説明

給湯システム

【課題】従来の給湯栓部および給湯器をそのまま用いながら、温水使用時の最初に温度の低い水が給湯栓から出るのを回避し、かつ捨て水防止効果も達成すること。
【解決手段】即湯選択スイッチ43、62を備える。給湯配管50は温水温度を測定する第1の給湯温度センサ51を備え、該第1の給湯温度センサ51より下流側の給湯配管と給湯器20への給水配管30と接続する循環用配管54と水循環用ポンプ55が備えられる。制御部60は、即湯選択スイッチ43、62からの選択信号を受けたときに第1の給湯温度センサ51の検知を開始し、検知温度tが設定温度Tより低いときには、温水循環用ポンプ55を駆動して給湯配管50内の温水を循環用配管54および給水配管30を介して給湯器20に循環させて再加熱する。検出温度tが設定温度Tより高くなったときには温水循環用ポンプ55の駆動を停止するとともに、その旨を使用者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯部と該給湯部に接続する給湯栓部と制御部とを備える給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都市ガス等を燃料とするバーナと熱交換器とを備え、熱交換器内でバーナの燃焼ガスである高温ガスとそこに供給される水との間で熱交換を行って温水を得るようにした給湯器と、給湯器へ水道水等の上水を給水する給水配管と、給湯器からの温水を給湯栓部へ給湯する給湯配管と、前記給湯器のバーナの燃焼制御や温水の温度設定などを行う制御部とから構成される給湯システムは、従来から知られている。
【0003】
通常の給湯システムの場合、給湯器内の熱交換器の位置と給湯栓部のような温水使用部の位置との間にはある程度の距離があることと、給湯開始時には給湯器も給湯配管も常温であることから、給湯栓を開けてから適温の温湯が給湯栓から出てくるまでに多少の時間が必要となっている。また、使用者にとって、適温になるまでに給湯栓から排出される常温水はほとんど使用に共さないものであり、適温になるまでの出水は無駄に排水されているといえる。このことは、給湯システム全体としての給湯効率を低下させているともいえ、解決すべき課題となっている。上記のことは、ベランダに給湯器を設置しているようなシステム環境において、特に大きな課題となる。
【0004】
太陽熱集熱器などで得られる熱を利用して昇温した温水を貯湯タンクに貯湯しておき、その温水を給湯栓部へ給湯するようにした給湯システムも知られている。この場合でも、貯湯タンクと給水栓部との間にある程度の距離があるときは、給湯栓を開けてから適温の温湯が給湯栓から出てくるまでに多少の時間が必要であり、適温になるまでに給湯栓から排出される常温水はほとんど使用に共さない場合が多い。
【0005】
この課題を解決するための1つの提案として、特許文献1には、図8に示すように、給湯器1と、水栓ユニット2と、制御部3を備える給湯システムにおいて、水栓ユニット2には、三方弁4と給湯温度センサ5と給湯栓6と給湯栓開センサ7が備えられ、三方弁の入力ポート8は給湯器1からの給湯配管9に、第1出力ポート10は循環用配管11および給湯器1内に取り付けた温水循環用ポンプ12と逆止弁13とを介して給湯器1への給水配管14に、第2出力ポート15は給湯栓6側に、それぞれ接続するようにした給湯システムが記載されている。そこにおいて、給湯温度センサ5は水栓ユニット2内において入力ポート8側に取り付けてあり、制御部3は、給湯温度センサ5の温度tが設定温度Tより低いとき、温水循環用ポンプ12を駆動し、かつ三方弁4を入力ポート8と第1出力ポート10とが接続するように切り替え操作を行うことで、給湯配管9内の温水を給湯器1側に戻し、設定温度Tまで昇温させる。そして、温水温度tが設定温度Tまで昇温したときに、制御部3は、再度三方弁4を切り替えて、温水を給湯栓6側から出湯するようにしている。それにより、使用者が給湯栓を開いたときにすぐに温水が出る、いわゆる即湯運転が可能となり、同時に無駄水もなくすことができる。
【0006】
給湯システムの他の態様として、例えば特許文献2に記載のように、燃料電池の作動に伴って発生する熱を利用して昇温した温水を貯湯タンクに貯湯しておき、その温水を給湯栓部から出湯するようにしたものも知られている。この形態の給湯システムでも、貯湯タンク内の温水が不足した場合、あるいは貯湯タンク内の温水温度が低い場合に、上水を加熱して適温の温水を得るか、貯湯タンク内の温水を再加熱して適温の温水とするために、貯湯タンクと給湯栓部との間に、補助加熱源としてのガスバーナを備えた給湯器を配置することが行われる。貯湯タンク内に貯湯する温水の熱源として太陽熱集熱器やコジェネレーションシステムからの排ガスからの熱を利用することも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−75224号公報
【特許文献2】特許第4536022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載される給湯システムは、即湯運転が可能であり、開栓時に設定温度よりも低い温湯が給湯栓から排出されるのを回避することができるので、温水使用時の最初に温度の低い水が出ることによる不快感をなくすことができる。また、温水配管内の温められる前の冷水を出さないことで、捨て水防止効果も達成することができる。しかし、三方弁4や給湯温度センサ5等を備えることで大型化した水栓ユニット2を必要とすること、また、給湯器1内に、第1出力ポート10からの循環用配管11を給湯器内に配置した温水循環用ポンプ12と逆止弁13とを介して給湯器1への給水配管14に接続する加工を行うことが必要なこと、から、従来の給湯栓部および給湯器をそのまま使用できないという不都合がある。
【0009】
また、特許文献2に記載のような貯湯タンクを備えた給湯システムでは、使用開始時に給湯栓部から排出される設定温度よりも低い温湯に対する対策はまったく考慮されてなく、無駄水をなくす観点からも、さらに改善する余地が残されている。
【0010】
また、いずれの形態の給湯システムにおいても、長時間にわたったシステムの運転が停止していたときに、配管内に滞留する水が細菌で汚染される恐れがあるが、それに対する対策はなされていない。
【0011】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、第1の課題は、給湯タンクを備えない給湯システム、および給湯タンクを備える給湯システムの双方において、従来の給湯栓部および給湯部をそのまま用いながら、温水使用時の最初に温度の低い水が出るのを回避でき、また、温水配管内の温められる前の水を出さないことにより、捨て水防止効果も達成することとのできる給湯システムを提供することにある。第2の課題は、上記の給湯システムにおいて、長時間にわたったシステムの運転が停止していたときにでも、配管内に滞留する水が細菌で汚染されるのを防止することを可能とした給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による第1の態様の給湯システムは、熱源を備えた給湯部と前記給湯部へ給水する給水配管と前記給湯部からの温水を給湯栓部へ給湯する給湯配管と制御部とを少なくとも備える給湯システムであって、前記制御部または給湯栓部は即湯選択スイッチを備え、前記給湯配管は給湯配管内の温水温度を測定する第1の給湯温度センサを備え、さらに、該第1の給湯温度センサより下流側の給湯配管と前記給水配管と接続する循環用配管を備え、該循環用配管は温水循環用ポンプを備えており、前記制御部は、前記即湯選択スイッチからの選択信号を受けたときに前記第1の給湯温度センサの測定温度の検知を開始し、検知温度tが設定温度Tより低いときには、前記温水循環用ポンプを駆動して前記給湯配管内の温水を前記循環用配管および前記給水配管を介して前記給湯部に循環させて温水を再加熱し、検出温度tが設定温度Tと等しいかそれより高くなったときには前記温水循環用ポンプの駆動を停止するとともに、温水が設定温度Tになったことを報知することを特徴とする。
【0013】
上記第1の態様の給湯システムにおいて、前記熱源を備えた給湯部はガスバーナを備えた給湯器であってもよく、太陽熱集熱器で得られた熱、コジェネレーションシステムからの排ガスから発生する熱、夜間電力を利用して得られる熱、または燃料電池の作動に伴って発生する熱のいずれかを利用して昇温した温水が貯湯される貯湯タンクであってもよい。
【0014】
本発明による給湯システムでは、使用者が即湯運転、すなわち給湯栓を開いたときに、すぐに設定温度の温水が出ることを望むときには、使用者は制御部または給湯栓部に設けた即湯選択スイッチを押す。それを受け、制御部は第1の給湯温度センサの測定温度の検知を開始する。検知温度tが設定温度Tに等しいかそれより高いときは、何らかの手段によりその旨を外部(使用者)に報知する。使用者は、その報知を受けて、給湯栓部の給湯栓を開く。給湯栓からは設定温度Tあるいはそれより高温の温水が出湯する。
【0015】
前記検知温度tが設定温度Tより低いときには、制御部は、温水循環用ポンプを駆動して給湯配管内の温水を循環用配管系を介して給湯部に再循環させる。それにより、循環する温水は再加熱される。第1の給湯温度センサの検出温度tが設定温度Tと等しいかそれより高くなったときに、制御部は温水循環用ポンプの駆動を停止するとともに、温水温度が設定温度Tになったことを、何らかの手段により外部(使用者)に報知する。使用者は、その報知を受けて、給湯栓部の給湯栓を開く。それにより、初めて給湯栓からの出湯が開始する。
【0016】
使用者が即湯運転を望まないときは、使用者は従来通りにそのまま給湯栓を開く。それにより、給湯部からは従来の給湯部と同様にして温水が供給される。
【0017】
本発明による給湯ユニットでは、従来から使用している給湯器(ガスバーナを備えた給湯器あるいは適宜の熱源を備えた給湯タンク)と給湯栓部をほぼそのまま用いることができる。そして、給湯部の温水出側と給湯栓部とを接続している給湯配管に第1の給湯温度センサを取り付ける作業、該第1の給湯温度センサより下流側における給湯配管と、給湯部に上水を供給する給水配管との間を、循環用配管で接続して循環経路を形成する作業、循環用配管経路に温水循環用ポンプを取り付ける作業、などを行うことで、給湯システムを構築することができる。そのために、特許文献1に記載した給湯システムと比較して、施工の容易さと低コスト化がもたらされる。もちろん、必要な制御機構を備えた制御部を準備することは必要である。
【0018】
また、本発明による給湯システムでは、前記循環用配管を含むユニットを、給湯部および給湯栓部の配置位置に制限を受けることなく、適宜の位置に容易に設置することができるので、給湯システムの施工も容易となる。設置位置との関係で給湯配管および循環用配管の管路長が長くなった場合でも、システムの停止時にそこに滞留して温度低下した水は給湯部に再度送られて温度上昇した後に給湯栓から出湯するので、どのような設置状態となっても、無駄水の排出を抑制でき、また使用者に不快感を与えることもない。
【0019】
本発明による給湯システムにおいて、前記循環用配管は温水循環用ポンプよりも上流側に減圧弁と圧力逃がし弁を備えることは好ましい。一般に、上水(水道水)は、最大水圧として1.75MPaまでが許容されており、前記給湯配管を流れる温水の水圧は最大1.75MPaとなることが起こり得る。したがって、前記循環用配管系にも最大1.75MPaの水圧が生じることとなり、この水圧の水撃に耐える強度を備えた温水循環用ポンプを使用する場合には、機器の大型化と高コスト化を引き起こす。循環用配管系に減圧弁を設置して、例えば300kP程度の圧力に減圧することで、より小型の温水循環用ポンプの使用が可能となり、機器の小型化と低コスト化の双方が可能となる。また、圧力逃がし弁を設けることで、不測に生じる高水圧からの水撃で温水循環用ポンプが破損するのも回避することができる。
【0020】
本発明による給湯システムでは、前記のように従来知られた給湯栓部をほぼそのまま用いることができる。給湯栓部を簡素化するために、給湯栓部は給湯栓用ヘッダーと複数の給湯栓とを備えることがより好ましい。
【0021】
本発明による給湯システムの第2の態様は、熱源を備えた給湯部がガスバーナを備えた給湯器である場合の上記の給湯システムであって、さらに前記給湯栓部に温水を供給するための貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクの温水出側配管は前記給湯配管における前記循環用配管との接続部と前記給湯栓部との間で前記給湯配管と接続しており、前記貯湯タンクの前記温水出側近傍に第2の給湯温度センサを備え、前記給水配管は前記貯湯タンクへも給水可能となっており、前記制御部は、前記即湯選択スイッチからの選択信号を受けたときに、前記第1の給湯温度センサと第2の給湯温度センサの測定温度の検知を開始し、少なくとも前記第2の給湯温度センサの検知温度t2が設定温度Tと等しいかそれより高いときには、その旨を報知するとともに、前記給湯器への給水を行わないようにし、前記第1の給湯温度センサの検知温度t1が設定温度Tと等しいかそれより高く、第2の給湯温度センサの検知温度t2が設定温度より低いときは、その旨を報知するとともに、前記貯湯タンクからの出湯を行わないようにし、前記第1の給湯温度センサの検知温度t1と第2の給湯温度センサの検知温度t2がともに設定温度Tより低いときは、前記貯湯タンクからの出湯を行わないと共に、前記温水循環用ポンプを駆動して前記給湯配管内の温水を前記循環用配管および前記給水配管を介して前記給湯器に循環させるとともにバーナを点火して温水を再加熱し、少なくとも前記第1の給湯温度センサの検出温度t1が設定温度Tと等しいかそれより高くなったときには前記温水循環用ポンプの駆動を停止するとともに、温水が設定温度Tになったことを報知することを特徴とする。
【0022】
この態様の給湯システムでは、通常は、すなわち、使用者が前記した即湯運転を望まないときは、使用者が給湯栓を開いたときに、従来の貯湯タンクを備えた給湯システムと同様に、貯湯タンク内に貯湯された温水が給湯栓部の給湯栓から出湯する。使用者が即湯運転を望むときには、使用者は制御部または給湯栓部に設けた即湯選択スイッチを押す。
【0023】
即湯選択スイッチが押されると、その信号を受けて制御部は第1と第2の給湯温度センサの測定温度の検知を開始する。そして、少なくとも第2の温度センサの検知温度t2が設定温度Tと等しいかそれより高いときは、その旨を何らかの手段で外部(使用者)に報知する。使用者は、その報知を受けて、給湯栓部の給湯栓を開く。それにより、貯湯タンク内の温水が給湯栓から出湯する。この状態では、給湯器への給水は停止しており、給湯器は非作動状態におかれる。
【0024】
また、第1の給湯温度センサの検知温度t1が設定温度Tと等しいかそれより高く、第2の給湯温度センサの検知温度t2が設定温度Tより低いときは、制御部は、その旨を報知するとともに、前記貯湯タンクからの出湯を行わないようにする。使用者は、その報知を受けて、給湯栓部の給湯栓を開くと、給湯器のバーナが点火し、加熱された温水が給湯栓から出湯する。貯湯タンク内の温度の低い貯水は給湯栓からは出ない。
【0025】
第1の給湯温度センサ検知温度t1と第2の給湯温度センサの検知温度t2がともに設定温度Tより低いときは、制御部は前記貯湯タンクからの出湯を行わずに、温水循環用ポンプを駆動して給湯配管内の温水を循環用配管を介して給湯器に再循環させるとともにバーナを点火する。それにより、循環水の温度は次第に上昇する。第1の給湯温度センサの検出温度t1が設定温度Tと等しいかそれより高くなったときに、制御部は、前記温水循環用ポンプの駆動を停止するとともに、温水が設定温度Tになったことを報知する。使用者は、その報知を受けて、給湯栓部の給湯栓を開くことにより、設定温度Tの温水が給湯栓から出湯する。
【0026】
上記第2の態様の給湯システムにおいて、好ましくは、バーナが点火した状態でのシステムの運転中に、貯湯タンク内の温水の温度が上昇し、制御部が前記第2の給湯温度センサの検知温度t2が設定温度Tと等しいかそれより高くなったことを検知したときに、制御部は前記バーナの燃焼と給湯器への給水を停止するとともに、貯湯タンク内の温水の給湯栓部への供給を開始する。それにより、貯湯タンク内の温水のみが給湯栓からの出湯するようになり、バーナの燃焼量を節減することができる。
【0027】
上記第2の態様の給湯システムにおいても、従来の給湯栓部および給湯器をそのまま用いながら、温水使用時の最初に温度の低い水が出るのを回避でき、また、温水配管内の温められる前の水を出さないことにより、捨て水防止効果も達成することができる。さらに、貯湯タンクと循環用配管を含むユニットを、給湯器および給湯栓部の配置位置に制限を受けることなく、適宜の位置に容易に設置することができるので、やはり、給湯システムの施工が容易となる。また、第2の態様の給湯システムにおいても、設置位置との関係で給湯配管および循環用配管の管路長が長くなった場合でも、システムの停止時にそこに滞留して温度低下した水は給湯器に再度送られて温度上昇した後に給湯栓から出湯するので、どのような設置状態となっても、無駄水の排出を抑制でき、また使用者に不快感を与えることもない。
【0028】
上記第2の態様の給湯システムの他の形態では、前記給水配管は、前記給湯配管における前記貯湯タンクの温水出側配管の接続部と前記給湯栓部との間に給水可能となっていることを特徴とする。この態様では、給湯栓部からの給水の温度をより低い温度に調整することができる。
【0029】
上記第2の態様の給湯システムの他の形態では、前記貯湯タンク内には、太陽熱集熱器で得られた熱、コジェネレーションシステムからの排ガスから発生する熱、夜間電力を利用して得られる熱、または燃料電池の作動に伴って発生する熱のいずれかを利用して昇温した温水が貯湯されることを特徴とする。夜間電力を利用する場合を除き、上記のような熱源からの熱量は一般に定常的ではなく不規則に変動し、それにより、貯湯タンク内の温水温度も変動することが多い。上記第2の形態の給湯システムでは、そのような不規則な熱量の熱を利用したシステムでありながら、給湯器からの熱量を有効に利用することで、設定温度Tの温水をコンスタントに供給することが可能となる。
【0030】
上記したいずれの形態の給湯システムにおいても、制御部が、前記温水循環用ポンプが所定時間に亘って使用されなかったことを検知したときに、温水循環用ポンプを駆動して前記循環用配管内の温水を再加熱する手段を、さらに備えることは、好ましい態様である。この態様では、システム内に停滞する停滞水が水質劣化するのを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、従来の給湯栓部および給湯器をそのまま用いながら、温水使用時の最初に温度の低い水が出るのを回避でき、また、温水配管内の温められる前の水を出さないことにより、捨て水防止効果も達成することのできる、より改良された給湯システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による給湯システムの第1の態様を模式的に示す図であり、熱源を備えた給湯部としてガスバーナを備えた給湯器を用いた例である。
【図2】図1に示す給湯システムの運転操作のフローチャートを示す図。
【図3】本発明による給湯システムの第2の態様の構造を模式的に示す図。
【図4】図3に示す給湯システムの運転操作のフローチャートを示す図。
【図5】本発明による給湯システムの第1の態様の他の形態を模式的に示す図であり、熱源を備えた給湯部として熱源を備えた貯湯タンクを用いた例である。
【図6】図5に示す給湯システムの運転操作のフローチャートを示す図。
【図7】循環用配管内の温水を再加熱するときのフローチャートを示す図。
【図8】従来の瞬間湯沸器の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明による給湯システムのいくつかの実施の形態を説明する。
[第1の態様−その1]
図1は、本発明による給湯システムの第1の態様の一形態を模式的に示している。この給湯システムA1は、基本的に、ガスバーナを備えた給湯器20と、前記給湯器20へ給水する給水配管30と、前記給湯器20からの温水を給湯栓部40へ給湯する給湯配管50と、制御部60とを少なくとも備えている。通常、制御部60は、図1に示すように、給湯器20内にその構成の一部として備えられる。給湯器10は、従来知られたものであってよく、気−液型熱交換器22と、前記気−液型熱交換器22に高温燃焼ガスを供与するバーナ23と有し、水道配管からの上水は、給水配管30から、給湯器20内の管路21を通って気−液型熱交換器22に送られ、そこでバーナ23の燃焼ガスと熱交換して加熱されて温水となる。そして、温水は給湯器20内の管路24を通って給湯配管50に送られ、給湯配管50を通って給湯栓部40に送られる。
【0034】
図示のものにおいて、管路24には水量センサ25が設けてあり、水量センサ25からの信号は制御部60に送られ、制御部60はその信号に基づいてバーナ23の燃焼制御を行う。管路21と管路24は、流量調整弁26を備えたバイパス管路27で接続されており、また、管路24における前記バイパス管路27との接続部より下流側には、温度センサ28と流量調整弁29が設けられている。温度センサ28からの信号は制御部60に送られ、制御部60はその信号に基づいて、流量調整弁26、29の開度を適宜制御して、給水配管30からの給水量が変動した場合にも、所定温度の温湯が給湯栓部40側に流れるよう制御する。なお、給湯器20における上記した構成および作動は通常の給湯器と同じである。また、給水配管30が逆止弁31を備えることも従来の給湯システムにおけると同様である。
【0035】
給湯栓部40は、給湯栓用ヘッダー41を備え、給湯栓用ヘッダー41の出側には複数個の給湯栓42が接続している。また、給湯栓部40は、使用者が給湯システムA1を即湯運転態様で使用するときに操作する即湯選択スイッチ43を備えており、即湯選択スイッチ43が押された旨の信号が前記した制御部60に送られる。即湯選択スイッチ43は、使用者が即湯運転を選択したことが制御部60に送られるものであれば、押しボタン式スイッチや電気的なタッチセンサなどであってもよい。
【0036】
給湯器20の前記管路24と給湯栓部40との間は、前記した給湯配管50によって接続されており、給湯配管50の適宜の位置には第1の給湯温度センサ51が取り付けられている。
【0037】
給湯配管50における前記第1の給湯温度センサ51と給湯栓部40への接続部53との間から管路54が分岐しており、該管路54の他端は給水配管30における前記逆止弁31と給湯器20内の管路21との接続部の間の位置に接続している。以下では、この管路54を循環用配管54という。循環用配管54には温水循環用ポンプ55が取り付けられ、また、循環用配管54における水循環用ポンプ55より上流側には減圧弁56と加圧逃がし弁57が、また、水循環用ポンプ55より下流側には逆止弁58が、それぞれ取り付けられている。なお、減圧弁56は、循環用配管54を流れて温水循環用ポンプ55に流入する水圧を減圧するためのものであり、好ましくは、300kP程度の圧力に減圧する。
【0038】
必須ではないが、図1において点線で囲う部分、すなわち、循環用配管54における温水循環用ポンプ55と減圧弁56と加圧逃がし弁57と逆止弁58とを含む部分を一つのユニット59として構成することは好ましく、そのユニット59を既設の給湯システムの給湯配管50に循環用配管54の一端を、他端を給水配管30に取り付けることで、容易に本発明のよる給湯システムを構築することができる。
【0039】
制御部60は、図1に示すように、給湯器20内にその構成の一部として備えられる。制御部60には1個または複数個の操作盤61が接続しており、使用者からの制御指令が操作盤61から制御部60に送られる。制御部60および操作盤61は、従来公知の給湯器で用いられているものと同様のものであってよいが、好ましくは、前記した給湯栓部40に取り付けた即湯選択スイッチ43と同じ働きをする即湯選択スイッチ62が備えられ、そこからの選択信号は制御部60に送られる。
【0040】
以下、上記の給湯システムA1の使用の状態を図2のフローチャートも参照して説明する。なお、給湯システムA1の使用開始時には、給湯栓42はすべて閉じられており、すべての配管および管路は、前回使用したときの水または温水で満たされた状態にある。
【0041】
使用者が即湯運転を望まないときは、使用者は従来通りにそのまま給湯栓42を開く。それにより、給湯器20は従来の給湯器と同様の運転を開始する。使用者が即湯運転を望む場合には、制御部60の操作盤61に取り付けた即湯選択スイッチ62または給湯栓部40に取り付けた即湯選択スイッチ43を押す。フローとしては、最初に、制御部60は使用者が即湯運転を選択したかどうかを判断する(S10)。選択しない(押されていない)場合には、給湯器20は通常運転を行う。
【0042】
即湯選択スイッチ62または43が押された場合、その信号(選択信号)は制御部60に送られる。制御部60は選択信号を受けると、給湯配管50に取り付けた第1の給湯温度センサ51の測定温度の検知を開始し、検知温度tが予め設定した設定温度T以上に達しているかどうかを判断する(S11)。なお、設定温度Tは、予め設定してある給湯栓42から出てくる出湯温度と同じ温度であってもよく、前記出湯温度よりもある程度低い温度であってもよい。ただし、設定温度Tは、使用者が不快を感じない程度の温水が得られる温度であることは必要である。
【0043】
制御部60は、前記検知温度tが設定温度Tよりも低い場合には、温水循環用ポンプ55を駆動する(S12)。温水循環用ポンプ55が駆動することにより、給湯器20内および給湯配管50や循環用配管54などに滞留している低温の温水は、矢印方向に流れる循環流となる。その流れは、給湯器20内の水量センサ25によって検知され、その信号を受けて制御部60はバーナ23を点火して燃焼させる(S13)。バーナ23の燃焼により熱交換器22を通過する循環水は加熱され次第に昇温する。循環流の温度は第1の給湯温度センサ51によって検知され、制御部60に送られる。
【0044】
制御部60は循環水の温度が設定温度Tに達したどうかを継続して検知する(S14)。設定温度Tに達したことを検知したときに、制御部60は、温水循環用ポンプ55を停止し(S15)、同時に光や音等によりその旨を報知する(S16)。また、前記選択信号を解除する(S17)。使用者は、その報知を受けた時点で給湯栓42を開き(S18)、温水を得る(S19)。以下、従来の給湯器と同様の運転が継続する。以降の運転において、使用者が即湯運転を選択するかしないかは自由であり、選択しない場合には、通常運転となり、選択する場合には、S10に戻る。
【0045】
上記のようであり、本発明による給湯システムA1では、使用者が希望する場合には、使用開始時に、給湯栓42から冷水が出てくるのを阻止することで、使用者に不快感を与えないとともに、無駄水をなくすことができる。
【0046】
[第2の態様]
図3は、本発明による給湯システムの第2の態様を模式的に示している。この態様の給湯システムA2は、図1に示した第1の態様の給湯システムA1にさらに貯湯タンク70を備えるようにし、該貯湯タンク70に貯湯された温水を、主に給湯栓42から出湯するようにしたものである。図3において、図1に示した給湯システムA1で用いられる部材と同じ部材には同じ符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0047】
給湯システムA2において、貯湯タンク70の温水出口側の近傍には第2の給湯温度センサ71が設けてあり、第2の給湯温度センサ71で温度が検知された温水は、出口配管72を通って前記給湯配管50に流入する。出口配管72は、給湯配管50における前記循環用配管54との接続部と前記給湯栓部40への接続部53との間において、給湯配管50に接続している。また、前記給水配管30は分岐部32から第1の分岐管73を分岐しており、第1の分岐管73は逆止弁74を介して貯湯タンク70の入口側に接続している。さらに給水配管30は前記分岐部32から第2の分岐管75を分岐しており、第2の分岐管75は逆止弁76を介して、前記給湯配管50おける前記出口配管72との接続部よりも下流において、前記給湯配管50に接続している。また、給水配管30の前記分岐部32より上流側には減圧弁33が取り付けられている。
【0048】
貯湯タンク70内には、その下端側から、第1の分岐管73を通って上水が供給されると共に、貯留水は適宜の熱交換器77によって加熱され、所定温度の温水となる。図示の例において、80は太陽熱集熱器であり、そこで受熱した熱媒体を熱交換器77と太陽熱集熱器80との間でポンプ78の作用によって循環させることで、貯湯タンク70内の貯水は温水とされる。なお、熱交換器77のための熱源としての太陽熱集熱器80は、一つの例であって、これに限らず、コジェネレーションシステムからの排ガスから発生する熱、夜間電力を利用して得られる熱、または燃料電池の作動に伴って発生する熱などを適宜用いることができる。
【0049】
また、第2の態様の給湯システムA2においても、図2で点線で囲む部分、すなわち、循環用配管54における温水循環用ポンプ55と加圧逃がし弁57と逆止弁58とを含む部分、および貯湯タンク70、出口配管72、第1の分岐管73、第2の分岐管75等に係る構成部分を一つのユニット79として構成することは好ましく、その場合、そのユニット79と給湯器20とを離れた位置に取り付けることが容易となり、施工の容易性が得られる。また、離れることで、給湯配管50や循環用配管54等の長さが長くなっても、使用開始時に、給湯栓42から冷水が出てくるのを阻止することで、使用者に不快感を与えないとともに、無駄水をなくすことができる。
【0050】
以下、上記の給湯システムA2の使用の状態を図4のフローチャートも参照して説明する。なお、給湯システムA2の使用開始時には、給湯栓42はすべて閉じられており、すべての配管および管路は、前回使用したときの水または温水で満たされた状態にある。また、貯湯タンク70にも所要量の水(または温水)が貯湯されているものとする。
【0051】
第1の態様の給湯システムA1の場合と同様に、給湯システムA2においても、使用者が即湯運転を望まないときは、使用者は従来通りにそのまま給湯栓42を開く。それにより、貯湯タンク70内に貯湯されている温水が、そのまま給湯栓42から出湯する。使用者が即湯運転を望む場合には、第1の態様の給湯システムA1の場合と同様、制御部60の操作盤61に取り付けた即湯選択スイッチ62または給湯栓部40に取り付けた即湯選択スイッチ43を押す。したがって、フローとしては、最初に、制御部60は使用者が即湯運転を選択したかどうかを判断する(S30)。選択しない(押されていない)場合には、従来の貯湯タンクを備えた給湯システムと同様の通常運転を行う。
【0052】
即湯選択スイッチ62または43が押された場合、その信号(選択信号)は制御部60に送られる。制御部60は選択信号を受けると、給湯配管50に取り付けた第1の給湯温度センサ51と出口配管72に取り付けた第2の給湯温度センサ71の測定温度の検知を開始する(S31)。制御部60は少なくとも第2の給湯温度センサ71の温度t2が設定温度T以上に達しているかどうかを判断し(S32)、達している場合には、制御部60は流量調整弁29を全閉にするか図示しない遮断弁を閉じて、給湯器20内を水が流れないようにすると共に、第2の給湯温度センサ71の温度t2が設定温度T以上に達していることを音や光で報知して使用者に知らせる(S33)。また、前記選択信号を解除する(S34)。使用者は、その報知を受けた時点で給湯栓42を開き(S35)、温水を得る(S36)。前記のように、この温水は貯湯タンク70に貯湯されている温水であり、貯湯タンク70から出湯した量の水は、第1の分岐管73から貯湯タンク70内に補充されるとともに、貯湯タンク70内の水は熱交換器77によって加熱される。
【0053】
第2の給湯温度センサ71の検知温度が設定温度Tに達していないときは、制御部60は貯湯タンク70からの出湯を停止する(S37)とともに、前記第1の給湯温度センサ51の検知温度t1が設定温度T以上に達しているかどうかを判断する(S38)。達している場合には、その旨を音や光で報知して使用者に知らせる(S39)。また、前記選択信号を解除する(S40)。使用者は報知を受けた時点で給湯栓42を開く(S41)。給湯栓42が開いたことは給湯器20内の水量センサ25によって検知され、その信号を受けて制御部60はバーナ23を点火して燃焼させる(S42)。それより、設定温度以上の温水が継続して給湯栓42から出てくるようになる(S43)。
【0054】
S38において、第1の給湯温度センサ51の検知温度t1が設定温度Tに達してないときは、図2のS12以下と同じプロセスを取る。すなわち、制御部60は、温水循環用ポンプ55を駆動し(S12)、バーナ23を点火して燃焼させ(S13)、バーナ23の燃焼により加熱された循環流の温度が設定温度Tに達したことを検知したときに(S14)、制御部60は、温水循環用ポンプ55を停止し(S15)、同時に光や音等によりその旨を報知する(S16)。また、前記選択信号を解除する(S17)。使用者は、その報知を受けた時点で給湯栓42を開き(S18)、温水を得る(S19)。この場合、温水は給湯器20によって加熱された温水のみとなる。
【0055】
前記S36おいて、貯湯タンク70に貯湯されている温水の出湯が継続すると、貯湯タンク70内の温水温度が設定温度Tを下回ることが起こり得る。そのことは第2の給湯温度センサ71で検知される(S44)ので、そのときは、制御部60はS37以下の処理を行う。また、S37以下の処理を行っている途中で、熱交換器77のための熱源としての太陽熱集熱器80の集熱効果が大きくなり、貯湯タンク70内の温水温度が設定温度Tに達したことを、第2の給湯温度センサ71が検知したときには、制御部60は、バーナ23の燃焼と給湯器20への給水を停止し、同時に、貯湯タンク70内の温水を給湯栓42に送り出すようにする。それにより、バーナ23にかかる無駄なエネルギー消費をなくすことからも好ましい。
【0056】
さらに、第2の給湯温度センサ71の検知温度が設定温度Tを上回る場合、あるいは使用者がより低い温度の温水を使用することを希望する場合などには、制御部60は、前記第2の分岐管75からの上水を給湯配管50を流れる温水に混和して給湯栓42に送り出すようにすることもできる。さらに、図示しないが、第1の分岐管73の出側および第2の給湯温度センサ71の出側に、流量制御弁を設けることで、給湯栓42から出る温水温度および温水量をより精緻に制御することもできる。
【0057】
[第1の態様−その2]
図5は、本発明による給湯システムの第1の態様の他の形態を模式的に示している。この給湯システムA3は、前記熱源を備えた給湯部として、バナーを備えた給湯器20に替えて、適宜の熱源からの熱により加熱された温水が貯湯される貯湯タンク90を用いている点で、図1に示した給湯システムA1と相違する。他の構成は給湯システムA1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付すことで詳細な説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。
【0058】
この給湯システムA3において、前記貯湯タンク90、図3に示した貯湯タンク70の場合と同様に熱交換器77を備えており、太陽熱集熱器80で受熱した熱媒体を熱交換器77と太陽熱集熱器80との間でポンプ78の作用によって循環させることで、貯湯タンク90内の貯水を温水としている。ここでも、熱交換器77のための熱源としての太陽熱集熱器80は、一つの例であって、これに限らず、コジェネレーションシステムからの排ガスから発生する熱、夜間電力を利用して得られる熱、または燃料電池の作動に伴って発生する熱などを適宜用いることができる。
【0059】
給水配管30からの上水は、減圧弁33,逆止弁31を介して、貯湯タンク90に給水され、そこで上記のように太陽熱集熱器80で集熱された太陽熱によって温水とされる。使用者が給湯栓用ヘッダー41に備えた給湯栓42を開くことにより、貯湯タンク90内の温水は、給湯配管50を通って給湯栓42から出湯する。ここでも、給湯栓部40には即湯選択スイッチ43が取り付けてあり、そこからの選択信号は制御部60に送られる。また、給湯配管50には第1の給湯温度センサ51が取り付けてある。
【0060】
以下、上記の給湯システムA3の使用の状態を図6のフローチャートも参照して説明する。なお、給湯システムA3の使用開始時には、給湯栓42はすべて閉じられており、すべての配管および管路は、前回使用したときの水または温水で満たされた状態にある。給湯システムA1と場合と同様、制御部60は使用者が即湯運転を選択したかどうかを判断する(S101)。選択しない(押されていない)場合には、給湯栓42から貯湯タンク90内の温水がそのまま出湯し、出湯した分の上水が給水配管30から給水される。この態様は、従来公知の貯湯タンクを備えた給湯システムと同様である。
【0061】
即湯選択スイッチ43が押された場合、その信号(選択信号)は制御部60に送られ、制御部60は給湯配管50に取り付けた第1の給湯温度センサ51の検知温度tが予め設定した設定温度T以上に達しているかどうかを判断する(S111)。制御部60は、前記検知温度tが設定温度Tよりも低い場合には、温水循環用ポンプ55を駆動する(S121)。温水循環用ポンプ55が駆動することにより、貯湯タンク90内および給湯配管50や循環用配管54などに滞留している低温の温水は、矢印方向に流れる循環流となる(S131)。すなわち、滞留していた低温の温水は貯湯タンク90内に流入してそこで再び加熱されて昇温し、昇温した温水あるいは以前から貯湯タンク90内に貯湯されていた温水が給湯配管50に送り出される。
【0062】
循環流の温度は第1の給湯温度センサ51によって検知され、制御部60に送られる。制御部60は給湯配管50を流れる循環水の温水温度が設定温度Tに達したどうかを継続して検知する(S141)。設定温度Tに達したことを検知したときに、制御部60は、温水循環用ポンプ55を停止し(S151)、同時に光や音等によりその旨を報知する(S161)。また、前記選択信号を解除する(S171)。使用者は、その報知を受けた時点で給湯栓42を開き(S181)、温水を得る(S191)。以下、従来の貯湯タンクを備えた給湯器と同様の運転が継続する。以降の運転において、使用者が即湯運転を選択するかしないかは自由であり、選択しない場合には、通常運転となり、選択する場合には、S101に戻る。
【0063】
次に、上記した第1の態様の給湯システムA1および第2の態様の給湯システムA2の双方において、長時間にわたって温水循環用ポンプ55が稼働しないときに、循環用配管54内に水が停滞して、停滞水に細菌発生などによる水質劣化が生じることが起こり得る。停滞水は、温水循環用ポンプ55が稼働したときに、給湯栓42から排出されるので、この水質劣化を生じないようにすることが推奨される。
【0064】
そのために、第1の態様の給湯システムA1および第2の態様の給湯システムA2のいずれにおいても、制御部60が、温水循環用ポンプ55が所定時間(例えば100時間)に亘って使用されなかったことを検知したときに、温水循環用ポンプ55を駆動して前記循環用配管54内の温水を、給湯器20のバーナ23で再加熱する手段を備えることが望ましい。
【0065】
図7は、そのような手段の一例を説明するフローチャートである。制御部60は停滞水タイマーを備え、温水循環用ポンプ55が作動を停止した時点から、計時を開始する(S50)。停滞水タイマーの計時が設定時間(例えば100時間)を経過したかどうかを看視し(S51)、経過した時点で、その間に給湯循環運転、すなわち温水循環用ポンプ55が駆動して循環用配管54内の温水が循環したかどうかを検知する(S52)。給湯循環運転が行われた履歴がある場合に、停滞水タイマーをリセットし(S53)、再度計時を開始する。給湯循環運転が行われた履歴ない場合には、温水循環用ポンプ55を駆動運転し(S54)、運転開始と同時に再加熱運転時間の計時を開始し(S55)、温水循環用ポンプを駆動し(S56)、設定されていない場合には出湯温度を設定(例えば前記設定温度60℃)(S57)し、バーナ23を点火する(S58)。それにより、循環用配管54内の温水の循環と加熱が開始する。その状態で、再加熱運転タイマーの計時が一定時間(例えば1時間)以内かどうかを監視し(S59)、その間に第1の給湯温度センサ51が前記60℃で一定時間(例えば15分)を計測したかどうかを監視する(S60)。前記60℃の水温を15分間継続して測定した場合には、停滞水に対する所定の再加熱が終了したものとみなすことができるので、温水循環用ポンプ55の作動を停止し(S61)、バーナ23を停止する(S62)。
【0066】
上記のように循環用配管54内に停滞する水に対しての再加熱を行うことにより、水質が劣化した温水が給湯栓42から出てくるのを確実に阻止することができる。
【0067】
なお、図5に示した給湯システムA3の場合には、前記した停滞水の再加熱が必要となったときに、太陽熱集熱器80からの受熱量が大きければ温水循環用ポンプ55を駆動運転することだけで、短時間での所要の再加熱が可能となる。
【符号の説明】
【0068】
A1,A2、A3…給湯システム、
20…給湯器、
30…給湯器への給水配管、
40…給湯栓部、
41…給湯栓用ヘッダー、
42…給湯栓、
43…即湯選択スイッチ、
50…給湯器から給湯栓部への給湯配管、
51…第1の給湯温度センサ、
54…循環用配管、
55…温水循環用ポンプ、
56…減圧弁、
57…加圧逃がし弁、
58…逆止弁、
60…制御部、
61…操作盤、
62…即湯選択スイッチ、
70…貯湯タンク、
71…第2の給湯温度センサ、
72…出口配管、
73…第1の分岐管、
75…第2の分岐管、
77…熱交換器、
80…太陽熱集熱器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源を備えた給湯部と前記給湯部へ給水する給水配管と前記給湯部からの温水を給湯栓部へ給湯する給湯配管と制御部とを少なくとも備える給湯システムであって、
前記制御部または給湯栓部は即湯選択スイッチを備え、前記給湯配管は給湯配管内の温水温度を測定する第1の給湯温度センサを備え、さらに、該第1の給湯温度センサより下流側の給湯配管と前記給水配管と接続する循環用配管を備え、該循環用配管は温水循環用ポンプを備えており、
前記制御部は、前記即湯選択スイッチからの選択信号を受けたときに前記第1の給湯温度センサの測定温度の検知を開始し、検知温度tが設定温度Tより低いときには、前記温水循環用ポンプを駆動して前記給湯配管内の温水を前記循環用配管および前記給水配管を介して前記給湯部に循環させて温水を再加熱し、検出温度tが設定温度Tと等しいかそれより高くなったときには前記温水循環用ポンプの駆動を停止するとともに、温水が設定温度Tになったことを報知することを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムであって、前記熱源を備えた給湯部は、ガスバーナを備えた給湯器であることを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項1に記載の給湯システムであって、前記熱源を備えた給湯部は、太陽熱集熱器で得られた熱、コジェネレーションシステムからの排ガスから発生する熱、夜間電力を利用して得られる熱、または燃料電池の作動に伴って発生する熱のいずれかを利用して昇温した温水が貯湯される貯湯タンクであることを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の給湯システムであって、前記循環用配管は温水循環用ポンプよりも上流側に減圧弁と圧力逃がし弁を備えることを特徴とする給湯システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の給湯システムであって、前記給湯栓部は給湯栓用ヘッダーと複数の給湯栓とを備えることを特徴とする給湯システム。
【請求項6】
請求項2に記載の給湯システムであって、前記給湯システムは、前記給湯栓部に温水を供給するための貯湯タンクをさらに備え、前記貯湯タンクの温水出側配管は前記給湯配管における前記循環用配管との接続部と前記給湯栓部との間で前記給湯配管と接続しており、前記貯湯タンクの前記温水出側近傍に第2の給湯温度センサを備え、前記給水配管は前記貯湯タンクへも給水可能となっており、
前記制御部は、前記即湯選択スイッチからの選択信号を受けたときに、前記第1の給湯温度センサと第2の給湯温度センサの測定温度の検知を開始し、少なくとも前記第2の給湯温度センサの検知温度t2が設定温度Tと等しいかそれより高いときには、その旨を報知するとともに、前記給湯器への給水を行わないようにし、
前記第1の給湯温度センサの検知温度t1が設定温度Tと等しいかそれより高く、第2の給湯温度センサの検知温度t2が設定温度より低いときは、その旨を報知するとともに、前記貯湯タンクからの出湯を行わないようにし、
前記第1の給湯温度センサの検知温度t1と第2の給湯温度センサの検知温度t2がともに設定温度Tより低いときは、前記貯湯タンクからの出湯を行わないと共に、前記温水循環用ポンプを駆動して前記給湯配管内の温水を前記循環用配管および前記給水配管を介して前記給湯器に循環させるとともにバーナを点火して温水を再加熱し、少なくとも前記第1の給湯温度センサの検出温度t1が設定温度Tと等しいかそれより高くなったときには前記温水循環用ポンプの駆動を停止するとともに、温水が設定温度Tになったことを報知することを特徴とする給湯システム。
【請求項7】
請求項6に記載の給湯システムであって、前記バーナを点火しての運転中に、制御部が前記第2の給湯温度センサの検知温度t2が設定温度Tと等しいか高くなったことを検知したときに、制御部は前記バーナの燃焼と給湯器への給水を停止することを特徴とする給湯システム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の給湯システムであって、前記給水配管は、前記給湯配管における前記貯湯タンクの温水出側配管との接続部と前記給湯栓部との間に給水可能となっていることを特徴とする給湯システム。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか一項に記載の給湯システムであって、前記貯湯タンク内には、太陽熱集熱器で得られた熱、コジェネレーションシステムからの排ガスから発生する熱、夜間電力を利用して得られる熱、または燃料電池の作動に伴って発生する熱のいずれかを利用して昇温した温水が貯湯されることを特徴とする給湯システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の給湯システムであって、制御部は、前記温水循環用ポンプが所定時間に亘って使用されなかったことを検知したときに、温水循環用ポンプを駆動して前記循環用配管内の温水を再加熱する手段を備えることを特徴とする給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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