説明

給湯システム用のデータ処理モジュールおよびこれを備えた給湯システム

【課題】給湯システムの構成機器を他の新たな機器と交換するようなことなく、給湯システムの動作状態の報知機能の高機能化あるいは多機能化を容易に実現し得るデータ処理モジュールを提供する。
【解決手段】給湯システムS1に付設して用いられるデータ処理モジュール3であって、通信用端子34aを有し、かつ給湯装置1とリモコンR1、R2との間で送受されるデータを受信可能な通信手段34と、この通信手段34で受信したデータに基づいて給湯システムS1の所定の項目に関するデータを作成するデータ作成手段33と、そのデータを給湯システムS1の外部に取り出し可能とし、またはリモコンR1,R2もしくはリモコンとは別個の情報機器PCに送信可能とするデータ取り出し手段35、37とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに付設して用いられるデータ処理モジュール、およびこれを備えた給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭用の給湯システムは、給湯装置と、この給湯装置を遠隔操作するためのリモコンとを組み合わせて構成されているのが通例である(たとえば、特許文献1)。前記リモコンとしては、台所用や浴室用のリモコンがあるが、これらのリモコンは、給湯装置に通信接続されており、給湯装置の運転のオン・オフ状態や給湯温度などの一定事項については、リモコンで表示可能とされている。
【0003】
このような給湯システムを使用しているユーザとしては、給湯システムについての動作情報を、現状よりも詳細かつ多岐にわたって察知できるようにしたい場合がある。この点を具体的に説明すると、近年においては省エネについての意識が社会的に高まっており、家庭内での電気、ガス、水道水などのエネルギの消費量を監視して、エネルギの消費を抑制することに強い感心を示すユーザが増えつつある。このような状況下、たとえば給湯システムにおけるエネルギの消費量を容易に察知できるようにすることをユーザが要望する場合が多い。
これに対し、従来においては、給湯システムが前記したような要望(たとえば、エネルギ消費量を容易に察知できるようにすること)に対応する機能を有していない場合、前記の要望に容易かつ適切に対処し得る手段は存在しないのが実情であった。すなわち、従来において、既存の給湯システムが前記の要望に対応する機能を有していない場合には、給湯システムの構成機器の全部または一部を、前記機能を備えた新たな機器に交換するといった必要があった。これでは、給湯システムの構成機器の交換に要するコストが高価となり、ユーザの経済的な負担が大きい。また、交換対象となった既存の機器が未だ使用できるにも拘わらず、廃棄処分にされるといった無駄も生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−176960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、給湯システムの構成機器を他の新たな機器と交換するようなことなく、またはその必要を少なくしつつ、給湯システムの動作状態の報知機能の高機能化あるいは多機能化を容易に実現し得る給湯システム用のデータ処理モジュール、およびこれを備えた給湯システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面により提供される給湯システム用のデータ処理モジュールは、給湯装置およびこの給湯装置用のリモコンを備えた給湯システムに付設して用いられる給湯システム用のデータ処理モジュールであって、前記給湯装置および前記リモコンのいずれかの通信用端子もしくは前記給湯装置および前記リモコン間の通信線に配線接続可能な通信
用端子を有し、かつ前記給湯装置と前記リモコンとの間で送受されるデータを受信可能な通信手段と、この通信手段で受信したデータに基づいて前記給湯システムの所定の項目に関するデータを作成するデータ作成手段と、このデータ作成手段によって作成されたデータを、前記給湯システムの外部に取り出し可能とし、または前記リモコンもしくは前記リモコンとは別個の情報機器に送信可能とするデータ取り出し手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、給湯システムにデータ処理モジュールを付設することにより、給湯システム単独では本来的には作成することができなかったデータ(給湯システムの所定の項目に関するデータ)をデータ処理モジュールに作成させ、このデータの内容をユーザが的確に察知することができることとなる。したがって、給湯システムを構成する給湯装置やリモコンの全部または一部を新たな機器と交換するようなことなく、またはそのような必要を少なくしつつ、簡易かつ廉価に給湯システムの動作状態の報知機能の高機能化あるいは多機能化を図ることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記データ作成手段は、前記通信手段で受信したデータに基づいて前記給湯システムにおけるエネルギ消費量に関するデータを作成することが可能とされている。
なお、本発明でいう「エネルギ」とは、電力や熱などの狭義のエネルギに限定されず、エネルギ資源としての、燃料(ガス、オイルなど)を含み、さらには水道水などの資源も含む広い概念である。
【0010】
このような構成によれば、給湯システムを構成する給湯装置やリモコンがエネルギ消費量の算出機能を有していない場合であっても、データ処理モジュールの機能を利用してエネルギ消費量のデータを作成し、その内容をユーザに的確に察知させることが可能となる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記データ取り出し手段として、可搬型記憶媒体が着脱自在であり、かつ可搬型記憶媒体が装着された状態においてこの可搬型記憶媒体へのデータ書き込みが可能なデータ書き込み装置と、前記給湯装置および前記リモコン間の通信線とは異なる経路でデータの無線出力または有線出力が可能なデータ出力機器との少なくとも一方を有している。
【0012】
このような構成によれば、データ処理モジュールのデータ作成手段で作成されたデータを、可搬型記憶媒体に記憶させたり、あるいは給湯装置とリモコンとの通信ルートとは別個のルートで外部に出力させることができる。したがって、たとえばリモコンがデータ表示機能に劣るような場合であっても、前記データの内容を適切に確認することができる。
【0013】
本発明の第2の側面により提供される給湯システムは、給湯装置と、この給湯装置用のリモコンとを備えている、給湯システムであって、本発明の第1の側面により提供される給湯システム用のデータ処理モジュールをさらに具備していることを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される給湯システム用のデータ処理モジュールについて述べたのと同様な効果が得られる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記データ処理モジュールは、前記リモコンの通信用端子に配線接続され、かつ前記リモコンの設置対象の壁部に設けられた通信線配索用の孔部または空間部内に収容された構成、または前記給湯装置の通信用端子に配線接続され、かつ前記給湯装置の外装ケース内に収容された構成とされている。
【0016】
このような構成によれば、データ処理モジュールをリモコンまたは給湯装置に適切に通信接続しつつ、データ処理モジュールがリモコンや給湯装置の外部に不体裁な状態で露出しないようにし、全体の見栄えを悪化させるといった不具合も生じないようにすることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記給湯システムが設置された住宅のうち、前記給湯システム以外の装置機器における所定のエネルギの消費量、または前記給湯システムで消費されるエネルギをも含んだ所定のエネルギの消費量に関する第1のデータを算出可能に構成された情報機器を、さらに備えており、前記情報機器は、少なくとも前記データ処理モジュールと通信可能に設けられて、前記給湯システムにおける所定のエネルギの消費量に関する第2のデータを前記データ処理モジュールから受信し、かつ前記第1および第2のデータの双方に基づくエネルギ消費量のデータを、表示部に表示出力可能な構成とされている。
【0018】
このような構成によれば、給湯システムにおけるエネルギ消費量のみならず、住宅内の給湯システム以外の機器におけるエネルギ消費量をも考慮したエネルギ消費量をユーザに察知させることができることとなる。このことから理解できるように、本発明によれば、エネルギ消費監視機能を有しない給湯システムであっても、この給湯システムにデータ処理モジュールと所定の情報機器を付加することにより、HEMS(Home Energy Management System)を簡単に構築することが可能であり、その実用的価値は高い。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は、本発明に係る給湯システムの全体構成の一例を示す概略説明図であり、(b)は、(a)に示す給湯システムに付設されたデータ処理モジュールのハード構成の概略説明図である。
【図2】図1に示す給湯システムのデータ処理モジュールおよびその収容ケースを示す斜視図である。
【図3】図1に示す給湯システムのリモコンおよびデータ処理モジュールの設置例を示す要部断面図である。
【図4】本発明に係る給湯システムの他の例を示す概略説明図である。
【図5】本発明に係る給湯システムの他の例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1〜図3は、本発明が適用された給湯システムの一例を示している。図1によく表われているように、本実施形態の給湯システムS1は、給湯装置1、台所用および浴室用のリモコンR1,R2、ならびにデータ処理モジュール3を具備している。
【0023】
給湯装置1は、たとえば瞬間式ガス給湯装置であり、従来既知のものと同様な構成とすることができる。この給湯装置1は、たとえば燃料ガスを燃焼させるバーナ10、このバーナ10に燃焼用空気を供給するファン11、バーナ10によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なう熱交換器12、給湯装置1の各部の動作制御を行なう制御部13、および2芯通信回路14を備えている。制御部13は、マイクロコンピュータを用いて構成されている(この点は、後述する他の機器の制御部23,33,43も同様)。
【0024】
台所用および浴室用のリモコンR1,R2についても、従来既知のものと同様な構成とすることが可能であり、たとえば2芯通信回路24、制御部23、液晶パネルなどを用いて構成された表示部25、および複数の操作スイッチを有する操作部26を備えている。台所用および浴室用のリモコンR1,R2の2芯通信回路24は、通信線L1,L2(2芯通信線)を介して給湯装置1の2芯通信回路14と接続されており、このことにより給湯装置1とリモコンR1,R2との三者間におけるデータ通信、ならびに給湯装置1からリモコンR1,R2への電力供給が可能である。
【0025】
データ処理モジュール3は、給湯システムS1の動作状況を監視するデータロガーとしての役割を果たすとともに、給湯装置1やリモコンR1,R2においては実行することが困難な所定のデータ処理を実現するためのものである。このデータ処理モジュール3は、図1(b)に示すように、制御部33に加え、2芯通信回路34、無線LANモジュール35、SDコネクタ36、USB端子37を有している。2芯通信回路34は、本発明でいう通信手段の一例に相当し、その通信用端子34aは、台所用のリモコンR1の通信用端子24aに通信線L3(2芯通信線)を介して接続されている。このことにより、データ処理モジュール3への電力供給が可能であるとともに、給湯装置1とリモコンR1,R2との間で送受されるデータをデータ処理モジュール3において受信することが可能である。また、データ処理モジュール3から給湯装置1やリモコンR1,R2へのデータ送信も可能となる。
【0026】
データ処理モジュール3の制御部33は、本発明でいうデータ作成手段の一例に相当し、2芯通信回路34において受信したデータを収集するとともに、この収集したデータに基づいて給湯システムS1の所定の項目に関するデータを作成する。ここで、給湯システムS1の所定の項目のデータとは、たとえば給湯装置1とリモコンR1,R2との間で送受信されたデータの履歴、給湯装置1が所定の動作を実行したことや、その実行にエラーを生じたなどといった内容を示すログデータが挙げられる。さらに、本実施形態においては、制御部33によって作成されるデータには、給湯システムS1におけるエネルギ消費量に関するデータも含まれる。給湯装置1のバーナ10の燃焼のオン・オフ、燃焼号数、熱交換器12を通過する湯水流量などの動作を示すデータは、給湯装置1の制御部13から2芯通信回路14を介して送出されている。データ処理モジュール3の制御部33は、そのようなデータに基づき、給湯システムS1における燃料ガス、水道水、および電気などの各エネルギの消費量、あるいはそれら3種類のエネルギ消費量のうち、特定種類のエネルギ(たとえば、燃料ガスのみ)の消費量を演算により求め、かつこのデータを制御部33が具備するメモリに記憶するように構成されている。
【0027】
前記したエネルギ消費量のデータは、その具体的な消費量を直接示す数値に代えて、その消費量をエネルギ使用料金や二酸化炭素の量などに換算して間接的に示すデータであってもよく、エネルギ消費量についての具体的な表示方法もしくは表示態様は問わない。また、エネルギ消費量の対象となる期間としては、たとえば1日単位、1週間単位、1月単位、数ヶ月単位、1年単位などの複数種類の期間を設定しておき、これら複数の期間のうち、いずれか1つ、あるいは複数の期間をユーザが適宜選択して確認できるようにしてもよい。制御部33において作成されたデータは、制御部33が具備するメモリに順次記憶されて蓄積される。ただし、このデータのうち、一定期間以上前の旧データは消去され、メモリ不足を生じないようにされる。
【0028】
データ処理モジュール3の制御部33によって作成されたデータは、好ましくは、2芯通信回路34を介してリモコンR1,R2に適宜のタイミングで送出されるように構成されている。したがって、リモコンR1,R2の表示部25がたとえば種々のフォントデータを表示出力可能なものであって、データ処理モジュール3から送信されてきたデータを表示出力可能な機能を有している場合には、リモコンR1,R2の表示部25において、
データ処理モジュール3から受信したデータ(たとえばエネルギ消費量に関するデータ)を表示させることが可能となる。
【0029】
無線LANモジュール35は、制御部33において作成したデータを無線出力可能であり、本発明でいうデータ出力機器の一例に相当する。無線LANモジュール35から無線出力されたデータは、LAN接続されたパソコン(パーソナルコンピュータ)PCを利用して受信可能である。パソコンPCは、本発明でいうリモコンとは別個の情報機器の一例に相当する。無線LANモジュール35からのデータ出力は、たとえばパソコンPCがLAN接続されること、あるいはLAN接続後にパソコンPCにおいて所定操作がなされることなどを契機として、データ処理モジュール3にデータ出力を要請するコマンド送出がなされることにより行なわせることが可能である。ただし、タイマ設定などによって定期的に行なわせることも可能である。USB端子37は、制御部33において作成したデータをUSB出力可能とするものであり、無線LANモジュール35と同様に、本発明でいうデータ出力機器の具体例に相当する。SDコネクタ36は、本発明でいうデータ書き込み装置の一例に相当し、可搬型記憶媒体としてのSDカード(図示略)が装着脱自在であって、制御部33において作成されていたデータをSDカードに書き込み可能である。
【0030】
データ処理モジュール3は、前記した制御部33、2芯通信回路34、無線LANモジュール35、SDコネクタ36、およびUSB端子37を構成する電気・電子部品が、プリント基板38上に搭載された構成である。データ処理モジュール3の全体のサイズは、できる限り小サイズに形成されており、少なくともリモコンR1,R2よりも小サイズである。図2に示すように、データ処理モジュール3は、好ましくは、ケース本体50および蓋体51とからなる樹脂製のケース5内に収容されることにより保護されており、ケース5の外部には通信線L3が引き出された構成とされる。なお、同図の仮想線に示すように、通信線L3は、通信線L1が一体的に繋げられた構成とすることも可能である。
【0031】
データ処理モジュール3の具体的な取付け構造は、たとえば図3に示すような態様とされる。すなわち、データ処理モジュール3は、リモコンR1が設置される台所の壁部6のうち、リモコンR1の設置箇所の背面側に設けられた通信線配索用の孔部60またはこの孔部60に連通する空間部(壁部6の内部に形成され、かつ通信線配索に利用される空間部)に収容される。リモコンR1は、孔部60を塞ぐようにして壁部6に取り付けられ、データ処理モジュール3は外部からは見えない状態とされる。
【0032】
次に、前記した給湯システムS1の作用について説明する。
【0033】
まず、給湯装置1とリモコンR1,R2との間で送受信されるデータは、データ処理モジュール3によって監視され、かつその通信履歴は、データ処理モジュール3において順次記憶される。また、データ処理モジュール3においては、給湯装置1から受信した給湯装置1の動作状態を示すデータに基づき、給湯システムS1における燃料ガス、水道水、および電気などのエネルギの消費量を算出する。このエネルギ消費量のデータは、既述したように、リモコンR1,R2に送出され、リモコンR1,R2がそのようなデータの表示機能を有している場合には、これらのリモコンR1,R2の表示部25において表示される。したがって、給湯システムS1が、本来的にはエネルギ消費量の算出および表示機能を有していないものであったとしても、データ処理モジュール3を利用することにより、リモコンR1,R2に給湯システムS1におけるエネルギ消費量のデータを表示させて、ユーザに的確に察知させることが可能である。すなわち、給湯システムS1の給湯装置1やリモコンR1,R2がエネルギ消費量の表示機能を備えていないのは、それらがエネルギ消費量の算出機能を備えていないためであるが、データ処理モジュール3がエネルギ消費量の算出機能を有し、その算出結果をリモコンR1,R2が表示するのに必要なデータとしてリモコンR1,R2に対して送出しさえすれば、リモコンR1,R2は、エネル
ギ消費量を適切に表示し得ることとなるのである。
【0034】
一方、データ処理モジュール3において作成されたデータについては、無線LANモジュール35やUSB端子37を利用してパソコンPCに送出することが可能である。したがって、リモコンR1,R2がエネルギ消費量のデータを表示可能なものではない場合であっても、エネルギ消費量のデータをユーザが適切に確認することが可能となる。また、SDコネクタ36にSDカードをセットし、このSDカードに前記データを書き込むことによって、前記したデータを取り出すことも可能であるために、データ確認に際しての融通性が高いものとなる。データ処理モジュール3において作成されるデータとしては、既述したように、給湯装置1とリモコンR1,R2との間の通信履歴なども含まれるために、これらの装置機器の間でのデータ通信が的確に行なわれているか否かといった診断作業も容易に行なうことが可能となる。
【0035】
前記したように、本実施形態の給湯システムS1においては、給湯装置1やリモコンR1,R2のみでは得ることが困難なデータを、データ処理モジュール3を利用して作成し、かつその内容をユーザに察知させ得るようにしており、給湯システムS1の動作情報の報知機能を容易に高めることが可能である。給湯システムS1の報知機能を高めるための手段として、給湯システムS1の構成機器を新たな機器と交換するといった必要はなく、ユーザの経済的な負担も少なくすることが可能である。データ処理モジュール3を設置するには、通信線L3を介してリモコンR1にデータ処理モジュール3を接続すればよいために、その取り付けは容易である。また、図3に示したように、データ処理モジュール3は、リモコンR1が設置される壁部6の通信線配索用の孔部60またはこれに繋がった空間部に収容されているために、このデータ処理モジュール3が不体裁な状態に見えてしまうといった不具合も適切に回避される。
【0036】
図4および図5は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0037】
図4に示す給湯システムS2においては、データ処理モジュール3を給湯装置1の2芯通信回路14の通信用端子14aに配線接続し、かつ給湯装置1の外装ケース18内に収容させている。これ以外の構成は、前記実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態においても、前記実施形態と同様に、給湯装置1とリモコンR1,R2との間で送受信されるデータをデータ処理モジュール3によって監視するとともに、それらの機器とデータ処理モジュール3との間でデータ通信を行なうことが可能である。したがって、前記実施形態と同様な作用が得られる。データ処理モジュール3は、外装ケース18内に収容されているために、適切に保護することが可能であり、また不体裁な状態で見えるといったこともない。
【0039】
図5に示す給湯システムS3は、情報機器4をさらに備えている。この情報機器4は、給湯システムS3が設置された住宅内のエネルギ消費量を算出して表示するための機器であり、電力計測部47、制御部43、表示部45、操作部46、および2芯通信回路44を備えている。2芯通信回路44は、たとえば給湯装置1の2芯通信回路14に通信線L4を介して接続されており、給湯装置1、リモコンR1,R2、およびデータ処理モジュール3との間でデータ通信が可能である。なお、本実施形態とは異なり、情報機器4をリモコンR1,R2、あるいはデータ処理モジュール3に配線接続してもよい。また、情報機器4は、給湯装置1とリモコンR1,R2との間で実行される通信を監視する必要はなく、データ処理モジュール3からエネルギ消費量に関するデータ(本発明でいう第2のデータの一例に相当)を受信すればよい。このため、情報機器4が給湯装置1やリモコンR1,R2とは通信不可能であって、データ処理モジュール3のみとの間で通信可能な状態
に設けられていてもよい。
【0040】
情報機器4の電力計測部47は、分電盤7から住宅の各所に配設される電源線70に流れる電流値を検出可能であり、この電流値および電圧値(電力計測部47は、電源線70の電圧検出機能を備えた構成とすることができる)に基づいて住宅内で使用される電力量(給湯システムS3のみならず、これ以外の装置機器においても使用される電力量をも含む電力量)を計測可能である。この電力量のデータは、本発明でいう第1のデータの一例に相当し、制御部43は、この電力量のデータと、データ処理モジュール3から送信されてくるエネルギ消費量に関するデータとを統合したデータを作成し、このデータを表示部45に表示させる処理を実行可能である。表示部45に表示されるエネルギ消費量のデータの具体例としては、所定期間内において住宅内で使用された総電力量、給湯システムS1で消費された燃料ガス量ならびに水道水量などが挙げられる。これらのデータは、料金や二酸化炭素量などに換算された状態で間接表示されていてもよいことは勿論である。また、エネルギ消費量の表示の仕方としては、前年同月のデータなどと対比して表示させるといったことも可能である。
【0041】
前記した給湯システムS3においては、給湯システムS3で消費される燃料ガス量などをユーザが察知できるばかりか、住宅内で使用される全電力量をもユーザが適切に察知することができ、省エネに感心の高いユーザの要望に的確に対応することが可能である。給湯システムS3の前記した機能は、エネルギ消費量の検出機能を有しない給湯装置1やリモコンR1,R2に、データ処理モジュール3および情報機器4を付加することによって簡単に得られ、給湯システムS3のうち、既設の構成機器(給湯装置1やリモコンR1,R2)を有効に利用しつつ、住宅内のエネルギ監視システムの構築に要するユーザの経済的負担を少なくすることができる。なお、情報機器4は、住宅内の電力消費量を計測可能とされているが、これに代えて、または加えて、給湯システムS3以外においても消費される住宅内の水道水量や燃料ガス量なども計測可能なものとすることができる。
【0042】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る給湯システム用のデータ処理モジュール、および給湯システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0043】
上述した実施形態では、データ処理モジュールを給湯装置やリモコンの通信用端子に接続させているが、本発明はこれに限定されず、給湯装置とリモコンとを結ぶ通信線にデータ処理モジュールを接続してもかまわない。データ処理モジュールの制御部(データ作成手段)が作成するデータの具体的な項目は、給湯システムにおけるエネルギ消費量や通信履歴のデータに代えて、これらとは異なる項目とすることも可能である。
【0044】
給湯装置は、瞬間式の給湯装置に限らない。たとえば、ヒートポンプや太陽熱を利用して加熱した湯水を貯湯タンクに貯留させ、かつこの貯湯タンクから出湯を行なわせる貯湯式の給湯装置、あるいはガスエンジンや燃料電池などを備え、かつその排熱を利用して湯水加熱を行なって湯水を生成するコージェネレーションシステムとしての給湯装置とすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
S1〜S3 給湯システム
R1,R2 リモコン
L1〜L4 通信線
1 給湯装置
3 データ処理モジュール
4 情報機器
6 壁部
13 制御部(給湯装置の)
18 外装ケース(給湯装置の)
33 制御部(データ処理モジュールのデータ作成手段)
34 2芯通信回路(データ処理モジュールの通信手段)
34a 通信用端子(データ処理モジュールの)
35 無線LANモジュール(データ出力機器)
36 SDコネクタ(データ書き込み装置)
37 USB端子(データ出力機器)
60 通信線配索用の孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置およびこの給湯装置用のリモコンを備えた給湯システムに付設して用いられる給湯システム用のデータ処理モジュールであって、
前記給湯装置および前記リモコンのいずれかの通信用端子もしくは前記給湯装置および前記リモコン間の通信線に配線接続可能な通信用端子を有し、かつ前記給湯装置と前記リモコンとの間で送受されるデータを受信可能な通信手段と、
この通信手段で受信したデータに基づいて前記給湯システムの所定の項目に関するデータを作成するデータ作成手段と、
このデータ作成手段によって作成されたデータを、前記給湯システムの外部に取り出し可能とし、または前記リモコンもしくは前記リモコンとは別個の情報機器に送信可能とするデータ取り出し手段と、
を備えていることを特徴とする、給湯システム用のデータ処理モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システム用のデータ処理モジュールであって、
前記データ作成手段は、前記通信手段で受信したデータに基づいて前記給湯システムにおけるエネルギ消費量に関するデータを作成することが可能とされている、給湯システム用のデータ処理モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯システム用のデータ処理モジュールであって、
前記データ取り出し手段として、可搬型記憶媒体が着脱自在であり、かつ可搬型記憶媒体が装着された状態においてこの可搬型記憶媒体へのデータ書き込みが可能なデータ書き込み装置と、前記給湯装置および前記リモコン間の通信線とは異なる経路でデータの無線出力または有線出力が可能なデータ出力機器との少なくとも一方を有している、給湯システム用のデータ処理モジュール。
【請求項4】
給湯装置と、この給湯装置用のリモコンとを備えている、給湯システムであって、
請求項1ないし3のいずれかに記載の給湯システム用のデータ処理モジュールをさらに具備していることを特徴とする、給湯システム。
【請求項5】
請求項4に記載の給湯システムであって、
前記データ処理モジュールは、前記リモコンの通信用端子に配線接続され、かつ前記リモコンの設置対象の壁部に設けられた通信線配索用の孔部または空間部内に収容された構成、または前記給湯装置の通信用端子に配線接続され、かつ前記給湯装置の外装ケース内に収容された構成とされている、給湯システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の給湯システムであって、
前記給湯システムが設置された住宅のうち、前記給湯システム以外の装置機器における所定のエネルギの消費量、または前記給湯システムで消費されるエネルギをも含んだ所定のエネルギの消費量に関する第1のデータを算出可能に構成された情報機器を、さらに備えており、
前記情報機器は、少なくとも前記データ処理モジュールと通信可能に設けられて、前記給湯システムにおける所定のエネルギの消費量に関する第2のデータを前記データ処理モジュールから受信し、かつ前記第1および第2のデータの双方に基づくエネルギ消費量のデータを、表示部に表示出力可能な構成とされている、給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113529(P2013−113529A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261598(P2011−261598)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)