説明

給湯機

【課題】使用者が設定した使用流量に対して、所定の節水率になるに流量を変動させることで、使用性を維持しつつ節水運転を実現する給湯機を提供すること。
【解決手段】お湯を給湯端末42へ供給する給湯管路40と、前記給湯管路40を流れる温水の流量を検出する流量検出手段43と、前記給湯管路40を流れる温水の流量を調整する流量調整手段44と、制御手段94とを備え、前記給湯管路を流れる温水の流量が、前記流量検出手段44で検出した初期流量に対して所定の節水率から算出される節水流量となるように、前記給湯管路40を流れる温水の流量を、前記流量調整手段44で変動させるとともに、変動させたときの多い側の流量を初期流量以上にすることを特徴とする給湯機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お湯を給湯端末へ供給する給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯機は、制限流量最大値を同最大値よりも低い所定流量値に制限する流量制限手段を備え、給湯機の能力を強制的に低く抑えることによって、使用者が水栓で流量を絞ることなく節水することができるようにしている。また、制限流量の設定や解除は、使用者が操作部により任意に操作可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、台所で食器洗いをする場合と、浴室でシャワーを使用する場合といったように用途によっては使用する適正な流量が異なるため、用途の異なる複数の出湯先にそれぞれ出湯要求の有無を検出する検出手段を設け、出湯要求のあった出湯先に応じて制限流量を変更して制御できるようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−303865号公報
【特許文献2】特開平11−281146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、出湯要求の有無を検出する検出手段を設けた出湯先の最大流量を制限しているだけであり、制限流量以下で使用されている場合には、なんら節水機能を果たさないという課題を有していた。
【0006】
また出湯先の使用目的が一通りでなかったり、使用者によって適正流量が異なっていたりして制限流量より多い流量で使用したい場合でも、最大流量が制限流量で制限されてしまい、使用流量に不満を感じるといった課題を有していた。
【0007】
また、単純に流量を低くするだけであるため、シャワー等の使用において、制限流量でのシャワーを体感的に弱く感じて制限流量をあまり低く設定できず、節水効果が上がらないという課題を有していた。
【0008】
また、複数の出湯先でそれぞれ制限流量を設ける場合、出湯先に出湯検出手段を設ける必要があり、機器単独でなく給湯設備を含めたシステムにする必要があり費用がかかったり、工事が必要になったりという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使用者が設定した使用流量に対して、所定の節水率になるに流量を変動させることで、使用性を維持しつつ節水運転を実現する給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯機は、お湯を給湯端末へ供給する給湯管路と、前記給湯管路を流れる温水の流量を検出する流量検出手段と、前記給湯管路を流れる温水の流量を調整する流量調整手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる温水の流量が、前記流量検出手段で検出した初期流量に対して所定の節水率から算出される節水流量となるように、前記給湯管路を流れる温水の流量を前記流量調整手段で変動させ
るとともに、変動させたときの多い側の流量を初期流量以上にすることを特徴とするものである。
【0011】
これによって、出湯先や使用目的に関係なく機器単独で、使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量に制御することができ、さらに、流量変動の中で初期の流量以上の流量を感じるため、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく、より同等に近い感覚で節水運転を行うことができるため使用性を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者が設定した使用流量に対して、所定の節水率になるに流量を変動させることで、使用性を維持しつつ節水運転を実現する給湯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【図2】同形態における節水運転フローチャート
【図3】同形態における他の節水運転フローチャート
【図4】同形態における他の節水運転フローチャート
【図5】同形態における節水運転の流量と節水率の関係を示す図
【図6】同形態における他の節水運転フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、お湯を給湯端末へ供給する給湯管路と、前記給湯管路を流れる温水の流量を検出する流量検出手段と、前記給湯管路を流れる温水の流量を調整する流量調整手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる温水の流量が、前記流量検出手段で検出した初期流量に対して所定の節水率から算出される節水流量となるように、前記給湯管路を流れる温水の流量を前記流量調整手段で変動させるとともに、変動させたときの多い側の流量を初期流量以上にすることを特徴とする給湯機で、出湯先や使用目的に関係なく機器単独で、使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量に制御することができ、さらに、流量変動の中で初期の流量以上の流量を感じるため、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく、より同等に近い感覚で節水運転を行うことができるため使用性を向上できる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明において、給湯管路を流れる温水の流量を大小に変動させるとき、変動周期が0.5〜3Hzになるように変動させることを特徴とするもので、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく、より同等に近い感覚で節水運転を行うことができる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、流量検出手段で検出した初期流量が、所定流量以下の場合には、流量調整手段による流量変動を行わないことを特徴とするもので、流量検出手段の検出流量が、あらかじめ設定した閾値流量以下の場合には、流量変動を行わないことにより、使用者が設定した初期の流量が低流量で、節水流量に制御すると使用感がどうしても低下してしまう流量域においては、節水運転を行わないことにすることで、低流領域での節水運転による不快感を与えずに、節水が必要な流量域でのみ節水運転を行うことができる。
【0017】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれかの発明において、浴室への人の入室を検知する人検知手段を備え、前記人検知手段が浴室への人の入室を検知した時のみ、流量変動を行うことを特徴とするもので、人検知センサで人が入室しているのを検出している時のみ流量変動を行うことにより、特に大流量で使われる浴室でのシャワー使用時にのみ節水運
転を行い、台所等で流量変動が気になるところでは節水運転を行わない等、自動に切り替えることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における風呂追い焚き機能の付いた貯湯式給湯機の構成図である。図1において、本実施の形態の貯湯式給湯機は、タンクユニット1とヒートポンプユニット2を備えており、タンクユニット1内に配設している貯湯タンク3内に貯える高温水を、ヒートポンプユニット2にて生成している。
【0020】
なお、本実施の形態では加熱手段としてヒートポンプを用いているが、これに限定されることなく、例えば、タンク内に電気ヒーターを内設して加熱する形態であってもよい。また、実線矢印は流体の流れる方向を示している。
【0021】
次に、ヒートポンプユニット2の構成について説明する。
【0022】
ヒートポンプユニット2は、水冷媒熱交換器24、圧縮機25、蒸発器26、膨張弁27を冷媒配管により順次環状に接続して構成されており、冷媒には二酸化炭素を使用しているため、高圧側が臨界圧力を超えるので、水冷媒熱交換器24を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮することがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くすることができる。
【0023】
また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球環境に優しい製品を提供できる。
【0024】
また、ヒートポンプユニット2において、圧縮機25で冷媒が圧縮され、圧縮機25から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器24で放熱し、膨張弁27で減圧されたあと、蒸発器26で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機25に吸入される。
【0025】
なお、圧縮機の能力制御および膨張弁27の開度制御は、圧縮機25の吐出側に設けたサーミスタ(図示せず)で検出される吐出冷媒の温度が予め設定された温度を維持するように制御される。また、貯湯タンク3内の湯水は、水ポンプ28が作動することで、水冷媒熱交換器24に流入し、冷媒と熱交換を行い、再び貯湯タンク3に戻り、積層状態で貯湯タンク3の上部に高温の湯が貯えられる。
【0026】
次に、タンクユニット1の構成について説明する。タンクユニット1には前述した通り貯湯タンク3を有しており、貯湯タンク3の底部には給水源から低温水を供給するための給水配管31が接続されており、常時給水圧がタンク内に掛かっている状態となっている。また、貯湯タンク3の上方部には貯湯タンク内の高温水を出湯するための出湯管32が接続されており、給湯端末や浴槽へ高温水を供給可能に構成している。
【0027】
次に、給湯端末へ湯が供給される給湯回路について説明する。
【0028】
本実施の形態における給湯回路は、給水配管31から分岐した端末給水配管33と、出湯管32とを電動式混合弁4にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁4の下流側に設けた温度センサ41で検出される温度が、台所や浴室
に設けられたリモコンで設定した温度となるように、電動式混合弁4の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、流量センサ等の流量検出手段43と流量調整弁等の流量調整手段44とを備えた給湯管路40を流れて、給湯端末42やシャワー45へ供給される。
【0029】
次に、浴槽5への湯張り回路および追い焚き回路について説明する。
【0030】
本実施の形態では、浴槽5内の湯水と、貯湯タンク3内の高温水とが追い焚き熱交換器6にて熱交換し、浴槽内の湯水を追い焚きする追い焚き機能を有している。そのため、追い焚き熱交換器6の高温側回路は、貯湯タンク3内の高温水が供給されるように構成されており、熱交換した後の温水を貯湯タンク3の下方部へ戻すように構成されている。また、追い焚き熱交換器6の低温側回路は、浴槽5内の湯水が供給されるように構成されており、熱交換した後の浴槽水を、再度浴槽5へ戻すように構成されている。
【0031】
高温側回路においては、追い焚きポンプ7および追い焚き熱交換器6の下流側に高温側出口温度検出手段である温度センサ71が配設されており、追い焚きポンプ7が駆動することによって貯湯タンク3内の高温水が、追い焚き熱交換器6へ搬送される。
【0032】
そして、浴槽5のアダプタ51とタンクユニット1とは、接続部60a〜60dにおいて、戻り接続管61および往き接続管62で接続される。また、戻り接続管61および往き接続管62の接続口から追い焚き熱交換器6までは、それぞれ戻り配管63および往き配管64で接続されており、浴槽5、戻り接続管61、戻り配管63、追い焚き熱交換器6、往き配管64、往き接続管62が順次接続されて追い焚き回路が構成されている。
【0033】
また、貯湯タンク3から浴槽5への湯水の供給を行う湯張り回路は、出湯管32から分岐した風呂給湯管34と、給水配管31から分岐した風呂給水配管35とを電動式混合弁8にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁8の下流側に設けた温度センサ81で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコンで設定した温度となるように、電動式混合弁8の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、浴槽5へ供給される。
【0034】
また湯張り回路には、流量センサ82が設けられており、浴槽5へ供給される湯水の量が計測される。さらに、二方向の電磁弁83が設けられており、湯張り開始時には、電磁弁83が開くと同時に、浴槽5への湯水の供給が開始される。そして電磁弁83が開いた後には、戻り配管63および往き配管64の二方向から浴槽5へと湯張りが行われる。また、汚水の逆流を防ぐための逆止手段84が設けられている。
【0035】
また、戻り配管63には、浴槽5内の湯水を循環させるための搬送手段である風呂ポンプ65、浴槽5内の水位を検出する水位センサ66、浴槽5内の湯水の温度を検出する浴槽温度検出手段である温度センサ67が設けられており、風呂ポンプ65が駆動することにより、浴槽5内の湯水が戻り配管63に吸い込まれ、追い焚き熱交換器6を経て、往き配管64へ流れ込み、再度浴槽5へ戻される。
【0036】
また、風呂ポンプ65と追い焚き熱交換器6の間には、浴槽5内に湯水があるかどうかを検出する湯水検出手段であるフロースイッチ68が設けられており、オンすることで水の流れを検知可能に構成されている。つまり、フロースイッチ68がオンしたときには浴槽5内には湯水があると判断し、フロースイッチ68がオフの時には浴槽5内には湯水がないと判断される。
【0037】
また、浴室には貯湯式給湯機の操作を行うことができる操作手段であり、浴槽5内の湯
水の保温温度を設定する温度設定手段であるリモコン9が設置され、リモコン9を操作して、湯水の温度設定や風呂への湯張り、また設置工事後の試運転操作等を行う。リモコン9には情報を表示する表示部91および操作を行う操作部92を有している。
【0038】
なお、図1には図示していないが、本実施の形態の貯湯式給湯機には、リモコン9からの指示を受け取り、各制御機器に命令する制御手段94も有している。そして制御手段94はマイコンおよびその電子制御部品で構成され、タンクユニット1を構成する機器に命令を送っている。
【0039】
さらに、本発明のリモコン9には、人検知手段93が設けられており、人が浴室に入室したことを検知することができるようになっている。なお人検知手段93には、赤外線センサや、浴室内の照度を検出する照度センサ、また入室者の振動やドアの開閉を検出する衝撃(振動)センサなど様々なセンサを用いることができ、種類が特定されるものではない。
【0040】
以上のように構成された貯湯式給湯機において、給湯使用時の節水運転について説明する。
【0041】
使用者が給湯端末42やシャワー45を使用して機器が給湯を開始すると、給湯管路40の流量検出手段43が流量を検出する。使用者が使用流量を調節して流量検出手段43の検出流量が安定したら、その流量を初期流量として制御手段94に学習する。
【0042】
その初期流量に対し、制御手段94であらかじめ設定された所定の節水率(5%〜10%)にするための流量を演算し、流量調整手段44でその流量を中心に流量を変動させる。これにより、台所使用やシャワー使用といった出湯先や使用目的に関係なく、機器単独で使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量(時間平均値)に制御することができ、その節水流量を中心に流量を大小に変動することにより、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく(同等の感覚で)節水運転を行うことができる。
【0043】
さらに貯湯式給湯機においては、タンクに貯めたお湯の使用量を減らすことができ、お湯を作るためのエネルギーの節約もできるとともに、タンクのお湯の湯切れの発生を抑えることができる。
【0044】
また、使用者が節水運転をするかどうかは、常に節水運転をする、流量検出手段43の検出流量が所定の閾値以上の場合のみとする、リモコン9によりモード設定するというように使用条件にあった方法を選択することができる。
【0045】
流量検出手段43の検出流量に所定の閾値を設けることにより、元々低流量で節水効果も小さい領域での使用においては、それ以上流量が減っては使用目的に合わなくなる使用域での節水運転を自動で中止することができ、使用者の使い勝手を優先することができる。
【0046】
リモコン9でモード設定する場合には、操作部92に専用SWを設けたり、設定メニューから選択したりすることができ、使用者が自分の使用目的に対応して節水運転をするかどうかを選択することができるようになる。
【0047】
また、節水率は一定の値を制御部94にもたせたり、初期流量の学習値によって切り換えたり、リモコン9で設定したりすることもできる。また、節水運転中はリモコン9の表示部91にシャワーがゆれている表示を行い、節水運転を行っていることがわかるように
したり、節水運転のモード表示をさせたりすることもできる。
【0048】
また、台所での洗い物等の給湯使用では流量変動していると違和感があるため、浴室でのシャワー使用時にのみ節水運転を実施するよう、リモコン9の人検知手段93による人の検知と連動させて、節水運転による流量変動を行うようにすることができる。人の検知をしていない時は、節水流量への制御だけを行うという方法もできる。
【0049】
図2は、節水運転時の給湯使用のフローチャートである。時間T1で使用者が給湯を開始し使用流量を調整し、時間T2で流量をRaに調整が終わり、機器の検出流量が安定する。流量が安定している状態を所定時間△T継続すると、その流量を初期流量Raとして学習し、Raに対して所定の節水率になる節水流量Rsを計算する。
【0050】
所定の節水率をZ%とすると、Rs=Ra×(1−Z/100)となる。そして、△T経過後の時間T3より、その算出した節水流量Rsを中心に、所定の流量変動幅の振幅±dで変動の1周期がTsになるように流量を変動させる。
【0051】
この場合、流量変動周期は1/TsHzとなる。流量変動周期は、短いと流量変動の上限・下限は感じにくく流量が減っているのはわかりにくいが、流量のゆれがせわしなくシャワーを浴びていて落ち着きがなく体感的に快適性がなる。
【0052】
逆に流量変動周期が長くなると、流量変動の上限・下限を感じやすくなり下限の低い流量の物足りなさを感じやすくなり流量的な体感が初期流量に対して劣っていると感じるようになる。このため流量変動周期は、体感試験の結果より0.5〜3Hzになるように1周期の時間Tsを設定する。
【0053】
このように、節水流量Rsを中心に流量を変動させて制御することにより、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく節水運転を行うことができる。
【0054】
例えば、初期流量Ra:10L/分、所定の節水率を10%、流量変動幅を±0.5L/分、1周期を0.5秒として節水運転を行うと、節水流量Rsは9L/分となり、流量変動の上限9.5L/分、下限8.5L/分の流量変動を周期1Hzで行うことになる。
【0055】
図3は、流量変動の上限流量を初期流量に設定した場合の節水運転時の給湯使用のフローチャートである。この場合、初期流量Raの学習により、所定の節水率Z%とするための節水流量Rsを算出するとともに、上限流量が初期流量Raであるので、流量変動幅の振幅をd=Ra×Z/100で算出できる。
【0056】
これにより、流量変動の下限流量も計算することができる。これにより、流量変動の振幅を所定の固定値で持たせる場合には、流量が少ない場合には振幅の割合が大きく変動を感じすぎたり、流量が多い場合には変動が感じられず、節水による流量低下を強く感じてしまったりということがあるが、このように初期流量に対して流量変動幅を決めることができれば、使用流量に対応した割合での流量変動の振幅を与えることができ、節水運転を不快に感じることなくできる。
【0057】
また、流量変動の上限を必ず初期流量以上にすることができ、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不満に感じることなく、より同等に近い感覚で節水運転を行うことができる。
【0058】
なお、初期流量が大きくなるとそれに対応して流量変動幅も大きくなることになるが、シャワー等の体感で流量変動の振幅があまりに大きくなると体感的に気になることもある
。そのため、流量変動幅に上限を持たせて、初期流量がある流量以上になり計算上の流量変動幅が流量変動幅の上限値を超える場合は、設定した流量変動の上限振幅で流量変動を行うといった制御を入れることもできる。
【0059】
図4は、リモコン操作により初期流量に対する節水率、流量変動の変動幅および変動周期を切り換えた場合の節水運転時の給湯使用のフローチャートである。リモコン操作で節水「大」モードと節水「小」モードを切り替えるものとする。
【0060】
節水「大」モードの節水率を節水「小」モードの節水率Z%の倍とし、逆に1周期の時間は節水「大」モードのTs秒に対して節水「小」モードは2Ts秒としている。また流量変動の振幅は上限流量が初期流量になるように設定している。
【0061】
節水「大」モードは節水率を大きくしそれに対応して流量変動の振幅も大きく取るが、流量の上限・下限を感じにくくするため周期を短くしている。節水「小」モードでは節水率を小さくして流量変動幅も小さく取るとともに、周期を長く取り流量変動をマイルドにしている。
【0062】
使用者により、流量振幅の大きさや変動周期により使用時の快適性が異なるが、このように節水運転のモードを切り替えることにより、使用者が、使用目的、使用感と節水効果を考え自分に合った節水運転を行うことができる。またモード切替ではなく、リモコンの操作で、節水率や周期を変更できるようにすることも考えられる。
【0063】
図5は、初期流量と節水運転の、節水率、流量変動の振幅の切り替えによる、各流量の変化の例である。節水「大」モードの節水率を10%、周期を2Hz、流量変動の上限振幅を±1L/分、節水「小」モードの節水率を5%、周期を1Hz、流量変動の上限振幅を±0.5L/分としている。また流量変動の振幅は節水「大」「小」どちらのモードも、上限流量が初期流量になるように設定している。
【0064】
また、一般的に台所の食器洗いの適正流量は約5L/分、シャワーの適正流量は10L/分前後であるので、シャワー使用時の節水運転を想定して節水運転を行う閾値流量を6L/分とし、台所使用等の6L/分未満の低流量では流量変動運転を行わないようにしている。
【0065】
節水「大」モードの10%節水の場合、流量が10L/分の時流量変動の振幅が1L/分となり流量変動の上限振幅となる。このため節水「大」の10%節水時は、初期流量10L/分以上は、振幅±1L/分、節水率は10%より小さくなり、初期流量10L/分未満では、振幅は初期流量の±10%、節水率は10%で運転する。
【0066】
同様に節水「小」モードの5%節水の場合も、流量が10L/分の時に流量変動の振幅が0.5L/分と流量変動の上限振幅となる。このため節水「小」の5%節水時は、初期流量10L/分以上は、振幅±0.5L/分、節水率は5%より小さくなり初期流量10L/分未満では、振幅は初期流量の±5%、節水率は5%で運転する。
【0067】
このように、節水率や流量変動の振幅の切り替え、閾値、振幅の上限流量等を規定することにより、使用目的に合わせて節水運転を自動で選択するとともに、使用者が節水率と自分の体感に適した節水運転モードを選択することができ、使用感に不快を感じることなく節水運転を行うことができる。
【0068】
図6は、浴室のリモコン9に設けた人検知手段93の人検出による節水運転の切り替えのフローチャートである。入浴していない、浴室に人が不在の状態では人検出手段93の
検出はoffである。この状態で、台所で閾値流量以上のお湯を使用されても節水運転は行わないようにする。
【0069】
時間Tnで入浴のために人が浴室に入ると、人検出手段93の検出がonになる。この状態でも、閾値流量以下の少量給湯使用時は節水運転を行わないようにしている。Tsでシャワー使用を開始され、水量センサの検出流量が、閾値流量以上の流量Raで安定すると、その流量を初期流量として学習し、節水運転を行うようにしている。
【0070】
このように、浴室内の人の検出に対応して節水運転を行うことにより、特に大流量で使われる浴室でのシャワー使用時にのみ節水運転を行い、台所等で流量変動が気になる使用状態では節水運転を行わないことを自動で切り替えることができ、使用者に使用目的に対応して不快感を与えることなく節水運転を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかる給湯機は、出湯先や使用目的に関係なく、使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量を算出し、使用者が設定した初期の流量と体感的に同等の感覚で節水流量での節水運転を機器単独で行うことが可能となるので、貯湯式以外の給湯手段や給水手段等での節水運転にも適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 タンクユニット
2 ヒートポンプユニット
3 貯湯タンク
9 リモコン
40 給湯管路
42 給湯端末
43 流量検出手段
44 流量調整手段
93 人検知手段
94 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
お湯を給湯端末へ供給する給湯管路と、前記給湯管路を流れる温水の流量を検出する流量検出手段と、前記給湯管路を流れる温水の流量を調整する流量調整手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる温水の流量が、前記流量検出手段で検出した初期流量に対して所定の節水率から算出される節水流量となるように、前記給湯管路を流れる温水の流量を前記流量調整手段で変動させるとともに、変動させたときの多い側の流量を初期流量以上にすることを特徴とする給湯機。
【請求項2】
給湯管路を流れる温水の流量を大小に変動させるとき、変動周期が0.5〜3Hzになるように変動させることを特徴とする請求項1に記載の給湯機。
【請求項3】
流量検出手段で検出した初期流量が、所定流量以下の場合には、流量調整手段による流量変動を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の給湯機。
【請求項4】
浴室への人の入室を検知する人検知手段を備え、前記人検知手段が浴室への人の入室を検知した時のみ、流量変動を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−196565(P2011−196565A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60638(P2010−60638)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【特許番号】特許第4674654号(P4674654)
【特許公報発行日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】