説明

給湯機

【課題】基準流量に対して、節水流量となるように流量を変動させることで、使用性を維持しつつ、節水と省エネルギーとを実現した給湯機を提供すること。
【解決手段】お湯を出湯部へ供給する給湯管路40と、前記給湯管路40に設けられ流量を調整する流量調整手段44と、基準流量を設定する基準流量設定手段46と、前記基準流量よりも少ない節水流量を設定する節水流量設定手段47と、制御手段23とを備え、前記給湯管路40を流れる湯水の流量が前記節水流量となるように、前記給湯管路40を流れる湯水の流量を、前記流量調整手段44により変動させる構成としたことを特徴とする給湯機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスや石油や電気を熱源とする給湯機や、大気熱と電気を熱源とするヒートポンプ給湯機などの給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯機のシャワー装置は、シャワー給湯使用時に検出したシャワー流量が、予め入力設定したシャワー流量の目標値以下の流量である場合に、リモコンに表示または音声で省エネ使用量であることを報知することで、シャワー使用量が省エネ使用量かどうかをシャワー利用者にしらせることができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10は、従来のシャワー使用時のシャワーヘッド45からの湯の出方を示したものである。同図の左図はシャワーヘッド1を穴が見える側から見た図である。湯が出る穴(たとえば45a、45bなど)が開けられている。同図の右図はシャワーヘッドから出た湯が体などに当たるまでの軌跡の一部と当たる場所を示したものである。
【0004】
上記左図穴45a、45bからで出た湯は右図点A、点Bに当たる。その他から出た湯も同様に右図に対応した点に当たることになり、図10で示した場合には、同図のように2つの同心円上に多数の点が並ぶことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−24913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、シャワー給湯流量の目標値は、シャワー利用者が通常使用するシャワー流量(利用者の好みの流量)以下の流量に単に設定されるはずだから、目標とするシャワー流量は利用者の好みの流量よりも少なくなるので、シャワー使用者は我慢して使用することになる。
【0007】
また、シャワーヘッドを固定して使用すると、シャワーヘッドから出た湯が体に当たる位置は固定されるので、人の触覚に対しては受動的な刺激となるため、順応により刺激の強度が弱く感じてくる。そのため、シャワー感に対して物足りなく感じるようになるという快適性の課題を有していた。
【0008】
また、単にシャワー流量を下げるだけでは、体や頭髪を洗った後の石鹸やシャンプーを十分すすぎ流せるとは限らない。通常、シャワー流量が小さくなると、すすぎの性能が落ちるので、すすぎ性能が悪くなるという課題を有していた。
【0009】
さらに、すすぎ性能が悪くなった分、シャワーで石鹸やシャンプーをすすぎ流す時間が長くなり、結果として、1回のシャワーで使用する使用量が減少しない場合や、時には、逆に使用量が増加してしまうこと場合があり、省エネ性や節水効果に課題を有していた。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、基準流量に対して、節水流量となるように流量を変動させることで、使用性を維持しつつ、節水と省エネルギーとを実現した給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯機は、お湯を出湯部へ供給する給湯管路と、前記給湯管路に設けられ流量を調整する流量調整手段と、基準流量を設定する基準流量設定手段と、前記基準流量よりも少ない節水流量を設定する節水流量設定手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる湯水の流量が前記節水流量となるように、前記給湯管路を流れる湯水の流量を、前記流量調整手段により変動させる構成としたことを特徴とするものである。
【0012】
これによって、出湯部であるシャワーヘッドから出た湯が体に当たる位置は常に変化し、人の触覚に対しては能動的な刺激となり、さらに、湯が当たる面積も増えるので、基準流量よりも少ない節水流量でも、快適性とすすぎ性を維持しつつ、節水と省エネルギーを実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基準流量に対して、節水流量となるように流量を変動させることで、使用性を維持しつつ、節水と省エネルギーとを実現した給湯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯機のシャワー装置の構成図
【図2】同形態における経過時間に対する流量変化を示す特性図
【図3】同形態におけるシャワーヘッドから出た湯の体に当たる場所の説明図
【図4】同形態における他のシャワー装置の構成図
【図5】同形態における他のシャワー装置の経過時間に対する流量変化を示す特性図
【図6】同形態における振幅と周波数に対するシャワー感を説明する説明図
【図7】同形態における官能評価試験結果を示す特性図
【図8】同形態における節水率に対する流量変化特性の違いを説明した説明図
【図9】本発明の実施の形態2におけるシャワー装置を備えた給湯機の構成図
【図10】従来例におけるシャワーヘッドから出た湯の体に当たる場所の説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、お湯を出湯部へ供給する給湯管路と、前記給湯管路に設けられ流量を調整する流量調整手段と、基準流量を設定する基準流量設定手段と、前記基準流量よりも少ない節水流量を設定する節水流量設定手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる湯水の流量が前記節水流量となるように、前記給湯管路を流れる湯水の流量を、前記流量調整手段により変動させる構成としたことを特徴とする給湯機で、通常使用する基準流量よりも少ない流量であっても、シャワー等の出湯部から出湯されるお湯が当たる位置が周期的に変化するので、すすぎ性能や使用感を落とさず節水効果があり、節水になる分だけ湯を沸かす必要がなくエネルギー削減になるので、省エネルギーを図ることができる。
【0016】
第2の発明は、周期的に変動させる最大の流量は、略基準流量か、基準流量以上とすることを特徴とするもので、変化する流量の最大値が通常使用する流量の基準流量と同等かそれ以上であるので、通常使用時と同等の使用感が得られ、快適性の向上を図ることができる。
【0017】
第3の発明は、基準流量を、出湯時から所定時間経過した後に設定することを特徴とするもので、そのときの使用者の好みの流量を基準流量として節水流量を決定するので、快適性の向上を図るとともに、事前に基準流量を設定しなくて良いので利便性の向上にもなる。
【0018】
第4の発明は、節水流量を、所定の節水率と基準流量とから設定することを特徴とするもので、所定の節水率を基に流量を求めるので、確実に所定の節水を図ることができる。
【0019】
第5の発明は、基準流量に対する節水流量の比率を節水率とし、前記節水率を複数選択できる構成としたことを特徴とするもので、異なる使用者のそれぞれの好みの流量や同一の使用者でもそのときの気分に応じた流量を選択できるので、快適性の向上を図ることができる。
【0020】
第6の発明は、基準流量に対する節水流量の比率を節水率とし、前記節水率の小さい場合は大きい場合に比べて、流量の変化の振幅及び周波数が小さいことを特徴とするもので、流量変化の振幅と周期とを人の感じ方に合わせた組み合わせを設定できるので、より快適性の向上を図ることができる。
【0021】
第7の発明は、流量変動の周波数を、1〜3Hzとすることを特徴とするもので、人が流量変化を快適に感じる周波数としているので、より快適性の向上を図ることができる。
【0022】
第8の発明は、節水率選択手段をリモコンに設けたことを特徴とするもので、異なる使用者のそれぞれの好みの流量や同一の使用者でも、そのときの気分に応じた流量を簡単に選択できるので、利便性や快適性の向上を図ることができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における給湯機のシャワー装置の構成図である。図1において、本実施の形態のシャワー装置21は、流量制御ユニット22とシャワーヘッド45とを配管接続することによって構成されている。また、シャワーヘッド45と反対側は、給湯機の給湯熱源装置20に接続されている。シャワーヘッド45等の出湯部に接続された流量制御ユニット22内の給湯管路40には、水の流量を検出する流量検出手段43と水の流量を調整する流量調整手段44とを備えている。
【0025】
さらに流量制御ユニット22は、シャワー利用者の好みの流量や使用上限流量を設定する基準流量設定手段46と、実際に使用する流量を設定する節水流量設定手段47と、流量検出手段43と、基準流量設定手段46と、節水流量設定手段47とからの信号で流量調整手段44の動作を制御する制御手段23とを備えている。
【0026】
なお、流量調整手段44としては、給湯機などで使用している流量制御弁(図示せず)などがある。この流量制御弁はステッピングモータで流量制御弁の弁体を駆動し水流路断面積を変化させることによって所定の流量に制御することができる。なお、給湯機では所定の温度にするために流量を調整することが多い。
【0027】
以上のように構成されたシャワー装置について、以下にその動作、作用を説明する。
【0028】
図1において、シャワーの使用者がシャワーを浴びる前に、基準流量設定手段46でシャワー流量の使用上限流量または、通常シャワーで使用している好みの流量(基準流量)を設定し、さらに、節水流量設定手段47で実際に使用する節水流量を設定する。
【0029】
このとき、節水流量は前述基準流量より少ない流量に設定するものとする。たとえば、前述の基準流量を最大流量として、節水流量を基準流量に対する給湯比率(基準流量を100%として給湯比率は100%より小さい率とする)で設定するようにすれば良い。そ
して、シャワーの給湯回路を開くと、制御手段23は流量検出手段43からの信号でそのときの流量を計測する。
【0030】
さらに、節水流量設定手段47で設定した節水流量になるように、流量調整手段44を調整する。そして、流量が節水流量になると、制御手段23は節水流量を中心として周期的に流量を多少に変動させるために流量調整手段44を制御する。すなわち、流量調整手段44である流量制御弁の弁体を節水流量の位置を中心に開閉を繰り返すように制御する。
【0031】
なお、基準流量設定手段46としては、流量入力部(図示せず)とこの流量入力部で設定された値を表示する表示部(図示せず)を備えたものがある。このときシャワー利用者は基準流量を、表示部に表示される数値を見ながら、前記流量入力部(例えば、テンキー入力や増加減できるキー)を操作して設定する。
【0032】
あるいは、周囲に数値(流量)表示があるダイヤルまたはスライド入力部(図示せず)を用いて基準流量を設定してもよい。さらに、節水流量設定手段47としても上記で説明した入力部(図示せず)と表示部(図示せず)とを備えたものでもよいし、ダイヤルまたはスライド入力部を備えたものでも良い。
【0033】
このとき節水流量設定手段47で設定する対象としては、実際にシャワーで使用する節水流量(変化する流量の平均流量)であっても良いし、前述したように基準流量に対する比率(給湯比率)であっても良いし、基準流量より減少させたい流量の基準流量に対する比率(節水率)であっても良い。
【0034】
また、基準流量設定手段46で設定する基準流量と節水流量設定手段47で設定する節水流量とは、シャワーを使用するたびに設置する必要はなく、最初に一度設定をし、その後、必要に応じて再設定すればよい。また、シャワー流量の好みは、人によって大きく異なる可能性がある。家族など使用する人が複数の場合は、例えば、基準流量設定手段46で設定する基準流量を、複数の人の中で好み流量が最大の人の流量に合わすようにすれば、家族全員がシャワーの使用感を落とさずに使用することができる。
【0035】
図2は横軸に経過時間をとり、縦軸にそのときのシャワー流量をとって、時間に対するシャワー流量の変化を示したものである。同図で、経過時間T1でシャワー給湯が開始され、経過時間T2で節水流量(同図のRs)になったことが確定し、その後、シャワー流量を周期Tsで変化させている。この時の周波数(Fs=1/Ts)は後述するように約1〜3Hzであり、基準流量をRk、給湯比率をYとした場合、振幅は、Rk×(100−Y)/100となる。このようにすれば、流量変化の最大値が基準流量と同等になるので、使用者のシャワー感を損なうことが少ない。
【0036】
図3はシャワー流量を変化させた場合のシャワーヘッド45からの湯の出方を示したものである。従来例の場合と同様、同図の左図はシャワーヘッド1を穴が見える側から見た図である。湯が出る穴(たとえば45a、45bなど)が開けられている。同図の右図はシャワーヘッドから出た湯が体などに当たるまでの軌跡の一部と当たる場所を示したものである。
【0037】
前述したように、流量調整手段44である流量制御弁の弁体を節水流量の位置を中心に開閉を繰り返すとそれに対応してシャワーヘッド45の内部の圧力が変化する。すなわち、前記弁体を流路面積が小さくなる方向に移動すると、シャワーヘッド45の内部の圧力は低下する。逆に、前記弁体を流路面積が大きくなる方向に移動すると、シャワーヘッド45の内部の圧力は増加する。ただし、前記弁体と圧力の変化とは時間遅れがある。この
圧力変動に応じてシャワーヘッドから出た湯の軌跡も変化する。
【0038】
図3の点線は、シャワーヘッド45の穴45aからで出た湯の軌跡を示したものであり、中央の点線を中心に上下の点線で示される範囲で変化する。そして、体に当たる部分は、同図のAで示す略長方形になる。同様に、穴5bから出た湯の体に当たる部分は同図のBで示す略長方形になる。その他の穴から出た湯についても同様になる。結局、従来例の場合に比べて、シャワーヘッドから出た湯が体に当たる面積が増加することになる。
【0039】
このように、シャワー流量を変化させると、体に当たる面積が大きくので、通常使用している一定流のシャワーの場合と比較して、シャワー感をほぼ同等に維持し、さらに石鹸やシャンプーのすすぎ落としの性能も維持して、節水の効果が得られる。さらに、使用湯量が少なくなる分、沸き上げる湯量が減少するので省エネルギーの効果もある。
【0040】
なお、経過時間に対するシャワー流量の変化を説明した図2では、流量の変化の最大値と基準流量とをほぼ同等の流量にしていたが、流量の変化の最大値を基準流量よりも大きくしても良い。この場合、最大流量付近のときにシャワーの強さが大きく感じられ、シャワー感も維持されるので、快適性が維持される。
【0041】
図1ではシャワー利用者が基準流量設定手段46によって基準流量を設定する構成としていたが以下に述べるように、シャワー使用者自身が設定せずに自動的に設定することもできる。図4において、図1と異なる点は、基準流量設定手段46は流量検出手段43からの信号で流量を検出し、それを基に基準流量を決定する。また、シャワー装置21にリモコン9を設け、このリモコンの機能の一つとして、節水流量設定手段47の機能を具備する構成としていることである。
【0042】
以上のように構成されたシャワー装置について、以下にその動作、作用を説明する。図4において、シャワーの使用者がシャワーを浴びる前に、節水流量設定手段47の機能を具備するリモコン9を操作して節水流量を設定する。節水流量としては直接流量を設定してもよいが、後述する基準流量に対して減少させる率(節水率)を設定しても良い。
【0043】
ここでは節水率を設定するものとする。このとき、制御手段23は、流量調整手段44である流量制御弁の弁体を所定の位置に移動させる。所定の位置とは、後述するように、節水流量を中心に弁体を移動(回転)するために必要な回転代を設けるためであり、例えば、流量制御弁の弁体が全開のときの流量に対して約80〜90%程度になる位置に設定する。
【0044】
そして、シャワーの給湯回路を開くと、制御手段23は流量検出手段43が検出した信号を用いてそのときの流量を計測する。そして、流量検出手段43が検出を開始してから所定の時間ΔTが経過した時点の流量を基準流量として決定する。この基準流量はすなわちシャワー使用者の好みの流量である。制御手段23は、この決定された基準流量と先に設定された節水率とから節水流量を求める。節水率をZ、基準流量をRkとすると、節水流量Rsは、Rs=Rk×(1−Z/100)となる。
【0045】
そして、制御手段23は、節水流量Rsを中心として周期的に流量を変化させるために流量調整手段44を制御する。すなわち、流量調整手段44である流量制御弁の弁体を節水流量の位置を中心に開閉を繰り返すように制御する。
【0046】
すなわち、節水流量Rsを中心に周期的に、流量を変化させることで、通常使用する基準流量Rkよりも少ない流量であっても、シャワーが当たる位置が周期的に変化するので、すすぎ性能や使用感を落とさず、シャワーを浴びることができるので節水効果があり、
節水になる分だけ湯を沸かす必要がなくエネルギー削減になるので、省エネルギーを図ることができる。
【0047】
図5は横軸に経過時間をとり、縦軸にそのときのシャワー流量をとって、経過時間に対するシャワー流量の変化を示したものである。経過時間T1でシャワー給湯が開始され、経過時間T2以降でほぼ流量が一定になる。このほぼ一定流量になってから所定の時間ΔT経過後の流量を基準流量とする。この基準流量と前述の節水流量の値を用いて、制御手段23は、シャワー流量を周期Tsで変化させる。
【0048】
この変化の周波数(=1/Ts)は後述するように約1〜3Hzであり、基準流量をRk、給湯比率をYとした場合、振幅は、Rk×Z/100となる。このようにすれば、流量変化の最大値は基準流量とほぼ同等になるので、使用者のシャワー感を損なうことが少ない。さらに、シャワーを使用する度に、そのシャワー使用者の通常使用する流量(基準流量)を測定してから、節水流量を中心に流量を変化させるので、家族など異なる複数の人が使用しても、または、同じ人でもその時の気分で使用したい流量が変わっても、それに応じた節水流量を設定するので、快適性向上になる。
【0049】
上記説明では、所定の時間として、流量がほぼ一定流量になってからの時間ΔTを所定の時間としたが、次のようにしても良い。シャワー給湯が開始されて、シャワーが出されたことを確定できる確定流量Rxになってからの時間ΔTxを所定の時間としても良い。
【0050】
リモコンの機能の一つとして、節水流量設定手段47の機能を具備する構成としているが、具体的には、図1での説明と同様、節水率入力部(図示せず)とこの節水率入力部で設定された値を表示する表示部(図示せず)とを備えた構成がある。このときシャワー利用者は節水率を、表示部に表示される数値を見ながら、前記節水率入力部(例えば、テンキー入力や増加減できるキー)を操作して設定する。
【0051】
あるいは、周囲に数値(節水率)表示があるダイヤルまたはスライド入力部(図示せず)を用いて節水率を設定してもよい。さらに、具体的に節水率を設定しなくても、予め設定された2つ以上の節水率の中から選択する構成にしても良い。例えば、節水率20%を「大」、節水率10%を「中」、節水率5%を「小」、節水なしを「切」として、前記リモコン9にスイッチを設ける構成である。このために4個のスイッチを設けても良いし、一つのスイッチで押すたびに上記設定内容が変わるようにしても良い。
【0052】
このように、予め設定された複数の節水率の中から節水率を選択する方法は、簡単に好みの節水率を選べるので、利便性が向上する。また、「大」、「中」、「小」、「切」のどれを選択しているかがわかるように、リモコン9に表示部を設け、その選択状態を表示するとさらに利便性が向上する。なお、LEDなどの点灯する数で選択状態を表示しても良い。
【0053】
さらに、リモコン9に表示部を設け、メニュー画面の中で選択できるようにしても良い。また、上記では「大」、「中」、「小」、「切」の4段階の選択であったが、これよりも多くても良いし、少なくても良い。
【0054】
さらに、前記予め設定された2つ以上の節水率はシャワー装置21で固定の値であっても良いし、リモコンを操作してシャワー使用者が自分自身に応じた節水率を変更できる構成としても良い。このようにすれば、よりシャワー使用者の好みのシャワー感が得られ、快適性の向上になる。
【0055】
上述のように、節水流量を中心に流量を変化させるが、節水率の異なる条件の場合、次
のように流量変化の仕様を決定する。図6は、横軸に流量変化の振幅を取り、縦軸に流量変化の周波数を取って、そのときのシャワー感をあらわしたものである。例えば、振幅を同じにして周波数を大きくすると、シャワー感としては強く感じる。
【0056】
また、周波数を同じにして振幅を大きくすると、強弱の変化を感じるようになる。特にこの強弱の変化に対しての感じ方は、人によってばらつきが大きい。だから、あまり振幅を大きくしすぎると不快に感じる人の割合が大きくなってしまう。同図に点Aで示す節水率の大きい場合を基準に節水率の小さい場合の振幅と周波数とは次のように決定する。節水流量を中心に流量を変化させる場合、シャワー感を基準流量(好みの流量)と同等にするために、流量変化の最大値を基準流量と同等に設定する。
【0057】
また、節水率は基準流量と節水流量との差に比例するため、節水率を小さくするためには、節水流量を大きくすることになるので、結果として流量変化の振幅は小さくなる。しかし、単に振幅を小さくしただけでは、節水率の大きい場合よりも節水流量が大きいので当然シャワー感は強くなる。図6に示すように強く感じる分だけ周波数を小さくして点Bの状態にすれば、節水率を小さくしても節水率が大きい場合と同等のシャワー感を得ることができる。
【0058】
図7は、基準流量を固定して、振幅と周期(周波数の逆数)をパラメータとしてシャワー感を評価するために行った感応評価の結果である。振幅条件としては、0.5、1.0、1.5、2.0L/分の4通り、周期条件としては、0.4〜1.1秒まで0.1秒間隔で8通りである。主観評価として、「不快」、「やや不快」、「普通」、「やや快適」、「快適」で答えてもらい、それを点数に置き換えたものであり、3点が普通(基準流量と同等)であり、大きい点数ほど快適性が良いことを示している。
【0059】
同図からわかるように、振幅が0.5L/分のとき、周期が1秒前後で大きな点数となっている。また、振幅が1.0L/分のとき、周期が0.5秒前後で大きな点数になっている。これを周波数に換算すると、約1〜3Hzとなる。シャワーのように流量が10L/分程度の場合、流量の変化周波数は約1〜3Hz程度が快適な周波数となる。
【0060】
図8は節水率の大きい場合と小さい場合の経過時間に対する流量の変化を比較したものである。下の図が節水率の大きい場合、上の図が節水率の小さい場合である。例えば、基準流量10L/分で、節水率が10%と5%の場合、振幅はそれぞれ1L/分、0.5L/分で、周波数はそれぞれ2Hz(同図中Fa)、1Hz(同図中Fb)程度である。
【0061】
(実施の形態2)
図9は、本実施の形態におけるシャワー装置を備えた給湯機の構成図である。図9において、図4の実施の形態1と異なる点は、流量制御ユニット22を、熱源部29を備えた給湯機の給湯熱源装置20の中に内蔵したことである。同図において、流量制御ユニット22は熱源部29の出口側に設けられている。
【0062】
さらに、給湯熱源装置20に接続された給水配管31から供給された市水は、熱源部29で加熱されて、前記給湯管路40を通って、出湯部である給湯端末42やシャワーヘッド45に供給される。また、熱源部29と浴槽5とは戻り接続管61と往き接続管62とで接続されている。
【0063】
なお、図4で説明したリモコン9は給湯熱源装置20のリモコンと共用するものとする。また、熱源部29としては、ガスや石油の給湯機や貯湯式の電気温水器やヒートポンプ給湯機などがある。動作、作用、効果は図4と同様であるので説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかるシャワー装置は、使用者が使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量を設定し、使用者が使用したい流量と体感的に同等の感覚で節水流量での節水シャワーを行うことが可能となるので、単独のシャワー装置としても、前記シャワー装置の機能を組み込んだ給湯機(給湯機)としても、節水手段としての利用が可能である。
【符号の説明】
【0065】
23 制御手段
29 熱源部
40 給湯管路
43 流量検出手段
44 流量調整手段
46 基準流量設定手段
47 節水流量設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
お湯を出湯部へ供給する給湯管路と、前記給湯管路に設けられ流量を調整する流量調整手段と、基準流量を設定する基準流量設定手段と、前記基準流量よりも少ない節水流量を設定する節水流量設定手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる湯水の流量が前記節水流量となるように、前記給湯管路を流れる湯水の流量を、前記流量調整手段により変動させる構成としたことを特徴とする給湯機。
【請求項2】
周期的に変動させる最大の流量は、略基準流量か、基準流量以上とすることを特徴とする請求項1に記載の給湯機。
【請求項3】
基準流量を、出湯時から所定時間経過した後に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の給湯機。
【請求項4】
節水流量を、所定の節水率と基準流量とから設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに1項に記載の給湯機。
【請求項5】
基準流量に対する節水流量の比率を節水率とし、前記節水率を複数選択できる構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに1項に記載の給湯機。
【請求項6】
基準流量に対する節水流量の比率を節水率とし、前記節水率の小さい場合は大きい場合に比べて、流量の変化の振幅及び周波数が小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに1項に記載の給湯機。
【請求項7】
流量変動の周波数を、1〜3Hzとすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の給湯機。
【請求項8】
節水率選択手段をリモコンに設けたことを特徴とする請求項5に記載の給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−202816(P2011−202816A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67626(P2010−67626)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】