説明

給湯発電システム

【課題】 従来に比べてさらに高い給湯効率および発電効率を得られる給湯発電システムを提供する。
【解決手段】 熱媒体タンク23に貯えられた熱媒体がタンク23の下部から排ガス用熱交換器21に向けて圧送される。そして、当該熱媒体が排ガス用熱交換器21を通過する過程で廃ガスによって加熱され、その後、熱媒体タンク23の上部に流入する。流路15内の蒸発用熱交換器31に流入した冷媒は、蒸発用熱交換器31内において、流路13を介して熱媒体タンク23の上部から流入する熱媒体によって加熱された後に膨張機45に流入する。膨張機45において、蒸発用熱交換器31から流入した冷媒を膨張し、それを回転動力に変換して、発電機47で発電を行う。蒸発用熱交換器31から流出した熱媒体はタンク23の下部に流入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯と発電が可能な給湯発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽熱で加熱した湯(水)を蓄熱タンクに蓄熱し、この蓄熱した熱を用いて、媒体循環路で送られた媒体を加熱するシステムが開示されている。
当該システムでは、加熱された媒体を膨張する膨張器を備え、当該膨張機で発電を行う。先行技術としては、特開2009−210162号公報が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したシステムでは、給湯効率および発電効率をさらに高めたいという要請がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比べてさらに高い給湯効率および発電効率を得られる給湯発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の給湯発電システムは、第1の流体が流れる第1の閉流路と、被加熱雰囲気内に置かれ、前記第1の閉流路の一部を構成し、前記第1の閉流路内を流れる第1の流体を前記被加熱雰囲気内で加熱する構造を備えた熱交換手段と、前記第1の閉流路の一部を構成し、前記第1の流体を貯めるタンクと、第2の流体が流れる第2の閉流路と、前記第2の閉流路の一部に設けられ、当該閉流路を流れる前記第2の流体を冷却する冷却手段と、前記第2の閉流路の前記冷却手段の下流側に設けられ、前記タンク内の前記第1の流体により、前記第2の閉流路を流れる前記第2の流体を加熱する加熱手段と、前記第2の閉流路の前記加熱手段の下流側に設けられ、当該加熱手段で加熱された前記第2の流体を用いて発電し、当該第2の流体を前記冷却手段に向けて流出する発電手段とを有する。
【0006】
本発明の給湯発電システムでは、熱交換手段が高温のガス流路内に置かれ、第1の閉流路内を流れる第1の流体が熱交換手段によって加熱される。
当該加熱された流体は、タンク内に貯えられる。
そして、加熱手段が、タンク内の加熱された第1の流体を用いて、第2の閉流路内を流れる第2の流体を加熱する。そして、発電手段が、上記加熱された第2流体を用いて発電を行う。
【0007】
本発明の給湯発電システムは、前記熱交換手段から前記第1の流体が流入する前記タンクの流入口と、前記第1の流体を前記加熱手段に流出する流出口とは、前記加熱手段から前記第1の流体を流入する流入口と、前記熱交換手段に前記第1の流体を流出する流出口とに対して、上方に位置する。
【0008】
本発明の給湯発電システムでは、熱交換手段が高温のガス流路内に置かれ、第1の閉流路内を流れる第1の流体が熱交換手段によって加熱される。
当該加熱された高温の流体は、タンクの上部から流入しタンク内に貯えられる。
そして、加熱手段が、タンク内の加熱され、タンクの上部から流出した高温の第1の流体を用いて、第2の閉流路内を流れる第2の流体を加熱する。そして、発電手段が、上記加熱された第2流体を用いて発電を行う。加熱手段で使用され、低温になった流体はタンクの下部に流入し、タンクの下部から流出した低温の流体は熱交換手段に供給される。
【0009】
好適には、本発明の給湯発電システムは、前記第1の閉流路の前記第1の流体の流れを制御する第1のポンプと、前記第2の流体の加熱に用いる前記タンク内の前記第1の流体の流量を制御する第2のポンプと、前記第2の閉流路の前記第2の流体の流れを制御する第3のポンプとを有する。
好適には、本発明の給湯発電システムは、前記第1のポンプは、前記タンク内の前記第1の流体の温度に基づいて、当該温度が所定の温度になるように前記第1の流体の流れを制御し、前記第2のポンプは、前記加熱手段で加熱後の前記第2の流体の温度と、前記タンク内の前記第1の流体の温度とに基づいて、前記加熱手段で加熱後の前記第2の流体の温度が所定の温度になるように、前記第2の流体の加熱に用いる前記タンク内の前記第1の流体の流量を制御する。
【0010】
好適には、本発明の給湯発電システムの前記第3のポンプは、前記加熱手段で加熱後の前記第2の流体の温度と、前記発電手段に流入させる前記第2の流体の目標流量とに基づいて、前記第2の閉流路の前記第2の流体の流れを制御する。
好適には、本発明の給湯発電システムの前記第1の流体は、油である。
【0011】
好適には、本発明の給湯発電システムの前記被加熱雰囲気は、ガス流路である。
好適には、本発明の給湯発電システムの前記被加熱雰囲気は、鉄熱処理雰囲気である。
【0012】
好適には、本発明の給湯発電システムの前記熱交換手段は、前記第1の閉経路に対して着脱可能な構成を有している。
【0013】
好適には、本発明の給湯発電システムの前記第1の閉経路には、複数の前記熱交換手段が設けられている。
好適には、本発明の給湯発電システムの前記冷却手段は冷却水で前記第2の流体を冷却し、当該冷却によって加熱された前記冷却水を給湯水として供給する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来に比べてさらに高い給湯効率および発電効率を得られる給湯発電システムを提供することができる。
また、本発明によれば、タンク内の流体は対流により、高温の流体は上部に上昇し、低温の流体は下部に下降するから、熱交換手段から流入する高温の流体をタンクの上部に流入させ、加熱手段へ流す流体を上部から取り出せば、流体を高温のまま利用できる。また、加熱手段から戻る低温になった流体をタンクの下部に流入させ、熱交換手段へ流す流体を下部から取り出せば熱交換手段に低温のまま流体を戻すことができる。これにより、熱交換手段の効率を最高にでき、また加熱手段の効率も最高にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る給湯発電システムの全体構成図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態に係る給湯発電システムの全体構成図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施形態に係る給湯発電システムの全体構成図である。
【図4】図4は、本発明の第4実施形態に係る給湯発電システムの全体構成図である。
【図5】図5は、本発明の第6実施形態に係る給湯発電システムの熱交換器を適用する製鉄工程を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の第6実施形態に係る給湯発電システムの熱交換器の変形例を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の第6実施形態に係る給湯発電システムの熱交換器を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の第6実施形態に係る給湯発電システムの熱交換手段の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る給湯発電システムについて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る給湯発電システム1の全体構成図である。
図1に示すように、給湯発電システム1は、流路11、流路13および流路15を有する。
流路11が本発明の第1の閉流路の一例であり、流路15が本発明の第2の閉流路の一例である。
排ガス用熱交換器21が本発明の熱交換手段の一例であり、熱媒体タンク23が本発明のタンクの一例であり、蒸発用熱交換器31が本発明の加熱手段の一例であり、膨張機45および発電機47が本発明の発電手段の一例である。
【0017】
流路11には、廃ガス用熱交換器21、熱媒体タンク23および熱媒体ポンプ25が設けられている。
流路13には、熱媒体タンク23、蒸発用熱交換器31および熱媒体ポンプ33が設けられている。
流路15には、凝縮用熱交換器41、昇圧ポンプ43、蒸発用熱交換器31および膨張機45が設けられている。
【0018】
給湯発電システム1では、高温の廃ガスが流れる廃ガスダクト9内に設けられた排ガス用熱交換器21によって、流路11を流れる熱媒体を加熱し、熱媒体タンク23に所定の温度に加熱された熱媒体を熱媒体タンク23の上部から流入させて蓄積する。
そして、熱媒体タンク23に蓄積された熱媒体を熱媒体タンク23の上部から流出させ、蒸発用熱交換器31において流路15内の流れる冷媒を加熱し、加熱後の冷媒を膨張機45に供給して発電機47で発電を行う。
流入口41aから凝縮用熱交換器41に流入された水は、凝縮用熱交換器41で加熱されて湯となって流出口41bから流出される。
【0019】
廃ガス用熱交換器21は、廃ガスダクト9内に置かれ、流路11の一部を構成し、流路11内を流れる熱媒体を、廃ガスダクト9内を流れる高温の廃ガスによって流路11の外側から加熱する。
熱媒体タンク23は、流路11の一部を構成し、流路11内を流れる熱媒体を貯める。
熱媒体タンク23は、流路11とは別の流路13の一部も構成し、流路13内を流れる熱媒体を貯める。熱媒体タンク23内に貯えられる熱媒体の温度は、例えば、100〜150℃である。
【0020】
熱媒体ポンプ25は、流路11内で図1中矢印の向きに熱媒体を圧送する。
【0021】
蒸発用熱交換器31は、流路13の一部を構成し、熱媒体タンク23からの加熱された熱媒体内に流路15の一部の配置し、当該熱媒体で流路15の外側から流路15内を流れる冷媒を加熱する。
熱媒体ポンプ33は、流路13内で図1中矢印の向きに熱媒体を圧送する。
【0022】
凝縮用熱交換器41は、冷却水を流入する流入口41aと当該冷却水を流出する流出口41bとを有し、流入された冷却水内に流路15の一部を配置している。
昇圧ポンプ43は、流路15内の図1中矢印の向きに冷媒を圧送する。
膨張機45は、蒸発用熱交換器31で例えば、70〜150℃に加熱された冷媒を膨張する。膨張機45は、例えば、循環流式小型スクロール膨張機である。
膨張機45の回転軸は、発電機47のローターに接続されている。
すなわち、冷媒が膨張機45で膨張されて回転動力が得られ、膨張機45の回転動力が発電機47に伝えられて発電が行われる。膨張機45で処理された冷媒は、例えば、60〜120℃の排気となって凝縮用熱交換器41に向けて圧送される。
【0023】
給湯発電システム1では、熱媒体タンク23が、廃ガス用熱交換器21を介して廃ガスによって加熱された熱媒体を蓄積する機能を発揮している。
また、蒸発用熱交換器31は、熱媒体タンク23に蓄積された熱媒体によって、流路15内の膨張機45に流入する冷媒を加熱する機能を有する。
凝縮用熱交換器41は、膨張機45からの高温の排気によって、流入口41aから流入した冷却水を加熱して温水にして流出口41bから出す機能を有している。
【0024】
以下、給湯発電システム1の動作例を説明する。
廃ガスダクト9に高温が廃ガスが流れたことが図示しない制御装置によって検出されると、熱媒体ポンプ25がオンにより、熱媒体タンク23に貯えられた熱媒体が熱媒体タンク23の下部から排ガス用熱交換器21に向けて圧送される。そして、当該熱媒体が排ガス用熱交換器21を通過する過程で廃ガスによって加熱され、その後、熱媒体タンク23の上部に流入する。
これにより、熱媒体タンク23に貯えられた熱媒体、80℃〜150℃に保たれる。
【0025】
一方、流路15は、昇圧ポンプ43によって冷媒が図1中矢印の向きに圧送される。
流路15内の蒸発用熱交換器31に流入した冷媒は、蒸発用熱交換器31内において、流路13を介して熱媒体タンク23の上部から流入する熱媒体によって加熱された後に膨張機45に流入する。蒸発用熱交換器31から戻る熱媒体は熱媒体タンク23の下部に流入する。
そして、膨張機45において、蒸発用熱交換器31から流入した冷媒を膨張し、それを回転動力に変換して、発電機47で発電を行う。
【0026】
そして、膨張機45で処理された冷媒は、高温の排気となって凝縮用熱交換器41に向けて圧送され、凝縮用熱交換器41において、流入口41aから流入した冷却水によって冷却される。このとき、流入口41aから流入した冷却水は、凝縮用熱交換器41内で加熱されて湯となって流出口41bから流出される。すなわち、冷却水として市水を用いれば、市水を加熱して給湯の湯を生成できる。
【0027】
以上説明したように、給湯発電システム1によれば、高温の廃ガスを利用して加熱した熱媒体を熱媒体タンク23に蓄積し、それを流路15内の冷媒の加熱に使用することができ、廃ガスダクト9を備えた工場等に適用すれば、高い給湯効率および発電効率を得られる。これにより、CO2の排出量を低減できる。
【0028】
また、給湯発電システム1によれば、熱媒体タンク23に貯める熱媒体として油を用いることで、水を用いた場合に比べて、高温(100〜150℃)の状態で熱媒体を熱媒体タンク23に貯めることができ、蒸発用熱交換器31で高温加熱が可能になる。
【0029】
また、給湯発電システム1によれば、熱媒体タンク23内の熱媒体(流体)は対流により、高温の熱媒体は上部に上昇し、低温の熱媒体は下部に下降するから、排ガス用熱交換器21から流入する高温の熱媒体を熱媒体タンク23の上部に流入させ、蒸発用熱交換器31へ流す熱媒体を上部から取り出せば、熱媒体を高温のまま利用できる。
また、蒸発用熱交換器31から戻る低温になった熱媒体を熱媒体タンク23の下部に流入させ、排ガス用熱交換器21へ流す熱媒体を下部から取り出せば排ガス用熱交換器21に低温のまま熱媒体を戻すことができる。これにより、排ガス用熱交換器21の効率を最高にでき、また蒸発用熱交換器31の効率も最高にできる。
【0030】
給湯発電システム1によれば、図1に示すコイル形状の排ガス用熱交換器21を廃ガスダクト9内に配置することで、廃ガスの熱を効率的に熱媒体に伝えることができる。
【0031】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る給湯発電システム1を説明するための図である。
本実施形態では、上述した第1実施形態の給湯発電システム1において、熱媒体ポンプ25、熱媒体ポンプ33および昇圧ポンプ43の制御に特徴を有している。
本実施形態では、熱媒体タンク23の温度を検出する温度センサ121、温度センサ123、流量計131およびポンプ制御回路141を有する。
【0032】
温度センサ121は、熱媒体タンク23内の熱媒体の温度を検出し、検出した温度情報をポンプ制御回路141に出力する。
温度センサ123は、流路15内の蒸発用熱交換器31の下流側の冷媒の温度を検出し、検出した温度情報をポンプ制御回路141に出力する。
流量計131は、膨張機45に流入する冷媒の流量を検出し、検出した流量情報をポンプ制御回路141に出力する。
【0033】
ポンプ制御回路141は、温度センサ121からの熱媒体タンク23内の熱媒体の温度情報に基づいて、当該熱媒体の温度が所定の温度(例えば、100〜150℃)になるように、流路11内の熱媒体の流れを制御する。
具体的には、ポンプ制御回路141は、廃ガスダクト9内に高温の廃ガスが流れている場合に、熱媒体タンク23の温度が所定の温度以下になると、流路11内の熱媒体の流速を上げるように熱媒体ポンプ25を制御し、熱媒体タンク23の温度が所定の温度を超えると、流路11内の熱媒体の流速を下げように熱媒体ポンプ25を制御する。
【0034】
ポンプ制御回路141は、温度センサ123からの冷媒の温度情報と、温度センサ121からの熱媒体の温度情報とに基づいて、熱媒体ポンプ33を制御する。
具体的には、ポンプ制御回路141は、温度センサ123の温度が所定の温度以下になると、流路13内の熱媒体の流速を上げるように熱媒体ポンプ33を制御し、温度センサ123の温度が所定の温度を超えると、流路13内の熱媒体の流速を下げるように熱媒体ポンプ33を制御する。このとき、ポンプ制御回路141は、流路13内の熱媒体の温度をどの程度上下するかを、温度センサ121からの温度情報に基づいて決定する。
【0035】
ポンプ制御回路141は、温度センサ123の温度情報と、目標流量情報とに基づいて、流量計131の流量情報が上記目標流量情報が示す流量になるように、昇圧ポンプ43を制御する。発電機47で発生する電力は、流路15内の流量によっては影響される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の給湯発電システムによれば、上述したようにポンプ制御回路141によって、熱媒体ポンプ25、熱媒体ポンプ33および昇圧ポンプ43を制御することで、高い給湯効率および発電効率を得られる。
なお、第2実施形態においても、第1実施形態の全ての効果が得られる。
【0037】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係る給湯発電システム1を説明するための図である。
図3に示すように、本実施形態では、流路11に対して着脱可能に排ガス用熱交換器21を構成している。
このように構成することで、排ガス用熱交換器21を洗浄することができ、付着物による熱変換効率低下を防止できる。
なお、第3実施形態においても、第1実施形態の全ての効果が得られる。
【0038】
<第4実施形態>
図4は、本発明の第4実施形態に係る給湯発電システム1を説明するための図である。
図4に示すように、本実施形態では、複数の排ガス用熱交換器21a,21b,21cを備え、これらがそれぞれ廃ガスダクト9a,9b,9c内の配置されている。
排ガス用熱交換器21a,21b,21cは全ての流路11の一部を構成している。
【0039】
本実施形態の給湯発電システム1によれば、複数の排ガス用熱交換器21a,21b,21cを用いることで流路11内の熱媒体の加熱力を高めることができる。
なお、第4実施形態においても、第1実施形態の全ての効果が得られる。
【0040】
<第5実施形態>
本実施形態では、上述した実施形態において、凝縮用熱交換器41で加熱されて流出口41aから流出される湯を利用することを特徴とする。
また、流出口41aから流出される湯を、熱媒体タンク23や蒸発用熱交換器31内の熱媒体の保温等に利用してもよい。
なお、第5実施形態においても、第1実施形態の全ての効果が得られる。
【0041】
<第6実施形態>
図5は、本発明の第6実施形態に係る給湯発電システムの熱交換器を適用する熱熱処理を説明するための図である。図6は、図5に示すシステムのその他の例を説明するための図である。
図7は、本発明の第6実施形態に係る給湯発電システムの熱交換器を説明するための図である。
【0042】
本実施形態では、第1実施形態で説明した廃ガス用熱交換器21の代わりに、図7に示す熱交換器321を用いる。
本実施形態の給湯発電システムの構成は、廃ガス用熱交換器21の代わりに、熱交換器321を用いる点、並びに熱交換器321が鉄熱処理工程が行われる現場に設置されている点を除いて、第1実施形態と同じである。
【0043】
本実施形態の給湯発電システムは、例えば、製鉄所の鉄熱処理工程が行われる現場に設置される。
製鉄所では、図6に示すように、転炉302で精錬された溶鋼を固めて、スラブ306(巨大な鋼の鋳造片)を作る。
転炉302から取り出された溶鋼は、取鍋から下部の鋳型に連続的に流し込まれ冷却される。冷えて固まった鋼は、所定の長さに切り分けられて、1つが10〜20tのスラブ306となって搬送される。
【0044】
本実施形態では、スラブ306の搬送経路の上方に熱交換器321を配置する。熱交換器321は、スラブ306からの熱で加熱される。
熱交換器321は、流路11の一部を構成し、流路11内を流れる熱媒体が、スラブ306からの熱によって流路11の外側から加熱される。
ここで、スラブ306の温度は1000℃以上であり、熱交換器321はスラブ306の搬送路に近接して配置されているため、熱交換器321を流れる熱媒体は1000℃以上で加熱される。
熱交換器321とスラブ306の搬送路との位置関係は、熱交換器321の材料等との関係で適宜、決定される。また、複数の熱交換器321を、図5に示すようにスラブ306の搬送経路と同じ距離に配置してもよいし、図6に示すように異なる距離に配置してもよい。
【0045】
図7に示すように、熱交換器321は、薄板状のケース内に熱伝導性が高い部材で構成された流路340が配置された構造をしている。流路340のパターンは、特に限定されず、任意である。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の給湯発電システムでは、製鉄所内で非常に高温のスラブ306からの熱によって熱交換器321を加熱することから、スラブ306の高熱を利用して発電をすることができる。
【0047】
図8は、本発明の第6実施形態に係る給湯発電システムの熱交換手段の変形例を説明するための図である。
上述した第6実施形態の熱交換器321は、例えば、図8に示すように、流路340に対して、スラブ306の搬送路と反対側に熱反射部材150を配置してもよい。
図8に示すようにすることで、熱交換器321からの熱を、熱反射部材350で反射して流路340に伝達できる。これにより、スラブ306からの熱をより効率的に流路340に伝達できる。
【0048】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0049】
例えば、上述した実施形態では、熱媒体として油を用いた場合を例示したが、水を用いてもよい。
また、熱媒体ポンプ25、熱媒体ポンプ33および昇圧ポンプ43の位置は、それぞれ流路11、流路13および流路15内であれば特に限定されない。
【0050】
また、上述した実施形態では、膨張機45として循環流式小型スクロール膨張機を例示したが、他の方式の膨張機を用いてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、一つの流路11を用いた場合を例示したが、熱媒体タンク23と連通する複数の流路11を設け、それぞれに排ガス用熱交換器21あるいは熱交換器321を備えるように構成してもよい。
【0052】
また、本発明では、熱源からの輻射熱で熱交換手段を加熱してもよいし、熱源に熱交換手段を直接接触させて加熱してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、給湯発電システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…給湯発電システム
9…廃ガスダクト
11,13,15…流路
21…排ガス用熱交換器
23…熱媒体タンク
25…熱媒体ポンプ
31…蒸発用熱交換器
33…熱媒体ポンプ
41…凝縮用熱交換器
43…昇圧ポンプ
45…膨張機
121,123…温度センサ
131…流量計
141…ポンプ制御回路
306…スラブ
321…熱交換器
340…流路
350…熱反射部材




【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体が流れる第1の閉流路と、
被加熱雰囲気内に置かれ、前記第1の閉流路の一部を構成し、前記第1の閉流路内を流れる第1の流体を前記被加熱雰囲気内で加熱する構造を備えた熱交換手段と、
前記第1の閉流路の一部を構成し、前記第1の流体を貯めるタンクと、
第2の流体が流れる第2の閉流路と、
前記第2の閉流路の一部に設けられ、当該閉流路を流れる前記第2の流体を冷却する冷却手段と、
前記第2の閉流路の前記冷却手段の下流側に設けられ、前記タンク内の前記第1の流体により、前記第2の閉流路を流れる前記第2の流体を加熱する加熱手段と、
前記第2の閉流路の前記加熱手段の下流側に設けられ、当該加熱手段で加熱された前記第2の流体を用いて発電し、当該第2の流体を前記冷却手段に向けて流出する発電手段と
を有する
給湯発電システム。
【請求項2】
前記熱交換手段から前記第1の流体が流入する前記タンクの流入口と、前記第1の流体を前記加熱手段に流出する流出口とは、
前記加熱手段から前記第1の流体を流入する流入口と、前記熱交換手段に前記第1の流体を流出する流出口とに対して、上方に位置する
請求項1に記載の給湯発電システム。
【請求項3】
前記第1の閉流路の前記第1の流体の流れを制御する第1のポンプと、
前記第2の流体の加熱に用いる前記タンク内の前記第1の流体の流量を制御する第2のポンプと、
前記第2の閉流路の前記第2の流体の流れを制御する第3のポンプと
を有する
請求項1または請求項2に記載の給湯発電システム。
【請求項4】
前記第1のポンプは、前記タンク内の前記第1の流体の温度に基づいて、当該温度が所定の温度になるように前記第1の流体の流れを制御し、
前記第2のポンプは、前記加熱手段で加熱後の前記第2の流体の温度と、前記タンク内の前記第1の流体の温度とに基づいて、前記加熱手段で加熱後の前記第2の流体の温度が所定の温度になるように、前記第2の流体の加熱に用いる前記タンク内の前記第1の流体の流量を制御する
請求項1〜3のいずれかに記載の給湯発電システム。
【請求項5】
前記第3のポンプは、
前記加熱手段で加熱後の前記第2の流体の温度と、前記発電手段に流入させる前記第2の流体の目標流量とに基づいて、前記第2の閉流路の前記第2の流体の流れを制御する
請求項1〜4のいずれかに記載の給湯発電システム。
【請求項6】
前記冷却手段は冷却水で前記第2の流体を冷却し、
当該冷却によって加熱された前記冷却水を給湯水として供給する
請求項1〜5のいずれかに記載の給湯発電システム。
【請求項7】
前記第1の流体は、油である。
請求項1〜6のいずれかに記載の給湯発電システム。
【請求項8】
前記被加熱雰囲気は、ガス流路である
請求項1〜7のいずれかに記載の給湯発電システム。
【請求項9】
前記被加熱雰囲気は、鉄熱処理雰囲気である
請求項1〜7のいずれかに記載の給湯発電システム。
【請求項10】
前記熱交換手段は、前記第1の閉経路に対して着脱可能な構成を有している
請求項1〜9のいずれかに記載の給湯発電システム。
【請求項11】
前記第1の閉経路には、複数の前記熱交換手段が設けられている
請求項1〜10のいずれかに記載の給湯発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83432(P2013−83432A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−200739(P2012−200739)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(000192383)アルバック理工株式会社 (26)
【出願人】(599071245)株式会社リッチストーン (24)