説明

給湯システム

【課題】 加熱手段によって加熱して給湯を行うとき、給湯設定温度以上の温水が給湯されたり、水や時間が無駄に費やされたりすることを防止することができる給湯システムを提供する。
【解決手段】 ミキシングユニット24の下流側にある滞留温水の温度が、バーナ56の最小加熱量で加熱されると給湯設定温度以上に昇温する可能性がある高めの温度であると判断すると(ステップS16でYESであると)、滞留温水が給湯器22のバーナ熱交換器52を通過した後バーナ56を点火させる。滞留温水の温度が、バーナ56の最小加熱量で加熱されても給湯設定温度以上に昇温することはない低めの温度であると判断すると(ステップS16でNOであると)、直ちに給湯器22のバーナ56を点火させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電熱や太陽熱等で加熱された温水を貯湯槽に貯湯しておき、貯湯槽に貯湯しておいた温水を利用して必要時に給湯する貯湯式の給湯システムに関する。特に、貯湯式の給湯システムにおいて、蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換わる直前に給湯運転が一旦停止し、その後に給湯運転を再開した時に給湯設定温度よりも高温に加熱された湯が給湯されることを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発電熱や太陽熱等で加熱された温水を貯湯しておいて給湯する給湯システムでは、発電熱や太陽熱等で加熱した温水を貯湯しておく貯湯槽と、貯湯槽に貯湯しておいた温水と水道水(冷水)を混合するミキシングユニットと、ミキシングユニットを通過した混合水を必要に応じて加熱する加熱器を有する給湯器等を備えている。この種の貯湯式の給湯システムでは、貯湯槽に貯湯しておいた温水を、必要時に適温に調温して温水利用箇所(給湯栓、浴槽、シャワー等)に給湯したり、床暖房システム等に利用したりする。給湯運転では、温水利用箇所で必要とする温水温度(給湯設定温度)よりも高温の温水が貯湯槽に貯湯されていれば、貯湯槽から送り出される温水と水道水(冷水)をミキシングユニットで混合することによって必要温度に冷却して給湯する(蓄熱利用運転とする)。温水利用箇所で必要とする温水温度(給湯設定温度)よりも低温の温水が貯湯槽に貯湯されていれば、給湯器等で加熱して給湯する(給湯器利用運転とする)。
【0003】
上記のような給湯システムでは、蓄熱利用運転で給湯運転を行っている途中で貯湯槽内の高温水が不足すれば、蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換えて給湯を継続する。ミキシングユニットに入る温水温度が給湯設定温度よりも低下すると、給湯器等を点火して給湯器利用運転に切換える。蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換えるとき、給湯温度は不安定となりやすい。使用途中で給湯温度が変化する給湯システムは、使用者にとって不快であり、使い勝手が悪い。
【0004】
特許文献1に、蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換えるときの給湯温度を安定化する技術が開示されている。ミキシングユニットに入る温水温度が給湯設定温度よりも低下したために蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換える時、ミキシングユニットと給湯器との間には給湯設定温度に調温された温水がある。この時に給湯器による加熱が開始されると、給湯設定温度に調温された温水が加熱されるために給湯設定温度以上に過熱されてしまう。特許文献1の技術では、蓄熱利用運転中に、給湯設定温度に近似する基準温度を下回る温水温度になった時から、ミキシングユニットに入る温水温度が給湯設定温度よりも低下したときから混合水の流量を積算し、積算した混合水流量がミキシングユニットと給湯器との間の配管容量に等しくなった時点で、給湯器の加熱を開始する。この技術によれば、蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換わるときに、給湯設定温度以上の温水が給湯されることが防止される。
【0005】
特許文献1の技術は、連続して給湯運転している途中で蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換えるときのみならず、蓄熱利用運転を終え、その後に給湯運転を開始するときに給湯器利用運転が選択される場合にも有用性を持つことがある。蓄熱利用運転の停止後、しばらくしてから再び給湯要求があったとき、放熱によって貯湯槽内の温水温度が給湯設定温度より低下していれば、給湯器利用運転が選択される。例えば、食器を洗っているときや、シャワーを利用しているとき等のように、断続的な給湯運転を行っている場合の蓄熱利用運転の停止時に、貯湯槽内の利用可能な温水の温度が給湯設定温度を下回る(湯切れする)直前の状態であることがある。この場合、短時間の運転停止時間を経て、再び給湯要求があった場合を考える。給湯運転の停止時間が短時間であると貯湯槽内の温水の放熱量も僅かである。しかし、この停止時間中の放熱で貯湯槽内の温水が僅かに温度低下したことによって、給湯要求時の貯湯槽内の温水温度が給湯設定温度を下回っていることがある。この場合には、給湯器利用運転が選択されることとなる。蓄熱利用運転中に給湯運転が停止すると、貯湯槽と給湯器の間の配管内に給湯設定温度以上の温水が滞留した状態となる。給湯運転の停止中には、配管内の滞留温水の放熱も進むが、給湯運転の停止時間が短時間であると滞留温水の放熱量も僅かである。従って、再び給湯要求があったとき、配管内には給湯設定温度よりは低温であるが、給湯設定温度に近似した温度の温水が存在していることとなる。このときに給湯器による加熱が開始されると、配管内に滞留していた給湯設定温度に近似した温度の温水が給湯設定温度以上に過熱されて給湯されることがある。特許文献1の技術によれば、このような場合にも、給湯設定温度以上の温水を給湯することが防止される。
【0006】
【特許文献1】特開2003−42542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、再出湯時の現象は上記の現象に限られない。給湯運転の停止時間が長くなれば、貯湯槽内の温水や配管内の温水の放熱による温度低下は大きくなる。貯湯槽内の温水や配管内の温水温度が、外気温に近似した温度まで低下している状態で給湯要求があった場合にまで特許文献1の技術を応用すると、配管内の低温水が流れ切ってから給湯器による加熱を開始することとなる。たとえ、配管内の温水温度が、給湯器によって加熱されても給湯設定温度以上に昇温しないような低温水であっても、配管内の低温水が流れ切ってから給湯器による加熱を開始することとなる。この場合、給湯器による加熱が開始されるまでに、水と時間を無駄に浪費することとなり、非常に使い勝手が悪い。
本発明では、加熱手段によって加熱して給湯を行うとき、給湯設定温度以上の温水が給湯されたり、水や時間が無駄に費やされたりすることを防止することができる給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の給湯システムは、温水を貯える貯湯槽と、貯湯槽からの温水と水道水を混合するとともにその混合比が調整可能なミキシングユニットと、ミキシングユニットからの混合水を必要に応じて加熱する加熱手段と、ミキシングユニットより上流側の温水温度を検出する温水温度検出手段と、ミキシングユニットより下流側の混合水温度を検出する混合水温度検出手段と、給湯設定温度を記憶している給湯設定温度記憶手段と、混合水の流量を検出する混合水流量検出手段と、混合水流量検出手段によって検出される混合水流量を積算する混合水流量積算手段と、コントローラを備えている。
そのコントローラは、混合水流量検出手段によって検出される流量が所定流量以上であって、温水温度検出手段によって検出される温水温度が第1所定温度以下であり、且つ混合水温度検出手段によって検出される混合水温度が給湯設定温度から第2所定温度を減じた温度以上であるときには、混合水流量積算手段によって積算された積算流量が所定積算流量となったときに加熱手段を動作させる。また、そのコントローラは、混合水流量検出手段によって検出される流量が所定流量以上であって、温水温度検出手段によって検出される温水温度が第1所定温度以下であり、且つ混合水温度検出手段によって検出される混合水温度が給湯設定温度から第2所定温度を減じた温度未満であるときには、直ちに加熱手段を動作させる。
【0009】
本発明では、混合水流量検出手段によって検出される流量が所定流量以上であるとき、給湯要求があったと判断する。また、ミキシングユニットより上流側の温水温度が第1所定温度(通常は給湯設定温度)以下であると、貯湯槽内の温水を加熱することなく利用することができないと判断し、加熱手段によって加熱して給湯を行う。
加熱手段によって加熱して給湯を行うとき、ミキシングユニットより下流側に高温水が滞留していると、この高温水が加熱手段によって加熱されて給湯設定温度以上に昇温してしまう可能性がある。この発明では、ミキシングユニットより下流側の混合水温度が給湯設定温度から第2所定温度(例えば、実施例で例示する10℃)を減じた温度以上であるときには、ミキシングユニットの下流側の配管内に滞留している温水の温度が高めであり、この滞留温水が加熱手段の最小加熱量で加熱されても給湯設定温度以上に昇温する可能性があると判断する。この場合には、混合水流量積算手段によって積算された積算流量が所定積算流量(例えば、ミキシングユニットの下流側と加熱手段の下流側との間の配管容量)となったときに加熱手段を動作させる。このことによって、高温の滞留温水が加熱手段が設けられている箇所を通過した後で加熱手段が動作を開始し、滞留温水が加熱手段によって加熱されて給湯設定温度以上に昇温することを防止することができる。
一方、ミキシングユニットより下流側の混合水温度が給湯設定温度から第2所定温度を減じた温度未満であるときには、ミキシングユニットの下流側の配管内に滞留している温水が加熱手段の最小加熱量で加熱されても、給湯設定温度以上に昇温することはないと判断する。このとき、上記のように、混合水流量積算手段によって積算された積算流量が所定積算流量となったときに加熱手段を動作させていると、加熱手段の最小加熱量で加熱しても給湯設定温度以上に昇温することはない低温水が、加熱手段が設けられている箇所を通過した後でしか加熱手段が動作を開始しないこととなる。加熱手段が動作を開始するまでの時間が無駄であり、また、給湯設定温度の温水が給湯されるまでに流される低温水も無駄である。この発明では、ミキシングユニットより下流側の混合水温度が給湯設定温度から第2所定温度を減じた温度未満であるときには、直ちに加熱手段を動作させる。このことによって、給湯設定温度で給湯されるまでに要する時間を短縮し、給湯設定温度で給湯されるまでに流される低温水量を抑制することができる。
本発明の給湯システムでは、加熱手段によって加熱して給湯を行うとき、ミキシングユニットの下流側の配管内に滞留している温水の温度に応じて、加熱手段の動作開始のタイミングを変化させることによって、給湯設定温度で給湯される前に、給湯設定温度以上の温水が給湯されたり、水や時間が無駄に費やされたりすることを防止することができる。
【0010】
本発明の給湯システムでは、第2所定温度を、加熱手段の最小加熱量で加熱したときに温水の温度が上昇する温度幅以上とすることが好ましい。
このようにすれば、ミキシングユニットより下流側に滞留している温水または冷水の温度が、加熱手段の最小加熱量で加熱したときに給湯設定温度以上にまで昇温するか否かを正確に判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
(形態1) 貯湯槽上部のサーミスタによって検出される温水温度が第1所定温度以上であれば蓄熱利用運転を行い、第1所定温度未満であれば給湯器利用運転を行う。
(形態2) 所定積算流量は、混合水温度検出手段と、加熱手段より下流側の給湯温度を検出する給湯温度検出手段との間の配管容量に等しい。
(形態3) ミキシングユニットに混合水温度を指示する混合水温度指示手段を備えており、ミキシングユニットより下流側の温水温度が給湯設定温度から第2所定温度を減じた温度以上であれば、混合水流量積算手段によって積算された積算流量が所定積算流量となったときに加熱手段を動作させ、さらに、ミキシングユニットより下流側の混合水温度が給湯設定温度から第3所定温度を減じた温度以上であれば、混合水温度指示手段によって給湯設定温度から第3所定温度を減じた温度が指示される。第2所定温度は、加熱手段の最小加熱量で加熱したときに上昇する温水温度の上昇幅(定常温度上昇幅)より大きく、第3所定温度は、加熱手段の最小加熱量で加熱したときに上昇する温水温度の上昇幅(定常温度上昇幅)に等しい。
【実施例】
【0012】
本発明の給湯システムを具現化した1実施例を図面を参照しながら説明する。本実施例は、本発明の給湯システムを組込んだコージェネレーションシステムである。
本実施例のコージェネレーションシステムは、図1に示すように、発電ユニット110と給湯システム10等を備えている。
発電ユニット110は、改質器112、燃料電池114、熱交換器116、118、熱媒放熱器120、熱媒三方弁122、それらを接続する経路等を備えている。
改質器112には、バーナ131が設けられている。バーナ131が作動して熱を発生すると、改質器112は炭化水素系のガスから水素ガスを生成する。バーナ131で燃焼した高温の燃焼ガスは燃焼ガス経路126に導かれる。燃焼ガス経路126は、改質器112から熱交換器116を通過して外部に開放されている。熱交換器116には、循環経路128も通過している。燃焼ガス経路126は、バーナ131で発生した高温の燃焼ガスを熱交換器116に導き、循環経路128を流れる水を加熱し、熱交換によって温度が低下した燃焼ガスを外部に排出する。
循環経路128は、循環復路128aと、循環往路128bから構成されており、給湯システム10と接続されている。循環経路128が給湯システム10にどのように接続されているのかについては、後で詳細に説明する。循環経路128は温水を流通させる。循環経路128を流れる温水は、熱交換器116を通過することによって燃焼ガス経路126を流れる燃焼ガスによって加熱され、温度が上昇する。
【0013】
燃料電池114は複数のセルを有している。燃料電池114と改質器112は水素ガス供給経路121によって接続されている。改質器114で生成された水素ガスは、水素ガス供給経路121を流れて燃料電池114に供給される。燃料電池114は、改質器112から供給された水素ガスと、空気中の酸素とを反応させて発電を行う。燃料電池114は発電すると発電熱を発生する。
熱媒循環経路124は、燃料電池114、熱交換器118、リザーブタンク125、熱媒ポンプ127、熱媒三方弁122を通って燃料電池114に戻る循環経路を形成している。熱媒循環経路124の燃料電池114の下流側には、熱媒温度センサ117が装着されている。熱媒温度センサ117は、熱媒循環経路124を流れる熱媒の温度を検出する。熱媒温度センサ117の検出信号は、給湯システム10に装着されているコントローラ21に出力される。
熱媒三方弁122は、1つの入口122aと、2つの出口122b,122cを備えている。熱媒三方弁122は、入口122aと出口122bを連通させるか、入口122aと出口122cを連通させるかを切換える。
熱媒三方弁122の出口122bと、熱媒循環経路124の熱媒三方弁122の出口122cの下流側とを接続する冷却経路129が設けられている。熱媒循環経路124と冷却経路129は熱媒としての純水を流通させる。冷却経路129の途中には熱媒放熱器120が装着されている。熱媒放熱器120に隣接して熱媒冷却ファン119が設けられている。熱媒冷却ファン119を運転すると、空気が熱媒放熱器120に吹付けられ、冷却経路129を流れる熱媒が冷却される。
改質器112、燃料電池114、バーナ131、熱媒三方弁122、熱媒ポンプ127、熱媒冷却ファン119は、コントローラ21によって制御される。
【0014】
燃料電池114が作動すると、熱媒三方弁122の入口122aと出口122cが連通されるとともに、熱媒ポンプ127が運転される。熱媒ポンプ127が運転されると、熱媒循環経路124を熱媒が循環する。熱媒循環経路124を熱媒が循環することにより、燃料電池114から発電熱が回収される。熱媒によって回収された発電熱は、熱媒とともに熱交換器118まで運ばれ、循環経路128を流れる温水を加熱する。循環経路128については後述する。
熱媒温度センサ117が検出した熱媒温度が高くなりすぎると、発電熱の回収が不十分となってしまうため、発電熱の放熱を行う。熱媒三方弁122の入口122aと出口122bが連通され、同時に熱媒冷却ファン119が運転される。熱媒三方弁122の入口122aと出口122bが連通されると、熱媒は冷却経路129に流入し、熱媒放熱器120を通過する。熱媒は、熱媒放熱器120を通過することによって冷却される。熱媒放熱器120は、熱媒冷却ファン119から空気が吹付けられることにより、高い効率で熱を放熱する。熱媒の温度が低下すると、熱媒三方弁122の入口122aと出口122cが再び連通される。このような熱媒三方弁122の切換えが繰返されることにより、熱媒の温度は、所定範囲内に維持される。
【0015】
給湯システム10は、貯湯槽20、給湯器(加熱器)22、ミキシングユニット(混合器)24、これらを連通する複数の経路、コントローラ21等を備えている。
貯湯槽20の底部には、貯湯槽20に水道水を給水する給水経路26が接続されている。給水経路26の入口26aの近傍には、減圧弁28が装着されている。給水経路26の減圧弁28の下流側とミキシングユニット24の給水入口24aは、ミキシングユニット給水経路30によって接続されている。減圧弁28は、貯湯槽20とミキシングユニット24への給水圧力を調整する。貯湯槽20内の温水が減少したり、ミキシングユニット24の給水入口24aが開いたりすると、減圧弁28の下流側圧力が低下する。減圧弁28は、下流側圧力が低下すると開き、その圧力を所定の調圧値に維持しようとする。このため、貯湯槽20内の温水が減少したり、ミキシングユニット24の給水入口24aが開いたりすると、それらに水道水が給水される。
貯湯槽20には、調圧値に調圧された水が貯められる。貯湯槽20は、調圧値に耐えられる耐圧容器で形成されている。貯湯槽20の上部には出口部20aが設けられており、さらにその上にリリーフ弁31が装着されている。リリーフ弁31の開弁圧力は、減圧弁28の調圧値よりも僅かに大きく設定されている。減圧弁28の調圧が不能になった場合には、リリーフ弁31が開き、貯湯槽20内の圧力が耐圧圧力を超えるのを防止する。リリーフ弁31には、圧力開放経路32の一端32aが接続されている。圧力開放経路32の他端32bは貯湯槽20の外部に開放されている。
貯湯槽20の底部と、圧力開放経路32の他端32b近傍を接続する排水経路33が設けられている。排水経路33の途中には排水弁34が装着されている。排水弁34は手動で開閉することができる。排水弁34を開くと、貯湯槽20内の水が排水経路33と開放経路32を通って外部に排水される。
【0016】
貯湯槽20は、発電ユニット110の循環経路128(循環復路128a、循環往路128b)と接続されている。詳しくは、循環復路128aが貯湯槽20の上部に接続され、循環往路128bが貯湯槽20の下部に接続されている。これによって、貯湯槽20と発電ユニット110との間の循環経路が形成されている。循環往路128bの途中には循環ポンプ40が装着されている。循環復路128aに復路サーミスタ45が取付けられ、循環往路128bに往路サーミスタ44が取付けられている。復路サーミスタ45は循環復路128a内の温水の温度を検出し、往路サーミスタ44は循環往路128b内の温水の温度を検出する。復路サーミスタ45と往路サーミスタ44の検出信号はコントローラ21に出力される。
発電運転中に循環ポンプ40が作動すると、貯湯槽20の底部から温水が吸出される。貯湯槽20から吸出された温水は、循環往路128bを流れてから発電ユニット110の熱交換器118、116を通過することによって加熱されて温度が上昇する。温度が上昇した温水は、循環復路128aを流れて貯湯槽20の上部に戻される。このように、貯湯槽20の底部から吸出された温水が、発電ユニット110の熱交換器118、116によって加熱されてさらに高温になり、貯湯槽20の上部に戻される循環が行われることにより、貯湯槽20に高温の温水が貯えられる。貯湯槽20内の温度が低い状態から、貯湯槽20に発電ユニット110からの高温の温水が戻されると、貯湯槽20の上部に高温の温水が戻されることから、冷水層の上部に高温層が積層した状態(以下、「温度成層」と言う)が形成される。高温層よりも深い部分の水の温度は急激に低下する。発電中に、貯湯槽20の底部から低温の温水が吸出され、上部に高温の温水が戻され続けると、高温層は低温層と交じり合うことなく、低温層の厚さ(深さ)は次第に小さくなり、高温層の厚さ(深さ)は次第に大きくなる。貯湯槽20にフルに蓄熱された状態では、貯湯槽20の全体に高温の温水が貯まった状態になる。温度成層が形成されることにより、貯湯槽20にフルに蓄熱が行われていなくても、貯湯槽20の最上部に設けられている出口部20aからは、高温の温水が送り出される。一方、貯湯槽20の温水が利用されると、貯湯槽20の上部の高温の温水が吸出され、底部から水道水が入水すると、高温層の厚さ(深さ)は次第に小さくなり、低温層の厚さ(深さ)は次第に大きくなる。貯湯槽20内の温水を使い切ると、貯湯槽20内は水道水で満たされた状態となる。
【0017】
コントローラ21は、CPU、ROM、RAM等を備えており、CPUがROMに格納されている制御プログラムを処理することによって、発電ユニット110と給湯システム10を制御する。RAMには、コントローラ21に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。コントローラ21にはリモコン23が接続されている。リモコン23には、発電ユニット110と給湯システム10を操作するためのスイッチやボタン、発電ユニット110と給湯システム10の動作状態を表示するとともに後記する運用方法を表示する液晶表示器等が設けられている。
【0018】
貯湯槽20の上部から5リットルの箇所に上部サーミスタ35が取付けられている。上部サーミスタ35は貯湯槽20内の温度を検出する。上部サーミスタ35の検出信号は、コントローラ21に出力される。上部サーミスタ35の検出温度は、湯温制御に利用される他、蓄熱量の算出に利用される。算出される蓄熱量は、コントローラ21に用意されている記憶部に経時的に記憶される。
【0019】
ミキシングユニット24は、温水入口24c、混合水出口24b、第1流量センサ67、温水サーミスタ50、給水サーミスタ48、混合水サーミスタ54、ハイカットサーミスタ55、および既に説明した給水入口24aを有している。貯湯槽20の出口部20aとミキシングユニット24の温水入口24cは、温水経路42によって接続されている。第1流量センサ67は、混合水出口24bから流出する混合水の流量を検出する。温水サーミスタ50は、温水入口24cに流入する温水の温度を検出する。給水サーミスタ48は、給水入口24aに流入する水道水の温度を検出する。混合水サーミスタ54とハイカットサーミスタ55は、混合水出口24bから流出する混合水の温度を検出する。第1流量センサ67、温水サーミスタ50、給水サーミスタ48、混合水サーミスタ54、ハイカットサーミスタ55の検出信号は、コントローラ21に出力される。
【0020】
コントローラ21は、混合水サーミスタ54の検出信号を用いて、温水入口24c側の開度と、給水入口24a側の開度を変化させる。温水入口24c側の開度と、給水入口24a側の開度を変化させると、貯湯槽20からの温水と、水道水(冷水)とのミキシング割合が調整される。貯湯槽20からの温水と水道水とのミキシング割合が調整されると、混合水出口24bから流出する温水の温度が所定値に維持される。
コントローラ21とミキシングユニット24を組合せて用いることによって、混合水サーミスタ54で計測される混合水の温度は、コントローラ21が指令する温度に調整される。
コントローラ21は、ハイカットサーミスタ55によって温水が前記所定値を大きくオーバーしたことが検出された場合(すなわち、混合水サーミスタ54、あるいはミキシングユニット24が故障した可能性が高い場合)に、温水入口24cを閉じる。温水入口24cが閉じると、前記所定値を大きくオーバーした温度の温水が、給湯器22に供給されてしまうのが防止される。
ミキシングユニット24の混合水出口24bと給湯器22のバーナ熱交換器52(後述する)は、温水経路51によって接続されている。温水経路51には、第2流量センサ47が装着されている。第2流量センサ47の検出信号は、コントローラ21に出力される。
【0021】
給湯器22は、バーナ熱交換器52,60、バーナ56,57、追焚き熱交換器58、補給水弁59、シスターン61等を備えている。バーナ熱交換器52には、温水経路51を経由してミキシングユニット24から温水が流入する。ガス燃焼式のバーナ56はバーナ熱交換器52を加熱する。バーナ56は、コントローラ21から点火の指示を受けると、プリパージ動作を行った後に燃焼を開始する。プリパージに要する時間は、燃焼用ファンのサイズや回転数、バーナ56,57の燃焼ガスがバーナ熱交換器52,60を通過して装置外へ排気される部分の容量等から設定され、予めコントローラ21に記憶されている。プリパージには通常数秒を要し、本実施例のバーナ56では、プリパージに係る時間は1.5秒である。
バーナ熱交換器52の下流側と給湯栓64は給湯栓経路63によって接続されている。給湯栓64は、浴室、洗面所、台所等に配置されている(図1では、これら複数の給湯栓64を1つで代表している)。給湯栓経路63には給湯サーミスタ65が装着されている。給湯サーミスタ65はバーナ熱交換器52から流出する温水の温度を検出する。給湯サーミスタ65の検出信号はコントローラ21に出力される。
【0022】
温水経路51には、バーナ熱交換器52をバイパスするバイパス管37が形成されている。バイパス管37にはバイパスサーボ38が設けられている。バイパスサーボ38の開度はコントローラ21によって制御され、内蔵しているステッピングモータが駆動されることによって開度が調整される。バイパスサーボ38が開かれると、温水経路51のバーナ熱交換器52の上流側から分岐し、バイパス管37を通り、温水経路51のバーナ熱交換器52の下流側に合流するバイパス経路が形成される。コントローラ21によってバイパスサーボ38の開度を制御することによって、バーナ熱交換器52への流量に対するバイパス管37への流量の割合であるバイパス比が制御される。
【0023】
給湯器22内の温水経路51の途中から、シスターン入水経路62が分岐している。シスターン入水経路62の開放端はシスターン61の上部に差し込まれている。シスターン入水経路62の途中には補給水弁59が設けられている。補給水弁59はコントローラ21によって制御され、内蔵しているソレノイドが駆動されることによって開閉する。補給水弁59が開かれると、ミキシングユニット24からの温水がシスターン61に供給される。
シスターン61内には水位電極66が装着されている。水位電極66は、棒状のハイレベルスイッチ66aとローレベルスイッチ66bを有している。ハイレベルスイッチ66aの下端はシスターン61のハイレベル水位に位置している。ローレベルスイッチ66bの下端はシスターン61のローレベル水位に位置している。ハイレベルスイッチ66aとローレベルスイッチ66bは、水に触れていると検出信号をコントローラ21に出力する。コントローラ21は、水位電極66からの検出信号によって、シスターン61の水位がハイレベル水位を超えているか、ハイレベル水位とローレベル水位の間にあるか、ローレベル水位よりも低いかを判別する。シスターン61として適正なのは、水位がハイレベルとローレベルの間に位置している状態である。コントローラ21は、水位電極66からの水位検出信号に基づいて補給水弁59を開閉制御し、シスターン61の水位を適正範囲に維持する。
【0024】
シスターン61の底部には、シスターン出水経路68の一端が接続されている。シスターン出水経路68の途中には暖房ポンプ69が装着されている。暖房ポンプ69はコントローラ21によって制御される。シスターン出水経路68の他端はバーナ上流経路71と低温水経路70とに分岐している。バーナ上流経路71はシスターン出水経路68とバーナ熱交換器60の上流側とを接続している。バーナ上流経路71には、内部を流れる温水の温度を検出する暖房低温サーミスタ72が装着されている。暖房低温サーミスタ72の検出信号はコントローラ21に出力される。
ガス燃焼式のバーナ57はバーナ熱交換器60を加熱する。バーナ熱交換器60の下流とシスターン61は高温水経路73によって接続されている。高温水経路73には、上流側から順に、暖房高温サーミスタ74、暖房端末熱動弁75、暖房端末機76が装着されている。
暖房高温サーミスタ74は、高温水経路73を流れる温水の温度を検出する。暖房高温サーミスタ74の検出信号はコントローラ21に出力される。
【0025】
暖房端末機76は、熱交換器76bと、操作スイッチ76aと、電動ファン(図示省略)を備えている。熱交換器76bは、高温水経路73を流れる温水と空気との間で熱交換を行う。操作スイッチ76aは暖房端末熱動弁75とコントローラ21に接続されている。
暖房端末熱動弁75は、膨張エレメントと、膨張エレメントと機械的に連結された開閉弁を内蔵している。暖房端末機76の操作スイッチ76aがオンにされると、暖房端末熱動弁75の膨張エレメントに通電が行われる。通電された膨張エレメントは高温になって膨張する。膨張した膨張エレメントは開閉弁を駆動し、これによって暖房端末熱動弁75が開かれる。また、操作スイッチ76aがオンにされると、コントローラ21は、暖房ポンプ69を作動させる。このように、操作スイッチ76aがオンにされたことによって、暖房端末熱動弁75が開かれるとともに、暖房ポンプ69が作動すると、シスターン61から温水が吸出される。コントローラ21は、暖房低温サーミスタ72と暖房高温サーミスタ74が検出した温水温度に基づいて、バーナ57を制御し、バーナ熱交換器60から流出する温水の温度を所定範囲に維持する。暖房端末機76の電動ファンは、操作スイッチ76aがオンにされると回転し、熱交換器76bに空気を吹付ける。熱交換器76bに吹付けられた空気は、熱交換器76bを介して温水と熱交換を行って暖められる。暖められた空気は暖房端末機76から吹出し、部屋を暖房する。熱交換器76bで空気と熱交換を行うことによって、温水の温度は低下する。温度が低下した温水は高温水経路73を流れてシスターン61に戻る。
【0026】
高温水経路73の暖房高温サーミスタ74の下流側と、高温水経路73のシスターン61への入口部の上流側とは追焚き経路77によって接続されている。追焚き経路77は追焚き熱交換器58を通過している。追焚き経路77の追焚き熱交換器58の上流側には追焚き熱動弁78が装着されている。追焚き熱動弁78はコントローラ21によって制御される。
浴槽79には吸出口79aと供給口79bが設けられている。吸出口79aと供給口79bは風呂循環経路80によって接続されている。風呂循環経路80は追焚き熱交換器58を通過している。上述したように、追焚き経路77も追焚き熱交換器58を通過している。このため、追焚き熱交換器58では、風呂循環経路80と追焚き経路77との間で熱交換が行われる。風呂循環経路80の追焚き熱交換器58の上流側には、風呂水位センサ81、風呂循環ポンプ82、風呂水流スイッチ84が装着されている。風呂循環ポンプ82はコントローラ21によって制御される。風呂水位センサ81、風呂水流スイッチ84は、コントローラ21に検出信号を出力する。風呂水位センサ81は水圧を検出する。コントローラ21は、風呂水位センサ81が検出した水圧から、浴槽79に張られている湯の水位を推定する。風呂水流スイッチ84は風呂循環経路80を水が流れるとオンになる。
風呂循環経路80の風呂水位センサ81の上流側には、浴槽79から吸出された温水の温度を検出する風呂サーミスタ85が装着されている。風呂サーミスタ85の検出信号はコントローラ21に出力される。
【0027】
バーナ57と暖房ポンプ69が作動している状態で追焚き熱動弁78が開くと、温水が追焚き経路77に流入して追焚き熱交換器58を通過する。風呂循環ポンプ82が作動すると、温水が浴槽79の吸出口79aから吸出され、風呂循環経路80を流れて再び供給口79bから浴槽79に戻る循環が行われる。風呂循環経路80を流れる温水は、追焚き熱交換器58で追焚き経路77を流れる温水によって加熱され、浴槽79の湯が追焚きされる。
【0028】
給湯栓経路63の途中と、風呂循環経路80の風呂循環ポンプ82の下流側とを接続する湯張り経路25が設けられている。湯張り経路25には、ソレノイド駆動タイプの注湯弁27と、湯張り量センサ83が装着されている。注湯弁27は、コントローラ21によって制御され、湯張り経路25を開閉する。湯張り量センサ83は、湯張り経路25を流れる水量を検出することにより、浴槽79への湯張り運転の際に、それがどの程度行われたかを推定する。湯張り量センサ83はコントローラ21に検出信号を出力する。
浴槽79に湯を張るときには、注湯弁27が開かれる。注湯弁27が開かれると、温水が給湯栓経路63から湯張り経路25を経て風呂循環経路80に流入する。風呂循環経路80に流入した温水は、吸出口79aと供給口79bから浴槽79に供給され、浴槽79に湯張りされる。このときには、風呂循環ポンプ82は駆動されず、湯張り経路25に加わっている水圧によって浴槽79への湯張り運転が行われる。
【0029】
低温水経路70の途中には、低温サーミスタ94、床暖房熱動弁90、床暖房機91が設けられている。床暖房機91は、低温水経路70を流れる温水によって床を暖める。床暖房を行う場合には、床暖房熱動弁90が開かれ、温水が床暖房機91に導かれる。導かれた温水は、床暖房機91を暖める。床暖房を行わない場合には、床暖房熱動弁90が閉じられる。低温サーミスタ94は、低温水経路70を流れる温水の温度を検出する。低温サーミスタ94の検出信号はコントローラ21に出力される。床暖房熱動弁90はコントローラ21によって制御される。
高温水経路73の暖房端末熱動弁75の上流側と、低温水経路70の床暖房機91の下流側とは、バイパス経路92によって接続されている。暖房端末熱動弁75と床暖房熱動弁90が閉じた状態で、暖房ポンプ69が作動すると、シスターン61内の温水が順に、バーナ上流経路71、バーナ熱交換器60、高温水経路73、バイパス経路92、低温水経路70、高温水経路73と流れ、シスターン61へ戻る経路が形成される。
【0030】
本実施例のコージェネレーションシステムでは、発電ユニット110において発電時に発生する発電熱を利用して水を加熱して貯湯槽20内に貯湯し、貯湯しておいた温水を必要な時に利用することができる。また、貯湯槽20内に利用できる温水がなければ、貯湯槽20内の低温水を給湯システム10が備えている給湯器22によって加熱して利用することができる。
本実施例のコージェネレーションシステムにおける給湯温度の調温制御について説明する。図2に示すように、ステップS10では、給湯器22内の第2流量センサ47が検出する流量が2.7リットル/min以上であるか否かが判別される。第2流量センサ47の検出流量が2.7リットル/min以上であれば(ステップS10でYESであれば)、給湯栓64が開かれて給湯要求があったと判断され、ステップS12に進む。ステップS12では、第2流量センサ47の検出流量の積算が開始される。
ステップS14に進み、貯湯槽20の上部に設けられている上部サーミスタ35が検出する温度が、使用者によって設定された給湯設定温度に1℃加えた温度を下回っているか否かが判別される。上部サーミスタ35の検出温度が〔給湯設定温度+1℃〕以上であれば(ステップS14でNOであれば)、蓄熱を利用した給湯運転を行うことが可能であると判断され、ステップS30に進んで蓄熱利用運転を行う。
【0031】
ステップS30の蓄熱利用運転では、貯湯槽20内の温水をミキシングユニット24に送り出して水道水と混合させ、給湯設定温度に調温して給湯する。貯湯槽20内の高温水が減少して利用可能な高温水がなくなると(湯切れとなると)、給湯器利用運転に切換える。ステップS30は、蓄熱利用運転と表示されているが、蓄熱利用運転を連続的に行った結果、貯湯槽20内の高温水がなくなってしまった場合には、給湯器利用運転に切換えて給湯器利用運転を実行する。一連の給湯運転中に蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換えられる場合には、切換えられた後の給湯器利用運転もステップS30によって実行される。
蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換わる時、給湯器22の加熱開始時の加熱量の変化や、湯切れ時の温水の急激な温度低下に伴って、給湯温度が不安定になりやすい。本実施例の給湯システムでは、蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換わる時に以下の調温制御を実行することによって給湯設定温度の安定化を図っている。
バーナ熱交換器52は長さを持っていることから、バーナ56の加熱開始時にバーナ熱交換器52の下流側にある水と上流側にある水とでは、バーナ熱交換器52を通過する間に加熱されて温度上昇する温度上昇幅に差があり、上流側にある水ほど温度上昇幅は大きくなる(以降、バーナ熱交換器52の上流側の水がバーナ熱交換器52を通過する間に、バーナ56の最小加熱量で加熱されて温度上昇する温度上昇幅を定常温度上昇幅ということがある)。従って、本実施例の給湯システム10では、上部サーミスタ35の検出温度が〔給湯設定温度+1℃〕を下回ると、給湯器22に入水する混合水温度を、給湯器22の加熱運転開始時の温水の温度上昇幅の変化速度で温度低下させ、温度低下をし始めたときの温水が給湯器22のバーナ熱交換器52の出口に到達し、温度低下をし終えたときの温水(このときの温水温度は〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕となっている)が給湯器22のバーナ熱交換器52の入口に到達した時に、バーナ56が最小加熱量で燃焼を開始する。このことにより、加熱開始直後から、バーナ熱交換器52から送り出される温水の温度を給湯設定温度で安定化することができる。
また、給湯システム10では、上部サーミスタ35の検出温度が〔給湯設定温度+1℃〕を下回ってからの積算流量が、バーナ熱交換器52の容量分の流量を超えてから後も、ミキシングユニット24において調温される混合水温度を、〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕となるように調温する。上部サーミスタ35の検出温度が〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕を下回ると、混合水サーミスタ54の検出温度が1℃/secで低下するようにミキシングユニット24において混合比を制御し始める。混合水の1℃/secという温度低下速度は緩やかな速度であり、給湯器22での加熱量の変化速度の制御で十分に対応することができる速度である。従って、蓄熱利用運転から給湯器利用運転に切換わる時の給湯温度を、給湯設定温度で安定化することができる。
【0032】
ステップS30で、蓄熱利用運転を行うかあるいは蓄熱利用運転に続いて給湯器利用運転を行っている間に、ステップS28で第2流量センサ47の検出流量が2.0リットル/min以下となると(YESとなると)、給湯栓64が閉じられたと判断され、給湯運転が停止される。
【0033】
一方、ステップS14で、上部サーミスタ35の検出温度が〔給湯設定温度+1℃〕未満であれば(YESであれば)、蓄熱を利用した給湯運転を行うことは不可能であると判断され、給湯器利用運転を行うため、ステップS16に進む。なお、ステップS14での判別に用いる〔給湯設定温度+1℃〕の「1℃」は、切換補正量である。
ステップS16では、ミキシングユニット24の混合水出口24c近傍に設けられている混合水サーミスタ54が検出する温度が、給湯設定温度から10℃減じた温度以上であるか否かが判別される。
【0034】
蓄熱利用運転を行い、貯湯槽20内に利用可能な高温水が残った状態で給湯運転を停止すると、給湯経路の配管内に、利用可能な高温水が滞留した状態となる。この状態のまま時間が経過すると、貯湯槽20の上部の上部サーミスタ35近傍の温水温度や、配管内の温水温度は、放熱によって温度低下する。例えば、前回の給湯運転停止時は湯切れが生じる直前の状態であり、上部サーミスタ35の検出温度が〔給湯設定温度+1℃〕より僅かに高い温度であったとする。その後、給湯運転停止中に蓄熱が行われず、放熱が進めば、貯湯槽20内の温水温度は低下する。給湯運転の停止時間があまり長くなければ、今回の給湯運転開始時の上部サーミスタ35の検出温度が〔給湯設定温度+1℃〕を僅かに下回る温度であるという状態が起こり得る。このような状態のとき、給湯経路の配管内に滞留している温水の放熱も僅かであるため、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−10℃〕以上である状態が起こり得る。混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−10℃〕以上であると、混合水サーミスタ54より下流側の温水温度はさらに高温である可能性が高い。この給湯システム10の構成上、ミキシングユニット24より下流側の配管に滞留している高温水を温度低下させることはできないため、高温水はそのままバーナ熱交換器52に送り出されてしまう。本実施例での定常温度上昇幅は8℃であり、ステップS16での判別に用いる〔給湯設定温度−10℃〕の「10℃」は、給湯器22の定常温度上昇幅に、混合水サーミスタ54近傍の温水温度とバーナ熱交換器52内の温水温度の想定される温度差を加味して定常温度上昇幅以上に設定されている。バーナ熱交換器52内に〔給湯設定温度−10℃〕以上の高温水があるときにバーナ56が点火されてバーナ56の最小加熱量で燃焼すると、この高温水が加熱されてさらに昇温してしまい、給湯設定温度より高温の温水が給湯されてしまう可能性がある。
【0035】
上記の不具合を防止するため、ステップS16で、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−10℃〕以上であれば(YESであれば)、配管内の温水温度が高温であると判断し、ステップS18に進む。ステップS18では、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕以下であるか否かが判別される。混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕を上回っていると(ステップS18でNOであると)、この温水がバーナ熱交換器52に送り出されたとき、バーナ56が点火して、バーナ56の最小加熱量で加熱されると、給湯設定温度以上に昇温してしまう。従って、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕を上回っていれば(ステップS18でNOであれば)、ステップS20に進み、ミキシングユニット24において、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕となるように調温する。
貯湯槽20から送り出される温水の温度が低下し、ステップS18で、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕以下であると(YESであると)、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕となるように調温する必要がないため、ステップS22に進む。
【0036】
ステップS22では、第2流量センサ47の積算流量が切換準備流量以上となったか否かが判別される。切換準備流量とは、混合水サーミスタ54から、バーナ熱交換器52の下流側に設けられた給湯サーミスタ65までの配管容量分の流量である。第2流量センサ47の積算流量が切換準備流量以上となるまで(ステップS22でYESとなるまで)通水すると、滞留していた〔給湯設定温度−10℃〕以上の高温水がバーナ熱交換器52を通過する。同時に、〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕未満に調温され始めた温水がバーナ熱交換器52内に送り出される。第2流量センサ47の積算流量が切換準備流量以上となれば(ステップS22でYESとなれば)、ステップS24に進む。
ステップS16で、混合水サーミスタ54の検出温度が〔給湯設定温度−10℃〕未満であれば(NOであれば)、このときバーナ熱交換器52の上流側にある温水の温度は、〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕未満の温水であると判断されて、ステップS16からいきなりステップS24に進む。
【0037】
ステップS24では、バーナ56を点火し、給湯器利用運転に切換わる。バーナ56が点火したときにバーナ熱交換器52内にある温水は、〔給湯設定温度−定常温度上昇幅〕未満の温水であるため、バーナ56の最小加熱量で加熱されても給湯設定温度以上になることはない。
バーナ56を点火させてステップS26に進み、給湯サーミスタ65の検出温度が給湯設定温度となるように調温して給湯する。ステップS28で、第2流量センサ47の検出流量が2.0リットル/min以下となると(YESとなると)、給湯栓64が閉じられたと判断され、給湯運転が停止される。
【0038】
例えば、食器を洗っているときや、入浴中にシャワーを利用しているとき等は、給湯運転が断続的に行われる。蓄熱利用運転の停止時に、貯湯槽20内の利用可能な温水の温度が給湯設定温度を下回る(湯切れする)直前の状態であり、短時間の運転停止時間を経て、再び給湯要求があった場合、給湯運転の停止時間が短時間であると貯湯槽20内の温水の放熱量も僅かである。しかし、この停止時間中の放熱によって貯湯槽20内の温水が僅かに温度低下したことによって、給湯要求時の貯湯槽20内の温水温度が給湯設定温度を下回れば、給湯器利用運転が行われることとなる。蓄熱利用運転中に給湯運転が停止すると、貯湯槽20と給湯器22の間の配管内に給湯設定温度の温水が滞留した状態となる。給湯運転の停止中には、配管内の滞留温水の放熱も進むが、給湯運転の停止時間が短時間であると滞留温水の放熱量も僅かである。従って、再び給湯要求があったとき、配管内には給湯設定温度よりは低温であるが、給湯設定温度に近似した温度の温水が存在している場合がある。このときに給湯器22による加熱が開始されると、配管内に滞留していた給湯設定温度に近似した温度の温水がバーナ56の最小加熱量で加熱されて、給湯設定温度以上に過熱されて給湯されることとなる。
【0039】
本実施例では、給湯器利用運転で給湯運転を行うとき、ミキシングユニット24の下流側の配管内に滞留している温水の温度を検出し、バーナ56の最小加熱量で加熱されても給湯設定温度以上に昇温する可能性がある温度であるか否かを判別することができる。そして、滞留温水の温度が、バーナ56の最小加熱量で加熱されると給湯設定温度以上に昇温する可能性がある高めの温度であると判断すると、混合水サーミスタ54と給湯サーミスタ65との間の配管容量分の積算流量が検出されるまで、給湯器22のバーナ56を点火させない。即ち、滞留温水が給湯器22のバーナ熱交換器52を通過したタイミングでバーナ56を点火させる。このことによって、高温の滞留温水がバーナ56で加熱されて昇温し、給湯設定温度以上で給湯されることを防止することができる。
なお、このとき給湯設定温度で給湯されるまでに給湯される温水温度は、給湯設定温度よりは低めであるが、水道水温度よりは高めであるため、使用者に与える不快感は非常に少ない。
また、本実施例では、滞留温水の温度が、バーナ56の最小加熱量で加熱されても給湯設定温度以上に昇温することはない低めの温度であると判断すると、直ちに給湯器22のバーナ56を点火させる。混合水サーミスタ54と給湯サーミスタ65との間の配管容量分の積算流量が検出されるまで待っていることはない。このことによって、バーナ56が点火するまでの時間と、給湯設定温度の温水が給湯されるまでに流される低温水量を削減することができる。
本実施例の給湯システム10では、給湯器利用運転で給湯運転を行うとき、ミキシングユニット24の下流側の配管内に滞留している温水の温度によって、バーナ56の点火のタイミングを変化させ、給湯設定温度で給湯される前に、給湯設定温度以上の温水が給湯されたり、水や時間が無駄に費やされたりすることを防止することができる。
【0040】
本実施例ではステップS14によって、貯湯槽20の上部温度が〔給湯設定温度+1℃〕(第1所定温度の一例)以下の場合に、給湯器利用運転を選択する。給湯器利用運転を選択する温度は給湯設定温度に所定温度を加えた温度である。所定温度を加えるのは、給湯器22を加熱しないと給湯器22を通過する温水が冷却されるからである。本実施例では、加熱しないと給湯器22を通過する間に温水が1℃冷却されることから、〔給湯設定温度+1℃〕を第1所定温度としている。これは実施例毎に相違してくる。
本実施例ではステップS16によって、混合水サーミスタ54で検出される混合水温度が〔給湯設定温度−10℃〕以上か未満かによって、直ちにバーナ56を点火するか遅れて点火するかを選択する。給湯設定温度から減じる第2所定温度(この場合10℃)は、定常温度上昇幅(この場合は8℃)よりも大きい。これはバーナ点火時に、混合水サーミスタ54近傍の温水温度よりもバーナ熱交換器52内の温水温度が2℃程度高いことがあるからである。放熱量の差によって、混合水サーミスタ54近傍の温水よりもバーナ熱交換器52内の温水の方が暖かいことがあり得る。本発明では、定常温度上昇幅(この場合は8℃)に、混合水サーミスタ54近傍とバーナ熱交換器52内の温水温度差(この場合2℃)を加えた温度を第2所定温度としているが、これは実施例毎に相違してくる。混合水サーミスタ54近傍とバーナ熱交換器52内の温水温度差が無視できる環境であれば、定常温度上昇幅を第2所定温度としてもよい。
【0041】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施例に係るコージェネレーションシステムの系統図。
【図2】本実施例における給湯開始時の給湯温度制御処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
10:給湯システム
20:貯湯槽
22:給湯器
24:ミキシングユニット
35:上部サーミスタ
47:第2流量センサ
52:バーナ熱交換器
54:混合水サーミスタ
56:バーナ
64:給湯栓
65:給湯サーミスタ
110:発電ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯える貯湯槽と、
貯湯槽からの温水と水道水を混合するとともにその混合比が調整可能なミキシングユニットと、
ミキシングユニットからの混合水を必要に応じて加熱する加熱手段と、
ミキシングユニットより上流側の温水温度を検出する温水温度検出手段と、
ミキシングユニットより下流側の混合水温度を検出する混合水温度検出手段と、
給湯設定温度を記憶している給湯設定温度記憶手段と、
混合水の流量を検出する混合水流量検出手段と、
混合水流量検出手段によって検出される混合水流量を積算する混合水流量積算手段と、
コントローラを備え、
そのコントーラが、下記の制御、即ち;
混合水流量検出手段によって検出される流量が所定流量以上であって、温水温度検出手段によって検出される温水温度が第1所定温度以下であり、且つ混合水温度検出手段によって検出される混合水温度が給湯設定温度から第2所定温度を減じた温度以上であるときには、混合水流量積算手段によって積算された積算流量が所定積算流量となったときに加熱手段を動作させ、
混合水流量検出手段によって検出される流量が所定流量以上であって、温水温度検出手段によって検出される温水温度が第1所定温度以下であり、且つ混合水温度検出手段によって検出される混合水温度が給湯設定温度から第2所定温度を減じた温度未満であるときには、直ちに加熱手段を動作させることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
第2所定温度は、前記加熱手段の最小加熱量で加熱したときに温水の温度が上昇する温度幅以上であることを特徴とする請求項1の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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