説明

給湯装置

【課題】COPを向上させることのできる給湯装置を提供すること。
【解決手段】直列接続された複数個の貯湯用タンク3〜8と、前記貯湯用タンク3〜8に、昇温された高温湯を供給する水加熱装置2と、前記貯湯用タンク3〜8内に貯められた高温湯を、出湯用端末27に導く給湯流路と、を備えた給湯装置1であって、前記貯湯用タンク3〜8の少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク3〜8内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、前記温度センサが設けられた貯湯用タンク3〜8内の湯を、前記給湯流路の途中に導くバイパス管24と、前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管24の途中に設けられたバイパス弁25を開く制御器と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関し、特に、複数個の貯湯用タンクを備えた給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数個の貯湯用タンクを備えた給湯装置としては、例えば、特許文献1の図8に開示されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−157471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1の図8に開示されている給湯装置のように、複数個の小型貯湯槽(貯湯用タンク)11a〜11eが直列接続されている給湯装置では、貯湯運転と貯湯運転との間に、小型貯湯槽11a〜11eのうち、例えば、給水口近くに位置し、冷水と接する小型貯湯槽11e内に、あるいは長時間の放熱に伴い各貯湯槽11a〜11eの下部に、その高さ方向の広い範囲にわたって中温水(60℃〜40℃)が生成され(発生し)、この中温水がつぎの貯湯運転においてヒートポンプユニット40内に供給されて温め直され(再加熱され)、高温(90℃〜60℃)の湯となって小型貯湯槽11a〜11eの順に充填されていく(満たされていく)ことになる。
【0005】
また、サブタンク34に貯留する返し湯の量がサブタンク34のタンク容量よりも多い場合、あるいは循環ポンプ31の運転性能が所要性能よりも高い場合、サブタンク34内の返し湯が貯湯槽11eに逆流し、内部のお湯が中温水化することが懸念される。
【0006】
しかしながら、中温水を温め直して(再加熱して)高温の湯とするには、給水源(例えば、各家庭に引き込まれている水道管)から供給された(常温の)水道水を昇温(加熱)して高温の湯とするよりもCOP(Coefficient Of Performance:成績係数:動作係数)が低下してしまうといった問題点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、COPを向上させることのできる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る給湯装置は、直列接続された複数個の貯湯用タンクと、前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末に導く給湯流路と、を備えた給湯装置であって、前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記給湯流路の途中に導くバイパス管と、前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開く制御器と、を備えている。
【0009】
本発明に係る給湯装置によれば、給湯モード中に、貯湯用タンクに設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサにより貯湯用タンク内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると制御器が判断した場合、制御器によりバイパス弁が開かれて、貯湯用タンク内に存在する中温水が、給湯流路を介して出湯用端末に供給され、出湯用端末から優先的に(積極的に)消費(使用)されることになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと制御器が判断した場合、制御器によりバイパス弁が閉じられて、貯湯用タンク内に存在する中温水の出湯用端末への供給が停止(遮断)されることになる。
これにより、中温水がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
【0010】
本発明に係る給湯装置は、直列接続された複数個の貯湯用タンクと、前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末の近傍で循環させる給湯用循環流路と、を備えた給湯装置であって、前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記出湯用端末よりも下流側で、かつ、前記給湯用循環流路の途中に導くバイパス管と、前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開く制御器と、を備えている。
【0011】
本発明に係る給湯装置によれば、給湯モード中に、貯湯用タンクに設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサにより貯湯用タンク内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると制御器が判断した場合、制御器によりバイパス弁が開かれて、貯湯用タンク内に存在する中温水が、給湯用循環流路を介して出湯用端末に供給され、出湯用端末から優先的に(積極的に)消費(使用)されたり、あるいは給湯用循環流路を循環することになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと制御器が判断した場合、制御器によりバイパス弁が閉じられて、貯湯用タンク内に存在する中温水の給湯用循環流路への供給が停止(遮断)されることになる。
これにより、中温水がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
【0012】
本発明に係る給湯装置の運転方法は、直列接続された複数個の貯湯用タンクと、前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末に導く給湯流路と、前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記給湯流路の途中に導くバイパス管と、を備えた給湯装置の運転方法であって、前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開くようにした。
【0013】
本発明に係る給湯装置の運転方法によれば、給湯モード中に、貯湯用タンクに設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサにより貯湯用タンク内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると判断した場合、バイパス弁が開かれて、貯湯用タンク内に存在する中温水が、給湯流路を介して出湯用端末に供給され、出湯用端末から優先的に(積極的に)消費(使用)されることになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと判断した場合、バイパス弁が閉じられて、貯湯用タンク内に存在する中温水の出湯用端末への供給が停止(遮断)されることになる。
これにより、中温水がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
【0014】
本発明に係る給湯装置の運転方法は、直列接続された複数個の貯湯用タンクと、前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末の近傍で循環させる給湯用循環流路と、前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記出湯用端末よりも下流側で、かつ、前記給湯用循環流路の途中に導くバイパス管と、を備えた給湯装置の運転方法であって、前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開くようにした。
【0015】
本発明に係る給湯装置の運転方法によれば、給湯モード中に、貯湯用タンクに設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサにより貯湯用タンク内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると判断した場合、バイパス弁が開かれて、貯湯用タンク内に存在する中温水が、給湯用循環流路を介して出湯用端末に供給され、出湯用端末から優先的に(積極的に)消費(使用)されたり、あるいは給湯用循環流路を循環することになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと判断した場合、バイパス弁が閉じられて、貯湯用タンク内に存在する中温水の給湯用循環流路への供給が停止(遮断)されることになる。
これにより、中温水がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る給湯装置によれば、中温水がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る給湯装置(給湯システム)について、図1を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る給湯装置1は、図示しないヒートポンプおよび貯湯用循環ポンプを備えたヒートポンプユニット(水加熱装置:熱源機)2と、複数個(本実施形態では六つ)の貯湯用タンク3,4,5,6,7,8と、少なくとも一つ(本実施形態では一つ)の循環用タンク9とを備えている。
ヒートポンプユニット2の入口(吸入口)は、第1の配管11を介して給水源(例えば、各家庭に引き込まれている水道管)12に接続(連通)されており、ヒートポンプユニット2の出口(吐出口)と貯湯用タンク3の頂部(上部)とは、第2の配管13を介して接続(連通)されている。
【0020】
貯湯用タンク3の底部(下部)と貯湯用タンク4の頂部(上部)とは、第3の配管14を介して接続(連通)されており、貯湯用タンク4の底部(下部)と貯湯用タンク5の頂部(上部)とは、第4の配管15を介して接続(連通)されている。また、貯湯用タンク5の底部(下部)と貯湯用タンク6の頂部(上部)とは、第5の配管16を介して接続(連通)され、貯湯用タンク6の底部(下部)と貯湯用タンク7の頂部(上部)とは、第6の配管17を介して接続(連通)されており、貯湯用タンク7の底部(下部)と貯湯用タンク8の頂部(上部)とは、第7の配管18を介して接続(連通)されている。そして、貯湯用タンク8の底部(下部)と第1の配管11の途中とは、第8の配管19を介して接続(連通)されている。
【0021】
一方、第2の配管13の途中と循環用タンク9の頂部(上部)とは、第9の配管20を介して接続(連通)されており、循環用タンク9の底部(下部)と第8の配管19の途中とは、第10の配管21を介して接続(連通)されている。また、第9の配管20の途中には、上流側から第1の混合弁(上流側混合弁)22、第2の混合弁(下流側混合弁)23が接続されて(設けられて)いる。
【0022】
第1の混合弁22と第4の配管15の途中とは、第11の配管(中温水抽出管:バイパス管)24を介して接続(連通)されており、第11の配管24の途中には、中温水抽出弁(バイパス弁)25が接続されて(設けられて)いる。
また、第2の混合弁23と第9の配管20の途中とは、第12の配管26を介して接続(連通)されており、第12の配管26の途中には、上流側から出湯用端末(取水用端末:混合水栓)27、給湯用循環ポンプ28が接続されて(設けられて)いる。
【0023】
つぎに、このように構成された給湯装置1により実施される各運転モードについて、図1を用いて説明する。
まず、貯湯用タンク3,4,5,6,7,8内に高温(60℃〜90℃)の湯(以下、「高温湯」という。)を充填する(貯湯用タンク3,4,5,6,7,8内を高温湯で満たす)貯湯モードについて説明する。
貯湯モードにおいては、ヒートポンプユニット2、第2の配管13、貯湯用タンク3、第3の配管14、貯湯用タンク4、第4の配管15、貯湯用タンク5、第5の配管16、貯湯用タンク6、第6の配管17、貯湯用タンク7、第7の配管18、貯湯用タンク8、第8の配管19、および第1の配管11により、ヒートポンプユニット2→第2の配管13→貯湯用タンク3→第3の配管14→貯湯用タンク4→第4の配管15→貯湯用タンク5→第5の配管16→貯湯用タンク6→第6の配管17→貯湯用タンク7→第7の配管18→貯湯用タンク8→第8の配管19→第1の配管11→ヒートポンプユニット2を循環する第1の閉回路(貯湯用循環回路:貯湯用循環流路)が形成され、ヒートポンプユニット2を作動させることにより、ヒートポンプユニット2で昇温(加熱)された高温湯が、この第1の閉回路を循環し、貯湯用タンク3,4,5,6,7,8内のそれぞれに高温湯が、貯湯用タンク3、貯湯用タンク4、貯湯用タンク5、貯湯用タンク6、貯湯用タンク7、貯湯用タンク8の順に充填されていくことになる。そして、貯湯モードにおいて最も下流側に位置する貯湯用タンク8内に高温湯が充填されたら(例えば、貯湯用タンク8内の半分以上が高温湯で満たされたら)、ヒートポンプユニット2を停止させて、貯湯モードを終了する。
【0024】
つづいて、出湯用端末27が開かれたときに、できるだけ短時間で高温水を出湯用端末27に供給できるように準備しておく給湯準備モードについて説明する。
給湯準備モードにおいては、給湯用循環ポンプ28、第12の配管26、および第9の配管20により、給湯用循環ポンプ28→第12の配管26→第9の配管20→第12の配管26→給湯用循環ポンプ28を循環する第2の閉回路(給湯用循環回路:給湯用循環流路)が形成され、給湯用循環ポンプ28を連続的、あるいは間歇的に作動させることにより、貯湯用タンク3内の高温湯が、第2の配管13→第9の配管20→第1の混合弁22→第9の配管20→第2の混合弁23の順に流れて第12の配管26に流入し、第2の閉回路を循環することになる。
【0025】
なお、第2の混合弁23により第9の配管20から第12の配管26への流路が狭められている場合、給湯用循環ポンプ28から第12の配管26に吐出(送出)された高温湯は、循環用タンク9に流入して、循環用タンク9内に充填されていくことになる。
【0026】
つぎに、出湯用端末27が開かれて、貯湯用タンク3,4,5,6,7,8内の高温湯を出湯用端末27に順次供給する給湯モードについて説明する。
出湯用端末27が開かれると給湯用循環ポンプ28が作動し、貯湯用タンク3内の高温湯が、第2の配管13→第9の配管20→第1の混合弁22→第9の配管20→第2の混合弁23の順に流れて第12の配管26に流入し、出湯用端末27に供給される。このとき、貯湯用タンク3から出ていった湯量分だけ、貯湯用タンク4から貯湯用タンク3に高温湯が供給(補充)され、貯湯用タンク4から出ていった湯量分だけ、貯湯用タンク5から貯湯用タンク4に高温湯が供給(補充)され、貯湯用タンク5から出ていった湯量分だけ、貯湯用タンク6から貯湯用タンク5に高温湯が供給(補充)され、貯湯用タンク6から出ていった湯量分だけ、貯湯用タンク7から貯湯用タンク6に高温湯が供給(補充)され、貯湯用タンク7から出ていった湯量分だけ、貯湯用タンク8から貯湯用タンク7に高温湯が供給(補充)されて、貯湯用タンク8から出ていった湯量分だけ、給水源12から貯湯用タンク8に(常温の)水道水が供給(補充)されるようになっている。
【0027】
また、この給湯モードにおいて、第2の混合弁23により第9の配管20から第12の配管26への流路が開かれている場合には、循環用タンク9内に充填された高温湯(または(常温の)水道水)が、第2の配管13および第9の配管20を介して第2の混合弁23に導かれた高温湯と混ぜ合わされて第12の配管26に供給され、出湯用端末27で消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。
なお、貯湯用タンク3内の高温湯を出湯用端末27に導く配管、すなわち、第2の配管13、第9の配管20、および第12の配管26により給湯流路(給湯回路)が形成されることになる。
【0028】
つづいて、貯湯用タンク5内に存在する(生成された)中温水(60℃〜40℃)(以下、「中温水」という。)を出湯用端末27に、優先的に(積極的に)供給する(中温水を出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費させる)中温水抽出モード(中温水供給モード)について説明する。
中温水抽出モードにおいては、給湯モード中に、貯湯用タンク5に設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサ(図示せず)により貯湯用タンク5内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が開かれるとともに、第1の混合弁22の、第11の配管24から第9の配管20への流路が開かれて、貯湯用タンク5内に存在する中温水が、第4の配管15、第11の配管24、第9の配管20を介して、第12の配管26に供給され、出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。このとき、第1の混合弁22の、貯湯用タンク3から第2の混合弁23への流路が開かれていると、第11の配管24を介して第1の混合弁22に導かれた中温水は、第2の配管13および第9の配管20を介して第1の混合弁22に導かれた高温湯と混ぜ合わされて第12の配管26に供給され、出湯用端末27で消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が閉じられるとともに、第1の混合弁22の、第11の配管24から第9の配管20への流路が閉じられて、貯湯用タンク5内に存在する中温水の供給が停止(遮断)されることになる。
【0029】
本実施形態に係る給湯装置1および給湯装置1の運転方法によれば、中温水がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
また、本実施形態に係る給湯装置1によれば、第11の配管24の下流端(出口端)が、第1の混合弁22を介して第9の配管20に接続されている、すなわち、給湯用循環ポンプ28の吐出圧力の影響を受けない場所に接続されているので、第11の配管24および中温水抽出弁25を通過する際の圧力損失を低減させることができ、中温水を第9の配管20により円滑に導くことができる。
さらに、本実施形態に係る給湯装置1によれば、(小型の)貯湯用タンク3,4,5,6,7,8が複数個(本実施形態では六つ)設けられており、貯湯用タンク一つの場合と比べて肉厚を薄くすることができて、軽量化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0030】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る給湯装置(給湯システム)について、図2を参照しながら説明する。
図2は本実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
図2に示すように、本実施形態に係る給湯装置31は、第9の配管20の途中に、混合弁32が接続され、混合弁32と第9の配管20の途中とが、第12の配管26を介して接続(連通)されており、第11の配管(中温水抽出管:バイパス管)24の下流端(出口端)が、混合弁32の上流側(高温側)近傍に位置する第9の配管20に接続されているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0031】
つぎに、貯湯用タンク5内に存在する(生成された)中温水を出湯用端末27に、優先的に(積極的に)供給する(中温水を出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費させる)中温水抽出モード(中温水供給モード)について説明する。
中温水抽出モードにおいては、給湯モード中に、貯湯用タンク5に設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサ(図示せず)により貯湯用タンク5内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が開かれて、貯湯用タンク5内に存在する中温水が、第4の配管15、第11の配管24、第9の配管20を介して、第12の配管26に供給され、出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。このとき、第11の配管24を介して第9の配管20に導かれた中温水は、第2の配管13および第9の配管20を介して導かれた高温湯と混ぜ合わされて第12の配管26に供給され、出湯用端末27で消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が閉じられて、貯湯用タンク5内に存在する中温水の供給が停止(遮断)されることになる。
なお、中温水抽出モード以外の運転モード(貯湯モード、給湯準備モード、給湯モード(中温水抽出モードを伴わない通常の給湯モード)は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る給湯装置31および給湯装置31の運転方法によれば、中温の湯がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
また、本実施形態に係る給湯装置31によれば、第11の配管24の下流端(出口端)が、第1の混合弁22を介して第9の配管20に接続されている、すなわち、給湯用循環ポンプ28の吐出圧力の影響を受けない場所に接続されているので、第11の配管24および中温水抽出弁25を通過する際の圧力損失を低減させることができ、中温水を第9の配管20により円滑に導くことができる。
さらに、本実施形態に係る給湯装置31によれば、混合弁を一つにすることができ、製造コストおよびランニングコストの低減化を図ることができる。
さらにまた、本実施形態に係る給湯装置31によれば、(小型の)貯湯用タンク3,4,5,6,7,8が複数個(本実施形態では六つ)設けられており、貯湯用タンク一つの場合と比べて肉厚を薄くすることができて、軽量化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0033】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る給湯装置(給湯システム)について、図3を参照しながら説明する。
図3は本実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
図3に示すように、本実施形態に係る給湯装置41は、第11の配管(中温水抽出管:バイパス管)24の下流端(出口端)が、混合弁32の上流側(低温側)近傍に位置する第9の配管20に接続されているという点で上述した第2実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0034】
つぎに、貯湯用タンク5内に存在する(生成された)中温水を出湯用端末27に、優先的に(積極的に)供給する(中温水を出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費させる)中温水抽出モード(中温水供給モード)について説明する。
中温水抽出モードにおいては、給湯モード中に、貯湯用タンク5に設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサ(図示せず)により貯湯用タンク5内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が開かれるとともに、(混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が開かれていない場合には、)混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が開かれて、貯湯用タンク5内に存在する中温水が、第4の配管15、第11の配管24、第9の配管20を介して、第12の配管26に供給され、出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。このとき、混合弁32の、貯湯用タンク3から第12の配管26への流路が開かれていると、第11の配管24および第9の配管20を介して混合弁32に導かれた中温水は、第2の配管13および第9の配管20を介して混合弁32に導かれた高温湯と混ぜ合わされて第12の配管26に供給され、出湯用端末27で消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が閉じられるとともに、(中温水抽出モードに入る前に、混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が閉じられていた場合には、)混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が閉じられて、貯湯用タンク5内に存在する中温水の供給が停止(遮断)されることになる。
なお、中温水抽出モード以外の運転モード(貯湯モード、給湯準備モード、給湯モード(中温水抽出モードを伴わない通常の給湯モード)は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0035】
本実施形態に係る給湯装置41および給湯装置41の運転方法によれば、中温水がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
また、本実施形態に係る給湯装置41によれば、第11の配管24の下流端(出口端)が、第2の閉回路を構成する第9の配管20に接続されている、すなわち、高温湯の影響を受けない場所(高温湯と混ざり合わない場所)に接続されているので、混合弁32における、高温湯と、第2の閉回路を循環する湯との混合比率の算定を容易なものとすることができ、混合弁32における温度管理を容易なものとすることができる。
さらに、本実施形態に係る給湯装置41によれば、混合弁を一つにすることができ、製造コストおよびランニングコストの低減化を図ることができる。
さらにまた、本実施形態に係る給湯装置41によれば、(小型の)貯湯用タンク3,4,5,6,7,8が複数個(本実施形態では六つ)設けられており、貯湯用タンク一つの場合と比べて肉厚を薄くすることができて、軽量化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0036】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係る給湯装置(給湯システム)について、図4を参照しながら説明する。
図4は本実施形態に係る給湯装置の概略を示す構成図である。
図4に示すように、本実施形態に係る給湯装置51は、第11の配管(中温水抽出管:バイパス管)24の下流端(出口端)が、循環用タンク9の頂部(上部)に取り付けられて循環用タンク9と第9の配管20とを接続(連通)するT字管(図示せず)に接続されているという点で上述した第2実施形態および第3実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第2実施形態および第3実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第2実施形態および第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0037】
つぎに、貯湯用タンク5内に存在する(生成された)中温水を出湯用端末27に、優先的に(積極的に)供給する(中温水を出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費させる)中温水抽出モード(中温水供給モード)について説明する。
中温水抽出モードにおいては、給湯モード中に、貯湯用タンク5に設けられた(取り付けられた)熱伝対等の温度センサ(図示せず)により貯湯用タンク5内の湯の温度が測定され、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が開かれるとともに、(混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が開かれていない場合には、)混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が開かれて、貯湯用タンク5内に存在する中温水が、第4の配管15、第11の配管24、T字管、第9の配管20を介して、第12の配管26に供給され、出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。このとき、混合弁32の、貯湯用タンク3から第12の配管26への流路が開かれていると、第11の配管24および第9の配管20を介して混合弁32に導かれた中温水は、第2の配管13および第9の配管20を介して混合弁32に導かれた高温湯と混ぜ合わされて第12の配管26に供給され、出湯用端末27で消費(使用)されたり、あるいは第2の閉回路を循環することになる。そして、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にないと制御器(図示せず)が判断した場合、制御器により中温水抽出弁25が閉じられるとともに、(中温水抽出モードに入る前に、混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が閉じられていた場合には、)混合弁32の、第9の配管20から第12の配管26への流路が閉じられて、貯湯用タンク5内に存在する中温水の供給が停止(遮断)されることになる。
なお、中温水抽出モード以外の運転モード(貯湯モード、給湯準備モード、給湯モード(中温水抽出モードを伴わない通常の給湯モード)は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る給湯装置51および給湯装置51の運転方法によれば、中温の湯がつぎの貯湯運転において水加熱装置に供給されて温め直される(再加熱される)ことをなくすことができ(防止することができ)、COPを向上させることができる。
また、本実施形態に係る給湯装置51によれば、第11の配管24の下流端(出口端)が、循環用タンク9の頂部(上部)に取り付けられて循環用タンク9と第9の配管20とを接続(連通)するT字管に接続されている、すなわち、高温湯の影響を受けない場所(高温湯と混ざり合わない場所)に接続されているので、混合弁32における、高温湯と、第2の閉回路を循環する湯との混合比率の算定を容易なものとすることができ、混合弁32における温度管理を容易なものとすることができる。
さらに、本実施形態に係る給湯装置51によれば、混合弁を一つにすることができ、製造コストおよびランニングコストの低減化を図ることができる。
さらにまた、本実施形態に係る給湯装置51によれば、(小型の)貯湯用タンク3,4,5,6,7,8が複数個(本実施形態では六つ)設けられており、貯湯用タンク一つの場合と比べて肉厚を薄くすることができて、軽量化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形・変更実施可能である。
例えば、上述した実施形態では、貯湯用タンク5に熱伝対等の温度センサを取り付け、温度センサにより測定された値が中温水の範囲内にあると判断した場合に、中温水抽出弁25を開けて、貯湯用タンク5内に存在する中温水を出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費(使用)したり、あるいは第2の閉回路を循環させるようにしていた。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、貯湯用タンク4や貯湯用タンク6等に熱伝対等の温度センサを取り付け、第11の配管24の上流端(入口端)を第3の配管14の途中や第5の配管16の途中等に接続して、貯湯用タンク4や貯湯用タンク6等の内部に存在する中温水を出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費(使用)したり、あるいは第2の閉回路を循環させるようにしてもよい。
【0040】
また、第11の配管24を複数本用意し、第11の配管24の上流端(入口端)を、第4の配管15の途中、および/または第3の配管14の途中、および/または第5の配管16の途中に接続して、貯湯用タンク4,5,6の内部に存在する中温水を出湯用端末27から優先的に(積極的に)消費(使用)したり、あるいは第2の閉回路を循環させるよう、複数の中温抽出系統を設置してもよい。
【0041】
また、第2の混合弁23または混合弁32における貯湯用タンク3側の取合部と循環用タンク9側の取合部とで、圧力差の調整を行う必要がある場合には、適宜、第10の配管21の途中に図示しない減圧弁あるいは手動ニードル弁を設けるようにする。
【0042】
さらに、特に第11の配管24の上流端(入口端)を、例えば、貯湯用タンク8の頂部(上部)に取り付けられて循環用タンク9と第9の配管20とを接続(連通)するT字管(図示せず)、あるいは第7の配管18の途中に接続しておくと、循環用タンク9から貯湯用タンク8側に循環用タンク9内のお湯が逆流して、貯湯用タンク8内のお湯が中温化してしまった場合でも、貯湯用タンク8内の中温化したお湯を抜き出すことができるのでより好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 給湯装置
2 ヒートポンプユニット(水加熱装置)
3 貯湯用タンク
4 貯湯用タンク
5 貯湯用タンク
6 貯湯用タンク
7 貯湯用タンク
8 貯湯用タンク
24 第11の配管(バイパス管)
25 中温水抽出弁(バイパス弁)
27 出湯用端末
31 給湯装置
41 給湯装置
51 給湯装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数個の貯湯用タンクと、
前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、
前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末に導く給湯流路と、を備えた給湯装置であって、
前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記給湯流路の途中に導くバイパス管と、
前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開く制御器と、を備えていることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
直列接続された複数個の貯湯用タンクと、
前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、
前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末の近傍で循環させる給湯用循環流路と、を備えた給湯装置であって、
前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記出湯用端末よりも下流側で、かつ、前記給湯用循環流路の途中に導くバイパス管と、
前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開く制御器と、を備えていることを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
直列接続された複数個の貯湯用タンクと、
前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、
前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末に導く給湯流路と、
前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記給湯流路の途中に導くバイパス管と、を備えた給湯装置の運転方法であって、
前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開くようにしたことを特徴とする給湯装置の運転方法。
【請求項4】
直列接続された複数個の貯湯用タンクと、
前記貯湯用タンクに、昇温された高温湯を供給する水加熱装置と、
前記貯湯用タンク内に貯められた高温湯を、出湯用端末の近傍で循環させる給湯用循環流路と、
前記貯湯用タンクの少なくともいずれか一つに設けられて、当該貯湯用タンク内に貯められた湯の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサが設けられた貯湯用タンク内の湯を、前記出湯用端末よりも下流側で、かつ、前記給湯用循環流路の途中に導くバイパス管と、を備えた給湯装置の運転方法であって、
前記温度センサにより測定された値が、中温水の範囲内にあると判断した場合に、前記バイパス管の途中に設けられたバイパス弁を開くようにしたことを特徴とする給湯装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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