給湯機設置用簡易基礎およびその施工法
【課題】略1日で全工事を完了でき工期の短縮化が図れ、軽量化されて作業性や施工性に優れ、かつ水平震度0.4G以上の耐震性能を確保できる給湯機設置用簡易基礎を提供する。
【解決手段】 本発明に係る給湯機設置用簡易基礎は、2分割された上部プレハブブロック1,1と下部プレハブブロック2,2を互いの接合面1b,1b、2b,2bが直交する方向に積み重ねる。上下部のプレハブブロック1,1、2,2と地中埋設アンカー5を接合一体化する。
【解決手段】 本発明に係る給湯機設置用簡易基礎は、2分割された上部プレハブブロック1,1と下部プレハブブロック2,2を互いの接合面1b,1b、2b,2bが直交する方向に積み重ねる。上下部のプレハブブロック1,1、2,2と地中埋設アンカー5を接合一体化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の地上面に設置する給湯機の貯湯タンクを載置する簡易基礎およびその施工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気給湯機を一戸建ての住宅に設置する時には、貯水タンクに300〜550リットルの水が貯水され、重量が600kgになることから、給湯機を載置するための特別のコンクリート基台を設置している。そのコンクリート基台は、設置場所の地面を掘削して掘削孔を掘り、その掘削孔にコンクリートを直接流し込む現場打ちコンクリートによる基台であった。
【0003】
しかしながら、この現場打ちコンクリートによる基台は、基礎工事と電気工事に1日、コンクリート乾燥期間に7〜8日、給湯機据付けと配管工事に1日かかり、工事期間が10日程かかるため、設置作業に長い日数を要していた。
【0004】
このような工事期間が長くなるのを解消するものとして、予めコンクリートの基台となるプレハブブロックを工場で製造しておき、必要な時期に現場へ搬入して施工を行う、所謂プレキャストコンクリート工法による基礎構築が行われており、現場打ちコンクリートに比べて格段に施工期間が短くなることから施工例が増えてきている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−50470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記プレキャストコンクリート工法は、工期の短縮化が図れる利点はあるものの、耐震性に劣っており、局部震度法による建築設備機器の設計用標準震度0.4Gに耐えられないといった問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決することを目的として開発されたもので、略1日で全工事を完了でき工期の短縮化が図れて、即日に給湯が開始可能となり、また運搬時や施工時においては軽量化され、取り扱いやすくなって作業性に富み、かつ耐震性能に優れた給湯機設置用簡易基礎およびその施工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明では、2分割された上部プレハブブロックと下部プレハブブロックを互いの接合面が直交する方向に積み重ね、上下部のプレハブブロックと地中埋設アンカーを接合一体化してなる給湯機設置用簡易基礎を開発し、採用した。
【0009】
また、本発明では上記のように構成した給湯機設置用簡易基礎において、前記地中埋設アンカーは、方形状に形成された鋼製プレートとその鋼製プレートの4角部に設けたナットに螺合する4本のボルトで構成されていることを特徴とする給湯機設置用簡易基礎を開発し、採用した。
【0010】
さらに、本発明では、地中埋設アンカーよりも若干大きい孔を掘削し、該掘削孔内に地中埋設アンカーを布設した後、掘削孔を埋め戻して地盤を締め固め、2分割された上部プレハブブロックを、下部プレハブブロックの接合面と直交する方向に重合させ、上下部のプレハブブロックに穿設されたボルト孔にボルトを螺合させて接合一体化することを特徴とする給湯機設置用簡易基礎の施工法を開発し、採用した。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、2分割された上部プレハブブロックと下部プレハブブロックを互いの接合面が直交する方向に積み重ね、上下部のプレハブブロックと地中埋設アンカーを接合一体化したことを特徴とする給湯機設置用簡易基礎に係るものであるから、次のような優れた効果を達成できるものである。
【0012】
上下部のプレハブブロックは2分割されているので、軽量化され運搬時や施工時の取り扱いが容易となると共に作業性が良好となり、全工事を一日で完了することができ、従来の現場打ちコンクリートよりも大幅に工事期間が短縮できる。
【0013】
上下部のプレハブブロックの接合面を互いに直交する方向に配設されているので、外力がかかった場合に、強度の異方性がなく補強強化されていて破損する虞が少ない。
【0014】
地中埋設アンカーにのしかかる土の自重で上下プレハブブロックの転倒モーメントに抵抗することができると共に、上下プレハブブロックと地中埋設アンカーの組み合わせにより、狭隘地などにおいて確保できなかった建築設備機器の設計用標準水平震度0.4Gの耐震性能を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明すれば、本発明に係る給湯機の設置用簡易基礎は、大別すれば2分割された上部プレハブブロック1,1と、同じく2分割された下部プレハブブロック2,2と、地中に埋設される鋼製プレート3と、その鋼製プレート3に螺合する長ボルト4からなる地中埋設アンカー5とにより構成されている。
【0016】
2分割された上下部プレハブブロック1,1、2,2は、予め工場で成型された高品質のプレキャストコンクリートブロックであり、図3に示すように、左右に2分割されており接合面1b,1b、2b,2bを接合することにより中央部に円形孔1cを有する正方形状のブロック体となる。そのサイズは800mm×800mmで、φ300mmの円形孔1cを中央部に有し、1戸建て住宅地内の最大設置可能なサイズになっている。そして、分割された一つのプレハブブロック1を、人力での作業可能な重量を考えて厚さを70mmにしてある。
【0017】
地中に埋設される鋼製プレート3は、上下部のプレハブブロック1,2と同じ800mm×800mの正方形状で厚さが45mmであり、4角部にナット6…6を溶接して取り付けてあり、そのナット6…6に長さが300mmの長ボルト4…4を螺合して設けてある。この鋼製プレート3と長ボルト4…4とで地中埋設アンカー5を構成している。
【0018】
鋼製プレート3の埋設される深さは、地表から150mmまでの浅層に埋設されるのが好ましく、この実施の形態では140mmの深さに埋設してあり、家庭内に連結される水道管やガス管などの家庭用配管を損傷するおそれがない深さであり、施工性をしやすくしてある。
【0019】
このように構成された本発明の給湯機設置簡易基礎の施工例を図7〜図12に基づいて説明する。まず、給湯機設置簡易基礎となる地面Gに、鋼製プレート3の外形より若干大きい正方形状の掘削孔11を140mm深さに掘る(図7)。その掘削孔11の底部を水平に整地し水準器でレベルを確認して鋼製プレート3を水平状態に布設する (図8)。
【0020】
掘削孔11を埋め戻し、鋼製プレート3が傾かないように注意をしながら残土で埋め戻し、地表面を小型プレートランマーで転圧して充分に地盤を締め固める(図9)。締め固めた地盤上に砂利12を敷く(図10)。整地の後、練りモルタル13を敷設して載置面14とする(図11)。
【0021】
2分割された下部プレハブブロック2,2に穿設されたボルト孔7……7を、載置面14から突出するボルト4……4に挿通し、その下部プレハブブロック2,2の上面に上部プレハブブロック1,1を、接合面2b,2bと1b,1bが直交する方向に載置し、上部プレハブブロック1,1のボルト孔7……7にボルト4……4を挿通螺合して一体化する(図12)。
【0022】
上記各作業の時間を平均時間で見ると、掘削が30分、アンカー設置が11分、埋め戻しが21分、転圧が15分、基礎組み立てが20分、合計97分かかり、簡易施工性として充分満足できるものであった。
【0023】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の例に限らず、本発明の目的を達成でき、かつ本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0024】
つぎに、上下プレハブブロック1,2と地中埋設アンカー5を組み合わせて耐震性能確認試験を実施した。試験方法としては、図13に示すように、貯湯タンクTの重心位置にワイヤーWを取り付け、一側方の加圧機器Kにより水平荷重をかけ上下プレハブブロック1,2の安定性能(転倒)を確認した。試験体は3試料とする。
【0025】
表1
試料No 荷重:140kg 荷重:210kg 荷重:270kg 破壊荷重
(0.2G相当) (0.3G相当) (0.4G相当) (転倒)
1 良 良 良 320kg
(0.47G相当)
2 良 良 良 329kg
(0.48G相当)
3 良 良 良 329kg
(0.48G相当)
【0026】
図14の荷重と変位量の関係から明らかなように、下部プレハブブロック2,2の下面が弾性地盤と考えられることから、初期水平荷重時から下部プレハブブロック2,2のめり込み量と浮き上がり量がほぼ比例して発生している。上下プレハブブロックのみで転倒に耐え得る限界水平荷重:210kg(水平震度0.3G)を過ぎると、めり込み量に比べ浮き上がり量が増加の傾向を示し、水平荷重が270kg(水平震度0.4G)を過ぎると浮き上がり量はさらに増加の傾向を示し破壊(転倒)に達した。
【0027】
破壊(転倒)時には上下プレハブブロック1,2の浮き上がり側の地盤表面に亀裂が生じた。これは地中埋設アンカー5の引き抜き力による鋼製プレート4上の地盤と周辺地盤の間でせん断破壊が生じたものと考えられる。
【0028】
以上の結果により、水平震度0.4Gのうち約0.3Gを上下プレハブブロック1,2で負担し、残り約0.1Gを埋設アンカー5で負担できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、電気給湯機の貯湯タンクを一戸建ての住宅に設置する場合の簡易基礎として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の給湯機設置用簡易基礎の斜視図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】上部、下部プレハブブロックの簡略図である。
【図4】地中埋設アンカーの斜視図である。
【図5】埋設プレートの平面図である。
【図6】ボルトの正面図である。
【図7】地面に掘削孔を掘った状態の説明図である。
【図8】掘削孔にプレートを敷設した状態の説明図である。
【図9】掘削孔を埋め戻した状態の説明図である。
【図10】地盤上に砂利を敷いた状態の説明図である。
【図11】練りモルタルを敷設して載置面とした状態の説明図である。
【図12】上部、下部プレハブブロックが接合一体化した状態の説明図である。
【図13】耐震性能試験方法を示す説明図である。
【図14】荷重と変位量の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 上部プレハブブロック
1b 接合面
2 下部プレハブブロック
2b 接合面
3 鋼製プレート
4 ボルト
5 地中埋設アンカー
6 ナット
7 ボルト孔
11 掘削孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の地上面に設置する給湯機の貯湯タンクを載置する簡易基礎およびその施工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気給湯機を一戸建ての住宅に設置する時には、貯水タンクに300〜550リットルの水が貯水され、重量が600kgになることから、給湯機を載置するための特別のコンクリート基台を設置している。そのコンクリート基台は、設置場所の地面を掘削して掘削孔を掘り、その掘削孔にコンクリートを直接流し込む現場打ちコンクリートによる基台であった。
【0003】
しかしながら、この現場打ちコンクリートによる基台は、基礎工事と電気工事に1日、コンクリート乾燥期間に7〜8日、給湯機据付けと配管工事に1日かかり、工事期間が10日程かかるため、設置作業に長い日数を要していた。
【0004】
このような工事期間が長くなるのを解消するものとして、予めコンクリートの基台となるプレハブブロックを工場で製造しておき、必要な時期に現場へ搬入して施工を行う、所謂プレキャストコンクリート工法による基礎構築が行われており、現場打ちコンクリートに比べて格段に施工期間が短くなることから施工例が増えてきている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−50470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記プレキャストコンクリート工法は、工期の短縮化が図れる利点はあるものの、耐震性に劣っており、局部震度法による建築設備機器の設計用標準震度0.4Gに耐えられないといった問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決することを目的として開発されたもので、略1日で全工事を完了でき工期の短縮化が図れて、即日に給湯が開始可能となり、また運搬時や施工時においては軽量化され、取り扱いやすくなって作業性に富み、かつ耐震性能に優れた給湯機設置用簡易基礎およびその施工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明では、2分割された上部プレハブブロックと下部プレハブブロックを互いの接合面が直交する方向に積み重ね、上下部のプレハブブロックと地中埋設アンカーを接合一体化してなる給湯機設置用簡易基礎を開発し、採用した。
【0009】
また、本発明では上記のように構成した給湯機設置用簡易基礎において、前記地中埋設アンカーは、方形状に形成された鋼製プレートとその鋼製プレートの4角部に設けたナットに螺合する4本のボルトで構成されていることを特徴とする給湯機設置用簡易基礎を開発し、採用した。
【0010】
さらに、本発明では、地中埋設アンカーよりも若干大きい孔を掘削し、該掘削孔内に地中埋設アンカーを布設した後、掘削孔を埋め戻して地盤を締め固め、2分割された上部プレハブブロックを、下部プレハブブロックの接合面と直交する方向に重合させ、上下部のプレハブブロックに穿設されたボルト孔にボルトを螺合させて接合一体化することを特徴とする給湯機設置用簡易基礎の施工法を開発し、採用した。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、2分割された上部プレハブブロックと下部プレハブブロックを互いの接合面が直交する方向に積み重ね、上下部のプレハブブロックと地中埋設アンカーを接合一体化したことを特徴とする給湯機設置用簡易基礎に係るものであるから、次のような優れた効果を達成できるものである。
【0012】
上下部のプレハブブロックは2分割されているので、軽量化され運搬時や施工時の取り扱いが容易となると共に作業性が良好となり、全工事を一日で完了することができ、従来の現場打ちコンクリートよりも大幅に工事期間が短縮できる。
【0013】
上下部のプレハブブロックの接合面を互いに直交する方向に配設されているので、外力がかかった場合に、強度の異方性がなく補強強化されていて破損する虞が少ない。
【0014】
地中埋設アンカーにのしかかる土の自重で上下プレハブブロックの転倒モーメントに抵抗することができると共に、上下プレハブブロックと地中埋設アンカーの組み合わせにより、狭隘地などにおいて確保できなかった建築設備機器の設計用標準水平震度0.4Gの耐震性能を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明すれば、本発明に係る給湯機の設置用簡易基礎は、大別すれば2分割された上部プレハブブロック1,1と、同じく2分割された下部プレハブブロック2,2と、地中に埋設される鋼製プレート3と、その鋼製プレート3に螺合する長ボルト4からなる地中埋設アンカー5とにより構成されている。
【0016】
2分割された上下部プレハブブロック1,1、2,2は、予め工場で成型された高品質のプレキャストコンクリートブロックであり、図3に示すように、左右に2分割されており接合面1b,1b、2b,2bを接合することにより中央部に円形孔1cを有する正方形状のブロック体となる。そのサイズは800mm×800mmで、φ300mmの円形孔1cを中央部に有し、1戸建て住宅地内の最大設置可能なサイズになっている。そして、分割された一つのプレハブブロック1を、人力での作業可能な重量を考えて厚さを70mmにしてある。
【0017】
地中に埋設される鋼製プレート3は、上下部のプレハブブロック1,2と同じ800mm×800mの正方形状で厚さが45mmであり、4角部にナット6…6を溶接して取り付けてあり、そのナット6…6に長さが300mmの長ボルト4…4を螺合して設けてある。この鋼製プレート3と長ボルト4…4とで地中埋設アンカー5を構成している。
【0018】
鋼製プレート3の埋設される深さは、地表から150mmまでの浅層に埋設されるのが好ましく、この実施の形態では140mmの深さに埋設してあり、家庭内に連結される水道管やガス管などの家庭用配管を損傷するおそれがない深さであり、施工性をしやすくしてある。
【0019】
このように構成された本発明の給湯機設置簡易基礎の施工例を図7〜図12に基づいて説明する。まず、給湯機設置簡易基礎となる地面Gに、鋼製プレート3の外形より若干大きい正方形状の掘削孔11を140mm深さに掘る(図7)。その掘削孔11の底部を水平に整地し水準器でレベルを確認して鋼製プレート3を水平状態に布設する (図8)。
【0020】
掘削孔11を埋め戻し、鋼製プレート3が傾かないように注意をしながら残土で埋め戻し、地表面を小型プレートランマーで転圧して充分に地盤を締め固める(図9)。締め固めた地盤上に砂利12を敷く(図10)。整地の後、練りモルタル13を敷設して載置面14とする(図11)。
【0021】
2分割された下部プレハブブロック2,2に穿設されたボルト孔7……7を、載置面14から突出するボルト4……4に挿通し、その下部プレハブブロック2,2の上面に上部プレハブブロック1,1を、接合面2b,2bと1b,1bが直交する方向に載置し、上部プレハブブロック1,1のボルト孔7……7にボルト4……4を挿通螺合して一体化する(図12)。
【0022】
上記各作業の時間を平均時間で見ると、掘削が30分、アンカー設置が11分、埋め戻しが21分、転圧が15分、基礎組み立てが20分、合計97分かかり、簡易施工性として充分満足できるものであった。
【0023】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の例に限らず、本発明の目的を達成でき、かつ本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0024】
つぎに、上下プレハブブロック1,2と地中埋設アンカー5を組み合わせて耐震性能確認試験を実施した。試験方法としては、図13に示すように、貯湯タンクTの重心位置にワイヤーWを取り付け、一側方の加圧機器Kにより水平荷重をかけ上下プレハブブロック1,2の安定性能(転倒)を確認した。試験体は3試料とする。
【0025】
表1
試料No 荷重:140kg 荷重:210kg 荷重:270kg 破壊荷重
(0.2G相当) (0.3G相当) (0.4G相当) (転倒)
1 良 良 良 320kg
(0.47G相当)
2 良 良 良 329kg
(0.48G相当)
3 良 良 良 329kg
(0.48G相当)
【0026】
図14の荷重と変位量の関係から明らかなように、下部プレハブブロック2,2の下面が弾性地盤と考えられることから、初期水平荷重時から下部プレハブブロック2,2のめり込み量と浮き上がり量がほぼ比例して発生している。上下プレハブブロックのみで転倒に耐え得る限界水平荷重:210kg(水平震度0.3G)を過ぎると、めり込み量に比べ浮き上がり量が増加の傾向を示し、水平荷重が270kg(水平震度0.4G)を過ぎると浮き上がり量はさらに増加の傾向を示し破壊(転倒)に達した。
【0027】
破壊(転倒)時には上下プレハブブロック1,2の浮き上がり側の地盤表面に亀裂が生じた。これは地中埋設アンカー5の引き抜き力による鋼製プレート4上の地盤と周辺地盤の間でせん断破壊が生じたものと考えられる。
【0028】
以上の結果により、水平震度0.4Gのうち約0.3Gを上下プレハブブロック1,2で負担し、残り約0.1Gを埋設アンカー5で負担できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、電気給湯機の貯湯タンクを一戸建ての住宅に設置する場合の簡易基礎として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の給湯機設置用簡易基礎の斜視図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】上部、下部プレハブブロックの簡略図である。
【図4】地中埋設アンカーの斜視図である。
【図5】埋設プレートの平面図である。
【図6】ボルトの正面図である。
【図7】地面に掘削孔を掘った状態の説明図である。
【図8】掘削孔にプレートを敷設した状態の説明図である。
【図9】掘削孔を埋め戻した状態の説明図である。
【図10】地盤上に砂利を敷いた状態の説明図である。
【図11】練りモルタルを敷設して載置面とした状態の説明図である。
【図12】上部、下部プレハブブロックが接合一体化した状態の説明図である。
【図13】耐震性能試験方法を示す説明図である。
【図14】荷重と変位量の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 上部プレハブブロック
1b 接合面
2 下部プレハブブロック
2b 接合面
3 鋼製プレート
4 ボルト
5 地中埋設アンカー
6 ナット
7 ボルト孔
11 掘削孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2分割された上部プレハブブロックと下部プレハブブロックを互いの接合面が直交する方向に積み重ね、上下部のプレハブブロックと地中埋設アンカーを接合一体化してなる給湯機設置用簡易基礎。
【請求項2】
前記地中埋設アンカーは、方形状に形成された鋼製プレートとその鋼製プレートの4角部に設けたナットに螺合する4本のボルトで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯機設置用簡易基礎。
【請求項3】
地中埋設アンカーよりも若干大きい孔を掘削し、該掘削孔内に地中埋設アンカーを布設した後、掘削孔を埋め戻して地盤を締め固め、2分割された上部プレハブブロックを、下部プレハブブロックの接合面と直交する方向に重合させ、上下部のプレハブブロックに穿設されたボルト孔にボルトを螺合させて接合一体化することを特徴とする給湯機設置用簡易基礎の施工法。
【請求項1】
2分割された上部プレハブブロックと下部プレハブブロックを互いの接合面が直交する方向に積み重ね、上下部のプレハブブロックと地中埋設アンカーを接合一体化してなる給湯機設置用簡易基礎。
【請求項2】
前記地中埋設アンカーは、方形状に形成された鋼製プレートとその鋼製プレートの4角部に設けたナットに螺合する4本のボルトで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯機設置用簡易基礎。
【請求項3】
地中埋設アンカーよりも若干大きい孔を掘削し、該掘削孔内に地中埋設アンカーを布設した後、掘削孔を埋め戻して地盤を締め固め、2分割された上部プレハブブロックを、下部プレハブブロックの接合面と直交する方向に重合させ、上下部のプレハブブロックに穿設されたボルト孔にボルトを螺合させて接合一体化することを特徴とする給湯機設置用簡易基礎の施工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−24727(P2010−24727A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187800(P2008−187800)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000227722)株式会社日本ネットワークサポート (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000227722)株式会社日本ネットワークサポート (19)
【Fターム(参考)】
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