して順次、燃料価格DB16に記憶する。
【0038】
そして、S12において、CPU11は、燃料価格DB16に記憶された現在までの原油価格や原油の先物取引価格、また、ガソリンや軽油等の卸売価格や小売価格等に基づいて、現在から所定期間内(例えば、現在から1週間以内である。)におけるガソリンや軽油等の小売価格の変動に関する変動価格と、その変動する変動予測日とを含む予測情報を作成してRAM12に記憶する。
【0039】
ここで、現在から1週間先におけるガソリン小売価格の変動に関する予測情報の作成の一例について図4に基づいて説明する。
図4に示すように、燃料価格DB16には、WTIの原油価格(ドル/バレル)51とガソリンスタンドでのガソリン小売価格(円/ドル)52との推移が、2005年1月2日から2005年6月26日に渡って記憶されている。また、このガソリン小売価格52は、WTIの原油価格52の変動に対して約1週間遅れて、ほぼ同じように変動推移している。
【0040】
従って、CPU11は、図4に示されるWTIの原油価格51とガソリン小売価格52とから2005年6月26日から1週間先の2005年7月3日(変動予測日)におけるガソリン小売価格52は、その1週間前の2005年6月26日のガソリン小売価格52とほぼ同じであると予測することが可能となる。例えば、CPU11は、1週間先の2005年7月3日を変動予測日として、当該変動予測日におけるガソリンスタンドのガソリン小売価格52の変動価格は、1リットル当たり約50銭の値下がり乃至約50銭の値上がりであると予測する予測情報を作成して、RAM12に記憶することが可能となる。
【0041】
続いて、CPU11は、毎日定期的に(例えば、1時間毎に1日24回や、午前7時と正午と午後5時の1日3回等である。)、又は、ナビゲーション装置2から要求があったタイミングで、現在から所定期間内(例えば、現在から1週間以内である。)におけるガソリンや軽油等の小売価格の変動に関する変動価格と、その変動する変動予測日とを含む予測情報をRAM12から再度読み出して、各ナビゲーション装置2へ配信後、当該処理を終了する。例えば、CPU41は、1週間先の2007年3月3日を変動予測日として、当該変動予測日におけるガソリン小売価格の変動価格が、現在から1リットル当たり3円値下がりする等の予測情報を各ナビゲーション装置2へ配信後、当該処理を終了する。
【0042】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、ナビゲーション装置2のCPU41が実行する処理であって、情報配信センタ3から受信した燃料小売価格の変動に関する予測情報に基づいて、自車両の燃料補給の案内を行う燃料補給案内処理について図5に基づいて説明する。
【0043】
図5はナビゲーション装置2のCPU41が実行する処理であって、情報配信センタ3から受信した燃料小売価格の変動に関する予測情報に基づいて、自車両の燃料補給の案内を行う燃料補給案内処理を示すフローチャートである。尚、図5にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により一定時間毎(例えば、約10ミリ秒毎乃至100ミリ秒毎である。)に実行される。
【0044】
図5に示すように、S111において、CPU41は、通信装置27を介して現在から所定期間内(例えば、現在から1週間以内である。)におけるガソリンや軽油等の小売価格の変動に関する予測情報を受信したか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、ガソリンや軽油等の小売価格の変動に関する予測情報を受信していない場合には(S111:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0045】
一方、ガソリンや軽油等の小売価格の変動に関する予測情報を受信した場合には(S111:NO)、CPU41は、この受信した予測情報をRAM42に記憶後、S112の処理へ移行する。S112において、CPU41は、RAM42から当該予測情報を再度読み出し、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上(例えば、ガソリン1リットル当たり1円以上である。)下落するか否かを判定する判定処理を実行する。
【0046】
そして、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上下落する場合には(S112:YES)、CPU41は、S113の処理へ移行する。S113において、CPU41は、走行履歴DB38に格納されている現在から所定期間過去(例えば、過去約3ヶ月である。)の「日時」と「出発地→目的地」とのデータを読み出し、ユーザの走行パターンに関する走行パターン情報を取得してRAM42に記憶する。例えば、CPU41は、ユーザの1日当たりの平均走行距離を算出して走行パターン情報として取得する。また、CPU41は、月曜日から金曜日までの平日に、主に通勤のために走行している走行パターン情報を取得する。また、CPU41は、当該車両が土曜日や日曜日又は祝日において主に走行している等の走行パターン情報を取得する。
【0047】
続いて、S114において、CPU41は、残燃料検出センサ29を介して自車両の燃料の残量を検出して、RAM42に記憶する。そして、CPU41は、この燃料の残量と上記S113で取得した走行パターン情報とをRAM42から再度読み出し、残った燃料で走行可能な日数を算出して、燃料補給を行う補給日、即ち給油日を予測してRAM42に記憶する。その後、CPU41は、RAM42からこの予測した給油日と、情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれるガソリンや軽油等の小売価格が所定価格以上下落する変動予測日(以下、「下落予測日」という。)とを読み出し、下落予測日までに給油が必要か否かを判定する判定処理を実行する。
【0048】
そして、下落予測日までに給油が必要な場合には(S114:YES)、CPU41は、S115に移行する。S115において、CPU41は、予測した給油日から当該下落予測日までに走行する走行予測日数を算出してRAM42に記憶する。そして、CPU41は、この走行予測日数と上記S113で取得した走行パターン情報とをRAM42から再度読み出し、この予測した給油日から当該下落予測日まで走行するために必要な給油量を算出してRAM42に記憶する。その後、CPU41は、当該下落予測日とこの下落予測日まで走行するために必要な給油量とをRAM42から読み出し、液晶ディスプレイ25に燃料補給、即ち、給油に関する案内情報として下落予測日と給油量を表示すると共に、スピーカ26を介して下落予測日と給油量を音声案内後、当該処理を終了する。
【0049】
例えば、CPU41は、液晶ディスプレイ25に、給油に関する案内情報の一例として「3月2日に、1リットル当たり2円値下がりします。15リットルだけ給油してください。」と朝、エンジンが始動された際に表示する。また、CPU41は、この表示した内容をスピーカ26を介して音声案内後、当該処理を終了する。
【0050】
尚、上記S113で取得した走行パターン情報が、月曜日から金曜日までの平日に、主に通勤のために走行している走行パターン情報の場合には、S115において、CPU41は、当該下落予測日をRAM42から読み出し、当該下落予測日までの最後の平日に、液晶ディスプレイ25に給油に関する案内情報として下落予測日とこの下落予測日まで走行するために必要な給油量を表示すると共に、スピーカ26を介して下落予測日と給油量を音声案内するようにしてもよい。
【0051】
また、上記S113で取得した走行パターン情報が、土曜日や日曜日又は祝日において主に走行している走行パターン情報の場合には、S115において、CPU41は、当該下落予測日をRAM42から読み出し、当該下落予測日までの最後の休日に、液晶ディスプレイ25に給油に関する案内情報として下落予測日とこの下落予測日まで走行するために必要な給油量を表示すると共に、スピーカ26を介して下落予測日と給油量を音声案内するようにしてもよい。
【0052】
一方、下落予測日までに給油が必要でない場合には(S114:NO)、CPU41は、S116に移行する。S116において、CPU41は、RAM42から情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれる下落予測日を読み出し、液晶ディスプレイ25に給油に関する案内情報として当該下落予測日を表示すると共に、スピーカ26を介して下落予測日を音声案内後、当該処理を終了する。
【0053】
例えば、CPU41は、液晶ディスプレイ25に、給油に関する案内情報の一例として「3月2日に、1リットル当たり2円値下がりします。」と朝、エンジンが始動された際に表示すると共に、、この表示した内容をスピーカ26を介して音声案内後、当該処理を終了する。
【0054】
他方、上記S112で、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上下落しない場合には(S112:NO)、CPU41は、S117の処理へ移行する。S117において、CPU41は、情報配信センタ3から受信した予測情報をRAM42から再度読み出し、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上(例えば、ガソリン1リットル当たり1円以上である。)上昇するか否かを判定する判定処理を実行する。
【0055】
そして、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上上昇しない場合には(S117:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上上昇する場合には(S117:YES)、CPU41は、S118の処理へ移行する。S118において、CPU41は、残燃料検出センサ29を介して自車両の燃料の残量を検出して、RAM42に記憶する。そして、CPU41は、この燃料の残量が満タンの50%以下か否かを判定する判定処理を実行する。
【0056】
そして、この燃料の残量が満タンの50%より多い場合には(S118:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
また一方、この燃料の残量が満タンの50%以下の場合には(S118:YES)、CPU41は、S119の処理へ移行する。S119において、CPU41は、情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれるガソリンや軽油等の小売価格が所定価格以上上昇する変動予測日(以下、「上昇予測日」という。)とを読み出し、上昇予測日をRAM42に記憶する。そして、CPU41は、この上昇予測日の前日までに、液晶ディスプレイ25に給油に関する案内情報として上昇予測日と給油を促す旨を表示すると共に、給油所アイコンを表示する。また、CPU41は、スピーカ26を介して上昇予測日と給油を促す旨を音声案内後、当該処理を終了する。
【0057】
例えば、CPU41は、液晶ディスプレイ25に、給油に関する案内情報の一例として「3月2日に、1リットル当たり2円値上がりします。3月1日までに給油して下さい。」と朝、エンジンが始動された際に表示すると共に、給油所アイコンを表示する。また、CPU41は、この表示した内容をスピーカ26を介して音声案内後、当該処理を終了する。
【0058】
尚、S119において、CPU41は、走行履歴DB38に格納されている現在から所定期間過去(例えば、過去約3ヶ月である。)の「日時」と「出発地→目的地」とのデータを読み出し、ユーザの走行パターンに関する走行パターン情報を取得してRAM42に記憶する。続いて、CPU41は、この走行パターン情報から、上昇予測日の前日に走行するか否かを判定する判定処理を実行する。そして、上昇予測日の前日に走行しないことが予測できる場合には、この上昇予測日前の最終走行日に、液晶ディスプレイ25に給油に関する案内情報として上昇予測日と給油を促す旨を表示すると共に、給油所アイコンを表示する。また、CPU41は、スピーカ26を介して上昇予測日と給油を促す旨を音声案内後、当該処理を終了するようにしてもよい。
【0059】
以上詳細に説明した通り、本実施例のナビゲーションシステム1では、情報配信センタ3のCPU11は、毎日定期的に(例えば、1時間毎に1日24回や、午前7時と正午と午後5時の1日3回等である。)、又は、ナビゲーション装置2から要求があったタイミングで、現在から所定期間内(例えば、現在から1週間以内である。)におけるガソリンや軽油等の小売価格の変動に関する変動価格と、その変動する変動予測日とを含む予測情報を各ナビゲーション装置2へ配信する(S11〜S13)。また、ナビゲーション装置2のCPU41は、情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれるガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上下落し、且つ、下落予測日までに給油が必要であると判定すると、下落予測日まで走行するために必要な給油量を算出して、給油に関する案内情報として当該下落予測日と下落予測日までに必要な給油量を液晶ディスプレイ25に表示すると共に、スピーカ26を介して音声案内する(S112:YES〜S114:YES〜S115)。
【0060】
これにより、CPU41は、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上下落し、且つ、下落予測日までに給油が必要な場合には、下落予測日と下落予測日までに必要な給油量とを確実にユーザへ報知することが可能となる。また、ユーザは、この下落予測日と下落予測日までに必要な給油量とを知ることができるため、下落予測日までに適切な量だけ燃料を補給することが可能となり、燃料費の節減を図ることが可能となる。
【0061】
また、CPU41は、情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれるガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上下落し、且つ、下落予測日までに給油が必要でないと判定すると、給油に関する案内情報として当該下落予測日を液晶ディスプレイ25に表示すると共に、スピーカ26を介して音声案内する(S112:YES〜S114:NO〜S116)。
【0062】
これにより、CPU41は、ガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上下落し、且つ、下落予測日までに給油が必要でない場合には、下落予測日を確実にユーザへ報知することが可能となる。また、ユーザは、この下落予測日を知ることができるため、下落予測日以降に燃料を補給することが可能となり、燃料費の更なる節減を図ることが可能となる。
【0063】
更に、CPU41は、情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれるガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上上昇し、且つ、燃料が満タンの50%以下の場合には、上昇予測日の前日までに、液晶ディスプレイ25に給油に関する案内情報として上昇予測日と給油を促す旨を表示すると共に、スピーカ26を介して上昇予測日と給油を促す旨を音声案内する(S112:NO〜S117:YES〜S118:YES〜S119)。
【0064】
これにより、CPU41は、情報配信センタ3から受信した予測情報に含まれるガソリンや軽油等の小売価格が、現在から所定期間内に所定価格以上上昇し、且つ、燃料が満タンの50%以下の場合には、上昇予測日の前日までに、給油に関する案内情報として当該上昇予測日を確実にユーザへ報知することが可能となる。また、ユーザは、この上昇予測日を知ることができるため、上昇予測日の前日に燃料を補給することが可能となり、燃料費の更なる節減を図ることが可能となる。
【0065】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施例に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図3】情報配信センタのCPUが実行する処理である、燃料小売価格の変動に関する予測情報を作成する予測情報作成処理を示すフローチャートである。
【図4】情報配信センタの燃料価格DBに記憶される燃料に関する価格情報の一例を示す図である。
【図5】ナビゲーション装置のCPUが実行する処理である、情報配信センタから受信した燃料小売価格の変動に関する予測情報に基づいて、自車両の燃料補給の案内を行う燃料補給案内処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
14 センタ側地図情報DB
16 燃料価格DB
17 センタ側通信装置
22 データ記録部
25 液晶ディスプレイ
26 スピーカ
27 通信装置
38 走行履歴DB
51 ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の原油価格
52 ガソリン小売価格

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集された車両の燃料に関する価格情報を時系列的に記憶する価格情報記憶手段と、
前記価格情報記憶手段に記憶される前記価格情報に基づいて現在から所定期間内における前記燃料の小売価格の変動に関する予測情報を作成する予測情報作成手段と、
ユーザへ燃料補給に関する案内情報を報知する報知手段と、
前記予測情報に基づいて前記所定期間内に前記小売価格が所定価格以上変動するか否かを判定する判定手段と、
前記所定期間内に前記小売価格が所定価格以上変動すると判定された場合には、前記報知手段を介してユーザへ前記案内情報を報知するように制御する報知制御手段と、
を備えたことを特徴とする給油案内装置。
【請求項2】
自車両の燃料の残量を検出する残燃料検出手段を備え、
前記報知制御手段は、前記予測情報と前記燃料の残量とに基づいて前記案内情報の内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の給油案内装置。
【請求項3】
自車両の過去に走行した走行履歴を記憶する走行履歴記憶手段と、
前記走行履歴と前記燃料の残量とに基づいて燃料補給を行う補給日を予測する補給日予測手段と、
を備え、
前記予測情報は、前記小売価格が所定価格以上変動する日を予測した変動予測日情報を含み、
前記報知制御手段は、前記補給日予測手段によって予測された前記補給日と前記変動予測日情報とに基づいて前記案内情報の内容を決定することを特徴とする請求項2に記載の給油案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−249404(P2008−249404A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88996(P2007−88996)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】