説明

給湯器

【課題】二次電池を備え、停電時には二次電池に蓄えられた電力を用いて作動し湯を供給する給湯器を提供する。
【解決手段】ファン11、ファン11から空気が供給される燃焼部12、燃焼部12に可燃燃料を供給する供給量調節手段13及び点火手段13aを備えたバーナー装置21と、バーナー装置21によって湯が沸き上げられる貯湯タンク14と、商用電源15から電力を供給されて充電される二次電池16とを有する給湯器10であって、バーナー装置21は、通常時、商用電源15から電力を供給されて作動し貯湯タンク14の湯の沸き上げを行い、停電時、二次電池16から電力を供給されて作動し貯湯タンク14の湯の沸き上げを行い、しかも、一回の停電につき行われる貯湯タンク14の湯の沸き上げ回数には、上限値が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱して湯を供給する給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナー装置の熱を利用して水を加熱し、給湯栓(蛇口やシャワー)に湯を供給する給湯器は、バーナー装置の燃焼部に空気を供給するファンや、操作用のリモコン等、電力が供給されて作動する電動機器を多く備えている(例えば、特許文献1参照)。
給湯器は、商用電源からの電力によって、これらの電動機器を作動させ、給湯栓に対して所定温度の湯を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−163711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商用電源からの電力供給は、災害、事故等によって停止することがあり、従来の給湯器では、商用電源からの電力供給が停止した際に、給湯栓に湯を供給することができないという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、二次電池を備え、停電時には二次電池に蓄えられた電力を用いて作動し湯を供給する給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る給湯器は、ファン、該ファンから空気が供給される燃焼部、該燃焼部に送られる可燃燃料の流量を調整する供給量調節手段及び点火手段を備えたバーナー装置と、前記バーナー装置によって湯が沸き上げられる貯湯タンクと、商用電源から電力を供給されて充電される二次電池とを有する給湯器であって、前記バーナー装置は、通常時、前記商用電源から電力を供給されて作動し前記貯湯タンクの湯の沸き上げを行い、停電時、前記二次電池から電力を供給されて作動し前記貯湯タンクの湯の沸き上げを行い、しかも、一回の停電につき行われる前記貯湯タンクの湯の沸き上げ回数には、上限値が設けられる。
【0006】
本発明に係る給湯器において、一回の停電につき行われた前記貯湯タンクの湯の沸き上げ回数が前記上限値に達した後であっても、特定の作動スイッチによって前記貯湯タンクの湯の沸き上げが行われる状態になるのが好ましい。
【0007】
本発明に係る給湯器において、停電時の前記貯湯タンクの湯の沸き上げは、該貯湯タンク内の湯の温度が所定値以下の場合、該貯湯タンク内の湯の温度を基準にして行われ、該貯湯タンク内の湯の温度が前記所定値を超える場合、該貯湯タンクが出湯するタイミングに合わせて行われるのが好ましい。
【0008】
本発明に係る給湯器において、停電時に前記貯湯タンク内の湯の温度が前記所定値以下の場合、該貯湯タンクの湯の沸き上げを開始する温度に通常時より低い温度を設定して、該貯湯タンクの湯の沸き上げを行うのが好ましい。
【0009】
本発明に係る給湯器において、前記貯湯タンクの湯の沸き上げは、通常時及び停電時で共に、該貯湯タンク内の湯の温度を基準に開始され、該貯湯タンクの湯の沸き上げを開始する温度は、停電時が通常時に比べて低いのが好ましい。
【0010】
本発明に係る給湯器において、前記可燃燃料は液体燃料であり、前記供給量調節手段はポンプであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る給湯器は、バーナー装置が、停電時、二次電池から電力を供給されて作動し貯湯タンクの湯の沸き上げを行うので、停電時には二次電池に蓄えられた電力を用いて湯を供給することが可能である。
また、一回の停電につき行われる貯湯タンクの湯の沸き上げ回数には、上限値が設けられるので、停電時は、貯湯タンクの湯の沸き上げ回数が制限され、二次電池内の電力の消耗を抑制可能である。
【0012】
本発明に係る給湯器において、一回の停電につき行われた貯湯タンクの湯の沸き上げ回数が上限値に達した後であっても、特定の作動スイッチによって貯湯タンクの湯の沸き上げが行われる状態になる場合、二次電池に電力が残っているにも関わらず、貯湯タンクの湯の沸き上げができない状況を回避可能である。
【0013】
本発明に係る給湯器において、停電時の貯湯タンクの湯の沸き上げが、貯湯タンク内の湯の温度が所定値を超える際に、貯湯タンクが出湯するタイミングに合わせて行われる場合、放熱により貯湯タンクの湯の温度が低下したことによる、貯湯タンク内の湯の沸き上げを行う回数を低減でき、バーナー装置の作動による二次電池に蓄えられている電力の消費を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る給湯器において、停電時に貯湯タンク内の湯の温度が所定値以下の際に、貯湯タンクの湯の沸き上げを開始する温度に通常時より低い温度を設定して、貯湯タンクの湯の沸き上げを行う場合、貯湯タンク内の湯の沸き上げ回数を減らし、二次電池に蓄えられている電力の消費を抑制することができる。
【0015】
本発明に係る給湯器において、貯湯タンクの湯の沸き上げが、通常時及び停電時で共に、貯湯タンク内の湯の温度を基準に開始され、貯湯タンクの湯の沸き上げを開始する温度は、停電時が通常時に比べて低い場合、停電時における貯湯タンク内の湯の沸き上げ回数を低減し、二次電池に蓄えられている電力の消費を抑制可能である。
【0016】
本発明に係る給湯器において、可燃燃料が液体燃料であり、供給量調節手段がポンプである場合、貯湯タンクの湯の沸き上げ回数を制限することによる省エネ効果を確実に得ることができる。これは、一般的に、ポンプが給湯器に設けられた電力を消費する電動機器の中で消費電力が大きい電動機器であるためである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る給湯器の説明図である。
【図2】マイクロコンピュータの信号接続を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る給湯器10は、ファン11、ファン11から空気が供給される燃焼部12、燃焼部12に送られる液体燃料(可燃燃料の一例)の流量を調整するポンプ(供給量調節手段の一例)13及びイグナイター(点火手段の一例)13aを備えたバーナー装置21と、バーナー装置21によって湯が沸き上げられる貯湯タンク14と、商用電源15から電力を供給されて充電される二次電池16とを有している。以下、詳細に説明する。
【0019】
給湯器10は、図1に示すように、給水管17から減圧弁18を介して水が供給される貯湯タンク14を備え、貯湯タンク14の下部には燃焼室19が形成されている。
燃焼室19には、バーナー装置21の燃焼部12が設けられ、燃焼部12は液体燃料(本実施の形態では灯油)を燃焼することによって発生する燃焼ガスを燃焼室19に供給して、貯湯タンク14内の湯を加熱する。なお、燃焼室19は、燃焼ガスを排出する図示しない排気機構を備えている。
【0020】
燃焼部12には、燃焼部12に液体燃料を供給するポンプ13が接続され、燃焼部12に空気を送るファン11が取付けられている。燃焼部12は、ポンプ13によって液体燃料が供給され、ファン11から空気が供給されることによって液体燃料を燃焼することができる。
貯湯タンク14には貯湯タンク14内の湯の温度を計測する温度センサ20が設けられ、通常時(即ち、商用電源15から電力が出力されている時)、バーナー装置21は、温度センサ20の計測温度が所定温度以下になったときに作動して燃焼部12を燃焼させ、貯湯タンク14内の湯を、後述のリモコン(給湯リモコン45又は浴室リモコン46)で設定された温度より少し高めの温度範囲で保つ。
また、バーナー装置21には、イグナイター13a(図2参照)が設けられ、本実施の形態では、燃焼部12、ポンプ13、ファン11及びイグナイター13aが一体となったバーナー装置21が用いられている。なお、図1ではイグナイター13aの記載を省略している。
【0021】
貯湯タンク14は、蛇口22及びシャワー23に設定温度の湯を供給する給湯流路24に連結され、給湯流路24には、浴槽25に湯を供給する湯張り流路26が連結されている。
給湯流路24には、貯湯タンク14から送られてきた湯に水を混合する混合弁29と給湯流路24を流れる湯の流量を調整する比例弁30が設けられている。
貯湯タンク14からの湯が設定温度を超えている場合、混合弁29で貯湯タンク14からの湯に水が混合され、蛇口22やシャワー23に供給される湯の温度を下げる。比例弁30は、開度を変えて給湯流路24を流れる湯の流量を調整する。
【0022】
給水管17には、混合弁29に供給される水の温度を計測する温度センサ31が設けられ、給湯流路24には、貯湯タンク14から出湯される湯の温度を計測する温度センサ32が設けられている。
また、給湯流路24には、混合弁29から出た湯の温度を計測する温度センサ33が設けられ、蛇口22やシャワー23に供給される湯の温度が設定温度であるか否かは、この温度センサ33の計測温度によって検知することができる。混合弁29における湯と水の混合比は、温度センサ31、32、33の各計測温度を基にして決定される。
【0023】
湯張り流路26には開閉弁34が設けられ、開閉弁34が開かれると貯湯タンク14からの湯が湯張り流路26を介して浴槽25に送られ湯張りが行われる。浴槽25への湯張りが行われている間、貯湯タンク14から浴槽25に送られる湯の温度は、温度センサ33によって計測される。バーナー装置21の燃焼レベルは、温度センサ20、32、33の計測温度を基に調整され、浴槽25に所定温度の湯が張られるようにする。
そして、浴槽25への湯張りが終了すると、開閉弁34は閉じられる。
なお、湯張り流路26には、開閉弁34の下流側に、断水時に浴槽25の湯が逆流するのを防止する図示しない逆流防止手段が設けられている。
【0024】
給湯器10には、ポンプ13、ファン11、イグナイター13a、開閉弁34、混合弁29、比例弁30及び温度センサ20、31〜33をはじめとする多くの電動機器(電力を供給されて作動する機器)が設けられ、これらの電動機器には制御装置35が接続されている。
制御装置35は、商用電源15と電動機器を電気的に接続する電力供給回路36及び各種プログラムが搭載されたマイクロコンピュータ37(演算器の一例)を備えている。電力供給回路36及びマイクロコンピュータ37もそれぞれ電動機器である。
【0025】
通常時、即ち商用電源15が電力を供給可能な状態の時、電力供給回路36を除く電動機器には、電力供給回路36を介して商用電源15から電力が供給される。
マイクロコンピュータ37は、図2に示すように、ポンプ13、ファン11、イグナイター13a、開閉弁34、混合弁29、比例弁30及び温度センサ20、31〜33に信号接続され、指令信号を送信することによって、これらの電動機器を作動させることができる。
【0026】
給湯器10には、図1に示すように、二次電池16が設けられ、停電時、即ち商用電源15からの電力供給が停止した時、電動機器に対して二次電池16から電力が供給される。
二次電池16は、通常時に商用電源15からの電力供給によって充電される。二次電池16としては、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池等を採用することができる。
【0027】
商用電源15と二次電池16の間には、商用電源15から出力される交流電力を直流電力に変換するコンバータ38が設けられ、二次電池16には、コンバータ38から直流電力が出力される。
二次電池16の電力出力側には、インバータ39が設けられている。インバータ39は、停電時に二次電池16から電力を供給されて作動し、二次電池16から出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ39から出力される交流電力は電力供給回路36に供給される。
通常時、インバータ39には電力が供給されず、インバータ39は停止状態となっている。
【0028】
インバータ39と制御装置35の間には、電力供給回路36への電力の送り元を切り替えるスイッチ40が配置されている。
スイッチ40は、商用電源15から供給されていた電源が遮断されると、インバータ39と電力供給回路36を電気的に接続する。そして、スイッチ40は、インバータ39と電力供給回路36を電気的に接続している状態で商用電源15からの電力供給が再開されると、商用電源15と電力供給回路36を電気的に接続する。スイッチ40をこのように切り替えることによって、通常時、商用電源15からの電力が電力供給回路36に供給され、停電時に、二次電池16からの電力がインバータ39を介して電力供給回路36に供給されるようにする。
【0029】
また、二次電池16は、図1に示すように、インバータ39を介してサービス用コンセント41に電気的に接続されている。給湯器10は、停電時に、二次電池16からの直流電力をインバータ39で交流電力に変換し、その変換した交流電力をサービス用コンセント41を介して外部の機器に供給することができる。
なお、二次電池16、コンバータ38及びインバータ39は、制御装置35、バーナー装置21等と共に筐体42内に配置されている。
【0030】
筐体42内には、ファン11の作動によって外部から空気が取り込まれる給気路43が形成され、二次電池16は、この給気路43においてファン11の上流側に配置されている。そのため、二次電池16は、ファン11が作動中に給気路43を流れる空気によって空冷される。
二次電池16には、電力供給回路36に電気的に接続された温度センサ44が取付けられている。温度センサ44はマイクロコンピュータ37に信号接続された電動機器の1つであり、商用電源15から電力を供給されて作動し、二次電池16の表面温度を計測する。
【0031】
マイクロコンピュータ37は、通常時、温度センサ44から得た二次電池16の表面温度が所定温度(例えば40℃以上で予め定められた温度)以上であった際に、バーナー装置21が液体燃料を燃焼していない状態であっても、ファン11を作動して二次電池16を空冷する。
従って、二次電池16は、高温状態が継続するのを抑制されている。
二次電池は一般的に高温状態が継続すると短命になるので、このファン11による空冷は、二次電池16の寿命を長くするのに有効である。
本実施の形態では、停電時に、二次電池16から温度センサ44に対して電力が供給されず(即ち、二次電池16の表面温度は計測されない)、ファン11の作動はバーナー装置21が液体燃料を燃焼しているときのみに限定され、二次電池16に充電された電力の消費を抑制する設計となっている。
【0032】
マイクロコンピュータ37には、図2に示すように、リビングやキッチンに配置される給湯リモコン45及び浴室内に配置される浴室リモコン46が信号接続されている。
給湯器10の使用者は、給湯リモコン45又は浴室リモコン46を操作して、浴槽25の湯張り温度や、蛇口22及びシャワー23に供給する湯の温度を設定することができる。給湯リモコン45及び浴室リモコン46は、入力された温度等を表示する表示部及び入力操作が行われる入力ボタンを有している。
なお、給湯リモコン45及び浴室リモコン46も、図1に示すように、電力供給回路36に電気的に接続された電動機器であり、通常時は、商用電源15から電力を供給され、停電時には、二次電池16から電力を供給されて作動する。
【0033】
通常時、シャワー23及び蛇口22への給湯と浴槽25への湯張りは、それぞれ所定の操作によって開始される。
停電時、浴槽25への湯張りは禁止され、シャワー23及び蛇口22への給湯のみが可能な状態となる。具体的には、停電時、浴槽25への湯張りを行う際に用いられる開閉弁34には、二次電池16からの電力が供給されず、シャワー23及び蛇口22に給湯を行う際に用いられる電動機器には、必要に応じて、二次電池16から電力が供給される。これは、停電時に、シャワー23及び蛇口22への給湯を優先するという設計思想によるものである。
【0034】
バーナー装置21は、通常時、商用電源15から電力を供給されて作動し貯湯タンク14内の湯の沸き上げを行い、停電時、二次電池16から電力を供給されて作動し貯湯タンク14内の湯の沸き上げを行う。
一回の停電につき行われる貯湯タンク14の湯の沸き上げ回数には、予め設定される上限値(本実施の形態では、1〜3回)が設けられている。このため、一回の停電中に行われた貯湯タンク14の湯の沸き上げが上限値に達すると、その停電が終わるまで、原則として新たな貯湯タンク14の湯の沸き上げは行われない。これは、バーナー装置21、即ち、ファン11、ポンプ13及びイグナイター13aの作動が、二次電池16の電力消費を伴うので、この貯湯タンク14の湯の沸き上げが制限無く行われるのを回避するためである。
【0035】
但し、一回の停電中に行われた貯湯タンク14の湯の沸き上げが上限値に達した後であっても、特定の作動スイッチによって貯湯タンク14の湯の沸き上げが行われる状態にすることができる。
特定の作動スイッチとは、給湯リモコン45及び浴室リモコン46にそれぞれ設けられた特定の入力ボタンであり、給湯器10の使用者は、この特定の入力ボタンを操作することによって、貯湯タンク14の湯の沸き上げが行われる状態にすることが可能である。これは、上限値を超えて貯湯タンク14の湯の沸き上げを行う際には、その旨を使用者に認識させるためのものである。
【0036】
本実施の形態では、停電時の貯湯タンク14の湯の沸き上げを行うタイミングが、貯湯タンク14内の湯の温度に応じて異なっている。
貯湯タンク14内の湯の温度が所定値以下の場合、貯湯タンク14の湯の沸き上げは、停電時に貯湯タンク14内の湯の温度を基準にして行われる。
貯湯タンク14の湯の沸き上げを開始する基準となる貯湯タンク14内の湯の温度をT1とすると、マイクロコンピュータ37は、温度センサ20を介して貯湯タンク14内の温度を継続的に計測し、その計測された温度がT1以下になると、ファン11、ポンプ13及びイグナイター13aを作動して、貯湯タンク14内の湯の沸き上げを開始する。
【0037】
そして、マイクロコンピュータ37は、温度センサ20を介して貯湯タンク14内の湯温が予め定められた温度になったのを検出すると、ポンプ13の作動を止めて貯湯タンク14内の湯の沸き上げを停止する。ファン11は、ポンプ13が停止してから所定時間、ポストパージのため作動を続け、その後、停止する。イグナイター13aは、液体燃料に点火する際にのみ作動する。
【0038】
T1は36〜50℃の範囲の温度で、給湯リモコン45あるいは浴室リモコン46からの操作によってマイクロコンピュータ37に入力され、マイクロコンピュータ37はこのT1を停電時に貯湯タンク14の湯の沸き上げを開始する温度として設定する。通常時に貯湯タンク14の湯の沸き上げを開始する温度をT2とすると、T2はT1より高い温度であり、本実施の形態では60〜70℃の範囲の温度である。
このように、T2より低温のT1を、貯湯タンク14の湯の沸き上げを開始する温度として採用することによって、停電時は、通常時に比べて貯湯タンク14内の湯の沸き上げ回数を減少させることができ、結果として停電時の消費電力を抑制可能である。
そして、停電時の貯湯タンク14の湯の沸き上げは、貯湯タンク14内の湯がT1より5〜10℃高い温度に達した時点で終了する。
【0039】
次に、停電時に、貯湯タンク14内の湯の温度が所定値を超えている場合の貯湯タンク14内の湯の沸き上げ動作について説明する。なお、貯湯タンク14内の湯の温度は、温度センサ20によって計測される。
貯湯タンク14内の湯の温度が所定値を超えている場合、貯湯タンク14内の湯の沸き上げは、貯湯タンク14が出湯するタイミングに合わせて行われる。
【0040】
図1、図2に示すように、給湯流路24には、貯湯タンク14の湯の出側に、マイクロコンピュータ37に信号接続された流量センサ47が設けられ、マイクロコンピュータ37は流量センサ47によって貯湯タンク14からの出湯を検出可能である。
マイクロコンピュータ37は、貯湯タンク14からの出湯を検出すると、貯湯タンク14内の湯の沸き上げを開始し、貯湯タンク14からの出湯が止まったのを検出すると、貯湯タンク14内の湯の沸き上げを停止する。
【0041】
そのため、停電時、貯湯タンク14内の湯の温度が所定値を超えている状態では、放熱によって貯湯タンク14内の湯温が下がっていても、蛇口22やシャワー23から出湯されない限り貯湯タンク14内の湯の沸き上げは行われず、ファン11、ポンプ13及びイグナイター13aによる電力消費はなされない。従って、停電時、二次電池16に蓄えられていた電力の使用量は低減され、蛇口22及びシャワー23を出湯可能な時間を延長できる。
【0042】
以上、説明したように、本実施の形態では、停電時の貯湯タンク14の湯の沸き上げタイミングが、貯湯タンク14内の湯の温度に応じて異なっているが、停電時の貯湯タンク14の湯の沸き上げタイミングを、貯湯タンク14内の湯の温度によって変えないようにしてもよい。以下に、貯湯タンク14内の湯の温度によって、停電時の貯湯タンク14の湯の沸き上げタイミングを変えない変形例について説明する。
【0043】
変形例では、貯湯タンク14内の湯の温度に関わらず、停電時に、通常時と同様に、貯湯タンク14内の湯の温度を基準にして、貯湯タンク14の湯の沸き上げを開始する。
貯湯タンク14内の湯の沸き上げを開始する温度は、停電時が通常時に比べて低く、貯湯タンク14内の湯の沸き上げを終了する温度は、停電時と通常時で同じである。具体的な湧き上げ開始温度は、通常時が60〜70℃の範囲の温度で停電時が40〜50℃の範囲の温度である。
従って、停電時の貯湯タンク14の湯の沸き上げ回数は通常時より減少し、点火時のイグナイター13aの消費電力及び消火後のファン11のポストパージに要する消費電力分だけ、電力の消費が抑制されることになる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、バーナー装置は、ガス燃料式のものであってもよい。ガス燃料式のバーナー装置を採用する場合、供給量調節手段は、ガス管に設けられた比例弁であって、燃焼部に供給されるガス燃料の流量は、比例弁の開度調整によって変化する。
また、浴槽内の湯を加熱する追焚き回路を設けてもよく、この場合、追焚き回路に設けられる電動機器については、停電時に電力供給がされないようにし、蛇口及びシャワーへの給湯を優先させることができる。
【符号の説明】
【0045】
10:給湯器、11:ファン、12:燃焼部、13:ポンプ(供給量調節手段)、13a:イグナイター(点火手段)、14:貯湯タンク、15:商用電源、16:二次電池、17:給水管、18:減圧弁、19:燃焼室、20:温度センサ、21:バーナー装置、22:蛇口、23:シャワー、24:給湯流路、25:浴槽、26:湯張り流路、29:混合弁、30:比例弁、31〜33:温度センサ、34:開閉弁、35:制御装置、36:電力供給回路、37:マイクロコンピュータ、38:コンバータ、39:インバータ、40:スイッチ、41:サービス用コンセント、42:筐体、43:給気路、44:温度センサ、45:給湯リモコン、46:浴室リモコン、47:流量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン、該ファンから空気が供給される燃焼部、該燃焼部に送られる可燃燃料の流量を調整する供給量調節手段及び点火手段を備えたバーナー装置と、前記バーナー装置によって湯が沸き上げられる貯湯タンクと、商用電源から電力を供給されて充電される二次電池とを有する給湯器であって、
前記バーナー装置は、通常時、前記商用電源から電力を供給されて作動し前記貯湯タンクの湯の沸き上げを行い、停電時、前記二次電池から電力を供給されて作動し前記貯湯タンクの湯の沸き上げを行い、しかも、一回の停電につき行われる前記貯湯タンクの湯の沸き上げ回数には、上限値が設けられることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
請求項1記載の給湯器において、一回の停電につき行われた前記貯湯タンクの湯の沸き上げ回数が前記上限値に達した後であっても、特定の作動スイッチによって前記貯湯タンクの湯の沸き上げが行われる状態になることを特徴とする給湯器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の給湯器において、停電時の前記貯湯タンクの湯の沸き上げは、該貯湯タンク内の湯の温度が所定値以下の場合、該貯湯タンク内の湯の温度を基準にして行われ、該貯湯タンク内の湯の温度が前記所定値を超える場合、該貯湯タンクが出湯するタイミングに合わせて行われることを特徴とする給湯器。
【請求項4】
請求項3記載の給湯器において、停電時に前記貯湯タンク内の湯の温度が前記所定値以下の場合、該貯湯タンクの湯の沸き上げを開始する温度に通常時より低い温度を設定して、該貯湯タンクの湯の沸き上げを行うことを特徴とする給湯器。
【請求項5】
請求項1又は2記載の給湯器において、前記貯湯タンクの湯の沸き上げは、通常時及び停電時で共に、該貯湯タンク内の湯の温度を基準に開始され、該貯湯タンクの湯の沸き上げを開始する温度は、停電時が通常時に比べて低いことを特徴とする給湯器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の給湯器において、前記可燃燃料は液体燃料であり、前記供給量調節手段はポンプであることを特徴とする給湯器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−92314(P2013−92314A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235221(P2011−235221)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)
【Fターム(参考)】